油圧作業機のポンプ傾転制御装置
【課題】ポンプ傾転を精度良く目標ポンプ傾転に制御できる傾転制御装置を提供する。
【解決手段】油圧アクチュエータ5に駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプ2と、ポンプ傾転制御用の制御圧を発生する油圧切換弁13と、油圧切換弁13の駆動に応じて油圧ポンプ2のポンプ容量を変更する傾転制御用ピストン12と、油圧切換弁13を駆動するための指令圧P0を出力する比例電磁弁14と、指令圧P0に対抗して油圧切換弁13に作用する背圧Pdを演算するドレン圧演算回路36と、ドレン圧演算回路36により演算された背圧に応じて指令圧P0を補正するコントローラ20とを備える。
【解決手段】油圧アクチュエータ5に駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプ2と、ポンプ傾転制御用の制御圧を発生する油圧切換弁13と、油圧切換弁13の駆動に応じて油圧ポンプ2のポンプ容量を変更する傾転制御用ピストン12と、油圧切換弁13を駆動するための指令圧P0を出力する比例電磁弁14と、指令圧P0に対抗して油圧切換弁13に作用する背圧Pdを演算するドレン圧演算回路36と、ドレン圧演算回路36により演算された背圧に応じて指令圧P0を補正するコントローラ20とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の油圧作業機のポンプ傾転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、操作レバーの操作量に応じた傾転制御信号によりポンプ傾転を制御するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、操作レバーの操作量に応じた傾転制御信号を出力して比例電磁弁を駆動し、この比例電磁弁の駆動によって切換弁に作用するパイロット圧を調整し、切換弁の駆動によりポンプ傾転を目標ポンプ傾転に制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−302755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、切換弁にパイロット圧に対抗したケーシング内の圧力が作用する。このため、ケーシング内の圧力が上昇した場合には、指令値通りに切換弁が駆動されず、ポンプ傾転を精度よく目標ポンプ傾転に制御できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による油圧作業機のポンプ傾転制御装置は、油圧アクチュエータに駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプと、ポンプ傾転制御用の制御圧を発生する弁手段と、弁手段の駆動に応じて油圧ポンプのポンプ容量を変更する容量変更手段と、弁手段を駆動するための指令圧を出力する指令圧出力手段と、指令圧に対抗して弁手段に作用する背圧を取得する背圧取得手段と、背圧取得手段により取得した背圧に応じて指令圧を補正する補正手段と、弁手段に作用する指令圧を検出する指令圧検出手段とを備え、背圧取得手段は、油圧ポンプの吐出圧を検出する吐出圧検出手段と、ポンプ吐出圧と背圧との関係(背圧特性)をあらかじめ取得する背圧特性取得手段と、背圧特性取得手段で取得した背圧特性を記憶する記憶手段と、吐出圧検出手段により検出された吐出圧と記憶された背圧特性に基づき、背圧を演算する背圧演算手段とを有し、指令圧検出手段は、背圧も検出可能であり、背圧特性取得手段は、吐出圧検出手段で検出した油圧ポンプの吐出圧と、指令圧検出手段で検出した背圧とに基づいて背圧特性を取得することを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、指令圧出力手段は、パイロット圧発生用のパイロット油圧ポンプと、目標ポンプ傾転を入力する入力手段と、目標ポンプ傾転に応じてパイロット油圧ポンプからのパイロット圧を減圧する減圧手段とを有することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または2に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、油圧ポンプは、第1の油圧ポンプと第2の油圧ポンプとを備え、弁手段は、第1の油圧ポンプのポンプ傾転制御用の制御圧を発生する第1の弁手段と、第2の油圧ポンプのポンプ傾転制御用の制御圧を発生する第2の弁手段とを備え、容量変更手段は、第1の弁手段の駆動に応じて第1の油圧ポンプのポンプ容量を変更する第1の容量変更手段と、第2の弁手段の駆動に応じて第2の油圧ポンプのポンプ容量を変更する第2の容量変更手段とを備え、指令圧出力手段は、第1の弁手段を駆動するための第1の指令圧を出力する第1の指令圧出力手段と、第2の弁手段を駆動するための第2の指令圧を出力する第2の指令圧出力手段とを備え、背圧取得手段は、第1の指令圧に対抗して第1の弁手段に作用する第1の背圧を取得する第1の背圧取得手段と、第2の指令圧に対抗して第2の弁手段に作用する第2の背圧を取得する第2の背圧取得手段とを備え、補正手段は、第1の背圧取得手段により取得した第1の背圧に応じて第1の指令圧を補正する第1の補正手段と、第2の背圧取得手段により取得した第2の背圧に応じて第2の指令圧を補正する第2の補正手段とを備え、指令圧検出手段は、第1の弁手段に作用する第1の指令圧を検出する第1の指令圧検出手段と、第2の弁手段に作用する第2の指令圧を検出する第2の指令圧検出手段とを備え、第1の背圧取得手段は、第1の油圧ポンプの吐出圧を検出する第1の吐出圧検出手段と、第1の油圧ポンプの吐出圧と第1の油圧ポンプの背圧との関係(第1の背圧特性)をあらかじめ取得する第1の背圧特性取得手段と、第1の背圧特性取得手段で取得した第1の背圧特性を記憶する第1の記憶手段と、第1の吐出圧検出手段により検出された第1の油圧ポンプの吐出圧と記憶された第1の背圧特性に基づき、第1の背圧を演算する第1の背圧演算手段とを有し、第2の背圧取得手段は、第2の油圧ポンプの吐出圧を検出する第2の吐出圧検出手段と、第2の油圧ポンプの吐出圧と第2の油圧ポンプの背圧との関係(第2の背圧特性)をあらかじめ取得する第2の背圧特性取得手段と、第2の背圧特性取得手段で取得した第2の背圧特性を記憶する第2の記憶手段と、第2の吐出圧検出手段により検出された第2の油圧ポンプの吐出圧と記憶された第2の背圧特性に基づき、第2の背圧を演算する第2の背圧演算手段とを有し、第1の指令圧検出手段は、第2の背圧も検出可能であり、第2の指令圧検出手段は、第1の背圧も検出可能であり、第1の背圧特性取得手段は、第1の吐出圧検出手段で検出した第1の油圧ポンプの吐出圧と、第2の指令圧検出手段で検出した第1の背圧とに基づいて第1の背圧特性を取得し、第2の背圧特性取得手段は、第2の吐出圧検出手段で検出した第2の油圧ポンプの吐出圧と、第1の指令圧検出手段で検出した第2の背圧とに基づいて第2の背圧特性を取得することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、油圧ポンプは、油圧作業機のエンジンによって駆動され、油圧アクチュエータは、少なくとも油圧作業機に設けられたブームを起伏させるブーム起伏用油圧アクチュエータを含み、背圧特性取得手段は、(a)作動油の油温が通常の作業時に想定される油温の範囲内であり、(b)油圧ポンプの吐出圧が油圧アクチュエータに供給する駆動圧の上限を制限するリリーフ弁のリリーフ圧以上であり、(c)エンジンのエンジン回転数が定格回転数であってブーム起伏用油圧アクチュエータによってブームが上げ方向に駆動されているとき、の上記(a)〜(c)の全ての条件が満たされたときに背圧特性を取得することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、指令圧検出手段により検出された指令圧が補正手段により補正された指令圧となるように指令圧出力手段を制御する制御手段とをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、背圧の影響を考慮してポンプ傾転を精度よく目標ポンプ傾転に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係るポンプ傾転制御装置が適用される油圧ショベルの外観側面図。
【図2】本実施の形態に係るポンプ傾転制御装置の構成を示す図。
【図3】油圧ポンプの吐出圧とドレン圧との関係を示す図。
【図4】油圧切換弁のパイロットポートに作用する二次圧とポンプ吐出量との関係を示す図。
【図5】コントローラでの任意補正の処理の一例を示すフローチャート。
【図6】比例電磁弁に作用する駆動電流と二次圧の関係を示す図。
【図7】二次圧とポンプ傾転との関係を示す図。
【図8】コントローラでの学習制御の一例を示すフローチャート。
【図9】学習制御における目標傾転と電流の関係を示す図。
【図10】学習制御における二次圧と電流の関係を示す図。
【図11】比例電磁弁の補正特性を示す図。
【図12】コントローラでの通常制御の一例を示すブロック図。
【図13】本実施の形態の動作を表すPQ線図。
【図14】コントローラでの自動補正の処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1〜図14を参照して本発明による油圧作業機のポンプ傾転制御装置の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係るポンプ傾転制御装置が適用される油圧作業機の一例である油圧ショベルの外観側面図である。油圧ショベルは、走行体101と、旋回可能な旋回体102と、旋回体102に回動可能に軸支されたブームBM,アームAM,バケットBKからなる作業装置103とを有する。ブームBM,アームAM,バケットBKは、それぞれブームシリンダ103a、アームシリンダ103b、バケットシリンダ103cにより駆動される。
【0009】
図2(a)は、本実施の形態に係るポンプ傾転制御装置の構成を示す図である。本実施の形態では、メインポンプを2基搭載する、いわゆる2ポンプシステムを例に説明する。エンジン1の出力軸には可変容量型の2つのメインポンプ2A,2Bと、サブポンプ3の入力軸が連結され、エンジン1の駆動によりこれら油圧ポンプ2A,2B,3から圧油が吐出される。メインポンプ2A,2Bからの圧油は、方向制御弁4を介して油圧シリンダ(ブームシリンダなど)や油圧モータ(旋回モータなど)等の油圧アクチュエータ5に供給される。以下の説明では、メインポンプ2Aに係る各機器には符号の数字の後に大文字のアルファベットAを付し、メインポンプ2Bに係る各機器には符号の数字の後に大文字のアルファベットBを付して説明する。なお、メインポンプ2Aに係る各機器で符号の数字の後に大文字のアルファベットAを付したものと、メインポンプ2Bに係る各機器で符号の数字の後に大文字のアルファベットBを付したものとでは、符号の数字が一致すれば同じ種類の機器である。そのため、以下の説明では、メインポンプ2Bに係る各機器についての説明は省略する。
【0010】
方向制御弁4にはパイロット弁7を介してサブポンプ3からのパイロット圧が供給される。パイロット弁7は操作レバー6の操作により駆動され、操作レバー6の操作量に応じて油圧アクチュエータ5への圧油の流れが制御される。なお、図示は省略するが、メインポンプ2A,2Bとコントロールバルブ4の間には、ポンプ吐出圧の上限をリリーフ圧Prに制限するリリーフ弁が設けられている。
【0011】
パイロット弁7とサブポンプ3との間にはロックバルブ9が設けられている。ロックバルブ9は、運転席の入口に設けられたゲートロックレバー(不図示)のロック操作によりロック位置に切り換わり、アンロック操作によりアンロック位置に切り換わる。ロックバルブ9がロック位置に切り換わると、パイロット弁7への圧油の流れが禁止される。この状態では、操作レバー6の操作に拘わらず方向制御弁4へパイロット圧は供給されず、方向制御弁4は中立位置に保持され、油圧アクチュエータ5への圧油の流れが阻止される。ロックバルブ9がアンロック位置に切り換わると、パイロット弁7への圧油の流れが許容される。
【0012】
メインポンプ2Aの傾転は、メインポンプ2A用のポンプレギュレータにより変更される。メインポンプ2A用のポンプレギュレータは傾転制御用ピストン12Aと油圧切換弁13Aと比例電磁弁14Aとを備える。傾転制御用ピストン12Aは、傾転制御圧に応じてメインポンプ2Aのポンプ容量を変更する。すなわち、傾転制御用ピストン12Aの小径側油室12Aaにはメインポンプ2Aの吐出圧Ppが作用し、大径側油室12Abには油圧切換弁13Aを介してメインポンプ2Aとサブポンプ3の吐出圧が作用する。各油室12Aa,12Abに作用する油圧力に応じてピストン12Aが駆動され、メインポンプ2Aの傾転が変更される。なお、比例電磁弁14Aのドレンは、ポンプブロック10Aの内部に排出されるように構成されている。
【0013】
油圧切換弁13Aには、比例電磁弁14Aを介したサブポンプ3からのパイロット圧(二次圧Pa)が作用し、二次圧Paに応じて油圧切換弁13Aが切り換わる。すなわち傾転制御用指令圧である比例電磁弁14Aの二次圧Paが増加すると油圧切換弁13Aは位置イ側に切り換わる。これにより油室12Abに作用する油圧力が増加し、メインポンプ2Aのポンプ傾転が増加する。一方、二次圧Paが減少すると油圧切換弁13Aは位置ロ側に切り換わる。これにより油室12Abに作用する油圧力が減少し、メインポンプ2Aのポンプ傾転が減少する。このようにメインポンプ2Aのポンプ傾転が増減すると、メインポンプ2Aのポンプ吐出量は最小流量Qmin〜最大流量Qmaxの間で変化する。比例電磁弁14Aの二次圧Paは、指示信号、すなわち、後述するコントローラ20から出力される比例電磁弁14Aへの駆動電流(励磁電流)によって決定される。
