説明

水中シリコーンエマルジョンを含む組成物ならびにそのような組成物を含む香料およびヘアケア調製物

本発明は、水中シリコーンエマルジョンおよび香料組成物を含む組成物に関する。本発明は、頭髪に適用したときの香料の放出改善および頭髪への香料の被着改善を提供する組成物を含むヘアケア調製物にも関する。本発明はさらに、ヘアケア調製物を頭髪に適用することを含む、頭髪を洗浄する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年9月10日に提出された米国仮出願第60/409,393号に基づき、それは全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、水中シリコーンエマルジョンおよび香料組成物を含む組成物に関する。また、本発明は、頭髪に適用したときの香料の放出改善および頭髪への香料の被着改善を提供するような組成物を含むヘアケア調製物に関する。本発明はさらに、ヘアケア調製物を頭髪に適用することを含む、頭髪を洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水中シリコーンエマルジョンは、化粧調製物での使用がよく知られている。水中シリコーンエマルジョンを用いたヘアケア調製物は、たとえば国際公開公報第200203936号、欧州特許第1093809号、および、国際公開公報第200139735号に記載されている。シリコーンは潤滑性であり、手触り、光沢、および頭髪の容易な櫛通りを改善することにより、頭髪の特性を向上させるように作用する。これらの組成物は、組成物を適用する間放出され、好ましくはその後の放出のために頭髪に被着することを目的とする、香料も含む。しかしながら、製品の好ましい感覚的および美的性能品質を失うことなく、香料の被着改善、または少なくとも、頭髪からの香料のより長時間持続する放出を引き起こす被着を提供可能なヘアケア調製物への要求が、なお存在する。
【0004】
今や驚くべきことに、ある最低粘度のシリコーンポリマーのエマルジョンをある香料と組み合わせて化粧品に導入すると、ヘアケア調製物の必須特性を失うことなく、香料のより優れた被着を達成できることが見出されている。より優れた被着は特に、単一エマルジョン組成物でのシリコーンポリマーおよび香料組成物の共同導入において発生する。
【発明の開示】
【0005】
本発明の第一の態様において、i)香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を含み、分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm未満の粒径を有する、水中シリコーンエマルジョンとを含む組成物が提供される。さらに、i)香料組成物であって、a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも15重量%と;及びc)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%とを含む、香料組成物;並びに、ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む、水中シリコーンエマルジョンを含む組成物が提供される。
【0006】
本発明は第二の態様において、組成物であって:i)香料組成物;及びii)少なくとも1つの界面活性剤を含み、分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm未満の粒径を有する、水中シリコーンエマルジョンを含むヘアケア調製物である、組成物に関する。さらに組成物であって、i)香料組成物であって、a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも15重量%と;及びc)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%とを含む、香料組成物;並びに、ii)少なくとも1つの界面活性剤を水中シリコーンエマルジョンを含むヘアケア調製物である、組成物が提供される。
【0007】
本発明は第三の態様において、頭髪を洗浄する方法であって、頭髪に:i)香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を含み、分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm未満の粒径を有する、水中シリコーンエマルジョンとを含むヘアケア調製物を適用することを含む方法に関する。本発明はさらに、頭髪を洗浄する方法であって、頭髪に:i)香料組成物であって、a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも15重量%と;及びc)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%とを含む、香料組成物;並びに、ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む水中シリコーンエマルジョンを含むヘアケア調製物を適用することを含む方法に関する。
【0008】
ある態様において、上述の香料組成物は、a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%と;及びc)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも30重量%とを含んでもよい。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の1つの態様において、i)香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を含み、分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm未満の粒径を有する、水中シリコーンエマルジョンとを含む組成物が提供される。さらに、i)香料組成物であって、a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する、1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する、1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも15重量%と;及びc)250℃を超える沸点を有する、1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%とを含む、香料組成物;並びに、ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む水中シリコーンエマルジョンを含む組成物が提供される。さらに、i)香料組成物であって、a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%と;及びc)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも30重量%とを含む、香料組成物;並びに、ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む、水中シリコーンエマルジョンを含む組成物が提供される。
【0010】
水中シリコーンエマルジョン
