説明

汚水処理プラントの運転方法、運転制御装置、及び制御方法

【課題】汚水の浄化処理の程度を損なうことなく、汚水処理プラントの稼動に要する消費電力の低減化を達成可能な汚水処理プラントの運転方法等を提供する。
【解決手段】汚水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に貯留された汚水を生物処理する生物処理槽と、貯留槽から生物処理槽に処理水を送水するポンプ装置と、生物処理槽に曝気する曝気装置とを含む汚水処理プラントの運転方法であって、ポンプ装置及び曝気装置を停止する第一運転状態と、ポンプ装置及び曝気装置を稼動する第二運転状態とを、一日のうちで切り替えるように運転し、第二運転状態から第一運転状態への移行時に、ポンプ装置の停止時期よりも曝気装置の停止時期を遅延させ、第一運転状態から第二運転状態への移行時に、曝気装置の稼動時期よりポンプ装置の稼動時期を遅延させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、し尿や浄化槽汚泥等を含む汚水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に貯留された汚水を生物処理する生物処理槽と、前記貯留槽から前記生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを含む汚水処理プラントの運転方法、運転制御装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、し尿等を処理する汚水処理プラントが建設される際には、想定される一日あたりの汚水の搬入量から一日あたりに必要となる汚水処理量が計画処理量として定められ、それに基づいて汚水貯留槽や生物処理槽等の容量、生物処理槽への曝気容量、汚水の送水容量等が設計され、各設備から汚水を送水するポンプ装置や生物処理槽へ曝気する曝気装置の仕様等が決定される。そして、これらの設計値によって汚水処理プラントの一日当たりの標準処理量である定格処理量が定まる。
【0003】
搬入された汚水は、し渣の除去等の前処理が行なわれた後に、一旦貯留槽に貯留され、計画処理量に従って貯留槽から生物処理槽に定量的に送水される。そして、生物処理された被処理水は、活性炭ろ過等の高度処理が行なわれた後に河川等に放流される。通常、汚水処理プラントでは、定格処理量の汚水を処理するために、曝気装置が24時間連続的に定格運転状態で稼動している。そして、通常、貯留槽の容量は一日の計画処理量の3倍程度の容量に設計され、ポンプ装置によって定量的に計画処理量の汚水を生物処理槽へ送水するように設計されている。
【0004】
特許文献1には、24時間連続的に稼動しながらも、安価な深夜電力を効率的に用いることが可能な汚水処理プラントの運転方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3763989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年、浄化槽の普及によって汚水処理プラントへの浄化槽汚泥の搬入量は増加しているが、下水道の普及とともにし尿の搬入量が低下傾向にあり、全体として汚水処理プラントへの汚水の搬入量は、減少する傾向にある。
【0007】
汚水処理プラントでは、一日あたりの汚水の搬入量が定格処理量に満たないこのような状況下でも、生物処理の途中で運転を停止すると、生物処理槽での処理環境条件が大きく変動し、汚水の浄化処理の程度にばらつきが発生する虞があったため、曝気装置による曝気量を定格より低下させ、ポンプ装置の送水量を定格処理量の汚水を送水する場合よりも少ない送水量で24時間連続的に稼動していた。
【0008】
そのため、動力効率が悪く電力消費量が嵩むばかりか、商用電源に対する需要が最大となる時間帯も最小となる時間帯もある程度の電力が継続的に消費されていた。特に、汚水の搬入量が多くなる日中の所定の時間帯には前処理装置も連続的に稼動するため、消費電力が一層増加しており、特に商用電源に対する需要が最大となる時間帯において、消費電力を低減可能な汚水処理プラントの運転方法が望まれていた。
【0009】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、汚水の浄化処理の程度を損なうことなく、汚水処理プラントの稼動に要する消費電力の低減化を達成可能な汚水処理プラントの運転方法、運転制御装置、及び制御方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による汚水処理プラントの運転方法の第一特徴構成は、汚水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に貯留された汚水を生物処理する生物処理槽と、前記貯留槽から前記生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを含む汚水処理プラントの運転方法であって、前記ポンプ装置及び前記曝気装置を停止する第一運転状態と、前記ポンプ装置及び前記曝気装置を稼動する第二運転状態とを、一日のうちで切り替えるように運転し、前記第二運転状態から前記第一運転状態への移行時に、前記ポンプ装置の停止時期よりも前記曝気装置の停止時期を遅延させ、前記第一運転状態から前記第二運転状態への移行時に、前記曝気装置の稼動時期より前記ポンプ装置の稼動時期を遅延させる点にある。
【0011】
一日に搬入される汚水の実処理量が予め想定されている一日の定格処理量よりも少ない場合に、比較的消費電力が大きなポンプ装置及び曝気装置を停止する第一運転状態と、そのようなポンプ装置及び曝気装置を稼動する第二運転状態とを、一日のうちで切り替えるように運転することによって、一日を通してポンプ装置及び曝気装置を連続稼動させなくとも、一日分の実処理量の汚水を第二運転状態で処理できるようになり、ポンプ装置及び曝気装置を動力効率がよい状態で稼動させることができるので、電力消費量を減少させることができる。
【0012】
第二運転状態から第一運転状態への移行時に、ポンプ装置と曝気装置を直ちに停止すると、その直前に生物処理槽に流入した汚水が十分に生物処理される前に槽内が嫌気状態に移行するため、好気性微生物によるアンモニアの硝化が阻害され、次に第二運転状態に移行したときに未硝化のアンモニアがそのまま生物処理水として流出される虞があるが、ポンプ装置の停止時期よりも曝気装置の停止時期を遅延させることによって、しばらくの間生物処理槽を好気状態に維持してアンモニアの硝化を促進することができ、これによって第二運転状態に移行したときに未硝化のアンモニアがそのまま流出されるといった不都合が回避できる。
【0013】
また、第一運転状態である程度時間が経過して嫌気状態に移行した生物処理槽では脱窒処理が進み汚水中に窒素ガスが溶解した状態になっており、ポンプ装置と曝気装置を直ちに稼動すると、窒素ガスが十分に脱気されること無く後段に送水され、沈殿等の固液分離を悪化させるという問題が発生するが、曝気装置の稼動時期よりポンプ装置の稼動時期を遅延させることによって、汚水中に溶解した窒素ガスが速やかに脱気されるようになる。さらに、第一運転状態から第二運転状態への移行時に、ポンプ装置と曝気装置を直ちに稼動すると、上述と同様に、第一運転状態で嫌気状態になった生物処理槽に流入した汚水が十分に硝化されることなく、未硝化のアンモニアがそのまま生物処理水として流出される虞があるが、曝気装置の稼動時期よりポンプ装置の稼動時期を遅延させることによって、嫌気状態の生物処理槽を好気状態に移行させて、アンモニアの硝化を促進する環境に移行することができ、これによって第二運転状態に移行したときに未硝化のアンモニアがそのまま流出されることが回避でき、速やかに定常運転に移行することができる。
【0014】
