説明

気液分離チップ、その製造方法及びそれを用いた全有機体炭素測定装置

【課題】 液体が侵入する恐れのある膜を用いることなしに気液分離フィルタ部を形成する。
【解決手段】気液分離チップの気液分離フィルタ部3はシリコン基板1に異方性ドライエッチングにより形成された多数の針状突起物を有するブラックシリコンと称されるものである。シリコン基板1上には接着性フッ素樹脂5によってガラス基板4が接合されて流路6が形成されている。気液分離フィルタ部3と流路6はともに紙面垂直方向に延びている。気液分離フィルタ部3で液相と気相との界面でガス移動が行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気膜(脱酸素、脱炭酸ガス等を目的とした膜)や給気膜(酸素富化、炭酸ガス富化等を目的とした膜)を利用する分野に関し、例えば、微量ガス濃度を測定する分析分野に関するものである。本発明が対象とする液体は、製薬用水及び半導体製造用行程水のような純水や超純水と呼ばれる不純物の少ない液体のほか、冷却水、ボイラー水、水道水などがある。
【背景技術】
【0002】
溶液中から気体成分を分離するために用いるガス交換膜としては、ガス透過膜やメンブレンフィルタ、中空糸膜、多孔質フッ素樹脂膜があり、これらの膜を隔てて2液を接触させることによりガスを移動させたり、一方を吸引することでガスを除去したり、加圧することで液体にガスを溶け込ませたりする。
【非特許文献1】ぬれ技術ハンドブック(石井淑夫監修)2001年初版発行p25
【非特許文献2】シリコンマイクロ加工の基礎(M.エルベンスポーク、H.V.ヤンセン著)2001年発行p323−326
【非特許文献3】Henri Jansen et al., J. Micromech. Microeng.5, 115 (1995).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の中空糸膜や多孔質膜においてガス分離を高速化させるために液体を高圧で流す場合、膜の微細な孔に液体が侵入することがある。そのため、孔に液体を侵入させることなしに気体だけを移動させてガス分離を行なうには、孔の径を小さくすることと、液体に対する膜表面の接触角(非特許文献2参照。)を大きくすることが必要になるが、孔を小さくすることや接触角を大きくするということは膜製造上難しい。
【0004】
そこで本発明は、液体が侵入する恐れのある膜を用いることなしに気液分離フィルタ部を形成した気液分離チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の気液分離チップは、チップを構成する部材に液体が流れる流路と、上記流路に接して、液体が侵入せずに気体だけが通ることができる気液分離フィルタ部が形成され、その気液分離フィルタ部で液相と気相との界面でガスの移動が行なわれるものである。そして、上記気液分離フィルタ部は多数の針状突起物を有するものであり、上記流路に対し液体がそれらの突起物の先端部と接触するように配置されている。
【0006】
気液分離フィルタ部は多数の針状突起物を有することにより表面が荒れることで表面積が増え、式(1)に示すように接触角が増大する(非特許文献1参照。)。
cosθr=r・cosθ (1)
ここで、cosθrは荒れた表面の接触角、rは平滑面に比べて表面積が何倍になったかを示す因子、cosθは平滑面の接触角である。
【0007】
針状突起物の好ましい形態は、ブラックシリコン表面手法(非特許文献2参照。)によって形成されたブラックシリコン(非特許文献3参照。)であり、シリコン基板への異方性ドライエッチングにより形成されたものである。
上記針状突起物の表面には疎水化処理がなされていることが好ましい。
【0008】
気液分離された気体を気液分離チップから除去したり、液相に導入する気体を外部から導くことができるようにするために、気液分離フィルタ部の針状突起物間の隙間が気体の流れる流路がつながっていることが好ましい。
【0009】
本発明の気液分離チップを全有機体炭素測定装置などのガス透過部として用いるためには、上記流路は互いに異なる液体が流れる2つの流路を備え、それらの2つの流路を結んで上記気液分離フィルタ部が配置されており、気液分離フィルタ部を介して両流路間で気体が移動するようにすればよい。