本発明で使用した水中シリコーンエマルジョンは、当業界で周知のエマルジョン重合法、たとえば参照により本明細書に組み入れられている、米国特許第5,998,537号および欧州特許0874017号で記載された方法によって調製できる。要約すれば、本方法は、a)少なくとも1つのポリシロキサンを含有する組成物と、鎖伸長反応によって前記ポリシロキサンと反応する少なくとも1つの有機ケイ素物質と、前記鎖伸長反応のための触媒を含有する金属と、少なくとも1つの界面活性剤と、水とを含む材料を混合して混合物を生成することと、b)前記混合物を乳化することと、を含む。本方法は、広範囲の物理特性を有する水中シリコーンエマルジョン、特に分散シリコーンが高い粘度および小さい液滴径を有するエマルジョンへの経路を提供する。
【0011】
ポリシロキサンによる鎖伸長反応は当業界で既知であり、たとえば、白金またはロジウム含有触媒の存在下で、Si−Hが脂肪族不飽和基と反応していくつかのSi−(C)p−Si結合(式中、p=1〜6)を有するポリシロキサンを形成するヒドロシリル化反応を包含可能であり、そのポリシロキサンは、ポリシロキサンポリシルアルキレンコポリマーとも呼ばれる。代わりに鎖伸長反応は、ポリシロキサン材料を形成する、触媒を含有する金属の存在下での、Si−OH基(たとえばヒドロキシ末端ポリシロキサン)とアルコキシ基(たとえばアルコキシシラン、シリケート、またはアルコキシシロキサン)との反応を包含することができる。
【0012】
上述の鎖伸長反応で使用したポリシロキサンは一般に、構造(I):
【化1】

の実質的に直鎖のポリマーを含む。
この構造において、各Rは独立して、平均してポリマーに付き1から2(を含めた)の反応性基があるという条件で、20個までの炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基、たとえばアルキル基(たとえばメチル、エチル、プロピルまたはブチル)、アリール基(たとえばフェニル) 、または上述の鎖伸長反応に必要な基(「反応性基」、たとえばケイ素結合水素原子、脂肪族不飽和基(たとえばビニル、アリルまたはヘキセニル)、ヒドロキシ、アルコキシ(たとえばメトキシ、エトキシまたはプロポキシ)、アルコキシ−アルコキシ、アセトキシ、アミノなど)を表し、nは1より大きい正の整数である。好ましくは反応性基の大部分、さらに好ましくは>90%、および最も好ましくは>98%が、シロキサン中の末端シリコーン原子にて置換されている。nは好ましくは、約1〜約100ミリオンmm2-1、好ましくは1000〜100,000mm2-1の粘度を有するポリシロキサンを生じる整数である。
【0013】
ポリシロキサン(I)は、少量の分岐(たとえばシロキサン単位の2モル%未満)を有することができるが、好ましくはポリマーは、実質的に直鎖であり、さらに好ましくは完全に直鎖である。その上、R基は、たとえば窒素含有基(たとえばアミノ基)、エポキシ基、硫黄含有基、ケイ素含有基、酸素含有基などで置換できる。しかしながら好ましくは、R基の少なくとも80%がアルキルであり、さらに好ましくはアルキル基は、メチル基である。
【0014】
鎖伸長反応によってポリシロキサンと反応する有機ケイ素物質は、第二のポリシロキサン、または鎖伸長剤として作用する物質のどちらでもよい。有機ケイ素物質がポリシロキサンである場合、それも一般に上記の構造(I)を有するであろう。そのような状況において、反応における1つのポリシロキサンは、1つの反応性基を含み、第二のポリシロキサンは、第一の反応性基と反応する第二の反応性基を含むであろう。
【0015】
有機ケイ素物質が鎖伸長剤を含む場合、シラン、シロキサン(たとえばジシロキサンまたはトリシロキサン)またはシラザンなどの物質でもよい。たとえば、少なくとも1つのSi−OH基を有する上記の構造(I)に従ったポリシロキサンを含む組成物は、スズまたはチタン含有触媒の存在下でアルコキシシラン(たとえばジアルコキシシランまたはトリアルコキシシラン)を使用して鎖伸長することができる。
【0016】
上述の鎖伸長反応で使用した金属含有触媒は、特定の反応に固有であることが多い。しかしながらそのような触媒は、当業界で既知である。一般にそれらは、白金、ロジウム、スズ、チタン、銅、鉛などの金属を含有する物質である。
【0017】
好ましい鎖伸長反応において、 少なくとも1つの脂肪族不飽和基、好ましくは末端基を有するポリシロキサンは、少なくとも1つのSi−H基, 好ましくは末端基を有するシロキサンまたはポリシロキサンである有機ケイ素物質と、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応する。少なくとも1つの脂肪族不飽和基を有するポリシロキサンは、 構造(I)(式中、1〜2(を含めた)のR基が平均して、ポリマーに付き1個の脂肪族不飽和基を含むという条件で、Rおよびnは上で定義したとおりである)を有する。代表的な脂肪族不飽和基は、ビニル、アリル、ヘキセニル、およびシクロヘキセニルまたは基R2CH=CHR3(式中、R2はケイ素原子に結合した2価脂肪族鎖を表し、R3は水素原子またはアルキル基を表す)を含む。少なくとも1つのSi−H基を有する有機ケイ素物質は好ましくは、上記の構造(I)(式中、1〜2(を含めた)のR基が平均して、水素原子を含み、nが0または正の整数であるという条件で、Rおよびnは上で定義したとおりである)を有する。この物質は、ポリマーまたは低分子量物質、たとえばシロキサン(たとえばジシロキサンまたはトリシロキサン)でもよい。
【0018】
少なくとも1つの脂肪族不飽和基を有するポリシロキサンおよび少なくとも1つのSi−H基を有する有機ケイ素物質は、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応する。そのような触媒は当業界で既知であり、たとえば白金およびロジウム含有物質を含む。これらの触媒は、たとえシリカゲルまたは粉末木炭などの担体に被着した白金またはロジウム、あるいは他の適切な化合物、たとえば塩化第二白金、白金の塩および塩化白金酸などの、いずれの既知の形態を取ってもよい。好ましい物質は、有機ケイ素系でのその容易な分散性および混合物の色に対するその無影響性の理由から、一般に入手可能な六水和物または無水物形のどちらかとしての塩化白金酸である。白金またはロジウム錯体、たとえば塩化白金酸六水和物およびジビニルテトラメチルジシロキサンから調製した錯体も使用できる。一般にこれらの触媒は、組成物(I)の重量に基づいて約0.0001〜10重量%の量で使用される。
【0019】
第二の好ましい鎖伸長反応において、 少なくとも1つのSi−OH基、好ましくは末端基を有するポリシロキサンは、少なくとも1つのアルコキシ基を有する有機ケイ素物質、好ましくは少なくとも1つのSi−OR基を有するシロキサン、または少なくとも2つのアルコキシ基を有するアルコキシシランと、金属含有触媒の存在下で反応する。この場合、少なくとも1つのSi−OH基を有するポリシロキサンは、構造(I)(式中、Rおよびnは上で定義したとおりであり、1〜2(を含めた)のR基が平均して1つのヒドロキシル基(OH)を含む)を有する。少なくとも1つのアルコキシ基を有する有機ケイ素物質は、構造(I)(式中、Rおよびnは上で定義したとおりであり、1〜2(を含めた)のR基が平均して、たとえば構造OR(式中、Rは上で定義したとおりであり、nは0または正の整数である)のアルコキシ基を含む)を有することができる。代わりに、有機ケイ素物質は、構造RmSi(OR)4-m(式中、Rは上で定義したとおりであり、mは0〜2である)のシランでもよい。アルコキシ基(たとえばアルコキシ−アルコキシ)を含有する他の物質も使用できる。
