説明

水切り装置

【課題】ワークの形状が複雑であっても、ワークの十分な水切りが可能な水切り装置を提供すること。
【解決手段】水が付着したワーク2の水切りを行う水切り装置1は、ワーク2が浸漬される水切り槽3を備えている。水切り槽3には、ワーク2の水切りを行うための水切り用溶剤が満たされている。また、水切り槽3の底面側には、水切り槽3に水切り用溶剤を供給するための供給口3bが形成され、水切り用溶剤は、供給口3bから水切り槽3の上端側に向かって供給されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が付着したワークの水切りを行う水切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、前工程で純水等に浸漬されて洗浄された電子部品等のワークの水切り、乾燥を行う水切り装置として、水切り槽、水分離槽およびプール槽の3つの槽を備える水切り装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の水切り装置では、フッ素系溶剤が入った水切り槽に水切りが行われるワークが浸漬されると、水とフッ素系溶剤の比重差によって、ワーク表面の水が浮力を受け、ワークに対する水の付着力が弱まるため、ワークの表面から水が剥離する。剥離した水は水切り槽の表面に浮く。水切り槽の表面に浮いた水は、水切り槽の表層流により水分離槽に流れ込み、水分離槽で水と分離されたフッ素系溶剤がプール槽に流れ込む。
【0003】
また、この水切り装置では、プール槽に流れ込んだフッ素系溶剤は、ポンプおよびフィルタが配設された循環ラインを介して水切り槽に戻される。具体的には、水切り槽の液面位置に開口した吐出口に取り付けられる液面シャワー装置に循環ラインが接続されており、液面シャワー装置から水切り槽の液面に平行にフッ素系溶剤が噴射されて、フッ素系溶剤が水切り槽に戻される。
【0004】
【特許文献1】特許第3753452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の水切り装置では、ワークの水切りを行うためのフッ素系溶剤が、水切り槽の液面位置に開口した吐出口から液面と平行に水切り槽に供給されている。そのため、水切り槽の液面近傍ではフッ素系溶剤の流れが生じるが、水切り装置の底面側ではフッ素系溶剤の流れが生じにくい。したがって、この水切り装置では、ワークの形状が複雑であると、所定の流速で流れるフッ素系溶剤がワークの一部に接触しにくくなり、水の表面張力の影響でワークから水が分離されにくくなる。すなわち、特許文献1に記載の水切り装置では、ワークの形状が複雑になると、ワークの十分な水切りが困難となる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、ワークの形状が複雑であっても、ワークの十分な水切りが可能な水切り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、水が付着したワークの水切りを行う水切り装置において、ワークの水切りを行うための水切り用溶剤が満たされ、ワークが浸漬される水切り槽を備え、水切り槽の底面側には、水切り槽に水切り用溶剤を供給するための供給口が形成され、水切り用溶剤は、供給口から水切り槽の上端側に向かって供給されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の水切り装置では、水切り槽には、その底面側に形成された供給口からその上端面側に向かって水切り用溶剤が供給されている。そのため、水切り槽の全体に水切り用溶剤の流れが生じやすくなる。したがって、本発明では、ワークの形状が複雑であっても、所定の流速で流れる水切り用溶剤がワークの全体に接触しやすくなり、その結果、ワークの十分な水切りが可能になる。
【0009】
本発明において、供給口は、水切り槽の底面部の略中心に形成されていることが好ましい。このように構成すると、水切り槽の全体に偏りなく水切り用溶剤の流れが生じやすくなり、所定の流速で流れる水切り用溶剤がワークの全体に偏りなく接触しやすくなる。
【0010】
本発明において、水切り槽の底面部には、超音波振動子が配置されていることが好ましい。このように構成すると、水切り槽内の水切り用溶剤に圧力の大きい泡(すなわち、キャビテーション)が発生するため、ワークに付着した水を効率的に分離することが可能になる。
【0011】
本発明において、ワークから分離される水および水切り用溶剤が流出する流出部が水切り槽の上端の全周にわたって形成されていることが好ましい。すなわち、水切り槽の上端側に壁面が形成されずに、水切り槽の上端の全周から水および水切り用溶剤が流出するように水切り槽が形成されていることが好ましい。このように構成すると、ワークから分離された水が水切り槽の上端側に形成される壁面に付着することがなくなり、壁面に付着した水が再び、水切り槽に戻るといった現象の発生を防止することができる。
