汎用高性能ナビゲーションシステム
低地球軌道(LEO)衛星を使用し汎用高性能ナビゲーションシステムを提供する。ナビゲーションを遂行する方法は一実施形態において、LEO衛星からLEO信号を受信するステップと、LEO信号からナビゲーション信号を復号化するステップと、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信するステップと、第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出すステップと、ナビゲーション信号と、第1及び第2の測距信号と、較正情報とを用いて位置を計算するステップとを含む。別の実施形態において、LEO衛星からLEO信号を提供する方法は、複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供するステップを含み、ここで送信チャネルは1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、同方法はさらに、ナビゲーション信号に対応する第1の擬似ランダムノイズ(PRN)測距オーバーレイを生成するステップと、ナビゲーションチャネルの第1のセットへ第1のPRN測距オーバーレイを適用するステップと、通信チャネルとナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめるステップとを含む。方法はまた、LEO衛星からLEO信号をブロードキャストするステップを含む。低地球軌道(LEO)衛星データアップリンクも提供する。方法は、LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストするステップを含む。様々な局地的ナビゲーション信号妨害アプローチも提供する。或る操業エリアにわたって変調済みノイズ信号をブロードキャストすることにより、ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供する。妨害バーストは、当該操業エリアの中でナビゲーション信号を概ね遮るように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはナビゲーションに関し、より具体的には衛星に基づくナビゲーション手法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ナビゲーションシステムの性能は、システムから提供されるナビゲーション測定の誤差分布によって判断することができる(精度)。システム性能は、これを使用するべきでないときに適時ユーザに警告を発する能力次第で決まることもある(完全性)。ナビゲーションシステムがコールドスタートから最初の位置決定を達成するまでにかかる時間によってシステム性能を評価することもできる(最初の決定までの時間)。加えてシステム性能は、所定の性能パラメータが所定の限度内に入る僅かな時間または状況次第で決まることもある(有用性)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念ながら、既存のナビゲーションシステムから提供されるナビゲーション信号は多くの場合、満足なシステム性能を提供しない。特に、かかるナビゲーション信号の信号出力と帯域幅と幾何学的効力は概して、数ある過酷な運用シナリオのニーズを満たすにあたって不十分である。
【0004】
既存のナビゲーションアプローチから、例えば全地球測位システム(GPS)に基づくそれから、提供される信号出力または形状は多くの場合、建物や都市の谷間を容易く貫くにあたって不十分である。また、かかる信号は悪環境の中で妨害を被りやすく、生命の安全を図る用途での利用を妨げている。他のナビゲーションアプローチは、例えば携帯電話やテレビの信号に基づくそれは通例、垂直方向ナビゲーション情報を欠いている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明の一実施形態に従い、ナビゲーションを遂行する方法は、低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信するステップと、LEO信号からナビゲーション信号を復号化するステップと、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信するステップと、第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出すステップと、ナビゲーション信号と、第1及び第2の測距信号と、較正情報とを用いて位置を計算するステップとを含む。
【0006】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション装置は、LEO衛星からLEO信号を受信し、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信するのとに適したアンテナと、LEO信号をさらなる処理のためダウンコンバートするのに適した受信プロセッサと、LEO信号からナビゲーション信号を復号化するのに適し、且つナビゲーション信号と、第1及び第2の測距信号と、第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報とを用いてナビゲーション装置の位置を計算するのに適したナビゲーションプロセッサとを含む。
【0007】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション装置は、低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信する手段と、LEO信号からナビゲーション信号を復号化する手段と、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信する手段と、第1
及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出す手段と、ナビゲーション信号と、第1及び第2の測距信号と、較正情報とを用いて位置を計算する手段とを含む。
【0008】
本発明の別の実施形態に従い、LEO衛星からLEO信号を提供する方法は、複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供するステップを含み、ここで送信チャネルは1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、同方法はさらに、ナビゲーション信号に対応する第1の擬似ランダムノイズ(PRN)測距オーバーレイを生成するステップと、ナビゲーションチャネルの第1のセットへ第1のPRN測距オーバーレイを適用するステップと、通信チャネルとナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめるステップと、LEO衛星からLEO信号をブロードキャストするステップとを含む。
【0009】
本発明の別の実施形態に従い、LEO衛星は、LEO衛星からLEO信号をブロードキャストするのに適したアンテナと、プロセッサとを備え、同プロセッサは、複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供するのに適し、ここで送信チャネルは1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、同プロセッサはさらに、ナビゲーション信号に対応する第1のPRN測距オーバーレイを生成し、ナビゲーションチャネルの第1のセットへ第1のPRN測距オーバーレイを適用し、通信チャネルとナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめるのとに適する。
【0010】
本発明の別の実施形態に従い、LEO衛星は、複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供する手段を含み、ここで送信チャネルは1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、同LEO衛星はさらに、ナビゲーション信号に対応する第1のPRN測距オーバーレイを生成する手段と、ナビゲーションチャネルの第1のセットへ第1のPRN測距オーバーレイを適用する手段と、通信チャネルとナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめる手段と、LEO衛星からLEO信号をブロードキャストする手段とを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態に従い、LEO衛星に至るデータアップリンクを提供する方法は、LEO衛星から受信するLEO信号と、第1の測距発信源から受信する第1の測距信号と、第2の測距発信源から受信する第2の測距信号とを用いて位置情報を割り出すステップと、ローカルクロック基準とLEO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出すステップと、LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備するステップと、タイミング繰り上げパラメータを用いてデータアップリンク信号をLEO衛星に同期させるステップと、LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストするステップとを含む。
【0012】
本発明の別の実施形態に従い、データアップリンク装置はアンテナを含み、同アンテナは、LEO衛星からLEO信号を受信し、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信し、LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストするのとに適し、同データアップリンク装置はさらにプロセッサを含み、同プロセッサは、LEO信号と、第1のLEO信号と、第2のLEO信号とを用いて位置情報を割り出し、ローカルクロック基準とLEO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出し、LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備し、タイミング繰り上げパラメータを用いてデータアップリンク信号をLEO衛星に同期させるのとに適する。
【0013】
本発明の別の実施形態に従い、データアップリンク装置は、LEO衛星から受信するLEO信号と、第1の測距発信源から受信する第1の測距信号と、第2の測距発信源から受信する第2の測距信号とを用いて位置情報を割り出す手段と、ローカルクロック基準とL
EO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出す手段と、LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備する手段と、タイミング繰り上げパラメータを用いてデータアップリンク信号をLEO衛星に同期させる手段と、LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストする手段とを含む。
【0014】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション信号はLEO衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行する方法は、複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ発信源を複数の周波数帯へフィルタするステップを含み、ここでナビゲーション信号はLEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、チャネルは周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布し、同方法はさらに、チャネルにわたってナビゲーション信号を分散させるためLEO衛星によって使用される変調シーケンスに対応するPRNシーケンスを生成するステップと、複数の変調済みノイズ信号を提供するためPRNシーケンスを使ってフィルタ済みノイズ信号を変調するステップと、ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって変調済みノイズ信号をブロードキャストするステップとを含み、妨害バーストは当該操業エリアの中でナビゲーション信号を概ね遮るように構成される。
【0015】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション信号はLEO衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行するように構成された妨害装置は、ノイズ信号を提供するのに適したノイズ発信源と、複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ信号を複数の周波数帯へフィルタするのに適した複数のフィルタとを含み、ここでナビゲーション信号はLEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、チャネルは周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布し、同妨害装置さらに、チャネルにわたってナビゲーション信号を分散させるためLEO衛星によって使用される変調シーケンスを提供するのに適したPRNシーケンス生成器と、複数の変調済みノイズ信号を提供するためPRNシーケンスを使ってフィルタ済みノイズ信号を変調するのに適した複数の発振器と、ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって変調済みノイズ信号をブロードキャストするのに適したアンテナとを含み、妨害バーストは当該操業エリアの中でナビゲーション信号を概ね遮るように構成される。
【0016】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション信号はLEO衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行するように構成された妨害装置は、複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ発信源を複数の周波数帯へフィルタする手段を含み、ここでナビゲーション信号はLEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、チャネルは周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布し、同妨害装置さらに、チャネルにわたってナビゲーション信号を分散させるためLEO衛星によって使用される変調シーケンスに対応するPRNシーケンスを生成する手段と、複数の変調済みノイズ信号を提供するため生成されたPRNシーケンスを使ってフィルタ済みノイズ信号を変調する手段と、ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって変調済みノイズ信号をブロードキャストする手段とを含み、妨害バーストは当該操業エリアの中でナビゲーション信号を概ね遮るように構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の範囲は、参照により本節に編入された請求項によって定義される。当業者であれば、以下の1つ以上の実施形態の詳細な説明を検討することにより、本発明の実施形態をより万全に理解し、そのさらなる利点に気づくであろう。これより参照する添付の図面
を先に簡単に説明する。
【0018】
本発明の実施形態とその利点は、以降の詳しい説明を参照することによってよく理解できる。1つ以上の図面に描かれた類似する要素が類似する参照番号で識別されていることは理解されたい。
【0019】
詳細な説明
ここで論じる様々な実施形態に従い、低地球軌道(LEO)衛星を使用するナビゲーションシステムを使用し、高完全性ナビゲーションを提供する様々なナビゲーション信号を実装することができる。システムには、LEO衛星とその他の非LEO送信機(例えば宇宙の及び/または地上の送信機)からの受動測距信号を取り入れることができる。
【0020】
監視局からなる基準網は、受動測距信号を送信する様々なプラットフォームのクロックバイアスと、信号構造と、送信機位置または軌道暦とを推定できる。この推定情報(較正情報とも呼ばれる)は、LEO衛星とのデータリンクやその他のデータリンクを通じて様々なナビゲーション装置へ伝達できる。
【0021】
ナビゲーション装置は、ブロードキャスト情報と数種類の信号とを組み合わせて高精度ナビゲーションを遂行するように構成できる。ブロードキャストLEO信号を軍事用、商用、及び民生用ナビゲーション信号と併せて実装すれば、様々なナビゲーション信号の中でユーザを区分し、インフラコストの分担を図ることができる。スペクトル拡散と低傍受・検知確率(LPI/D)が一体化されたデータアップリンクも提供でき、これもここで説明する。
【0022】
本発明の実施形態を制限するのではなく、専らこれを例証することを目的とする図をこれより参照し、図1は、本発明の一実施形態に従い総合高性能ナビゲーション通信システム(iGPSシステムとも呼ばれる)の概観を提示する。システム100はナビゲーション装置102(ユーザ機器、ユーザ装置、及び/またはユーザナビゲーション装置とも呼ばれる)を含み、これはナビゲーションを遂行するため、しかるべきハードウェア及び/またはソフトウェアによって様々な宇宙・地上測距発信源から信号を受信し復号化するよう実装される。かかる信号は、例えばGPS、LEO(例えばイリジウム、グローバルスター)、広域補強システム(WAAS)、欧州静止ナビゲーションオーバレイサービス(EGNOS)、ガリレオ、準天頂衛星システム(QZSS)、及び/または移動衛星ベンチャー(MSV)衛星からの衛星ブロードキャストを含む。信号はまた、携帯電話搭、テレビ搭、WiFi、WiMAX、全国車両インフラ統合(VII)ノードをはじめとするしかるべき発信源からの地上ブロードキャストを含む。
【0023】
図1に示す例で、ナビゲーション装置102は従来のナビゲーション衛星から全地球測位システム(GPS)信号106(例えば保護及び/または非保護GPS信号)を受信するよう構成できる。ナビゲーション装置102はさらに、様々な低地球軌道(LEO)衛星108から信号104を受信することができる。これに関し、各々のLEO信号104(iGPS信号とも呼ばれる)は、通信信号104Aと、軍事用ナビゲーション信号104Bと、商用ナビゲーション信号104Cと、民生用ナビゲーション信号104Dとを含む複合信号として構成できる。かかる実装によりLEO衛星108は軍事、商業、及び民間ユーザに同時に対応でき、かかるユーザに操業システム100のコストを分担させることができる。
【0024】
LEO衛星108は一実施例において、ここで説明するとおりシステム100をサポートする形に改良及び/または再構成された既存の通信システム(例えばイリジウムまたはグローバルスター)の衛星によって実装できる。同じく図1に見られるとおり、LEO衛
星108は、様々なLEO衛星108間でクロスリンク信号110をサポートする形に実装できる。
【0025】
ナビゲーション装置102は、GPS信号106及び/またはLEO信号104を用いて自身の位置(ひいては対応するユーザの位置)を高い精度で計算できる。計算した位置データ(ならびに必要に応じその他のデータ)は、ここで説明するスペクトル拡散データアップリンクを使ってLEO衛星108へアップリンクできる。
【0026】
ナビゲーション装置102はさらに、他の宇宙・地上測距発信源のブロードキャストを受信し、これをもとにナビゲーションを遂行するように構成でき、実施形態によってはかかる構成が望ましい。加えて、ここで説明する妨害保護を提供するため、例えば微小電気機械システム(MEMS)として実装された、慣性測定装置(IMU)によりナビゲーション装置102を構成することもできる。
【0027】
ナビゲーション装置102は特定の用途に応じて所望の構成で実装できる。例えばナビゲーション装置102は種々の実施形態において、手持ち型ナビゲーション装置として、車両搭載ナビゲーション装置として、航空機搭載ナビゲーション装置として、またはその他のタイプの装置として、実装できる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に従いシステム100のさらなる概観を提示する。図2はとりわけ、地球をめぐる軌道におけるLEO衛星108とGPS衛星202とを示している。図2はさらに、システム100のインフラサブシステムの様々な態様を示している。例えばシステム100は、LEO信号104やその他の測距信号を受信するよう構成された基準網204と、GPS地上インフラ206と、LEO地上インフラ208とを含む。システム100の種々の実施形態においてさらなる宇宙及び/または地上コンポーネントを用意することができるのは理解されよう。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態に従いシステム100の全体的操業構成を示す。図3には様々なサブシステムが描かれているが、システム100の全ての実施形態でかかるサブシステムの全てを用意する必要がないことは理解されよう。
【0030】
図3に見られるとおり、LEO衛星108はナビゲーション装置102と図示された様々な地上サブシステムとに対し急角度動作を呈する。有利なことに、この急角度動作は地上サブシステムがサイクル曖昧性を解決するのに役立つ。加えて、LEO信号104は従来のナビゲーション信号106に比べて高い出力で実装できる。このためLEO信号104は干渉や建物の貫通をも可能にする。
【0031】
LEO信号104は様々な地上端末へ至る測距及びデータリンクを含む。図3に見られるとおり、かかる端末は地理的に多様な基準網204とナビゲーション装置102とを含む(この例では携帯電話ハンドセット、MEMS、及び自動車として図示)。
【0032】
GPS衛星202と、ガリレオ衛星306と、WAAS衛星302と、QZSS/MSV 304衛星とを含む様々な衛星も描かれており、これらはいずれも種々の実施形態に従い基準網204とナビゲーション装置102とへ測距及びデータダウンリンクをブロードキャストするように構成できる。
【0033】
明瞭を図るため、いくつかの測距信号が図3に図示されていないことは理解されよう。例えば一実施形態においては、図示された全ての衛星を、全てのナビゲーション装置102と基準網204に向けてブロードキャストするよう構成できる。
【0034】
同じく図3に見られるとおり、複数の測距信号発信源310からの様々な測距信号318は基準網204とナビゲーション装置102によって監視できる。基準網204は、各測距信号発信源310の特性をつかみ、各測距信号発信源に関連する較正情報を提供するように構成できる。かかる情報は、しかるべきデータアップリンク320を介してLEO衛星108へ引き渡すことができ、LEO衛星108によってLEO信号104の1つ以上の軍事用、商用、またはナビゲーション信号104B/104C/104Dに符号化でき、さらにLEO信号104の一部としてナビゲーション装置102へブロードキャストできる。ナビゲーション装置102はこの較正情報をもとに測距信号318を解釈し、LEO信号104を用いた距離測定と併せてナビゲーションを遂行する。
【0035】
通常、様々な送信機はタイミングとデータ(すなわち測距データ)を提供できる。この場合、汎用測距発信源の測距信号は基準網204とナビゲーション装置102によって受信できる。基準網204は測距信号に関連する較正情報を割り出し、LEO衛星108とのデータアップリンクを通じて、及び/またはナビゲーション装置に至る地上リンクを通じて、かかる較正情報をナビゲーション装置102へ電送する。
【0036】
例えば図3は、WiFiノードとして実装された測距信号発信源310のいずれかひとつによって受信されるGPS信号を示している。WiFi信号の所定の属性のタイミング(光の速度を掛けた場合にレンジに相当)を測定する能力が実装されたGPS受信機なら、受信したWiFi信号とGPS信号とを同時に測定できる。これらの量の差を計算し、時間タグを付し、基準網204へ転送することにより、WiFiノードの較正情報を提供することができる。GPS信号106とその他の測距信号318の受信に応じて基準網204でさらなる較正情報を割り出すこともできる。いずれの場合でも、基準網204はWiFiノードのリアルタイム較正情報をアップリンク320とLEO信号104にのせて(例えば宇宙ベースのリンクにのせて)LEO衛星104を通じてナビゲーション装置102へ電送できる。較正情報は地上リンクを通じてナビゲーション装置102へ提供することもできる。もしも種々の地上ノードの間にネットワーク316(例えばインターネット)が存在するなら、測距信号発信源310は必ずしも基準網204の全ノードの視野内になくてもよく、有利である。
