説明

水晶振動子の製造方法及び水晶振動子

【課題】水晶振動素子を素子搭載部材に搭載時、振動部の振動への影響を軽減し、クリスタルインピーダンスが低い水晶振動子と、生産性のよい水晶振動子の製造方法を提供する。
【解決手段】一方の主面の所定の一辺に沿って搭載パッド111が設けられ素子搭載部材110となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハWの、素子搭載部材の外縁側を向く搭載パッドの2辺に沿うようにスクリーン印刷法を用いて導電性接着剤120と塗布する塗布工程と、水晶振動素子の引き出し電極と搭載パッドとなる部分とで塗布された導電性接着剤を挟んだ状態で導電性接着剤を硬化させ素子搭載部材に水晶振動素子を搭載する搭載工程と、蓋部材の凹部空間内に水晶振動素子を収納させつつ蓋部材と素子搭載部材とを接合し水晶振動素子を封止する封止工程と、素子搭載部材ウエハの前記素子搭載部材となる部分ごとに切断し個片化される個片化工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子搭載部材に水晶振動素子が片持ち支持されている水晶振動子と水晶振動素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子は、例えば、平板状の素子搭載部材と、この素子搭載部材に搭載されている水晶振動素子と、素子搭載部材と水晶振動素子との間に設けられている導電性接着剤と、
凹部空間を備えている蓋部材と、から主に構成されている。
【0003】
水晶振動素子は、例えば、水晶片と励振電極と引き出し電極とから構成されている。
水晶片は、例えば、圧電材料である水晶が用いられ、矩形形状の平板状に設けられている。
励振電極は、例えば、2つ一対で設けられている。一方の励振電極は、水晶片の一方の主面に設けられている。他方の励振電極は、水晶片の他方の主面であって、一方の励振電極に対向する位置に設けられている。
引き出し電極は、例えば、2つ一対で設けられている。
また、引き出し電極は、一方の端部が励振電極に接続されており、他方の端部が励振電極の設けられている水晶片の主面に対向する主面であって所定の一辺の縁部に位置している。一方の引き出し電極は、一方の端部が一方の励振電極に接続しており、他方の端部が水晶片の一方の主面の所定の一辺の縁部に位置している。他方の引き出し電極は、一方の端部が他方の励振電極に接続しており、他方の端部が水晶片の一方の主面の所定の一辺の縁部に位置している。
【0004】
前述した水晶振動素子は、引き出し電極に交流が印加された場合、励振電極に挟まれている水晶片の一部が振動される構造となっている。
ここで、励振電極で挟まれている水晶片の一部を振動部とする。また、励振電極で挟まれていない水晶片の一部を減衰部とする。
【0005】
素子搭載部材は、例えば、セラミックスが用いられている。
また、素子搭載部材は、矩形形状の平板状に設けられており、一方の主面に搭載パッドが設けられ、他方の主面に外部接続端子が設けられている。
搭載パッドは、例えば、2つ一対となっており、素子搭載部材の一方の主面であって所定の一辺に沿って並んで設けられている。また、搭載パッドは、例えば、その主面が四辺形となっている。また、搭載パッドは、水晶振動素子の引き出し電極の一部に対向する位置に設けられており、後述する導電性接着剤によって引き出し電極と電気的に接続されるように接着されている。
外部接続端子は、例えば、4つ設けられており、素子搭載部材の他方の主面の4隅に一つずつ設けられている。また、所定の外部接続端子は、所定の搭載パッドと電気的に接続されている。
【0006】
導電性接着剤は、素子搭載部材の搭載パッドと水晶振動素子の引き出し電極との間に設けられている。このとき、搭載パッドと引き出し電極とが電気的に接続されるように接着されており、水晶振動素子が素子搭載部材に搭載されている。
【0007】
蓋部材は、例えば、凹部空間を備えており、金属が用いられている。
また、蓋部材は、素子搭載部材に搭載されている水晶振動素子を凹部空間内に収納させつつ、素子搭載部材の一方の主面と接合されている。
【0008】
従って、水晶振動子は、素子搭載部材の搭載パッドと水晶振動素子の引き出し電極とが導電性接着剤によって電気的に接続するように接着されて水晶振動素子が素子搭載部材に搭載されている。このとき、素子搭載部材の一方の主面の所定の一辺に沿って並んで設けられているので、水晶振動素子が片持ち支持された状態で素子搭載部材に搭載されている。
また、水晶振動子は、水晶振動素子が搭載されている素子搭載部材と凹部空間を備えた蓋部材とが接合されて、水晶振動素子が封止される構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
ここで、素子搭載部材に水晶振動素子が片持ち支持された状態とは、水晶片の一方の主面であって所定の一辺の縁部が接着され、水晶片の一方の主面であって所定の一辺に対向する所定の他の一辺の縁部が接着されていない状態である。
また、接着されている水晶片の一方の主面の端部を固定端とし、接着されていない水晶片の一方の主面の端部を自由端とする。
【0010】
前述したように、水晶振動子は、圧電材料の逆圧電効果を利用した構造となっており、励振電極と電気的に接続されている外部接続端子に交流が印加されて振動部が所定の振動モードで振動する構造となっている。
【0011】
また、このような水晶振動子は、励振電極に交流が印加されたとき、振動部が所定の振動モードで振動する構造となっているが、振動部と減衰部とが隣接しているため減衰部の状態によって振動部の振動モードが阻害される恐れがある。
例えば、水晶振動素子が片持ち支持されている水晶振動子は、水晶振動素子が接着されていない自由端が素子搭載部材又は蓋部材に接触すると減衰部の影響を受け振動部の振動モードが阻害され、水晶振動子のクリスタルインピーダンスが高くなる恐れがある。
【0012】
このため、水晶振動素子が片持ち支持されている水晶振動子は、自由端が素子搭載部材又は蓋部材に接触しないように、例えば、水晶振動素子の水晶片の主面と素子搭載部材の主面とが平行なまま水晶振動素子を素子搭載部材に搭載することができる構造となっている。
