説明

歯ブラシの製造方法

横方向に隣接した区画(12、13、14)を含んでなる歯ブラシヘッドの製造方法であって、該方法は、第1に、射出成形法で横方向に相互に比較的離れた区画(12、13、14)を有するヘッドを製造する段階、続いて第2に、そのように形成したヘッドの区画(12、13、14)を横方向(W−W)に相互に比較的近くに動かす段階を含んでなる。前記方法を実施するための装置も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシは周知の物品であり、一般的にはブリッスルがブリッスル方向に突き出ているヘッドを含んでなり、ヘッドはグリップハンドルと連結しており(またはヘッドが交換可能な歯ブラシでは連結可能となっており)、該歯ブラシは細長く、ヘッドとハンドルが歯ブラシの長軸方向に沿って配置されている。一般的には、ヘッドとハンドルの間に細いネック領域が長軸方向で存在する。
【0003】
ある特定のタイプの歯ブラシは、少なくとも2つ、典型的には3つの区画を含んでなるヘッドを有し、該区画はブリッスルを有しかつ横方向に隣接して配置されている。各区画はその区画をグリップハンドルに柔軟に連結するネックを含んでなり、該ネックは歯ブラシハンドルと一体的につくられる。このタイプの歯ブラシは、例えば、US-D-440,404、US-A-4,864,676、US-A-4,472,853、US-A-1,323,042、FR-A-1,247,433、FR-A-2,548,528、WO-A-98/02062、WO-A-01/89344およびWO-A-2004/041023に開示されている。
【0004】
歯ブラシはほとんどの場合射出成形法により製造され、該方法では、高温流動状の可塑性材料を加圧下で金型キャビティーに注入する。金型キャビティーは、金型内で形成される歯ブラシに対応する外形を画定するように内部が厳密に形づくられている。
【0005】
歯ブラシの分野では周知であるように、典型的には、まず硬質プラスチック材料(例えばポリプロピレン)の「骨組み」(ヘッド、ハンドル、およびヘッドとハンドルの間のネック領域からなる硬質プラスチック部分を構成する)を製造し、続いてこの骨組みを金型キャビティーに収容し、第2の材料(典型的には熱可塑性エラストマー材料)を注入することにより、2種類の材料からなる歯ブラシが製造されている。該骨組みには、注入の際に第2の材料を流し込む1つ以上の空所が設けられている。
【0006】
前記区画が横方向に近接して、典型的には互いに滑り接触状態となるはずの上記の特定のタイプの歯ブラシの骨組みを製造するためにこのような金型を用いる場合には、結果として1つの問題がある。区画間の間隙は、キャビティーの部品(ここで隣接する区画が成形される)間の、金型中の隔壁により画定される。所望とする区画間の間隔が狭ければ、金型のこれらの部品間の隔壁は比較的薄く、例えば0.5mm未満となり、その結果、射出成形の際にかかる圧力下で歪んだり破損したりすることがある。
【0007】
WO-A-00/76370は、このタイプの歯ブラシを開示しており、そこではヘッド、ネックおよびハンドルを長軸方向に半分にした2つの部品として製造し、次にそれらをハンドルのところで連結して、ヘッドが2つの独立した柔軟な可動性区画の形のままで存在するようにしてある。この方法は、難点として、歯ブラシの半分の各部品を製造するための金型キャビティーを必要とし、これは当初の金型コストを増やすか製造能力を減少させる。
【0008】
上記のWO-A-2004/041023には、2つの区画を既定の距離だけ離して成形した後、加熱してそれらを互いに向かって動かす、という歯ブラシヘッドの製造方法が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の特定のタイプの歯ブラシを、射出成形金型内への可塑性材料の注入の際に金型が歪むリスクを伴わずに、区画間の空間を小さくして、製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従えば、歯ブラシの長軸方向の両側に、横方向に相互に隣接する少なくとも2つの区画を含んでなるタイプの歯ブラシヘッドの製造方法が提供され、ここで該区画は柔軟かつ一体的に相互に連結されており、該方法は以下の段階:
第1に、該区画を柔軟かつ一体的に相互に連結させてかつ横方向に相互に比較的離して、該ヘッドを射出成形法により製造する段階、
第2に、そのように形成されたヘッドの該区画を横方向に相互に比較的近くに動かす段階、
を含む。
【0011】
前記方法は、該区画が、ブリッスルを担持するのに適合した(例えば、ブリッスルタフトがあとで固定されるブリッス孔を備えている)ヘッド部と、該区画を歯ブラシハンドルに一体的に連結し、結果として該区画を相互に連結するネック部と、を含んでなるものとする方法であり得る。好適には、かかる各ネック部は、長軸上の一端でヘッド部に連結し、長軸上の他端でハンドルに連結している。かかるネック部は柔軟性であってもよく、かつ/または区画のネック部とヘッド部との間、もしくはネック部とハンドルとの間の連結部が柔軟性であってもよい。柔軟な連結は好ましくは弾性的に(すなわち弾力のある)柔軟な連結であり、これは歯ブラシに通常用いられる種類の弾性プラスチック材料から一体的に構成することで達成することができる。
【0012】
前記方法の第1段階では、歯ブラシの部品が製造され、該部品は区画(好適には各区画はヘッド部およびネック部を含む)およびグリップハンドルまたはその一部からなる。そのような歯ブラシの部品を上記の「骨組み」としてもよい。
【0013】
前記方法で区画同士を比較的近くに動かす際に、区画のヘッド部とネック部との接合部に、ネック部とハンドルとの接合部に、またはネック部の他のいずれかの位置に、一体的連結の歪みが生じる。
【0014】
前記方法の第1段階では、区画は、ハンドルからの区画の長軸距離が増大するにつれて該区画のそれぞれの長軸方向(すなわち区画のハンドルに最も近い部分と区画のハンドルから最も離れた部分との間の方向)が分岐するように、離れており(すなわち、区画がこの長軸距離につれて徐々に広がるようになっており)、結果的に区画の長軸方向は、歯ブラシ長軸方向に対してゼロではない角度(例えば1〜45°、1〜5°など)でハンドルから遠ざかる方向に分岐する。そして、該方法の第2段階では、区画を横方向に互いに比較的近くに動かし、それにより分岐の角度を減少させる。
【0015】
区画が、区画をハンドルに一体的に連結するネック部を含んでなる場合には、ネック部もまた横方向に比較的離して製造してもよく、例えばそれによりネック部が上記のように広がり、そしてネック部を互いに比較的近くに動かしてもよい。
【0016】
区画はブリッスル方向(すなわち、ヘッド部に埋め込む際にブリッスルを整列させる方向)に対して垂直な横方向に離れていてもよい。一般的には、歯ブラシのヘッドはブリッスルが突き出す平面を有し、そしてこの横方向とはこの面に並行で、区画の長軸方向に垂直でありうる。
