説明

汚水処理

【課題】汚水を処理するための沖合の設備、システム、および方法を提供する。
【解決手段】沖合の汚水処理設備は汚水処理部(予備処理、第1処理、第2処理、および/または高度な処理を行う)、汚水を陸地から設備に移送する手段、設備から処理済みの汚水を排出する手段、および設備から汚泥を除去する手段を含んでいる。汚水処理方法は、陸上の用地から沖合の水域に位置する汚水処理設備に汚水を移送し、汚水に対し、予備処理、第1処理、第2処理、および/または上級処理を施すものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年4月23日に出願された米国仮特許出願番号60/564,921に対する優先権主張出願である。本発明は、汚水処理のための設備、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活、商業および産業用水の使用は、未処理のままでは、健康被害および環境の影響をもたらす、膨大な量の汚水を発生させる。したがって、ほとんどの自治体は、生の汚水をより害のない形態へ処理するために、汚水集合システムの下流に汚水処理設備を採用している。
【0003】
処理設備に流入する汚水は、約99%の水と、約1%の大きな物体、固形物、溶解した固形物、オイル、ワックスおよび有機物質の混合物とを含んでいる。後者の部分は、通常、予備処理、第1処理、第2処理および上級処理としばしば呼ばれる一連の処理ステップを使用して前者から分離され得る。予備処理および第1処理は、固形物を除去する。第2処理は、微生物を使用して溶解した有機物質を除去する。上級処理(すなわち第3処理)は、例えば、窒素およびリンなどの栄養物を除去する。その他の処理は、消毒、ろ過および逆浸透を含む。
【0004】
従来の汚水処理システムの最終生産物は、処理済みの汚水および汚泥である。処理済みの汚水は、一般的に、汚水処理設備に隣接する水域(例えば、小川、川または海)に廃棄される。汚泥は、一般的に、離れた場所に捨てられるが、肥料として使用するために処理されることもある。
【0005】
これらの最終生産物の生成および廃棄は、一般的な汚水処理設備の運用に加えて、好ましくない影響をもたらし得る。例えば、処理された汚水の隣接する水域への度重なる排出は、環境に対して有害になり得る。加えて、汚泥の生成は、悪臭を引き起こし、処理設備の周辺地域に居住や生活上、好ましくない影響を与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、汚水処理のための設備、システムおよび方法に関する。これらのシステムおよび方法においては、汚水処理のうち少なくとも一部は沖合で行われる。一例として、公共の汚水システムから送られてくる汚水は、陸上で第1処理され得る。この処理を受けた汚水は、その後、第2処理、消毒および上級処理のうちの1以上の処理のために沖合(例えば、水域に係留された船上)に配置された設備に(例えば、パイプラインによって)移送され得る。その結果として生じる処理済みの汚水は、沖合に排出されるか、またはさらなる処理または使用のために、陸地へ戻される。その結果として生じる汚泥は、廃棄またはさらなる処理のために、陸地へ戻され得る。また、汚泥は、陸地へ戻される前に、船上でさらなる処理(例えば、消化および/または脱水)がなされることがある。
【0007】
本発明の設備、システムおよび方法は、沖合で行われ得るので、従来の陸上汚水処理のに関係する多くの不利な点が回避され得る。例えば、処理済みの汚水を廃棄することの局地的な環境への影響は、その廃棄物が多くの沖合で広範囲に、分散され得るという理由から、緩和され得る。特に、沖合では、処理済みの汚水は、廃棄前にまず、その周囲からの水と混合される。加えて、船上処理システムは、水中での船の振動によって増加する流体の保持時間により処理工程の効率を向上させ得る。重大なことに、沖合での汚水処理システムの利用は、汚水を処理することを要求される海岸沿いの地域の数を減少させることができ、さらに、ひどい臭いなどの地域からの苦情を除去することができる。本発明の沖合システムは、モジュラーをアップグレードすることにより、寿命を延長することが可能である。この工程は、従来の陸上設備では実現が困難である。加えて、一部の船上システムに関係する移動性は、緊急事態および軍事使用においてそれらの利用を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、沖合で汚水を処理するための船(または他の沖合設備)を特徴とする。前記船(または他の沖合設備)は、汚水を1日当たり少なくとも2000万リットル処理可能な汚水処理システムと、前記汚水処理システムに流体的に接続される汚水導入口と、処理済みの汚水を船から排出するための排出口とを備える。前記汚水処理システムは、汚水から固形物または油脂の量を減らすための第1処理システムと、汚水に含まれる有機物質の量を減らすことが可能な細菌を含む第2処理システムと、微生物を殺すための手段を含む消毒処理システムと、汚水から窒素またはリンを含む栄養物を取り除くための手段を含む栄養物除去システムとを備え得る。前記汚水処理システムは、例えば、汚泥から水を除去する手段、有機物質を分解するための細菌媒介手段、および/または、微生物を殺すための手段を有する消毒システムを含む汚泥処理システムを備え得る。
【0009】
前記船は、また電力生成手段、前記船を動かすための推進システム、および/または、処理済みの汚水または汚泥を前記船の周囲の水中からの水と混合するための槽などの他の構成部材をも備える。
【0010】
本発明の他の特徴は、陸上の汚水処理集積システムから沖合に離間した水域に配置された汚水処理設備である。前記汚水処理設備は、(a)汚水を少なくとも1日当たり2000万リットル処理可能な汚水処理部、(b)陸上の汚水集積システムから前記汚水処理設備へ汚水を移動させるための手段(例えば、パイプラインまたは往復船)、(c)汚水処理設備から、処理済みの汚水を排出させるための手段(例えば、水域に流体接続された排出口、パイプラインまたは往復船)、および(d)汚水処理設備から汚泥を排出させるための手段(例えば、パイプラインまたは往復船)を備え得る。また、本発明の汚水処理設備は、汚水処理方法が異なる少なくとも2つの個別の汚水処理部を備えることも可能である。前記2つの個別の汚水処理部は、水域(例えば、水域に浮いており、汚水が少なくとも1つから少なくとも他の1つに流れ得るように接続された2以上の船)によって分離され得る。
