説明

水中における生体情報検知方法及び生体情報検知システム

【課題】入浴中の被験者の呼吸状態のような生体情報を非接触で、且つ違和感を与えることなく検知できるようにする。
【解決手段】呼吸状態検知システムS1は、被験者Hが入浴する浴槽10の内周壁に配置される一対の電極21、22と、電極21、22間に交流電圧を印加する電源31と、電極21、22間のインピーダンス値を測定するインピーダンス測定装置33と、前記インピーダンス値の時間変化を解析すると共に、被験者Hの吸気と呼気とに起因する前記インピーダンス値の変動が発生しているか否かを判定する処理を行う制御装置40とを具備する。制御装置40は、インピーダンス値の変動に基づき被験者Hの呼吸異常を検知すると、警報スピーカ51及び表示装置52から異常発生を報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に浸かっている被験者、例えば浴槽の湯に浸かっている被験者の生体情報を非接触で検知する方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
入浴は、体表面を清浄化したりリラックス感を与えたりする効果がある一方で、急激な疾病を誘発する危険性も孕んでいる。通常、浴室は閉じられた空間であり、同居人がいるとしても、入浴者の挙動が常時把握されるものではない。このため、突然の脳疾患や心臓停止等により、同居人が異常を察知する前に入浴者が絶命に至るケースが少なくない。このような事象は、とりわけ高齢者に多く見られ、今後到来するさらなる高齢化社会では、問題が一層顕在化することが予想される。
【0003】
そこで、入浴中の被験者の健康状態を何らかの方法でモニターすることが考えられる。人体の種々の生体機能を計測するためには、電極等を被験者の体表面に取り付けることが手早い。しかし、電極等を体に付した状態での入浴は、本来のリラクライゼーション効果を損なうため望ましくない。この点に鑑み、特許文献1には、浴槽の底面に電極を設け、入浴者の臀部における脈波を電気的に測定するようにした脈波計測装置が開示されている。この装置によれば、入浴者の脈波をリアルタイムで非侵襲的に測定できることから、入浴者において万一心拍停止等が発生しても、これを検知することが可能である。
【特許文献1】特開2003−260032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の手法は、浴槽の底部に設置された電極上に座ることを被験者に求める手法であり、電極に素肌が接触することから被験者が違和感を与え、快適な入浴を阻害してしまう懸念がある。さらに、心臓の心拍停止が検出された時点では、脳が深刻なダメージを受けるなどして、もはや手遅れというケースが少なくない。このため、リアルタイムで入浴者の脈波をモニターし心拍停止を検出したとしても、その入浴者に十分な救護を施与できないという問題があった。そこで、心拍停止に至る前段階である呼吸停止の段階で入浴者の状態変化を知見することが望ましいと言えるが、入浴中の被験者の呼吸状態を非接触で検知する有用な方法は実現されていないのが現状である。
【0005】
本発明は上記のような実情に鑑みて為されたもので、入浴中の被験者に違和感を与えることなく、心拍や呼吸状態のような生体情報を非接触で検知することができる呼吸状態検知方法及び呼吸状態検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る水中における呼吸状態検知方法は、水中内に被験者が入水する領域として予定された測定領域を挟んで配置された一対の電極間に交流電圧を印加すると共に、前記電極間のインピーダンス値を監視し、被験者の生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動に基づいて、被験者の生体情報を検知することを特徴とする。
【0007】
この方法によれば、被験者の生体活動に起因するインピーダンス値の変動により、被験者の生体情報が把握される。すなわち、電極間に挟まれた状態で水中のある被験者において呼吸、血流、発汗など、その生体活動が生じると、当該生体活動により電極間のインピーダンス値が変化する。従って、電極間のインピーダンス値を監視することで、水中における被験者の生体情報を把握することが可能となる。
【0008】
上記構成において、前記生体情報の検知が、被験者の吸気と呼気とに起因する前記インピーダンス値の変動に基づく、被験者の呼吸状態の検知であることが望ましい(請求項2)。
【0009】
この方法によれば、被験者の吸気と呼気とに起因するインピーダンス値の変動により、被験者の呼吸状態が把握される。これは、呼吸に伴う被験者の肺容積の変化や体表面の膨張収縮が、電極間のインピーダンス値の変化として現れることを利用したものである。すなわち、正常な呼吸が行われている状態では、上記インピーダンス値の変化は呼吸に応じて周期的に現れるが、心肺機能の低減や停止が発生した場合は周期的なインピーダンス値の変化は生じない。従って、電極間のインピーダンス値を監視することで、水中における被験者の呼吸状態が正常であるか否かを把握できるようになる。
【0010】
この場合、前記インピーダンス値の変動サイクルに基づいて、被験者の呼吸数を検知することが望ましい(請求項3)。この方法によれば、被験者の呼吸数を検知するので、一層定量的に被験者の呼吸状態を把握できるようになる。
