説明

水性毛髪洗浄剤

【課題】化学処理により損傷を受けた毛髪においても、シリコーンが効率的に残留し、すすぎ時の滑らかさ、乾燥後の滑らかさに優れるとともに、泡立ちが良く、保存時の黄変性が少ない毛髪洗浄剤を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C):
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)分岐ポリグリセロール変性シリコーン、
(C)カチオン化ガラクトマンナン、
及び水を含有する水性毛髪洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーリング剤やパーマ剤の普及によりヘアダメージが定常化した近年においては、毛髪洗浄剤には泡立ちや洗浄力等の洗浄剤としての基本的な機能に加え、すすぎ時の滑らかさや乾燥後の滑らかさ、まとまり等のコンディショニング効果を付与する機能が重要になってきている。一般的に、毛髪洗浄剤にはすすぎ時の滑らかさを付与するためにカチオン化ポリマーが配合されている。毛髪洗浄剤中に配合されたカチオン化ポリマーは、毛髪洗浄剤が使用される過程で水により希釈された際に、アニオン性界面活性剤と水不溶性の複合体を形成することにより毛髪表面に残留し、すすぎ時に滑らかさ付与する。しかしながら、乾燥後の滑らかさやまとまりは十分とはいえず、改善の余地があった。
【0003】
これを解決する手段として、特許文献1には、洗浄基剤、及びアミノ変性シリコーンとカチオン性ポリマーの少なくとも1つを含有する洗浄用化粧品組成物が記載されている。アミノ変性シリコーンは、カチオン性に帯電しやすい親水性のアミノ基を有する故、アニオン性に帯電した毛髪表面に対して吸着しやすい性質があり、乾燥後の髪の滑らかさ、まとまりが向上すると期待される。しかし、一般的な毛髪洗浄剤にはアニオン活性剤が洗浄基材として多量に配合されており、このような系においては、アミノ変性シリコーンのアミノ基がアニオン活性剤と静電的に相互作用するため、アミノ変性シリコーンのカチオン性が低下または失われるとともに、疎水性が高くなる。結果として、カチオン性の低下により毛髪への吸着性が低下する。このため、乾燥後の滑らかさが十分に得られないことがあった。また、疎水性が強くなることにより洗浄剤のすすぎ時に水流中でゴムに触れるような強いきしみ感を毛髪に与えるとともに、泡立ちを阻害するという場合があり、ヘアカラーリング剤やパーマ剤などの化学処理により損傷を受けた毛髪に対してのコンディショニング効果は十分でなかった。
更に、アミノ変性シリコーン中の一級アミノ基が酸化されやすい特徴を有する故、アミノ変性シリコーンを配合した洗浄剤は、外観色が黄変しやすいといった課題もあった。
【0004】
これらを解決する手段として、特許文献2には、アニオン性界面活性剤、カチオンポリマー、およびケイ素原子に結合する側鎖として、水酸基と窒素原子を共に含む基を有するシリコーン誘導体を含有する洗浄剤組成物が記載されている。このシリコーン誘導体はアミノ基とともに水酸基を多く有するため、アニオン活性剤と相互作用した場合においても比較的親水性が高いため、すすぎ時のきしみが緩和され滑らかさが向上する。また、一級アミノ基を有さないため黄変性も改善される。しかし、依然として、乾燥後の滑らかさおよび黄変性の点で、改善の余地があった。
【0005】
これらの課題を解決する手段として、特許文献3においては、分岐ポリグリセロール基で変性されたシリコーンを配合した毛髪洗浄剤が提案されている。分岐ポリグリセロール変性シリコーンは、アミノ基を含まないためアニオン活性剤との相互作用がなく、かつ、黄変するといった安定性に関する問題がない。また、構造中に多量のヒドロキシル基を有するため、親水性が高く水中での潤滑性に優れる。そのため、すすぎ時の滑らかさが向上し、乾燥後の髪のすべすべ感、しっとり感が改善されることが報告されている。しかし、アミノ基のような吸着基をもたない毛髪への残留性は低く、損傷毛に対してはそのコンディショニング効果の点で、なお改善の余地があった。
【特許文献1】特表2001−517606号公報
【特許文献2】特開2004−67638号公報
【特許文献3】特開2005−97150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化学処理により損傷を受けた毛髪に対しても、洗髪時には良好な泡立ちとすべりの良い泡質を有し、すすぎ時には滑らかな感触を有し、仕上がりの髪に滑らかさを与え、保存時の黄変性が少なく安定な水性毛髪洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、アニオン活性剤、分岐ポリグリセロール変性シリコーン、カチオン化ガラクトマンナンを併用することにより、損傷を受けた毛髪に対してもシリコーンが効率的に毛髪表面に残留し、すすぎ時の滑らかさの実現が可能であるとともに、仕上がりの髪に滑らかさを与え、泡立ちが良く保存時の黄変性が少ない毛髪洗浄剤が得られることを見出した。
【0008】
すなわち本発明によれば、次の成分(A)、(B)、(C):
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)下記構造式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表されるグリセロール基が同一又は異なって平均4個以上結合し、且つ前記構造式(1)又は(5)で表される基を少なくとも1つ以上含む分岐ポリグリセロール鎖が、シリコーンのケイ素原子に下記一般式(6)で表される2価の基、下記一般式(7)で表される2価の基及び下記一般式(8)で表される3価の基からなる群から選ばれる一種以上の連結基を介して少なくとも1つ結合した、分岐ポリグリセロール変性シリコーン、
(C)カチオン化ガラクトマンナン、
及び水を含有する水性毛髪洗浄剤が提供される。
【0009】
【化1】

【0010】
−(R1p−O−(AO)q− (6)
(上記一般式(6)中、R1は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、アルケニレン基又は炭素数6〜28のアリーレン基、AOは炭素数1〜4のアルキレンオキシ基又は炭素数6〜10のアリーレンオキシ基、pは0又は1の数、qは0〜30の数を示し、q個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【0011】
【化2】