【0011】
もう1つの態様において、本発明は、汚水を処理する方法を特徴とする。前記方法は、陸地から沖合の水域に配置された汚水処理設備へ汚水を移送するステップと、その後、汚水に、汚水から浮遊した固まりまたは油脂の量を減らすための第1処理システム、汚水に含まれる有機物質を分解することが可能な細菌を含む第2処理システム、微生物を殺すための手段を含む消毒処理システム、および/または、汚水から窒素またはリンを含む栄養物を取り除くための手段を有する栄養物除去システムを行うステップとを備える。その結果として生じる処理済みの汚水および汚泥は、前記汚水処理設備から、陸地の汚水処理設備に排出されるか、または水中に放出され得る。後者の場合においては、最終生産物は、環境への影響を少なくするために、放出する前に希釈され得る。
【0012】
別段の明示がなければ、ここで使用される全ての技術用語は、この発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同義である。
【0013】
本発明の実施または試行のための使用に際し、適切な物および方法を以下に記述するが、本願における開示事項と類似または均等な物および方法を使用することも可能である。本願明細書中に記載されている全ての公開文献、特許出願、特許、および他の参照事項は、それら全体において参考として本願に組み込まれる。紛争時においては、定義を含み。本明細書は参照される。加えて、以下に論じられる詳細な実施の形態は、単なる例示であり、それに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、汚水を処理するための沖合設備、システム、および方法を提供する。概要を要約すれば、本発明のシステムおよび方法は、沖合の汚水処理設備と、汚水を陸地から前記沖合の汚水処理設備へ移送する手段と、前記沖合の汚水処理設備から処理済みの汚水を排出する手段と、前記沖合の汚水処理設備から汚泥を除去する手段とを備える、または利用する。
【0015】
本発明は、陸地で生じた汚水を処理するために前記沖合の汚水処理設備を備える。陸地から前記沖合の汚水処理設備へ移送される汚水は、消費者、生産業者、行政設備、または農業用水を含むいくつかの水源から生じ得る。本発明における沖合の汚水処理設備は、これらの水源の何れかから汚水を処理できるようにしてもよいし、特定の水源の汚水を処理するように設計または変更されてもよい。
【0016】
図1〜図4に示す実施の形態において、前記沖合の汚水処理設備は、少なくとも一部が船10の船体11内で処理される汚水処理部20a,20b,20cおよび20dを備える船10として示されている。図1および図2の双方において、陸上の汚泥集積システム60からの汚水は、陸上の第1汚水処理部200へ移送され、処理される。その結果として生じる処理済みの汚水は、その後、パイプライン120を介して前記船10へ移送される。汚水は、その後、さらなる処理のために船10内で汚水処理部20a,20b,20cおよび20dに導入される。図1〜図3に示す実施の形態においては、前記汚水処理工程は、最終生産物として汚泥275および処理済みの汚水を生成する。これらの最終生産物は、さらなる処理または廃棄のために陸地に戻されるか、または船10の周囲の水域30に廃棄され得る。図1を参照すると、前記処理済みの汚水は、水域30に廃棄され、そして前記汚泥275は、タグボートに曳航されたはしけ70を利用して、陸地へ戻される。図2および図3に示す実施の形態においては、汚泥275および処理済みの汚水の双方が陸地130へ戻される。
【0017】
前記本発明における沖合の汚水処理設備は、(a)水域の水面に配設され得ると共に(b)少なくとも1つの汚水処理部を格納することができるいくつかの装置であってもよい。そのような設備の多くは、周知技術であり、例えば、図1〜図4に示すような船、はしけ、一連の相互に連結した船および/またははしけ、または水域の底に固定された浮遊桟橋である。このような船は、自力推進、他力推進、有人、または無人とされてもよい。概して、本発明の水処理システムは、一日当たり汚水を約300万リットルを超えて(例えば、250万、300万、500万、1000万、1500万、2000万、2500万、5000万、1億、2億、3億、4億、5億、または60億あるいはそれを超えて)処理するように構成されている。
【0018】
一例としては、前記沖合の汚水処理設備は、例えば、約10,000〜500,000;30,000〜50,000;65,000〜80,000;約120,000、または約250,000〜300,000の載貨重量トン数(dwt)を有する単一または2つの船体を有する船である。好ましいdwtは、与えられるシステム特有の設計(例えば、時間毎に処理される汚水の量)によって決まるが、船の浮揚状態が維持されるのに必要とされる最小の喫水を十分に保持および/または船の好ましい生産能力と適合するものでなければならない。本発明の船は、米国仮特許出願番号60/564,921に記述されたこれらの特徴、例えば、前記船に搭載された、1以上の騒音および/または振動低減装置、水貯蔵タンク(この場合では、前記船からの除去の前に、処理済みの汚水の確保用)、前記船の1以上の機能に電力を供給するための電源、水域において前記船を移動させるための推進装置、および/または、種々のシステム(例えば、汚水導入口、処理済みの汚水排出システム、処理済みの汚水移送システム、および電源)の作動を制御するための制御システムをさらに備えていてもよい。
【0019】
