説明

死角表示装置

【課題】運転者が違和感を覚えることなく死角領域の映像を確認することのできる死角表示装置を提供する。
【解決手段】死角領域Bのうち運転者が確認したい所定位置Fの映像を死角領域撮像カメラ3によって取得すると共に車内に設けられた死角領域表示モニタ9に表示する。また、この死角領域表示モニタ9を、所定位置Fと運転者Dの視点位置Pとの間に配置することで、死角領域Bのうち運転者Dが確認したい所定位置Fに対応する方向で当該所定位置Fの映像を表示することができる。これによって、確認したい所定位置Fと異なる方向に視線を移動させずに、運転者Dが違和感を覚えることなく死角領域Bの映像を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前側の低位置における死角領域を表示する死角表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、死角表示装置として、例えば、特開平6−183298号公報に記載されるように、車両のボンネットの右前部のフェンダーミラー内に設けられたカメラ(撮像手段)で左側の死角領域の映像を取得すると共に、左前部のフェンダーミラー内設けられたカメラで右側の死角領域の映像を取得し、取得した映像をルームミラー隣のモニタやカーナビ用のモニタなどの運転席近傍に設けられたモニタ(死角領域表示手段)に表示するものが知られている。
【特許文献1】特開平6−183298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような死角表示装置にあっては、死角領域の映像を表示するためのモニタが運転席近傍に設けられており、運転者が確認したい死角領域の位置と、その映像が表示される位置とが異なっている。従って、運転者が確認したい死角領域の映像を見るために、当該死角領域とは異なる方向に視線を移動させる必要が生じていたため、運転者が違和感を覚えてしまうという問題が生じていた。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、運転者が違和感を覚えることなく死角領域の映像を確認することのできる死角表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る死角表示装置は、運転者の視界が遮られることにより生じる車両前側の低位置における死角領域のうち、所定位置の映像を取得する撮像手段と、車内に設けられ、映像を表示する死角領域表示手段と、を備え、死角領域表示手段は、表示される所定位置と運転者の視点位置との間に配置されていることを特徴とする。
【0006】
この死角表示装置では、死角領域のうち運転者が確認したい所定位置の映像が撮像手段によって取得されると共に車内に設けられた死角領域表示手段によって表示される。また、この死角領域表示手段は、所定位置と運転者の視点位置との間に配置されているため、死角領域のうち運転者が確認したい所定位置に対応する方向で当該所定位置の映像を表示することができる。これによって、確認したい所定位置と異なる方向に視線を移動させずに、運転者が違和感を覚えることなく死角領域の映像を確認することができる。
【0007】
本発明に係る死角表示装置において、撮像手段は、死角領域のうちの助手席側の所定位置の映像を取得し、死角領域表示手段は、インストルメントパネルの助手席側に設けられたモニタによって構成されていることが好ましい。助手席側のインストルメントパネルに設けられたモニタによって、運転者にとって特に見難い助手席側の死角領域の映像を違和感無く確認することができる。
【0008】
本発明に係る死角表示装置において、撮像手段は、死角領域のうちの助手席側のフロントフェンダー横側位置の映像を取得し、死角領域表示手段は、運転者の視点位置とフロントフェンダー横側位置との間に配置されていることが好ましい。運転者の視点位置とフロントフェンダー横側位置との間に死角領域表示手段が配置されているため、運転者にとって特に見難く、障害物を巻き込む可能性の高い死角領域であるフロントフェンダー横側位置の映像を違和感無く確認することができる。
【0009】
本発明に係る死角表示装置において、車両のボンネット上に設けられ、死角領域のうちの助手席側のフロントフェンダー横側の様子を映す補助ミラーを更に備え、撮像手段は、死角領域のうちの助手席側のフロントフェンダー横側位置の映像を取得し、死角領域表示手段は、運転者の視点位置と補助ミラーとの間に配置されていることが好ましい。補助ミラーのサイズは小さく運転者にとって見難いという問題があったが、運転者の視点位置と補助ミラーとの間に死角領域表示手段が配置されているため、補助ミラーに映されるフロントフェンダー横側位置の様子を映像によって見易く、且つ、違和感無く確認することができる。
