説明

油圧システム用の制御バルブアセンブリの作動方法

油圧システム20用の制御バルブアセンブリ26の作動方法は、第1位置センサ44及び第2位置センサ46の現在の作動を検知して第1位置センサ44及び第2位置センサ46の少なくとも一方が作動不能であるか否かを決定することを含む。第1作動ポート36及び第2作動ポート38での流体の圧力が測定され、第1位置センサ44及び第2位置センサ46の一方が作動不能であると決定されたとき、第1バルブ40及び第2バルブ42の一方が作動される。第2作動ポート(38)で測定された流体圧力に基づいて第1バルブ40が作動されて第1作動ポート36を通る流体の流れを調整する。第1作動ポート36で測定された流体圧力に基づいて第2バルブ42が作動されて第2作動ポート38を通る流体の流れを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧システムのアクチュエータを作動させるために使用される油圧システム用の制御バルブアセンブリの作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
掘削機、バックホー、ブルドーザ、フロントエンドローダー、アースムーバ等の重機用の油圧システムは、一般的に制御バルブアセンブリを含んでいる。この制御バルブアセンブリは、ポンプに流体接続されて、ポンプからの油圧流体の流れを受入れる。また、制御バルブアセンブリは、タンク、すなわち、流体リザーバに流体接続され、油圧流体を循環させてタンクに戻す。そして、ポンプは、タンクからの油圧流体を吸込んで制御バルブアセンブリへ循環させる。この油圧バルブアセンブリは、第1作動ポート及び第2作動ポートを含むサブ−アセンブリを含むことができ、これらの各ポートは、油圧ピストン又は油圧モータ等のアクチュエータに流体接続する。この制御バルブサブ−アセンブリは、更に、第1作動ポートを通る油圧流体の流れを制御するように構成された第1バルブ、及び、第2作動ポートを通る油圧流体の流れを制御するように構成された第2バルブ含む。第1バルブ及び第2バルブは、アクチュエータへの油圧流体の流れを制御するように作動し、これにより、アクチュエータの動きを制御する。制御バルブアセンブリは、一般的に、複数のアクチュエータを制御するための複数の制御サブ−アセンブリを含む。
【0003】
制御バルブサブ−アセンブリは、第1バルブの位置を検知するように構成された第1位置センサ、及び、第2バルブの位置を検知するように構成された第2位置センサを含むことができる。第1位置センサ及び第2位置センサは、サブ−アセンブリのプロセッサ、すなわち、サブ−アセンブリコンピュータに、第1及び第2バルブのそれぞれのフィードバック情報を供給して、プロセッサが第1及び第2バルブの位置を調整して、第1及び第2バルブのそれぞれの位置に基づく所望の流量を達成できるようにする、すなわち、位置制御モードを実行可能にする。
【0004】
制御バルブサブ−アセンブリは、第1作動ポートでの油圧流体の流体圧力を検知するように構成された第1圧力センサ、第2作動ポートでの油圧流体の流体圧力を検知するように構成された第2圧力センサ、ポンプでの油圧流体の流体圧力を検知するように構成されたポンプ圧力センサ、及び、タンクでの油圧流体の流体圧力を検知するように構成されたタンク圧力センサを含むことができる。第1及び第2圧力センサは、第1及び第2作動ポートのそれぞれの油圧流体の圧力についてのフィードバック情報をサブ−アセンブリプロセッサに供給するのに対して、ポンプ圧力センサ及びタンク圧力センサは、ポンプ及びタンクのそれぞれの油圧流体の圧力についてのフィードバック情報をサブ−アセンブリプロセッサに供給する。この情報が第1及び第2バルブのそれぞれの位置情報と組み合わされて、サブ−アセンブリプロッセッサが流量に基づいて第1及び第2バルブの位置を調整できるようにする、すなわち、流量制御モードを実行可能にする。しかしながら、一方の位置センサの故障により、サブ−アセンブリは、位置制御モード又は流量制御モードを使用して第1及び第2バルブをそれぞれ制御することができなくなる。
【発明の概要】
【0005】
油圧システム用の制御バルブアセンブリの作動方法が開示されている。制御バルブアセンブリは、第1作動ポート及び第2作動ポートを含み、これらの各作動ポートは、1つのアクチュエータに流体接続する。制御バルブアセンブリは、更に、第1作動ポートを通る流体の流れを制御する第1バルブ、及び、第2作動ポートを通る流体の流れを制御する第2バルブを含む。この方法は、第1作動ポート及び第2作動ポートで流体の圧力を測定すること;並びに、第2作動ポートで測定された流体圧力に基づいて第1バルブを作動させて第1作動ポートを通る流体の流れを調整すること、又は、第1作動ポートで測定された流体圧力に基づいて第2バルブを作動させて第2作動ポートを通る流体の流れを調整することの一方を行うことを含む。