【0011】
また、上記構成において、前記生体情報の検知が、被験者の心臓の鼓動に起因する前記インピーダンス値の変動に基づく、被験者の心拍の検知であることが望ましい(請求項3)。
【0012】
この方法によれば、被験者の心臓の鼓動に伴う心臓容量の変化が、電極間のインピーダンス値の変化として現れることを利用し、心拍が検知される。すなわち、正常な状態では、上記インピーダンス値の変化は心臓の鼓動に応じて周期的に現れるが、心臓機能の低下や停止が発生した場合は周期的なインピーダンス値の変化は生じない。従って、電極間のインピーダンス値を監視することで、水中における被験者の心拍が正常であるか否かを把握できるようになる。
【0013】
上記いずれかの構成において、前記測定領域は浴槽の貯水領域であって、前記一対の電極は前記浴槽の内周壁に配置されることが望ましい(請求項5)。この方法によれば、入浴中の被験者の生体情報を、電極間のインピーダンス値の変化に基づき把握できるようになる。
【0014】
本発明の請求項6に係る生体情報検知システムは、浴槽内に入浴した被験者の生体情報を検知するためのシステムであって、浴槽の内周壁に配置される一対の電極と、前記電極間に交流電圧を印加する電源と、電極間のインピーダンス値を測定するインピーダンス測定手段と、前記インピーダンス値の時間変化に基づいて、被験者の生体活動に関連する生体情報を導出する演算手段と、を具備することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、電源で発生される交流電圧が電極を介して被験者が入浴している浴槽内に印加される。そして、電極間のインピーダンス値がインピーダンス測定手段により求められ、演算手段により被験者の生体活動に関連する生体情報を把握するための演算処理が行われる。例えば演算手段は、インピーダンス値の時間変化から、被験者が正常な状態にあるか否かの判定処理、生体情報パラメータの算出処理等を行う。
【0016】
上記構成において、前記演算手段は、前記インピーダンス値の時間変化を解析すると共に、被験者の吸気と呼気とに起因する前記インピーダンス値の変動が発生しているか否かを判定する処理を行うことが望ましい(請求項7)。
【0017】
上述の通り、正常な呼吸が行われている状態では、上記インピーダンス値の変化は呼吸に応じて周期的に現れるが、心肺機能の低減や停止が発生した場合は周期的なインピーダンス値の変化は生じない。かかる知見に基づき、演算手段は、インピーダンス値の時間解析を行うことで、入浴中における被験者の呼吸状態が正常であるか否かを判定する。
【0018】
上記構成において、前記演算手段は、前記インピーダンス値の変動サイクルに基づいて、被験者の呼吸数を検知することが望ましい(請求項8)。この構成によれば、被験者の呼吸数を検知するので、一層定量的に被験者の呼吸状態を把握できるようになる。
【0019】
また、上記構成において、前記演算手段は、前記インピーダンス値の時間変化を解析すると共に、被験者の心臓の鼓動に起因する前記インピーダンス値の変動が発生しているか否かを判定する処理を行うことが望ましい(請求項9)。
【0020】
上述の通り、正常な状態では、上記インピーダンス値の変化は心臓の鼓動に応じて周期的に現れるが、心臓機能の低下や停止が発生した場合は周期的なインピーダンス値の変化は生じない。かかる知見に基づき、演算手段は、インピーダンス値の時間解析を行うことで、入浴中における被験者の心拍が正常であるか否かを判定する。
【0021】
また、上記構成において、前記演算手段は、前記インピーダンス値を実部と虚部とに分けて評価することが可能とされていることが望ましい(請求項10)。例えば、被験者の吸気と呼気とに伴う前記インピーダンス値の変動要因としては、呼吸に伴い肺中の空気量が変動し電極間の静電容量が変化することと、呼吸に伴い体表面が膨張収縮し比較的低抵抗の体表面部分の電極間における長さが変動して抵抗値が変化することとが挙げられる。このような虚部及び実部の変化がインピーダンス値の変化として表出するのであるが、各々を単独で評価した方が明瞭に呼吸状態を評価できる場合がある。従って、インピーダンス値を実部と虚部とに分けて評価可能にしておくことで、一層的確に呼吸状態(生体情報)を評価することが可能となる。
【0022】
上記構成において、前記演算手段により、生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、所定の警報信号を発生する警報手段を備えることが望ましい(請求項11)。この構成によれば、生体活動に起因するインピーダンス値の変動が検出されなかった場合に、警報信号が発生されるので、同居者等は直ちに入浴者において異常が発生したことを知見できるようになる。
【0023】
また、上記構成において、前記演算手段により、生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、所定の表示情報を表示する表示手段を備えることが望ましい(請求項12)。この構成によれば、例えば呼吸に相当するインピーダンス値の変動が検出されなかった場合に、所定の表示情報が表示手段に表示されるので、同居者等は直ちに入浴者において異常が発生したことを知見できるようになる。