【0017】
例えば、中央の区画と2つの横方向の外側の区画とからなる3つの区画を存在させることができ、外側の区画は長軸距離につれて次第にこの横方向に広がり、そして区画の長軸方向が、歯ブラシ長軸方向に対してゼロでない角度でハンドルから遠ざかる方向に、長軸距離につれて分岐するようにする。
【0018】
加えて、またはそれとは別に、区画はブリッスル方向に平行な横方向に離れていてもよい。この横方向は、上記の平面に対して垂直であり、かつ区画の長軸方向に対しても垂直である。
【0019】
加えて、またはそれとは別に、3つ以上の区画の長軸方向は、それらが立体角で分岐するように離れていてもよく、例えばその突端がヘッドからハンドルに向かう方向にとがるように構成される円錐またはピラミッドの表面上にある。
【0020】
区画が、該方法の第2段階の結果として、互いに比較的近づいている場合には、区画のそれぞれの長軸方向が平行となるかまたはハンドルから離れる長軸距離が増大するにつれて集合するように、それらが互いに比較的近接していてもよい。例えば、互いに比較的近接した相対配置にある区画間に横方向の間隙があってもよく、またこの間隙の横方向の寸法はハンドルから離れる長軸距離が増大するにつれて狭くてもよい。
【0021】
好適に、区画が相互に比較的近接しているのであれば、歯ブラシヘッドの区画は最終製品の歯ブラシで用いるそれらの位置に対応する位置にあってもよい。
【0022】
本発明の方法は、区画を互いに近くに動かした後、好ましくはそれらが互いに接触するように、区画同士が0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満の横方向の間隙で分離されている歯ブラシヘッドを製造することを可能にする。互いに接触している柔軟性の区画は、相互に滑り接触となって触れ合っていてもよい。区画が比較的遠くに離れているときには、それらの最も遠くに離れた部分は、この距離よりも遠くに(例えば0.5mm以上)離れている。区画が互いに近接しているときには、区画のある部分が区画の他の部分よりも互いに近接していてもよく、例えば区画のある部分が接触し、区画の別の部分が離れていてもよい。
【0023】
例えば、グリップハンドルに隣接する区画間に横方向の間隙が存在するが、グリップハンドルから長軸方向に遠くに離れている区画同士は接触していてもよい。
【0024】
歯ブラシヘッドを熱可塑性材料から製造し、該材料が高温展性状態にある間に区画を互いに近くに動かすことができる。本発明の方法で歯ブラシヘッドおよびハンドルを製造するのに好適な熱可塑性プラスチック材料としては、ポリプロピレン、ポリアミド等をはじめとする歯ブラシを製造するのに慣用の材料が挙げられ、それらは柔軟性を改変するために例えば繊維強化(例えばポリエステル繊維強化)されていてもよく、これらは歯ブラシ分野で周知である。これらのタイプの材料の好適な軟化温度は当該技術分野で公知である。射出成形法は通常、高温流動状態の可塑性材料を加圧下で金型キャビティーに注入する工程を含み、続いて、金型を開放して、強靭となるように十分に冷えたらすぐ(しかし、まだ高温であってもよい)、成形された製品を押し出す(例えばエジェクターピンを用いて)工程がこれに続く。
【0025】
上述の材料から製造した場合、区画(例えば区画のヘッド部およびネック部)は、区画が金型から取り出し後に冷却された場合でも、十分に柔軟性であり、それらの生来的な弾性のため容易に互いに近くに動かすことができる。
【0026】
しかしながら、第1段階の射出成形法において用いる金型からヘッドを取り出したすぐ後に区画を互いに近くに動かし、射出成形段階の後にも該材料がいまだ高温展性状態であるようにすることにより、区画の材料を高温展性状態で提供することができる。
【0027】
あるいはまた、例えば高熱ガスの噴射、電磁波加熱、またはヘッドに向けて放射した熱もしくは放射光(例えばレーザー)を用いて、ヘッドを加熱して高温展性状態にしてもよい。好適には、そのような加熱は、歯ブラシの1ヶ所以上の特定の領域、例えばネック部とハンドルとの接合部、または歯ブラシ骨組みのハンドル部に限局させる。
【0028】
区画を互いに近くに動かした後、それらをこの互いに近接した関係に固定することができる。例えば、材料が高温展性状態にある間に区画を互いに近くに動かす場合、区画を互いに近くに動かした後に、材料を冷却するかまたは材料が冷めるままにして該材料を硬化させることにより、区画をこの関係に固定する。
【0029】
加えて、またはそれとは別に、区画を固定するにあたって、第2の流動状可塑性材料を区画の一部分のまわりにおよび/またはそれらの間に、特に柔軟性ネック部の領域に、とりわけグリップハンドルに隣接した領域に注入し、該第2の流動材料の硬化を引き起こすかまたはそれが硬化するままにして、区画をその互いに近接した関係で固定してもよい。
【0030】
前記方法のそのような実施形態では、
該方法の第1段階において、歯ブラシ骨組みを、横方向に遠くに離れた相対配置にある区画を有するように製造することができ、
次に該方法の第2段階において、区画を横方向に相互に比較的近くに動かすことができ、
続いて第2の流動状可塑性材料を区画の一部分のまわりにおよび/または好ましくはそれらの間に注入し、この第2の流動材料の硬化を引き起こすかまたはそれが硬化するままにして、区画をその互いに近接した関係で固定することにより、区画を互いに近接した相対配置に固定することができる。
【0031】
特に、かかる区画の一部分は、柔軟性ネック部の領域、特にグリップハンドルに隣接した領域であってもよく、例えばグリップハンドルと隣接した区画のネック部間の間隙でありうる。
【0032】
好適には、そのような骨組みは、意図する第2材料部分の外形および位置を画定する1ヶ所以上の空所をその構造中に有し、第2の流動状可塑性材料をその中に注入することができる。かかる空所は区画間の間隙を構成するかまたはそれと連絡していてもよい。
【0033】
そのような第2の可塑性材料は、ポリプロピレンもしくはポリアミド等の硬質プラスチック材料であってよく、またはツーコンポーネント(two component)歯ブラシで、例えばグリップパッドとして慣用の材料である公知のEvopreneTMまたはSantopreneTMのような熱可塑性エラストマー(TPE)材料であってよい。そのような材料であって、歯ブラシ製造用のプラスチック材料と密着することができるものは公知である。
【0034】
加えて、またはそれとは別に、隣接する区画間、例えば隣接する柔軟性ネック部間の溶接(例えば接着溶接(adhesive weld)、熱溶接または超音波溶接)により、区画をその互いに近接した関係に固定してもよい。
【0035】
加えて、またはそれとは別に、隣接する区画は、区画を動かして互いに近接した関係にしたときに噛み合う機械的噛み合わせ構造(例えば噛み合わせ部品)を備えていてもよい。
【0036】
