説明

欠陥検査装置及びその感度校正方法、欠陥検出感度校正用基板及びその製造方法

【課題】実際の半導体プロセスおいて発生する微小欠陥に対応した欠陥検出感度を十分に保証し、特に欠陥検査装置の照明手段の光源交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用する。
【解決手段】パターン8と、サイズの異なるコーン欠陥であり、シリコン基板1上にランダムに形成された擬似欠陥部7とを備えた欠陥検出感度校正標準基板を用いて、欠陥検査装置の照明部21におけるランプ21aの交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の欠陥を検査する欠陥検査装置及びその感度校正方法、欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、半導体基板上に付着した異物や、各種のパターンを形成する工程中に異物に起因して基板がエッチングされてなる、いわゆるコーン欠陥等の欠陥発生を検査する必要がある。近年、システムLSI回路の微細化において、例えばデザインルールが65nm〜90nmサイズの半導体デバイスを対象とした欠陥検査装置では、より微小な欠陥を検出するために照明光の短波長化が一層進み、真の感度最適化の見極めが困難になりつつあるという問題があった。従来では、異物検査を行う欠陥検査装置や外観検査装置の検出感度の良否の識別(判定)に使用するために、識判性が高い擬似異物部が規則的に形成された欠陥検出感度校正標準基板が提案されている。(特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−120404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような欠陥検出感度校正標準基板では、高さが50nm〜200nmの一定値に調節された規則正しいパターンとして擬似欠陥部が設けられている。これに対して、実際の半導体基板におけるチップ領域には、複雑でサイズも異なる半導体素子や配線パターンが密に形成されているため、欠陥検査時に特許文献1のような欠陥検出感度校正標準基板を用いて微小欠陥を多く検出したとしても、欠陥検査装置側に不測の変動が生じた場合に適宜の対応が困難となる。具体的には、実際の半導体プロセスでは、欠陥検査装置の照明手段における光源(レーザの光源やランプ等がある)を交換した際に、微小欠陥の検出個数に比較的大きな変動が生じるが、特許文献1のような欠陥検出感度校正標準基板を用いた欠陥検査では、欠陥検出感度を十分に保証することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、実際の半導体プロセスにおいて発生する微小欠陥に対応した欠陥検出感度を十分に保証し、特に欠陥検査装置の照明手段における光源交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用することができる欠陥検査装置及びその感度校正方法、欠陥検出感度校正用基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の欠陥検出感度校正用基板は、デバイスに発生した欠陥部を検出する欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板であって、基板の表面に所定のパターンを有するパターン部と、前記基板の表面に形成された複数の擬似欠陥部とを含み、前記各擬似欠陥部は、各々の大きさが任意に形成されてなるものである。
【0007】
本発明の欠陥検出感度校正用基板の製造方法は、デバイスに形成された欠陥部を検出する欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板の製造方法であって、表面に所定のパターンを形成するための材料膜を成膜する工程と、前記材料膜を加工して前記パターンを有するパターン部を形成するとともに、前記基板の表面に前記材料膜の一部が付着してなる任意の複数の塵芥をマスクとして用い、前記基板の表面を加工して、各々が任意の大きさの各擬似欠陥部を形成する工程とを含む。
【0008】
本発明の欠陥検査装置の感度校正方法は、欠陥検出感度校正用基板を用いて、照明手段により前記欠陥検出感度校正用基板上を光照射し、その反射光を検出することにより欠陥検査を行う欠陥検査装置の感度校正方法であって、前記欠陥検出感度校正用基板は、基板の表面に所定のパターンを有するパターン部と、前記基板の表面に形成された、各々の大きさが任意に形成されてなる複数の擬似欠陥部とを含むものであり、前記光源が交換される前に、前記欠陥検出感度校正用基板を用いて前記擬似欠陥部を検出するステップと、前記光源が交換された後に、前記欠陥検出感度校正用基板を用いて前記擬似欠陥部を検出するステップと、前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数との差分を計算し、当該計算値を、前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数を前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と同等とする調整作業に供するステップとを含む。
【0009】
本発明の欠陥検査装置は、基板の表面に所定のパターンを有するパターン部と、前記基板の表面に形成された、各々の大きさが任意に形成されてなる複数の擬似欠陥部とを含む欠陥検出感度校正用基板と、光源を有し、前記欠陥検出感度校正用基板上を光照射する照明手段と、前記欠陥検出感度校正用基板からの反射光を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記欠陥検出感度校正用基板の擬似欠陥部の検出数をカウントするカウント手段と、前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と、前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数との差分を計算する計算手段とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、実際の半導体プロセスにおいて発生する微小欠陥に対応した欠陥検出感度を十分に保証し、特に欠陥検査装置の照明手段の光源交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
−本発明の基本骨子−
本発明者は、照明手段の光源交換後の感度調整を判断する指標を得るには、実際の半導体プロセスと同等に微小欠陥が形成された基板を欠陥検出用のサンプル基板として用いる必要があると考えた。そこで、実際の半導体プロセスを模倣し、サイズがランダムな微小擬似欠陥を形成した基板をサンプル基板として用い、照明手段の光源(ここではランプ)の交換前後における欠陥数を検出してみた。具体的には、後述するように、基板表面にサイズがそれぞれ任意となるように偶発的に形成された擬似欠陥部を有する基板をサンプル基板として用いた。
【0012】
このサンプル基板を用いて欠陥検出を行った検出結果を図1に示す、図1では、横軸が検査日(ここでは相対値として示されており、1目盛が例えば2日間である)、縦軸が欠陥数を表している。ここでは、同一基板を用いて、基板全体(ウェハ単位)及び基板内の所定領域(セル単位)における欠陥数についてそれぞれ調べた。