図1〜図4に示すように、1以上の前記汚水処理部の少なくとも一部は、前記沖合の汚水処理設備のメインデッキより上に配置され得る。例えば、1以上の前記汚水処理部は、コンテナにおいて区画され、互いに相互連結され、そして前記メインデッキに連結され得る。加えて、前記1以上の汚水処理部の少なくとも一部は、前記沖合の汚水処理設備のメインデッキより下に配置され得る。また、前記1以上の汚水処理部は、前記沖合の汚水処理設備のメインデッキより上および下の双方に配置され得る。
【0020】
前記沖合の汚水処理設備は、少なくとも1つ(例えば、1,2,3,4,5,10あるいはそれ以上)の汚水導入口および少なくとも1つ(例えば、1,2,3,4,5,10あるいはそれ以上)の処理済みの汚水排出口または処理済みの汚水が前記沖合の汚水処理設備から排出される間中、振動している複数の隙間をさらに備えることができる。
【0021】
前記沖合の汚水処理設備は、図1〜図3に示す汚水処理部20a,20b,20cおよび20dのような汚水処理部を少なくとも1つ備えることができる。本発明に利用するために適した何れの汚水処理部も、例えば、汚水から固形物、オイル、ワックス、有機物質、および溶解した固形物といった1以上の排水物質を取り除く汚水処理プロトコルにおける少なくとも1つのステップを実行することができる。陸上における汚水処理で利用される構成要素は、周知の技術である。例えば、汚水処理設備:立案、設計、および運用,第2版,セイド R. カシム,Ed.,CRC プレス,1998;および都市汚水処理設備の設計(Asce 技術者の業務マニュアルおよびレポート),第4版,米国土木学会,1998を参照できる。
【0022】
これらの構成要素は、僅かな改良または改良なしに前記本発明の船上システムおよび方法に利用され得る。
【0023】
本発明の一実施の形態において、前記全体の汚水処理システムを構成する前記個々の構成要素は、1以上の船において全て含まれる。しかしながら、通常は、前記全体の汚水処理システムを構成する前記個々の構成要素の何れかは、1以上の沖合の汚水処理設備に配設され、その上、他のものは、1以上の陸上の設備に配設される。例えば、第1処理部200が陸地130上にある図1〜図3に示す実施の形態に参照される。
【0024】
本発明に含まれ得る汚水処理部の例は、予備処理部と、第1処理部と、第2処理部と、最終処理部と、上級処理部と、逆浸透処理部とを備える。典型的な処理においては、汚水は、前述した順に連続的に処理される。
【0025】
本発明の一実施の形態において、水域において実行される前記汚水処理ステップは、前述のステップを達成することを要求される全ての汚水処理部を有する単一の沖合設備において全て実行される。他の実施の形態において、水域において実行される前記汚水処理ステップは、少なくとも1つの異なった汚水処理部をそれぞれ有する少なくとも2つの沖合設備において実行される。例えば、第1の船は、第1および第2処理を実行するための部分を備えることができ、また、第2の船は、最終処理および/または上級処理を実行するための部分を備えることができる。後者の例においては、前記第1の船において処理済みの汚水は、追加の処理のために前記第2の船に移送されてもよい。
【0026】
本発明の汚水処理システムの前記第1処理部は、汚水から、枝、くず、大きい食物粒子、砂および砂利といった大きい物体または不純物を取り除くための何れかの装置の形態をとり得る。その前処理のために適したシステムの一例としては、汚水流が流されるところを通り抜けるひと続きの格子または網である。汚水が前記格子/網を通過するときには、実行できるさらなる処理のために汚水の残留物が通り抜けて流れる間に、前記大きい物体/不純物が捕まえられる。好ましい処理においては、複数の格子または網は、約5,4,3,2,1,0.5,または0.2cmより大きい物体を除去するために使用される。前処理部を通り抜けて処理済みの汚水は、さらに第1処理がなされ得る。
【0027】
汚水処理システムの前記第1処理部は、汚水から固形物または流体物を取り除くために適した何れかの装置を形態をとり得る。適応する装置の一例は、沈殿タンクシステムである。このシステムにおいては、汚水は、底に粒子を沈殿させると共に油脂および水より小さい比重を有するその他の物質を表面に浮かばせるのに十分な時間、タンク内に流される。前記固形物は、その後、前記タンクの底から流し出され、前記油脂およびその他の浮遊物質は、表面からすくい取られる。また、前記沈殿処理を向上させるために、この処理に凝集剤が使用されてもよい。前記タンクに残留している前記処理済みの汚水は、その後、除去される。第1処理部を通り抜けて処理済みの汚水は、さらに第2処理がなされ得る。
【0028】
本発明の汚水処理システムの前記第2処理部は、汚水からの有機物質の微生物媒介による除去のために適した何れかの装置の形態をとり得る。そのような装置は、有機物質を代謝させる細菌およびその他の微生物と、この処理を手助けするために適した環境、例えば、ミキサーおよびエアレーター(例えば、配列バッチ反応器,アクア−エアロビックシステムズ社,ロックフォード,IL)を有する1以上のコンテナとを備える。汚水への前記微生物の追加は、固定膜システム、浮遊膜システム、および/または、貯水池システムを備える。第2処理部の一例は、アクア−エアロビックシステムズ社(ロックフォード,IL)によって売り出されているアクアMBである。このシステムは、ポール社(コートランド,NY)によって生産されている精密ろ過ユニットを備える。
【0029】
第2処理システムにおいては、前記微生物は、それらが汚水から有機物質および栄養物を取り入れることで、大きさおよび数が増す。数時間(例えば、1.5,2.0,2.5,3.0,3.5時間)の一時的中止の後、微生物が汚泥として沈殿する。この汚泥の何れかは処分または処理のために除去され、何れかは追加された汚水を処理するための「種」微生物として前記システムに保持される。
【0030】
汚水が前記第2処理タンクでいったん処理されると、それは多くの異なった場所に導かれ得る。本発明の何れかの構成要素においては、第2処理がなされた汚水は、前記システムから除去される(例えば、前記環境へ戻る)か、または最終処理若しくは上級処理といった追加の処理のための前記システムに保持される。
【0031】
