説明

水冷式四サイクルエンジン

【課題】鋳造が容易な水冷式四サイクルエンジンを提供する。
【解決手段】シリンダブロック3,シリンダヘッド4及び第1クランクケース半体8aとよりなるエンジンコア2を,一体鋳造された単一部品で構成し,このエンジンコア2に,シリンダジャケット40c及びヘッドジャケット40hよりなるウォータジャケット40を形成した水冷式四サイクルエンジンにおいて,エンジンコア2の,クランク軸15の軸線Xに平行な第1側面2aに,鋳抜き形成された吸気ポート5とウォータジャケット40の一半周部40Aとを開口させると共に,その一半周部40Aの開口部41を閉鎖する第1蓋板46を接合し,またエンジンコア2の,第1側面2aと反対側の第2側面2bに,鋳抜き形成された排気ポート6とウォータジャケット40の他半周部40Bとを開口させると共に,その他半周部40Bの開口部42を閉鎖する第2蓋板47を接合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,主として汎用の水冷式四サイクルエンジンに関し,特に,シリンダボアを有するシリンダブロックと,燃焼室及びそれに開口する吸気ポート及び排気ポートを有するシリンダヘッドと,クランク室の一半部を有する第1クランクケース半体とよりなるエンジンコアを,一体鋳造された単一部品で構成し,このエンジンコアと,クランク室の他半部を有して第1クランクケース半体に接合される第2クランクケース半体と,シリンダヘッドに接合されて,それとの間に動弁室を画成するヘッドカバーとでエンジン本体を構成し,クランク室に収容されるクランク軸を前記第1及び第2クランクケース半体により支持し,動弁室に収容されるカム軸をシリンダヘッドで支持し,エンジンコアには,シリンダボアを囲むシリンダジャケットと,このシリンダジャケットと連通して燃焼室,吸気ポート及び排気ポートを囲むヘッドジャケットとよりなるウォータジャケットを形成した水冷式四サイクルエンジンの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる水冷式四サイクルエンジンは,下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−26099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される水冷式四サイクルエンジンでは,シリンダ周りのシリンダジャケットを鋳抜き形成するためにシリンダブロックの両側面に一対の開口部を設け,また燃焼室周りのヘッドジャケットを鋳抜き形成するための開口部をシリンダヘッドの上面に設けているので,ウォータジャケットを鋳抜き形成するための開口部は3つも必要となり,鋳造金型の構造が複雑でコスト高となり,またそれら開口部を水密に閉鎖する蓋板も3個必要となり,部品点数及び組立工数が多く,これもコスト高の要因となるのみならず,エンジンの小型化を困難にする欠点がある。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,ウォータジャケットを鋳抜き形成するための開口部は2つで足り,したがってそれらを水密に閉鎖する蓋板も2枚で足り,鋳造が容易であると共に,部品点数及び組立工数が少なく,コストの低減に寄与し得る水冷式四サイクルエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明は,シリンダボアを有するシリンダブロックと,燃焼室及びそれに開口する吸気ポート及び排気ポートを有するシリンダヘッドと,クランク室の一半部を有する第1クランクケース半体とよりなるエンジンコアを,一体鋳造された単一部品で構成し,このエンジンコアと,クランク室の他半部を有して第1クランクケース半体に接合される第2クランクケース半体と,シリンダヘッドに接合されて,それとの間に動弁室を画成するヘッドカバーとでエンジン本体を構成し,クランク室に収容されるクランク軸を前記第1及び第2クランクケース半体により支持し,動弁室に収容されるカム軸をシリンダヘッドで支持し,エンジンコアには,シリンダボアを囲むシリンダジャケットと,このシリンダジャケットと連通して燃焼室,吸気ポート及び排気ポートを囲むヘッドジャケットとよりなるウォータジャケットを形成し,またエンジンコアの一側には,クランク軸及びカム軸間を連結するタイミングベルトを収容するタイミングベルト室を設けた水冷式四サイクルエンジンにおいて,エンジンコアの,クランク軸の軸線に平行な第1側面に,鋳抜き形成された前記吸気ポートと前記ウォータジャケットの一半周部とを開口させると共に,その一半周部の開口部を水密に閉鎖する第1蓋板を接合し,またエンジンコアの,前記第1側面と反対側の第2側面に,鋳抜き形成された前記排気ポートと前記ウォータジャケットの他半周部とを開口させると共に,その他半周部の開口部を水密に閉鎖する第2蓋板を接合したことを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記第1蓋板に,この第1蓋板を貫通して前記吸気ポートの上流端に連なる吸気延長ポートと,この第1蓋板の外側面にあって前記吸気延長ポートに連なる吸気系部材を取り付ける第1取り付け座とを設けたことを第2の特徴とする。尚,前記吸気系部材は,後述する本発明の実施例中の気化器52に対応する。