ブリッスルは、従来の方法により本発明の歯ブラシヘッドに挿入することができる。例えば、ヘッド部をブリッスルタフトの挿入のための孔を備えるように射出成形法で製造し、続いてこれらの孔にブリッスルタフトを固定する。あるいはまた、例えばヘッド部を形成する金型キャビティー内にブリッスルを投入し、それにより固化したヘッド材料中にブリッスルが埋め込まれるようにしてもよい。
【0037】
本発明はまた、かかる方法により製造される製品としての歯ブラシヘッドおよび歯ブラシを提供する。
【0038】
そのような歯ブラシヘッドは、歯ブラシの長軸方向の両側に、横方向に相互に隣接する少なくとも2つの区画を含んでなり、該区画はグリップハンドルに最も近いその端部において柔軟かつ一体的に相互に連結され、そのように形成されたヘッドの区画は横方向に相互に比較的近接しているものである。
【0039】
好ましくは、区画は、ブリッスルを担持するのに適合したヘッド部とネック部とを含み、該ネック部を介して区画が歯ブラシハンドルと、それゆえに別の区画と一体的に連結される。ネック部は柔軟性であってよく、かつ/または区画のネック部とヘッド部との間の、またはネック部とハンドルとの間の連結部が柔軟性であってもよい。柔軟な連結は好ましくは弾性的に(すなわち弾力のある)柔軟な連結であり、これは歯ブラシに通常用いられるタイプのプラスチック材料との一体的構築により達成することができる。
【0040】
好ましくは、完成した歯ブラシでは、互いに比較的近接した区画が、好ましくは互いに滑り接触となるように、0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満の横方向の間隙で分離されている。
【0041】
この互いに近接した関係の区画は、区画の一部分、特に柔軟性ネック部の領域、とりわけグリップハンドルに隣接した領域のまわりおよび/またはそれらの間の第2の流動状可塑性材料により、この関係に固定してもよい。そのような第2の可塑性材料は硬質プラスチック材料であってよく、または上述の熱可塑性エラストマー(TPE)材料であってよい。加えて、またはそれとは別に、隣接する区画間、例えば隣接する柔軟性ネック部間の溶接(例えば接着溶接、熱溶接または超音波溶接)により、区画をその互いに近接した関係で固定してもよい。加えて、またはそれとは別に、隣接する区画は、区画を動かして互いに近接した関係にしたときに噛み合う機械的噛み合わせ構造(例えば噛み合わせ部品)を備えていてもよい。
【0042】
本発明はまた、本発明の方法を実施するための装置を提供し、該装置は、以下の構成:
歯ブラシの長軸方向の両側に、横方向に隣接する少なくとも2つの区画を含んでなり、該区画が柔軟かつ一体的に相互に連結されていて、横方向に比較的離れているタイプの歯ブラシヘッドを製造するのに適合した射出成形手段、
そのように形成されたヘッドの区画を互いに近くに動かす手段、
を含んでなる。
【0043】
本発明はまた、歯ブラシの長軸方向の両側に、横方向に隣接する少なくとも2つの区画を含んでなり、該区画が柔軟かつ一体的に相互に連結されていて、横方向に比較的離れているタイプの歯ブラシヘッド(ブリッスルがなくてもよく、例えば、その後にブリッスルを挿入するためのブリッスル孔を有し、本明細書中に記載される骨組みのヘッド部でありうる)を供給するのに適合しており、さらに該ヘッドの該区画を相互に比較的近くに動かすのに適合している装置を提供する。
【0044】
本発明の好ましい方法および装置では、歯ブラシヘッドを供給するのに適合した装置は、歯ブラシヘッドおよび好ましくはまた歯ブラシハンドルのためのホルダーを含んでなり、該ホルダー内に歯ブラシヘッドを収容し得るが、区画は動かされて互いに近接した関係となる。該ホルダーはまた、上述のように第2の流動状可塑性材料を注入することができる金型キャビティーを画定する。かかるホルダーは、予め成形した骨組みを担持し、区画を互いに近くに動かすために、また第2の可塑性材料を注入するために用いる。
【0045】
そのような装置は、好ましくはそのようなヘッドを有する歯ブラシの骨組みを収容するのに適合しており、ここで区画は、ヘッド部および該ヘッド部とハンドル部との間のネック部からなる。
【0046】
そのような骨組みを収容するのに適合した装置は、第1および第2の部分金型を含んでもよく、それらは互いに組み合わせることができ、かつ第1および第2の部分金型キャビティーを含み、これらの部分金型キャビティーは、第1および第2の部分金型を互いに組み合わせたときに、骨組みの少なくとも一部分(特にグリップハンドル部および該グリップハンドル部に隣接した区画のネック部)を収容することができる金型キャビティーを形成し、また、該骨組みの該一部分と一方の部分金型キャビティーとが比較的近づいたときに、1以上の接触面(abutment surface)が該区画の少なくとも1つに接して、該区画を互いに近接した関係に強制的に動かすことができるように、該装置に対して位置づけられた1以上の接触面を有する。
【0047】
一実施形態では、かかる接触面は傾斜した形の接触面を有する1以上の部分金型キャビティーにより提供され、該区画を該部分金型キャビティーに収容するとき、傾斜した形の面が該区画と接して、該区画を互いに近接した関係に強制的に動かすようにすることができる。
【0048】
加えて、またはそれとは別に、一実施形態では、そのような接触面はグリップハンドル部および該グリップハンドル部に隣接した該区画のネック部を収容することができる金型キャビティーにより提供されるが、該区画のヘッド部および該ヘッド部に隣接する該区画のネック部は該部分金型キャビティーの外側に延在するようになり、また、接触面は部分金型キャビティーの外側にあり、かつ部分金型が組み合わさる前に該区画と接触面とが接触するように位置づけられており、その結果接触面が該区画と接して該区画を互いに近接した関係に強制的に動かすことができる。
【0049】
例えば、この実施形態では、そのような接触面は部分金型と堅固に接合されているかまたは部分金型の一部であり、金型の分割線を越えて延びている。例えば、そのような接触面は、骨組みを部分金型キャビティーに収容する際に接触面が区画と接するように位置づけることができる。例えば、そのような接触面は、部分金型を組み合わせることにより形成された金型キャビティーに骨組みを収容する際に、該接触面が該区画と接するように位置づけてもよい。
【0050】
歯ブラシ製造の分野では、このような2つの部分金型は通常用いられている。このような装置の1つの部分金型は、熱可塑性エラストマーのような第2の可塑性材料を金型キャビティーに注入するための注入口を備えていてもよく、また、かかる第2の可塑性材料を注入したときに、好適には歯ブラシ骨組み内の空所を経て、それが区画のまわりにまたはそれらの間に流れ込むように形作られていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
ここで、添付の図面を参照しながら、例を用いて本発明を説明することにする。
【0052】
図1は、区画を広げて離した状態の、歯ブラシ骨組みの平面図を示す。