本発明の汚水処理システムの前記最終処理部は、汚水を消毒するために適した何れかの装置または媒介物質の形態をとり得る。例えば、第2処理がなされた汚水は、塩素または紫外線照射を利用して消毒されてもよい。塩素が水を消毒するために利用される場合、最終処理はまた、処理済みの汚水が排出される水域において好ましくない環境の影響を促進する処理済みの汚水に対して塩素中和させる化学薬品の追加物を備え得る。
【0032】
汚水処理システムの前記上級(第3)処理部は、処理済みの汚水から食物を除去するために適した装置および媒介物質の形態をとり得る。上級処理は、リンまたは窒素を沈殿させるあるいは除去することを手助けするために処理済みの汚水に対して化学物質を追加することを含んでいてもよい。例えば、リンは、汚水から凝固剤を使用して除去されてもよいし、また、アンモニアは、揚水抜気によって除去されてもよい。
【0033】
本発明の前記汚水処理システムは、ろ過部および逆浸透部を備えていてもよい。例えば、第2および/または上級処理がなされた汚水は、不溶解固形物および微生物を取り除くための1以上のろ過ステップと共に処理されてもよい。一実施の形態において、少なくとも第2処理がなされた汚水は、10ミクロンの孔径のフィルタを通過して、さらには0.1ミクロンの孔径のフィルタを通過して連続的にろ過される。この方法で処理される汚水は、農業または工業の使用のために適用し得る。
【0034】
本発明においては、汚水は、溶解固形物を除去するために逆浸透を利用してさらに浄化され得る。本発明において有用な逆浸透システムは、高圧ポンプおよび逆浸透膜を備える。前記逆浸透膜を通り抜けて汚水を押圧動作可能な高圧ポンプは、前記逆浸透膜を通り抜けて汚水を押圧するために必要な水圧を発生させるのに適した何れかのポンプを備える。この方法で処理された汚水は、飲用にされてもよい。
【0035】
本発明の前記汚水処理システムはまた、少なくとも1つの汚水処理部を有する沖合設備に対して陸地から汚水を移動させるための方法を備える。処理済みの汚水は、一般的に陸上の汚水集積システムによってもたらされる。汚水集積システムは、局地的な汚水および下水が集積されるシステムである。汚水集積システムは、汚水および汚水集積のために用意された1以上の構造体(例えば、建物)を備える。陸地から沖合設備へ流体物を移動させるために多くの方法が知られている。本発明に使用するために適した何れかの方法が使用されてもよい。例えば、汚水は、1以上の貯蔵タンクおよび前記1以上のタンクから汚水を受入および排出するための装置と共に用意された定期船(例えば、移動船)またははしけを利用して陸地から沖合設備へ移送されてもよい。効率を向上させるために、図1〜図3に示すように、陸上設備140から水域における船10へ流体物を移動させるための好ましい方法は、パイプライン120である。例えば、図1においては、パイプライン120は、汚水が汚水集積システムおよび/または予備汚水処理部200から前記船10における汚水タンクシステムへ通り抜けて移動する導管として利用される。前記汚水取り入れシステムは、浮遊した、沈んだ(例えば海底に)、あるいは海底に固定されたパイプラインから汚水を受け入れることができる。
【0036】
海底に固定されたパイプラインの一端は、水面上に配置される。海底に固定されたパイプラインの一端は、本発明における沖合設備との連絡手段となる。海底に固定されたパイプラインの他端は、陸地(例えば、水処理施設、汚水集積システム)に近接して配置される。一具体例において、海底に固定されたパイプラインの一部は、前記一端の近くにおいて常設のブイを通過する。他の具体例において、海底に固定されたパイプラインの一部は、前記一端の近くにおいて常設のブイが取り付けられている。
【0037】
本発明に係るシステムおよび方法は、適切な処理システム(例えば、第1処理システム、第2処理システム、第3処理システム)に入って来る汚水を方向付ける汚水導入ポンプを一般的に含んでいる。例えば、入って来る汚水が第2処理される必要がある場合、汚水導入ポンプは、汚水を第2処理部(例えば、イリノイ州ロックフォードのAqua-Aerobic Systems, Inc.社における1またはそれ以上のシーケンシング−バッチ−リアクタ)に送る。他の例としては、入って来る汚水を逆浸透させる必要がある場合、汚水導入ポンプは、汚水を逆浸透システムの高圧ポンプに送る。高圧ポンプは、逆浸透膜を通過する汚水を押し進めて、微生物および他の不純物が膜の反対側に残っている間、汚水を処理または浄化する。
【0038】
通常、陸地は、予備的で最初の汚水処理を行う部分的な汚水処理設備を含む汚水処理設備である。一方で、汚水処理設備は、二次的および最終的な汚水処理工程を不要とする完全な汚水処理設備を含むことができる。受け入れられた汚水は、その前に何の処理も受けていない汚水を含んでいる。また、受け入れられた汚水は、その前に陸地(例えば、汚水処理設備)において予備的で最初の処理を受けた汚水も含んでいる。本実施形態において、汚水取入口に入る汚水は、汚水の第2処理に対応する微生物を含み得る。
【0039】
沖合設備によって受け入れられた汚水がいったん適切な処理にかけられると、一般的には沖合設備から排出される。この処理済みの汚水は、沖合設備の周囲の水中に放出されてもよいし、水上の船に移送してもよいし、陸地に移送してもよい。陸地に移送された処理済みの汚水は、さらなる処理をかけることとしてもよいし、灌漑または産業用途に用いるべく分配してもよい。適切な処理(例えば、逆浸透)にかける場合、処理済みの汚水を陸地に移送して、人間または動物が消費する水として使用することができる。陸上分配施設およびシステムは、米国仮特許出願番号60/564,921に詳述されている。
【0040】
図1を再び参照すると、本発明に係るシステムは、船10の周囲の水30に流体的に接続される排出口を通じて船10から処理済みの汚水を排出する手段を含んでいる(図1)。
排出口は、船10の船体11に配置された1またはそれ以上の放出ポート40を含み、当ギア放出ポート40から処理済みの汚水を船10の周囲の水30の中に放出させることとしてもよい。放出ポート40は、放出ポート40が物理的に船10の喫水線の下または上に位置するように、船10の船体11に配置されてもよい。前記手段は、放出ポート40を通じて放出される前に処理済みの汚水の水圧を増大させるようにさらにポンプを含んでもよい。