尚、第一運転状態への移行時や第二運転状態への移行時には、生物処理槽内の溶存酸素濃度が定常状態の2倍から4倍、例えば定常状態で1〜2mg/L程度の溶存酸素濃度よりも高い3〜4mg/L程度の溶存酸素濃度に高めることが好ましい。そのために、ポンプ装置を停止後、槽内の溶存酸素濃度を計測して、目標の溶存酸素濃度になった時点で曝気装置を停止し、或いは、溶存酸素濃度が目標値になる時間を設定可能なタイマーを備えて、ポンプ装置を停止後タイマーがカウントアップしたときに曝気装置を停止することができる。
【0015】
例えば、一日のうち相対的に電力需要の多い時間帯に第一運転状態に移行し、一日のうち相対的に電力需要の少ない時間帯に第二運転状態に移行すると、電力需要の多い時間帯での電力の使用を低減することが可能になり、電力負荷の平準化に資することができる。そして、一日のうち相対的に電力需要の少ない時間帯が深夜であり、深夜の電力料金が昼間に比べて安価に設定されている場合には、汚水処理プラントの運転コストも大幅に低減するようになる。
【0016】
汚水処理プラントの運転方法の第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、搬入された汚水を前処理する前処理装置と、前記前処理装置で前処理された汚水を貯留する貯留槽と、貯留槽に貯留された汚水を生物処理する生物処理槽と、前記貯留槽から前記生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを含む汚水処理プラントの運転方法であって、前記前処理装置を稼動するとともに前記ポンプ装置及び前記曝気装置を停止する第一運転状態と、前記前処理装置を停止するとともに前記ポンプ装置及び前記曝気装置を稼動する第二運転状態とを、一日のうちで切り替えるように運転し、前記第二運転状態から前記第一運転状態への移行時に、前記ポンプ装置の停止時期よりも前記曝気装置の停止時期を遅延させ、前記第一運転状態から前記第二運転状態への移行時に、前記曝気装置の稼動時期より前記ポンプ装置の稼動時期を遅延させる点にある。
【0017】
上述の構成によれば、第一の特徴構成による作用効果に加えて以下の作用効果が奏されるようになる。汚水処理プラントに搬入された汚水を生物処理するに先立って、汚水に含まれるし渣等の固形異物を除去する必要があり、そのために前処理装置が設けられている。前処理装置には、掻揚げ爪が配置されたバースクリーンや、凝集剤が添加された汚水を攪拌して脱水する脱水装置等が含まれる。前処理装置は専ら汚水の搬入時に稼動し、前処理後は稼動する必要がない。そこで、ポンプ装置及び曝気装置を停止する第一運転状態で前処理装置を稼動し、ポンプ装置及び曝気装置を稼動する第二運転状態で前処理装置を停止するように運転を切り替えることにより、汚水処理プラントでの一日における消費電力の平準化を図ることができる。
【0018】
本発明による汚水処理プラントの運転制御装置の第一特徴構成は、同請求項3に記載した通り、汚水を貯留する貯留槽から汚水を生物処理する生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを制御する汚水処理プラントの運転制御装置であって、前記ポンプ装置及び前記曝気装置を停止制御する第一運転状態と、前記ポンプ装置及び前記曝気装置を稼動制御する第二運転状態とを、一日のうちで切り替えるように運転し、前記第二運転状態から前記第一運転状態への移行時に、前記ポンプ装置の停止時期よりも前記曝気装置の停止時期を遅延制御し、前記第一運転状態から前記第二運転状態への移行時に、前記曝気装置の稼動時期より前記ポンプ装置の稼動時期を遅延制御する点にある。
【0019】
上述の汚水処理プラントの運転制御装置によれば、上述した第一の特徴構成による汚水処理プラントの運転方法を容易に実現できるようになる。
【0020】
汚水処理プラントの運転制御装置の第二の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、搬入された汚水を前処理する前処理装置と、前記前処理装置で前処理された汚水を貯留する貯留槽から汚水を生物処理する生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを制御する汚水処理プラントの運転制御装置であって、前記前処理装置を稼動制御するとともに前記ポンプ装置及び前記曝気装置を停止制御する第一運転状態と、前記前処理装置を停止制御するとともに前記ポンプ装置及び前記曝気装置を稼動制御する第二運転状態とを切り替えるように運転し、前記第二運転状態から前記第一運転状態への移行時に、前記ポンプ装置の停止時期よりも前記曝気装置の停止時期を遅延制御し、前記第一運転状態から前記第二運転状態への移行時に、前記曝気装置の稼動時期より前記ポンプ装置の稼動時期を遅延制御する点にある。
【0021】
上述の汚水処理プラントの運転制御装置によれば、上述した第二の特徴構成による汚水処理プラントの運転方法を容易に実現できるようになる。
【0022】
汚水処理プラントの運転制御装置の第三の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成を備えた汚水処理プラントの運転制御装置であって、一日当たりの目標汚水処理量、及び、前記第一または第二運転状態への移行時刻を入力する入力部と、予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、前記目標汚水処理量を前記ポンプ装置によって前記生物処理槽に送水する汚水投入延べ時間を算出する算出部と、前記第二運転状態への移行時刻に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置を第二所定時間稼動した後に前記ポンプ装置を稼動する送水遅延制御部と、前記第二運転状態への移行時刻から前記汚水投入延べ時間の経過後に前記第一運転状態に移行して、前記ポンプ装置を停止して第一所定時間経過後に前記曝気装置を停止する曝気遅延制御部と、を備えている点にある。
【0023】
上述した第一または第二の特徴構成を備えた汚水処理プラントの運転制御装置は、一日当たりの目標汚水処理量、及び、第二運転状態への移行時刻を入力可能な入力部を備え、算出部によって、予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、目標汚水処理量をポンプ装置によって生物処理槽に送水する汚水投入延べ時間を算出し、送水遅延制御部によって、入力部に入力された第二運転状態への移行時刻、または第一運転状態への移行時刻と汚水投入延べ時間とから算出される第二運転状態への移行時刻に第二運転状態に移行して、曝気装置を第二所定時間稼動した後にポンプ装置を稼動し、曝気遅延制御部によって、第二運転状態への移行時刻から汚水投入延べ時間の経過後に第一運転状態に移行して、ポンプ装置を停止して第一所定時間経過後に曝気装置を停止するように構成することにより、容易に運転管理できるようになる。
【0024】
本発明による汚水処理プラントの制御方法の第一特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成を備えた汚水処理プラントの運転制御装置で実行される汚水処理プラントの制御方法であって、一日当たりの目標汚水処理量、及び、前記第一または第二運転状態への移行時刻を入力する入力ステップと、予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、前記目標汚水処理量を前記ポンプ装置によって前記生物処理槽に送水する汚水投入延べ時間を算出する算出ステップと、前記第二運転状態への移行時刻に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置を第二所定時間稼動した後に前記ポンプ装置を稼動する送水遅延制御ステップと、前記第二運転状態への移行時刻から前記汚水投入延べ時間の経過後に前記第一運転状態に移行して、前記ポンプ装置を停止して第一所定時間経過後に前記曝気装置を停止する曝気遅延制御ステップと、を実行する点にある。
