説明

水性顔料調製物

本発明は、(A)少なくとも1つの有機および/または無機顔料、(B)末端酸基で官能化された少なくとも1つのポリエチレングリコールアルキルエーテル、(C)少なくとも1つのアルコキシル化スチロールフェノール縮合体、(D)200〜1000g/molの平均モル質量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールエーテル、(E)少なくとも1つのアルキンジオール、(F)植物および/もしくは動物由来の脂肪および油ならびに/または該脂肪および油の飽和および不飽和高級脂肪酸ならびに/または該飽和および不飽和高級脂肪酸の塩、(G)必要に応じ、アクリル酸樹脂水溶液、(H)必要に応じ、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドの重縮合生成物および/または芳香族スルホン酸の塩とホルムアルデヒドの重縮合生成物、(I)必要に応じ、ひまし油アルコキシラートのスルホこはく酸モノエステル、(J)必要に応じ、ヒドロトロピー物質、(K)必要に応じ、水性顔料配合物用の他の標準的添加剤、および(L)水を含む水性顔料配合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性顔料配合物、それらを製造する方法、あらゆる種類の高分子材料、例えば、天然および合成繊維材料、好ましくはセルロース繊維を着色するため、特に紙パルプの着色のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機有彩色顔料を紙パルプの着色に使用することは、約40年間にわたって確立された技術である。紙パルプの着色に使用するためには、疎水性顔料を界面活性剤および種々の添加剤で水に分散させる。そのような水性分散系は、紙を形成させるパルプ中に容易に混入させることができる(水、セルロースおよび二酸化チタンの混合物)。しかし、直接染料と異なり、有機および無機顔料はセルロース繊維に対して親和性を有さない。さらなる補助薬品を使用しない場合、分散した顔料は、製紙機械布上に形成される繊維状紙匹から洗い落とされ、製紙機械のサーキットループに蓄積されるであろう。したがって、顔料は凝集させなければならない。負に荷電した顔料の凝集および理想的には完全な保持を達成するために、陽イオンエピクロロヒドリン樹脂が主として歩留向上剤または湿潤強度向上剤として用いられている。陽イオンエピクロロヒドリン樹脂は、顔料と結合して、架橋およびパッチングのため外部正電荷を有するフロックとして知られている凝集体を形成する。歩留向上剤は、分散した有彩色顔料だけでなく、二酸化チタンおよび微細な繊維断片も凝集させる。フロックは、イオン相互作用および水素結合によってセルロース繊維に結合し、結果として保持される。
【0003】
疎水性顔料を分散させるために用いる分散剤および添加剤は、凝集の過程に決定的な影響を有する。フロックは、用いる陰イオンおよび中性界面活性剤の同一性、結果として生ずる顔料の電荷、また凝集のために用いる陽イオンポリマーの同一性によって、多少せん断感受性である。近年、製紙機械の速度が著しく高くなった。用いられる平均機械速度は200〜250m/分であるが、装飾紙機械は現在600〜800m/分で運転されている。その結果、ポンプ中の顔料フロックおよび機械のウエットエンドに対するせん断応力が同様に増加した。一旦フロックが破壊されたならば、外部正電荷の中和後に繊維状紙匹にほとんど保持することができない。結果は、色の強さの低下と用いたサーキットループ水の変色の増加である。時間と資源を消費する色の修正が必要となる。結果として発生する不安定な機械の状態は、大量な損紙と時間の浪費につながる。
【0004】
製紙機械の高い運転速度に起因するパルプの高いせん断速度は、顔料の最適な保持のための凝集またはせん断安定性の必要性を生じさせる。紙パルプの着色用の従来技術の水性顔料配合物は、しばしば紙業界の要件を満たしていない。しばしば、そのような顔料配合物は、陰イオンおよび/または非イオン性界面活性剤を分散剤として含む。一般的に、これらの界面活性剤は、アルキルアリール化合物ならびにそれらのアルコキシル化およびスルホン化生成物である。せん断に対する抵抗性が不十分であることがこれらの市販の顔料配合物に関する最も大きい問題である。多くの既存の顔料配合物は、せん断に著しく曝露される最先端技術の装飾紙機械において5〜15%の色強度の損失を受ける。同時に、発泡は、実質的なものであり、第二の最も大きい問題とみなさなければならない。泡は、ポンプによる循環および水−セルロース混合物の流動性にかなり障害を生じさせる。さらに、破裂した泡が紙上にクレーターおよびリング状の色むらを生じさせる。
【0005】
紙パルプの着色用の既存の水性顔料配合物に関する問題として、貯蔵中の不十分な安定性がさらに含まれる。ある期間の貯蔵の後に、沈降がしばしば起こり、あるいは粘度の高い増加が固化につながる。一部の配合物は顕著な構造粘性を示し、チクソトロピー性であり、そのため、せん断応力下で再液化させることができる。他の配合物は、対照的に、強力に混合した後でさえも固体のままである。貯蔵中に分散粒子の一部における安定性の欠如のために結果として起こる凝集がその数の減少と結果としての紙パルプの着色におけるより低い色強度につながる、多くの顔料分散剤が存在する。さらに、市販の顔料配合物はしばしば、不十分なドライアウト抵抗性を有する。開封された容器中の分散剤は、非常に速やかに乾燥して蓋および壁上に硬皮および塊を形成する。欠点は、使用前に配合物の初期または完全な乾燥を防止することを目的とした例えばグリコールのような保水剤を含んでいるにもかかわらず、顔料配合物が不均一かつ非常に速やかに乾燥することである。硬皮および塊は、水性分散剤中にはげ落ち、後の使用時に紙上に縞または小斑点を生じさせる。
【0006】
EP−B−0065751紙パルプ着色配合物は、ノニルフェノールのような第二の成分を含む可能性があるため、近年は望ましくないノボラックを含む。さらに、これらの顔料配合物は、せん断に対する安定性が不十分である。紙パルプ着色顔料配合物は、さらに次の特許に示されている。すなわち、WO−A−02095130、EP−B−1165696、DE−A−19731572。しかし、これらの顔料配合物は、上述のすべての品質要件を満たしていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、従来技術より明確に優位である以下の一連の要件を満たす水性顔料配合物を提供することを目的とする。すなわち、顔料配合物は、分散顔料を陽イオンポリマーと混合したとき、小さい緻密な、したがって、せん断に対して安定性なフロックが形成されるように、高いせん断またはフロック安定性を有するべきである。さらに、顔料配合物は、高い流量およびせん断曝露下で適用するとき、あるとしても非常にわずかな発泡をもたらすこと。さらに、使用時に非常に良好な保持および浸透が保証されること。さらに、配合物中の顔料の濃度は、非常に高く、一般的に30%以上であること。顔料配合物は、高い色強度、色相および清浄度に関して詳細に定義された彩色、高い耐光堅ろう度、高いにじみ抵抗性および低い粘度を有すること。少なくとも2年の貯蔵安定性が望ましい。すなわち、分散した顔料は、この時間内に凝集し、沈降してはならない。さらに、これらの顔料配合物は、使用時の乾燥および使用前の乾燥に対して抵抗性であること。長期にわたる乾燥は可能であるが、膜形成を伴い均一に進行すること。さらなる重要な基準は、濃度が過度に高い有機および無機塩、また、イオンは顔料の凝集および繊維上の保持に対して阻害作用を有するので、顔料分散系は高い純度を有することである。最後に、顔料配合物中の分散剤および添加剤は、製紙におけるサーキットループ水の汚染を最小限にするために、理想的には容易に生分解性であり、低いCODおよびBOD値を有するべきである。環境生物毒性学的に完全な顔料分散剤は、低い割合の有機溶剤を含み、または全く含まず、実質的に水性である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
我々は、紙パルプの着色、貯蔵および高い程度の良好な環境適合性に関する上述の品質要件を満たす水性顔料配合物を製造するための下文に示す顔料、界面活性剤、添加剤および追加材料の組合せによって、この目的が驚くべきことに達成されることを見いだした。下文における水性顔料分散系は、せん断に対して安定であり、乾燥に対して抵抗性を示し、貯蔵中に安定であり、使用中にほとんど発泡せず、優れたレオロジーを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
したがって、本発明は、
(A)少なくとも1つの有機および/または無機顔料、
(B)末端酸基で官能化された少なくとも1つのポリエチレングリコールアルキルエーテル、
(C)少なくとも1つのアルコキシル化スチレン−フェノール縮合体、
(D)200〜1000g/molの平均モル質量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールエーテル、