【0041】
本発明においては、沖合の汚水処理設備は、汚水処理部および船から処理済みの汚水を排出する手段を連絡する混合システム含んでもよい。混合システムは、処理済みの汚水を放出する前に、処理済みの汚水を周囲の水域から直接取り込んだ水と混合する。このようなシステムは、周囲の水域に戻す前に、処理済みの汚水を希釈および/または冷却するよう作動する。混合システムは、導入口、排出口、水導入口およびポンプを備えた混合水導入システム、一連のバッフル、および複数の隙間を有する混合バリアを有する混合タンクを含んでおり、混合水導入システムを通じて水(すなわち、沖合設備の周囲の水域からの水)が取り込まれ、処理済みの汚水は、沖合設備から汚水を排出する手段に送る前に、混合バリアを通過し、混合される。隙間の大きさ、形状、位置および数は、処理済みの汚水を沖合設備の周囲の水域からの水と混合するのに最適なように選択される。隙間は、混入バリアを通過して流れる液体中に乱流を引き起こす。混合バリアは、混合タンクの一方側から混合タンクの他方側に延びている。隣接するバッフルは、混合タンクの前記他方側に取り付けられている。バッフルは、それぞれのバッフルの一部が隣接するバッフルとオーバーラップするように互い違いの関係で配列される。混合バリアを通過する液体は、処理済み汚水放出システムに達する前に、複雑なルートを流れなければならない。
【0042】
他の実施形態において、混合システムは、処理済み汚水導入口、処理済み汚水排出口、水導入口およびポンプを備えた混合水導入システムおよび処理済みの汚水と沖合設備の周囲の水から取り込まれた水とを略均質な混合物に形成可能ないずれの装置をも有する混合タンクを含んでいる。このような装置の例は、高速パドルのミキサーおよび静的なミキサーを含んでいる。
【0043】
ある1つの実施形態において、処理済みの汚水は、沖合の汚水処理設備周囲の水の中に放出するよりもむしろ、水上の船または陸上設備に移送される。したがって、本発明は、沖合設備から他の船(例えば、タグバージやタンカー船のような輸送船)あるいは陸地の設備に処理済みの汚水を排出する手段を提供する。図2で示されるシステム20は、典型的に、1またはそれ以上の汚水処理部20a,20b,20c,20dおよび船10から陸上設備140(例えば、汚水処理または分配設備80)に処理済みの汚水を排出する手段を有する船10を備えている。沖合設備が図2に示されるように沖合に位置する場合、本発明のシステム20は、より好ましくは、単一のパイプライン120(例えば、浮動または海底パイプライン)を備えるが、船10から処理済みの汚水を排出して、他の船または陸上設備に移送する複数のパイプラインも備えられ得る。実施形態に応じて、前記手段は、輸送船(例えば、はしけユニットを曳航するタグボートまたは改装された単一または二重の船体のタンカー)含んでもよい。図3に示されるシステムにおいて、処理済みの汚水は、船10と陸上設備140とを連絡するコンベヤベルト50によって排出される。コンベヤベルト50は、処理済みの汚水を陸上設備140に処理済みの汚水を運搬する乗り物220(例えば、トラック)に運ぶように構成されてもよいし、コンベヤベルト50は、船10から陸上設備140に処理済みの汚水を直接運ぶこととしてもよい。しかしながら、いずれの好ましい手段も、処理済みの汚水を陸上設備140に移送するのに用いられるだろう。「陸上」、「陸上の」、「岸上」、および「岸の」の語句は、陸130または岸130上で主としてあるいはすべて処理されるシステムおよび構造を示すものである。
【0044】
処理済みの汚水が沖合の汚水処理設備から水上の船(例えば、輸送船または往復船)に移送される実施形態において、沖合の汚水処理設備と移送船との間で処理済みの汚水を連絡する移送ラインは、典型的に用いられる。移送ラインは、移送船内の処理済み汚水蓄積区画を有する沖合の汚水処理設備に連絡している。沖合の汚水処理設備および移送線間の処理済みの汚水の移送を容易にすべく必要に応じて補助船が用いられてもよい。一般的に、沖合の汚水処理設備および移送船間の処理済みの汚水の移送は、双方が岸に対して移動している間、または、双方が係留あるいは停泊している間、実施され得る。沖合いの汚水処理設備は、移送工程の間、処理済みの汚水を生成し続けることができる。
【0045】
汚水処理により生じる汚泥は、処理され、沖合の汚水処理設備に蓄積させることができる。図4Aに示されるシステムにおいて、汚泥処理部280は、汚水処理工程の間集められた汚泥を排出し、処理する。一実施形態において、汚泥は、消化タンク(沖合の汚水処理設備、別の沖合設備、または、陸上に配置可能)に移送され、ここで、好気性および嫌気性の消化技術が汚泥中の有機的な構成物質を分解するのに使用される。消化は、汚泥を安定化させて、臭いを減少させる。また、病気を引き起こす有機体を殺すために、汚泥は腐食性の化学物質か紫外線によって処理されてもよい。処理の後、汚泥は、例えば、沖合の汚泥処理設備の周囲の水域に放出したり、陸上のごみ集積場に廃棄することによって、環境に再導入することができる。また、汚泥は、肥料としても使用可能である。取り扱いを容易にするために、脱水、例えば、汚泥から水を除去するためのベルトフィルタプレスを使用して、非液体の塊を生成することにより、汚泥の質量を減少させることができる。
【0046】
処理済みの汚泥を放出または移送するために、本発明は、沖合の汚水処理設備から処理済みの汚泥を排除する手段を備える。図2および図3で示された実施形態において、例えば、はしけを曳航するタグボート70は、船10から汚泥処理/分配設備300に処理済みの汚泥275を移送するのに用いられる。図3における他の例として、コンベヤベルト50は、船10から汚泥処理/分配設備300に処理済みの汚泥275を移送するのに用いられる。
【0047】