【0013】
図示のように、ランプ交換後には検出された欠陥数が大幅に減少していることが判る。これに対して、図示は省略するが、特許文献1のような欠陥検出感度校正標準基板を用い、ランプの交換前後における欠陥数を検出してみると、両者に差異は見られない。このことは、特許文献1のような欠陥検出感度校正標準基板を用いた場合では、ランプの交換に起因する欠陥検出装置の検出感度変動を認識することができないことを意味する。
【0014】
ランプの交換による欠陥検査装置側の変化としては、交換前後で例えば照明手段の光軸等が変わることによる焦点(フォーカス)変化が考えられる。即ち、図2に示すように、実パターン(実際の配線パターン等)が形成されたシリコン基板102において、微小欠陥(主にコーン欠陥103)が発生した場合、ランプの交換前では、例えば高さが400nm(0.4μm)以内のランダムなコーン欠陥103を検出することができるが、ランプの交換後では、フォーカスが上方に変動し、例えば高さが400nm以下のコーン欠陥103を検出することができなくなる。
【0015】
実際に、上記のサンプル基板を用い、ランプ交換によるフォーカス変動の校正を行った一例を図3に示す。フォーカス変動の校正は、光軸等の修正を含む装置調整作業(キャリブレーション)と、その後の微調整とからなる一連の作業である。図3では、先ず、ランプAを用いて欠陥検出を行った。続いて、(1)ランプAから新しい別のランプBに交換した。このとき、検出欠陥数に大幅な減少が見られる。続いて、(2)キャリブレーションを行ったところ、検出欠陥数はランプAによる元の値に近づいた。続いて、(3)ランプBから再びランプAに交換した。このとき、検出欠陥数に(1)と同程度の再び大幅な減少が見られる。続いて、キャリブレーションを行ったところ、検出欠陥数は(2)と同様にランプAによる元の値に近づいた。そして、(5)微調整を行ったところ、ランプBによる元の値と同等の検出欠陥数となった。これら一連の結果から、ランプの交換前後における検出欠陥数の変化は、ランプA,Bの劣化等を原因とする訳ではなく、ランプA,Bの光軸ずれ等に記載の起因するフォーカス変動を原因とするものであると結論付けることができる。
【0016】
図3に示す一連の過程について、フォーカス・オフセット量と検出欠陥数との関係について調べた結果を図4に示す。ランプAを用いて欠陥検出を行った状態と、上記(5)の微調整を行った状態とでは、両者のフォーカス・カーブがほぼ一致することが判る。ランプAを用いて欠陥検出を行った状態のフォーカス・カーブにおけるフォーカス・オフセット量と検出欠陥数との関係を図5の表に示す。欠陥検出装置におけるレシピのフォーカス・オフセットの設定量は例えば−0.2μmとされているところ、図4,5から、実際のフォーカス・オフセットのピークは0.0μm付近であることが判る。
【0017】
以上の考察から、欠陥検出感度校正標準基板として、例えば実際の半導体プロセスと同等に、基板表面にサイズ(高さ等)の異なる複数の擬似欠陥部がランダムに形成されてなる基板を用いて欠陥検出を行うことにより、ランプの交換によるフォーカス・オフセットのずれ量を正確に認識することが可能となる。そして、このフォーカス・オフセットのずれ量に基づいて、フォーカス・オフセットを最適値に調整してランプ交換前後における欠陥検出数を可及的に同等とすべく、フォーカス変動の校正(キャリブレーション及び微調整)を的確に行うことができる。なお、実際の半導体プロセスで発生する欠陥では、いわゆるコーン欠陥が各種欠陥の総数の80%程度を占めているため、欠陥検出感度校正標準基板に形成する擬似欠陥部をコーン欠陥として形成することで問題はない。
【0018】
−本発明の具体的な実施形態−
以下、上述した本発明の基本骨子を踏まえ、本発明を適用した具体的な緒実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図6は、第1の実施形態による欠陥検出感度校正標準基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図6(a)に示すように、半導体基板、例えばシリコン基板1の表面に、例えばCVD法や熱酸化法により膜厚10nm〜50nm程度のシリコン酸化膜2を形成する。次に、シリコン酸化膜2上に、例えばCVD法により膜厚100nm〜200nm程度のシリコン窒化膜3を形成する。次に、シリコン窒化膜3上に、例えばCVD法により膜厚100nm〜200nm程度の多結晶シリコン膜4を形成する。そして、多結晶シリコン膜4上にレジストを塗布し、このレジストをリソグラフィーで加工することにより、レジストパターン5を形成する。
【0020】
続いて、図6(b)に示すように、レジストパターン5をマスクとし、シリコン基板1をストッパーとして、多結晶シリコン膜4、シリコン窒化膜3及びシリコン酸化膜2をドライエッチングする。図示の例では、当該ドライエッチングにより、レジストパターン5がエッチングされて消失した様子を示している。このドライエッチングにより、レジストパターン5の形状に倣って多結晶シリコン膜4、シリコン窒化膜3及びシリコン酸化膜2がパターニングされるとともに、シリコン酸化膜2をエッチングした際に飛散したシリコン酸化物の一部が塵芥(パーティクル)6となって、露出したシリコン基板1の表面に付着する。パーティクル6は、偶発的にランダムに飛散するため、上記のパターニングされら構造物の疎密領域の双方に付着することになる。各パーティクル6はランダムに形成されるため、偶発的に任意のサイズとなる。ここで、パーティクル6として、そのサイズの大きい順に6a,6b,6cを例示する。
【0021】
続いて、図6(c)に示すように、多結晶シリコン膜4をマスクとして用い、例えばシリコン窒化膜3をストッパーとして全面をドライエッチングする。このとき、多結晶シリコン膜4がエッチングされて消失するとともに、シリコン基板1の表面に付着した各パーティクル6がマスクとして機能して、シリコン基板1の表層もエッチングされる。この結果、シリコン酸化膜2上にシリコン窒化膜3が積層してなる線状(或いはブロック状)パターン8が形成されるとともに、各パーティクル6が付着したシリコン基板1には円錐状のコーン欠陥である擬似欠陥部7が形成され、本実施形態の欠陥検出感度校正標準基板10が完成する。擬似欠陥部7としては、ランダムに形成された偶発的に任意のサイズのパーティクル6a,6b,6cがマスクとなったエッチングにより、実際の半導体プロセスにおいてシリコン基板に発生する微小欠陥と同様に、偶発的に任意のサイズ(高さ)の擬似欠陥部7a,7b,7cが形成される。
【0022】
本実施形態では、欠陥検査装置で検査対象を考慮して、擬似欠陥部7のサイズが線状パターン8の寸法の10倍以下の値、例えば80nm〜200nm程度の範囲内の任意値となるように、シリコン酸化膜2の膜厚やパターン8間の距離等を調節することが好ましい。ここで、擬似欠陥部7cについては、パーティクル6cが極めて微細であるために当該エッチング途中で消失してしまい、その後はマスクのない状態でパターニングされたため、擬似欠陥部7a,7bに比して小さいサイズとされている。
【0023】
ここで、図7に示すように、線状パターン8をウェットエッチング等により除去しても良い。図7では、当該ウェットエッチング等によりパーティクル6a,6bも除去された様子を例示する。線状パターン8を除去することにより、シリコン基板1の表面に溝1aが作り込まれた状態となり、当該溝1a内に擬似欠陥部7a〜7cのみが残存する。この基板は、当該基板表面の屈折率を一様とした欠陥検出感度校正標準基板となる。