【0012】
本発明において、ワークから分離され水切り槽から流出する水および水切り槽から流出する水切り用溶剤が流入する流入槽と、水切り用溶剤と分離される水を回収するための水回収槽とを備え、水切り用溶剤の比重は、水の比重よりも大きく、水回収槽は、流入槽の上端側に配管を介して接続されていることが好ましい。このように構成すると、水回収槽内の水の量に基づいて流入槽内の水の量を容易に把握することが可能になる。また、水回収槽の液面を流入槽内の水切り用溶剤の液面よりも高くしておくことで、流入槽における水切り用溶剤の揮発を防止することができる。
【0013】
本発明において、ワークから分離され水切り槽から流出する水および水切り槽から流出する水切り用溶剤が流入する流入槽と、水切り槽の上方に存在する水切り用溶剤の蒸気を凝集して液化させるための冷却手段と、冷却手段によって液化された水切り用溶剤が付着する付着部とを備え、付着部は、流入槽の上方に配置されていることが好ましい。このように構成すると、付着部に付着した水切り用溶剤や水を直接、流入槽へ落下させることができる。したがって、冷却手段で液化される水切り用溶剤や水を回収するための構成を別途、設ける必要がなくなり、水切り装置の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明にかかる水切り装置では、ワークの形状が複雑であっても、ワークの十分な水切りが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(水切り装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる水切り装置1の概略構成を示す概略側面図である。図2は、図1に示す水切り装置1の概略平面図である。なお、図2では、ワーク2の図示を省略している。
【0017】
本形態の水切り装置1は、水系洗浄剤、アルコール系洗浄剤あるいは純水等に浸漬されて洗浄された後の水が付着したワーク2の水切り、乾燥を行うための装置である。具体的には、ワーク2の水切りをするための水切り用溶剤の中にワーク2を浸漬して、ワーク2の水切り、乾燥を行うための装置である。
【0018】
この水切り装置1は、図1に示すように、水切り用溶剤にワーク2を浸漬するための水切り槽3と、水切り槽3でワーク2から分離された水と水切り用溶剤とを分離するための水分離槽4と、水分離槽4で分離された水を回収するための水回収槽5と、水分離槽4で分離された水切り用溶剤を水切り槽3へ戻すための循環経路6とを備えている。また、水切り装置1は、水切り槽3の上方に存在する気体状の水切り用溶剤を冷却して液化させるための冷却手段としての冷却パイプ8と、ワーク2を保持するワーク保持機構9とを備えている。
【0019】
ワーク2は、たとえば、電子部品、金属部品、プリント配線基板あるいはガラス基板等である。また、水切り用溶剤は、水の溶解度が非常に低い溶剤であって、かつ、水よりも比重の重い溶剤であり、本形態の水切り用溶剤は、HFC(ハイドロフルオロカーボン)やHFE(ハイドロフルオロエーテル)等のフッ素系溶剤である。なお、水切り用溶剤は、1−ブロモプロパン等の臭素系溶剤であっても良い。水切り用溶剤が臭素系溶剤である場合には、水切り以外に仕上げ脱脂効果も期待できる。
【0020】
水切り槽3は、底面部3aを有する有底円筒状に形成されている。この水切り槽3には、水切り用溶剤が満たされている。底面部3aには、水切り槽3に水切り用溶剤を供給するための供給口3bが形成されている。本形態では、底面部3aの略中心に供給口3bが形成されている。また、供給口3bは、たとえば、円形状に形成されている。
【0021】
供給口3bには、循環経路6の一端部が固定されており、循環経路6を通過した水切り用溶剤は、供給口3bから水切り槽3の内部に供給されている。すなわち、循環経路6を通過した水切り用溶剤は、底面部3aに形成される供給口3bから水切り槽3の上端側に向かって供給(噴射)されている。具体的には、水切り用溶剤は、図1、図2に示すように、供給口3bから上方に向かって噴射されるとともに、底面部3aの略中心位置を通過する水切り槽3の中心軸を中心として、供給口3bから斜め上方に向かって放射状に噴射されている。すなわち、略円錐状に噴射される水切り用溶剤の中心軸が、底面部3aの略中心位置を通過する水切り槽3の中心軸とほぼ一致している。
【0022】
底面部3aの下面には、キャビテーションを発生させるための所定数の超音波振動子10が固定されている。具体的には、底面部3aのワット密度が所定のワット密度となるように、所定数の超音波振動子10が底面部3aの下面に固定されている。たとえば、底面部3aのワット密度が0.5〜1W/cmとなるように、所定数の超音波振動子10が底面部3aの下面に固定されている。