水晶振動素子が片持ち支持されており、かつ、水晶片の主面と素子搭載部材の主面とが平行となっている水晶振動子200は、例えば、図6に示すように、支持部250が搭載パッド211に形成されている。
【0013】
支持部250は、素子搭載部材210の一方の主面であって所定の一辺に沿って並んで設けられている搭載パッド211の全面に設けられており、直方体形状となっている。
また、支持部250は、搭載パッド211と支持部250とが接する面に対向する支持部250の面が素子搭載部材210の主面に平行となっている。
【0014】
従って、水晶振動子200は、図6に示すように、水晶振動素子230の水晶片231の一方の主面が搭載パッド211と支持部250とが接する面に対向する支持部260の面に対向しつつ接する位置に水晶振動素子230が配置され、水晶振動素子230の水晶片231の他方の主面と支持部250とが導電性接着剤によって接着され、水晶振動素子230が素子搭載部材210に搭載されている。
つまり、水晶振動子200は、搭載パッド211の全面に形成されている直方体の支持部250に水晶振動素子230を配置し、水晶振動素子230と支持部250とを導電性接着剤220とを電気的に接続しつつ接着させるように、水晶振動素子230が素子搭載部材210に搭載されている構造となっている(例えば、特許文献2参照)。
【0015】
一般的に、水晶振動素子を素子搭載部材に搭載するときに導電性接着剤を塗布する方法として、ディスペンサ装置を用いて導電性接着剤を塗布する方法が用いられる。
【0016】
ディスペンサ装置は、例えば、シリンジ部と、シリンジ部の一方の端部に接続されているニードル部と、シリンジ部の他方の端部から一方の端部に向かう向きに圧力を加えることができる圧力手段とを備えている。
【0017】
シリンジ部は、一方の端部がニードルに接続されており、他方の端部が圧力手段に接続されている。また、シリンジ部は、円柱形上となっており、その内部に硬化前の導電性接着剤が充填されている。
【0018】
圧力手段は、例えば、シリンジ部の他方の端部に接続されており、窒素ガスがシリンジ部の他方の端部から一方の端部へ向かう向きでシリンジ部の内部に押し込まれる。従って、圧力手段は、所定の圧力で所定の時間、シリンジ部の他方の端部から一方の端部へ向かう向きに加圧することができる。
【0019】
ニードル部は、シリンジ部の一方の端部に接続していることから、圧力手段によりシリンジ内部に圧力が加えられたとき、シリンジ部の内部に充填されていた導電性接着剤が押し出されてニードル部の他方の端部から導電性接着剤が吐出されている。
【0020】
つまり、ディスペンサ装置は、圧力手段の時間及び圧力を調節することで導電性接着剤の塗布量を調節することができる構造となっている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2003−318690号公報
【特許文献2】特開平9−298434号公報
【特許文献3】特開2005−197927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、従来の水晶振動子は、素子搭載部材の搭載パッドに形成されている直方体形状の支持部に水晶振動素子の水晶片の一方の主面を接触させ、ディスペンサ装置によって塗布された導電性接着剤で水晶片の他方の主面と支持部とが接着されている構造となっているので、ディスペンサ装置によって塗布されたときに、導電性接着剤が水晶片の他方の主面上で固定端側から自由端側へ広がった状態で塗布されている恐れがある。
このため、従来の水晶振動子は、搭載パッドより励振電極に近い位置で水晶振動素子が接着されている構造となり、振動部の振動が阻害され、クリスタルインピーダンスが高くなる恐れがある。
【0023】
また、従来の水晶振動子の製造方法によれば、素子搭載部材の搭載パッドに直方体形状の支持部を形成し、水晶振動素子の水晶片の一方の主面を支持部に接触させ水晶片の主面と素子搭載部材の主面とが平行となるように水晶振動素子を配置し、水晶振動素子の水晶片の他方の主面と支持部とが電気的に接続されるようにディスペンサ装置を用いて導電性接着剤を塗布しているので、小型化された水晶振動子を製造するとき、導電性接着剤の塗布量や塗布場所の微調整が必要となる恐れがある。
このため、従来の水晶振動子の製造方法は、導電性接着剤を塗布するときに時間と手間を要し、生産性が悪化する恐れがある。
【0024】
また、従来の水晶振動子の製造方法によれば、素子搭載部材の搭載パッドに直方体形状の支持部を形成し、支持部と搭載パッドとが接する面に対向する支持部の面に水晶片の一方の主面が接するように配置され、支持部と水晶片の他方の主面が接着されるようにディスペンサ装置によって導電性接着剤が塗布されるので、導電性接着剤を塗布したとき、水晶片の他方の主面上で導電性接着剤が固定端側から自由端側へ広がって塗布される恐れがある。
このため、従来の水晶振動子の製造方法によれば、導電性接着剤が搭載パッドと比較して励振電極に近い位置で接着され、振動部の振動が阻害されクリスタルインピーダンスが高いといった不良が発生し、生産性が悪化する恐れがある。
【0025】
そこで、本発明は、水晶振動素子を素子搭載部材に搭載したときに振動部の振動への影響を軽減し、クリスタルインピーダンスが低い水晶振動子と、生産性のよい水晶振動子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記課題を解決するため、 矩形形状の平板状に設けられ一方の主面の所定の一辺に沿って搭載パッドが設けられ他方の主面に外部接続端子が設けられている素子搭載部材となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハの、前記素子搭載部材となる部分の一方の主面を見たときに、前記素子搭載部材となる部分の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材となる部分の一方の主面の所定の一辺に平行な前記搭載パッドの辺と、前記素子搭載部材となる部分の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材となる部分の一方の主面の所定の一辺に垂直な前記搭載パッドの辺と