実施形態によっては、処理済みの汚泥は、沖合の汚水処理設備から周囲の水域に排出することとしてもよい。このような実施形態において、沖合の汚水処理設備から汚泥を排出する手段は、処理済み汚泥の排出口を備えている。処理済み汚泥の排出口は、汚泥処理部と沖合の汚水処理設備の周囲の水とを連絡するのに好適な構造を有している。処理済みの汚泥を沖合の汚水処理設備の周囲の水中に排出する場合、放出前に、沖合の汚水処理設備の周囲の水からの水で希釈されることが好ましい。汚泥は、上述した処理済み汚水と沖合の汚水処理設備の周囲の水からの水とを混合する手段と同様の手段によって、沖合の汚水処理設備の周囲の水と混合されてもよい。
【0048】
再び、図1を参照すると、システム20において、汚水(例えば、下水)は、下水集積システム60(陸130上に配置)に集積され、第1処理部200に移送され、棒、砂、砂利等の大きい物体が取り除かれる。このとき、処理済みの汚水は、パイプライン120を通じて船10に搬送される。汚水は、船10の取水層320に入り、汚水に対し1またはそれ以上の汚水処理を行う汚水処理部20a,20b,20c,20dに導入され、その結果として処理済みの汚水と汚泥275とが生じる。船10から放出される前に、処理済みの汚水は、船10の周囲の水からの水30で希釈される。これは、汚水処理手段と船10から処理済みの汚水を排出する手段とが連絡された混合システムを介して実現される。混合システムは、船の周囲の水30からの水を汲み上げる水導入口39を含んでいる。水導入口39は、複数の隙間を有しており、当該隙間を通じて水が船10の周囲の水30から汲み上げられる。いったん混合されると、処理済みの汚水は、船の周囲の水に導通した液体排出口を通じて放出される。排出口は、船10の船体11に配置された放出ポート40を有しており、これを通じて処理済みの汚水が船10から船10の周囲の水30の中に放出される。汚水処理工程により生じた汚泥275は、タグボートが曳航し、汚泥を移送するはしけ70により船10から陸地130へと搬出される。乗り物220は、汚泥275をタグボートが曳航するはしけ70から陸地に移送するのに用いられる。
【0049】
図2の実施形態は、図1と同様であるが、前者において、処理済みの汚水は、船10の周囲の水30の中に放出されるのではなく、陸地130(水処理および/または分配設備80)にパイプ121を介して移動される点が異なる。図3の実施形態は、図1および図2の実施形態と、船10が遠くの沖合ではなく、ドックに隣接する沿岸に配置される点を除いて、同様である。汚水は、船10に入り、図2のシステムと同様の手段によって船10から放出される。処理済みの汚水は、水処理および/または分配設備80に移される。本実施形態における結果物である汚泥は、船10からコンベヤベルト50を用いて汚泥処理/分配設備300に移される。汚泥処理/分配設備300では、汚泥が処分またはさらに処理される。この設備300から、汚泥275は、農業または工業使用のために、他の目的地に、例えば、乗り物220によって移送される。
【0050】
ここで、図4Aを参照すると、第1、第2、および高度の処理部を有する船10の断面側面図が示されている。汚水は、第1のパイプライン120と流体的に接続可能な取水槽320を通じて船10内に取り入れられる。このとき、汚水は、溶解されていない固形物を取り除く第1処理沈殿または堆積タンク230に送られる。そして、汚水は、微生物が汚水から有機物質と栄養物とを吸収する第2処理生物反応器240に送られる。数時間の作業停止の後、微生物は、汚泥275として沈殿する。この汚泥275のいくらかは、汚泥処理部280に排出および移動され、処理および船10から排出される一方、汚泥275のいくらかは、第2処理生物反応器240に残され、追加された汚水の処理を行う。そして、汚水は、第2処理タンク260に送られ、さらなる2次処理が行われる。そこから、汚水は、最終処理タンク270に送られ、消毒される。処理済みの汚水は、この時点で船から放出槽340に通じる通路および船10からそれを廃棄または処理可能な陸上設備140に処理済みの汚水を移動させるパイプラインを介して放出することが可能である。また、処理済みの汚水は、船10から図1に示される放出ポート40を介して船10の周囲の水30の中に放出することも可能である。この代わりに、処理済みの汚水は、最終処理タンクから薬品供給装置250を有して化学処理を行う第3処理部に送られることとしてもよい。いったん、汚水が上級処理にかけられると、船10から船10の周囲の水30の中に放出されるか、放出槽340を通じてパイプライン120に放出され、それが廃棄または処理される陸上設備140に移される。
【0051】
図4Bを参照すると、第2処理部を有する船10の断面側面図が示されている。汚水は、予備および第1処理がすでに施されて、大きな固まり、浮遊した固まりおよび油脂が取り除かれ、陸上または他の水上船上にある。汚水は、船10内に第1パイプライン120に流体的に接続可能な取水槽320を介して受け入れられる。そして、汚水は、生物反応器240に送られ、別々の混合および通気装置により、好気および嫌気期間を交互に行うことによって反応器の内容物(すなわち、微生物および汚水)のバイオマス調整および栄養物の減少が行われる(すなわち、有機物質および栄養物が汚水から取り除かれる)。停止による沈殿の後、反応器からの汚水は、10ミクロンの孔径のフィルタを有する第1精密ろ過ユニット350に移送される。汚水は、10ミクロンの孔径のフィルタを通過することにより、ろ過される。ろ過された汚水は、それを第2精密ろ過ユニット350に送る供給路に向けられたセンターチューブ内に集められる。水は、第3精密ろ過ユニット350に入り、汚水のうち、細かく粒子化されて0.1ミクロンサイズとなったものだけが、低い正圧を付加することにより、複数の0.1ミクロン膜を通過可能となる。膜を通じてろ過された水は、第2精密ろ過ユニット350の上部から直接的に取り出され、放出槽340を介して船10から放出される。この処理済みの汚水は、船10の周囲の水30の中に放出されることとしてもよいし、さらなる処理(例えば、逆浸透)、分配または廃棄のために陸地130に移されることとしてもよい。
【0052】