【0024】
上記いずれかの構成において、前記浴槽に、所定の制御信号を受けて浴槽内の水を排水させる排水手段が付設され、前記演算手段により、生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、前記排水手段に前記制御信号を与えて排水動作を行わせる排水制御手段を備える構成とすることができる(請求項13)。この構成によれば、例えば呼吸に相当するインピーダンス値の変動が検出されなかった場合に、浴槽内の水が自動的に排水されるようになる。従って、入浴者が浴槽内で溺れてしまうことを未然に抑止できるようになる。
【0025】
また、上記いずれかの構成において、所定の通信ネットワークに接続された通信手段を備え、該通信手段は、前記演算手段により、生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、前記通信ネットワークに接続された所定の端末装置に通報信号を送信可能とされている構成とすることができる(請求項14)。この構成によれば、例えば呼吸に相当するインピーダンス値の変動が検出されなかった場合に、通信ネットワークに接続された所定の端末装置に対して通報を行うことができる。従って、入浴者の異常発生を在外者に速やかに報知できるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の水中における生体情報検知方法及び生体情報検知システムによれば、被験者の生体活動に起因するインピーダンス値の変動に基づいて、水中に浸かっている被験者、例えば浴槽の湯に浸かっている被験者の生体情報を把握できる。例えば被験者の呼吸状態を把握することができ、この場合、心拍停止後ではなく、心拍停止に至る前段階である呼吸停止の段階で入浴者の状態変化を知見することが可能となる。しかも、被験者に電極を直接取り付ける必要も、被験者が電極に接する必要もない。従って、入浴時のリラクライゼーション効果を損なうことなく、浴槽内で急に発病した場合でも、その異常を検知することができる。このため、浴室内における高齢者等に対する安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[実施形態1]
実施形態1では、被験者の吸気と呼気とに起因するインピーダンス値の変動を検知し、被験者の呼吸状態を把握する実施形態を例示する。
【0028】
図1は、実施形態1に係る呼吸状態検知システムS1の構成を示すブロック図である。この呼吸状態検知システムS1は、浴槽10の内部に配置される一対の電極21、22、電源31、スイッチング素子32、インピーダンス測定装置33(インピーダンス測定手段)、制御装置40(演算手段)、警報スピーカ51(警報手段)及び表示装置52(表示手段)を備えて構成されている。
【0029】
一対の電極21、22は、導電性金属からなる平板電極であって、浴槽10の一方の側内壁11に一方の電極21が、前記側内壁11と対向する他方の側内壁12に他方の電極22がそれぞれ固着され、測定領域としての浴槽内空間を挟んで対向配置されている。浴槽10には湯Wが張られ、被験者Hが入浴するのであるが、一対の電極21、22はこの被験者Hを挟むように配置されることとなる。かかる配置により、電極21、22間には湯W及び被験者Hを経由する電流経路が形成され、電圧が印加されると湯W及び被験者Hのインピーダンス値に応じた電流が電極21、22間に流れるようになる。
【0030】
電極21、22の配置態様は適宜に定めることができるが、図1に示すように電極同士を互いに正対させて配置することが、被験者Hの呼吸に伴うインピーダンス値の変動を検知し易くする点で望ましい。特に、浴槽10が上面視で長方形を呈するものである場合は、感度を上げるために、その短辺側の浴槽内空間を挟んで電極21、22を対向配置させることが望ましい。
【0031】
電源31は、一対の電極21、22間に交流電圧を印加するための電源である。この電源31としては、40Hz〜10MHz程度の交流電圧を発生する交流電源を用いることができる。スイッチング素子32は、電極21、22に対する電圧印加のON−OFF制御を行うためのもので、制御装置40によりそのON−OFF動作が制御される。
【0032】
インピーダンス測定装置33は、電極21、22間に印加されている電圧値と、電極21、22間を流れる電流値とから、電極21、22間のインピーダンス値を求めるものである。このインピーダンス測定装置33は、インピーダンス値に加え、インピーダンス値の実部である抵抗成分と、虚部であるキャパシタンス成分及びリアクタンス成分とを求めることができる測定装置(LCRメータ等)を用いることが望ましい。
【0033】
制御装置40は、電極21、22間への電圧印加制御、インピーダンス測定装置33による電極21、22間のインピーダンスの測定制御、測定されたインピーダンス値の解析処理、被験者Hの吸気と呼気とに起因して前記インピーダンス値の変動が発生しているか否かを判定する演算処理等を行う。この制御装置40の具体的構成については、図6に基づいて後記で詳述する。
【0034】
