説明

機能性砂糖代替物

本発明は、スクロースを含有する食品レシピにおいて1/1の重量基準及び/又は容量基準にて砂糖に置き換えて使用される、実質的なカロリー低下が認められる機能性の食品成分に関する。レシピにおける1つの成分であること以上に、機能性成分として見なすべきである。なぜなら、幾らかの健康促進効果を有するからである。本発明による、スクロースに対する機能性食品代替物は、プレバイオティックファイバーと甘味料を含み、そして場合によっては他の非選択性のファイバー、ミネラル、ビタミン、及びプロバイオティック菌株を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂糖の甘味特性と構造特性を有する、砂糖の代替組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、いかなる食品調製物においても、1/1の重量基準にて、及び/又は、さらに1/1の容量基準にて砂糖に置き換えて使用することができる固体若しくは半固体の機能性甘味料を含む。
【背景技術】
【0002】
砂糖は、ヒトの食品調製物における一般的な甘味剤(sweetening additive)である。砂糖とはスクロースであるとされているが、グルコース、フルクトース、及び高フルクトースのコーンシロップ等の、広く使用されている他の高カロリー甘味剤もある。一般的な食習慣では、砂糖を過剰消費する傾向が見られる。しかしながら、とりわけカロリー含量が高いことから、砂糖の高摂取は、ダイエット上の理由により好ましくない。砂糖がもたらす最も一般的な健康上の悪影響は虫歯と肥満である。1970年代における、食料供給への高フルクトースコーンシロップの急激な導入(特に清涼飲料において)が、ここ30年で世界中に広まった肥満蔓延の一因となる重要な要素であると認識されている。さらに、糖尿病に罹っている人は、砂糖の摂取を抑える必要がある。血液中に高レベルのグルコースが存在するのは有害である。症状がすぐには深刻にならないとしても、長期間が経過すると、コントロール不良の高い血糖値によって、より微小な血管が損傷されることがあり、これにより眼や腎臓に対する回復不能な損傷を含めた合併症が引き起こされる。神経も損傷を受けることがあり、感覚や痛みを感じる能力のみならず、内臓に対しても悪影響を及ぼすことがある。コントロール不良の糖尿病は、心臓血管疾患(例えば、心臓麻痺や心臓発作)の危険性を高める。したがって、一般的な食材に対する砂糖代替解決策(sugar replacement solutions for popular foodstuffs)は、極めて重要なことである。
【0003】
本発明は、ヘルシーな栄養学的習慣と機能性食品に対する新たな概念に関する。この概念に対する基本的で最も重要な考え方は、人はもはや、健康を向上させるのに食習慣を変える必要がない、というものである。本発明の概念においては、消費者が好むもの(例えば、食品の甘味や塩味、口当たりの良い構造や質感)をあきらめることなく、できるだけ単純かつ効果的に、好ましい健康効果を伴って食品を摂取することができる。主たる目的は、最も多量に使用されていると同時に、知らないうちに作用する害毒を人に(健康な人にも)もたらす食品成分を置き換えることにある。この文脈において最も重要な成分の1つは砂糖である。
【0004】
この観点から考えると、胃腸管(GI管)(より具体的には結腸)中に、複雑なミクロフローラ(microflora)が健康な人の体の一部として存在している、ということを認識することが重要である。胃腸管においては、微生物が結腸中に広く行き渡っており、これらの微生物は、結腸内容物のうちの約1011〜1012/gを構成している。周知のように、大腸中の微生物が、小腸では消化されなかった食物成分(例えば、オリゴ糖と多糖であるファイバーであって、殆どの場合が植物由来の食物物質である)に対する消化プロセスを完全なものにする。
【0005】
これらのオリゴ糖及び多糖の特性は、例えば、糖類の組成、糖類間の結合、及び重合度(DP)に依存する。重合度は、オリゴ糖分子若しくは多糖分子の炭水化物鎖において互いに連結した糖類単位(例えば、フルクトースやグルコース)の数に相当する。多糖は、少なくとも10のDPを有する糖類単位の分岐鎖若しくは未分岐鎖である、と定義することができる。オリゴ糖は、2〜10のDPを有する単糖単位の分岐鎖若しくは未分岐鎖である、と定義することができる。さらに、平均重合度は、単糖単位の総数を、所定のオリゴ糖組成物若しくは多糖組成物中に存在する糖類分子の総数で除して得られる値である、と定義することができる。平均重合度は、パルス電流検出器(PAD)を組み込んだ高性能アニオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)を使用して測定するのが有利である(「Blecker C.et.al.,Characterization of different inulin samples by DSC,Journal of Thermal Analysis and Calorimetry 71(1):215-225,2003」に記載)。平均重合度はさらに、下記の分析法のうちの1つによって測定することもできる:「Campa C.et.al.,Determination of average degree of polymerization and distribution of oligosaccharides in a partially acid-hydrolyzed homopolysaccharide:a comparison of four experimental methods applied to mannuronan,Journal of Chromatography A.2004 Feb 13;1026(1-2):271-81」;及び「Ravenscroft N.et.al.,Physicochemical characterization of the oligosaccharide component of vaccines,Developmental Biology 2000;103:35-47」。
【0006】
これらのファイバーの一部はプレバイオティック特性(prebiotic properties)を有し、プレバイオティックファイバー、又はプレバイオティックオリゴ糖若しくはプレバイオティック多糖と呼ばれる。プレバイオティックファイバーは、主として、非消化性の可溶性オリゴ糖及び可溶性多糖である。非消化性とは、GI管のヒト酵素によって消化されず、また上部消化管中にも吸収されない、ということを意味している。したがって、非消化性の可溶性オリゴ糖及び可溶性多糖は未変化のままで結腸に達し、そこで少なくとも一部が、主として結腸中に存在する有用なバクテリア〔例えば、ビフィドバクテリア(Bifidobacteria)やラクトバシリ(Lactobacilli)〕によって発酵を受ける。したがってこれらの有用バクテリアは、プレバイオティックファイバーを、結腸中での成長と増殖のための選択的なエネルギー源として利用する。
【0007】
この作用はプレバイオティック作用と呼ばれ、腸管中の健康促進バクテリアの刺激及び/又は活性化を表わしている。例えば、ヒトに関する研究によれば、適度な量のプレバイオティックファイバーを摂取すると(一日当たり5gから)、結腸中のビフィドバクテリアが大幅に増大する(最大で10倍)ということが確認された。発酵時においては、これらのファイバーが分解され、短鎖脂肪酸(SCFA)が生成し、これによりpHレベルが低下し、大腸細胞の増殖と維持のためのエネルギー源が得られる。このプロセスは癌細胞の分化(癌細胞を死滅させる前に必要とされる重要な一歩)を招く。酸生成によるpH低下作用の結果、カルシウムとマグネシウムの摂取が向上し、これと同時に、病原性バクテリアや腐敗性バクテリア〔例えば、クロストリディア,E.コリ(Clostridia,E.coli)やバクテロイデス(Bacteroides)〕のための有害な環境がつくり出される。
【0008】
複雑なミクロフローラに関しては、国連食糧農業機関(FAO)によって召集された一群の専門家によってプロバイオティックス(probiotics)が定義された。彼らによるプロバイオティックスの定義は“ホストに有益な効果もたらす適切な量にて投与される生きている微生物”というものである。実際には、主として特定のビフィドバクテリアと(Bifidobacteria)とラクトバシリ(Lactobacilli)が、プロバイオティック作用を有するとして挙げられている。これらは通常、経口投与される場合にはプロバイオティックスと呼ばれている。これらのバクテリアは、腸管(より具体的には結腸)にコロニーをつくることができ、この場合には、これらのバクテリアがヒトの健康に有益な効果を及ぼす。しかしながら、これら2つの属に属する菌株の数種だけが確実な健康効果をもたらし、これらの菌株は商業的な用途において特許請求されている。
【0009】
結腸にコロニーをつくり、これによって好ましくない有害なバクテリアの増殖を防止する効果のほかに、プロバイオティクスの、そしておそらくは数種の有益な体内バクテリアの他の健康効果は、下痢の発生や持続を減少させること、乳糖不耐性を抑えること、降圧作用もたらすこと、癌に罹る危険性を少なくすること、及び免疫系を刺激することなどである。これらの効果は直接的であっても間接的であってもよい。このことは、これらの効果が、バクテリアの作用若しくは生成物によって引き起こされることもあるし、あるいは消化管での消化によってつくり出される生成物によって引き起こされることもある、ということを意味している。
【0010】
砂糖を強い甘味料で置き換えることは、固体と半固体の食料品において容易ならない問題である。なぜなら、スクロースは、これらの物品において構造的な機能と甘味付与機能の両方を満たしているからである。低砂糖若しくは砂糖無しの添加物品を作製する際には、物品中のバルク物質を置き換えるという課題、さらに、置き換え物質が置き換えられる砂糖と少なくとも同じ機能をもたなければならない、という問題に自動的に直面する。
【0011】
先行技術において、既に幾つかの物品が開示されている。しかしながら、これらの物品のいずれも、砂糖のおいしさ、味、甘さ、機能特性、及び質感特性の全てを保持しつつ、半固体調製品若しくは固体調製品中の砂糖を1/1の重量基準で置き換えることができない。この点において、EP0963379と米国特許第6,423,358号は、砂糖代替物を1/1の容量基準で含有するファイバーの例を開示している。
【0012】
さらに、前記代替物は、砂糖と実質的に同じ甘さ、ならびに食品調製物の構造、質感、外観、及びおいしさに関して、砂糖と少なくとも同じ機能効果をもたらさねばならず、また健康促進効果及び/又は加工食品の保存寿命増大等の、幾つかのさらなる機能を有していなければならない。したがって砂糖代替物は、砂糖に置き換わるだけでなく、人体に必要量のファイバー、ビタミン、及びミネラルを供給しつつ、広範囲の健康効果をもたらすものでなければならない。簡単に言えば、砂糖代替物を使用することによって、味に対しても構造に対しても全く譲歩することなく、より良い健康が得られなければならない、ということである。
【発明の開示】
【0013】
本発明の目的は、一般的な食品調製物中のスクロースに対し、1/1の重量基準での、そして好ましくは1/1の容量基準でも健康に良い代替物を提供することにある。このことは、砂糖の存在を必要とするレシピにおいて、砂糖の量を、本発明による固体若しくは半固体で低カロリーのファイバー含有砂糖代替組成物の同量で置き換えることができる、ということを意味している。
【0014】
この目的を達成するために、本発明は、特許請求の範囲で定義するとおりの、バルキングファイバー組成物(a bulking fibre composition)を含む砂糖代替組成物を提供する。
好ましくは、該バルキングファイバー組成物の少なくとも1つの成分はプレバイオティックである。
【0015】
さらに、少なくとも1つの成分が主としてグルコース単位から成り、少なくとも1つの成分が主としてフルクトース単位から成ることが好ましい。
本出願は、10以上の平均重合度を有する炭水化物化合物を多糖と呼び、2より大きく、10未満の平均DPを有する炭水化物化合物はオリゴ糖と呼ぶことにする。
【0016】
該甘味料組成物は、砂糖の甘さにほぼ等しい甘さを、該砂糖代替組成物に与えるために充分な量で、1種類又は数種類の強い甘味料を含む。甘さは、種々の希釈度の水溶液を調製し、甘味が知覚できる最高の希釈度を測定することによって決定される。種々の希釈度の水溶液を調製し、次に、これらを砂糖と比較することによって、砂糖に等しい甘味をもたらす甘味料の濃度を決定する。
【0017】
本明細書の全体にわたって、“約(about)”とは、与えられた数値の±10%以下の、そして好ましくは与えられた数値の±5%以下の変動を許容することが意図されている。
前記バルキングファイバー組成物は1つ以上のファイバー成分を含有し、このファイバー成分はプレバイオティックであるのが好ましく、イヌリン、ポリデキストロース、耐性マルトデキストリン及びオリゴフルクトースから成る群から選択されるのが好ましい。
【0018】
前記強い甘味料は、アセスルファムK、ネオヘスペリジンDC、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン、スクラロース、アリテーム、ソーマチン、チクロ、及びグリシルリジンから成る群から選択されるのが好ましいか、又はこれらの組み合わせ物であってもよい。他の有用な強い甘味料は、ステビオサイド及び/又はステビア・レバウジアナ(Stevia rebaudiana)植物の葉からの関連抽出物(以後、「ステビオサイド/ステビア抽出物」と呼ぶ)である。これは結晶質のジテルペングリコシドであって、スクロースより約300倍甘い。グルコノ-δ-ラクトン等の調味料(flavour enhancer)を、甘味料組成物に加えることができる。
【0019】
表1に記載の、本発明の特定の実施態様においては、前記バルキングファイバー組成物が、30〜60重量%の、好ましくは40〜55重量%のポリデキストロース、0〜25重量%の、好ましくは5〜15重量%のイヌリン、0〜40重量%の、好ましくは5〜25重量%の耐性マルトデキストリン、及び3〜30重量%の、好ましくは5〜10重量%のオリゴフルクトースを含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である。換言すれば、好ましい組成物についての上記説明において並びに本出願の残りの部分において、特に、指定しない限り、重量%での全ての表示は、砂糖代替組成物の総重量を基準とするものである。
【0020】
【表1】