【0020】
Si−OH基とSi−OR基との反応のための各種の金属触媒は、当業界で周知であり、たとえば有機金属化合物、たとえば有機スズ塩、チタネート、またはチタンキレートまたは錯体などが挙げられ、使用される。例えば、スズオクトエート、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジネオデカノアート、ジブチルスズジメトキシド、イソブチルスズトリセロアート、ジメチルスズジブチラート、ジメチルスズジネオデカノアート、トリエチルスズタータレート、スズオレアート、スズナフテナート、スズブチラート、スズアセテート、スズベンゾアート、スズセバケート、スズスクシナート、テトラブチルチタナート、テトライソプロピルチタナート、テトラフェニルチタナート、テトラオクタデシルチタナート、チタンナフタナート、エチルトリエタノールアミンチタナート、チタンジイソプロピルジエチルアセトアセテート、チタンジイソプロポキシジアセチルアセトナート、およびチタンテトラアルコキシド(アルコキシドがブトキシまたはプロポキシである)などが含まれる。一般にこれらの触媒は、組成物(I)の重量に基づいて約0.001〜10重量%の量で使用される。
【0021】
少なくとも1つのポリシロキサンと、鎖伸長反応によって前記ポリシロキサンと反応する少なくとも1つの有機ケイ素物質と、前記鎖伸長反応のための金属含有触媒とを含有するどの組成物も、鎖伸長反応に使用できる。
【0022】
本発明で使用したエマルジョン中の分散シリコーンは、好ましくは100ミリオンmm2-1以上、さらに好ましくは150ミリオンmm2-1以上、そして最も好ましくは170ミリオンmm2-1以上の粘度、および好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下、および最も好ましくは0.5μm以下の粒径を有する(粘度は25℃および大気圧にて測定する)。粒径が、エマルジョンをマイクロエマルジョンにするのに十分なほど小さいことも、好ましい選択肢である。
【0023】
エマルジョンは好ましくは、少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%、なおさらに好ましくは75重量%のシリコーンを含む。重合シリコーンに加えて、エマルジョンは、シリコーンの総重量に基づいて最大2.5重量%の揮発性シリコーン(主に、環状シロキサン、好ましくはジメチルシクロポリシロキサン、および単鎖ポリシロキサン、好ましくはシロキサン単位10個以下の鎖長を持つポリジメチルシロキサンから選択される)も含有する。
【0024】
本発明の好ましい水中シリコーンエマルジョンは、非イオン性であり、シリコーンは直鎖ポリシロキサンポリシルアルキレンコポリマーであり、ここで1価シリコーン置換基は実質的にすべてC1-6炭化水素基であり、コポリマーは150ミリオンmm2-1以上の粘度および1μm以下の粒径を有する。さらに好ましい実施形態において、水中シリコーンエマルジョンは、 Si−H末端でブロックされたポリジメチルシロキサンおよびビニル末端でブロックされたポリジメチルシロキサンのヒドロシリル化によって形成され、約170mm2-1の粘度および約0.5μmの粒径を有する、直鎖シリコーンコポリマー約60重量%と、非イオン性界面活性剤約5重量%とを含む非イオン性エマルジョンである。
【0025】
界面活性剤
エマルジョンを生成するのに使用した混合物も、少なくとも1つの界面活性剤を含有する。これは、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アルキルポリサッカライド、両性界面活性剤などでもよい。
【0026】
非イオン性界面活性剤の例は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、およびポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびジエチレングリコールを含む。詳細な例は、BRIJ35およびBRIJ30(ICI Chemicals)を含む。
【0027】
カチオン性界面活性剤の例には、第4級アンモニウムヒドロキシド(たとえばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、タロー(tallow)トリメチルアンモニウムヒドロキシドおよびココトリメチルアンモニウムヒドロキシド)、および、これらの物質の対応する塩、脂肪酸アミンおよびアミドおよびそれらの誘導体ならびに脂肪酸アミンおよびアミドの塩(脂肪族脂肪族アミン(aliphatic fatty amines)およびその誘導体を含む)、脂肪鎖を有する芳香族アミンの同族体、脂肪族ジアミンに由来する脂肪族アミド、2置換アミンに由来する脂肪族アミド、エチレンジアミンの誘導体、アミノアルコールのアミド誘導体、長鎖脂肪酸のアミン塩、分散ジアミンの脂肪族アミドに由来する第4級アンモニウム塩基、ベンズイミダゾリンの第4級アンモニウム塩基、ピリジニウムの塩基性化合物およびその誘導体、スルホニウム化合物、ベタインの第4級アンモニウム化合物、エチレンジアミンのウレタン、ポリエチレンジアミンおよびポリプロパノールポリエタノールアミンを含む。
【0028】
適切なアニオン性界面活性剤の例は、アルキルサルフェート(たとえばラウリルサルフェート)、ポリマー(たとえばアクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー)、アルキルベンゼンスルホン酸および塩(たとえばヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸およびミリスチルベンゼンスルホン酸);モノアルキルポリオキシエチレンエーテルのサルフェートエステル;アルキルナフチルスルホン酸;アルカリ金属スルホレシナート、脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル(たとえばヤシ油酸のスルホン化モノグリセリド)、スルホン化1価アルコールエステルの塩、アミノスルホン酸のアミド、脂肪酸ニトリルのスルホン化生成物、スルホン化芳香族炭化水素、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合生成物、ナトリウムオクタヒドロアントラセンスルホネート、アルカリ金属アルキルサルフェート、エステルサルフェート、およびアルカリルスルホネートを含む。
【0029】
適切なアルキルポリサッカライドの例には、たとえば参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,035,832号に述べられているように、たとえば構造R1−O−(R2O)x−(G)y(式中、R1は直鎖または分岐アルキル基、直鎖または分岐アルケニル基またはアルキルフェニル基を表し、R2はアルキレン基を表し、Gは還元糖を表し、xは0または正の整数を示し、そしてyは正の整数を示す)の物質を含む。
【0030】
適切な両性界面活性剤の例は、コカミドプロピルベタインおよびコカミドプロピルヒドロキシサルフェートを含む。
【0031】
上記の界面活性剤は、個別にまたは組み合わせて使用できる。
【0032】
香料組成物