【0037】
LEO衛星108は上述したとおり、システム100のナビゲーション機能をサポートするようここで説明するとおりに改良及び/または再構成された通信衛星(例えば、イリジウム衛星またはグローバルスター衛星)として実装できる。下の表1及び2には、種々の実施形態に従いLEO衛星108として使用できるイリジウム通信衛星とグローバルスター通信衛星の様々な属性が記されている。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
イリジウム通信衛星を使ってLEO衛星108を実装する一実施例においては、ナビゲーション信号の処理を円滑化するため、イリジウム通信衛星のフライトコンピュータのプログラムを適当なソフトウェアを用いて作り直すことができる。グローバルスター通信衛星を使ってLEO衛星108を実装する別の実施例では、衛星ベントパイプアーキテクチャにより新しい種々信号形式に対応する形に地上機器を改良することができる。
【0041】
通信衛星を使ってLEO衛星108を実装する実施形態では、通信信号とナビゲーション信号をサポートする形に通信衛星を構成できる。この場合は、マルチパス拒否、測距精度、相互相関、対妨害・干渉耐性のほかに、選択的アクセス、スプーフィング防止、低傍受確率をはじめとするセキュリティ等、様々な要因を考慮に入れてナビゲーション信号を実装できる。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104を実装する一アプローチを示す。特に図4のブロック410、420、及び430は、通信信号とナビゲーション信号をサポートするため、既存イリジウム通信衛星を使って実装されたLEO衛星108によって送受される信号の構造を示している。ブロック410、420、及び430で横軸は周波数を表し、時間はページの内外に図示され、縦軸はパワースペクトル密度を表す。
【0043】
LEO衛星108は一実施形態において、複数の送信スロット402と複数の受信スロット404として実装される複数のチャネルをサポートするように構成でき、これらのスロットは時分割多重アクセス(TDMA)方式で90msのフレーム幅にわたって構成さ
れ、さらに周波数分割多重アクセス(FDMA)方式で10MHzの周波数帯域幅にわたって構成される。これに関し、各々のチャネルが、特定の周波数帯の中で提供されるフレームの特定の送信スロットまたは受信スロットに対応することは理解されよう。例えば一実施形態においては、240の周波数帯で1フレーム当たり4タイムスロットとし、約960チャネルの送信をサポートする形にLEO衛星108を実装できる(例えば、240周波数帯×4タイムスロット=960チャネル)。
【0044】
ブロック410に見られるとおり、送信スロット402と受信スロット404のいくつかは既存の通信(例えば図4に図示された通話440)に関連する。使用される送信スロット402は、LEO衛星108によって送信されるLEO信号104の通信信号104Aで提供されるデータに対応する。
【0045】
ブロック410に図示された実施形態で、複数の送信スロット402が使われずに残っていることは理解されよう。本発明の種々の実施形態に従い、未使用送信スロット402の未使用通信キャパシティは、ここで説明するとおり、ナビゲーション信号をサポートするため利用できる。
【0046】
ブロック420に見られるとおり、残りの未使用送信スロット402の各々には擬似ランダムノイズ(PRN)の測距オーバーレイ422を導入できる。測距オーバーレイ422は低平均出力でチャネル単位で実行できるが、ひとまとまりの測距オーバーレイ422は妨害を克服する高い出力を呈する。対照的に、ブロック430にはLEO衛星108によって提供される最大出力スポットビームを使って実装された測距オーバーレイ422が見られる。
【0047】
測距オーバーレイ422は一実施形態において、周波数ホッピングとダイレクトシーケンスPRNを組み合わせて実装できる。周波数ホッピング成分については、各バーストにつき擬似ランダム方式で周波数のサブセットを選択できる。各バーストの中ではデータビットも擬似ランダム方式で選択する。
【0048】
一実施形態においては、送信スロット402で測距オーバーレイ422より通話440が優先し、測距オーバーレイ422は時折起こるバーストの欠如または破損の影響をほとんど受けない。別の実施形態においては、送信スロット402で通話440より測距オーバーレイ422が優先し、通話440も同様に、時折起こるバーストの欠如または破損の影響をほとんど受けない。
【0049】
測距オーバーレイ422は一実施形態において、周波数帯規制のもとで可能な限り広い帯域幅で実装できる。この場合は使用可能な全チャネルを使用でき、様々な周波数分割、時分割、及び符号分割多重(CDMA)手法を用いてダウンリンク信号を作ることができ、このダウンリンク信号は、ユーザが符号を知らない限りフラットなホワイトノイズのように見える傾向がある。このフラットさから、精度と対妨害耐性とマルチパス拒否にとって好適な信号が提供される。相互相関はしかるべき暗号アルゴリズムを用いて最小限に抑えることができ、ナビゲーション装置102における高速デジタル信号処理がこれを可能にする。
【0050】
LEO信号104は一実施形態において、次式に示すとおり時間tに対し複合信号s(t)として実装できる。
【0051】
【数1】
【0052】
上の式で、Aは信号振幅であり、nはシンボルインデックスであり、pは±1で与えられるダイレクトシーケンス擬似ランダムノイズ値であり、hはシンボルインパルス応答であり、mはチャネル周波数インデックスであり、f0はスペクトル拡散ブロードキャストスパンであり、Nはスペクトル拡散ブロードキャストスパンを形成するチャネル周波数の数である。
【0053】
グローバルスター衛星でLEO衛星108を実装する別の実施形態では、電話トラフィックに直交する1.25MHzチャネルの各々に低出力ダイレクトシーケンス符号を用意できる。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104を観察するためナビゲーション装置102によって実装される自己相関関数を示す。図5で、τは自己相関引数であり、Rは基礎40%ルート累乗余弦シンボルインパルス応答の自己相関関数であり、NはLEO衛星108の周波数帯割り当てで許容されるチャネル数であり(例えば一実施形態において最大240)、f0は許容周波数スパンであり(チャネル間隔によりNに関係し、一実施形態においてはf0=[41.667kHz]N)、φmは各チャネルの衛星位相バイアスである。
【0055】
加えて図5は、自己相関関数502のグラフ504及び510を異なる縮尺で提示する。グラフ504には、25kspsダイレクトシーケンスデータの有効相関長によって形成される自己相関関数502の包絡線506が見られる。この実施形態では、41.667kHzで相隔てられたブロードバンドチャネルの集まりによって自己相関が形成される。例えば10MHz幅のブロードキャストなら、有効ダイレクトシーケンスチップ長はYコードのそれに、すなわち30mに、なる。グラフ510では比較のため、GPS粗/捕捉(C/A)コード例512とGPS軍事用(M)コード例514が重ね合わせてある。グラフ510に見られるとおり、自己相関関数502のサイドローブはGPS Mコード514のそれと同じくらい容易く処理できる。この場合、自己相関関数502のサイドローブは大幅に減衰するかはっきりと識別できるかのいずれかである。
【0056】
既に述べたとおり、LEO信号104には、軍事用ナビゲーション信号104B、商用ナビゲーション信号104C、民生用ナビゲーション信号104D等、様々なナビゲーション信号を盛り込むことができる。そこでナビゲーション装置102は、ナビゲーションの遂行にあたってこれらの信号の1つ以上を復号化するように構成できる。
【0057】
例えば図6は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104の軍事用ナビゲーション信号104Bを復号化するプロセスを示す。LEO信号104の受信に応じてナビゲーション装置102が図6のプロセスを遂行できることは理解されよう。
【0058】
種々の用途においては、妨害を克服するため軍事用ナビゲーション信号104Bを高出力信号として実装するのが望ましい。そこでLEO信号104は図6のステップ1に見られるとおり、軍事用ナビゲーション信号104Bを搬送するよう構成されたいくつかの並列チャネル602(図6では12個のチャネルを図示)を含む。一実施形態においては、LEO衛星108からの各ブロードキャストバーストに対しアクティブにするチャネル602を判定するため擬似ランダムプロセスを使用できる。同じく図6のステップに見られるとおり、ページの中での時間の進行にともないチャネル602上の各並列バーストにつ
き一連の直角位相シフトキー(QPSK)シンボル604が描かれている。QPSKシンボル604はPRNダイレクトシーケンス符号化によって変調され、LEO信号104における周波数に基づきバイアスと回転を呈する。
【0059】
図6のステップ2では、各バーストをベースバンドまで回転させ、チャネル間バイアスを取り除き、PRNダイレクトシーケンスパターンを除去することによってPRN符号化の逆拡散を行い、変更されたQPSKシンボル606に見られるとおり、軍事用ナビゲーション信号104Bに関連するデータを搬送する1組のバーストを提供する。
【0060】
図6のステップ3ではM個の直交マクロシンボル608に従って低ビットレートデータを復調する。QPSK変調からクオーターサイクル曖昧性がある場合、組み合わされた曖昧性とマクロシンボルは完璧には直交しない。データを推定したら硬判定アルゴリズムにより推定データを除去し、復調されていないキャリア610だけが残る。
【0061】
図6のステップ4では、バースト全体にわたり、次に各チャネルにわたり、キャリアの平均をとる。その結果、瞬時追跡誤差の同相・直角測定値612が提供される。そして、ナビゲーション装置102の位相ロックループ(PLL)を使って衛星キャリアを追跡する。
【0062】
図7は、本発明の一実施形態に従い図6のプロセスの遂行に利用できるナビゲーション装置102の相関器のブロック図を示す。数値制御発振器702が生成するキャリアは、着信LEO信号104(例えばナビゲーション装置102のアンテナを通じて受信)をベースバンド信号714までダウンコンバートする。ベースバンド信号714は、パンクチュアル符号キャリア追跡を遂行する上位経路704へ提供される。ベースバンド信号714は、アーリー・マイナス・レート・ディテクションを遂行する下位経路706にも提供される。
【0063】
下位経路706では、合成器708とPRN生成器710が各チャネルのLEO信号104を複製する。上位経路704では、各チャネルにつき符号と位相回転を別々に除去するため、複製された信号712がベースバンド信号714に混ぜ合わされる。仮説生成器716はマクロシンボル608の各々に関連する信号を計算し、クオーターサイクル曖昧性のある場合にはこれも計算する。プロセッサ718は最大事後(MAP)アルゴリズムを使ってデータ推定を提供し、最も見込みが高いマクロシンボル仮説がどれかを明らかにする。図示されたとおり、データ推定720はアーリー・マイナス・レート・ディテクションで使用するため下位経路706へ引き渡される。上位経路704でパンクチュアル検出を遂行するため、プロセッサ718はデータを除去し、出来上がったバーストを加算ブロック722へ出力し、加算ブロック722が時間の経過にともなう全バーストをとりまとめることにより、同相・直角追跡誤差724に到達する。
【0064】
下位経路706では、アーリー・マイナス・レート・ブロック726とデータ生成ブロック728によって複製信号712がさらに変調される(上位経路704から受け取ったデータ推定720を使用)。図示されたとおり、出来上がった変調済み信号を総計することによって複合アーリー・マイナス・レート複製信号730が形成され、これをベースバンド信号714と混ぜ合わせ、時間平均化のため加算ブロック732へ送信することによりアーリー・マイナス・レート弁別子734を提供する。アーリー・マイナス・レート弁別子734は、所与のキャリアロックと十分な平均化期間により瞬時追跡誤差の尺度を提供する。
【0065】
図8は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104の商用ナビゲーション信号104Cを復号化するプロセスを示す。LEO信号104の受信に応じてナビゲーション装置1
02が図8のプロセスを遂行できることは理解されよう。
【0066】
図示されたとおり、図8のプロセスは図6のプロセスに似ており、図8のステップ1〜4は図6のステップ1〜4に概ね対応する。ただし図8のプロセスで使われているチャネル802が図6のチャネル602に比べて少ないことは理解されよう(例えば図示された実施形態では2チャネル)。使用するチャネル802数が少ないため、LEO信号104の商用ナビゲーション信号104Cは軍事用ナビゲーション信号104Bより少ない出力と少ない帯域幅で実装できる。
【0067】
図9は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104の商用ナビゲーション信号104Cを復号化する代替プロセスを示す。図示されたとおり、図9のプロセスは図8のプロセスに似ており、図9のステップ1〜2は図8のステップ1〜2に概ね対応する。ただし図9のステップ3では、ナビゲーション装置102がダウンリンクデータ(例えば較正情報)をLEO信号104とは異なるやり方で(例えば、図3に見られる基準網204か1つ以上のノードに至るリンクから)受信できると仮定する。図8のステップ3及び4と同様、図9のステップ4及び5ではさらなる処理を遂行できる。有利なことに、図9のプロセスにステップ3が挿入されることにより屋内環境での感度を上げることができる。この場合のナビゲーション装置102は、ダウンリンクデータ及び/またはクオーターサイクル除去を行う必要がなく、基準網204の1つ以上の基準局から信頼性の高いダウンリンクデータ表現を受信できるから、ナビゲーション装置102に要求される処理は減り、信号処理利得は向上する。
【0068】
図10は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104の民生用ナビゲーション信号104Dを復号化するプロセスを示す。種々の実施形態では一般的に、民生用ナビゲーション信号104Dの使用をキャリアのみナビゲーションに集中させることができる。その結果、民生用ナビゲーション信号104Dは比較的狭い帯域幅(例えば約1MHz)で実装でき、周知できる。このため、民生用ナビゲーション信号104Dに使うチャネル1002は多大なスペクトル拡散がなくとも実装できる。これに関し、図10のステップ1に描かれたチャネル1002が図6、8、及び9のステップ1に描かれたチャネル602及び802に比べて密にグループ化されていることは理解されよう。図10のステップ1〜4の操作を既に述べた図6のステップ1〜4の操作から理解できることは分かるであろう。
【0069】
上の論述に鑑み、実施形態によってはLEO信号104の軍事用、商用、及び民生用ナビゲーション信号104B、104C、及び104Dを以下の表3に記載された以下の属性で実装できることは理解されよう。
【0070】
【表3】
【0071】
本発明の別の実施形態においては、軍事用ナビゲーション信号104Bの軍事使用は許し、それと同時にある特定の操業エリアでは敵対者に対し商用及び/または民生用ナビゲーション信号104C及び104Dの使用を拒否し、当該操業エリア外での商用及び民生用ナビゲーション信号104C及び104Dの使用には支障をきたさないようシステム1
00を実装できる。
【0072】
例えば一実施形態において、当該操業エリアでは失効する暗号鍵を配布し、商用ナビゲーション信号104Cの復号化にあたってはこの暗号鍵の使用を条件とする。別の実施形態においては、LEO衛星108による商用ナビゲーション信号104Cのブロードキャストを当該操業エリアで選択的に遮断する(例えば、LEO衛星108からの個々のスポットビームを個別にオフにする)。
【0073】
別の実施形態においては、当該操業エリア内で商用ナビゲーション信号104C及び/または民生用ナビゲーション信号104Dを局地的に妨害する。これに関し、図11は、軍事用ナビゲーション信号104Bと、民生用ナビゲーション信号104Dと、GPS C/Aコード512と、GPS Mコード514との比較を示す。
【0074】
図11に見られるとおり、GPS C/Aコード512は軍事目的でC/Aコード帯域を妨害することによって妨害できる。同じく図11に見られるとおり、民生用ナビゲーション信号104Dは、パワースペクトル密度と帯域幅の点で軍事用ナビゲーション信号104Bの一部とみなすことができる。FDMAとTDMAの両方を使って測距オーバーレイ422を実装する場合に、民生用ナビゲーション信号104Dが周波数ホッピングバーストの中で図11のとおりに現れることは分かるであろう。
【0075】
図12は、本発明の一実施形態に従い民生用及び商用ナビゲーション信号104C及び104Dの局地的妨害を遂行するにあたって使用できる妨害装置のブロック図を示す。図12に見られるとおり、ホワイトノイズ発信源1202(例えばブラウン運動を用いて作る)はフィルタ1204によって処理され、LEO衛星108の送信チャネルにほぼ相当する帯域幅を持つノイズ信号1206を提供する。
【0076】
軍事用受信機1208と、生成器1210と、発振器1212/1214は、所定の公開民生用PRNシーケンスによって決まる民生用ナビゲーション信号104Dの瞬時周波数に対応する多数のチャネル1216を提供するよう構成される。ノイズ信号1206はチャネル1216を用いて変調され、これを図示されたさらなるコンポーネントによってアップコンバートし、LEO信号104の一部としてLEO衛星108から受信する民生用ナビゲーション信号104Dの時間と長さと周波数にぴったり合わせて妨害バーストを放出する。実装要求に応じ商用ナビゲーション信号104Cの妨害にも上記のアプローチを適宜使用できることは理解されよう。
【0077】
図13は、本発明の一実施形態に従い図12の妨害装置の動作を周波数及び時間領域で表現したものである。図13に見られるとおり、妨害装置1200によって提供される個々のノイズバーストは、民生用ナビゲーション信号104Dに一致する狭い周波数帯1304に集中している。有利なことに、軍事用ナビゲーション信号104B成分(暗い長方形1306)には実質的に変化はなく、軍事業務のため存分に利用できる。
【0078】
これより図14〜17との関係でLEO衛星108における測距オーバーレイ422の生成を説明する。この場合、図14〜17との関係で説明する様々なプロセスはLEO衛星108のしかるべきプロセッサによって遂行できる。加えて、通信信号(例えば電話バースト)をQPSK形式で変調しブロードキャストするため、しかるべきソフトウェアとハードウェアによりLEO衛星108を実装できる。
【0079】
図14は、本発明の一実施形態に従い擬似ランダムノイズを生成するアプローチを示す。図14に示す実施形態ではカウンタ方式の擬似乱数生成器1400を使用する。この場合は、カウンタ値1402と128ビットの暗号トラフィック鍵1404との組み合わせ
によって128ビットの暗号を提供する。カウンタ値1402を暗号1406に組み合わせることにより、測距オーバーレイ422の様々なPRN要素を構築できる。一実施形態においては、先進暗号規格(AES)プロセスを用いてカウンタ入力1402と暗号を128ビットワードとして実装できる。
【0080】
図14に見られるとおり、各々のカウンタ値1402はタイプフラグ1412を含み、このフラグは、チャネル選択(例えばタイプフラグ1412が「1」に設定される場合)かダイレクトシーケンスチップ(例えばタイプフラグ1412が「0」に設定される場合)のいずれかでカウンタ値1402を識別する。タイプフラグ1412がチャネル選択に設定されなら、チャネル選択プール1408のどのチャネルでデータバーストチップをブロードキャストするかをカウンタ値1402のほかのビットで指定する。タイプフラグ1412がダイレクトシーケンスに設定されるなら、カウンタ値1402のほかのビットはチップブロックインデックス1414(例えば、ブロードキャストする特定のダイレクトシーケンスチップ1410を指定)とバーストカウント1416(例えば、ブロードキャストする特定のダイレクトシーケンスチップ1410のフレーム数を指定)とに相当する。
【0081】
一実施形態においては、暗号1406を使って周波数ホッピングを指導する値をチャネル選択乱数プール1408から選択できる。別の実施形態において、暗号1406を使ってQPSKデータビットを埋めるダイレクトシーケンスチップ1410を選択できる。
【0082】
図15は、本発明の一実施形態に従いチャネル選択プール1408から均一に分布するモジュロ範囲の整数を構成するプロセスを示す。図15のプロセスを、図14との関係で既に説明したチャネル選択プール1408と併せて使用できることは理解されよう。
【0083】
図16は、本発明の一実施形態に従いチャネル選択プール1408をランダム非重複チャネルのリストに変換するプロセスを示す。下の表4に記載された値に従いM及びN(図16に図示)に異なるパラメータを選択すれば、図16のプロセスを軍事用ナビゲーション信号104Bと、商用ナビゲーション信号104Cと、民生用ナビゲーション信号104Dとに使用することができる。
【0084】
【表4】
【0085】
図17は、本発明の一実施形態に従い図16のプロセスによって生成される周波数ホッピングパターンを示す。図16に見られるとおり、相次ぐ送信バーストのため様々なランダムチャネル選択(送信周波数に対応)が提供される。LEO衛星108とナビゲーション装置102にとって既知の共通の鍵(例えば128ビット鍵)を用いて擬似ランダム方式で周波数とチップが生成されることは理解されよう。
【0086】
図18〜21は、本発明の一実施形態に従い実装できるナビゲーション装置102の様々な態様を示す。例えば図18は、本発明の一実施形態に従い信号を受信しダウンコンバージョンのためサンプリングするよう構成されたナビゲーション装置102の受信プロセ
ッサ1800のブロック図を示す。図18に見られるとおり、ナビゲーション信号はアンテナ1802によって受信され、マルチバンドフィルタ1804によってフィルタされ(所望の周波数帯を予め選択するため)、増幅器1806によって増幅され、サンプル・アンド・ホールド回路1808によってサンプリングされ、原始デジタルRFサンプル1816を提供する。
【0087】
受信プロセッサ1800はまた、発振器1810と、サンプル・アンド・ホールド回路1808の同期をとるために使用する合成器1812とを含む。サンプル・アンド・ホールド回路1808のサンプルレートは、エイリアス化された事前選択周波数帯で重複を防ぐよう選択できる。
【0088】
受信プロセッサ1800はIMU 1814をも含み、これは測定時間タグを受信機の共通クロックに同期させる3軸MEMSジャイロ及び加速度計として実装され、原始デジタルモーションサンプルを提供するために使用する。単一または多重ステップダウンコンバージョンを促進するためこれ以外の受信機実装を代わりに使用できることは理解されよう。
【0089】
図19は、本発明の一実施形態に従い測距処理を遂行するよう構成されたナビゲーション装置102のナビゲーションプロセッサ1900のブロック図を示す。図19に見られるとおり、ヒルベルト変換ブロック1902は原始デジタルRFサンプル1906を複合サンプル1904に変換する。複数の追跡モジュール1906が用意されている。各々の追跡モジュール1906は複合信号1904の中で提供される別々の信号に対応し、衛星測距発信源か地上測距発信源の追跡に使われる。
【0090】
ナビゲーションプロセッサ1900は、慣性プロセッサ1916と拡張カルマンフィルタ1914とによって処理される原始デジタルモーションサンプル1818に基づき追跡モジュール1906へフィードフォワードコマンド1908を提供する。支援情報1908は波長の小部分まで追跡モジュール1906を駆動する。追跡モジュール1906からの原始符号及びキャリア位相測定値1910はナビゲーションプリプロセッサ1912に読み込まれ、これを拡張カルマンフィルタ1914によって処理し、組み合わせることにより位置決定1918を提供する。
【0091】
図20は、本発明の一実施形態に従いナビゲーションプロセッサ1900の拡張カルマンフィルタ1914で使用する様々な状態変数定義を示す。
【0092】
図20の式2002は、インテグレート・アンド・ダンプ相関器の一モデルである。出力追跡誤差Δyは、実際の位相とフィルタによって予測される位相との差を時間Tに沿って平均化することによって表される。式2004は、地上と宇宙の慣性、クロック、及び全タイミング及び測距発信源を含む完全ナビゲーションシステムの連続時間更新モデルである。推定量状態ベクトル変数は、累積的な相関器位相、ユーザ一、速度、姿勢、加速度計バイアス、ジャイロバイアス、レンジバイアス、レンジバイアスレート、クロックバイアス、及びクロックバイアスレートである。式2006は、ジオメトリと大気圏誤差を考慮に入れて基準地点からユーザへの時間伝達フィードフォワードを示すキャリア位相観察モデルである。