【0025】
同第二の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記入力ステップで前記生物処理槽の溶存酸素濃度が入力され、前記溶存酸素濃度に基づいて前記第一及び第二所定時間が決定される点にある。
【0026】
本発明による汚水処理プラントの運転方法の第三の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、汚水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に貯留された汚水を生物処理する生物処理槽と、前記貯留槽から前記生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを含む汚水処理プラントの運転方法であって、前記曝気装置を定格で稼動したときに所定時間で生物処理可能な定格汚水処理量よりも実汚水処理量が少ない場合に、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態と、前記ポンプ装置を稼動して実汚水処理量の汚水を前記生物処理槽に定量的に送水するとともに、前記曝気装置を定格で稼動する第二運転状態とを前記所定時間内で切り替えるように運転する点にある。
【0027】
本発明による汚水処理プラントの運転制御装置の第四の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、汚水を貯留する貯留槽から汚水を生物処理する生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを制御する汚水処理プラントの運転制御装置であって、前記曝気装置を定格で稼動したときに所定時間で生物処理可能な定格汚水処理量よりも実汚水処理量が少ない場合に、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態と、前記ポンプ装置を稼動して実汚水処理量の汚水を前記生物処理槽に定量的に送水するとともに、前記曝気装置を定格で稼動する第二運転状態とを前記所定時間内で切り替えるように運転する点にある。
【0028】
本発明による汚水処理プラントの運転制御装置の第五の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述した第四の特徴構成を備えた汚水処理プラントの運転制御装置であって、前記所定時間当たりの目標汚水処理量、及び、前記第一または第二運転状態への移行時刻を入力する入力部と、予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、前記目標汚水処理量を前記ポンプ装置によって前記生物処理槽に送水する汚水投入延べ時間を算出する算出部と、前記第二運転状態への移行時刻に前記第二運転状態に移行して前記曝気装置及び前記ポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、前記第二運転状態への移行時刻から前記汚水投入延べ時間の経過後に前記第一運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、を備えている点にある。
【0029】
本発明による汚水処理プラントの運転制御装置の第六の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、上述した第四の特徴構成を備えた汚水処理プラントの運転制御装置であって、一日のうちで前記第一または前記第二運転状態の何れかを実行する時間帯を入力する入力部と、予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、入力された時間帯に処理可能な汚水延べ量を算出する汚水延べ量を算出する算出部と、前記第二運転状態を実行する時間帯の初期に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、前記第一運転状態を実行する時間帯の初期に前記第一運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、を備えている点にある。
【0030】
本発明による汚水処理プラントの運転制御装置の第七の特徴構成は、同請求項12に記載した通り、上述した第四の特徴構成を備えた汚水処理プラントの運転制御装置であって、前記第一及び前記第二運転状態の開始時刻と、一日当たりの目標汚水処理量を入力する入力部と、入力された各開始時刻から算出した前記第二運転状態の稼動時間と、前記目標汚水処理量とから単位時間あたりの汚水処理量を算出する算出部と、算出した単位時間あたりの汚水処理量が予め設定された単位時間あたりの定格汚水処理量を満たすように、前記第一及び第二運転状態の開始時刻の何れかを調整するための警告を出力する警告部と、前記第二運転状態の開始時刻に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、前記第一運転状態の開始時刻に前記第一運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、を備えている点にある。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した通り、本発明によれば、汚水の浄化処理の程度を損なうことなく、汚水処理プラントの稼動に要する消費電力の低減化を達成可能な汚水処理プラントの運転方法、運転制御装置、及び制御方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による制御装置を含む汚水処理プラントの説明図
【図2】運転制御装置により実行される制御手順のフローチャート
【図3】本発明が適用可能な汚水処理プラントの別実施形態の説明図
【図4】本発明が適用可能な汚水処理プラントの別実施形態の説明図
【図5】本発明が適用可能な汚水処理プラントの別実施形態の説明図
【図6】別実施形態を示し、運転制御装置により実行される制御手順のフローチャート
【図7】別実施形態を示し、運転制御装置により実行される制御手順のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明による汚水処理プラントの運転方法、運転制御装置、及び制御方法を説明する。
【0034】
ここでは、浄化槽汚泥対応型脱窒素処理方式を採用した汚水処理プラント1を例に説明する。図1に示すように、汚水処理プラント1は、搬入されたし尿や浄化槽汚泥を受け入れて前処理を行なう前処理設備2と、前処理された汚水を生物処理によって浄化する生物処理設備3と、生物処理された後の被処理水を放流に適した状態に後処理する後処理設備4と、生物処理等で発生した余剰汚泥等を処理する汚泥処理設備5とを備えている。
【0035】
前処理設備2は、受入槽21と前貯留槽23と貯留槽25を備え、受入槽21と前貯留槽23の間に前処理装置の一例である除さ装置22が設置され、前貯留槽23と貯留槽25の間に前処理装置の一例である前脱水装置24が設置されている。
【0036】
し尿収集車両等によって搬入されたし尿や浄化槽汚泥等の汚水は、先ず受入槽21に投入され、カッター付きポンプP1によって固形物が粉砕されながら除さ装置22に送られ、生物処理に適さないし渣等の固形異物が除さ装置22によって除去された後に前処理槽23に貯留される。
【0037】
さらに、前処理槽23の汚水はポンプP2によって前脱水装置24に送られ、固形物が分離された後に貯留槽25に貯留される。貯留槽25に貯留された汚水は、ポンプP3によって生物処理設備3に送水される。
【0038】
