説明

欠陥解析装置、欠陥解析方法および欠陥解析プログラム

【課題】基板装置表面のパターン欠陥の致命度をより信頼度高く判定する。
【解決手段】データ処理部10は、欠陥レビュー部12を介して基板装置のパターン欠陥を含んだレビュー画像を取得し(レビュー画像取得部104)、そのレビュー画像と欠陥のない参照画像とを比較することにより欠陥画像を抽出するとともに、前記レビュー画像とそのレビュー画像に対応する領域の同じレイヤの設計データから生成した自レイヤ設計パターン画像との位置合わせを行う(画像位置合わせ部105)。そして、その位置合わせの結果に基づき、前記レビュー画像に対応する領域の他のレイヤの設計データから他レイヤ設計パターン画像を生成し、前記欠陥画像と他レイヤ設計パターン画像との合成画像に基づき、前記欠陥と他レイヤのパターンとの相対位置関係を求め、その相対位置関係に基づき致命度を判定する(致命度判定部106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路基板装置、液晶基板装置など所定のパターンが形成された基板装置の表面の欠陥の致命度を判定する欠陥解析装置、欠陥解析方法および欠陥解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、集積回路基板装置などの表面のパターン欠陥は、光学顕微鏡や電子顕微鏡などにより取得した検査対象基板装置表面の画像と、あらかじめ取得した欠陥のない基板装置表面の画像(参照画像)と、の差分画像として検出される。このような欠陥検出方法に基づき、製造過程にある集積回路基板装置などのパターン欠陥(以下、単に、欠陥という)を効率よく検出する装置は、一般には、パターン欠陥検査装置(以下、単に、欠陥検査装置という)と呼ばれている。
【0003】
欠陥検査装置は、集積回路基板装置などを製造する製造ラインに組み込まれて用いられるため、その機能および性能のリソースは、欠陥検査のスループット向上のために振り向けられている。従って、欠陥検査装置は、欠陥の位置座標と欠陥の大きさなどを検出するにとどまり、欠陥の種類など欠陥についての詳細な情報を取得するためには、さらに、欠陥レビュー装置が用いられる。
【0004】
欠陥レビュー装置は、欠陥検査装置から与えられる欠陥の位置座標と欠陥の大きさなどに基づき、欠陥の画像を拡大し、その拡大した欠陥の画像から、その欠陥についての詳細な情報を取得する。例えば、欠陥レビュー装置は、欠陥の形状、輝度、明るさのばらつきなどを、所定の評価基準に従って評価し、その評価結果に基づき、欠陥の種類を特定するなどの機能を備えている。
【0005】
しかしながら、実用に供されている従来の欠陥レビュー装置においては、欠陥そのものの解析に注意が払われ、欠陥と他の構成要素との相対関係には注意が払われなかった嫌いがある。そのため、欠陥の種類などを特定することはできても、基板装置上に形成された配線などの回路要素との位置関係を解析することができず、その結果、基板装置上に形成される集積回路などの機能に及ぼす影響度などを判定することができなかった。
【0006】
とはいえ、文献レベルでは、例えば、特許文献1や特許文献2などに開示されているように、欠陥と基板装置の表面に形成されるパターンとの相対位置関係を解析することにより、回路要素に対する欠陥の致命度や影響度を判定するものがある。それらの文献によれば、欠陥検査装置により取得された欠陥の位置座標および大きさのデータと、基板装置の表面に形成されるパターンの設計データと、に基づき、欠陥が回路要素と接触しているか否かを判定したり、欠陥と回路要素との距離を計算したりすることによって、欠陥の致命度や影響度を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−311924号公報
【特許文献2】特開2000−68342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1や特許文献2などに開示されている基板装置の表面のパターン欠陥の致命度や影響度を判定する方法には、例えば、次のような問題が存在する。
【0009】
まず、第1に、その欠陥の致命度や影響度は、欠陥検査装置から取得されたデータに基づき判定されたものであり、欠陥レビュー装置を用いて判定されたものではないということである。すなわち、その欠陥の位置座標や大きさのデータは、欠陥1つ1つに注目してその画像を拡大し、その拡大した画像から得られたものではない。また、その座標値は、必ずしも、設計データと位置合わせした結果得られたデータでもない。従って、その欠陥の位置座標や大きさのデータについては、精度の面で問題があり、とくに、欠陥と回路要素との距離により欠陥の致命度や影響度を判定する場合には、その判定された致命度や影響度には、充分に信頼性があるとはいい難い。
【0010】
第2に、欠陥の致命度や影響度は、欠陥が検出されたレイヤと同じレイヤの回路要素との相対位置関係だけで判定されていることである。近年では、集積回路基板装置などにおいては、回路要素の微細化とともに層間(レイヤ間)絶縁膜も薄くなり、例えば、あるレイヤで生じた異物などの欠陥は、その上部レイヤや下部レイヤに影響を及ぼすことが多くなってきている。つまり、あるレイヤにおいて欠陥が検出され、その欠陥がそのレイヤのいずれの回路要素とも影響し合わない位置にあったとしても、その欠陥の直上または直下に上部レイヤまたは下部レイヤの回路要素があったとすれば、その上部レイヤまたは下部レイヤの回路要素は、その欠陥の影響を受けないわけはなく、場合によっては、致命的な影響を受ける可能性もある。従って、欠陥の致命度や影響度を求めるに際して、その欠陥に対して、上部および下部レイヤにおける回路要素との相対位置関係をも考慮するのでなければ、信頼性のある結果は得られないといえる。
【0011】
