説明

求核試薬および一酸化炭素を用いるパラジウム触媒ヌクレオシド修飾方法

【課題】本発明は、パラジウム触媒、求核試薬および一酸化炭素を用いる修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドの製造方法を開示する。
【解決手段】本発明の修飾ヌクレオシドの製造方法は、
ヌクレオシド出発原料の炭素原子に結合した離脱基を有するヌクレオシド出発原料をパラジウム触媒の存在下に求核試薬および一酸化炭素と反応させ、ついで上記修飾ヌクレオシドを単離する工程からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、核酸化学の分野、とくに修飾ヌクレオシドの調製方法に関する。ヌクレオシドはピリミジンまたはプリンとすることができる。本発明のピリミジン化合物はピリミジン環の5−または6−位置で修飾することができる。本発明のプリン化合物はプリン環の2−,6−または8−位置で修飾することができる。とくに好ましくは、本発明は、8−位置で修飾されたプリン化合物および5−位置で修飾されたピリミジン化合物の調製方法を包含する。本発明はまたこの方法で製造された修飾ヌクレオシドを包含する。本発明はまた、修飾ヌクレオシドの抗ウイルス剤、抗細菌剤、抗かび剤もしくは抗新生物剤としてまたはオリゴヌクレオチドの一部としての使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ごく最近まで、オリゴヌクレオチドには厳密な意味での情報的機能以外の機能について考慮されたことはなかった。ある種のオリゴヌクレオチドが興味ある構造的可能性をもち(たとえばt−RNA)、また他のオリゴヌクレオチドが実際ポリペプチドによって特異的に結合されるという事実にもかかわらず、オリゴヌクレオチドの非情報的能力に焦点を定めた注目はほとんど払われたことがなかったのである。とくにこの理由から、オリゴヌクレオチドを医薬化合物として使用することが考慮されることもほとんどなかった。
【0003】
現在は、オリゴヌクレオチドの医薬としての使用に関する重要な研究を導いてきた少なくとも3つの領域の探究がある。これらの領域の最前線では、タンパク質の発現防止または多様な細胞機能の遮断のため、アンチセンスオリゴヌクレオチドが生体内のある領域への結合に用いられている。触媒機能をもつRNA種−リボザイム−の発見は所望の効果を達成する細胞内反応を実施するために作動するRNAが考慮される段階に達している。最後に、セレックス法(SELEX;Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)の発見は、生物学的に興味のあるほとんどすべての標的に結合するオリゴヌクレオチドが同定できるという研究コミュニティーを示してきた。
【0004】
遺伝子発現の制御方法としてのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用およびオリゴヌクレオチドを医薬素材として使用する可能性は、それらの治療的活性を増大させるため、オリゴヌクレオチドに様々な化学的修飾を導入する研究を促進してきた。このような修飾は、オリゴヌクレオチドの細胞透過性の増大、ヌクレアーゼおよびオリゴヌクレオチドアナローグの構造もしくは活性を分解もしくは妨害する他の酵素からの生体内におけるそれらの安定化、標的化された核酸に対するそれらの結合の増強、標的化された核酸への配列特異的な結合後におけるある様式での分裂(終結現象)の提供、およびそれらの薬物動態学的性質の改良のために設計される。たとえばPCT特許出願公開WO91/14696号(発明の名称:Oligonucleotide-Transport Agent Disulfide Conjugates)には、アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞内侵入を増強する化学的修飾法が記載されている。
【0005】
エキソヌクレアーゼによる分解に対してオリゴヌクレオチドを抵抗性にするためには様々な方法が使用されてきた。PCT特許出願公開WO90/15065号(発明の名称:Exonuclease-Resistant Oligonucleotides and Methods for Preparing the Same)には、オリゴヌクレオチドの5’および/または3’末端に2個またはそれ以上のホスホロアミダイトとホスホロモノチオネートおよび/またはホ20スホロジチオネート連鎖を導入することによるエキソヌクレアーゼ抵抗性オリゴヌクレオチドの作成方法が記載されている。PCT特許出願公開WO91/06629号(発明の名称:Oligonucleotide Analogs with Novel Linkages)には、隣接したヌクレオチドの間の1個または2個以上のホスポジエステル結合がRNAもしくはDNAを結合できるホルムアセタール/ケタール型結合によって置換されたオリゴヌクレオチド化合物が記載されている。
【0006】
エンドヌクレアーゼによる切断に対してRNAを安定化する通常の戦略はリボヌクレオチドの2’位置を修飾することである。塩基特異的なエンドヌクレアーゼ切断に対する安定化のアプローチには、酵素による塩基認識の妨害を使用することができる。この修飾には、数種の戦略たとえば、2’−アミノおよび2’−フルオロ[Hobbsら(1973) Biochemistry 12: 5138; Guschlbauerら(1977) Nucleic Acids Res. 4:1993]および2’−OCH[Shibaharaら(1987) 15: 4403; Sproatら(1989) Nucleic Acids Res. 17: 3373]による修飾が知られている。PCT特許出願公開WO91/06556号(発明の名称:2' Modified Oligonucleotides)には2’位置に置換基をもっヌクレアーゼ抵抗性オリゴマーが記載されている。PCT特許出願公開番号WO91/10671号(発明の名称:Compositions and Methods for Detecting and Modulating RNA Activity and Gene Expression)には2’−位置が化学的に修飾され、触媒、アルキル化または他の方法でRNAの切断に影響することが可能な反応部分、標的化部分、および標的化部分と反応部分を連結するための結合部分を含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドが記載されている。
【0007】
ピリミジンの5−位置も化学的に修飾することができる。ピリミジンのC−5位置への修飾の導入では、ピリミジン特異的エンドヌクレアーゼによる認識の妨害が期待できる。しかしながら、このコンセプトはリボヌクレオチドの2’−位置の修飾の場合のようにクリアーカットではない。
【0008】
ピリミジンヌクレオシドの5−位置における炭素−炭素結合の形成を触媒するためのパラジウムの使用は既知である。ピリミジンの5−位置の修飾のための優れた方法は米国特許5,428,149号(発明の名称:Method for Palladium Catalysed Carbon-Carbon Coupling and Product)に記載されている。この特許明細書は引用によりその全体が本明細書に導入される。5−位置ピリミジンの修飾の最初の例はBergstrom[Bergstromら(1976) J.Am.Chem.Soc., 98: 1587; (1978) J.Org.Chem. 43: 2870; (1981) J.Org.Chem. 46: 1432 & 2870; (1982) J.Org.Chem., 47: 2174]およびDaves[Arai & Daves (1978) J.Am.Chem.Soc. 100: 287; Lee & Daves (1983) J.Org.Chem. 48: 2870]によって証明された。BergstromおよびDavesはDreyer & Dervan[(1985) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82: 968]によって用いられたのと同じ5−水銀−デオキシウリジン化合物を、オリゴヌクレオチドに官能基を結合させるために使用した。
【0009】
ウリジンの5−位置への単純な炭素−炭素カップリング反応のための一方法は、Crisp (1989) Syn.Commun. 19: 2117の論文に記載されている。Crispは、保護された5−ヨード−2’−デオキシウリジンをアセトニトリル中Pd(II)触媒の存在下にアルケニルスタナンと反応させることによって、5−位が官能化されたデオキシウリジンを形成している。
【0010】
現在までパラジウム触媒を用いてプリンヌクレオッドを修飾する研究はほとんど行われていない。Aeroschotら[(1993) J.Med.Chem. 36: 2938-2942] は2−,6−および8−ハロゲン化アデノシンが対称有機錫試薬で修飾できることを報告している。しかしながら、対称有機錫化合物は広範囲には利用できない。Sesslerら[(1993) J.Am.Chem. 115: 10418-10419]は保護された8−プロモグアノシンの4−トリブチル錫ベンズアルデヒドによるアリール化を記載している。しかしながらこの操作を用いた場合、出発原料の有意な量(28%)が反応しなかった。パラジウム触媒を用いプリンヌクレオシドを修飾する優れた方法が1994年12月01日出願米国特許出願一連番号第08/347,600号(発明の名称:Purine Nucleoside Modification by Palladium Catalyzed Methods)に記載されている。この出願は引用によりその全体が本明細書に導入される。
【0011】
さらに、パラジウム触媒アミド化の領域においてもほとんど研究は行われていない。Schoenbergら[J.Org.Chem. (1974) 39: 3327]はアリールおよびアルケニルハライドのアミド化を記載しているが、この研究にはヌクレオチド基質もまたPdL触媒の使用も含まれたいない。
【0012】
セレックス(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)は、「核酸抗体」と呼ばれる核酸リガンドたとえば標的分子に選択的に結合する核酸の同定および製造方法である[Tuerk & Gold (1990) Science 249: 505]。この方法は、実際に任意所望の規準の親和性および選択性を達成するために同一の一般的選択スキームを用い、候補混合物からの選択および構造的改良の段階的反復を包含する。核酸混合物に出発し、この方法は、混合物を標的と相互作用に有利な条件下に接触させ、標的分子と相互作用した核酸から非相互作用核酸を分配し、核酸−標的対を解離させ、核酸−標的対から解離した核酸を増幅させて標的と相互作用する核酸が濃縮された核酸の混合物を得、ついで相互作用、分配、解離および増幅の工程を所望の回数再反復する工程を包含する。
【0013】
本発明の方法は、修飾ヌクレオチドを含有する核酸を製造するためにセレックス法と組み合わせることができる。修飾ヌクレオチドの存在によって、標的分子と相互作用する能力が増強された改変構造を有する核酸を生成させることができる。修飾ヌクレオシドの立体的および電気的影響もヌクレアーゼによる分解を防止するように作用する。オリゴヌクレオチドへの修飾ヌクレオチドの導入は、本技術分野の熟練者には周知の通りである[Dewey,T.ら,J.Am.Chem.Soc. (1995) 117: 8474-8475; Walker G.C.ら,Biochemistry (1975) 14: 817-823; Connolly, B.A. 155-183頁,In Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach (1991), F. Eckstein編,IRL Press, NewYork]。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明の簡単な概要
本発明は、パラジウム触媒と求核試薬および一酸化炭素を用いてヌクレオシド環の様々な位置に化学残基を導入する新規な方法を包含する。好ましくは、修飾はピリミジン環の5−もしくは6−位置またはプリン環の2−,6−または8−位置に行われる。とくに好ましくは、修飾はピリミジン環の5−位置およびプリン環の8−位置に存在する。ヌクレオシド環のとくに好ましい修飾にはアミドまたはエステル残基の導入が包含される。とくに好ましい修飾のためには、求核試薬は一級または二級アミンである。
【0015】
本発明は、広範囲の修飾ヌクレオシド分子を製造するための反応スキームを包含する。修飾ヌクレオシドの製造において鍵になる要素は求核試薬および一酸化炭素と組み合わせたパラジウム触媒の使用である。
【0016】
さらに特定すれば、本発明はヌクレオシド出発原料の炭素原子に結合した離脱基を含有するヌクレオシド出発原料をパラジウム触媒の存在下に求核試薬および一酸化炭素と反応させ、っいで修飾ヌクレオシドを単離する工程からなる修飾ヌクレオシドの製造方法を提供する。この方法によって製造される修飾ヌクレオシドも本発明に包含される。
【0017】
本発明はさらに、修飾ヌクレオシドが2’−位または3’−位で修飾された糖にカップリングさせる安定化された核酸の製造方法を包含する。
【0018】
本発明の修飾ヌクレオシドは、それらに限定されるものではないが、抗ウイルス剤、抗細菌剤、抗かび剤もしくは抗新生物剤としての使用およびオリゴヌクレオチドの一部としての使用を含む多くの用途を有する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、ヌクレオシド出発原料をパラジウム触媒の存在下に求核試薬および一酸化炭素と反応させることによるヌクレオシド環の修飾方法を包含する。本発明はピリミジンおよびプリン両者の修飾を包含する。ピリミジンは以下の構造および慣用位置番号を有する。
【0020】
【化1】