【0010】
本発明に係る死角表示装置において、車両の走行状態を推定する走行状態推定手段と、運転者の運転を支援するための支援映像を表示する運転支援用表示手段とを更に備え、走行状態推定手段は、車両の車速が所定の閾値以下である場合に、低速状態にあると推定し、死角領域表示手段は、走行状態推定手段により車両が低速状態にあると推定された場合に、映像を表示し、運転支援用表示手段は、走行状態推定手段により車両が低速状態にあると推定された場合に、支援映像を非表示とすることが好ましい。例えば、車両が駐車位置から出発するときや、狭い路地を曲がるときなどの低速状態にある場合は、車両前側の低位置を確認する必要があるが、このような場合に死角領域表示手段で死角領域の映像を表示することによって、出発の際や狭い路地を曲がる際の安全性を確保することができる。また、低速状態にある場合は、運転支援用表示手段を非表示とすることによって、運転者を死角領域表示手段の映像に集中させることができる。
【0011】
本発明に係る死角表示装置において、車両の走行状態を推定する走行状態推定手段を更に備え、走行状態推定手段は、車両の車速が所定の閾値より大きい場合に、高速状態にあると推定し、死角領域表示手段は、走行状態推定手段により車両が高速状態にあると推定された場合に、映像を非表示とすることが好ましい。車両が高速状態にあるときは、死角領域表示手段の映像が流れてしまい、表示されているものの判別がつかなくなってしまうが、このような場合に映像を非表示とすることによって、運転者を運転に集中させることができる。
【0012】
本発明に係る死角表示装置において、車両の走行状態を推定する走行状態推定手段を更に備え、走行状態推定手段は、車両が後退状態であるか否かを推定し、死角領域表示手段は、走行状態推定手段により車両が後退状態にあると推定された場合に、映像を非表示とすることが好ましい。車両が後退状態にある場合は、運転者が後方に注意して運転する必要があるため、このような場合に映像を非表示とすることによって、運転者を運転に集中させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、運転者が違和感を覚えることなく死角領域の映像を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る死角装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、車両の進行方向を「前方」と定め、車内から見たときの左右方向を「左」、「右」と定め、「前」、「後」、「左」、「右」等の方向を表す語を用いることとする。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る死角表示装置のブロック構成を示した図、図2は本発明の実施形態に係る死角表示装置を搭載した車両を外部から見た様子を示した図であり(a)が車両を上方から見た図、(b)が車両を側面から見た図、図3は本発明の実施形態に係る死角表示装置を搭載した車両内の様子を示した図である。
【0016】
図1に示すように、死角表示装置1は、ECU(Electronic Control Unit)2、死角領域撮像カメラ(撮像手段)3、運転支援用カメラ4、車速検出部6、シフトポジション検出部7、表示スイッチ8、死角領域表示モニタ(死角領域表示手段)9、運転支援用モニタ(運転支援用表示手段)11を備えている。この死角表示装置1は、図2に示すように、ボンネット20やサイドドア21などによって運転者Dの視界が遮られることによって生じる、車両前側の低位置における死角領域Bの映像を表示するものである。死角領域Bは、ボンネット20及びサイドドア21よりも低い位置において車両前側全体を取り囲むように形成されており、死角表示装置1では、死角領域Bのうちの特に確認が必要とされる所定位置の映像を表示するものとする。本実施形態においては、駐車場所から出発する際や狭い路地で曲がる際などに障害物を巻き込む可能性の高い、助手席側のフロントフェンダー22の横側位置Fの映像を表示する場合について説明する。なお、フロントフェンダー22は、車両のボディーのうち前輪23の上側を取り囲むようにアーチ状に湾曲した部分である。
【0017】