【0008】
さらに本発明は,第1の特徴に加えて,前記第2蓋板に,この第2蓋板を貫通して前記排気ポートの下流端に連なる排気延長ポートと,この第1蓋板の外側面にあって前記排気延長ポートに連なる排気系部材を取り付ける第2取り付け座とを設けたことを第3の特徴とする。尚,前記排気系部材は,後述する本発明の実施例中の排気マフラ53に対応する。
【0009】
さらにまた本発明は,第1の特徴に加えて,エンジンコアの,前記第1及び第2側面と直交する第3側面側の側壁に,クランク軸及びカム軸間を連結するタイミングベルトを収容するタイミングベルト室を前記シリンダボアに隣接して設け,このタイミングベルト室を,エンジンコアの上面側から鋳抜き形成したことをダ第4の特徴とする。
【0010】
さらにまた本発明は,第4の特徴に加えて,前記タイミングベルト室及びシリンダボア間の隔壁に,前記ウォータジャケットの一半周部及び他半周部を食い込ませたことを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば,エンジンコアの鋳造時,タイミングベルト室に干渉されることなく,クランク軸の軸線と直交する2方向からの鋳抜きにより吸気ポートと,シリンダジャケット及びヘッドジャケットを含むウォータジャケットの一半周部,並びに排気ポートと上記ウォータジャケットの他半周部を形成することができ,したがって吸気及び排気ポート及びウォータジャケット付きのエンジンコアの鋳造を容易に行うことができる。
【0012】
しかも上記ウォータジャケット40の鋳抜き形成のための開口部は,エンジンコアの第1及び第2側面の開口部のみで,それらを水密に閉鎖する蓋板も,第1及び第2蓋板の2枚で足り,部品点数及び組立工数が少なく,コストの低減に寄与し得る。
【0013】
本発明の第2の特徴によれば,ウォータジャケットの一半周部に接する第1蓋板が,エンジンコアから気化器又はスロットルボディへの熱伝導を抑える断熱部材を兼ねることになる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば,ウォータジャケットの他半周部に接する第2蓋板が排気マフラからエンジンコアへの熱伝導を抑える断熱部材を兼ねることになる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば,エンジンコアの鋳造時,シリンダヘッドの上面側からタイミングベルト室を,ウォータジャケットに干渉されることなく鋳抜きにより形成することができる。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば,ウォータジャケットの容積の減少を極力抑えながら,タイミングベルト室の,シリンダボアへの近接配置を可能にし,エンジンコアのコンパクト化に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る水冷式四サイクルエンジンの縦断正面図。
【図2】図1の2−2線断面図。
【図3】図1のの3−3線断面図。
【図4】図2の4−4線断面図。
【図5】図2の5−5線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0019】
図1〜図3において,水冷式四サイクルエンジンEのエンジン本体1はエンジンコア2を有する。このエンジンコア2は,シリンダボア3aを有するシリンダブロック3と,シリンダボア3aに連なる燃焼室4a及びそれに開口する吸気ポート5及び排気ポート6を有するシリンダヘッド4と,クランク室7の一半部を有する第1クランクケース半体8aとをダイキャスト鋳造により一体成形してなる単一部品を構成するものであり,このエンジンコア2と,クランク室7の他半部を有して第1クランクケース半体8aに複数のボルト9により接合される第2クランクケース半体8bと,シリンダヘッド4に複数のボルト10により接合されて,それとの間に動弁室11を画成するヘッドカバー12とでエンジン本体1が構成される。
【0020】
エンジンコア2の一側には,クランク室7及び動弁室11間を連通するタイミングベルト室13が形成される。