【0006】
本発明の他の特徴について、油圧システム用の制御バルブアセンブリの作動方法が開示されている。制御バルブアセンブリは、第1作動ポート及び第2作動ポートを含み、これらの各作動ポートは、1つのアクチュエータに流体接続している。制御バルブアセンブリは、更に、第1作動ポートを通る流体の流れを制御する第1バルブ、第2作動ポートを通る流体の流れを制御する第2バルブ、第1バルブの位置を検知する第1位置センサ、及び、第2バルブの位置を検知する第2位置センサを含む。この方法は、第1位置センサ及び第2位置センサの現在の作動を検知して第1位置センサ及び第2位置センサのうちの少なくとも一方が作動不能であるか否かを決定すること;第1作動ポート及び第2作動ポートでの流体の圧力を測定すること;並びに、第1位置センサ及び第2位置センサのうちの一方が作動不能であると決定されたとき、第1バルブ及び第2バルブのうちの一方を作動させることを含む。この方法では、第2作動ポートで測定された流体圧力に基づいて第1バルブが作動されて第1作動ポートを通る流体の流れを調整し、また、第1作動ポートで測定された流体圧力に基づいて第2バルブが作動されて第2作動ポートを通る流体の流れを調整する。
【0007】
したがって、この開示された方法は、第1及び第2位置センサのうちの一方が故障したとき、第1及び第2位置センサのうちの他方に関係する作動ポートの油圧流体の圧力を使用して、故障した位置センサに関係するバルブを制御することにより、中断されずに継続する制御バルブアセンブリの作動を可能にする。
【0008】
本発明の上述の特徴及び利点、並びに、他の特徴及び利点は、添付の図面に関連して、本発明を実施するための最良の形態の以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】制御バルブアセンブリを表す油圧システムの回路図である。
【図2】制御バルブアセンブリの作動方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、ここではいくつかの図面を通して、同じ符号は同様の部品を示し、油圧システムは、全体として符号20で示されている。この油圧システム20は、限定はしないが掘削機、バックホー、ブルドーザ及びアースムーバ等の車両に組込むことができる。油圧システム20は、少なくとも1つのアクチュエータ22を含み、これを制御する。アクチュエータ22は、限定はしないが油圧ピストン又は油圧モータを含むことができる。油圧システム20の様々な部品及びこれらの部品の一般的な機能は、当該技術において公知である。このため、油圧システムの様々な部品及び各部品の機能は、ここでは簡単にのみ説明する。
【0011】
図1を参照して、油圧システム20は、入力装置24、制御バルブアセンブリ26、油圧ポンプ28、タンク30及びアクチュエータ22を含む。制御バルブアセンブリ26は、コントローラ32及び少なくとも1つの制御バルブサブ−アセンブリ34を含む。一般的に、制御バルブアセンブリ26は、複数のサブ−アセンブリ34を含み、各サブ−アセンブリ34は、1つのアクチュエータ22を制御するために使用される。
【0012】
入力装置24は、ジョイスティック、1つ以上のレバー、タッチスクリーン、その他の油圧システム20に命令を入力するのに適した装置を含むことができる。入力装置24は、制御バルブアセンブリ26のコントローラ32に接続されて、操作者が油圧システムに命令を入力できるようにする。
【0013】
油圧システム20は、流体、すなわち、油圧流体を含む。ポンプ28は、油圧流体を加圧して、加圧された油圧流体を制御バルブアセンブリ26に供給する。制御バルブアセンブリ26は、加圧された油圧流体をサブ−アセンブリ34に供給し、このサブ−アセンブリ34が油圧流体をアクチュエータ22に送る。制御バルブアセンブリ26は、また、タンク30に流体接続され、このタンク30は、油圧システム20の流体リザーバとして作用する。ポンプ28は、タンク30から必要に応じて油圧流体を吸込む。
【0014】
コントローラ32は、入力装置24及びサブ−アセンブリ34からフィードバックを受け、また、入力装置24からの情報をサブ−アセンブリ34に送る。コントローラ32は、1つ以上の流量制御バルブ58、パイロット圧力調整弁60、及び、リリーフ圧力調整弁62を含み、サブ−アセンブリ34への流体の流れを制御することができ、同様に、ソフトウエア、メモリ、その他、第1バルブ40及び第2バルブ42を作動及び/又は制御するために必要な情報をサブ−アセンブリ34に提供するのに必要な部品を有するコンピュータ64を含むことができる。制御バルブサブ−アセンブリ34は、更に、コントローラ32のコンピュータ64に接続されたサブ−アセンブリプロセッサ66を含むことができる。コンピュータ64は、プロセッサ66を介して制御バルブサブ−アセンブリ34に接続することができる。プロセッサ66は、コンピュータ、メモリ、ソフトウエア、及び/又は、その他、コントローラ32に接続して制御バルブサブ−アセンブリ34を制御するのに必要なハードウエアを含むことができる。プロセッサ66は、パイロットバルブ56を直接制御し、このパイロットバルブ56は、次いで、第1バルブ40及び第2バルブ42を制御し、同様に、以下に説明するように、サブ−アセンブリ34の様々なセンサからの情報を受ける。