【0010】
本発明の気液分離チップの製造方法は、一対の基板を張り合わせることによりそれらの基板の対向部に上記流路と気液分離フィルタ部を形成した本発明の気液分離チップを製造する方法であり、上記気液分離フィルタ部を形成するためにシリコン基板表面の一部に対して条件を選択した異方性ドライエッチングを施すことにより多数の針状突起物を形成する工程を含むものである。
【0011】
本発明の全有機体炭素測定装置は、試料水中の有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部、上記有機物酸化分解部で発生した二酸化炭素を純水へ抽出する二酸化炭素抽出部、及び上記二酸化炭素抽出部で抽出した二酸化炭素量を測定するために上記純水の導電率を測定する検出部を備えている。そして、上記二酸化炭素抽出部として本発明の気液分離チップを使用し、一方の流路に上記有機物酸化分解部からの試料水を流し、他方の流路に純水を流し、その気液分離フィルタ部を経た純水を上記検出部に導くことを特徴とする全有機体炭素測定装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の気液分離チップは、多数の針状突起物を有する気液分離フィルタ部で液相と気相との界面でガスの移動が行なわれるものであるので、気液分離フィルタ部は表面積が増大して接触角が大きくなり、高圧で液体を流した場合においても気液分離フィルタ部に液体が侵入することを防ぐことができる。
【0013】
針状突起物の表面に疎水化処理を施すようにすれば、気液分離フィルタ部において接触角をより大きくすることができる。
気液分離フィルタ部の針状突起物間の隙間に気体が流れる流路が接続されるようにすれば、気液分離された気体を外部に排出したり、液体に溶け込ませるガスを供給することができるようになる。
【0014】
互いに異なる液体が流れる2つの流路を備え、それらの2つの流路を結んで気液分離フィルタ部が配置されるようにすれば、一方に試料水、他方に測定水を流すことができ、全有機体炭素測定装置などのガス透過部として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の気液分離チップとその製造方法についての実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
[実施例1]
図1(D)は本発明で実現する気液分離チップの一実施例であり、(A)〜(D)はその作製工程の概略断面図を示している。
図1(D)の気液分離チップでは、気液分離フィルタ部3はシリコン基板1に異方性ドライエッチングにより形成された多数の針状突起物を有するブラックシリコンと称されるものである。針状突起物の表面には疎水化処理がなされている。シリコン基板1上には接着性フッ素樹脂5によってガラス基板4が接合されて流路6が形成されている。気液分離フィルタ部3と流路6はともに紙面垂直方向に延びている。
気液分離フィルタ部3の疎水化処理は要求される撥水性の程度によっては省略することもできる。
【0017】
(A)シリコン酸化膜の形成
例えば、シリコン基板1の表面を酸素雰囲気下にて110℃で熱酸化(ウエット酸化)することで、厚さ1μm程度のシリコン酸化膜2を形成する。
【0018】
(B)シリコン酸化膜のパターン化
フォトリソグラフィー技術を用いてシリコン酸化膜2上にレジストパターンを形成し、それをマスクにしてシリコン酸化膜2をパターン化して、流路となる幅300μmの溝状の開口を形成する。
【0019】
(C)エッチング
パターン化されたシリコン酸化膜2の開口部分に露出したシリコン基板にドライエッチングを行なうことで気液分離フィルタ部としてのブラックシリコンを形成する。このときの作製条件は非特許文献3に記載されているブラック表面手法のドライエッチング条件、例えば、SF6ガス流量を20sccm、O2ガス流量を15sccm、圧力を2.7Pa、印加パワーを50Wとして15分間実行した。これにより、開口部にブラックシリコンと呼ばれる多数の針状突起物が形成される。この溝の深さは2μm程度で、その底に高さが1μm程度の針状突起物が間隔0.1〜0.2μmで多数形成された状態となる。
【0020】
(D)疎水化処理