【0021】
表2に記載の、本発明の有利な実施態様によれば、前記甘味料組成物がさらに、10〜40重量%の、好ましくは10〜30重量%の弱い甘味料を含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である。
【0022】
前記弱い甘味料は、マルチトール、イソマルト、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、ポリオール、ポリグリシトールシロップ若しくはポリグリシトール粉末、水素化澱粉加水分解物(ポリグリシトールシロップ)、及び/又はグリセリンから成る群から選択されるのが好ましいか、或いはこれらの組み合わせ物であってもよい。
【0023】
【表2】

【0024】
表3に記載の、本発明の他の有利な実施態様によれば、前記バルキングファイバー組成物がさらに、0.01〜10重量%の、好ましくは0.05〜3重量%の、不溶性で、非選択性で、非消化性の多糖を含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である。
【0025】
前記の、不溶性で、非選択性で、非消化性の多糖は、セルロース、ヘミセルロース、穀物繊維、小麦繊維、オート麦繊維、リンゴ繊維、オレンジ繊維、及びトマト繊維から成る群から選択されるのが好ましいか、又はこれらの組み合わせ物であってもよい。
【0026】
表4に記載の、本発明のさらに他の有利な実施態様によれば、前記バルキングファイバー組成物がさらに、0.01〜10重量%の、好ましくは0.05〜3重量%の、可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖を含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である。
【0027】
前記の、可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖は、グアールガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、キサン、タラ、カラゲーニン、トラガカント、ローカストビーンガム、及び寒天から成る群から選択されるのが好ましいか、或いはこれらの組み合わせ物であってもよい。
【0028】
表5に記載の、本発明の特定の実施態様によれば、前記バルキングファイバー組成物がさらに、45〜55重量%の、好ましくは約50重量%のポリデキストロース、及び約20重量%のオリゴフルクトースを含み、前記甘味料組成物が、約30重量%のマルチトール、約0.15重量%のアセスルファムK、及び約0.015重量%のネオヘスペリジンDCを含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である。
【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】
表6に記載の、本発明の好ましい実施態様によれば、前記バルキングファイバー組成物が、30〜60重量%の、好ましくは40〜55重量%のポリデキストロース、25重量%までの、好ましくは5〜15重量%のイヌリン、3〜30重量%の、好ましくは5〜10重量%のオリゴフルクトース、20重量%までの、好ましくは10〜15重量%の耐性マルトデキストリンを含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である。
【0032】
【表5】

【0033】
【表6】

【0034】
表7に記載の、本発明の好ましい特定の実施態様によれば、前記バルキングファイバー組成物が、45〜55重量%の、好ましくは約50重量%のポリデキストロース、25重量%までの、好ましくは約7重量%のイヌリン、5〜30重量%の、好ましくは約8重量%のオリゴフルクトース、20重量%までの、好ましくは約12重量%の耐性マルトデキストリン、3重量%までの、好ましくは約2重量%の小麦繊維、及び3重量%までの、好ましくは約0.5重量%のカラゲーニンを含み、そして前記甘味料組成物が、30重量%までの、好ましくは約20重量%のイソマルト、3重量%までの、好ましくは約0.15重量%のスクラロースを含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である。
【0035】
【表7】

【0036】
表8に記載の、本発明の興味ある実施態様によれば、砂糖が部分的にのみ、砂糖代替組成物の成分で置き換えられている。
【0037】
【表8】

【0038】
本発明の他の実施態様は、上記で特定した砂糖代替組成物の追加の成分としてのタガトースの使用に関する。
本発明のさらなる実施態様は、上記で特定した砂糖代替組成物の追加の成分としてのカラマツアラビノガラクタン又はβ−シクロデキストリン又はこれら2成分の組み合わせの使用に関する。
【0039】
本発明の他の詳細と特徴は、本発明の特定の実施態様に関する下記の説明から明らかとなろう。これらの実施態様は、単に例証のためにのみ挙げられており、本発明がこれらの実施態様に限定されることはない。
【0040】
本発明の砂糖代替組成物の基本的な成分を下記に挙げる:
ポリデキストロース、イヌリン、耐性マルトデキストリン及びオリゴフルクトースから成る群から選択される1つ以上の成分;必要に応じて、例えば、カラゲーニン、キサン、グアールガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、及び/又はペクチンのような、可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖;及び必要に応じて、例えば小麦繊維のような、不溶性で、非選択性で、非消化性の多糖
を含むバルキングファイバー組成物
例えば、スクラロース、アセスルファムK、及び/又はネオヘスペリジンDCのような強い甘味料;必要に応じて、例えば、マルチトール、タガトース及び/又はイソマルトのような弱い甘味料若しくはバルク甘味料(bulk sweetener);及び必要に応じて、例えばグルコノ-δ-ラクトンのような調味料
を含む甘味料組成物。
【0041】
砂糖代替組成物の特定の実施態様は、上記成分の特定の組み合わせを含む。
本発明の甘味料組成物は、強い甘味料(表9に幾つかの例が記載)と、必要に応じて、弱い甘味料を含む。砂糖代替組成物のカロリー値は、200kcal/100gを越えないのが好ましく、150kcal/100gを越えないのがさらに好ましい。強い甘味料と弱い甘味料のどちらも代謝不能(non-metabolisable)であるのが好ましい。
【0042】
【表9】

【0043】
弱い甘味料とは、具体的に言えば、スクロースの甘さより低い甘さを有するバルク甘味料である。しかし、弱い甘味料は、スクロースの甘さとほぼ同等の甘さを有してもよいし、或いは少なくともスクロースの甘さと同じ程度であってもよい。
【0044】
弱い甘味料は、総砂糖代替組成物の40重量%までの、特に10〜40重量%の、好ましくは10〜30重量%の量で存在してよい。
表10に記載の、本発明の特定の態様においては、マルチトールが、好ましくは30重量%未満の濃度で弱い甘味料として使用される。表11に記載の、本発明のさらなる特定の態様においては、イソマルトが、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、好ましくは20重量%未満の濃度で弱い甘味料として使用される。マルチトールとイソマルトは、混合物において二重の機能を有する。第一に、これらはバルク甘味料である。マルチトールは、スクロースの甘さの約90%に等しい甘さを有する。イソマルトは、スクロースの甘さの約50%に等しい甘さを有する。イソマルトが示す負の溶解熱(negative heat of solution)はスクロースのそれに極めて類似している。このことは、イソマルトが、他のポリオールと異なって冷却効果を示さないことを意味している。第二に、これらの分子量、そしてさらには構造がスクロースのそれに類似しており、このことは、これらを多くの用途において砂糖に対する適切な代替物とする。
【0045】
【表10】

【0046】
本発明による甘味料組成物においては、砂糖のバルキング機能と質感付与機能の代替に関する問題は、マルチトールとイソマルトを加えることによってある程度解決できただけである。機能的には、マルチトールとイソマルトは、完全にはスクロースに置き換わることはできない。例えば、スクロースと異なって、マルチトールとイソマルトは、他のポリオールと同様に、キツネ色に焦げないか、又はカラメルにならない。それにもかかわらず、マルチトールとイソマルトは、スクロースの甘味に極めて類似した甘味を有し、他の殆どのポリオールと比較して、口中において示す冷却効果はごくわずかである。
【0047】
【表11】

【0048】
本発明の他の特定の態様によると、本発明の砂糖代替組成物における弱い甘味料としてタガトースが使用される。タガトースのD−立体異性体を用いるのが好ましい。D−タガトースは、ケトヘキソースであり、これは、スクロースの甘さの約92%に等しい甘味を有する、C-4において逆転したD−フルクトースのエピマーである。D−タガトースは1.5 Kcal/gのカロリー値を有し、血糖値に対する影響は低い。これは非う蝕原性で、プレバイオティックであり、さらに調味料としても作用する。本発明のこの新しい態様の好ましい実施態様では、該砂糖代替組成物はタガトースを、総砂糖代替組成物の約0〜50重量%タガトース、より好ましくは0.05〜25重量%、さらにより好ましくは0.1〜15重量%、最も好ましくは0.5〜5重量%の濃度で含有する。本発明のこの態様によるタガトース成分は、本発明の有利な効果の達成を危うくしない、任意の可能なやり方で本発明の組成物中に組み入れることができる。タガトースは、好ましくは、本発明の組成物中に(及び好ましくは、本明細書中で本発明の「好ましい」及び/又は「特定の実施態様」及び/又は「特定の態様」と記載されているような組成物中に、特に、表1〜8と10〜16において特定されている組成物中に)、これらの組成物の残りの成分の1つ以上の相対量と置き換えることによって組み入れられる。典型的な例は、下記のように説明する:
・ ポリデキストロースの一部を、上記指示に従った、タガトースの量と置き換える;
・ ポリデキストロースの一部及び耐性マルトデキストリンの一部を、上記指示に従った、タガトースの量と置き換える(マルトデキストリンの最低量が8%に留まるように);
・ ポリデキストロースの一部及びオリゴフルクトースの一部を、上記指示に従った、タガトースの量と置き換える(オリゴフルクトースの最低量が5%に留まるように);
・ 該組成物中の全ての成分の一部を置き換える。
【0049】
もちろん、本発明の砂糖代替組成物の残りの成分に関して指定した、好ましい範囲は、付加的に存在するタガトースの量に適合する必要がある。このことは、その最も広い意味において、置き換えられる成分の最小相対量が、添加されるタガトースの最大相対量によって減少することと、置き換えられる化合物の最大相対量が、添加されるタガトースの最小相対量によって減少することを意味する。タガトースの相対量と、取り替えられる化合物の相対量が、本明細書中に、タガトースとは関係なく、「好ましい」及び/又は「特定の実施態様」及び/又は「特定の態様」と記載されているような組成物中、特に、表1〜8と10〜16において特定されている組成物中で前記成分に関して指定された好ましい範囲内に、後者がまだあるように、選択されることがさらに好ましい。タガトースの付加的な量を受け入れる場合の幾らかのフレキシビリティを、該相対的に広い範囲が可能にすると考えられる。該組成物の2つ以上の成分(又は好ましくは全ての成分)の一部をタガトースによって取り替えるべきである場合には、さらに、これらの成分の相互に対する相対的比率(即ち、減ぜられる成分の相対量の比率)が影響されないように、該成分の相対量を減ずることによって、これを行うことも好ましい。
【0050】
砂糖代替物を用いる実際の用途が、タガトースの好ましい使用量を決定することは明らかである。これに関して、ベーカリー製品では、タガトースの高度のMaillard反応のために、砂糖代替組成物が10%を超えるタガトースを含有しないことが好ましい。
【0051】
典型的な例は、総砂糖代替組成物の約10重量%が、等量のポリデキストロースに置き換わったタガトースであるケーキの製造である(このことは、約50重量%のポリデキストロースの代わりに、約40重量%のポリデキストロースが10重量%のタガトースと共に用いられたことを意味する)。
【0052】
タガトースを含有する、他の典型的な組成物は下記表に示す、これらの表は全て、同じ、タガトースを含まない組成物から、1つ以上の指定成分の一部を典型的に10重量%のタガトースによって置き換えることによって得られるものである。
【0053】
【表12】