【0012】
(上記一般式(7)中、R2は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基、uは0又は1の数、vは0〜30の数、AOは前記の意味を示し、v個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【0013】
【化3】

【0014】
(上記一般式(8)中、R3は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基、zは0又は1の数、xは0〜30の数、yは0〜30の数、AOは前記の意味を示し、x個及びy個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0015】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、化学処理により損傷を受けた毛髪においても、シリコーンが効率的に毛髪表面に残留し、すすぎ時の滑らかさに優れるとともに、泡立ちが良く、保存時の黄変性が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、以下の成分(A)〜(C)及び水を含む。以下、各成分について具体的に説明する。
(A)アニオン性界面活性剤
(B)分岐ポリグリセロール変性シリコーン
(C)カチオン化ガラクトマンナン
【0017】
はじめに、成分(A)について説明する。
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(A)アニオン性界面活性剤として、具体的には、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系のものが使用できる。硫酸系のものとして、例えばアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩が挙げられる。スルホン酸系のものとして、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩等が挙げられる。また、カルボン酸系のものとして、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。なかでもポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩が好ましく、特に次の一般式(10)又は(11)で表されるものが好ましい。
【0018】
10O(CH2CH2O)nSO3M (10)
10OSO3M (11)
(上記一般式(10)および(11)中、R10は平均炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸由来のカチオンを示し、nは質量平均で1〜5の数を示す。)
【0019】
この中でも特に、すばやい泡立ちと良好な泡の感触を両立する観点から、上記一般式(10)中のR10が平均炭素数12〜14のアルキル基、nが質量平均で約1であり、Mがアンモニウム又はナトリウムであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0020】
成分(A)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、またその含有量は、泡立ち、使用時の液性、洗浄性の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の1〜30質量%が好ましく、更には5〜25質量%、特に8〜20質量%が好ましい。
【0021】
次に、成分(B)について説明する。
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(B)は、分岐ポリグリセロール変性シリコーンであり、シリコーン主鎖に特定の分岐ポリグリセロール鎖が結合している。この分岐ポリグリセロール鎖は、結合様式の異なる下記構造式(1)〜(5)で表されるグリセロール骨格を有する基が互いに結合して形成される。即ち、a個の下記構造式(1)で表される分岐グリセロール基、b個の下記構造式(2)で表されるグリセロール基、c個の下記構造式(3)で表される直鎖グリセロール基、d個の下記構造式(4)で表される末端型グリセロール基及びe個の下記構造式(5)で表される分岐グリセロール基が任意の組み合わせで平均4個以上結合し、且つ前記構造式(1)又は(5)で表される基を少なくとも1つ以上含むものである。
なお、下記構造式(1)〜(5)に示す基を、以下、それぞれ基(1)〜(5)とも呼ぶ。
【0022】
【化4】

【0023】
分岐ポリグリセロール鎖中において、基(1)、(2)、(3)及び(5)は、任意の配列で相互に結合していてもよい。基(1)及び/又は基(5)の数が多いほど分岐構造が発達しており、各分岐鎖の末端に基(4)が存在する。
【0024】
分岐ポリグリセロール鎖中の、基(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)の平均結合数(a+b+c+d+e)は、NMR解析ないし前駆体シリコーンとの分子量比較により求められ、その数は好ましくは4以上であり、4〜201がより好ましく、4〜101であることがさらに好ましく、4〜51であることが特に好ましく、4〜21であることが最も好ましい。分岐ポリグリセロール鎖中の分岐の割合[(a+e)/(a+b+c+d+e)]は、すすぎ時の滑らかさの観点から、1/20以上が好ましく、1/10以上が更に好ましく、1/6以上が特に好ましい。また、[(a+e)/(a+b+c+d+e)]は、すすぎ時の滑らかさの観点から、1/2未満が好ましい。分岐ポリグリセロール鎖中において、基(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)は任意に結合していてもよい。
【0025】
基(1)の数(すなわち、a)は、分岐ポリグリセロール鎖中、0〜100個存在することが好ましく、1〜100個存在することがより好ましく、2〜100個存在することがさらに好ましく、2〜50個存在することが特に好ましく、2〜25個存在することがとりわけ好ましく、2〜10個存在することが最も好ましい。
【0026】
基(2)の数(すなわち、b)及び基(3)の数(すなわち、c)は、同一又は異なってもよく、0〜199個存在することが好ましく、0〜198個存在することがより好ましく、0〜196個存在することがさらに好ましく、0〜96個存在することが特に好ましく、0〜46個存在することがとりわけ好ましく、0〜16個存在することが最も好ましい。
【0027】
基(4)の数(すなわち、d)は、1〜101個存在することが好ましく、2〜101個存在することがより好ましく、3〜101個存在することがさらに好ましく、3〜51個存在することが特に好ましく、3〜26個存在することがとりわけ好ましく、3〜11個存在することが最も好ましい。
【0028】
基(5)の数(すなわち、e)は、aが0個のときは1個であり、aが1以上のときは、0又は1個が好ましい。
【0029】
また、(B)成分としては、aが1以上で、eが0である、シリコーンのケイ素原子に、連結基を介して、上記構造式(1)で表される分岐グリセロール基を1個以上含有する分岐ポリグリセロール鎖が少なくとも1つ結合した、分岐ポリグリセロール変性シリコーンが更に好ましい。なお、連結基については後述する。
【0030】
このとき、上記構造式(1)中、2つの酸素原子には、同一又は異なって、上記構造式(1)、(2)、(3)又は(4)で表されるグリセロール基が結合する。
【0031】
aが1以上で、eが0である場合、上記構造式(1)の2つの酸素原子には、同一又は異なって、上記構造式(1)、(2)、(3)又は(4)で表されるグリセロール基が結合し、構造式(2)の酸素原子には、上記構造式(1)、(2)、(3)又は(4)で表されるグリセロール基が結合し、構造式(3)の酸素原子には、上記構造式(1)、(2)、(3)又は(4)で表されるグリセロール基が結合する。
【0032】
本発明において、(B)成分の分岐ポリグリセロール変性シリコーンは、構造式(1)又は(5)で表される基を少なくとも1つ以上含む分岐ポリグリセロール鎖が、シリコーンのケイ素原子に下記一般式(6)で表される2価の基、下記一般式(7)で表される2価の基及び下記一般式(8)で表される3価の基からなる群から選ばれる一種以上の連結基を介して少なくとも1つ結合したものである。
【0033】
このうち、下記一般式(6)で表される基(以下、連結基(6)という。)は、エーテル基を有する2価の基であり、洗浄剤中の化学的安定性の観点で好ましい。なお、連結基(6)は、(R1p側がシリコーンのケイ素原子に結合し、(AO)q側が分岐ポリグリセロール鎖に結合する。
【0034】
−(R1p−O−(AO)q− (6)
(上記一般式(6)中、R1は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、アルケニレン基又は炭素数6〜28のアリーレン基、AOは炭素数1〜4のアルキレンオキシ基(オキシアルキレン基ともいう。)又は炭素数6〜10のアリーレンオキシ基(オキシアリーレン基ともいう。)、pは0又は1の数、qは0〜30の数を示し、q個のAOは同一であっても異なっていてもよい。)
【0035】
上記一般式(6)において、R1は、すすぎ時の滑らかさの観点から、好ましくは炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン又はアルケニレン基である。
また、R1中の置換基として、ヒドロキシ基、アミノ基(炭素数1〜22)、イミノ基(炭素数1〜22)、カルボキシル基、アルコキシ基(炭素数1〜22)、アシル基(炭素数1〜22)が挙げられる。
【0036】
また、上記一般式(6)において、AOは、すすぎ時の滑らかさの観点から、好ましくは炭素数1〜4のアルキレンオキシ基である。
【0037】
上記一般式(6)で表される連結基のうち、最も好ましい連結基は、下記一般式(12)で表されるものである。なお、一般式(12)の連結基では、トリメチレン側がシリコーンのケイ素原子に結合し、酸素原子側が分岐ポリグリセロール鎖に結合する。
−CH2CH2CH2−O− (12)
【0038】
また、成分(B)における他の連結基としては、すすぎ時の滑らかさの観点から、オキシフェニレン基を含有する連結基が好ましく、具体的には、下記一般式(7)で表される2価の基又は下記一般式(8)で表される3価の基が挙げられる。なお、連結基(7)では、(Ru側がシリコーン鎖のケイ素原子に結合し、(AO)v側が分岐ポリグリセロール鎖に結合する。また、連結基(8)では、(R3z側がシリコーン鎖のケイ素原子に結合し、(AO)x及び(AO)y側が分岐ポリグリセロール鎖に結合する。
【0039】
【化5】