【0021】
ピリミジン環は5−または6−位置で修飾することが可能であり、とくに好ましくは5−位置が修飾される。プリンは以下の構造および慣用位置番号を有する。
【0022】
【化2】

【0023】
プリンはプリン環の2−,6−または8−位置で修飾することが可能で、とくに好ましくは8−位置が修飾される。本発明によればヌクレオシド環への様々な修飾の導入が意図される。しかしながら、ヌクレオシド環へのとくに好ましい修飾にはアミドまたはエステル残基の導入が包含される。好ましい修飾においては、カルボキシアミド化反応のための求核試薬は一級または二級アミンである。
【0024】
本発明は、本発明の方法によって製造できるすべての新規化合物に及ぶものである。本発明にはまた、本発明の新規な置換ヌクレオシド1個または2個以上を含有するオリゴヌクレオチドも包含される。本発明はまた、様々な医薬領域とくに抗ウイルス剤、抗細菌剤、抗かび剤もしくは抗新生物剤としての修飾ヌクレオシドの使用を包含する。
【0025】
本発明の一般的な反応は以下の式によって特徴づけることができる。
【0026】
【化3】

【0027】
本明細書において用いられる「修飾ヌクレオシド」の語は任意のヌクレオシド塩基、ヌクレオシドまたは本発明の方法によって調製されるヌクレオチドを包含することを意図するものである。ヌクレオシド塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの語は本明細書では互いに交換して使用することができる。本発明の修飾ヌクレオシドはその塩基および糖に様々の他の修飾を含有することができる。
【0028】
「ヌクレオシド出発原料」とは、本明細書においては、受け入れられる離脱基(X)を有する任意のヌクレオシド塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチドと定義される。ヌクレオシド出発原料には、すべてのヌクレオシド、天然に存在するおよび天然に存在しないヌクレオシドの両者が包含される。好ましくは、ヌクレオシド出発原料には、ウラシル、チミン、シトシン、アデニンおよびグアニンまたはそれらの保護された誘導体を含むプリンおよびピリミジンが包含される。ある実施態様においては、保護された誘導体にはR″がジメチルホルムアミド、またはアシル基、好ましくはイソブチリル、アセチル、フェノキシアセチルおよびベンゾイルからなる群より選択されるアシル基である誘導体が包含される。保護されていないヌクレオシドにおいてはR″はHである。離脱基はヌクレオシド出発原料の任意の遊離炭素に結合させることができる。受け入れられる離脱基は触媒反応の間に除去され、C(O)YR化学残基によって置換され本発明の修飾塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチドを生成する。ヌクレオシド出発原料は、リボース、デオキシリボース、ジデオキシリボースおよびそれらの2’,3’または5’修飾の任意の組合せの形態で結合した糖残基を有することができる。本発明では、上述の糖残基およびそれらの任意の適当な誘導体、たとえばヒドロキシル基が一部またはすべて保護されたリボースまたは2’−デオキシリボースが意図される。たとえば、5’−ヒドロキシルはモノ−,ジ−またはトリ−ホスフェートとして存在することができる。
【0029】
「ピリミジン出発原料」は本明細書においては、結合した受け入れられる離脱基(X)を有するピリミジン塩基、ピリミジンヌクレオシドまたはピリミジンヌクレオチドと定義される。ピリミジン出発原料には、すべてのピリミジン、天然に存在するおよび天然に存在しないピリミジンの両者が包含される。好ましくはピリミジン出発原料には、ウラシル、チミンおよびシトシン、またはそれらの保護された誘導体が包含される。離脱基はヌクレオシド塩基の任意の遊離炭素、好ましくは5−または6−位置に結合させることができる。最も好ましい結合位置はピリミジン環の5−位置である。受け入れられる離脱基は触媒反応の間に除去され、化学残基C(○)YRによって置換されて修飾ピリミジンを生成する。ピリミジン出発原料は、リボース、デオキシリボース、ジデオキシリボースおよびそれらの2’,3’または5’修飾の任意の組合せの形態で結合した糖残基を有することができる。本発明では、上述の糖残基およびそれらの任意の適当な誘導体、たとえばヒドロキシル基が一部またはすべて保護されたリボースまたは2’−デオキシリボースが意図される。たとえば、5’−ヒドロキシルはモノ−,ジ−またはトリ−ボスフェートとして存在することができる。
【0030】
「プリン出発原料」は、本明細書においては、結合した受け入れられる離脱基(X)を有するプリン塩基、プリンヌクレオシドまたはプリンヌクレオチドと定義される。プリン出発原料には、アデニンおよびグアニン出発原料またはそれらの保護された誘導体が包含される。離脱基は、プリン塩基の任意の炭素、好ましくはプリン環の2−,6−または8−位置に結合させることができる。最も好ましい結合位置は8−位置である。受け入れられる離脱基は触媒反応の間に除去され、C(0)YR化学残基によって置換されて修飾プリンを生成する。プリン出発原料は、リボース、デオキシリボース、ジデオキシリボースおよびそれらの2’,3’または5’修飾の任意の組合せの形態で結合した糖残基を有することができる。本発明では、上述の糖残基およびそれらの任意の適当な誘導体、たとえばヒドロキシル基が一部またはすべて保護されたリボースまたは2’−デオキシリボースが意図される。たとえば、5’−ヒドロキシルはモノ−,ジ−またはトリ−ホスフェートとして存在することができる。
【0031】
「受け入れられる離脱基」は、本明細書においてはパラジウム(II)の適当な対イオンである基として定義され、本明細書においてはXで表示される。本発明の最も一般的な実施態様においては、Xは本技術分野の熟練者には周知の多くの受け入れられる離脱基の任意の基である。受け入れられる離脱基には、それらに限定されるものではないが、アセテート、トリフルオロアセテート、トリフルオロメチルスルポネート、トシレート、メタンスルポネートならびにホウ酸エステルおよび遊離酸が包含される。好ましい実施態様ではXはハロゲンであり、最も好ましい実施態様ではXは臭素またはヨウ素である。離脱基は本技術分野の通常の熟練者には周知の方法によってプリン出発原料の炭素原子に結合させる。
【0032】
「求核試薬」は本明細書においては、本技術分野の通常の熟練者の理解と同様であると定義される。とくに、求核試薬は離脱基を置換できる電子に富む化学残基である。触媒反応の本質により、上記ヌクレオシド出発原料と上記求核試薬の間にCOが挿入される。求核置換反応に使用できる有用な求核試薬は本技術分野の熟練者に知られている通りである。好ましい求核試薬の例には、それらに限定されるものではないが、アミン、アルコールおよびチオールがある。
【0033】
好ましい実施態様においては、本発明に用いられる求核試薬の一般的構造は、RYH(式中,Y=0,S,NHまたはNR’)である。RおよびR’は芳香族、脂肪族または異項環の環状構造の一部であってもよい。本発明の好ましい実施態様においては、求核試薬(RYH)は脂肪族または芳香族、一級または二級アミン(環状アミンを含む)、アルコールおよびチオールからなる群より選択され、この場合、RおよびR′は、置換または非置換C〜C20アルキル(直鎖状または分岐状)、C〜C20アルケニル(直鎖状または分岐状)、アリール、異項環、ならびに天然および非天然アミノ酸からなる群より選択される。
【0034】
好ましい実施態様においては、求核試薬は構造RYHを有し、式中、
Yは、O,SおよびNHからなる群より選択され、
Rは、(CH(CH(式中、lは0,1または2であり、mは0〜19であり、nは0,1,2または3である)であり、この場合1個または2個以上のHは=O,−OH,=NH,NH,+NMeCl,
【0035】
【化4】