【0054】
【表13】

【0055】
【表14】

【0056】
チョコレート及び関連ココア含有組成物の製造に、タガトース含有組成物を用いることが、本発明のこの態様の特に好ましい実施態様である。
強い甘味料は、砂糖代替組成物に、砂糖の甘さにほぼ等しい甘さを付与するために組成物中に使用される。したがって、強い甘味料は、スクロースの甘さより高い甘さを有する。強い甘味料は、スクロースの少なくとも30倍の甘さを有するのが好ましい。このような強い甘味料は、当業者には知られている。これら強い甘味料の幾つかの例を表9に示す。
【0057】
例えば、アセスルファムK(AceK)とネオヘスペリジンDC(NHDC)は人工甘味料であり、本発明に使用されている。AceKはスクロースの200倍の甘さを有するけれども、食品や飲み物中に単独で使用されると、苦くて舌を刺すようなあと味を有するようである。ネオヘスペリジンDC(NHDC)は、閾値に関してスクロースの約200〜1500倍(場合によっては1800倍)の甘さを有するが、より重要なのは、それが理想的な調味料であって、AceKの不快なあと味を遮蔽するという点である。これらの人工甘味料を組み合わせると、相乗効果が得られる。最適には、アセスルファムK対ネオヘスペリジンDCの比は約9.5〜11.5であり、特に10.0〜11.0である。
【0058】
強い甘味料は、グルコノ-δ-ラクトン等の調味料と組み合わせて使用することができる。アセスルファムK(AceK)とネオヘスペリジンDC(NHDC)を使用する上記の例においては、グルコノ-δ-ラクトンは、0.15重量%の量にて使用することができる。グルコノ-δ-ラクトンは、ネオヘスペリジンDCの初期甘味の知覚を増進させる。
【0059】
表12に記載の、本発明のさらなる特定の態様は、スクラロースを強い甘味料として使用する。
【0060】
【表15】

【0061】
他の強い甘味料も使用できること、及び種々な実施態様において使用されている強い甘味料が、本発明の目的のために、互換性であるということは言うまでもない。しかし、一部の強い甘味料がほかのもの以上に好ましいことはありうる。
【0062】
本発明によれば、スクロースの一部が、主としていわゆるプレバイオティックファイバーを含んだバルキングファイバー組成物で置き換えられる。これらのファイバーは、主としてグルコース単位で構成されるオリゴ糖ポリマー及び/又は多糖ポリマー、並びに主としてフルクトース単位で構成されるオリゴ糖ポリマー及び/又は多糖ポリマーを含有するのが好ましい。
【0063】
表1〜12に記載されるような、本発明の1つの態様によれば、ポリデキストロースが、ファイバー組成物中に、プレバイオティックで非消化性の多糖として使用される。
ポリデキストロースは、砂糖代替組成物の総重量を基準にして30〜60重量%の、好ましくは40〜55重量%の量にて存在する。
【0064】
ポリデキストロースは、ランダムに架橋した結合を含んだ、グルコース単位で構成される多糖であり、1→6結合が多く、少量の結合ソルビトール(bound sorbitol)と結合酸(bound acid)を含有する。ポリデキストロースは典型的に、可塑剤としてソルビトールを、触媒として公認食用酸を用いて、グルコースの真空熱重合によって製造される。ランダム重合と分岐とが、構造中に多様なタイプのグルコシド結合を生じる(−1,6結合が優勢)。ポリデキストロースは他の炭水化物よりも高度に分岐しており、この構造的緻密さのために、哺乳動物の消化酵素が該分子を容易に加水分解するのが防止され、したがって、カロリー値の減少が生じる。
【0065】
ポリデキストロースの分子量は原則として162〜約20,000の範囲でありうるが、ポリデキストロースの平均重合度(DP)は約12である(これは、約2000の重量平均分子量に相当する)。
【0066】
典型的に、ポリデキストロースの平均DPは11.6〜14.2の範囲であり、より典型的にはポリデキストロースの平均DPは約12である。
前記DPを決定するための適当な方法は、Craig et al.(1998)”Polydextrose as soluble fiber: physiological and analytical aspects”,Cereal Foods World,43(5),370-376)に開示されている。これらの方法のなかでも、DPを次のように測定することが好ましい:ポリデキストロースを3Shodex OHpakカラム上でのHPLCによって連続的にクロマトグラフィーする(802.5,804,806)。次に、絶対平均分子量をマルチアングル・レーザー光散乱によって測定する。
【0067】
したがって、ポリデキストロースの平均重合度(DP)は約12であるが、本発明がこのようなタイプのポリデキストロースに限定されず、約12以外のDPを有するポリデキストロースの使用も本発明の範囲内で考慮されることを理解すべきである。
【0068】
ポリデキストロースは、砂糖代替組成物中にバルキング剤として広く使用されているが、幾つかの大きな欠点を有する。ポリデキストロースは吸湿性であり、最終製品のベトベトした質感をもたらすことがある。ポリデキストロースはさらに、ある種の焼き食品に対して望まれる褐変反応(browning reaction)に関与しない。したがって、砂糖代替組成物中における単独のバルキング剤としてのポリデキストロースは、砂糖がもつ望ましい機能性をもたらさない。
【0069】
さらに、例えば、表11と12に記載された、本発明の他の態様によれば、イヌリンも、ファイバー組成物中に、プレバイオティックで非消化性の多糖として使用されている。イヌリンは、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、25重量%までの、好ましくは5〜15重量%の量にて存在する。イヌリンは、β-(2→1)-結合によって連結したD-フルクトース残基のポリマーであり、末端にβ-(2→1)-結合したグルコース残基を有する。イヌリンは10000種以上の異なった農作物中に発生するが、チコリーの根から工業的な規模で抽出されている。イヌリンの重合度(DP)は通常、10〜約60の範囲である。本発明の目的に適うには40未満(又は20未満でさえも)のDPが好ましい。しかし、本発明によれば、10未満の低い重合度を有するイヌリンを用いることも可能である。例えば、6〜10、好ましくは8〜10の平均重合度を有するイヌリンが使用可能である。したがって、本明細書で表1〜8及び10〜16に記載した特定組成物の1つ以上に、このような低い重合度を有するイヌリンを用いることも、本発明のさらなる特定の態様である。
【0070】
例えば、表10〜12に記載された、本発明の他の態様によれば、オリゴフルクトースが、ファイバー組成物中に、プレバイオティックで非消化性のオリゴ糖として使用されている。好ましくは、このオリゴフルクトースは2〜8のDPを有し、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、3〜30重量%の、好ましくは5〜10重量%の量にて存在する。さらに詳しくは、混合物中に使用されるオリゴフルクトースは、下記の製造法の1つにより得られるフルクタン型のオリゴ糖であってよい:(i)イヌリンを、2〜約8の範囲のDPを有するオリゴフルクトースにまで、加水分解若しくは酵素的分解させる方法;又は(ii)スクロース上でのアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)のβ-フルクトシダーゼをトランスフルクトシレーション(transfructosylation)する方法。後者のタイプのオリゴフルクトース(フルクトオリゴ糖とも呼ばれる)は、スクロースから誘導されるので、常に末端グルコース残基を有する。一般には、このオリゴフルクトースは3〜5の範囲のDPを有する。イヌリンの加水分解から誘導されるオリゴフルクトースに反して、このタイプは、β-(2→1)結合に加えて他の結合タイプも含有する(限られた数ではあるが)。本発明の目的に適うには、フルクトオリゴ糖が好ましい。このタイプのオリゴフルクトースは、遊離スクロース及び/又は遊離フルクトースの含量がより少なく、一定の重合分布を有する。フルクトオリゴ糖の末端の還元糖基(reducing sugar group)はグルコース残基であり、イヌリンから誘導されるオリゴフルクトースの殆どの末端フルクトース残基と比べて、メイラード反応における反応性が低い。後者は望ましくない褐変反応を起こすことがある。
【0071】
本発明の砂糖代替組成物の成分として、イヌリンをオリゴフルクトースと共に用いる場合には、イヌリン成分の平均DPはオリゴフルクトース成分の平均DPよりも、少なくとも0.5、好ましくは少なくとも1、そしてより好ましくは少なくとも2の差で、大きくなければならない。イヌリンとオリゴフルクトースの両方が同じ一般“フルクタン”型構造の化合物であることを考慮すると、本発明の両成分の間の或る程度の重複は排除することができず、このことは本発明とも一致する。この場合には、バルクファイバー組成物内にフルクタン型成分の二峰性分布が存在するであろう(これらの化合物の分子量と重合度に関する限り)。このような場合に、イヌリン成分とオリゴフルクトース成分の個々の一峰性分布が重複する場合には、両成分の相対量は、混合前の個々の(一峰性)“純粋な”成分の重量に基づいて算出される。
【0072】
さらに、例えば、表11と12に記載された、本発明の他の態様によると、耐性マルトデキストリンも、ファイバー組成物中にプレバイオティックファイバーとして使用されている。これらの耐性マルトデキストリンはさらに、耐性デキストリン又は非消化性デキストリンとも呼ばれる。
【0073】
耐性マルトデキストリンは、主として、澱粉中に見られるα-(1→4)グリコシド結合とα-(1→6)グリコシド結合、及び一般には澱粉中に見られないさらなるグリコシド結合を有するグルコースポリマーである。耐性マルトデキストリンは、澱粉中に見られるアミロースやアミロペクチンより高度に分岐した構造を有する。耐性マルトデキストリンは、全体として三次的な化学構造(overall tertiary chemical structure)を有していることから、消化に対して耐性があり、このことは、耐性マルトデキストリンがヒトの消化酵素によっては分解されないということを意味している。それにもかかわらず、耐性マルトデキストリンは、消化性マルトデキストリンが有する技術的特性(technological properties)の全て又は殆ど全てを示す。
【0074】
表11に記載の、本発明の1態様においては、耐性マルトデキストリンは、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、20重量%までの、好ましくは10〜15重量%の量にて存在する。好ましくは、耐性マルトデキストリンの約40〜60重量%が10未満のDPを有する。耐性マルトデキストリンの約50重量%が好ましくは10以上の、より好ましくは12以上のDPを有する。
【0075】
全耐性マルトデキストリン成分の平均DPは、典型的には10〜20、好ましくは11〜16、より好ましくは約12〜13の範囲内である。
オリゴフルクトースと比較すると、耐性マルトデキストリンは、大腸において急激で過剰な発酵(鼓腸、腹痛、及び/又は下痢を引き起こすことがある)が起こらない、という利点を有する。
【0076】
本発明による組成物における、オリゴフルクトース、耐性マルトデキストリン、イヌリン、及びポリデキストロースの最も重要な役割の1つは、これらのプレバイオティック特性にある。短鎖(即ち、最大で10のDP)と長鎖(即ち、10から60までの範囲のDP)のプレバイオティックファイバーを組み合わせることで、選択的なエネルギー源が、始まりから終わりまで結腸に沿って、有益なバクテリアに対して利用可能であることが保証される。短鎖ファイバー(例えばオリゴフルクトース)が、結腸の始まりにおいて最初に発酵される。長鎖ファイバー(例えばイヌリン)は、結腸の終わりまでの結腸の通過中に、発酵に対して利用可能である。この結果、結腸中の全経路に沿ってSCFAが生成し、これに対応して結腸中のpHが全体として低下する。pHがより低くなることで、結腸の全体に沿ってCaとMgの摂取が向上する。ポリデキストロースはさらに、小腸においては消化若しくは吸収されないが、大腸においてある程度発酵される。ポリデキストロースの発酵はさらに、好ましいミクロフローラの成長、腐敗性ミクロフローラの減少、及び短鎖脂肪酸の生成の増大を引き起こす。これにより、糞便が増大し、通過時間が減少し、大便がより軟らかになり、糞便のpHがより低く(4〜9)なる。
【0077】
本発明の組成物における、オリゴフルクトース、耐性マルトデキストリン、イヌリン、及びポリデキストロースの他の重要な役割は、砂糖代替組成物に、スクロースと少なくとも同じ機能をもたらすことである。砂糖代替組成物を含有する製品が、スクロースを含有する製品と同じ方法で処理することができることが重要である。処理された製品はさらに、例えば、おいしさと外観に関して同じ特性を有するべきである。
【0078】
オリゴフルクトースはさらに、低い甘味強さを有する(DPとは逆相関する)けれども、甘さは前述の甘味料組成物によってもたらされる。本発明の甘味料組成物は、スクロースの機能(例えば甘さ)の一部を置き換えることができるにすぎない。これは、例えば、加熱したときに、スクロースと同じ褐色化効果若しくはカラメル化効果を得るのには適切ではない。
【0079】
本発明の特定の態様によれば、砂糖代替組成物は、4種のプレバイオティックファイバー(即ち、オリゴフルクトース、耐性マルトデキストリン、イヌリン、及びポリデキストロース)を一定の比率で含有することができる。本発明にしたがってオリゴフルクトース、耐性マルトデキストリン、イヌリン、及びポリデキストロースを組み合わせると、例えば、製品のカラメル化適性に関して、あるいは例えば、焼き食品では、加工処理のしやすさ、褐色化効果、及びパン外被の光沢に関して最適の砂糖代替物が得られる。
【0080】
特定の用途(例えば、褐色化が必要とされる焼き食品)に対しては、オリゴフルクトースが存在する必要がある。オリゴフルクトースの濃度は、ベーキング処理中のあまりに高い褐色化効果を防止するために、高すぎてはならない(即ち、砂糖代替組成物の総重量を基準にして30重量%以下、好ましくは25重量%以下であるべきである)。イヌリンから誘導されるオリゴフルクトースと比較すると、フルクトオリゴ糖は、その還元糖基(即ちグルコース)が、メイラード反応に対して反応性がより低い、という利点を有する。さらに、遊離のフルクトース若しくはスクロースが殆ど存在しない、そうでないと、焼き食品において望ましくない褐色化効果が起こることがある。
【0081】
鼓腸の問題に対しては、オリゴフルクトースの濃度が、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、10重量%以下であることが好ましい。本発明の他の態様によると、オリゴフルクトースの一部が、耐性マルトデキストリンで置き換えられる。本発明のこの態様による組成物は、総砂糖代替組成物の5〜10重量%のオリゴフルクトース濃度、及び総砂糖代替組成物の10〜20重量%の耐性マルトデキストリン(オリゴ糖耐性マルトデキストリンと多糖耐性マルトデキストリンを含む)濃度を有するのが好ましい。
【0082】
さらに、特定の焼き食品においては、スクロースの使用によっても得られると考えられる、光沢のあるパン外被を得るために、オリゴフルクトースの存在が必要とされる。
本発明の砂糖代替組成物から4種のプレバイオティックファイバーのうちの1種を除外することは、加工処理のしやすさ、褐色化、及びパン外被の光沢に関しては受け入れにくい食品を生じる可能性があるが、特定の用途〔例えば、コーヒー、ティー、及びソフトドリング等の、甘い液状フードドリンク(liquid food drinks)〕に対しては受け入れ可能である。
【0083】
プレバイオティックで非消化性のオリゴ糖と多糖は、砂糖代替組成物において二重の役割を果たしている:即ち、これらは、機能性でバルク性の砂糖代替物として、及びプレバイオティックファイバーの供給源として機能する多機能成分である。
【0084】
さらに、例えばビフィドバクテリア又はラクトバシラス属に属するプロバイオティックな菌株を補充した本発明の基本的な配合物は、プロバイオティックな菌株と選択的なエネルギー源の両方を提供し、この結果、いわゆるシンバイオティック効果(synbiotic strains)が得られる。このように、腸のフローラ(gut flora)に、フレッシュなバクテリア、バクテリアの栄養分、そしてさらに存在する有益なミクロフローラのための栄養分が補充され、これにより、ヒトの結腸の微生物集団が増強される(enriched)。
【0085】
微生物集団の増強が、ファイバーの摂取と吸収の唯一の結果である。基本的配合物中に存在するファイバーの消化により、短鎖脂肪酸が得られ、これが結腸中のpHを低下させる。このpH低下は、例えばCaとMg(これらは必須ミネラルである)の摂取にとって重要である。
【0086】
砂糖代替組成物の機能性をさらに改良するために、表11と12に記載の、本発明による砂糖代替組成物に、不溶性で、非選択性で、非消化性の多糖を加えることができる。これらの多糖は、砂糖代替組成物の総重量を基準にして0.05重量%〜10重量%の量にて存在してよい。
【0087】
可溶性ファイバーと不溶性ファイバーの量は、下記分析方法の1つによって測定することができる:「Mongeau R.and Brassard R.,Enzymatic gravimetric determination in foods of dietary fibre as the sum of insoluble and soluble fibre fractions:summary of collaborative study,J.AOAC Int.76:923-925,1993」;及び「Prosky L.et al.,Determination of total dietary fibre in foods and food products:collaborative study,J.Assoc.Off.Anal.Chem.68:677-679,1985」。
【0088】
不溶性で、非選択性で、非消化性の多糖の例は、例えば穀物繊維(小麦繊維など)中に存在しているセルロース及びヘミセルロースである。
本発明の幾つかの態様においては、好ましくは20〜80μm(より好ましくは約30μm)の平均長さを有する小麦繊維を使用するのが有利である。小麦繊維は、約76重量%のセルロースと24重量%のヘミセルロースからなる。焼き製品のためには、オリゴフルクトースとこれらの小麦繊維を組み合わせると、スクロースを使用したときに得られるような外被外観と類似した外被の色と光沢が得られる。さらに、これによって、スクロースを使用することによって得られるパン中身に類似した、焼き食品の均一なパン中身が得られる。
【0089】
小麦繊維を含まない砂糖代替組成物中にオリゴフルクトースを使用すると、焼き食品の黒すぎるパン外被とパン中身が得られる。小麦繊維は、実際に漂白効果を有する。
特定の用途に対しては、砂糖代替組成物中の不溶性繊維の量は、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、例えば5重量%未満に、好ましくは3重量%未満に限定すべきである。量がこれより多いと、例えば、砂糖を溶融及び/又はカラメル化するという場合のレシピにおいて、砂糖を置き換えたときに、繊維の質感が望ましくないものとなる。
【0090】
これらの非消化性で不溶性の繊維はさらに、例えば、便秘の防止、及び糖尿病に罹っている人の血中のグルコースレベルの低下において幾らかの健康促進効果を示す。
さらに、表12と13に記載の、本発明の幾つかの態様によると、砂糖代替組成物に、可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖を加えることができる。これらの多糖は、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、0.05重量%〜10重量%の量にて存在してよい。好ましくは、これらの多糖の最大量は、総砂糖代替組成物の5重量%(より好ましくは、3重量%)を超えない。
【0091】
【表16】