本発明の香料は、a)少なくとも10.0重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;b)少なくとも15重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;c)少なくとも20重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む。芳香成分のこれら3つのクラスの例を表1〜3に示す。これらの表の特定の成分は例示のみであり、上記の指針に当てはまる当業者に知られた他の物質も、本発明の香料組成物に組み込むことができる。
【0033】
本発明の香料組成物は好ましくは、少なくとも20.0重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;少なくとも15重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する、1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;少なくとも30重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む。本発明の香料組成物はさらに好ましくは:a)30.0〜40.0重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;b)20.0〜25.0重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;c)40.0〜45.0重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む。
【0034】
本発明の香料組成物は例として、これに限定されるわけではないが、香料890656および香料862883を含む。香料890656は、a)31.03重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;b)20.17重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;c)44.91重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む。香料890656は、ジプロピレングリコール12.79%;リナリルアセテート12.00%;ヘキシルシンナミックアルデヒド9.00%;トナリド7.50%;ベンジルサリチラート7.38%;フェニルエチルアルコール6.05%;リナロール4.89% ;Vertenex4.50%;アップルベース10.01%;オゾンベース4.93%;ウッディベース9.84%;フローラルベース10.61%;およびオイルまたは樹脂.50%を含む。アップルベース、オゾンベース、ウッディベース、およびフローラルベースは、組み合わせて表示した特性を有する1又はそれ以上の芳香成分を含む香料である。香料890656は、シトラス、グリーン、レモン、メロン、アップル、ウッディ、ジャスミン、ハーバル、ピーチ、スズラン、およびムスクの香料種を有する。
【0035】
香料862883は、a)34.08重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;b)23.10重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;c)42.46重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む。香料862883は、ジプロピレングリコール18.98%;Verdox7.35%;ヘディオン4.48%;リナロール4.47%;ベンジルサリチラート4.30%;メチルヒドロシンナミックアルデヒド4.23%;ジヒドロミルセノール4.06%;シトラスオイル4.25%;ベンジルアセテート3.56%;ヘキシルシンナミックアルデヒド3.27%;ベンジルベンゾアート2.04%;リナリルアセテート1.36%; アップルベース18.12%;フローラルサンダルウッドベース5.07%;フルーツベース4.91%;グリーンベース5.77%;およびオイルまたは樹脂3.78%を含む。アップルベース、フローラルサンダルウッドベース、フルーツベース、およびグリーンベースは、組み合わせて表示した特性を有する1又はそれ以上の芳香成分を含む香料である。香料862883は、アップルブロッサム、フルーティ、アップル、フローラル、サンダルウッド、およびムスクの香料種を有する。
【0036】
標準760mmHgにおける多くの芳香成分の沸点(BP)は、参照により本明細書に組み込まれている"Perfume and Flavor Chemicals (Aroma Chemicals),"Steffen Arctander, 著者が出版、1969中に与えられている。香料成分のオクタノール/水分配係数は、オクタノールおよび水の中のその平衡濃度の比である。本発明の好ましい芳香成分の分配係数は、さらに好都合に、10を底とするその対数logPの形で与えられる。多くの芳香成分のlogP値が報告されている;たとえばカリフォルニア州アービンのDaylight Chemical Information Systems,Inc.(Daylight CIS)より入手できるPomona92データベースは、元の文献の引用とともに多くを含んでいる。しかしながらlogP値は、Daylight CISより入手できる「CLOGP」プログラムによって最も好都合に計算できる。このプログラムは、Pomonaデータベースで入手できる場合には、実験によるlogP値も表示する。「計算されたlogP」(ClogP)は、HanschおよびLeoのフラグメント手法によって決定される(参照により本明細書に組み込まれている、A. Leo, in Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C.Hansch, P.G.Sammens, J.B.Taylor and C.A.Ramsden, Eds.,p.295, Pergamon Press, 1990を参照)。フラグメント手法は、各芳香成分の化学構造に基づいており、原子の数および種類、原子結合性、および化学結合を考慮する。芳香成分のオクタノール/水分配係数を表すClogP値は、この物理化学特性では最も信頼性のある、幅広く使用されている推定値であり、本発明で有用である芳香成分の選択においては、好ましくは実験によるlogP値の代わりに使用される。
【表1】



【表2】



【表3】


【0037】
ヘアケア調製物
分散シリコーンが少なくとも100ミリオンmm2-1、好ましくは100ミリオンmm2-1を超える粘度および最大で2μm、好ましくは2μm未満の粒径を有する水中シリコーンエマルジョンを香料組成物と、好ましくはシリコーン:香料の1:1〜10:1の重量比で混合する。ヘアケア調製物中でのシリコーンおよび香料の分散および分布のより高い制御および一貫性が可能となるため、この混合はヘアケア調製物への包含前に行うことが好ましい。混合は、当業界で周知の方法によって行うことができる。たとえば低剪断混合は、たとえば低剪断ベンチスケールオーバーヘッド混合装置、たとえば可変速度範囲45〜2000RPMを有するHeidolf RZR 50スターラーを用いた通常の手動混合、あるいは大規模スケールのグロインケトルでの、または大規模スケールオーバーヘッド機械的ドラム混合によってなど、当業界で周知の方法によって行うことができる。