図1に戻り、死角領域撮像カメラ3は、運転者Dの視界が遮られることにより生じる車両前側の低位置における死角領域Bのうちのフロントフェンダー横側位置Fの映像を取得する機能を有する。死角領域撮像カメラ3は、車両のボンネット20上の左端に設けられた補助ミラー24に搭載されるCCDカメラなどによって構成されている(図2,3参照)。なお、この死角領域撮像カメラ3は、この死角領域撮像カメラ3は、取得した映像を電気信号としてECU2へ送信する。なお、補助ミラー24,26は、死角領域Bのうちのフロントフェンダー横側の様子を映す機能を有しており、ドアミラーを補助するものとして機能するミラーである。
【0018】
運転支援用カメラ4は、運転者Dの運転を支援するための種々の映像を取得するためのカメラである。運転支援用カメラ4としては、例えば、夜間の運転を支援すべく車両周辺の暗視映像を取得するために車両前側に設けられた暗視カメラや、駐車の際の後退動作を支援すべく車両後方の映像を取得するために車両後側に設けられたCCDカメラなどが挙げられる。
【0019】
車速検出部6は、例えば車輪の回転数を計測することによって、車両の車速を検出する機能を有する。シフトポジション検出部7は、車両のシフトレバーのシフトポジションを検出する機能を有する。各検出部は、取得した検出結果をECU2へ出力する機能をそれぞれ有する。
【0020】
表示スイッチ8は、死角領域撮像カメラ3で取得した映像を死角領域表示モニタ9に表示させるか否かのON/OFFを運転者が切り替えるためのものであり、例えば、死角領域表示モニタ9に設けられたスイッチなどで構成される。
【0021】
死角領域表示モニタ9は、車内に設けられ、死角領域撮像カメラ3で取得した映像を運転者Dに表示する機能を有している。図2及び図3に示すように、この死角領域表示モニタ9は、インストルメントパネル27の助手席側の略中央位置に設けられた液晶ディスプレイによって構成されており、フロントフェンダー横側位置Fと運転者Dの視点位置Pとの間に配置されている。具体的には、死角領域表示モニタ9は、運転者Dの視点位置(瞳の位置)Pとフロントフェンダー横側位置Fとを結ぶ直線L上に配置されている。フロントフェンダー横側位置Fは、所定の広さを持った領域であるため、直線Lの終端をどこで定義してもよいが、図2においては、フロントフェンダー横側位置Fの中心点FCを終端として定義している。この直線Lは、運転者Dの体格や姿勢などによって始端となる視点位置Pが変動すると共に、死角領域撮像カメラ3の向きや性能などによって終端が変動するため一定に定まるものではない。従って、死角領域表示モニタ9は、完全に直線L上に配置されていなくても、運転者Dが違和感を覚えない範囲であれば直線Lから所定距離離間した位置に配置されていてもよい。
【0022】
運転支援用モニタ11は、運転者Dの運転を支援するための種々の映像を表示する機能を有している。運転支援用モニタ11としては、例えば、インストルメントパネル27の下側で運転席と助手席の間に設けられたディスプレイなどが挙げられ、カーナビ情報や、運転支援用カメラ4で取得された暗視映像や車両後側の映像などが表示される。なお、運転支援用モニタ11は車両内に複数設けられていてもよい。
【0023】
ECU2は、装置全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPUを主体として構成され、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などを備えている。このECU2は、車両の走行状態を推定する走行状態推定手段として機能する。
【0024】
ECU2は、具体的には、各検出部からの検出結果に基づいて、車両が低速前進状態にあるか否か、車両が高速前進状態にあるか否か、車両が後退状態にあるか否かなどを推測する。また、ECU2は、車両の走行状態の推定結果に基づいて、死角領域表示モニタ9の表示/非表示の制御を行うと共に、運転支援用モニタ11の画面の切り替え及び表示/非表示の制御を行う機能を有している。
【0025】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る死角表示装置1の動作について説明する。
【0026】
図4は、本実施形態に係る死角表示装置1における死角領域表示処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU2において、車両の走行中に所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0027】