【0014】
メインポンプ2Aと上記ポンプレギュレータはポンプブロック10Aにより一体に構成され、ブロック10Aの内部はポンプ2Aからの漏れ油で満たされている。このため図2(b)に示すように油圧切換弁13Aのスプールには二次圧Paに対抗してブロック内の圧力(ケーシング圧Pb)が背圧となって作用する。なお、ポンプブロック10A内の油はドレンポート、ドレン配管16A,17、フィルタ18を介してタンクに排出されるため、このドレンポート〜タンクへの排出経路の圧力損失(圧損)や作動油の粘度の影響によってポンプブロック10Aのドレンポート圧(ドレン圧PAd)が増加するとポンプブロック10Aのケーシング圧PAd(ポンプブロック内の内部圧力)も増加する。以下、ケーシング圧PAbとドレン圧PAdが同等なものとして説明する。
【0015】
上述したように、ポンプブロック10B内の構成は、ポンプブロック10A内の構成と同じである。また、ポンプブロック10B内の油はドレンポート、ドレン配管16B,17、フィルタ18を介してタンクに排出されるため、このドレンポート〜タンクへの排出経路の圧力損失(圧損)や作動油の粘度の影響によってポンプブロック10Bのドレンポート圧(ドレン圧PBd)が増加するとポンプブロック10Bのケーシング圧PBd(ポンプブロック内の内部圧力)も増加する。以下、ケーシング圧PBbとドレン圧PBdが同等なものとして説明する。
【0016】
ここで、ドレン配管16Aとドレン配管16Bはともにドレン配管17を介してフィルタ18へ接続されているため、ドレン圧PAdとドレン圧PBdとが略等しくなる。したがって、ケーシング圧PAbとケーシング圧PBbも略等しくなる。そこで、以下の説明では、ドレン圧PAdとドレン圧PBdを区別して説明する場合を除き、ドレン圧PAdおよび/またはドレン圧PBdをドレン圧Pdと表示する。また、ケーシング圧PAbとケーシング圧PBbを区別して説明する場合を除き、ケーシング圧PAbおよび/またはケーシング圧PBbをケーシング圧Pbと表示する。同様に、たとえばメインポンプ2Aとメインポンプ2Bとを特に区別して説明する必要がない場合のように、メインポンプ2Aに係る各機器とメインポンプ2Bに係る各機器とを特に区別して説明する必要がない場合には、アルファベットの大文字のAやBの記載を省略する。
【0017】
図3は、ポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdとの関係を示す図である。図3に示すようにポンプ吐出圧Ppが増加するとメインポンプ2からの油の漏れ量が増加し、ドレン圧Pdが比例的に増加する。ポンプ吐出圧Ppが最大Pp1(リリーフ圧Pr)のとき、ドレン圧も最大Pd1となる。
【0018】
図4は、二次圧Paとポンプ吐出量Qとの関係である傾転制御特性を示す図である。図の特性aは、ドレン圧Pdが0のときの基準特性であり、特性bはドレン圧Pdが最大Pd1のときの特性である。特性aに示すように、ドレン圧Pdが0の場合には、二次圧が所定値Pa1でポンプ吐出量はQ1となる。
【0019】
一方、特性bに示すように、ドレン圧PdがPd1の場合には、ケーシング圧(ドレン圧Pd1)が二次圧Paの抗力として作用するため、油圧切換弁13に作用する二次圧Paは実質ドレン圧Pd1の分だけ減少する。このため、傾転制御特性は右側にシフトし、ポンプ吐出量はQ1よりも少くなる。このようにドレン圧Pdが上昇した場合に基準特性aに基づいて比例電磁弁14を制御したのでは、所望のポンプ吐出量Qが得られないおそれがある。特に油圧切換弁13は、メインポンプ2よりも低圧のサブポンプ3からのパイロット圧により切り換えるので、ケーシング圧による影響が大きい。そこで、本実施の形態では、以下に述べるように予め図3に示すようなポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdとの関係(ドレン圧特性または背圧特性と呼ぶ)を定め、この関係に基づきポンプ傾転を制御する。
【0020】
ドレン圧特性は次のようにして求める。まず、2ポンプシステムの一方、例えばメインポンプ2Aの比例電磁弁14Aを最小流量側(非励磁)にしておき、ドレン圧Pdと等価の圧力となる比例電磁弁14Aの二次圧Paをフィードバック用センサ24Aにて検出できる状態にしておく。すなわち、上述したように、比例電磁弁14Aは、そのドレンがポンプブロック10Aの内部に排出されるように構成されているため、指示信号が印加されない(励磁電流が与えられない)非励磁状態では、二次側のポートがポンプブロック10Aの内部と連通することとなる。そのため、比例電磁弁14Aが非励磁状態であれば、フィードバック用センサ24Aで検出される圧力は、ポンプブロック10Aの内部の圧力に等しくなる。本実施の形態では、このように、比例電磁弁14Aを非励磁状態とすることで、ポンプブロック10Aの内部の圧力をフィードバック用センサ24Aで検出するようにしている。
【0021】
次いで、作動油の温度Tが所定範囲内になるまで油圧作業機をウォーミングアップさせる。すなわち、油温Tによって油の粘性が変化しドレン圧Pdが影響を受ける点を考慮して、油温Tが通常作業時の油温(例えば50〜60℃)になるまで油圧作業機をウォーミングアップさせる。なお、一般的には、油温Tが通常作業時の油温以上であれば、油温の変化量に対する粘度の変化量が小さくなるため、油温変動がドレン圧Pdに与える影響は通常作業時の油温以下の場合と比べて少なくなる。また、上述したように、エンジン1の出力軸にはメインポンプ2の入力軸が連結されているので、ポンプ回転数はエンジン回転数に比例する。したがって、ポンプ吐出量Qはエンジン回転数Nが大きいほど増加するため、エンジン回転数Nを定格回転数Naに設定する。
【0022】
さらに、ブーム起伏用の操作レバー6を上げ操作してブームBMを最大に起立させ、リリーフ弁からメインポンプ2Bの吐出油をリリーフさせる。すなわちドレン圧Pdの最大値を取得する。この時、メインポンプ2Bの比例電磁弁14Bを最大流量側に励磁する。この状態で、ポンプ吐出圧Pp(=Pp1)とドレン圧Pd(=Pd1)をそれぞれ圧力センサ23B,24Aで検出し、これと原点とを結んだ直線をメインポンプ2Bのドレン圧特性とする。
【0023】
同様にして、メインポンプ2Aのドレン圧特性についても取得する。このようにして、メインポンプ2A,2Bのそれぞれのドレン圧特性、すなわち、ポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdとの関係テーブルが得られる。
【0024】
本実施例では、パイロットバルブ方式の操作レバーの例を示しているが、操作レバーの代替に、電気レバーと電気レバーの信号を検出して操作信号を出力するコントローラ、それにその操作信号により駆動される比例電磁弁の組合せでも実現できる。
【0025】
図2に示すコントローラ20は、CPU,ROM,RAM,その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ20には、エンジン1の回転数Nを検出する回転数センサ21と、操作レバー6の操作量に応じた操作圧Pn(ポジコン圧)を検出する圧力センサ22と、メインポンプ2の吐出圧Ppを検出する圧力センサ23と、比例電磁弁14に作用する二次圧Paを検出する圧力センサ24と、作動油温度Tを検出する温度センサ26と、ドレン圧特性を自動で算出(取得)するための処理(任意補正)を指令する指令スイッチ27と、学習モードと通常モードのいずれかを選択するモードスイッチ28と、ゲートロックレバーのロック操作を検出するリミットスイッチ29が接続されている。コントローラ20は、これらセンサ21〜26とスイッチ27〜29からの信号に基づき以下のような処理を実行する。
【0026】
補正(ドレン圧特性の取得)の方法には、その実施タイミングにより、以下に述べる任意補正と自動補正の2つの方法がある。
【0027】
(1)任意補正
任意補正は、通常、工場出荷時にメーカで行われる。図5は、コントローラ20で実行される任意補正の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、指令スイッチ27がオン操作されると開始される。なお、以下の説明では、メインポンプ2Bのドレン圧特性の取得について説明するが、メインポンプ2Aのドレン圧特性の取得についても同様である。したがって、メインポンプ2Aのドレン圧特性の取得については説明を省略する。
【0028】
ステップS1では、温度センサ26により検出された作動油温度Tが所定範囲内(50〜60℃)にあるか否かを判定する。ステップS2では、回転数センサ21により検出されたエンジン回転数Nが定格回転数Naであるか否かを判定する。ステップS3では、ポンプ2Aおよびポンプ2Bの比例電磁弁14A,14Bの指令値をセットする。すなわち、比例電磁弁14Aが非励磁状態となるように、比例電磁弁14Bの励磁電流が最大となるように比例電磁弁14A,14Bの指令値をセットする。
【0029】
ステップS4では、圧力センサ22によりブームBMの上げ操作が検出されたか否かを判定する。ステップS5ではメインポンプ2Bの吐出圧がリリーフ圧以上になっているか否かを判定する。ステップS1、S2、S4、S5の全てが肯定されるとステップS6に進み、いずれか1つでも否定されるとステップS51に進む。
【0030】
ステップS6では、圧力センサ24Aの検出値Pa(ただし、この時はPdと同等圧)が正常範囲内にあるか否かを判定する。ステップS6が肯定されるとステップS7に進み、圧力センサ24Aの検出値Pd(=Pd1)を読み取り、メモリに記憶する。ステップS8では、ポンプ吐出圧検出用の圧力センサ23Bの検出値Ppが正常範囲内にあるか否かを判定する。ステップS8が肯定されるとステップS9に進み、圧力センサ23Bの検出値Pp(=Pp1)を読み取り、メモリに記憶する。
【0031】
次いで、ステップS10で、例えば表示モニタに信号を出力し、任意補正が正常終了した旨を作業員に報知する。ステップS1、S2、S4、S5、S6、S8のいずれかが否定されるとステップS51に進み、任意補正が異常終了した旨を作業員に報知する。以上の処理により図3に示すようなメインポンプ2Bのドレン圧特性が得られる。このドレン圧特性は図12のドレン圧演算回路36に記憶され、後述するようにポンプ傾転が制御される。
【0032】
(2)自動補正
自動補正は、通常、油圧ショベルの使用中(作業中)に行われる。図14は、コントローラ20で実行される自動補正の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、あらかじめ設定された作動油温に達した場合に、自動的に開始される。なお、以下の説明では、メインポンプ2Bのドレン圧特性の取得について説明するが、メインポンプ2Aのドレン圧特性の取得についても同様である。したがって、メインポンプ2Aのドレン圧特性の取得については説明を省略する。
【0033】
ステップS31では、温度センサ26により検出された作動油温度Tがあらかじめ設定された補正実施温度に達したか否かを判定する。ステップS31が肯定されるとその時の作動油温を記憶する。ステップS33では、回転数センサ21により検出されたエンジン回転数Nが定格回転数Naであるか否かを判定する。ステップS34では、圧力センサ24Aの検出値Paが、Pdと同等圧となる、比例電磁弁14Aが非励磁状態か否かを判定する。ステップS35では、比例電磁弁14Bの励磁電流が最大となっているか否かを判定する。ステップS31、S33、S34、S35の全てが肯定されるとステップS36に進み、いずれか1つでも否定されるとステップS31に戻る。
【0034】
ステップS36では、圧力センサ24Aの検出値Pa(ただし、この時はPdと同等圧)が正常範囲内にあるか否かを判定する。ステップS36が肯定されるとステップS37に進み、圧力センサ24Aの検出値Pd(=Pd1)を読み取り、メモリに記憶する。ステップS38では、ポンプ吐出圧検出用の圧力センサ23Bの検出値Ppが正常範囲内にあるか否かを判定する。ステップS38が肯定されるとステップS39に進み、圧力センサ23Bの検出値Pp(=Pp1)を読み取り、メモリに記憶する。
【0035】
次いで、ステップS40で、例えば表示モニタに信号を出力し、自動補正が正常終了した旨を作業員に報知する。ステップS36,S38のいずれかが否定されるとステップS31に戻る。以上の処理により図3に示すようなメインポンプ2Bのドレン圧特性が得られる。このドレン圧特性は図12のドレン圧演算回路36に記憶され、後述するようにポンプ傾転が制御される。
【0036】
本実施の形態では、比例電磁弁14の個体差による特性のばらつきを考慮したポンプ傾転制御を併せて行う。以下、この点について説明する。図6は、比例電磁弁14の入出力特性の一例を示す図であり、図7は、二次圧Paとポンプ傾転θの関係を示す図である。
【0037】
図6において、特性A0は基準特性であり、比例電磁弁14への駆動電流iの増加に伴い、二次圧Paは増加する。このような比例電磁弁14の特性には個体差があるため、基準特性A0に対して許容公差±Δα内で特性がばらつき、実際の特性Aは基準特性A0に対してずれる。このため、例えば二次圧Pa1を発生させようとして基準特性A0に基づき比例電磁弁14に駆動電流i1を出力すると実際の二次圧はPa1’となり、目標値Pa1と乖離する。
【0038】
その結果、図7に示すように実際のポンプ傾転θ1’が目標ポンプ傾転θ1から乖離し、操作レバー6の操作に応じた良好な作業を行うことができなくなる。この点を考慮し、本実施の形態では、予め比例電磁弁14のばらつきを考慮した補正特性を設定し(学習制御)、学習制御によって得られた補正特性に基づきポンプ傾転θを制御する(通常制御)。
【0039】
(3)学習制御