【0036】
またはアミノ酸で置換されていてもよい。
【0037】
本発明の最も好ましい実施態様においては、求核試薬は以下の群
【0038】
【化5】

【0039】
から選択される。
【0040】
求核試薬のRおよびR’基は、本発明によって調製されるヌクレオシドに広範囲の機能性能力を導入するために使用できる多様な官能基を包含することができる。求核性官能基には本技術分野の通常の熟練者には明らかなように、とくに、アミド、エステル、ニトリル、ニトロ、尿素、ハライド、シアナート、アルコール、アミン、エーテル、チオール、アリール置換基等を包含することができる。求核試薬上の水素または官能基の任意の置換が、定義の目的においては「置換」と呼ばれる。
【0041】
本発明のパラジウム触媒は、最も一般的には、PdLまたはPdL(式中、Lは一般的に用いられる多くのパラジウムリガンドの一つである)として特徴づけることができる。パラジウム触媒は予め形成されていても(たとえばPdL,Lはトリフェニル等である)、また本技術分野の通常の熟練者には周知のように、Pd(0)またはPd(II)およびホスフィンリガンドからインシトゥで作成されてもよい(たとえば、[ビス(ベンジリデンアセトン)Pd(0)],Pd(OAc)など)。PdLは本発明の好ましいパラジウム触媒である。使用できる多様なリガンドの選択は本技術分野の熟練者の技術および知識の範囲内である。一般的なリガンド(L)の例としては、それらに限定されるものではないが、PPh,(o−tol)P,P(p−CSONa),CHCN,DMSO,N,N−ジメチルホルムアミド(DMF),
【0042】
【化6】

【0043】
がある。本発明の触媒種の好ましい実施態様においては、LはPPh(トリフエニルポスフィンもしくはP(C)またはP(p−CSONa)である。本発明の触媒の一部の調製は、1993年06月14日出願の米国特許第5,428,149号(発明の名称:Method for Palladium Catalyzed Carbon-Carbon Coupling and Products)に記載されている。この記載は引用により本明細書に導入される。
【0044】
ある種の実施態様においては、反応中に付加的な塩基性、非求核性成分を包含させることが有利である。望ましい塩基の例としてはそれらに限定されるものではないが、EtN,EtN(iPr),1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)がある。この反応に使用できる溶媒にはアセトニトリル、15ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルポキシド、水、THF,ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)およびヘキサメチルポスホン酸トリアミド(HMPT)がある。反応の温度範囲は通常60〜100℃であるが、他の適当な温度範囲も意図される。
【0045】
本発明の好ましい実施態様においては、以下の反応原料濃度および反応条件が有用である。すなわち、求核試薬は、好ましくは0.0〜2.0Mの範囲で使用される。パラジウム触媒の濃度は0.0005〜0.2Mの範囲とすることができる。COの圧力は10〜1000psiの範囲とすることができる。ヌクレオシド出発原料の濃度は0.010〜1.0Mの範囲とすることができる。
【0046】
本発明の修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドはオリゴヌクレオチド中に用いることが意図される。ヌクレオシドをオリゴヌクレオチドに導入するための標準的方法に本発明の修飾ヌクレオシドを使用することができる。典型的には、本発明のオリゴヌクレオチドは500塩基未満、通常は100塩基未満、とくに好ましくは50塩基未満である。修飾ヌクレオシドはインビトロ転写操作に適している。修飾ヌクレオシドを含有するオリゴヌクレオチドは多くの様々な有用性を有する。本発明のオリゴヌクレオチドはとくに生物学的標的と相互作用するか、または促進活性を有する。オリゴヌクレオチドは様々な診断的適用にも使用できる。
【0047】
ヌクレオシドまたはヌクレオチドは抗新生物、抗細菌、抗かびまたは抗ウイルス活性を示す場合もある。これらのヌクレオシドおよびヌクレオチドには他の治療活性が証明されるものもある。このような活性を測定するための標準アッセイは通常の熟練者には周知である。処方および投与経路は本技術分野の通常の熟練者にはよく知られている。さらに、本発明のヌクレオシドおよびヌクレオチドの送達システムとしてプロドラッグ技術を使用することもできる。とくに、本発明のヌクレオシドまたはヌクレオチドは、様々な性質の中でとくに薬理学的特性および経口利用性を改良するために脂質に結合させることができる。とくに、本発明のヌクレオシドおよびヌクレオチドの5’−ジアシルグリセロ−またはジアルキルグリセロホスフェート誘導体は有用である。修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドはとくに抗ウイルス薬としての適用に興味がもたれる。ヌクレオシドおよび非ヌクレオシドのジアシルグリセロホスフェートは米国特許第5,223,263号に記載のように、薬物動態学的挙動の改良、生物学的利用性の改良、および毒性の改善のために使用されている。この記載は引用により本明細書に導入される。
【0048】
血清中におけるエンドヌクレアーゼの分解に対する安定性はリガンドのピリミジン位置に2’−デオキシ−2’−フルオロまたは2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドを導入することによって達成できる[Piekenら (1991) Science 253: 314]。本発明の修飾ヌクレオシドはまた、様々な状況で同じく有用な2’−置換種とカップリングきせることもできる。ハロゲン化ヌクレオシドの導入がリガンド−標的間相互作用の増強に価値があることもわかっている。
【実施例】
【0049】
実施例
以下の実施例は本発明の製造方法および生成物の好ましい実施態様を例示するものであり、本発明をそれらに限定するものではない。
【0050】
実施例1
プリンのアミンによる修飾
表Iの修飾プリンを製造するために以下の一般操作を用いた。
【0051】
一般スキーム
【0052】
【化7】

【0053】
特定スキーム
【0054】
【化8】

【0055】
特定スキームに使用できる各種ヌクレオシド塩基出発原料
【0056】
【化9】

【0057】
【表1】

【0058】
反応ではCOの挿入がなく求核試薬にヌクレオシド塩基出発原料が直接カップリングした副生成物16%を生じた。
【0059】
反応ではCOの挿入がなく求核試薬にヌクレオシド塩基出発原料が直接カップリングした副生成物15%を生じた。
【0060】
反応ではCOの挿入がなく求核試薬にヌクレオシド塩基出発原料が直接カップリングした副生成物14%、およびCOが挿入されアミンではなくヒドロキシドが求核試薬として働いた副生成物14%が生じた。
【0061】
表Iの修飾プリンヌクレオシドの製造は以下の一般操作に従った。
【0062】
一般操作:Hおよび13C NMRスペクトルは内部標準として重水素化溶媒を用いてBruker ARX-300スペクトロメーターによりCDOD,DO,CDClまたはDMSO−d中において測定した。陽イオン高速原子衝撃質量スペクトル(FAB)はカリフォルニア大学バークレー校質量分析施設にて実施した。
【0063】
材料:8−ブロモアデノシン、8−ブロモグアノシン二水和物、モルホリン、n−ブチルアミン、イソプロピルアミン、tert−ブチルアミン、アニリン、4−アミノメチルピリジン、(2−アミノエチル)トリメチルアンモニウムクロリド、アルギニンエチルエステル、エタノールアミン、トリエチルアミン、DMFおよびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)はAldrich Chemical Companyから購入し、とくに記載のない限りそのまま使用した。N−(2−アミノエチル)ビオチンアミド臭化水素酸塩はMolecular Probes, Inc.から購入した。
【0064】
パラジウム触媒カップリング反応の一般操作:テフロン(登録商標)バルブ付き耐圧ガラス瓶に、表Iに記載のヌクレオシド(0.5ミリモル)、表Iに記載のアミン求核試薬(1.0ミリモル)、Pd(PPh(0.0015ミリモル)、トリエチルアミン(1.0ミリモル)およびDMF(またはDMA)を添加した。耐圧ガラス瓶から空気を抜きCO(50psi)を充填し、ついで所望の温度に24時間加熱した。溶媒を除去し、残留物を真空中メタノール(5〜30%)とメチレンクロリドの混合物を用いるシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィー、および/またはメタノールもしくはイソプロパノールによる再結晶によって精製した。カップリング生成物のスペクトルデータは次の通りである。
【0065】
化合物4:2’,3’,5’−トリアセチル−8−N−モルホリン−アデノシンカルボキシアミド
【0066】
【化10】

【0067】
HRMS (FAB+) m/z 507.1838(C2126+Hとして計算値507.1840)。
【0068】
化合物5:2’,3’,5’−トリアセチル−8−N−(4−メチルピリジル)−アデノシンカルボキシアミド
【0069】
【化11】

【0070】
HRMS (FAB+) m/z 528.1842(C2325+Hとして計算値528.1843)。
【0071】
化合物6:8−N−(4−ピリジルメチル)−アデノシンカルボキシアミド
【0072】
【化12】