【0093】
図21は、本発明の一実施形態に従い1追跡モジュール1906のブロック図を示す。追跡モジュール1906は、これが追跡する特定の測距信号で符号とキャリア位相の両方を事前配置するためフィードフォワードコマンド1908を受け取る。第1の処理ステップとして、ダウンコンバータ1950は複合サンプル1904で提供されるキャリアをベースバンドまで回転させる。次にダウンコンバートされた信号1952は分割され、アー
リー・マイナス・レート整合フィルタ1954とパンクチュアル整合フィルタ1956へ引き渡される。
【0094】
視野内の各測距信号の信号波形は、ユーザメモリに予め格納されるか、またはLEO衛星108かネットワーク(例えば携帯電話、WiFi、WiMAX、またはVII)ノードとのデータリンクによって更新される。このデータリンク更新によるアーキテクチャの拡張により、事実上どんな送信信号でも使用することができる。このインパルス応答(GPS衛星のPRN符号に類似)は整合フィルタ処理の基礎をなす。携帯電話、WiFi、WiMAX、VII、テレビ等の地上波信号のインパルス応答は、基準信号の決定的部分を保持することによって調整できる。未知のデータ等、非決定的特性を備える信号部分は基準信号の中で無効にする。整合フィルタ/相関器実装の場合、これらの整合フィルタには基準信号構造インパルス応答が提供される。その結果、フィルタ1954及び1956は、同相・直角表現のアーリー・マイナス・レート追跡誤差1958とパンクチュアル追跡誤差1960を提供する。
【0095】
本発明の種々の実施形態に従い、測距発信源の符号化には様々なデータ構造を使用できる。例えば一実施形態においては以下のコードによって測距信号を表すことができる。
【0096】
【数2】
【0097】
上記のコードで、信号基準波形はインパルス応答パラメータとして符号化され、これの時間源はブロードキャストクロックに結合する。ブロードキャスト周波数は測距発信源のキャリア周波数である。ブロードキャスト位置は、宇宙船の場合は精密軌道暦として符号化し、地上測距発信源の場合はデカルト静止座標として符号化する。クロック補正は、協定世界時(UTC)(例えば米国海軍天文台(USNO)により提供)に基づくシステム時間に照らして測距発信源を較正する。
【0098】
種々の実施形態においては、LEO衛星108で採用される新たな測距信号符号をほぼリアルタイムで解読するよう該当する地上局を構成する。この場合は解読された符号がかかる地上局からナビゲーション装置102へ提供され、ナビゲーション装置102はナビゲーションの遂行にあたって、協調的信号であろうがなかろうが、事実上どんな信号でも
使うことができる。
【0099】
図22〜29は、本発明の種々の実施形態に従い様々な環境サービスの中でナビゲーションを遂行する様々なシステム100使用を示す。例えば図22は、本発明の一実施形態に従い屋内測位を提供するシステム100使用を示す。これに関し、図22のナビゲーション装置102を建物やその他の構造物の中に配置できることは理解されよう。
【0100】
図22に見られるとおり、ナビゲーション装置102(例えば手持ち型ユーザナビゲーション装置)はLEO衛星108から直接的にLEO信号104を受信できるほか、ノード310からさらなる測距信号318を受信できる。基準網204の基準局も測距信号318を受信できる。基準網204は既に述べたとおり、しかるべきハードウェアまたはソフトウェアによって測距信号発信源310に関連する較正情報を割り出すように構成でき、この情報はデータアップリンク320でLEO衛星108へ引き渡され、LEO衛星108によりLEO信号104に符号化され、LEO信号104の一部としてナビゲーション装置102へブロードキャストされる。ナビゲーション装置102はこの較正情報をもとに測距信号318を解釈し、LEO信号104を用いた距離測定と併せてナビゲーションを遂行する。
【0101】
軍事用ナビゲーション信号104B(例えば、LEO信号104の一部としてLEO衛星108により提供)と測距信号318(例えば、携帯電話またはテレビ信号発信源等の測距信号発信源310により提供)は、建物の建材を貫通して屋内にあるナビゲーション装置102に到達できる高出力信号として実装できる。図22に見られるアプローチでかかる高出力信号を使用すれば、ナビゲーション装置102は屋内でナビゲーションを遂行し、コールドスタートから速やかに捕捉できる。
【0102】
図23は、本発明の別の実施形態に従い屋内測位を提供するシステム100使用を示す。図23に見られる実装が既に述べた図22の実装に概ね一致することは理解されよう。ただし図23に見られる実施形態のナビゲーション装置102は、ネットワーク316を通じて基準網204やノード312または314と適宜通信できる。
【0103】
加えてシステム100は、ここで図8との関係で説明したオンテザー商用信号を使用するように構成できる。この場合は低出力の商用ナビゲーション信号104Cを使用でき、商用ナビゲーション信号104Cの中で符号化されたナビゲーションデータの複製を測距信号318にのせて送信することによって処理利得の増大を図ることができる。ナビゲーションデータは図8のプロセスを使って取り除かれるから、追跡ループ帯域幅は大幅に抑えることができる。
【0104】
ナビゲーション装置102は一実施形態において、各測距発信源kにつき擬似距離のベクトルを形成することにより、そしてユーザ位置xとユーザバイアスτの初期推測について線形化を行うことにより、最終的な位置決定を求めることができる。
【0105】
【数3】
【0106】
ユーザ位置推定は最小二乗法を用いて精緻化する。
【0107】
【数4】
【0108】
別の実施形態においては、高精度・高完全性ナビゲーションを提供する形にシステム100を実装できる。これに関し、図24は本発明の一実施形態に従いGPS信号106とデュアルバンドLEO信号104及び104’とを用いてナビゲーションを遂行するシステム100使用を示す。具体的に図24は、単一周波数L1 GPS信号を2通りのLEO信号104及び104’とともに使用し(異なるLEO衛星108及び108’からの周波数帯が異なる異なるLEO信号)高度なナビゲーション性能を提供する様子を示している。図24に見られる実施形態で、ナビゲーションにあたってはGPS信号106とLEO信号104及び104’のキャリアで十分であり、信号からの符号位相を使用する必要はない。ただし別の実施形態においては、観察対象から最大限の情報を導き出すため符号とキャリアの両方を使用する。
【0109】
図24で、基準網204の局はGPS信号106とLEO信号104及び104’を監視し、連続キャリア位相情報を収集することにより、GPS衛星202とLEO衛星108の精密軌道判定を遂行する。異なるLEO信号104及び104’を使用することによって電離圏の影響は排除でき、電離圏の影響を免れるキャリア位相信号が得られる。GPS衛星202とLEO衛星104及び104’のサイクル曖昧性は(例えば楕円2402により図示)、LEO衛星104及び104’の大角度動作を利用することによって推定できる。
【0110】
図24におけるナビゲーション装置102(例えばこの実施形態では航空機)の位置は、図22〜23との関係で上述したやり方で同様に求めることができる。特に下の表記は、連続型変数bとして表された衛星距離バイアスのほかに対流圏天頂遅延DZとエポックmにおけるユーザ位置xを求めるためk番目の擬似距離測定値を提供する。
【0111】
【数5】
【0112】
ここでも最小二乗法を使って位置調整、時間バイアス、及び距離バイアスのベクトルの連立方程式を解く。GPS信号106を使った測定は単一周波数で対流圏バイアスを被るが、最終的な解は対流圏に左右されない。LEO信号104及び104’を使った測定は対流圏の影響を免れ、(GPS衛星202の実質的に静止した動きに比べて)、LEO衛星104及び104’は急角度動作を呈するから、クロック及び測距バイアス間のコモンモードを除き、ジオメトリマトリックスは最大階数である。これは、GPS衛星202のバイアス推定がLEO信号104及び104’を使った対流圏影響のない測定に基づきユーザを正確に測位する値をとることを意味する。
【0113】
図25は、本発明の一実施形態に従いGPS信号106と単一LEO信号104とを用いてナビゲーションを遂行するシステム100使用を示す。視野内の単一LEO衛星108の軌道ジオメトリは、位置不確実性楕円2502を現地水平に揃える軌道上にLEO衛星108を置く傾向がある。LEO信号104とGPS信号106のほかに、ナビゲーション装置102(例えばこの実施形態では航空機)は第3の信号2504(例えばガリレオ衛星306やその他の衛星からの信号)をその位置判定に適宜役立てることができる。
【0114】
ナビゲーションシステムの完全性は、これを使用するべきでないときに適時ユーザに警告を発する能力によって評価することができる。この場合は、危険なナビゲーションシステム異常が検出されない確率によってナビゲーションシステムの完全性リスクを特徴づけることができる。一実施形態においては、受信機自律完全性監視(RAIM)によって高完全性を提供する形にシステム100を実装できる。RAIM実装では、測定自己無撞着を監視して様々な障害モードにともなうナビゲーションエラーを検出する形にナビゲーション装置102を構成できる。有利なことに、LEO衛星108の急速動作をかかる測定に役立てることができる。
【0115】
RAIMでは、最小二乗適合の残差を使ってシステム不具合のカイ二乗仮説検出を行う。この場合は以下の式を使用することができる。
【0116】
【数6】
【0117】
上記の式で、φは距離測定値に相当し、Hは衛星ジオメトリマトリックスに相当し、
【0118】
【数7】
【0119】
は位置推定に相当する。ナビゲーション装置102は位置決定を求めた後に測定残差Rを計算するように構成できる。もしもRが閾値に満たなければ、システム100は正常に作動していると考えられる。もしもRが閾値以上なら、ナビゲーション装置102は完全性警告を発することができる。
【0120】
図26は、本発明の一実施形態に従い測距誤差が位置解に及ぼす影響を示す。通常、距離測定値には一貫性がある。ただし1つ以上の測定値に問題があって偏ると、誤差によって解は現実からかけ離れたものとなる。測定値の食い違いは実際の位置誤差と大いに相関するから、RAIMにより誤差を検出できる。
【0121】
図27は、システムキャリア位相の精度が閉塞と低劣な精度希釈(DOP)ジオメトリとをどのように埋め合わせるかを示す。二次元の場合は最小二乗適合によって位置誤差の垂直成分を排除する。有利なことに、一実施形態においてはセンチメールレベルのキャリア位相精度でシステム100を実装することによって閉塞時に堅牢なナビゲーションを提供することができる。図示されたとおり、図27のプロセスには予め測量された高度地図を使用することもできる。
【0122】
図28は、本発明の一実施形態に従いLEO衛星108とGPS衛星202から直接受信する信号を使ってナビゲーションを遂行するシステム100使用を示す。図29は図8に類似する実装を示すものだが、LEO信号104とGPS信号106の瞬間的中断によってサービスの継続に支障をきたさないようにするためネットワーク316と測距信号318が加わっている。
【0123】
既に述べたとおり、システム100は、ナビゲーション装置102がナビゲーション信号104B/104C/104Dを使って行うナビゲーションを促進するため、基準網204の基準局からのデータアップリンク320をサポートするように構成できる。適切に構成されたナビゲーション装置102によってデータアップリンク320をサポートすることもできる。この場合は、データアップリンク320を使って基準網204及び/またはナビゲーション装置102からLEO衛星108へ何らかの所望のデータを引き渡すこともでき、これは後ほどLEO信号104の通信信号104Aの一部としてブロードキャストする。
【0124】
GPS時刻とUTCはシステム100の精密タイミング機能から入手できるから、一方向アップリンクプロトコルによってダイレクト双方向同期のないデータアップリンク320が可能である。データアップリンク320の時間と周波数の整相はLEO衛星108に到達させるため事前配置でき、衛星の瞬時キャリア位相とフレーム構造はシンボル単位で正確に一致する。適切なマルチユースプロトコルを使えば、多数のナビゲーション装置102でアップリンクチャネルを共用することが可能となる。かかるマルチユースプロトコルは時間、周波数、符号、またはこれらの組み合わせによって実装できる。一実施形態においては、妨害防止特性と低傍受・検出確率(LPI/D)特性を備えるスペクトル拡散アップリンクとしてデータアップリンク320を構成できる。別の実施形態においては、多数のシンボルにわたってデータアップリンク320の低出力信号を総計することによってノイズから集約されたマクロシンボルを引き出し、LPI/Dアップリンクを提供する
ことができる。
【0125】
図30は、本発明の一実施形態に従いLEO衛星108へ至るアップリンク320のデータバースト3002の汎用フレーム構造を示す。一実施形態においては、1バースト当たり414ビットで約240チャネルのアップリンクバーストをサポートする形にデータアップリンク320を構成できる。データアップリンク320をシンボル単位で正しく整合させるため、一実施形態においてはLEO衛星108のフレーム構造を休止状態に事前配置する(例えば、LEO衛星108のマスタクロックに対し時間シフトなし、周波数シフトなし)。別の実施形態では、LEO衛星108へ至るデータアップリンク320のため適当な同期信号を生成する形に基準網204の基準局を構成する。この同期信号により、バースト内のデータシンボルのフレーム構造はUTCまたはGPS時間基準に事前整合する。
【0126】
図31は、本発明の一実施形態に従いデータアップリンク320の同期をとる地上インフラを示す。特に、図31の地上インフラに含まれる基準網204の基準局は、各データバースト3002のペイロードフィールド3104を整合させるために使用する。一実施形態においては、ペイロード3104に割り当てられたバースト部分のときにブロードキャストを行わないよう基準局を構成できる(この時間はナビゲーション装置102のため確保される)。各々のナビゲーション装置102は一実施形態において、特定の時間と周波数スロットの中で単一シンボルをアップリンクすることを許可される。こうすれば、自身の位置とUTC/GPS時刻を知るナビゲーション装置102によって各シンボル(またはQPSKアップリンクフレーム構造における各直交ビット)に個別に対処できる。ナビゲーション装置102は、所定のフィールドの中でビットを割り当てる適当なマルチユースプロトコルに従って実装できる。例えばCDMAプロトコルなら、多数のナビゲーション装置102が同じビットを共用することさえできる。
【0127】
データアップリンク320は種々の実施形態において低出力信号で実装できる。例えば一実施形態においてはミリワットレベルのブロードキャストを使ってアップリンク320を実装し、LEO衛星108に向けて毎秒数ビットのデータを送信できる。この電力を、例えば10MHz帯域幅にわたって分散させれば、LPI/D用途にとって適度な電力束スペクトル密度が得られる。そのようなアップリンク320のスペクトル拡散実装は対妨害保護をも提供する。
【0128】
図32は、本発明の一実施形態に従いデータアップリンク320に使用する低レベル信号の一実装を示す。LEO衛星108は一実施形態において、QPSK変調で各ビットをバックグランドノイズとともに受信するよう構成できる。QPSKは2つの直交二相位相偏移キー(BPSK)ストリームから合成できるため、図32には簡略化されたBPSK確率分布(一対のオフセットガウス分布)が示されている。LEO衛星108の復調器の中にある検出器は通常、ゼロの閾値に基づき「1」または「0」(ここでは−1)決定を行い、ビット誤り率はSNRの関数としてガウス下のエリアを積分することによって計算する。
【0129】
一実施形態においては復調器がハードリミッタとして扱われる。SNRが1を下回る場合、図32に見られる中央のガウス曲線は典型的である。信号(すなわちデータビット)の存在によって曲線は左右にわずかにずれるが、一般的に出力はノイズであふれる。ただしLEO衛星108は、多数の個別サンプルを平均化することによって信号の出現を検出できる。当業者にとって公知の計算はハードリミッタの損失を約2dBに設定する。ただし2dBの有効アナログ−デジタル変換損失の場合は、たとえLEO衛星108がもとより通信衛星として実装されていたとしても、入力信号は完全に保たれる。上記のアプローチは特定のLEO衛星108実装に限定されない。
【0130】
種々の実施形態においては、基準網204、ナビゲーション装置102、または搭載LEO衛星108によってデータビットの処理を遂行できる。別の実施形態においては、マルチビットRFフロントエンドを備える特注復調器を使用し、アナログベントパイプアーキテクチャで実装されたLEO衛星108で2dBのハードリミッタ損失を解消することができる。
【0131】
図33は、本発明の一実施形態に従いデータアップリンク320をサポートするように構成された送信機3300のブロック図を示す。これに関し、基準網204の基準局の一部として、または1つ以上のナビゲーション装置102の一部として、送信機3300を提供できることは理解されよう。例えば送信機330は一実施形態において、手持ち型防衛先進GPS受信機(DAGR)手持ち型装置、携帯電話ハンドセット、その他のコンパクトで低コストな装置に組み込むことができる。有利なことに、かかるナビゲーション装置102は、そのユーザが低レイテンシのテキストまたはステータスメッセージをデータアップリンク320にのせて世界のどこからでも送信できるように構成でき、送信されたテキストまたはステータスメッセージはさらに通信信号104Aにのせてブロードキャストできる。
【0132】
図33に見られるとおり、ナビゲーション装置102の位置及びクロック(例えばナビゲーション解3302により提供)とLEO衛星108の位置及びクロック(例えばナビゲーションプリプロセッサ1912により提供)との差を計算することによってアプリオリタイミング繰り上げパラメータτ0を形成し、このパラメータは図示されたタイミング繰り上げ計算ブロック3308で使用する。この場合のτ0は、個々のデータビットdnmの送信を繰り上げて適切な時間と整相でLEO衛星108に到達させるためのリードタイムに相当する。
【0133】
このタイミング繰り上げパラメータはベースバンドプロセッサにおける信号の合成を左右する。アップリンクするデータは、ユーザの嗜好に従いブロック3304で符号化され、暗号化される。データ変調ブロック3306は40%ルート累乗余弦パルスを生成し、これは適当なデータビットと、PRNダイレクトシーケンス符号と、PRN生成ブロック3310と合成ブロック3312とによって提供されるチャネル周波数オフセットとによって変調される。チャネルはいくらでも同時に並列処理できる。図33のブロック3316乃至3324に見られるとおり、信号は総計され、アップコンバートされ(この場合は100MHzにより)、実際の形状に変換され、デジタルからアナログへ変換され、ブロードキャストのためRFに変換される。
【0134】
コンパクトな低出力動作のため、ベースバンド成分はDAGRまたは携帯電話ハンドセットの修正ベースバンドリアルエステートの中に存在するよう構成できる。DAGRまたは携帯電話ハンドセットではGPS信号用のアンテナ3324を使用することもできる。一実施形態においては、データアップリンクブロードキャストハードウェアの消費電力と形状因子をハンドセット用に、またはコンパクト用に、実装できる。例えば一実施形態においては、10dBmのRF出力電力を提供し3Vで25mAを引き出すRF Micro Devices社のRF2638チップによってかかる送信ハードウェアを実装できる。
【0135】
図34は、本発明の一実施形態に従いデータアップリンク320をサポートするように構成されたLEO衛星108の様々なコンポーネント3400のブロック図を示す。LEO衛星108は一実施形態において、アンテナ3402と受信ブロック3404を通じてデータビットインパルスを受信し、内部フレーム構造に決定を、すなわち+1または−1を、挿入するように構成できる。PRN生成ブロック3406は、アップリンク上での周
波数ホッピングを、ナビゲーション装置102とLEO衛星108にとって既知のパターンで指示する。また、着信ビットにはPRN生成ブロック3408によってダイレクトシーケンスPRN符号が適用される。様々なマクロシンボル仮説(仮説生成ブロック3410により提供)に関連する波形は着信信号と混ぜ合わされ、これをプロセッサ3412によって処理することにより(例えば、プロセッサ718との関係で既に述べたやり方で処理)、最終的なデータメッセージ3414を提供する。ここで説明したLEO信号104と同様、直交符号化はノイズスペクトル密度当たりのビットエネルギー(Eb/N0)で優れた性能をデータアップリンク320に提供する。
【0136】
データアップリンク320は、PRN符号変調のおかげでビルトイン測距信号をも含む。ナビゲーション装置102からLEO衛星108までの距離を推定するため、LEO衛星108で遅延ロックループ(DLL)を提供することもできる。その結果、逆三角測量を遂行し、多数のLEO衛星108を用いてナビゲーション装置102の位置を受動的に三角測量することが可能となる。
【0137】
有利なことに、システム100は様々な用途において所望の特徴を提供する形に使用できる。例えば一実施形態においては、高速誘導再キーイングを提供する形にシステム100を実装できる。システム100と併せて公開−秘密鍵インフラ手法を使用すれば、暗号化トラフィック鍵を無線で引き渡す前に双方向データリンクを使ってナビゲーション装置102の認証を行うことができる。こうすれば、特定のユーザと、受信機と、位置と、再キーイングの時間とに対する管理を万全に保つことができる。
【0138】
別の実施形態においては、共同平和維持部隊の状況判断を支援する形にシステム100を実装できる。この場合、ナビゲーション装置102は近くにいる味方の部隊と位置情報を共有でき、危険区域や敵の所在地情報もリアルタイムで共有できる。
【0139】
別の実施形態においては、通信ナビゲーションと監視による航空交通管理を支援する形にシステム100を実装できる。この場合にナビゲーション装置102を航空機の中で(例えば、航空機のマルチモード受信機(MMR)のアンテナ及びGPSカードの代わりに)実装すれば、Cat III着陸、ビルトイン通信リンク、総合自動従属監視、宇宙ベースの総合航空交通管制などが可能となる。
【0140】
別の実施形態においては、捜索救助を支援する形にシステム100を実装できる。この場合は、軍事目的と民生目的の両方でグローバルE911機能を提供する形にナビゲーション装置102を実装できる。軍事用データアップリンク320のLPI/D特性を活かせば、敵対的状況下での改造DAGR使用を制限できる。
【0141】
別の実施形態においては、配送中の宛先変更を支援する形にシステム100を実装できる。この場合は、改造DAGRから発行されるコマンドを使って誘導する軍需品の指示や宛先変更をリアルタイムで行うことができる。
【0142】
別の実施形態においては、戦闘被害評価を支援する形にシステム100を実装できる。この場合は、ヒトやセンサの形で収集される位置情報等の情報をデータアップリンク320を通じて速やかに集約することができる。別の実施形態においては気象情報を支援する形にシステム100を実装でき、この情報は位置と相関させてリアルタイムで集約することができる。
【0143】
別の実施形態においては、妨害装置出力の測定値や妨害装置の使用時間または周波数特性をナビゲーション装置102からなるネットワークで収集し、妨害装置の正確な位置を三角測量で測量する形にシステム100を実装できる。
【0144】
別の実施形態においては、スポットビーム制御を支援する形にシステム100を実装できる。この場合は、妨害対策の目的でスポットビーム出力を統制する管轄範囲をナビゲーション装置102に委ねることができる。例えばナビゲーション装置102は、妨害に遭った場合にLEO信号104のブロードキャスト出力をリアルタイムで増加させるリクエストを出すように構成できる。かかる実装は軍事または民間ユーザが人命の安全を図るのに役立てることができ、その管轄範囲は政府の方針によって決まる。
【0145】
別の実施形態においては、全地球規模の携帯電話テキストメッセージングを支援する形にシステム100を実装できる。例えば、ナビゲーション装置102(例えば、改造DAGRまたは携帯電話機ハンドセット)にデータアップリンク320能力を用意すれば、世界中のどこからでもテキストメッセージを送受できる。
【0146】