【0040】
(上記一般式(7)中、R2は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基、uは0又は1の数、vは0〜30の数、AOは前記の意味を示し、v個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【0041】
【化6】

【0042】
(上記一般式(8)中、R3は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基、zは0又は1の数、xは0〜30の数、yは0〜30の数、AOは前記の意味を示し、x個及びy個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【0043】
連結基(7)及び連結基(8)において、(R2u及び(R3zは、シリコーン鎖のケイ素原子と、連結基が含有するオキシフェニレン基のフェニレン基とを結ぶ基である。R2及びR3は、好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜12のアルキレン基又はアルケニレン基であり、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン基等が挙げられる。これらの中では、エチレン、プロピレン又はトリメチレン基がさらに好ましく、エチレン又はトリメチレン基が特に好ましい。
【0044】
2及びR3中に存在していてもよい置換基として、ヒドロキシル基、アミノ基(炭素数1〜22)、イミノ基(炭素数1〜22)、カルボキシル基、アルコキシ基(炭素数1〜22)、アシル基(炭素数1〜22)等が挙げられる。u及びzは、0又は1であるが、1がより好ましい。
【0045】
連結基(7)及び連結基(8)において、AOは、分岐ポリグリセロール鎖と、連結基が含有するオキシフェニレン基の酸素原子とを結ぶオキシアルキレン基又はオキシアリーレン基であり、オキシアルキレン基又はオキシアリーレン基の酸素側で分岐ポリグリセロール鎖に結合し、オキシアルキレン基又はオキシアリーレン基のアルキレン又はアリーレン側でオキシフェニレン基の酸素原子に結合する。AOとして、オキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシフェニレン基が好ましく、これらの中ではオキシエチレン基が特に好ましい。
【0046】
v、x及びyはそれぞれ、0〜30の数であるが、0〜15が好ましく、0〜5が更に好ましく、0が最も好ましい。v、xならびにyが0以外の数である場合、v個のAO、x個のAO、y個のAOは、同一又は異なっていてもよく、異なる場合、それらAOの相互の結合様式は、交互型、ブロック型あるいはこれら以外の周期配列であってもよいし、又はランダム型であってもよい。
【0047】
連結基(7)において、オキシフェニレン基のフェニレン基に結合した、酸素原子と(R2u基(uが0の場合はシリコーン鎖上のケイ素原子)の結合様式は、互いにオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、またこれらの混合であってもよい。
【0048】
オキシフェニレン基含有連結基の中で、最も好ましいものは、下記一般式(13)で表される連結基(以下、連結基(13)という。)である。なお、連結基(13)では、トリメチレン側がシリコーン鎖のケイ素原子に結合し、酸素原子側が分岐ポリグリセロール鎖に結合する。
【0049】
【化7】

【0050】
連結基(13)において、オキシフェニレン基のフェニレン基に結合した、酸素原子とトリメチレン基の結合様式は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、またこれらの混合であってもよいが、オルト位、パラ位またはこれらの混合物であることがより好ましい。
【0051】
成分(B)の分岐ポリグリセロール変性シリコーンは、ケイ素原子を2つ以上有するポリシロキサンから誘導され、ポリシロキサンの骨格は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。中でも、乾燥後の滑らかさの観点から、一般式(14)で表される直鎖状シリコーン(以下、シリコーン(14)という。)が好ましい。
【0052】
【化8】