に沿うように、スクリーン印刷法を用いて導電性接着剤と塗布する塗布工程と、水晶片と励振電極と引き出し電極とを備えている水晶振動素子の、前記引き出し電極と前記素子搭載部材となる部分の前記搭載パッドとなる部分とで
塗布された前記導電性接着剤を挟んだ状態で塗布された前記導電性接着剤を硬化させ、前記素子搭載部材に前記水晶振動素子を搭載する搭載工程と、凹部空間を備えた蓋部材の、前記凹部空間内に前記素子搭載部材に搭載されている前記水晶振動素子を収納させつつ、
前記蓋部材と前記素子搭載部材とを接合し前記水晶振動素子を封止する封止工程と、前記素子搭載部材ウエハの前記素子搭載部材となる部分ごとに切断し、前記素子搭載部材に搭載されている前記水晶振動素子が封止された状態のまま個片化される個片化工程と、を備えていることを特徴とする。
【0027】
また、前記課題を解決するため、矩形形状の平板状に形成され、一方の主面の所定の一辺に四辺形の平板状の搭載パッドが並んで設けられ、他方の主面に外部接続端子が設けられている素子搭載部材と、水晶片と、前記水晶片に設けられている2つ一対の励振電極と、一方の端部が前記励振電極に接続され他方の端部が前記水晶片の一方の主面の所定の一辺に沿って位置している引き出し電極と、から構成されている水晶振動素子と、スクリーン印刷によって塗布され前記搭載パッドと前記引き出し電極とで挟んだ状態で硬化されて、
前記搭載パッドと前記引き出し電極とを電気的に接続しつつ接着している導電性接着剤と、一方の主面に凹部空間を備えており、前記搭載パッドと前記引き出し電極とが接着されて前記素子搭載部材に搭載されている前記水晶振動素子を前記凹部空間内に収納しつつ、前記素子搭載部材と接合され前記水晶振動素子を封止する蓋部材と、から構成されており、前記導電性接着剤が前記素子搭載部材の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材の一方の主面の所定の一辺に平行な前記搭載パッドの辺と、
前記素子搭載部材の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材の一方の主面の所定の一辺に垂直な前記搭載パッドの辺とに沿って設けられていることを特徴とする。
【0028】
また、前記課題を解決するため、前記素子搭載部材の一方の主面を見たとき、前記導電性接着剤が前記素子搭載部材の一方の主面の外縁側を向く前記搭載パッドの二辺が接する端部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
このような水晶振動子は、一方の主面の所定の一辺に沿って並んで搭載パッドが設けられている素子搭載部材であって、素子搭載部材の一方の主面を見たときに、スクリーン印刷によって、素子搭載部材の外縁側を向きつつ素子搭載部材の一方の主面の所定の一辺に平行な搭載パッドの辺と、素子搭載部材の外縁側を向きつつ素子搭載部材の一方の主面の所定の一辺に垂直な搭載パッドの辺とに沿って塗布された後、前記引き出し電極と前記搭載パッドとで挟まれた後硬化された構造となっているので、従来の水晶振動子よりも振動部から離れた位置で水晶振動素子が接着させることができる構造となっている。
従って、このような水晶振動子によれば、従来の水晶振動子と比較して水晶振動素子を搭載することが原因で発生する振動部への影響を抑えることができる構造となっているので、従来の水晶振動子と比較してクリスタルインピーダンスが高くなることを防ぐことができる。
【0030】
また、このような水晶振動子の製造方法によれば、平板状の矩形形状に設けられ一方の主面の所定の一辺に沿って搭載パッドが設けられ他方の主面に外部接続端子が設けられている素子搭載部材となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハであって、この素子搭載部材ウエハの素子搭載部材となる部分の搭載パッドの所定の2辺に沿って導電性接着剤をスクリーン印刷によって塗布しているので、従来の水晶振動子の製造方法のようなディスペンサ装置を用いることなく導電性接着剤を塗布することができる。
このため、このような水晶振動子の製造方法は、従来の水晶振動子の製造方法と比較して、導電性接着剤を所定の位置に所定の形状で容易に塗布することができ、生産性を向上させることができる。
【0031】
また、このような水晶振動子の製造方法によれば、平板状の矩形形状に設けられ一方の主面の所定の一辺に沿って搭載パッドが設けられ他方の主面に外部接続端子が設けられている素子搭載部材となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハであって、素子搭載部材の一方の主面を見たとき、素子搭載部材となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材となる部分の所定の一辺に平行な搭載パッドの辺及び素子搭載部材となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材となる部分の所定の一辺に垂直な搭載パッドの辺に沿った位置にスクリーン印刷法によって導電性接着剤が塗布されるので、従来の水晶振動子の製造方法と比較して励振電極から離れた位置で接着させることができる。
このため、このような水晶振動子の製造方法によれば、従来の水晶振動子の製造方法と比較して接着による振動部の振動への影響を抑えることができ、クリスタルインピーダンスが高いといった不良を抑えることができる。従って、このような水晶振動子の製造方法によれば、従来の水晶振動子の製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る水晶振動子の一例を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態に係る水晶振動子の製造方法の塗布工程前の状態の一例を示す状態図であり、(b)は、本発明の実施形態に係る水晶振動子の製造方法の塗布工程後の状態の一例を示す状態図である。
【図3】本発明の実施形態に係る水晶振動子の製造方法の搭載工程の状態の一例を示す状態図である。
【図4】本発明の実施形態に係る水晶振動子の製造方法の封止工程の状態の一例を示す状態図である。
【図5】本発明の実施形態に係る水晶振動子の製造方法の個片化工程の状態の一例を示す状態図である。
