説明

欠陥修正装置および欠陥修正方法

【課題】欠陥修正工程の作業効率を著しく向上させ、装置コストや工数比を低減させる。
【解決手段】繰り返しパターンが形成された基板を検査し、前記繰り返しパターン内の欠陥の位置情報および前記欠陥の特徴情報を抽出する欠陥検出部と、複数の欠陥修正手法が登録されたデータベースを備える。また、前記基板の欠陥を指定された欠陥修正手法により修正する欠陥修正部を備える。さらに、前記欠陥検出部で検出された欠陥に対応する欠陥修正手法を、前記基板のレイヤ構造に基づいて前記データベースから読み出し、当該欠陥修正手法を利用して前記欠陥の修正を実行する前記欠陥修正部を制御する制御部と、を備えることを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置の製造工程で行われる欠陥修正の技術に関する。特にフラットパネルディスプレイ(FPD;Flat Panel Display)のTFT(Thin Film Transistor)基板等の基板上に形成されたデバイスパターンや配線パターンにおける欠陥を修正するのに好適な欠陥修正装置及び欠陥修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ディスプレイ装置として、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや液晶ディスプレイなどの所謂フラットパネルディスプレイが普及している。これらのディスプレイ装置は、薄膜トランジスタ(TFT)やキャパシタなどの素子、及びこれらの素子に電気的に連結された複数の配線(例えば信号配線や電位供給配線)などの様々な導電部材を含む配線基板によって構成される。
【0003】
このディスプレイ装置を構成する配線基板の量産においては、例えば異物の存在によって、本来互いに離れて設けられる配線や素子が電気的に連結された短絡や、本来連続的に設けられる配線や素子が内部で互いに分離された断線などの、所謂欠陥が生じることがある。量産時の欠陥の発生は、ディスプレイ装置が大型化するにつれ、その駆動用の配線基板となるTFT基板に生じる欠陥箇所が増加して歩留まりの低下を招くため、欠陥箇所を修正(リペア)する欠陥修正工程が必須となっている。
【0004】
このような短絡や断線などの欠陥に対する修正手法としては、例えばレーザ光照射による短絡箇所の切断を行う手法(レーザリペア)の他、レーザCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法による断線箇所の結線などが挙げられる。
【0005】
例えば、欠陥の座標と基板のCIM(Computer Integrated Manufacturing)情報に基づいて、欠陥修正手法を照合・選択し、自動でこれらの欠陥の修正を行う欠陥修正方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、本出願人より、基板上の単位画素(配線部)を複数の領域に区分し、領域ごとに適切な修正手法を選択して欠陥を修正する欠陥修正方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−221974号公報
【特許文献2】特開2008−159930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載のように、単純に欠陥画像(被検査画像)と基準パターン画像(参照画像)との差画像を欠陥範囲として修正を行った場合、その欠陥の位置や種類、基板の欠陥が存在する箇所の状態等を把握していないと修正に失敗する可能性がある。欠陥修正手法の選定や欠陥に照射するレーザ光のパルス周期、レーザパワー、レーザ光のスポット形状や発振時間等の各パラメータの選定を作業員のスキルや経験に頼っており、それによってその選定結果が異なってくるからである。
【0008】
ディスプレイ用のTFT基板などの場合には、各画素に対応する配線部内に、信号配線や走査配線のみならず複数の電位供給配線が存在するため、画素内の配線密度の増大化や画素構造の複雑化が著しい。
例えば、同一の配線に接して生じている欠陥や、配線部内で略同位置に生じている欠陥等の修正においても、周囲に位置している部材の種類や有無に応じてそれぞれ異なる欠陥修正手法を選定することが必要となる。また、例えば、レーザ光照射による短絡箇所の切断を検討する場合、熱拡散によって周囲の薄膜トランジスタ(TFT)等に変質が生じることを回避する必要がある。
特に、有機ELディスプレイのように配線部(画素)を構成する配線の種類や配置が複雑な場合とか、配線の両端に電源が接続されている電位供給配線などの両側駆動の配線が他の片側駆動配線と混在して配線部を構成している場合などが該当する。このような場合には、欠陥に対する修正手法の選択肢が極端に増大し、これに伴って適切な修正手法を選びとることも困難となる。
【0009】
このようにフラットパネルディスプレイのパネル製造においては、欠陥の発生態様とこれに対する修正手法(修正手順)の選択肢が著しく増加している。1つの欠陥の修正を行うために複数箇所にレーザ光照射を行う必要性が生じると、レーザ光照射条件(レーザ加工パラメータ)の設定に手間と時間がかかり作業効率が低下する。
【0010】
しかして、パネル製造ラインの欠陥修正工程では、熟練のオペレータがその場で欠陥を確認して欠陥修正手法を決定し、レーザリペア等の欠陥修正作業を行うため、タクトタイムがかかりすぎたりする。そのため、欠陥修正工程の作業速度がライン全体の量産速度に追いついていないという問題が生じる。
【0011】
多くのパネル製造工場では、複数台の欠陥修正装置(リペア機)を購入し、各欠陥修正装置を担当するオペレータを増員することで、このような問題を回避している。
【0012】
しかしながら、このような回避方法を採用した場合、欠陥修正装置や作業者数の著しい増加により、装置コストや作業者の工数費が膨らみ、利益が著しく低下するという深刻な問題が発生する。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、欠陥修正工程の作業効率を著しく向上させつつ、欠陥修正の品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の一側面は、繰り返しパターンが形成された基板を検査し、前記繰り返しパターン内の欠陥の位置情報および前記欠陥の特徴情報を抽出する。次に、検出された欠陥に対応する欠陥修正手法を、前記基板のレイヤ構造に基づいてデータベースから読み出す。そして、読み出された欠陥修正手法を利用して前記欠陥の修正を実行する欠陥修正部を制御する。
具体的には、制御部は、実際の欠陥の領域情報(第1領域情報)の構成要素と、予め登録された繰り返しパターン内の欠陥に該当する領域情報(第2領域情報)の構成要素と、を比較し、比較結果に基づいて前記データベースから前記欠陥修正手法を読み出す。
【0015】
本発明の一側面においては、基板から繰り返しパターン内の欠陥の位置情報および前記欠陥の特徴情報を検出し、検出した欠陥に対応する欠陥修正手法(テンプレート)を、当該基板のレイヤ構造に基づいてデータベースから自動的に読み出す。そして、読み出した欠陥修正手法に基づいて欠陥を修正する。これにより、繰り返しパターンが形成された基板の層構造を反映した適切な欠陥修正手法が自動で選定されるとともに、選定された欠陥修正手法による欠陥修正が実行される。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、繰り返しパターンが形成された基板の層構造を反映した適切な欠陥修正手法が自動的に選定されるので、欠陥修正工程の作業効率が著しく向上する。また、上記基板の層構造を反映した適切な欠陥修正手法の選定および欠陥修正の実行が自動的に行われるので、装置コストや工数比を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記項目に従って順に行うとする。
1.第1の実施の形態
2.変形例
【0018】
<1.第1の実施の形態>
[概要]
本実施の形態では、目的とする配線基板がディスプレイ装置を構成する場合について、つまりTFT基板等からなる配線基板を構成する多数の配線部をディスプレイ装置の画素に対応して2次元マトリクス状に多数形成する場合について、説明を行う。
【0019】
図1は、本発明において修正対象とするフラットパネルディスプレイの製造過程における基板の例を示すものである。