【0015】
制御バルブサブ−アセンブリ34は、第1作動ポート36及び第2作動ポート38を含む。第1作動ポート36は、アクチュエータ22に流体接続して、アクチュエータ22に油圧流体を供給するように構成されている。また、第2作動ポート38は、アクチュエータ22に流体接続して、アクチュエータ22に油圧流体を供給するように構成されている。制御バルブサブ−アセンブリ34は、更に、第1バルブ40及び第2バルブ42を含む。第1バルブ40は、ポンプ28及びタンク30に流体接続し、第1作動ポート36を通る油圧流体の流れを制御するように構成されている。また、第2バルブ42は、ポンプ28及びタンク30に流体接続し、第2作動ポート38を通る油圧流体の流れを制御するように構成されている。第1バルブ40及び第2バルブ42は、限定はしないが、ポペット弁又はスプール弁とすることができる。当然のことながら、第1バルブ40及び第2バルブ42は、あらゆる適当なタイプ、及び/又は、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のそれぞれを通る加圧流体の流れを制御するのに適したバルブの構造を含むことができ、また、電気的、及び/又は、油圧的信号を介して作動することができる。これにより、当然のことながら、プロセッサ66は、パイロットバルブ56に信号を送り、このパイロットバルブ56は、第1バルブ40及び第2バルブ42を制御して、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のそれぞれを通る流体の流れを開き、及び/又は、閉じる。図示されるように、第1バルブ40及び第2バルブ42は、パイロット圧システム57のパイロットバルブ56を介して制御されるポペットバルブを含む。
【0016】
制御バルブサブ−アセンブリ34は、更に、第1位置センサ44及び第2位置センサ46を含む。第1位置センサ44は、第1バルブ40に接続され、第1バルブ40の位置を検知するように構成されている。第1位置センサ44は、プロセッサ66に接続されて、プロセッサ66に第1バルブ40の位置についてのフィードバックを供給する。第2位置センサ46は、第2バルブ42に接続され、第2バルブ42の位置を検知するように構成されている。第2位置センサ46は、プロセッサ66に接続され、プロセッサ66に第2バルブ42の位置についてのフィードバックを供給する。
【0017】
制御バルブサブ−アセンブリ34は、更に、第1圧力センサ48及び第2圧力センサ50を含む。第1圧力センサ48は、第1作動ポート36に結合され流体接続されて、第1作動ポート36を流通する油圧流体の流体圧力を検知するように構成されている。第1圧力センサ48は、プロセッサ66に接続され、第1作動ポート36についてのフィードバックをプロセッサ66に供給する。第2圧力センサ50は、第2作動ポート38に結合され流体接続されて、第2作動ポート38を流通する油圧流体の流体圧力を検知するように構成されている。第2圧力センサ50は、プロセッサ66に接続され、第2作動ポート38についてのフィードバックをプロセッサ66に供給する。
【0018】
制御バルブアセンブリ26は、更に、ポンプ圧力センサ52及びタンク圧力センサ54を含むことができる。図示のように、ポンプ圧力センサ52及びタンク圧力センサ54は、コントローラ32に配置されている。ポンプ圧力センサ52は、ポンプ28から供給された油圧流体、すなわち、供給流体に結合されて流体接続され、ポンプ28の油圧流体の流体圧力、すなわち、供給圧力を検知するように構成されている。ポンプ圧力センサ52は、コンピュータ64に接続されて、ポンプ28の油圧流体の圧力についてフィードバックをコンピュータ64に供給する。コンピュータ64は、ポンプ圧力センサ52からの情報をプロセッサ66に供給する。タンク圧力センサ54は、タンク30の油圧流体に結合されて流体接続され、タンク30の油圧流体の圧力を検知するように構成されている。タンク圧力センサ54は、コンピュータ64に接続されて、タンク30の油圧流体の圧力についてのフィードバックをコンピュータ64に供給する。コンピュータ64は、タンク圧力センサ54からの情報をプロセッサ66に供給する。
【0019】