【0021】
第1及び第2クランクケース半体8a,8bは,互いに接合されてクランクケースを構成するもので,それらの接合面14は,シリンダボア3aの軸線Yに直交する平面上に来るように形成される。クランク室7に収容されるクランク軸15は,これら第1及び第2クランクケース半体8a,8b間に挟持されるボールベアリング16,16に支承されると共に,シリンダボア3aに摺動自在に嵌装されるピストン17にコンロッド18を介して連接される。このクランク軸15には,前記タイミングベルト室13に臨む歯付きの駆動プーリ19が固設される。
【0022】
シリンダヘッド4には,吸気及び排気ポート5,6を開閉する吸気及び排気弁24,25が設けられ,これら吸気及び排気弁24,25を開閉する動弁装置26が前記動弁室11に収容される。
【0023】
動弁装置26は,クランク軸15と平行にシリンダヘッド4に回転自在に支持される支軸37に回転自在に支承されるカム軸27と,このカム軸27と平行にシリンダヘッド4に支持される吸気及び排気ロッカ軸28a,28bと,吸気ロッカ軸28aに揺動自在に支持されてカム軸27及び吸気弁24間を連接する吸気ロッカアーム29aと,排気ロッカ軸28bに揺動自在に支持されてカム軸27及び排気弁25間を連接する排気ロッカアーム29bと,吸気及び排気弁24,25をそれぞれ閉じ方向に付勢する弁ばね30a,30bとよりなっている。
【0024】
図2に示すように,支軸37は,タイミングベルト室13を跨ぐようにシリンダヘッド4に設けられる一対の軸受部31,32により支持され,この支軸37に支承されて軸受部31,32間に配置されてカム軸27に,タイミングベルト室13に臨む歯付きの従動プーリ20が同軸状に固着されている。この従動プーリ20と,前記駆動プーリ19とに巻き掛けかけられる歯付きのタイミングベルト21がタイミングベルト室13に配設される。従動プーリ20は,歯数が前記駆動プーリ19より2倍になっており,駆動プーリ19の回転が2分の1に減速されてカム軸27に伝達される。
【0025】
クランク軸15の一端部には,発電コイル33を備えるフライホイール34が固着され,その他端部には,各種作業機(図示せず)を駆動する出力軸35が連結される。
【0026】
またシリンダヘッド4には,シリンダボア3aの軸線Yを挟んでタイミングベルト室13と反対側で,前記燃焼室4aに電極を臨ませる点火プラグ36が螺着される。
【0027】
図1,図2,図3及び図5に示すように,エンジンコア2にはウォータジャケット40が形成される。このウォータジャケット40は,シリンダボア3aを囲むシリンダジャケット40cと,このシリンダジャケット40cと連通して燃焼室4a,吸気ポート5及び排気ポート6を囲むヘッドジャケット40hとよりなっている。
【0028】
図4及び図5に示すように,エンジンコア2において,クランク軸15の軸線Xに平行して互いに反対方向を向く両側面を第1及び第2側面2a,2b,これら第1及び第2側面2a,2bと直交する側面を第3側面2cと呼ぶことにし,その第1側面2aには,前記吸気ポート5と前記ウォータジャケット40の一半周部40Aとが鋳抜き形成されて開口し,また第2側面2bには,前記排気ポート6と前記シリンダジャケット40c及びヘッドジャケット40hの他半周部40Bとが鋳抜き形成されて開口し,第3側面2c側の側壁にタイミングベルト室13がシリンダヘッド4の上面側から鋳抜き形成される。そして,第1側面2aには,シリンダジャケット40cの一半周部40Aの開口部41を水密に閉鎖する第1蓋板46が,また第2側面2bには,シリンダジャケット40cの他半周部40Bの開口部42を水密に閉鎖する第2蓋板47がそれぞれ複数のボルト48,49により接合される。
【0029】
また前記タイミングベルト室13も,エンジンコア2の上面側から鋳抜きにより形成され,前記ウォータジャケット40の一半周部40A及び他半周部40Bは,このタイミングベルト室13及びシリンダボア3a間の隔壁44(図5参照)の両側部に食い込むように形成される。
【0030】
図1及び図4に示すように,前記第1蓋板46には,この第1蓋板46を貫通して前記吸気ポート5の上流端に連なる吸気延長ポート5aと,この第1蓋板46の外側面から隆起していて吸気延長ポート5aが開口する第1取り付け座50とが形成され,この第1取り付け座50に気化器52が取り付けられる。
【0031】
また前記第2蓋板47には,この第2蓋板47を貫通して前記排気ポート6の下流端に連なる排気延長ポート6aと,この第2蓋板47の外側面から隆起していて排気延長ポート6aが開口する第2取り付け座51とが形成され,この第2取り付け座51に排気マフラ53が取り付けられる。
【0032】