【0023】
水分離槽4は、底面部4aを有する略有底円筒状に形成されている。この水分離槽4は、水切り槽3の全周を囲むように配置されている。すなわち、図1、図2に示すように、水分離槽4の中心側には、水切り槽3が配置されており、底面部4aの中心に形成された配置孔4bに水切り槽3が溶接されて固定されている。また、水分離槽4の内部には、水分離槽4の底面部4aとの間に所定の隙間をあけた状態で、かつ、上端が水分離槽4の液面よりも上側へ突出するように仕切壁11が配置されている。この仕切壁11は、略円筒状に形成されている。
【0024】
水分離槽4の、仕切壁11よりも径方向内側には、水切り槽3でワーク2から分離された水および水切り用溶剤がオーバーフローして流入する。すなわち、水分離槽4の、仕切壁11よりも径方向内側には、ワーク2から分離され水切り槽3から流出する水および水切り槽3から流出する水切り用溶剤が流入する流入槽4cが形成されている。
【0025】
本形態では、上述のように、水分離槽4は、水切り槽3の全周を囲むように配置されており、オーバーフローする水および水切り用溶剤が水切り槽3の全周から流入槽4cに流出する。すなわち、本形態では、水および水切り用溶剤が流出する流出部3cが水切り槽3の上端の全周にわたって形成されている。
【0026】
水分離槽4の、仕切壁11よりも径方向外側には、仕切壁11の下方を通過した水切り用溶剤が貯まるプール槽4dが形成されている。このプール槽4dの下端側には、水切り用溶剤の排出口4eが形成されており、排出口4eには、循環経路6の他端部が固定されている。
【0027】
水分離槽4では、水よりも比重の重い水切り用溶剤と水との比重差を利用して、水と水切り用溶剤とが分離される。すなわち、分離された水が流入槽4cの液面の表面側に浮き、プール槽4dに水切り用溶剤が貯まるように、水分離槽4が構成されている。
【0028】
水回収槽5は、底面部5aを有する有底筒状に形成されている。この水回収槽5は、流入槽4cの上端側に配管12を介して接続されており、流入槽4cの液面の表面側に浮かぶ水を回収できる位置に配置されている。また、本形態では、水回収槽5の液面が流入槽4c内の水切り用溶剤の液面よりも高くなるように、水回収槽5が配置されている。なお、水回収槽5内の水の量が規定値以上になると、水回収槽5から水が排出される。
【0029】
循環経路6は、図1に示すように、プール槽4d内に溜まっている水切り用溶剤を水切り槽3に向かって送るためのポンプ14と、プール槽4dから水切り槽3へ向かう水切り用溶剤を濾過して水切り用溶剤内の塵埃等の不純物を取り除くための除塵フィルタ15と、循環経路6の主要部分を構成する配管16とを備えている。上述のように、循環経路6の一端部は、水切り槽3の供給口3bに固定され、循環経路6の他端部は、プール槽4dの排出口4eに固定されている。そのため、プール槽4dから排出される水切り用溶剤は、循環経路6を経由して水切り槽3に供給される。
【0030】
冷却パイプ8は、水切り装置1を構成するフレーム18の上端部の周囲を囲むように配置されている。この冷却パイプ8には、図示を省略するチラー等で冷却された冷却水が供給され、冷却パイプ8の内周側を冷却水が通過する。そのため、フレーム18の上端部の内壁面18aが冷却される。また、水切り槽3の上部空間には、図示を省略する蒸気発生槽から送られる水切り用溶剤の蒸気が満たされている。すなわち、水切り槽3の上部空間は、蒸気飽和空間19となっている。蒸気飽和空間19内の蒸気は、冷却された内壁面18aで凝集して、内壁面18aに付着する。
【0031】
内壁面18aは、流入槽4cの上方に配置されている。すなわち、円筒状に形成された内壁面18aの内径は、水切り槽3の内径よりも大きく、かつ、流入槽4cの内径よりも小さくなっている。そのため、蒸気飽和空間19の上部に位置する内壁面18aに付着した液体状の水切り用溶剤は、内壁面18aに沿って流れ落ち、その後、流入槽4cに落下する。本形態の内壁面18aは、冷却パイプ8によって液化された水切り用溶剤が付着する付着部である。
【0032】
また、冷却パイプ8は、蒸気飽和空間19の上部に位置する空間内の空気も冷却するため、内壁面18aが所定温度以下になると空気中に含まれる水分も内壁面18aに結露する。結露して内壁面18aに付着した水滴は、水切り用溶剤と同様に内壁面18aに沿って流れ落ち、流入槽4cに落下する。
【0033】
ワーク保持機構9は、ワークを保持するワーク保持部9aと、ワーク保持部9aを移動させる移動機構(図示省略)とを備えている。ワーク保持部9aは、移動機構によって、水切り装置1の上端側から下端側まで昇降可能となっている。なお、ワーク保持部9aは、移動機構によって、上下方向に直交する方向へ移動可能となっていても良い。また、ワーク保持部9aは、移動機構によって、上下方向を軸方向として回転可能となっていても良い。