気液分離フィルタ部3において接触角を増大するために、ブラックシリコンの表面にフルオロカーボンを堆積して疎水化処理し、撥水性にする。フルオロカーボンの堆積厚さは特に限定されるものではなく、100nm以下でよい。
【0021】
(E)基板の接合
その後、基板1,4と接着性フッ素樹脂5によって流路6を形成するように、間に接着性フッ素樹脂5を挟んでガラス基板4とシリコン基板1を接合する。接着性フッ素樹脂5は特定の温度、例えば150℃以上でガラス基板、金属板、シリコン基板など、他の概の基板に対しても接着性を発現し、それより低い温度では接着性が消えてフッ素樹脂としての性質を示すものである。接着性フッ素樹脂としてはネオフロンEFEP(登録商標、ダイキン工業株式会社の製品)などを使用することができる。
2枚の基板1,4を接着性フッ素樹脂によって接合すれば、接着性フッ素樹脂によって流路幅を確保できるとともに、基板同士の接着を行なうこともできるため、構造及び製造工程が簡易になる。
【0022】
図2は本発明の気液分離チップを使用したときの概略模式図を示している。流路に水6aを流し、気液分離フィルタ部3に二酸化炭素混合ガスを流すように使用すれば、水の二酸化炭素濃度をチップ上にて上げることができる。水に炭酸ガスを溶存させる場合に限らず、液体に所望のガスを溶存させる目的で使用することができる。
また、液体に溶存しているガスを分離して除去する目的にも使用することができる。この場合は、流路6にガスを溶存した液体を流し、気液分離フィルタ部3で分離されたガスを気液分離フィルタ部3の突起の隙間を経て外部に排出するようにすればよい。
【0023】
図3は、実際に作製した気液分離チップの気液分離フィルタ部表面のブラックシリコンの断面を観察したSEM画像である。図中のX−Xは0.5μmであり、非常に微小な突起物が針状に多数形成されていることがわかる。
【0024】
[実施例2]
図4は気液分離チップの他の実施例を示す概略断面図である。
気液分離フィルタ部3は図1の実施例と同様にシリコン基板1に異方性ドライエッチングにより形成された多数の針状突起物を有するブラックシリコンと称されるものである。ただし、この実施例の気液分離フィルタ部3は紙面垂直方向に延びる流路ではなく、紙面垂直方向に両端をもつ凹部として形成されたものである。針状突起物の表面には疎水化処理がなされている。シリコン基板1上には接着性フッ素樹脂5によってガラス基板4が接合されて流路11,12が形成されている。流路11,12はそれらの間に残された接着性フッ素樹脂10によって互いに並行で、紙面垂直方向に延びるように形成されている。
気液分離フィルタ部3は接合された基板1,3の間で紙面垂直方向の両端が閉じられており、その幅は2つの流路11,12を結ぶ大きさに形成されている。気液分離フィルタ部3を介して両流路11,12間で、矢印で示されるように、気体が移動できる。
この場合も、気液分離フィルタ部3の疎水化処理は要求される撥水性の程度によっては省略することもできる。
【0025】
この気液分離チップを用いて試料水中の二酸化炭素の分離を行なう場合、一方の流路11には二酸化炭素を含んだ試料水を流し、他方の流路12には純水を流し、気液分離フィルタ部3を通じて二酸化炭素のみを純水へ移動させる。
【0026】
この実施例の気液分離チップを用いて液体の圧力に対する耐圧試験を実施した。
耐圧試験においては、気体が通過していることを確認した後、水を流した際の耐圧を測定した。その測定値は40〜240kPaであった。
【0027】
一方、理論上の耐圧は式(2)から計算できる。
Δp=γLG{(1/h)cosθ1+(1/h+2/d)cosθ2} (2)
ここで、Δpは流入耐圧[Pa]、γは表面張力(=0.073)[Pa]、dはスパイク間隔[μm]、hはスパイク高さ[μm]、θは接触角[rad]である。
【0028】
この気液分離チップチップの気液分離フィルタ部3において、針状突起の間隔を0.1〜0.2μm、針状突起の高さを1μm、接着性フッ素樹脂とフルオロカーボンの接触角をそれぞれ95°、110°とした場合の理論上の耐圧は156〜281kPaである。
実験値と計算値を比較すると、実験値の一部は計算値と一致するが、バラツキが大きく下限は理論値より小さい。これはチップ作製時の接着状態の違いなどが原因であると考えられる。
【0029】
[実施例3]
図4の実施例の気液分離チップを導電率計と組み合わせた実施例ついて、図5を参照しながら説明する。
