説明

油圧作動油組成物及びその調製

異性化基油から調製される、優れたシール適合性を有する油圧作動油組成物が提供される。(i)連続した炭素原子数を有し、n−d−M法により、ナフテン炭素が10重量%未満であり、オレフィンが0.10重量%未満であり、芳香族が0.05重量%未満であり、ASTM D2503−92(2002年再認可)による分子量が600を超え、シクロパラフィン官能基を有する全分子の重量%が25を超え、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の比が10を超える80〜99.999重量%の潤滑基油;及び(ii)場合により、0.001〜6重量%の粘度調節剤及び(iii)0〜10重量%の少なくとも1種の添加剤パッケージを含む組成物。操作に用いられた時、組成物は、ASTM D471−06(SRE NBRl 100℃、168時間)で試験したとき、ゴムシールにおける平均体積変化が3%未満、及びゴムシールにおける平均硬度変化が1pts未満となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、油圧作動油組成物に関し、より詳細には、優れたシール適合性を有する油圧作動油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧作動油は、油圧系において圧力伝達媒体として働き、工業的な油圧系において、力及び運動を伝達するように設計される。工業用非移動式油圧系並びに自動車、トラクター及び土工機械などの移動車両のうちの高い割合のものが、現在、なんらかの型の半自動又は完全自動の変速装置を有している。これらの油圧系及び変速装置には、少なくとも力の伝達媒体、圧力制御流体、熱伝達媒体、及び満足できる潤滑剤としての機能を果たす「機能性」流体の供給が必要である。機能性流体と接触したときの、シール、特に弾性シールの収縮の問題は、そのような収縮が、油圧装置及び車両の欠陥操作を導き得る機能性流体のリークを引き起こすので、重要である。
【0003】
この問題を除去するために、それが存在することによりシールが膨張するような添加剤を機能性流体に含ませることが一般的である。いくつかのそのような添加剤が当業界で公知である。米国特許第4029588号明細書では、機械中のシールを膨張させるための、0.05〜20.0重量%の量、好ましくは0.1〜5.0重量%の量での、置換基の1つが3−アルコキシ又は3−アルキルチオ基等である置換スルホランを開示している。米国特許第4116877号明細書では、無機潤滑基油並びに油溶性トリス(C〜C24ヒドロカルビル)フォスファイトエステル及び油溶性C〜C24ヒドロカルビル置換フェノールを含むシール膨張剤を5〜20重量%で含みそれにより流体のエラストマー適合性が高められている機能性流体が開示されている。シール膨張性添加剤は、機能性流体中に望ましくない程大量に使用されていることが非常に多く、しばしばいくつかの不利益を伴う。毒性があるものもある。流体の粘度を低下又は上昇させ及び/又はその酸化安定性を阻害するものもある。非常に大量に添加された場合、シャフト又は油圧シリンダーロッドに対してシールを膨張させ、シール摩耗を増加させるものもある。
【0004】
参照により本明細書に組み込む、多くの特許公報及び出願、すなわち、米国特許出願公開第2006/0289337号明細書、米国特許出願公開第2006/0201851号明細書、米国特許出願公開第2006/0016721号明細書、米国特許出願公開第2006/0016724号明細書、米国特許出願公開第2006/0076267号明細書、米国特許出願公開第2006/020185号明細書、米国特許出願公開第2006/013210号明細書、米国特許出願公開第2005/0241990号明細書、米国特許出願公開第2005/0077208号明細書、米国特許出願公開第2005/0139513号明細書、米国特許出願公開第2005/0139514号明細書、米国特許出願公開第2005/0133409号明細書、米国特許出願公開第2005/0133407号明細書、米国特許出願公開第2005/0261147号明細書、米国特許出願公開第2005/0261146号明細書、米国特許出願公開第2005/0261145号明細書、米国特許出願公開第2004/0159582号明細書、米国特許第7018525号明細書、米国特許第7083713号明細書、米国特許出願第11/400570号明細書、米国特許出願第11/535165号明細書及び米国特許出願第11/613936号明細書では、供給物がフィッシャー・トロプシュ合成から回収されたワックス状供給物である方法により、フィッシャー・トロプシュ基油が作製される。この方法は、二重に機能する触媒又はパラフィンを選択的に異性化し得る触媒を用いる、完全な又は部分的な水素異性化脱ろうステップを含む。水素異性化脱ろうは、水素異性化条件下、異性化ゾーン中で、水素異性化触媒とワックス状供給物を接触させることにより達成される。フィッシャー・トロプシュ合成生成物は、例えば、市販のSASOL(登録商標)スラリー相フィッシャー・トロプシュ技術、市販のSHELL(登録商標)中間留分合成法(SMDS)又は市販ではないがEXXON(登録商標)改良ガス変換法(AGC−21)などのよく知られた方法により得ることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広い温度範囲にわたって操作可能であり、高レベルの抗酸化性を有し、腐食作用を示さず、泡の制御が可能であり、満足できる低温流動性を有し、高温でも有用な粘度を有し、シール膨張性添加剤を必要としないか最少量でよく、なお優れた変速装置シール適合性を保つ機能性流体、特に、フィッシャー・トロプシュ基油を用いる機能性流体に対する必要性が今も存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、(i)連続した炭素原子数を有し、n−d−M法により、ナフテン炭素が10重量%未満であり、オレフィンが0.10重量%未満であり、芳香族が0.05重量%未満である潤滑基油80〜99.999重量%;(ii)場合により、粘度調節剤0.001〜6重量%;並びに(iii)少なくとも1種の添加剤パッケージ0〜10重量%を含む油圧作動油組成物であって、ASTM D471−06(SRE NBRl 100℃、168時間)で試験したとき、ゴムシールにおける平均体積変化が3%未満、及びゴムシールにおける平均硬度変化が1pts未満となる、油圧作動油組成物が提供される。
【0007】
別の態様では、油圧変速装置に用いられるゴムシールが、ASTM D471−06(SRE NBR1 100℃、168時間)で試験したとき、平均体積変化が3%未満、及び平均硬度変化が1pts未満を有するように、油圧変速装置シールにおける劣化とリークを最小にする方法であって、(i)連続した炭素原子数を有し、n−d−M法により、ナフテン炭素が10重量%未満であり、オレフィンが0.10重量%未満であり、芳香族が0.05重量%未満である潤滑基油80〜99.999重量%;(ii)場合により、粘度調節剤0.001〜6重量%;並びに(iii)少なくとも1種の添加剤パッケージ0〜10重量%を含む油圧作動油組成物を使用することを含む、方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の用語を本明細書を通じて使用し、別に示されなければ、以下のような意味を有する。
【0009】
本明細書で使用する場合、「油圧作動油」という用語は、「機能性流体」という用語と交換可能に使用され、潤滑剤、油圧作動油、自動変速装置用流体、熱交換媒体等などの車両及び装置におけるエネルギー伝達に使用される液体を意味する。
【0010】
「フィッシャー・トロプシュ由来の」という用語は、フィッシャー・トロプシュ法により、ある段階から由来する、又はある段階において作製される、生成物、分画、又は供給物を意味する。本明細書で使用する場合、「フィッシャー・トロプシュ基油」という用語は、「FT基油」、「FTBO」、「GTL基油(GTL:ガスから液体へ)」、又は「フィッシャー・トロプシュ由来基油」という用語と、交換可能に使用し得る。
【0011】
本明細書で使用する場合、「異性化基油」という用語は、ワックス状供給物を異性化することにより作製された基油を指す。
【0012】
本明細書で使用する場合、「ワックス状供給物」は、少なくとも40重量%のn−パラフィンを含む。一実施形態では、ワックス状供給物は、50重量%を超えるn−パラフィンを含む。別の実施形態では、75重量%を超えるn−パラフィンを含む。一実施形態では、ワックス状供給物はまた、非常に低いレベルの窒素及び硫黄を有し、例えば、窒素と硫黄を合わせて25ppm未満、又はさらに別の実施形態では、20ppm未満である。ワックス状供給物の例としては、スラックワックス、脱油スラックワックス、精製ろう下油、ワックス状潤滑ラフィネート、n−パラフィンワックス、NAOワックス、化学工場プロセスにより製造されるワックス、脱油石油由来ワックス、微結晶ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、ワックス状供給物は、50℃を超える流動点を有する。他の実施形態では、60℃を超える。
【0013】
本明細書で使用する場合、「流動点低下性ブレンド成分」という用語は、比較的高分子量で、特定した程度のアルキル分岐を分子中に有する、異性化したワックス状生成物であり、それを含んでいる潤滑性基油ブレンドの流動点を低下させるようなものを指す。流動点低下性ブレンド成分の例は、米国特許第6,150,577号明細書及び第7,053,254号明細書、並びに米国特許出願公開第2005−0247600A1号明細書中に開示されている。流動点低下性ブレンド成分は、1)異性化フィッシャー・トロプシュ由来底部生成物;2)異性化高ワックス鉱物油から調製された底部生成物;又は3)ポリエチレンプラスチックから作製される、少なくとも約8mm/sの100℃における動粘度を有する異性化油であり得る。
【0014】