【0092】
可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖の例は、キサン、タラ、カラゲーニン、トラガカント、ローカストビーンガム、寒天、グアールガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、及びペクチンである。
【0093】
これらの多糖は、最終食品中の水分保持を高め、したがって保存寿命と軟らかさが増大する。
表12に記載の、本発明の実施態様においては、カッパ・カラゲーニン(kappa carrageenan)を、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、0.05〜2重量%の量にて、好ましくは0.05〜1重量%(約0.5重量%)の量にて加えることができる。
【0094】
特に、砂糖代替組成物の1つの態様に、カルボキシメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースと微晶質セルロースとの共処理ブレンド物を加えると、食品調製物に所望の粘度がもたらされる(これは砂糖を使用することによってももたらされる)。
【0095】
これらの非選択性多糖は、結腸中における有益なバクテリアの成長と増殖を選択的には促進しないが、短鎖脂肪酸(SCFA)に非選択的に発酵され、こうした短鎖脂肪酸は結腸癌を予防する上で重要である。特に、酪酸(上皮細胞に対する最も重要なエネルギー源である)は、この点において重要である。興味あることに、グアールとペクチンを組み合わせて摂取すると、結腸での酪酸の生成に相乗効果を及ぼす。これらの可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖(例えばカルボキシメチルセルロース)はさらに、脂肪の吸収を減少させることもできる。
【0096】
本発明の特定の態様は、特に好ましい、可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖としてのカラマツアラビノガラクタンの使用に関する。カラマツアラビノガラクタンは、ガラクタン(ガラクトースポリマー)から成る主鎖と、D−ガラクトースとL−アラビノースとから成り、可変の鎖長を有する側鎖とから構成される。カラマツアラビノガラクタンの好ましい形態は、西洋カラマツとアメリカカラマツ木から抽出される。カラマツアラビノガラクタンを総砂糖代替組成物の5重量%以下の量で用いることが、特に好ましい。カラマツアラビノガラクタンを本発明の組成物中に含める場合に、残りの成分の少なくとも1つの相対量を減じなければならないことは明らかである。本発明のこの態様によるカラマツアラビノガラクタン成分は、本発明の有益な効果の達成を妨げないような、任意の可能な方法で本発明の組成物中に組み入れることができる。好ましくは、カラマツアラビノガラクタンは本発明の組成物中に(及び好ましくは、本明細書中で本発明の「好ましい」及び/又は「特定の実施態様」及び/又は「特定の態様」と記載されているような組成物中に、特に、表1〜8と10〜16において特定されている組成物中に)、これらの組成物の残りの成分の1つ以上の相対量と置き換えることによって組み入れられる。したがって、本発明によると、該残りの成分の一部若しくは全ての相対量を減ずることが可能であるが、単一成分の相対量のみを選択的に減ずることも可能である。下記表はこのような組成物の例を提供する、この場合には、ポリデキストロースの相対量のみが減じられている(この組成物は、上記タガトース組成物と同じ出発組成物に基づくものである)。
【0097】
【表17】

【0098】
さらに、カラマツアラビノガラクタンをβ−シクロデキストリンと組み合わせて用いることが好ましい。これによって、他の成分(例えば、イソマルト)の相対量を減ずることができる。下記表は、このような組み合わせの例を提供する、該表では、ポリデキスロースと耐性マルトデキストリンの相対量の増加と共に、カラマツアラビノガラクタン、β−シクロデキストリンを加えることによって、イソマルト成分が置き換えられている。
【0099】
【表18】

【0100】
本発明の一部の態様では、他の成分の含量を減ずるために、カラマツアラビノガラクタンなしに、β−シクロデキストリンを用いることもできる。即ち、本発明の他の態様は、指定された成分の一部がβ−シクロデキストリンによって置き換えられている、砂糖代替組成物、及び特に、本明細書中で本発明の「好ましい」及び/又は「特定の実施態様」及び/又は「特定の態様」と記載されているような組成物に関する。総砂糖代替組成物中のβ−シクロデキストリンの好ましい相対量は、0〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。β−シクロデキストリンをカラマツアラビノガラクタンと共に用いる場合には、これらの成分の各々の相対量は、総砂糖代替組成物の重量を基準にして、好ましくは0.1〜6重量%、より好ましくは0.2〜4重量%の範囲内である。
【0101】
プレバイオティック若しくは他の、非消化性多糖及び非消化性オリゴ糖の多すぎる摂取は、鼓腸を引き起こすことがあり、そしてさらには、前述したような下剤効果を示すこともある。ある種のポリオールの用量が多すぎると、同様な効果を及ぼすことがある。可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖(例えば、グアールガム、アラビアガム、カルボキシセルロース、及びペクチン等)は、これらの効果を抑える。1種以上の整腸剤(anti-flatulence agents)〔例えば、ジメチコン、活性炭、及びシメチコン(即ち、SiO2によって活性化されたジメチコン)〕を含むことも本発明の範囲内である。使用できる幾つかの天然の整腸剤もある(但し、該整腸剤自体の味が、意図されている用途を妨げるようなものであってはならない)。代表的な天然整腸剤は、チリ、カプサイシン、ニンニク、ショウガ、クラチャイ(krachai)、レモングラス、及びウコンをベースとしている。
【0102】
本発明の配合物中には、必要に応じてアンチケーキング剤(例えばSiO2)が使用される。食品工業における多くの成分は、不良な流動性を示し、保存する場合にはケーキ化する傾向がある。SiO2は高い吸収能力を示し、したがって食品成分粒子の表面を乾燥させて、その後に、これらが一緒に粘着するのを防止する。さらに、食品成分粒子を離れたままに保持し、これらの粒子が互いに滑り合うのを可能にする。SiO2は、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、0.1〜0.5重量%の量にて使用される。
【0103】
本発明の幾つかの態様の組成物中に含まれている小麦繊維はさらに、アンチケーキング特性を有する。
本発明のさらなる特定の実施態様を表14に示す。
【0104】
【表19】

【0105】
本発明の他の特定の実施態様は、砂糖がまだ存在している場合の、本発明による部分的な砂糖代替組成物に関する。これらの実施態様を表15と16に示す。
【0106】
【表20】