この例では、共通の基板3に4台分のフラットパネルディスプレイの配線基板1が形成されている。配線基板1は、後述する繰り返しパターンを有するエリア(繰り返しパターン区域6、図2参照)、配線5を介して繰り返しパターンから外部へ接続する周辺回路4のエリア(周辺回路区域)、繰り返しパターン区域6と周辺回路区域の境となる最外周のエリア(最外周区域)に分けられる。繰り返しパターン区域6と最外周区域は、配線部2をフラットパネルディスプレイの画素に対応して2次元マトリクス状に形成したものである。繰り返しパターン区域6は、図2に示すように、配線部2が繰り返し形成された領域のうちの最外周区域を除いた部分である。
【0020】
図3は、フラットパネルディスプレイの配線基板の製造工程、すなわち配線パターン形成工程から、欠陥検査工程を経て、欠陥修正工程までの流れを示している。
本実施の形態においては、まず、基板3上に、走査配線と、層間絶縁膜と、信号配線及び電位供給配線とを、目的とする配線部2の主要構成として積層形成することによって、配線部形成工程を実施する(ステップS1,S2,S3)。また、周辺回路4及び配線5を形成して、周辺回路4と最外周区域の配線部2を接続する。この周辺回路4と配線5の形成工程は、上記ステップS1〜S3における走査配線、層間絶縁膜、信号配線及び電位供給線を形成する工程の前後いずれでもよい。
【0021】
続いて、配線部形成工程を経て流れてくる基板3に対し、多数の配線部2を光学的に観察して欠陥配線部2aを検出する光学式検査工程を実施する(ステップS4)。欠陥配線部2aを検出すると、基板3における当該欠陥配線部2aの位置情報が欠陥修正装置のコンピュータ(制御部)に送られる。この光学式検査工程においては、図1に示した欠陥配線部2aを含む画像(欠陥画像)から、欠陥配線部2aの存在のみならず、欠陥(パターン欠陥、異物など)及びその位置をはじめとする所謂パターン欠陥分類情報を特定する。その他、欠陥のサイズや種類(材料や状態など)等の特徴をも特定する。
【0022】
また、光学式検査工程では発見できない、表面以外に生じた欠陥を電気式検査工程により検出する(ステップS5)。
【0023】
そして、欠陥修正工程では、当該欠陥位置情報を読み込むことにより、欠陥修正装置のステージが制御されて欠陥位置に移動し、観察系で欠陥を確認し、レーザ照射等により欠陥を修正する(ステップS6)。基板3の配線基板1に発生した欠陥は、それぞれのエリアで適切な修正方法は異なってくる。この工程が終了すると、TFT工程(配線基板の製造工程)が完了する。
【0024】
本発明では、過去の修正データを呼び出せることで修正工程を大幅に効率化できる。さらに、欠陥位置に見合った適切な修正データが選択されることで欠陥の修正工程の自動化が可能となる。
【0025】
図4は、図3に示した欠陥検査工程から欠陥修正工程までの具体的な流れを示したものである。
配線部形成工程を経た基板3を、光学式検査機11に移動し(第1工程)、光学式検査を実施して欠陥の特定を行い、検査結果21を欠陥情報管理システム12に出力する(第2工程)。また、基板3を電気式検査機13に移動し(第3工程)、電気式検査を実施して欠陥の特定を行い、検査結果22を欠陥情報管理システム12に出力する(第4工程)。欠陥情報管理システム12は、いずれかもしくは両方の欠陥情報を関連付けた欠陥情報を生成し(第5工程)、欠陥情報ファイル24としてメモリに記録する。一方、電気式検査機13からリペア機14へ基板3が移動する(第6工程)とともに、リペア機14は欠陥情報ファイル24を欠陥情報管理システム12から受け取る。
【0026】
リペア機14は、欠陥情報ファイル24の内容に基づいて自動的に適切なリペア手法(欠陥修正手法:テンプレート)を選択してリペアを行い、リペア結果25(データファイル、リペア後の画像等)を再度欠陥情報管理システム12へ出力する(第7工程)。このとき、基板3とともに受け取る欠陥情報ファイル24には、基板の層構造の情報も含まれる。
【0027】
その後必要であれば、基板3を電気式検査機13へ移動し(第8工程)、電気式検査でリペア後の欠陥の状態を再チェックし、必要であれば再度欠陥情報を欠陥情報管理システム12へ出力する(第9工程)。そして、欠陥情報を欠陥情報管理システム12経由でリペア機14に送るとともに、基板3をリペア機14に移動させ(第10工程)、再度リペアを行うことも可能である。
【0028】
本発明では、予め登録されている過去の欠陥修正手法(欠陥修正手順)のデータファイル(テンプレート)を呼び出せるようにしたことで欠陥修正工程を大幅に効率化できる。さらに、欠陥の位置、サイズ、種類等を検出して、適切な修正データが選択されることで欠陥の修正工程の自動化が可能となるものである。
【0029】
[欠陥修正装置の構成例]
図5に、配線基板に対して欠陥修正工程を実行する欠陥修正装置(リペア機14に相当)の一例の構成図を示す。
本実施の形態に係る欠陥修正装置200は、レーザ光照射により短絡箇所を切断する所謂レーザリペア装置の例であるが、レーザCVD法などの配線の結線処理を行える装置(例えば、特開2008−159930号公報の図5を参照)に適用することも可能である。この欠陥修正装置200は、対物レンズ208と基板3との間にレーザCVD法を実施できる加工装置を備えており、それについては同公開公報の図5,図6とその説明文に詳細な構成が記載されている。
【0030】
欠陥修正装置200は大きく、制御部201、欠陥修正部202および欠陥検出部203から構成されている。
【0031】
制御部201は、欠陥情報管理システム400と通信インタフェース(図示略)等を介して接続するとともに、ディスプレイ227およびキーボード等の入力装置228と接続している。制御部201は、予め欠陥検査装置300によって行われた欠陥検査の結果(欠陥情報)を、欠陥情報管理システム12を介して取得し、該欠陥情報に基づいて、欠陥の修正を実施する欠陥修正部202および欠陥の詳細な観察を実施する欠陥検出部203を制御する。この制御部201には、MPU(Micro Processing Unit)やパーソナルコンピュータ等のコンピュータ(演算処理装置)が適用できる。
【0032】
制御部201では、欠陥修正部202のステージ制御部207にコマンドを送り、基板3が搭載されたXYステージ205を動かし、欠陥箇所が存在する画素が対物レンズ208の真下になるように調整する。次にフォーカスステージ210を動かして対物レンズ208と基板3の間隔を調整し、欠陥検出部203の撮像装置217で光学レンズ214gを透過した光の合焦点画像が撮像できるようにする。なお、ここではハーフミラー215a,215b、光学レンズ214a、及びランプ209による落射照明により、適切な明るさを持つ画像が得られるようにしている。撮像された欠陥箇所が含まれる画像(欠陥画像)は、欠陥画像メモリ218に一旦保存される。ここでいう画素は、図1に示した欠陥配線部2aに相当する。
【0033】
次に、制御部201は、ステージ制御部207にコマンドを送ってXYステージ205を動かし、欠陥箇所の画素と全く同じ画素パターンとなる位置まで移動した位置が対物レンズ208の真下になるようにする。そして、欠陥の無い画像(参照画像)を撮像し、参照画像メモリ219に保存する。ここでいう画素は、図1に示した配線部2に相当する。
【0034】
欠陥抽出部(欠陥検出部)220は、欠陥画像メモリ218に保存された欠陥画像と、参照画像メモリ219に保存された参照画像とを位置合わせした後に差画像を生成することで、欠陥部位の画像を抽出する。そして、抽出した欠陥部位の画像を詳細位置情報抽出部221及び特徴抽出部222に出力する。
【0035】
詳細位置情報抽出部221は、抽出された欠陥の基板3上における正確な位置をXYステージ205の現在位置及び欠陥画像から算出し、その情報を修正方法生成部226に送る。
【0036】
特徴抽出部222は、欠陥抽出部220で抽出された欠陥の形態及び種類等を特定するための情報である欠陥の色、大きさ、コントラスト、形状等の各種特徴情報を数値化して制御部201へ出力する。
【0037】
そして制御部201は、詳細位置情報抽出部221及び特徴抽出部222から取得した詳細位置情報および特徴情報に基づいて、詳細を後述する欠陥修正情報(リペアレシピ情報)を修正手法データベース225から読み出す。この欠陥修正情報によって、欠陥修正部202の修正機構部204における各ユニットの動作が規定される。
具体的には、例えば詳細位置情報抽出部221からの詳細位置情報に基づいて、欠陥箇所が配線基板のどの位置および状態で存在し、かつ、どのようなレイヤ情報を含むかを判定し、欠陥位置に適した欠陥修正処理が実施されるような制御を実行する。
【0038】
さらに、制御部201は、詳細は後述するように、生成した欠陥修正情報に基づく修正手法(テンプレート)を、欠陥画像と重ね合わせてディスプレイ227に表示する。なお、制御部201は、状況に応じて位置や特徴等の欠陥情報に基づき欠陥修正情報のリペアオブジェクトの一部を補正することができる。また、一つの欠陥修正情報には複数の修正手法が含まれることもある。