このように、特許文献1や特許文献2などに開示されている方法には、基板装置の表面のパターン欠陥の致命度や影響度を、必ずしも、精度よく、しかも、信頼性のあるようには、求めることができないという問題がある。
【0012】
以上のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、基板装置の表面における欠陥とその欠陥が検出されたレイヤと異なるレイヤの回路要素との相対位置関係を高精度に定めることができ、さらに、その欠陥の致命度をより信頼度高く判定することが可能な欠陥解析装置、欠陥解析方法および欠陥解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明では、基板装置の表面における欠陥とその欠陥が検出されたレイヤと異なるレイヤの回路要素との相対位置関係を求めることができるようにした。
【0014】
すなわち、本発明の欠陥解析装置は、複数レイヤのパターンが形成される基板の表面の一部のレビュー画像を取得するレビュー画像取得部と、前記基板の各レイヤに形成されるパターンの形状に係る設計データを保持し、前記レビュー画像取得部により取得した前記基板のレビュー画像に含まれる欠陥の致命度を判定するデータ処理部と、を含んで構成される。そして、前記データ処理部が、前記レビュー画像取得部を介して、前記欠陥を含むレイヤの前記欠陥を含む領域のレビュー画像を取得し、前記取得したレビュー画像を、所定の参照画像と比較することによって、前記レビュー画像から前記欠陥部分の画像を欠陥画像として抽出し、前記レビュー画像に対応する領域に対して前記欠陥を含むレイヤと同じレイヤの前記設計データから生成した自レイヤ設計パターン画像と前記レビュー画像との画像マッチングにより、前記自レイヤ設計パターン画像と前記レビュー画像との位置合わせを行い、前記位置合わせの結果と、前記欠陥画像と、前記レビュー画像に対応する領域に対して前記欠陥を含むレイヤと異なるレイヤの前記設計データから生成した他レイヤ設計パターン画像と、に基づいて、前記欠陥と当該欠陥を含むレイヤと異なるレイヤのパターンとの第1の相対位置関係を表すデータを求め、前記求めた第1の相対位置関係を表すデータに基づき、前記欠陥が当該欠陥を含むレイヤと異なるレイヤのパターンに及ぼす致命度を判定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板装置の表面における欠陥とその欠陥が検出されたレイヤと異なるレイヤの回路要素との相対位置関係を高精度に定めることができ、さらに、その欠陥の致命度をより信頼度高く判定することが可能な欠陥解析装置、欠陥解析方法および欠陥解析プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るパターン欠陥解析装置の構成、および、そのパターン欠陥解析装置が適用されるシステムの全体構成の例を示した図。
【図2】本発明の実施形態においてパターン欠陥解析の対象となる集積回路基板装置の構成の例を示した図。
【図3】本発明の実施形態に係るパターン欠陥解析装置によるパターン欠陥解析の手順を示した図。
【図4】図3のステップS4における欠陥画像の抽出の例を模式的に示した図。
【図5】図3のステップS5におけるレビュー画像と設計データとの位置合わせの例を模式的に示した図。
【図6】図3のステップS14における致命度判定結果を表示装置に表示した例を示した図。
【図7】本発明の実施形態に係るパターン欠陥解析装置において欠陥と複数のレイヤの回路要素との相対位置関係を表示装置に表示した例を示した図。
【図8】本発明の実施形態に係るパターン欠陥解析装置を用いた欠陥解析の対象となる欠陥種別の例を示した図。
【図9】本発明の実施形態に係るパターン欠陥解析装置における致命度判定基準データの構成の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るパターン欠陥解析装置の構成、および、そのパターン欠陥解析装置が適用されるシステムの全体構成の例を示した図である。図1に示すように、パターン欠陥解析装置1は、データ処理部10、データ通信部11、欠陥レビュー部12、データ入出力部13などを含んで構成され、通信ネットワーク4を介してパターン欠陥検査装置2および設計データサーバ3に接続される。
【0019】
ここで、パターン欠陥検査装置2は、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡などを含んで構成され、基板装置の表面に形成されたパターンの表面観察画像を取得して、そのパターン欠陥や異物(以下、これらを総称して、単に、欠陥という)を検出する装置であり、検出した欠陥の位置座標と大きさに係るデータを出力する。また、設計データサーバ3は、ハードディスク装置など大容量の記憶装置を備えたコンピュータによって構成され、解析対象の基板装置に形成されるパターンの形状を表した設計データを蓄積、管理する。また、通信ネットワーク4は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどによって構成される。
【0020】
パターン欠陥解析装置1は、一般的には欠陥レビュー装置と呼ばれる装置に相当する。そして、その欠陥レビュー部12は、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡などを含んで構成され、解析対象の基板装置の表面に形成されたパターンの表面観察画像を取得する。また、データ処理部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、半導体メモリやハードディスク装置などからなる図示しない記憶装置と、を少なくとも含んで構成され、欠陥レビュー部12によって取得された基板装置の表面観察画像を処理して、欠陥を検出し、分類するなど、通常の欠陥レビュー装置と同様の機能を有するほか、以下、順次説明する本実施形態に独自の機能を有する。