【0107】
【表21】

【0108】
表15の特定の実施態様においては、イヌリンと耐性マルトデキストリンを含有し、そして必要に応じてポリデキストロースとオリゴフルクトースを含有するバルキングファイバー組成物と組み合わせて、砂糖が使用されている。
【0109】
表16の特定の実施態様においては、ポリデキストロース及びオリゴフルクトースと共に、好ましくはさらに耐性マルトデキストリン及びイヌリンと共に砂糖が使用されている。さらに、強い甘味料が、混合物に砂糖の甘さとほぼ同等の甘さをもたらすに足る量にて加えられている。
【0110】
さらに、上記成分の特定の組み合わせから成る基本的配合物に、ある一定のビタミン及びミネラルを加えることができる。より具体的には、果物及び野菜の栄養価に近づくために必要なビタミン及びミネラルを、該配合物に加えることができる。これに関して、砂糖代替物の組成を、模倣する必要がある果物又は野菜に準じて、適応させることができる。このアプローチを用いて、通常、果物及び野菜の消費を通して吸収される、必須ミネラル、ビタミン及びファイバーを付加的に与える、味のよい、ヘルシーな食品を調製することができる。このようにして、良好な健康を維持するために必要な、必須で、不可欠な要素を吸収するために、人々はかれらの食習慣(nutritional habit)を変える必要がない。所望の果物又は野菜の組成を模倣するためにビタミン及びミネラルを補充した、本発明による基本的配合物によって、スクロースを置き換えて、機能性食品を調製することができる。
【0111】
基本的組成物に加えることができるミネラルは、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びリンを含む。基本的組成物に加えることができるビタミンは、ビタミンC、B、A、K及びEを含む。さらに、微量元素(例えば、セレン、鉄及び亜鉛)を加えることができる。
【0112】
本発明によると、上記砂糖代替物の基本的処方に特定の健康促進バクテリアを加えることができる。より具体的に言えば、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属とラクトバシラス(Lactobacillus)属のプロバイオティック種を加えることができる。本発明においては、特に、ポリデキストロース、イヌリン、オリゴフルクトース、及び耐性マルトデキストリンの組み合わせは、pHの全体的な低下をもたらす、この理由は、オリゴフルクトースとオリゴ糖耐性マルトデキストリンは、結腸の上部で発酵されるが、多糖耐性マルトデキストリン、ポリデキストロース、及びイヌリンは、結腸の下部に達するまで発酵されないことが立証されているからである。この全体としてのpH低下は、これらのミネラルの溶解性を改良するために、Ca−摂取とMg−摂取に対してより好ましい環境をつくり出す。この効果は、骨粗鬆症を防止する上で特に重要である。
【0113】
このような特定の配合物を、アイスクリームや冷菓、又は消費する前に熱加工を必要としない他の低温貯蔵食品に加えることができる。低温又は凍結温度のために、摂取前に繊維のプレ加水分解が起こる可能性は低いか又は全くない。
【0114】
同様に、上記の追加成分であるビタミン、ミネラル、及び/又はプロバイオティックバクテリアも存在する場合は特に、薬物、栄養補助食品及び/又は偽薬用の配合物中に本発明の砂糖代替組成物を使用することも考えられる。
【0115】
さらに、本発明による砂糖代替組成物は、アイスクリーム(特に、スコップ・アイスクリーム(scoop icecream))中の砂糖に置き換わることができる。その上、本発明による砂糖代替組成物を含有するアイスクリームでは、脂肪量を減ずることができる。砂糖と脂肪はアイスクリームの柔らかさと冷凍アイスクリームのすくい上げ易さのために重要である。得られる低カロリー・アイスクリームは、砂糖含有アイスクリームよりも高度でさえありうる柔らかさを有する。
【0116】
本発明の砂糖代替組成物のさらなる好ましい使用は、チョコレート、焼き製品、ペストリー製品、ペストリークリーム、クリーム、ホイップクリーム、キャンディ、デザート、飲み物、ヨーグルト、乳製品をベースとしたデザート、ジャム及びママレードの製造におけるその使用である。他の好ましい使用は、綿菓子(コットンキャンディ又はスパンシュガーとしても知られる)の製造に関する。
【0117】
食品中に水分を留めるために、砂糖と、塩も加えられる。これらの食品の例は、砂糖で保存処理した肉製品と、高砂糖食品(例えば、ジャム)である。
砂糖で保存処理した肉製品は、風味、色及び保存のために砂糖、塩、亜硝酸塩、硝酸塩及び/又は硝石が加えられる肉製品(例えば、ハム)である。砂糖は、食品中に水分を留めて、風味を強化し、塩の強い味(harshness)を中和する。これは、バクテリア、真菌類、カビ及び酵母のエネルギー源としても作用しうる。肉製品は、砂糖溶液を注入する、砂糖溶液中に浸漬する、又は砂糖溶液をすり込むことができる。本発明による砂糖代替組成物は、機能的に、これらの肉用途における砂糖に完全に置き換わることができる。構造と風味に対しても同じ効果が得られる。さらに、これらの用途において砂糖代替組成物によって砂糖に置き換えることは、腐敗菌やカビに砂糖が利用されないが、結腸の好ましいミクロフローラのために選択的なエネルギー源が存在するという利点を有する。
【0118】
本発明による砂糖代替組成物によって作製したソフトメレンゲは、砂糖によって作製したソフトメレンゲと同じ構造安定性を有するが、光沢はもっと高度である。さらに、バクテリア安定性がより高く、有害で腐敗性のバクテリアで汚染される可能性がより低い。
【0119】
一般には、砂糖と比較して、砂糖代替組成物は、食品調製物における水分保持特性がより良好であり、したがって、水の利用可能性がより低くなることから、保存寿命がより長くなり、またバクテリア汚染がより少なくなる。これら食品調製物のバクテリア安定性はより高い、なぜなら、砂糖に反して、有害で腐敗性のバクテリアの増殖を妨げることができる有益なバクテリアによって、ファイバー組成物が選択的に発酵されるからである。したがって、有害で腐敗性のバクテリアによる汚染の可能性がより低い。
【0120】
本発明の砂糖代替組成物は、肉の発酵を抑えるために、また発酵肉製品の食品安全性を高めるために、生肉製品(例えば、生ハムや生ソーセージ)に加えることができる。ファイバー組成物は、有益なバクテリアの増殖を選択的に促進し、したがって、有害及び/又は腐敗性のバクテリアの増殖を妨げる。肉を発酵させるための充分な量の有益バクテリアを確実に存在させるために、スターターカルチャー(starter culture)を加えることができる。これらのスターターカルチャーは、ファイバー組成物を発酵させることが可能であるべきであり、又は酸を生成することによってpHを低下させることが可能であるべきである。速やかな初期pH低下を得るためには、スターターカルチャーによるファイバー組成物の速やかな発酵が必要とされる。肉の発酵という用途に対しては、甘味料組成物(特に強い甘味料)は必要とされない、という点を明らかにしておかねばならない。しかし、発酵の後に甘味が存在することが求められることがある。砂糖とは対照的に、強い甘味料は発酵されない。
【0121】
本発明の配合物(the current product formulation)は、1/1の重量基準で砂糖に置き換わることができ、これにより、従来のスクロースをはるかに越える機能性を食品にもたらす。
【0122】
本発明の他の実施態様は、本発明の砂糖代替物のファイバー組成物(但し、甘味料は含有しない)に関する。したがって、本発明のこのファイバー組成物はスクロースほど甘くはなく、それ故、甘味付与効果を同時にもたらすことなく、レオロジー特性及び/又は構造特性の改良が必要とされるケースにおいて有利に使用することができる。典型的な用途は、サラダ用ドレッシングやマヨネーズなどである。本発明の砂糖代替物の好ましい実施態様に関する上記の指摘(indications)は全て、当然のことながら、甘味料が存在しないという条件にて、必要な変更を加えて本発明のファイバー組成物実施態様に適用される。このことは、当然ながら、個々の成分の相対量についての表示が全て、このケースにおいては、甘味料成分を含有しない全ファイバー組成物が100重量%であることを基準としていることを意味している。
【0123】
さらに、また一方ではスクロースの甘味より低く、そして本発明の砂糖代替物の甘味よりも低い甘味効果を得るように、上記ファイバー組成物を減少量の甘味料(本発明の砂糖代替物中の甘味料含量と比較して)と組み合わせて使用することも本発明の範囲内である。この実施態様によれば、本発明の砂糖代替物に関して前述したのと同じ甘味料(特に強い甘味料)を使用することができる。
【0124】
砂糖代替物ならびにファイバー組成物は、種々の成分を単に混合することによって得ることができ、これらの成分は相乗効果を示し、考えられる全ての用途において砂糖に代わる機能的でヘルシーな代替物をもたらす。
【0125】
砂糖代替物を粒状化又は凝集させることにより、物品にさらなる利点と付加価値がもたらされる:例えば、異なる粒径分布を有する成分を用いた場合の製品分離の排除;異なる成分の均一な分布;流動性の改良;ダスト形成の低下;グラニュー糖により近い目視外観。
【0126】
したがって、砂糖にさらに似せるために、本発明による砂糖代替組成物を粒状化することができる。本発明による砂糖代替組成物に適している、粒状化又は凝集の幾つかの方法がある。
【0127】
粒状化は、上記の砂糖代替組成物に水を加えることによって自発的に起こることがある。粒状化は、おそらくは、砂糖代替組成物の成分の1種以上を含有する水を、残りの成分に加えることによって得ることができる。この点において、ポリデキストロースとポリオールを砂糖代替組成物の残りの成分に加える前に、ポリデキストロースとポリオールを水中に溶解するのが最も適切である。
【0128】
凝集は、砂糖代替組成物のコンパウンド(compounds)の混合中に液体噴霧することによって果たすことができる。第1段階においては、低剪断若しくは高剪断ミキシング技術を使用して均一物品組成物(a homogenous product composition)を得る。この方法の第2段階においては、液体を徐々に加えながら低ミキシングを続ける。この液体は、純粋な水であっても、あるいは物品組成物の一部が既に溶解されている水であってもよい。500μm〜2000μmの範囲の粒径を有する砂糖代替物顆粒は、この方法を使用して簡単に得ることができる。砂糖代替組成物上に噴霧される液体の量に応じて、乾燥工程を含んだ第3段階を加える必要がある。この乾燥工程は、流動床システムにて行うことができる。
【0129】
砂糖代替組成物を凝集させるのに流動床技術を使用することは、上記方法において述べた3つの段階を1つの工程に含める極めて経済的で簡便な仕方である。このシステムでは、円錐形状床において、高温空気の入口の近くで粉末粒子を流動化させ、これにより砂糖代替処方の成分を混合する。この混合段階(mixing phase)中に、液体(例えば、水又は砂糖代替組成物の一部を含有する水)を、ボトムスプレーノズル又はトップスプレーノズルを介して噴霧する。このプロセスにより、小さな粒子(いわゆる“種”)が形成され、これらは成長し続けて、ついには所望の粒径に達する。混合と凝集中に乾燥もなされ、この乾燥は、入口空気の温度と湿度の両方によって制御可能である。このプロセスが成功するための重要な条件は、流動化される粉末成分の粒径分布があまり大きく異なっていないということである。これにより、物品分離が避けられる。
【0130】
プレスアグロメレーションは、粒状形態の砂糖代替物を得るための別の方法である。砂糖代替物の成分を混合した後に、締め固めシステム(a compacting system)が使用される。該物品の完全にバランスのとれた組成のために、例えばローラーコンパクターによって物品を圧縮することによって、該物品を簡単に凝集させることができる。この方法を使用して、粉末を圧縮して固体形態(いわゆる“フレーク”)にする。その後に、これらのフレークを徐々に粉砕して、所望の粒径密度を得る。場合によっては、次に、物品を篩にかけた後に、範囲外の物質を再循環させることができる。この方法を使用すると、より高いバルク密度を得ることができ、これにより、砂糖代替組成物を重量基準(weight/weight basis)でも容量基準(volume/volume basis)でも使用することが可能となる。
【0131】
粒状化はさらに、噴霧乾燥によって行うこともできる。この凝集法は、液体供給原料(即ち、溶液、エマルジョン、又は懸濁液)から凝集体を生成させるための、間違いなく適切な方法である。この方法では、完全な砂糖代替組成物の懸濁液又は溶液を調製し、その後にこれを霧化して液滴のスプレーとし、高温空気と接触させる。
【0132】
これらの方法はいずれも、本発明による凝集砂糖代替組成物を製造するのに適している。さらに、この組成物は、スクロースを凝集製品の一部として組み込む可能性をもたらし、このことは、“改良された砂糖(improved sugar)”又は部分的砂糖代替組成物を得るために要求されるであろう。砂糖を凝集製品中に組み込むことによって、スクロースの機能をはるかに超える機能を有する、改良された砂糖製品がつくり出される。しかし、この製品は設計されており、1/1の重量基準にて砂糖と完全に置き換えるのに適している。粒状化は、砂糖との1/1体積置き換えに適している砂糖代替組成物を得るのに重要である。
【0133】
本発明の粒状化製品若しくは凝集化製品をさらに圧縮して、角砂糖様の製品を、従来の角砂糖に対する代替物として形成することができる。角砂糖の典型的な用途を考慮すると、如何なるタイプのオリゴ糖成分も使用することができる。有害でないとはいえ、フルクトオリゴ糖を使用したときに観察される褐色化特性に及ぼす有益な効果は、角砂糖代替物にとってそれほど重要なことではない。これと同じことが、飲料、クリーム、アイスクリーム、ペストリークリーム、ヨーグルト、乳製品ベースのデザート、チョコレート、ジャム、又はマーマレードを含めた、幾つかの他の形態の用途に本発明の砂糖代替物を使用する場合にも言える。
【0134】
本発明の砂糖代替組成物の重要な機能特性のさらなる例は、最小限のカロリー低下(minimum calorie reduction);最小のカロリー値;低い血糖反応;凝固点の降下である。
砂糖を機能性砂糖代替組成物で置き換えることによって得られる最小限のカロリー低下は、砂糖を100%置き換えた場合には、60%であるべきである。
【0135】
砂糖代替組成物のカロリー値は、200kcal/100g(さらに詳細には150kcal/100g)を超えないのが好ましい。
以下では、本発明による砂糖代替組成物の基本的配合処方の幾つかの例を記載する。さらに、本発明の例示のために、食品調製物の幾つかの例も記載する。
【0136】
最初の4つの例では、本発明の砂糖代替組成物に対する基本的配合処方を記載する。これらの配合処方は、味、外観、質感、及びおいしさに悪影響を及ぼすことなく、重量対重量基準で(on a weight by weight basis)、例えばケーキ中の砂糖を置き換えることを可能にする。当然ながら、異なった成分の正確な量は、ある程度変えることができる。
【0137】
本発明の第1の特定態様による砂糖代替組成物に対する基本的配合処方の第1実施例においては、下記成分を混合して、1/1重量砂糖代替組成物(1/1 weight sugar replacement composition)を作製する:
【0138】
【表22】