【0038】
次に混合物をヘアケア調製物中に、ヘアケア調製物の少なくとも1重量%のシリコーンを与える量で、たとえば1〜10重量%、またはたとえば2〜6重量%で包含させる。シャンプー、コンディショナーおよびコンディショニングシャンプーを含むヘアケア調製物は、当業界で周知であり、界面活性剤を含有する洗浄ベース、および調製物の化粧品特性を改良するための他の薬剤を通例含む。洗浄ベースは通例、水のみ、または溶媒(たとえば低級アルコールまたはアルキレングリコール)を含む水である、化粧品的に許容される水性溶媒を含む。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、または両性でもよい。調製物に含まれる他の添加剤は、pH調整剤(たとえばアミン)、粘度調整剤、電解質、または増粘剤、パール光沢付与剤または不透明化剤、発泡共力剤、および調製物の特性を改良する他の薬剤、たとえばアニオン性、非イオン性およびカチオン性ポリマー、タンパク質、脂肪酸およびビタミンを含む。ヘアケア調製物は通例、液体、濃縮液、ローションまたはゲルの形態となる。
【0039】
本発明は、組成物であって:i)香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を含み、分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm未満の粒径を有する、水中シリコーンエマルジョンとを含むヘアケア調製物である組成物に関する。本発明はさらに、組成物であって:i)香料組成物であって、a)少なくとも10.0重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;b)少なくとも15重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;c)少なくとも20重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む、香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む、水中シリコーンエマルジョンとを含むヘアケア調製物である組成物に関する。本発明はさらに、組成物であって:i)香料組成物であって、a)少なくとも10.0重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;b)少なくとも20重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;c)少なくとも30重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む、香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む、水中シリコーンエマルジョンとを含むヘアケア調製物である組成物に関する。1つの実施形態において、シリコーン:香料組成物の重量比は1:1〜10:1である。さらなる実施形態において、ヘアケア調製物は、シャンプー、コンディショナー、またはコンディショニングシャンプーである。
【0040】
本発明によるヘアケア調製物中での上で定義した水中シリコーンエマルジョンの使用により、従来の調製物と比較して、より長期間に渡る頭髪からの香料放出として測定される、頭髪への改良された香料被着を有するヘアケア調製物を提供することができる。改良された香料被着は、容易な櫛通り、つや、光沢および一般的なコンディショニングを含む、頭髪へのシリコーン被着と通常関連している、ユーザーに対する好ましい感覚および美的知覚を失うことなく生じる。
【0041】
乳化シリコーンのそのような高い粘度と、そのような小さい粒径の組合せが、被着シリコーンの利点に悪影響を及ぼすことなく、香料のより強い被着または頭髪からの香料のより長期間に渡る放出を生じさせることは特に驚くべきである。
【0042】
本発明は、頭髪を洗浄する方法であって頭髪に:i)香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を含み、分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm未満の粒径を有する、水中シリコーンエマルジョンとを含むヘアケア調製物を適用することを含む方法に関する。
【0043】
本発明はまた、頭髪を洗浄する方法であって、頭髪に:i)香料組成物であって、a)少なくとも10.0重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;b)少なくとも15重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;c)少なくとも20重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む、香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を水中シリコーンエマルジョンとを含むヘアケア調製物を適用することを含む方法にも関する。
【0044】
本発明はまた、頭髪を洗浄する方法であって、頭髪に:i)香料組成物であって、a)少なくとも10.0重量%の、250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;b)少なくとも20重量%の、250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物と;c)少なくとも30重量%の、250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物とを含む、香料組成物と;ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む、水中シリコーンエマルジョンとを含むヘアケア調製物を適用することを含む方法にも関する。
【0045】
好ましい実施形態において、シリコーン:香料組成物の重量比は、1:1〜10:1である。さらに好ましい実施形態において、ヘアケア調製物は、シャンプー、コンディショナー、またはコンディショニングシャンプーである。
【0046】
本発明の組成物はさらに、他の化粧品用途、特にスキンケア用途に使用されて、同様の利点を提供する。適切なスキンケア用途の例は、ローション、ゲル(シャワーゲルを含む)、ゼリー、ペースト、フェイシャル用途、保湿剤、フェイスマスク、ナイトクリーム、デイクリーム、サンミルク、マッサージクリーム、メイク落としローション、老化防止クリーム、およびしわ防止クリームを含む。
【0047】
以下の実施例は、本発明のさらなる説明のために与えられており、それを制限するものではない。別途指示しない限り、すべての部およびパーセンテージは重量により、すべての粘度は25℃で測定した動的粘度である。
(実施例)
【実施例1】
【0048】