本明細書で使用する場合、流動点低下性ブレンド成分の沸点範囲の「10%点」という用語は、その留分内に存在する炭化水素の10重量%が、大気圧下で気化する温度を指す。同様に、対応する沸点範囲の90%点は、その留分内に存在する炭化水素の90重量%が、大気圧下で気化する温度を指す。1000°F(538℃)を超える沸点範囲を有する試料に対しては、沸点範囲は、標準の分析法D−6352−04又はそれに等価なものを用いて測定し得る。1000°F(538℃)より低い沸点範囲を有する試料に対しては、本開示における沸点範囲の分布は、標準の分析法D−2887−06又はそれに等価なものを用いて測定し得る。減圧蒸留の底部生成物である流動点低下性ブレンド成分を指す場合に、対応する沸点範囲の10%点のみが用いられるということは明らかである。なぜなら、それは90%点又は上部沸点限界が意味のないものとなる底部画分から由来するからである。
【0015】
「動粘度」という用語は、mm/sで表した、重力下での液体の流れに対する抵抗の測定値であり、ASTM D445−06により測定される。
【0016】
「粘度指数」(VI)という用語は、油の動粘度に対する温度変化の効果を表す、経験的で単位を持たない数である。油のVIが高ければ高いほど、温度に伴う粘度変化の傾向がますます低くなる。粘度指数は、ASTM D2270−04に従って測定される。
【0017】
コールドクランキングシミュレーター見かけ粘度(CCS VIS)は、ミリパスカル秒、mPa.sで表した、低温及び高せん断下での潤滑基油の粘度特性を測定するための、測定である。CCS VISは、ASTM D5293−04により測定される。
【0018】
基油の沸点範囲分布は、重量%で表され、ASTM D6352−04「ガスクロマトグラフィーによる、174〜700℃の沸点範囲における石油留分の沸点範囲分布(Boiling Range Distribution of Petroleum Distillates in Boiling Range from 174 to 700℃ by Gas Chromatography)」に従う模擬蒸留(SIMDIS)で測定される。
【0019】
「ノアック揮発分」という用語は、ASTM D5800−05の手順Bに従って測定され、油を250℃に加熱し、その中に空気の定常流を60分間通したときに失われた、重量%で表した油の量として定義される。
【0020】
ブルックフィールド粘度は、低温操作の間に、潤滑油の内部液体摩擦を決定するために使用され、ASTM D2983−04によって測定できる。
【0021】
「流動点」という用語は、注意深く制御された特定の条件下で、基油試料が流動し始める温度の測定値であり、ASTM D5950−02に記載されたように測定し得る。
【0022】
「自己発火温度」という用語は、液体が空気と接触した時に即座に発火する温度であり、ASTM 659−78に従い測定できる。
【0023】
「Ln」という用語は、「e」を底とする自然対数を指す。
【0024】
「トラクション係数」という用語は、潤滑剤特性の固有の指標であり、摩擦力Fと垂直力Nの無次元数の比として表現され、ここで、摩擦は、滑っている又は回転している表面間の運動に抵抗又は運動を阻害する力学的力である。トラクション係数は、直径46mmの磨いた平盤(SAE AISI 52100鋼)に対して、220の角度で、磨いた直径19mmの球(SAE AISI 52100鋼)を配置した、PCS Instruments,Ltd.社の、MTM Traction Measurement Systemで測定し得る。鋼球と平盤は、独立に平均回転速度3m/秒、回転対スライド比40%、及び20Nの荷重で測定する。回転比は、球と平盤の平均速度で、球と平盤の間のスライディング速度の差を除したもの、すなわち、回転比=(速度1−速度2)/((速度1+速度2)−/2)、として規定される。
【0025】
本明細書で使用する場合、「連続した炭素原子数」という用語は、基油が、その間のすべての数の炭素数を有する、炭素数の範囲にわたる炭化水素分子の分布を有することを意味する。例えば、基油は、C22〜C36又はC30〜C60の範囲のその間のすべての炭素数を有する炭化水素分子を有してもよい。ワックス状供給物も連続した数の炭素原子を有する結果として、基油の炭化水素分子は、互いに、連続した炭素原子数だけ異なる。例えば、フィッシャー・トロプシュ炭化水素合成反応において、炭素原子の起源は、COであり、炭化水素分子は、一時に1つの炭素原子が作り上げられる。石油由来のワックス状供給物は、連続した炭素原子数を有する。ポリαオレフィンベースの油(“PAO”)と対照的に、異性化基油の分子は、短い分枝を有する比較的長いバックボーンを含むより直鎖状の構造を有する。古典的な教科書のPAOの記述では、星状の分子であり、特に、3つのデカン分子が中心点で結合しているように表示されている、トリデカンである。一方、星状の分子は理論的なものであるが、それでもなお、PAO分子は、本明細書に開示した異性化基油を作り上げている炭化水素分子よりもより少なくより長い分枝を有する。
【0026】
「シクロパラフィン官能基を有する分子」という用語は、モノサイクリックの又は縮合したマルチサイクリックの飽和炭化水素基であるか又は1個若しくは複数個の置換基として含む、いかなる分子をも意味する。
【0027】
「モノシクロパラフィン官能基を有する分子」という用語は、3〜7個の環炭素のモノサイクリック飽和炭化水素基である任意の分子又は1個の3〜7個の環炭素のモノサイクリック飽和炭化水素基で置換されている任意の分子を意味する。
【0028】
「マルチシクロパラフィン官能基を有する分子」という用語は、2個以上の縮合環の縮合マルチサイクリック飽和炭化水素環基である任意の分子、2個以上の縮合環の1個若しくは複数個の縮合マルチサイクリック飽和炭化水素環基で置換されている任意の分子、又は3〜7個の環炭素の1個以上のモノサイクリック飽和炭化水素基で置換されているいかなる分子を意味する。
【0029】
シクロパラフィン官能基を有する分子、モノシクロパラフィン官能基を有する分子、及びマルチシクロパラフィン官能基を有する分子は、重量%で表示され、電界イオン化質量分析法(FIMS)、芳香族に対してはHPLC−UV、オレフィンに対してはプロトンNMRの組合せで決定されるが、さらに詳細に本明細書で記述される。
【0030】
オキシデーターBNは、模擬適用における潤滑油の応答を測定する。高い値、又は1リットルの酸素を吸収するのに長時間であるということは、安定性が良いことを示す。オキシデーターBNは、Dornte型酸素吸収装置(R.W.Dornte「ホワイトオイルの酸化(Oxidation of White Oils)」、Industrial and Engineering Chemistry、第28巻、26頁、1936年)により測定され得るが、1気圧の純酸素、340°Fで、油100gにより1000mlのOが吸収される時間が報告される。オキシデーターBN試験においては、油100g当たり、0.8mlの触媒が使用される。触媒は、使用後のクランクケース油の平均金属分析を模した可溶性の金属ナフテナートの混合物である。添加剤パッケージは、油100g当たり80ミリモルの亜鉛ビスポリプロピレンフェニルジチオフォスフェートである。
【0031】
分子の特性解析は、電界イオン化質量分析法(FIMS)及びn−d−M分析(ASTM D3238−95(2005年再認可))を含み、当業界に公知の方法で実行できる。FIMSにおいては、基油は、アルカン及び種々の数の不飽和を有する分子として特性づけられる。種々の数の不飽和を有する分子は、シクロパラフィン、オレフィン、及び芳香族を含み得る。芳香族をかなりの量で含む場合には、それらは4−不飽和として同定されよう。オレフィンをかなりの量で含む場合には、それらは1−不飽和として同定されよう。FIMS分析からの1−不飽和、2−不飽和、3−不飽和、4−不飽和、5−不飽和、及び6−不飽和の合計から、プロトンNMRによるオレフィンの重量%及びHPLC−UVによる芳香族の重量%を差し引くと、シクロオレフィン官能基を有する分子の全重量%となる。芳香族含量が測定されなかったときには、0.1重量%未満であると仮定し、シクロパラフィン官能基を有する分子の全重量%の計算には含めなかった。シクロパラフィン官能基を有する分子の全重量%は、モノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%とマルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の合計である。
【0032】
分子量は、ASTM D2503−92(2002年再認可)によって測定する。この方法は、蒸気圧(VPO)の熱電流測定を用いる。十分な試料体積が得られないときには、代替法として、ASTM D2502−94を使用してもよく、これが使用された場合は、表示される。
【0033】
密度は、ASTM D4052−96(2002年再認可)により測定する。試料が振動試料管に導入され、管の質量変化による振動周波数変化が、較正用データと関連させて試料の密度の決定のために使われる。
【0034】
オレフィンの重量%は、本明細書に示されたステップに従ってプロトンNMRにより決定できる。大部分の試験で、オレフィンは通常のオレフィン、すなわち、アルファ、ビニリデン、シス、トランス、及びトリ置換などの二重結合炭素に結合した水素を有するタイプのオレフィンの分布した混合物であり、検出されたオレフィンに対するアリルの積分比は、1と2.5の間である。この比が、3を超える場合は、トリ又はテトラ置換オレフィンの存在割合が高いことを示し、試料の二重結合の数の計算のためには、分析分野で公知の他の仮定がなされ得る。ステップは次のように進む。A)試験する炭化水素の重水素化クロロホルム中5〜10%の溶液を用意する。B)少なくとも12ppmのスペクトル幅で、化学シフト(ppm)軸の正確な参照を入れて、装置の受信機/ADCにオーバーロードを与えない信号を得るような十分なゲイン幅、例えば、30°のパルスが与えられる時に、65,000の最小信号ディジタル化ダイナミックレンジを有する装置を用いて、通常のプロトンスペクトルを得る。一実施形態では、装置は、少なくとも260,000のダイナミックレンジを有する。C)6.0〜4.5ppm(オレフィン);2.2〜1.9ppm(アリル);1.9〜0.5ppm(飽和)の間の積分強度を測定する。D)ASTM D2503−92(2002年再認可)によって測定される試験物質の分子量を使用して計算する:1.飽和炭化水素の平均分子式;2.オレフィンの平均分子式;3.全積分強度(=すべての積分強度の和);4.試料の水素1個当たりの積分強度(=全積分強度/式中の水素の数);5.オレフィン水素数(=オレフィンの積分/水素1個当たりの積分);6.二重結合の数(=オレフィン水素とオレフィンの式中の水素の数/2との積);及び7.プロトンNMRによるオレフィンの重量%=100x二重結合の数x典型的なオレフィン分子中の水素の数を典型的な試験物質分子中の水素の数で除したもの。この試験では、プロトンNMR計算手順によるオレフィンの重量%、Dは、オレフィンの割合が低く、15重量%未満の場合に特にうまく働く。