本発明の第2の特定態様による砂糖代替組成物に対する基本的配合処方の第2実施例においては、下記の成分を混合して、1/1重量砂糖代替組成物を作製する:
【0139】
【表23】

本発明の第3の特定態様による砂糖代替組成物に対する基本的配合処方の第3実施例においては、下記の成分を混合して、1/1重量砂糖代替組成物を作製する。
【0140】
【表24】

本発明の第4の特定態様による砂糖代替組成物に対する基本的配合処方の第4実施例においては、下記の成分を混合して、1/1重量砂糖代替組成物を作製する。
【0141】
【表25】

第5実施例は、“クァトレ・クオート・ケーキ(quatre quarts cake)”に対するレシピに関するものであり、下記の成分:Mサイズの卵3個;スキムミルク22.5ml;小麦粉225g;バター140g;バニラ風味剤1.5ml;及び第3実施例の砂糖代替組成物225gが用いられる。
【0142】
卵とスキムミルクを、砂糖代替組成物と混合する。軟らかい、又はやや加熱したバターを、木べらを使用して加える。次いで小麦粉を、篩を通して、慎重に加える。全体をよくブレンドして滑らかなペーストにする。バニラ風味剤を加える。ドウ(dough)を、バターを塗りつけた長方形のパン焼き皿中に入れ、加熱オーブン中にて175℃で約60分焼く。ケーキが出来上がったならば、ナイフの刃はきれいで、乾燥した状態で出てくる筈である。ケーキをオーブンから取り出し、型から外す。自然冷却させる。
【0143】
第6実施例においては、カルシウムを補強した基本的ビスケット(“カルシウム強化クッキー”)を作製する。砂糖代替組成物中にプレバイオティックファイバーが存在することで、カルシウムの吸収性が増大する。
【0144】
“カルシウム強化クッキー”のために、下記の成分:小麦粉100g;バター100g;第1実施例の砂糖代替組成物105g;Mサイズの卵3個;バニラ風味剤1ml;及びクエン酸カルシウム4H2O 5.2gが用いられる。
【0145】
バター、第1実施例の砂糖代替組成物、及びバニラ風味剤を混合して、滑らかなドウを得る。次いで、溶き卵と篩にかけた小麦粉を加える。混合物中に多すぎる空気が入るのを避けるために、泡立てずに全組成物を混合する。ベーキングプレートに油を引き、約5cmの間隔で8cmのバー状にドウを噴出させる。予熱しておいたオーブン中にてクッキーを150〜175℃で10分焼く。焼いた後、すぐにクッキーをトレーから取り出し、焼き網上で自然冷却させる。
【0146】
第2実施例と第3実施例の砂糖代替組成物の基本的配合処方を使用することによって、殆どのレシピにおける油脂(即ちバター)の使用量を70%に(あるいはさらに50%に)減らすことができる。第5実施例においては、砂糖を使用して作製したケーキと比較して油脂を70%に減らしているが、味、外観、及び質感を犠牲にしていない。バターの代わりに油(例えば菜種油)を使用すると、油脂をさらに30%に減らすことができる。
【0147】
実施例5と実施例6の食品調製物の味、外観、及び質感等の特性は、スクロースを使用して調製された食品の特性とは区別できない。第6実施例のレシピに第3実施例の砂糖代替組成物を使用する場合、あるいは第5実施例と第6実施例のレシピに第2実施例の砂糖代替組成物を使用する場合には、同様な結果が得られる。第1実施例、第2実施例、第3実施例、及び第4実施例の砂糖代替組成物は、第5実施例のレシピにも、第6実施例のレシピにも使用できることは明らかである。
【0148】
第7実施例は、“ケーキ”に対する他のレシピに関するものであり、下記の成分:卵500g;ミルク100g;小麦粉500g;バター300g;菜種油60g;バニラ風味剤8ml;及び第3実施例の砂糖代替組成物500gが用いられる。
【0149】
オーブンを230℃に予熱する。バターを、軟化するまでクリーム状にする。卵とバニラエッセンスを手動で混合し、ミルクを加え、再び混合する。砂糖を加え、フードプロセッサー中で激しく混合する。軟らかいバターと油を混ぜ合わせて、軟かいドウを作製する。小麦粉を混ぜ入れて、充分に混合する。30gの混合物を小さなペーパー・ケーキ型(paper cake mould)中に絞り出し、金網台上に置く。オーブン中に配置したら、温度を直ちに200℃に低下させる。28分焼く。ベーキングプロセス中に温度を低下させ、最後の10分は160℃で焼く。
【0150】
このようにして調製された焼き食品(砂糖代替組成物又は同量の砂糖を含む)に、V-G Sensory(Deinze,Belgium)によって行われる消費者受入試験を受けさせた。男性50%と女性50%で構成される62人の回答者(このうち、31%が18〜35歳、35%が36〜50歳、及び34%が50歳を超える)のテイストパネル(taste panel)に対し、上記のレシピと手順にしたがって作製した砂糖組み込みケーキと砂糖代替組成物組み込みケーキの味見を依頼した。下記判定基準:パン中身の色、パン外皮の色、口当たり、及び味を評価した。
【0151】
図1は、9ポイントスコアに関して、テイストパネルによって得られた結果を示しており、このとき“1”は極めて低い品質を意味しており、“9”は極めて高い品質を意味している。カイ二乗統計的検定とコルモゴロフ-スミルノフ検定を使用して、得られた結果間の有意差を調べた。これらの検定から、パン中身の色と口当たりの両方に関して、本発明の砂糖代替組成物を使用して作製したケーキは、砂糖含有ケーキよりかなり高いスコアを得ることが結論された。この統計的評価の全体的な結論は、“砂糖を含有しないケーキのほうが砂糖含有ケーキより好ましい、という有意な傾向が存在する”ということであった。
【0152】
第8実施例は、“バタークッキー”に対する他のレシピに関するものであり、下記の成分:卵150g;小麦粉410g;殺菌バター260g;塩4g;バニラ風味剤4ml;及び第3実施例の砂糖代替組成物200gが用いられる。
【0153】
オーブンを165℃に予熱する。バターを、軟化するまでクリーム状にする。若干泡立てた卵、バニラエッセンス、及び塩をフードプロセッサー中に入れる。軟らかいバターを混ぜ合わせて、軟質のドウを作る。小麦粉と砂糖を一緒に篩にかける。小麦粉-砂糖混合物を混ぜ入れて、穏やかに混合する。油を引いていないベーキングプレート上に絞り出す。周縁が金色となり、そしてやや褐色になるまで、165℃で14分間焼く。金網台上でクッキーを冷却する。
【0154】
このようにして調製された焼き食品(砂糖代替組成物又は同量の砂糖を含む)に、V-G Sensory(Deinze,Belgium)によって行われる消費者受入試験を受けさせた。男性50%と女性50%で構成される62人の回答者(このうち、31%が18〜35歳、35%が36〜50歳、及び34%が50歳を超える)のテイストパネルに対し、上記のレシピと手順にしたがって作製した砂糖組み込みクッキーと本発明の砂糖代替組成物組み込みクッキーの味見を依頼した。下記判定基準:色、口当たり、及び味を評価した。
【0155】
図2は、9ポイントスコアに関して、テイストパネルによって得られた結果を示しており、このとき“1”は極めて低い品質を意味しており、“9”は極めて高い品質を意味している。カイ二乗統計的検定とコルモゴロフ-スミルノフ検定を使用して、得られた結果間の有意差を調べた。この統計的評価の全体的な結論は、“砂糖を含有しないクッキーのほうが砂糖含有クッキーより好ましい、という有意な傾向が存在する”とういことであった。
【0156】
本発明による砂糖代替組成物は、ジャム又はペストリークリームにおいて砂糖と完全に置き換えることができる。さらに、砂糖を置き換えることによって、これらジャムのゲル化特性が改良される。
【0157】
砂糖は、ジャム、砂糖煮(preserves)、ゼリー、ペストリークリーム、カスタード・・・のゲル化プロセスにおいて、所望のコンシステンシーと堅さを得るために必須である。このゲル化プロセスにより、フルーツジュースはファイバーのネットワークに絡み合わされる。砂糖含有ジャムを作製するには、通常はペクチンが加えられる、なぜなら、ペクチンは、フルーツ中に天然に存在する化合物であり、砂糖と酸の存在下でゲルを形成する能力を有するからである。砂糖は、ゲル化プロセス中に水を引き込んで保持するので、必須成分である。
【0158】
さらに、フルーツジャムとマーマレード中の砂糖を本発明の砂糖代替組成物で置き換えると、補足的なゲル化剤を加える必要がないという利点が得られる。砂糖を使用して作製されるジャムと比較して、ゲル化はより速やかに起こり、且つより良好な状態で留まる。
【0159】
第9実施例はジャムのゲル化に関するものであり、下記の成分:イチゴ1750g;及び第3実施例の砂糖代替組成物1312.5gが用いられる。
熟したイチゴを清浄にして、洗浄した後、これをすりつぶしてドロドロにする。イチゴをクッキングリング上に置き、イチゴが軟化して煮崩れるようになるまで、弱火で煮立てる。砂糖又は砂糖代替組成物を加え、砂糖/砂糖代替組成物が完全に溶解するまで、よく混ぜ合わせる。熱を上げて、さらに20分間沸騰させる。
【0160】
振動粘度の測定において線形粘弾性範囲(LVR)とフェーズ・アングル(phase angle)の両方を測定することによって、ゲルをつくり出すネットワークを破壊することなく、ゲル強度を正確に測定することができる。これらの試験のための方法は、Mitchell,J.R.(1980),The rheology of gels,Journal of Texture Studies,11,315-337; Stading,M.(1991),Gel structure and rheology in theory and practice - a literature review.SIK-report,553,207p;及びStanley,D.W.et al.(1996).Mechanical properties of food.In:Nollet,L.M.L.(ed.).Handbook of food analysis - volume 1:Physical characterization and nutrient analysis.New York,Marcel Dekker,93-137;に詳細に説明されている。
【0161】
図3は、Ghernt大学(Ghernt、Belgium)において行った試験の結果を示しており、砂糖含有ジャムと砂糖代替物含有ジャムのゲル強度が、冷蔵庫温度(即ち6℃)において比較されている。図4は、室温(即ち25℃)にて行った類似試験の結果を示している。本発明の砂糖代替組成物を使用して調製したジャム中に形成されるゲルは、砂糖を使用した場合より強度が高い。このことは、複素弾性率(即ちG*値)がより高いこと、及びLVRがより大きいことから導くことができる。
【0162】
ペストリークリームは、しばしば凍結させ、その後に解凍する必要がある。シェルビング(shelving)、凍結、及び解凍は、水の損失を引き起こすことがあり、この結果、砂糖を使用して作製したペストリークリームの上部に水の層が生じる。第10実施例はペストリークリームのゲル化に関するものであり、下記の成分:卵黄51g;卵50g;トウモロコシの粉80g;ミルク1,000g;バニラ抽出物4ml;及び第3実施例の砂糖代替組成物250gが用いられる。
【0163】
絶えず撹拌しながら、バニラ抽出物、卵白と卵黄、砂糖若しくは砂糖代替物、そして最後にトウモロコシの粉を低温のミルクに加える。温度を上げて沸騰させ、さらに2分間撹拌する。ペストリークリームを入れたボウルを氷浴中に置くことによって冷却する。
【0164】
本発明の砂糖代替組成物を含有するペストリークリームは、より良好な水分保持特性を有しており、したがって保存寿命がより長い。さらに、ペストリークリームのゲル化は、砂糖を使用した場合より、砂糖代替組成物を使用した場合のほうがより速やかに起こる。図5は、Ghent大学(Ghent,Belgium)において行った試験(前述)の結果を示しており、砂糖を使用して作製したペストリークリームと、砂糖を砂糖代替物で置き換えて作製したペストリークリームのゲル化挙動を比較している。
【0165】
第11実施例はホイップクリームに関するものであり、下記の成分:ポリデキストロース41.87g;耐性マルトデキストリン9.60g;フルクトオリゴ糖6.40g;イヌリン5.60g;カラゲーニン0.40g;イソマルト16.00g;スクラロース0.12g;脂肪含量40%のクリーム420g;及びバニラエッセンス4mlが用いられる。
【0166】
ホイップクリームを作製するのに、2つの異なった方法を使用した。
第1の方法においては、砂糖若しくは砂糖代替物を脂肪含量40%のクリームと混合してから、これらを溶解する。クリームと砂糖を迅速に混合しても安定なホイップクリームは得られなかった。これとは対照的に、クリームと砂糖代替物を迅速に混合すると、安定なホイップクリームが得られた。
【0167】
第2の方法においては、砂糖若しくは砂糖代替物を脂肪含量40%のクリーム中に溶解してから混合する。これにより、砂糖及び砂糖代替物の双方に対して安定なフォームが得られた。
【0168】
ホイップクリームの安定化は、「Moor & Rapaille,1982 H.Moor and A.Rapaille,Evaluation of starches and gums in pasteurized whipping cream. In:G.O.Phillips,D.J.Wedlock and P.A.Williams,Editors,Progress in food and nutrition science 6,Pergamon Press,Oxford(1982),pp.199-207」に詳細に記載された方法を使用することによって、Ghent大学(Ghent, Belgium)によって分析した。
【0169】
表17に示されているように、同じ時間にわたってホイッピングしたときに、砂糖を含有するクリームと比較して、砂糖代替物を含有するクリームのほうが、より大きい体積のフォームが得られる。
【0170】
【表26】