水中シリコーンエマルジョン、SEM1は、55,000mm2-1の粘度を有する58.5部のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンに、粘度10mm2-1を有する1.17部のジメチル水素末端ポリジメチルシロキサンを混合することにより作成した。この混合物に、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテルおよび十分な水を添加して、位相反転を生じさせた。次に2.8部のポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルを高剪断下で添加した。最後に水を段階的に、各添加後に攪拌しながら、水の総量が35.5部になるまで添加し、ついで0.012部の白金触媒および0.5部のGlydant Plus保存剤を添加した。得られたエマルジョンは、Si−H末端でブロックされたポリジメチルシロキサンおよびビニル末端でブロックされたポリジメチルシロキサンのヒドロシリル化により形成された、約60重量%の直鎖シリコーンポリマーを含有する非イオン性エマルジョンであり、前記ポリマーは約170ミリオンmm2-1の粘度および0.5μmの平均粒径を有していた。生成された水中シリコーンエマルジョン、SEM1は、香料と混合して、以下の実施例で述べるように試験した。
【実施例2】
【0049】
香料862883を水中シリコーンエマルジョン、SEM1と、1:4の重量比で混合した。香料/シリコーン混合物は、シャンプーベースT−058に対して4重量%の濃度で添加した。
【0050】
シャンプーベースT−058は、80〜90℃の熱脱イオン水中で0.30%Metholcel E4M(ヒドロキシプロピルメチルセルロース;Dow Chemical Co.)を、中程度の速度でオーバーヘッドミキサーを用いて、すべての粒子が濡れて、一貫した分散が得られるまで混合することにより生成される。0.05%Sequestrene Na4(テトラナトリウムEDTA;Ciba Geigy)を85℃にて脱イオン水と混合して、冷却し、前記熱混合物に添加した。得られた溶液を30℃に冷却し、混合を約20分間続けた。混合物を60℃まで再加熱した。オーバーヘッドミキサーを低/中速で使用して混合しながら、18.00%Standapol T(TEAラウリルサルフェート;Cognis/Henkel)、8.00%Standapol A(アンモニウムラウリルサルフェート;Cognis/Henkel)、4.00%Monamid 150−LMWC(ラウルアミドDEA;Uniqema)、および0.30%パルミチン酸(Ruger)を添加した。オーバーヘッドミキサーを低/中速で使用して混合しながら、0.15%Gydant(DMDMヒダントイン;Lonza)、約0.3%塩化ナトリウム(粘度を調節するため)、および約0.5%クエン酸(pHを5.5〜6.0に調節するため)を添加した。混合物を低速にて室温に達するまで混合して、T−058を生成させた。
【0051】
対照として、同じシャンプーベースT−058に、香料のみを0.8重量%の濃度で添加した。香料/シリコーン混合物および対照はそれぞれ、2名の対象者の頭の半分に加えた。頭髪をシャンプーで洗浄し、芳香を5名の香水および臭気評価者団によって、正味製品、洗浄中の頭髪、すすぎ後の頭髪、ブロー乾燥後の頭髪、および乾燥6時間後の頭髪の段階において評価した。評価は、各対象者について1〜5のスケール(1、芳香なし〜5、強力な香料の香り)を決定した。2名の対象者の評価を平均し、評価結果を表4にまとめる。
【表4】

【0052】
結果は、シリコーンが、洗髪、すすぎ、ブロー乾燥、およびブロー乾燥6時間後の段階での残留芳香知覚に著しい効果を有することを示す。
【実施例3】
【0053】
香料862883を水中シリコーンエマルジョン、SEM1と、1: 4の重量比で混合した。香料/シリコーン混合物を4重量%の濃度で、シャンプーベースT−058に添加した(実施例2を参照)。対照として、香料のみを同じシャンプーベースT−058に0.8重量%の濃度で添加した。香料/シリコーン混合物および対照を、6個の毛束にそれぞれに添加した。12個の毛束をシャンプーで洗浄し、芳香を5名の香水および臭気評価者団によって、すすぎ後の頭髪、ブロー乾燥後の頭髪、および乾燥6時間後の頭髪の段階において評価した。評価は、各毛束について1〜5のスケール(1、芳香なし〜5、強力な香料の香り)を決定した。各評価者によるおよびすべての毛束に対する評価を平均して、評価結果を表5に示す。
【表5】

【0054】
結果は、シリコーンが、すすぎ後およびブロー乾燥後の段階での残留芳香知覚に好ましい効果を有することを示す。
【実施例4】
【0055】
香料890656を水中シリコーンエマルジョン、SEM1と、1:8の重量比で混合した。香料/シリコーン混合物は、コンディショナーベースT−114に対して3.2重量%の濃度で添加した。
【0056】
コンディショナーベースT−114は、脱イオン水を70℃に加熱して、0.25%メチルパラベン(TRI-K)を完全に溶解するまで中速で混合しながらゆっくりと添加することによって生成される。得られた組成物は70℃に維持する。1.50%プロピレングリコールおよび1.00%Natrosol 250 HR(ヒドロキシチルセルロース;Hercules)を予備混合してスラリーとし、最初の混合物に添加する。得られた混合物を70℃にて、完全に透明で水和するまで混合する。1.00%Ammonyx 4002(ステアラルコニウムクロライド;Stephan)を混合物にゆっくり添加する。0.25%Lipoquat R(リシノールアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート;Lipo Chemicals,Inc.)、0.50%Lipopeg 6000 DS(PEG−150ジステアレート;Lipo Chemicals,Inc.)、1.00%Lipowax D(セテアリルアルコールおよびセテアレス−20;Lipo Chemicals,Inc.)、および0.10%プロピルパラベン(TRI-K)を、溶融して透明になるまで予備加熱し、次に中速のホモミキサーで1分間攪拌しながら前記混合物に添加して、コンディショナーベースT−114を生成した。
【0057】
対照として、同じコンディショナーベースT−114に香料のみを0.4重量%の濃度で添加した。香料/シリコーン混合物および対照は、6個の毛束にそれぞれに添加した。12個の毛束をコンディショニングして、芳香を5名の香水および臭気評価者団によって、すすぎ後の頭髪、ブロー乾燥後の頭髪、および乾燥6時間後の頭髪の段階において評価した。評価は、各毛束について1〜5のスケール(1、芳香なし〜5、強力な香料の香り)を決定した。各評価者によるおよびすべての毛束に対する評価を平均して、評価結果を表6に示す。
【表6】

【0058】
結果は、シリコーンが、すすぎ後およびブロー乾燥後の段階での残留芳香知覚に好ましい効果を有することを示す。
【実施例5】
【0059】
香料862883を水中シリコーンエマルジョン、SEM2と混合した。SEM2は、非イオン性界面活性剤を3.4部のBioterge AS 40(Stephan Company)に置き換えて、より少ないジメチル水素末端ポリジメチルシロキサンを使用したことを除いて、実施例1で述べたSEM1と同様の方法で調製し、300ミリオンmm2-1の粘度および1.1μmの平均粒径を有するポリマーを含むアニオン性エマルジョンが生じた。エマルジョンおよび香料を4:1の重量比で混合した。SEM2ベースの香料/シリコーン混合物は、シャンプーベースT−058に4重量%の濃度で添加した(実施例2を参照)。
【0060】