ポンプP2から前脱水装置24の経路に鉄系無機凝集剤が投入され、凝集物が前脱水装置24で除去されるのである。前脱水装置24では、汚水中のBODやSSとともにリンや窒素がある程度脱水汚泥とともに汚水から分離され、後段の生物処理設備で処理すべき負荷が軽減される。そのため、生物処理設備3内の汚水を希釈したり、生物処理設備3の後段でリンやCODを除去するための高度処理を行なう必要が無くなる。
【0039】
搬入される汚水量が変動する場合でも安定して連続処理可能なように、受入槽21は汚水処理プラント1の計画時の一日あたりの定格処理量の半日から一日分を貯留可能な容量に設定され、貯留槽25は定格処理量の数日分を貯留可能な容量に設定されている。
【0040】
生物処理設備3には、脱窒素槽31と硝化槽32と二次脱窒素槽33と再曝気槽34が順に設置され、各槽の汚水に曝気する曝気装置35が設置されている。曝気装置35は、ブロワファンBと各槽に設置された散気ノズルと配管等を備えている。
【0041】
貯留槽25からポンプP3によって送水される汚水は、先ず脱窒素槽31に導かれて脱窒素処理され、その後硝化槽32に移送されて硝化処理される。嫌気状態に維持される脱窒素槽31では、嫌気性微生物によって汚水から窒素が分離され、分離された窒素が曝気装置35から槽内に供給される僅かな量の気泡によって攪拌されながら脱気される。
【0042】
曝気装置35から槽内に供給される所定量の気泡によって好気状態に維持される硝化槽32では、好気性微生物によってアンモニアが硝化、つまり硝酸イオン及び亜硝酸イオンに分解されるとともに、正リン酸が取り込まれる。硝化槽32で硝化された汚水の一部がポンプP4で脱窒素槽31に循環供給されて、正リン酸が吐き出されるとともに、脱窒素処理、つまり硝酸イオン及び亜硝酸イオンが窒素に還元される。
【0043】
硝化槽32で生物処理された汚水は、嫌気状態に維持される二次脱窒素槽33に移送されて脱窒素処理され、その後再曝気槽34に移送される。再曝気槽34には、膜分離装置36が浸漬設置されており、槽内の汚水は膜分離装置36に接続されたポンプP5で吸引され、膜分離装置36によって固液分離された被処理水が後処理設備4に送水される。膜分離装置36の下部には曝気装置35の散気ノズルが配置され、気泡によって分離膜表面が洗浄される。
【0044】
尚、膜分離装置36に用いられる分離膜として、限外濾過膜、精密濾過膜等が採用される。膜の形態は、中空糸膜、平膜、チューブラー膜などが採用される。
【0045】
再曝気槽34に溜まった汚泥の一部は、ポンプP6によって返送汚泥として脱窒素槽31に返送され、ポンプP7によって余剰汚泥として前貯留槽23に送られる。
【0046】
前貯留槽23に送られた余剰汚泥は前脱水装置24で汚水から分離され、分離された汚泥は汚泥処理設備5で減量処理される。汚泥処理設備5には、汚泥焼却炉や汚泥溶融炉が含まれる。
【0047】
後処理設備4には、ろ過原水槽41と処理水槽43と滅菌槽44が設置され、ろ過原水槽41と処理水槽43の間に活性炭吸着設備42が配置されている。膜分離装置36を介して送水され、ろ過原水槽41に貯留されたた被処理水は、ポンプP8を介して活性炭吸着設備42に送水され、CODや着色成分が吸着された後に処理水槽43に貯留され、さらに滅菌槽44で次亜塩素酸等によって滅菌された後に河川等に放流される。
【0048】
上述した複数のポンプP1〜P8及びブロワファンBを構成する電動機は、何れも三相誘導電動機が用いられている。三相誘導電動機は、一定電圧の下では定格負荷時と比較して軽負荷時の効率が悪化する特性があり、負荷変動に対応する必要があれば、端子電圧の制御等複雑な制御系が必要になる。本実施形態では、負荷変動を抑制して定格負荷運転を可能にすることで、効率の低下を抑制することができる。
【0049】
上述の汚水処理プラント1は、コンピュータが組み込まれた運転制御装置6によって運転管理される。以下、運転制御装置6によって制御される汚水処理プラント1の運転方法について詳述する。
【0050】
図1に示すように、運転制御装置6は、操作装置61と演算装置62と信号入出力装置63等を備えている。操作装置61は運転条件等を入力する複数の入力キーでなる入力部と、入力条件や制御状態等を表示する液晶等でなる表示部を備えている。
【0051】
信号入出力装置63は、演算装置62と汚水処理プラント1との間のインターフェースであり各ポンプ装置等の汚水処理プラント1を運転する各種のアクチュエータに制御信号を出力する出力回路や、各種のアクチュエータからのモニタ信号及び汚水処理プラント1に設置された各種のセンサからの検出信号を入力する入力回路が設けられている。
【0052】
演算装置62にはコンピュータが組み込まれ、操作装置61を介して入力された運転条件や信号入出力装置63を介して入力されたモニタ信号及び検出信号に基づいて予め設定されたプログラムに基づいて所定の制御演算を実行し、その結果、信号入出力装置63に各種のアクチュエータを作動または停止する制御信号を出力する。
【0053】
運転制御装置6は、一日のうち相対的に電力需要の多い時間帯に、ポンプP1,P2及び前処理装置の一例である除さ装置22や前脱水装置24を稼動制御するとともに、生物処理槽で生物処理をする際に稼動させる必要のあるポンプ装置、具体的にはポンプP3〜P8及び曝気装置35を停止制御する第一運転状態と、一日のうち相対的に電力需要の少ない時間帯に、ポンプP1,P2及び除さ装置22や前脱水装置24を停止制御するとともにポンプP3〜P8及び曝気装置35を定格運転状態で稼動制御する第二運転状態とを切り替えるように運転する。第二運転状態では少なくとも曝気装置35は定格で稼動されることが好ましく、ポンプP3は定格運転状態で連続または間歇的に稼動され、汚水が定量的に生物処理槽に送水されることが好ましい。
【0054】
ここで、ポンプを定格で稼動するとは、予め定められた単位時間当たりの流量、揚程で送水可能な仕様点での運転に必要な消費電力の±20%程度の範囲内、好ましくは±15%程度の範囲内、さらに好ましくは±10%程度の範囲内の消費電力で稼動することをいい、このようにポンプを定格で稼動する状態を定格運転状態という。
【0055】
そして、運転制御装置6は、第二運転状態から第一運転状態への移行時に、ポンプP3〜P8の停止時期よりも曝気装置35の停止時期を遅延制御し、第一運転状態から第二運転状態への移行時に、曝気装置35の稼動時期よりポンプP3〜P8の稼動時期を遅延制御する。
【0056】
このように制御すれば、汚水処理プラント1が構築された地域で、電力需要の多い時間帯での電力の使用を低減することが可能になるとともに、一日を通してポンプP3〜P8及び曝気装置35を連続稼動させなくとも、ポンプP3〜P8及び曝気装置35の稼動時間帯にポンプP3〜P8及び曝気装置35を例えば定格処理量に対応する稼動条件で稼動すれば、一日に搬入される汚水の実処理量が定格処理量よりも少ない場合でも、この限られた時間帯で処理できるようになる。
【0057】
また、第二運転状態から第一運転状態への移行時に、ポンプP3〜P8と曝気装置35を直ちに停止すると、その直前に生物処理槽31〜34、特に硝化槽32に流入した汚水が十分に生物処理される前に槽内が嫌気状態に移行するため、好気性微生物によるアンモニアの分解処理が阻害され、次に第二運転状態に移行したときに未分解のアンモニアがそのまま河川に放水されるような虞があるが、ポンプP3〜P8の停止時期よりも曝気装置35の停止時期を遅延させることによって、しばらくの間生物処理槽31〜34を好気状態に維持することによりアンモニアの硝化を促進することができ、これによって第二運転状態に移行したときに未分解のアンモニアがそのまま放水されるといった不都合が回避できる。
【0058】
また、第一運転状態である程度時間が経過して嫌気状態に移行した生物処理槽31〜34では脱窒処理が進み汚水中に窒素ガスが溶解した状態になっており、ポンプP3〜P8と曝気装置35を直ちに稼動すると、窒素ガスが十分に脱気されること無く後段に送水されるという問題が発生するが、曝気装置35の稼動時期よりポンプP3〜P8の稼動時期を遅延させることによって、汚水中に溶解した窒素ガスが速やかに脱気されるようになる。特に脱窒素槽31での窒素の脱気処理が捗るようになる。