【0021】
さらに、データ通信部11は、ネットワークインタフェースカードやルータなどによって構成され、データ処理部10を通信ネットワーク4に接続する。また、データ入出力部13は、キーボード、マウス、ペンタブレット、LCD(Liquid Crystal Display)表示装置、などによって構成され、ユーザがデータ処理部10に欠陥レビュー部12などを動作させるための様々な情報を入力するのに用いられるとともに、欠陥レビュー部12により取得された基板装置の表面画像やデータ処理部10により処理された様々なデータを表示するのに用いられる。
【0022】
なお、本実施形態では、パターン欠陥解析装置1の解析対象基板装置は、説明の便宜上、半導体ウェーハ上に集積回路を形成する途上にある集積回路基板装置であるとするが、それに限定されるものではない。解析対象の基板装置は、製造途上にあるLCD基板装置や、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ基板装置などであってもよい。
【0023】
続いて、データ処理部10の構成について詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、データ処理部10は、欠陥検査データ取得部101、設計データ取得部102、レビュー制御部103、レビュー画像取得部104、画像位置合わせ部105、致命度判定部106、判定結果データ表示部107などの処理機能ブロックと、欠陥検査データ記憶部108、設計データ記憶部109、レビュー画像データ記憶部110、致命度判定基準データ記憶部111、判定結果データ記憶部112などの記憶機能ブロックと、を含んで構成される。
【0025】
ここで、欠陥検査データ取得部101、設計データ取得部102、レビュー制御部103、レビュー画像取得部104、画像位置合わせ部105、致命度判定部106、判定結果データ表示部107などの処理機能ブロックの機能は、データ処理部10の図示しないCPUが同様に図示しない記憶装置に格納されている所定のプログラムを実行することによって実現される。また、欠陥検査データ記憶部108、設計データ記憶部109、レビュー画像データ記憶部110、致命度判定基準データ記憶部111、判定結果データ記憶部112などの記憶機能ブロックは、前記図示しない記憶装置上に構成される。
【0026】
図1において、欠陥検査データ取得部101は、パターン欠陥検査装置2から、パターン欠陥検査装置2が検査して得た当該解析対象基板装置のパターン欠陥検査結果のデータを、通信ネットワーク4およびデータ通信部11を介して取得し、その取得したパターン欠陥検査結果のデータを欠陥検査データとして欠陥検査データ記憶部108へ格納する。ここで、欠陥検査データは、検出されたそれぞれの欠陥ごとにその欠陥の位置座標とその欠陥の大きさを表すデータとを含むものとする。
【0027】
設計データ取得部102は、設計データサーバ3から、その設計データサーバ3が蓄積している解析対象基板装置の設計データを、通信ネットワーク4およびデータ通信部11を介して取得し、その取得した設計データを設計データ記憶部109へ格納する。なお、ここでいう設計データは、基板装置の表面に回路要素などを形成するためのマスクパターンなどのデータであり、少なくともそのデータにより基板装置の表面に形成される回路要素などのパターンの形状を表すことが可能なデータであるとする。
【0028】
また、設計データ取得部102は、解析対象基板装置の設計データを取得するとき、その設計データのすべてを取得するのではなく、その設計データの一部を抜粋して取得するとしてもよい。例えば、解析対象の欠陥の位置が限定されている場合や、欠陥の存在するレイヤが限定されている場合には、設計データ取得部102は、設計データサーバ3に対し、抜粋対象の領域やレイヤなどを指定するデータを送信して、設計データの抜粋を指示する。設計データサーバ3は、その指示を受信すると、指示された設計データを抜粋し、その抜粋した設計データをパターン欠陥解析装置1へ送信する。この場合、設計データサーバ3からパターン欠陥解析装置1へ送信されるデータ量が削減されるので、通信ネットワーク4の通信負荷が軽減されるとともに、設計データの送信時間が短縮されるので、パターン欠陥解析に要する合計時間も短縮される。
【0029】
レビュー制御部103は、欠陥レビュー部12(走査型電子顕微鏡など)に対し、欠陥を含む領域の位置データ、倍率、コントラストなど、欠陥レビュー部12を動作させるためのデータを設定し、解析対象基板装置の表面の撮像を指示する。その場合、その設定データは、あらかじめ欠陥解析用レシピデータとして記憶装置に記憶しておいてもよく、また、欠陥解析担当者が、必要に応じて、データ入出力部13を介して入力するようにしてもよい。なお、欠陥の位置データは、欠陥検査データ記憶部108に記憶されている欠陥検査データに含まれる座標位置データのうち、1つが選択されて設定される。
【0030】
レビュー画像取得部104は、レビュー制御部103の指示に従って欠陥レビュー部12が撮像した解析対象基板装置の表面の表面観察画像を取得し、その取得した解析対象基板装置の表面の画像をレビュー画像データ記憶部110に格納するとともに、データ入出力部13の表示装置に表示する。なお、本明細書では、レビュー画像取得部104によって取得された解析対象基板装置の表面の表面観察画像を、以下、単に、レビュー画像という。
【0031】
画像位置合わせ部105は、まず、レビュー画像取得部104により取得されたレビュー画像と参照画像とを比較し、その差分画像を欠陥画像として検出する。ここで、参照画像とは、当該解析対象基板装置の前記レビュー画像を取得した領域と同じパターン形状を有する領域で欠陥がないことが知られている領域のレビュー画像、または、その領域に対応する設計データから生成されるパターン画像をいう。