【0073】
HRMS (FAB+) m/z 402.1522(C1719+Hとして計算値402.1526)。
【0074】
化合物7:8−N−(n−ブチル)−アデノシンカルボキシアミド
【0075】
【化13】

【0076】
HRMS (FAB) m/z 367.1723(C1523+Hとして計算値367.1729)。
【0077】
化合物8:8−N−(2−プロピル)−アデノシンカルボキシアミド
【0078】
【化14】

【0079】
HRMS (FAB+) m/z 353.1574(C1420+Hとして計算値353.1573)。
【0080】
化合物9:8−N−(t−ブチル)−アデノシンカルボキシアミド
【0081】
【化15】

【0082】
HRMS (FAB+) m/z 367.1723(C1522+Hとして計算値367.1717)。
【0083】
化合物10:8−N−フェニル−アデノシンカルボキシアミド
【0084】
【化16】

【0085】
HRMS (FAB+) m/z 387.1419(C1718+Hとして計算値387.1417)。
【0086】
化合物11:8−N−(2−(N’,N’,N’−トリメチルアンモニウム)エチル)−アデノシンカルボキシアミドクロリド
【0087】
【化17】

【0088】
HRMS (FAB+) m/z 396.1995(C1626Clとして計算値396.1995)。
【0089】
化合物12:8−N−(2−ヒドロキシエチル)−アデノシンカルボキシアミド
【0090】
【化18】

【0091】
HRMS (FAB+) m/z 355.1372(C1318+Hとして計算値355.1366)。
【0092】
化合物13:8−N−(アルギニンエチルエステル)−アデノシンカルボキシアミド
【0093】
【化19】

【0094】
HRMS (FAB+) m/z(C1718+Hとして計算値387.1417)。
【0095】
化合物14:8−N−(t−ブチル)−グアノシンカルボキシアミド
【0096】
【化20】

【0097】
HRMS (FAB+) m/z 383.1676(C1522+Hとして計算値383.167256)。
【0098】
化合物15:8−N−(2−(N’,N’,N’−トリメチルアンモニウム)エチル)−グアノシンカルボキシアミドクロリド
【0099】
【化21】

【0100】
HRMS (FAB+) m/z 412.1950(C1626Clとして計算値412.1945)。
【0101】
化合物16:8−N−(アルギニンエチルエステル)−グアノシンカルボキシアミド
【0102】
【化22】

【0103】
HRMS (FAB+) m/z 512.2219(C1929+Hとして計算値512.2217)。
【0104】
化合物17:8−N−(4−ピリジルメチル)−グアノシンカルボキシアミド
【0105】
【化23】

【0106】
HRMS (FAB+) m/z 418.1482(C1921+Hとして計算値418.1488)。
【0107】
化合物18:8−N−(2−アミノエチルビオチンアミド)−グアノシンカルボキシアミド
【0108】
【化24】

【0109】
HRMS (FAB+) m/z 596.2251(C2333+Hとして,計算値:596.2264)。
実施例2
アルコールによるプリン修飾
実施例1に略述した一般操作に従い、以下のスキームによって記載される修飾プリンを製造し、以下の結果を得た。
【0110】
【化25】

【0111】
実施例3
アミンおよびアルコールによるウリジン修飾
表II記載の修飾ウリジンヌクレオシドの製造のために以下の操作を用いた。
【0112】
一般スキーム
【0113】
【化26】

【0114】
特定スキーム
【0115】
【化27】

【0116】
【表2】

【0117】
出発原料の合成
化合物22は文献記載[P.K.Chang & A.D.Welch, J.Med.Chem. (1963), 6: 428]の操作に従って調製した。他の出発原料(化合物19〜21)は以下の操作によって合成した。
【0118】
化合物19.5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
300mLのアセトン中5.00g(13.5ミリモル)の5−ヨードウリジンの溶液を攪拌し、これにp−トルエンスルホン酸250mg(1.30ミリモル)を加えた。フラスコには4Åモルキュラーシープを充墳した滴下ろ斗および還流冷却器を装着した。溶液を還流温度に2時間加熱すると固体はすべて溶消した。フラスコを放置して室温まで冷却させ、溶液を真空中で濃縮した。この溶液をアセトンに溶かして、シリカのプラグを通してろ過しろ液を濃縮すると淡黄色の固体が得られた。この物質をエタノールから再結晶すると生成物が白色の針状晶として定量的な収率で生成した。
【0119】
化合物20.5’−DMT−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
1.0mLの無水DMFおよび1.8mLの無水ピリジン中5−ヨード−2’,3’−イソプロピリデンウリジン820mg(2.00ミリモル)の溶液をアルゴン下に攪拌し、これに4−ジメチルアミノピリジン24.4mg(0.20ミリモル)およびDMTCl(2.20ミリモル)を添加した。溶液を室温で一夜攪拌し、150mLの酢酸エチルで希釈し、3×75mLのHO,1×50mLの食塩水で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上40%EtOAc/ヘキサンで精製すると1.28g(収率90%)の生成物が白色の固体として得られた。
【0120】
化合物21.5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
無水ピリジン1.9mL中1.00g(2.40ミリモル)の5−ヨード−2’,3’−イソプロピリデンウリジンの溶液を攪拌し、これにTBDMSCl 724mg(4.80ミリモル)を添加した。溶液を室温で一夜攪拌し、30mLの酢酸エチルで希釈し、3×20mLのHO,1×20mLの食塩水で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上30%EtOAc/ヘキサンで精製すると1.15g(収率91%)の生成物が白色の固体として得られた。
【0121】
修飾ウリジンの合成
表IIに記載の修飾ウリジンは以下のように合成した。
【0122】
化合物23.5−(N−ブチルカルボキシアミド)−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
アルゴン雰囲気のグローブボックス内において300mLのステンレス鋼のパールボンベに5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン(0.351g,1.00ミリモル,3.0mLのTHF中)、10mLの1.0 M EtN/THF(10ミリモル)、THF中1.0M n−ブチルアミン3.0mL(3.0ミリモル)およびテトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0.116g,0.100ミリモル)を加えた。ボンベを密栓し、ボックスから取り出し、空気を除去して100psiのCOを3回充墳し、70℃に24時間加熱した。ボンベを放置して温度を室温まで低下させて、換気フード内で注意深く排気し、揮発成分を真空中で除去した。粗製の反応物質をシリカゲル上5%MeOH/CHClを用いて精製すると、生成物が黄色の固体(0.251g,収率65%)として得られた。分析用サンプルはMeOHから再結晶して羽毛状白色針状晶の生成物として得られた。
【0123】
【化28】

【0124】
HRMS:C1726として計算値(測定値)384.1771(384.1772)。元素分析:C1725として計算値(測定値):C 53.26(53.46);H 6.57(6.53);N 10.96(10.98)。
【0125】
化合物24.5−[N−(4−ピリジルメチル)カルボキシアミド1−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
肉厚耐圧ガラスボンベに224mg(0.542ミリモル)の2’,3’−イソプロピリデン−5−ヨードウリジン、63mg(0.0542ミリモル)のテトラキス(トリフェニルポスフィン)パラジウムおよび固体が溶けるまで無水ピリジンを加えた。ついでピリジンを真空中で除去し、固体を一夜真空下に乾燥した。ついで耐圧ボンべにアルゴン下4mLの無水THF,0.75mLのトリエチルアミン(5.42ミリモル)および0.22mLの4−アミノメチルピリジン(2.17ミリモル)を加えた。ボンベから空気を除去してCOを3回充墳し、70℃に2.5日間加熱した。ボンベを放置して温度を室温まで低下させ、溶媒を真空中で除去し、粗製の物質をシリカゲルのパッド上にジクロロメタンを用い負荷した。パッドをジクロロメタンで溶出し、ついで所望の生成物を10%MeOH/CHClで溶出し、真空中で濃縮して淡黄色の固体を得た。この物質をシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、5%MeOH/CHClで溶出すると201mg(収率89%)の生成物が淡黄色の固体として得られた。この物質をメタノールから再結晶すると純粋な生成物の分析用サンプルが白色針状晶として得られた。
【0126】
【化29】

【0127】
HRMS:C1923として、計算値(測定値)419.1567(419.1569)。UVスペクトル:λmax 276nm(ε=13730 M−1cm−1)。
【0128】
5−〔N−(4−ピリジルメチル)カルボキシアミド〕−5’−トリホスフェート−ウリジン
記載のようにして調製された5’−ヒドロキシル化合物をLudwig & Eckstein, J.Org.Chem. 1989, 54, 631-635の改変操作を用いて5’−トリホスフェートに変換した。HO中でDowex H 50W×80と70℃で攪拌して2’,3’−O−イソプロピリデン保護基を除去したのち、粗製のトリホスフェートを順次DEAE Sephadex陰イオン交換樹脂ならびにC18 RP−HPLC上、移動相として100mM EtNHHCOならびにCHCNを用いて精製した。化合物の純度は分析用C18 RP−HPLC,Hおよび31P NMR(DO)によってチェックし、その276nm(ε=13700M−1cm−1)におけるUV吸収によって定量した。
【0129】
化合物25.5−(N−フェニルカルボキシアミド)−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
アルゴン雰囲気のグローブボックス内において肉厚ガラスボンベに2’,3’−イソプロピリデン−5−ヨードウリジン(0.261g,0.636ミリモル)、テトラキス(トリフェニルポスフィン)パラジウム(0.083g,0.072ミリモル)および4.5mLの1.OM EtN/THF(4.5ミリモル)を加えた。ボンベを密栓し、ボックスから取り出し、アルゴン下にシリンジを通して0.3mLのアニリンを添加した。フラスコの空気を除去し50psiのCOを3回充填し、70℃に2日間加熱した。ボンベを放置して温度を室温まで低下させ、真空中で濃縮し、シリカゲル上4〜6.5%MeOH・NH/CHClを用いてフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、わずかに黄色の固体が得られた。この物質をメタノールから再結晶すると純粋な生成物52mg(収率20%)が微小白色針状晶として得られた。
【0130】
【化30】