図4に示すように、死角表示装置1は、死角領域Bのうちのフロントフェンダー横側位置Fの映像を取得する映像取得処理から処理を開始する(S10)。S10の処理は、死角領域撮像カメラ3で取得したフロントフェンダー横側位置Fの映像を取得する処理である。S10の処理が終了すると、車速取得処理へ移行する(S12)。
【0028】
S12の処理は、車速検出部6から送信された情報に基づいて車両の速度を取得する処理である。S12の処理が終了すると、シフトポジション取得処理へ移行する(S14)。S14の処理は、シフトポジション検出部7から送信された情報に基づいてシフトポジションを取得する処理である。S14の処理が終了すると、表示スイッチON/OFF取得処理へ移行する(S16)。S16の処理は、表示スイッチ8がONとされているかOFFとされているかに関する情報を取得する処理である。S16の処理が終了すると、表示スイッチ判定処理へ移行する(S18)。
【0029】
S18の処理は、S16で取得した情報に基づいて表示スイッチがONとされているか否かを判定する処理である。S16において、表示スイッチがONとされていないと判定された場合、図4の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。一方、S18において、表示スイッチがONとされていると判定された場合、低速前進状態判定処理へ移行する(S20)。
【0030】
S20の処理は、S12で取得した車速情報及びS14で取得したシフトポジション情報に基づいて、シフトポジションがP、D、あるいはNに設定されており、かつ、車速が所定の閾値Vkm/h以下であるか否かを判定する処理である。所定の閾値Vは8〜10km/hに設定される。S20において、シフトポジションがP、D、あるいはNに設定されており、かつ、車速が閾値Vkm/h以下であると判定された場合、車両が低速直進状態にあると判断され、死角領域表示処理へ移行する(S22)。
【0031】
S22の処理は、S10で取得したフロントフェンダー横側位置Fの映像を死角領域表示モニタ9に表示する処理である。S22の処理が終了すると、運転支援用モニタ非表示処理へ移行する(S24)。S24の処理は、運転支援用モニタ11におけるカーナビ情報や暗視映像などの表示を非表示とする処理である。S24の処理が終了すると、図4の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。
【0032】
一方、S20において、シフトポジションがP、D、あるいはNに設定されていない場合、あるいは車速が閾値Vkm/hよりも大きい場合は、車両が低速直進状態にないと判断され、後退状態判定処理へ移行する(S26)。S26の処理は、S14で取得したシフトポジション情報に基づいてシフトポジションがRに設定されているか否かを判定する処理である。S26において、シフトポジションがRに設定されていると判定された場合、車両が後退状態にあると判断され、死角領域非表示処理へ移行する(S28)。
【0033】
S28の処理は、死角領域表示モニタ9にフロントフェンダー横側位置Fの映像が表示されていた場合に死角領域表示モニタ9を非表示とし、既に非表示とされている場合は、その非表示状態を維持する処理である。S28の処理が終了すると、後方映像表示処理へ移行する(S30)。S30の処理は、運転支援用モニタ11に後方映像を表示する処理である。S30の処理が終了すると、図4の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。
【0034】
一方、S26において、シフトポジションがRに設定されていないと判定された場合、車速がVkm/hより大きく高速直進状態にあると判断され、死角領域非表示処理へ移行する(S32)。S32の処理は、死角領域表示モニタ9にフロントフェンダー横側位置Fの映像が表示されていた場合に死角領域表示モニタ9を非表示とし、既に非表示とされている場合は、その非表示状態を維持する処理である。S32の処理が終了すると、暗視映像表示処理へ移行する(S34)。S34の処理は、運転支援用モニタ11に暗視映像を表示する処理である。S34の処理が終了すると、図4の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。
【0035】
このように、実施形態に係る死角表示装置1においては、死角領域Bのうち運転者が確認したい所定位置Fの映像が死角領域撮像カメラ3によって取得されると共に車内に設けられた死角領域表示モニタ9によって表示される。また、この死角領域表示モニタ9は、所定位置Fと運転者Dの視点位置Pとの間に配置されているため、死角領域Bのうち運転者Dが確認したい所定位置Fに対応する方向で当該所定位置Fの映像を表示することができる。これによって、確認したい所定位置Fと異なる方向に視線を移動させずに、運転者Dが違和感を覚えることなく死角領域Bの映像を確認することができる。