(E)少なくとも1つのアルキンジオール、
(F)植物および/もしくは動物由来の脂肪および油ならびに/またはそのような脂肪および油の飽和および不飽和高級脂肪酸ならびに/またはそのような飽和および不飽和高級脂肪酸の塩、
(G)必要に応じ、アクリル酸樹脂水溶液、
(H)必要に応じ、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドの重縮合生成物および/または芳香族スルホン酸の塩とホルムアルデヒドの重縮合生成物、
(I)必要に応じ、ひまし油アルコキシラートのスルホこはく酸モノエステル、
(J)必要に応じ、ヒドロトロピー物質、
(K)必要に応じ、水性顔料配合物に通常使用されるさらなる添加物、および
(L)水
を含む水性顔料配合物を提供する。
【0010】
好ましい顔料配合物は、すべて顔料配合物の総重量に基づいて、
(A)少なくとも1つの有機および/または無機顔料5重量%〜80重量%、好ましくは20重量%〜70重量%、特に30重量%〜50重量%、
(B)末端酸基で官能化された少なくとも1つのポリエチレングリコールアルキルエーテル0.1重量%〜30重量%、好ましくは、1重量%〜15重量%、
(C)少なくとも1つのアルコキシル化スチレン−フェノール縮合体0.1重量%〜30重量%、好ましくは、1重量%〜15重量%、
(D)200〜1000g/molの平均モル質量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールエーテル0.5重量%〜50重量%、好ましくは、1重量%〜20重量%、
(E)少なくとも1つのアルキンジオール0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%、
(F)植物および/もしくは動物由来の脂肪および油ならびに/またはそのような脂肪および油の飽和および不飽和高級脂肪酸ならびに/またはそのような飽和および不飽和高級脂肪酸の塩0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、
(G)アクリル酸樹脂水溶液0重量%〜30重量%、好ましくは0重量%〜25重量%、
(H)芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドの重縮合生成物および/または芳香族スルホン酸の塩とホルムアルデヒドの重縮合生成物0重量%〜10重量%、好ましくは0重量%〜5重量%、
(I)ひまし油エトキシラートのスルホこはく酸モノエステル0重量%〜10重量%、好ましくは0重量%〜8重量%、
(J)ヒドロトロピー物質0重量%〜30重量%、好ましくは0重量%〜20重量%、
(K)水性顔料配合物に通常使用されるさらなる添加物0重量%〜10重量%、好ましくは0重量%〜5重量%、および
(L)水5重量%〜90重量%、好ましくは、10重量%〜70重量%
から本質的になる。
【0011】
成分G、H、I、JおよびKの1つまたは複数のものが存在するとき、それらの最小濃度は、顔料配合物の総重量に基づき、独立に有利には少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%である。
【0012】
本発明の顔料配合物の成分(A)は、微細な有機または無機顔料あるいは種々の有機および/または無機顔料の混合物である。顔料は、乾燥粉末の形態だけでなく、水で湿した圧粉体としても用いることができる。
【0013】
有用な有機顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、レーキアゾ、βナフトール、ナフトールAS、ベンゾイミダゾロン、縮合ジスアゾ、アゾ金属錯体顔料および例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンタントロン、アントラキノン、フラバントロン、インダントロン、イソビオラントロン、ピラントロン、ジオキサジン、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリンおよびジケトピロロピロール顔料などの多環式顔料またはカーボンブラックなどがある。
【0014】
言及した有機顔料のうち、耐光堅ろう度が青色標準に対して5より高い、特に6より高いと評価されるものが特に適切である。さらに、配合物を製造するために用いる顔料は、好ましくは95%、より好ましくは99%の顔料粒子が500nm以下のサイズである非常に微細な細分状態であるべきである。用いる顔料によって、顔料粒子の形態は非常に実質的に異なり、したがって、顔料配合物の粘性挙動も粒子の形状によって非常に異なる可能性がある。配合物の理想的ニュートン粘性挙動を得るためには、粒子が好ましくは球状から立方体(平らな角を有する)の形状を有するべきである。
【0015】
特に好ましい有機顔料の典型的な選択例は、カーボンブラック顔料、例えば、ランプまたはファーネスブラック、モノアゾおよびジアゾ顔料、特に色指数顔料Pigment Yellow 1、Pigment Yellow 3、Pigment Yellow 12、Pigment Yellow 13、Pigment Yellow 14、Pigment Yellow 16、Pigment Yellow 17、Pigment Yellow 73、Pigment Yellow 74、Pigment Yellow 81、Pigment Yellow 83、Pigment Yellow 87、Pigment Yellow 97、Pigment Yellow 111、Pigment Yellow 126、Pigment Yellow 127、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 174、Pigment Yellow 176、Pigment Yellow 191、Pigment Yellow 213、Pigment Yellow 214、Pigment Red 38、Pigment Red 144、Pigment Red 214、Pigment Red 242、Pigment Red 262、Pigment Red 266、Pigment Red 269、Pigment Red 274、Pigment Orange 13、Pigment Orange 34またはPigment Brown 41、βナフトールおよびナフトールAS顔料、特に、色指数顔料Pigment Red 2、Pigment Red 3、Pigment Red 4、Pigment Red 5、Pigment Red 9、Pigment Red 12、Pigment Red 14、Pigment Red 53:1、Pigment Red 112、Pigment Red 146、Pigment Red 147、Pigment Red 170、Pigment Red 184、Pigment Red 187、Pigment Red 188、Pigment Red 210、Pigment Red 247、Pigment Red 253、Pigment Red 256、Pigment Orange 5、Pigment Orange 38またはPigment Brown 1、レーキアゾおよび金属錯体顔料、特に、色指数顔料Pigment Red 48:2、Pigment Red 48:3、Pigment Red 48:4、Pigment Red 57:1、Pigment Red 257、Pigment Orange 68またはPigment Orange 70、ベンゾイミダゾリン顔料、特に、色指数顔料Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 180、Pigment Yellow 181、Pigment Yellow 194、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208、Pigment Violet 32、Pigment Orange 36、Pigment Orange 62、Pigment Orange 72またはPigment Brown 25、イソインドリノンおよびイソインドリン顔料、特に、色指数顔料Pigment Yellow 139またはPigment Yellow 173、フタロシアニン顔料、特に、色指数顔料Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Green 7またはPigment Green 36、アンタントロン、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、インダントロン、ペリレン、ペリノンおよびチオインジゴ、特に、色指数顔料Pigment Yellow 196、Pigment Red 122、Pigment Red 149、Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 179、Pigment Red 181、Pigment Red 207、Pigment Red 209、Pigment Red 263、Pigment Blue 60、Pigment Violet 19、Pigment Violet 23またはPigment Orange 43、トリアリールカルボニウム顔料、特に、色指数顔料Pigment Red 169、Pigment Blue 56またはPigment Blue 61、ジケトピロロピロール顔料、特に、色指数顔料Pigment Red 254などである。