【0024】
図6の各工程を経て製造された欠陥検出感度校正標準基板の表面の一部の様子を、図8に顕微鏡写真として示す。ここで、破線の円内が擬似欠陥部7であり、パターン8の近傍に形成されている。実際の半導体プロセスにより所期の配線パターンや素子パターンを形成した場合に、例えば配線パターンの近傍にこのようなコーン欠陥が生じると、当該半導体素子にとって致命的ないわゆるキラー欠陥となる。
【0025】
次に、本実施形態による欠陥検出装置の概略構成について、図9を用いて説明する。
この欠陥検出装置は、上述した欠陥検出感度校正標準基板10と、光源であるランプ21aを備え、このランプ21aから欠陥検出感度校正標準基板10の擬似欠陥部7を光照射する照明部21と、擬似欠陥部7で反射(散乱)した反射(散乱)光を検出するディテクタ22と、ディテクタ22で認識した擬似欠陥部7の数(検出欠陥数)をカウントするカウンタ23と、2つの数値を差分を計算する計算機24とを備えて構成されている。
【0026】
ここで、計算機24は、光源部21のランプ21aが交換される前にディテクタ22で検出されカウンタ23でカウントされた擬似欠陥部7の検出数(検出欠陥数)と、ランプ21aが交換された後にディテクタ22で検出されカウンタ23でカウントされた検出欠陥数との差分を計算し、光源部21の交換前後による検出欠陥数の変動値として提供するものである。当該変動値は、ランプ21aの交換後における擬似欠陥部7の検出欠陥数をランプ21aの交換前における擬似欠陥部7の検出欠陥数と同等とする調整作業(上記したフォーカス変動の校正)に供されることになる。
【0027】
ここで、計算機24は、光源部21のランプ21aが交換される前にディテクタ22で逐次検出され、カウンタ23でカウントされた複数の検出欠陥数を表示し、光源21aに劣化が生じていないと見なせる欠陥数の把握に供するようにしても良い。また、ランプ21aが交換される前における光源21aに劣化が生じていないと見なせる欠陥数を例えば計算機24で算出するように構成しても好適である。
【0028】
図9の欠陥検出装置において、その感度を校正する方法について、図10を用いて説明する。
欠陥検出感度校正用基板10を用いて定期的に欠陥検査を行うに際して、カウンタ23により、ランプ21aを交換する前(例えば、交換直前の所定時)における欠陥検出感度校正用基板10の検出欠陥数をカウントする(ステップS1)。ここで、ランプ21aを交換する前におけるカウンタ23でカウントされた複数の検出欠陥数を表示し、光源21aに劣化が生じていないと見なせる欠陥数の把握に供するようにしても良い。また、光源21aに劣化が生じていないと見なせる欠陥数を計算機24で算出するようにしても好適である。このように、光源21aに劣化が生じていないと見なせる欠陥数の把握しておけば、例えば光源21aの交換前に、複数の測定点にわたる検出欠陥数が、上記の劣化が生じていないと見なせる欠陥数よりもある程度低下した値であれば、光源21aに劣化が生じていると判断する指標にもなる。
【0029】
続いて、カウンタ23により、ランプ21aを交換した後(例えば、交換直後の所定時)における欠陥検出感度校正用基板10の検出欠陥数をカウントする(ステップS2)。
【0030】
続いて、計算機24により、ランプ21aを交換する前における欠陥検出感度校正用基板10の検出欠陥数と、ランプ21aを交換した後における欠陥検出感度校正用基板10の検出欠陥数との差分を計算する(ステップS3)。ここで、ランプ21aを交換する前における光源21aに劣化が生じていないと見なせる欠陥数の把握した場合には、当該欠陥数と、ランプ21aを交換した後における欠陥検出感度校正用基板10の検出欠陥数との差分を計算すれば良い。当該計算値は、ランプ21aの交換後における擬似欠陥部7の検出欠陥数をランプ21aの交換前における擬似欠陥部7の検出欠陥数と同等とする調整作業(上記したフォーカス変動の校正)に供されることになる。
【0031】
上記の感度校正方法を用いて、実際に欠陥検出装置の感度校正を行った場合の検出欠陥数の変動の一例を図11に、検出欠陥数の基板内分布と共に、ランプ交換直前とフォーカス変動の校正直後との欠陥検出感度校正用基板10における欠陥検出の比較を図12に、それぞれ示す。これらに併せて、上記の感度校正方法を用いて、実際に欠陥検出装置の感度校正を行った場合の、基板全体(ウェハ単位)及び基板内の所定領域(セル単位)における検出欠陥数の変動の一例を図13に示す。
【0032】
図11では、横軸が欠陥検出の期間(図示の例では7日間)を、縦軸が検出欠陥数をそれぞれ表しており、矩形で囲む数値がランプ21aを交換し、フォーカス変動の校正を行った直後における検出欠陥数を示す。図11及び図12では、ランプ21aを交換する前における検出欠陥数が1746個、フォーカス変動の校正を行った直後における検出欠陥数が1757個であり、両者は略同等であると言える。また、図13でも、ウェハ単位ではランプ21aを交換する前における検出欠陥数が1698個、フォーカス変動の校正を行った直後における検出欠陥数が1706個であり、セル単位ではランプ21aを交換する前における検出欠陥数が48個、フォーカス変動の校正を行った直後における検出欠陥数が51個であり、それぞれ両者は略同等であると言える。更に、図11では、ランプ21aを交換する前後を通じた逐次の検出欠陥数は、規定された許容範囲(図中の上限値と下限値との間)におさまっている。従って、上記の感度校正方法を用いて、欠陥検出装置の感度校正を行うことにより、ランプ交換前後を通じて欠陥検出装置の高感度が保証される。
【0033】
更に、サンプル基板を欠陥検出感度校正用基板10から実際のゲートパターンが形成された基板に代えて、ランプ交換前後における検出欠陥数の変動について調べた。その結果を図14及び図15に示す。図14では、ランプ交換前後における基板全体(ウェハ単位)及び基板内の所定領域(セル単位)における検出欠陥数の変動をそれぞれ示し、図15では、検出欠陥数の基板内分布と共にランプ交換前後におけるウェハ単位及びセル単位を合算した検出欠陥数をそれぞれ示す。なお、ここで用いるサンプル基板は、コーン欠陥の影響がないものであり、検出欠陥数は比較的小さな値となる。
【0034】
図14では、ウェハ単位ではランプ21aを交換する前における検出欠陥数が198個、フォーカス変動の校正を行った直後における検出欠陥数が199個であり、セル単位ではランプ21aを交換する前における検出欠陥数が103個、フォーカス変動の校正を行った直後における検出欠陥数が104個であり、それぞれ両者は略同等であると言える。また、図15のように両検出欠陥数の合算で考察しても同様である。
【0035】
従って、上記の感度校正方法を用い、欠陥検出装置の感度校正を行うことにより、サンプル基板を代え、ゲートパターンに代表される種々のパターンが形成された基板を用いた場合であっても、ランプ交換前後を通じて欠陥検出装置の高感度が保証される。
【0036】