【0035】
一実施形態における芳香族の重量%は、HPLC−UVにより測定し得る。一実施形態では、試験は、Hewlett Packard 1050シリーズの4重グラジエント高分解能液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用い、HP 1050ダイオードアレイUV−Vis検出器をHP−Chem−stationと組み合わせて使用して実施される。高飽和度基油中の個々の芳香族クラスの同定は、UVスペクトルパターンと溶出時間に基づいてなし得る。この分析に用いられるアミノカラムは、芳香族分子を、主としてその環の数(又は二重結合の数)に基づいて区別する。このようにして、単環の芳香族を含む分子が最初に溶出し、分子当たりの二重結合数が増加する順でポリサイクリックの芳香族が続く。類似の二重結合性を有する芳香族に対しては、環上にアルキル置換基のみを有するものがナフテン性置換を有するものよりもより早く溶出する。種々の基油芳香族炭化水素を、それらのUV吸収スペクトルから曖昧さなく同定することは、その電子遷移ピークが、純粋なモデル化合物類似体に比べて、環系上のアルキル及びナフテン性置換の量に依存してすべて赤色シフトしていることを認識することにより達成し得る。溶出する芳香族化合物の定量は、化合物のそれぞれの一般化クラスに対して最適化した波長から得られたクロマトグラムをその芳香族に対する適切な保持時間窓にわたって積分することにより実施し得る。それぞれの芳香族クラスに対する保持時間窓の境界は、異なる時間に溶出する化合物のそれぞれの吸収スペクトルをマニュアルで評価すること及びモデル化合物の吸収スペクトルに対する定性的な類似性に基づいて、適切な芳香族クラスにそれをあてはめることにより決定できる。
【0036】
HPLC−UV検量線。一実施形態では、HPLC−UVを、非常に低水準であっても芳香族化合物のクラスを同定することに用い得るが、例えば、多環の芳香族は、単環の芳香族よりも典型的には10〜200倍強く吸収する。アルキル置換は、吸収に対して20%で影響する。272nmにおける同時に溶出する1環と2環の芳香族に対する積分限界は、垂直滴下法により実施可能である。それぞれの一般的芳香族クラスに対する波長依存応答ファクターは、最初に、置換芳香族類似体に対して最も近い吸収スペクトルピークに基づいて、純粋なモデル化合物混合物からのBeerの法則プロットを作製することにより決定できる。芳香族の重量%濃度は、それぞれの芳香族クラスに対する平均分子量が、全基油試料に対する平均分子量にほぼ等しいと仮定することにより計算できる。
【0037】
NMR分析。一実施形態では、精製したモノ芳香族標準中の少なくとも1種の芳香族官能を有するすべての分子の重量%は、長時間にわたる炭素13NMR分析により確認できる。NMRの結果は、高度に飽和した基油中の95〜99%の芳香族が単環の芳香族であることを知ることにより、芳香族炭素%から芳香族分子%へ(HPLC−UVとD2007とに矛盾のないように)変換できる。低水準の、少なくとも1つの芳香族官能基を有するすべての分子を正確に測定するためのNMRによる別の試験においては、10〜12mmのNaloracプローブを用いる400〜500MHzNMRでの15時間に及ぶ測定を用いて、最小の炭素感度500:1(ASTM 標準操作E386による)を与えるように、標準D 5292−99(2004年再認可)法を修正し得る。ベースラインの形を規定し、首尾一貫した積分を行うために、Acorn PC積分ソフトウエアを用いることができる。
【0038】
分枝度は、炭化水素中のアルキル分枝の数を指す。分枝と分枝位置は、以下の9段階プロセスに従って、炭素13(13C)NMRを用いて決定できる。1)DEPTパルスシークエンス(Doddrell,D.T.;D.T.Pegg;M.R.Bendall、Journal of Magnetic Resonance、1982年、第48巻、323頁以後)を用いるCH分枝中心及びCH分枝ターミネーションポイントを同定する。2)APTパルスシークエンス(Patt,S.L.;J.N.Shoolery、Journal of Magnetic Resonance、1982年、第46巻、535頁以後)を用いて複数個の分枝を開始する炭素(四級の炭素)がないことを確認する。3)当業界で公知の表としてまとめられ、計算されている値(Lindeman,L.P.、Journal of Qualitative Analytical Chemistry、第43巻、1971年、1245頁以後;Netzel,D.A.ら、Fuel,第60巻、1981年、307頁以後)を用いて、種々の分枝炭素の共鳴を特定の分枝位置と長さにあてはめる。4)メチル/アルキル基の特定の炭素の積分強度を1個の炭素の積分強度(これは、全積分強度/混合物中の分子当たりの炭素数、に等しい)と比較することにより、異なる炭素位置における相対的分枝密度を推定する。末端及び分枝のメチルの両方は同じ共鳴位置にあるが、2−メチル分枝に対しては、分枝密度を推定する前に強度を2で割る。4−メチル分枝分画が計算され表にされる場合には、二重カウントを避けるべく4+メチルに対するその寄与を差し引く。5)平均炭素数を計算する。平均炭素数は、試料の分子量を14(CHの式量である)で除すことにより決定される。6)分子当たりの分枝の数は、第4ステップで得られた分枝の合計である。7)炭素原子100個当たりのアルキル分枝の数は、分子当たりの分枝の数(ステップ6)x100/平均炭素数、から計算される。8)HNMR分析により分枝指数(BI)を推定する。これは、液体炭化水素組成物中のNMRにより推定された全水素のうち、メチル水素(化学シフト範囲が0.6〜1.05ppm)の割合として表される。9)13CNMRにより分枝近接度(BP)を推定する。これは、末端基又は分枝から4個又はそれ以上の炭素だけ離れている炭素(29.9ppmのNMR信号で表されるが)である繰り返し起こるメチレン炭素の、液体炭化水素組成物中のNMRにより推定された全炭素に対する割合として表される。測定は、いかなるフーリエ変換NMRスペクトル装置、例えば、7.0T又はそれ以上の磁石を有するものを用いて実行できる。質量分析、UV又はNMRサーベイで芳香族炭素が存在しないことを確認した後に、13CNMR試験でのスペクトル幅を、飽和炭素領域、TMS(テトラメチルシラン)に対して、0〜80ppmの領域に限定することができる。クロロホルム−d1中25〜50重量%の溶液を30°パルスで励起し、1.3秒(sec.)の採取時間が続く。不均一な強度データを最小にするために、励起パルスに先立って6秒間の遅れの間、及び採取時間の間、広幅プロトン逆ゲートデカップリングを用いる。最高強度での観測を確保するために、0.03〜0.05MのCr(acac)(トリス(アセチルアセトナート)−クロミウム(III))を、緩和剤として試料にドープする。Varian又はBrukerの操作マニュアルに記載されているわずかな変更で文献の記述に従って、DEPT及びAPTシークエンスが実行できる。DEPTは、分極移動による無ひずみ強調(Distortionless Enhancement by Polarization Transfer)である。DEPT45シークエンスは、プロトンに結合しているすべての炭素の信号を与える。DEPT90は、CH炭素のみを示す。DEPT135はCH及びCHアップ及びCH180°位相外れ(ダウン)を示す。APTは、結合プロトン試験(attached proton test)であり、当業界では公知である。それはすべての炭素を観測できるようにするが、CH及びCHがアップの場合は、四級炭素とCHはダウンである。試料の分枝特性は、13CNMRにより、計算において全試料がイソパラフィン性(iso−paraffinic)であるという仮定を用いて決定できる。不飽和含量は、電界イオン化質量分析法(FIMS)を用いて測定し得る。
【0039】
一実施形態では、油圧作動油組成物は、組成物の全重量に基づいて、80〜99.999重量%の量での基油又は基油ブレンドのマトリックス中に、0.001〜20重量%の任意の添加剤を含む。
【0040】
基油成分:一実施形態では、基油又はそのブレンドのマトリックスは、生成物それ自体、その分画、又は供給物が、フィッシャー・トロプシュ法からのワックス状供給物から由来するか又はその異性化によりある段階で作製される異性化基油(「フィッシャー・トロプシュ由来の基油」)を少なくとも含む。別の実施形態では、基油は、実質的にパラフィン性ワックス供給物(「ワックス状供給物」)から作製された異性化基油を少なくとも含む。
【0041】
フィッシャー・トロプシュ由来の基油は、例えば、米国特許公報第6080301号明細書、第6090989号明細書、及び第6165949号明細書、及び米国特許出願公開第2004/0079678号明細書、第2005/0133409号明細書、第2006/0289337号明細書を含み、数多くの特許公報に開示されている。フィッシャー・トロプシュ法は、一酸化炭素と水素が、軽い反応生成物及びワックス状反応生成物、そのどちらもが本質的にパラフィン性であるが、を含む種々の形態の液体炭化水素に変換される、触媒化学反応である。
【0042】
一実施形態では、異性化基油は、連続した炭素原子数を有し、n−d−M法により、10重量%未満のナフテン炭素を有する。さらに別の実施形態では、ワックス状供給物から作製された異性化基油は、1.5〜3.5mm/sの間の100℃における動粘度を有する。
【0043】