【0034】
以上のように構成された水切り装置1では、水が付着したワーク2の水切りを行う際に、ワーク2は水切り槽3に浸漬される。ワーク2が水切り槽3に浸漬されているときには、供給口3bから水切り槽3の上端側に向かって水切り用溶剤が吐出されている。また、このときには、超音波振動子がキャビテーションを発生させている。
【0035】
なお、ワーク2の水切りを行う際に、水切り用溶剤の吐出と超音波発振とを交互に行っても良い。また、ワーク保持機構9を構成する移動機構によって、ワーク2を上下動させても良い。また、移動機構によって、ワーク2が上下方向に直交する方向へ移動可能になっている場合には、ワーク2の水切りを行う際に、移動機構によって、上下方向に直交する方向へワーク2を移動させても良い。また、移動機構によって、ワーク2が上下方向を軸方向として回転可能になっている場合には、ワーク2の水切りを行う際に、移動機構によって、上下方向を軸方向としてワーク2を回転させても良い。
【0036】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、底面部3aに形成された供給口3bから水切り槽3の上端面側に向かって水切り用溶剤が供給されている。そのため、水切り槽3の全体に水切り用溶剤の流れが生じやすくなる。したがって、本形態では、ワーク2の形状が複雑であっても、所定の流速で流れる水切り用溶剤がワーク2の全体に接触しやすくなる。
【0037】
特に本形態では、供給口3bが底面部3aの略中心に形成されているため、水切り槽3の全体に偏りなく水切り用溶剤の流れが生じやすくなる。したがって、ワーク2の形状が複雑であっても、所定の流速で流れる水切り用溶剤がワーク2の全体に偏りなく接触しやすくなる。その結果、本形態では、ワーク2の形状が複雑であっても、ワーク2の十分な水切りが可能になる。たとえば、図1に示すように、ワーク2が細長い円筒状に形成されている場合であっても、本形態では、ワーク2の内周面の十分な水切りが可能になる。
【0038】
本形態では、水切り槽3の底面部3aに、超音波振動子10が配置されている。そのため、キャビテーションを発生させて、ワーク2に付着した水を効率的に分離することができる。また、本形態では、超音波振動子10は、底面部3aの下面に固定されているため、底面部3aの供給口3bから供給される水切り用溶剤の流れが超音波振動子10によって妨げられることがなく、水切り槽3の全体に水切り用溶剤の適切な流れが生じやすくなる。また、超音波振動子10に接続される配線の防水処理をする必要がなくなり、配線の構成を簡素化することができる。
【0039】
本形態では、水切り槽3の上端側に壁面が形成されずに、水切り槽3の上端の全周から水および水切り用溶剤が流出する。そのため、ワーク2から分離された水が水切り槽3の上端側に形成される壁面に付着することがなくなり、壁面に付着した水が再び、水切り槽3に戻るといった現象の発生を防止することができる。
【0040】
本形態では、水回収槽5は、流入槽4cの上端側に配管12を介して接続されており、流入槽4cの液面の表面側に浮く水を回収できる位置に配置されている。そのため、水回収槽5内の水の量に基づいて流入槽4c内の水の量を容易に把握することができる。また、本形態では、水回収槽5の液面が流入槽4c内の水切り用溶剤の液面よりも高くなるように、水回収槽5が配置されているため、流入槽4cにおける水切り用溶剤の揮発を防止することができる。
【0041】
本形態では、冷却パイプ8によって液化された水切り用溶剤が付着する内壁面18aが流入槽4cの上方に配置されており、内壁面18aに付着した液体状の水切り用溶剤や水は、壁18aに沿って流れ落ち、流入槽4cに落下する。すなわち、内壁面18aに付着した水切り用溶剤や水は直接、流入槽4cへ落下する。そのため、冷却パイプ8によって液化される水切り用溶剤や水を回収するための構成を別途、設ける必要がなくなり、水切り装置1の構成を簡素化することができる。
【0042】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0043】
上述した形態では、供給口3bから略円錐状に噴射される水切り用溶剤の中心軸は、水切り槽3の中心軸とほぼ一致している。この他にもたとえば、図3に示すように、供給口3bから略円錐状に噴射される水切り用溶剤の中心軸は、水切り槽3の中心軸に対して傾いても良い。この場合には、図3の矢印で示すように、水切り槽3の内部に渦状の流れを発生させることが可能になり、この渦状の流れを利用してワーク2から効果的に水を分離することが可能になる。
【0044】