【0032】
画像位置合わせ部105は、また、レビュー画像取得部104により取得されたレビュー画像と、そのレビュー画像と同じ領域部分の同じレイヤの設計データから生成される自レイヤ設計パターン画像と、の画像マッチングを行うことにより、両画像の位置合わせを行い、レビュー画像と設計データとの間での座標系の整合を図り、さらに、自レイヤ設計パターン画像と前記欠陥画像とを合成した自レイヤ欠陥合成画像(請求項などでいう第2の合成画像)を生成する。
【0033】
画像位置合わせ部105は、さらに、レビュー画像取得部104により取得されたレビュー画像と同じ領域部分の異なるレイヤの設計データに基づき、他レイヤ設計パターン画像を生成し、他レイヤ設計パターン画像と前記欠陥画像とを合成した他レイヤ欠陥合成画像(請求項などでいう第1の合成画像)を生成する。
【0034】
致命度判定部106は、画像位置合わせ部105により生成された自レイヤ欠陥合成画像および他レイヤ欠陥合成画像に基づき、レビュー画像により検出された欠陥とその欠陥と同じレイヤのパターンとの相対位置関係を表すデータ(例えば、その離間距離などであり、請求項などでいう第2の相対位置関係を表すデータ)、および、レビュー画像により検出された欠陥とその欠陥と異なるレイヤのパターンとの相対位置関係を表すデータ(例えば、その離間距離などであり、請求項などでいう第1の相対位置関係を表すデータ)を取得する。
【0035】
致命度判定部106は、その取得した第1または第2の相対位置関係を表すデータと、致命度判定基準データ記憶部111に記憶されている致命度判定基準データとに基づき、当該欠陥の致命度を判定し、その判定した致命度のデータを判定結果データ記憶部112に格納する。なお、致命度判定基準データ記憶部111のデータの構成の例については、別途、図を参照して詳しく説明する。
【0036】
判定結果データ表示部107は、致命度判定部106によって判定された欠陥の致命度およびその欠陥の位置や大きさなどのデータを、一覧表の形などによりデータ入出力部13の表示装置に表示する。その表示例については、別途、図を参照して詳しく説明する。
【0037】
続いて、パターン欠陥解析装置1を用いて行われるパターン欠陥解析の手順について、以下、具体的な例を示しながら説明する。図2は、本実施形態においてパターン欠陥解析の対象となる集積回路基板装置の構成の例を示した図である。
【0038】
図2(a)に示すように、集積回路基板装置5は、シリコン単結晶などからなり、図示しないアクティブ素子が多数形成された半導体ウェーハ51上に、そのアクティブ素子をつなぐための複数のレイヤからなる配線層52が形成されて構成される。なお、一般的には、半導体ウェーハとは、集積回路などを形成する前、形成する途上、または、形成された後の基板装置全体を指すことが多いが、ここでは、便宜上、その基体となる、例えば、シリコン単結晶などのウェーハ、または、そのウェーハにトランジスタなどのアクティブ素子が形成されたものを指すものとしている。
【0039】
図2(a)の例では、配線層52は、レイヤL1、レイヤL2、レイヤL3の3層が示されているが、その層数は、3層に限定されるものではない。また、それぞれの配線層52は、例えば、アルミニウムや銅などの導電性の金属などで形成され、それぞれの配線層52の層間およびに配線層52とアクティブ素子との間には、酸化シリコンや窒化シリコンなどからなる絶縁層が形成される。なお、異なる配線層52の配線同士を接続する場合、または、配線層52の配線と半導体ウェーハ51に形成されたアクティブ素子とを接続する場合には、絶縁層に図示しないコンタクトホールを形成し、そのコンタクトホールに導電性金属などを充填する。
【0040】
以上のような集積回路基板装置5を製造する場合、まず、半導体ウェーハ51に不純物を注入するなどして活性領域を形成し、さらに、ゲート層などを形成して、アクティブ素子を形成し、それを絶縁層で覆った上で、レイヤL1の配線を形成する。続いて、レイヤL1の配線を他の絶縁層で覆い、レイヤL2の配線を形成し、さらに、レイヤL2の配線を他の絶縁層で覆い、レイヤL3配線を形成する。
【0041】
このような集積回路基板装置5の製造工程においては、その工程管理のために、各レイヤの配線形成工程が終了するごとに、その工程で形成した配線パターンについてのパターン欠陥検査が、パターン欠陥検査装置2を用いて実施される。そして、そのパターン欠陥検査により、何らかの工程上の問題が発見された場合、または、工程管理上必要と判断された場合には、パターン欠陥検査装置2によって検出された欠陥について、さらに、詳細な欠陥解析が、パターン欠陥解析装置1を用いて実施される。
【0042】
図2(a)には、レイヤL2の配線形成後のパターン欠陥検査により欠陥f(例えば、異物)が検出された例が示されている。その場合、そのときの集積回路基板装置5の表面観察画像をパターン欠陥解析装置1で取得したときには、例えば、図2(c)のようなレイヤL2の配線画像が取得される。図2(c)の例では、欠陥fは、配線が形成されていない部分にあり、そのため、欠陥fは、集積回路の動作に対し、重大な影響を及ぼさないと考えられる。
【0043】
ところが、図2(b)に示すように、その欠陥fの直上(欠陥fの投影部分)にレイヤL3の配線が形成される場合がある。その場合、欠陥fが、例えば、硬い異物などであったときには、欠陥fのために、レイヤL3の配線が断線したりすることもあり得る。すなわち、レイヤL2のパターン欠陥検査で検出された欠陥fが他のレイヤL3の配線に影響を及ぼし、その結果、集積回路の動作に何らかの悪影響を及ぼすことになる。
【0044】