【0039】
作業員はディスプレイ227に表示された修正手法を見て問題があると判断すれば、例えばキーボートやマウス等の入力装置228(入力部)を操作して別の修正手法を選択することもできるし、修正手法(欠陥修正情報)の一部又は全部を変更することもできる。更に修正方法生成部226にて修正手法データベース225から複数の欠陥修正手法が読み出された場合、その複数の欠陥修正手法をディスプレイ227に表示して作業員に選択を促す。そして、作業員が入力装置228を操作することにより選択された欠陥修正手法に従い、欠陥修正を行う。
【0040】
制御部201は、入力装置228から入力された操作信号を受信すると、欠陥修正手法の選択や変更の履歴を、修正手法データベース225に記録する。修正手法データベース225に蓄積された修正手法は、次回以降の欠陥修正に利用される。
【0041】
欠陥修正手法が決定されると、制御部201はその欠陥修正手法に従って、修正機構制御部216にコマンドを送り、修正機構部204内の各ユニットを動作させ、欠陥の修正を行う。修正機構部204は、レーザ光源213から照射されたレーザビームを光学レンズ214b,214cにて補正した後に、可変スリット212を通過させることにより、照射サイズ、角度を変更できるようにしてある。
【0042】
可変スリット212は、例えば、XY−θスリットと呼ばれるもので、長方形のX、Y方向の開口長と、回転角θが変更できるスリットであり、修正機構制御部216からの駆動信号により駆動できるものとする。
【0043】
可変スリット212によって照射形状を整形されたレーザビームは、光学レンズ214dを通り、ガルバノミラー211a,211bで反射される。ガルバノミラー211a,211bは、2次元に角度可変なミラーであり、修正機構制御部216の制御に従って駆動することで、XYステージ205を動かさずに、対物レンズ208の視野範囲内でレーザビームの光軸、すなわち照射位置を調整することができる。
【0044】
このような可変スリット212、ガルバノミラー211a,211bを備える欠陥修正装置200は、欠陥に対し十分な位置精度を持ってレーザビーム等を照射できるため、精度よくパターン欠陥の修正が可能となる。
【0045】
そして、ガルバノミラー211a,211bで反射されたレーザビームは、各種光学レンズ214e,214fを透過し、ハーフミラー215aで反射した後に、対物レンズ208を介して、基板3に照射され、欠陥修正が行われる。
【0046】
上記欠陥検査装置300は、欠陥を探索する方法として光学式検査機を使えるため、導通状態が正常であるパターン欠陥に対しての修正が可能となる。
【0047】
制御部201についてさらに詳細に説明する。
図6は、制御部201の内部構成を示したブロック図である。制御部201は、領域情報取得部251、領域一致率/不一致率演算部252、欠陥領域判定レベル演算部253、テンプレート選別判定レベル演算部254、テンプレート出力判定レベル演算部255、欠陥修正実行部256および記録部260を含むように構成される。記録部260は半導体メモリ等の不揮発性の記憶装置が適用される。各処理部については後述する。
【0048】
[欠陥修正工程]
欠陥修正装置200による欠陥修正工程について、上述した構成からなる欠陥修正システムの一連の動作とともに、図7,図8のフローチャートを参照して説明する。図7は、一連の欠陥修正処理のメインルーチンを示すフローチャート、図8は、欠陥修正処理のリペア手法取得処理(ステップS17)に係るフローチャートである。
【0049】
ステップS11:パラメータのセット
欠陥修正装置200にパラメータをセットする。すなわち、欠陥修正装置200に修正を行うための上述した基本情報を設定する。
パラメータは、具体的には、修正対象となる基板3内における配線部2の数と配置、パターンの数、配置、アライメントマーク位置等の上記基板3に関わる基礎情報である。また、自動で修正を行う対象となる欠陥の大きさや条件、基板3内において修正を行う数や優先する欠陥の特徴等の修正条件の設定情報、配線パターンの形状と修正手法のデータベース(データベースが複数の場合に適用)等である。当該欠陥修正装置200において固有に設定するこれらのパラメータをセットする。
【0050】
ステップS12:基板3の搬入と入力情報のセット
外部から基板3を欠陥修正装置200に搬入し、その基板3の前プロセスの欠陥情報を入力する。搬入された基板3の情報、欠陥情報を欠陥修正装置200内にセットされているパラメータと照合し、修正対象となる基板3の基本情報を確定し、修正条件の初期設定(修正処理数のクリア等)を行う。
【0051】
欠陥情報は、欠陥検査装置300において、光学式検査で検出された欠陥の数と座標、もしくは電気式検査で検出された欠陥のピクセル情報(線欠陥、もしくは点欠陥であるかも含む)のいずれである。あるいは、電気式検査で検出された欠陥と光学式検査で検出された欠陥を関連付けたものである。
【0052】
ステップS13:欠陥情報のセット
上記の基板3毎の欠陥情報の一覧から、リストの上位から順に修正を行うか、特定の欠陥(線欠陥を優先する等)をまとめて行うかをソートするか、もしくは欠陥修正装置200のオペレータが任意の欠陥を選択するかのいずれかの方法で、欠陥情報を一つ入力する。
【0053】
ステップS14:欠陥情報のチェック
入力された基板3の欠陥情報のリストから自動で修正を行うことができるかを確認する。すなわち、入力される欠陥情報だけでは自動で修正処理が不可能なときがあり、これの確認を行う。
例えば、滅点化処理を規定の数以上行っていないか、修正処理を規定の数以上行っていないか、既に修正処理を行っている欠陥であるか等、現在の基板3の修正条件にそぐわない場合に自動で修正できない可能性がある。また、入力された欠陥の座標が不確定である、パターンの外部等で修正は行わないと明確に定義してある場所である等の場合において、自動で修正できない可能性がある。このような条件の詳細は、本出願人による特開2008−155263号公報の図4等に記載されている。
【0054】
ステップS15:欠陥位置情報の取得
入力された欠陥情報が修正を行う欠陥であると判断されたら、欠陥の詳細な座標情報を取得する。具体的には、光学式検査結果の欠陥座標、若しくは電気式検査結果のピクセルの番号等から欠陥が実際に存在する箇所を算出する。なお、このステップS5について、図7には「サブピクセル座標取得」と記載している。
【0055】
ステップS16:欠陥画像の撮影
欠陥の詳細な位置が算出されたら、XYステージ205を移動して、欠陥画像を撮影し、パターン内の詳細な欠陥情報を取得する。なお、図7には「レビュー情報取得」と記載している。
【0056】
ステップS17:欠陥修正手法の取得処理
本発明の特徴とする処理であり、欠陥画像から取得した欠陥の詳細情報と欠陥修正手法とを照らし合わせて、最適な欠陥修正手法を修正手法データベース225から索出し、欠陥の位置情報に合わせて出力する。なお、図7には「リペア手法取得」と記載している。本ステップにおける処理については、図8を参照して詳細に説明する。
【0057】
ステップS18:修正実行処理
欠陥修正手法を実際の欠陥の位置にあわせて設定し、必要に応じて位置補正を行った後、修正を実行する。その際の修正の実行結果は、記録部260または修正手法データベース225等に別途保存しておく。なお、このステップS8について、図7においては「リペア実行」と記載している。
【0058】
ステップS19:修正判定処理
修正の実行が終了したら、欠陥画像を撮影した場所と同じ座標と倍率によって、修正後の画像を撮影、比較することにより、適切な修正が完了したかどうかの簡易判定を行う。
【0059】
ステップS20:修正結果更新処理
修正の結果を更新する。更新内容は修正が適切に行われたかの判定、修正詳細内容、修正処理数、滅点化の修正処理数等である。修正結果の更新後、欠陥情報の一覧を再度確認し、未処理の欠陥の有無や修正の終了の判定を行い、次に別の欠陥情報を入力することによる修正処理を続行するか、若しくは修正を終了して基板3の搬出を行うかを決定する。
ここで、未処理の欠陥があると判定されたときには、ステップS12に戻る。
【0060】
ステップS21:基板搬出、修正情報セット
入力された基板3に対してすべての欠陥が修正された、もしくは修正の終了条件を満たしたら、基板3を搬出して欠陥情報管理システム12に欠陥の修正情報を出力する。修正の終了条件とは、規定の数値以上の修正を実行した、規定の数値以上の滅点化修正を行った、あるいは特定の欠陥に対する修正が終了した等である。
【0061】
ステップS22:パラメータ更新