図2は、区画を互いに近くに動かした後の、図1の骨組みの平面図を示す。
図3は、第2の構成材料を注入した後の、図2の骨組みの平面図を示す。
図4は、図1の骨組みの製造に好適な射出成形金型部品の平面図を示す。
図5は、区画を広げて離した状態の、歯ブラシの骨組みの側面図を示す。
図6は、図5の骨組みの平面図を示す。
図7は、区画を互いに近くに動かした後の、図5の歯ブラシ骨組みの側面図を示す。
図8は、図5の骨組みの製造に好適な射出成形金型部品の断面図を示す。
図9〜11は、ホルダーの構成および操作を示す。
図12は、歯ブラシの製造のためのホルダーと射出成形金型の代替構成を示す。
図13および14は、本発明の装置の代替構成を示す。
図16は、本発明の装置の別の代替構成を示す。
【0053】
図1〜3を参照すると、図1に見られるように、歯ブラシの骨組み10(全体)は、従来の射出成形法を用いて製造される、3つの区画12、13、14と一体的に形成されたグリップハンドル11を含んでなる。各区画12、13、14は個別のヘッド部15、16、17を含んでなり、該ヘッド部には成形工程の間にブリッスルタフト孔18が形成されるが、これは、ヘッド部15、16、17が作られている金型キャビティー内に突き刺して孔18を形成するための慣用のブリッスルピン(示していない)を用いて行う。各区画12、13、14はまた、ヘッド部15、16、17およびハンドル11と一体的な、弾性で柔軟性の個別のネック部19、20、21を含んでなる。骨組み10は、ヘッド−ハンドル歯ブラシ長軸方向A−A、およびW--Wと表された横方向を有する。図1はブリッスル方向(すなわちヘッド部15、16、17内にブリッスルが固定されたときに、それらが延在する方向)に見下ろした平面図である。
【0054】
図1に見られるように、歯ブラシ10は、横方向に比較的離れた区画12、13、14を有して射出成形法で製造したものとして示されている。示したとおり、外側の区画12、14のそれぞれの長軸方向B−Bが中央の区画13の長軸方向から、ハンドル11からの区画12、14の長軸距離が増大するにつれて(すなわち、この長軸距離につれて次第に広がって)分岐するように、区画12、13、14は広がって離れている。その結果、区画12、14およびその柔軟性ネック部19、21の長軸方向B−Bは、長軸方向A−Aに対して約10°の角度でハンドル11から遠ざかる方向に分岐するようになっている。図1、2および3では、各ヘッド部15、16、17の面(そこからブリッスルを延在させることになっている)は平面であり、区画12、13、14はヘッド部15、16、17の平面に平行な平面内で広がっている。
【0055】
かかる金型においては、射出成形により区画12、13、14を形成するための個別の金型キャビティー間に薄い隔壁を必要としないことが理解されよう。それらが最も接近する箇所(区画12、13、14がハンドル11と出会う箇所)では、ネック部19、20、21間の間隙22は0.5mmまたはそれ以上でありうる。図1に示すように、3つの区画12、13、14はすべて、実質的にブリッスル方向に対して垂直な一平面内にある。
【0056】
図2に見られるように、区画12、13、14を有する歯ブラシ10は、それが形成された射出成形金型(図4参照)から取り出され、区画12、13、14およびそれらの個別のネック部19、20、21を互いに比較的近くに動かしてある。最も外側の区画12および14に圧力を加えて、それらを内側に動かすことにより、この状態が達成されている。これは、ネック部19、21と歯ブラシハンドル11との間の一体的接合部の歪みによるものであってもよいし、またはネック部19、21の長さに沿った緩やかな歪みによるものであってもよい。明確にするために区画12、13、14の間の間隙は誇張して示してあり、区画12、13、14の部分、特にヘッド部15、16、17は接触していてもよい。ネック部19、20、21は十分細くて弾力的かつ柔軟性であるので、この接触が滑り接触となるように区画11、12、13間には相対的移動が存在してもよい。
【0057】
この加圧は、好適な接触部品(示していない)、例えば内向加圧ジョー(jaw)、ピストン、もしくはネック部19、21に対して内向圧を加える他の内側に移動可能な部品によって、またはネック部19、21を接触部品(abutment part)に接触させてそれらを内向きに押し動かすことによって行うことができる。この操作の間、歯ブラシ骨組み10は、内側に移動可能な部品を組み込んだ、骨組み10がうまくはまる第2の金型キャビティー(示していない)に保持してもよい。骨組みの外表面は、次に注入する第2のプラスチック材料を収容し、かつその外形を画定するためのキャビティー23を包含する。
【0058】
図3に示すように、熱可塑性エラストマー材料である第2の材料40は、骨組み10内のキャビティー23に注入されている。さらに、第2の材料40は、ネック部19、20、21を含む骨組み10のプラスチック材料がエラストマー材料40に密着するように、公知の注入条件下でネック部19、20、21間の間隙22中に短い長軸距離だけ流れ込んでいる。
【0059】
図9、10および11は、第2の材料40の注入がどのように行われるかを示しており、そこでは、ハンドル部11と、長軸方向にすぐ隣接した骨組み10のネック部19、20、21の部分が、バルクヘッド94(間隙22にうまくはまり、材料40が間隙22に沿って長軸方向に流れ込むことができる程度を決定する)を組み込んだ第2の金型キャビティー内に保持されている。エラストマー材料40が、高温流動状態で第2金型キャビティーに注入され、次に硬化して、ネック部19、20、21を互いに近接した状態に保持する。
【0060】
この方法の変法では、外側のネック部19、21、またはネック部19、21と歯ブラシハンドル11との間の一体的接合部、が高温であって可塑的に展性である間に、外側のネック部19、21に対して内向圧を加えることにより、その後冷却したときにそれらを図2の互いに近接した関係で保持するようにしてもよい。この変法のために、ネック部19、21またはハンドル11との一体的接合部を、例えば熱気の噴射を用いて、局部的に加熱することができる。
【0061】
図4を参照すると、射出成形金型の部品40の平面断面図が示されている。これは、慣用のスパークエロージョン法を用いてプレシジョンスチール(precision steel)から通常通りに製造される。金型40は、図1の骨組み10の形状に対応する金型キャビティー41を有する。ヘッド部15、16、17に対応するキャビティー41の部分には、ブリッスル孔18を形成するためにブリッスルピン42が延在する。通常の注入口43が存在し、そこから高温の流動状プラスチック材料を加圧下に注入することができる。図4Aでは、線A--Aにおける金型40の断面図が示されている。金型40は、分割線40Cで通常通りに組み合わさる上側の40A部品および下側の40B部品を含むことが見て取れる。キャビティー41が図1の3つの離れたヘッド部15、16、17の形状をどのように画定するのかが分かる。格納自在なピン42が、ブリッスルタフトを挿入するための孔18の形状および位置を画定する。歯ブラシ製造で通常行われるように、かかる金型中で形成された骨組み10は、次にブリッスルピン42に取り付けられた「インデックスプレート」(index plate)と呼ばれるアームにより操作され、該アームは、孔18中にとどまったブリッスルピンにより骨組み10を保持しながら、それを操作することができる。続いて区画12、13、14を互いに近くに動かすときには、この動きを可能とするために、外側の区画12、14内のブリッスルピン42を取り外す必要がある。