警報スピーカ51は、制御装置40において呼吸動作に相当するインピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、制御装置40から所定の警報音信号が与えられ、当該警報音信号に応じた音声を発生する。表示装置52は、液晶ディスプレイ等からなり、同じく制御装置40において呼吸動作に相当するインピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、制御装置40から所定の表示信号が与えられ、当該表示信号に応じた表示情報を表示する。
【0035】
次に、被験者Hの吸気と呼気とに起因するインピーダンス値の変動について、図2及び図3に基づいて説明する。図2は、呼気時において測定されるインピーダンス値を説明するための模式図である。図2(a)に示すように、呼気時においては被験者H(ここでは被験者Hを電極対向方向の断面として簡略的に描いている)の肺に吸引されている空気の容積である胸部容積Lは、比較的少ないV1となる。また、肺に存在している空気量が少ない分、身体も膨張していない状態である。
【0036】
この場合、湯Wの部分のインピーダンスを除いて考えると、図2(b)に示すように、電極21、22間のインピーダンスZ1は、被験者Hの体表面周囲長に応じた抵抗R1と、胸部容積L=V1に相当するキャパシタンスC1との合成値(Z1=R1+C1)となる。図2(c)は、この合成値をベクトル的に示した図である。呼気時においては、身体が膨張していないことから、湯Wよりも抵抗値が低い体表面が電極21、22間において占める割合が、後述する吸気時に比べて比較的少なくなる。このため、抵抗R1は比較的大きい値となる。一方、胸部容積Lが少ないことに起因して、キャパシタンスC1は比較的小さい値となる。従って、実部の成分が大きいことから、このときのインピーダンスZ1の位相角θ1は、比較的小さくなる。
【0037】
これに対し、図3は、吸気時において測定されるインピーダンス値を説明するための模式図である。図3(a)に示すように、吸気時においては被験者Hの胸部容積Lは、呼気時のV1よりも大きいV2となる。また、肺に存在している空気量が大きい分、身体も膨張している状態となる。
【0038】
この場合、図3(b)に示すように、電極21、22間のインピーダンスZ2は、被験者Hの膨張した体表面周囲長に応じた抵抗R2と、胸部容積L=V2に相当するキャパシタンスC2との合成値(Z2=R2+C2)となる。図3(c)は、この合成値をベクトル的に示した図である。吸気時においては、身体が膨張していることから、湯Wよりも抵抗値が低い体表面が電極21、22間において占める割合が、上記吸気時に比べて比較的大きくなる。このため、抵抗R2は呼気時の抵抗R1に比べて小さい値となる。一方、胸部容積Lが大きいことに起因して、キャパシタンスC2は比較的大きい値となる。従って、虚部の成分が大きいことから、このときのインピーダンスZ2の位相角θ2は、呼気時の位相角θ1に比べて大きくなる。
【0039】
一方、浴槽10内に被験者Hが入浴していない無人状態である場合、電極21、22間のインピーダンスZ0は専ら湯Wの抵抗値に依存することになる。以上のように、電極21、22間において、無人時、呼気時及び吸気時に各々状態変化が生ずることから、その状態変化を電極21、22間インピーダンスの変化として把握することが可能となる。なお、インピーダンス値のみの比較では状態に応じた顕著な相違が観測されない場合も有り得るので、実部(抵抗)の変化度合い、或いは虚部の変化度合いを参照して呼吸状態を把握するようにしても良い。
【0040】
図4は、無人時、呼気時及び吸気時のインピーダンスZ0、Z1、Z2と電源31の周波数との関係を実験的に求めたグラフである。また、図5は、上記インピーダンスZ0、Z1、Z2の位相P0、P1、P2を示すグラフである。実験条件は次の通りである。
浴槽:ステンレス製、79cm×60cm×58cm(W×D×H)
湯温:40℃
被験者:43歳の男性、身長172cm、体重68kg、吸気時最大胸囲=100cm、呼気時最小胸囲90cm、肺活量約4.5リットル
電極:25cm×25cmサイズのアルミホイル電極、電極間距離30cm
【0041】
図4から明らかなように、無人時、呼気時及び吸気時のインピーダンスZ0、Z1、Z2には、顕著な相違が観測されている。例えば、電源周波数が1000Hzのとき、無人時インピーダンスZ0は約215オーム、呼気時インピーダンスZ1は約175オーム、吸気時インピーダンスZ2は約145オームである。従って、電極に交流電圧を印加する電源の周波数として1000Hzを選んだ場合、当該被験者の呼吸動作に応じて概ね175オーム〜145オームの間で変動する電極間インピーダンスが検出されるようになる。なお、Z1、Z2は、被験者において呼気状態及び吸気状態でそれぞれ息を止めさせている間に、電源周波数を40Hz〜10MHzの間で掃引して測定したものである。
【0042】
このようなインピーダンス変動が、人間の通常の呼吸ペースに合わせて観測されているか否かにより、被験者の呼吸動作が正常であるか否かを把握することができる。もし、175オーム〜145オームの間で略一定のインピーダンス値が連続的に検知され続けている場合は、被験者が入浴中に呼吸停止状態に至った可能性が有ることを検出することができる。なお、電源周波数が1000Hzの付近(600Hz〜2000Hz程度)では、図4に示すように無人時、呼気時及び吸気時のインピーダンスZ0、Z1、Z2の差が大きく、また図5に示すように位相P0、P1、P2の差も大きいことから、状態識別の精度を向上させる観点から、この付近の周波数を電源周波数として選ぶことが望ましい。