図8は、学習制御の処理の一例を示すフローチャートである。コントローラ10には予め図9に示すような比例電磁弁14の基準特性F0(設計値)が記憶され、この特性上の3点、すなわちポンプ最小傾転θminに対応する駆動電流(基準制御信号iAmin)、ポンプ最大傾転θmaxに対応する駆動電流(基準制御信号iAmax)、およびθminとθmaxの中間である中間傾転θmeaに対応する駆動電流(基準制御信号iAmea)が基準値として記憶されている。また、θmin,θmea,θmaxにそれぞれ対応する設計上の二次圧(基準制御圧)Pmin,Pmea,Pmaxも基準値として記憶されている。
【0040】
図8の処理は、モードスイッチ28の操作により学習モードが選択されると開始される。なお、図8の処理は、比例電磁弁14A,14Bのそれぞれについて行われる。ステップS11では、温度センサ27により検出された作動油温度Tが所定範囲内(50〜60℃)にあるか否かを判定する。ステップS12では、回転数センサ21により検出されたエンジン回転数Nが定格回転数Naであるか否かを判定する。ステップS11,ステップS12は、実際の作業条件に合わせて学習制御を行うための処理であり、ステップS11,ステップS12がともに肯定されるとステップS13に進み、いずれかが否定されるとステップS11に戻る。
【0041】
ステップS13では、リミットスイッチ29からの信号によりゲートロックレバーがロック操作されているか否かを判定する。これは、学習制御の際に機械が誤作動しないようにするための処理であり、方向制御弁4へのパイロット圧の供給が断たれた状態でのみ学習制御を行うようにする。ステップS13が肯定されるとステップS14に進み、否定されるとステップS11に戻る。
【0042】
ステップS14では、図9の基準特性F0によりポンプ最小傾転θminもしくはその近傍の傾転θに対応した駆動電流i11(例えばiAmin)を演算し、この駆動電流i11を比例電磁弁14に出力する。ステップS15では、二次圧データが安定するまで所定時間(例えば5秒)をカウントし、所定時間の経過後に二次圧Paを読み込み、実測二次圧P11としてメモリに記憶する。
【0043】
ステップS16では、図9の基準特性F0によりポンプ最大傾転θmaxもしくはその近傍の傾転θに対応した駆動電流i12(例えばiAmax)を演算し、この駆動電流i12を比例電磁弁14に出力する。ステップS17では、二次圧データが安定するまで所定時間(例えば5秒)をカウントし、所定時間の経過後に二次圧Paを読み込み、実測二次圧P12としてメモリに記憶する。
【0044】
ステップS18では、図9の基準特性F0により中間傾転θmeaもしくはその近傍の傾転θに対応した駆動電流i13(例えばiAmea)を演算し、この駆動電流i13を比例電磁弁14に出力する。ステップS19では、二次圧データが安定するまで所定時間(例えば5秒)をカウントし、所定時間の経過後に二次圧Paを読み込み、実測二次圧P13としてメモリに記憶する。以上により求めた二次圧データP11,P12,P13を図10に示すように直線で結ぶことにより、二次圧と制御信号(電流)との関係が得られる。
【0045】
ステップS20では、図10の関係を用いて、予め定めた基準制御圧Pmin,Pmea,Pmaxに対応する駆動電流imin,imea,imaxをそれぞれ次式(I)により演算する。
imin=i11−(P11−Pmin)×(i13−i11)/(P13−P11)
imea=i13−(P13−Pmea)×(i13−i11)/(P13−P11);P13>Pmeaのとき
imea=i13+(Pmea−P13)×(i12−i13)/(P12−P13);P13<Pmeaのとき)
imax=i12+(Pmax−P12)×(i12−i13)/(P12−P13) ・・・(I)
【0046】
ここで求めたimin,imea,imaxは、それぞれ比例電磁弁14の最小傾転θmin,中間傾転θmea,最大傾転θmaxに対応する駆動電流を意味する。すなわち比例電磁弁14に電流imin,imea,imaxを出力すると、二次圧はそれぞれPmin,Pmea,Pmaxとなり、実ポンプ傾転はそれぞれθmin,θmea,θmaxとなる。
【0047】
ステップS21では、駆動電流imin,imea,imaxから予め定めた駆動電流iAmin,iAmea,iAmaxをそれぞれ減算して電流補正値Δimin,Δimea,Δimaxを演算し、メモリに記憶する。これにより図11に示すように比例電磁弁14に固有の補正特性f1が求められ、この特性がコントローラ20のメモリに記憶される。以上により学習制御を終了する。なお、学習制御の終了時に例えば運転席のランプなどを点灯させ、学習制御が終了した旨を作業員に報知するようにしてもよい。
【0048】
(4)通常制御
図12は、コントローラ内における通常制御の処理を示すブロック図である。学習制御の終了後、モードスイッチ28の操作により通常モードが選択されると、通常制御が開始される。この通常制御は、メインポンプ2A側およびメインポンプ2B側のそれぞれについて行われる。回転数センサ21からの信号はトルク演算回路31に入力される。トルク演算回路31には、予め図示のようにエンジン回転数Nと出力トルクTrとの関係が記憶されている。トルク演算回路31では、この関係に基づきエンジン回転数Nに対応した出力トルクTrを演算し、容量演算回路32に出力する。
【0049】
容量演算回路32には、圧力センサ23により検出されたポンプ吐出圧Ppが入力される。容量演算回路32には、ポンプ吸収トルクがエンジン出力トルクTrを超えないようにするため、予め図示のようにエンジン出力トルクTrが一定の馬力特性が設定されている。容量演算回路32では、この特性に基づきポンプ吐出圧Ppに対応した目標ポンプ傾転θ1を演算する。
【0050】
容量演算回路33には、圧力センサ22により検出されたポジコン圧Pnが入力される。容量演算回路33には、予め図示のように操作レバー6の操作によるポジコン圧Pnと目標ポンプ傾転θ2との関係、すなわちポジコン圧Pnの増加に伴い目標ポンプ傾転θ2が増加するような関係が記憶されている。容量演算回路33では、この特性に基づきポジコン圧Pnに対応した目標ポンプ傾転θ2を演算する。
【0051】
容量演算回路32,33により演算された目標ポンプ傾転θ1,θ2はそれぞれ選択回路34に入力される。選択回路34では、目標ポンプ傾転θ1,θ2のうちいずれか小さい方の値を目標ポンプ傾転θとして選択し、目標ポンプ傾転θを指令圧演算回路35に出力する。
【0052】
指令圧演算回路35には、予め図示のような指令圧P0の基準特性、すなわち目標ポンプ傾転θが増加するほど指令圧P0が増加するような特性が記憶されている。指令圧演算回路35では、この特性に基づき目標ポンプ傾転θに対応した目標指令圧P0(二次圧Paの指令値)を演算する。
【0053】
ドレン圧演算回路36には、圧力センサ23により検出されたポンプ吐出圧Ppが入力される。ドレン圧演算回路36には、予め任意補正制御により求めたポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdとの関係(図3)が、メインポンプ2A側およびメインポンプ2B側のそれぞれについて記憶されている。ドレン圧演算回路36では、これらの特性に基づき、ポンプ吐出圧Ppに対応したドレン圧Pdをそれぞれ演算する。加算回路37では、目標指令圧P0にドレン圧Pdを加算し、目標指令圧P0を補正する。
【0054】
フィードバック制御回路40では、目標指令圧P0をフィードバック制御して指令圧Pxを出力する。すなわち減算回路41で、目標指令圧P0から圧力センサ24で検出した二次圧Paを減算し、圧力偏差ΔP(=P0−Pa)を演算する。ゲイン回路42で、この偏差ΔPにフィードバックゲインKを乗じ、偏差ΔPKを演算する。加算回路43で、目標指令圧P0に偏差ΔPKを加算し、指令圧Pxを出力する。これによりフィードバック制御回路40は、圧力センサ24で検出した二次圧Paが目標指令圧P0と等しくなるようにフィードバック指令圧Pxを出力する。
【0055】
指令圧Pxは、基準演算回路44と補正演算回路45にそれぞれ出力される。基準演算回路44には予め図示のような比例電磁弁14の指令圧Pxと駆動電流I0との関係(設計値)が記憶されている。基準演算回路44は、この駆動電流の基準特性f0に基づき指令圧Pxに対応した目標駆動電流I0を演算する。
【0056】
補正演算回路45には、予め学習モードにおいて定めた指令圧Pxと補正電流ΔI0との関係(図11)が記憶されている。補正演算回路45は、この駆動電流の補正特性に基づき指令圧Pxに対応した補正電流ΔI0を演算する。加算回路46は、目標駆動電流I0と補正電流ΔI0を加算して補正後の目標駆動電流Iを演算し、比例電磁弁14に出力する。以上の通常制御の処理は作業時に繰り返し行われる。
【0057】
本実施の形態に係る動作をまとめると次のようになる。まず、学習モードにおいて、コントローラ20で図8の処理を行い、比例電磁弁14A,14Bそれぞれの固有の補正特性f1を求める。この場合、モードスイッチ28を学習モードに切り換え操作し、かつ、作動油温Tを所定範囲内に保ち、かつ、エンジン回転数Nを定格回転数Naに制御し、かつ、ゲートロックレバーをロック操作する(ステップS11〜ステップS13)。
【0058】
以上の条件が成立すると、コントローラ20は比例電磁弁14A,14Bそれぞれに対して所定の駆動電流i11,i12,i13を出力するとともに、二次圧P11,P12,P13を検出し、二次圧Paと電流iとの関係(図10)をそれぞれ求める。この関係から基準制御圧Pmin,Pmea,Pmaxに対応した駆動電流imin,imea,imaxを演算する(ステップS20)。この駆動電流imin,imea,imaxから基準の駆動電流iAmin,iAmea,iAmaxをそれぞれ減算し、電流補正値Δimin,Δimea,Δimaxをメモリに記憶する(ステップS21)。
【0059】
次に、図5に示す任意補正の処理を行い、ドレン圧特性(図3)を求める。この場合、指令スイッチ27を操作し、かつ、作動油温Tを所定範囲内に保ち、かつ、エンジン回転数Nを定格回転数Naに制御し、かつ、ブームBMを上げ操作し、メインポンプ2の吐出圧をリリーフさせる(ステップS1〜ステップS5)。
【0060】
以上の条件が成立すると、コントローラ20はドレン圧Pdとポンプ吐出圧Ppを検出し、メモリに記憶する(ステップS7,ステップS9)。なお、学習制御と任意補正は、通常制御で用いる補正特性とドレン圧特性を設定するために行うものであり、通常、工場出荷時にメーカによって行われる。
【0061】
通常の作業時には、モードスイッチ28を通常モードに切り換え操作する。通常モードでは、コントローラ20は圧力センサ24で検出した二次圧Paが操作レバー6の操作量に応じた目標指令圧P0と等しくなるように比例電磁弁14に目標駆動電流Iを出力する。すなわち、圧力センサ24で検出した二次圧Paが目標指令圧P0と等しくなるようにフィードバック制御により指令圧Pxを出力するとともに、この指令圧Pxに対応した目標駆動電流I0を、学習モードによって定めた補正電流ΔI0の特性f1により補正し、補正後の目標駆動電流I(=I0+ΔI0)を比例電磁弁14に出力する。
【0062】
この際、コントローラ20は、メインポンプ2A側およびメインポンプ2B側のそれぞれについて、ドレン圧特性に基づきドレン圧Pdを演算し、目標指令圧P0にドレン圧Pdを加算して目標指令圧P0を補正する。このため、油圧切換弁13に作用する二次圧Paが背圧相当分のドレン圧Pdの分だけ増加することとなり、油圧切換弁13に作用するケーシング圧(ドレン圧Pd)がキャンセルされる。その結果、図4に示す基準特性aに沿ってポンプ吐出量Qを変化させることができ、所望のポンプ吐出量Qが得られる。
【0063】
この場合のメインポンプ2の吐出圧Pと吐出量Qの関係を図13に示す。図の特性aは、ドレン圧Pdが0のときのPQ特性(基準特性)であり、さらに、ドレン圧PdがPd1で、指令圧P0をドレン圧Pd1で補正した場合のPQ特性である。特性bは、ドレン圧PdがPd1で、指令圧P0を補正しない場合のPQ特性である。
【0064】
指令圧P0を補正しない場合には、油圧切換弁13に作用する二次圧Paがドレン圧Pdの分だけ不足する。このため、実ポンプ傾転は目標ポンプ傾転θとならず、ポンプ吐出量Qはドレン圧Pdが0のとき、すなわち目標値よりもΔQだけ減少する。一方、本実施の形態のように指令圧P0を補正する場合には、油圧切換弁13にドレン圧Pdを上乗せした二次圧Paが作用する。このため、実ポンプ傾転は目標ポンプ傾転θとなり、ポンプ吐出量Qを精度よく目標値に制御できる。
【0065】
本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)ドレン圧演算部36に設定したドレン圧特性によりドレン圧Pdを演算し、目標ポンプ傾転θに対応した指令圧P0をドレン圧Pdの分だけ加算して出力するようにした。これにより油圧切換弁13にケーシング圧(ドレン圧Pd)が作用することによる油圧切換弁13の切換量の低下が抑えられ、ポンプ傾転を精度良く目標ポンプ傾転θに制御できる。
(2)フィードバック用の圧力センサ24A,24Bを用いてドレン圧特性をあらかじめ取得しておき、通常制御においてはドレン圧特性によりドレン圧Pdを演算するので、ドレン圧検出のための油圧センサを別途設ける必要がなく、コストを抑えることができる。
(3)メインポンプ2からの圧油ではなく、サブポンプ3からの低圧のパイロット圧を比例電磁弁14で減圧して油圧切換弁13に付与し、油圧切換弁13を切り換えるようにした。これにより比例電磁弁14と油圧切換弁13の耐圧性をそれほど高める必要がなく、安価に構成できる。
(4)作動油温Tが所定範囲内、かつ、エンジン回転数Nが定格回転数Na、かつ、ブーム上げリリーフの状態のときに、任意補正を行うようにした。すなわち実際の作業条件に合わせて任意補正を行うようにしたので、ドレン圧特性を精度よく求めることができる。
【0066】