同様なことは、欠陥fを含むレイヤL2の下部のレイヤL1の配線についても当てはまり、この例では、図2(d)に示すように、欠陥fの真下(欠陥fの投影部分)にはレイヤL1の配線は形成されていないものの、欠陥fの真下にレイヤL1の配線が形成されていた場合には、その配線は、欠陥fから何らかの影響を受け、場合によっては、断線などを引き起こすこともあり得る。また、欠陥fの投影部分が直下の配線に接触していなかった場合であっても、その距離が近い場合や、その配線の種類によっては、浮遊容量の増加などのために集積回路の性能の劣化を招くこともあり得る。
【0045】
以上のように、あるレイヤのパターン欠陥検査で検出された欠陥が他のレイヤの配線などの回路要素にも影響を及ぼすことを考慮し、以下に記載する本実施形態の欠陥解析手順では、あるレイヤで欠陥を検出したときには、欠陥と回路要素との相対位置関係を、自レイヤのみならず他レイヤについてもチェックするようにしている。
【0046】
図3は、パターン欠陥解析装置1によるパターン欠陥解析の手順を示した図である。パターン欠陥解析を行うにあたっては、まず、解析対象の基板装置が欠陥レビュー部12の試料ステージ(図示せず)に装着される。そして、図3に示すように、パターン欠陥解析装置1のデータ処理部10は、パターン欠陥検査装置2から当該基板装置についての欠陥検査データを取得し(ステップS1)、その取得した欠陥検査データを欠陥検査データ記憶部108へ格納する。さらに、データ処理部10は、設計データサーバ3から当該基板装置についての設計データを取得し(ステップS2)、その取得した設計データを設計データ記憶部109へ格納する。なお、このとき取得される設計データは、当該基板装置についてのすべての設計データではなく、抜粋した設計データであってもよい。
【0047】
次に、データ処理部10は、欠陥検査データ記憶部108から当該基板装置の欠陥検査データの1つを取り出し、その欠陥検査データに含まれる欠陥の位置座標に基づき、その欠陥を視野に含む当該基板装置表面のレビュー画像を取得する(ステップS3)。
【0048】
次に、データ処理部10は、その取得したレビュー画像とそのレビュー画像に対応する部分の参照画像とを比較することにより、当該レビュー画像上で欠陥の領域を示す欠陥画像を抽出する(ステップS4)。そして、データ処理部10は、レビュー画像と設計データ(以下、本明細書では、設計データから生成されたパターン画像も、単に、設計データという)との位置合わせを行い(ステップS5)、欠陥画像、つまり、欠陥の位置および大きさを設計データの座標系で表すことができるようにする。なお、欠陥画像の抽出については、別途、図4を用い、また、レビュー画像と設計データとの位置合わせについては、図5を用いて詳しく説明する。
【0049】
次に、データ処理部10は、欠陥画像と設計データとを合成し(ステップS6)、欠陥と回路要素(配線などのパターン)との距離を算出する(ステップS7)。そして、その算出した欠陥と回路要素との距離が「0」以下であった場合、つまり、欠陥が回路要素に接するか、または、重なり合っていた場合には(ステップS8でYes)、欠陥致命度を「3」と判定する(ステップS9)。また、欠陥と回路要素との距離が「0」より大きく(ステップS8でNo)、所定の閾値よりも小さかった場合には(ステップS10でYes)、欠陥致命度を「2」と判定する(ステップS11)。また、欠陥と回路要素との距離が所定の閾値以上であった場合には(ステップS10でNo)、欠陥致命度を「1」と判定する(ステップS12)。なお、ステップS10の判定における閾値は、致命度判定基準データの一部を構成するデータであり、その致命度判定基準データは、あらかじめ致命度判定基準データ記憶部111に格納されているものとする。なお、致命度判定基準データの構成については後記する。
【0050】
ここで、欠陥致命度とは、欠陥が回路要素に影響を与える程度を表す数値であり、欠陥致命度「3」は、回路要素の機能に致命的な影響を与え得る欠陥であることを意味し、欠陥致命度「2」は、回路要素の機能に重大な影響を与え得る欠陥であることを意味し、欠陥致命度「1」は、回路要素の機能に重大な影響を与えないと予想される欠陥であることを意味する。なお、ここでは、欠陥致命度を3段階に分けているが、3段階に限定される必要はない。
【0051】
データ処理部10は、以上のようにして、欠陥と欠陥が検出されたレイヤと同じレイヤの設計データの回路要素との相対位置に基づき、欠陥致命度を判定すると、致命度判定基準データ記憶部111を参照して、当該レイヤの欠陥が影響を与え得る他のレイヤがあるか否かを判定し(ステップS13)、他のレイヤがある場合には(ステップS13でYes)、当該他のレイヤの設計データについて、ステップS6〜ステップS13の処理を再度実行する。また、当該レイヤの欠陥が影響を与え得る他のレイヤがなくなった場合には(ステップS13でNo)、データ処理部10は、それまでに判定した致命度判定結果をデータ入出力部13に出力する(ステップS14)。なお、致命度判定結果のデータ入出力部13への表示例については後記する。
【0052】
図4は、図3のステップS4における欠陥画像の抽出の例を模式的に示した図である。データ処理部10は、解析対象基板装置の表面のレビュー画像61とそのレビュー画像に対応する参照画像62とを比較照合して、両者の差分画像を欠陥fの欠陥画像63として取得する。
【0053】
ここで、参照画像62は、通常は、同じ解析対象基板装置の他の部分から取得される。解析対象基板装置が、例えば、集積回路基板装置である場合には、同じ基板装置に多数の同じ集積回路チップが形成されているので、その中からレビュー画像61と同じ領域で欠陥のない領域を選び出し、そのレビュー画像を参照画像62とする。また、集積回路基板装置に形成される集積回路がメモリ集積回路など規則的なセル構造を有する集積回路である場合には、同じ集積回路チップに多数の同じ構造のメモリ回路セルなどが形成されているので、例えば、欠陥のあるメモリセルのレビュー画像61に対応する欠陥のないメモリセルのレビュー画像を参照画像62とする。