【0016】
有用な無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、群青、ニッケルアンチモンチタン酸化物、クロムアンチモンチタン酸化物、酸化コバルト、コバルトとアルミニウムの混合酸化物、バナジン酸ビスマスおよび、また混合顔料などがある。
【0017】
顔料分散系の代わりに、例えば、微細な鉱石、鉱物、わずかに可溶性もしくは不溶性塩、ワックスもしくはプラスチック、作物保護および病害虫防除剤、UV吸収剤、蛍光増白剤および重合安定化剤の粒子などの固体の分散系を調製することも可能である。
【0018】
成分(B)は、式(I)
【0019】
【化4】

[式中、
は、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基であり、その置換基は、ハロゲン、アリール、アリール(C〜C20)アルキル、C〜Cシクロアルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C20)アルキルおよびC〜C20アルコキシからなる群における1、2、3または4個の基であり、
nは、1〜100、好ましくは2〜35の数であり
Xは、SO、SO、CHCOO、PO2−またはPOであり、
Mは、H、一価金属陽イオン、二価金属陽イオン、NH、第二級、第三級もしくは第四級アンモニウムイオンまたはその組合せである]の化合物であることが好ましい。
【0020】
ここおよび下文における定義における「アリール」は、好ましくは6〜15個の炭素原子を含む芳香族基を意味する。その例は、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリルである。ここおよび下文における定義における「ヘタリール」は、好ましくはO、N、SおよびPからなる群からの1、2、3または4個のヘテロ原子ならびに1〜10個の炭素原子を含む芳香族基を意味する。その例は、ピロリル、フリル、チオフェニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルである。
【0021】
式(I)の特に好ましい化合物において、Rは、それぞれがハロゲン、例えば、F、ClまたはBr、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C)アルキルおよびC〜Cアルコキシドからなる群からの1、2、3または4個の置換基で置換されていてよいC12〜C18アルキル(分岐または非分岐)またはC12〜C18アルケニル(分岐または非分岐)であり、Xは好ましくはCHCOOであり、Mは好ましくは、H、Li、Na、K、NH、HO−CH−CH−NH、(HO−CH−CH−)NHまたは(HO−CH−CH−)NHである。
【0022】
式(I)の化合物の例は以下のとおりである。
【0023】
【化5】

【0024】
この種の化合物は、CH−A−324665およびCH−A−283986から知られている。
【0025】
成分(C)は、式(II)もしくは(III)
【0026】
【化6】

[式中、
は、H、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基、好ましくは、HまたはC〜Cアルキル基であり、
およびRは、独立に、H、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基、好ましくは、HまたはCHであり、
nは、1〜100、好ましくは、10〜60の数であり、
Xは、CO−R−COO、SO、SO、PO2−またはPOであり、
は、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニレン基、または、置換もしくは非置換アリレン基であり、その置換基は、好ましくはハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アミノおよびスルホからなる群からの1、2、3または4個の基、好ましくはCH=CH、CH(SOM)−CHまたはCH−CH(SOM)であり、
Mは、H、一価金属陽イオン、二価金属陽イオン、NH、第二級、第三級もしくは第四級アンモニウムイオン、好ましくは、H、Li、Na、K、NH、HO−CH−CH−NH、(HO−CH−CH−)NHまたは(HO−CH−CH−)NHである]のアルコキシル化スチレン−フェノール縮合体またはその混合物であることが好ましい。
【0027】
この種の化合物は、DE−A−19712486から知られている。化合物(D)は、200〜1000g/mol、好ましくは200〜800g/molの範囲、より好ましくは200〜600g/molの範囲の平均モル質量を有するポリエチレングリコールエーテルを含む。特に好ましい化合物は、式(VII)
C−O−[−CHCH−O−]−H (VII)
[式中、n=9〜22(平均)]のα−メチルω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルである。
【0028】
本発明の意義内の好ましいα−メチルω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテルは、非メチル化ポリグリコールエーテルのフラクションをさらに含んでいてよい。この種の製品は、市販されており、例えば、DE−A−10133641から知られている。
【0029】
成分(E)は、式(IV)もしくは(V)
【0030】
【化7】

[式中、
は、Hまたは、分岐もしくは非分岐C〜Cアルキル基、または分岐もしくは非分岐C〜Cアルケニル基、好ましくはCHであり、
は、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基、好ましくはC〜Cアルキル基であり、
は、H、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基、好ましくは、HおよびCHであり、
nは、1〜100、好ましくは4〜40の数である]の化合物またはその混合物から適切に選択される。
【0031】
この種の化合物は、泡消し剤として市販されている。
【0032】
成分(F)の植物および動物由来の脂肪および油のうち、特に好ましいものはウシ獣脂、パーム核脂肪、ヤシ脂肪、菜種油、ひまわり油、亜麻仁油、パーム油、大豆油、落花生油および鯨油である。綿実油、トウモロコシ油、ケシ油、オリーブ油、ひまし油、菜種油、ベニバナ油、大豆油、ひまわり油、ニシン油、サーディン油も用いられる。成分(F)の飽和および不飽和高級脂肪酸ならびに飽和および不飽和高級脂肪酸の塩は、式(VI)
R9−COO−M (VI)
[式中、
は、分岐もしくは非分岐C〜C29アルキルまたは、分岐もしくは非分岐C〜C29アルケニル基、分岐もしくは非分岐C〜C29アルクジエニル基、分岐もしくは非分岐C〜C29アルクトリエニル基であり、
Mは、H、一価金属陽イオン、NH、第二級、第三級もしくは第四級アンモニウムイオンである]の化合物に相当する。
【0033】
特に好ましいものは、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、カプロン酸、カプリル酸、アラキドン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、ガドレン酸、エルカ酸およびリシノレイン酸である。
【0034】
成分(G)は、ビニル酸構築ブロックを中和するために塩基を用いて溶解させた溶解ポリアクリレートの好ましくは5重量%〜40重量%のアクリル酸樹脂水溶液である。用いるポリアクリレートは、30〜80モル%のモノアルキレン芳香族化合物と20〜70モル%のアクリルおよび/またはメタクリル酸および/またはアクリルおよび/またはメタクリル酸のエステルから本質的になるコポリマーを構成する。用いるポリアクリレートは、1000〜100000g/mol、好ましくは2000〜50000g/molの範囲の数平均モル質量Mを有する。溶解ポリアクリレートのそのようなアクリル酸樹脂水溶液は、例えば、DE−A−10135140から知られている。
【0035】