気液分離チップの部分では、図4の実施例と同様にシリコン基板1にブラックシリコンにより気液分離フィルタ部3が形成され、接着性フッ素樹脂5aによりガラス基板4aが接合されて、気液分離フィルタ部3を介してつながる2つの流路11,12が形成されている。流路11は図4と同様に紙面垂直方向に延びて試料水用流路となっている。一方、流路12は一端が紙面垂直方向に延びているが、他端が閉じられ、図5に示されるようにガラス基板4aに開けられた貫通穴を介してガラス基板4aの反対側に導かれている。
【0030】
ガラス基板4aの反対側の面、すなわち気液分離フィルタ部3が接合されている面とは反対側の面には、接着性フッ素樹脂5bによりガラス基板4bがさらに接合されて、ガラス基板4a,4b間に流路15が形成されている。その流路15はガラス基板4bに開けられた排出口13を経て外部に導かれている。流路12の一端から純水の測定水が導入され、流路15を経てこのチップの外部に排出される。
流路15内表面には二酸化炭素濃度などを測定するための導電率計を構成する一対の電極14が備えられている。
【0031】
この実施例の使用例を示すと、流路11に二酸化炭素を含んだ試料水を流し、流路12に測定水として純水を流す。流路を流れる試料水中の二酸化炭素は、矢印で示されるように、気液分離フィルタ部3を経て流路12を流れる測定水に移動し、流路15に至って電極14による導電率計により測定水の導電率が測定されて二酸化炭素濃度が測定される。
【0032】
[実施例4]
本発明の気液分離チップを用いた全有機体炭素測定装置の一実施例を図6を参照しながら説明する。
この全有機体炭素測定装置は、試料水中に最初から溶け込んでいる二酸化炭素を除去するIC除去部20、試料水中の有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部23、有機物酸化分解部23で発生した二酸化炭素を測定水としての純水へ抽出する二酸化炭素分離部25、及び二酸化炭素分離部25で抽出された二酸化炭素量を測定するために二酸化炭素分離部25からの測定水の導電率を測定する検出部26を備えている。
【0033】
より詳しく説明すると、IC除去部20は疎水性多孔質膜21を介して真空ポンプ22を用いて減圧することにより、有機物を含む試料水から二酸化炭素を除去するものである。二酸化炭素は水中では解離しているために水中から取り出すことは難しいので、試料水には酸が加えられ、二酸化炭素の解離を防いで水中から除去しやすくする。
【0034】
有機物酸化分解部23はUVランプ24によって照射された紫外線のエネルギーと酸化剤の添加や触媒(例えば、酸化チタン)により、試料水中の有機物を酸化して二酸化炭素にするものである。酸化チタンなどの触媒は有機物酸化分解部23の流路の内面に被覆される。
二酸化炭素分離部25として図4の実施例に示された気液分離チップを使用する。気液分離チップ25の流路11に有機物酸化分解部23からの試料水を流し、流路12に測定水として純水を流し、そのガス交換チップを経た測定水を検出部26に導く。
【0035】
次に、同実施例の動作を説明する。
試料水はIC除去部20を経て有機物分解部23に送られ、二酸化炭素が除去された試料水中の有機物がUVランプ24によって照射された紫外線エネルギーと酸化剤の添加や触媒により酸化され、二酸化炭素になる。有機物の酸化分解により生じた二酸化炭素が溶存している試料水は二酸化炭素分離部25としての気液分離チップに送られ、試料水に含まれる二酸化炭素は測定水としての純水へ移動する。測定水は検出部26へ送られ、測定水の導電率が測定されることにより二酸化炭素濃度が定量される。
【0036】
図6の全有機体炭素測定装置において、二酸化炭素分離部25と検出部26を一体化したものとして、図5の実施例に示されたチップを用いることもできる。その場合には、二酸化炭素分離部25と検出部26が一体化され、より小型にすることができる。
【0037】
本発明の気液分離チップはさらに他の形態のものとして実施することもできる。例えば、図7(A)に示すように、ガラス基板4に流路6を形成しておき、そのガラス基板4を、気液分離部3を形成したシリコン基板1上にフッ酸などにより接合してもよい。