【図6】従来の水晶振動子の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において各構成要素の状態をわかりやすくするために誇張して図示している。
【0034】
本発明の実施形態に係る水晶振動子100は、図1に示すように、素子搭載部材110と導電性接着剤120と水晶振動素子130と蓋部材140とを備えている。
【0035】
水晶振動素子130は、例えば、図1に示すように、水晶片131と励振電極132と引き出し電極133とから構成されている。
【0036】
水晶片131は、例えば、図1に示すように、圧電材料である水晶が用いられており、矩形形状の平板状に設けられている。
【0037】
励振電極132は、例えば、2つ設けられている。
一方の励振電極132は、水晶片131の一方の主面に設けられている。
他方の励振電極132は、水晶片131の他方の主面であって、一方の励振電極132に対向する位置に設けられている。
【0038】
引き出し電極133は、例えば、2つ設けられている。
一方の引き出し電極133は、一方の端部が一方の励振電極132に接続されており、他方の端部が水晶片131の一方の主面の所定の一辺の縁部に設けられている。
他方の引き出し電極133は、一方の端部が他方の励振電極132に接続されており、他方の端部が水晶片131の一方の主面の所定の一辺の縁部に設けられている。
2つの引き出し電極のそれぞれの端部は、水晶片131の一方の主面の所定の一辺に沿って2つ並んで設けられている。
【0039】
水晶振動素子130は、引き出し電極133に交流が印加された場合、励振電極132に挟まれている水晶片131の一部が振動される構造となっている。
ここで、励振電極132で挟まれている水晶片131の一部を振動部とする。また、励振電極132で挟まれていない水晶片131の一部を減衰部とする。
【0040】
素子搭載部材110は、例えば、セラミックスが用いられており、図1に示すように、矩形形状の平板状に設けられている。
また、素子搭載部材110は、図1に示すように、一方の主面に搭載パッド111が設けられ、他方の主面に外部接続端子112が設けられている。
また、素子搭載部材110は、図1に示すように、一方の主面の縁部に沿って環状の接合部材Sが設けられている。
【0041】
搭載パッド111は、例えば、図1に示すように、2つ設けられており、素子搭載部材110の一方の主面の所定の一辺に沿って2つ並んで設けられている。
また、搭載パッド111は、素子搭載部材110の一方の主面を見たとき、四辺形となっている。
【0042】
外部接続端子112は、例えば、4つ設けられており、素子搭載部材110の他方の主面の4隅に一つずつ設けられている。
また、所定の外部接続端子112は、所定の搭載パッド111と素子搭載部材110の内部配線(図示せず)を介し電気的に接続されている。
【0043】
接合部材Sは、図1に示すように、素子搭載部材110の一方の主面の縁部に沿って環状に設けられている。
また、接合部材Sは、素子搭載部材110と蓋部材140との間に設けられており、素子搭載部材110と蓋部材140とを接合している。
【0044】
導電性接着剤120は、スクリーン印刷によって素子搭載部材110の搭載パッド111に塗布された後、水晶振動素子130の引き出し電極133とで挟んだ状態で硬化されて、搭載パッド111と引き出し電極133とを電気的に接続しつつ接着している。
従って、素子搭載部材110の一方の主面の所定の一辺に沿って並んで設けられている搭載パッド111が水晶振動素子130の引き出し電極133と電気的に接続されつつ接着されているので、素子搭載部材110に水晶振動素子130が片持ち支持された状態となっている。
【0045】
また、導電性接着剤120は、素子搭載部材110の一方の主面を見たとき、素子搭載部材110の外縁側を向きつつ素子搭載部材110の一方の主面の所定の一辺に平行な外縁外に最も近い搭載パッド111の辺に沿って設けられている。
また、導電性接着剤120は、素子搭載部材110の一方の主面を見たとき、素子搭載部材110の外縁側を向きつつ素子搭載部材110の一方の主面の所定の一辺に垂直な外縁外に最も近い搭載パッド111の辺に沿って設けられている。
つまり、導電性接着剤120は、素子搭載部材110の一方の主面の外縁側を向く搭載パッド111の2辺に沿って設けられている。
【0046】
導電性接着剤120は、従来の水晶振動子200と比較して、励振電極132より離れた位置で素子搭載部材110の搭載パッド111と水晶振動素子130の引き出し電極133とを接着させている。
このため、導電性接着剤120は、従来の水晶振動子200の導電性接着剤220と比較して、導電性接着剤120で接着させることによる振動部の振動への影響を抑えることができる。
【0047】
蓋部材140は、凹部空間141を備えており、凹部空間141内に素子搭載部材110に搭載されている水晶振動素子130を収納した状態で、素子搭載部材110に設けられている接合材Sによって素子搭載部材110と接合されている。このとき、素子搭載部材110に搭載されている水晶振動素子130は、素子搭載部材110と蓋部材140とで封止された状態となっている。
【0048】
従って、本発明の実施形態に係る水晶振動子100は、素子搭載部材110に水晶振動素子130が片持ち支持された状態で搭載されており、素子搭載部材110と蓋部材140とが接合されて搭載された水晶振動素子130が封止された構造となっている。
このとき、従来の水晶振動子200の水晶振動素子230と比較して、水晶振動素子130の励振電極131から離れた位置に導電性接着剤120で接着され、水晶振動素子130が片持ち支持された状態で素子搭載部材110に搭載されている。
【0049】
また、本発明の実施形態に係る水晶振動子100は、素子搭載部材110の所定の外部接続端子112が搭載パッド111と導電性接着剤120と水晶振動素子130の引き出し電極133とを介し、所定の励振電極132と電気的に接続されているので、所定の外部接続端子112に交流を印加すると水晶振動素子130の振動部が振動される構造となっている。
前述したように、振動部とは、水晶振動素子130の励振電極132で挟まれた水晶片131の一部である。
【0050】
このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100は、一方の主面の所定の一辺に沿って並んで搭載パッド111が設けられている素子搭載部材110であって素子搭載部材110の一方の主面を見たとき、素子搭載部材110の一方の主面の縁部を向きつつ素子搭載部材110の一方の主面の所定の一辺に平行な搭載パッド111の辺と、素子搭載部材110の一方の主面の縁部を向きつつ素子搭載部材110の一方の主面の所定の一辺に垂直な搭載パッド111の辺とに沿って導電性接着剤120がスクリーン印刷によって塗布された後、引き出し電極133と搭載パッド111とで挟まれた状態で硬化されている構造となっているので、従来の水晶振動子200より振動部から離れた位置で水晶振動素子130を接着させることができる構造となっている。
従って、本発明の実施形態に係る水晶振動子100によれば、従来の水晶振動子200と比較して水晶振動素子130を搭載することが原因で発生する振動部への影響を抑えることができる構造となっているので、従来の水晶振動子200と比較してクリスタルインピーダンスが高くなることを防ぐことができる。
このため、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100によれば、従来の水晶振動子200と比較して水晶振動素子130を搭載することが原因で発生する振動部への影響を抑えることができる構造となっているので、従来の水晶振動子200と比較してクリスタルインピーダンスが高くなることを防ぐことができる。
【0051】
また、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100は、素子搭載部材110に水晶振動素子130が搭載された状態で素子搭載部材110の一方の主面側を見たとき、素子搭載部材110の一方の主面の外縁側を向きつつ素子搭載部材110の所定の一辺に平行な辺が水晶振動子130の水晶片131の主面であって引き出し133の他方の端部が位置する水晶片131の所定の一辺と重なっており、素子搭載部材110の一方の主面の外縁側を向きつつ素子搭載部材110の所定の一辺に垂直な辺が水晶振動子130の水晶片131の主面であって水晶片131の所定の一辺の端部に接続されている水晶片131の一辺と重なっている。
従って、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100は、水晶振動子130の水晶片131の主面の3辺が導電性接着剤130で接着されている構造となっているので、搭載による振動部振動への影響を抑えることができる。
また、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100は、搭載パッドの所定の一辺に沿って導電性接着剤が塗布され設けられている水晶振動子と比較して、接着面積が大きくなるので接着強度を保つことができる。
【0052】
次に、本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法は、塗布工程、搭載工程、封止工程、個片化工程を備えている。
【0053】
(塗布工程)
塗布工程は、図2(a)及び図2(b)に示すように、矩形形状の平板状に設けられ一方の主面の所定の一辺に沿って搭載パッド111が設けられ他方の主面に外部接続端子112(図5参照)が設けられている素子搭載部材110となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハWの、前記素子搭載部材110となる部分の一方の主面を見たときに、前記素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材110となる部分の一方の主面の所定の一辺に平行な前記搭載パッド111の辺と、前記素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材110となる部分の一方の主面の所定の一辺に垂直な前記搭載パッド111の辺とに沿うように、スクリーン印刷法を用いて導電性接着剤120と塗布する工程である。
【0054】
素子搭載部材ウエハWは、図2(a)に示すように、素子搭載部材110となる部分がマトリクス状に設けられている。
また、素子搭載部材ウエハWは、例えば、セラミックスが用いられている。
【0055】
素子搭載部材110となる部分は、一方の主面に搭載パッド111が設けられ、他方の主面に外部接続端子112が設けられている。
搭載パッド111は、例えば、図2(a)に示すように、2つ一対で設けられており、素子搭載部材110となる部分の一方の主面の所定の一辺に沿って2つ並んで設けられている。また、搭載パッド111は、例えば、図2(a)に示すように、素子搭載部材110の一方の主面を見たとき、四辺形となっている。また、搭載パッド111の主面は、素子搭載部材110の主面と平行になっている。
外部接続端子112は、例えば、4つ設けられており、素子搭載部材110となる部分の他方の主面の4隅に一つずつ設けられている。また、所定の外部接続端子112は、所定の搭載パッド111と素子搭載部材110となる部分の内部配線(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0056】
塗布工程では、スクリーン印刷を用いている。
スクリーン印刷は、例えば、図2(a)に示すように、素子搭載部材ウエハWにマスクMを配置し、素子搭載部材ウエハWとマスクMとが接する面に対向するマスクMの面に導電性接着剤を塗布し、スキージーを用いてこの導電性接着剤をマスク面の面に厚みが均一になるように塗り広げ、マスクMを取り除いて、図2(b)に示すように、素子搭載部材ウエハWの素子搭載部材110となる部分の所定の位置に所定の形状で導電性接着剤120を塗布する。
【0057】
スクリーン印刷で用いるマスクMは、例えば、金属が用いられており、レーザー照射装置で素子搭載部材110となる部分の導電性接着剤120の塗布される位置に対応した貫通穴が設けられている。
マスクMは、例えば、例えば、素子搭載部材ウエハWの素子搭載部材110となる部分であって、素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に平行な外縁側に最も近い搭載パッド111の辺及び素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に垂直な外縁側に最も近い搭載パッド111辺に沿った位置に貫通穴が設けられている。