これらのポリアクリレートを調製するために用いられるモノアルキレン芳香族化合物は、スチレン、αメチルスチレン、ジビニルベンゼンおよびビニルトルエンまたはその混合物であってよい。アクリルおよび/またはメタクリル酸および/またはアクリルおよび/またはメタクリル酸のエステルとして数えるモノマーは、次のモノマーの少なくとも1つからなっていてよい。アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル、アクリル酸t−ブチルアミノエチル、アクリル酸2−スルホエチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸アリル、アクリル酸2−n−ブトキシエチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸シンナミル、アクリル酸クロチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸フルフリル、アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸メタリル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−メトキシブチル、アクリル酸2−ニトロ−2−メチルプロピル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸フェニルエチル、アクリル酸プロパギル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸t−ブチルアミノエチル、メタクリル酸2−スルホエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸2−n−ブトキシエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸シンナミル、メタクリル酸クロチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸フルフリル、メタクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸メタリル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−メトキシブチル、メタクリル酸2−ニトロ−2−メチルプロピル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェニルエチル、メタクリル酸フェニルエチル、メタクリル酸プロパギル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル。
【0036】
特に好ましい成分(H)は、2−ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩のホルムアルデヒドによる重縮合生成物である。芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドまたはその塩のそのような重縮合生成物は、例えば、EP−B−1165696から知られている。
【0037】
成分(I)は、好ましくはひまし油エトキシラートおよび/またはプロポキシラートのスルホこはく酸モノエステルまたはそのナトリウム塩である。この種の化合物は、EP−A−0582928から知られている。
【0038】
成分(J)は、ヒドロトロピー物質から選択される。溶剤としての役割も果たすそのような化合物は、必要に応じ、例えば、ホルムアミド、尿素、テトラメチル尿素、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチルグリコール、メチルセロソルブ、グリセロール、N−メチルピロリドン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、チオジグリコール、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウムまたは硫酸ブチルモノグリコールナトリウムであってよい。
【0039】
有用な通常の添加物(成分K)は、さらなる陽イオン、陰イオン、両性または非イオン性界面活性剤および顔料湿潤剤、ならびにまた、沈降防止剤、保存剤、光防護剤、酸化防止剤、脱気剤/泡消し剤、泡減少剤、充填剤、粉砕助剤、粘度安定化剤およびレオロジー改良剤などである。有用な粘度調節剤としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびセルロース誘導体などがある。水溶性天然または人工樹脂およびまたポリマーは、結合強さおよび摩耗抵抗を増大させるための膜形成または結合剤として同様に含めることができる。有用なpH調整剤は、有機または無機塩基および酸などである。好ましい有機塩基は、アミン、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパノールまたはジメチルアミノメチルプロパノールである。好ましい無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたはアンモニアである。
【0040】
顔料配合物を製造するために成分(L)として用いる水は、好ましくは蒸留または脱塩水である。水道水および/または天然水を使用することは同様に可能である。
【0041】
多種の配合物が水と混和するが、本発明の顔料配合物は水とあらゆる割合で混和する。本発明の顔料配合物は、紙パルプ着色用の従来の顔料配合物と比較して、優れたせん断安定性を有する。適用媒体が製紙機械における実質的なせん断を受けたときでさえ、色強度は全く低下しないか、最大で4%というわずかな程度に低下するにすぎない。さらに、本発明の顔料配合物は、高いドライアウト抵抗を有する。それらは乾燥して、剥離または分散系中に剥げ落ちない均一な弾性膜を形成する。したがって、使用中に縞または小斑点は形成しない。該顔料配合物は、貯蔵中の良好な安定性を有し、集塊し、沈降する非常にわずかな傾向を有する。本発明の顔料配合物は製紙機械中であるとしても非常にわずかな泡を形成するにすぎないことは特に注目に値する。さらに、これらの顔料分散系は使用中に非常に良好な保持と浸透を示す。該顔料配合物は、高い色強度、定められた色相、高い耐光堅ろう度、高いにじみ抵抗性ならびに良好なレオロジー特性およひほぼニュートン流動特性を特徴づける低い粘度を有する。
【0042】
本発明はまた、粉末、粒状体または水性圧粉体の形態の成分(A)を水(L)の、ならびにまた成分(B)、(C)、(D)、(E)および(F)の存在下で通常の方法で分散させ、次いで、必要に応じ水(L)ならびにまた必要に応じ(G)および/または(H)および/または(I)および/または(J)および/または(K)と混合し、得られた水性顔料分散系を水で所望の濃度に調整することを含む、本発明の顔料配合物を製造する方法も提供する。好ましくは、成分(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(L)ならびに必要に応じ(G)および/または(H)および/または(I)および/または(J)および/または(K)を最初に混合し、均質化し、その時点に、成分(A)を最初に装填した混合物に撹拌しながら加えて、顔料を最初にペースト状とし、前分散させる。その後、前分散系を、用いる顔料の組織によって、粉砕または分散アセンブリを用いて冷却しながら、または冷却せずに、微細に分散または微細に散らす。粉砕または分散アセンブリとしては、撹拌機、溶解機(鋸歯状撹拌機)、ローターステーターミル、ボールミル、砂およびビードミルのような撹拌媒体ミル、高速混合機、ニーダー、ロールミルまたは高性能ビードミルなどがある。顔料の微細分散または粉砕は、所望の粒径分布が得られるまで行い、0〜100℃の範囲の温度、有利には、10〜70℃の温度、好ましくは20〜60℃の範囲の温度で行うことができる。分散の操作の後に、顔料配合物をさらに水、好ましくは脱イオン水または蒸留水で希釈することができる。
【0043】
本発明の顔料配合物は、あらゆる種類の高分子材料の着色および染色、例えば、天然および合成繊維材料、好ましくはセルロース繊維、特に紙パルプの着色および特に積層品の着色に有用である。
【0044】
本発明の顔料配合物は、着色または、例えば、繊維、フレキソ印刷、装飾またはグラビア印刷、壁紙着色剤、水希釈性塗料、木材保存システム、ビスコースドープ染色システム、ワニス、ソーセージケーシング、種子、肥料、ガラスビン用印刷インクを含む、また、屋根板の大量着色用、着色下塗り、ウッドステイン、色鉛筆芯、フェルトペン、ワックス、パラフィン、グラフィックスインク、ボールペンペースト、チョーク、洗浄および浄化組成物、靴ケア用品、ラテックス製品、研磨剤のため、また、プラスチックまたは高分子量材料の着色のための塗装および乳剤着色剤、エマルジョン塗料、溶剤ベース印刷インクの製造にさらに有用である。高分子量有機材料は、個別または混合物としての例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロースもしくは酪酸セルロースなどのセルロースエーテルもしくはエステル、付加重合樹脂もしくは縮合樹脂のような天然もしくは人工樹脂、例えば、アミノ樹脂、特に、尿素およびメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリルなどのポリオレフィン、ポリアクリルエステル、ポリアミド、ポリウレタンもしくはポリエステル、ゴム、カゼイン、ラテックス、シリコーン、シリコーン樹脂である。