【0062】
キャビティー41の3つの部品の間に介在する金型40の金属部分は、比較的厚いことが見て取れる。金型40は、歯ブラシ骨組み用の射出成形金型の従来の他の構成(例えばエジェクターピン(示していない))を組み込んでいる。
【0063】
図5、6および7を参照すると、図5にはブリッスル方向(すなわち、ブリッスルをヘッド部15、16、17中に固定する際にブリッスル(示していない)を整列させる、矢印で示した方向)に対して垂直に見た側面図で歯ブラシ10のプラスチック材料骨組みが示されている。長軸方向はA--Aで表され、横方向はW--Wで表されている。図5に見られるように、歯ブラシ10は中央の区画13が外側の2つの区画12、14からブリッスル方向に平行な横方向で離れた状態で、射出成形法により製造されたように示されている。図5に示すように、区画12、13、14は広がって離れているため、区画12、13、14のそれぞれの長軸方向B−Bは、ハンドル11からの区画12、13、14の長軸距離が増大するにつれ分岐するようになり(すなわち、長軸距離につれて次第に広がるようになり)、結果的に、区画12、13、14およびその柔軟性ネック部19、20、21の長軸方向B−Bが、長軸方向に対して約15°の角度でハンドル11から遠ざかる方向に分岐するようにする。図6では同じ骨組みを平面図で示している。
【0064】
図5に見られるように、外側の区画12、14は、実質的に、ブリッスル方向に垂直な一平面内にあり、中央の区画13はこの平面から上にずれている。結果的に、区画12、13、14は立体角で広がっているように見え、すなわちそれらの長軸方向がピラミッドの表面上にある。
【0065】
図7の側面図に見られるように、区画12、13、14を有する歯ブラシ骨組み10は、それが形成された射出成形金型70から取り出され、区画12、13、14は互いに比較的近くに動かされており、すなわち図2に対応する関係になっている。この状態を達成するには、中央のネック部13に対して下向きに圧を加え、ネック部13とハンドル11の間の一体的接合部に歪みを生じさせて、中央の区画13が横方向(例えば外側の区画12、14に対してブリッスル方向)に近づくようにする。必要ならば、同時に外側のネック部19、21に対して内向圧を加え、外側の区画12、14を中央の区画13に近づけてもよい。
【0066】
この圧は、中央の区画13に適用される、下向きに移動可能な好適な加圧部品(示していない)により加えてもよい。図2と同様に、この操作の間、下向きに移動可能な加圧部品を組み込んだホルダーにより歯ブラシ10を保持してもよい。
【0067】
図3と同様に、熱可塑性エラストマー材料である第2材料40を、ハンドル11中のキャビティー23に注入し、公知の注入条件下でネック部19、20、21間の間隙22に流れ込ませることにより、ネック部19、20、21のプラスチック材料をエラストマー材料40により結合させることができる。続いて高温流動状態で間隙22に注入されたエラストマー材料40が硬化し、それによりネック部19、20、21を、したがって区画12、13、14を、互いに近接した状態に保つ。この方法の変法では、中央のネック部20、またはそれがハンドル11に出会う個所が高温であって可塑的に展性である間に、中央の区画20に対して内向圧を加えることにより、続いてそれを冷却したときに中央のネック部20が相互に近接した状態で保持されるようにしてもよい。
【0068】
図8は、図4の歯ブラシ骨組み10が製造される射出成形金型80の部品の断面図を示し、それぞれの区画12、13、14が成形される金型キャビティー81、82、83の配置を明らかにしている。金型80は、分割線86において通常のように分離する2つの部品金型84、85を含んでなる。図8では、線C−Cでの、すなわちネック部19、20、21を通って切断した場合の、区画12、13、14の相対的分離が示されている。骨組み10を製造するのに用いる射出成形金型80は、それ以外は歯ブラシ分野で慣用のものであってよい。図8に見られるように、かかる金型中に、個別の金型キャビティー81、82、83(ここで射出成形により区画12、13、14が形成される)の間に薄い隔壁を設ける必要がないことは好ましく評価されるであろう。
【0069】
上記の方法で製造した後、当該技術分野で公知のように、通常の植毛機を用いて孔18中にブリッスルを固定することができる。あるいはまた、ブリッスルを、いわゆる「アンカーレス」(anchorless)法を用いてヘッド部15、16、17中に植設してもよく、その場合には、ブリッスルタフトの端部を金型キャビティー内に突き出させ、ブリッスルタフトを取り囲み、包埋するようにプラスチック材料を注入する。
【0070】
図9、10および11は、本発明の方法の第2段階を実施する装置の部分を例示する。
【0071】
図9、10および11は、図1に示される骨組み10を保持しうるホルダー90を示す。ホルダー90は、図9の平面図に見られる第2の金型キャビティー91を包含し、ここで骨組み10のハンドル部11がホルダー90と上側(見かけ上)のホルダー部品(示していない)との間にはまり込んで閉じ込められる。それはハンドル部11をぴったりと収容するので、続いて熱可塑性エラストマー材料を注入してグリップパッド40を形成することができるようになる。上下の金型部品により形成される金型キャビティー内に歯ブラシ骨組みのハンドル部を収容して閉じ込めること、およびこのようにしてエラストマーグリップパッド40を形成することは、歯ブラシ分野でルーチンに行われている。
【0072】
区画12、13、14は、このキャビティー91を包含するホルダーの部分から、領域92へと突き出ている。領域92に隣接して、ピストン93が領域92の両側に配置されており、これは内側に向かって動き、ネック部19、21に対して内向圧をかけることができる。
【0073】
図10に示される場合には、ピストン93は内側に動かされている。バルクヘッド部94は領域92内に位置し、領域92の下側表面(示していない)から上向きに一体的に延在し、骨組み10をキャビティー91に挿入したときに、中央のネック部20と外側のネック部19、21との間にぴったりとはまる。ピストン93の加圧下でネック部19、21が内向きに動くと、それらがバルクヘッド部94に接して、間隙22がネック部19、20、21とバルクヘッド部94の間に閉じ込められるようになり、またネック部19、20、21とバルクヘッド部94に隣接する領域92の上面と下面は、ハンドル11のキャビティー23に供給する従来設計の注入口(示していない)からキャビティー23に流動状熱可塑性エラストマーを注入しても、流体を通さなくなる。