【0058】
従って、塗布工程では、開口部が塗布形状と同じ形状となっている貫通穴が設けられているマスクMが素子搭載部材ウエハに配置され、マスクMの面上に膜厚が均一となるように導電性接着剤が塗布されて貫通穴に導電性接着剤120が充填されるので、マスクMを取り除いたときに、所定の形状の導電性接着剤120を塗布することができる。
このため、塗布工程では、ディスペンサ装置を用いることなく導電性120を塗布しているので、従来の導電性接着剤220の塗布工程と比較して、所定の位置に所定の量を容易に塗布することができる。
【0059】
また、塗布工程では、図2(a)に示すように、素子搭載部材ウエハWの素子搭載部材110となる部分であって、素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に平行な辺及び素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に垂直な辺に沿った位置に貫通穴が設けられているので、図2(b)に示すように、導電性接着剤120が素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に平行な辺と素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に垂直な辺に沿って塗布される。
また、塗布工程では、導電性接着剤120と搭載パッド111とが接する面に対向する導電性接着剤120の面が搭載パッド111の主面に平行となっている。
【0060】
(搭載工程)
搭載工程は、図3に示すように、水晶片131と励振電極132と引き出し電極133とを備えている水晶振動素子130の、前記引き出し電極133と前記素子搭載部材110となる部分の前記搭載パッド111となる部分とで塗布された前記導電性接着剤120を挟んだ状態で塗布された前記導電性接着剤120を硬化させ、前記素子搭載部材110に前記水晶振動素子130を搭載する工程である。
【0061】
水晶振動素子130は、例えば、図3に示すように、水晶片131と励振電極132と引き出し電極133とから構成されている。
【0062】
水晶片131は、例えば、圧電材料である水晶が用いられ、矩形形状の平板状に設けられている。
【0063】
励振電極132は、例えば、2つ一対で設けられている。
一方の励振電極132は、水晶片131の一方の主面に設けられている。
他方の励振電極132は、水晶片131の他方の主面であって、一方の励振電極132に対向する位置に設けられている。
【0064】
引き出し電極133は、例えば、2つ一対で設けられている。
一方の引き出し電極133は、一方の端部が一方の励振電極132に接続されており、他方の端部が水晶片131の一方の主面であって所定の一辺の縁部に位置している。
他方の引き出し電極133は、一方の端部が他方の励振電極132に接続されており、他方の端部が水晶片131の一方の主面であって所定の一辺の縁部に位置している。
なお、ここでは、引き出し電極133の端部が水晶片131の一方の主面の所定の一辺の縁部に位置している場合について説明しているが、一方の端部が接続されている励振電極132が設けられている水晶片131の主面に対向する水晶片131の主面の所定の一辺の縁部に位置してもよい。
【0065】
搭載工程では、まず、素子搭載部材110となる部分の搭載パッド111に塗布されている導電性接着剤120を搭載パッド111と水晶振動素子130の引き出し電極133とで挟んだ状態にし、次に、そのままの状態で導電性接着剤120を硬化させる。
このとき、素子搭載部材110となる部分の一方の主面を見ると、水晶振動素子130の水晶片131の所定の一辺が、素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に平行な搭載パッド111の辺と重なる位置に設けられる。また、素子搭載部材110となる部分の一方の主面を見ると、水晶振動素子130の水晶片131の所定の一辺に接続している所定の他の辺が、素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に垂直な搭載パッド111の辺と重なる位置に設けられる。
【0066】
従って、搭載工程では、導電性接着剤120と搭載パッド111とが接する面に対向する導電性接着剤120の面に水晶振動素子130が配置されるので、水晶片131の主面と搭載パッド111の面とが平行となり、水晶片131の主面と素子搭載部材110となる部分の主面とが平行な状態で配置される。
つまり、搭載工程では、水晶振動素子130の水晶片131の主面と素子搭載部材110となる部分の主面とが平行な状態で水晶振動素子130が素子搭載部材110となる部分に搭載される。
【0067】
また、搭載工程では、素子搭載部材110となる部分の一方の主面を見ると、水晶振動素子130の水晶片131の所定の一辺が、素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に平行な搭載パッド111の辺と重なる位置に設けられ、水晶振動素子130の水晶片131の所定の一辺に接続している所定の他の辺が、素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に垂直な搭載パッド111の辺と重なる位置に設けられるので、従来の水晶振動子200の製造方法より、水晶振動素子130の励振電極132より離れている部分を導電性接着剤120で接着し、素子搭載部材110となる部分に搭載することができる。
【0068】
(封止工程)
封止工程は、凹部空間141を備えた蓋部材140の、前記凹部空間141内に前記素子搭載部材110となる部分に搭載されている前記水晶振動素子130を収納させつつ、前記蓋部材140と前記素子搭載部材110となる部分とを接合し前記水晶振動素子130を封止する工程である。
【0069】
蓋部材140は、例えば、金属が用いられている。
また、蓋部材140は、例えば、蓋基板部(図示せず)と蓋枠部(図示せず)とから構成され凹部空間141が形成されている。