【0045】
本発明の顔料配合物はさらに、特に、バブルジェットまたは圧電法に基づくすべての通常のインクジェットプリンタにおける使用のための印刷インクを製造するのに有用である。これらの印刷インクは、印刷紙に、また天然または合成繊維材料、フォイルおよびプラスチックに用いることができる。さらに、本発明の顔料配合物は、様々な種類の被覆もしくは非被覆被印刷材料の印刷、例えば、板紙、カード用厚紙、木材および木材ベース材料、金属材料、半導体材料、セラミック材料、ガラス、ガラスおよびセラミック繊維、建設用の無機材料、コンクリート、革、食料品、化粧品、皮膚および毛の印刷に用いることができる。被印刷材料は、二次元的に平面であるか、または空間的に拡大、すなわち三次元的に構成されていてよく、完全または一部のみ印刷または被覆することができる。
【0046】
本発明の顔料配合物はさらに、電子写真トナーおよび現像剤、例えば、1もしくは2成分粉末トナー(1もしくは2成分現像剤とも呼ばれている)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナーおよびまた特殊トナーにおける着色剤として有用である。この場合の一般的なトナー結合剤は、個別または混合物としての、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、アクリレート、ポリエステル、フェノールエポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタンなどの付加重合樹脂、重付加樹脂、重縮合樹脂、ならびにまた、それぞれが電荷調節剤、ワックスもしくは流動助剤などのさらなる成分を含むか、またはこれらの補助剤により後に修飾されるポリエチレンおよびポリプロピレンである。
【0047】
本発明の顔料配合物は、例えば、金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、繊維材料、紙またはゴム製の物品の表面を被覆するために用いられる粉末および粉体塗装、特に、摩擦電気的または動電気的に噴霧可能な粉体塗装における着色剤としても有用である。ここで用いる粉体塗装樹脂は、一般的にエポキシ樹脂、カルボキシルおよびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂ならびに通常の硬化剤である。樹脂の組合せもまた用いられる。例えば、エポキシ樹脂はしばしばカルボキシルおよびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂と併用される。一般的な硬化剤成分の例(樹脂システムに依存する)は、酸無水物、イミダゾールならびにまたジシアンジアミドおよびその誘導体、面冠イソシアネート、ビスアクリルウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、オキサゾリンおよびジカルボン酸である。
【0048】
本発明の顔料配合物は、インク、好ましくはインクジェットインク、例えば、水性もしくは非水性(溶剤)ベースのマイクロエマルジョンインク、UV硬化性インクならびにまたホットメルト法により作用するインクにおける着色剤としても有用である。インクジェットインクは、一般的に合計0.5重量%〜15重量%、好ましくは、1.5重量%〜8重量%(乾燥と推定)の本発明の顔料配合物を含む。マイクロエマルジョンインクは、有機溶剤、水、および必要に応じさらなるヒドロトロピー物質(界面メディエータ)をベースとしている。マイクロエマルジョンインクは、0.5重量%〜15重量%、好ましくは、1.5重量%〜8重量%の本発明の顔料配合物、5重量%〜99重量%の水ならびに0.5重量%〜94.5重量%の有機溶剤および/またはヒドロトロピー化合物を含む。溶剤ベースインクジェットインクは、好ましくは0.5重量%〜15重量%の本発明の顔料配合物、85重量%〜99.5重量%の有機溶剤および/またはヒドロトロピー化合物を含む。UV硬化性インクは、本質的に0.5重量%〜30重量%の本発明の顔料配合物、0.5重量%〜95重量%の水および0.5重量%〜95重量%の有機溶剤もしくは溶剤混合物、0.5重量%〜50重量%の放射線硬化性結合剤ならびに必要に応じ、0重量%〜10重量%の光重合開始剤を含む。ホットメルトインクは、通常、室温で固体であり、加熱により液化するワックス、脂肪酸、脂肪アルコールまたはスルホンアミドをベースとし、好ましい融解温度範囲は約60℃〜約140℃である。ホットメルトインクジェットインクは、例えば、本質的に20重量%〜90重量%のワックスおよび1重量%〜10重量%の本発明の顔料配合物からなる。それらは、0重量%〜20重量%のさらなるポリマー(「色素溶解剤としての」)、0重量%〜5重量%の分散助剤、0重量%〜20重量%の粘度調節剤、0重量%〜20重量%の可塑剤、0重量%〜10重量%の粘着添加剤、0重量%〜10重量%の透明性安定化剤(例えばワックスの結晶化を防止する)およびまた0重量%〜2重量%の酸化防止剤をさらに含む。
【0049】
本発明の顔料配合物は、フラットパネルディスプレー用色フィルター用、加法色生成だけでなく減法色生成用、さらにフォトレジスト用の着色剤としても、および電子インク(「eインク」)または電子ペーパー(「eペーパー」)用の着色剤としても有用である。
【0050】
色強度および色相は、DIN55986に従って測定した。起泡性は、DIN53902に従って測定した。泡立ちは、分散系の一部における高流速を模擬するために内部法によりさらに測定した。この目的のために、分散系を蠕動ポンプによりガラスシリンダー中に高流速で連続的に噴出させた。起泡性もSita泡試験機R−2000を用いて測定した。
【0051】
内部測定法を用いて顔料配合物のせん断安定性を測定した。この目的のために、負に荷電した顔料をセルロース懸濁パルプシミュレータ中で陽イオンエピクロロヒドリン樹脂により凝集させた。高速度回転に設定した料理用ミキサ(Braun MX32)を用いてせん断をかけた。次いで、パルプを紙に転換し、せん断処理した分散系の色強度を非せん断処理分散系の色強度と比較した。
【0052】
ドライアウト抵抗性は、200μmドクターブレードを用いて顔料配合物をポリエステルクリアビューフィルム上にドローダウンし、ドローダウンを標準化条件下で保存して測定した。ドライアウトは、数分後、半時間後、1日後、3日後および7日後に測定した。
【0053】
粘度は、Haake製のRoto Visco 1コーンプレート粘度計(チタン製コーン:φ60mm、1°)を用いて20℃で測定し、せん断速度に対する粘度の依存性を0〜200s−1の範囲で検討した。粘度は、60s−1のせん断速度で測定した。配合物の調製直後、また、50℃で4週間の保存後および<0℃に設定されたチャンバー内での保存後に粘度を測定することにより、分散系の保存安定性を評価した。
【0054】
(実施例)
顔料配合物の製造
粉末あるいは、粒状体または圧粉体の形態の顔料を脱イオン水中で分散剤および他の補助物質とともにペースト状とし、次いで、溶解機(例えば、VMA−Getzmann GmbH製、AE3−M1型)または他の適切な装置を用いて均質化し、予備分散させた。その後、ビードミル(例えば、VMA−Getzmann GmbH製のAE3−M1)または他の適切な分散装置を用いて微細分散を行い、所望の色強度および彩色が得られるまで、d=1mmのサイズのシリクオルツァイト(siliquartzite)ビードまたはジルコニウム混合酸化物ビードを用いて冷却しながら粉砕を行った。その後、所望の最終顔料濃度になるよう脱イオン水を用いて調節し、粉砕媒体を分離し、顔料配合物を単離した。
【0055】
以下の実施例で述べる顔料配合物は、上述の方法により製造し、100部の各顔料配合物を製造するために以下の成分を記載する量で用いた。以下の実施例では部は重量部である。
【実施例1】
【0056】
35部のC.I.Pigment Red 176(成分A)、
3部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
2.4部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)](成分C)、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)](成分D)、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11](成分E)、
1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩(成分F)、
2部の2−ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合生成物のナトリウム塩(成分H)、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0057】