また、図7(B)に示すように、気液分離部3が形成された2枚のシリコン基板1a,1bをそれぞれの気液分離部3が対向するように接着性フッ素樹脂5により接合してもよい。このような形態は、気液分離フィルタ部3の表面積を増やすことができるので、気液分離の効率をあげることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、脱気膜(脱酸素、脱炭酸ガス等を目的とした膜)や給気膜(酸素富化、炭酸ガス富化等を目的とした膜)を利用する分野や、微量ガス濃度を測定する分析分野などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1(A)〜(D)は一実施例の気液分離チップをその製造工程とともに示す工程断面図である。
【図2】同実施例の気液分離チップの使用時の様子を示す断面図である。
【図3】気液分離フィルタ部表面のブラックシリコンのSEM画像である。
【図4】気液分離チップの他の実施例を示す概略断面図である。
【図5】気液分離チップのさらに他の実施例を示す概略断面図である。
【図6】全有機体炭素測定装置の一実施例を示す概略図である。
【図7】(A)及び(B)はそれぞれ気液分離チップのさらに他の実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 シリコン基板
2 シリコン酸化膜
3 気液分離フィルタ部
4 ガラス基板
5 接着性フッ素樹脂
6,11,12,15 流路
13 排出口
14 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを構成する部材に液体が流れる流路と、前記流路に接して、液体が侵入せずに気体だけが通ることができる気液分離フィルタ部が形成され、その気液分離フィルタ部で液相と気相との界面でガスの移動が行なわれる気液分離チップにおいて、
前記気液分離フィルタ部は多数の針状突起物を有するものであり、前記流路に対し液体がそれらの突起物の先端部と接触するように配置されていることを特徴とする気液分離チップ。
【請求項2】
前記針状突起物は、シリコン基板への異方性ドライエッチングにより形成されたものである請求項1に記載の気液分離チップ。
【請求項3】
前記針状突起物の表面には疎水化処理がなされている請求項1又は2に記載の気液分離チップ。
【請求項4】
前記気液分離フィルタ部の針状突起物間の隙間は気体が流れる流路につながっている請求項1から3のいずれかに記載の気液分離チップ。
【請求項5】
前記流路は互いに異なる液体が流れる2つの流路を備え、それらの2つの流路を結んで前記気液分離フィルタ部が配置されており、気液分離フィルタ部を介して両流路間で気体が移動する請求項1から3のいずれかに記載の気液分離チップ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の気液分離チップであって、一対の基板を張り合わせることによりそれらの基板の対向部に前記流路と気液分離フィルタ部を形成したものを製造する方法において、
前記気液分離フィルタ部を形成するためにシリコン基板表面の一部に対して条件を選択した異方性ドライエッチングを施すことにより多数の針状突起物を形成する工程を含むことを特徴とする気液分離チップの製造方法。
【請求項7】
試料水中の有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部、前記有機物酸化分解部で発生した二酸化炭素を純水へ抽出する二酸化炭素抽出部、及び前記二酸化炭素抽出部で抽出した二酸化炭素量を測定するために前記純水の導電率を測定する検出部を備えた全有機体炭素測定装置において、
前記二酸化炭素抽出部として請求項5に記載の気液分離チップを使用し、一方の流路に前記有機物酸化分解部からの試料水を流し、他方の流路に純水を流し、その気液分離フィルタ部を経た純水を前記検出部に導くことを特徴とする全有機体炭素測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−144310(P2007−144310A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342327(P2005−342327)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】