(5)学習制御において、圧力センサ24の検出値Paを用いてポンプ傾転制御用の補正特性f1を求め、通常制御において、圧力センサ24の検出値Paを用いてフィードバック制御により駆動電流Iを補正するとともに、補正特性f1に基づき駆動電流Iを補正するようにした。これにより傾転角センサを用いることなく傾転制御を行うので、傾転制御装置を安価に構成することができる。また、圧力センサ24は傾転角センサに比べて温度特性がよいので、高温条件下で作業した場合であってもポンプ傾転を精度良く補正することができる。
(6)指令圧Pxをフィードバック制御により出力して駆動電流Iを補正するので、操作レバー6の操作により目標ポンプ傾転θが変化した場合に、実ポンプ傾転を応答性よく目標ポンプ傾転θに制御できる。
(7)予め定めた比例電磁弁14の固有の補正特性f1に基づき傾転制御するので、個々の製品間の動的特性のばらつきが少なく、均一の動作特性が得られる。
(8)補正特性f1を求めるために基準制御圧を3点(Pmin,Pmea,Pmax)設定するので、補正特性f1が比例電磁弁14の特性に良好に対応し、駆動電流Iを精度良く補正することができる。
【0067】
なお、上記実施の形態では、比例電磁弁14からの二次圧Paにより油圧切換弁13を切り換えてピストン12への制御圧を発生するようにしたが、二次圧Paに対抗した背圧が作用するように構成されているのであれば、制御圧を発生する弁手段としての油圧切換弁13はいかなるものでもよい。油圧切換弁13の切換に応じて傾転制御用ピストン12を駆動することで、ポンプ傾転(ポンプ容量)を変更するようにしたが、容量変更手段はこれに限らない。サブポンプ3からの圧油を比例電磁弁14で減圧して油圧切換弁13に二次圧Pa(指令圧P0)を出力するようにしたが、指令圧出力手段はこれに限らない。例えばメインポンプ2からの圧油により弁手段を切り換えるようにしてもよい。
【0068】
油圧切換弁13に作用する背圧に応じて指令圧P0を補正するのであれば、補正手段としてのコントローラ20の構成はいかなるものでもよい。
【0069】
操作レバー6の操作によりポジコン圧Pnを発生させて目標ポンプ傾転を入力するようにしたが、他の入力手段を用いてもよい。サブポンプ3からのパイロット圧を比例電磁弁14で減圧するようにしたが、減圧手段はこれに限らない。指令圧検出手段としての圧力センサ24により二次圧Pa(指令圧)を検出するとともに、検出された二次圧Paが補正後の指令圧P0となるように比例電磁弁14を制御するようにしたが、制御手段としてのコントローラ20の構成はいかなるものでもよい。
【0070】
上述の説明では、メインポンプ2A,2Bのそれぞれのドレン圧特性を取得し、メインポンプ2Aについては、メインポンプ2Aのドレン圧特性を、メインポンプ2Bについては、メインポンプ2Bのドレン圧特性をそれぞれポンプ傾転の制御に利用するようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、メインポンプ2Aおよびメインポンプ2Bのドレン圧特性のいずれか一方だけを取得し、当該ドレン特性を利用して、両方のメインポンプ2A,2Bのポンプ傾転を制御するようにしてもよい。
【0071】
上述の説明では、油温Tが通常作業時の油温となっているときにドレン特性を1つだけ取得するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、油温に応じて複数のドレン特性を取得するように構成してもよい。そして、ポンプ傾転の制御の際の油温に応じて上記複数のドレン特性の中から、適宜ドレン特性を選択してポンプ傾転の制御に利用するように構成してもよい。
【0072】
上述の説明では、いわゆる2ポンプシステムを例に説明したが、本発明はこれに限定されず、メインポンプを1基搭載するシステムに適用してもよく、メインポンプを3基以上搭載するシステムに適用してもよい。なお、メインポンプを1基搭載するシステムに適用する場合、たとえば、図2(a)においてメインポンプ2Bに係る各機器が存在しなかった場合には、次のようにしてドレン特性を取得する。この場合には、ポンプブロック10Aの内部の圧力を圧力センサ24Aで検出するため、比例電磁弁14Aを非励磁状態とする。そして、この状態におけるポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdをそれぞれ圧力センサ23A,24Aで検出して、図3に記載したようなドレン特性を取得する。この場合、メインポンプ2Aの傾転角度が最小角度に設定されるため、メインポンプ2Aの吐出量が少なくなり、図3における原点近傍でのポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdがそれぞれ圧力センサ23A,24Aで検出されることになる。したがって、上述した2ポンプシステムの場合と比べると、得られるドレン特性の精度がやや劣ることになるが、実用上は差し支えないものと考えられる。
【0073】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。また、以上では、傾転制御装置を油圧ショベルに適用する例を説明したが、可変容量型のポンプを有する他の油圧作業機にも本発明を同様に適用可能である。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の油圧作業機のポンプ傾転制御装置に限定されない。
【0074】
本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、油圧アクチュエータに駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプと、ポンプ傾転制御用の制御圧を発生する弁手段と、弁手段の駆動に応じて油圧ポンプのポンプ容量を変更する容量変更手段と、弁手段を駆動するための指令圧を出力する指令圧出力手段と、指令圧に対抗して弁手段に作用する背圧を取得する背圧取得手段と、背圧取得手段により取得した背圧に応じて指令圧を補正する補正手段と、弁手段に作用する指令圧を検出する指令圧検出手段とを備え、背圧取得手段は、油圧ポンプの吐出圧を検出する吐出圧検出手段と、ポンプ吐出圧と背圧との関係(背圧特性)をあらかじめ取得する背圧特性取得手段と、背圧特性取得手段で取得した背圧特性を記憶する記憶手段と、吐出圧検出手段により検出された吐出圧と記憶された背圧特性に基づき、背圧を演算する背圧演算手段とを有し、指令圧検出手段は、背圧も検出可能であり、背圧特性取得手段は、吐出圧検出手段で検出した油圧ポンプの吐出圧と、指令圧検出手段で検出した背圧とに基づいて背圧特性を取得することを特徴とする各種構造の油圧作業機のポンプ傾転制御装置を含むものである。
【0075】
また、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、油圧アクチュエータに駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプと、傾転制御圧に応じて油圧ポンプのポンプ容量を変更する容量変更手段と、傾転制御用指令圧によって駆動され、傾転制御圧を発生する弁手段と、指示信号に基づいて傾転制御用指令圧を弁手段に出力する指令圧出力手段と、予め記憶した、油圧ポンプの吐出圧力と弁手段に作用する背圧との関係テーブルに基づいて、検出した油圧ポンプの吐出圧力から背圧を取得する背圧取得手段と、背圧取得手段により取得した背圧に応じて傾転制御用指令圧を補正するように指示信号を補正する補正手段と、傾転制御用指令圧を検出する指令圧検出手段とを備え、指令圧出力手段に指示信号が印加されないときに、傾転制御用指令圧が背圧と等価な圧力となるように指令圧出力手段が構成され、関係テーブルは、検出した油圧ポンプの吐出圧と、指示信号が印加されていない状態で指令圧検出手段で検出した背圧と等価な傾転制御用指令圧とに基づいて予め作成されることを特徴とする各種構造の油圧作業機のポンプ傾転制御装置を含むものである。
【符号の説明】
【0076】
2 メインポンプ
3 サブポンプ
6 操作レバー
12 傾転制御用ピストン
14 比例電磁弁
20 コントローラ
23,24 圧力センサ
36 ドレン圧演算回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の油圧作業機のポンプ傾転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、操作レバーの操作量に応じた傾転制御信号によりポンプ傾転を制御するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、操作レバーの操作量に応じた傾転制御信号を出力して比例電磁弁を駆動し、この比例電磁弁の駆動によって切換弁に作用するパイロット圧を調整し、切換弁の駆動によりポンプ傾転を目標ポンプ傾転に制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−302755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、切換弁にパイロット圧に対抗したケーシング内の圧力が作用する。このため、ケーシング内の圧力が上昇した場合には、指令値通りに切換弁が駆動されず、ポンプ傾転を精度よく目標ポンプ傾転に制御できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による油圧作業機のポンプ傾転制御装置は、油圧アクチュエータに駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプと、ポンプ傾転制御用の制御圧を発生する弁手段と、弁手段の駆動に応じて油圧ポンプのポンプ容量を変更する容量変更手段と、弁手段を駆動するための指令圧を出力する指令圧出力手段と、指令圧に対抗して弁手段に作用する背圧を取得する背圧取得手段と、背圧取得手段により取得した背圧に応じて指令圧を補正する補正手段と、弁手段に作用する指令圧を検出する指令圧検出手段とを備え、背圧取得手段は、油圧ポンプの吐出圧を検出する吐出圧検出手段と、ポンプ吐出圧と背圧との関係(背圧特性)をあらかじめ取得する背圧特性取得手段と、背圧特性取得手段で取得した背圧特性を記憶する記憶手段と、吐出圧検出手段により検出された吐出圧と記憶された背圧特性に基づき、背圧を演算する背圧演算手段とを有し、指令圧検出手段は、背圧も検出可能であり、背圧特性取得手段は、吐出圧検出手段で検出した油圧ポンプの吐出圧と、指令圧検出手段で検出した背圧とに基づいて背圧特性を取得することを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、指令圧出力手段は、パイロット圧発生用のパイロット油圧ポンプと、目標ポンプ傾転を入力する入力手段と、目標ポンプ傾転に応じてパイロット油圧ポンプからのパイロット圧を減圧する減圧手段とを有することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または2に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、油圧ポンプは、第1の油圧ポンプと第2の油圧ポンプとを備え、弁手段は、第1の油圧ポンプのポンプ傾転制御用の制御圧を発生する第1の弁手段と、第2の油圧ポンプのポンプ傾転制御用の制御圧を発生する第2の弁手段とを備え、容量変更手段は、第1の弁手段の駆動に応じて第1の油圧ポンプのポンプ容量を変更する第1の容量変更手段と、第2の弁手段の駆動に応じて第2の油圧ポンプのポンプ容量を変更する第2の容量変更手段とを備え、指令圧出力手段は、第1の弁手段を駆動するための第1の指令圧を出力する第1の指令圧出力手段と、第2の弁手段を駆動するための第2の指令圧を出力する第2の指令圧出力手段とを備え、背圧取得手段は、第1の指令圧に対抗して第1の弁手段に作用する第1の背圧を取得する第1の背圧取得手段と、第2の指令圧に対抗して第2の弁手段に作用する第2の背圧を取得する第2の背圧取得手段とを備え、補正手段は、第1の背圧取得手段により取得した第1の背圧に応じて第1の指令圧を補正する第1の補正手段と、第2の背圧取得手段により取得した第2の背圧に応じて第2の指令圧を補正する第2の補正手段とを備え、指令圧検出手段は、第1の弁手段に作用する第1の指令圧を検出する第1の指令圧検出手段と、第2の弁手段に作用する第2の指令圧を検出する第2の指令圧検出手段とを備え、第1の背圧取得手段は、第1の油圧ポンプの吐出圧を検出する第1の吐出圧検出手段と、第1の油圧ポンプの吐出圧と第1の油圧ポンプの背圧との関係(第1の背圧特性)をあらかじめ取得する第1の背圧特性取得手段と、第1の背圧特性取得手段で取得した第1の背圧特性を記憶する第1の記憶手段と、第1の吐出圧検出手段により検出された第1の油圧ポンプの吐出圧と記憶された第1の背圧特性に基づき、第1の背圧を演算する第1の背圧演算手段とを有し、第2の背圧取得手段は、第2の油圧ポンプの吐出圧を検出する第2の吐出圧検出手段と、第2の油圧ポンプの吐出圧と第2の油圧ポンプの背圧との関係(第2の背圧特性)をあらかじめ取得する第2の背圧特性取得手段と、第2の背圧特性取得手段で取得した第2の背圧特性を記憶する第2の記憶手段と、第2の吐出圧検出手段により検出された第2の油圧ポンプの吐出圧と記憶された第2の背圧特性に基づき、第2の背圧を演算する第2の背圧演算手段とを有し、第1の指令圧検出手段は、第2の背圧も検出可能であり、第2の指令圧検出手段は、第1の背圧も検出可能であり、第1の背圧特性取得手段は、第1の吐出圧検出手段で検出した第1の油圧ポンプの吐出圧と、第2の指令圧検出手段で検出した第1の背圧とに基づいて第1の背圧特性を取得し、第2の背圧特性取得手段は、第2の吐出圧検出手段で検出した第2の油圧ポンプの吐出圧と、第1の指令圧検出手段で検出した第2の背圧とに基づいて第2の背圧特性を取得することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、油圧ポンプは、油圧作業機のエンジンによって駆動され、油圧アクチュエータは、少なくとも油圧作業機に設けられたブームを起伏させるブーム起伏用油圧アクチュエータを含み、背圧特性取得手段は、(a)作動油の油温が通常の作業時に想定される油温の範囲内であり、(b)油圧ポンプの吐出圧が油圧アクチュエータに供給する駆動圧の上限を制限するリリーフ弁のリリーフ圧以上であり、(c)エンジンのエンジン回転数が定格回転数であってブーム起伏用油圧アクチュエータによってブームが上げ方向に駆動されているとき、の上記(a)〜(c)の全ての条件が満たされたときに背圧特性を取得することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、指令圧検出手段により検出された指令圧が補正手段により補正された指令圧となるように指令圧出力手段を制御する制御手段とをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、背圧の影響を考慮してポンプ傾転を精度よく目標ポンプ傾転に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係るポンプ傾転制御装置が適用される油圧ショベルの外観側面図。