【0054】
また、前記したように、レビュー画像61と同じ位置に対応する設計データを、参照画像62として用いることができる。ただし、この場合には、両者の画像の拡大度や座標位置などを一致させる必要があるので、その欠陥領域の検出は、次に説明するレビュー画像と設計データとの位置合わせの処理に併せて行われる。
【0055】
なお、欠陥画像の抽出処理においては、基板装置製造時のパターン形成のばらつきのために、その差分画像にはノイズが残るが、そのノイズは、適宜、フィルタリングして除去するものとする。
【0056】
図5は、図3のステップS5におけるレビュー画像と設計データとの位置合わせの例を模式的に示した図である。図5(a)に示すように、欠陥fを含むレビュー画像61と設計データ71との位置合わせは、欠陥fを含むレイヤと同じレイヤ(以下、自レイヤという)の設計データを用いて行われる。その場合、データ処理部10は、その両者の画像の差分量が最小になるようにマッチングすることにより、両者の画像の拡大度および座標位置を合わせ込み、欠陥fの欠陥画像と自レイヤの設計データとを合成した(第2の)合成画像72を生成する。データ処理部10は、その(第2の)合成画像72に基づき、欠陥fと自レイヤの配線などの回路要素との(第2の)相対位置関係を表すデータ(欠陥fと配線などとの離間距離など)を求め、欠陥fの致命度を判定する。
【0057】
一方、欠陥fを含むレビュー画像61と他レイヤ設計データ73との位置合わせは、自レイヤ設計データ71と他レイヤ設計データ73とは同じ座標系の座標値で表されているので、とくに行う必要はない。図5(b)に示すように、データ処理部10は、すでに合わせ込まれた欠陥fの大きさと座標位置とを用いて、その欠陥fの欠陥画像を他レイヤ設計データ73に埋め込んで、(第1の)合成画像74を生成するだけでよい。データ処理部10は、その(第1の)合成画像74に基づき、欠陥fと自レイヤの配線などの回路要素との(第1の)相対位置関係を表すデータ(欠陥fと配線などとの離間距離など)を求め、欠陥致命度を判定する。
【0058】
図6は、致命度判定結果を表示装置に表示した例を示した図である。データ処理部10は、図3のステップS14において、図6(a)に示すような致命度判定結果データをデータ入出力部13の表示装置に表示する。致命度判定結果データは、欠陥識別番号、欠陥のレイヤ(欠陥を検出したレイヤ)、欠陥との相対位置関係を求める対象となる設計データのレイヤ、欠陥の中心位置の座標、欠陥の大きさ、欠陥と配線などの回路要素との間の距離、判定した致命度、欠陥を含む画像のサムネールなどによって構成される。
【0059】
ここで、欠陥の中心位置の座標は、設計データの座標系の座標値(x1、y1)で表され、欠陥の大きさは、その横幅(w1)と高さ(h1)とにより表される。また、サムネールは、欠陥画像と設計データとの合成画像を縮小表示した画像である。そして、例えば、そのサムネールがクリックされると、図6(b)に示すように、その合成画像の拡大画像が表示されるとしてもよい。そして、その拡大画像には、欠陥の大きさ(w1,h1)や、欠陥と配線間との距離の値などが表示されていてもよい。また、欠陥のレイヤと、設計データのレイヤが異なる場合には、その欠陥画像が欠陥の投影であることが分かるように表示にしてもよい。ちなみに、図6(b)では、欠陥の投影であることを示すために、欠陥領域の輪郭が破線で示されている。
【0060】
図7は、欠陥と複数のレイヤの回路要素(配線)との相対位置関係を表示装置に表示した例を示した図である。データ処理部10は、図3のステップS14において、単に、図6(a)のような致命度判定結果を表示するだけでなく、図7(a)に示すように、欠陥を含む欠陥検出レイヤの回路要素(レイヤL2配線)と、最高致命度レイヤ(この場合は、レイヤL3)の回路要素(レイヤL3配線)と、を併せて表示する。また、図7(b)に示すように、欠陥を含む欠陥検出レイヤの回路要素(レイヤL2配線)と、関係する他のレイヤの回路要素(レイヤL1配線、レイヤL2配線、レイヤL3配線)をすべて表示するようにしてもよい。このような表示をすることにより、パターン欠陥解析装置1のユーザは、欠陥と自レイヤまたは他レイヤの回路要素との相対位置関係を容易に把握することが可能になる。
【0061】
図8は、パターン欠陥解析装置1を用いた欠陥解析の対象となる欠陥種別の例を示した図である。
【0062】
図8(a)は、欠陥が異物である場合の例であり、この例では、異物は、複数の配線の間にあるが、配線上にあってもよい。異物は、通常、配線などの回路要素を形成する材料とは異なる材料からなるので、異物が配線上にあったときでも、その境界を識別可能な場合が多い。このような異物の欠陥は、図2〜図6に説明したように、異物と配線などの回路要素との距離を計測し、その計測値によって、その致命度を判定する。
【0063】
図8(b)は、配線(回路要素)に凸部が生じた欠陥、つまり、配線が太くなった欠陥の例である。配線が極端に太くなったりすると、隣接する配線と短絡したりする恐れが出てくる。また、隣接配線との間の浮遊容量が増加し、当該配線の信号の伝播性能を劣化させる可能性もある。そこで、この場合には、配線の凸部と隣接する配線(回路要素)との距離を計測し、その計測値によって、その致命度を判定する。なお、以上のような凸部欠陥は、異物欠陥の一種とみなすことも可能であるが、異物は配線(回路要素)の材料と異なるのに対し、凸部の材料は配線(回路要素)の材料と同じである。
【0064】