該顔料配合物は、非常に純粋な色相と相まって高い色強度を有する。これは保存中自由流動性であり、安定であることが証明されている。すなわち、サンプルは、50℃で4週間にわたり高温保存したにもかかわらず、自由流動性のままである。DIN53902によれば、配合物は泡がないと評価される。蠕動ポンプとガラスシリンダーによる泡測定により、3分後に非常にわずかな発泡が起こる。R−2000 Sita泡試験機を用いて測定した配合物の起泡性は、同様に全くわずかであると判断される。該顔料配合物のせん断安定性は、非常に良好であると評価される。該配合物から製造されたせん断処理パルプは、非せん断処理パルプと比較して5%紙パルプ着色において1%の色強度を失うにすぎない。該配合物は、さらに高いドライアウト抵抗性を有する。該配合物は、15分間にわたって均一に乾燥して、弾性を有し、支持体からくずれ落ちない膜となる。7日後でさえも、支持体から剥落しなかった弾性膜が存在する。
【0058】
(比較例1a(成分Fを含まない))
35部のC.I.Pigment Red 176(成分A)、
3部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
2.4部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)](成分C)、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)](成分D)、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11](成分E)、
2部の2−ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合生成物のナトリウム塩(成分H)、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0059】
DIN53902によれば、該配合物は中程度に発泡する。蠕動ポンプとガラスシリンダーによる泡測定により、3分後に実質的な発泡が起こる。該配合物の起泡性は同様に非常に実質的であることがわかる。
【実施例2】
【0060】
45部のC.I.Pigment Blue 15:3(成分A)
1.5部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
4部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)](成分C)、
8部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)](成分D)、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11](成分E)、
0.1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩(成分F)、
2.5部の2−ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合生成物のナトリウム塩(成分H)、
0.9部の保存剤
残量は水。
【0061】
該顔料配合物は、非常に純粋な色相と合わせて高い色強度を有する。これは保存中自由流動性であり、安定であることが証明されている。すなわち、サンプルは、50℃で4週間にわたり高温保存したにもかかわらず、自由流動性のままである。DIN53902によれば、配合物は泡がないと評価される。蠕動ポンプとガラスシリンダーによる泡測定により、3分後に非常にわずかな発泡が起こる。配合物の起泡性は、同様に全くわずかであると判断される。該顔料配合物のせん断安定性は、非常に良好であると評価される。該配合物から製造されたせん断処理パルプは、非せん断処理パルプと比較して5%紙パルプ着色において3%の色強度を失うにすぎない。該配合物は、さらに高いドライアウト抵抗性を有する。該配合物は、10分間にわたって均一に乾燥して、弾性を有し、支持体からくずれ落ちない膜となる。7日後でさえも、支持体から剥落しなかった弾性膜が存在する。
【0062】
(比較例2a(成分Cを含まない))
45部のC.I.Pigment Blue 15:3、
5.5部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
8部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)](成分D)、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
0.1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
2.5部の2−ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合生成物のナトリウム塩、
0.9部の保存剤、
残量は水。
【0063】
この分散系は50℃で4週間の貯蔵中に固化するので、貯蔵中の安定性は不十分である。
【実施例3】
【0064】
42部のC.I.Pigment Red 170、
1.5部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
4.5部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)]、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)]、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
0.2部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0065】
該顔料配合物は、非常に純粋な色相と相まって高い色強度を有する。これは保存中自由流動性であり、安定であることが証明されている。すなわち、サンプルは、50℃で4週間にわたり高温保存したにもかかわらず、自由流動性のままである。DIN53902によれば、配合物は起泡性が低いと評価される。蠕動ポンプとガラスシリンダーによる泡測定により、3分後に非常にわずかな発泡が起こる。該配合物の起泡性は、同様に全くわずかであると判断される。該顔料配合物のせん断安定性は、非常に良好であると評価される。該配合物から製造されたせん断処理パルプは、非せん断処理パルプと比較して5%紙パルプ着色において1%の色強度を失うにすぎない。該配合物は、さらに高いドライアウト抵抗性を有する。該配合物は、20分間にわたって均一に乾燥して、弾性を有し、支持体からくずれ落ちない膜となる。7日後でさえも、支持体から剥落しなかった弾性膜が存在する。
【0066】
(比較例3a(成分Dを含まない))
42部のC.I.Pigment Red 170、
1.5部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
4.5部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=2(平均)]、
5部のエチレングリコール、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
0.2部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
0.2部の保存剤、
残量は水。
【0067】
この顔料配合物のドライアウト抵抗性は不十分である。この分散系は、10分以内にドライアウトし、支持物質から脆くくずれ落ちる。
【実施例4】
【0068】
40部のC.I.Pigment Yellow 16、
3部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
2.5部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=20(平均)]、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)]、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
0.1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0069】
該顔料配合物は、非常に純粋な色相と相まって高い色強度を有する。これは保存中自由流動性であり、安定であることが証明されている。すなわち、サンプルは、50℃で4週間にわたり高温保存したにもかかわらず、自由流動性のままである。DIN53902によれば、配合物は泡がないと評価される。蠕動ポンプとガラスシリンダーによる泡測定により、3分後に発泡は起こらない。該配合物の起泡性は、最小限である。該顔料配合物のせん断安定性は良好であると評価される。該配合物から製造されたせん断処理パルプは、非せん断処理パルプと比較して5%紙パルプ着色において3%の色強度を失う。該配合物は、さらに高いドライアウト抵抗性を有する。該配合物は、20分間にわたって均一に乾燥して、弾性を有し、支持体からくずれ落ちない膜となる。7日後でさえも、支持体から剥落しなかった弾性膜が存在する。