【0036】
一方、従来の死角領域表示装置であれば、取得した死角領域の映像が運転支援用モニタ11や車内のバックミラーの横に設けられた補助モニタ30などの運転席近傍に設けられているモニタに表示されていた。従って、運転者Dが確認したい死角領域の映像を見るために、当該死角領域とは異なる方向に視線を移動させる必要が生じていたため、運転者が違和感を覚えてしまうという問題が生じていた。
【0037】
本実施形態に係る死角表示装置1において、死角領域表示モニタ9は、助手席側のインストルメントパネル27に設けられたディスプレイによって構成されているため、運転者Dにとって特に見難い助手席側の死角領域Bの映像を違和感無く確認することができる。
【0038】
また、運転者Dの視点位置Pとフロントフェンダー横側位置Fとの間に死角領域表示モニタ9が配置されているため、運転者Dにとって特に見難く、障害物を巻き込む可能性の高い死角領域であるフロントフェンダー横側位置Fの映像を違和感無く確認することができる。
【0039】
また、死角領域表示モニタ9は、ECU2により車両が低速状態にあると推定された場合に、映像を表示し、運転支援用モニタ11は、ECU2により車両が低速状態にあると推定された場合に、支援用の映像を非表示とする。これによって、例えば、車両が駐車位置から出発するときや、狭い路地を曲がるときなどの低速状態にある場合は、フロントフェンダー横側位置Fを確認する必要があるが、このような場合に死角領域表示モニタ9で映像を表示することによって、出発の際や狭い路地を曲がる際の安全性を確保することができる。また、運転支援用モニタ11を非表示とすることによって、運転者をフロントフェンダー横側位置Fの映像に集中させることができる。なお、運転支援用モニタ11以外に車内にモニタが設置されていた場合はそれらも非表示としてよい。
【0040】
また、車両が高速前進状態にあるときは、死角領域表示モニタ9の映像が流れてしまい、表示されているものの判別がつかなくなってしまうが、このような場合に映像を非表示とすることによって、運転者を運転に集中させることができる。また、車両が後退状態にある場合は、運転者が後方に注意して運転する必要があるため、このような場合に映像を非表示とすることによって、運転者を運転に集中させることができる。また、その際に車両後方の映像を運転支援用モニタ11に表示することで、後退時の安全を確保することができる。
【0041】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0042】
例えば、本実施形態に係る死角表示装置1では、死角領域表示モニタ9は、インストルメントパネル27におけるフロントフェンダー横側位置Fと運転者Dの視点位置Pとの間に配置されているが、これに代えて、図5及び図6に示すように、インストルメントパネル27における運転者Dの視点位置Pと補助ミラー24との間に死角領域表示モニタ19を配置してもよい。補助ミラー24のサイズは小さく運転者Dにとって見難いという問題があったが、運転者Dの視点位置Pと補助ミラー24との間に死角領域表示モニタ19が配置されているため、補助ミラー24に映されるフロントフェンダー横側位置Fの様子を映像によって見易く、且つ、違和感無く確認することができる。
【0043】
また、死角領域表示モニタ9は、インストルメントパネル27に設けられた液晶ディスプレイなどによって構成されているが、これに限定されない。例えば、車両の窓ガラス上に映像を表示するヘッドアップディスプレイに表示してもよい。また、液晶ディスプレイもインストルメントパネル27以外の位置に設けても良い。
【0044】
また、死角領域Bのうち、フロントフェンダー横側位置Fの映像を表示させたが、これに限定されず、死角領域Bの範囲内であればどの部分の映像を表示させてもよい。助手席側の死角位置のみならず、運転席側の死角位置でもよい。この場合は、表示させる位置に対応して車内の死角領域表示モニタ9の位置も変動する。なお、表示させる映像と死角領域表示モニタ9の位置を調節することにより、当該モニタ部分で車両の壁が透けたように、死角領域の様子を確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る死角表示装置のブロック構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る死角表示装置を搭載した車両を外部から見た様子を示した図であり(a)が車両を上方から見た図、(b)が車両を側面から見た図である。