【0059】
さらに、第一運転状態から第二運転状態への移行時に、ポンプP3〜P8と曝気装置35を直ちに稼動すると、上述と同様に、第一運転状態で嫌気状態になった硝化槽32に流入した汚水が十分に硝化されることなく、未分解のアンモニアがそのまま放水される虞があるが、曝気装置35の稼動時期よりポンプP3〜P8の稼動時期を遅延させることによって、嫌気状態の硝化槽32を好気状態に移行させて、アンモニアの硝化を促進する環境に移行することができ、これによって第二運転状態に移行したときに未分解のアンモニアがそのまま流出されることが回避でき、速やかに定常運転に移行することができる。
【0060】
尚、第一運転状態への移行時や第二運転状態への移行時には、生物処理槽内の溶存酸素濃度が定常状態の1.5倍から5倍、好ましくは2倍から4倍、さらに好ましくは、2.5倍から3.5倍、例えば定常状態で1〜2mg/L程度の溶存酸素濃度よりも高い3〜4mg/L程度の溶存酸素濃度に高めることが好ましい。
【0061】
そのために、槽内、好ましくは硝化槽32に溶存酸素濃度を計測するセンサが設けられ、ポンプP3〜P8を停止後、前記センサが計測した溶存酸素濃度の値が信号入出力装置63を介して演算装置62に入力されるように構成されている。演算装置は、入力された信号値に基づいて目標の溶存酸素濃度になった時点で曝気装置35を停止するように制御する。
【0062】
一日のうち相対的に電力需要の少ない時間帯が深夜であり、深夜の電力料金が昼間に比べて安価に設定されている場合には、深夜時間帯に第二運転状態となるように制御すれば、汚水処理プラント1の運転コスト、特に電力料金が大幅に低減するようになる。
【0063】
例えば、汚水が搬入される午前8時から正午までの時間帯を含む日中に、主に第一運転状態となって前処理装置が稼動し、その後、夜間に第一運転状態となって生物処理設備が稼動するように制御するのが好ましい。しかし、これは一例であり、少なくとも一日のうち相対的に電力需要の多い時間帯に第一運転状態となり、一日のうち相対的に電力需要の少ない時間帯に第二運転状態になるように切り替えるものであればよい。
【0064】
図2には、上述した運転制御装置6により実行される制御手順が示されている。初期に汚水処理プラント1及び運転制御装置6に電源が投入され、オペレータによって操作装置61の入力部を介して一日当たりの目標汚水処理量、及び、第二運転状態への移行時刻が演算装置62に入力されると(S1,S2)、運転処理が開始され(S3)、演算装置62は予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、目標汚水処理量をポンプ装置によって生物処理設備3に送水する汚水投入延べ時間を算出する(S4)。
【0065】
汚水投入延べ時間とは、定格汚水処理量の汚水をポンプP3を用いて脱窒素槽31に送水する場合のポンプ3の稼動条件と同一の稼動条件で目標汚水処理量を脱窒素槽31に送水するのに必要な時間である。
【0066】
具体的に、汚水投入延べ時間(h/日)は、目標汚水処理量(kL/日)を投入流量(kL/h)で除した値として求まり、投入流量(kL/h)は、施設の定格処理量(kL/日)を24時間で除した値として求まる。
【0067】
第一運転状態であるときに(S5、Y)、第二運転状態への移行時刻になると(S6,Y)、曝気装置35を稼動し(S7)、その後硝化槽32の溶存酸素濃度が所定値以上(例えば、4mg/L以上)になると(S8,Y)、ポンプP3〜P8を稼動して第二運転状態への移行を完了する(S9)。
【0068】
ステップS5で、第二運転状態であれば(S5,N)、汚水投入延べ時間の経過を待って(S10,Y)、ポンプP3〜P8を停止し(S11)、その後硝化槽32の溶存酸素濃度が所定値以上(例えば、4mg/L以上)になると(S12,Y)、曝気装置35を停止して、さらに、前処理装置を稼動させて第一運転状態への移行を完了する(S13)。
【0069】
即ち、演算装置62のうちステップS7からステップS9を実行する部位によって第二運転状態への移行時刻に第二運転状態に移行して、曝気装置を第二所定時間稼動した後に前記ポンプ装置を稼動する送水遅延制御部が構成され、演算装置62のうちステップS11からステップS13を実行する部位によって第二運転状態への移行時刻から汚水投入延べ時間の経過後に第一運転状態に移行して、ポンプ装置を停止して第一所定時間経過後に曝気装置を停止する曝気遅延制御部が構成される。
【0070】
尚、硝化槽32の溶存酸素濃度を検出するセンサに代えて第一運転状態への移行時や第二運転状態への移行時に溶存酸素濃度が目標値になる時間を設定可能なタイマーを備えて、ポンプ装置を停止後タイマーがカウントアップしたときに曝気装置を停止するように送水遅延制御部及び曝気遅延制御部が構成されていてもよい。
【0071】
一日当たりの目標汚水処理量は季節等によって変動する値であり、また、時の経過に従って変動する値であるので、例えば、数ヶ月単位から一週間単位で定期的に変更設定すればよく、その値に応じて第二運転状態への移行時刻も適宜設定すればよい。また、深夜時間帯で電力が安価になる場合には、そのような時間帯で第二運転状態に切り替えるように自動設定する機能を備えていてもよい。
【0072】
本発明による運転方法を適用した汚水処理プラントについて、実処理量が定格処理量の70%程度であるとしてシミュレーションすると、日中の9時から20時までを第一運転状態とし、20時から9時までを第二運転状態とすることができた。その結果、ポンプ装置による送水量や曝気装置による曝気量を低下させることにより24時間連続的に稼動する場合に比べて、一日の総消費電力は約13%程度削減することができ、9時から20時までの消費電力は約26%程度削減することができた。
【0073】
上述の例では、ステップS2で第二運転状態への移行時刻が演算装置62に入力される場合を説明したが、第一運転状態への移行時刻が演算装置62に入力されてもよい。この場合には、入力部に入力された第一運転状態への移行時刻と汚水投入延べ時間とから算出される第二運転状態への移行時刻に第二運転状態に移行すればよい(S6)。
【0074】
次に、本発明による運転方法が適用可能な汚水処理プラントの別実施形態について説明する。
図3には、標準脱窒素処理方式が採用された汚水処理プラント1Aが示されている。尚、ここでは上述した浄化槽汚泥対応型脱窒素処理方式が採用された汚水処理プラント1と基本的な構成は同じであるため、相違する箇所を重点的に説明する。
【0075】
汚水処理プラント1Aの生物処理設備3Aには、脱窒素槽31Aと硝化槽32Aと二次脱窒素槽33Aと再曝気槽34Aと沈殿槽37Aが順に設置されている。
【0076】
上述したような予めリン等を積極的に除去する前脱水装置24を備えておらず、再曝気槽に備えた膜分離装置36に代えて沈殿槽37Aを備えている。そして、沈殿槽37Aの上澄み液からリンやCODを除去する高度処理設備38Aを備えている。沈殿槽37Aに溜まった汚泥の一部は、ポンプP6aによって返送汚泥として脱窒素槽31に返送され、ポンプP7により余剰汚泥として脱水機39Aへ移送されて脱水され、汚泥処理設備5Aで減量処理される
【0077】
高度処理設備38Aは、鉄系凝集剤を投入して攪拌する混和槽38aと、さらに高分子ポリマーでなる凝集剤を投入して固形分を凝集させる凝集槽38bと、それらが投入された被処理水を沈殿させる凝集沈殿槽38cを備えている。凝集沈殿槽38cに溜まった汚泥の一部は、ポンプP6bによって凝集汚泥として脱窒素槽31Aに返送される。
【0078】
このような形態の汚水処理プラント1Aであっても、上述した運転方法、運転制御装置、及び制御方法を適用可能である。
【0079】
図4には、高負荷脱窒素処理方式が採用された汚水処理プラント1Bが示されている。尚、ここでは上述した標準脱窒素処理方式が採用された汚水処理プラント1Aと相違する箇所を重点的に説明する。