更に、ランプ交換前と、ランプ交換後でフォーカス変動の校正を行う前とにおける検出欠陥数の変動について調べた。ここでは、サンプル基板として、いわゆるダマシン法によりCu配線を形成する際のCu材料のCMP処理後における基板を用いた。その結果を図16及び図17に示す。図16では、ランプ交換前後における基板全体(ウェハ単位)及び基板内の所定領域(セル単位)における検出欠陥数の変動をそれぞれ示し、図17では、ランプ交換前後における検出欠陥数の基板内分布と共にウェハ単位及びセル単位を合算した検出欠陥数をそれぞれ示す。なお、ここで用いるサンプル基板は、CMP処理による微細な疵が基板表面に生じたものであり、検出欠陥数は比較的大きな値となる。
【0037】
図16では、ウェハ単位ではランプ21aを交換する前における検出欠陥数が1500個、フォーカス変動の校正を行った直後における検出欠陥数が1259個であり、セル単位ではランプ21aを交換する前における検出欠陥数が136個、フォーカス変動の校正を行った直後における検出欠陥数が241個であり、それぞれ両者には変動が見られる。図17のように両検出欠陥数の合算で考察しても同様である。これらの変動は、ランプ交換後のフォーカス変動の校正により、殆ど見られなくなることが確認された。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、実際の半導体プロセスおいて発生する微小欠陥に対応した欠陥検出感度を十分に保証し、特に欠陥検査装置の照明部21におけるランプ21aの交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用することが可能となる。例えば、図18に示すように、半導体基板上で活性領域101を確定するSTI素子分離構造102の絶縁物の一部に、80nm〜200nm程度のサイズのボイド103が発生した場合、従来の手法では当該欠陥を検出できないおそれがある。本実施形態では、ランプ21aを交換した後であっても、このような微細な欠陥(ボイド103はキラー欠陥となり得る)を取りこぼすことなく検出することができる。
【0039】
上述した実施形態による欠陥検出装置を構成する各構成要素(図9の照明部21及びディテクタ22を除く、カウンタ23及び計算機24等)の機能は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。同様に、欠陥検出方法の各ステップ(図10のステップS1〜S3等)は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0040】
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体を用いることができる。ここで、コンピュータネットワークとは、LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等であり、通信媒体とは、光ファイバ等の有線回線や無線回線等である。
【0041】
また、本発明に含まれるプログラムとしては、供給されたプログラムをコンピュータが実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるようなもののみではない。例えば、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本発明に含まれる。また、供給されたプログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本発明に含まれる。
【0042】
例えば、図19は、パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。この図9において、1200はCPU1201を備えたパーソナルコンピュータ(PC)である。PC1200は、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶された、又はフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行する。このPC1200は、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。
【0043】
PC1200のCPU1201、ROM1202またはハードディスク(HD)1211に記憶されたプログラムにより、実施形態の図10におけるステップS1〜S3の手順等が実現される。
【0044】
1203はRAMであり、CPU1201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。1205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)1209や不図示のデバイス等からの指示入力を制御する。
【0045】
1206はCRTコントローラ(CRTC)であり、CRTディスプレイ(CRT)1210の表示を制御する。1207はディスクコントローラ(DKC)である。DKC1207は、ブートプログラム、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)1211、及びフレキシブルディスク(FD)1212とのアクセスを制御する。ここで、ブートプログラムとは、起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラムである。
【0046】
1208はネットワーク・インターフェースカード(NIC)で、LAN1220を介して、ネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、あるいは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
【0047】
(変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。
本例では、第1の実施形態とは欠陥検出感度校正標準基板の構成が若干異なる点で相違する。具体的には、擬似欠陥部の形成される部位である欠陥形成部がシリコン基板上ではなく、その上層膜とされる。
【0048】
図20は、第1の実施形態の変形例による欠陥検出感度校正標準基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図20(a)に示すように、半導体基板、例えばシリコン基板1の上方に、層間絶縁膜30等を介して、例えばCVD法により多結晶シリコン膜31を形成する。次に、多結晶シリコン膜31上に、例えばCVD法により膜厚10nm〜50nm程度のシリコン酸化膜32を形成する。次に、シリコン酸化膜32上に、例えばCVD法により膜厚100nm〜200nm程度のシリコン窒化膜33を形成する。次に、シリコン窒化膜33上に、例えばCVD法により膜厚100nm〜200nm程度の多結晶シリコン膜34を形成する。そして、多結晶シリコン膜34上にレジストを塗布し、このレジストをリソグラフィーで加工することにより、レジストパターン35を形成する。
【0049】
続いて、図20(b)に示すように、レジストパターン35をマスクとし、多結晶シリコン膜31をストッパーとして、多結晶シリコン膜34、シリコン窒化膜33及びシリコン酸化膜32をドライエッチングする。図示の例では、当該ドライエッチングにより、レジストパターン35がエッチングされて消失した様子を示している。このドライエッチングにより、レジストパターン35の形状に倣って多結晶シリコン膜34、シリコン窒化膜33及びシリコン酸化膜32がパターニングされるとともに、シリコン酸化膜32をエッチングした際に飛散したシリコン酸化物の一部が塵芥(パーティクル)36となって、露出した多結晶シリコン膜31の表面に付着する。パーティクル36は、偶発的にランダムに飛散するため、上記のパターニングされら構造物の疎密領域の双方に付着することになる。各パーティクル36はランダムに形成されるため、偶発的に任意のサイズとなる。ここで、パーティクル36として、そのサイズの大きい順に36a,36b,36cを例示する。