図1及び図5に示すように,第1蓋板46には,ヘッドジャケット40hに開口する入口管54が設けられ,また第2蓋板47には,シリンダジャケット40cの下部に開口する出口管55が設けられる。図示しないラジエータで冷却された冷却水は,入口管54からヘッドジャケット40hに供給され,ヘッドジャケット40hを流れながら吸,排気ポート5,6及び燃焼室4a周りを冷却し,そしてシリンダジャケット40cに移り,その上部から下部に流れてシリンダボア3a周りを冷却した後,出口管55から流出してラジエータに戻るようになっている。
【0033】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0034】
エンジンEの運転中,上記のように,冷却水が吸,排気ポート5,6及び燃焼室4a周りのヘッドジャケット40hと,シリンダボア3a周りのシリンダジャケット40cを順次流れることにより,エンジンコア2を燃焼室4aに近い高温部からシリンダボア3aの下部の低温部に亙り効率よく冷却することができる。
【0035】
ところで,エンジンコア2の,クランク軸15の軸線Xに平行な第1側面2aには,鋳抜き形成された吸気ポート5と,シリンダジャケット40c及びヘッドジャケット40hを含むウォータジャケット40の一半周部40Aとが開口し,またエンジンコア2の第2側面2bには,鋳抜き形成された排気ポート6と上記ウォータジャケット40の他半周部40Bとが開口するので,エンジンコア2のダイキャスト鋳造時,タイミングベルト室13に干渉されることなく,クランク軸15の軸線Xと直交する2方向からの鋳抜きにより吸気ポート5とウォータジャケット40の一半周部40Aと,排気ポート6とウォータジャケット40の他半周部40Bとを形成することができ,またシリンダヘッド4の上面側からタイミングベルト室13を,ウォータジャケット40に干渉されることなく同時に鋳抜きにより形成することができ,したがって吸気及び排気ポート5,6,ウォータジャケット40(シリンダジャケット40c及びヘッドジャケット40hを含む),並びにタイミングベルト室13付きのエンジンコア2の鋳造を容易に行うことができる。
【0036】
しかもウォータジャケット40の鋳抜き形成のための開口部は,エンジンコア2の第1及び第2側面2a,2bの開口部41,42のみで,それらを水密に閉鎖する蓋板も,第1及び第2蓋板46,47の2枚で足り,部品点数及び組立工数が少なく,コストの低減に寄与し得る。
【0037】
さらに第1蓋板46には,シリンダヘッド4の吸気ポート5の上流端に連なる吸気延長ポート5aと,この第1蓋板46の外側面から隆起していて吸気延長ポート5aが開口する第1取り付け座50とが形成され,この第1取り付け座50に気化器52が取り付けられるので,ウォータジャケット40の一半周部40Aに接する第1蓋板46が,エンジンコア2から気化器52への熱伝導を抑える断熱部材を兼ねることになる。
【0038】
また第2蓋板47には,シリンダヘッド4の排気ポート6の下流端に連なる排気延長ポート6aと,この第2蓋板47の外側面から隆起していて排気延長ポート6aが開口する第2取り付け座51とが形成され,この第2取り付け座51に排気マフラ53が取り付けられるので,ウォータジャケット40の他半周部40Bに接する第2蓋板47が排気マフラ53からエンジンコア2への熱伝導を抑える断熱部材を兼ねることになる。
【0039】
また前記ウォータジャケット40の一半周部40A及び他半周部40Bは,タイミングベルト室13及びシリンダボア3a間の隔壁44の両側部に食い込むように形成されるので,ウォータジャケット40の容積の減少を極力抑えながら,タイミングベルト室13の,シリンダボア3aへの近接配置を可能にし,エンジンコア2のコンパクト化に寄与し得る。
【0040】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,エンジンEが燃料噴射装置を採用する場合には,第1取り付け座50に気化器52に代えてスロットルボディが取り付けられる。また第1及び第2クランクケース半体8a,8bの接合面14は,クランク軸15の軸線Xに対して斜めに交差するように形成して,第1及び第2クランクケース半体8a,8bにクランク軸15の両端部をそれぞれ支承させることもできる。
【符号の説明】
【0041】
E・・・・・水冷式四サイクルエンジン
X・・・・・クランク軸の軸線
2・・・・・エンジンコア
3・・・・・シリンダブロック
3a・・・・シリンダボア
4・・・・・シリンダヘッド
4a・・・・燃焼室
5・・・・・吸気ポート
6・・・・・排気ポート
7・・・・・クランク室
8a・・・・第1クランクケース半体
8b・・・・第2クランクケース半体
11・・・・動弁室
12・・・・ヘッドカバー