上述した形態では、底面部3aの略中心に供給口3bが形成されている。この他にもたとえば、底面部3aの略中心に形成される供給口3bに加え、底面部3aの略中心以外の箇所に1個または複数の供給口3bが形成されても良い。また、底面部3aの略中心を除く他の箇所に1個または複数の供給口3bが形成されても良い。さらに、水切り槽3の側面部の下端側に、1個または複数の供給口が形成されても良い。
【0045】
上述した形態では、超音波振動子10は、底面部3aの下面に固定されている。この他にもたとえば、超音波振動子10は、底面部3aの上面に載置されても良い。すなわち、超音波振動子10は、水切り槽3の内部に配置されても良い。また、水切り槽3の内部にヒータが配置されても良い。
【0046】
上述した形態では、蒸気飽和空間19の上部に位置する空間内の気体状の水切り用溶剤は、冷却パイプ8で冷却され液化されて内壁面18aに付着する。この他にもたとえば、冷却パイプ8で冷却された蒸気飽和空間19の上部に位置する空間内の気体状の水切り用溶剤が冷却パイプ8の表面に付着するように、水切り装置1が構成されても良い。この場合には、冷却パイプ8の表面は、冷却パイプ8によって液化された水切り用溶剤が付着する付着部となる。
【0047】
上述した形態では、水切り槽3は、有底円筒状に形成されている。この他にもたとえば、水切り槽3は、有底四角筒状等の有底多角筒状に形成されても良い。また、上述した形態では、水切り装置1は、1個の水切り槽3を備えているが、複数の水切り槽3を備えていても良い。また、図3に示すように、水分離槽4が有底円筒状に形成されるとともに、そのほぼ中心位置に水切り槽3が溶接で固定されても良い。すなわち、水切り槽3の底面部3aと水分離槽4の底面部4aとが同じ高さに配置されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態にかかる水切り装置の概略構成を示す概略側面図である。
【図2】図1に示す水切り装置の概略平面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態にかかる水切り槽の概略構成を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 水切り装置
2 ワーク
3 水切り槽
3a 底面部
3b 供給口
3c 流出部
4c 流入槽
5 水回収槽
8 冷却パイプ(冷却手段)
10 超音波振動子
12 配管
18a 内壁面(付着部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が付着したワークの水切りを行う水切り装置において、
前記ワークの水切りを行うための水切り用溶剤が満たされ、前記ワークが浸漬される水切り槽を備え、
前記水切り槽の底面側には、前記水切り槽に前記水切り用溶剤を供給するための供給口が形成され、
前記水切り用溶剤は、前記供給口から前記水切り槽の上端側に向かって供給されていることを特徴とする水切り装置。
【請求項2】
前記供給口は、前記水切り槽の底面部の略中心に形成されていることを特徴とする請求項1記載の水切り装置。
【請求項3】
前記水切り槽の底面部には、超音波振動子が配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の水切り装置。
【請求項4】
前記ワークから分離される水および前記水切り用溶剤が流出する流出部が前記水切り槽の上端の全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の水切り装置。
【請求項5】
前記ワークから分離され前記水切り槽から流出する水および前記水切り槽から流出する前記水切り用溶剤が流入する流入槽と、前記水切り用溶剤と分離される水を回収するための水回収槽とを備え、
前記水切り用溶剤の比重は、水の比重よりも大きく、
前記水回収槽は、前記流入槽の上端側に配管を介して接続されていることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の水切り装置。
【請求項6】
前記ワークから分離され前記水切り槽から流出する水および前記水切り槽から流出する前記水切り用溶剤が流入する流入槽と、前記水切り槽の上方に存在する前記水切り用溶剤の蒸気を凝集して液化させるための冷却手段と、前記冷却手段によって液化された前記水切り用溶剤が付着する付着部とを備え、
前記付着部は、前記流入槽の上方に配置されていることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の水切り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−69420(P2010−69420A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240315(P2008−240315)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】