【0070】
(比較例4a(成分Bを含まない))
40部のC.I.Pigment Yellow 16、
3部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=20(平均)]、
2.5部の式(III)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=20(平均)、X=PO、M=(HO−CH−CH−)NH]、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)]、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
0.1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0071】
実施例4と比較して、せん断安定性は不良である。該配合物から調製されたせん断処理パルプは、非せん断処理パルプと比較して5%紙パルプ着色において15%の色強度を失う。
【実施例5】
【0072】
48部のC.I.Pigment Red 112、
2.2部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
4.4部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)]、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)]、
1部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
5部の2−ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合生成物のナトリウム塩、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0073】
該顔料配合物は、非常に純粋な色相と相まって高い色強度を有する。これは保存中自由流動性であり、安定であることが証明されている。すなわち、サンプルは、50℃で4週間にわたり高温保存したにもかかわらず、自由流動性のままである。DIN53902によれば、配合物は泡がないと評価される。蠕動ポンプとガラスシリンダーによる泡測定により、3分後に非常にわずかな発泡が起こる。該配合物の起泡性は、同様に比較的わずかであると判断される。顔料配合物のせん断安定性は、良好であると評価される。該配合物から製造されたせん断処理パルプは、非せん断処理パルプと比較して5%紙パルプ着色において2%の色強度を失う。該配合物は、さらに高いドライアウト抵抗性を有する。該配合物は、30分間にわたって均一に乾燥して、弾性を有し、支持体からくずれ落ちない膜となる。7日後でさえも、支持体から剥落しなかった弾性膜が存在する。
【0074】
(比較例5a(成分Eを含まない))
48部のC.I.Pigment Red 112、
2.2部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
4.4部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)]、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)]、
1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
5部の2−ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合生成物のナトリウム塩、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0075】
DIN53902によれば、該配合物は実質的に発泡する。蠕動ポンプとガラスシリンダーによる泡測定により、3分後に非常に高い発泡が起こる。
【0076】
(比較例5b(成分Bを含まない))
48部のC.I.Pigment Red 112、
2.2部のHostapur SAS30(登録商標)(アルキルスルホン酸ナトリウム塩)、
4.4部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)]、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)]、
1部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
5部の2−ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合生成物のナトリウム塩、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0077】
DIN53902によれば、該配合物は実質的に発泡する。蠕動ポンプとガラスシリンダーによる泡測定により、3分後に非常に高い発泡が起こる。
【実施例6】
【0078】
この実施例に用いるアクリレート樹脂は、DE−A−10135140から知られている。ポリアクリレートは、50〜70%のスチレン、20〜40%のアクリルもしくはメタクリル酸および5〜15%のアクリルもしくはメタクリル酸のエステルのコポリマーである。アクリレート溶液は、25重量%の溶解ポリマー、3.9重量%のNaOHおよび71.1重量%の水からなる。
45部のC.I.Pigment Yellow 97、
2部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
1.2部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)]、
7.5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)]、
0.5部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
0.1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
12部の25%アクリレート樹脂溶液、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0079】
該顔料配合物は、色強度、貯蔵安定性、起泡性、せん断安定性およびドライアウト抵抗性に関して実施例1と同等である。
【実施例7】
【0080】
30部のC.I.Pigment Violet 23、
2.3部の式(I)の分散剤[式中、R=C1835、n=8、X=CHCOO、M=Na](成分B)、
4部の式(II)の分散剤[式中、R、R、R=H、n=29(平均)]、
5部の式(VII)のポリエチレングリコールエーテル[式中、n=10(平均)]、
0.6部の式(IV)の化合物[式中、R=CH、R=C11]、
0.1部の化合物(VI)に相当する高級脂肪酸のナトリウム塩の混合物、すなわち、パルミチン酸、シプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸のナトリウム塩、
4部の2−ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合生成物のナトリウム塩、
0.2部の保存剤
残量は水。
【0081】
該顔料配合物は、色強度、貯蔵安定性、起泡性、せん断安定性およびドライアウト抵抗性に関して実施例1と同等である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1つの有機および/または無機顔料、
(B)末端酸基で官能化された少なくとも1つのポリエチレングリコールアルキルエーテル、
(C)少なくとも1つのアルコキシル化スチレン−フェノール縮合体、
(D)200〜1000g/molの平均モル質量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールエーテル、
(E)少なくとも1つのアルキンジオール、
(F)植物および/もしくは動物由来の脂肪および油ならびに/または該脂肪および油の飽和および不飽和高級脂肪酸ならびに/または該飽和および不飽和高級脂肪酸の塩、
(G)必要に応じ、アクリル酸樹脂水溶液、
(H)必要に応じ、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドの重縮合生成物および/または芳香族スルホン酸の塩とホルムアルデヒドの重縮合生成物、
(I)必要に応じ、ひまし油アルコキシラートのスルホこはく酸モノエステル、
(J)必要に応じ、ヒドロトロピー物質、
(K)必要に応じ、水性顔料配合物に通常使用されるさらなる添加物、および
(L)水
を含む水性顔料配合物。
【請求項2】
すべて顔料配合物の総重量に基づいて、
(A)少なくとも1つの有機および/または無機顔料5重量%〜80重量%、
(B)末端酸基で官能化された少なくとも1つのポリエチレングリコールアルキルエーテル0.1重量%〜30重量%、