【図2】本実施の形態に係るポンプ傾転制御装置の構成を示す図。
【図3】油圧ポンプの吐出圧とドレン圧との関係を示す図。
【図4】油圧切換弁のパイロットポートに作用する二次圧とポンプ吐出量との関係を示す図。
【図5】コントローラでの任意補正の処理の一例を示すフローチャート。
【図6】比例電磁弁に作用する駆動電流と二次圧の関係を示す図。
【図7】二次圧とポンプ傾転との関係を示す図。
【図8】コントローラでの学習制御の一例を示すフローチャート。
【図9】学習制御における目標傾転と電流の関係を示す図。
【図10】学習制御における二次圧と電流の関係を示す図。
【図11】比例電磁弁の補正特性を示す図。
【図12】コントローラでの通常制御の一例を示すブロック図。
【図13】本実施の形態の動作を表すPQ線図。
【図14】コントローラでの自動補正の処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1〜図14を参照して本発明による油圧作業機のポンプ傾転制御装置の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係るポンプ傾転制御装置が適用される油圧作業機の一例である油圧ショベルの外観側面図である。油圧ショベルは、走行体101と、旋回可能な旋回体102と、旋回体102に回動可能に軸支されたブームBM,アームAM,バケットBKからなる作業装置103とを有する。ブームBM,アームAM,バケットBKは、それぞれブームシリンダ103a、アームシリンダ103b、バケットシリンダ103cにより駆動される。
【0009】
図2(a)は、本実施の形態に係るポンプ傾転制御装置の構成を示す図である。本実施の形態では、メインポンプを2基搭載する、いわゆる2ポンプシステムを例に説明する。エンジン1の出力軸には可変容量型の2つのメインポンプ2A,2Bと、サブポンプ3の入力軸が連結され、エンジン1の駆動によりこれら油圧ポンプ2A,2B,3から圧油が吐出される。メインポンプ2A,2Bからの圧油は、方向制御弁4を介して油圧シリンダ(ブームシリンダなど)や油圧モータ(旋回モータなど)等の油圧アクチュエータ5に供給される。以下の説明では、メインポンプ2Aに係る各機器には符号の数字の後に大文字のアルファベットAを付し、メインポンプ2Bに係る各機器には符号の数字の後に大文字のアルファベットBを付して説明する。なお、メインポンプ2Aに係る各機器で符号の数字の後に大文字のアルファベットAを付したものと、メインポンプ2Bに係る各機器で符号の数字の後に大文字のアルファベットBを付したものとでは、符号の数字が一致すれば同じ種類の機器である。そのため、以下の説明では、メインポンプ2Bに係る各機器についての説明は省略する。
【0010】
方向制御弁4にはパイロット弁7を介してサブポンプ3からのパイロット圧が供給される。パイロット弁7は操作レバー6の操作により駆動され、操作レバー6の操作量に応じて油圧アクチュエータ5への圧油の流れが制御される。なお、図示は省略するが、メインポンプ2A,2Bとコントロールバルブ4の間には、ポンプ吐出圧の上限をリリーフ圧Prに制限するリリーフ弁が設けられている。
【0011】
パイロット弁7とサブポンプ3との間にはロックバルブ9が設けられている。ロックバルブ9は、運転席の入口に設けられたゲートロックレバー(不図示)のロック操作によりロック位置に切り換わり、アンロック操作によりアンロック位置に切り換わる。ロックバルブ9がロック位置に切り換わると、パイロット弁7への圧油の流れが禁止される。この状態では、操作レバー6の操作に拘わらず方向制御弁4へパイロット圧は供給されず、方向制御弁4は中立位置に保持され、油圧アクチュエータ5への圧油の流れが阻止される。ロックバルブ9がアンロック位置に切り換わると、パイロット弁7への圧油の流れが許容される。
【0012】
メインポンプ2Aの傾転は、メインポンプ2A用のポンプレギュレータにより変更される。メインポンプ2A用のポンプレギュレータは傾転制御用ピストン12Aと油圧切換弁13Aと比例電磁弁14Aとを備える。傾転制御用ピストン12Aは、傾転制御圧に応じてメインポンプ2Aのポンプ容量を変更する。すなわち、傾転制御用ピストン12Aの小径側油室12Aaにはメインポンプ2Aの吐出圧Ppが作用し、大径側油室12Abには油圧切換弁13Aを介してメインポンプ2Aとサブポンプ3の吐出圧が作用する。各油室12Aa,12Abに作用する油圧力に応じてピストン12Aが駆動され、メインポンプ2Aの傾転が変更される。なお、比例電磁弁14Aのドレンは、ポンプブロック10Aの内部に排出されるように構成されている。
【0013】
油圧切換弁13Aには、比例電磁弁14Aを介したサブポンプ3からのパイロット圧(二次圧Pa)が作用し、二次圧Paに応じて油圧切換弁13Aが切り換わる。すなわち傾転制御用指令圧である比例電磁弁14Aの二次圧Paが増加すると油圧切換弁13Aは位置イ側に切り換わる。これにより油室12Abに作用する油圧力が増加し、メインポンプ2Aのポンプ傾転が増加する。一方、二次圧Paが減少すると油圧切換弁13Aは位置ロ側に切り換わる。これにより油室12Abに作用する油圧力が減少し、メインポンプ2Aのポンプ傾転が減少する。このようにメインポンプ2Aのポンプ傾転が増減すると、メインポンプ2Aのポンプ吐出量は最小流量Qmin〜最大流量Qmaxの間で変化する。比例電磁弁14Aの二次圧Paは、指示信号、すなわち、後述するコントローラ20から出力される比例電磁弁14Aへの駆動電流(励磁電流)によって決定される。
【0014】
メインポンプ2Aと上記ポンプレギュレータはポンプブロック10Aにより一体に構成され、ブロック10Aの内部はポンプ2Aからの漏れ油で満たされている。このため図2(b)に示すように油圧切換弁13Aのスプールには二次圧Paに対抗してブロック内の圧力(ケーシング圧Pb)が背圧となって作用する。なお、ポンプブロック10A内の油はドレンポート、ドレン配管16A,17、フィルタ18を介してタンクに排出されるため、このドレンポート〜タンクへの排出経路の圧力損失(圧損)や作動油の粘度の影響によってポンプブロック10Aのドレンポート圧(ドレン圧PAd)が増加するとポンプブロック10Aのケーシング圧PAd(ポンプブロック内の内部圧力)も増加する。以下、ケーシング圧PAbとドレン圧PAdが同等なものとして説明する。
【0015】
上述したように、ポンプブロック10B内の構成は、ポンプブロック10A内の構成と同じである。また、ポンプブロック10B内の油はドレンポート、ドレン配管16B,17、フィルタ18を介してタンクに排出されるため、このドレンポート〜タンクへの排出経路の圧力損失(圧損)や作動油の粘度の影響によってポンプブロック10Bのドレンポート圧(ドレン圧PBd)が増加するとポンプブロック10Bのケーシング圧PBd(ポンプブロック内の内部圧力)も増加する。以下、ケーシング圧PBbとドレン圧PBdが同等なものとして説明する。
【0016】
ここで、ドレン配管16Aとドレン配管16Bはともにドレン配管17を介してフィルタ18へ接続されているため、ドレン圧PAdとドレン圧PBdとが略等しくなる。したがって、ケーシング圧PAbとケーシング圧PBbも略等しくなる。そこで、以下の説明では、ドレン圧PAdとドレン圧PBdを区別して説明する場合を除き、ドレン圧PAdおよび/またはドレン圧PBdをドレン圧Pdと表示する。また、ケーシング圧PAbとケーシング圧PBbを区別して説明する場合を除き、ケーシング圧PAbおよび/またはケーシング圧PBbをケーシング圧Pbと表示する。同様に、たとえばメインポンプ2Aとメインポンプ2Bとを特に区別して説明する必要がない場合のように、メインポンプ2Aに係る各機器とメインポンプ2Bに係る各機器とを特に区別して説明する必要がない場合には、アルファベットの大文字のAやBの記載を省略する。
【0017】
図3は、ポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdとの関係を示す図である。図3に示すようにポンプ吐出圧Ppが増加するとメインポンプ2からの油の漏れ量が増加し、ドレン圧Pdが比例的に増加する。ポンプ吐出圧Ppが最大Pp1(リリーフ圧Pr)のとき、ドレン圧も最大Pd1となる。
【0018】
図4は、二次圧Paとポンプ吐出量Qとの関係である傾転制御特性を示す図である。図の特性aは、ドレン圧Pdが0のときの基準特性であり、特性bはドレン圧Pdが最大Pd1のときの特性である。特性aに示すように、ドレン圧Pdが0の場合には、二次圧が所定値Pa1でポンプ吐出量はQ1となる。
【0019】
一方、特性bに示すように、ドレン圧PdがPd1の場合には、ケーシング圧(ドレン圧Pd1)が二次圧Paの抗力として作用するため、油圧切換弁13に作用する二次圧Paは実質ドレン圧Pd1の分だけ減少する。このため、傾転制御特性は右側にシフトし、ポンプ吐出量はQ1よりも少くなる。このようにドレン圧Pdが上昇した場合に基準特性aに基づいて比例電磁弁14を制御したのでは、所望のポンプ吐出量Qが得られないおそれがある。特に油圧切換弁13は、メインポンプ2よりも低圧のサブポンプ3からのパイロット圧により切り換えるので、ケーシング圧による影響が大きい。そこで、本実施の形態では、以下に述べるように予め図3に示すようなポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdとの関係(ドレン圧特性または背圧特性と呼ぶ)を定め、この関係に基づきポンプ傾転を制御する。
【0020】
ドレン圧特性は次のようにして求める。まず、2ポンプシステムの一方、例えばメインポンプ2Aの比例電磁弁14Aを最小流量側(非励磁)にしておき、ドレン圧Pdと等価の圧力となる比例電磁弁14Aの二次圧Paをフィードバック用センサ24Aにて検出できる状態にしておく。すなわち、上述したように、比例電磁弁14Aは、そのドレンがポンプブロック10Aの内部に排出されるように構成されているため、指示信号が印加されない(励磁電流が与えられない)非励磁状態では、二次側のポートがポンプブロック10Aの内部と連通することとなる。そのため、比例電磁弁14Aが非励磁状態であれば、フィードバック用センサ24Aで検出される圧力は、ポンプブロック10Aの内部の圧力に等しくなる。本実施の形態では、このように、比例電磁弁14Aを非励磁状態とすることで、ポンプブロック10Aの内部の圧力をフィードバック用センサ24Aで検出するようにしている。
【0021】
次いで、作動油の温度Tが所定範囲内になるまで油圧作業機をウォーミングアップさせる。すなわち、油温Tによって油の粘性が変化しドレン圧Pdが影響を受ける点を考慮して、油温Tが通常作業時の油温(例えば50〜60℃)になるまで油圧作業機をウォーミングアップさせる。なお、一般的には、油温Tが通常作業時の油温以上であれば、油温の変化量に対する粘度の変化量が小さくなるため、油温変動がドレン圧Pdに与える影響は通常作業時の油温以下の場合と比べて少なくなる。また、上述したように、エンジン1の出力軸にはメインポンプ2の入力軸が連結されているので、ポンプ回転数はエンジン回転数に比例する。したがって、ポンプ吐出量Qはエンジン回転数Nが大きいほど増加するため、エンジン回転数Nを定格回転数Naに設定する。
【0022】
さらに、ブーム起伏用の操作レバー6を上げ操作してブームBMを最大に起立させ、リリーフ弁からメインポンプ2Bの吐出油をリリーフさせる。すなわちドレン圧Pdの最大値を取得する。この時、メインポンプ2Bの比例電磁弁14Bを最大流量側に励磁する。この状態で、ポンプ吐出圧Pp(=Pp1)とドレン圧Pd(=Pd1)をそれぞれ圧力センサ23B,24Aで検出し、これと原点とを結んだ直線をメインポンプ2Bのドレン圧特性とする。
【0023】
同様にして、メインポンプ2Aのドレン圧特性についても取得する。このようにして、メインポンプ2A,2Bのそれぞれのドレン圧特性、すなわち、ポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdとの関係テーブルが得られる。
【0024】
本実施例では、パイロットバルブ方式の操作レバーの例を示しているが、操作レバーの代替に、電気レバーと電気レバーの信号を検出して操作信号を出力するコントローラ、それにその操作信号により駆動される比例電磁弁の組合せでも実現できる。
【0025】