一実施形態では、異性化基油は、基油が、a)少なくとも1種の芳香族官能基を有するすべての分子の重量%が0.30未満;b)少なくとも1種のシクロパラフィン官能基を有するすべての分子の重量%が10を超える;c)マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比が、20を超える;及びd)粘度指数が、28xLn(100℃における動粘度)+80を超えるのに十分な条件下で、水素異性化脱ろうステップが実行される方法により作製される。
【0044】
他の実施形態では、異性化基油は、希金属水素化成分を含む、形状選択性中間孔径分子ふるいを用いて、及び600〜750°F(315〜399℃)の条件下で、高度にパラフィン性のワックスが、水素異性化される方法から作製される。この方法では、ワックス供給物中の700°F(371℃)より上の沸点の化合物の、700°F(371℃)より下の沸点の化合物への変換が、10重量%と50重量%の間に維持されるように、水素異性化ステップの条件が制御される。得られる異性化基油は、100℃における動粘度が1.0と3.5mm/sの間、及びノアック揮発分が50重量%未満である。基油は、シクロパラフィン官能基を有する分子を3重量%を超えて、芳香族を0.30重量%未満で含む。
【0045】
一実施形態では、異性化基油は、ノアック揮発分が次の式:1000x(100℃における動粘度)−2.7で計算される量未満である。別の実施形態では、異性化基油は、ノアック揮発分が次の式:900x(100℃における動粘度)−2.8で計算される量未満である。第3の実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が>1.808mm/sであり、ノアック揮発分が次の式:1.286+20(kv100)−1.5+551.8e−kv100で計算される量未満である。ここで、kv100は、100℃における動粘度である。第4の実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が4.0mm/s未満であり、重量%ノアック揮発分が0と100の間である。第5の実施形態では、異性化基油は、動粘度が1.5と4.0mm/sの間であり、ノアック揮発分が次の式:160−40(100℃における動粘度)で計算されるノアック揮発分未満のノアック揮発分を有する。
【0046】
一実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が2.4と3.8mm/sの範囲であり、ノアック揮発分が式:900x(100℃における動粘度)−2.8−15で規定される量未満を有する。2.4と3.8mm/sの範囲の動粘度に対しては、式:900x(100℃における動粘度)−2.8−15は、式:160−40(100℃における動粘度)よりも低いノアック揮発分を与える。
【0047】
一実施形態では、基油が、3.6〜4.2mm/sの100℃における動粘度、130を超える粘度指数、12未満の重量%ノアック揮発分、−9℃未満の流動点を有する条件下で、高度にパラフィン性のワックスが水素異性化される方法から、異性化基油は作製される。
【0048】
一実施形態では、異性化基油は、°Fで200を超え、式:36xLn(mm/sでの100℃における動粘度)+200、により規定される量未満又は等しいアニリン点を有する。
【0049】
一実施形態では、異性化基油は、式:℃でのAIT=1.6x(mm2/sでの40℃における動粘度)+300、で規定されるAITを超える自己発火温度(AIT)を有する。第2の実施形態では、基油は、329℃を超えるAIT及び28xLn(mm/sでの100℃における動粘度)+100を超える粘度指数を有する。
【0050】
一実施形態では、異性化基油は、比較的低いトラクション係数を有し、特には、そのトラクション係数は、式:トラクション係数=0.009xLn(mm/sでの動粘度)−0.001で計算される量未満であり、式中、動粘度は、トラクション係数測定中の動粘度であって、2と50mm/sの間である。一実施形態では、異性化基油は、動粘度が15mm/sで、回転に対するスライドの比が40%で測定された場合、0.023未満(又は0.021未満)のトラクション係数を有する。他の実施形態では、異性化基油は、動粘度が15mm/sで、回転に対するスライドの比が40%で測定された場合、0.017未満のトラクション係数を有する。別の実施形態では、異性化基油は、動粘度が15mm/sで、回転に対するスライドの比が40%で測定された場合、150を超える粘度指数、及び0.015未満のトラクション係数を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、低いトラクション係数を有する異性化基油はまた、より高い動粘度及びより高い沸点を示す。一実施形態では、基油は、0.015未満のトラクション係数を有し、50重量%沸点は、565℃(1050°F)を超える。他の実施形態では、基油は、0.011未満のトラクション係数を有し、ASTM D6352−04による50重量%沸点は、582℃(1080°F)を超える。
【0052】
いくつかの実施形態では、低いトラクション係数を有する異性化基油はまた、分枝指数が23.4未満か等しく、分枝近接値が22.0を超えるか等しく、及び自由炭素指数が9と30の間であることを含む、NMRによる独特の分枝特性を示す。一実施形態では、基油は、少なくとも4重量%のナフテン炭素を有し、別の実施形態では、ASTM D3238−95(2005年再認可)によるn−d−M分析により、少なくとも5重量%のナフテン炭素を有する。
【0053】
一実施形態では、中間体油異性化体が、炭素原子100個当たり7アルキル分枝未満の分枝度であるパラフィン性炭化水素成分を含み、及び基油が、炭素原子100個当たり8アルキル分枝未満の分枝度であり、アルキル分枝の20重量%未満が2位にあるようなパラフィン性炭化水素成分を含むような方法で、異性化基油が作製される。一実施形態では、FT基油は、−8℃未満の流動点;少なくとも3.2mm/sの100℃における動粘度;及び式:=22xLn(100℃における動粘度)+132で計算される粘度指数を超える粘度指数を有する。
【0054】
一実施形態では、基油は、10重量%を超え70重量%未満の、シクロパラフィン官能基を有する全分子を含み、及び15よりも大きい、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比を有する。
【0055】
一実施形態では、異性化基油は、600と1100の間の平均分子量、及び炭素原子100個当たり6.5と10個の間のアルキル分枝の分子内平均分枝度を有する。別の実施形態では、異性化基油は、約8と約25mm/sの間の動粘度及び炭素原子100個当たり6.5と10個の間のアルキル分枝の分子内平均分枝度を有する。
【0056】
一実施形態では、異性化基油は、供給物に対する水素の比が712.4〜3562リットル水素/リットル油で、高度にパラフィン性のワックスが水素異性化される方法で入手されるが、その結果、基油は、10を超える、シクロパラフィン官能基を有する分子の全重量%及び15を超える、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比を有する。他の実施形態では、基油は、式:28xLn(100℃における動粘度)+95で規定される量を超える粘度指数を有する。第3の実施形態では、基油は、芳香族の重量%が0.30未満であり;シクロパラフィン官能基を有する分子の重量%が10を超え;マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比が20を超え;粘度指数が28xLn(100℃における動粘度)+110を超える。第4の実施形態では、基油はさらに、100℃における動粘度が6mm/sを超える。第5の実施形態では、基油は、芳香族の重量%が0.05未満であり、28xLn粘度指数が(100℃における動粘度)+95を超える。第6の実施形態では、基油は、芳香族の重量%が0.30未満であり、シクロパラフィン官能基を有する分子の重量%がmm/sでの100℃における動粘度の3倍を超え、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の比が15を超える。
【0057】
一実施形態では、異性化基油は、n−d−M法で測定して2と10%の間のナフテン炭素を含む。一実施形態では、基油は、100℃における動粘度が1.5〜3.0mm/sであり、ナフテン炭素が2〜3%である。他の実施形態では、動粘度が100℃において1.8〜3.5mm/sであり、及びナフテン炭素が2.5〜4%である。第3の実施形態では、動粘度が100℃において3〜6mm/sであり、及びナフテン炭素が2.7〜5%である。第4の実施形態では、動粘度が100℃において10〜30mm/sであり、及びナフテン炭素が5.2%を超える。
【0058】
一実施形態では、異性化基油は、475を超える平均分子量;140を超える粘度指数、及び10未満のオレフィンの重量%を有する。基油は、油圧作動油組成物に組み込まれた場合、混合物の空気抜け及び低泡立ち特性を改善する。
【0059】
一実施形態では、異性化基油は、米国特許公報第7,214,307号明細書及び米国特許出願公開第2006/0016724号明細書に開示されているように、ホワイトオイルである。一実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が約1.5センチストークス(cSt)と36mm/sの間であり、粘度指数が式:粘度指数=28xLn(100℃における動粘度)+95により計算される量を超え、シクロパラフィン官能基を有する分子が5と18未満の間の重量%であり、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子1.2重量%未満、0℃未満の流動点及び+20又はそれを超えるセイボルト色を有する。
【0060】