【0053】
(上記一般式(14)中、R21、R22、R23、t個のR24、t個のR25、R26、R27、R28は、同一または異なって、分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基を示すか、置換基を有していてもよく、フッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルコシキ基、あるいは炭素数6〜22のアリール基を示し、R21、R22、R23、t個のR24、t個のR25、R26、R27、R28のうち少なくとも1つは分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基である。tは0〜10000の数を示す。)
【0054】
シリコーン(14)において、R21、R22、R23、t個のR24、t個のR25、R26、R27、R28のうち分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基以外の基は、同一または異なって、置換基を有していてもよく、フッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルコキシ基、あるいは炭素数6〜22のアリール基である。炭素数1〜22のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、トリフルオロプロピル基などが挙げられる。炭素数1〜22のアルケニル基としては、ビニル基やアリル基が挙げられ、炭素数1〜22のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。また、炭素数6〜22のアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ラウリルフェニル、ミリスチルフェニル、セチルフェニル基等が挙げられる。これらの中では、乾燥後の滑らかさの観点から、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、ビニル基、アリル基、または炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基がさらに好ましく、メチル基、プロピル基またはフェニル基が特に好ましく、メチル基、フェニル基が最も好ましい。
【0055】
シリコーン(14)において、R21〜R28が有していてもよい置換基として、フェニル基、フェノール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基(炭素数0〜14)、イミノ基、(アミノエチル)アミノ基、(ジメチルアミノエチル)アミノ基、ポリオキシアルキレン基、メルカプト基、およびエポキシ基などが挙げられる。これらの置換基を有する場合、R21〜R28としてプロピル基が特に好ましい。
【0056】
シリコーン(14)において、R21、R22、R23、t個のR24、t個のR25、R26、R27、R28のうち少なくとも1つ、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜2個は、分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基である。この連結基は、シリコーン(14)の側鎖、片末端および/または両末端のいずれに位置していてもよいし、またその混合物でもよい。
【0057】
21〜R23からなる群から選ばれる1個と、R26〜R28からなる群から選ばれる1個が、分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基を示し、残余のR21〜R23およびR26〜R28、t個のR24,t個のR25は、メチル基であることが特に好ましい。即ち、両末端型の分岐ポリグリセロール変性シリコーンである。
【0058】
また、分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基が、t個のR24,およびt個のR25から選ばれる3個以上に存在する場合も、側鎖多置換型の分岐ポリグリセロール変性シリコーンとなり好ましい。
【0059】
シリコーン(14)中のtは、0〜10000の数を示し、好ましくは1〜3000の数を、さらに好ましくは5〜500の数を、特に好ましくは10〜150の数を示す。
【0060】
成分(B)の分岐ポリグリセロール変性シリコーンの数平均分子量は、好ましくは500〜700000、さらに好ましくは750〜200000、特に好ましくは1000〜100000である。この数平均分子量の測定は、GPC法(標準ポリスチレンまたはポリエチレングリコール換算)による。
【0061】
成分(B)の分岐ポリグリセロール変性シリコーンにおいては、シリコーン中のケイ素原子数(Si)と分岐ポリグリセロール鎖中の基(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の合計数G(以下、グリセロール基数という。)の比(G/Si)が、すすぎ時と乾燥後の滑らかさの両立の観点から0.001〜50が好ましく、0.05〜10がより好ましく、0.1〜3がさらに好ましく、0.15〜1が特に好ましい。
【0062】
成分(B)の分岐ポリグリセロール変性シリコーンにおいて、本発明の効果を著しく阻害しない限りにおいて、分岐ポリグリセロール鎖中に、少量のエチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基が存在していてもよい。エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基が分岐ポリグリセロール鎖中にランダムに存在していてもよいし、複数のエチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基が連鎖をなして分岐ポリグリセロール鎖中にブロック的に存在していてもよい。この際、複数のエチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基からなるブロックは、分岐ポリグリセロール鎖の連結基の近傍に存在してもよいし、末端に存在してもよいし、あるいは中程に存在していてもよい。エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基は0.001〜0.5モル当量存在することが好ましく、0.02〜0.2モル当量存在することがさらに好ましい。
【0063】
このような分岐ポリグリセロール変性シリコーンは、例えば反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロール化合物と、シリコーン鎖中のケイ素原子の一部に水素原子が結合した、いわゆるオルガノハイドロジェンシリコーンとを、白金系触媒存在下でヒドロシリル化反応させる方法により得ることができる。反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロール化合物は、反応性不飽和基と官能基(好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基)を有する化合物に、酸性触媒又は塩基性触媒存在下、グリシドール(2,3−エポキシ−1−プロパノール)を、添加速度をコントロールしながら、添加して反応させることにより得ることができる。添加速度を遅くすることで、分岐度の高い分岐ポリグリセロール化合物を製造することができる。
【0064】
また、反応性基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基及びエポキシ基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を有するシリコーンに、酸性触媒又はカリウム等の塩基性触媒の存在下、グリシドールを添加し、開環グラフト重合させる方法によっても成分(B)を製造することができる。
【0065】
成分(B)の分岐ポリグリセロール変性シリコーンは、本発明の水性毛髪洗浄剤中に2種類以上を同時に用いてもよい。また、水性毛髪洗浄剤の組成物中におけるその含有量は、組成物の配合安定性と、泡立ち、使用時の液性、すすぎ時の滑らかさ、乾燥後のまとまりの点から、0.01〜10質量%が好ましく、さらには0.05〜5質量%、特には0.1〜3質量%が好ましい。
【0066】
次に、成分(C)について説明する。
成分(C)のカチオン化ガラクトマンナンは、マンノースを構成単位とする主鎖としガラクトース単位を側鎖としたガラクトマンナンに、第4級窒素含有基を導入した水溶性カチオン化ポリマーである。ガラクトマンナンは、たとえばマメ科植物の種子の胚乳から得られる。ガラクトースとマンノースの比が1:1のものがフェヌグリークガム、1:2のものがグアーガム、1:3のものがタラガム、1:4のものがローカストビーンガムである。カチオン化ガラクトマンナンの市販品として、カチオン化フェヌグリークガムとしてはカチナールCF−100(東邦化学工業社)が、カチオン化グアーガムとしてはジャガーC−13S、ジャガーC−17(ローディア社)が、カチオン化タラガムとしてはカチナールCT−100(東邦化学工業社)が、カチオン化ローカストビーンガムとしてはカチナールCLB−100(東邦化学工業社)などがある。
【0067】
(C)成分は、すすぎの滑らかさの観点から、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガムのいずれか1種または2種以上の組み合わせであることが好ましい。
【0068】
これらの(C)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成分(C)のカチオン化ガラクトマンナンは、泡立ち、使用時の液性、すすぎ時の滑らかさの点、乾燥時の滑らかさの観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜3質量%が好ましく、更には0.05〜1質量%、特に0.1〜0.6質量%が好ましい。
【0069】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、上記成分(A)〜(C)を含むため、豊かな泡立ちを有し、泡立て時やすすぎ時の滑らかな指通りと、仕上がりのなめらかさに優れたものである。また、保存時の黄変を抑制し、保存安定性に優れたものである。この理由は必ずしも明らかではないが、成分(A)〜(C)を含むことにより、(B)成分が毛髪表面に効率よく残留するためと推察される。
【0070】
また、毛髪へのシリコーンの残留性、すすぎ時の滑らかさ、乾燥後の滑らかさの観点から、水性毛髪洗浄剤中の成分(B)/成分(C)の質量比は、1/10〜10/1が好ましく、更には1/7〜7/1が好ましく、特に1/5〜5/1が好ましい。