制御バルブサブ−アセンブリ34は、受動作動状態またはオーバーラン作動状態のいずれでも作動することができる。アクチュエータ22にかけられる荷重がアクチュエータ22の動きに抗するとき、すなわち、正の負荷のとき、受動作動状態が生じる。アクチュエータ22にかけられる荷重がアクチュエータ22の動きと同じ方向に作用するとき、すなわち、負の負荷のとき、オーバーラン作動状態が生じる。図示のように、アクチュエータ22は、ピストン92を含み、ピストン92は、そこから延びるロッド94を有している。ピストン92は、ピストンエンド96とロッドエンド98とを区画し、ロッド94がロッドエンド98内に配置される。ロッド94がロッドエンド98を通って延びているので、油圧流体が作用するロッドエンド98におけるピストン92の表面積は、油圧流体が作用するピストンエンド96におけるピストン92の表面積よりも小さい。ピストン92のロッドエンド98に対するピストンエンド96の表面積の比は、アクチュエータ22の面積比を定義する。アクチュエータ22の面積比は、第1作動ポート36及び第2作動ポート38の両方を通る流量、同様に、第1作動ポート36及び第2作動ポート38の流体圧力に影響する。したがって、アクチュエータ22の面積比は、制御バルブサブ−アセンブリ34が受動作動状態又はオーバーラン作動状態のいずれで作動しているのかを決定して考慮されなければならない。
【0020】
更に、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のうちの一方が上流の作動ポートとして作用するのに対して、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のうちの他方が下流の作動ポートとして作用する。第1作動ポート36及び第2作動ポート38のいずれが上流の作動ポート及び下流の作動ポートになるかは、油圧流体の流れの方向に依存し、このため、油圧システム20の作動中に変化する。したがって、当然ながら、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のうちの一方が上流の作動ポートとして使用され、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のうちの他方が下流の作動ポートとして使用される。また、当然ながら、上流の作動ポートには、現在、上流の作動ポートとされているそのポートに対応するバルブ、位置センサ及び圧力センサが関係する。同様に、当然ながら、下流の作動ポートには、現在、下流の作動ポートとされているそのポートに対応するバルブ、位置センサ及び圧力センサが関係する。上流の作動ポートは、現在、アクチュエータ22に供給されている油圧流体の流れを制御している作動ポートである。下流の作動ポートは、現在、アクチュエータ22から受入れている作動流体の流れを制御している作動ポートである。したがって、第1作動ポート36及び第2作動ポート38は、次の状態:受動作動状態の上流の作動ポートとして、オーバーラン作動状態の上流の作動ポートとして、受動作動状態の下流の作動ポートとして、又は、オーバーラン作動状態の下流の作動ポートとして、のうちの一つで作動することができる。
【0021】
通常の作動状態下において、プロセッサ66は、第1バルブ40及び第2バルブ42が流量制御モード、圧力制御モード、又は、位置制御モードのうちの一つを使用するように制御することができる。プロセッサ66が流量制御モード、圧力制御モード及び位置制御モードのいずれを使用して第1作動ポート36及び第2作動ポート38のうちの一方を制御するかは、一般的に、その作動ポートが、受動作動状態における上流の作動ポートとして、オーバーラン作動状態における上流の作動ポートとして、受動作動状態における下流の作動ポートとして、又は、オーバーラン作動状態における下流の作動ポートとして、のうちのいずれで作動しているかに依存する。
【0022】
流量制御モードによって第1バルブ40を制御しているとき、プロセッサ66は、入力装置24から受ける要求、第1作動ポート36の油圧流体の流体圧力に関する第1圧力センサ48からのフィードバック、ポンプ28の流体圧力すなわち供給圧力に関するポンプ圧力センサ52からのフィードバック、及び、タンク30の流体圧力に関するタンク圧力センサ54からのフィードバックを使用する。プロセッサ66は、この要求及びこれらの様々なフィードバックを使用して、第1バルブ40の位置を制御し、その結果、所望の要求に合致させる。同様に、流量制御モードによって第2バルブ42を制御しているとき、プロセッサ66は、入力装置24から受ける要求、第2作動ポート38の油圧流体の流体圧力に関する第2圧力センサ50からのフィードバック、ポンプ28の流体圧力すなわち供給圧力に関するポンプ圧力センサ52からのフィードバック、及び、タンク30の流体圧力に関するタンク圧力センサ54からのフィードバックを使用する。プロセッサ66は、この要求及びこれらの様々なフィードバックを使用して、第2バルブ42の位置を制御し、その結果、所望の要求に合致させる。