【0080】
汚水処理プラント1Bの生物処理設備3Bには、深層反応槽31Bと硝化槽32Bと脱窒素槽33Bと再曝気槽34Bと沈殿槽37Bが順に設置されている。
【0081】
深層反応槽31Bは、10m程度の深さの生物処理槽で、その上部に循環ポンプ槽31aが連設されている。循環ポンプ槽31aからポンプP4Bで引き抜かれた一部の汚水が深層反応槽31Bに循環供給され、その循環経路にエジェクタ機構が組み込まれて循環汚水と共に空気が供給されるように構成されている。
【0082】
エジェクタ機構に連通する空気供給経路にバルブが設置され、バルブの開度を周期的に制御することにより、循環汚水と共に供給される空気量が調整され、深層反応槽31B内で無酸素状態と好気状態とが数時間間隔で切り替え可能に構成されている。例えば、1時間の嫌気処理と2時間の好気処理を繰り返すようにバルブが開閉され、嫌気処理と好気処理が3時間周期で繰り返される。
【0083】
深層反応槽31Bは、深さが5m程度の脱窒素槽31に比べて水深が倍程度深いため、槽底付近では水圧が高く酸素の溶存効率が高くなり、高効率の処理ができる。そのため、流入する汚水の負荷が高くても希釈水を供給する必要は無い。
【0084】
このような形態の汚水処理プラント1Bであっても、上述した運転方法、運転制御装置、及び制御方法を適用可能である。この場合、深層反応槽31Bが好気処理となっている(ポンプP4B運転中でバルブが開放されている状態)ときにポンプP3等を停止する第一運転状態に移行し、深層反応槽31Bの溶存酸素濃度が所定値以上になるとバルブ閉止を停止してエジェクタ機構を介した給気を停止することが好ましい。尚、このとき、同時にポンプP4Bを停止させてもよい。
【0085】
また、深層反応槽31Bが嫌気処理となっているときに第二運転状態に移行する場合には、先ず、バルブを開放してエジェクタ機構を介した給気を再開し、深層反応槽31Bの溶存酸素濃度が所定値以上になった後に、ポンプP3等を運転するように制御されることが好ましい。深層反応槽31Bが好気処理となっているときには、深層反応槽31Bの溶存酸素濃度が所定値以上であれば、直ちにポンプP3等を運転すればよい。
【0086】
つまり、深層反応槽31Bが好気処理となっているときに第一運転状態に移行し、または第二運転状態に移行することが好ましい。
【0087】
図5には、高負荷(膜分離)脱窒素処理方式が採用された汚水処理プラント1Cが示されている。尚、ここでは上述した高負荷脱窒素処理方式が採用された汚水処理プラント1Bと相違する箇所を重点的に説明する。
【0088】
汚水処理プラント1Cの生物処理設備3Cには、深層反応槽31Cと硝化槽32Cと脱窒素槽33Cと再曝気槽34Cが順に設置されている。沈殿槽37Bを備えず、代わりに再曝気槽34Cに膜分離装置36Cが浸漬設置されている。
【0089】
また、高度処理設備38Cには、無機系の凝集剤のみを添加する混和槽38dと膜分離装置が浸漬設置された凝集膜分離槽38eを備えている。
【0090】
このような形態の汚水処理プラント1Cであっても、上述した運転方法、運転制御装置、及び制御方法を適用可能である。この場合も、深層反応槽31Cが好気処理または嫌気処理の何れの状態にあるかに応じた第一運転状態及び第二運転状態への切替のための制御は、上述した高負荷脱窒素処理方式が採用された汚水処理プラント1Bの深層反応槽31Bに対するものと同様である。
【0091】
上述した実施形態では、一日のうち相対的に電力需要の多い時間帯に、曝気装置及びポンプ装置を停止する第一運転状態と、一日のうち相対的に電力需要の少ない時間帯に、曝気装置及びポンプ装置を稼動する第二運転状態とを切り替えるように運転する例を説明したが、一日の電力需要の変動にかかわらず、曝気装置及びポンプ装置を定格運転状態で稼動したときに所定時間で生物処理可能な定格汚水処理量よりも貯留槽に搬入される実汚水処理量が少ない場合に、曝気装置及びポンプ装置を停止する第一運転状態と、曝気装置を定格で稼動し、ポンプ装置を定格運転状態で連続または間歇的に稼動して実汚水処理量の汚水を生物処理槽に定量的に送水する第二運転状態とを所定時間内で切り替えるように運転するものであってもよい。
【0092】
このような汚水処理プラントの運転方法を実現する運転制御装置として、所定時間当たりの目標汚水処理量、及び、第二運転状態への移行時刻を入力する入力部と、予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、目標汚水処理量をポンプ装置によって生物処理槽に送水する汚水投入延べ時間を算出する算出部と、移行時刻に第二運転状態に移行してポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、移行時刻から汚水投入延べ時間の経過後に第一運転状態に移行して、ポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、を備えていればよい。
【0093】
第二運転状態制御部を上述した送水遅延制御部に対応させ、第一運転状態制御部を上述した曝気遅延制御部に対応させると、ポンプ装置に対する曝気の稼動または停止時期を上述と同様に制御でき、さらに好ましい。
【0094】
特に、曝気装置を定格に達しない状態で長時間稼動する場合に比べて、定格で短時間駆動する方が効率がよく、また、消費電力量も低減できるようになる。
【0095】
さらに、このような汚水処理プラントの運転方法を実現する運転制御装置として、一日のうちで前記第一運転状態または前記第二運転状態の何れかを実行する時間帯を入力する入力部と、予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、入力された時間帯に処理可能な汚水延べ量を算出する算出部と、前記第二運転状態を実行する時間帯の初期に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、前記第一運転状態を実行する時間帯の初期に前記第一運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、を備えて構成することも可能である。
【0096】
単位時間当たりの定格汚水処理量と第一運転状態または第二運転状態の何れかを実行する時間帯とが定まれば、汚水延べ量が算出でき、設定された時間帯に必要な処理が実行される。算出部によって算出された汚水延べ量が実汚水処理量よりも少ない場合には、表示部に警告が表示され再設定を促し、或いは、設定された時間帯を適正な時間帯に補正する補正処理部を備えていることがさらに好ましい。
【0097】
図6には、当該運転制御装置により実行される制御手順が示されている。初期に汚水処理プラント1及び運転制御装置6に電源が投入され、オペレータによって操作装置61の入力部を介して一日のうちで第二運転状態を実行する時間帯(これには開始時刻が含まれる)が演算装置62に入力されると(S11)、運転処理が開始され(S12)、演算装置62は予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量と入力された時間帯から処理可能な汚水延べ量を算出する(S13)。算出した汚水投入延べ量が実汚水処理量よりも少ない場合には、処理しきれないために表示部にその旨の警告メッセージ(例えば、「実汚水処理量が多いため、時間内に処理できません。再度設定してください。」等の警告メッセージ)及び再度の入力を促すメッセージが表示され(S14,S15)、ステップS11に戻る。
【0098】
第一運転状態であるときに(S16、Y)、第二運転状態への移行時刻になると(S17,Y)、曝気装置35を稼動し(S18)、その後硝化槽32の溶存酸素濃度が所定値以上(例えば、4mg/L以上)になると(S19,Y)、ポンプP3〜P8を稼動して第二運転状態への移行を完了する(S20)。
【0099】