【0071】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、更に洗浄性能を向上させるため、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤を含有させてもよい。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、モノアルキル又はモノアルケニルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0072】
これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(C8〜C20)脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、アルキルグリコシドが好ましい。
【0073】
また、脂肪酸アルカノールアミドも好適であって、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0074】
モノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテルも好適であって、アルキル基又はアルケニル基としては、炭素数4〜10、特に炭素数8〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。具体的には、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられ、特に2−エチルヘキシル基、イソデシル基が好ましい。
【0075】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0076】
これら非イオン性又は両性界面活性剤は、水性毛髪洗浄剤中に1種または2種以上を併用することもできるが、本発明の水性毛髪洗浄剤を水性液状洗浄剤の形態とする場合には、成分(A)とともに、脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルカノールアミド、モノアルキルグリセリルエーテルを用いるのが、起泡力がより良好となるだけでなく、適度な液性が得られるので特に好ましい。
【0077】
非イオン性又は両性界面活性剤の含有量は、本発明の毛髪洗浄剤中0.1〜15質量%が良好な増泡効果が得られ好ましい。以上の点から、更には0.5〜8質量%、特に1〜6質量%の範囲が好ましい。
【0078】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、乾燥後の仕上がり向上のため、更に、カチオン界面活性剤、成分(B)以外のシリコーン類及び成分(C)以外のカチオン化ポリマーを更に配合することができる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン塩、アルコキシアルキルジメチルアミン塩、アルキルアミドアルキルジメチルアミン塩等が挙げられる。
【0079】
(i) アルキルトリメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
11−N+(CH33-
(上記式中、R11は平均炭素数12〜22のアルキル基を示し、X-はハロゲン(塩素又は臭素)イオンを示す。)
具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0080】
(ii) アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
12−O−R13−N(CH33-
(上記式中、R12は平均炭素数12〜22のアルキル基を示し、R13はエチレン基もしくはプロピレン基を示し、X-は上記と同じである。)
具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0081】
(iii) ジアルキルジメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
142−N+(CH32-
(上記式中、R14は平均炭素数12〜22のアルキル基又はベンジル基を示し、X-は上記と同じである。)
具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0082】
(iv) アルキルジメチルアミン塩
例えば下記一般式で表される3級アミンの塩が挙げられる。
15−N(CH32
(上記式中、R15は平均炭素数12〜22のアルキル基を示す。)
具体的には、ベヘニルジメチルアミンやステアリルジメチルアミンの有機酸塩が挙げられる。
【0083】
(v) アルコキシアルキルジメチルアミンの塩
例えば下記一般式で表される3級アミンの塩が挙げられる。
16−O−R17−N(CH32
(上記式中、R16は平均炭素数12〜22のアルキル基を示し、R17はエチレン基もしくはプロピレン基を示す。)
【0084】
(vi) アルキルアミドアルキルジメチルアミンの塩
例えば下記一般式で表される3級アミンの塩が挙げられる。
18−CONH−R19−N(CH32
(上記式中、R18は平均炭素数11〜21のアルキル基を示し、R19はエチレン基もしくはプロピレン基を示す。)
【0085】
上記(i)〜(vi)以外のカチオン界面活性剤として、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルトリエチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C14〜C20)アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18〜C22)アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム及びアルキルトリメチルアンモニウムサッカリンなどが挙げられる。
【0086】
カチオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜6質量%、特に0.3〜3質量%、とりわけ0.5〜2質量%が好ましい。
【0087】
成分(B)以外のシリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
(1)ジメチルポリシロキサン
例えば、下記一般式で表されるものが挙げられる。
(CH33SiO−[(CH32SiO]d−Si(CH33
(上記式中、dは3〜20000の数を示す。)
【0088】
(2)アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3000〜100000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国、Cosmetic Ingredient Dictionary)第9版、2002年、volume1、p107中に記載されているものが好ましい。市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング社)、DC 929(ダウ・コーニング社)、KT 1989(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)、8500 Conditioning Agent、DOW CORNING TORAY SS−3588、DOW CORNING TORAY SILSTYLE 104(東レ・ダウコーニング社)等が挙げられる。
【0089】
(3)その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0090】
これらシリコーン類は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。
【0091】
成分(C)以外のカチオン化ポリマーとしては、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化キサンタンガム、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社,カルタレチン)、特開昭53−139734号公報、特開昭60−36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられ、特にカチオン化セルロース、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体が好ましい。
【0092】
また、例えば、マーコート550(NALCO社,アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−7)、ルビクァットFC370(BASF社,1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−16)、ガフクァット755N(ISP社,1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−11)、UcareポリマーJR及び同LRシリーズ(アマーコール社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム−10)、ポイズC−60H、ポイズC−80M、ポイズC−150L(花王社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム−10)等の市販品を用いることができる。
【0093】
これらのカチオン化ポリマーは、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜3質量%が好ましく、更には0.05〜2質量%、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。
【0094】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、更にエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノアルキルエーテル又はエチレングリコールジアルキルエーテルを含むパール化剤を含有していてもよい。