【0043】
続いて、制御装置40の詳細構成について説明する。図6は、制御装置40の機能構成を示す機能ブロック図である。この制御装置40は、演算処理部41と、出力処理部42と、全体制御部43とを備えて構成されている。また、演算処理部41は、インピーダンス解析部411と、呼吸判定部412と、RAM(Random Access Memory)413とを含んでいる。
【0044】
インピーダンス解析部411は、インピーダンス測定装置33により計測される電極21、22間のインピーダンス値を所定のサンプリング周期で取り込み、これを時間軸に展開して時間解析が可能なデータを生成する。図7は、電極21、22間のインピーダンス値の時間変化であるインピーダンス波形Zwを示すグラフである。インピーダンス解析部411は、インピーダンスの計測値に基づきこのインピーダンス波形Zwに相当するデータを生成する。
【0045】
なお、図7には、実際の呼吸に伴う胸部の動きを示す呼吸波形Cwを併記している。この呼吸波形Cwとインピーダンス波形Zwとを対比すると明らかな通り、両者の波動周期はほぼ一致しており、インピーダンスの時間変化が呼吸動作と良くマッチングしていることが分かる。なお、図7の矢印B.Hで示した期間は、被験者に意図的に呼吸を停止させた期間である。万一、被験者において入浴中に呼吸停止が生じた場合、この矢印B.Hで示した期間のように、波高値が脈動的にしか変化しないインピーダンス波形が検出されるようになる。この呼吸一時停止期間に検出されているインピーダンス値の時間変化は、平常呼吸の期間のものとは明らかに相違するため、被験者の呼吸動作の異常を速やかに検知することが可能となる。
【0046】
呼吸判定部412は、インピーダンス解析部411により生成されたインピーダンス波形Zwに相当するデータを解析することで、被験者Hの吸気と呼気とに起因する電極21、22間のインピーダンス値の変動が発生しているか否かを判定する処理を行う。例えば呼吸判定部412は、インピーダンス波形Zwの生データにフィルタ処理を施して近似曲線波形を求めた上で、その近似曲線波形のピーク値を検出する。そして、所定の時間内に所定回数のピーク値(例えば1分間に10数回程度)が表れているか否かに基づいて、つまりインピーダンス波形Zwの変動サイクルに基づいて被験者Hの呼吸数を検知することで、被験者Hの呼吸異常の有無を判定する。もし、正常範囲の呼吸数が検出されなかった場合、呼吸判定部412は、異常判定信号を生成して出力処理部42に与える。なお、浴槽10内が無人であることを示すインピーダンス値が観測されている場合は、この異常判定信号は生成されない。
【0047】
RAM413は、インピーダンス解析部411から所定のサンプリング周期毎に与えられるインピーダンス値を一時的に格納する。上記インピーダンス解析部411及び呼吸判定部412は、このRAM413に格納されたデータを読み出して、各々所定の演算を行う。
【0048】
出力処理部42は、呼吸判定部412から異常判定信号が与えられたときに、その異常を報知するための出力信号を生成する。具体的には、警報音を発生させるための警報音声信号を生成して、警報スピーカ51へ出力する。また、異常発生を報知する画像情報を生成して、表示装置52へ出力する。このような警報音や画像情報が発生されることで、同居人等は入浴者の異常を速やかに知見できるようになる。
【0049】
全体制御部43は、ユーザから操作部44を介して与えられる操作信号を受けて、スイッチング素子32をON−OFF制御し一対の電極21、22への通電制御を行うと共に、インピーダンス測定装置33によるインピーダンス測定動作を制御して、所定のサンプリング周期毎にインピーダンス測定値を演算処理部41へ出力させる。さらに全体制御部43は、上記の動作を行う演算処理部41及び出力処理部42を適時に動作させる全体制御を行う。
【0050】
以上の通り構成された呼吸状態検知システムS1の動作について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。システムの動作が開始されると、全体制御部43によりサンプリング周期であるか否かが確認される(ステップS1)。サンプリング周期が到来すると(ステップS1でYES)、全体制御部43は、スイッチング素子32をONに制御して、電源31から一対の電極21、22へ交流電圧を印加させる(ステップS2)。
【0051】
続いて全体制御部43は、インピーダンス測定装置33を動作させて、電極21、22間のインピーダンスを測定させる(ステップS3)。このインピーダンス測定値は、演算処理部41のRAM413に一時的に格納される(ステップS4)。そして、インピーダンス解析部411により前記インピーダンス測定値が読み出され、これを時間軸に展開して時間解析が可能なデータ(例えば図7に示したインピーダンス波形Zw)が生成される。
【0052】
次いで、呼吸判定部412により、上記インピーダンス波形Zwの変動サイクルに基づいて被験者Hの呼吸数を検知することで、被験者Hの呼吸異常の有無が判定される(ステップS6)。所定の呼吸数が検出されなかった場合(ステップS6でNO)、呼吸判定部412は、異常判定信号を生成して出力処理部42に与える。出力処理部42は、かかる異常判定信号を受けて、警報スピーカ51及び表示装置52に向けた警報出力信号を生成して出力する(ステップS7)。