13・・・・タイミングベルト室
15・・・・クランク軸
21・・・・タイミングベルト
27・・・・カム軸
40・・・・ウォータジャケット
40A・・・ウォータジャケットの一半周部
40B・・・ウォータジャケットの他半周部
40c・・・シリンダジャケット
40h・・・ヘッドジャケット
41・・・・開口部
42・・・・開口部
44・・・・隔壁
46・・・・第1蓋板
47・・・・第2蓋板
50・・・・第1取り付け座
51・・・・第2取り付け座
52・・・・吸気系部材(気化器)
53・・・・排気系部材(排気マフラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダボア(3a)を有するシリンダブロック(3)と,燃焼室(4a)及びそれに開口する吸気ポート(5)及び排気ポート(6)を有するシリンダヘッド(4)と,クランク室(7)の一半部を有する第1クランクケース半体(8a)とよりなるエンジンコア(2)を,一体鋳造された単一部品で構成し,このエンジンコア(2)と,クランク室(7)の他半部を有して第1クランクケース半体(8a)に接合される第2クランクケース半体(8b)と,シリンダヘッド(4)に接合されて,それとの間に動弁室(11)を画成するヘッドカバー(12)とでエンジン本体(1)を構成し,クランク室(7)に収容されるクランク軸(15)を前記第1及び第2クランクケース半体(8a,8b)により支持し,動弁室(11)に収容されるカム軸(27)をシリンダヘッド(4)で支持し,エンジンコア(2)には,シリンダボア(3a)を囲むシリンダジャケット(40c)と,このシリンダジャケット(40c)と連通して燃焼室(4a),吸気ポート(5)及び排気ポート(6)を囲むヘッドジャケット(40h)とよりなるウォータジャケット(40)を形成し,またエンジンコア(2)の一側には,クランク軸(15)及びカム軸(27)間を連結するタイミングベルト(21)を収容するタイミングベルト室(13)を設けた水冷式四サイクルエンジンにおいて,
エンジンコア(2)の,クランク軸(15)の軸線(X)に平行な第1側面(2a)に,鋳抜き形成された前記吸気ポート(5)と前記ウォータジャケット(40)の一半周部(40A)とを開口させると共に,その一半周部(40A)の開口部(41)を水密に閉鎖する第1蓋板(46)を接合し,またエンジンコア(2)の,前記第1側面(2a)と反対側の第2側面(2b)に,鋳抜き形成された前記排気ポート(6)と前記ウォータジャケット(40)の他半周部(40B)とを開口させると共に,その他半周部(40B)の開口部(42)を水密に閉鎖する第2蓋板(47)を接合したことを特徴とする水冷式四サイクルエンジン。
【請求項2】
請求項1記載の水冷式四サイクルエンジンにおいて,
前記第1蓋板(46)に,この第1蓋板(46)を貫通して前記吸気ポート(5)の上流端に連なる吸気延長ポート(5a)と,この第1蓋板(46)の外側面にあって前記吸気延長ポート(5a)に連なる吸気系部材(52)を取り付ける第1取り付け座(50)とを設けたことを特徴とする水冷式四サイクルエンジン。
【請求項3】
請求項1記載の水冷式四サイクルエンジンにおいて,
前記第2蓋板(47)に,この第2蓋板(47)を貫通して前記排気ポート(6)の下流端に連なる排気延長ポート(6a)と,この第1蓋板(46)の外側面にあって前記排気延長ポート(6a)に連なる排気系部材(53)を取り付ける第2取り付け座(51)とを設けたことを特徴とする水冷式四サイクルエンジン。
【請求項4】
請求項1記載の水冷式四サイクルエンジンにおいて,
エンジンコア(2)の,前記第1及び第2側面(2a,2b)と直交する第3側面(2c)側の側壁に,クランク軸(15)及びカム軸(27)間を連結するタイミングベルト(21)を収容するタイミングベルト室(13)を前記シリンダボア(3a)に隣接して設け,このタイミングベルト室(13)を,エンジンコア(2)の上面側から鋳抜き形成したことを特徴とする水冷式四サイクルエンジン。
【請求項5】
請求項4記載の水冷式四サイクルエンジンにおいて,
前記タイミングベルト室(13)及びシリンダボア(3a)間の隔壁(44)に,前記ウォータジャケット(40)の一半周部(40A)及び他半周部(40B)を食い込ませたことを特徴とする水冷式四サイクルエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−163141(P2011−163141A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23852(P2010−23852)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】