ステップS16で、第二運転状態であれば(S16,N)、設定された時間帯の経過を待って(S21,Y)、ポンプP3〜P8を停止し(S22)、その後硝化槽32の溶存酸素濃度が所定値以上(例えば、4mg/L以上)になると(S23,Y)、曝気装置35を停止して、さらに、前処理装置を稼動させて第一運転状態への移行を完了する(S24)。
【0100】
さらに、別の運転制御装置として、第一運転状態及び第二運転状態の開始時刻と、一日当たりの目標汚水処理量を入力する入力部と、入力された各開始時刻から算出した第二運転状態の稼動時間と、目標汚水処理量とから単位時間あたりの汚水処理量を算出する算出部と、算出した単位時間あたりの汚水処理量が予め設定された単位時間あたりの定格汚水処理量を満たすように、第一運転状態及び第二運転状態の開始時刻の何れかを調整するための警告を出力する警告部と、第二運転状態の開始時刻に第二運転状態に移行して、曝気装置及びポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、第一運転状態の開始時刻に第一運転状態に移行して、曝気装置及びポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、を備えて構成することも可能である。
【0101】
算出部により算出された単位時間あたりの汚水処理量が予め設定された単位時間あたりの定格汚水処理量と異なる場合に、本来必要な第二運転状態に要する時間に過不足が生じるが、そのような場合に警告部によって第一運転状態及び第二運転状態の開始時刻の何れかを調整するための警告がなされるので、オペレータに第一運転状態及び第二運転状態の開始時刻の何れかを再度設定入力することを促すことができるようになる。
【0102】
また、このとき、本来必要な第二運転状態に要する時間に収まるように、第一運転状態及び第二運転状態の開始時刻の何れかを自動調整する補正部を備えてもよい。
【0103】
図7には、当該運転制御装置により実行される制御手順が示されている。初期に汚水処理プラント1及び運転制御装置6に電源が投入され、オペレータによって操作装置61の入力部を介して第一及び第二運転状態の開始時刻が演算装置62に入力され、一日あたりの目標汚水処理量が入力されると(S31,S32)、運転処理が開始され(S33)、演算装置62は当該目標汚水処理量と第二運転状態に要する時間(第一及び第二運転状態の開始時刻から算出される)から単位時間当たりの汚水処理量を算出する(S34)。
【0104】
算出された単位時間当たりの汚水処理量が予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量の許容範囲に収まるか否かが判断され(S35,N)、範囲を逸脱する場合には表示部にその旨の警告メッセージ及び再度の時刻入力を促すメッセージが表示され(S36)、ステップS31に戻る。許容範囲は適宜設定される値であるが、本実施形態では±10%の範囲に設定されている。
【0105】
算出された単位時間当たりの汚水処理量が予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量の許容範囲に収まる場合には(S35,Y)、第一運転状態であるときに(S37,Y)、第二運転状態の開始時刻になると(S38,Y)、曝気装置35を稼動し(S39)、その後硝化槽32の溶存酸素濃度が所定値以上(例えば、4mg/L以上)になると(S40,Y)、ポンプP3〜P8を稼動して第二運転状態への移行を完了する(S41)。
【0106】
ステップS37で、第二運転状態であれば(S37,N)、設定された第二運転状態の開始時刻を待って(S42,Y)、ポンプP3〜P8を停止し(S43)、その後硝化槽32の溶存酸素濃度が所定値以上(例えば、4mg/L以上)になると(S44,Y)、曝気装置35を停止して、さらに、前処理装置を稼動させて第一運転状態への移行を完了する(S45)。
【0107】
ステップS35で、単位時間当たりの汚水処理量が予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量の許容範囲を逸脱すると判定されて場合に、警告表示するとともに、あるいは、警告表示に替えて、単位時間当たりの汚水処理量が予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量の許容範囲に収まるように、入力済みの第一及び第二運転状態の開始時刻を自動補正するように構成してもよい。
【0108】
この場合、第二運転状態の運転時間を調整する第一及び第二運転状態の開始時刻の双方を自動補正するように構成してもよいし、何れか一方の開始時刻のみを自動補正するように構成してもよい。
【0109】
上述した実施形態は本発明の一態様であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成や制御態様は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0110】
1,1A,1B,1C:汚水処理プラント
2:前処理設備
21:受入槽
22:除さ装置
23:前貯留槽
24:前脱水装置
25:貯留槽
3:生物処理設備
31:脱窒素槽
32:硝化槽
33:二次脱窒素槽
34:再曝気槽
35:曝気装置
4:後処理設備
5:汚泥処理設備
6:運転制御装置
61:操作装置
62:演算装置
63:信号入出力装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に貯留された汚水を生物処理する生物処理槽と、前記貯留槽から前記生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを含む汚水処理プラントの運転方法であって、
前記ポンプ装置及び前記曝気装置を停止する第一運転状態と、前記ポンプ装置及び前記曝気装置を稼動する第二運転状態とを、一日のうちで切り替えるように運転し、
前記第二運転状態から前記第一運転状態への移行時に、前記ポンプ装置の停止時期よりも前記曝気装置の停止時期を遅延させ、
前記第一運転状態から前記第二運転状態への移行時に、前記曝気装置の稼動時期より前記ポンプ装置の稼動時期を遅延させる汚水処理プラントの運転方法。
【請求項2】
搬入された汚水を前処理する前処理装置と、前記前処理装置で前処理された汚水を貯留する貯留槽と、貯留槽に貯留された汚水を生物処理する生物処理槽と、前記貯留槽から前記生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを含む汚水処理プラントの運転方法であって、
前記前処理装置を稼動するとともに前記ポンプ装置及び前記曝気装置を停止する第一運転状態と、前記前処理装置を停止するとともに前記ポンプ装置及び前記曝気装置を稼動する第二運転状態とを、一日のうちで切り替えるように運転し、
前記第二運転状態から前記第一運転状態への移行時に、前記ポンプ装置の停止時期よりも前記曝気装置の停止時期を遅延させ、
前記第一運転状態から前記第二運転状態への移行時に、前記曝気装置の稼動時期より前記ポンプ装置の稼動時期を遅延させる汚水処理プラントの運転方法。
【請求項3】
汚水を貯留する貯留槽から汚水を生物処理する生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを制御する汚水処理プラントの運転制御装置であって、
前記ポンプ装置及び前記曝気装置を停止制御する第一運転状態と、前記ポンプ装置及び前記曝気装置を稼動制御する第二運転状態とを、一日のうちで切り替えるように運転し、
前記第二運転状態から前記第一運転状態への移行時に、前記ポンプ装置の停止時期よりも前記曝気装置の停止時期を遅延制御し、
前記第一運転状態から前記第二運転状態への移行時に、前記曝気装置の稼動時期より前記ポンプ装置の稼動時期を遅延制御する汚水処理プラントの運転制御装置。
【請求項4】