図2に示すコントローラ20は、CPU,ROM,RAM,その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ20には、エンジン1の回転数Nを検出する回転数センサ21と、操作レバー6の操作量に応じた操作圧Pn(ポジコン圧)を検出する圧力センサ22と、メインポンプ2の吐出圧Ppを検出する圧力センサ23と、比例電磁弁14に作用する二次圧Paを検出する圧力センサ24と、作動油温度Tを検出する温度センサ26と、ドレン圧特性を自動で算出(取得)するための処理(任意補正)を指令する指令スイッチ27と、学習モードと通常モードのいずれかを選択するモードスイッチ28と、ゲートロックレバーのロック操作を検出するリミットスイッチ29が接続されている。コントローラ20は、これらセンサ21〜26とスイッチ27〜29からの信号に基づき以下のような処理を実行する。
【0026】
補正(ドレン圧特性の取得)の方法には、その実施タイミングにより、以下に述べる任意補正と自動補正の2つの方法がある。
【0027】
(1)任意補正
任意補正は、通常、工場出荷時にメーカで行われる。図5は、コントローラ20で実行される任意補正の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、指令スイッチ27がオン操作されると開始される。なお、以下の説明では、メインポンプ2Bのドレン圧特性の取得について説明するが、メインポンプ2Aのドレン圧特性の取得についても同様である。したがって、メインポンプ2Aのドレン圧特性の取得については説明を省略する。
【0028】
ステップS1では、温度センサ26により検出された作動油温度Tが所定範囲内(50〜60℃)にあるか否かを判定する。ステップS2では、回転数センサ21により検出されたエンジン回転数Nが定格回転数Naであるか否かを判定する。ステップS3では、ポンプ2Aおよびポンプ2Bの比例電磁弁14A,14Bの指令値をセットする。すなわち、比例電磁弁14Aが非励磁状態となるように、比例電磁弁14Bの励磁電流が最大となるように比例電磁弁14A,14Bの指令値をセットする。
【0029】
ステップS4では、圧力センサ22によりブームBMの上げ操作が検出されたか否かを判定する。ステップS5ではメインポンプ2Bの吐出圧がリリーフ圧以上になっているか否かを判定する。ステップS1、S2、S4、S5の全てが肯定されるとステップS6に進み、いずれか1つでも否定されるとステップS51に進む。
【0030】
ステップS6では、圧力センサ24Aの検出値Pa(ただし、この時はPdと同等圧)が正常範囲内にあるか否かを判定する。ステップS6が肯定されるとステップS7に進み、圧力センサ24Aの検出値Pd(=Pd1)を読み取り、メモリに記憶する。ステップS8では、ポンプ吐出圧検出用の圧力センサ23Bの検出値Ppが正常範囲内にあるか否かを判定する。ステップS8が肯定されるとステップS9に進み、圧力センサ23Bの検出値Pp(=Pp1)を読み取り、メモリに記憶する。
【0031】
次いで、ステップS10で、例えば表示モニタに信号を出力し、任意補正が正常終了した旨を作業員に報知する。ステップS1、S2、S4、S5、S6、S8のいずれかが否定されるとステップS51に進み、任意補正が異常終了した旨を作業員に報知する。以上の処理により図3に示すようなメインポンプ2Bのドレン圧特性が得られる。このドレン圧特性は図12のドレン圧演算回路36に記憶され、後述するようにポンプ傾転が制御される。
【0032】
(2)自動補正
自動補正は、通常、油圧ショベルの使用中(作業中)に行われる。図14は、コントローラ20で実行される自動補正の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、あらかじめ設定された作動油温に達した場合に、自動的に開始される。なお、以下の説明では、メインポンプ2Bのドレン圧特性の取得について説明するが、メインポンプ2Aのドレン圧特性の取得についても同様である。したがって、メインポンプ2Aのドレン圧特性の取得については説明を省略する。
【0033】
ステップS31では、温度センサ26により検出された作動油温度Tがあらかじめ設定された補正実施温度に達したか否かを判定する。ステップS31が肯定されるとその時の作動油温を記憶する。ステップS33では、回転数センサ21により検出されたエンジン回転数Nが定格回転数Naであるか否かを判定する。ステップS34では、圧力センサ24Aの検出値Paが、Pdと同等圧となる、比例電磁弁14Aが非励磁状態か否かを判定する。ステップS35では、比例電磁弁14Bの励磁電流が最大となっているか否かを判定する。ステップS31、S33、S34、S35の全てが肯定されるとステップS36に進み、いずれか1つでも否定されるとステップS31に戻る。
【0034】
ステップS36では、圧力センサ24Aの検出値Pa(ただし、この時はPdと同等圧)が正常範囲内にあるか否かを判定する。ステップS36が肯定されるとステップS37に進み、圧力センサ24Aの検出値Pd(=Pd1)を読み取り、メモリに記憶する。ステップS38では、ポンプ吐出圧検出用の圧力センサ23Bの検出値Ppが正常範囲内にあるか否かを判定する。ステップS38が肯定されるとステップS39に進み、圧力センサ23Bの検出値Pp(=Pp1)を読み取り、メモリに記憶する。
【0035】
次いで、ステップS40で、例えば表示モニタに信号を出力し、自動補正が正常終了した旨を作業員に報知する。ステップS36,S38のいずれかが否定されるとステップS31に戻る。以上の処理により図3に示すようなメインポンプ2Bのドレン圧特性が得られる。このドレン圧特性は図12のドレン圧演算回路36に記憶され、後述するようにポンプ傾転が制御される。
【0036】
本実施の形態では、比例電磁弁14の個体差による特性のばらつきを考慮したポンプ傾転制御を併せて行う。以下、この点について説明する。図6は、比例電磁弁14の入出力特性の一例を示す図であり、図7は、二次圧Paとポンプ傾転θの関係を示す図である。
【0037】
図6において、特性A0は基準特性であり、比例電磁弁14への駆動電流iの増加に伴い、二次圧Paは増加する。このような比例電磁弁14の特性には個体差があるため、基準特性A0に対して許容公差±Δα内で特性がばらつき、実際の特性Aは基準特性A0に対してずれる。このため、例えば二次圧Pa1を発生させようとして基準特性A0に基づき比例電磁弁14に駆動電流i1を出力すると実際の二次圧はPa1’となり、目標値Pa1と乖離する。
【0038】
その結果、図7に示すように実際のポンプ傾転θ1’が目標ポンプ傾転θ1から乖離し、操作レバー6の操作に応じた良好な作業を行うことができなくなる。この点を考慮し、本実施の形態では、予め比例電磁弁14のばらつきを考慮した補正特性を設定し(学習制御)、学習制御によって得られた補正特性に基づきポンプ傾転θを制御する(通常制御)。
【0039】
(3)学習制御
図8は、学習制御の処理の一例を示すフローチャートである。コントローラ10には予め図9に示すような比例電磁弁14の基準特性F0(設計値)が記憶され、この特性上の3点、すなわちポンプ最小傾転θminに対応する駆動電流(基準制御信号iAmin)、ポンプ最大傾転θmaxに対応する駆動電流(基準制御信号iAmax)、およびθminとθmaxの中間である中間傾転θmeaに対応する駆動電流(基準制御信号iAmea)が基準値として記憶されている。また、θmin,θmea,θmaxにそれぞれ対応する設計上の二次圧(基準制御圧)Pmin,Pmea,Pmaxも基準値として記憶されている。
【0040】
図8の処理は、モードスイッチ28の操作により学習モードが選択されると開始される。なお、図8の処理は、比例電磁弁14A,14Bのそれぞれについて行われる。ステップS11では、温度センサ27により検出された作動油温度Tが所定範囲内(50〜60℃)にあるか否かを判定する。ステップS12では、回転数センサ21により検出されたエンジン回転数Nが定格回転数Naであるか否かを判定する。ステップS11,ステップS12は、実際の作業条件に合わせて学習制御を行うための処理であり、ステップS11,ステップS12がともに肯定されるとステップS13に進み、いずれかが否定されるとステップS11に戻る。
【0041】
ステップS13では、リミットスイッチ29からの信号によりゲートロックレバーがロック操作されているか否かを判定する。これは、学習制御の際に機械が誤作動しないようにするための処理であり、方向制御弁4へのパイロット圧の供給が断たれた状態でのみ学習制御を行うようにする。ステップS13が肯定されるとステップS14に進み、否定されるとステップS11に戻る。
【0042】
ステップS14では、図9の基準特性F0によりポンプ最小傾転θminもしくはその近傍の傾転θに対応した駆動電流i11(例えばiAmin)を演算し、この駆動電流i11を比例電磁弁14に出力する。ステップS15では、二次圧データが安定するまで所定時間(例えば5秒)をカウントし、所定時間の経過後に二次圧Paを読み込み、実測二次圧P11としてメモリに記憶する。
【0043】
ステップS16では、図9の基準特性F0によりポンプ最大傾転θmaxもしくはその近傍の傾転θに対応した駆動電流i12(例えばiAmax)を演算し、この駆動電流i12を比例電磁弁14に出力する。ステップS17では、二次圧データが安定するまで所定時間(例えば5秒)をカウントし、所定時間の経過後に二次圧Paを読み込み、実測二次圧P12としてメモリに記憶する。
【0044】
ステップS18では、図9の基準特性F0により中間傾転θmeaもしくはその近傍の傾転θに対応した駆動電流i13(例えばiAmea)を演算し、この駆動電流i13を比例電磁弁14に出力する。ステップS19では、二次圧データが安定するまで所定時間(例えば5秒)をカウントし、所定時間の経過後に二次圧Paを読み込み、実測二次圧P13としてメモリに記憶する。以上により求めた二次圧データP11,P12,P13を図10に示すように直線で結ぶことにより、二次圧と制御信号(電流)との関係が得られる。
【0045】
ステップS20では、図10の関係を用いて、予め定めた基準制御圧Pmin,Pmea,Pmaxに対応する駆動電流imin,imea,imaxをそれぞれ次式(I)により演算する。
imin=i11−(P11−Pmin)×(i13−i11)/(P13−P11)
imea=i13−(P13−Pmea)×(i13−i11)/(P13−P11);P13>Pmeaのとき
imea=i13+(Pmea−P13)×(i12−i13)/(P12−P13);P13<Pmeaのとき)
imax=i12+(Pmax−P12)×(i12−i13)/(P12−P13) ・・・(I)
【0046】
ここで求めたimin,imea,imaxは、それぞれ比例電磁弁14の最小傾転θmin,中間傾転θmea,最大傾転θmaxに対応する駆動電流を意味する。すなわち比例電磁弁14に電流imin,imea,imaxを出力すると、二次圧はそれぞれPmin,Pmea,Pmaxとなり、実ポンプ傾転はそれぞれθmin,θmea,θmaxとなる。
【0047】
ステップS21では、駆動電流imin,imea,imaxから予め定めた駆動電流iAmin,iAmea,iAmaxをそれぞれ減算して電流補正値Δimin,Δimea,Δimaxを演算し、メモリに記憶する。これにより図11に示すように比例電磁弁14に固有の補正特性f1が求められ、この特性がコントローラ20のメモリに記憶される。以上により学習制御を終了する。なお、学習制御の終了時に例えば運転席のランプなどを点灯させ、学習制御が終了した旨を作業員に報知するようにしてもよい。
【0048】
(4)通常制御
図12は、コントローラ内における通常制御の処理を示すブロック図である。学習制御の終了後、モードスイッチ28の操作により通常モードが選択されると、通常制御が開始される。この通常制御は、メインポンプ2A側およびメインポンプ2B側のそれぞれについて行われる。回転数センサ21からの信号はトルク演算回路31に入力される。トルク演算回路31には、予め図示のようにエンジン回転数Nと出力トルクTrとの関係が記憶されている。トルク演算回路31では、この関係に基づきエンジン回転数Nに対応した出力トルクTrを演算し、容量演算回路32に出力する。
【0049】
容量演算回路32には、圧力センサ23により検出されたポンプ吐出圧Ppが入力される。容量演算回路32には、ポンプ吸収トルクがエンジン出力トルクTrを超えないようにするため、予め図示のようにエンジン出力トルクTrが一定の馬力特性が設定されている。容量演算回路32では、この特性に基づきポンプ吐出圧Ppに対応した目標ポンプ傾転θ1を演算する。
【0050】
容量演算回路33には、圧力センサ22により検出されたポジコン圧Pnが入力される。容量演算回路33には、予め図示のように操作レバー6の操作によるポジコン圧Pnと目標ポンプ傾転θ2との関係、すなわちポジコン圧Pnの増加に伴い目標ポンプ傾転θ2が増加するような関係が記憶されている。容量演算回路33では、この特性に基づきポジコン圧Pnに対応した目標ポンプ傾転θ2を演算する。
【0051】
容量演算回路32,33により演算された目標ポンプ傾転θ1,θ2はそれぞれ選択回路34に入力される。選択回路34では、目標ポンプ傾転θ1,θ2のうちいずれか小さい方の値を目標ポンプ傾転θとして選択し、目標ポンプ傾転θを指令圧演算回路35に出力する。
【0052】
指令圧演算回路35には、予め図示のような指令圧P0の基準特性、すなわち目標ポンプ傾転θが増加するほど指令圧P0が増加するような特性が記憶されている。指令圧演算回路35では、この特性に基づき目標ポンプ傾転θに対応した目標指令圧P0(二次圧Paの指令値)を演算する。
【0053】
ドレン圧演算回路36には、圧力センサ23により検出されたポンプ吐出圧Ppが入力される。ドレン圧演算回路36には、予め任意補正制御により求めたポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdとの関係(図3)が、メインポンプ2A側およびメインポンプ2B側のそれぞれについて記憶されている。ドレン圧演算回路36では、これらの特性に基づき、ポンプ吐出圧Ppに対応したドレン圧Pdをそれぞれ演算する。加算回路37では、目標指令圧P0にドレン圧Pdを加算し、目標指令圧P0を補正する。