上述した各処理内で新規に欠陥修正手法が登録された、もしくはレーザのパワーや修正を行う欠陥の条件を変更する等の必要があれば、セットしてある欠陥修正装置200の修正手法データベース225のパラメータ情報を更新して、次の基板3をセットする。
【0062】
図8は、制御部201による欠陥修正手法の取得処理(ステップS17)を示すフローチャートである。図8は、欠陥修正処理のリペア手法取得処理(特に優先順位付け処理)に係るフローチャートである。
【0063】
まずステップS31において、詳細位置情報抽出部221および特徴抽出部222から制御部201へ欠陥情報を入力して、ステップS32に進む。
【0064】
次に、ステップS32において、既存の検出方法で適用できる欠陥修正手法(テンプレート)があるか否かを判定し、判定結果に応じて次の処理ステップへ進む。既存の検出方法として複数の方法が挙げられ、例えば欠陥の位置情報や領域情報、特徴情報に基づいて、優先度の高い欠陥修正手法を読み出す方法(特開2007−163892号公報を参照)がある。また、配線基板を複数の区域に分類して配線基板内での欠陥の位置に基づいて欠陥修正手法を読み出す方法(特開2008−155263号公報を参照)がある。さらに、配線パターンの基準座標と検出された欠陥との位置関係に基づいて自動的に欠陥修正手法を読み出す方法(特開2008−159930号公報を参照)などがある。欠陥修正手法がある場合はステップS33へ進み、ない場合はステップS38へ進む。
【0065】
ステップS33において、欠陥の背景にある領域情報が登録されているか否かを判定する。領域情報が登録されている場合はステップS34へ進み、登録されていない場合はステップS39へ進む。
【0066】
ステップS34において、欠陥領域判定レベルを検出し、優先順位をソート(分類、並び替え)して、ステップS35へ進む。具体的には、領域一致率/不一致率演算部252が、欠陥とテンプレートの領域一致率および領域不一致率を計算し、欠陥領域判定レベル演算部253は、その計算結果に基づいて、欠陥領域判定レベルを演算する。
【0067】
ステップS35において、テンプレート選別判定レベル演算部254は、適用可能なテンプレート選別判定レベルを満たしているものがあるか否かを判定する。所定のテンプレート選別判定レベルを満たしている場合はステップS36へ進み、満たしていない場合はステップS38へ進む。
【0068】
ステップS36において、テンプレート出力判定レベル演算部255は、テンプレート出力判定レベルを検出し、優先順位をソートして、ステップS37へ進む。
【0069】
ステップS37において、テンプレート出力判定レベル演算部255は、適用可能なテンプレート選別判定レベルを満たしているものがあるか否かを判定する。所定のテンプレート出力判定レベルを満たしている場合はステップS39へ進み、満たしていない場合はステップS38へ進む。
【0070】
ステップS38において、入力装置228からの作業員の指示に従って新規な欠陥修正手法を編集、登録して、ステップS39に進む。
【0071】
ステップS39において、欠陥修正実行部256は、ステップS37で条件を満たした欠陥修正手法、または、ステップS39により編集、登録した欠陥修正手法を適用し、欠陥修正部202へ制御信号を送って欠陥修正の実行を制御する。この処理が終了後、ステップS40へ進む。
【0072】
ステップS40において、欠陥を修正していない配線部があるか否かを判定する。ここで、欠陥を修正していない配線部があると判別されれば、ステップS31に戻って新たな欠陥情報を入力する。また、欠陥を修正していない配線部がないと判別されれば、一連の工程が終了し、次の工程へ進行する。
【0073】
ここで、配線基板1の繰り返しパターン区域6に形成する配線部2(単位画素)の概略構成を、図9に示す。
配線部2は、単位画素を構成する各色の副画素、例えば三原色RGBに対応する3つの領域(以下、「サブエリア」ともいう。)2R,2G,2Bに区分されている。3つのサブエリア2R(2G,2B)は、異なるキャパシタ(容量素子)45R(45G,45B)を有している点で、互いに異なる構造になっている。本実施の形態においては、3つのサブエリア2R(2G,2B)の一部が互いに異なる形状(構造)になっているものを例として説明するが、それらのサブエリアが互いに同一の形状(構造)になっているものであってもよいことは勿論である。
【0074】
各サブエリア2R(2G,2B)は、ほぼ同じ大きさに形成されており、配線基板1(図1参照)上に設けられた走査配線41上に、層間絶縁膜(図示略)を介して信号配線42R(42G,42B)、電位供給配線43R(43G,43B)、グラウンド電極(図示略)が、当該走査配線42R(42G,42B)と直交する方向に延在して配置された構成である。信号配線42R(42G,42B)は、グラウンド電極に連結された図示しないキャパシタ45R(45G,45B)に対し、TFT素子44R(44G,44B)のゲートを介して対向する構成とされている。
なお、図8に示した配線部2の配線パターンは実際のものを模式的に表したに過ぎないので、実際の配線パターンと異なる点に留意する必要がある。
【0075】
図9に示すような、繰り返しパターンを有する配線パターン(配線部2)において、画素内欠陥位置により、その修正パターンを複数に分けられるものとした場合、その条件によって適用される修正手法が異なってくることが考えられる。その場合、どの条件の欠陥に対して、どのような欠陥修正手法を用いるかの情報を、修正手法データベース225にテンプレートとして予め登録しておく。テンプレートとは、欠陥修正情報(リペアレシピ情報)すなわち欠陥修正手法をオブジェクト化(可視化)したものである。
【0076】
そして、欠陥位置と繰り返しパターン(配線部2)の基準座標を入力することで、修正手法データベース225から最適な欠陥修正手法を検索し、欠陥画像に重ねあわせて適用する手法などが有効である。このようなテンプレートを用いた欠陥修正方法として、特開2007−163892号公報に記載された技術が適用できる。
【0077】
図10は、配線部分にショート欠陥が存在する欠陥画像の例を示している。
この欠陥画像内の欠陥50は、配線部分(電位供給配線42G,42B)の短絡欠陥の例である。まず詳細位置情報抽出部221において、配線部2の任意の一角に設定された基準座標51と繰り返しパターン領域52を検出する。さらに、基準座標51からの相対位置により繰り返しパターン上での欠陥50の位置と条件を絞り込む。そして、制御部201が欠陥50の条件に見合った登録テンプレートを修正手法データベース225から選択する。
【0078】
テンプレートは、欠陥を模した「欠陥オブジェクト」と、配線部上における欠陥オブジェクトの位置及びその特徴に応じて修正処置が施される部分を示した「リペアオブジェクト」とを含む。欠陥オブジェクトは、当該欠陥オブジェクトの位置や属する領域、規模、形状、当該欠陥オブジェクトが位置する回路等を表示したものである。またリペアオブジェクトは、その欠陥に対応するレーザ照射の位置、出力等を表示したものである。
【0079】
この例では、配線間にショートを生じさせる欠陥50に応じた欠陥修正手法として、すなわち欠陥オブジェクト50a,50b,50cについて、それぞれに最適なテンプレート(1)〜(3)を、修正手法データベース225に登録されているとする。
すなわち、この例では、欠陥50の位置に応じた欠陥修正手法として、テンプレート(1)〜(3)が修正手法データベース225に登録されており、テンプレート(1)〜(3)の中から欠陥50の修正に最も適したテンプレートを選択する。
【0080】
テンプレート(1)は、欠陥50と位置および大きさ等の条件がほぼ同じ欠陥オブジェクト50aに対するリペアオブジェクト60aを備える。また、テンプレート(2)は、欠陥50よりやや下に位置する欠陥オブジェクト50bに対するリペアオブジェクト60bを備える。さらに、テンプレート(3)は、欠陥50よりずっと下に位置する欠陥オブジェクト50cに対するリペアオブジェクト60cを備える。
【0081】
ここでは、欠陥50に位置および大きさ等の条件が近い欠陥オブジェクト50aを持つテンプレート(1)が、欠陥50の修正に最適であるとして選択されている。
【0082】
そして、制御部201へ読み出されたテンプレート(1)が、ディスプレイ227に表示される。このとき、当該テンプレート(1)の基準座標61を欠陥画像(配線パターン)の基準座標61を原点として座標変換を行って、欠陥画像の欠陥50にリペアオブジェクト60aを重ね合わせる。座標変換方法については、特開2008−159930号公報にさらに詳細に記載されている。
【0083】