エチレングリコールモノ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノベヘニン酸エステルなど、エチレングリコールジ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールジステアリン酸エステル、エチレングリコールジベヘニン酸エステルなどが挙げられる。エチレングリコールモノアルキルエーテルとしてはエチレングリコールモノステアリルエーテルなど、エチレングリコールジアルキルエーテルとしてはエチレングリコールジステアリルエーテルなどが挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよく、またその含有量は、毛髪洗浄剤の保存安定性の向上及び泡立て時、すすぎ時の滑らかさ向上、また毛髪洗浄剤の安定性向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜10質量%が好ましく、更には0.5〜5質量%、特に1〜4質量%が好ましい。
【0095】
また、本発明の毛髪洗浄剤には、他のコンディショニング剤として、油剤を含有することができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;
ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油、ヒマワリ油、椿油等の油脂類;
ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;
セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール;
パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2−エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル油;
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸;
その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、高級アルコール及び油脂類が好ましく、特にミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、椿油が好ましい。これらの油剤は、1種単独で又は2種以上を併用することもでき、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜2質量%が好ましく、更には0.2〜1.5質量%、特に0.3〜1.0質量%が好ましい。
【0096】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、粘度調整剤を含有させてもよく、粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、粘土鉱物、塩類(塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、クエン酸ナトリウム等)などが挙げられ、中でもベンジルアルコール、エタノール、ポリプロピレングリコール、塩化ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムが好ましい。粘度調整剤は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡量、泡質の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.05〜4質量%、特に0.1〜3質量%が好ましい。
【0097】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、上記成分のほか、通常の毛髪洗浄剤に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;グリセリン、ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;酸化チタン等のパール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ(ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (Hunting, Anthony L.L.著、1983年発行、MICELLE PRESS))に記載されている成分等が挙げられる。
【0098】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、毛髪のツヤやまとまりを向上するとの観点より、毛髪に適用する際のpH(水で20質量倍希釈,25℃)が2〜6であるのが好ましく、更にはpH3〜5、特にpH3.5〜4.5であるのが好ましい。pH調整剤としては、有機酸、特にα−ヒドロキシ酸を用いることが好ましく、具体的にはリンゴ酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸が好ましい。これら有機酸は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡質、洗髪時の毛髪柔軟性の向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.1〜3質量%、特に0.3〜2質量%が好ましい。また、他のpH調整剤として、これら有機酸と合わせ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム等の塩基を用いてもよい。
【0099】
本発明の水性毛髪洗浄剤の形態は、液状、ゲル状等適宜選択できるが、溶剤として水又は低級アルコール、特に水を用いた液状のものが好ましい。
【実施例】
【0100】
(実施例1〜7及び比較例1〜5)
表1に示す毛髪洗浄剤を調製し、以下の評価方法により評価した。その結果を表1に示す。なお、pHは各組成物を水で20質量倍希釈し、25℃で測定した値である。
【0101】
評価方法
(1)泡立ちの速さ
特開平10−73584号公報に記載の装置を用い、同公報実施例に記載の方法により評価した。
すなわち、図1は、洗浄剤を適用する対象物(毛髪1)を収容する容器10、毛髪1に接触する突起物21、22、容器10内で起泡した泡を計量する計量器50、容器10に被さり、容器10内で起泡した泡を計量器50へ導出する蓋20、容器10に収容された毛髪1と突起物21、22とが摺動するように、容器10を動かすモーター30が備えられた泡立ち性能評価装置である。毛髪1を等量の水で濡らし、評価サンプル1.5mLと、ラノリンからなるモデル皮脂0.3mLとを注入孔25から注入して起泡量を測定し、泡量が250mLになるまでの時間により評価した。
【0102】
なお、図1の装置において、毛髪1としては、長さ90mmの毛髪30gを直径略160mmの円板11に植毛したものを使用した。容器10は、直径160mm、高さ220mmの円筒状のものを使用し、蓋20には、第1の突起物21として直径15mm、高さ12mmの円柱状の突起物を3個備え、第2の突起物22として縦10mm、横2mm、高さ12mmの突起物を9個備えたものを使用した。また、モーターによる容器10の回転数は毎分70回転に設定した。
【0103】
評価基準は以下の通りである。
◎:100秒未満
○:100秒以上200秒未満
△:200秒以上300秒未満
×:300秒以上
【0104】
(2)泡立て時のすべり感
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪洗浄剤を用いて手で約30秒間十分に泡立てた。その際、すべり感を官能評価した。評価は5人で行い、その評価の合計値を示した。評価基準は以下の通りである。
4:よく滑る
3:やや滑る
2:あまり滑らない
1:滑らない
【0105】
(3)すすぎ時のすべり感
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪洗浄剤を用いて手で約30秒間十分に泡立てた。その後、泡の付いた毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯ぎながら、すべり感を官能評価した。評価は5人で行い、その評価の合計値を示した。評価基準は以下の通りである。
4:よく滑る
3:やや滑る
2:あまり滑らない
1:滑らない
【0106】
(4)乾燥後のなめらかさ
泡立て時のすべり評価と同様に処理した毛束を40℃の流水(2L/min)で濯いだ後、タオルで水気を十分に拭き取り自然乾燥した。乾燥後、滑らかさを評価した。評価は5人で行い、その評価の合計値を示した。評価基準は以下の通りである。
4:良い
3:やや良い
2:あまり良くない
1:良くない
【0107】
(5)毛髪洗浄剤の50℃1ヶ月保存後の黄変性
毛髪洗浄剤を、110mLのガラス瓶に充填した後、50℃で1ヶ月保存した後、外観色の黄変性を目視で判断した。なお、黄変性を判定する際には、5℃で1ヶ月保存したサンプルを基準とした。
○:黄変なし
△:わずかに黄変した
×:明らかに黄変した
【0108】
また、各例においては、以下の合成例に示す分岐ポリグリセロール変性シリコーンを用いた。
【0109】
(分岐ポリグリセロール変性シリコーンの合成例)
(合成例1) 分岐ポリグリセロール変性シリコーンA(連結基:−CHCHCH−C−O−)の合成例
フェノール変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、商品名:BY16−752、水酸基当量:1500)150gをフラスコに取り、カリウムメトキシド(30%メタノール溶液)5.61gを加え、撹拌しながら減圧下で60℃まで加温し、メタノールをすべて留去し、黄色油状物としてカリウム化フェノール変性シリコーンを得た。95℃まで昇温し、激しく撹拌しながらアルゴン気流下にグリシドール39.9g(5.4当量)を、定量送液ポンプを用いて3.5時間かけて添加した。20分間さらに加熱撹拌後、室温まで冷却すると、淡黄白色固体状生成物が得られた。得られた分岐ポリグリセロール変性シリコーンにエタノール500mLを加え、カチオン交換樹脂によりカリウムを除去、濃縮し、微黄色油状物として分岐ポリグリセロール変性シリコーンを得た。(収率98%)
【0110】
得られた分岐ポリグリセロール変性シリコーンAは、13C−NMRスペクトルの解析により、基(1)のメチン炭素由来のシグナル(78.0〜81.0ppm)の存在から、基(1)を有する分岐ポリグリセロール変性シリコーンであることを確認した。またH−NMRスペクトルの解析により、平均グリセロール基数(G)=10.9(片側5.5)、平均ケイ素原子数(Si)=31.9、G/Si比は0.34であり、GPC解析(カラム:KF−804L(×2)、脂肪族アミン/クロロホルム溶液、40℃、ポリスチレン換算)に依れば、数平均分子量(Mn)は、4100であった。
【0111】
(合成例2)分岐ポリグリセロール変性シリコーンB(連結基:−CHCHCH−O−)の合成例
特開平4−20531号公報に記載の方法に準じて、下記構造式で示されるアリル化ジイソプロピリデントリグリセリンを得た。
【0112】
【化9】