【0131】
HRMS:C1922として計算値(測定値)404.1458(404.1468)。
【0132】
化合物26.5’−TBDMS−5−(N−[2−(N’−トリフルオロアセトアミド)エチル]−カルボキシアミド)−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
アルゴン雰囲気のグローブボックス内において、肉厚耐圧ガラスボンベに5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン(0.531g,1.01ミリモル)、テトラキス(トリフェニルポスフィン)パラジウム(0.350g,0.303ミリモル)、Et3N(0.704mL,5.05ミリモル)および2mLの乾燥5THFを加えた。ボンベを密栓し、ボックスから取り出し、陽性アルゴン気流下に0.203mLのエチレンジアミン(3.03ミリモル)を添加した。ボンベをアルゴン下に密栓して、空気を除去し50psiのCOを3回充填し、70℃に一夜加熱した。ボンベを放置して温度を室温まで低下させ、徐々に排気し、真空中で溶媒を除去し、粗製の物質をシリカゲル上25%MeOH・NH/EtOAcを用いて精製10すると、生成物381mg(収率78%)が白色固体として得られた。この物質を以下のようにN−トリフルオロアセトアミドとして保護した。上記生成物381.0mg(0.78ミリモル)の無水CHCl 7.0mL中溶液を0℃にて攪拌しながら、乾燥ピリジン(0.126mL,1.6ミリモル)および(CFCO)O(0.13mL,0.94ミリモル)を添加した。この溶液を0℃で30分間攪拌したのち0.19mLの(CFCO)O(1.33ミリモル)と0.13mLのピリジン(1.7ミリモル)を加えた。30分後、反応混合物を放置して温度を室温まで上昇させ、真空中で濃縮し、シリカゲル上40%EtOAc/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、生成物174mg(収率38%,ヨードウリジン出発原料から収率30%)が白色固体として得られた。
【0133】
【化31】

【0134】
HRMS:C2336Siとして計算値(測定値)581.2254(581.2249)。
【0135】
5’−トリホスフェート−5−[N−(2−アミノエチル)カルボキシアミド]−ウリジン
ウリジンの5’−TBDMS保護エチレンジアミンアミド(上述のように調製)を、CHCN中EtNHによって2日間脱シリル化し、シリカゲル上20%MeOH/CHClを用い精製すると、5’−ヒドロキシル化合物が得られ、Hおよび13C NMR,ならびにFABマススペクトルによって同定された。この化合物を用い、Ludwig & Eckstein, J.Org.Chem. 1989, 54, 531-635の改変操作によって5’−トリホスフェートを調製した。HO中でDowex H+ 50W×80と70℃で攪拌して2’,3’−O−イソプロピリデン保護基を除去したのち、生成物をC18 RP−HPLC上、移動相として0.05M TBK/CHCNを用いて精製すると、所望の生成物が9%の収率で得られた。生成物はHおよび31P NMRならびにFABMSによって確認された。
【0136】
化合物27.5’−DMT−5−カルボメトキシ−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
グローブボックス内において、肉厚小型ガラスボンベに5’−DMT−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン(0.10g/mL溶液1.OmL,0.14ミリモル)を加えた。固体テトラキス(トリフェニルボスフィン)パラジウム(16mg,0.014ミリモル)、ついでTHF中1.0M溶液として0.70ミリモルのEtNおよび無水メタノール(Mg上で真空蒸留)3.0mLを添加した。ボンベの空気を除去し50psiのCOを再充填し(3×)、ついで密栓して70℃で3日間攪拌した。容器を排気し、真空中で溶媒を除去し、ついで残留物を最少量の5%MeOH/CHClに溶解してシリカゲルパッド上に負荷し、順次CHCl(廃棄)および5%MeOH/CHClで溶出した。得られた物質をシリカゲル上、5%MeOH/CHClで精製し無色固体の生成物を得た。
【0137】
【化32】

【0138】
化合物28.5’−TBDMS−5−カルボメトキシ−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
この化合物は5’−DMT保護化合物について上述したように、出発原料として5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジンを用いるほかは同様に調製された。生成物はシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーによって無色の固体として単離された。
【0139】
【化33】

【0140】
HRMS:C2033Siとして計算値(測定値)457.2006(457.2006)。
【0141】
化合物29.5’−TBDMS−5−(N−ヒスチジノールカルボキシアミド)−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
アルゴン雰囲気のグローブボックス内において、肉厚耐圧ガラスボンベに5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン100mg/mL溶液3.5mL(0.491ミリモル)、57mgのテトラキス(トリフェニルポスフィン)パラジウム(0.0491ミリモル)、0.2mLのトリエチルアミン(1.473ミリモル)、および0.5mLのTHFを加えた。ボンベを密栓し、ボックスから取り出し、アルゴン下に、TBDMS保護ヒスチジノールの100mg/mL溶液1.9mL(0.736ミリモル)を添加した。ボンベをアルゴン下に密栓して、空気を除去し50psiのCOを3回充填し、70℃で48時間加熱した。ボンベを放置して温度を室温まで低下させ、排気し、真空中で溶媒を除去した。粗製の物質をシリカゲル上5〜7%または0〜5%MeOH/CHClの勾配によるクロマトグラフィーで精製すると、所望の生成物0.294g(収率69%)が白色固体として得られた。
【0142】
【化34】

【0143】
HRMS:C465710Siとして計算値(測定値)867.3874(867.3884)。
【0144】
化合物30.5’−TBDMS−5−[N−(2−[4−イミダゾール]エチル)カルボキシアミド]−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
アルゴン雰囲気のグローブボックス内において、肉厚耐圧ガラスボンベに5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン(0.260g,0.496ミリモル)、4mLの乾燥THF,およびテトラキス(トリフェニルポスフィン)パラジウム(0.073g,0.063ミリモル)を加えた。ボンベを密栓し、ボックスから取り出し、真空中で溶媒を除去した。アルゴン下に無水EtN(0.35mL,2.48ミリモル)、ヒスタミン(0.263g,2.37ミリモル)、および2mLのDMSO−d6を加えた。ボンベから空気を除去して50psiのCOを3回充填し、70℃に2日間加熱した。室温まで冷却したのち、ボンベを注意深く排気し、真空中70℃で溶媒を除去した。粗製の物質をシリカゲル上12%MeOH/CHClを用いてフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、181mg(収率68%)のわずかに黄色を帯びた固体が得られた。
【0145】
【化35】

【0146】
HRMS:C2437Siとして、計算値(測定値)535.2462(535.2456)。UVスペクトル:λmax278nm(ε=12930 M−1cm−1)。
【0147】
5’−トリホスフェート−5−[N−(2−[4−イミダゾール]エチル)カルボキシアミド]−ウリジン
ウリジンの5’−TBDMS保護ヒスタミンアミド(上に調製)をCHCN中EtNHによって2日間脱シリル化し、シリカゲル上15%NH−MeOH/CHClを用いて精製すると、ウリジンの5’−ヒドロキシルヒスタミンアミドが得られ、Hおよび13C NMR,およびFABマススペクトルによって同定された。この化合物を用いてLudwig & Eckstein, J.Org.Chem. 1989, 54, 531-635の改変操作により5’−トリホスフェートを調製した。H0中酸性Dowex樹脂と70℃で処理して2’,3’−O−イソプロピリデン保護基を除去したのち、粗製のトリホスフェートを順次DEAE Sephadex陰イオン交換樹脂およびC18 RP−HPLC上、移動相として100mM EtNHHCO水溶液およびCHCNを用いて精製した。化合物の純度は分析用C18 RP−HPLC,Hおよび31P NMR(DO)によってチェックし、278nm(ヌクレオシド出発原料にっいてのε278=12930M−1cm−1を用いて)におけるUV吸収により定量した。
【0148】
化合物31.5’−TBDMS−5−[N−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシアミド]−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
この化合物は、3当量のエタノールアミンおよび3当量のトリエチルアミンを用い70℃で48時間反応させることにより、化合物30について上述したのと同様に調製された。生成物はシリカゲル上6%MeOH/CHClを用いて精製し、無色固体0.173g(収率61%)として得られた。
【0149】
【化36】

【0150】
EtOAc/ヘキサンからの分析用サンプル:FAB HRMS:C2436Siとして計算値(測定値)486.2272(486.2271)。元素分析C2435Siとして、計算値(測定値)C 51.94(52.03);H 7.26(7.36);N 8.65(8.61)。
【0151】
化合物32.5’−TBDMS−5−[N−((2−カルボエトキシ)エチル)カルボキシアミド]−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
この化合物は、1.0当量のグリシンエチルエステル塩酸塩および3当量のトリエチルアミンを用い、化合物30について上述したのと同様に調製された。生成物はシリカゲル上4%MeOH/CHClを用いて精製し、0.262g(収率80%)の無色の固体として得られた。
【0152】
【化37】