このような繰り返しパターン区域における欠陥修正方法によれば、欠陥箇所の繰り返しパターン(配線部)内における位置に基づいて、最適なテンプレートを選択することができる。それにより、位置関係に対応して選択される欠陥修正手法の読み込みによって欠陥修正工程を自動化することができ、人為的に区別を行う煩雑さを回避することが可能となる。
【0084】
なお、修正手法データベース225からの修正手順読み出しの際に、対象となる欠陥に対して、該当する適切な欠陥修正手法(テンプレート)がない場合は、所定の優先度などに基づいて次善のテンプレートが選択される。最も優先度の高い、例えば使用頻度の高い欠陥修正手法のテンプレートあるいは修正難易度が低い欠陥修正手法のテンプレートなどが自動的に選択され、ディスプレイ227に表示される。そして、表示されたテンプレートによる修正手法を自動的に実行するか、もしくは作業員が目視確認した後に実行する。
【0085】
また、対象となる欠陥に対して、適した加工設定ファイル(テンプレート)が無い場合は、作業員が入力装置228を操作してマニュアルでレーザ加工条件を設定することが可能であり、更に修正手法データベース225にその設定ファイルを追加することもできる。
【0086】
[ヘッダ情報およびオブジェクト情報]
本実施の形態においてテンプレートとして表示される欠陥修正手法は、ヘッダ情報と、このヘッダ情報に関連付けられたオブジェクト情報とを有するデータファイルである(特開2007−163892号公報を参照)。
なお、この欠陥修正手法を「欠陥修正情報(リペアレシピ情報)」ともいう。
【0087】
ヘッダ情報は、欠陥修正手法の「レシピ名(若しくはレシピ番号)」、欠陥のあるサブエリア(領域)を示す「領域番号」、サブエリアを示す「副領域番号」、基板3上の基準画素の位置を示す「基準画素番号」、その基準画素の上下、左右の近接画素の有無とその位置を示す「近接画素番号」、並びにレシピ登録される欠陥や欠陥修正手法を表すリペアオブジェクトの「オブジェクト数」を含むものである。
【0088】
オブジェクト情報は、欠陥を模した欠陥オブジェクトと、配線部2における欠陥オブジェクトの位置及びその特徴に応じて修正処置が施される部分を示したリペアオブジェクトとを含んでいる。
すなわち、オブジェクト情報は、ヘッダ情報に登録されたオブジェクト数だけ欠陥オブジェクトとリペアオブジェクトとを関連付けて登録したものである。なお、単に「登録」というときには、上記した修正手法データベース225に対する登録を意味している。
【0089】
上記のオブジェクト情報は、レシピヘッダとの照合のための「レシピ名(もしくはレシピ番号)」、配線部2内のオブジェクトの位置を示す「座標」、「オブジェクトの形状」、「角度」、「位置補正情報」が基本情報として含まれている。その基本情報は、欠陥オブジェクト及びリペアオブジェクトの双方について有している。
なお、「補正情報」は、実際の欠陥画像の欠陥位置との比較による位置補正のための情報であり、また、「角度」とは、上記したXYステージ205上における欠陥の正規の位置からの回転角度である。
【0090】
本発明ではさらに、繰り返しパターン(配線部2)内の欠陥の存在する領域情報に基づいて、適用できるテンプレートを絞り込み、最適化する。以下、繰り返しパターン内の欠陥が存在する(もしくは占める)領域を特に「欠陥領域」または「欠陥範囲」という。
【0091】
[領域情報について]
領域情報取得部251による処理について説明する。
図11は、図9に示した繰り返しパターン(配線部2)のレイヤ構造(層構造)を模式的に表したものである。
多層構造であるが故に、特定のレイヤの下に別のレイヤが存在している場合があり、繰り返しパターンの画像70を見ただけではレイヤ構造を認識できない領域が存在する場合がある。例えば、単独のレイヤで構成される領域や、複数の異なるレイヤで構成される領域などが混在するような場合である。
図9のような欠陥の例では、図12A,12Bに示すような2種類の欠陥修正手法を登録する必要があることがわかる。
【0092】
図12Aに示す欠陥50dは、配線部2の電位供給配線43Gと電位供給配線43Bの間を断線すればショートが解消する欠陥であり、テンプレートには断線用のリペアオブジェクト60dを備える。
【0093】
図12Bに示す欠陥50eは、配線部2の電位供給配線43Gと電位供給配線43Bをショートし、かつ、走査配線41にかかっている欠陥である。この場合、走査配線41の下に異なるレイヤがあり欠陥50eに直接レーザを照射すると下層の走査配線41が断線してしまう恐れがある。つまり、位供給配線43Bの上下をリペアオブジェクト65e1,65e2で断線した後、結線用のリペアオブジェクト66で接続しなければ適切にショートを解消することができない欠陥である。
【0094】
図13は、図11に示す配線パターン(配線部2)の個々のレイヤを示したものであり、各レイヤ内の丸付き数字は該当ラベルのラベルIDを表している。
本例では、配線部2は、例えばレイヤ1〜レイヤ7(画像71〜画像77)の7つのレイヤ(層)から構成されている。これらのレイヤ個別にレイヤ情報として、レイヤが重なる順番(ID:識別情報)とレイヤ名を設定し、さらにレイヤ内の個別の領域(ラベル)にもIDを振り分けて、ラベル情報の登録を行う。ラベルとは、あるレイヤの中の一つのかたまりを表したものであり、レイヤ内の個別の領域として、配線や電極、コンタクトホールといったような部材に対応した特定の領域や場所が設定されている。レイヤ情報は、レイヤの識別情報や属性情報等を含み、例えばCADパターン等の設計回路情報や手入力情報から得ることができる。上記のレイヤ情報とラベル情報は、搬送されてきた基板3の受け取りとともに取得する。
【0095】
図14は、図13に示したレイヤ4(画像74)を示すものであり、このレイヤ4は7個のラベルが設定されている。
レイヤ情報には、
(1)レイヤID
(2)レイヤ名
(3)レイヤ内の領域(ラベル)の数
が設定される。
本例のレイヤ4においては、レイヤ情報として「(1)レイヤID:4」、「(2)レイヤ名:レイヤ4」、「(3)レイヤ内の領域(ラベル)の数:7」が登録されている。
【0096】
またラベル情報として、例えば
(1)ラベルID
(2)レイヤID(当該ラベルが属するレイヤ)
が設定される。
図14のレイヤ4のラベル7では、ラベル情報として「(1)ラベルID:7」、「(2)レイヤID:4」が登録されている。
【0097】
そして、図15に示すように、登録するすべてのレイヤおよびラベルの情報を繰り返しパターン内の座標値(基準座標を基準とする相対座標)に展開してマップデータを作成する。
マップデータには、
(1)座標
(2)存在するラベル情報(レイヤID:ラベルID)
が登録される。
図15に示す点81の場合、図13の登録レイヤ群より、例えば「(1)座標:(256,266)」、「(2)存在するラベル情報:(レイヤ4:ラベル1)、(レイヤ5:ラベル3)、(レイヤ7:ラベル3)」が登録されている。
【0098】
図16は、特定の範囲の領域情報を取得する場合の例を示している。
特定の範囲の領域情報を取得するときは、取得したい範囲すべてに対し、マップデータの座標情報をスキャンしてヒットした領域情報を出力値とすればよい。例えば図16の領域82の場合、図13の登録レイヤ群より、領域内のラベル情報として「(レイヤ1:ラベル2)、(レイヤ2:ラベル3)、(レイヤ3:ラベル3)、(レイヤ4:ラベル3、ラベル7)、(レイヤ6:ラベル3)、(レイヤ7:ラベル3)」が出力される。
【0099】
図17は、繰り返しパターンの領域に入らない領域を取得する場合の例を示している。
繰り返しパターンの領域に入らない領域を取得する場合は、マップデータを周辺8方向に移動(シフト)させて、繰り返しパターンの領域からの方向と併せて取得する。これにより、複数の繰り返しパターンにまたがる領域(欠陥)についても、領域情報の設定、取得が可能になる。
【0100】
例えば図17のように、2つの繰り返しパターン70A,70Bにまたがるような欠陥83の場合について説明する。繰り返しパターン70Aは、繰り返しパターンの範囲、すなわち中心範囲(の繰り返しパターン)である。一方、繰り返しパターン70Bは、中心範囲の繰り返しパターン70Aの周辺の範囲という位置づけである。
この例では、図13の登録レイヤ群より、領域内のラベル情報(レイヤID:ラベルID)として、「中心範囲(レイヤ1:ラベル2)、(レイヤ7:ラベル5)、下方向の範囲(レイヤ1:ラベル1)、(レイヤ7:ラベル2)」が登録される。
【0101】
次にマップデータの領域情報を、テンプレートに登録している欠陥情報に追加情報として登録する。例えば、図12A,12Bに示した2種類のテンプレートについての領域情報は、図18A,18Bに示すものとなる。
【0102】