一実施形態では、油圧作動油組成物は、上述した異性化基油の少なくとも1種からなる基油を用いる。他の実施形態では、組成物は、本質的に少なくともフィッシャー・トロプシュ基油を含む。さらに別の実施形態では、基油マトリックスは、少なくとも1種のフィッシャー・トロプシュ基油及び場合によっては、5〜95重量%(基油マトリックスの重量に基づいて)の少なくとも1種の他のタイプの油、例えば、API交換ガイドライン中で規定されているグループI、II、III、IV、及びVの潤滑基油、及びこれらの混合物から選択される潤滑基油を用いる。例としては、適用に依存するが、通常使われる鉱物油、合成炭化水素油若しくは合成エステル油、又はこれらの混合物が含まれる。鉱物潤滑基油ストックは、パラフィン、ナフテン、及び混合ベース粗油から由来する通常のいかなる精製ベースストックでもよい。使用し得る合成の潤滑油には、グリコールのエステル及び複合エステルが含まれる。使用し得る他の合成オイルには、ポリアルファオレフィンなどの合成の炭化水素;アルキルベンゼン、例えば、テトラプロピレン又はエチレンとプロピレンとのコポリマーでのベンゼンのアルキル化からのアルキル化底部分;シリコンオイル、例えば、エチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン等;ポリグリコールオイル、例えば、ブチルアルコールのプロピレンオキシドとの縮合反応により得られるもの;等を含む。他の適切な合成油には、ポリフェニルエーテル、例えば、3〜7のエーテル結合及び4〜8のフェニル基を有するものが含まれる。他の適切な合成油には、ポリイソブテン、及びアルキル化ナフタレンなどのアルキル化芳香族が含まれる。
【0061】
一実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が6mm/sと20mm/sの間であり、40℃における動粘度が30mm/sと120mm/sの間であり、粘度指数が150と165の間であり、コールドクランク粘度が−30℃で3,000〜50,000mPa.s、−25℃で2,000〜20,000mPa.sの範囲であり、流動点が−2〜−20℃の範囲であり、分子量が500〜700であり、密度が0.820〜0.840の範囲であり、パラフィン炭素が92〜95%の範囲であり、ナフテン炭素が5〜8%の範囲であり、オキシデーターBNが30〜50時間であり;オキシデーターBNが0.50〜5の重量%であるFT基油である。
【0062】
一実施形態では、異性化基油は、0.001〜0.05重量%の間の少ない芳香族、及び600を超えるASTM D2503−92(2002年再認可)による分子量、及び0〜0.10重量%のオレフィンを有する。他の実施形態では、異性化基油は、650を超える分子量を有する。第3の実施形態では、異性化基油は、シクロパラフィン官能基を有する全分子の重量%が25を超え、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の比が10を超える。
【0063】
追加の成分:油圧作動油組成物は、シール膨張添加剤がほんの少し又はまったく加えられていなくてもシールに対して最小の効果を有するとして特徴づけられる。一実施形態では、シール膨張添加剤を、場合によっては、既存の技術の水準に比べて、0.01〜1重量%の減少した量で加えてもよい。別の実施形態では、シール膨張添加剤の水準は、0.5重量%未満である。当業界で公知の、任意選択されるシール膨張剤の例としては、ジオクチルフタレート、三級ジアミド、ジオクチルセバケート、ポリオールエステル、分岐鎖のカルボン酸エステル及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0064】
一実施形態では、油圧作動油組成物はさらに、0.001〜6重量%の少なくとも1種の粘度指数調節剤を含む。一実施形態では、使用される粘度指数調節剤は、ポリアクリレート又はポリメタクリレート並びにビニル芳香族単位及びエステル化カルボキシル含有単位を含むポリマーから選択される調節剤の混合物である。一実施形態では、第1の粘度調節剤は、10,000〜60,000の平均分子量を有するポリアクリレート又はポリメタクリレートである。他の実施形態では、第2の粘度調節剤は、100,000〜200,000の平均分子量を有するビニル芳香族単位及びエステル化カルボキシル含有単位を含む。
【0065】
他の実施形態では、粘度調節剤は、25,000〜150,000の重量平均分子量及び5未満のせん断安定性指数を有するポリメタクリレート粘度指数改善剤と500,000〜1,000,000の重量平均分子量及び25〜60のせん断安定性指数を有するポリメタクリレート粘度指数改善剤とのブレンドである。さらに他の実施形態では、粘度調節剤は、ポリメタクリレートタイプのポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、水和スチレン−イソプレンコポリマー、ポリイソブチレン、及びこれらの混合物の群から選択される。
【0066】
一実施形態では、油圧作動油組成物はさらに、少なくとも1種の界面活性剤、又は分散剤としても知られているものを含むが、それは、陰イオン性、陽イオン性、両イオン性、又は非イオン性として一般に分類され得る。いくつかの実施形態では、分散剤は、単独で又は1種又は複数の分散剤の種又はタイプの組合せで使用し得る。例としては、コハク酸イミド分散剤、コハク酸エステル分散剤、コハク酸エステル−アミド分散剤、マンニッヒ塩基分散剤、これらのリン酸化物、及びこれらのホウ素化物からなる群から選択される油溶性分散剤が含まれる。分散剤は、二級のアミノ基と反応し得る酸性の分子でキャップされることができる。炭化水素基の分子量は600〜3000の範囲、例えば、750〜2500、及びさらなる例としては900〜1500の範囲であり得る。一実施形態では、分散剤は、アルケニルコハク酸イミド、他の有機化合物で修飾されたアルケニルコハク酸イミド、炭酸エチレン若しくはホウ酸での後処理により修飾されたアルケニルコハク酸イミド、ペンタエリスリトール、フェネート−サリシレート及び後処理された類似体、アルカリ金属若しくは混合アルカリ金属、アルカリ土類金属ホウ酸塩、水和ホウ酸アルカリ金属の分散物、ホウ酸アルカリ土類金属の分散物、ポリアミド無灰分散剤、など又はこれらの分散剤の混合物の群から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、無灰分散剤としては、ポリエチレンポリアミン、例えば、トリエチレンテトラミン又はテトラエチレンペンタミン、と、ポリイソブテンなどの適切な分子量のポリオレフィンと例えば、マレイン酸無水物、マレイン酸、フマル酸など、2種又は複数のそのような物質との混合物を含んで、不飽和のポリカルボン酸又は無水物との反応により作製された、炭化水素置換されたカルボン酸又は無水物との、反応生成物を含み得る。他の実施形態では、無灰分散剤は、ホウ酸を混ぜた分散剤である。ホウ酸を混ぜた分散剤は、コハク酸イミド分散剤、コハク酸アミド分散剤、コハク酸エステル分散剤、コハク酸エステル−アミド分散剤、マンニッヒ塩基分散剤、又はヒドロカルビルアミン若しくはポリアミン分散剤などの、分子中に塩基性の窒素及び/又は少なくとも1個の水酸基を有する無灰分散剤を、ホウ素化する(ホウ酸塩を混ぜる)ことにより形成し得る。
【0068】
一実施形態では、油圧作動油はさらに、1種又は複数種の金属界面活性剤を含む。金属界面活性剤の例としては、アルカリ又はアルカリ土類金属と1種又は複数種の以下の酸性物質(又はその混合物)との中性又は過塩基の油溶性塩を含む。:(1)スルホン酸、(2)カルボン酸、(3)サリチル酸、(4)アルキルフェノール、(5)硫化アルキルフェノール、及び(6)ホスホネートなどの、少なくとも1本の炭素−リンの直接結合で特徴づけられる有機亜リン酸。そのような有機亜リン酸としては、オレフィンポリマー(例えば、分子量1,000のポリイソブチレン)を、三塩化リン、七硫化リン、五硫化リン、三塩化リンと硫黄、白リンと硫化ハライド、又はホスホロチオ酸クロリドなどのリン酸化剤で処理して調製されるものを含み得る。さらに別の実施形態では、金属界面活性剤は、硫化又は非硫化アルキル又はアルケニルフェネート、アルキル又はアルケニル芳香族スルホネート、ホウ酸化スルホネート、マルチヒドロキシアルキル又はアルケニル芳香族化合物の硫化又は非硫化金属塩、アルキル又はアルケニルヒドロキシ芳香族スルホネート、硫化又は非硫化アルキル又はアルケニルナフテナート、アルカン酸の金属塩、アルキル又はアルケニル多価酸の金属塩、及びこれらの化学的及び物理的混合物の群から選択される。
【0069】
一実施形態では、油圧作動油はさらに、チアゾール、トリアゾール及びチアジアゾールから選択される腐食防止剤を少なくとも含む。そのような化合物の例としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、オクチルトリアゾール、デシルトリアゾール、ドデシルトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルチオ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルジチオ−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ヒドロカルビルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、及び2,5−ビス(ヒドロカルビルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールを含む。適切な化合物としては、1,3,4−チアジアゾール、その多くは市販品として入手可能であるが、及びまた、トリルトリアゾールなどのトリアゾールと2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールなどの1,3,5−チアジアゾールとの組合せも含む。1,3,4−チアジアゾールは、一般に、ヒドラジンと二硫化炭素とから公知の手順で合成される。例えば、米国特許第2,765,289号;第2,749,311号;第2,760,933号;第2,850,453号;第2,910,439号;第3,663,561号;第3,862,798号;及び第3,840,549号の各明細書を参照。
【0070】