上述した実施形態は本発明を例証するものであって、これを制限するものではない。本発明の原理に従い数多くの修正とバリエーションが可能であることを理解されたい。よって、本発明の範囲は専ら添付の請求項によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の一実施形態に従い総合高性能ナビゲーション通信システムの概観を提示する。
【図2】本発明の一実施形態に従い図1のシステムのさらなる概観を提示する。
【図3】本発明の一実施形態に従い図1のシステムの全体的操業構成を示す。
【図4】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号を実装する一アプローチを示す。
【図5】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号に関連する自己相関関数を示す。
【図6】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号の軍事用ナビゲーション成分を復号化するプロセスを示す。
【図7】本発明の一実施形態に従いナビゲーション装置の相関器のブロック図を示す。
【図8】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号の商用ナビゲーション成分を復号化するプロセスを示す。
【図9】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号の商用ナビゲーション成分を復号化する代替プロセスを示す。
【図10】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号の民生用ナビゲーション成分を復号化するプロセスを示す。
【図11】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号のナビゲーション成分とGPS符号との比較を示す。
【図12】本発明の一実施形態に従いナビゲーション信号の局地的妨害を遂行するにあたって使用できる妨害装置のブロック図を示す。
【図13】本発明の一実施形態に従い図12の妨害装置の動作を周波数及び時間領域で表す。
【図14】本発明の一実施形態に従い擬似ランダムノイズを生成するプロセスを示す。
【図15】本発明の一実施形態に従いチャネル選択プールから均一に分布するモジュロ範囲の整数を構成するプロセスを示す。
【図16】本発明の一実施形態に従いチャネル選択プールをランダム非重複チャネルのリストに変換するプロセスを示す。
【図17】本発明の一実施形態に従い図16のプロセスによって生成される周波数ホッピングパターンを示す。
【図18】本発明の一実施形態に従いナビゲーション信号を受信しダウンコンバージョンのためサンプリングするよう構成された受信プロセッサのブロック図を示す。
【図19】本発明の一実施形態に従い測距処理を遂行するよう構成されたナビゲーションプロセッサのブロック図を示す。
【図20】本発明の一実施形態に従い図19のナビゲーションプロセッサで使用する様々な状態変数定義を示す。
【図21】本発明の一実施形態に従い信号追跡を遂行するよう構成された追跡モジュールのブロック図を示す。
【図22】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図23】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図24】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図25】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図26】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図27】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図28】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図29】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図30】本発明の一実施形態に従い低地球軌道衛星アップリンクの汎用フレーム構造を示す。
【図31】本発明の一実施形態に従い低地球軌道衛星データアップリンクの同期をとる地上インフラを示す。
【図32】本発明の一実施形態に従い低レベルデータアップリンク信号の一実装を示す。
【図33】本発明の一実施形態に従い低地球軌道衛星データアップリンクをサポートする送信機のブロック図を示す。
【図34】本発明の一実施形態に従いデータアップリンクをサポートするように構成された低地球軌道衛星の様々なコンポーネントのブロック図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはナビゲーションに関し、より具体的には衛星に基づくナビゲーション手法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ナビゲーションシステムの性能は、システムから提供されるナビゲーション測定の誤差分布によって判断することができる(精度)。システム性能は、これを使用するべきでないときに適時ユーザに警告を発する能力次第で決まることもある(完全性)。ナビゲーションシステムがコールドスタートから最初の位置決定を達成するまでにかかる時間によってシステム性能を評価することもできる(最初の決定までの時間)。加えてシステム性能は、所定の性能パラメータが所定の限度内に入る僅かな時間または状況次第で決まることもある(有用性)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念ながら、既存のナビゲーションシステムから提供されるナビゲーション信号は多くの場合、満足なシステム性能を提供しない。特に、かかるナビゲーション信号の信号出力と帯域幅と幾何学的効力は概して、数ある過酷な運用シナリオのニーズを満たすにあたって不十分である。
【0004】
既存のナビゲーションアプローチから、例えば全地球測位システム(GPS)に基づくそれから、提供される信号出力または形状は多くの場合、建物や都市の谷間を容易く貫くにあたって不十分である。また、かかる信号は悪環境の中で妨害を被りやすく、生命の安全を図る用途での利用を妨げている。他のナビゲーションアプローチは、例えば携帯電話やテレビの信号に基づくそれは通例、垂直方向ナビゲーション情報を欠いている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明の一実施形態に従い、ナビゲーションを遂行する方法は、低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信するステップと、LEO信号からナビゲーション信号を復号化するステップと、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信するステップと、第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出すステップと、ナビゲーション信号と、第1及び第2の測距信号と、較正情報とを用いて位置を計算するステップとを含む。
【0006】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション装置は、LEO衛星からLEO信号を受信し、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信するのとに適したアンテナと、LEO信号をさらなる処理のためダウンコンバートするのに適した受信プロセッサと、LEO信号からナビゲーション信号を復号化するのに適し、且つナビゲーション信号と、第1及び第2の測距信号と、第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報とを用いてナビゲーション装置の位置を計算するのに適したナビゲーションプロセッサとを含む。
【0007】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション装置は、低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信する手段と、LEO信号からナビゲーション信号を復号化する手段と、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信する手段と、第1
及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出す手段と、ナビゲーション信号と、第1及び第2の測距信号と、較正情報とを用いて位置を計算する手段とを含む。
【0008】
本発明の別の実施形態に従い、LEO衛星からLEO信号を提供する方法は、複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供するステップを含み、ここで送信チャネルは1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、同方法はさらに、ナビゲーション信号に対応する第1の擬似ランダムノイズ(PRN)測距オーバーレイを生成するステップと、ナビゲーションチャネルの第1のセットへ第1のPRN測距オーバーレイを適用するステップと、通信チャネルとナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめるステップと、LEO衛星からLEO信号をブロードキャストするステップとを含む。
【0009】
本発明の別の実施形態に従い、LEO衛星は、LEO衛星からLEO信号をブロードキャストするのに適したアンテナと、プロセッサとを備え、同プロセッサは、複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供するのに適し、ここで送信チャネルは1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、同プロセッサはさらに、ナビゲーション信号に対応する第1のPRN測距オーバーレイを生成し、ナビゲーションチャネルの第1のセットへ第1のPRN測距オーバーレイを適用し、通信チャネルとナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめるのとに適する。
【0010】
本発明の別の実施形態に従い、LEO衛星は、複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供する手段を含み、ここで送信チャネルは1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、同LEO衛星はさらに、ナビゲーション信号に対応する第1のPRN測距オーバーレイを生成する手段と、ナビゲーションチャネルの第1のセットへ第1のPRN測距オーバーレイを適用する手段と、通信チャネルとナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめる手段と、LEO衛星からLEO信号をブロードキャストする手段とを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態に従い、LEO衛星に至るデータアップリンクを提供する方法は、LEO衛星から受信するLEO信号と、第1の測距発信源から受信する第1の測距信号と、第2の測距発信源から受信する第2の測距信号とを用いて位置情報を割り出すステップと、ローカルクロック基準とLEO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出すステップと、LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備するステップと、タイミング繰り上げパラメータを用いてデータアップリンク信号をLEO衛星に同期させるステップと、LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストするステップとを含む。
【0012】
本発明の別の実施形態に従い、データアップリンク装置はアンテナを含み、同アンテナは、LEO衛星からLEO信号を受信し、第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信し、LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストするのとに適し、同データアップリンク装置はさらにプロセッサを含み、同プロセッサは、LEO信号と、第1のLEO信号と、第2のLEO信号とを用いて位置情報を割り出し、ローカルクロック基準とLEO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出し、LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備し、タイミング繰り上げパラメータを用いてデータアップリンク信号をLEO衛星に同期させるのとに適する。
【0013】
本発明の別の実施形態に従い、データアップリンク装置は、LEO衛星から受信するLEO信号と、第1の測距発信源から受信する第1の測距信号と、第2の測距発信源から受信する第2の測距信号とを用いて位置情報を割り出す手段と、ローカルクロック基準とL
EO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出す手段と、LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備する手段と、タイミング繰り上げパラメータを用いてデータアップリンク信号をLEO衛星に同期させる手段と、LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストする手段とを含む。
【0014】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション信号はLEO衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行する方法は、複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ発信源を複数の周波数帯へフィルタするステップを含み、ここでナビゲーション信号はLEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、チャネルは周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布し、同方法はさらに、チャネルにわたってナビゲーション信号を分散させるためLEO衛星によって使用される変調シーケンスに対応するPRNシーケンスを生成するステップと、複数の変調済みノイズ信号を提供するためPRNシーケンスを使ってフィルタ済みノイズ信号を変調するステップと、ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって変調済みノイズ信号をブロードキャストするステップとを含み、妨害バーストは当該操業エリアの中でナビゲーション信号を概ね遮るように構成される。
【0015】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション信号はLEO衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行するように構成された妨害装置は、ノイズ信号を提供するのに適したノイズ発信源と、複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ信号を複数の周波数帯へフィルタするのに適した複数のフィルタとを含み、ここでナビゲーション信号はLEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、チャネルは周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布し、同妨害装置さらに、チャネルにわたってナビゲーション信号を分散させるためLEO衛星によって使用される変調シーケンスを提供するのに適したPRNシーケンス生成器と、複数の変調済みノイズ信号を提供するためPRNシーケンスを使ってフィルタ済みノイズ信号を変調するのに適した複数の発振器と、ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって変調済みノイズ信号をブロードキャストするのに適したアンテナとを含み、妨害バーストは当該操業エリアの中でナビゲーション信号を概ね遮るように構成される。
【0016】
本発明の別の実施形態に従い、ナビゲーション信号はLEO衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行するように構成された妨害装置は、複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ発信源を複数の周波数帯へフィルタする手段を含み、ここでナビゲーション信号はLEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、チャネルは周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布し、同妨害装置さらに、チャネルにわたってナビゲーション信号を分散させるためLEO衛星によって使用される変調シーケンスに対応するPRNシーケンスを生成する手段と、複数の変調済みノイズ信号を提供するため生成されたPRNシーケンスを使ってフィルタ済みノイズ信号を変調する手段と、ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって変調済みノイズ信号をブロードキャストする手段とを含み、妨害バーストは当該操業エリアの中でナビゲーション信号を概ね遮るように構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の範囲は、参照により本節に編入された請求項によって定義される。当業者であれば、以下の1つ以上の実施形態の詳細な説明を検討することにより、本発明の実施形態をより万全に理解し、そのさらなる利点に気づくであろう。これより参照する添付の図面
を先に簡単に説明する。
【0018】
本発明の実施形態とその利点は、以降の詳しい説明を参照することによってよく理解できる。1つ以上の図面に描かれた類似する要素が類似する参照番号で識別されていることは理解されたい。
【0019】
詳細な説明
ここで論じる様々な実施形態に従い、低地球軌道(LEO)衛星を使用するナビゲーションシステムを使用し、高完全性ナビゲーションを提供する様々なナビゲーション信号を実装することができる。システムには、LEO衛星とその他の非LEO送信機(例えば宇宙の及び/または地上の送信機)からの受動測距信号を取り入れることができる。
【0020】
監視局からなる基準網は、受動測距信号を送信する様々なプラットフォームのクロックバイアスと、信号構造と、送信機位置または軌道暦とを推定できる。この推定情報(較正情報とも呼ばれる)は、LEO衛星とのデータリンクやその他のデータリンクを通じて様々なナビゲーション装置へ伝達できる。
【0021】
ナビゲーション装置は、ブロードキャスト情報と数種類の信号とを組み合わせて高精度ナビゲーションを遂行するように構成できる。ブロードキャストLEO信号を軍事用、商用、及び民生用ナビゲーション信号と併せて実装すれば、様々なナビゲーション信号の中でユーザを区分し、インフラコストの分担を図ることができる。スペクトル拡散と低傍受・検知確率(LPI/D)が一体化されたデータアップリンクも提供でき、これもここで説明する。
【0022】
本発明の実施形態を制限するのではなく、専らこれを例証することを目的とする図をこれより参照し、図1は、本発明の一実施形態に従い総合高性能ナビゲーション通信システム(iGPSシステムとも呼ばれる)の概観を提示する。システム100はナビゲーション装置102(ユーザ機器、ユーザ装置、及び/またはユーザナビゲーション装置とも呼ばれる)を含み、これはナビゲーションを遂行するため、しかるべきハードウェア及び/またはソフトウェアによって様々な宇宙・地上測距発信源から信号を受信し復号化するよう実装される。かかる信号は、例えばGPS、LEO(例えばイリジウム、グローバルスター)、広域補強システム(WAAS)、欧州静止ナビゲーションオーバレイサービス(EGNOS)、ガリレオ、準天頂衛星システム(QZSS)、及び/または移動衛星ベンチャー(MSV)衛星からの衛星ブロードキャストを含む。信号はまた、携帯電話搭、テレビ搭、WiFi、WiMAX、全国車両インフラ統合(VII)ノードをはじめとするしかるべき発信源からの地上ブロードキャストを含む。
【0023】
図1に示す例で、ナビゲーション装置102は従来のナビゲーション衛星から全地球測位システム(GPS)信号106(例えば保護及び/または非保護GPS信号)を受信するよう構成できる。ナビゲーション装置102はさらに、様々な低地球軌道(LEO)衛星108から信号104を受信することができる。これに関し、各々のLEO信号104(iGPS信号とも呼ばれる)は、通信信号104Aと、軍事用ナビゲーション信号104Bと、商用ナビゲーション信号104Cと、民生用ナビゲーション信号104Dとを含む複合信号として構成できる。かかる実装によりLEO衛星108は軍事、商業、及び民間ユーザに同時に対応でき、かかるユーザに操業システム100のコストを分担させることができる。
【0024】
LEO衛星108は一実施例において、ここで説明するとおりシステム100をサポートする形に改良及び/または再構成された既存の通信システム(例えばイリジウムまたはグローバルスター)の衛星によって実装できる。同じく図1に見られるとおり、LEO衛
星108は、様々なLEO衛星108間でクロスリンク信号110をサポートする形に実装できる。
【0025】
ナビゲーション装置102は、GPS信号106及び/またはLEO信号104を用いて自身の位置(ひいては対応するユーザの位置)を高い精度で計算できる。計算した位置データ(ならびに必要に応じその他のデータ)は、ここで説明するスペクトル拡散データアップリンクを使ってLEO衛星108へアップリンクできる。
【0026】
ナビゲーション装置102はさらに、他の宇宙・地上測距発信源のブロードキャストを受信し、これをもとにナビゲーションを遂行するように構成でき、実施形態によってはかかる構成が望ましい。加えて、ここで説明する妨害保護を提供するため、例えば微小電気機械システム(MEMS)として実装された、慣性測定装置(IMU)によりナビゲーション装置102を構成することもできる。
【0027】
ナビゲーション装置102は特定の用途に応じて所望の構成で実装できる。例えばナビゲーション装置102は種々の実施形態において、手持ち型ナビゲーション装置として、車両搭載ナビゲーション装置として、航空機搭載ナビゲーション装置として、またはその他のタイプの装置として、実装できる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に従いシステム100のさらなる概観を提示する。図2はとりわけ、地球をめぐる軌道におけるLEO衛星108とGPS衛星202とを示している。図2はさらに、システム100のインフラサブシステムの様々な態様を示している。例えばシステム100は、LEO信号104やその他の測距信号を受信するよう構成された基準網204と、GPS地上インフラ206と、LEO地上インフラ208とを含む。システム100の種々の実施形態においてさらなる宇宙及び/または地上コンポーネントを用意することができるのは理解されよう。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態に従いシステム100の全体的操業構成を示す。図3には様々なサブシステムが描かれているが、システム100の全ての実施形態でかかるサブシステムの全てを用意する必要がないことは理解されよう。
【0030】
図3に見られるとおり、LEO衛星108はナビゲーション装置102と図示された様々な地上サブシステムとに対し急角度動作を呈する。有利なことに、この急角度動作は地上サブシステムがサイクル曖昧性を解決するのに役立つ。加えて、LEO信号104は従来のナビゲーション信号106に比べて高い出力で実装できる。このためLEO信号104は干渉や建物の貫通をも可能にする。
【0031】
LEO信号104は様々な地上端末へ至る測距及びデータリンクを含む。図3に見られるとおり、かかる端末は地理的に多様な基準網204とナビゲーション装置102とを含む(この例では携帯電話ハンドセット、MEMS、及び自動車として図示)。
【0032】
GPS衛星202と、ガリレオ衛星306と、WAAS衛星302と、QZSS/MSV 304衛星とを含む様々な衛星も描かれており、これらはいずれも種々の実施形態に従い基準網204とナビゲーション装置102とへ測距及びデータダウンリンクをブロードキャストするように構成できる。
【0033】
明瞭を図るため、いくつかの測距信号が図3に図示されていないことは理解されよう。例えば一実施形態においては、図示された全ての衛星を、全てのナビゲーション装置102と基準網204に向けてブロードキャストするよう構成できる。