図18Aにおける欠陥50dについて、欠陥範囲の領域情報として、図13の登録レイヤ群より「中心範囲(レイヤ4:ラベル2、ラベル3)」が登録される。また、図18Bにおける欠陥50eについて、欠陥範囲の領域情報として、図13の登録レイヤ群より「中心範囲(レイヤ1:ラベル2)、(レイヤ4:ラベル2、ラベル3)、下方向の範囲(レイヤ1:ラベル1)、(レイヤ4:ラベル2、ラベル3)」が登録される。
【0103】
実際に欠陥とテンプレートを照合するときは、欠陥の範囲をテンプレートと同様にスキャン(解析)して、欠陥の範囲内に存在する領域情報を取得して比較する。比較の際には次のような判定条件を定め、組み合わせて優先順位を決定する。
【0104】
[領域一致率、不一致率について]
次に、領域一致率/不一致率演算部252による処理について説明する。
実欠陥の範囲とテンプレートの想定(設定)している欠陥の範囲を比較したときの比較情報の一致状況を下記の定義として示す。
【0105】
領域一致率:
領域一致率は、欠陥領域の中に含まれるテンプレートの領域情報の割合を示す。欠陥の領域情報の数をDefDataSize、テンプレートの領域情報に含まれる欠陥の領域情報の数をDefCompSizeとしたとき、領域一致率PerRankは下記のように求められる。

PerRank = (DefCompSize /DefDatSize) * 100
【0106】
領域不一致率:
領域不一致率は、欠陥領域情報に含まれないテンプレート領域情報の割合を示す。テンプレートの領域情報の数をTempDataSize、テンプレートの領域情報に含まれる欠陥の領域情報の数をDefCompSizeとしたとき、領域不一致率PerWasは下記のように求められる。

PerWas =|((DefCompSize - TempDataSize)/ TempDataSize) * 100|
【0107】
領域一致閾値:
領域一致閾値は、領域一致率の閾値であり、領域一致率とともに次項目の欠陥領域判定レベルの決定要素として使用する。欠陥とテンプレートの領域構成の一致率が高いと、当該テンプレートの出力優先順位が上がる。
【0108】
領域不一致閾値:
領域不一致閾値は、領域不一致の閾値であり、領域不一致率とともに次項目の欠陥領域判定レベルの決定要素として使用する。欠陥とテンプレートの領域構成の一致率が高いと、当該テンプレートの出力優先順位が上がる。欠陥とテンプレートの領域構成で一致しない構成要素が多いと、当該テンプレートの出力優先順位が下がる。
【0109】
図19の例で示すと、左図をテンプレート、右図を実欠陥としたとき、欠陥領域の一致率と不一致率は以下のようになる。
【0110】
左図のテンプレートの欠陥範囲90と右図の実欠陥の欠陥範囲100の間には、レイヤ4,6,7に不一致が存在する(図13の登録レイヤ群より)。
欠陥領域情報DefDataSizeの数 : 7
テンプレートの領域情報TempDataSizeの数 : 6
テンプレートに一致する欠陥領域情報DefCompSizeの数 : 5
したがって、
領域一致率 : PerRank
PerRank = (DefCompSize /DefDatSize) * 100 ≒ 71.4
領域不一致率 : PerWas
PerWas =|((DefCompSize - TempDataSize)/ TempDataSize) * 100| ≒ 16.6
となる。
【0111】
[欠陥領域判定レベルについて]
次に、欠陥領域判定レベル演算部253による処理について説明する。
欠陥領域判定レベルは、上記領域一致率および不一致率に基づいて、欠陥の範囲とテンプレートの想定している欠陥の範囲を比較した時の比較情報の判定レベルである。下記のようにランク付けし、判定レベルが上がるにつれ、よりテンプレートの特徴に近い欠陥であることを示す。
【0112】
領域判定レベルS :
比較した領域構成情報が過不足なくすべて一致している。
領域判定レベルA :
テンプレートの領域構成情報内に欠陥の領域構成情報がすべて含まれるが、テンプレートの領域情報(ラベル要素)の数が多い。
領域判定レベルB :
(1)欠陥の領域構成情報の中にテンプレートの領域情報がすべて含まれる
が、欠陥の領域情報の数が多い、もしくは
(2)領域一致率が領域一致閾値より高く、領域不一致率が領域不一致閾値
より低い(欠陥が残る可能性がある)。
領域判定レベルC :
比較した領域構成情報に一致するものがあるが、領域判定レベルBの基
準に満たない(テンプレートの領域情報をすべて内包せず、閾値の基準
満たない。)に加えて、テンプレートのほうにも欠陥の領域情報に含まれ
ない領域情報がある(欠陥の位置がずれている可能性がある)。
領域判定レベルD :
比較した領域構成情報に一致しているものがひとつもない(テンプレートが想定している欠陥とは異なる欠陥の可能性がある)。
【0113】
図20に、領域一致閾値70%、領域不一致閾値30%とした時の領域判定レベルの例(6例)を示す。ただし、図20において領域判定レベルB(2)の領域一致率71.4%、領域不一致閾値16.6%、および領域判定レベルCの領域一致率50%、領域不一致閾値50%である。
【0114】
図20において、欠陥範囲90はテンプレートで設定した領域(図19参照)であり、欠陥範囲101〜106は実欠陥の領域である。
欠陥範囲101の場合:
テンプレートの欠陥範囲90に実欠陥の欠陥範囲101が含まれ、比較した領域構成情報が過不足なくすべて一致しているので、領域判定レベルは「S」と判定されている。
欠陥範囲102の場合:
テンプレートの欠陥範囲90に実欠陥の欠陥範囲101が含まれるが、領域一致率または領域不一致率の関係で、領域判定レベルは「A」と判定されている。
欠陥範囲103の場合:
実欠陥の欠陥範囲103とテンプレートの欠陥範囲90が一部重なっており、欠陥の領域構成情報の中にテンプレートの領域構成情報がすべて含まれるが、欠陥の領域構成情報の数が多く、領域判定レベル「B(1)」と判定されている。
欠陥範囲104の場合:
実欠陥の欠陥範囲104とテンプレートの欠陥範囲90が一部重なっているが、領域一致率が領域一致閾値より高く、領域不一致率が領域不一致閾値より低く、領域判定レベル「B(2)」と判定されている。
欠陥範囲105の場合:
テンプレートの欠陥と実欠陥の位置がずれている。比較した領域構成情報に一致するものがあるが、領域判定レベルBの基準に満たず、テンプレートのほうにも欠陥の領域構成情報に含まれない領域情報があり、領域判定レベル「C」と判定されている。
欠陥範囲106の場合:
テンプレートの欠陥と実欠陥の位置が全く異なっており、比較した領域構成情報に一致しているものがひとつもなく、領域判定レベル「D」と判定されている。
【0115】
上記欠陥領域判定レベルにおいて、領域判定レベルS,Aは、テンプレートの領域構成情報内に欠陥の領域構成情報がすべて含まれ、少なくともテンプレートの領域情報(ラベル要素)の数が多いので、まず問題なく欠陥を修正できるレベルである。
【0116】
[テンプレート選別判定レベルについて]
次に、テンプレート選別判定レベル演算部254による処理について説明する。
テンプレート選別判定レベルは、出力テンプレートの領域構成情報の一致条件を設定するものである。以下のようにランク付けし、判定条件が厳しくなると検出率は下がるが、欠陥修正手法はより正確になると想定される。また、選別判定レベルA、およびBのとき、出力されるテンプレートの候補が複数あった時には、より選別判定レベルが高いものが優先候補とされる。
【0117】
選別判定レベルS :
領域判定レベルS以外のテンプレートを出力候補から除く。
選別判定レベルA :
領域判定レベルAまでを出力候補とする。欠陥に対してのリペアは行わ
れるが、不要なリペア処理を行う可能性がある。
選別判定レベルB :
比較した領域構成情報が一つでも一致する場合(領域判定レベルCまで)
出力候補とする。欠陥に対してのリペアは完全には保障されないが、登
録しているテンプレートの欠陥領域の設定の仕方によっては正しくリペ
アが行われることも可能。
【0118】
[テンプレート出力判定レベルについて]
次に、テンプレート出力判定レベル演算部255による処理について説明する。
テンプレート選別判定レベルで出力候補とされるテンプレートが複数検出された時に、それらの中で、欠陥の位置情報を比較して、出力するテンプレートの優先順位を確定させる。なお、下記の出力判定レベルの切換えは、作業員が手動で切り換えるようにしてもよい。
【0119】
出力判定レベル高 :
テンプレートの想定する欠陥と実欠陥の重なる面積の割合が大きいもの
が優先される。また、まったく欠陥が重なっていないものは選別判定レ
ベルがSであっても削除される。
出力判定レベル低 :
欠陥の重心座標が近いものを優先する。
【0120】
図21は、出力判定レベルが高の場合に、領域判定レベルが同じレベルのテンプレートが複数あるときの優先順位付けの例を示したものである。