【0023】
圧力制御モードによって第1バルブ40を制御しているとき、プロセッサ66は、第1作動ポート36を所望の流体圧力にするのに必要なだけ第1バルブ40を移動させる。プロセッサ66は、第1作動ポート36の油圧流体の流体圧力に関する第1圧力センサ48からのフィードバックを受けて、第1バルブ40の位置を調整し、これにより、第1作動ポート36を所望の流体圧力にする。圧力制御モードによって第2バルブ42を制御しているとき、プロセッサ66は、第2作動ポート38を所望の流体圧力にするのに必要なだけ第2バルブ42を移動させる。プロセッサ66は、第2作動ポート38の油圧流体の流体圧力に関する第2圧力センサ50からのフィードバックを受けて、第2バルブ42の位置を調整し、これにより、第2作動ポート38を所望の流体圧力にする。
【0024】
位置制御モードによって第1バルブ40を制御しているとき、プロセッサ66は、第1位置センサ44からのフィードバックを使用して、第1バルブ40の現在位置を決定する。プロセッサ66は、第1作動ポート36を通る所望の流体の流れを達成するために必要な要求位置を計算する。そして、プロセッサ66は、第1バルブ40を要求位置に移動して、第1作動ポート36を通る油圧流体の流量を絞る。位置制御モードによって第2バルブ42を制御しているとき、プロセッサ66は、第2位置センサ46からのフィードバックを使用して、第2バルブ42の現在位置を決定する。プロセッサ66は、第2作動ポート38を通る所望の流体の流れを達成するために必要な要求位置を計算する。そして、プロセッサ66は、第2バルブ42を要求位置に移動して、第2作動ポート38を通る油圧流体の流量を絞る。したがって、当然ながら、第1位置センサ44及び第2位置センサ46のうちの一方の故障は、それぞれ第1制御バルブ及び第2制御バルブに対して流量制御モード及び位置制御モードを作動不能にする。
【0025】
したがって、本発明は、第1位置センサ44及び第2位置センサ46のうちの一方が故障、すなわち、作動不能になったとき、制御バルブサブ−アセンブリ34を作動する方法を提供する。この方法は、故障した位置センサが、上流の作動ポートに関係して上流の作動ポートに関係するバルブの位置を検知するのか、下流の作動ポートに関係して下流の作動ポートに関係するバルブの位置を検知するのか、及び、制御バルブサブ−アセンブリ34が受動作動状態で作動しているのか、オーバーラン作動状態で作動しているのかに依存する。このため、可能性のある各態様を以下に説明する。上述のように、第1作動ポート36又は第2作動ポート38は、いずれも上流の作動ポート又は下流の作動ポートとして定義することができる。このため、以下の説明は、第1作動ポート36及び第2作動ポート38の両方に適用される。
【0026】
故障した位置センサが上流の作動ポートに関係し、受動作動状態で作動しているときの作動方法を以下に説明する。この状態において上流の作動ポートに関係するバルブの作動方法は、下流の作動ポートに関係する圧力センサからのフィードバックを使用して上流の作動ポートに関係する圧力を制御する、いわゆる、交差軸(cross axis)圧力制御を含む。この状態において、交差軸圧力制御を使用するとき、上流の作動ポート及び故障した位置センサに関係するバルブ位置は、下流の作動ポートの油圧流体が設定した流体圧力になるように制御される。プロセッサ66は、上流の作動ポートに関係し、これを制御するように構成されたバルブを作動させて、下流の作動ポートを通る油圧流体の流れを所望の下流の流体圧力にする。この状態において、下流の作動ポートを通る流体の流れを制御するバルブに関係する位置センサは、依然として適切に機能しているので、プロセッサ66は、好ましくは、上述のように、流量制御モードで、下流の作動ポートに関係してこれを制御するように構成されたバルブを作動させる。
【0027】
故障した位置センサが上流の作動ポートに関係し、オーバーラン作動状態で作動しているときの作動方法を以下に説明する。この状態における上流の作動ポートに関係するバルブの作動方法は、上述の圧力制御モードを使用して、上流の作動ポートを通る油圧流体の流れに関係して、これを制御するように構成されたバルブを制御することを含む。したがって、プロセッサ66は、上流の作動ポートに関係するバルブを作動させて、上流の作動ポートで所望の流体圧力を維持する。代りに、この状態において、上流の作動ポートに関係するバルブをタンク30へ全開にして、アクチュエータ22とタンク30との間の流れの制限を本質的になくしてもよい。この状態において、下流の作動ポートを通る流体の流れを制御するバルブに関係する位置センサは、依然として適切に機能しているので、プロセッサ66は、好ましくは、上述のように、流量制御モードで、下流の作動ポートに関係してこれを制御するように構成されたバルブを作動させる。
【0028】