【0153】
EtOAc/ヘキサンからの分析用サンプル:FABHRMS:C2338Siとして計算値(測定値)528.2377(528.2382)。元素分析C2337Siとして、計算値(測定値)C 52.36(52.19);H 7.07(6.93);N 7.96(7.85)。
【0154】
化合物33.5’−TBDMS−5−[モルホリンカルボキシアミド]−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
この化合物は、3当量のモルホリンおよび3当量のトリエチルアミンを用いて化合物30について上述したのと同様に調製された。生成物は、シリカゲル上4%MeOH/CHClを用いて精製し、0.2029(収率68%)の無色固体として得られた。
【0155】
【化38】

【0156】
EtOAc/ヘキサンからの分析用サンプル:FABHRMS:C2338Siとして計算値(測定値)512.2428(512.2436)。
【0157】
化合物34.5’−TBDMS−5−[N−(アルギニンエチルエステル)カルボキシアミド]−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
アルゴン雰囲気のグローブボックス内において、肉厚耐圧ガラスボンベに5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン(0.238g,0.453ミリモル)、アルギニンエチルエステルの二塩酸塩(0.260g,0.94ミリモル)、テトラキス(トリフェニルポスフィン)パラジウム(0.052g,0.045ミリモル)、0.32mLのEtN(2.3ミリモル)、3mLの乾燥THFおよび2mLのDMSOを加えた。反応容器の空気を除去して50psiのCOを3回充填し、70℃に2日間加熱した。粗製混合物を濃縮しシリカゲル上25%MeOHNH/EtOAcを用いてクロマトグラフィーに付すと、生成物0.160g(収率57%)が灰白色の固体として得られた。
【0158】
【化39】

【0159】
化合物35.5’−[N−(2−[3−インドリル]エチル)カルボキシアミド]−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
アルゴン雰囲気のグローブボックス内において、肉厚耐圧ガラスボンベに5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン(1.13g,2.14ミリモル)、2−(3−インドリル)エチルアミン(1.70g,10.7ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルボスフィン)パラジウム(0.2479,0.214ミリモル)、無水トリエチルアミン(1.5mL,10.7ミリモル)、および10mLのTHFを加えた。ボンベを密栓し、空気を除去して50psiのCOを3回充填し、70℃に16時間加熱した。冷却後、溶媒を真空中で除去して、粗製の物質をシリカゲル上0〜5%MeOHNH/CHClを用い精製すると、わずかに不純な黄色固体0.895g(粗製収率78%)が得られた。この物質を、2mLの無水CHCN中EtN・HF(1.0g,8.4ミリモル)と室温で16時間攪拌して脱シリル化を行った。反応混合物をEtOAc30mLで希釈し、3×20mLのHO,10mLの食塩水で抽出し、ついで真空中で濃縮し、シリカゲル上0〜5%MeOH/CHClを用いて精製すると、所望の生成物が、淡黄色の固体(0.430g,収率43%)として得られた。
【0160】
【化40】

【0161】
5’−トリホスフェート−5−[N−(2−[3−インドリル]エチル)カルボキシアミド]−ウリジン
ウリジンの5’−TBDMS保護トリプタミンアミド(上述のように調製)を、CHCN中5当量のEtNHによって室温で18時間脱シリル化し、シリカゲル上で精製すると、5’−ヒドロキシル化合物が43%の収率で得られ、Hおよび13C NMRならびにFABマススペクトルによって同定された。この5’−ヒドロキシル化合物を用いLudwig & Eckstein, J.Org.Chem. 1989, 54, 531-635の改変操作により5’−トリホスフェートを調製した。HO中Dowex H+ 50W×80と70℃で攪拌して2’,3’−O−イソプロピリデン保護基を除去したのち、生成物をDEAE Sephdex上25%CHCNを添加した0.05〜1.5M TBK緩衝液ついでC18 RP−HPLCにより溶出液として0.05M TBK/CHCN移動相を用いて精製した。トリホスフェートはHおよび31P NMRならびにFABMSによって確認された。
【0162】
化合物36.5’−TBDMS−5−(N−[6−アミノヘキシル]−カルボキシアミド)−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
アルゴン雰囲気のグローブボックス内において、肉厚耐圧ガラスボンベに5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン(1.28g,2.40ミリモル)、1,6−ジアミノヘキサン(1.40g,12.0ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルポスフィン)パラジウム(0.83g,0.72ミリモル)ならびに10mLのTHFを加えた。ボンベを密栓し、ボックスから取り出し、アルゴン下にシリンジを通してトリエチルアミン(1.7mL,12.0ミリモル)を添加した。容器の空気を除去して50psiのCOを3回充填し、70℃で一夜加熱した。ボンベを冷却させたのち、排気し、溶媒を真空中で除去した。粗製の物質を10mLのメタノールに溶解し、ろ過してパラジウム触媒を除去した。ろ液を濃縮し、シリカゲル上CHCl中15〜25%NH−CHOHを用いて精製すると、所望の生成物が白色の固体(0.812g,収率62%)として得られた。
【0163】
【化41】

【0164】
5−(N−〔6−N’−トリフルオロアセトアミドヘキシル〕−カルボキシアミド)−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン
上記化合物の遊離アミンを以下の方法で保護した。触媒量のトリエチルアミンを含むアセトニトリル中に化合物36を溶解し、この溶液を撹搾しながら、2.0当量のトリフルオロ酢酸エチルを添加した。この溶液を室温で18時間攪拌し、さらに1.6当量のトリフルオロ酢酸エチルを加え、20時間攪拌した。濃縮し、シリカゲル上1〜5%MeOH/CH2C1、を用いて精製すると、所望のトリフルオロアセトアミドが25%の収率で得られ、H NMRで確認された。この化合物をついでCHCN中5当量のEtN・Hにより室温で18時間脱シリル化し、シリカゲル上にて精製すると、5−ヒドロキシル化合物が定量的収率で得られ、そのH NMRスペクトルにより確認された。
【0165】
化合物37〜43の一般操作
テフロン(登録商標)バルブ装着ガラス耐圧反応容器に、ヌクレオチド(0.1ミリモル)、アミン(0.5ミリモル,5当量)、Pd(PPh(0.01ミリモル,0.1当量)および溶媒としてジメチルスルポキシド(0.5mL)を加えた。反応容器の空気を除去してCO(50psi)を3回充填したのち、60℃に24時間加熱した。粗製の混合物をDEAE Sephadex A-25陰イオン交換カラム上において0.05M〜1.0Mトリエチルアンモニウム重炭酸塩緩衝液の直線勾配を用いて精製した。化合物の特性は以下の通りである。
【0166】
化合物37.
【0167】
【化42】

【0168】
HRMS(FAB)m/z 459.0909(C161910P+Hとして、計算値459.0917)。
【0169】
化合物38.
【0170】
【化43】

【0171】
MS(FAB)m/z 454.0858(C142012P+Hとして計算値454.086153)。
【0172】
化合物39.
【0173】
【化44】

【0174】
HRMS(FAB)m/z 488.1082(C182211P+H+として、計算値488.1084)。
【0175】
化合物40.
【0176】
【化45】

【0177】
HRMS(FAB)m/z 424.1129(C142210P+Hとして、計算値424.1121)。
【0178】
化合物41.
【0179】
【化46】

【0180】
化合物42.
【0181】
【化47】

【0182】
HRMS(FAB)m/z 424.1121(C142210P+Hとして、計算値424.1121)。
【0183】
化合物43.
【0184】
【化48】

【0185】
HRMS(FAB)m/z 511.1236(C202310P+Hとして、計算値511.1230)。
実施例4
アミンによるシチジンの修飾
表IIIに示す修飾シチジンを製造するためには以下の操作を使用した。
【0186】
一般スキーム
【0187】
【化49】