この例では、入力された実欠陥91の領域に対して、3つのテンプレートが選別され、各テンプレートに設定された欠陥111,112,113は、数字が大きくなるにつれ実欠陥の領域から離れ重なる面積が小さい。このような場合、テンプレートの優先順位は、欠陥111,欠陥112,欠陥113のテンプレートの順であり、かつ、出力判定レベルが高であるので、出力候補となるテンプレートは欠陥111,112を有する2つに確定される。すなわち、領域判定レベルが高くても、実欠陥とテンプレートに設定された欠陥の領域が重ならないときには優先順位が下がる。
【0121】
このように、出力判定レベルを高にすると、テンプレートの欠陥と実欠陥の位置が近くても重なっていなければ削除される。これはテンプレートに登録する欠陥の位置を細かく設定して修正箇所を最小限に抑えたいとき(図22)や、欠陥領域を広く取って修正対象とする欠陥を共有化してテンプレートの登録を最小限にしたいとき(図23)、さらに、欠陥が想定される領域がシビア(難易度高)な場合に有効である(図24)。
【0122】
図22(左、中央、右)においては、領域情報が同一であるが位置が異なる欠陥122a,122b,122cに対し、それぞれに適切な位置に欠陥121a,121b,121c(欠陥オブジェクト)が設定されたテンプレートを示している。
【0123】
図23に示すテンプレートは、図22に示した3つの欠陥を一つに繋げたような長い欠陥124に対し、これと対応する長い欠陥123(欠陥オブジェクト)が設定されたテンプレートを示している。なお、欠陥範囲を長く登録すると、実欠陥との一致率が下がる点に留意する必要がある。小さい欠陥範囲で登録したほうが実欠陥との一致率は上がる。
【0124】
図24に示す欠陥125は、走査配線41と電位供給配線43B,43Gにかかっており、修正が難しく慎重に作業すべき領域にある(図12B参照)。このような場合に、欠陥の位置、大きさ等だけでなく、層構造も計算に入れるようにする。このようにすることにより、切断用の欠陥オブジェクト127−1,127−2、接続用の欠陥オブジェクト126が設定されたテンプレートを選択することにより、配線パターンを損傷することなく適切な修正が行える。
【0125】
また、出力判定レベルが低の場合、ひとつの欠陥修正手法が広範囲に適用できるときや、欠陥の箇所が確定できるときには有効である。
図25に示す例は、キャパシタ45G内に欠陥128が存在する例であるが、特定のレイヤの領域に完全に重なっており、層構造を容易に特定できるので、複雑な出力判定レベルの必要性は低い。
【0126】
さらに、出力判定レベルが低の場合、欠陥の重心座標が近い順に全てのテンプレートが選択されるが、その中から他の条件による優先度の高いテンプレートを選択することも可能である。あるいは、該当するテンプレートをディスプレイ227に表示し、作業員が表示されたテンプレートを見ながら、すなわち辞書として使用しながら修正する方法も考えられる。
【0127】
上述した実施の形態によれば、登録された繰り返しパターン内に構成される領域情報を定義し、実際の欠陥と欠陥修正手法(テンプレート)間で領域情報(構成要素)を比較することで、登録されている欠陥修正手法から最適なものを自動で選択、実行が可能となる。
【0128】
また、登録された欠陥修正手法が電気的な定義が一致するものであっても、適切ではない欠陥修正手法を削除することで、欠陥修正手法の誤検出を防止し、適切な欠陥修正手法の出力が可能となる。
【0129】
また、特定の欠陥において欠陥修正手法が複数ある場合でも、欠陥の範囲内に存在する領域情報を登録してテンプレートのそれと比較することで、電気的には同一の欠陥の欠陥修手法であっても、優先順位をつけて最適な欠陥修正手法を選択、実行することができる。ゆえに、欠陥修正の精度が向上する。
【0130】
すなわち、本発明は、基板内の特定の回路情報を用いることももちろん可能ではあるが、回路情報や表面的な欠陥情報のみに因らず、配線部内に任意の領域を設定し、欠陥修正手法に最適となる独自の領域判定に特化している。
【0131】
<2.変形例>
[第1変形例:等電位領域、組み合わせ領域]
図26は、複数の配線パターンを基板3上に形成する繰り返しパターンエリアのパターン図を示したものである。図11に示したものと異なり、異なったレイヤ(例えばレイヤ4と他のレイヤ)がコンタクトホール131などで接続されて等電位面となっている。
図27の左図は、レイヤ4(画像74;図13参照)を基に表現されるレイヤの例(画像135A)を示している。この例では、電離供給配線が、レイヤ4の配線132G,132Bと、他のレイヤの配線133G,133Bが、コンタクトホール131により接続されている領域で表されている。
【0132】
一方、図27の右図は、レイヤ4(画像74;図13参照)を基に表現されるレイヤの例(画像135B)を示している。この例では、レイヤ4の配線132G,132Bと、他のレイヤの配線133G,133Bが、コンタクトホール131により接続された結果、等電位となる領域を示している。電位供給配線を構成する配線132G,132Bと対向するように配置されている、配線132G1,132B1が等電位である。
【0133】
図28は、図26,図27に示した例に対応する配線部2のレイヤ構成(登録レイヤ群)を示すものである。
この例では、図13のレイヤ構成と比較して、配線133G,133Bを備えるレイヤ(画像141)が追加されている。さらに、レイヤ5(画像75;図13参照)に代えて、コンタクトホール131が追加されたレイヤ(画像142)を備える点で相違する。
【0134】
このような配線パターンのとき、特定のレイヤを組み合わせた領域を判定用の領域として登録したり、等電位となる領域を既存のレイヤに差し替えて登録することで、マップデータの検索を簡略化したり、データ領域を減らしたりすることが可能である。上述した図28に示した登録レイヤ群は、図29の右図のコンタクトホールで接続された領域(特定のラベルを組み合わせた領域)を判定用の領域として、図13に示す既存のレイヤ群に追加登録したものである。
【0135】
図30は、図29の左図の等電位領域に基づいて、図13に示す既存のレイヤ内の領域を差し替えて登録したレイヤ群を示している。
【0136】
[第2変形例:任意の領域を指定]
図31は、特定の領域を任意に指定した例である。すなわち、配線部2の画像70からTFT素子44R,44G,44Gを選択して、新たに領域161R,161G,161Bを登録したレイヤ160を作成した例を示している。この追加作成したレイヤ160を、図13に示した既存のレイヤ構成に追加した登録レイヤ群を、図32に示す。
【0137】
レイヤは特定の座標に任意の領域の有無の情報を登録するものであるため、回路の設計情報に因らない領域の判定も可能である。そのため、配線パターン内の特定の部品の領域などを組み合わせて欠陥修正用の独自の領域を判定用に設定し、テンプレートの検出精度を向上することができる。また、回路情報がない時に実画像から取得できる領域をキャプチャした(取り込んだ)画像で代用することで、テンプレートを検索することが可能である。
【0138】
以上に述べた実施の形態は、本発明を実施するための好適な形態の具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されている。ただし、本発明は、以上の実施の形態の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限られるものではない。したがって、例えば、以上の説明で挙げた使用材料とその使用量、処理時間、処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また、説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係等も実施の形態の一例を示す概略的なものである。本発明は、上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0139】
さらに、上述した実施形態では、フラットパネルディスプレイのガラス基板上に形成されたデザインパターンの欠陥修正を行なう場合について説明したが、修正対象はこの例に限定されるものではない。例えば半導体ウェハ、フォトマスク、磁気ディスク等、修正対象基板上に所定パターンが形成されたものに適用できる。
【0140】
図6に示した制御部201は、MPU等の演算処理装置が不揮発性メモリに記録されているプログラムを実行することによって目的の機能を実現するようにしたが、同図に示す各機能ブロックはそれぞれ個別のプログラムによって実現してもよい。また、複数の機能ブロックを1つのプログラムによって実現するようにしてもよい。また、同図に示す機能ブロックをハードウェアによって実現してもよい。