以上の明細書に記載される多くの特徴は、これらが本発明の範囲を限定するものとして理解すべきではなく、好適な実施形態の例示であると理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、実施形態の例示により決定すべきではなく、添付された特許請求の範囲およびそれらの法的に均等なものにより決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の水処理システムの側面図である。
【図2】図2は、本発明の水処理システムの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の水処理システムの斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の船の側面図である。
【図4B】図4Bは、本発明の船の側面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 …船
11 …船体
20a,20b,20c,20d …汚水処理部
30 …水域
39 …水導入口
40 …排出ポート
50 …コンベヤベルト
60 …汚泥集積システム
70 …タグボートが曳航するはしけ
80 …水処理および/または分配設備
120 …パイプライン
121 …パイプ
130 …陸地
140 …陸上設備
200 …予備処理部
220 …乗り物
275 …汚泥
300 …汚泥処理/分配設備
340 …放出槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沖合で汚水を処理する船であって、
船体と、
前記船体内に少なくとも一部が配置された汚水処理システムであって、1日あたり少なくとも2000万リットルの汚水を処理することが可能な汚水処理システムと、
前記汚水処理システムに流体的に接続される汚水導入口と、
処理済みの汚水を船から排出する排出口とを具備することを特徴とする船。
【請求項2】
前記汚水処理システムは、汚水中の浮遊する固まりまたは油脂の量を減らす第1処理システムを具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項3】
前記汚水処理システムは、汚水に含まれる有機物質の量を減らすことが可能な細菌を有する第2処理システムを具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項4】
前記汚水処理システムは、微生物を殺す手段を有する消毒処理システムを具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項5】
前記汚水処理システムは、汚水から窒素またはリンを含む栄養物を除去する手段を有する栄養物除去システムを具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項6】
前記汚水処理システムは、
汚水中の浮遊する固まりまたは油脂の量を減らす第1処理システム、
汚水に含まれる有機物質の量を減らすことが可能な細菌を有する第2処理システム、
微生物を殺す手段を有する消毒処理システム、および
汚水から窒素またはリンを含む栄養物を除去する手段を有する栄養物除去システムのうち、少なくともいずれか2つのシステムを具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項7】
前記汚水処理システムは、
汚水中の浮遊する固まりまたは油脂の量を減らす第1処理システム、
汚水に含まれる有機物質の量を減らすことが可能な細菌を有する第2処理システム、
微生物を殺す手段を有する消毒処理システム、および
汚水から窒素またはリンを含む栄養物を除去する手段を有する栄養物除去システムのうち、少なくともいずれか3つのシステムを具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項8】
前記汚水処理システムは、
汚水中の浮遊する固まりまたは油脂の量を減らす第1処理システム、
汚水に含まれる有機物質の量を減らすことが可能な細菌を有する第2処理システム、
微生物を殺す手段を有する消毒処理システム、および
汚水から窒素またはリンを含む栄養物を除去する手段を有する栄養物除去システムを具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項9】
汚泥処理システムをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項10】
前記汚泥処理システムは、汚泥から水を除去する手段を具備することを特徴とする請求項9記載の船。
【請求項11】
前記汚泥処理システムは、有機物質を分解する細菌媒介手段を具備することを特徴とする請求項9記載の船。
【請求項12】
前記汚泥処理システムは、微生物を殺す手段を有する消毒システムを具備することを特徴とする請求項9記載の船。
【請求項13】
電力生成手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項14】
船を動かす推進システムをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項15】
処理済みの汚水または汚泥を船の周囲の水域からの水と混合する槽をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の船。
【請求項16】
陸上の汚水集積システムから離れた沖合に位置する水域に配置される汚水処理設備であって、
(a) 1日あたり少なくとも2000万リットルの汚水の処理が可能な汚水処理部であって、汚水中の浮遊する固まりまたは油脂の量を減らす第1処理システム、汚水に含まれる有機物質の量を減らすことが可能な細菌を有する第2処理システム、微生物を殺す手段を有する消毒処理システム、および汚水から窒素またはリンを含む栄養物を除去する手段を有する栄養物除去システムからなるグループから選択された汚水処理部、
(b) 前記陸上の汚水集積システムから汚水処理設備に汚水を移動させる手段、
(c) 汚水処理設備から処理済みの汚水を排出する手段、および