【0050】
続いて、図20(c)に示すように、多結晶シリコン膜34をマスクとして用い、例えばシリコン窒化膜33をストッパーとして全面をドライエッチングする。このとき、多結晶シリコン膜34がエッチングされて消失するとともに、多結晶シリコン膜31の表面に付着した各パーティクル36がマスクとして機能して、多結晶シリコン膜31の表層もエッチングされる。この結果、シリコン酸化膜2上にシリコン窒化膜33が積層してなる線状(或いはブロック状)パターン38が形成されるとともに、各パーティクル36が付着した多結晶シリコン膜31には円錐状のコーン欠陥である擬似欠陥部7が形成され、本実施形態の欠陥検出感度校正標準基板40が完成する。
【0051】
擬似欠陥部37としては、ランダムに形成された偶発的に任意のサイズのパーティクル36a,36b,36cがマスクとなったエッチングにより、実際の半導体プロセスにおいて多結晶シリコン膜に発生する微小欠陥と同様に、偶発的に任意のサイズ(高さ)の擬似欠陥部37a,37b,37cが形成される。
【0052】
本例では、欠陥検査装置における検査対象とすることを考慮して、擬似欠陥部37のサイズが線状パターン38の寸法の10倍以下の値、例えば80nm〜200nm程度の範囲内の任意値となるように、シリコン酸化膜32の膜厚やパターン38間の距離等を調節することが好ましい。ここで、擬似欠陥部37cについては、パーティクル36cが極めて微細であるために当該エッチング途中で消失してしまい、その後はマスクのない状態でパターニングされたため、擬似欠陥部37a,37bに比して小さいサイズとされている。
【0053】
ここで、図21に示すように、線状パターン38をウェットエッチング等により除去しても良い。図21では、当該ウェットエッチング等によりパーティクル36a,36bも除去された様子を例示する。線状パターン38を除去することにより、多結晶シリコン膜31の表面に溝31aが作り込まれた状態となり、当該溝31a内に擬似欠陥部37a〜37cのみが残存する。この基板は、多結晶シリコン膜31の表面の屈折率を一様とした欠陥検出感度校正標準基板となる。
【0054】
なお、本例では、シリコン基板1の上方に形成された多結晶シリコン膜31に擬似欠陥部37a〜37cを形成する場合について例示したが、例えばシリコン基板1の上方に形成された層間絶縁膜上に擬似欠陥部を形成しても良い。
【0055】
本例によれば、第1の実施形態と同様に、実際の半導体プロセスおいて発生する微小欠陥に対応した欠陥検出感度を十分に保証し、特に欠陥検査装置の照明部21におけるランプ21aの交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用することが可能となる。
【0056】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態とは欠陥検出感度校正標準基板の構成が異なる点で相違する。
図22は、第2の実施形態による欠陥検出感度校正標準基板を示す概略断面図である。
【0057】
本実施形態では、半導体基板、例えばシリコン基板1の表面に、サイズが不均一な微粒子を散布する。これら微粒子が擬似欠陥部41として機能する。ここで、微粒子の散布領域として、特に対象とする欠陥発生が多く見られる部分を選択することにより、効率良く感度校正を行うことができる。
【0058】
擬似欠陥部41となる微粒子は、例えばシリコン酸化物又はシリコン窒化物を材料として、これを粒子状に形成し、シリコン基板1の表面に散布される。本実施形態では、欠陥検査装置における検査対象とすることを考慮して、微粒子を、例えば80nm〜200nm程度の範囲内の任意のサイズとなるように形成する。
【0059】
このように、表面にサイズが不均一な微粒子が散布されて擬似欠陥部41が形成された状態のシリコン基板1を本実施形態の欠陥検出感度校正標準基板50として用いる。
【0060】
本実施形態によれば、極めて簡易な構成の欠陥検出感度校正標準基板50を用いることにより、第1の実施形態と同等以上に、実際の半導体プロセスおいて発生する微小欠陥に対応した欠陥検出感度を十分に保証し、特に欠陥検査装置の照明部21におけるランプ21aの交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用することが可能となる。
【0061】
(変形例)
ここで、第2の実施形態の緒変形例について説明する。これら緒変形例では、第2の実施形態とは欠陥検出感度校正標準基板の構成が若干異なる点で相違する。なお、第2の実施形態と同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
【0062】
[変形例1]
本例では、擬似欠陥部の形成される部位である欠陥形成部がシリコン基板上ではなく、その上層膜とされる。
図23は、第2の実施形態の変形例1による欠陥検出感度校正標準基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0063】
先ず、図23(a)に示すように、半導体基板、例えばシリコン基板1の表面、特に対象とする欠陥発生が多く見られる部分に、層間絶縁膜42等を介して、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積し、絶縁膜43を形成する。
【0064】
続いて、図23(b)に示すように、第2の実施形態と同様の手法により、絶縁膜43の表面に、サイズが不均一な微粒子を散布する。これら微粒子が擬似欠陥部41として機能する。ここで、微粒子の散布領域として、特に対象とする欠陥発生が多く見られる部分を選択することにより、効率良く感度校正を行うことができる。
【0065】
このように、絶縁膜43の表面にサイズが不均一な微粒子が散布されて擬似欠陥部41が形成された状態のシリコン基板1を本実施形態の欠陥検出感度校正標準基板60として用いる。
【0066】
なお、本例では、シリコン基板1の上方に形成された絶縁膜34に擬似欠陥部37a〜37cを形成する場合について例示したが、例えばシリコン基板1の上方に形成された多結晶シリコン膜上に擬似欠陥部を形成しても良い。
【0067】
本実施形態によれば、極めて簡易な構成の欠陥検出感度校正標準基板60を用いることにより、第1の実施形態と同等以上に、実際の半導体プロセスおいて発生する微小欠陥に対応した欠陥検出感度を十分に保証し、特に欠陥検査装置の照明部21におけるランプ21aの交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用することが可能となる。
【0068】
[変形例2]
本例では、擬似欠陥部の形成される部位である欠陥形成部が、シリコン基板及びシリコン基板の上方に形成された少なくとも1層の上層膜から選ばれた少なくとも2つとされる。
図24は、第2の実施形態の変形例2による欠陥検出感度校正標準基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0069】