図8(c)は、配線(回路要素)に凹部が生じた欠陥、つまり、配線が細くなった欠陥の例である。配線が細くなると、配線の抵抗が大きくなり、当該配線の信号の伝播性能が劣化し、極端に、その配線が細くなると、配線が断線する。図8(d)は、配線が断線した欠陥の例である。そこで、配線の凹部欠陥の場合には、配線の凹部の配線幅を計測し、その計測値によって、その致命度を判定する。なお、配線の断線は、配線の凹部の配線幅が「0」になった場合に相当する。
【0065】
図8(e)は、配線短絡欠陥の例である。配線短絡は、図8(a)の異物欠陥で異物が2つの配線を跨ぐほど大きい場合に生じる。また、図8(b)の配線凸部欠陥で凸部が隣接する配線に接する場合にも生じる。このような配線短絡欠陥は、通常、当該配線の信号の誤動作を引き起こすことが多いので、最大の致命度が与えられる。
【0066】
図9は、致命度判定基準データの構成の例を示した図である。図9に示すように、致命度判定基準データは、欠陥種別、計測項目、欠陥のレイヤ、設計データのレイヤ、判定閾値、設定致命度などのデータにより構成される。
【0067】
ここで、欠陥種別は、図8を用いて説明した欠陥種別、計測項目は、その欠陥種別の欠陥の致命度を判定するために取得するデータの項目、欠陥のレイヤは、当該欠陥を含むレイヤ、設計データのレイヤは、当該欠陥との相対位置関係を求める回路要素の設計データを含むレイヤ、判定閾値は、致命度を判定するための基準値、設定致命度は、当該欠陥について計測項目の計測値と判定閾値に応じて設定される致命度を表す値である。
【0068】
なお、図9においては、欠陥のレイヤの例は、「L2」だけであるが、欠陥のレイヤとして「L1」または「L3」があってもよい。また、図9では、欠陥種別として、断線および配線短絡は、異物、配線凸部または配線凹部の特殊形態とみなし、独立した欠陥種別には含めていない。
【0069】
以上のような構成の致命度判定基準データにより、あるレイヤで検出された欠陥に対して、その欠陥と同じレイヤだけでなく他のレイヤにおける回路要素(配線など)との相対位置関係の閾値、および、その相対位置関係に応じた致命度を、適宜、経験的に求めたデータとして設定することができる。例えば、図9に示すように、レイヤL2の異物は、同じレイヤL2の配線に対しては、その離間距離が70nmより小さくなると、重大な欠陥(致命度が2)と判定されるが、レイヤL3の配線に対しては、その離間距離が40nmより小さくならないと、重大な欠陥(致命度が2)とは判定されないようにしてもよい。また、配線凸部欠陥のように、配線などの回路要素が欠陥と同じレイヤであるか、または、異なるレイヤであるかによって、設定される致命度を変えるようにしても構わない。
【0070】
また、致命度判定基準データでは、それぞれのレイヤの欠陥種別ごとに、そのレイヤの欠陥が影響を及ぼす他のレイヤを指定することができるので、パターン欠陥解析装置1のデータ処理部10は、その欠陥解析手順のステップS13(図3参照)において、致命度判定基準データが記憶された致命度判定基準データ記憶部111を参照することにより、致命度を判定すべき他のレイヤがあるか否かを判定することができる。
【0071】
以上、本実施形態によれば、パターン欠陥解析装置1(データ処理部10)は、図5に示したように、欠陥fを含むレビュー画像61と、欠陥fと同じレイヤの回路要素(配線など)の画像(自レイヤ設計データ71)と、をマッチングし、位置合わせをした上で、欠陥fと回路要素との距離を求め、さらに、欠陥fと他のレイヤの回路要素との距離を求めている。その結果、より高精度の欠陥fと回路要素との距離を得ることができる。
【0072】
さらに、パターン欠陥解析装置1(データ処理部10)は、以上のようにして取得した欠陥fと回路要素との距離と図9に示した致命度判定基準データとに基づき、欠陥fの致命度を取得するので、欠陥fを含むレイヤと同じレイヤだけでなく、異なるレイヤの回路要素についての致命度を得ることができる。その結果、欠陥の影響を他のレイヤまで考慮した、より信頼性のある致命度を得ることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 パターン欠陥解析装置
2 パターン欠陥検査装置
3 設計データサーバ
4 通信ネットワーク
10 データ処理部
11 データ通信部
12 欠陥レビュー部
13 データ入出力部
101 欠陥検査データ取得部
102 設計データ取得部
103 レビュー制御部
104 レビュー画像取得部
105 画像位置合わせ部
106 致命度判定部
107 判定結果データ表示部
108 欠陥検査データ記憶部
109 設計データ記憶部
110 レビュー画像データ記憶部
111 致命度判定基準データ記憶部
112 判定結果データ記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数レイヤのパターンが形成される基板の表面の一部のレビュー画像を取得するレビュー画像取得部と、前記基板の各レイヤに形成されるパターンの形状に係る設計データを保持し、前記レビュー画像取得部により取得した前記基板のレビュー画像に含まれる欠陥の致命度を判定するデータ処理部と、を含んで構成された欠陥解析装置であって、
前記データ処理部が、
前記レビュー画像取得部を介して、前記欠陥を含むレイヤの前記欠陥を含む領域のレビュー画像を取得し、
前記取得したレビュー画像を、所定の参照画像と比較することによって、前記レビュー画像から前記欠陥部分の画像を欠陥画像として抽出し、
前記レビュー画像に対応する領域に対して前記欠陥を含むレイヤと同じレイヤの前記設計データから生成した自レイヤ設計パターン画像と前記レビュー画像との画像マッチングにより、前記自レイヤ設計パターン画像と前記レビュー画像との位置合わせを行い、
前記位置合わせの結果と、前記欠陥画像と、前記レビュー画像に対応する領域に対して前記欠陥を含むレイヤと異なるレイヤの前記設計データから生成した他レイヤ設計パターン画像と、に基づいて、前記欠陥と当該欠陥を含むレイヤと異なるレイヤのパターンとの第1の相対位置関係を表すデータを求め、