故障した位置センサが下流の作動ポートに関係し、受動作動状態で作動しているときの作動方法を以下に説明する。故障した位置センサが下流の作動ポート、すなわち、アクチュエータ22の外への流れを制御する作動ポートを制御するバルブに関係するので、下流の作動ポートに関係するバルブは、下流の作動ポートの油圧流体の圧力をタンクポートの油圧流体の圧力よりも僅かに高くするように制御する必要があるに過ぎない。したがって、この状態において下流の作動ポートに関係するバルブを作動させる方法は、下流の作動ポートに関係する圧力センサからのフィードバックを使用して、下流の作動ポートに関係し、これを通る油圧流体の流れを制御するように構成されたバルブを制御すること、すなわち、上述の圧力制御モードを含む。この状態において、上流の作動ポートを通る流体の流れを制御するバルブに関係する位置センサは、依然として適切に機能しているので、プロッセッサ66は、好ましくは、上述のように、上流の作動ポートに関係し、これを制御するように構成されたバルブを流量制御モードで作動させる。
【0029】
故障したセンサが下流の作動ポートに関係し、オーバーラン状態で作動しているときの作動方法を以下に説明する。上流の作動ポートは、アクチュエータ22への油圧流体の流れを制御し、制御バルブアセンブリ26は、オーバーラン状態で作動しているので、下流の作動ポートを通る油圧流体の流れを制御するバルブは、油圧流体のキャビテーションを防止するのに充分に油圧流体の流れを制限することのみが必要である。したがって、この状態において下流のポートに関係するバルブを作動する方法は、上流の作動ポートに関係する圧力センサからのフィードバックを使用して、下流の作動ポートを通る油圧流体の流れに関係し、これを制御するように構成されたバルブを制御すること、すなわち、交差軸圧力制御を含む。この状態において、交差軸圧力制御を使用するとき、下流の作動ポート及び故障した位置センサに関係するバルブの位置が制御されて、上流の作動ポートの油圧流体を所定の流体圧力にする。プロセッサ66は、下流の作動ポートに関係して、これを制御するように構成されたバルブを作動させて、上流の作動ポートを通る油圧流体の流れを要求された上流側の流体圧力にする。この状態において、上流の作動ポートを通る流体の流れを制御するバルブに関係する位置センサは、依然として適切に機能しているので、プロッセッサ66は、好ましくは、上述のように、流量制御モードで、上流の作動ポートに関係し、これを制御するように構成されたバルブを作動させる。
【0030】
図2を参照して、制御バルブアセンブリ26を制御する方法は、第1位置センサ44及び第2位置センサ46の現在の作動を検知して、第1位置センサ44及び第2位置センサ46のうちの少なくとも一方が作動不能であるか否かを決定することを含む。プロセッサ66は、第1位置センサ44及び第2位置センサ46からのフィードバック信号の存在の検知等の当業者に公知のいずれかの適切な方法で第1位置センサ44又は第2位置センサ46のうちの少なくとも一方が作動可能かどうかを決定することができる。
【0031】
第1位置センサ44及び第2位置センサ46の両方が適切に機能している場合(ブロック70)、プロッセッサ66は、通常通り制御バルブサブ−アセンブリ34の作動を続ける(ブロック72)。しかしながら、第1位置センサ44又は第2位置センサ46の一方が作動不能と決定された場合(ブロック70)、この方法は、更に、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のそれぞれを通る流体の流れの方向を決定して(ブロック74)、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のうちの一方を上流の作動ポートとして定義し、第1作動ポート36及び第2作動ポート38のうちの他方を下流の作動ポートとして定義することを含む(ブロック76)。更に、この方法は、制御バルブアセンブリ26の作動状態を受動作動状態及びオーバーラン作動状態のうちの一方に決定することを含む(ブロック78)。上述のように、プロセッサ66が制御バルブサブ−アセンブリ34を作動させる方法は、故障した位置センサが上流の作動ポートに関係するか、下流の作動ポートに関係するか、及び、制御バルブサブ−アセンブリ34が受動作動状態で作動しているか、オーバーラン作動状態で作動しているかに依存する。
【0032】
この方法は、更に、第1作動ポート36及び第2作動ポート38の流体の圧力を測定することを含む(ブロック80)。上述のように、油圧流体の圧力は、第1圧力センサ48及び第2圧力センサ50によって第1作動ポート36及び第2作動ポート38でそれぞれ測定される。第1圧力センサ48及び第2圧力センサ50は、油圧流体の現在の圧力を表すフィードバック信号をプロセッサ66に供給する。
【0033】