【0053】
一方、所定の呼吸数が検出されている場合(ステップS6でYES)、上記の警報出力信号は生成されず、ステップS7はスキップされる。そして、システムの動作を終了するか否かが引き続き確認され(ステップS8)、動作が継続される場合(ステップS8でNO)は、前記ステップS1に戻って処理が繰り返される。一方、操作部44から動作終了指示が与えられたような場合は(ステップS8でYES)、ここで呼吸状態検知システムS1の動作は終了する。
【0054】
以上説明した本実施形態に係る呼吸状態検知システムS1によれば、被験者Hの吸気と呼気とに起因するインピーダンス値の変動に基づいて、浴槽10の湯Wに浸かっている被験者Hの呼吸状態を把握できる。すなわち、心拍停止後ではなく、心拍停止に至る前段階である呼吸停止の段階で被験者Hの呼吸状態の変化を知見することが可能となる。しかも、被験者Hに電極を直接取り付ける必要もない。従って、入浴時のリラクライゼーション効果を損なうことなく、浴槽10内で急に発病した場合でも、脳に深刻なダメージを与える心拍停止前に、その異常を同居人等に対して警報スピーカ51及び表示装置52からの報知により知見させることができる。
【0055】
[実施形態2]
実施形態2では、被験者の心臓の鼓動に起因するインピーダンス値の変動を検知し、被験者の心拍を把握する実施形態を例示する。この場合も、システム構成は先に図1に示した実施形態1のものと同様である。重複を避けるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
図9は、実施形態2に係る呼吸状態検知システムS2において用いられる制御装置40Aの機能構成を示すブロック図である。この機能構成も図6に示した実施形態1のものと略同等であり、相違する点は呼吸状態検知システムS2においては、呼吸判定部412に代えて心拍判定部414を備えている点である。
【0057】
心拍判定部414は、インピーダンス解析部411により生成されたインピーダンス波形Zwに相当するデータを解析することで、被験者Hの心臓の鼓動に起因する電極21、22間のインピーダンス値の変動が発生しているか否かを判定する処理を行う。例えば心拍判定部414は、インピーダンス波形の生データにフィルタ処理を施して近似曲線波形を求めた上で、その近似曲線波形のピーク値を検出する。そして、所定の時間内に所定回数のピーク値(例えば10秒間に10数回程度)が表れているか否かに基づいて、つまりインピーダンス波形Zwの変動サイクルに基づいて被験者Hの心拍を検知することで、被験者Hの心拍異常の有無を判定する。もし、正常範囲の心拍数が検出されなかった場合、心拍判定部414は、異常判定信号を生成して出力処理部42に与える。なお、浴槽10内が無人であることを示すインピーダンス値が観測されている場合は、この異常判定信号は生成されない。
【0058】
図10及び図11は、電極21、22間のインピーダンス値の変化と心電図(ECG)との関係を求めた実験データである。図10は、電源周波数=100kHz、電極間電流=10mAとしたときのインピーダンス波形Zp1と心電図波形Pとの関係を示すグラフ、図11は、電源周波数=1MHz、電極間電流=10mAとしたときのインピーダンス波形Zp2と心電図波形Pとの関係を示すグラフである。これらのグラフから明らかなように、心電図R波の出現間隔とインピーダンス波形Zp1、Zp2のピーク出現ピッチとが対応しており、インピーダンス波形Zp1、Zp2を監視することで心拍を把握できることがわかる。
【0059】
実際のインピーダンス測定では、実施形態1で示した呼吸動作に伴う低周波数のインピーダンス波形変動が重畳される。このため、心拍のみを監視対象とする場合は、低周波成分を除くためのフィルタ機能を心拍判定部414に具備させれば良い。
【0060】
[実施形態3]
上記実施形態1、2では、警報スピーカ51及び表示装置52により異常発生を報知させる例を示した。これに替えて、あるいは警報スピーカ51及び表示装置52による異常報知に加えて、呼吸状態の異常発生時に、浴槽10の湯Wを自動的に排出させて被験者Hの沈溺を未然に防止し、安全性を確保するように構成しても良い。
【0061】
図12は、自動排水機能を備える実施形態3に係る呼吸状態検知システムS3の構成を示すブロック図である。この呼吸状態検知システムS3は、浴槽10の内部に配置される一対の電極21、22、電源31、スイッチング素子32、インピーダンス測定装置33及び制御装置40Bを備えている点で先に図1に示した実施形態と同様であるが、浴槽10の底部の排水口13に電磁的に動作する排水弁14(排水手段)が設けられている点で構成を異にする。
【0062】
排水弁14は、制御装置40Bから与えられる制御信号により開閉制御される。制御装置40Bは、入浴中の被験者について、吸気と呼気とに起因する電極21、22間のインピーダンス値の変動が生じていないと判定を行った場合に、排水弁14を「開」とする制御信号を生成する。この構成によれば、呼吸に相当するインピーダンス値の変動が検出されなかった場合に、つまり被験者の呼吸状態に異常が生じた場合に、浴槽10内の湯Wが自動的に排水口13から排水されるようになる。従って、被験者が気を失い浴槽10内へ沈降したときでも、湯Wが気管内へ入水してしまうようなことを未然に抑止できる。