【0074】
図10Aは、矢印の方向から見た図10のホルダー90を通る線A--Aでの断面図を示す。ホルダー90は上側部品90Aおよび下側部品90Bを有するように示してあり、これらは歯ブラシ製造で用いる通常の射出成形金型の様式で分割線90Cにおいて出会う。相互に近接した位置にあるネック部19、20、21、およびそれらの間の間隙22が断面で示されている。バルクヘッド部94の表面(間隙22を閉じ込めている)が示されている。ネック部19、20、21、上側および下側部品90A、90B、およびバルクヘッド部94は、それらの間でぴったりとはまり合って流体密封シールを形成することによって、流動状エラストマー材料が間隙22に流入可能となることがわかる。図10Bは、線B--Bでのホルダー90を通る断面図を示す。ハンドル部11が、キャビティー23と同様に、断面で示されている。図10Bを図10Aに重ね合わせると、キャビティー23がいかにして間隙22と連絡し、キャビティー23に注入される流動状エラストマー材料を間隙22に流入させるかが見て取れる。
【0075】
図11は、エラストマー材料40がキャビティー23に注入され、バルクヘッド94に許容されるところまで間隙22に沿って長軸方向に流れ、固化して図3に示すような歯ブラシを生み出したときの状況を示す。ピストン93を図9に示される位置まで外側に後退させ、ホルダー90の上側および下側部品を分離すると、完成した歯ブラシ10を後続の植毛操作のためにホルダー90から取り出すことができる。
【0076】
図12に関して、これ以前の図に対応する部品には対応する番号が付けられている。図12では、ホルダー100は、部品19、20、21を互いに接近した配置に押し動かすためのピストン93を備えており、部品19、20、21をこの配置に保持するように適合されている。ホルダー100はまた、ハンドル部11を別個の金型101に提示するように適合されている。図12Aおよび12Bはそれぞれ、矢印の方向に見たときの線A--Aで金型101を通る断面図、および線B--Bで金型101を通る断面図であり、部品19、20、21が閉じた金型101内に収められている。金型101は分割線101Cで組み合わされる上側部品101Aと下側部品101Bを含むことが見て取れる。金型101はバルクヘッド部94を組み込んでおり、これらは下側の金型部品101Bと一体であり、図12に示したそれらの表面が部品19、20、21間の間隙22の端部を閉じている。実際には、骨組み10がホルダー100に収容され、その部品19、20、21は、それらの好適な間隔を決定するスペーサー102に接するまでピストン93により一緒に押し動かされる。ホルダー100に保持されている間、ハンドル部11は下側部品101Bに提示され、バルクヘッド部94が部品19、20、21の間にはまり込んでいる。図12Aでは、バルクヘッド部94の表面がいかにして間隙22を閉鎖し、それにより流動状エラストマー材料が間隙22に流入できるようになるかが見て取れる。
【0077】
図13、14および15を参照すると、本発明の方法を行うのに好適な装置200(全体)の一部分が示されている。装置200は、一緒に組み合わされる第1部品201および第2部品202を含んでなり、図13は部品201の表面201Aの平面図であり、部品202は従来の歯ブラシ射出成形金型の様式で組み合わさる表面202Aを有する。図14および15は、図13の線A--Aでの装置を通る断面図である。第1部品201および第2部品202は部分金型キャビティー203、204を組み込んでおり、これらが組み合わさって骨組みのグリップハンドル部11がぴったりとはまる金型キャビティー203、204を形成する。部品202は一体的なバルクヘッド部94を組み込んでいる。部品201は、下側部品201の表面201Aの形の接触部を組み込んでおり、これは領域201Bでは傾斜した形状を有し、一般的にはキャビティー203の底部に向かって円錐形にテーパーがつけられている。
【0078】
操作においては、離れた区画12、13、14を有する骨組み10を射出成形金型中で製造する。骨組み10を金型キャビティー203に差し込む。骨組み10をこの操作で都合よく扱うには、中央の区画13のブリッスル孔18中にブリッスルピン42を残し、これらのブリッスルピン42によって骨組み10を保持するが、外側の区画12、14が区画13に対して動くことができるように外側の区画12、14からはブリッスルピン42を取り外す。図14では、区画のネック部19、20、21を部品201の表面201Aに隣接した配置で示しており、区画19、20、21はより遠くに離れた配置となっている。図15に見られるように、区画19、20、21は金型キャビティー203に差し込まれており、そこではそれらは容易に収まるが、ぴったりとはまっている。区画19、20、21をキャビティー203に差し込むにつれて、外側の区画19、21を傾斜面201Bにもたせかけ、それらが互いに近接した配置(それらがキャビティー203の底部に到達したときにとる配置)をとるようにする。区画19、20、21がこの互いに近接した配置にある場合には、部品201を図14に見られるように部品202と組み合わせることができる。部品202は205に示される位置に注入口を備えており、ここから熱可塑性エラストマー材料を金型キャビティー203、204に注入することができ、それが次に骨組み10のキャビティー23、続いて区画19、20、20の間の間隙22に流入し、これらの区画を互いに近接した配置で固定する。
【0079】
図16を参照すると、本発明の方法を行うのに好適な装置300(全体)の一部分が示されている。装置300は、図13、14、15に類似した全体配置の第1部分金型301および第2部分金型302を含み、これらは図13、14、15と同様に組み合わされ、図16は矢印により示された方向(部品301および302が互いに組み合わされる)に垂直な模式的側面図である。図16Aは、図16の線A--Aでの部分断面図である。第1部分金型301および第2部分金型302は部分金型キャビティー303、304を有し、これらは組み合わさって骨組み10のグリップハンドル部11がぴったりとはまる金型キャビティー303、304を形成するが、区画のヘッド部15、16、17およびヘッド部15、16、17と隣接する区画のネック部19、20、21は部分金型キャビティー303、304の外側に延在するようにする。部品302には注入口305が設けられている。部品301および302は図13、14、15と同様に一体的なバルクヘッド部94を備えている。
【0080】
部品301は、金型キャビティー303の外側に接触部306を有し、これは金型キャビティー303、304の外側に位置する傾斜面306Aを有する。接触部306は部品301に堅固に固定されており、また部品301と同じスチールブロックにより一体的に作られてもよい。