【0141】
また、修正手法データベース225が欠陥修正装置200ではなく、遠方のサーバに格納され、LANやインターネット等のネットワークを介して当該修正手法データベース225にアクセスして、欠陥修正手法を取得するような形態としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】検査対象とする基板の構成例を示す図である。
【図2】図1に示した基板内の繰り返しパターン区域を示す図である。
【図3】フラットパネルディスプレイの配線基板の製造工程を示すフローチャートである。
【図4】欠陥検査工程から欠陥修正工程までの具体的な流れを示した図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る欠陥修正装置の構成例を示す図である。
【図6】図5に示した制御部の内部構成を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る欠陥修正工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る、欠陥修正手法の取得処理を示すフローチャートである。
【図9】配線パターン(配線部)を示す図である。
【図10】欠陥画像とテンプレートの例を示す図である。
【図11】図9に示した配線パターンのレイヤ構造(層構造)を示す模式図である。
【図12】Aは断線のみのテンプレート、Bは断線および接続を要すテンプレートを示す図である。
【図13】図11に示す配線パターンのレイヤ構成を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係るレイヤ情報とラベル情報の説明に供する図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係るマップデータの説明に供する図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る領域情報の説明に供する図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る領域情報の説明に供する図である。
【図18】Aは本発明の第1の実施の形態に係る第1のテンプレートの領域情報、Bは本発明の第1の実施の形態に係る第2のテンプレートの領域情報を説明するための図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る欠陥領域の一致率と不一致率を説明するための図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係る欠陥領域判定レベルを説明するための図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係るテンプレート出力判定レベルを説明するための図である。
【図22】本発明の第1の実施の形態に係る、テンプレート出力判定レベルが高い場合に有効なテンプレートの例(1)を示す図である。
【図23】本発明の第1の実施の形態に係る、テンプレート出力判定レベルが高い場合に有効なテンプレートの例(2)を示す図である。
【図24】本発明の第1の実施の形態に係る、テンプレート出力判定レベルが高い場合に有効なテンプレートの例(3)を示す図である。
【図25】本発明の第1の実施の形態に係る、テンプレート出力判定レベルが低い場合に有効なテンプレートの例を示す図である。
【図26】異なるレイヤが接続され等電位になっている場合の配線パターンの例を示す図である。
【図27】図26に示す配線パターンを構成しているレイヤの一部を示す図である。
【図28】図26に示す配線パターンのレイヤ構成を示す図である。
【図29】本発明の第1の実施の形態に係る、特定のレイヤを組み合わせて形成される領域を含むレイヤ構成を示す図である。
【図30】本発明の第1の実施の形態に係る、レイヤ内の領域を差し替えて形成される領域を含むレイヤ構成を示す図である。
【図31】本発明の第1の実施の形態に係る、特定の領域を任意に指定して形成されるレイヤの説明に供する図である。
【図32】本発明の第1の実施の形態に係る、図31のレイヤが追加された配線パターンのレイヤ構成を示す図である。
【符号の説明】
【0143】
1…配線基板、2…配線部、2a…欠陥配線部、3…基板、4…、5…、6…繰り返しパターン区域、11…光学式検査機、12…欠陥情報管理システム、13…電気式検査機、200…欠陥修正装置、201…制御部、202…欠陥修正部、203…欠陥検出部、251…領域情報取得部、252…領域一致率/不一致率演算部、253…欠陥領域判定レベル演算部、254…テンプレート選別判定レベル演算部、255…テンプレート出力判定レベル演算部、256…欠陥修正実行部、260…記録部、300…欠陥検査装置、71〜77,141〜143,151,152…レイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返しパターンが形成された多層基板を検査し、前記繰り返しパターン内の欠陥の位置情報および前記欠陥の特徴情報を抽出する欠陥検出部と、
複数の欠陥修正手法が登録されたデータベースと、
前記多層基板の欠陥を指定された欠陥修正手法により修正する欠陥修正部と、
前記欠陥検出部で検出された欠陥に対応する欠陥修正手法を、前記多層基板の層(レイヤ)構造に基づいて前記データベースから読み出し、当該欠陥修正手法を利用して前記欠陥の修正を実行する前記欠陥修正部を制御する制御部と、を備える
欠陥修正装置。
【請求項2】
前記制御部は、実際の欠陥の領域情報(第1領域情報)の構成要素と、予め登録された繰り返しパターン内の欠陥に該当する領域情報(第2領域情報)の構成要素と、を比較し、比較結果に基づいて前記データベースから前記欠陥修正手法を読み出す
請求項1に記載の欠陥修正装置。
【請求項3】
前記領域情報の構成要素として、
前記多層基板を構成するレイヤ個別の情報を示すレイヤ情報と、
該当レイヤを構成する個別の領域(ラベル)の情報を示すラベル情報、が含まれる
請求項2に記載の欠陥修正装置。
【請求項4】
前記レイヤ情報は、レイヤの重なっている順番を示すレイヤID、レイヤ名、レイヤ内のラベルの数、が含まれ、
前記ラベル情報は、該当レイヤ内のラベルを識別するためのラベルID、該当ラベルが含まれるレイヤを示すレイヤID、が含まれる
請求項3に記載の欠陥修正装置。
【請求項5】
前記データベースは、前記領域情報の構成要素として登録された全てのレイヤ情報およびラベル情報を、前記繰り返しパターン内の座標値に展開したマップデータが登録される
請求項4に記載の欠陥修正装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記欠陥の領域情報(第1領域情報)を取得する領域情報取得部と、
前記領域情報取得部で取得した前記第1領域情報と予め登録された繰り返しパターン内の領域情報(第2領域情報)との、領域一致率および領域不一致率を計算する領域一致率/不一致率演算部と、
前記領域一致率/不一致率演算部が計算した領域一致率と領域不一致率のレベルを、所定の閾値に基づき判定する欠陥領域判定レベル演算部と、
前記欠陥領域判定レベル演算部が判定した結果に基づいて、欠陥修正手法を示すテンプレートを選別する選別判定レベル演算部と、
前記選別判定レベル演算部で選別したテンプレートについて、所定の判定レベルに基づいて、出力する優先順位を決定するテンプレート出力判定レベル演算部と、
前記テンプレート出力判定レベル演算部の決定された優先順位に基づいた欠陥修正手法を利用して、前記欠陥修正部を制御する欠陥修正実行部と、を備える
請求項5に記載の欠陥修正装置。
【請求項7】
繰り返しパターンが形成された多層基板を検査し、前記繰り返しパターン内の欠陥の位置情報および前記欠陥の特徴情報を抽出する第1のステップと、
前記第1のステップで検出された欠陥に対応する欠陥修正手法を、前記多層基板のレイヤ構造に基づいてデータベースから読み出す第2のステップと、
前記第2のステップで読み出された欠陥修正手法を利用して前記欠陥の修正を実行する欠陥修正部を制御する第3のステップと、を含む
欠陥修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−102050(P2010−102050A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272528(P2008−272528)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】