この方法は、更に、故障した位置センサが上流の作動ポートを制御するバルブに関係するか、又は、下流の作動ポートを制御するバルブに関係するかを決定することを含む(ブロック82)。
【0034】
この方法は、更に、第2作動ポート38で測定した流体圧力に基づいて第1バルブ40を作動させて第1作動ポート36を通る流体の流れを調整する、又は、第1作動ポート36で測定した流体圧力に基づいて第2バルブ42を作動させて第2作動ポート38を通る流体の流れを調整することのうちの一方を行うこと含む。第1バルブ40又は第2バルブ42の一方を作動させることは、更に、第1バルブ40を作動させて、その作動ポートを通る流体の流れを第2作動ポート38で測定された流体圧力の範囲内に調整すること、又は、第2バルブ42を作動させて、その作動ポートを通る流体の流れを第1作動ポート36で測定された流体圧力の範囲内に調整することのうちの一方を行うこと含むことができ、この範囲は、0バールから20バールの間の正の値を含む。故障した位置センサに関係する一方のバルブを調整して流体圧力を他方の作動ポートで測定した流体圧力の範囲内に調整することにより、故障した位置センサに関係する一方の作動ポートの流体圧力が他方の作動ポートに関係する流体圧力よりも確実に高くなるようにする。
【0035】
第1バルブ40及び第2バルブ42のうちの一方を作動させることは、更に、制御バルブアセンブリ26が受動作動状態で作動され、かつ、第1位置センサ44及び第2位置センサ46のうちの上流の作動ポートに関係する一方が作動不能のとき、下流の作動ポートで測定された圧力に基づいて第1バルブ40及び第2バルブ42のうちの上流の作動ポートに関係する一方を作動させることを含むことができる(ブロック84)。したがって、プロセッサ66は、流量制御モードを使用して、下流の作動ポートに関係する制御バルブを制御し、交差軸圧力制御を使用して、上流の作動ポートに関係する制御バルブを制御する。この状態では、この方法は、更に、下流の作動ポートに対して要求する流体の流れを計算すること、計算された流体の流れの要求に合致させるために充分な下流の作動ポートの流体の流量レートの要求を計算すること、及び、計算された流体の流量レートを満足するように第1バルブ40及び第2バルブ42のうちの下流の作動ポートに関係する一方を調整することを含むことができる。
【0036】
故障した位置センサに関係する作動ポートが下流の作動ポートに関係し、かつ、制御バルブサブ−アセンブリ34が受動作動状態で作動している場合、コントローラ32は、流量制御モードを使用して上流の作動ポートに関係するバルブを制御し、圧力制御モードを使用して、下流の作動ポートに関係するバルブを制御する(ブロック86)。
【0037】
第1バルブ40及び第2バルブ42のうちの一方を作動させることは、更に、制御バルブアセンブリ26がオーバーラン作動状態で作動し、かつ、第1位置センサ44及び第2位置センサのうちの下流の作動ポートに関係する一方が作動不能であるとき、上流の作動ポートで測定された圧力に基づいて、第1バルブ40及び第2バルブのうちの下流の作動ポートに関連する一方を作動させることを含むことができる(ブロック88)。したがって、コントローラ32は、流量制御モードを使用して、上流の作動ポートに関係するバルブを制御し、また、交差軸圧力制御を使用して、下流の作動ポートに関係するバルブを制御する。この状態では、この方法は、更に、上流の作動ポートに対して要求する流量の設定、設定した流量要求に合致するのに充分な上流の作動ポートの要求される流体の流量レートの計算、及び、計算された流量レートを満足するように第1バルブ40及び第2バルブのうちの上流の作動ポートに関係する一方を調整することを含むことができる。
【0038】
故障した位置センサに関係する作動ポートが上流の作動ポートに関係し、かつ、制御バルブサブ−アセンブリ34がオーバーラン作動状態で作動している場合、コントローラ32は、圧力制御モードを使用して、上流の作動ポートに関係するバルブを制御し、また、流量制御モードを使用して、下流の作動ポートに関係するバルブを制御する(ブロック90)。
【0039】
本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明してきたが、本発明に関係する技術の当業者は、添付の特許請求の範囲の技術的範囲内において、本発明を実施するための様々な設計及び態様の変更を認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのアクチュエータ(22)に流体接続する第1作動ポート(36)及び第2作動ポート(38)含む制御バルブアセンブリ(26)と、前記第1作動ポート(36)を通る流体の流れを制御するための第1バルブ(40)と、前記第2作動ポート(38)を通る流体の流れを制御するための第2バルブ(42)とを有する油圧システム(20)用の御バルブアセンブリ(26)の作動方法であって、