(C)少なくとも1つのアルコキシル化スチレン−フェノール縮合体0.1重量%〜30重量%、
(D)200〜1000g/molの平均モル質量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールエーテル0.5重量%〜50重量%、
(E)少なくとも1つのアルキンジオール0.1重量%〜5重量%、
(F)植物および/もしくは動物由来の脂肪および油ならびに/またはそのような脂肪および油の飽和および不飽和高級脂肪酸ならびに/またはそのような飽和および不飽和高級脂肪酸の塩0.1重量%〜10重量%、
(G)アクリル酸樹脂水溶液0重量%〜30重量%、
(H)芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドの重縮合生成物および/または芳香族スルホン酸の塩とホルムアルデヒドの重縮合生成物0重量%〜10重量%、
(I)ひまし油アルコキシラートのスルホこはく酸モノエステル0重量%〜10重量%、
(J)ヒドロトロピー物質0重量%〜30重量%、
(K)水性顔料配合物に通常使用されるさらなる添加物0重量%〜10重量%、および
(L)水5重量%〜90重量%
から本質的になる、請求項1に記載の顔料配合物。
【請求項3】
すべて顔料配合物の総重量に基づいて、
(A)少なくとも1つの有機および/または無機顔料20重量%〜70重量%、
(B)末端酸基で官能化された少なくとも1つのポリエチレングリコールアルキルエーテル1重量%〜15重量%、
(C)少なくとも1つのアルコキシル化スチレン−フェノール縮合体1重量%〜15重量%、
(D)200〜1000g/molの平均モル質量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールエーテル1重量%〜20重量%、
(E)少なくとも1つのアルキンジオール0.1重量%〜2重量%、
(F)植物および/もしくは動物由来の脂肪および油ならびに/またはそのような脂肪および油の飽和および不飽和高級脂肪酸ならびに/またはそのような飽和および不飽和高級脂肪酸の塩0.1重量%〜5重量%、
(G)アクリル酸樹脂水溶液0重量%〜25重量%、
(H)芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドの重縮合生成物および/または芳香族スルホン酸の塩とホルムアルデヒドの重縮合生成物0重量%〜5重量%、
(I)ひまし油エトキシラートのスルホこはく酸モノエステル0重量%〜8重量%、
(J)ヒドロトロピー物質0重量%〜20重量%、
(K)水性顔料配合物に通常使用されるさらなる添加物0重量%〜5重量%、および
(L)水10重量%〜70重量%
から本質的になる、請求項1または2に記載の顔料配合物。
【請求項4】
前記有機顔料(A)が、モノアゾ、ジスアゾ、レーキアゾ、βナフトール、ナフトールAS、ベンゾイミダゾロン、縮合ジスアゾ、アゾ金属錯体、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンタントロン、アントラキノン、フラバントロン、インダントロン、イソビオラントロン、ピラントロン、ジオキサジン、キノフタロン、イソインドリン、イソインドリノンもしくはジケトピロロピロール顔料の群からの少なくとも1つの顔料、またはファーネスブラックもしくはランプブラックの群からの酸性からアルカリ性カーボンブラック、またはその組合せである請求項1から3の一項または複数項に記載の顔料配合物。
【請求項5】
有機顔料がカーボンブラックまたは二酸化チタンと組み合わされている請求項1から4の一項または複数項に記載の顔料配合物。
【請求項6】
末端酸基で官能化された前記ポリエチレングリコールアルキルエーテル(B)が、式(I)
【化1】

[式中、
は、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基(ここにおいて置換基は、ハロゲン、アリール、アリール(C〜C20)アルキル、C〜Cシクロアルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C20)アルキルおよびC〜C20アルコキシからなる群における1、2、3または4個の基である)であり、
nは、1から100の数であり、
Xは、SO、SO、CHCOO、PO2−またはPOであり、
Mは、H、一価金属陽イオン、二価金属陽イオン、NH、第二級、第三級もしくは第四級アンモニウムイオンまたはその組合せである]
の化合物に相当する請求項1から5の一項または複数項に記載の顔料配合物。
【請求項7】
前記アルコキシル化スチレン−フェノール縮合体(C)が、式(II)もしくは(III)
【化2】

[式中、
は、H、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基であり、
およびRは、独立に、H、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基であり、
nは、1から100の数であり、
Xは、CO−R−COO、SO、SO、PO2−またはPOであり、
は、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニレン基、または、置換もしくは非置換アリレン基(ここにおいて置換基は、好ましくはハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アミノおよびスルホからなる群からの1、2、3または4個の基である)であり、
Mは、H、一価金属陽イオン、二価金属陽イオン、NH、第二級、第三級もしくは第四級アンモニウムイオンである]
の化合物またはその混合物に相当する請求項1から6の一項または複数項に記載の顔料配合物。
【請求項8】
前記アルキンジオール(E)が、式(IV)もしくは(V)
【化3】

[式中、
は、Hまたは、分岐もしくは非分岐C〜Cアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜Cアルケニル基であり、
は、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基であり、
は、H、分岐もしくは非分岐C〜C20アルキルもしくはC〜C20シクロアルキル基、または、分岐もしくは非分岐C〜C20アルケニルもしくはC〜C20シクロアルケニル基であり、
nは、1から100の数である]
の化合物またはその混合物に相当する請求項1から7の一項または複数項に記載の顔料配合物。
【請求項9】
前記成分(F)が、式(VI)
R9−COO−M (VI)
[式中、
は、分岐もしくは非分岐C〜C29アルキル、または、分岐もしくは非分岐C〜C29アルケニル基、分岐もしくは非分岐C〜C29アルクジエニル基、分岐もしくは非分岐C〜C29アルクトリエニル基であり、
Mは、H、一価金属陽イオン、NH、第二級、第三級もしくは第四級アンモニウムイオンである]
の化合物もしくはその混合物、または獣脂、パーム核脂肪、ヤシ脂肪、菜種油、ひまわり油、亜麻仁油、パーム油、大豆油、落花生油および鯨油からなる群からの脂肪もしくは油に相当する請求項1から8の一項または複数項に記載の顔料配合物。
【請求項10】
前記成分(A)と共に前記成分(B)、(C)、(D)、(E)、(F)ならびに、必要に応じ(G)、(H)、(I)、(J)および(K)を、最初にペーストにし、水(成分L)中で均質化し、粉砕または分散アセンブリにより微細に分散または微細に散らされることを含む、請求項1から9の一項または複数項に記載の顔料配合物を製造する方法。
【請求項11】
天然または合成材料を着色するための請求項1から9の一項または複数項に記載の顔料配合物の使用。
【請求項12】
天然および合成繊維材料、好ましくはセルロース繊維を着色するための、特に、紙パルプの着色および積層品の着色のための請求項11に記載の使用。
【請求項13】
水性印刷インク、インクジェットインク、電子写真トナー、粉体塗装、カラーフィルター、電子インクおよび「電子ペーパー」、塗装および乳剤着色剤、エマルジョン塗装、溶剤ベース印刷インク、壁紙着色剤、水希釈性塗料、木材保存システム、ビスコースドープ染色、ソーセージケーシング、種子、肥料、ガラスビンの着色または製造のため、また、屋根板の大量着色のため、着色下塗り、ウッドステイン、色鉛筆芯、フェルトペン、ワックス、パラフィン、グラフィックスインク、ボールペンペースト、チョーク、洗浄および浄化組成物、靴ケア用品、ラテックス製品、研磨剤着色のため、また、プラスチックの着色のための請求項11に記載の使用。

【公表番号】特表2007−515505(P2007−515505A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537135(P2006−537135)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011852
【国際公開番号】WO2005/042642
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】