香料862883を水中シリコーンエマルジョン、SEM8と混合した。SEM8は、各ケイ素原子にC30アルキル置換基を有する、約10mm2-1のアルキルメチルシロキサンポリマー4重量をさらに加えることを除いて、実施例1で述べたSEM1と同様の方法で調製した。エマルジョンは、0.8μmの平均粒径を有していた。エマルジョンは、4:1の重量比で香料と混合した。SEM8ベースの香料/シリコーン混合物は、シャンプーベースT−058に4重量%の濃度で添加した。
【0061】
対照として、同じシャンプーベースT−058に香料のみを0.8重量%の濃度で添加した。香料/シリコーン混合物および対照は、3個の毛束にそれぞれに添加した。9個の毛束をシャンプーで洗浄し、芳香を6名の香水および臭気評価者団によって、すすぎ後の頭髪、ブロー乾燥後の頭髪、および乾燥6時間後の頭髪の段階において評価した。評価は、各毛束について1〜5のスケール(1、芳香なし〜5、強力な香料の香り)を決定した。各評価者によるおよびすべての毛束に対する評価を平均して、評価結果を表7に示す。
【表7】

【0062】
結果は、SEM2およびSEM8ベース混合物が、残留芳香知覚に一貫した好ましい効果を持たないことを示す。
【実施例6】
【0063】
香料862883を水中シリコーンエマルジョン、SEM1と、1:4の重量比で混合した。SEM1ベース香料/シリコーン混合物は、シャンプーベースT−058に対して4重量%の濃度で添加した(実施例2を参照)。
【0064】
香料862883を水中シリコーンエマルジョン、SEM4と、1:4の重量比で混合した。SEM4は、実施例1で述べたSEM1と同様の方法で作成したが、得られたエマルジョンは、138ミリオンmm2-1の粘度および0.35μmの平均粒径を有している。SEM4ベース香料/シリコーン混合物は、4重量%の濃度でシャンプーベースT−058に添加した。
【0065】
香料862883を水中シリコーンエマルジョン、SEM5と、1:4の重量比で混合した。SEM5は、実施例1で述べたSEM1と同様の方法で作成したが、得られたエマルジョンは、272ミリオンmm2-1の粘度および0.36μmの平均粒径を有していた。SEM5ベース香料/シリコーン混合物は、4重量%の濃度でシャンプーベースT−058に添加した。
【0066】
対照として、同じシャンプーベースT−058に、香料のみを0.8重量%の濃度で添加した。香料/シリコーン混合物および対照を、3個の毛束にそれぞれに添加した。12個の毛束をシャンプーで洗浄し、芳香を6名の香水および臭気評価者団によって、すすぎ後の頭髪、ブロー乾燥後の頭髪、および乾燥6時間後の頭髪の段階において評価した。評価は、各毛束について1〜5のスケール(1、芳香なし〜5、強力な香料の香り)を決定した。各評価者によるおよびすべての毛束に対する評価を平均して、評価結果を表8に示す。
【表8】

【0067】
結果は、SEM1、SEM4、およびSEM5ベース混合物がすべて、残留芳香知覚に好ましい効果を与えることを示す。さらにSEM1ベース混合物は、SEM4またはSEM5ベース混合物よりも優れた効果を与える。
【実施例7】
【0068】
シャンプーベースT−058単独の、または水中シリコーンエマルジョンSEM1および/または香料862883と組み合わせた組成物を、表9に与えられた成分および量に従って調合した。得られた組成物の粘度を表9に示す。水中シリコーンエマルジョンSEM1の、シャンプーベースT−058への添加は、シャンプーベースT−058の粘度を約15%低下させた。香料862883の添加は、シャンプーベースT−058の粘度を2.5倍(2.5-fold)を越えて上昇させた。水中シリコーンエマルジョンSEM1および香料862883の組合せは、シャンプーベースT−058に添加したときに、香料862883単独の添加と比べて、約15%の粘度低下を示した。
【表9】

【0069】
本発明は、本明細書で述べた特定の実施形態によって範囲を制限されないものとする。本発明の各種の変形は、本明細書に述べたものに加えて、上述の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような変形は、添付請求項の範囲に当てはまるものとする。
【0070】
本明細書で引用したすべての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、および他の資料は、参照により本明細書に組み入れられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)香料組成物;および
ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む水中シリコーンエマルジョンを含み、
分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm以下の粒径を有する、組成物。
【請求項2】
前記水中シリコーンエマルジョンが非イオン性であり、シリコーンが直鎖ポリシロキサンポリシルアルキレンコポリマーであって、1価シリコーン置換基が実質的にすべてC1-6炭化水素基であり、コポリマーが150ミリオンmm2-1以上の粘度および1μm以下の粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水中シリコーンエマルジョンが、Si−H末端でブロックされたポリジメチルシロキサンおよびビニル末端でブロックされたポリジメチルシロキサンのヒドロシリル化によって形成され、約170mm2-1の粘度および約0.5μmの粒径を有する、直鎖シリコーンコポリマー約60重量%と、非イオン性界面活性剤約5重量%とを含む非イオン性エマルジョンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記香料組成物が:
a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;
b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも15重量%と;及び
c)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%と
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記香料組成物が:
a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20.0重量%と;
b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する、1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも15重量%と;及び
c)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも30重量%と
を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記香料組成物が:
a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を30.0〜40.0重量%と;
b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を20.0〜25.0重量%と;及び
c)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を40.0〜45.0重量%と