前記第1作動ポート(36)及び第2作動ポート(38)で流体の圧力を測定し、
前記第2作動ポート(38)で測定された流体圧力に基づいて前記第1バルブ(40)を作動させて前記第1作動ポート(36)を通る流体の流れを調整すること、又は、前記第1作動ポート(36)で測定された流体圧力に基づいて前記第2バルブ(42)を作動させて前記第2作動ポート(38)を通る流体の流れを調整すること、のうちの一方を行うことを含む作動方法。
【請求項2】
前記第2作動ポート(38)で測定された流体圧力に基づいて前記第1バルブ(40)を作動させて前記第1作動ポート(36)を通る流体の流れを調整すること、又は、前記第1作動ポート(36)で測定された流体圧力に基づいて前記第2バルブ(42)を作動させて前記第2作動ポート(38)を通る流体の流れを調整すること、のうちの一方を行うことは、更に、前記第1バルブ(40)を作動させて前記第1ポート(36)を通る流体の流れを前記第2作動ポート(38)で測定された流体圧力の範囲内に調整すること、又は、前記第2バルブ(42)を作動させて前記第2作動ポート(38)を通る流体の流れを前記第1作動ポート(36)で測定された流体圧力の範囲内に調整すること、のうちの一方を行うこととして定義されることを特徴とする請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記制御バルブアセンブリ(26)は、更に、前記第1バルブ(40)の位置を検知する第1位置センサ(44)及び前記第2バルブ(42)の位置を検知する第2位置センサ(46)を含み、
更に、前記第1位置センサ(44)及び第2位置センサ(46)の現在の作動を検知して、前記第1位置センサ(44)及び第2位置センサ(46)のうちの少なくとも一方が作動不能であるか否かを決定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の作動方法。
【請求項4】
更に、前記制御バルブアセンブリ(26)の作動状態が受動状態及びオーバーラン状態のうちの一方であることを決定することを含む請求項3に記載の作動方法。
【請求項5】
更に、前記第1作動ポート(36)及び第2作動ポート(38)のそれぞれを通る流体の方向を決定して、前記第1作動ポート(36)及び前記第2作動ポート(38)のうちの一方を上流の作動ポートとして定義し、前記第1作動ポート(36)及び前記第2作動ポート(38)のうちの他方を下流の作動ポートとして定義することを含む請求項4に記載の作動方法。
【請求項6】
前記第1バルブ(40)及び前記第2バルブ(42)のうちの一方を作動させることは、更に、前記制御バルブアセンブリ(26)が受動作動状態で作動しており、かつ、前記第1位置センサ(44)及び前記第2位置センサ(46)のうちの上流の作動ポートに関係する一方が作動不能であるとき、下流の作動ポートで測定された圧力に基づいて前記第1バルブ(40)及び前記第2バルブ(42)のうちの上流の作動ポートに関係する一方を作動させることとして定義されることを特徴とする請求項5に記載の作動方法。
【請求項7】
更に、下流の作動ポートが要求する流体の流れを計算することを含む請求項6に記載の作動方法。
【請求項8】
更に、計算された流体の流れの要求を満足するように前記第1バルブ(40)及び前記第2バルブ(42)のうちの下流の作動ポートに関係する一方を調整することを特徴とする請求項7に記載の作動方法。
【請求項9】
前記第1バルブ(40)及び前記第2バルブ(42)の一方を作動させることは、更に、前記制御バルブアセンブリ(26)がオーバーラン作動状態で作動しており、かつ、前記第1位置センサ(44)及び前記第2位置センサ(46)のうちの下流の作動ポートに関係する一方が作動不能であるとき、上流の作動ポートで測定された圧力に基づいて前記第1バルブ(40)及び前記第2バルブ(42)のうちの下流の作動ポートに関係する一方を作動させることとして定義されることを特徴とする請求項5に記載の作動方法。
【請求項10】
更に、上流の作動ポートが要求する流体の流れを設定し、計算された流体の流れの要求を満足するように前記第1バルブ(40)及び前記第2バルブ(42)のうちの上流の作動ポートに関係する一方を調整することを含む請求項9に記載の作動方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−508649(P2013−508649A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535403(P2012−535403)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/053691
【国際公開番号】WO2011/050246
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】