【0054】
フィードバック制御回路40では、目標指令圧P0をフィードバック制御して指令圧Pxを出力する。すなわち減算回路41で、目標指令圧P0から圧力センサ24で検出した二次圧Paを減算し、圧力偏差ΔP(=P0−Pa)を演算する。ゲイン回路42で、この偏差ΔPにフィードバックゲインKを乗じ、偏差ΔPKを演算する。加算回路43で、目標指令圧P0に偏差ΔPKを加算し、指令圧Pxを出力する。これによりフィードバック制御回路40は、圧力センサ24で検出した二次圧Paが目標指令圧P0と等しくなるようにフィードバック指令圧Pxを出力する。
【0055】
指令圧Pxは、基準演算回路44と補正演算回路45にそれぞれ出力される。基準演算回路44には予め図示のような比例電磁弁14の指令圧Pxと駆動電流I0との関係(設計値)が記憶されている。基準演算回路44は、この駆動電流の基準特性f0に基づき指令圧Pxに対応した目標駆動電流I0を演算する。
【0056】
補正演算回路45には、予め学習モードにおいて定めた指令圧Pxと補正電流ΔI0との関係(図11)が記憶されている。補正演算回路45は、この駆動電流の補正特性に基づき指令圧Pxに対応した補正電流ΔI0を演算する。加算回路46は、目標駆動電流I0と補正電流ΔI0を加算して補正後の目標駆動電流Iを演算し、比例電磁弁14に出力する。以上の通常制御の処理は作業時に繰り返し行われる。
【0057】
本実施の形態に係る動作をまとめると次のようになる。まず、学習モードにおいて、コントローラ20で図8の処理を行い、比例電磁弁14A,14Bそれぞれの固有の補正特性f1を求める。この場合、モードスイッチ28を学習モードに切り換え操作し、かつ、作動油温Tを所定範囲内に保ち、かつ、エンジン回転数Nを定格回転数Naに制御し、かつ、ゲートロックレバーをロック操作する(ステップS11〜ステップS13)。
【0058】
以上の条件が成立すると、コントローラ20は比例電磁弁14A,14Bそれぞれに対して所定の駆動電流i11,i12,i13を出力するとともに、二次圧P11,P12,P13を検出し、二次圧Paと電流iとの関係(図10)をそれぞれ求める。この関係から基準制御圧Pmin,Pmea,Pmaxに対応した駆動電流imin,imea,imaxを演算する(ステップS20)。この駆動電流imin,imea,imaxから基準の駆動電流iAmin,iAmea,iAmaxをそれぞれ減算し、電流補正値Δimin,Δimea,Δimaxをメモリに記憶する(ステップS21)。
【0059】
次に、図5に示す任意補正の処理を行い、ドレン圧特性(図3)を求める。この場合、指令スイッチ27を操作し、かつ、作動油温Tを所定範囲内に保ち、かつ、エンジン回転数Nを定格回転数Naに制御し、かつ、ブームBMを上げ操作し、メインポンプ2の吐出圧をリリーフさせる(ステップS1〜ステップS5)。
【0060】
以上の条件が成立すると、コントローラ20はドレン圧Pdとポンプ吐出圧Ppを検出し、メモリに記憶する(ステップS7,ステップS9)。なお、学習制御と任意補正は、通常制御で用いる補正特性とドレン圧特性を設定するために行うものであり、通常、工場出荷時にメーカによって行われる。
【0061】
通常の作業時には、モードスイッチ28を通常モードに切り換え操作する。通常モードでは、コントローラ20は圧力センサ24で検出した二次圧Paが操作レバー6の操作量に応じた目標指令圧P0と等しくなるように比例電磁弁14に目標駆動電流Iを出力する。すなわち、圧力センサ24で検出した二次圧Paが目標指令圧P0と等しくなるようにフィードバック制御により指令圧Pxを出力するとともに、この指令圧Pxに対応した目標駆動電流I0を、学習モードによって定めた補正電流ΔI0の特性f1により補正し、補正後の目標駆動電流I(=I0+ΔI0)を比例電磁弁14に出力する。
【0062】
この際、コントローラ20は、メインポンプ2A側およびメインポンプ2B側のそれぞれについて、ドレン圧特性に基づきドレン圧Pdを演算し、目標指令圧P0にドレン圧Pdを加算して目標指令圧P0を補正する。このため、油圧切換弁13に作用する二次圧Paが背圧相当分のドレン圧Pdの分だけ増加することとなり、油圧切換弁13に作用するケーシング圧(ドレン圧Pd)がキャンセルされる。その結果、図4に示す基準特性aに沿ってポンプ吐出量Qを変化させることができ、所望のポンプ吐出量Qが得られる。
【0063】
この場合のメインポンプ2の吐出圧Pと吐出量Qの関係を図13に示す。図の特性aは、ドレン圧Pdが0のときのPQ特性(基準特性)であり、さらに、ドレン圧PdがPd1で、指令圧P0をドレン圧Pd1で補正した場合のPQ特性である。特性bは、ドレン圧PdがPd1で、指令圧P0を補正しない場合のPQ特性である。
【0064】
指令圧P0を補正しない場合には、油圧切換弁13に作用する二次圧Paがドレン圧Pdの分だけ不足する。このため、実ポンプ傾転は目標ポンプ傾転θとならず、ポンプ吐出量Qはドレン圧Pdが0のとき、すなわち目標値よりもΔQだけ減少する。一方、本実施の形態のように指令圧P0を補正する場合には、油圧切換弁13にドレン圧Pdを上乗せした二次圧Paが作用する。このため、実ポンプ傾転は目標ポンプ傾転θとなり、ポンプ吐出量Qを精度よく目標値に制御できる。
【0065】
本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)ドレン圧演算部36に設定したドレン圧特性によりドレン圧Pdを演算し、目標ポンプ傾転θに対応した指令圧P0をドレン圧Pdの分だけ加算して出力するようにした。これにより油圧切換弁13にケーシング圧(ドレン圧Pd)が作用することによる油圧切換弁13の切換量の低下が抑えられ、ポンプ傾転を精度良く目標ポンプ傾転θに制御できる。
(2)フィードバック用の圧力センサ24A,24Bを用いてドレン圧特性をあらかじめ取得しておき、通常制御においてはドレン圧特性によりドレン圧Pdを演算するので、ドレン圧検出のための油圧センサを別途設ける必要がなく、コストを抑えることができる。
(3)メインポンプ2からの圧油ではなく、サブポンプ3からの低圧のパイロット圧を比例電磁弁14で減圧して油圧切換弁13に付与し、油圧切換弁13を切り換えるようにした。これにより比例電磁弁14と油圧切換弁13の耐圧性をそれほど高める必要がなく、安価に構成できる。
(4)作動油温Tが所定範囲内、かつ、エンジン回転数Nが定格回転数Na、かつ、ブーム上げリリーフの状態のときに、任意補正を行うようにした。すなわち実際の作業条件に合わせて任意補正を行うようにしたので、ドレン圧特性を精度よく求めることができる。
【0066】
(5)学習制御において、圧力センサ24の検出値Paを用いてポンプ傾転制御用の補正特性f1を求め、通常制御において、圧力センサ24の検出値Paを用いてフィードバック制御により駆動電流Iを補正するとともに、補正特性f1に基づき駆動電流Iを補正するようにした。これにより傾転角センサを用いることなく傾転制御を行うので、傾転制御装置を安価に構成することができる。また、圧力センサ24は傾転角センサに比べて温度特性がよいので、高温条件下で作業した場合であってもポンプ傾転を精度良く補正することができる。
(6)指令圧Pxをフィードバック制御により出力して駆動電流Iを補正するので、操作レバー6の操作により目標ポンプ傾転θが変化した場合に、実ポンプ傾転を応答性よく目標ポンプ傾転θに制御できる。
(7)予め定めた比例電磁弁14の固有の補正特性f1に基づき傾転制御するので、個々の製品間の動的特性のばらつきが少なく、均一の動作特性が得られる。
(8)補正特性f1を求めるために基準制御圧を3点(Pmin,Pmea,Pmax)設定するので、補正特性f1が比例電磁弁14の特性に良好に対応し、駆動電流Iを精度良く補正することができる。
【0067】
なお、上記実施の形態では、比例電磁弁14からの二次圧Paにより油圧切換弁13を切り換えてピストン12への制御圧を発生するようにしたが、二次圧Paに対抗した背圧が作用するように構成されているのであれば、制御圧を発生する弁手段としての油圧切換弁13はいかなるものでもよい。油圧切換弁13の切換に応じて傾転制御用ピストン12を駆動することで、ポンプ傾転(ポンプ容量)を変更するようにしたが、容量変更手段はこれに限らない。サブポンプ3からの圧油を比例電磁弁14で減圧して油圧切換弁13に二次圧Pa(指令圧P0)を出力するようにしたが、指令圧出力手段はこれに限らない。例えばメインポンプ2からの圧油により弁手段を切り換えるようにしてもよい。
【0068】
油圧切換弁13に作用する背圧に応じて指令圧P0を補正するのであれば、補正手段としてのコントローラ20の構成はいかなるものでもよい。
【0069】
操作レバー6の操作によりポジコン圧Pnを発生させて目標ポンプ傾転を入力するようにしたが、他の入力手段を用いてもよい。サブポンプ3からのパイロット圧を比例電磁弁14で減圧するようにしたが、減圧手段はこれに限らない。指令圧検出手段としての圧力センサ24により二次圧Pa(指令圧)を検出するとともに、検出された二次圧Paが補正後の指令圧P0となるように比例電磁弁14を制御するようにしたが、制御手段としてのコントローラ20の構成はいかなるものでもよい。
【0070】
上述の説明では、メインポンプ2A,2Bのそれぞれのドレン圧特性を取得し、メインポンプ2Aについては、メインポンプ2Aのドレン圧特性を、メインポンプ2Bについては、メインポンプ2Bのドレン圧特性をそれぞれポンプ傾転の制御に利用するようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、メインポンプ2Aおよびメインポンプ2Bのドレン圧特性のいずれか一方だけを取得し、当該ドレン特性を利用して、両方のメインポンプ2A,2Bのポンプ傾転を制御するようにしてもよい。
【0071】
上述の説明では、油温Tが通常作業時の油温となっているときにドレン特性を1つだけ取得するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、油温に応じて複数のドレン特性を取得するように構成してもよい。そして、ポンプ傾転の制御の際の油温に応じて上記複数のドレン特性の中から、適宜ドレン特性を選択してポンプ傾転の制御に利用するように構成してもよい。
【0072】
上述の説明では、いわゆる2ポンプシステムを例に説明したが、本発明はこれに限定されず、メインポンプを1基搭載するシステムに適用してもよく、メインポンプを3基以上搭載するシステムに適用してもよい。なお、メインポンプを1基搭載するシステムに適用する場合、たとえば、図2(a)においてメインポンプ2Bに係る各機器が存在しなかった場合には、次のようにしてドレン特性を取得する。この場合には、ポンプブロック10Aの内部の圧力を圧力センサ24Aで検出するため、比例電磁弁14Aを非励磁状態とする。そして、この状態におけるポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdをそれぞれ圧力センサ23A,24Aで検出して、図3に記載したようなドレン特性を取得する。この場合、メインポンプ2Aの傾転角度が最小角度に設定されるため、メインポンプ2Aの吐出量が少なくなり、図3における原点近傍でのポンプ吐出圧Ppとドレン圧Pdがそれぞれ圧力センサ23A,24Aで検出されることになる。したがって、上述した2ポンプシステムの場合と比べると、得られるドレン特性の精度がやや劣ることになるが、実用上は差し支えないものと考えられる。
【0073】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。また、以上では、傾転制御装置を油圧ショベルに適用する例を説明したが、可変容量型のポンプを有する他の油圧作業機にも本発明を同様に適用可能である。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の油圧作業機のポンプ傾転制御装置に限定されない。
【0074】
本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、油圧アクチュエータに駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプと、ポンプ傾転制御用の制御圧を発生する弁手段と、弁手段の駆動に応じて油圧ポンプのポンプ容量を変更する容量変更手段と、弁手段を駆動するための指令圧を出力する指令圧出力手段と、指令圧に対抗して弁手段に作用する背圧を取得する背圧取得手段と、背圧取得手段により取得した背圧に応じて指令圧を補正する補正手段と、弁手段に作用する指令圧を検出する指令圧検出手段とを備え、背圧取得手段は、油圧ポンプの吐出圧を検出する吐出圧検出手段と、ポンプ吐出圧と背圧との関係(背圧特性)をあらかじめ取得する背圧特性取得手段と、背圧特性取得手段で取得した背圧特性を記憶する記憶手段と、吐出圧検出手段により検出された吐出圧と記憶された背圧特性に基づき、背圧を演算する背圧演算手段とを有し、指令圧検出手段は、背圧も検出可能であり、背圧特性取得手段は、吐出圧検出手段で検出した油圧ポンプの吐出圧と、指令圧検出手段で検出した背圧とに基づいて背圧特性を取得することを特徴とする各種構造の油圧作業機のポンプ傾転制御装置を含むものである。
【0075】