【0034】
同じく図3に見られるとおり、複数の測距信号発信源310からの様々な測距信号318は基準網204とナビゲーション装置102によって監視できる。基準網204は、各測距信号発信源310の特性をつかみ、各測距信号発信源に関連する較正情報を提供するように構成できる。かかる情報は、しかるべきデータアップリンク320を介してLEO衛星108へ引き渡すことができ、LEO衛星108によってLEO信号104の1つ以上の軍事用、商用、またはナビゲーション信号104B/104C/104Dに符号化でき、さらにLEO信号104の一部としてナビゲーション装置102へブロードキャストできる。ナビゲーション装置102はこの較正情報をもとに測距信号318を解釈し、LEO信号104を用いた距離測定と併せてナビゲーションを遂行する。
【0035】
通常、様々な送信機はタイミングとデータ(すなわち測距データ)を提供できる。この場合、汎用測距発信源の測距信号は基準網204とナビゲーション装置102によって受信できる。基準網204は測距信号に関連する較正情報を割り出し、LEO衛星108とのデータアップリンクを通じて、及び/またはナビゲーション装置に至る地上リンクを通じて、かかる較正情報をナビゲーション装置102へ電送する。
【0036】
例えば図3は、WiFiノードとして実装された測距信号発信源310のいずれかひとつによって受信されるGPS信号を示している。WiFi信号の所定の属性のタイミング(光の速度を掛けた場合にレンジに相当)を測定する能力が実装されたGPS受信機なら、受信したWiFi信号とGPS信号とを同時に測定できる。これらの量の差を計算し、時間タグを付し、基準網204へ転送することにより、WiFiノードの較正情報を提供することができる。GPS信号106とその他の測距信号318の受信に応じて基準網204でさらなる較正情報を割り出すこともできる。いずれの場合でも、基準網204はWiFiノードのリアルタイム較正情報をアップリンク320とLEO信号104にのせて(例えば宇宙ベースのリンクにのせて)LEO衛星104を通じてナビゲーション装置102へ電送できる。較正情報は地上リンクを通じてナビゲーション装置102へ提供することもできる。もしも種々の地上ノードの間にネットワーク316(例えばインターネット)が存在するなら、測距信号発信源310は必ずしも基準網204の全ノードの視野内になくてもよく、有利である。
【0037】
LEO衛星108は上述したとおり、システム100のナビゲーション機能をサポートするようここで説明するとおりに改良及び/または再構成された通信衛星(例えば、イリジウム衛星またはグローバルスター衛星)として実装できる。下の表1及び2には、種々の実施形態に従いLEO衛星108として使用できるイリジウム通信衛星とグローバルスター通信衛星の様々な属性が記されている。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
イリジウム通信衛星を使ってLEO衛星108を実装する一実施例においては、ナビゲーション信号の処理を円滑化するため、イリジウム通信衛星のフライトコンピュータのプログラムを適当なソフトウェアを用いて作り直すことができる。グローバルスター通信衛星を使ってLEO衛星108を実装する別の実施例では、衛星ベントパイプアーキテクチャにより新しい種々信号形式に対応する形に地上機器を改良することができる。
【0041】
通信衛星を使ってLEO衛星108を実装する実施形態では、通信信号とナビゲーション信号をサポートする形に通信衛星を構成できる。この場合は、マルチパス拒否、測距精度、相互相関、対妨害・干渉耐性のほかに、選択的アクセス、スプーフィング防止、低傍受確率をはじめとするセキュリティ等、様々な要因を考慮に入れてナビゲーション信号を実装できる。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104を実装する一アプローチを示す。特に図4のブロック410、420、及び430は、通信信号とナビゲーション信号をサポートするため、既存イリジウム通信衛星を使って実装されたLEO衛星108によって送受される信号の構造を示している。ブロック410、420、及び430で横軸は周波数を表し、時間はページの内外に図示され、縦軸はパワースペクトル密度を表す。
【0043】
LEO衛星108は一実施形態において、複数の送信スロット402と複数の受信スロット404として実装される複数のチャネルをサポートするように構成でき、これらのスロットは時分割多重アクセス(TDMA)方式で90msのフレーム幅にわたって構成さ
れ、さらに周波数分割多重アクセス(FDMA)方式で10MHzの周波数帯域幅にわたって構成される。これに関し、各々のチャネルが、特定の周波数帯の中で提供されるフレームの特定の送信スロットまたは受信スロットに対応することは理解されよう。例えば一実施形態においては、240の周波数帯で1フレーム当たり4タイムスロットとし、約960チャネルの送信をサポートする形にLEO衛星108を実装できる(例えば、240周波数帯×4タイムスロット=960チャネル)。
【0044】
ブロック410に見られるとおり、送信スロット402と受信スロット404のいくつかは既存の通信(例えば図4に図示された通話440)に関連する。使用される送信スロット402は、LEO衛星108によって送信されるLEO信号104の通信信号104Aで提供されるデータに対応する。
【0045】
ブロック410に図示された実施形態で、複数の送信スロット402が使われずに残っていることは理解されよう。本発明の種々の実施形態に従い、未使用送信スロット402の未使用通信キャパシティは、ここで説明するとおり、ナビゲーション信号をサポートするため利用できる。
【0046】
ブロック420に見られるとおり、残りの未使用送信スロット402の各々には擬似ランダムノイズ(PRN)の測距オーバーレイ422を導入できる。測距オーバーレイ422は低平均出力でチャネル単位で実行できるが、ひとまとまりの測距オーバーレイ422は妨害を克服する高い出力を呈する。対照的に、ブロック430にはLEO衛星108によって提供される最大出力スポットビームを使って実装された測距オーバーレイ422が見られる。
【0047】
測距オーバーレイ422は一実施形態において、周波数ホッピングとダイレクトシーケンスPRNを組み合わせて実装できる。周波数ホッピング成分については、各バーストにつき擬似ランダム方式で周波数のサブセットを選択できる。各バーストの中ではデータビットも擬似ランダム方式で選択する。
【0048】
一実施形態においては、送信スロット402で測距オーバーレイ422より通話440が優先し、測距オーバーレイ422は時折起こるバーストの欠如または破損の影響をほとんど受けない。別の実施形態においては、送信スロット402で通話440より測距オーバーレイ422が優先し、通話440も同様に、時折起こるバーストの欠如または破損の影響をほとんど受けない。
【0049】
測距オーバーレイ422は一実施形態において、周波数帯規制のもとで可能な限り広い帯域幅で実装できる。この場合は使用可能な全チャネルを使用でき、様々な周波数分割、時分割、及び符号分割多重(CDMA)手法を用いてダウンリンク信号を作ることができ、このダウンリンク信号は、ユーザが符号を知らない限りフラットなホワイトノイズのように見える傾向がある。このフラットさから、精度と対妨害耐性とマルチパス拒否にとって好適な信号が提供される。相互相関はしかるべき暗号アルゴリズムを用いて最小限に抑えることができ、ナビゲーション装置102における高速デジタル信号処理がこれを可能にする。
【0050】
LEO信号104は一実施形態において、次式に示すとおり時間tに対し複合信号s(t)として実装できる。
【0051】
【数1】
【0052】
上の式で、Aは信号振幅であり、nはシンボルインデックスであり、pは±1で与えられるダイレクトシーケンス擬似ランダムノイズ値であり、hはシンボルインパルス応答であり、mはチャネル周波数インデックスであり、f0はスペクトル拡散ブロードキャストスパンであり、Nはスペクトル拡散ブロードキャストスパンを形成するチャネル周波数の数である。
【0053】
グローバルスター衛星でLEO衛星108を実装する別の実施形態では、電話トラフィックに直交する1.25MHzチャネルの各々に低出力ダイレクトシーケンス符号を用意できる。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104を観察するためナビゲーション装置102によって実装される自己相関関数を示す。図5で、τは自己相関引数であり、Rは基礎40%ルート累乗余弦シンボルインパルス応答の自己相関関数であり、NはLEO衛星108の周波数帯割り当てで許容されるチャネル数であり(例えば一実施形態において最大240)、f0は許容周波数スパンであり(チャネル間隔によりNに関係し、一実施形態においてはf0=[41.667kHz]N)、φmは各チャネルの衛星位相バイアスである。
【0055】
加えて図5は、自己相関関数502のグラフ504及び510を異なる縮尺で提示する。グラフ504には、25kspsダイレクトシーケンスデータの有効相関長によって形成される自己相関関数502の包絡線506が見られる。この実施形態では、41.667kHzで相隔てられたブロードバンドチャネルの集まりによって自己相関が形成される。例えば10MHz幅のブロードキャストなら、有効ダイレクトシーケンスチップ長はYコードのそれに、すなわち30mに、なる。グラフ510では比較のため、GPS粗/捕捉(C/A)コード例512とGPS軍事用(M)コード例514が重ね合わせてある。グラフ510に見られるとおり、自己相関関数502のサイドローブはGPS Mコード514のそれと同じくらい容易く処理できる。この場合、自己相関関数502のサイドローブは大幅に減衰するかはっきりと識別できるかのいずれかである。
【0056】
既に述べたとおり、LEO信号104には、軍事用ナビゲーション信号104B、商用ナビゲーション信号104C、民生用ナビゲーション信号104D等、様々なナビゲーション信号を盛り込むことができる。そこでナビゲーション装置102は、ナビゲーションの遂行にあたってこれらの信号の1つ以上を復号化するように構成できる。
【0057】
例えば図6は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104の軍事用ナビゲーション信号104Bを復号化するプロセスを示す。LEO信号104の受信に応じてナビゲーション装置102が図6のプロセスを遂行できることは理解されよう。
【0058】
種々の用途においては、妨害を克服するため軍事用ナビゲーション信号104Bを高出力信号として実装するのが望ましい。そこでLEO信号104は図6のステップ1に見られるとおり、軍事用ナビゲーション信号104Bを搬送するよう構成されたいくつかの並列チャネル602(図6では12個のチャネルを図示)を含む。一実施形態においては、LEO衛星108からの各ブロードキャストバーストに対しアクティブにするチャネル602を判定するため擬似ランダムプロセスを使用できる。同じく図6のステップに見られるとおり、ページの中での時間の進行にともないチャネル602上の各並列バーストにつ
き一連の直角位相シフトキー(QPSK)シンボル604が描かれている。QPSKシンボル604はPRNダイレクトシーケンス符号化によって変調され、LEO信号104における周波数に基づきバイアスと回転を呈する。
【0059】
図6のステップ2では、各バーストをベースバンドまで回転させ、チャネル間バイアスを取り除き、PRNダイレクトシーケンスパターンを除去することによってPRN符号化の逆拡散を行い、変更されたQPSKシンボル606に見られるとおり、軍事用ナビゲーション信号104Bに関連するデータを搬送する1組のバーストを提供する。
【0060】
図6のステップ3ではM個の直交マクロシンボル608に従って低ビットレートデータを復調する。QPSK変調からクオーターサイクル曖昧性がある場合、組み合わされた曖昧性とマクロシンボルは完璧には直交しない。データを推定したら硬判定アルゴリズムにより推定データを除去し、復調されていないキャリア610だけが残る。
【0061】
図6のステップ4では、バースト全体にわたり、次に各チャネルにわたり、キャリアの平均をとる。その結果、瞬時追跡誤差の同相・直角測定値612が提供される。そして、ナビゲーション装置102の位相ロックループ(PLL)を使って衛星キャリアを追跡する。
【0062】
図7は、本発明の一実施形態に従い図6のプロセスの遂行に利用できるナビゲーション装置102の相関器のブロック図を示す。数値制御発振器702が生成するキャリアは、着信LEO信号104(例えばナビゲーション装置102のアンテナを通じて受信)をベースバンド信号714までダウンコンバートする。ベースバンド信号714は、パンクチュアル符号キャリア追跡を遂行する上位経路704へ提供される。ベースバンド信号714は、アーリー・マイナス・レート・ディテクションを遂行する下位経路706にも提供される。
【0063】
下位経路706では、合成器708とPRN生成器710が各チャネルのLEO信号104を複製する。上位経路704では、各チャネルにつき符号と位相回転を別々に除去するため、複製された信号712がベースバンド信号714に混ぜ合わされる。仮説生成器716はマクロシンボル608の各々に関連する信号を計算し、クオーターサイクル曖昧性のある場合にはこれも計算する。プロセッサ718は最大事後(MAP)アルゴリズムを使ってデータ推定を提供し、最も見込みが高いマクロシンボル仮説がどれかを明らかにする。図示されたとおり、データ推定720はアーリー・マイナス・レート・ディテクションで使用するため下位経路706へ引き渡される。上位経路704でパンクチュアル検出を遂行するため、プロセッサ718はデータを除去し、出来上がったバーストを加算ブロック722へ出力し、加算ブロック722が時間の経過にともなう全バーストをとりまとめることにより、同相・直角追跡誤差724に到達する。
【0064】
下位経路706では、アーリー・マイナス・レート・ブロック726とデータ生成ブロック728によって複製信号712がさらに変調される(上位経路704から受け取ったデータ推定720を使用)。図示されたとおり、出来上がった変調済み信号を総計することによって複合アーリー・マイナス・レート複製信号730が形成され、これをベースバンド信号714と混ぜ合わせ、時間平均化のため加算ブロック732へ送信することによりアーリー・マイナス・レート弁別子734を提供する。アーリー・マイナス・レート弁別子734は、所与のキャリアロックと十分な平均化期間により瞬時追跡誤差の尺度を提供する。
【0065】
図8は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104の商用ナビゲーション信号104Cを復号化するプロセスを示す。LEO信号104の受信に応じてナビゲーション装置1
02が図8のプロセスを遂行できることは理解されよう。
【0066】
図示されたとおり、図8のプロセスは図6のプロセスに似ており、図8のステップ1〜4は図6のステップ1〜4に概ね対応する。ただし図8のプロセスで使われているチャネル802が図6のチャネル602に比べて少ないことは理解されよう(例えば図示された実施形態では2チャネル)。使用するチャネル802数が少ないため、LEO信号104の商用ナビゲーション信号104Cは軍事用ナビゲーション信号104Bより少ない出力と少ない帯域幅で実装できる。
【0067】
図9は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104の商用ナビゲーション信号104Cを復号化する代替プロセスを示す。図示されたとおり、図9のプロセスは図8のプロセスに似ており、図9のステップ1〜2は図8のステップ1〜2に概ね対応する。ただし図9のステップ3では、ナビゲーション装置102がダウンリンクデータ(例えば較正情報)をLEO信号104とは異なるやり方で(例えば、図3に見られる基準網204か1つ以上のノードに至るリンクから)受信できると仮定する。図8のステップ3及び4と同様、図9のステップ4及び5ではさらなる処理を遂行できる。有利なことに、図9のプロセスにステップ3が挿入されることにより屋内環境での感度を上げることができる。この場合のナビゲーション装置102は、ダウンリンクデータ及び/またはクオーターサイクル除去を行う必要がなく、基準網204の1つ以上の基準局から信頼性の高いダウンリンクデータ表現を受信できるから、ナビゲーション装置102に要求される処理は減り、信号処理利得は向上する。
【0068】
図10は、本発明の一実施形態に従いLEO信号104の民生用ナビゲーション信号104Dを復号化するプロセスを示す。種々の実施形態では一般的に、民生用ナビゲーション信号104Dの使用をキャリアのみナビゲーションに集中させることができる。その結果、民生用ナビゲーション信号104Dは比較的狭い帯域幅(例えば約1MHz)で実装でき、周知できる。このため、民生用ナビゲーション信号104Dに使うチャネル1002は多大なスペクトル拡散がなくとも実装できる。これに関し、図10のステップ1に描かれたチャネル1002が図6、8、及び9のステップ1に描かれたチャネル602及び802に比べて密にグループ化されていることは理解されよう。図10のステップ1〜4の操作を既に述べた図6のステップ1〜4の操作から理解できることは分かるであろう。
【0069】
上の論述に鑑み、実施形態によってはLEO信号104の軍事用、商用、及び民生用ナビゲーション信号104B、104C、及び104Dを以下の表3に記載された以下の属性で実装できることは理解されよう。
【0070】
【表3】
【0071】
本発明の別の実施形態においては、軍事用ナビゲーション信号104Bの軍事使用は許し、それと同時にある特定の操業エリアでは敵対者に対し商用及び/または民生用ナビゲーション信号104C及び104Dの使用を拒否し、当該操業エリア外での商用及び民生用ナビゲーション信号104C及び104Dの使用には支障をきたさないようシステム1
00を実装できる。
【0072】
例えば一実施形態において、当該操業エリアでは失効する暗号鍵を配布し、商用ナビゲーション信号104Cの復号化にあたってはこの暗号鍵の使用を条件とする。別の実施形態においては、LEO衛星108による商用ナビゲーション信号104Cのブロードキャストを当該操業エリアで選択的に遮断する(例えば、LEO衛星108からの個々のスポットビームを個別にオフにする)。
【0073】
別の実施形態においては、当該操業エリア内で商用ナビゲーション信号104C及び/または民生用ナビゲーション信号104Dを局地的に妨害する。これに関し、図11は、軍事用ナビゲーション信号104Bと、民生用ナビゲーション信号104Dと、GPS C/Aコード512と、GPS Mコード514との比較を示す。
【0074】
図11に見られるとおり、GPS C/Aコード512は軍事目的でC/Aコード帯域を妨害することによって妨害できる。同じく図11に見られるとおり、民生用ナビゲーション信号104Dは、パワースペクトル密度と帯域幅の点で軍事用ナビゲーション信号104Bの一部とみなすことができる。FDMAとTDMAの両方を使って測距オーバーレイ422を実装する場合に、民生用ナビゲーション信号104Dが周波数ホッピングバーストの中で図11のとおりに現れることは分かるであろう。
【0075】
図12は、本発明の一実施形態に従い民生用及び商用ナビゲーション信号104C及び104Dの局地的妨害を遂行するにあたって使用できる妨害装置のブロック図を示す。図12に見られるとおり、ホワイトノイズ発信源1202(例えばブラウン運動を用いて作る)はフィルタ1204によって処理され、LEO衛星108の送信チャネルにほぼ相当する帯域幅を持つノイズ信号1206を提供する。
【0076】
軍事用受信機1208と、生成器1210と、発振器1212/1214は、所定の公開民生用PRNシーケンスによって決まる民生用ナビゲーション信号104Dの瞬時周波数に対応する多数のチャネル1216を提供するよう構成される。ノイズ信号1206はチャネル1216を用いて変調され、これを図示されたさらなるコンポーネントによってアップコンバートし、LEO信号104の一部としてLEO衛星108から受信する民生用ナビゲーション信号104Dの時間と長さと周波数にぴったり合わせて妨害バーストを放出する。実装要求に応じ商用ナビゲーション信号104Cの妨害にも上記のアプローチを適宜使用できることは理解されよう。
【0077】
図13は、本発明の一実施形態に従い図12の妨害装置の動作を周波数及び時間領域で表現したものである。図13に見られるとおり、妨害装置1200によって提供される個々のノイズバーストは、民生用ナビゲーション信号104Dに一致する狭い周波数帯1304に集中している。有利なことに、軍事用ナビゲーション信号104B成分(暗い長方形1306)には実質的に変化はなく、軍事業務のため存分に利用できる。
【0078】
これより図14〜17との関係でLEO衛星108における測距オーバーレイ422の生成を説明する。この場合、図14〜17との関係で説明する様々なプロセスはLEO衛星108のしかるべきプロセッサによって遂行できる。加えて、通信信号(例えば電話バースト)をQPSK形式で変調しブロードキャストするため、しかるべきソフトウェアとハードウェアによりLEO衛星108を実装できる。
【0079】
図14は、本発明の一実施形態に従い擬似ランダムノイズを生成するアプローチを示す。図14に示す実施形態ではカウンタ方式の擬似乱数生成器1400を使用する。この場合は、カウンタ値1402と128ビットの暗号トラフィック鍵1404との組み合わせ
によって128ビットの暗号を提供する。カウンタ値1402を暗号1406に組み合わせることにより、測距オーバーレイ422の様々なPRN要素を構築できる。一実施形態においては、先進暗号規格(AES)プロセスを用いてカウンタ入力1402と暗号を128ビットワードとして実装できる。
【0080】
図14に見られるとおり、各々のカウンタ値1402はタイプフラグ1412を含み、このフラグは、チャネル選択(例えばタイプフラグ1412が「1」に設定される場合)かダイレクトシーケンスチップ(例えばタイプフラグ1412が「0」に設定される場合)のいずれかでカウンタ値1402を識別する。タイプフラグ1412がチャネル選択に設定されなら、チャネル選択プール1408のどのチャネルでデータバーストチップをブロードキャストするかをカウンタ値1402のほかのビットで指定する。タイプフラグ1412がダイレクトシーケンスに設定されるなら、カウンタ値1402のほかのビットはチップブロックインデックス1414(例えば、ブロードキャストする特定のダイレクトシーケンスチップ1410を指定)とバーストカウント1416(例えば、ブロードキャストする特定のダイレクトシーケンスチップ1410のフレーム数を指定)とに相当する。
【0081】
一実施形態においては、暗号1406を使って周波数ホッピングを指導する値をチャネル選択乱数プール1408から選択できる。別の実施形態において、暗号1406を使ってQPSKデータビットを埋めるダイレクトシーケンスチップ1410を選択できる。
【0082】
図15は、本発明の一実施形態に従いチャネル選択プール1408から均一に分布するモジュロ範囲の整数を構成するプロセスを示す。図15のプロセスを、図14との関係で既に説明したチャネル選択プール1408と併せて使用できることは理解されよう。
【0083】
図16は、本発明の一実施形態に従いチャネル選択プール1408をランダム非重複チャネルのリストに変換するプロセスを示す。下の表4に記載された値に従いM及びN(図16に図示)に異なるパラメータを選択すれば、図16のプロセスを軍事用ナビゲーション信号104Bと、商用ナビゲーション信号104Cと、民生用ナビゲーション信号104Dとに使用することができる。
【0084】
【表4】
【0085】
図17は、本発明の一実施形態に従い図16のプロセスによって生成される周波数ホッピングパターンを示す。図16に見られるとおり、相次ぐ送信バーストのため様々なランダムチャネル選択(送信周波数に対応)が提供される。LEO衛星108とナビゲーション装置102にとって既知の共通の鍵(例えば128ビット鍵)を用いて擬似ランダム方式で周波数とチップが生成されることは理解されよう。
【0086】
図18〜21は、本発明の一実施形態に従い実装できるナビゲーション装置102の様々な態様を示す。例えば図18は、本発明の一実施形態に従い信号を受信しダウンコンバージョンのためサンプリングするよう構成されたナビゲーション装置102の受信プロセ
ッサ1800のブロック図を示す。図18に見られるとおり、ナビゲーション信号はアンテナ1802によって受信され、マルチバンドフィルタ1804によってフィルタされ(所望の周波数帯を予め選択するため)、増幅器1806によって増幅され、サンプル・アンド・ホールド回路1808によってサンプリングされ、原始デジタルRFサンプル1816を提供する。
【0087】