【0070】
封止工程では、例えば、図4に示すように、素子搭載部材110に搭載されている水晶振動素子130を蓋部材140の凹部空間141内に収納させた状態で、素子搭載部材110の接合材を溶融させることで蓋部材140と素子搭載部材110とを接合している。このとき、素子搭載部材110に搭載されている水晶振動素子130は、封止された状態となっている。
【0071】
(個片化工程)
個片化工程は、図5に示すように、前記素子搭載部材ウエハWの前記素子搭載部材110となる部分ごとに切断し、前記素子搭載部材110に搭載されている前記水晶振動素子130が封止された状態のまま個片化される工程である。
【0072】
個片化工程では、例えば、ダイシングソー切断装置が用いられる。
【0073】
このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、平板状の矩形形状に設けられ一方の主面の所定の一辺に沿って搭載パッド111が設けられ他方の主面に外部接続端子112が設けられている素子搭載部材110となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハWであって、この素子搭載部材ウエハWの素子搭載部材110となる部分の搭載パッド111の所定の2辺に沿って導電性接着剤120をスクリーン印刷によって塗布しているので、従来の水晶振動子200の製造方法のようなディスペンサ装置を用いることなく導電性接着剤120を塗布することができる。
このため、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法は、従来の水晶振動子200の製造方法と比較して、導電性接着剤120を所定の位置に所定の形状で容易に塗布することができ、生産性を向上させることができる。
【0074】
また、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、平板状の矩形形状に設けられ一方の主面の所定の一辺に沿って搭載パッド111が設けられ他方の主面に外部接続端子112が設けられている素子搭載部材110となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハWであって、素子搭載部材110の一方の主面を見たとき、素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に平行な搭載パッド111の辺及び素子搭載部材110となる部分の外縁側を向きつつ素子搭載部材110となる部分の所定の一辺に垂直な搭載パッド111の辺に沿った位置にスクリーン印刷法によって導電性接着剤120が塗布されるので、
従来の水晶振動子200の製造方法と比較して励振電極132から離れた位置で接着させることができる。
このため、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、従来の水晶振動子200の製造方法と比較して接着による振動部の振動への影響を抑えることができ、クリスタルインピーダンスが高いといった不良を抑えることができる。従って、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、従来の水晶振動子200の製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0075】
また、本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、素子搭載部材110となる部分の搭載パッド111に塗布された導電性接着剤120であって、搭載パッド111と導電性接着剤120とが接する面に対向する導電性接着剤120の面が素子搭載部材110となる部分の主面に平行となっており、この搭載パッド111と導電性接着剤120とが接する面に対向する導電性接着剤120の面に水晶振動素子130が配置されるので、水晶振動素子130の水晶片131の主面と素子搭載部材110の主面とが平行な状態で配置される。
従って、本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、素子搭載部材110となる部分に搭載されている水晶振動素子130の自由端が素子搭載部材110又は蓋部材140に接することなく、水晶振動素子130が素子搭載部材110となる部分に搭載されるので、水晶振動素子130の自由端が素子搭載部材110又は蓋部材140に接触することによるクリスタルインピーダンスが高いといった不良を減らすことができ生産性を向上させることができる。
【0076】
また、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、スクリーン印刷を用いて導電性接着剤120を塗布しているので、ディスペンサ装置を用いずに導電性接着剤120を所定の形状に所定の量を容易に塗布することができる。
このため、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、生産性を向上させることができる。
【0077】
また、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、矩形形状の平板状の素子搭載部材110となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハWに、スクリーン印刷を用いて一度に導電性接着剤120を塗布し、塗布された導電性接着剤120を搭載パッド111と水晶振動素子130の引き出し電極133とで挟んだ状態で、導電性接着剤120を硬化させて素子搭載部材110に水晶振動素子130を搭載しているので、水晶振動素子130の引き出し電極133を水晶片131の両主面に設けることによって、水晶振動素子130の一方の主面と他方の主面を考慮することなく、素子搭載部材110に搭載することができる。
従って、本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法は、水晶振動素子130に導電性接着剤120を塗布した場合と比較すると、水晶振動素子130を素子搭載部材110に容易に搭載することができるので生産性を向上させることができる。