さらに、フォームの安定性は、12秒間後に測定したスパイラル深さによって示されるように、砂糖代替組成物を使用して作製したときの方がより高い。このパラメーターは、スパイラルがホイップクリームの表面上で離されたときに12秒間に降下する深さを表わしており、「Moor & Rapaille(1982)」によって記載されている前述の方法にしたがって、Slagsahne Prufgerat装置を使用して測定される。
【0171】
ホイップクリームの製造においては、砂糖を本発明の砂糖代替組成物で置き換えることによって、フォームの安定化と体積の両方が改良される。
第12実施例はカラメルの作製に関するものであり、下記の成分:ポリデキストロース42.365g;耐性マルトデキストリン12g;フルクトオリゴ糖8g;イヌリン7g;カラゲーニン0.5g;イソマルト20g;スクラロース0.135g;及び水100gが用いられる。
【0172】
上記組成物を調理温度に加熱する。混合物中に存在する水が完全に蒸発するまで、さらなる加熱処理を行う。それ以後は、所望する程度のカラメル化が起こるまで、150℃〜170℃の範囲の温度を保持する。砂糖又はグルコースシロップを加えずにカラメルを作製することができ、したがって、スクロース又は砂糖シロップから作製されるカラメルと比較してほぼ同等の質感と口当たりを有する、低カロリーでファイバー高含量のカラメルが得られる。
【0173】
したがって、本発明による砂糖代替組成物は、カラメルを作製するための完全な成分ミックスとして使用することができ、この場合、DP<10を有するオリゴフルクトース及び/又はフルクトオリゴ糖がカラメル化を開始させる。この反応の結果、一般的なカラメル風味が得られ、残りの成分の存在が、通常はスクロースを使用することによって得られる好ましい口当たりをもたらす。
【0174】
熱によって誘導されるカラメル化にて風味と色を生成させるには、反応を開始させるために砂糖(通常は単糖構造)が必要である、と考えられていた。しかし、SGS Belgiumによって行われた上記組成物の分析は、物品中の還元糖の量は下記の通り:フルクトース0.05%未満;グルコース0.05%未満;及びスクロース0.8%であることを示している。
【0175】
これらの数値は、カラメル化反応を開始させるには、遊離糖の量が少なすぎることを示しており、オリゴフルクトース及び/又はフルクトオリゴ糖が、この反応に対する出発物質として作用しているということが実証されている。この仮説は、熱処理によってα-1,2結合とβ-2,1結合が切断されて還元糖が生成し、次に、この還元糖をカラメル風味の典型的な成分(フラン、フラノン、ピロン、及び炭素環式化合物)に転化させることができる、というものである。マルトトリオース(α-1,4-結合グルコース)に関しても同様な熱分解が報告されており、それによれば、3-デオキシペントスロース(3-deoxypentosulose)がオリゴ糖と多糖に特異的な経路によって形成される(なぜなら、これはα-1,4-グルカンから形成されたので)ことが示されている(Hollnagel & Kroh,2002,25 Journal of Agricultural and Food Chemistry,50(6),1659-1664)。しかし、β-2,1-フルクタンの分解に対する類似の経路は報告されていない。
【0176】
したがって、この用途のために、オリゴフルクトース及び/又はフルクトオリゴ糖の重合度が最も重要であり、10より低くなければならず、好ましくは8より低く、そしてさらに好ましくは3〜5であるべきである。10より高いDPを有するフルクタンは、カラメル化反応を開始させるのに適していない、これらが10%までの単糖類や二糖類による汚染を含有しているときでも適していない。
【0177】
第13実施例は“バタースコッチ”カラメルの作製に関するものであり、第12実施例の場合と同じ成分が使用されるが、この場合には、水を100gのクリーム(脂肪含量40%)で置き換える。さらに、少量(例えば約5g)のバターを加える。
【0178】
チョコレートの場合、砂糖の置き換えは困難なしごとである、なぜなら、これら脂肪-砂糖系における滑らかな口当たり、特有の質感、及び風味は、スクロースを加えることなしに模倣するのが困難だからである。第14実施例はチョコレートに関するものであり、下記の成分:ポリデキストロース18.33g;耐性マルトデキストリン4.20g;フルクトオリゴ糖2.80g;イヌリン2.45g;カラゲーニン0.18g;イソマルト7.00g;スクラロース0.05g;カカオバター10g;及びカカオバターを55%含有するカカオマス55gが用いられる。
【0179】
第15実施例はチョコレートに関するものであり、下記の成分:ポリデキストロース20.42g;耐性マルトデキストリン4.68g;フルクトオリゴ糖3.12g;イヌリン2.73g;カラゲーニン0.20g;イソマルト7.80g;スクラロース0.05g;カカオバター22g;及びカカオバターを55%含有するカカオマス39gが用いられる。
【0180】
第14実施例と第15実施例のように、砂糖を本発明による砂糖代替組成物で置き換えると、改良された特性を有する理想的なチョコレートが得られ、これは、こうした汎用の砂糖代替組成物がもつ特異的な組成によるものである。
【0181】
第16実施例は、ある量のスクロースをまだ含有する部分的砂糖代替組成物に関する。
本発明の砂糖代替組成物(特に、基本的配合処方の前記実施例の1つによる砂糖代替組成物)は、砂糖と組み合わせて使用することができる。部分的砂糖代替組成物は、本発明の砂糖代替組成物と砂糖とを混合することによって得られる。したがって、本発明の砂糖代替組成物は、該部分的砂糖代替組成物の重量を100%とするときに、例えば最大で10%以上の濃度にて砂糖に加えられる。したがって、本発明による砂糖代替組成物は、砂糖を部分的に置き換えるために、即ち、砂糖“改良物(improver)”(砂糖の10%までを置き換える)から完全な砂糖“代替物(replacer)”(砂糖の100%までを置き換える)の範囲で用いることができる。
【0182】
この点において、本発明によれば、砂糖代替組成物の弱い甘味料を、部分的砂糖代替組成物が得られるように砂糖で置き換えることも可能である。この部分的砂糖代替組成物の強い甘味料の量は、スクロースの甘さとほぼ同等の甘さが得られるように適合させなければならない。
【0183】
この結果、砂糖に対して機能的に改良された砂糖含有組成物が得られる。
それ故、第17実施例は、パイロット規模のレベルにて、オーバーランを制御して作製した高級アイスクリームに関する。実証実験は、英国レディングのリンテック社(LinTech)(Reading Scientific Services Limited)にて行った。パイロットプラント規模の砂糖又は本発明の砂糖代替組成物を含有した配合物の50kgバッチを、オーバーランを制御して、製造すべく、実証実験を行った。下記の表は、2タイプのアイスクリームの配合処方を示している。
【0184】
【表27】

使用した機能性砂糖代替物の組成は下記の表に示すとおりであるが、理解しておかねばならないことは、添付した特許請求の範囲の範囲内に含まれる別の砂糖代替組成物も使用することができる、という点である。
【0185】
【表28】

凍結プロセス中に、オーバーラン(over-run)は500〜600g/リットルに制御された。アイスクリームに対して、官能検査、融解速度試験、及びサイクル試験を含めた種々の評価を行った。
【0186】
官能検査のコメントは、全てのアイスクリームをフリーザーから取り出し、15分間自然加温した後に行った。官能検査は、サンプルをコード化したいう意味で、ブラインドで行った。物品は、リンテック社からの7〜9人の回答者パネルによって評価した。彼らは、各アイスクリームのランダムにコード化されたサンプルが与えられ、選定された属性に関してコメントを求められた。
【0187】
試験アイスクリームと対照アイスクリームは、全ての点において極めて類似していると判定された。外見においては、試験アイスクリームのほうが、対照アイスクリームよりやや白いことが認められた。どちらのサンプルも、クリーミーで、甘いバニラ風味を有すると評価された。口当たりに関しては、どちらのサンプルも、滑らかでクリーミーな質感を有すると評価された。
【0188】
融解速度試験: この試験の原理は、種々のアイスクリームがいかに速やかに融解するかを観察することにある。この試験は、既知重量のアイスクリームを金網上に置き、設定された時間にわたって、金網を通して融解するアイスクリームの重量を計量することによって行った。
【0189】
スクロースを含有する対照アイスクリームは、試験アイスクリームより迅速な速度で融解することが分かった。
試験サンプルと対照サンプルの双方に関して、360分間後に残っていたアイスクリームは温かく、ムース状の質感であった。360分間後においては、下記パーセントのアイスクリームが融解した:対照サンプル18.7%、試験サンプル12.4%。
【0190】
サイクル試験はそれぞれのサンプルに対して行った。3日間にわたって、サンプルをフリーザーから取り出し、タブ(tubs)上にて蓋をせずに室温で30分間放置し、次いでサンプルをフリーザー中に戻し、次の日も同じプロセスを繰り返した。4日目に、フリーザーから該タブを取り出し、サイクル処理しなかったサンプルに対照して評価した。
【0191】
サイクル処理したサンプルとサイクル処理しなかったサンプルとの間には若干の差が認められたが、2種のアイスクリームのいずれかが劇的に変化したという感じはしなかった。物品は全て受入可能であると感じられ、対照サンプルと試験サンプルに双方に対して、類似の観察結果が得られた。
【0192】
本発明の砂糖代替物を含有するか、又は本発明の砂糖代替物を使用して製造した食品に付与される構造特性と優れたレオロジー特性のために、完全脂肪分食品(full-fat food product)の満足できる構造特性、レオロジー特性、及び/又は官能特性を保持しながら、食品の脂肪含量を減ずるために、これらの製品を使用することもできる。本発明のこの実施態様の典型的な用途は、低脂肪分アイスクリーム、低脂肪分クッキー、低脂肪分チョコレート、低脂肪分ケーキ、及び低脂肪分チョコレートスプレッドである。
【0193】
アイスクリームの製造においては、例えば、本発明の砂糖代替物を使用して製造すると、アイスクリームのクリーミーな口当たりを失うことなく脂肪含量を50%だけ減らすことが可能である。したがって、該機能性砂糖代替物は、全砂糖の置き換えを可能にするのみでなく、特定のレシピ中の脂肪を部分的に減ずることも可能にする。
【0194】
脂肪含量を50%だけ少なくしたアイスクリームレシピの例を下記の表に示す:
【0195】
【表29】