受信プロセッサ1800はまた、発振器1810と、サンプル・アンド・ホールド回路1808の同期をとるために使用する合成器1812とを含む。サンプル・アンド・ホールド回路1808のサンプルレートは、エイリアス化された事前選択周波数帯で重複を防ぐよう選択できる。
【0088】
受信プロセッサ1800はIMU 1814をも含み、これは測定時間タグを受信機の共通クロックに同期させる3軸MEMSジャイロ及び加速度計として実装され、原始デジタルモーションサンプルを提供するために使用する。単一または多重ステップダウンコンバージョンを促進するためこれ以外の受信機実装を代わりに使用できることは理解されよう。
【0089】
図19は、本発明の一実施形態に従い測距処理を遂行するよう構成されたナビゲーション装置102のナビゲーションプロセッサ1900のブロック図を示す。図19に見られるとおり、ヒルベルト変換ブロック1902は原始デジタルRFサンプル1906を複合サンプル1904に変換する。複数の追跡モジュール1906が用意されている。各々の追跡モジュール1906は複合信号1904の中で提供される別々の信号に対応し、衛星測距発信源か地上測距発信源の追跡に使われる。
【0090】
ナビゲーションプロセッサ1900は、慣性プロセッサ1916と拡張カルマンフィルタ1914とによって処理される原始デジタルモーションサンプル1818に基づき追跡モジュール1906へフィードフォワードコマンド1908を提供する。支援情報1908は波長の小部分まで追跡モジュール1906を駆動する。追跡モジュール1906からの原始符号及びキャリア位相測定値1910はナビゲーションプリプロセッサ1912に読み込まれ、これを拡張カルマンフィルタ1914によって処理し、組み合わせることにより位置決定1918を提供する。
【0091】
図20は、本発明の一実施形態に従いナビゲーションプロセッサ1900の拡張カルマンフィルタ1914で使用する様々な状態変数定義を示す。
【0092】
図20の式2002は、インテグレート・アンド・ダンプ相関器の一モデルである。出力追跡誤差Δyは、実際の位相とフィルタによって予測される位相との差を時間Tに沿って平均化することによって表される。式2004は、地上と宇宙の慣性、クロック、及び全タイミング及び測距発信源を含む完全ナビゲーションシステムの連続時間更新モデルである。推定量状態ベクトル変数は、累積的な相関器位相、ユーザ一、速度、姿勢、加速度計バイアス、ジャイロバイアス、レンジバイアス、レンジバイアスレート、クロックバイアス、及びクロックバイアスレートである。式2006は、ジオメトリと大気圏誤差を考慮に入れて基準地点からユーザへの時間伝達フィードフォワードを示すキャリア位相観察モデルである。
【0093】
図21は、本発明の一実施形態に従い1追跡モジュール1906のブロック図を示す。追跡モジュール1906は、これが追跡する特定の測距信号で符号とキャリア位相の両方を事前配置するためフィードフォワードコマンド1908を受け取る。第1の処理ステップとして、ダウンコンバータ1950は複合サンプル1904で提供されるキャリアをベースバンドまで回転させる。次にダウンコンバートされた信号1952は分割され、アー
リー・マイナス・レート整合フィルタ1954とパンクチュアル整合フィルタ1956へ引き渡される。
【0094】
視野内の各測距信号の信号波形は、ユーザメモリに予め格納されるか、またはLEO衛星108かネットワーク(例えば携帯電話、WiFi、WiMAX、またはVII)ノードとのデータリンクによって更新される。このデータリンク更新によるアーキテクチャの拡張により、事実上どんな送信信号でも使用することができる。このインパルス応答(GPS衛星のPRN符号に類似)は整合フィルタ処理の基礎をなす。携帯電話、WiFi、WiMAX、VII、テレビ等の地上波信号のインパルス応答は、基準信号の決定的部分を保持することによって調整できる。未知のデータ等、非決定的特性を備える信号部分は基準信号の中で無効にする。整合フィルタ/相関器実装の場合、これらの整合フィルタには基準信号構造インパルス応答が提供される。その結果、フィルタ1954及び1956は、同相・直角表現のアーリー・マイナス・レート追跡誤差1958とパンクチュアル追跡誤差1960を提供する。
【0095】
本発明の種々の実施形態に従い、測距発信源の符号化には様々なデータ構造を使用できる。例えば一実施形態においては以下のコードによって測距信号を表すことができる。
【0096】
【数2】
【0097】
上記のコードで、信号基準波形はインパルス応答パラメータとして符号化され、これの時間源はブロードキャストクロックに結合する。ブロードキャスト周波数は測距発信源のキャリア周波数である。ブロードキャスト位置は、宇宙船の場合は精密軌道暦として符号化し、地上測距発信源の場合はデカルト静止座標として符号化する。クロック補正は、協定世界時(UTC)(例えば米国海軍天文台(USNO)により提供)に基づくシステム時間に照らして測距発信源を較正する。
【0098】
種々の実施形態においては、LEO衛星108で採用される新たな測距信号符号をほぼリアルタイムで解読するよう該当する地上局を構成する。この場合は解読された符号がかかる地上局からナビゲーション装置102へ提供され、ナビゲーション装置102はナビゲーションの遂行にあたって、協調的信号であろうがなかろうが、事実上どんな信号でも
使うことができる。
【0099】
図22〜29は、本発明の種々の実施形態に従い様々な環境サービスの中でナビゲーションを遂行する様々なシステム100使用を示す。例えば図22は、本発明の一実施形態に従い屋内測位を提供するシステム100使用を示す。これに関し、図22のナビゲーション装置102を建物やその他の構造物の中に配置できることは理解されよう。
【0100】
図22に見られるとおり、ナビゲーション装置102(例えば手持ち型ユーザナビゲーション装置)はLEO衛星108から直接的にLEO信号104を受信できるほか、ノード310からさらなる測距信号318を受信できる。基準網204の基準局も測距信号318を受信できる。基準網204は既に述べたとおり、しかるべきハードウェアまたはソフトウェアによって測距信号発信源310に関連する較正情報を割り出すように構成でき、この情報はデータアップリンク320でLEO衛星108へ引き渡され、LEO衛星108によりLEO信号104に符号化され、LEO信号104の一部としてナビゲーション装置102へブロードキャストされる。ナビゲーション装置102はこの較正情報をもとに測距信号318を解釈し、LEO信号104を用いた距離測定と併せてナビゲーションを遂行する。
【0101】
軍事用ナビゲーション信号104B(例えば、LEO信号104の一部としてLEO衛星108により提供)と測距信号318(例えば、携帯電話またはテレビ信号発信源等の測距信号発信源310により提供)は、建物の建材を貫通して屋内にあるナビゲーション装置102に到達できる高出力信号として実装できる。図22に見られるアプローチでかかる高出力信号を使用すれば、ナビゲーション装置102は屋内でナビゲーションを遂行し、コールドスタートから速やかに捕捉できる。
【0102】
図23は、本発明の別の実施形態に従い屋内測位を提供するシステム100使用を示す。図23に見られる実装が既に述べた図22の実装に概ね一致することは理解されよう。ただし図23に見られる実施形態のナビゲーション装置102は、ネットワーク316を通じて基準網204やノード312または314と適宜通信できる。
【0103】
加えてシステム100は、ここで図8との関係で説明したオンテザー商用信号を使用するように構成できる。この場合は低出力の商用ナビゲーション信号104Cを使用でき、商用ナビゲーション信号104Cの中で符号化されたナビゲーションデータの複製を測距信号318にのせて送信することによって処理利得の増大を図ることができる。ナビゲーションデータは図8のプロセスを使って取り除かれるから、追跡ループ帯域幅は大幅に抑えることができる。
【0104】
ナビゲーション装置102は一実施形態において、各測距発信源kにつき擬似距離のベクトルを形成することにより、そしてユーザ位置xとユーザバイアスτの初期推測について線形化を行うことにより、最終的な位置決定を求めることができる。
【0105】
【数3】
【0106】
ユーザ位置推定は最小二乗法を用いて精緻化する。
【0107】
【数4】
【0108】
別の実施形態においては、高精度・高完全性ナビゲーションを提供する形にシステム100を実装できる。これに関し、図24は本発明の一実施形態に従いGPS信号106とデュアルバンドLEO信号104及び104’とを用いてナビゲーションを遂行するシステム100使用を示す。具体的に図24は、単一周波数L1 GPS信号を2通りのLEO信号104及び104’とともに使用し(異なるLEO衛星108及び108’からの周波数帯が異なる異なるLEO信号)高度なナビゲーション性能を提供する様子を示している。図24に見られる実施形態で、ナビゲーションにあたってはGPS信号106とLEO信号104及び104’のキャリアで十分であり、信号からの符号位相を使用する必要はない。ただし別の実施形態においては、観察対象から最大限の情報を導き出すため符号とキャリアの両方を使用する。
【0109】
図24で、基準網204の局はGPS信号106とLEO信号104及び104’を監視し、連続キャリア位相情報を収集することにより、GPS衛星202とLEO衛星108の精密軌道判定を遂行する。異なるLEO信号104及び104’を使用することによって電離圏の影響は排除でき、電離圏の影響を免れるキャリア位相信号が得られる。GPS衛星202とLEO衛星104及び104’のサイクル曖昧性は(例えば楕円2402により図示)、LEO衛星104及び104’の大角度動作を利用することによって推定できる。
【0110】
図24におけるナビゲーション装置102(例えばこの実施形態では航空機)の位置は、図22〜23との関係で上述したやり方で同様に求めることができる。特に下の表記は、連続型変数bとして表された衛星距離バイアスのほかに対流圏天頂遅延DZとエポックmにおけるユーザ位置xを求めるためk番目の擬似距離測定値を提供する。
【0111】
【数5】
【0112】
ここでも最小二乗法を使って位置調整、時間バイアス、及び距離バイアスのベクトルの連立方程式を解く。GPS信号106を使った測定は単一周波数で対流圏バイアスを被るが、最終的な解は対流圏に左右されない。LEO信号104及び104’を使った測定は対流圏の影響を免れ、(GPS衛星202の実質的に静止した動きに比べて)、LEO衛星104及び104’は急角度動作を呈するから、クロック及び測距バイアス間のコモンモードを除き、ジオメトリマトリックスは最大階数である。これは、GPS衛星202のバイアス推定がLEO信号104及び104’を使った対流圏影響のない測定に基づきユーザを正確に測位する値をとることを意味する。
【0113】
図25は、本発明の一実施形態に従いGPS信号106と単一LEO信号104とを用いてナビゲーションを遂行するシステム100使用を示す。視野内の単一LEO衛星108の軌道ジオメトリは、位置不確実性楕円2502を現地水平に揃える軌道上にLEO衛星108を置く傾向がある。LEO信号104とGPS信号106のほかに、ナビゲーション装置102(例えばこの実施形態では航空機)は第3の信号2504(例えばガリレオ衛星306やその他の衛星からの信号)をその位置判定に適宜役立てることができる。
【0114】
ナビゲーションシステムの完全性は、これを使用するべきでないときに適時ユーザに警告を発する能力によって評価することができる。この場合は、危険なナビゲーションシステム異常が検出されない確率によってナビゲーションシステムの完全性リスクを特徴づけることができる。一実施形態においては、受信機自律完全性監視(RAIM)によって高完全性を提供する形にシステム100を実装できる。RAIM実装では、測定自己無撞着を監視して様々な障害モードにともなうナビゲーションエラーを検出する形にナビゲーション装置102を構成できる。有利なことに、LEO衛星108の急速動作をかかる測定に役立てることができる。
【0115】
RAIMでは、最小二乗適合の残差を使ってシステム不具合のカイ二乗仮説検出を行う。この場合は以下の式を使用することができる。
【0116】
【数6】
【0117】
上記の式で、φは距離測定値に相当し、Hは衛星ジオメトリマトリックスに相当し、
【0118】
【数7】
【0119】
は位置推定に相当する。ナビゲーション装置102は位置決定を求めた後に測定残差Rを計算するように構成できる。もしもRが閾値に満たなければ、システム100は正常に作動していると考えられる。もしもRが閾値以上なら、ナビゲーション装置102は完全性警告を発することができる。
【0120】
図26は、本発明の一実施形態に従い測距誤差が位置解に及ぼす影響を示す。通常、距離測定値には一貫性がある。ただし1つ以上の測定値に問題があって偏ると、誤差によって解は現実からかけ離れたものとなる。測定値の食い違いは実際の位置誤差と大いに相関するから、RAIMにより誤差を検出できる。
【0121】
図27は、システムキャリア位相の精度が閉塞と低劣な精度希釈(DOP)ジオメトリとをどのように埋め合わせるかを示す。二次元の場合は最小二乗適合によって位置誤差の垂直成分を排除する。有利なことに、一実施形態においてはセンチメールレベルのキャリア位相精度でシステム100を実装することによって閉塞時に堅牢なナビゲーションを提供することができる。図示されたとおり、図27のプロセスには予め測量された高度地図を使用することもできる。
【0122】
図28は、本発明の一実施形態に従いLEO衛星108とGPS衛星202から直接受信する信号を使ってナビゲーションを遂行するシステム100使用を示す。図29は図8に類似する実装を示すものだが、LEO信号104とGPS信号106の瞬間的中断によってサービスの継続に支障をきたさないようにするためネットワーク316と測距信号318が加わっている。
【0123】
既に述べたとおり、システム100は、ナビゲーション装置102がナビゲーション信号104B/104C/104Dを使って行うナビゲーションを促進するため、基準網204の基準局からのデータアップリンク320をサポートするように構成できる。適切に構成されたナビゲーション装置102によってデータアップリンク320をサポートすることもできる。この場合は、データアップリンク320を使って基準網204及び/またはナビゲーション装置102からLEO衛星108へ何らかの所望のデータを引き渡すこともでき、これは後ほどLEO信号104の通信信号104Aの一部としてブロードキャストする。
【0124】
GPS時刻とUTCはシステム100の精密タイミング機能から入手できるから、一方向アップリンクプロトコルによってダイレクト双方向同期のないデータアップリンク320が可能である。データアップリンク320の時間と周波数の整相はLEO衛星108に到達させるため事前配置でき、衛星の瞬時キャリア位相とフレーム構造はシンボル単位で正確に一致する。適切なマルチユースプロトコルを使えば、多数のナビゲーション装置102でアップリンクチャネルを共用することが可能となる。かかるマルチユースプロトコルは時間、周波数、符号、またはこれらの組み合わせによって実装できる。一実施形態においては、妨害防止特性と低傍受・検出確率(LPI/D)特性を備えるスペクトル拡散アップリンクとしてデータアップリンク320を構成できる。別の実施形態においては、多数のシンボルにわたってデータアップリンク320の低出力信号を総計することによってノイズから集約されたマクロシンボルを引き出し、LPI/Dアップリンクを提供する
ことができる。
【0125】
図30は、本発明の一実施形態に従いLEO衛星108へ至るアップリンク320のデータバースト3002の汎用フレーム構造を示す。一実施形態においては、1バースト当たり414ビットで約240チャネルのアップリンクバーストをサポートする形にデータアップリンク320を構成できる。データアップリンク320をシンボル単位で正しく整合させるため、一実施形態においてはLEO衛星108のフレーム構造を休止状態に事前配置する(例えば、LEO衛星108のマスタクロックに対し時間シフトなし、周波数シフトなし)。別の実施形態では、LEO衛星108へ至るデータアップリンク320のため適当な同期信号を生成する形に基準網204の基準局を構成する。この同期信号により、バースト内のデータシンボルのフレーム構造はUTCまたはGPS時間基準に事前整合する。
【0126】
図31は、本発明の一実施形態に従いデータアップリンク320の同期をとる地上インフラを示す。特に、図31の地上インフラに含まれる基準網204の基準局は、各データバースト3002のペイロードフィールド3104を整合させるために使用する。一実施形態においては、ペイロード3104に割り当てられたバースト部分のときにブロードキャストを行わないよう基準局を構成できる(この時間はナビゲーション装置102のため確保される)。各々のナビゲーション装置102は一実施形態において、特定の時間と周波数スロットの中で単一シンボルをアップリンクすることを許可される。こうすれば、自身の位置とUTC/GPS時刻を知るナビゲーション装置102によって各シンボル(またはQPSKアップリンクフレーム構造における各直交ビット)に個別に対処できる。ナビゲーション装置102は、所定のフィールドの中でビットを割り当てる適当なマルチユースプロトコルに従って実装できる。例えばCDMAプロトコルなら、多数のナビゲーション装置102が同じビットを共用することさえできる。
【0127】
データアップリンク320は種々の実施形態において低出力信号で実装できる。例えば一実施形態においてはミリワットレベルのブロードキャストを使ってアップリンク320を実装し、LEO衛星108に向けて毎秒数ビットのデータを送信できる。この電力を、例えば10MHz帯域幅にわたって分散させれば、LPI/D用途にとって適度な電力束スペクトル密度が得られる。そのようなアップリンク320のスペクトル拡散実装は対妨害保護をも提供する。
【0128】
図32は、本発明の一実施形態に従いデータアップリンク320に使用する低レベル信号の一実装を示す。LEO衛星108は一実施形態において、QPSK変調で各ビットをバックグランドノイズとともに受信するよう構成できる。QPSKは2つの直交二相位相偏移キー(BPSK)ストリームから合成できるため、図32には簡略化されたBPSK確率分布(一対のオフセットガウス分布)が示されている。LEO衛星108の復調器の中にある検出器は通常、ゼロの閾値に基づき「1」または「0」(ここでは−1)決定を行い、ビット誤り率はSNRの関数としてガウス下のエリアを積分することによって計算する。
【0129】
一実施形態においては復調器がハードリミッタとして扱われる。SNRが1を下回る場合、図32に見られる中央のガウス曲線は典型的である。信号(すなわちデータビット)の存在によって曲線は左右にわずかにずれるが、一般的に出力はノイズであふれる。ただしLEO衛星108は、多数の個別サンプルを平均化することによって信号の出現を検出できる。当業者にとって公知の計算はハードリミッタの損失を約2dBに設定する。ただし2dBの有効アナログ−デジタル変換損失の場合は、たとえLEO衛星108がもとより通信衛星として実装されていたとしても、入力信号は完全に保たれる。上記のアプローチは特定のLEO衛星108実装に限定されない。
【0130】
種々の実施形態においては、基準網204、ナビゲーション装置102、または搭載LEO衛星108によってデータビットの処理を遂行できる。別の実施形態においては、マルチビットRFフロントエンドを備える特注復調器を使用し、アナログベントパイプアーキテクチャで実装されたLEO衛星108で2dBのハードリミッタ損失を解消することができる。
【0131】
図33は、本発明の一実施形態に従いデータアップリンク320をサポートするように構成された送信機3300のブロック図を示す。これに関し、基準網204の基準局の一部として、または1つ以上のナビゲーション装置102の一部として、送信機3300を提供できることは理解されよう。例えば送信機330は一実施形態において、手持ち型防衛先進GPS受信機(DAGR)手持ち型装置、携帯電話ハンドセット、その他のコンパクトで低コストな装置に組み込むことができる。有利なことに、かかるナビゲーション装置102は、そのユーザが低レイテンシのテキストまたはステータスメッセージをデータアップリンク320にのせて世界のどこからでも送信できるように構成でき、送信されたテキストまたはステータスメッセージはさらに通信信号104Aにのせてブロードキャストできる。
【0132】
図33に見られるとおり、ナビゲーション装置102の位置及びクロック(例えばナビゲーション解3302により提供)とLEO衛星108の位置及びクロック(例えばナビゲーションプリプロセッサ1912により提供)との差を計算することによってアプリオリタイミング繰り上げパラメータτ0を形成し、このパラメータは図示されたタイミング繰り上げ計算ブロック3308で使用する。この場合のτ0は、個々のデータビットdnmの送信を繰り上げて適切な時間と整相でLEO衛星108に到達させるためのリードタイムに相当する。
【0133】
このタイミング繰り上げパラメータはベースバンドプロセッサにおける信号の合成を左右する。アップリンクするデータは、ユーザの嗜好に従いブロック3304で符号化され、暗号化される。データ変調ブロック3306は40%ルート累乗余弦パルスを生成し、これは適当なデータビットと、PRNダイレクトシーケンス符号と、PRN生成ブロック3310と合成ブロック3312とによって提供されるチャネル周波数オフセットとによって変調される。チャネルはいくらでも同時に並列処理できる。図33のブロック3316乃至3324に見られるとおり、信号は総計され、アップコンバートされ(この場合は100MHzにより)、実際の形状に変換され、デジタルからアナログへ変換され、ブロードキャストのためRFに変換される。
【0134】
コンパクトな低出力動作のため、ベースバンド成分はDAGRまたは携帯電話ハンドセットの修正ベースバンドリアルエステートの中に存在するよう構成できる。DAGRまたは携帯電話ハンドセットではGPS信号用のアンテナ3324を使用することもできる。一実施形態においては、データアップリンクブロードキャストハードウェアの消費電力と形状因子をハンドセット用に、またはコンパクト用に、実装できる。例えば一実施形態においては、10dBmのRF出力電力を提供し3Vで25mAを引き出すRF Micro Devices社のRF2638チップによってかかる送信ハードウェアを実装できる。
【0135】
図34は、本発明の一実施形態に従いデータアップリンク320をサポートするように構成されたLEO衛星108の様々なコンポーネント3400のブロック図を示す。LEO衛星108は一実施形態において、アンテナ3402と受信ブロック3404を通じてデータビットインパルスを受信し、内部フレーム構造に決定を、すなわち+1または−1を、挿入するように構成できる。PRN生成ブロック3406は、アップリンク上での周
波数ホッピングを、ナビゲーション装置102とLEO衛星108にとって既知のパターンで指示する。また、着信ビットにはPRN生成ブロック3408によってダイレクトシーケンスPRN符号が適用される。様々なマクロシンボル仮説(仮説生成ブロック3410により提供)に関連する波形は着信信号と混ぜ合わされ、これをプロセッサ3412によって処理することにより(例えば、プロセッサ718との関係で既に述べたやり方で処理)、最終的なデータメッセージ3414を提供する。ここで説明したLEO信号104と同様、直交符号化はノイズスペクトル密度当たりのビットエネルギー(Eb/N0)で優れた性能をデータアップリンク320に提供する。
【0136】
データアップリンク320は、PRN符号変調のおかげでビルトイン測距信号をも含む。ナビゲーション装置102からLEO衛星108までの距離を推定するため、LEO衛星108で遅延ロックループ(DLL)を提供することもできる。その結果、逆三角測量を遂行し、多数のLEO衛星108を用いてナビゲーション装置102の位置を受動的に三角測量することが可能となる。
【0137】
有利なことに、システム100は様々な用途において所望の特徴を提供する形に使用できる。例えば一実施形態においては、高速誘導再キーイングを提供する形にシステム100を実装できる。システム100と併せて公開−秘密鍵インフラ手法を使用すれば、暗号化トラフィック鍵を無線で引き渡す前に双方向データリンクを使ってナビゲーション装置102の認証を行うことができる。こうすれば、特定のユーザと、受信機と、位置と、再キーイングの時間とに対する管理を万全に保つことができる。
【0138】
別の実施形態においては、共同平和維持部隊の状況判断を支援する形にシステム100を実装できる。この場合、ナビゲーション装置102は近くにいる味方の部隊と位置情報を共有でき、危険区域や敵の所在地情報もリアルタイムで共有できる。
【0139】
別の実施形態においては、通信ナビゲーションと監視による航空交通管理を支援する形にシステム100を実装できる。この場合にナビゲーション装置102を航空機の中で(例えば、航空機のマルチモード受信機(MMR)のアンテナ及びGPSカードの代わりに)実装すれば、Cat III着陸、ビルトイン通信リンク、総合自動従属監視、宇宙ベースの総合航空交通管制などが可能となる。