【0113】
市販のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(チッソ社製、商品名:IC−8461−1F20−BL)30.0g、前記のアリル化ジイソプロピリデントリグリセリン14.4g、イソプロピルアルコール150g、塩化白金酸(2%イソプロピルアルコール溶液)0.4g、酢酸カリウム(10%エタノール溶液)0.4gをフラスコに入れ、溶媒還流温度にて5時間反応させ、さらに1−ヘキセン20.5gを加えて2時間反応させた。0.01M塩酸100gを加え、イソプロピルアルコール還流温度にて5時間反応させた。そのまま減圧にして溶媒などを留去し、トリグリセリン変性シリコーンを得た。
【0114】
この得られたトリグリセリン変性シリコーン40.0gをフラスコに取り、カリウムメトキシド(30%メタノール溶液)1.4gを加え、撹拌しながら減圧下で60℃まで加温し、メタノールをすべて留去し、黄色油状物としてカリウム化トリグリセリン変性シリコーンを得た。95℃まで昇温し、激しく撹拌しながらアルゴン気流下にグリシドール5.0gを、定量送液ポンプを用いて3.5時間かけて添加した。20分間さらに加熱撹拌後、室温まで冷却すると、淡黄白色固体状生成物が得られた。得られた分岐ポリグリセロール変性シリコーンにエタノール150mLを加え、カチオン交換樹脂によりカリウムを除去、濃縮し、微黄色油状物として分岐ポリグリセロール変性シリコーンを得た。IR、NMR測定より、得られた化合物は基(1)〜(5)を含む分岐ポリグリセロール変性シリコーンであることを確認した。平均グリセロール基数(G)=16(片側8)、平均ケイ素原子数(Si)=90.5、G/Si比は0.18であり、数平均分子量(Mn)は、8000であった。
【0115】
【表1】