一実施形態では、油圧作動油組成物はさらに、モノカルボン酸及びポリカルボン酸の群から選択される、錆又は腐食防止剤を含む。適切なモノカルボン酸の例は、オクタン酸、デカン酸及びドデカン酸である。適切なポリカルボン酸は、トールオイル脂肪酸、オレイン酸、リノレイン酸、等のような酸から作製される二量体及び三量体の酸を含む。他の有用なタイプの錆防止剤は、アルケニルコハク酸及びアルケニルコハク酸無水物錆防止剤、例えば、テトラプロペニルコハク酸、テトラプロペニルコハク酸無水物、テトラデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸無水物等、を含んでもよい。また有用なのは、アルケニル基中に8〜24個の炭素原子を有するアルケニルコハク酸のポリグリコールのようなアルコールとのハーフエステルである。他の適切な錆又は腐食防止剤としては、エーテルアミン;酸フォスフェート;アミン;エトキシ化アミン、エトキシ化フェノール、及びエトキシ化アルコールのようなポリエトキシ化化合物;イミダゾリン;アミノコハク酸又はその誘導体等を含む。そのような錆又は腐食防止剤の混合物も使用し得る。錆防止剤の他の例としては、ポリエトキシ化フェノール、中性硫酸カルシウム及び塩基性硫酸カルシウムを含む。
【0071】
一実施形態では、油圧作動油はさらに、コハク酸イミド、ビスコハク酸イミド、アルキル化脂肪族アミン、エトキシ化脂肪族アミン、アミド、グリセロールエステル、イミダゾリン、脂肪族アルコール、脂肪酸、アミン、ホウ酸塩を混ぜたエステル、その他のエステル、フォスフェート、フォスファイト、ホスホネート、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の摩擦調節剤を含む。
【0072】
一実施形態では、油圧作動油組成物はさらに、少なくとも1種の耐摩耗添加剤を含む。そのような剤の例としては、フォスフェート、カーバメート、エステル、及びモリブデン錯体が含まれるが、これらに限られるわけではない。一実施形態では、耐摩耗添加剤は、亜鉛ジアルキルジチオフォスフェート(ZDPP)、アルキルフォスファイト、トリアルキルフォスファイト、並びにジアルキル及びモノアルキルリン酸のアミン塩の群から選択される。
【0073】
一実施形態では、組成物はさらに、様々あるが、フェノール性抗酸化剤、芳香族アミン抗酸化剤、硫化フェノール性抗酸化剤、及び有機フォスファイトの群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤を含み得る。フェノール性抗酸化剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、t−ブチル化フェノールの液体混合物、2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール、混合メチレン橋かけポリアルキルフェノール、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ジーt−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール、2,6−ジ−t−1−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−10−ブチルベンジル)−スルフィド、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、2,2’−5−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、N,N’−ジ−sec−ブチルフェニレンジアミン、4−イソプロピルアミノジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、及び環アルキル化ジフェニルアミンが含まれる。例としては、立体障害のあるt−ブチル化フェノール類、ビスフェノール、及び桂皮酸誘導体及びこれらの組合せが含まれる。さらに他の実施形態では、抗酸化剤は、少なくとも1本の炭素−リンの直接結合を有する有機ホスホネートである。ジフェニルアミンタイプの酸化阻害剤は、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、及びアルキル化−α−ナフチルアミンを含むが、これらに限られるわけではない。他のタイプの酸化阻害剤は、金属ジチオカルバメート(例えば、亜鉛ジチオカルバメート)、及び15−メチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)を含む。
【0074】
一実施形態では、油圧作動油は、場合によっては、流動点降下剤を含まないブレンドの流動点よりも、油圧作動油の流動点を、少なくとも3℃低くするのに十分な量の流動点降下剤を含む。流動点降下剤は、当業界で公知であり、マレイン酸無水物−スチレンコポリマーのエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ハロパラフィンワックスと芳香族化合物との縮合生成物、ビニルカルボキシレートポリマー、並びにジアルキルフマレート、脂肪酸のビニルエステル、エチレン−酢酸ビニルのコポリマー、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合樹脂、アルキルビニルエーテル、オレフィン性コポリマー及びこれらの混合物の三元重合体が含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0075】
一実施形態では、流動点降下剤は、流動点低下性ブレンド成分である。一実施形態では、流動点低下性ブレンド成分の流動点降下剤は、異性化されたフィッシャー・トロプシュ由来の減圧蒸留底部生成物であり、これは、分子中に特定の程度のアルキル分枝をもたらすように制御された条件下で、異性化された高沸点合成原油分画である。フィッシャー・トロプシュ法から調製された合成原油は、種々の固体、液体及びガス状の炭化水素の混合物を含んでいる。フィッシャー・トロプシュワックスが、水素処理及び蒸留などの、種々の方法でフィッシャー・トロプシュ基油に変換された場合、作製された基油は、異なる狭い留分の粘度範囲に入る。減圧カラムから潤滑基油留分が回収された後に残る底部は、一般に、潤滑基油それ自体としての使用には適してはおらず、通常、より低分子量生成物に変換するために水素化分解ユニットにリサイクルされる。
【0076】
一実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、600と1100の間の平均分子量及び炭素原子100個当たり6.5と10個の間のアルキル分枝の分子内平均分枝度を有する、異性化されたフィッシャー・トロプシュ由来の減圧蒸留底部生成物である。一般に、より高分子量の炭化水素は、より低分子量の炭化水素よりも流動点低下性ブレンド成分としてより有効である。一実施形態では、流動点低下性ブレンド成分の調製のために、より高沸点底部材料を与える減圧蒸留ユニットにおけるより高い留分点が用いられる。より高い留分点はまた、蒸留基油分画のより高収率を与えるので有利でもある。一実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、それがブレンドされる蒸留基油の流動点よりも、少なくとも3℃高い流動点を有する異性化されたフィッシャー・トロプシュ由来の減圧蒸留底部生成物である。
【0077】
一実施形態では、減圧蒸留の底部生成物である流動点低下性ブレンド成分の沸点範囲の10%点は、約850°F〜1050°F(454〜565℃)の間にある。他の実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、約950°F(510℃)の沸点範囲を有する、フィッシャー・トロプシュ又は石油生成物のいずれかから誘導され、重量で少なくとも50%のパラフィンを含む。さらに他の実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、1050°F(565℃)より高い沸点範囲を有する。
【0078】
一実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、約1050°Fより高い沸点範囲を有する、異性化石油由来の基油を含む材料である。一実施形態では、異性化底部材料は、流動点低下性ブレンド成分として使用される前に、溶媒脱ろうされる。流動点低下性ブレンド成分からの溶媒脱ろうステップ中にさらに分離されたワックス状生成物は、溶媒脱ろうステップ後に回収された油性の生成物に比べて非常に改善された流動点降下特性を示すことが見出された。
【0079】
一実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、炭素原子100個当たり6.5〜10アルキル分枝の範囲内の分子内平均分枝度を有する。他の実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、600〜1100の間の平均分子量を有する。第3の実施形態では、700〜1000の間である。一実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、8〜30mm/sの100℃における動粘度を有し、底部の沸点範囲の10パーセント点は、約850°F〜1050°Fの間にある。さらに他の実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、15〜20mm/sの100℃における動粘度を有し、流動点は−8から−12℃である。
【0080】
一実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、ポリエチレンプラスチックから作製された、少なくとも約8mm/sの100℃における動粘度を有する異性化油である。他の実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、廃プラスチックから作製される。さらに他の実施形態では、流動点低下性ブレンド成分は、ポリエチレンプラスチックの熱分解、重分画の分離、重分画の水素化処理、水素化処理した重分画の触媒異性化、及び少なくとも約8mm/sの100℃における動粘度を有する流動点低下性ブレンド成分の収集を含むプロセスから作製される。一実施形態では、ポリエチレンプラスチック由来の流動点低下性ブレンド成分は、1050°F(565℃)より高い沸点範囲を有し、さらには、1200°F(649℃)より高い沸点範囲を有しさえする。
【0081】