該機能性砂糖代替物は、前述の実施例に記載のように構成されるのが理想的である。
【0196】
砂糖を、例えば上記第3実施例に記載した配合処方で置き換えると、グルコースとは対照的に、血糖レベルの低下が起こる。得られた血糖反応値は、英国レディングの、Reading Scientific Services Limited(RSSL)によって測定し、認定されたものであり、図6に示す。チャートは、グルコースと比較したときの、砂糖代替物の異なったプロフィールを明確に示している。グルコース25gと比較して、該砂糖代替物25gの消費された後に観察される血糖の上昇は27%±8であった。
【0197】
興味あることに、砂糖代替組成物は、水中に溶解したときには、スクロースと同等の凝固点降下を有する。この特徴は、砂糖代替組成物を冷凍食品(例えば、アイスクリームやシャーベット)中に使用する場合に好ましい。脱イオン水、砂糖代替組成物を含有する脱イオン水、及び砂糖を含有する脱イオン水の凝固点を、1℃/分の冷却速度にて2つの別個の実験での示差走査熱量測定法(DSC)によって測定した。図7と表18は、これらの実験の結果を示している。凝固点が統計学的に比較されている。砂糖代替組成物の脱イオン水溶液の凝固点と、砂糖の脱イオン水溶液の凝固点との間に、T検定による有意差は観察されない。
【0198】
【表30】

【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルキングファイバー組成物と甘味料組成物とを含んだ砂糖代替組成物であって、このときに、前記バルキングファイバー組成物が、ポリデキストロース、イヌリン、オリゴフルクトース及び耐性マルトデキストリンから成る群から選択される少なくとも1種類の成分を含み、そして前記甘味料組成物が、該砂糖代替組成物に砂糖の甘味にほぼ等しい甘味を与えるために充分な量で強い甘味料を含む砂糖代替組成物。
【請求項2】
砂糖に対して1/1の重量置き換えに適した、請求項1に記載の砂糖代替組成物。
【請求項3】
砂糖に対して1/1の容量置き換えに適した、請求項1又は2に記載の砂糖代替組成物。
【請求項4】
該バルキングファイバー組成物の少なくとも1つの成分がプレバイオティックである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項5】
該バルキングファイバー組成物の少なくとも1つの成分が、主としてグルコース単位から構成されており、該バルキングファイバー組成物の少なくとも1つの成分が、主としてフルクトース単位で構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項6】
前記バルキングファイバー組成物が、砂糖代替組成物の総重量を基準にして30〜60重量%の、好ましくは40〜55重量%のポリデキストロース、砂糖代替組成物の総重量を基準にして0〜25重量%、好ましくは5〜15重量%のイヌリン、そして砂糖代替組成物の総重量を基準にして0〜40重量%、好ましくは5〜25重量%の耐性マルトデキストリンを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項7】
前記バルキングファイバー組成物が、砂糖代替組成物の総重量を基準にして5〜30重量%の、好ましくは5〜10重量%のオリゴフルクトースと、砂糖代替組成物の総重量を基準にして0〜40重量%の、好ましくは5〜25重量%の耐性マルトデキストリンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項8】
前記オリゴ糖が、イヌリンの酵素的分解によって、或いはスクロース上にて培養されたアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)のβ-フルクトシダーゼによるトランスフルクトシレーションによって得られるオリゴフルクトースを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項9】
前記バルキングファイバー組成物が、3〜5のDPを有するフルクトオリゴ糖を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項10】
前記バルキングファイバー組成物が、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、30〜60重量%の、好ましくは40〜55重量%のポリデキストロース、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、25重量%までの、好ましくは5〜15重量%のイヌリン、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、5〜30重量%の、好ましくは5〜10重量%のオリゴフルクトース、及び砂糖代替組成物の総重量を基準にして、20重量%までの、好ましくは10〜15重量%の耐性マルトデキストリンを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項11】
前記バルキングファイバー組成物が、3〜8の、好ましくは3〜5の、オリゴ糖の平均重合度を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項12】
前記バルキングファイバー組成物が、10〜20の、好ましくは10〜15の、多糖の平均重合度を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項13】
前記バルキングファイバー組成物が、0.01〜10重量%の、好ましくは0.05〜3重量%の、不溶性で、非選択性で、非消化性の多糖を含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項14】
前記の不溶性で、非選択性で、非消化性の多糖が、セルロース、ヘミセルロース、穀物繊維、小麦繊維、オート麦繊維、リンゴ繊維、オレンジ繊維、トマト繊維から成る群から選択されるか、又はこれらの組み合わせ物であり、選択される非消化性多糖のそれぞれが、約0.05〜3重量%の、好ましくは0.2〜2重量%の量にて存在し、砂糖代替組成物の重量が100重量%を示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項15】
前記の不溶性で、非選択性で、非消化性の多糖が約2重量%の小麦繊維を含んでいて、砂糖代替組成物の総量が100重量%であり、前記小麦繊維が20〜80μmの、好ましくは約30μmの平均長さを有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項16】
前記バルキングファイバー組成物が、0.01〜10重量%の、好ましくは0.05〜3重量%の、可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖を含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項17】
前記の可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖が、キサン、タラ、カラゲーニン、トラガカント、ローカストビーンガム、寒天、グアールガム、アラビアガム若しくは他の任意のアラビノガラクタンタイプの多糖、カルボキシメチルセルロース、ペクチン及び可溶性オート麦繊維から成る群から選択されるか、又はこれらの組み合わせ物であり、選択される非消化性多糖のそれぞれが、約0.05〜3重量%の、好ましくは0.2〜2重量%の量にて存在し、砂糖代替組成物の重量が100重量%を示す、請求項1〜16のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項18】
前記の可溶性で、非選択性で、非消化性の多糖が、カラマツアラビノガラクタンである、請求項16に記載の砂糖代替組成物。
【請求項19】
β−シクロデキストリンが0.01〜10重量%の、好ましくは0.05〜5重量%の量にて存在する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項20】
β−シクロデキストリンがカラマツアラビノガラクタンと共に存在し、そしてこれらの成分のおのおのが0.01〜6重量%の、好ましくは0.05〜4重量%の量にて存在する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項21】
カラゲーニンが約0.05〜2重量%の、好ましくは0.2〜1重量%の量にて存在し、砂糖代替組成物の重量が100重量%を示す、請求項1〜20のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項22】
前記甘味料組成物が低強度の甘味料を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項23】
前記甘味料組成物が10〜40重量%の、好ましくは10〜30重量%の低強度の甘味料を含み、砂糖代替組成物の総量が100重量%である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項24】
該低強度の甘味料が、マルチトール、イソマルト、ラクチトール、エリスリトール、ポリオール、ポリグリシトールシロップ若しくはポリグリシトール粉末、水素化澱粉加水分解物(ポリグリシトールシロップ)、及び/又はグリセリンから成る群から選択されるか、又はこれらの組み合わせ物である、請求項23に記載の砂糖代替組成物。
【請求項25】
前記甘味料組成物がタガトースを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項26】
前記甘味料組成物がタガトースを、砂糖代替組成物の総重量を基準にして、0重量%より多くて50重量%以下の、好ましくは0.1〜25重量%の、より好ましくは0.5〜15重量%の、最も好ましくは0.8〜5重量%の相対量で含む、請求項25に記載の砂糖代替組成物。
【請求項27】
高強度の甘味料が、アセスルファムK、ネオヘスペリジンDC、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン、スクラロース、アリテーム、ソーマチン、チクロ、グリシルリジン、ステビオサイド/ステビア抽出物から成る群から選択されるか、又はこれらの組み合わせ物である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項28】
高強度の甘味料が、0.10〜0.20重量%の、好ましくは約0.15重量%のスクラロースを含み、砂糖代替組成物の重量が100重量%を示す、請求項27に記載の砂糖代替組成物。
【請求項29】
高強度の甘味料が、アセスルファムKとネオヘスペリジンDCを、アセスルファムK対ネオヘスペリジンDCが9.5〜11.5の比にて、好ましくは10.0〜11.0の比にて含む、請求項27に記載の砂糖代替組成物。
【請求項30】
高強度の甘味料が、0.1〜0.3重量%のアセスルファムKと0.01〜0.03重量%のネオヘスペリジンDCを含み、砂糖代替組成物の重量が100重量%を示す、請求項29に記載の砂糖代替組成物。
【請求項31】
高強度の甘味料が、約0.15重量%のアセスルファムKと約0.015重量%のネオヘスペリジンDCを含み、砂糖代替組成物の重量が100重量%を示す、請求項30に記載の砂糖代替組成物。
【請求項32】
高強度の甘味料が、グルコノ-δ-ラクトンを、好ましくは0.10〜0.20重量%の量にて含み、砂糖代替組成物の重量が100重量%を示す、請求項27〜31のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項33】
前記バルキングファイバー組成物が、45〜55重量%の、好ましくは約50重量%のポリデキストロース、及び約20重量%のオリゴフルクトースを含み、前記甘味料組成物が約30重量%のマルチトールを含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項34】
前記甘味料組成物が、最大で約20重量%のイソマルトを含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項35】
前記バルキングファイバー組成物が、45〜55重量%の、好ましくは約50重量%のポリデキストロース、約7重量%のイヌリン、約8重量%のオリゴフルクトース、及び約12重量%の耐性マルトデキストリンを含み、前記甘味料組成物が約20重量%のイソマルトを含み、このとき砂糖代替組成物の総量が100重量%である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項36】
前記バルキングファイバー組成物が、約50重量%が11未満のDPを有する耐性マルトデキストリンを含み、このとき耐性マルトデキストリンの総量が100重量%である、請求項1〜35のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項37】
SiO2を、前記砂糖代替組成物のケーキングを防ぐのに有効な量にてさらに含む、請求項1〜36のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項38】
SiO2が、0.1〜0.5重量%の、好ましくは約0.25重量%の量にて存在し、砂糖代替組成物の重量が100重量%を示す、請求項37に記載の砂糖代替組成物。
【請求項39】
カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、ビタミンC、ビタミンB、ビタミンA、ビタミンK、ビタミンE、セレン、鉄、亜鉛、又はこれらの組み合わせ物から成る群から選択される成分をさらに含む、請求項1〜38のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項40】
プロバイオティック微生物をさらに含む、請求項1〜39のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項41】
粒状化されている、請求項1〜40のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項42】
ポリオール及び/又はポリデキストロースを溶解する水を加えることによって粒状化される、請求項1〜41のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項43】
液体噴霧、プレスアグロメレーション、及び/又は噴霧乾燥によって粒状化される、請求項1〜42のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項44】
砂糖との混合物で使用され、総混合物が100重量%であるときに、該砂糖が好ましくは10重量%までの量である、請求項1〜43のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物。
【請求項45】
請求項1〜44のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物を含有するか、請求項1〜44のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物を使用して作製した食品調製物。
【請求項46】
液体噴霧、プレスアグロメレーション、及び/又は噴霧乾燥によって粒状化する工程を含む、請求項1〜44のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物の製造方法。
【請求項47】
請求項1〜44のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物を使用することを含む、食品調製物の製造方法。
【請求項48】
飲料、クリーム、アイスクリーム、ペストリークリーム、ヨーグルト、乳製品をベースとするデザート、チョコレート、ジャム、綿菓子又はマーマレードを製造するための、請求項1〜44のいずれか1項に記載の、好ましくは請求項6に記載の砂糖代替組成物の使用。
【請求項49】
角砂糖の代替品として使用するための圧縮製品を製造するための、請求項1〜44のいずれか1項に記載の、好ましくは請求項6に記載の砂糖代替組成物の使用。
【請求項50】
請求項1〜44のいずれか1項に記載の、好ましくは請求項6に記載の砂糖代替組成物を含有するか、又は請求項1〜44のいずれか1項に記載の、好ましくは請求項6に記載の砂糖代替組成物を使用して得られる飲料、クリーム、アイスクリーム、ペストリークリーム、ヨーグルト、乳製品をベースとするデザート、チョコレート、ジャム、綿菓子又はマーマレード。
【請求項51】
ファイバー代替組成物の総重量を基準にして、30〜60重量%の、好ましくは40〜55重量%のポリデキストロース、ファイバー代替組成物の総重量を基準にして、0〜25重量%の、好ましくは5〜15重量%のイヌリン、及びファイバー代替組成物の総重量を基準にして、0〜40重量%の、好ましくは5〜25重量%の耐性マルトデキストリンを含むファイバー組成物。
【請求項52】
液体食品、粘性食品、又は軟質食品のレオロジー特性及び/又は構造特性を改良するための、請求項51に記載のファイバー組成物の使用。
【請求項53】
請求項51に記載のファイバー組成物を含有するか、又は請求項51に記載のファイバー組成物を使用して得られる食品。
【請求項54】
脂肪分を少なくした食品の製造における、請求項1〜44のいずれか1項に記載の砂糖代替組成物、又は請求項51に記載のファイバー組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−526530(P2009−526530A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554626(P2008−554626)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000928
【国際公開番号】WO2007/093293
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(507046613)スウィートウェル・ナムローゼ・フェンノートシャップ (2)
【Fターム(参考)】