【0188】
特定スキーム
【0189】
【化50】

【0190】
【表3】

【0191】
ヌクレオチド(0.1ミリモル),RNH(0.5ミリモル),Pd(PPh(0.01ミリモル),DBU(0.5ミリモル),DMSO(0.5mL)
ヌクレオチド(0.1ミリモル),RNH(0.5ミリモル),Pd(dab)(2.5マイクロモル),P(p−C−SONa)(0.015ミリモル),DABCO(0.7ミリモル),DMSO(0.5mL)
ヌクレオチド(0.1ミリモル),RNH(0.5ミリモル),Pd(PPh(0.01ミリモル),DBUまたはDABCO(0.5ミリモル),DMSO:HO93:7(0.5mL)
一般情報
5−ヨードシチジン一リン酸塩は文献(Voytek, P., Chang, P.K., Prusoff, W.H., J.Bio1.Chem. 1971, 246, 1432)記載の操作に従って合成した。トリスルホン化トリフェニルポスフィンナトリウム塩はStrem Chemicals, Inc.から購入した。その他の化合物はすべてAldrich Chemical Co.から購入した。n−ブチルアミン、トリエチルアミン、および1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン(DBU)はAldrich Chemical Co.から購入し、CaHから蒸留した。イソブチルアミン、チラミン塩酸塩、および4−アミノ酪酸(Acros Organics)はそのまま使用した。ヒスタミンはSigma Chemical Co.から購入し、そのまま使用した。シチジン一リン酸塩、Pd(dab),テトラキス(トリフェニルポスフィン)パラジウム(0),DABCO,4−アミノメチルピリジンおよびDMSOはAldrich Chemical Co.から購入し、そのまま使用した。Hおよび13C NMRスペクトルはBruker ARX-300スペクトロメーターを用い溶媒の共鳴を参照してCDOD,DO,CDClまたはDMSO−d6中において測定した。高速原子衝撃質量スペクトル(HR FAB MS)はVG70SE & ZAB2−EQ/FAB(+)を用いて測定した。
【0192】
一般操作
表IIIの化合物を合成する一般操作を示す。テフロン(登録商標)バルブ付き肉厚耐圧ガラス反応器にヌクレオシド(0.1ミリモル)、アミン(0.5ミリモル),Pd(PPh(0.01ミリモル),DBU(0.5ミリモル),DMSO(0.5mL)を添加した。反応器の空気を抜き、CO(50psi)を3回充填したのち、60℃に24時間加熱した。粗製の混合物を逆相HPLCによって定量的に分析した。生成物はDEAE Sephadex A-25イオン交換カラム上トリエチルアンモニウム重炭酸塩の直線勾配(0.05M〜0.1M)を用い、ついで製造用C-18逆相HPLC(0.05Mトリエチルアンモニウム重炭酸塩/MeOH)によって精製した。表IIIに掲げた化合物の特性は以下の通りである。
【0193】
化合物45.5−(N−ブチルカルボキシアミド)−シチジンモノホスフェート
【0194】
【化51】

【0195】
HRMS(FAB+) m/z 423.1275(C1423P+Hとして計算値423.1281)。
【0196】
化合物46.5−(N−イソブチルカルボキシアミド)−シチジンモノホスフェート
【0197】
【化52】

【0198】
化合物47.5−(N−イソプロピルカルボキシアミド)−シチジンモノホスフェート
【0199】
【化53】

【0200】
HRMS(FAB+) m/z 409.1119(C1321P+Hとし計算値409.1124)。
【0201】
化合物48.5−[N−(4−ピリジルメチル)カルボキシアミド]シチジンモノホスフェート
【0202】
【化54】

【0203】
HRMS(FAB+) m/z 458.1082(C1620P+Hとし計算値458.1077)。
【0204】
化合物49.5−[N−(2−[4−イミダゾール]エチル)カルボキシアミド]シチジンモノホスフェート
【0205】
【化55】

【0206】
HRMS(FAB+) m/z 461.1186(C1521P+Hとし計算値461.1186)。
【0207】
化合物50.5−[N−(2−[4−ヒドロキシフェニル]エチル)カルボキシアミド]シチジンモノホスフェート
【0208】
【化56】

【0209】
化合物51.5−[N−(2−インドリルエチル)カルボキシアミド]シチジンモノホスフェート
【0210】
【化57】

【0211】
実施例5
アミンによる2’−デオキシシチジン修飾
表IVに示す修飾2’−デオキシシチジンを製造するためには以下の操作を使用した。
【0212】
一般スキーム
【0213】
【化58】

【0214】
特定スキーム
【0215】
【化59】

【0216】
【表4】

【0217】
ヌクレオチド(0.1ミリモル),RNH(0.5ミリモル),Pd(dab)(2.5マイクロモル),P(p−C−SONa)(0.015ミリモル),DABCO(0.7ミリモル),DMSO(0.5mL)
ヌクレオチド(0.1ミリモル),RNH(0.5ミリモル),Pd(PPh(0.Olミリモル),DBUまたはDABCO(0.5ミリモル),DMSO:HO 93:7(0.5mL)
化合物53.5−(N−ブチルカルボキシアミド)−2’−デオキシシチジンモノホスフェート
【0218】
【化60】

【0219】
化合物54.5−[N−(2−[4−ヒドロキシフェニル]エチル)カルボキシアミド]−2’−デオキシシチジンモノホスフェート
【0220】
【化61】

【0221】
実施例6
抗ウイルス効果および細胞毒性の測定
この実施例は、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)感染に伴う細胞変性効果を阻害する本発明のヌクレオチドの能力を証明する。この実施例の実験薬物は、CT1146-26およびCT1146-28と呼ばれる。
【0222】
CT1146-26は化合物30のモノホスフェートであり、以下の構造を有する。
【0223】
【化62】

【0224】
CT1146-28は化合物41のモノホスフェートであり、以下の構造を有する。
【0225】
【化63】

【0226】
アッセイ方法および予備的な結果は以下の項に示す。
【0227】
細胞の単離および組織培養
ヒト新生児の包皮は包皮切除後直ちに入手し、バンコマイシン、フンギゾン、ペニシリンおよびゲンタマイシン(すべて標準濃度で添加)を補充した最小必須培地(MEM)中に置き4時間組織培養条件(37℃,5%CO)に維持した。補充MEMをついで除去し、包皮材料を冷浸漬させる。ついで組織断片を完全に洗浄し(補充MEMを使用)、残った爽雑赤血球を除去した。
【0228】
赤血球を含まない細胞フラグメントをっいでトリプシン溶液(0.25%)に絶えず攪拌しながら15分間暴露した。組織フラグメントを懸濁液から沈着させて上清を集めて滅菌チーズ布を通してMEMおよび10%ウシ胎児血清(FBS)を含むフラスコ中にろ過した。チーズ布を10%FBS含有する付加的容量のMEMで洗浄した(トリプシン処理操作の間を通してMEMおよび10%FBS含有フラスコは氷上に維持させた)。新鮮なトリプシン溶液を用いて、組織フラグメントからさらに細胞移動が認められなくなるまで、トリプシン処理操作を反復した。この過程で移動する細胞は主にヒト包皮線維芽細胞(HFF)である。
【0229】
10%FBS含有MEM中に含まれる細胞を遠心分離してペレット化し(約1000RPM,4℃,10分)、上清は捨てペレットは最少容量の10%FBS含有MEM中に懸濁した。単離されたHFFをついでT-25組織培養フラスコで平板培養した(用いた一次培養フラスコ数は回収された細胞ペレットの容量に基づいた)。HFF単離体をついでコンフルーエントに達するまで組織培養条件(37℃,5%CO)に維持した。HFFの一次培養体は標準的組織培養操作を用い、さらに大きなフォーマットの培養フラスコに継代的に拡大させた。HFFは継代4までバンコマイシンおよびフンギゾンの存在下に維持した。
【0230】
細胞毒性アッセイ:IC50の測定
HFFを96-ウエル組織培養プレートに2.5×104細胞/mlの濃度で接種し(培養培地としては10%FBS含有MEM100μlを使用した)、組織培養条件下に24時間維持したのち、実験に供した。プレートから培地を取り、2%FBS含有MEM100μlを96-ウエルプレートの最初の列のセルを除くすべてに加えた。各96-ウエルプレートの最初の列には、125μlの対照培地または実験薬物としてCT1146-26もしくはCT1146-28(所望の総濃度範囲により初期濃度を決定した)を三重にウエルに添加した。細胞およびウイルス対照ウエルの両者には培地単独を添加した。ウエルの第一列の含量をプレートの残りの列を横切って系列的(1:5)に希釈した(Ctus液体取扱装置を用いて、中間混合で25μl容量をウエルからウエルに移す)。希釈後、2%FBS含有MEM中CMV(2500PUF/ウエル最終濃度)100μ1を、細胞対照を含むウエルを除く96-ウエルプレートの各ウエルに添加した。細胞対照にはさらに100μ1の2%FBS含有MEMを加えた。96-ウエルプレートをついで組織培養条件下にインキュベートした(2%FBS含有MEM中CMV処置HFFの総インキュベーション期間14日;培養液への培地添加は適宜行った)。
【0231】
インキュベーション期間後、すべてのウエルから培地を採取し、細胞を0.1%クリスタルバイオレット溶液で30分間染色し、ついで数回の洗浄サイクルによって残った染料を除去した。クリスタルバイオレット染色プレートを24時間風乾したのち、Skatronプレートリーダーを用いてウエルの吸収値(620nm)を読み取った。細胞生存能および相当するIC50値は、ウイルスに暴露されなかった対照細胞に比較した対照および実験薬物処理細胞の吸収値に基づいて決定された。実験薬物のIC50値(50%阻害濃度)は細胞増殖の50%阻害に必要な薬物の濃度として測定される。
【0232】
半固体オーバーレイを用いるプラーク減少テスト:ED50の測定
HFFを6−ウエル組織培養プレートに平板培養し、使用前約2日間組織培養条件に維持した。アッセイ当日に、実験薬物溶液を2×MEM中2×濃度に調製する。っいで実験薬物の系列希釈は2×MEMを用いて実施した(1:5)。実験20薬物のおおよその濃度範囲は200〜0.06μg/mlである。各薬物または対照溶液はついで0.8%アガロース溶液で1:1に希釈した。アガロース溶液による希釈後、最終実験薬物濃度は100〜0.03μg/mlの範囲とし,最終アガロースオーバーレイ濃度は0.4%であった。ウイルス材料(CMV)は10%FBS含有MEMに希釈し、濃度をウエルあたりウイルス産生20〜30プラークの濃度とした。
【0233】
培地をHFF培養液から除去し、各6−ウエルプレートのそれぞれのウエルにウイルス含有培地200μlを添加した(ウイルスに暴露されない細胞を含有する対照ウエルにはMEM200μlを添加した)。アガロース/実験薬物混合物のアリコート(2ml)をついで6−ウエル培養プレートの適当なウエルに二重に適用した。対照群には1:1希釈のMEM/アガロース2mlアリコートを添加した。HFFおよび各種処置群を含有するプレートはついで組織培養条件下に14日間インキュベートした。日4および8にさらに1mlの1:1 2×MEM:アガロース混合物を各ウエルに加えた。
【0234】
インキュベーション後、HFFを中性レッドの1.5%溶液で4〜6時間染色した。中性レッド/アガロース/MEM混合物を吸引し、10×立体顕微鏡を用いてウイルスプラーク数を計数した。ついで各実験薬物のED50値(50%有効濃度)をウイルスの細胞変性効果の50%阻害に必要な実験薬物の濃度として測定する。
【0235】
各薬物処置の選択係数(SI)も測定した(SI=IC50/ED50)。実験薬物の効果が高くその薬物の対応する細胞毒性が低いと、SI比は高くなる(すなわち、候補化合物のIC50が1μg/ml,ED50が0.01μg/mlであると、SI=100であるのに対し、候補化合物のIC50が0.01μg/ml,ED50が1μg/mlであると、SI=0.01になる)。
【0236】
結果
ヌクレオシドCT1146-26およびCT1146-28を用いた初期の研究では、表Vに示すようにCMVに関して本質的な抗ウイルス活性が示唆される。
【0237】
【表5】