【0140】
別の実施形態においては、捜索救助を支援する形にシステム100を実装できる。この場合は、軍事目的と民生目的の両方でグローバルE911機能を提供する形にナビゲーション装置102を実装できる。軍事用データアップリンク320のLPI/D特性を活かせば、敵対的状況下での改造DAGR使用を制限できる。
【0141】
別の実施形態においては、配送中の宛先変更を支援する形にシステム100を実装できる。この場合は、改造DAGRから発行されるコマンドを使って誘導する軍需品の指示や宛先変更をリアルタイムで行うことができる。
【0142】
別の実施形態においては、戦闘被害評価を支援する形にシステム100を実装できる。この場合は、ヒトやセンサの形で収集される位置情報等の情報をデータアップリンク320を通じて速やかに集約することができる。別の実施形態においては気象情報を支援する形にシステム100を実装でき、この情報は位置と相関させてリアルタイムで集約することができる。
【0143】
別の実施形態においては、妨害装置出力の測定値や妨害装置の使用時間または周波数特性をナビゲーション装置102からなるネットワークで収集し、妨害装置の正確な位置を三角測量で測量する形にシステム100を実装できる。
【0144】
別の実施形態においては、スポットビーム制御を支援する形にシステム100を実装できる。この場合は、妨害対策の目的でスポットビーム出力を統制する管轄範囲をナビゲーション装置102に委ねることができる。例えばナビゲーション装置102は、妨害に遭った場合にLEO信号104のブロードキャスト出力をリアルタイムで増加させるリクエストを出すように構成できる。かかる実装は軍事または民間ユーザが人命の安全を図るのに役立てることができ、その管轄範囲は政府の方針によって決まる。
【0145】
別の実施形態においては、全地球規模の携帯電話テキストメッセージングを支援する形にシステム100を実装できる。例えば、ナビゲーション装置102(例えば、改造DAGRまたは携帯電話機ハンドセット)にデータアップリンク320能力を用意すれば、世界中のどこからでもテキストメッセージを送受できる。
【0146】
上述した実施形態は本発明を例証するものであって、これを制限するものではない。本発明の原理に従い数多くの修正とバリエーションが可能であることを理解されたい。よって、本発明の範囲は専ら添付の請求項によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の一実施形態に従い総合高性能ナビゲーション通信システムの概観を提示する。
【図2】本発明の一実施形態に従い図1のシステムのさらなる概観を提示する。
【図3】本発明の一実施形態に従い図1のシステムの全体的操業構成を示す。
【図4】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号を実装する一アプローチを示す。
【図5】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号に関連する自己相関関数を示す。
【図6】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号の軍事用ナビゲーション成分を復号化するプロセスを示す。
【図7】本発明の一実施形態に従いナビゲーション装置の相関器のブロック図を示す。
【図8】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号の商用ナビゲーション成分を復号化するプロセスを示す。
【図9】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号の商用ナビゲーション成分を復号化する代替プロセスを示す。
【図10】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号の民生用ナビゲーション成分を復号化するプロセスを示す。
【図11】本発明の一実施形態に従い低地球軌道信号のナビゲーション成分とGPS符号との比較を示す。
【図12】本発明の一実施形態に従いナビゲーション信号の局地的妨害を遂行するにあたって使用できる妨害装置のブロック図を示す。
【図13】本発明の一実施形態に従い図12の妨害装置の動作を周波数及び時間領域で表す。
【図14】本発明の一実施形態に従い擬似ランダムノイズを生成するプロセスを示す。
【図15】本発明の一実施形態に従いチャネル選択プールから均一に分布するモジュロ範囲の整数を構成するプロセスを示す。
【図16】本発明の一実施形態に従いチャネル選択プールをランダム非重複チャネルのリストに変換するプロセスを示す。
【図17】本発明の一実施形態に従い図16のプロセスによって生成される周波数ホッピングパターンを示す。
【図18】本発明の一実施形態に従いナビゲーション信号を受信しダウンコンバージョンのためサンプリングするよう構成された受信プロセッサのブロック図を示す。
【図19】本発明の一実施形態に従い測距処理を遂行するよう構成されたナビゲーションプロセッサのブロック図を示す。
【図20】本発明の一実施形態に従い図19のナビゲーションプロセッサで使用する様々な状態変数定義を示す。
【図21】本発明の一実施形態に従い信号追跡を遂行するよう構成された追跡モジュールのブロック図を示す。
【図22】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図23】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図24】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図25】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図26】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図27】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図28】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図29】本発明の種々の実施形態に従い異なる環境の中でナビゲーションを遂行する様々なナビゲーションシステム使用を示す。
【図30】本発明の一実施形態に従い低地球軌道衛星アップリンクの汎用フレーム構造を示す。
【図31】本発明の一実施形態に従い低地球軌道衛星データアップリンクの同期をとる地上インフラを示す。
【図32】本発明の一実施形態に従い低レベルデータアップリンク信号の一実装を示す。
【図33】本発明の一実施形態に従い低地球軌道衛星データアップリンクをサポートする送信機のブロック図を示す。
【図34】本発明の一実施形態に従いデータアップリンクをサポートするように構成された低地球軌道衛星の様々なコンポーネントのブロック図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションを遂行する方法であって、
i.低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信するステップと、
ii.前記LEO信号からナビゲーション信号を復号化するステップと、
iii.第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信するステップと、
iv.前記第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出すステップと、
v.前記ナビゲーション信号と、前記第1及び第2の測距信号と、前記較正情報とを用いて位置を計算するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記LEO信号は、通信信号と前記ナビゲーション信号とを備え、前記LEO衛星は、前記LEO信号を提供するように構成された通信衛星である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LEO衛星は、イリジウム衛星とグローバルスター衛星とからなるグループから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナビゲーション信号は、前記LEO信号の複数のチャネルで符号化される擬似ランダムノイズ(PRN)信号を備える、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記ナビゲーション信号は、軍事用ナビゲーション信号と、商用ナビゲーション信号と、民生用ナビゲーション信号とからなるグループから選択される、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記測距信号の少なくとも1つは、携帯電話機信号と、テレビ信号と、全地球測位システム(GPS)信号とからなるグループから選択される、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記較正情報は、符号タイミングと、キャリア位相と、データビットと、シンボル位相とを備える、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項8】
i.携帯電話網を通じて前記ナビゲーション信号の複製を受信するステップと、
ii.前記ナビゲーション信号の前記複製と、前記第1及び第2の測距信号と、前記較正情報とを用いて位置を計算するステップとをさらに備える、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、手持ち型ナビゲーション装置と、車両搭載ナビゲーション装置と、航空機搭載ナビゲーション装置とからなるグループから選択される装置によって遂行される、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法の遂行は、ナビゲーション装置による暗号鍵の所持を条件とする、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項11】
ナビゲーション装置であって、
i.低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信する手段と、
ii.前記LEO信号からナビゲーション信号を復号化する手段と、
iii.第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信する手段と、
iv.前記第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出す手段と、
v.前記ナビゲーション信号と、前記第1及び第2の測距信号と、前記較正情報とを用い
て位置を計算する手段とを備える、
ナビゲーション装置。
【請求項12】
単一周波数全地球測位システム(GPS)L1信号を用いて電離圏効果を推定する手段をさらに備える、請求項11に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記ナビゲーション信号と前記第1の信号とを用いて航空機のための三次元自動着陸案内を提供する手段をさらに備え、前記第1の測距発信源は衛星である、請求項11または12に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記ナビゲーション信号を用いて垂直自動着地案内を提供する手段をさらに備える、請求項11〜13のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
受信機自律完全性監視(RAIM)を実装する手段をさらに備える、請求項11〜14のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項16】
低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を提供する方法であって、
i.複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供するステップであって、ここで前記送信チャネルは、1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備える、ステップと、
ii.ナビゲーション信号に対応する第1の擬似ランダムノイズ(PRN)測距オーバーレイを生成するステップと、
iii.前記ナビゲーションチャネルの第1のセットへ前記第1のPRN測距オーバーレイを適用するステップと、
iv.前記通信チャネルと前記ナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめるステップと、
v.前記LEO衛星から前記LEO信号をブロードキャストするステップとを備える、
方法。
【請求項17】
複数の受信スロットにわたって複数の受信チャネルを提供するステップをさらに備え、前記受信チャネルと前記通信チャネルは、複数の通話に関連付けられ、各通話は、前記送信スロットの少なくとも1つと前記受信スロットの少なくとも1つとに関連付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
或る操業エリアにわたって前記LEO信号のさらなるブロードキャストを無効にするステップをさらに備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
i.データ信号を受信するステップと、
ii.前記データ信号の中で符号化されたデータを判定するため、前記データ信号の複数の単一ビット測定値を平均化するステップと、
iii.前記データ信号を前記LEO信号にまとめるステップとをさらに備える、請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
低地球軌道(LEO)衛星であって、
i.前記LEO衛星からLEO信号をブロードキャストするのに適したアンテナと、
ii.プロセッサとを備え、同プロセッサは、
i.複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供し、ここで前記送信チャネルは、1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、
ii.ナビゲーション信号に対応する第1の擬似ランダムノイズ(PRN)測距オーバーレイを生成し、
iii.前記ナビゲーションチャネルの第1のセットへ前記第1のPRN測距オーバーレイを適用し、
iv.前記通信チャネルと前記ナビゲーションチャネルとを前記LEO信号にまとめるのとに適する、
LEO衛星。
【請求項21】
前記送信スロットは、時分割多重アクセス(TDMA)フレーム内に構成される、請求項20に記載のLEO衛星。
【請求項22】
前記送信スロットは、複数の周波数分割多重アクセス(FDMA)周波数帯内に構成される、請求項20または21に記載のLEO衛星。
【請求項23】
前記プロセッサは、複数の受信スロットにわたって複数の受信チャネルを提供するのに適し、前記受信チャネルと前記通信チャネルは、複数の通話に関連付けられ、各通話は、前記送信スロットの少なくとも1つと前記受信スロットの少なくとも1つとに関連付けられる、請求項20〜22のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項24】
前記ナビゲーション信号は軍事用ナビゲーション信号であり、前記プロセッサは、
i.商用ナビゲーション信号に対応する第2のPRN測距オーバーレイを生成し、
ii.前記ナビゲーションチャネルの第2のセットへ前記第2のPRN測距オーバーレイを適用し、
iii.民生用ナビゲーション信号に対応する第3のPRN測距オーバーレイを生成し、iv.前記ナビゲーションチャネルの第3のセットへ前記第3のPRN測距オーバーレイを適用するのとに適する、請求項20〜23のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項25】
前記プロセッサは、
i.複数のカウンタ入力値に応じて複数の暗号を生成し、
ii.前記暗号を用いて前記ナビゲーションチャネルの前記第1のセットの前記ナビゲーションチャネルを選択するのとに適する、請求項20〜24のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項26】
前記プロセッサは、
i.複数のカウンタ入力値に応じて複数の暗号を生成し、
ii.前記暗号を用いて複数のダイレクトシーケンスチップを選択するのとに適し、前記選択されるダイレクトシーケンスチップは、前記ナビゲーション信号に対応する、請求項20〜25のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項27】
前記LEO衛星は、イリジウム衛星とグローバルスター衛星とからなるグループから選択される、請求項20〜26のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項28】
低地球軌道(LEO)衛星に至るデータアップリンクを提供する方法であって、
前記LEO衛星から受信するLEO信号と、第1の測距発信源から受信する第1の測距信号と、第2の測距発信源から受信する第2の測距信号とを用いて位置情報を割り出すステップと、
ローカルクロック基準とLEO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出すステップと、
前記LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備するステップと、
前記タイミング繰り上げパラメータを用いて前記データアップリンク信号を前記LEO衛星に同期させるステップと、
前記LEO衛星へ前記データアップリンク信号をブロードキャストするステップとを備える、
方法。
【請求項29】
前記LEO衛星を通じて前記データアップリンク信号と通信信号とを使用する双方向通信を促進するため、前記LEO信号から前記通信信号を復号化するステップをさらに備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記通信信号と前記データアップリンク信号は、通話を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記通信信号と前記データアップリンク信号とを用いて航空交通管理を遂行するステップをさらに備える、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記データアップリンク信号は、ビーム制御リクエストを備える、請求項28〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記アップリンクデータは、テキストメッセージを備える、請求項28〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記データアップリンク信号は、複数のチャネルを備え、前記チャネルは、複数の周波数帯と複数のタイムスロットとにわたって分布し、前記準備するステップは、
前記アップリンクデータを備える擬似ランダムノイズ(PRN)オーバーレイを生成するステップと、
前記チャネルへ前記PRNオーバーレイを適用するステップと、
前記データアップリンク信号を提供するため前記チャネルをまとめるステップとを備える、請求項28〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記方法は、手持ち型ナビゲーション装置と、車両搭載ナビゲーション装置と、航空機搭載ナビゲーション装置とからなるグループから選択される装置によって遂行される、請求項28〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記LEO衛星は、イリジウム衛星とグローバルスター衛星とからなるグループから選択される、請求項28〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
データアップリンク装置であって、
i.低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信し、
ii.第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信し、
iii.前記LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストするのとに適する、アンテナと、
i.前記LEO信号と、前記第1のLEO信号と、前記第2のLEO信号とを用いて位置情報を割り出し、
ii.ローカルクロック基準とLEO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出し、
iii.前記LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備し、
iv.前記タイミング繰り上げパラメータを用いて前記データアップリンク信号を前記LEO衛星に同期させるのとに適する、プロセッサとを備える、
データアップリンク装置。
【請求項38】
前記プロセッサは、前記LEO衛星を通じて前記データアップリンク信号と通信信号とを使用する双方向通信を促進するため、前記LEO信号から前記通信信号を復号化するのに適する、請求項37に記載のデータアップリンク装置。
【請求項39】
前記プロセッサは、前記通信信号を復号化するため前記LEO信号の複数の単一ビット測定値を平均化するのに適する、請求項38に記載のデータアップリンク装置。
【請求項40】
前記プロセッサは、前記通信信号と前記データアップリンク信号とを用いて再キーイング操作を遂行するように構成される、請求項38または39に記載のデータアップリンク装置。
【請求項41】
前記プロセッサは、前記通信信号と前記データアップリンク信号とを用いて航空交通管理を遂行するように構成される、請求項38〜40のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項42】
前記データアップリンク信号は、全地球規模の救難連絡を備える、請求項37〜41のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項43】
前記アップリンクデータは、前記位置情報を備える、請求項37〜42のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項44】
前記ナビゲーション信号は、軍事用ナビゲーション信号と、商用ナビゲーション信号と、民生用ナビゲーション信号とからなるグループから選択される、請求項37〜43のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項45】
前記LEO衛星クロック基準は、前記LEO信号によって提供される、請求項37〜44のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項46】
前記プロセッサは、複数のビットの中で前記アップリンクデータの単一ビットを符号化するのに適する、請求項37〜45のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項47】
ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行する方法であって、前記ナビゲーション信号は、低地球軌道(LEO)衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、前記方法は、
複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ発信源を前記複数の周波数帯へフィルタするステップであって、ここで前記ナビゲーション信号は前記LEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、前記チャネルは前記周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布する、ステップと、
前記チャネルにわたって前記ナビゲーション信号を分散させるため前記LEO衛星によって使用される変調シーケンスに対応する擬似ランダムノイズ(PRN)シーケンスを生成するステップと、
複数の変調済みノイズ信号を提供するため前記PRNシーケンスを使って前記フィルタ済みノイズ信号を変調するステップと、
前記ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって前記変調済みノイズ信号をブロードキャストするステップとを備え、前記妨害バーストは、前記操業エリアの中で前記ナビゲーション信号を概ね遮るように構成される、方法。
【請求項48】