【0078】
また、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、矩形形状の平板状の素子搭載部材110となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハWに、スクリーン印刷を用いて一度に導電性接着剤120を塗布し、塗布された導電性接着剤120を搭載パッド111と水晶振動素子130の引き出し電極133とで挟んだ状態で、導電性接着剤120を硬化させて素子搭載部材110に水晶振動素子130を搭載しているので、素子搭載部材が平板状となっており、従来の水晶振動子の製造方法と比較して、スクリーン印刷を行うときのマスクの形状が複雑でない。
このため、このような本発明の実施形態に係る水晶振動子100の製造方法によれば、
従来の水晶振動子の製造方法と比較して容易に導電性接着剤120を塗布することができ、生産性を向上させることができる。
【0079】
なお、塗布工程で金属からなり貫通穴が設けられているマスクを用いる場合について説明しているが、素子搭載部材となる部分に所定の形状の導電性接着剤を塗布することができれば、例えば、シルクスクリーンマスクを用いてもよい。
シルクスクリーンマスクとは、微細な貫通穴が設けられているメッシュ部と素子搭載部材なる部分の導電性接着剤の塗布される位置に対応した貫通穴が設けられているカバー部とから構成されているマスクである。
【0080】
なお、本発明の実施形態で水晶振動素子の水晶片が矩形形状の平板状になっている場合について説明しているが、水晶片と励振電極と引き出し電極とから構成されていれば、例えば、水晶片の主面に凸部が設けられていてもよし、励振電極が設けられる部分が凹んだ状態又は凸の状態になっていてもよい。
【0081】
また、本発明の実施形態で水晶振動素子の水晶片が矩形形状の平板状になっている場合について説明しているが、水晶片と励振電極と引き出し電極とから構成されていれば、例えば、水晶片が音叉形状となっていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
100,200 水晶振動子
110,210 素子搭載部材
111,211 搭載パッド
112,212 外部接続端子
120,220 導電性接着剤
130,230 水晶振動素子
131,231 水晶片
132,232 励振電極
133,233 引き出し電極
140,240 蓋部材
141,241 凹部空間
250 支持部
W 素子搭載部材ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形形状の平板状に設けられ一方の主面の所定の一辺に沿って搭載パッドが設けられ他方の主面に外部接続端子が設けられている素子搭載部材となる複数の部分が設けられている素子搭載部材ウエハの、前記素子搭載部材となる部分の一方の主面を見たときに、前記素子搭載部材となる部分の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材となる部分の一方の主面の所定の一辺に平行な前記搭載パッドの辺と、前記素子搭載部材となる部分の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材となる部分の一方の主面の所定の一辺に垂直な前記搭載パッドの辺とに沿うように、スクリーン印刷法を用いて導電性接着剤と塗布する塗布工程と、
水晶片と励振電極と引き出し電極とを備えている水晶振動素子の、前記引き出し電極と前記素子搭載部材となる部分の前記搭載パッドとなる部分とで塗布された前記導電性接着剤を挟んだ状態で塗布された前記導電性接着剤を硬化させ、前記素子搭載部材に前記水晶振動素子を搭載する搭載工程と、
凹部空間を備えた蓋部材の、前記凹部空間内に前記素子搭載部材に搭載されている前記水晶振動素子を収納させつつ、前記蓋部材と前記素子搭載部材とを接合し前記水晶振動素子を封止する封止工程と、
前記素子搭載部材ウエハの前記素子搭載部材となる部分ごとに切断し、前記素子搭載部材に搭載されている前記水晶振動素子が封止された状態のまま個片化される個片化工程と、
を備えていることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項2】
矩形形状の平板状に形成され、一方の主面の所定の一辺に四辺形の平板状の搭載パッドが並んで設けられ、他方の主面に外部接続端子が設けられている素子搭載部材と、
水晶片と、前記水晶片に設けられている2つ一対の励振電極と、一方の端部が前記励振電極に接続され他方の端部が前記水晶片の一方の主面の所定の一辺に沿って位置している引き出し電極と、から構成されている水晶振動素子と、
スクリーン印刷によって塗布され前記搭載パッドと前記引き出し電極とで挟んだ状態で硬化されて、前記搭載パッドと前記引き出し電極とを電気的に接続しつつ接着している導電性接着剤と、
一方の主面に凹部空間を備えており、前記搭載パッドと前記引き出し電極とが接着されて前記素子搭載部材に搭載されている前記水晶振動素子を前記凹部空間内に収納しつつ、前記素子搭載部材と接合され前記水晶振動素子を封止する蓋部材と、
から構成されており、
前記導電性接着剤が前記素子搭載部材の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材の一方の主面の所定の一辺に平行な前記搭載パッドの辺と、前記素子搭載部材の外縁側を向きつつ前記素子搭載部材の一方の主面の所定の一辺に垂直な前記搭載パッドの辺とに沿って設けられている
ことを特徴とする水晶振動子。
【請求項3】
請求項2に記載の水晶振動子であって、前記素子搭載部材の一方の主面を見たとき、前記導電性接着剤が前記素子搭載部材の一方の主面の外縁側を向く前記搭載パッドの二辺が接する端部に設けられていることを特徴とする水晶振動子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−99923(P2012−99923A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244138(P2010−244138)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】