前記求めた第1の相対位置関係を表すデータに基づき、前記欠陥が当該欠陥を含むレイヤと異なるレイヤのパターンに及ぼす致命度を判定すること
を特徴とする欠陥解析装置。
【請求項2】
前記データ処理部は、さらに、
前記欠陥と当該欠陥を含むレイヤと同じレイヤのパターンとの第2の相対位置関係を表すデータを求め、
前記求めた第2の相対位置関係を表すデータに基づき、前記欠陥が当該欠陥を含むレイヤと同じレイヤのパターンに及ぼす致命度を判定すること
を特徴とする請求項1に記載の欠陥解析装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、さらに、
前記欠陥画像と前記他レイヤ設計パターン画像とを合成した前記第1の合成画像を表示装置に表示すること
を特徴とする請求項1に記載の欠陥解析装置。
【請求項4】
複数レイヤのパターンが形成される基板の表面の一部のレビュー画像を取得するレビュー画像取得ステップと、前記基板の各レイヤに形成されるパターンの形状に係る設計データを保持し、前記基板のレビュー画像に含まれる欠陥の致命度を判定するデータ処理ステップと、を含んで構成された欠陥解析装置で用いられる欠陥解析方法であって、
前記表面観察画像取得部を介して、前記パターン欠陥を含むレイヤの前記パターン欠陥を含む領域の表面観察画像を取得し、
前記データ処理ステップは、
前記欠陥を含むレイヤの前記欠陥を含む領域のレビュー画像を取得し、
前記取得したレビュー画像を、所定の参照画像と比較することによって、前記レビュー画像から前記欠陥部分の画像を欠陥画像として抽出し、
前記レビュー画像に対応する領域に対して前記欠陥を含むレイヤと同じレイヤの前記設計データから生成した自レイヤ設計パターン画像と前記レビュー画像との画像マッチングにより、前記自レイヤ設計パターン画像と前記レビュー画像との位置合わせを行い、
前記位置合わせの結果と、前記欠陥画像と、前記レビュー画像に対応する領域に対して前記欠陥を含むレイヤと異なるレイヤの前記設計データから生成した他レイヤ設計パターン画像と、に基づいて、前記欠陥と当該欠陥を含むレイヤと異なるレイヤのパターンとの第1の相対位置関係を表すデータを求め、
前記求めた第1の相対位置関係を表すデータに基づき、前記欠陥が当該欠陥を含むレイヤと異なるレイヤのパターンに及ぼす致命度を判定すること
を特徴とする欠陥解析方法。
【請求項5】
前記データ処理ステップは、さらに、
前記欠陥と当該欠陥を含むレイヤと同じレイヤのパターンとの第2の相対位置関係を表すデータを求め、
前記求めた第2の相対位置関係を表すデータに基づき、前記欠陥が当該欠陥を含むレイヤと同じレイヤのパターンに及ぼす致命度を判定すること
を特徴とする請求項4に記載の欠陥解析方法。
【請求項6】
前記データ処理ステップは、さらに、
前記欠陥画像と前記他レイヤ設計パターン画像とを合成した前記第1の合成画像を表示装置に表示すること
を特徴とする請求項4に記載の欠陥解析方法。
【請求項7】
複数レイヤのパターンが形成される基板の表面の一部のレビュー画像を取得するレビュー画像取得部と、前記基板の各レイヤに形成されるパターンの形状に係る設計データを保持し、前記レビュー画像取得部により取得した前記基板のレビュー画像に含まれる欠陥の致命度を判定するデータ処理部と、を含んで構成された欠陥解析装置において実行される欠陥解析プログラムであって、
前記データ処理部に、
前記レビュー画像取得部を介して、前記欠陥を含むレイヤの前記欠陥を含む領域のレビュー画像を取得する処理と、
前記取得したレビュー画像を、所定の参照画像と比較することによって、前記レビュー画像から前記欠陥部分の画像を欠陥画像として抽出する処理と、
前記レビュー画像に対応する領域に対して前記欠陥を含むレイヤと同じレイヤの前記設計データから生成した自レイヤ設計パターン画像と前記レビュー画像との画像マッチングにより、前記自レイヤ設計パターン画像と前記レビュー画像との位置合わせを行う処理と、
前記位置合わせの結果と、前記欠陥画像と、前記レビュー画像に対応する領域に対して前記欠陥を含むレイヤと異なるレイヤの前記設計データから生成した他レイヤ設計パターン画像と、に基づいて、前記欠陥と当該欠陥を含むレイヤと異なるレイヤのパターンとの第1の相対位置関係を表すデータを求める処理と、
前記求めた第1の相対位置関係を表すデータに基づき、前記欠陥が当該欠陥を含むレイヤと異なるレイヤのパターンに及ぼす致命度を判定する処理と、
を実行させるための欠陥解析プログラム。
【請求項8】
前記データ処理部に、さらに、
前記欠陥と当該欠陥を含むレイヤと同じレイヤのパターンとの第2の相対位置関係を表すデータを求める処理と、
前記求めた第2の相対位置関係を表すデータに基づき、前記欠陥が当該欠陥を含むレイヤと同じレイヤのパターンに及ぼす致命度を判定する処理と、
を実行させるための請求項7に記載の欠陥解析プログラム。
【請求項9】
前記データ処理部に、さらに、
前記欠陥画像と前記他レイヤ設計パターン画像とを合成した前記第1の合成画像を表示装置に表示する処理
を実行させるための請求項7に記載の欠陥解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−182495(P2012−182495A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134071(P2012−134071)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2008−6163(P2008−6163)の分割
【原出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】