前記妨害バーストはさらに、前記操業エリアの中だけで前記ナビゲーション信号を概ね遮るように構成される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ナビゲーション信号は民生用ナビゲーション信号であって、前記LEO信号はさらに、複数の別の周波数帯と複数の別のタイムスロットとにわたって分布する前記LEO信号の複数の別のチャネルにわたって分散する軍事用ナビゲーション信号を備え、妨害バーストはさらに、前記操業エリアの中で前記軍事用ナビゲーション信号に概ね一致しないように構成される、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記民生用ナビゲーション信号は、これのチャネルにわたって分布する第1の出力レベルを呈し、前記軍事用ナビゲーション信号は、これのチャネルにわたって分布する第2の出力レベルを呈し、前記第2の出力レベルは、前記第1の出力レベルより大きい、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記妨害バーストは、前記第1の出力レベルより大きい出力レベルを呈する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記軍事用ナビゲーション信号は、前記民生用ナビゲーション信号より多くのチャネルに関連付けられる、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行するように構成された妨害装置であって、前記ナビゲーション信号は、低地球軌道(LEO)衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、前記装置は、
ノイズ信号を提供するのに適したノイズ発信源と、
複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ信号を前記複数の周波数帯へフィルタするのに適した複数のフィルタと、ここで前記ナビゲーション信号は前記LEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、前記チャネルは前記周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布する、
前記チャネルにわたって前記ナビゲーション信号を分散させるため前記LEO衛星によって使用される変調シーケンスを提供するのに適した擬似ランダムノイズ(PRN)シーケンス生成器と、
複数の変調済みノイズ信号を提供するため前記PRNシーケンスを使って前記フィルタ済みノイズ信号を変調するのに適した複数の発振器と、
前記ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって前記変調済みノイズ信号をブロードキャストするのに適したアンテナとを備え、前記妨害バーストは、前記操業エリアの中で前記ナビゲーション信号を概ね遮るように構成される、妨害装置。
【請求項54】
前記変調済みノイズ信号をブロードキャストに向けて準備するのに適したアップコンバータをさらに備える、請求項53に記載の妨害装置。
【請求項55】
前記LEO信号の前記チャネルは、周波数分割多重アクセス(FDMA)構成で前記周波数帯にわたって、そして時分割多重アクセス(TDMA)構成で前記タイムスロットにわたって、分布する、請求項53または54に記載の妨害装置。
【請求項56】
前記LEO衛星は、イリジウム衛星とグローバルスター衛星とからなるグループから選択される、請求項53〜55のいずれかに記載の妨害装置。
【請求項57】
前記妨害装置は、前記操業エリアに位置するのに適する、請求項53〜56のいずれかに記載の妨害装置。
【請求項1】
ナビゲーションを遂行する方法であって、
i.低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信するステップと、
ii.前記LEO信号からナビゲーション信号を復号化するステップと、
iii.第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信するステップと、
iv.前記第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出すステップと、
v.前記ナビゲーション信号と、前記第1及び第2の測距信号と、前記較正情報とを用いて位置を計算するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記LEO信号は、通信信号と前記ナビゲーション信号とを備え、前記LEO衛星は、前記LEO信号を提供するように構成された通信衛星である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LEO衛星は、イリジウム衛星とグローバルスター衛星とからなるグループから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナビゲーション信号は、前記LEO信号の複数のチャネルで符号化される擬似ランダムノイズ(PRN)信号を備える、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記ナビゲーション信号は、軍事用ナビゲーション信号と、商用ナビゲーション信号と、民生用ナビゲーション信号とからなるグループから選択される、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記測距信号の少なくとも1つは、携帯電話機信号と、テレビ信号と、全地球測位システム(GPS)信号とからなるグループから選択される、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記較正情報は、符号タイミングと、キャリア位相と、データビットと、シンボル位相とを備える、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項8】
i.携帯電話網を通じて前記ナビゲーション信号の複製を受信するステップと、
ii.前記ナビゲーション信号の前記複製と、前記第1及び第2の測距信号と、前記較正情報とを用いて位置を計算するステップとをさらに備える、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、手持ち型ナビゲーション装置と、車両搭載ナビゲーション装置と、航空機搭載ナビゲーション装置とからなるグループから選択される装置によって遂行される、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法の遂行は、ナビゲーション装置による暗号鍵の所持を条件とする、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項11】
ナビゲーション装置であって、
i.低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信する手段と、
ii.前記LEO信号からナビゲーション信号を復号化する手段と、
iii.第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信する手段と、
iv.前記第1及び第2の測距発信源に関連する較正情報を割り出す手段と、
v.前記ナビゲーション信号と、前記第1及び第2の測距信号と、前記較正情報とを用い
て位置を計算する手段とを備える、
ナビゲーション装置。
【請求項12】
単一周波数全地球測位システム(GPS)L1信号を用いて電離圏効果を推定する手段をさらに備える、請求項11に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記ナビゲーション信号と前記第1の信号とを用いて航空機のための三次元自動着陸案内を提供する手段をさらに備え、前記第1の測距発信源は衛星である、請求項11または12に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記ナビゲーション信号を用いて垂直自動着地案内を提供する手段をさらに備える、請求項11〜13のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
受信機自律完全性監視(RAIM)を実装する手段をさらに備える、請求項11〜14のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項16】
低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を提供する方法であって、
i.複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供するステップであって、ここで前記送信チャネルは、1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備える、ステップと、
ii.ナビゲーション信号に対応する第1の擬似ランダムノイズ(PRN)測距オーバーレイを生成するステップと、
iii.前記ナビゲーションチャネルの第1のセットへ前記第1のPRN測距オーバーレイを適用するステップと、
iv.前記通信チャネルと前記ナビゲーションチャネルとをLEO信号にまとめるステップと、
v.前記LEO衛星から前記LEO信号をブロードキャストするステップとを備える、
方法。
【請求項17】
複数の受信スロットにわたって複数の受信チャネルを提供するステップをさらに備え、前記受信チャネルと前記通信チャネルは、複数の通話に関連付けられ、各通話は、前記送信スロットの少なくとも1つと前記受信スロットの少なくとも1つとに関連付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
或る操業エリアにわたって前記LEO信号のさらなるブロードキャストを無効にするステップをさらに備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
i.データ信号を受信するステップと、
ii.前記データ信号の中で符号化されたデータを判定するため、前記データ信号の複数の単一ビット測定値を平均化するステップと、
iii.前記データ信号を前記LEO信号にまとめるステップとをさらに備える、請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
低地球軌道(LEO)衛星であって、
i.前記LEO衛星からLEO信号をブロードキャストするのに適したアンテナと、
ii.プロセッサとを備え、同プロセッサは、
i.複数の送信スロットにわたって複数の送信チャネルを提供し、ここで前記送信チャネルは、1セットの通信チャネルと1セットのナビゲーションチャネルとを備え、
ii.ナビゲーション信号に対応する第1の擬似ランダムノイズ(PRN)測距オーバーレイを生成し、
iii.前記ナビゲーションチャネルの第1のセットへ前記第1のPRN測距オーバーレイを適用し、
iv.前記通信チャネルと前記ナビゲーションチャネルとを前記LEO信号にまとめるのとに適する、
LEO衛星。
【請求項21】
前記送信スロットは、時分割多重アクセス(TDMA)フレーム内に構成される、請求項20に記載のLEO衛星。
【請求項22】
前記送信スロットは、複数の周波数分割多重アクセス(FDMA)周波数帯内に構成される、請求項20または21に記載のLEO衛星。
【請求項23】
前記プロセッサは、複数の受信スロットにわたって複数の受信チャネルを提供するのに適し、前記受信チャネルと前記通信チャネルは、複数の通話に関連付けられ、各通話は、前記送信スロットの少なくとも1つと前記受信スロットの少なくとも1つとに関連付けられる、請求項20〜22のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項24】
前記ナビゲーション信号は軍事用ナビゲーション信号であり、前記プロセッサは、
i.商用ナビゲーション信号に対応する第2のPRN測距オーバーレイを生成し、
ii.前記ナビゲーションチャネルの第2のセットへ前記第2のPRN測距オーバーレイを適用し、
iii.民生用ナビゲーション信号に対応する第3のPRN測距オーバーレイを生成し、iv.前記ナビゲーションチャネルの第3のセットへ前記第3のPRN測距オーバーレイを適用するのとに適する、請求項20〜23のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項25】
前記プロセッサは、
i.複数のカウンタ入力値に応じて複数の暗号を生成し、
ii.前記暗号を用いて前記ナビゲーションチャネルの前記第1のセットの前記ナビゲーションチャネルを選択するのとに適する、請求項20〜24のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項26】
前記プロセッサは、
i.複数のカウンタ入力値に応じて複数の暗号を生成し、
ii.前記暗号を用いて複数のダイレクトシーケンスチップを選択するのとに適し、前記選択されるダイレクトシーケンスチップは、前記ナビゲーション信号に対応する、請求項20〜25のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項27】
前記LEO衛星は、イリジウム衛星とグローバルスター衛星とからなるグループから選択される、請求項20〜26のいずれかに記載のLEO衛星。
【請求項28】
低地球軌道(LEO)衛星に至るデータアップリンクを提供する方法であって、
前記LEO衛星から受信するLEO信号と、第1の測距発信源から受信する第1の測距信号と、第2の測距発信源から受信する第2の測距信号とを用いて位置情報を割り出すステップと、
ローカルクロック基準とLEO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出すステップと、
前記LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備するステップと、
前記タイミング繰り上げパラメータを用いて前記データアップリンク信号を前記LEO衛星に同期させるステップと、
前記LEO衛星へ前記データアップリンク信号をブロードキャストするステップとを備える、
方法。
【請求項29】
前記LEO衛星を通じて前記データアップリンク信号と通信信号とを使用する双方向通信を促進するため、前記LEO信号から前記通信信号を復号化するステップをさらに備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記通信信号と前記データアップリンク信号は、通話を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記通信信号と前記データアップリンク信号とを用いて航空交通管理を遂行するステップをさらに備える、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記データアップリンク信号は、ビーム制御リクエストを備える、請求項28〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記アップリンクデータは、テキストメッセージを備える、請求項28〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記データアップリンク信号は、複数のチャネルを備え、前記チャネルは、複数の周波数帯と複数のタイムスロットとにわたって分布し、前記準備するステップは、
前記アップリンクデータを備える擬似ランダムノイズ(PRN)オーバーレイを生成するステップと、
前記チャネルへ前記PRNオーバーレイを適用するステップと、
前記データアップリンク信号を提供するため前記チャネルをまとめるステップとを備える、請求項28〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記方法は、手持ち型ナビゲーション装置と、車両搭載ナビゲーション装置と、航空機搭載ナビゲーション装置とからなるグループから選択される装置によって遂行される、請求項28〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記LEO衛星は、イリジウム衛星とグローバルスター衛星とからなるグループから選択される、請求項28〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
データアップリンク装置であって、
i.低地球軌道(LEO)衛星からLEO信号を受信し、
ii.第1及び第2の測距発信源から第1及び第2の測距信号をそれぞれ受信し、
iii.前記LEO衛星へデータアップリンク信号をブロードキャストするのとに適する、アンテナと、
i.前記LEO信号と、前記第1のLEO信号と、前記第2のLEO信号とを用いて位置情報を割り出し、
ii.ローカルクロック基準とLEO衛星クロック基準とを用いてタイミング繰り上げパラメータを割り出し、
iii.前記LEO衛星へブロードキャストされるアップリンクデータを備えるデータアップリンク信号を準備し、
iv.前記タイミング繰り上げパラメータを用いて前記データアップリンク信号を前記LEO衛星に同期させるのとに適する、プロセッサとを備える、
データアップリンク装置。
【請求項38】
前記プロセッサは、前記LEO衛星を通じて前記データアップリンク信号と通信信号とを使用する双方向通信を促進するため、前記LEO信号から前記通信信号を復号化するのに適する、請求項37に記載のデータアップリンク装置。
【請求項39】
前記プロセッサは、前記通信信号を復号化するため前記LEO信号の複数の単一ビット測定値を平均化するのに適する、請求項38に記載のデータアップリンク装置。
【請求項40】
前記プロセッサは、前記通信信号と前記データアップリンク信号とを用いて再キーイング操作を遂行するように構成される、請求項38または39に記載のデータアップリンク装置。
【請求項41】
前記プロセッサは、前記通信信号と前記データアップリンク信号とを用いて航空交通管理を遂行するように構成される、請求項38〜40のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項42】
前記データアップリンク信号は、全地球規模の救難連絡を備える、請求項37〜41のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項43】
前記アップリンクデータは、前記位置情報を備える、請求項37〜42のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項44】
前記ナビゲーション信号は、軍事用ナビゲーション信号と、商用ナビゲーション信号と、民生用ナビゲーション信号とからなるグループから選択される、請求項37〜43のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項45】
前記LEO衛星クロック基準は、前記LEO信号によって提供される、請求項37〜44のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項46】
前記プロセッサは、複数のビットの中で前記アップリンクデータの単一ビットを符号化するのに適する、請求項37〜45のいずれかに記載のデータアップリンク装置。
【請求項47】
ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行する方法であって、前記ナビゲーション信号は、低地球軌道(LEO)衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、前記方法は、
複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ発信源を前記複数の周波数帯へフィルタするステップであって、ここで前記ナビゲーション信号は前記LEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、前記チャネルは前記周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布する、ステップと、
前記チャネルにわたって前記ナビゲーション信号を分散させるため前記LEO衛星によって使用される変調シーケンスに対応する擬似ランダムノイズ(PRN)シーケンスを生成するステップと、
複数の変調済みノイズ信号を提供するため前記PRNシーケンスを使って前記フィルタ済みノイズ信号を変調するステップと、
前記ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって前記変調済みノイズ信号をブロードキャストするステップとを備え、前記妨害バーストは、前記操業エリアの中で前記ナビゲーション信号を概ね遮るように構成される、方法。
【請求項48】
前記妨害バーストはさらに、前記操業エリアの中だけで前記ナビゲーション信号を概ね遮るように構成される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ナビゲーション信号は民生用ナビゲーション信号であって、前記LEO信号はさらに、複数の別の周波数帯と複数の別のタイムスロットとにわたって分布する前記LEO信号の複数の別のチャネルにわたって分散する軍事用ナビゲーション信号を備え、妨害バーストはさらに、前記操業エリアの中で前記軍事用ナビゲーション信号に概ね一致しないように構成される、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記民生用ナビゲーション信号は、これのチャネルにわたって分布する第1の出力レベルを呈し、前記軍事用ナビゲーション信号は、これのチャネルにわたって分布する第2の出力レベルを呈し、前記第2の出力レベルは、前記第1の出力レベルより大きい、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記妨害バーストは、前記第1の出力レベルより大きい出力レベルを呈する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記軍事用ナビゲーション信号は、前記民生用ナビゲーション信号より多くのチャネルに関連付けられる、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
ナビゲーション信号の局地的妨害を遂行するように構成された妨害装置であって、前記ナビゲーション信号は、低地球軌道(LEO)衛星によって提供されるLEO信号の少なくとも一部分をなし、前記装置は、
ノイズ信号を提供するのに適したノイズ発信源と、
複数の周波数帯で複数のフィルタ済みノイズ信号を提供するためノイズ信号を前記複数の周波数帯へフィルタするのに適した複数のフィルタと、ここで前記ナビゲーション信号は前記LEO信号の複数のチャネルにわたって分散し、前記チャネルは前記周波数帯と複数のタイムスロットにわたって分布する、
前記チャネルにわたって前記ナビゲーション信号を分散させるため前記LEO衛星によって使用される変調シーケンスを提供するのに適した擬似ランダムノイズ(PRN)シーケンス生成器と、
複数の変調済みノイズ信号を提供するため前記PRNシーケンスを使って前記フィルタ済みノイズ信号を変調するのに適した複数の発振器と、
前記ナビゲーション信号に対応する複数の妨害バーストを提供するため或る操業エリアにわたって前記変調済みノイズ信号をブロードキャストするのに適したアンテナとを備え、前記妨害バーストは、前記操業エリアの中で前記ナビゲーション信号を概ね遮るように構成される、妨害装置。
【請求項54】
前記変調済みノイズ信号をブロードキャストに向けて準備するのに適したアップコンバータをさらに備える、請求項53に記載の妨害装置。
【請求項55】
前記LEO信号の前記チャネルは、周波数分割多重アクセス(FDMA)構成で前記周波数帯にわたって、そして時分割多重アクセス(TDMA)構成で前記タイムスロットにわたって、分布する、請求項53または54に記載の妨害装置。
【請求項56】
前記LEO衛星は、イリジウム衛星とグローバルスター衛星とからなるグループから選択される、請求項53〜55のいずれかに記載の妨害装置。
【請求項57】
前記妨害装置は、前記操業エリアに位置するのに適する、請求項53〜56のいずれかに記載の妨害装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図18】
【図19】
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【図21】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2010−506138(P2010−506138A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511098(P2009−511098)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/011963
【国際公開番号】WO2008/105778
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/011963
【国際公開番号】WO2008/105778
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
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