先ず、図24(a)に示すように、半導体基板、例えばシリコン基板1の表面、特に対象とする欠陥発生が多く見られる部分に、層間絶縁膜42等を介して、照明部21におけるランプ21aの照明光に対して透明な材料、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積し、絶縁膜44を形成する。
【0070】
続いて、図24(b)に示すように、第2の実施形態と同様の手法により、絶縁膜44の表面に、サイズが不均一な微粒子を散布する。これら微粒子が擬似欠陥部45として機能する。ここで、微粒子の散布領域として、特に対象とする欠陥発生が多く見られる部分を選択することにより、効率良く感度校正を行うことができる。
【0071】
続いて、図24(c)に示すように、擬似欠陥部45を覆うように、絶縁膜44上に、同様に照明部21におけるランプ21aの照明光に対して透明な材料、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積し、絶縁膜46を形成する。次に、同様に照明部21におけるランプ21aの照明光に対して透明な材料、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を絶縁膜46上に堆積し、絶縁膜47を形成する。ここで、絶縁膜47は、後述するように膜厚が調節されている。
【0072】
続いて、図24(d)に示すように、第2の実施形態と同様の手法により、絶縁膜47の表面に、サイズが不均一な微粒子を散布する。これら微粒子が擬似欠陥部48として機能する。ここで、微粒子の散布領域として、特に対象とする欠陥発生が多く見られる部分を選択することにより、効率良く感度校正を行うことができる。
【0073】
このように、絶縁膜44、47の表面にサイズが不均一な微粒子が散布されて擬似欠陥部45、48が形成された状態のシリコン基板1を本実施形態の欠陥検出感度校正標準基板70として用いる。
【0074】
本例では、照明部21におけるランプ21aから照射された照明光が、擬似欠陥部48で反射(散乱)した反射(散乱)光と、当該照明光が絶縁膜47(及び絶縁膜46の上部)を通過して擬似欠陥部47で反射(散乱)した反射(散乱)光との光路差に基づいて、これら2種の照明光が強め合う、又は打ち消し合うための条件を満たすように、絶縁膜47(及び絶縁膜46の上部)の厚みが調節されている。これにより、フォーカス変動の校正を正確且つ確実に行うことができる。
【0075】
本実施形態によれば、極めて簡易な構成の欠陥検出感度校正標準基板70を用いることにより、第1の実施形態と同等以上に、実際の半導体プロセスおいて発生する微小欠陥に対応した欠陥検出感度を十分に保証し、特に欠陥検査装置の照明部21におけるランプ21aの交換後の感度調整を判断する指標として製造管理に利用することが可能となる。
【0076】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0077】
(付記1)デバイスに発生した欠陥部を検出する欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板であって、
欠陥形成部と、
前記欠陥形成部の表面に形成された複数の擬似欠陥部を含み、
前記各擬似欠陥部は、各々の大きさが任意に形成されてなるものであることを特徴とする欠陥検出感度校正用基板。
【0078】
(付記2)前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に付着した任意の複数の塵芥をマスクとして前記欠陥形成部の表面が加工されて形成されてなる突起状構造体であることを特徴とする付記1に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【0079】
(付記3)前記欠陥形成部の表面に所定のパターンを有するパターン部を更に含み、
前記塵芥は、前記パターンの加工形成時に前記パターンの材料の一部が前記基板の表面上に付着してなるものであることを特徴とする付記2に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【0080】
(付記4)前記各擬似欠陥部は、それぞれ高さが前記パターンの寸法の10倍以下の値であることを特徴とする付記3に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【0081】
(付記5)前記擬似欠陥部は、円錐形状であることを特徴とする付記3又は4に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【0082】
(付記6)前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に散布された、各々の大きさが任意に形成されてなる微粒子であることを特徴とする付記1に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【0083】
(付記7)前記欠陥形成部は基板であることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【0084】
(付記8)前記欠陥形成部は、基板の上方に形成された薄膜であることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【0085】
(付記9)前記欠陥形成部は、基板及び前記基板の上方に形成された少なくとも1層の薄膜から選ばれた少なくとも2つであることを特徴とする付記6に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【0086】
(付記10)デバイスに形成された欠陥部を検出する欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板の製造方法であって、
欠陥形成部の表面に所定のパターンを形成するための材料膜を成膜する工程と、
前記材料膜を加工して前記パターンを有するパターン部を形成するとともに、前記基板の表面に前記材料膜の一部が付着してなる任意の複数の塵芥をマスクとして用い、前記基板の表面を加工して、各々が任意の大きさの各擬似欠陥部を形成する工程と
を含むことを特徴とする欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【0087】
(付記11)前記各擬似欠陥部を形成する工程の後、
前記材料膜からなる前記パターンを除去する工程を更に含むことを特徴とする付記10に記載の欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【0088】
(付記12)前記欠陥形成部が基板であることを特徴とする付記10又は11に記載の欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【0089】
(付記13)前記欠陥形成部は、基板の上方に形成された薄膜であることを特徴とする付記10又は11に記載の欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【0090】
(付記14)デバイスに形成された欠陥部を検出する欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板の製造方法であって、