【0238】
ED50およびIC50値はヒトサイトメガロウイルス(CMV)に対するものである。新規なヌクレオシドCTl146-26およびCT1146-28はヒトCMVに対して有意な抗ウイルス活性を示す。これらの薬物の有効濃度と細胞毒性の間の本質的な差を考慮すると、観察された結果がこれらの薬物処置に応答した細胞毒性を反映するとは到底考えられない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾ヌクレオシドの製造方法において、
ヌクレオシド出発原料の炭素原子に結合した離脱基を有するヌクレオシド出発原料をパラジウム触媒の存在下に求核試薬および一酸化炭素と反応させ、ついで上記修飾ヌクレオシドを単離する工程からなる方法。
【請求項2】
ヌクレオシド出発原料は2−,6−または8−位置に結合した離脱基を含有するプリン出発原料である「請求項1」記載の方法。
【請求項3】
離脱基はプリン環の8−位置に結合している「請求項2」記載の方法。
【請求項4】
プリン出発原料はアデニンである「請求項2」記載の方法。
【請求項5】
アデニンは8−ハロ−アデニンである「請求項4」記載の方法。
【請求項6】
8−ハロ−アデニンは8−ヨード−アデニンおよび8−プロモ−アデニンからなる群より選択される「請求項5」記載の方法。
【請求項7】
プリン出発原料はグアニンである「請求項2」記載の方法。
【請求項8】
グアニンは8−ハロ−グアニンである「請求項7」記載の方法。
【請求項9】
8−ハローグアニンは8−ヨード−グアニンおよび8−プロモーグアニンからなる群より選択される「請求項8」記載の方法。
【請求項10】
ヌクレオシド出発原料は5−または6−位置に結合した離脱基を含有するピリミジン出発原料である「請求項1」記載の方法。
【請求項11】
離脱基はピリミジン環の5−位置に結合する「請求項10」記載の方法。
【請求項12】
ピリミジン出発原料はシチジンである「請求項10」記載の方法。
【請求項13】
シチジンは5−ハロ−シチジンである「請求項12」記載の方法。
【請求項14】
5−ハロ−シチジンは5−ヨード−シチジン、5−プロモ−シチジンおよび5−ヨードシチジン−5’−モノホスフェートからなる群より選択される「請求項13」記載の方法。
【請求項15】
ピリミジン出発原料はウリジンである「請求項10」記載の方法。
【請求項16】
ウリジンは5−ハローウリジンである「請求項15」記載の方法。
【請求項17】
5−ハローウリジンは5−ヨード−ウリジン、5−プロモ−ウリジンおよび5−ヨードウリジン−59−モノホスフェートからなる群より選択される「請求項16」記載の方法。
【請求項18】
5−ヨード−ウリジンは5’−DMT−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジンおよび5’−TBDMS−5−ヨード−2’,3’−O−イソプロピリデンウリジンからなる群より選択される「請求項17」記載の方法。
【請求項19】
求核試薬はアミン、アルコールおよびチオールからなる群より選択される「請求項1」記載の方法。
【請求項20】
求核試薬は、式:RYH
(式中,Yは0,S,NHまたはNR′からなる群より選択され、
RおよびR′は独立にC〜C20アルキル(直鎖状または分岐状)、C〜C20アルケニル(直鎖状または分岐状)、アリールおよびアミノ酸からなる群より選択され、この場合、RおよびR′は芳香族、脂肪族または異項環の環構造の一部であってもよい)を有する「請求項19」記載の方法。
【請求項21】
RおよびR′はアミド、エステル、ニトリル、ニトロ、尿素、ハライド、シアナート、アルコール、アミン、エーテル、チオールおよびアリールからなる群より独立に選択される官能基で置換されている「請求項20」記載の方法。
【請求項22】
Yは、O,SおよびNHからなる群より選択され、
Rは、(CH(CH(式中、lは0,1または2であり、mは0〜19であり、nは0,1,2または3である)であり、この場合1個または2個以上のHは=O,−OH,=NH,NH,+NMeCl,
【化1】

またはアミノ酸で置換されていてもよい「請求項20」記載の方法。
【請求項23】
求核試薬は以下の化合物
【化2】

からなる群より選択される「請求項20」記載の方法。
【請求項24】
パラジウム触媒は、式:PdLまたはPdL
[式中、Lは,P(C,P(p−CSONa)
(o−to1)P,CHCN,DMSO,N,N−ジメチルホルムアミド(DMF),
【化3】

からなる群より選択される]である「請求項1」記載の方法。
【請求項25】
パラジウム触媒は、Pd(P(CまたはP(p−CSONa)である「請求項24」記載の方法。
【請求項26】
離脱基はハロゲン、アセテート、トリフルオロアセテート、トシレート、メチルスルポネート、トリフルオロメチルスルポネート、ホウ酸エステルおよびホウ酸からなる群より選択される「請求項1」記載の方法。
【請求項27】
離脱基はハロゲンである「請求項26」記載の方法。
【請求項28】
修飾ヌクレオシドの調製は、THF,水、アセトニトリル、ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ,トアミド、ジメチルスルポキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、およびヘキサメチルポスホン酸トリアミドからなる群より選択される溶媒中で突施される「請求項1」記載の方法。
【請求項29】
「請求項1」記載の方法によって調製された修飾ヌクレオシド。
【請求項30】
「請求項2」記載の方法によって調製されたプリン環の2−,6−または8−位置において修飾されたプリンヌクレオシド。
【請求項31】
「請求項10」記載の方法によって調製されたピリミジン環の5−または6−位置において修飾されたピリミジンヌクレオシド。
【請求項32】
化合物
【化4】

[式中、Yは,O,S,NHまたはNR′からなる群より選択され、
RおよびR′は独立にC〜C20アルキル(直鎖状または分岐状)、C〜C20アルケニル(直鎖状または分岐状)、アリール、異項環、天然アミノ酸および非天然アミノ酸からなる群より選択され、この場合、RおよびR′は芳香族、脂肪族または異項環の環構造の一部であってもよく、
R″は,Hおよびアシルからなる群より選択され、
Zは,リボース、デオキシリボース、ジデオキシリボースおよびそれらの2’,3’,および5’修飾の組合せからなる群より選択される]からなる群より選択される化合物。
【請求項33】
Yは,O,SおよびNHからなる群より選択され、
Rは、(CH(CH(式中、lは0,1または2であり、mは0〜19であり、nは1,2または3である)であり、この場合1個または2個以上のHは、=O,−OH,=NH,NH,+NMeCl,
【化5】

またはアミノ酸で置換されていてもよい「請求項32」記載の化合物。
【請求項34】
化合物
【化6】

【化7】

からなる群より選択される「請求項32」記載の化合物。
【請求項35】
化合物
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

からなる群より選択される「請求項32」記載の化合物。
【請求項36】
オリゴヌクレオチドの部分として導入される「請求項32」記載の化合物。
【請求項37】
オリゴヌクレオチドは、リボ核酸である「請求項36」記載の化合物。
【請求項38】
オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸である「請求項36」記載の化合物。
【請求項39】
「請求項32」記載の化合物の治療有効量を患者に投与することからなるウイルス活性を阻害する方法。
【請求項40】
サイトメガロウイルス活性を阻害する「請求項39」記載の方法。
【請求項41】
YはNHであり、RはC〜C20のアルキルである「請求項39」記載の方法。
【請求項42】
化合物は
【化12】

からなる群より選択される「請求項39」記載の方法。
【請求項43】
「請求項32」記載の化合物の治療有効量を患者に投与することからなるウイルス感染状態の処置方法。
【請求項44】
ウイルス感染状態はサイトメガロウイルスによって引き起こされる「請求項43」記載の方法。
【請求項45】
YはNHであり、RはC〜C20のアルキルである「請求項43」記載の方法。
【請求項46】
化合物は
【化13】

からなる群より選択される「請求項43」記載の方法。

【公開番号】特開2009−57388(P2009−57388A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262208(P2008−262208)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【分割の表示】特願平8−536652の分割
【原出願日】平成8年5月30日(1996.5.30)
【出願人】(501345390)ギリード・サイエンシズ・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】