【0081】
操作においては、遠くに離れた区画12、13、14を有する骨組み10を、上述のように射出成形金型中で製造する。骨組み10を、示されているように金型キャビティー303、304の間の位置で操作する。骨組み10をこの操作で都合よく取り扱うには、中央の区画13のブリッスル孔18中にブリッスルピン42を残し、操作アーム(インデックスプレート)307から延びているブリッスルピン42によって骨組み10を保持するが、外側の区画12、14からはブリッスルピン42を取り外すことで、それらが区画13に対して動くことができるようにする。
【0082】
部品301、302を次に互いに組み合わせて、図13、14、15と同様に、骨組み10のハンドル部11をキャビティー303、304に閉じ込める。部品301、302が互いに接近するにつれて、外側の区画19、21を、金型の分割線を越えて延びる傾斜面306Aにもたせかけ、区画19、21が互いに接近した配置(骨組み10がキャビティー303に収容される直前で、部品301、302が出会う前にそれらがとる配置)をとるようにする。こうして、ネック部19、20、21はその互いに近接した配置で、図13、14、15と同様に、金型キャビティー303、304内にぴったりとはまるようになる。熱可塑性エラストマー材料は注入口305から金型キャビティー303、304に注入することができ、それが骨組み10のキャビティー23に、続いてネック部19、20、21の間の間隙22に流入し、図13、14、15と同様に、互いに近接した配置で区画を一緒に固定する。
【0083】
その後、区画12、13、14を有する歯ブラシ骨組みを従来の方法でさらに加工してもよい。例えば、歯ブラシブリッスル(示していない)を通常の方法で骨組みのブリッスル孔18に挿入する。例えば、これを行うには、従来の方法で、通常の小型金属クリップを用いて複数のブリッスルを一緒に保持して、複数のブリッスルからなる1つのタフトにし、次にクリップが孔18にしっかりはまり込むようにかかる束を孔18に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】区画が広がっている状態の、歯ブラシ骨組みの平面図である。
【図2】区画を互いに近くに動かした後の、図1の骨組みの平面図である。
【図3】第2の構成材料を注入した後の、図2の骨組みの平面図である。
【図4】図1の骨組みの製造に好適な射出成形金型部品の平面図である。
【図4A】図4の金型の線A--Aでの断面図である。
【図5】区画が広がっている状態の、歯ブラシ骨組みの側面図である。
【図6】図5の骨組みの平面図である。
【図7】区画を互いに近くに動かした後の、図5の歯ブラシ骨組みの側面図である。
【図8】図5の骨組みの製造に好適な射出成形金型部品の断面図である。
【図9】ホルダーの構成および操作を示す模式図である。
【図10】ホルダーの構成および操作を示す模式図である。
【図11】ホルダーの構成および操作を示す模式図である。
【図12】歯ブラシの製造のためのホルダーと射出成形金型の別の構成を示す模式図である。
【図12A】図12の金型の線A--Aでの断面図である。
【図12B】図12の金型の線B--Bでの断面図である。
【図13】本発明の装置の別の構成を示す模式図である。
【図14】図13の装置の線A--Aでの断面図である。
【図15】図13の装置の線A--Aでの断面図である。
【図16】本発明の装置のまた別の構成を示す模式図である。
【図16A】図16の装置の線A--Aでの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシの長軸方向の両側に、横方向に相互に隣接する少なくとも2つの区画を含んでなるタイプの歯ブラシヘッドの製造方法であって、該区画は柔軟かつ一体的に相互に連結されており、以下の段階:
第1に、該区画を柔軟かつ一体的に相互に連結させてかつ横方向に相互に比較的離した状態で、該ヘッドを射出成形法により製造する段階、
第2に、そのように形成されたヘッドの該区画を横方向に相互に比較的近くに動かす段階、
を含む、上記方法。
【請求項2】
前記区画を、ブリッスルを担持するのに適合したヘッド部とネック部とからなる形に製造し、該ネック部を介して該区画を歯ブラシハンドルと一体的に連結し、結果的に該区画を一体的に相互に連結する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記区画を互いに比較的近くに動かす際に、該区画のヘッド部とネック部の間の接合部に、ネック部とハンドルの間の接合部に、またはネック部の他のいずれかの位置に、一体的連結の歪みが生じる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法の第1段階では、前記区画は、ハンドルからの該区画の長軸距離が増大するにつれて該区画のそれぞれの長軸方向が分岐するように、離れて配置され、次に前記方法の第2段階では、該区画を横方向に相互に比較的近くに動かし、結果的に該区画のそれぞれの長軸方向が平行となるようにする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記区画がブリッスル方向に対して垂直な方向に離れている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記区画がブリッスル方向に対して平行な方向に離れている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
3つまたはそれ以上の区画の長軸方向が、それらが立体角で分岐するように離れている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ネック部を横方向に相互に比較的離して製造し、次に該ネック部を相互に比較的近くに動かす、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記区画を互いに近くに動かした後には、それらが0.5mm未満の横方向の間隙で分離されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記区画を互いに近くに動かした後には、それらが互いに滑り接触している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
歯ブラシヘッドを熱可塑性材料で製造し、該材料が高温展性状態にある間に前記区画を互いに近くに動かす、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