【0116】
*1 ラウリルエーテル(1)硫酸アンモニウム:エチレンオキシド質量平均付加モル数1
*2 アミノ変性シリコーン:「シリコーンKT1989」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社
*3 アミノグリコール変性シリコーン:「JP−8500 Conditioning Agent」、東レ・ダウコーニング社
*4 カチオン化フェヌグリークガム:「カチナール CF−100」(東邦化学工業社)
*5 カチオン化グアーガム:「ジャガー C−17」、(ローディア社)
*6 カチオン化タラガム:「カチナール CTR−100」(東邦化学工業社)
*7 カチオン化ローカストビーンガム:「カチナール CLB−100」(東邦化学工業社)
*8 カチオン化ヒドロキシエチルセルロース:「ポイズ C−80M」(花王社)
*9 ジメチルポリシロキサンエマルション:シリコーンCF2460、東レ・ダウコーニング社、平均粒径20μm、有効分75質量%
【0117】
表1より、成分(A)のみを含む比較例4、5に対する成分(B)または(C)単独での効果(比較例1〜3)に対し、実施例1〜7では、成分(A)〜(C)を含むため、これらの相乗効果により、比較例のものに比べて泡立ちが速く、泡立て時からすすぎ時、乾燥後にわたって滑り感が向上した。さらに、保存による黄変を抑制し、保存安定性を向上することができた。
【0118】
(処方例)
(実施例8) コンディショニングシャンプー
(質量%)
オキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム 13.0
(エチレンオキシド平均付加モル数1)
分岐ポリグリセロール変性シリコーンA 0.1
ジメチルポリシロキサンエマルション 2.0
(「シリコーンCF2450」、有効分60質量%、東レ・ダウコーニング社)
イソデシルグリセリルエーテル 0.4
アミノ変性シリコーン 0.1
(「8500 Conditioning Agent」、東レ・ダウコーニング社)
カチオン化タラガム 0.3
(「カチナール CTR−100」、東邦化学工業社)
カチオン化ヒドロキシエチルセルロース 0.3
(「ポイズ C−80M」、花王社)
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体 1.2
(「マーコート550」、オンデオ ナルコ社、有効分8.5質量%)
エチレングリコールジステアリン酸エステル 2.0
ラウロイルアミドプロピルベタイン 1.0
ラウリルヒドロキシスルホベタイン 0.1
ミリスチルアルコール 0.6
セチルアルコール 0.1
ココイルモノエタノールアミド 1.8
ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル 0.7
ポリプロピレングリコール(質量平均分子量400) 0.5
ベンジルアルコール 0.3
エタノール 3.0
ツバキ油 0.01
パンテノール 0.05
ローヤルゼリー 0.01
精製蜂蜜 0.01
シルクエキス 0.05
加水分解コンキオリンプロテイン 0.01
ローズヒップ抽出液 0.01
塩化ナトリウム 0.2
香料 適量
リンゴ酸 0.5
pH調整剤(乳酸) pH3.9になる量
イオン交換水 バランス
【0119】
(実施例9) コンディショニングシャンプー
(質量%)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 13.0
(エチレンオキシド平均付加モル数2)
分岐ポリグリセロール変性シリコーンB 2.0
ジメチルポリシロキサンエマルション 1.5
(「シリコーンCF2450」、有効分60質量%、東レ・ダウコーニング社)
イソデシルグリセリルエーテル 0.7
アミノ変性シリコーン 0.1
(「SS−3588」、東レ・ダウコーニング社)
カチオン化タラガム 0.2
(「カチナール CTR−100」、東邦化学工業社)
ジアリル四級アンモニウム塩ホモポリマー 0.8
(「マーコート100」、オンデオ ナルコ社、有効分40質量%)
エチレングリコールジステアリン酸エステル 3.0
ラウロイルアミドプロピルベタイン 2.0
ココアンホ酢酸ナトリウム 1.0
ココイルモノエタノールアミド 0.5
ミリスチルアルコール 0.5
セチルアルコール 0.5
ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル 1.0
ベンジルアルコール 1.0
ポリプロピレングリコール(質量平均分子量400) 0.2
塩化ナトリウム 1.0
ラノリン脂肪酸 0.10
ステアロキシプロピルジメシルアミン 0.10
加水分解コンキオリン液(乾燥分3質量%) 0.05
オタネニンジンエキス(乾燥分3質量%) 0.05
ダイズエキス(乾燥分0.4質量%) 0.05
ユーカリエキス(乾燥分0.2質量%) 0.05
米胚芽油 0.05
グリコール酸 1.0
香料 適量
pH調整剤(水酸化ナトリウム) pH3.9になる量
イオン交換水 バランス
【0120】
(実施例10) コンディショニングシャンプー
(質量%)
ラウリル硫酸アンモニウム 6.0
ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム 10.0
(エチレンオキシド平均付加モル数1)
分岐ポリグリセロール変性シリコーンA 0.8
ジメチルポリシロキサンエマルション 0.9
(「シリコーンCF2450」、有効分60質量%、東レ・ダウコーニング社)
アミノ変性シリコーン 0.5
(「JP-8500 Conditioning Agent」、東レ・ダウコーニング社)
カチオン化グアーガム 0.3
(「ジャガー C−13」、ローディア社)
エチレングリコールジステアリン酸エステル 3.0
ココイルモノエタノールアミド 0.8
ステアリルアルコール 0.9
グリセリン 1.0
塩化ナトリウム 0.2
メタキシレンスルホン酸 0.2
ベンジルオキシエタノール 0.5
リンゴ酸 0.7
香料 適量
乳酸 0.1
pH調整剤(クエン酸) pH5.5になる量
イオン交換水 バランス
【0121】
実施例8〜10の毛髪洗浄剤は、すばやい泡立ちと良好なすすぎ時のすべりを有し、乾燥後の滑らかさを有し、かつ保存安定性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】泡立ちの速さに関する評価に使用する装置の概略構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C):
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)下記構造式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表されるグリセロール基が同一又は異なって平均4個以上結合し、且つ前記構造式(1)又は(5)で表される基を少なくとも1つ以上含む分岐ポリグリセロール鎖が、シリコーンのケイ素原子に下記一般式(6)で表される2価の基、下記一般式(7)で表される2価の基及び下記一般式(8)で表される3価の基からなる群から選ばれる一種以上の連結基を介して少なくとも1つ結合した、分岐ポリグリセロール変性シリコーン、
(C)カチオン化ガラクトマンナン、
及び水を含有する水性毛髪洗浄剤。
【化1】

−(R1p−O−(AO)q− (6)
(上記一般式(6)中、R1は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、アルケニレン基又は炭素数6〜28のアリーレン基、AOは炭素数1〜4のアルキレンオキシ基又は炭素数6〜10のアリーレンオキシ基、pは0又は1の数、qは0〜30の数を示し、q個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【化2】

(上記一般式(7)中、R2は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基、uは0又は1の数、vは0〜30の数、AOは前記の意味を示し、v個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【化3】

(上記一般式(8)中、R3は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基、zは0又は1の数、xは0〜30の数、yは0〜30の数、AOは前記の意味を示し、x個及びy個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
成分(B)/成分(C)の質量比が、1/10〜10/1である、請求項1に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項3】
前記成分(C)のカチオン化ガラクトマンナンが、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガムのいずれか1種または2種以上の組み合わせである、請求項1または2に記載の水性毛髪洗浄剤。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−70509(P2010−70509A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241205(P2008−241205)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】