【0063】
[実施形態4]
上記実施形態1、2では、警報スピーカ51及び表示装置52により、専ら被験者の同居人等に異常発生を報知させる例を示した。これに替えて、あるいは警報スピーカ51及び表示装置52による異常報知に加えて、インターネットやローカルネットワーク等の通信ネットワークを介して居宅の外部者に被験者についての異常発生を報知可能なように構成しても良い。
【0064】
図10は、外部への報知機能を備えた実施形態3に係る呼吸状態検知システムS4の構成を示すブロック図である。この呼吸状態検知システムS4は、基本構成は実施形態1、2と同様であるが、制御装置40Cに通信装置61(通信手段)が接続され、該通信装置61が通信ネットワークNを介して被験者の居宅の外部に存在する外部端末機62と通信可能とされている点で構成を異にする。この外部端末機62は、例えば医療機関や集合住宅の管理センターに配置される端末機である。
【0065】
制御装置40Cは、入浴中の被験者について、吸気と呼気とに起因する電極21、22間のインピーダンス値の変動が生じていないと判定を行った場合に、通信装置61を介して通信ネットワークNに接続された外部端末機62に通報信号を送信する。この構成によれば、呼吸に相当するインピーダンス値の変動が検出されなかった場合に、つまり被験者の呼吸状態に異常が生じた場合に、外部端末機62に対して通報を行うことができる。従って、入浴者の異常発生を在外者に速やかに報知できるようになる。
【0066】
以上、本発明の各種実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば下記[1]〜[5]の変形実施形態を取ることができる。
【0067】
[1]上記実施形態1では、呼吸数を検出する例を示した。呼吸数に限らず、検出されたインピーダンス値の変動度合いから、例えば予備吸気量、予備呼気量、機能的残気量、全排気量、残気量、1回換気量、肺活量、最大吸気量などを求めるようにしても良い。この他、インピーダンス値の変動度合いに基づいて、酸素摂取量の推定値を求める演算機能を付加しても良い。
【0068】
[2]上記実施形態2では、心拍数を検出する例を示した。心拍数に限らず、心拍出量や心拍波形そのものを評価対象としても良い。
【0069】
[3]上記実施形態では、生体情報として呼吸、心拍を例示した。検出対象となる生体情報はこれらに限られるものではなく、例えば、入浴中における発汗量などの生体情報を検出するようにしても良い。
【0070】
[4]上記実施形態では、浴槽10内に配置する電極21、22として、一組の平板状電極を配置する例を示した。このような配置は一例に過ぎず、電極の配置位置、電極サイズ、電極材料、電極の組数等は、状況に応じて適宜設定すれば良い。
【0071】
[5]本発明は浴槽に類する他の水槽にも適用可能であり、この場合でも、水中内に被験者が入水する領域として予定された領域を挟むように一対の電極を配置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態1に係る呼吸状態検知システムS1の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(c)は、呼気時において測定されるインピーダンス値を説明するための模式図である。
【図3】(a)〜(c)は、吸気時において測定されるインピーダンス値を説明するための模式図である。
【図4】無人時、呼気時及び吸気時のインピーダンスZ0、Z1、Z2と電源の周波数との関係を実験的に求めたグラフである。
【図5】上記インピーダンスZ0、Z1、Z2の位相P0、P1、P2を示すグラフである。
【図6】制御装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図7】電極間のインピーダンス値の時間変化であるインピーダンス波形Zwを示すグラフである。
【図8】呼吸状態検知システムS1の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態2に係る呼吸状態検知システムS2に用いられる制御装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図10】電極間のインピーダンス値の変化と心電図(ECG)との関係を求めた実験データを示すグラフである。
【図11】電極間のインピーダンス値の変化と心電図(ECG)との関係を求めた実験データを示すグラフである。
【図12】自動排水機能を備えた実施形態3に係る呼吸状態検知システムS3の構成を示すブロック図である。
【図13】外部への報知機能を備えた実施形態4に係る呼吸状態検知システムS4の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
10 浴槽
11、12 側内壁
13 排水口
14 排水弁(排水手段)
21、22 電極
31 電源
32 スイッチング素子
33 インピーダンス測定装置(インピーダンス測定手段)
40、40A、40B 制御装置(演算手段)
41 演算処理部
411 インピーダンス解析部