一実施形態では、油圧作動油は、少なくとも、極圧耐摩耗剤(EP/AW剤)をさらに含む。例としては、ジアルキル−1−ジチオリン酸亜鉛(一級アルキル、二級アルキル、及びアリール型)、ジフェニルスルフィド、メチルトリクロロステアレート、クロル化ナフタレン、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛、中和フォスフェート、ジチオフォスフェート、及び硫黄を含まないフォスフェートを含む。
【0082】
油圧作動油はまた、上述した添加剤に加えて通常の添加剤を含んでもよい。例としては、着色剤、ジサリチリデンプロピレンジアミン、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、及びメルカプトベンツイミダゾールなどの金属不活性化剤、アルキルメタクリレートポリマー及びジメチルシリコーンポリマーなどの消泡及び脱泡添加剤、及び/又は空気排出添加剤が含まれるが、これらに限られるわけではない。そのような添加剤は、例えば、粘度測定的に多等級官能基を与えるために加えられてもよい。
【0083】
一実施形態では、追加の成分が、元の装置製造業者の油圧作動油に対する要求、例えば、実験台及び動力計試験に合格し得る性能を油圧作動油に与えること、に合致するように完全に調剤して、完全調剤済み添加剤パッケージとして添加される。使用されるパッケージは、部分的には、潤滑組成物を収納する特定の装置の要求に依存する。油圧作動油中に使用された添加剤及び添加剤パッケージの例は、米国特許第5,635,459号明細書及び第5,843,873号明細書に開示されている。一実施形態では、添加剤パッケージは、その他の材料と共に、12%(例えば、1.41%)のカルシウム過塩基スルホネート界面活性剤などの金属含有界面活性剤;12%(例えば、1.69%)の亜鉛ジアルキルジチオフォスフェートなどの抗酸化剤又は抗摩耗剤;0.5〜2%(例えば、1.03%)の摩擦調節剤;及び0.1〜2%(例えば、0.25%)の、コハク酸イミド分散剤などの窒素含有分散剤を含む。所望ならば、その他の通常の成分が存在してもよい。
【0084】
作製方法:油圧作動油組成物の調剤に使用される添加剤は、基油マトリックス中に個別に又は種々の副組合せの形でブレンドすることができ、次いで油圧作動油を形成させる。一実施形態では、成分のすべては、添加剤濃縮物(すなわち、添加剤に炭化水素溶媒などの希釈剤を加えて)を用いて同時にブレンドする。添加剤濃縮物を使用すると、添加剤濃縮物の形態を用いた場合に、成分を組み合わせることにより得られる相互の相容性を活用できる。
【0085】
一実施形態では、油圧作動油組成物は、約60℃などの適切な温度で、均一になるまで、基油マトリックスを別々の添加剤又は添加剤パッケージ(単数又は複数)とを混合することにより調製される。特性:油圧作動油組成物に使用された場合、異性化基油は、ASTM D471−06、「ゴムの特性の標準法―液体の効果(Standard Method for Rubber Property− Effect of Liquids)」に準拠して試験したとき、シールの膨張(体積変化)及び油圧系をシールするために通常使用されるタイプの弾性シールの調整を提供する。一実施形態では、油圧作動油組成物は、ASTM D471−06(SRE NBRl 100℃、168時間)で試験したとき、ゴムシールにおける平均体積変化(膨張増加)が−0.50%〜3%未満、及びゴムシールにおける平均硬度変化が1pts未満となることで特徴づけられる。別の実施形態では、組成物は、平均ゴムシール体積変化が−0.30%から2%未満、及び平均硬度変化が0.50pts未満となる。第3の実施形態では、油圧作動油組成物は、ASTM D471−06(SRE NBRl 100℃、168時間)で試験したとき、ゴムシールにおける平均体積変化が1.75%未満、及びゴムシールにおける平均硬度変化が0.3pts未満となる。
【0086】
一実施形態では、油圧作動油組成物は、粘度指数(VI)が少なくとも140であり、広範囲の温度での使用に対して、非常に安定であるとして特徴づけられる。他の実施形態では、油圧作動油は、少なくとも150のVIを有する。第3の実施形態では、VIは少なくとも160である。
【0087】
一実施形態では、油圧作動油組成物は、耐火性油圧作動油の使用の要求のある適用、例えば、フラッシュ点が少なくとも270℃であるパワープラントで発電機を運転するための電力油圧制御における使用に対して、特に適しているとして特徴づけられる。第2の実施形態では、油圧作動油は、少なくとも280℃のフラッシュ点を有する。一実施形態では、油圧作動油組成物は、少なくとも360℃の自己発火温度を有する。
【0088】
一実施形態では、油圧作動油組成物は、ASTM D972−02に従って測定して、149℃で22時間後に1質量%未満の蒸発損失を有し、例外的に低い揮発分を有するとして特徴づけられ、従って操作に用いられた時により少ない準備作業しか必要としない。他の実施形態では、組成物は、0.5質量%未満の蒸発損失を示す(ASTM D972−02に従い、149℃で22時間)。
【0089】
一実施形態では、フィッシャー・トロプシュ由来の基油などの異性化基油を本質的に含む基油マトリックスを有する油圧作動油組成物は、本質的に生分解性である>30%から容易生分解性である>90%までの範囲の、OECD 301Dの水準を示す。一実施形態では、40℃における動粘度が<100mm/s(H)である基油マトリックスを有する油圧作動油組成物は、約30%のOECD 301D生分解性を示す。第2の実施形態では、40℃における動粘度が<40mm/s(M)である基油マトリックスを有する油圧作動油組成物は、約40%のOECD 301D生分解性を示す。第3の実施形態では、40℃における動粘度が<8mm/s(L)を有する基油マトリックスを有する油圧作動油組成物は、≧40%のOECD 301D生分解性を示す。第4の実施形態では、40℃における動粘度が<11mm/sである基油マトリックスを有する油圧作動油組成物は、約80%のOECD 301D生分解性を示す。第5の実施形態では、40℃における動粘度が<6mm/sである基油マトリックスを有する油圧作動油組成物は、>93%のOECD 301D生分解性を示す。
【0090】
適用:一実施形態では、油圧作動油組成物は、タービン、トラクター及び/又はオフハイウエイ移動装置を含んで、ただしこれらに限るわけではないが、潤滑されるべき装置の油圧作動油リザーバーに、次いで装置それ自体の可動部位へ供給される。可動部は、変速装置、油圧変速装置、ギアボックス、ドライブ、油圧系等を含む。
【0091】
以下の実施例は、本発明の態様を非制限的に例示するものとして与えられる。
【実施例】
【0092】
別に指定されない限り、実施例は、表に示した量で成分を混合して調製する。表1の実施例に使用された成分を以下に挙げる。
【0093】
FTBO基油:San Ramon,CAのChevron Corporationからである。実施例に使用したFTBO基油の特性を、表2に示す。
【0094】
UCBO(商標)7Rは、Chevron CorporationからのGroupIIIの基油である。Chevron 600Rは、Chevron CorporationからのGroupIIの基油である。Synfluid 6cStとSynfluid 8cStは、Chevron CorporationからのPAOである。Ashland 100SNとAshland 325SNは、溶媒中性の基油GroupIである。C Neut Oil 100Rと220Rは、Chevron Corporationからの中性油GroupIIである。
【0095】
粘度調節剤は、市場で入手できるポリアルキルメタクリレートコポリマーである。
【0096】
OLOA(商標)添加剤は、San Ramon,CAのChevron Oronite Corpからの、有灰油圧作動油添加剤パッケージ(亜鉛ジアルキルジチオフォスフェートを含む)である。
【0097】
抗酸化剤Aは、アリールアミンとフェノール性抗酸化剤との市場で入手できる混合物である。
【0098】
EP/AW添加剤&腐食阻害剤は、極圧/抗摩耗剤としての使用のためのアミンフォスフェートと錆防止添加剤との市場で入手できる混合物である。
【0099】
金属不活性化剤は、市場で入手できるトルトリアゾール誘導体である。
【0100】
流動点降下剤は、市場で入手できるポリアルキルメタクリレートである。
【0101】
例1〜5は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含む添加剤パッケージの使用を伴う有灰タイプの調剤である。例6〜10は、無灰調剤である。例5と10(共に、FTBO油を使用)を比較すると、例5は、より少ないマルチシクロパラフィンを有する高度にパラフィン性のワックスである、フィッシャー・トロプシュワックスのみから作製されたFTBO油を使用している。例10は、フィッシャー・トロプシュと石油ワックスの混合物から作製されたFTBO油を使用している。
【0102】
本明細書及び附属の特許請求項の目的のためには、別に示されない限り、量、パーセント又は割合、及び本明細書及び特許請求項において使用されている他の数値を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という語により修飾されていると理解されるべきである。したがって、これとは反対に示されない限り、以下の明細書及び附属の特許請求項において示した数値パラメーターは、得たいと求めている所望の特性及び/又はその値を測定する装置の精度に依存して変化してもよい近似値である。さらに、本明細書で開示されているすべての範囲は、両端を含み、それぞれ独立に組み合わせ得る。一般に、別に示されない限り、単数要素は、一般性を失うことなく、複数でもあり得るし、その逆でもあり得る。本明細書に使用される場合、「含む」という用語及びその文法的な変形は、非制限的なものであることを意図しており、それゆえ、リストに挙げられている項目は、リストされた項目と置き換えたり加えたりし得る他の類似の項目を除外するためではない。
【0103】