搬入された汚水を前処理する前処理装置と、前記前処理装置で前処理された汚水を貯留する貯留槽から汚水を生物処理する生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを制御する汚水処理プラントの運転制御装置であって、
前記前処理装置を稼動制御するとともに前記ポンプ装置及び前記曝気装置を停止制御する第一運転状態と、前記前処理装置を停止制御するとともに前記ポンプ装置及び前記曝気装置を稼動制御する第二運転状態とを切り替えるように運転し、
前記第二運転状態から前記第一運転状態への移行時に、前記ポンプ装置の停止時期よりも前記曝気装置の停止時期を遅延制御し、
前記第一運転状態から前記第二運転状態への移行時に、前記曝気装置の稼動時期より前記ポンプ装置の稼動時期を遅延制御する汚水処理プラントの運転制御装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の汚水処理プラントの運転制御装置であって、
一日当たりの目標汚水処理量、及び、前記第一または第二運転状態への移行時刻を入力する入力部と、
予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、前記目標汚水処理量を前記ポンプ装置によって前記生物処理槽に送水する汚水投入延べ時間を算出する算出部と、
前記第二運転状態への移行時刻に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置を第二所定時間稼動した後に前記ポンプ装置を稼動する送水遅延制御部と、
前記第二運転状態への移行時刻から前記汚水投入延べ時間の経過後に前記第一運転状態に移行して、前記ポンプ装置を停止して第一所定時間経過後に前記曝気装置を停止する曝気遅延制御部と、
を備えている汚水処理プラントの運転制御装置。
【請求項6】
請求項3または4記載の汚水処理プラントの運転制御装置で実行される汚水処理プラントの制御方法であって、
一日当たりの目標汚水処理量、及び、前記第一または第二運転状態への移行時刻を入力する入力ステップと、
予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、前記目標汚水処理量を前記ポンプ装置によって前記生物処理槽に送水する汚水投入延べ時間を算出する算出ステップと、
前記第二運転状態への移行時刻に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置を第二所定時間稼動した後に前記ポンプ装置を稼動する送水遅延制御ステップと、
前記第二運転状態への移行時刻から前記汚水投入延べ時間の経過後に前記第一運転状態に移行して、前記ポンプ装置を停止して第一所定時間経過後に前記曝気装置を停止する曝気遅延制御ステップと、
を実行する汚水処理プラントの制御方法。
【請求項7】
前記入力ステップで前記生物処理槽の溶存酸素濃度が入力され、
前記溶存酸素濃度に基づいて前記第一及び第二所定時間が決定される請求項6記載の汚水処理プラントの制御方法。
【請求項8】
汚水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に貯留された汚水を生物処理する生物処理槽と、前記貯留槽から前記生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と、前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを含む汚水処理プラントの運転方法であって、
前記曝気装置を定格で稼動したときに所定時間で生物処理可能な定格汚水処理量よりも実汚水処理量が少ない場合に、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態と、前記ポンプ装置を稼動して実汚水処理量の汚水を前記生物処理槽に定量的に送水するとともに、前記曝気装置を定格で稼動する第二運転状態とを前記所定時間内で切り替えるように運転する汚水処理プラントの運転方法。
【請求項9】
汚水を貯留する貯留槽から汚水を生物処理する生物処理槽に汚水を送水するポンプ装置と前記生物処理槽に曝気する曝気装置とを制御する汚水処理プラントの運転制御装置であって、
前記曝気装置を定格で稼動したときに所定時間で生物処理可能な定格汚水処理量よりも実汚水処理量が少ない場合に、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態と、前記ポンプ装置を稼動して実汚水処理量の汚水を前記生物処理槽に定量的に送水するとともに、前記曝気装置を定格で稼動する第二運転状態とを前記所定時間内で切り替えるように運転する汚水処理プラントの運転制御装置。
【請求項10】
請求項9記載の汚水処理プラントの運転制御装置であって、
前記所定時間当たりの目標汚水処理量、及び、前記第一または第二運転状態への移行時刻を入力する入力部と、
予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、前記目標汚水処理量を前記ポンプ装置によって前記生物処理槽に送水する汚水投入延べ時間を算出する算出部と、
前記第二運転状態への移行時刻に前記第二運転状態に移行して前記曝気装置及び前記ポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、
前記第二運転状態への移行時刻から前記汚水投入延べ時間の経過後に前記第一運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、
を備えている汚水処理プラントの運転制御装置。
【請求項11】
請求項9記載の汚水処理プラントの運転制御装置であって、
一日のうちで前記第一または前記第二運転状態の何れかを実行する時間帯を入力する入力部と、
予め設定された単位時間当たりの定格汚水処理量に基づいて、入力された時間帯に処理可能な汚水延べ量を算出する汚水延べ量を算出する算出部と、
前記第二運転状態を実行する時間帯の初期に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、
前記第一運転状態を実行する時間帯の初期に前記第一運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、
を備えている汚水処理プラントの運転制御装置。
【請求項12】
請求項9記載の汚水処理プラントの運転制御装置であって、
前記第一及び前記第二運転状態の開始時刻と、一日当たりの目標汚水処理量を入力する入力部と、
入力された各開始時刻から算出した前記第二運転状態の稼動時間と、前記目標汚水処理量とから単位時間あたりの汚水処理量を算出する算出部と、
算出した単位時間あたりの汚水処理量が予め設定された単位時間あたりの定格汚水処理量を満たすように、前記第一及び第二運転状態の開始時刻の何れかを調整するための警告を出力する警告部と、
前記第二運転状態の開始時刻または補正時刻に前記第二運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を稼動する第二運転状態制御部と、
前記第一運転状態の開始時刻または補正時刻に前記第一運転状態に移行して、前記曝気装置及び前記ポンプ装置を停止する第一運転状態制御部と、
を備えている汚水処理プラントの運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−78732(P2013−78732A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220488(P2011−220488)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(595011238)クボタ環境サ−ビス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】