412 呼吸判定部
42 出力処理部
43 全体制御部
44 操作部
51 警報スピーカ(警報手段)
52 表示装置(表示手段)
61 通信装置(通信手段)
62 外部端末機
H 被験者
N 通信ネットワーク
S1、S2、S3、S4 呼吸状態検知システム
W 湯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中内に被験者が入水する領域として予定された測定領域を挟んで配置された一対の電極間に交流電圧を印加すると共に、前記電極間のインピーダンス値を監視し、
被験者の生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動に基づいて、被験者の生体情報を検知することを特徴とする水中における生体情報検知方法。
【請求項2】
前記生体情報の検知が、被験者の吸気と呼気とに起因する前記インピーダンス値の変動に基づく、被験者の呼吸状態の検知であることを特徴とする請求項1に記載の水中における生体情報検知方法。
【請求項3】
前記インピーダンス値の変動サイクルに基づいて、被験者の呼吸数を検知することを特徴とする請求項2に記載の水中における生体情報検知方法。
【請求項4】
前記生体情報の検知が、被験者の心臓の鼓動に起因する前記インピーダンス値の変動に基づく、被験者の心拍の検知であることを特徴とする請求項1に記載の水中における生体情報検知方法。
【請求項5】
前記測定領域は浴槽の貯水領域であって、前記一対の電極は前記浴槽の内周壁に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水中における生体情報検知方法。
【請求項6】
浴槽内に入浴した被験者の生体情報を検知するためのシステムであって、
浴槽の内周壁に配置される一対の電極と、
前記電極間に交流電圧を印加する電源と、
電極間のインピーダンス値を測定するインピーダンス測定手段と、
前記インピーダンス値の時間変化に基づいて、被験者の生体活動に関連する生体情報を導出する演算手段と、
を具備することを特徴とする生体情報検知システム。
【請求項7】
前記演算手段は、前記インピーダンス値の時間変化を解析すると共に、被験者の吸気と呼気とに起因する前記インピーダンス値の変動が発生しているか否かを判定する処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の生体情報検知システム。
【請求項8】
前記演算手段は、前記インピーダンス値の変動サイクルに基づいて、被験者の呼吸数を検知することを特徴とする請求項7に記載の生体情報検知システム。
【請求項9】
前記演算手段は、前記インピーダンス値の時間変化を解析すると共に、被験者の心臓の鼓動に起因する前記インピーダンス値の変動が発生しているか否かを判定する処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の生体情報検知システム。
【請求項10】
前記演算手段は、前記インピーダンス値を実部と虚部とに分けて評価することが可能とされていることを特徴とする請求項6に記載の生体情報検知システム。
【請求項11】
前記演算手段により、生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、所定の警報信号を発生する警報手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の生体情報検知システム。
【請求項12】
前記演算手段により、生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、所定の表示情報を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の生体情報検知システム。
【請求項13】
前記浴槽に、所定の制御信号を受けて浴槽内の水を排水させる排水手段が付設され、
前記演算手段により、生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、前記排水手段に前記制御信号を与えて排水動作を行わせる排水制御手段を備えることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載の生体情報検知システム。
【請求項14】
所定の通信ネットワークに接続された通信手段を備え、
該通信手段は、前記演算手段により、生体活動に起因する前記インピーダンス値の変動が生じていないと判定された場合に、前記通信ネットワークに接続された所定の端末装置に通報信号を送信可能とされていることを特徴とする請求項6〜13のいずれかに記載の生体情報検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−80088(P2008−80088A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348874(P2006−348874)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(305060567)国立大学法人富山大学 (194)
【出願人】(504160781)国立大学法人金沢大学 (282)
【Fターム(参考)】