【図3】は本発明の実施形態に係る死角表示装置を搭載した車両内の様子を示した図である。
【図4】本実施形態に係る死角表示装置における死角領域表示処理を示すフローチャートである。
【図5】変形例に係る死角表示装置を搭載した車両を示す図であり、図2に対応する図である。
【図6】変形例に係る死角表示装置を搭載した車両を示す図であり、図3に対応する図である。
【符号の説明】
【0046】
1…死角領域表示装置、2…ECU(走行状態推定手段)、3…死角領域撮像カメラ(撮像手段)、9,19…死角領域表示モニタ(死角領域表示手段)、11…運転支援用モニタ(運転支援用表示手段)、B…死角領域、F…フロントフェンダー横側位置(所定位置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の視界が遮られることにより生じる車両前側の低位置における死角領域のうち、所定位置の映像を取得する撮像手段と、
車内に設けられ、前記映像を表示する死角領域表示手段と、を備え、
前記死角領域表示手段は、表示される前記所定位置と前記運転者の視点位置との間に配置されていることを特徴とする死角表示装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記死角領域のうちの助手席側の所定位置の映像を取得し、
前記死角領域表示手段は、インストルメントパネルの前記助手席側に設けられたモニタによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の死角表示装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記死角領域のうちの助手席側のフロントフェンダー横側位置の映像を取得し、
前記死角領域表示手段は、前記運転者の前記視点位置と前記フロントフェンダー横側位置との間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の死角表示装置。
【請求項4】
前記車両のボンネット上に設けられ、前記死角領域のうちの助手席側の様子を映す補助ミラーを更に備え、
前記撮像手段は、前記死角領域のうちの助手席側のフロントフェンダー横側位置の映像を取得し、
前記死角領域表示手段は、前記運転者の前記視点位置と前記補助ミラーとの間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の死角表示装置。
【請求項5】
前記車両の走行状態を推定する走行状態推定手段と、
運転者の運転を支援するための支援映像を表示する運転支援用表示手段とを更に備え、
前記走行状態推定手段は、前記車両の車速が所定の閾値以下である場合に、低速状態にあると推定し、
前記死角領域表示手段は、前記走行状態推定手段により前記車両が前記低速状態にあると推定された場合に、前記映像を表示し、
前記運転支援用表示手段は、前記走行状態推定手段により前記車両が前記低速状態にあると推定された場合に、前記支援映像を非表示とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の死角表示装置。
【請求項6】
前記車両の走行状態を推定する走行状態推定手段を更に備え、
前記走行状態推定手段は、前記車両の車速が所定の閾値より大きい場合に、高速状態にあると推定し、
前記死角領域表示手段は、前記走行状態推定手段により前記車両が前記高速状態にあると推定された場合に、前記映像を非表示とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の死角表示装置。
【請求項7】
前記車両の走行状態を推定する走行状態推定手段を更に備え、
前記走行状態推定手段は、前記車両が後退状態であるか否かを推定し、
前記死角領域表示手段は、前記走行状態推定手段により前記車両が前記後退状態にあると推定された場合に、前記映像を非表示とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の死角表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−30524(P2010−30524A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196671(P2008−196671)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】