欠陥形成部の表面に、各々が任意の大きさの微粒子を散布し、各擬似欠陥部を形成することを特徴とする欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【0091】
(付記15)前記欠陥形成部は基板であることを特徴とする付記14に記載の欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【0092】
(付記16)前記欠陥形成部は、基板の上方に形成された薄膜であることを特徴とする付記14に記載の欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【0093】
(付記17)前記欠陥形成部は、基板及び前記基板の上方に形成された少なくとも1層の薄膜から選ばれた少なくとも2つであることを特徴とする付記14に記載の欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【0094】
(付記18)欠陥検出感度校正用基板を用いて、照明手段により前記欠陥検出感度校正用基板上を光照射し、その反射光を検出することにより欠陥検査を行う欠陥検査装置の感度校正方法であって、
前記欠陥検出感度校正用基板は、
欠陥形成部と、
前記欠陥形成部の表面に形成された、各々の大きさが任意に形成されてなる複数の擬似欠陥部と
を含むものであり、
前記光源が交換される前に、前記欠陥検出感度校正用基板を用いて前記擬似欠陥部を検出するステップと、
前記光源が交換された後に、前記欠陥検出感度校正用基板を用いて前記擬似欠陥部を検出するステップと、
前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数との差分を計算し、当該計算値を、前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数を前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と同等とする調整作業に供するステップと
を含むことを特徴とする欠陥検査装置の感度校正方法。
【0095】
(付記19)前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に付着した任意の複数の塵芥をマスクとして前記欠陥形成部の表面が加工されて形成されてなる突起状構造体であることを特徴とする付記18に記載の欠陥検査装置の感度校正方法。
【0096】
(付記20)前記欠陥形成部の表面に所定のパターンを有するパターン部を更に含み、
前記塵芥は、前記パターンの加工形成時に前記パターンの材料の一部が前記基板の表面上に付着してなるものであることを特徴とする付記18又は19に記載の欠陥検査装置の感度校正方法。
【0097】
(付記21)前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に散布された、各々の大きさが任意に形成されてなる微粒子であることを特徴とする付記18に記載の欠陥検査装置の感度校正方法。
【0098】
(付記22)前記欠陥形成部は基板であることを特徴とする付記18〜21のいずれか1項に記載の欠陥検査装置の感度校正方法。
【0099】
(付記23)前記欠陥形成部は、基板の上方に形成された薄膜であることを特徴とする付記18〜21のいずれか1項に記載の欠陥検査装置の感度校正方法。
【0100】
(付記24)前記欠陥形成部は、基板及び前記基板の上方に形成された少なくとも1層の薄膜から選ばれた少なくとも2つであることを特徴とする付記21に記載の欠陥検査装置の感度校正方法。
【0101】
(付記25)欠陥形成部と、前記欠陥形成部の表面に形成された、各々の大きさが任意に形成されてなる複数の擬似欠陥部とを含む欠陥検出感度校正用基板と、
光源を有し、前記欠陥検出感度校正用基板上を光照射する照明手段と、
前記欠陥検出感度校正用基板からの反射光を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記欠陥検出感度校正用基板の擬似欠陥部の検出数をカウントするカウント手段と、
前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と、前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数との差分を計算する計算手段と
を含むことを特徴とする欠陥検査装置。
【0102】
(付記26)前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に付着した任意の複数の塵芥をマスクとして前記欠陥形成部の表面が加工されて形成されてなる突起状構造体であることを特徴とする付記25に記載の欠陥検査装置。
【0103】
(付記27)前記欠陥形成部の表面に所定のパターンを有するパターン部を更に含み、
前記塵芥は、前記パターンの加工形成時に前記パターンの材料の一部が前記基板の表面上に付着してなるものであることを特徴とする付記25又は26に記載の欠陥検査装置。
【0104】
(付記28)前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に散布された、各々の大きさが任意に形成されてなる微粒子であることを特徴とする付記25に記載の欠陥検査装置。
【0105】
(付記29)前記欠陥形成部は基板であることを特徴とする付記25〜28のいずれか1項に記載の欠陥検査装置。
【0106】
(付記30)前記欠陥形成部は、基板の上方に形成された薄膜であることを特徴とする付記25〜28のいずれか1項に記載の欠陥検査装置。
【0107】
(付記31)前記欠陥形成部は、基板及び前記基板の上方に形成された少なくとも1層の薄膜から選ばれた少なくとも2つであることを特徴とする付記28に記載の欠陥検査装置。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】サイズがランダムな微小擬似欠陥を形成した基板をサンプル基板として用い、ランプの交換前後における欠陥数を検出した結果を示す特性図である。
【図2】ランプの交換前後における焦点(フォーカス)変化を説明するための概略断面図である。
【図3】ランプ交換によるフォーカス変動の校正を行った一例を示す説明図である。
【図4】フォーカス・オフセット量と検出欠陥数との関係について調べた結果を示す特性図である。
【図5】フォーカス・カーブにおけるフォーカス・オフセット量と検出欠陥数との関係を示す特性図である。
【図6】第1の実施形態による欠陥検出感度校正標準基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図7】第1の実施形態による欠陥検出感度校正標準基板の他の例を示す概略断面図である。
【図8】欠陥検出感度校正標準基板の表面の一部の様子の顕微鏡写真を示す図である。
【図9】第1の実施形態による欠陥検出装置の概略構成を示す模式図である。
【図10】欠陥検出装置の感度を校正する方法を示すフロー図である。
【図11】実際に欠陥検出装置の感度校正を行った場合の検出欠陥数の変動の一例を示す特性図である。
【図12】検出欠陥数の基板内分布と共に、ランプ交換直前とフォーカス変動の校正直後との欠陥検出感度校正用基板における欠陥検出の比較を示す概略平面図である。