を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーン:香料組成物の重量比が1:1〜10:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
i)香料組成物であって:
a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;
b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%と;及び
c)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも30重量%とを含む、香料組成物;並びに
ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む、水中シリコーンエマルジョン
を含む組成物。
【請求項9】
前記分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm以下の粒径を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記水中シリコーンエマルジョンが非イオン性であり、シリコーンが直鎖ポリシロキサンポリシルアルキレンコポリマーであって、1価シリコーン置換基が実質的にすべてC1-6炭化水素基であり、コポリマーが150ミリオンmm2-1以上の粘度および1μm以下の粒径を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記水中シリコーンエマルジョンが、Si−H末端でブロックされたポリジメチルシロキサンおよびビニル末端でブロックされたポリジメチルシロキサンのヒドロシリル化によって形成され、約170mm2-1の粘度および約0.5μmの粒径を有する、直鎖シリコーンコポリマー約60重量%と、非イオン性界面活性剤約5重量%とを含む非イオン性エマルジョンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
香料組成物が:
a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20.0重量%と;
b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%と;及び
c)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも30重量%と
を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記香料組成物が:
a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を30.0〜40.0重量%と;
b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を20.0〜25.0重量%と;及び
c)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を40.0〜45.0重量%と
を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記シリコーン:香料組成物の重量比が1:1〜10:1である、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
i)香料組成物;および
ii)少なくとも1つの界面活性剤を含み、分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm未満の粒径を有する、水中シリコーンエマルジョン
を含むヘアケア調製物である、組成物。
【請求項16】
前記シリコーン:香料組成物の重量比が1:1〜10:1である、請求項15に記載のヘアケア調製物。
【請求項17】
前記ヘアケア調製物がシャンプー、コンディショナー、またはコンディショニングシャンプーである、請求項15に記載のヘアケア調製物。
【請求項18】
i)香料組成物であって:
a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;
b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%と;及び
c)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも30重量%とを含む、香料組成物;並びに
ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む、水中シリコーンエマルジョン
を含むヘアケア調製物である、組成物。
【請求項19】
前記シリコーン:香料組成物の重量比が1:1〜10:1である、請求項18に記載のヘアケア調製物。
【請求項20】
前記ヘアケア調製物がシャンプー、コンディショナー、またはコンディショニングシャンプーである、請求項18に記載のヘアケア調製物。
【請求項21】
頭髪を洗浄する方法であって、頭髪に:
i)香料組成物;および
ii)少なくとも1つの界面活性剤を含み、分散シリコーンが100ミリオンmm2-1以上の粘度および2μm未満の粒径を有する、水中シリコーンエマルジョン
を含むヘアケア調製物を適用することを含む方法。
【請求項22】
前記シリコーン:香料組成物の重量比が1:1〜10:1である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ヘアケア調製物がシャンプー、コンディショナー、またはコンディショニングシャンプーである、 請求項21に記載の方法。
【請求項24】
頭髪を洗浄する方法であって、頭髪に:
i)香料組成物であって:
a)250℃以下の沸点および3.0未満のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも10.0重量%と;
b)250℃以下の沸点および3.0以上のClogPを有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも20重量%と;及び
c)250℃を超える沸点を有する1又はそれ以上の芳香成分の香料組成物を少なくとも30重量%とを含む、香料組成物;並びに
ii)少なくとも1つの界面活性剤を含む、水中シリコーンエマルジョン
を含むヘアケア調製物を適用することを含む方法。
【請求項25】
前記シリコーン:香料組成物の重量比が1:1〜10:1である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ヘアケア調製物がシャンプー、コンディショナー、またはコンディショニングシャンプーである、請求項24に記載の方法。


【公表番号】特表2006−511470(P2006−511470A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536365(P2004−536365)
【出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/028182
【国際公開番号】WO2004/024114
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【出願人】(505086554)ダウ コーニング エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】