この書かれた記述は、最善の方法を含んで、発明を開示するために、及び当業者が発明を生成し、利用することを可能とするために、実施例を用いている。権利化し得る範囲は、特許請求項により規定され、及び当業者が思いつく他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、それらが特許請求項の文言から変わらない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求項の文言から本質的でない差異を有する等価な構造要素を含む場合、特許請求項の範囲内であることを意図している。本明細書において参照したすべての引用は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【表1−1】


【表1−2】


【表2−1】


【表2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)80〜99.999重量%の潤滑基油;(ii)6重量%未満の粘度調節剤;及び(iii)0〜10重量%の少なくとも1種の添加剤パッケージを含む油圧作動油組成物であって、
前記潤滑基油は、連続した炭素原子数を有し、n−d−M法により、ナフテン炭素が10重量%未満であり、オレフィンが0.10重量%未満であり、芳香族が0.05重量%未満であり、ASTM D2503−92(2002年再認可)による分子量が600を超え、シクロパラフィン官能基を有する全分子の重量%が25を超え、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の比が10を超え;
ASTM D471−06(SRE NBRl 100℃、168時間)で試験したとき、ゴムシールにおける平均体積変化が3%未満、ゴムシールにおける平均硬度変化が1pts未満となる、上記油圧作動油組成物。
【請求項2】
ASTM D471−06(SRE NBRl 100℃、168時間)で試験したとき、ゴムシールにおける平均体積変化が1.75%未満となり、ゴムシールにおける平均硬度変化が0.3pts未満となる、請求項1に記載の油圧作動油組成物。
【請求項3】
1重量%未満のシール膨張添加剤を含む、請求項1から2までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項4】
0.001〜6重量%の粘度調節剤を含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項5】
少なくとも150の粘度指数(VI)、少なくとも270℃のフラッシュ点、及び少なくとも360℃の自己発火温度を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項6】
ASTM D972−02に準拠して測定した、149℃で22時間後の蒸発損失が1質量%未満である、請求項1から5までのいずれか一項までに記載の油圧作動油組成物。
【請求項7】
潤滑基油は、分子量が500〜750であり、100℃における動粘度が1〜15mm/sの範囲であり、ノアック揮発分が式:900x(100℃における動粘度)−2.8−15で規定される量未満である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項8】
潤滑基油は、平均分子量が600から1100の間であり、分子内平均分枝度が炭素原子100個当たり6.5から10個の間のアルキル分枝であるものである、請求項1から6までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項9】
潤滑基油は、自己発火温度(AIT、℃)が1.6x(mm/sでの、40℃における動粘度)+300で定義されるAIT(℃)を超え;トラクション係数が0.009xLn(mm/sでの動粘度)−0.001で計算される量未満であり、ここで、動粘度は、トラクション係数を測定する間の油の粘度であり、OECD 301Dに準拠して測定した生分解性が少なくとも80%である、請求項1から8までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項10】
a)ポリアルキル(メタ)アクリレート;b)官能基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート;c)700〜2,500の範囲の重量平均分子量を有するポリイソブチレン;d)N−p−ジフェニルアミン、1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド;4−アニリノフェニルメタクリルアミド;4−アニリノフェニルマレイミド;4−アニリノフェニルイタコンアミド;4−ヒドロキシジフェニルアミンのアクリレートエステル又はメタクリレートエステル;p−アミノジフェニルアミン又はp−アルキルアミノジフェニルアミンとグリシジルメタクリレートとの反応生成物;p−アミノジフェニルアミンとイソブチルアルデヒドとの反応生成物;p−ヒドロキシジフェニルアミンの誘導体;フェノチアジンの誘導体;ジフェニルアミンのビニル性誘導体;及びこれらの混合物を含む反応試剤とポリマーバックボーンとを反応させることによりグラフトされたポリマーバックボーンを含むグラフトコポリマー、の群から選択される粘度調節剤を0.01〜6重量%含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項11】
炭素原子100個当たり6.5〜10アルキル分枝の範囲内の平均分枝度を有する流動点低下性ブレンド成分;ポリメタクリレート;ポリアクリレート;ポリアクリルアミド;ハロパラフィンワックスと芳香族化合物との縮合生成物;ビニルカルボキシレートポリマー;ジアルキルフマレート、脂肪酸のビニルエステル及びアルキルビニルエーテルのターポリマー、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の流動点降下剤を含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項12】
a)ポリアルキル(メタ)アクリレート;b)官能基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート;c)700〜2,500の範囲の重量平均分子量を有するポリイソブチレン;d)N−p−ジフェニルアミン、1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド;4−アニリノフェニルメタクリルアミド;4−アニリノフェニルマレイミド;4−アニリノフェニルイタコンアミド;4−ヒドロキシジフェニルアミンのアクリレートエステル又はメタクリレートエステル;p−アミノジフェニルアミン又はp−アルキルアミノジフェニルアミンとグリシジルメタクリレートとの反応生成物;p−アミノジフェニルアミンとイソブチルアルデヒドとの反応生成物;p−ヒドロキシジフェニルアミンの誘導体;フェノチアジンの誘導体;ジフェニルアミンのビニル性誘導体;及びこれらの混合物を含む反応試剤とポリマーバックボーンとを反応させることによりグラフトされたポリマーバックボーンを含むグラフトコポリマー、の群から選択される少なくとも1種の粘度調節剤を含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の油圧作動油組成物。
【請求項13】
潤滑基油が、6mm/sと20mm/sの間の100℃における動粘度;30mm/sと120mm/sの間の40℃における動粘度;150と165の間の粘度指数;−30℃で3,000〜50,000mPa.sの範囲内、−25℃で2,000〜20,000mPa.sの範囲内のコールドクランク粘度;−2と−20℃の範囲内の流動点;500〜750の分子量;0.820〜0.840の範囲内の密度;92〜95%の範囲内のパラフィン炭素;5〜8%の範囲内のナフテン炭素;30〜50時間のオキシデーターBN;及び、0.50〜5重量%のノアック揮発分を有するフィッシャー・トロプシュ基油を含む、請求項1に記載の油圧作動油組成物。
【請求項14】
潤滑基油が、6mm/sと20mm/sの間の100℃における動粘度;30mm/sと120mm/sの間の40℃における動粘度;150と165の間の粘度指数;−30℃で3,000〜50,000mPa.sの範囲内、−25℃で2,000〜20,000mPa.sの範囲内のコールドクランク粘度;−2と−20℃の範囲内の流動点;500〜750の分子量;0.820〜0.840の範囲内の密度;92〜95%の範囲内のパラフィン炭素;5〜8%の範囲内のナフテン炭素;30〜50時間のオキシデーターBN;及び、0.50〜5重量%のノアック揮発分を有するフィッシャー・トロプシュ基油である、請求項1に記載の油圧作動油組成物。
【請求項15】
劣化及びリークを受けるシールを有する油圧変速装置を操作するための方法であって、(i)80〜99.999重量%の潤滑基油;(ii)0.001〜6重量%の粘度調節剤;及び(iii)0〜10重量%の少なくとも1種の添加剤パッケージを含む油圧作動油組成物であって、前記潤滑基油は、連続した炭素原子数を有し、n−d−M法により、ナフテン炭素が10重量%未満であり、オレフィンが0.10重量%未満であり、芳香族が0.05重量%未満であり、ASTM D2503−92(2002年再認可)による分子量が600を超え、シクロパラフィン官能基を有する全分子の重量%が25を超え、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の比が10を超えるものであり;
ASTM D471−06(SRE NBRl 100℃、168時間)で試験したとき、ゴムシールにおける平均体積変化が3%未満、ゴムシールにおける平均硬度変化が1pts未満となる、油圧作動油組成物を用いることを含む、上記方法。

【公表番号】特表2010−538112(P2010−538112A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522996(P2010−522996)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/070059
【国際公開番号】WO2009/032403
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】