【図13】基板全体(ウェハ単位)及び基板内の所定領域(セル単位)における検出欠陥数の変動の一例を示す特性図である。
【図14】ゲートパターンが形成された基板を用い、実際に欠陥検出装置の感度校正を行った場合の検出欠陥数の変動の一例を示す特性図である。
【図15】ゲートパターンが形成された基板を用い、検出欠陥数の基板内分布と共にランプ交換前後におけるウェハ単位及びセル単位を合算した検出欠陥数をそれぞれ示す概略平面図である。
【図16】ランプ交換前後における基板全体(ウェハ単位)及び基板内の所定領域(セル単位)における検出欠陥数の変動をそれぞれ示す特性図である。
【図17】ランプ交換前後における検出欠陥数の基板内分布と共にウェハ単位及びセル単位を合算した検出欠陥数をそれぞれ示す概略平面図である。
【図18】STI素子分離構造の絶縁物の一部にボイドが発生した様子を示す概略平面図である。
【図19】パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。
【図20】第1の実施形態の変形例による欠陥検出感度校正標準基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図21】第1の実施形態の変形例による欠陥検出感度校正標準基板の他の例を示す概略断面図である。
【図22】第2の実施形態による欠陥検出感度校正標準基板を示す概略断面図である。
【図23】第2の実施形態の変形例1による欠陥検出感度校正標準基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図24】第2の実施形態の変形例2による欠陥検出感度校正標準基板の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0109】
1 シリコン基板
2 シリコン酸化膜
3 シリコン窒化膜
4 多結晶シリコン膜
5 レジストパターン
6 パーティクル
7 擬似欠陥部
8 パターン
21 照明部
21a ランプ
22 ディテクタ
23 カウンタ
24 計算機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスに発生した欠陥部を検出する欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板であって、
欠陥形成部と、
前記欠陥形成部の表面に形成された複数の擬似欠陥部を含み、
前記各擬似欠陥部は、各々の大きさが任意に形成されてなるものであることを特徴とする欠陥検出感度校正用基板。
【請求項2】
前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に付着した任意の複数の塵芥をマスクとして前記欠陥形成部の表面が加工されて形成されてなる突起状構造体であることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【請求項3】
前記欠陥形成部の表面に所定のパターンを有するパターン部を更に含み、
前記塵芥は、前記パターンの加工形成時に前記パターンの材料の一部が前記基板の表面上に付着してなるものであることを特徴とする請求項2に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【請求項4】
前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に散布された、各々の大きさが任意に形成されてなる微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検出感度校正用基板。
【請求項5】
デバイスに形成された欠陥部を検出する欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板の製造方法であって、
欠陥形成部の表面に所定のパターンを形成するための材料膜を成膜する工程と、
前記材料膜を加工して前記パターンを有するパターン部を形成するとともに、前記基板の表面に前記材料膜の一部が付着してなる任意の複数の塵芥をマスクとして用い、前記基板の表面を加工して、各々が任意の大きさの各擬似欠陥部を形成する工程と
を含むことを特徴とする欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【請求項6】
前記各擬似欠陥部を形成する工程の後、
前記材料膜からなる前記パターンを除去する工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【請求項7】
デバイスに形成された欠陥部を検出する欠陥検出装置の検出感度を校正するために用いられる欠陥検出感度校正用基板の製造方法であって、
欠陥形成部の表面に、各々が任意の大きさの微粒子を散布し、各擬似欠陥部を形成することを特徴とする欠陥検出感度校正用基板の製造方法。
【請求項8】
欠陥検出感度校正用基板を用いて、照明手段により前記欠陥検出感度校正用基板上を光照射し、その反射光を検出することにより欠陥検査を行う欠陥検査装置の感度校正方法であって、
前記欠陥検出感度校正用基板は、
欠陥形成部と、
前記欠陥形成部の表面に形成された、各々の大きさが任意に形成されてなる複数の擬似欠陥部と
を含むものであり、
前記光源が交換される前に、前記欠陥検出感度校正用基板を用いて前記擬似欠陥部を検出するステップと、
前記光源が交換された後に、前記欠陥検出感度校正用基板を用いて前記擬似欠陥部を検出するステップと、
前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数との差分を計算し、当該計算値を、前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数を前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と同等とする調整作業に供するステップと
を含むことを特徴とする欠陥検査装置の感度校正方法。
【請求項9】
前記各擬似欠陥部は、前記欠陥形成部の表面に付着した任意の複数の塵芥をマスクとして前記欠陥形成部の表面が加工されて形成されてなる突起状構造体であることを特徴とする請求項8に記載の欠陥検査装置の感度校正方法。
【請求項10】
欠陥形成部と、前記欠陥形成部の表面に形成された、各々の大きさが任意に形成されてなる複数の擬似欠陥部とを含む欠陥検出感度校正用基板と、
光源を有し、前記欠陥検出感度校正用基板上を光照射する照明手段と、
前記欠陥検出感度校正用基板からの反射光を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記欠陥検出感度校正用基板の擬似欠陥部の検出数をカウントするカウント手段と、
前記光源の交換前における前記擬似欠陥部の検出数と、前記光源の交換後における前記擬似欠陥部の検出数との差分を計算する計算手段と
を含むことを特徴とする欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−73925(P2007−73925A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77573(P2006−77573)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】