(d) 汚水処理設備から汚泥を排出する手段を具備することを特徴とする汚水処理設備。
【請求項17】
前記陸上の汚水集積システムから汚水処理設備に汚水を移動させる手段は、パイプラインを具備することを特徴とする請求項16記載の汚水処理設備。
【請求項18】
前記陸上の汚水集積システムから汚水処理設備に汚水を移動させる手段は、船を具備することを特徴とする請求項16記載の汚水処理設備。
【請求項19】
前記汚水処理設備から処理済みの汚水を排出する手段は、パイプラインを具備することを特徴とする請求項16記載の汚水処理設備。
【請求項20】
前記汚水処理設備から処理済みの汚水を排出する手段は、船を具備することを特徴とする請求項16記載の汚水処理設備。
【請求項21】
前記汚水処理設備から処理済みの汚水を排出する手段は、前記水域と流体的に接続される排出口を具備することを特徴とする請求項16記載の汚水処理設備。
【請求項22】
前記排出口は、汚水処理設備から前記水域内に延びた部材を具備し、前記部材は、複数の放出開口を有することを特徴とする請求項21記載の汚水処理設備。
【請求項23】
処理済みの汚水または汚泥を前記水域からの水と混合する槽をさらに具備することを特徴とする請求項16記載の汚水処理設備。
【請求項24】
陸上の汚水集積システムから離れた沖合に位置する水域に配置される汚水処理設備であって、
(a) 少なくとも第1汚水処理部および第2汚水処理部であって、前記処理部のそれぞれは、1日あたり少なくとも2000万リットルの汚水を処理することが可能であり、汚水中の浮遊する固まりまたは油脂の量を減らす第1処理システム、汚水に含まれる有機物質の量を減らすことが可能な細菌を有する第2処理システム、微生物を殺す手段を有する消毒処理システム、および汚水から窒素またはリンを含む栄養物を除去する手段を有する栄養物除去システムからなるグループから選択された第1汚水処理部および第2汚水処理部、
(b) 前記陸上の汚水集積システムから汚水処理設備に汚水を移動させる手段、
(c) 汚水処理設備から処理済みの汚水を排出する手段、および
(d) 汚水処理設備から汚泥を排出する手段を具備することを特徴とする汚水処理設備。
【請求項25】
前記第1および第2汚水処理部は、汚水処理の方法が異なることを特徴とする請求項24記載の汚水処理設備。
【請求項26】
前記第1および第2汚水処理部は、前記水域中の水により分離されていることを特徴とする請求項24記載の汚水処理設備。
【請求項27】
前記第1汚水処理部から前記第2汚水処理部に汚水を移送する導管をさらに具備することを特徴とする請求項26記載の汚水処理設備。
【請求項28】
汚水を処理する方法であって、
陸上の用地から離れた沖合の水域に位置し、1日あたり少なくとも2000万リットルの汚水を処理することが可能な汚水処理設備に汚水を移送するステップと、
前記汚水処理設備において、汚水中の浮遊する固まりまたは油脂の量を減らす第1処理システム、汚水に含まれる有機物質の量を減らすことが可能な細菌を有する第2処理システム、微生物を殺す手段を有する消毒処理システム、および汚水から窒素またはリンを含む栄養物を除去する手段を有する栄養物除去システムからなるグループから選択された少なくとも1つのシステムにより前記汚水を処理するステップとを具備することを特徴とする方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのシステムにより前記汚水を処理するステップは、結果として処理済みの汚水および汚泥からなるグループから選択された最終生成物を生成することを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記汚水処理設備から前記最終生成物を排出するステップをさらに具備することを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記汚水処理設備から前記最終生成物を排出するステップの前に、前記最終生成物を希釈するステップをさらに具備することを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記汚水は、前記陸上の用地から前記汚水処理設備に前記陸上の用地と前記汚水処理設備とを繋ぐパイプラインを介して移送されることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記汚水は、前記陸上の用地から前記汚水処理設備にシャトル船を介して移送されることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記最終生成物は、前記水域に放出されることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項35】
前記最終生成物は、陸に移送されることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項36】
前記最終生成物を陸に移送するためにパイプラインが使用されることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記最終生成物を陸に移送するために往復船が使用されることを特徴とする請求項35記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2007−534543(P2007−534543A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509708(P2007−509708)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/014066
【国際公開番号】WO2005/102943
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(505127798)ウォーター スタンダード カンパニー エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】