射出成形法を用いて高温流動状の可塑性材料からヘッドを製造し、射出成形段階後に該材料がまだ高温展性状態であるように、該ヘッドを金型からはずしたすぐ後に前記区画を互いに近くに動かすことにより、かかる高温展性状態にて該材料を提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ヘッドを加熱して前記材料を展性にすることによって、かかる高温展性状態にて該材料を提供する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記区画を互いに近くに動かした後に、それらをこの互いに近接した関係で固定する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記材料が高温展性状態にある間に前記区画を互いに近くに動かし、該区画を互いに近くに動かした後に、該材料を冷却するかまたは該材料を冷めるままにしておくことによって該区画をこの関係に固定する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記区画の一部分のまわりにおよび/またはそれらの間に第2の流動状可塑性材料を注入し、この第2の流動材料を硬化させるかまたはそれを硬化するままにしておくことにより該区画を互いに近接した関係に固定する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
柔軟性ネック部の一部分のまわりにおよび/またはそれらの間に第2の流動状可塑性材料を注入し、この第2の流動材料を硬化させるかまたはそれを硬化するままにしておくことにより該区画を互いに近接した関係に固定する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
グリップハンドルに隣接する柔軟性ネック部の一領域である前記区画の一部分のまわりにおよび/またはそれらの間に第2の流動状可塑性材料を注入し、この第2の流動材料を硬化させるかまたはそれを硬化するままにしておくことにより該区画を互いに近接した関係に固定する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法の第1段階において、横方向に遠く離れた相対配置で前記区画を有する歯ブラシ骨組みを製造する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記骨組みが、意図する第2材料部品の外形および位置を画定する空所1つ以上をその構造中に有し、該空所の中に第2の流動状可塑性材料を注入することができ、該空所が前記区画間の間隙を含むかまたはそれと連絡している、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第2の可塑性材料がプラスチック材料である、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
第2の可塑性材料が熱可塑性エラストマー材料である、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法の製品である歯ブラシヘッド。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置であって、以下の構成:
歯ブラシの長軸方向の両側に、横方向に隣接する少なくとも2つの区画を含んでなり、該区画が柔軟にかつ一体的に相互に連結されていて、横方向に比較的離れているタイプの歯ブラシヘッドを製造するのに適合した射出成形手段、
そのように形成されたヘッドの区画を比較的近くに動かす手段、
を含んでなる、上記装置。
【請求項25】
歯ブラシの長軸方向の両側に、横方向に隣接する少なくとも2つの区画を含んでなり、該区画が柔軟にかつ一体的に相互に連結されていて、横方向に比較的離れているタイプの歯ブラシヘッドを供給するのに適合しており、さらに該ヘッドの該区画を相互に比較的近くに動かすのに適合している、装置。
【請求項26】
前記区画を含んでなる歯ブラシの骨組みを収容するように適合した請求項25に記載の装置であって、第1および第2の部分金型を含み、それらは互いに組み合わせることができ、かつ第1および第2の部分金型キャビティーを含み、これらの部分金型キャビティーは、第1および第2の部分金型を互いに組み合わせたときに、該骨組みの少なくとも一部分を収容することができる金型キャビティーを形成し、また、該骨組みの一部分と一方の部分金型キャビティーとが比較的近づいたときに、1以上の接触面が該区画の少なくとも1つに接して、該区画を互いに近接した関係に強制的に動かすことができるように、該装置に対して位置づけられた1以上の接触面を有する、上記装置。
【請求項27】
接触面が傾斜した形の接触面を有する1以上の部分金型キャビティーによって提供され、該区画を該部分金型キャビティーに収容するとき、傾斜した形の面が該区画と接して該区画を互いに近接した関係に強制的に動かす、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
接触面がグリップハンドル部および該グリップハンドル部に隣接した前記区画のネック部を収容することができる金型キャビティーにより提供されるが、該区画のヘッド部および該ヘッド部に隣接する該区画のネック部は該部分金型キャビティーの外側に延在するようになり、また、接触面は部分金型キャビティーの外側にあり、かつ該部分金型が組み合わさる前に該区画と接触面とが接触するように位置づけられており、その結果接触面が該区画に接して該区画を互いに近接した関係に強制的に動かす、請求項26または27に記載の装置。
【請求項29】
接触面が部分金型と堅固に接合されているかまたは部分金型の一部であり、金型の分割線を越えて延びている、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記骨組みを部分金型キャビティーに収容する際に接触面が前記区画と接するように、接触面が位置づけられている、請求項29に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図16A】
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【公表番号】特表2007−508967(P2007−508967A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536067(P2006−536067)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012062
【国際公開番号】WO2005/039858
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(501390806)グラクソスミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (20)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline Consumer Healthcare GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】