また、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、油圧アクチュエータに駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプと、傾転制御圧に応じて油圧ポンプのポンプ容量を変更する容量変更手段と、傾転制御用指令圧によって駆動され、傾転制御圧を発生する弁手段と、指示信号に基づいて傾転制御用指令圧を弁手段に出力する指令圧出力手段と、予め記憶した、油圧ポンプの吐出圧力と弁手段に作用する背圧との関係テーブルに基づいて、検出した油圧ポンプの吐出圧力から背圧を取得する背圧取得手段と、背圧取得手段により取得した背圧に応じて傾転制御用指令圧を補正するように指示信号を補正する補正手段と、傾転制御用指令圧を検出する指令圧検出手段とを備え、指令圧出力手段に指示信号が印加されないときに、傾転制御用指令圧が背圧と等価な圧力となるように指令圧出力手段が構成され、関係テーブルは、検出した油圧ポンプの吐出圧と、指示信号が印加されていない状態で指令圧検出手段で検出した背圧と等価な傾転制御用指令圧とに基づいて予め作成されることを特徴とする各種構造の油圧作業機のポンプ傾転制御装置を含むものである。
【符号の説明】
【0076】
2 メインポンプ
3 サブポンプ
6 操作レバー
12 傾転制御用ピストン
14 比例電磁弁
20 コントローラ
23,24 圧力センサ
36 ドレン圧演算回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧アクチュエータに駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプと、
ポンプ傾転制御用の制御圧を発生する弁手段と、
前記弁手段の駆動に応じて前記油圧ポンプのポンプ容量を変更する容量変更手段と、
前記弁手段を駆動するための指令圧を出力する指令圧出力手段と、
前記指令圧に対抗して前記弁手段に作用する背圧を取得する背圧取得手段と、
前記背圧取得手段により取得した背圧に応じて前記指令圧を補正する補正手段と、
前記弁手段に作用する指令圧を検出する指令圧検出手段とを備え、
前記背圧取得手段は、
前記油圧ポンプの吐出圧を検出する吐出圧検出手段と、
ポンプ吐出圧と背圧との関係(背圧特性)をあらかじめ取得する背圧特性取得手段と、
前記背圧特性取得手段で取得した前記背圧特性を記憶する記憶手段と、
前記吐出圧検出手段により検出された吐出圧と前記記憶された背圧特性に基づき、背圧を演算する背圧演算手段とを有し、
前記指令圧検出手段は、前記背圧も検出可能であり、
前記背圧特性取得手段は、前記吐出圧検出手段で検出した前記油圧ポンプの吐出圧と、前記指令圧検出手段で検出した前記背圧とに基づいて前記背圧特性を取得することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、
前記指令圧出力手段は、
パイロット圧発生用のパイロット油圧ポンプと、
目標ポンプ傾転を入力する入力手段と、
目標ポンプ傾転に応じて前記パイロット油圧ポンプからのパイロット圧を減圧する減圧手段とを有することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、
前記油圧ポンプは、第1の油圧ポンプと第2の油圧ポンプとを備え、
前記弁手段は、前記第1の油圧ポンプのポンプ傾転制御用の制御圧を発生する第1の弁手段と、前記第2の油圧ポンプのポンプ傾転制御用の制御圧を発生する第2の弁手段とを備え、
前記容量変更手段は、前記第1の弁手段の駆動に応じて前記第1の油圧ポンプのポンプ容量を変更する第1の容量変更手段と、前記第2の弁手段の駆動に応じて前記第2の油圧ポンプのポンプ容量を変更する第2の容量変更手段とを備え、
前記指令圧出力手段は、前記第1の弁手段を駆動するための第1の指令圧を出力する第1の指令圧出力手段と、前記第2の弁手段を駆動するための第2の指令圧を出力する第2の指令圧出力手段とを備え、
前記背圧取得手段は、前記第1の指令圧に対抗して前記第1の弁手段に作用する第1の背圧を取得する第1の背圧取得手段と、前記第2の指令圧に対抗して前記第2の弁手段に作用する第2の背圧を取得する第2の背圧取得手段とを備え、
前記補正手段は、前記第1の背圧取得手段により取得した前記第1の背圧に応じて前記第1の指令圧を補正する第1の補正手段と、前記第2の背圧取得手段により取得した前記第2の背圧に応じて前記第2の指令圧を補正する第2の補正手段とを備え、
前記指令圧検出手段は、前記第1の弁手段に作用する前記第1の指令圧を検出する第1の指令圧検出手段と、前記第2の弁手段に作用する前記第2の指令圧を検出する第2の指令圧検出手段とを備え、
前記第1の背圧取得手段は、
前記第1の油圧ポンプの吐出圧を検出する第1の吐出圧検出手段と、
前記第1の油圧ポンプの吐出圧と前記第1の油圧ポンプの背圧との関係(第1の背圧特性)をあらかじめ取得する第1の背圧特性取得手段と、
前記第1の背圧特性取得手段で取得した前記第1の背圧特性を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の吐出圧検出手段により検出された前記第1の油圧ポンプの吐出圧と前記記憶された第1の背圧特性に基づき、第1の背圧を演算する第1の背圧演算手段とを有し、
前記第2の背圧取得手段は、
前記第2の油圧ポンプの吐出圧を検出する第2の吐出圧検出手段と、
前記第2の油圧ポンプの吐出圧と前記第2の油圧ポンプの背圧との関係(第2の背圧特性)をあらかじめ取得する第2の背圧特性取得手段と、
前記第2の背圧特性取得手段で取得した前記第2の背圧特性を記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の吐出圧検出手段により検出された前記第2の油圧ポンプの吐出圧と前記記憶された第2の背圧特性に基づき、第2の背圧を演算する第2の背圧演算手段とを有し、
前記第1の指令圧検出手段は、前記第2の背圧も検出可能であり、
前記第2の指令圧検出手段は、前記第1の背圧も検出可能であり、
前記第1の背圧特性取得手段は、前記第1の吐出圧検出手段で検出した前記第1の油圧ポンプの吐出圧と、前記第2の指令圧検出手段で検出した前記第1の背圧とに基づいて前記第1の背圧特性を取得し、
前記第2の背圧特性取得手段は、前記第2の吐出圧検出手段で検出した前記第2の油圧ポンプの吐出圧と、前記第1の指令圧検出手段で検出した前記第2の背圧とに基づいて前記第2の背圧特性を取得することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、
前記油圧ポンプは、前記油圧作業機のエンジンによって駆動され、
前記油圧アクチュエータは、少なくとも前記油圧作業機に設けられたブームを起伏させるブーム起伏用油圧アクチュエータを含み、
前記背圧特性取得手段は、
(1) 作動油の油温が通常の作業時に想定される油温の範囲内であり、
(2) 前記油圧ポンプの吐出圧が前記油圧アクチュエータに供給する駆動圧の上限を制限するリリーフ弁のリリーフ圧以上であり、
(3) 前記エンジンのエンジン回転数が定格回転数であって前記ブーム起伏用油圧アクチュエータによって前記ブームが上げ方向に駆動されているとき、
の上記(1)〜(3)の全ての条件が満たされたときに前記背圧特性を取得することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、
前記指令圧検出手段により検出された指令圧が前記補正手段により補正された指令圧となるように前記指令圧出力手段を制御する制御手段とをさらに備えることを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項1】
油圧アクチュエータに駆動圧を供給する可変容量型の油圧ポンプと、
ポンプ傾転制御用の制御圧を発生する弁手段と、
前記弁手段の駆動に応じて前記油圧ポンプのポンプ容量を変更する容量変更手段と、
前記弁手段を駆動するための指令圧を出力する指令圧出力手段と、
前記指令圧に対抗して前記弁手段に作用する背圧を取得する背圧取得手段と、
前記背圧取得手段により取得した背圧に応じて前記指令圧を補正する補正手段と、
前記弁手段に作用する指令圧を検出する指令圧検出手段とを備え、
前記背圧取得手段は、
前記油圧ポンプの吐出圧を検出する吐出圧検出手段と、
ポンプ吐出圧と背圧との関係(背圧特性)をあらかじめ取得する背圧特性取得手段と、
前記背圧特性取得手段で取得した前記背圧特性を記憶する記憶手段と、
前記吐出圧検出手段により検出された吐出圧と前記記憶された背圧特性に基づき、背圧を演算する背圧演算手段とを有し、
前記指令圧検出手段は、前記背圧も検出可能であり、
前記背圧特性取得手段は、前記吐出圧検出手段で検出した前記油圧ポンプの吐出圧と、前記指令圧検出手段で検出した前記背圧とに基づいて前記背圧特性を取得することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、
前記指令圧出力手段は、
パイロット圧発生用のパイロット油圧ポンプと、
目標ポンプ傾転を入力する入力手段と、
目標ポンプ傾転に応じて前記パイロット油圧ポンプからのパイロット圧を減圧する減圧手段とを有することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、
前記油圧ポンプは、第1の油圧ポンプと第2の油圧ポンプとを備え、
前記弁手段は、前記第1の油圧ポンプのポンプ傾転制御用の制御圧を発生する第1の弁手段と、前記第2の油圧ポンプのポンプ傾転制御用の制御圧を発生する第2の弁手段とを備え、
前記容量変更手段は、前記第1の弁手段の駆動に応じて前記第1の油圧ポンプのポンプ容量を変更する第1の容量変更手段と、前記第2の弁手段の駆動に応じて前記第2の油圧ポンプのポンプ容量を変更する第2の容量変更手段とを備え、
前記指令圧出力手段は、前記第1の弁手段を駆動するための第1の指令圧を出力する第1の指令圧出力手段と、前記第2の弁手段を駆動するための第2の指令圧を出力する第2の指令圧出力手段とを備え、
前記背圧取得手段は、前記第1の指令圧に対抗して前記第1の弁手段に作用する第1の背圧を取得する第1の背圧取得手段と、前記第2の指令圧に対抗して前記第2の弁手段に作用する第2の背圧を取得する第2の背圧取得手段とを備え、
前記補正手段は、前記第1の背圧取得手段により取得した前記第1の背圧に応じて前記第1の指令圧を補正する第1の補正手段と、前記第2の背圧取得手段により取得した前記第2の背圧に応じて前記第2の指令圧を補正する第2の補正手段とを備え、
前記指令圧検出手段は、前記第1の弁手段に作用する前記第1の指令圧を検出する第1の指令圧検出手段と、前記第2の弁手段に作用する前記第2の指令圧を検出する第2の指令圧検出手段とを備え、
前記第1の背圧取得手段は、
前記第1の油圧ポンプの吐出圧を検出する第1の吐出圧検出手段と、
前記第1の油圧ポンプの吐出圧と前記第1の油圧ポンプの背圧との関係(第1の背圧特性)をあらかじめ取得する第1の背圧特性取得手段と、
前記第1の背圧特性取得手段で取得した前記第1の背圧特性を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の吐出圧検出手段により検出された前記第1の油圧ポンプの吐出圧と前記記憶された第1の背圧特性に基づき、第1の背圧を演算する第1の背圧演算手段とを有し、
前記第2の背圧取得手段は、
前記第2の油圧ポンプの吐出圧を検出する第2の吐出圧検出手段と、
前記第2の油圧ポンプの吐出圧と前記第2の油圧ポンプの背圧との関係(第2の背圧特性)をあらかじめ取得する第2の背圧特性取得手段と、
前記第2の背圧特性取得手段で取得した前記第2の背圧特性を記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の吐出圧検出手段により検出された前記第2の油圧ポンプの吐出圧と前記記憶された第2の背圧特性に基づき、第2の背圧を演算する第2の背圧演算手段とを有し、
前記第1の指令圧検出手段は、前記第2の背圧も検出可能であり、
前記第2の指令圧検出手段は、前記第1の背圧も検出可能であり、
前記第1の背圧特性取得手段は、前記第1の吐出圧検出手段で検出した前記第1の油圧ポンプの吐出圧と、前記第2の指令圧検出手段で検出した前記第1の背圧とに基づいて前記第1の背圧特性を取得し、
前記第2の背圧特性取得手段は、前記第2の吐出圧検出手段で検出した前記第2の油圧ポンプの吐出圧と、前記第1の指令圧検出手段で検出した前記第2の背圧とに基づいて前記第2の背圧特性を取得することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、
前記油圧ポンプは、前記油圧作業機のエンジンによって駆動され、
前記油圧アクチュエータは、少なくとも前記油圧作業機に設けられたブームを起伏させるブーム起伏用油圧アクチュエータを含み、
前記背圧特性取得手段は、
(1) 作動油の油温が通常の作業時に想定される油温の範囲内であり、
(2) 前記油圧ポンプの吐出圧が前記油圧アクチュエータに供給する駆動圧の上限を制限するリリーフ弁のリリーフ圧以上であり、
(3) 前記エンジンのエンジン回転数が定格回転数であって前記ブーム起伏用油圧アクチュエータによって前記ブームが上げ方向に駆動されているとき、
の上記(1)〜(3)の全ての条件が満たされたときに前記背圧特性を取得することを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧作業機のポンプ傾転制御装置において、
前記指令圧検出手段により検出された指令圧が前記補正手段により補正された指令圧となるように前記指令圧出力手段を制御する制御手段とをさらに備えることを特徴とする油圧作業機のポンプ傾転制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−38316(P2011−38316A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186453(P2009−186453)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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