説明

油圧回路装置

【課題】大幅な設計変更を伴うことなく、フェール時に走行用ポジションから非走行用ポジションにシフト操作してから再び走行用ポジションに戻すシフト操作に対して形成する変速段を変更できるようにする。
【解決手段】バルブボディ90に、第2のクラッチアプライリレーバルブ55のドライブ圧PDを出力する出力ポート56bと第2の信号圧用ポート56cとを接続する油路90aとモジュレータ圧PMODを出力する出力ポート56hと第2の信号圧用ポート56cとを接続する油路90bとを形成し、セパレートプレート92により油路90aを開放すると共に油路90bを遮断できるようにし、他のセパレートプレートにより油路90aを遮断すると共に油路90bを開放できるようにする。これにより、セパレートプレートを選択するだけで、D−N−D操作時に前進3速を形成する構成と前進5速を形成する構成との両方に対応できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され複数の摩擦係合要素の係合と非係合との組み合わせを切り替えることにより変速段の変更が可能な自動変速機における、該複数の摩擦係合要素に油圧を供給する油圧回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の油圧回路装置としては、電気的なフェールが生じてすべてのソレノイドが非通電となったときに特定の変速段を形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブSL1,SL2,SL4を設け、シフトレバーがドライブ(D)レンジにあるときに、正常時にはソレノイドバルブSL1をC1クラッチに接続しソレノイドバルブSL2をC2クラッチに接続しソレノイドバルブSL4をB2ブレーキに接続し、ソレノイドバルブすべてが非通電となるフェール時にはDレンジでライン圧を出力するマニュアルバルブのDレンジ油路をC1,C2クラッチのいずれかとB2ブレーキの各サーボに接続するシーケンスバルブを備えており、これにより、フェール時でも3速ギヤか5速ギヤのいずれかを形成して走行を継続させることができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−265101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フェール時に3速ギヤや5速ギヤ(複数種の変速段)のいずれかを形成できるタイプの装置では、例えば、フェール時に5速ギヤを形成している場合に、シフトレバーを一旦DレンジからNレンジに操作した後にDレンジに戻す操作(以下、D−N−D操作と呼ぶ)が行なわれたときに、3速ギヤを形成する構成を考えることができる。このとき、D−N−D操作により3速ギヤを設定する仕様の要請の他、D−N−D操作により5速ギヤを設定する仕様の要請も考えられる。こうした仕様に対する対応は、通常、バルブの設計変更やバルブボディの設計変更を伴うため、多大な労力を要してしまう。
【0005】
本発明の油圧回路装置は、大幅な設計変更を伴うことなく、フェール時に走行用ポジションから非走行用ポジションにシフト操作してから再び非走行用ポジションから走行用ポジションに戻すシフト操作に対して形成する変速段を変更できるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の油圧回路装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の油圧回路装置は、
車両に搭載され、複数の摩擦係合要素の係合と非係合との組み合わせを切り替えることにより変速段の変更が可能な自動変速機における、該複数の摩擦係合要素に油圧を供給する油圧回路装置であって、
油圧を発生させるポンプと、
該ポンプからの油圧を調圧することによりライン圧を生成する第1の調圧機構と、
走行用ポジションにシフト操作されたときには前記ライン圧を入力して走行用圧として出力し、非走行用ポジションにシフト操作されたときには前記ライン圧の前記走行用圧としての出力を遮断するシフト用バルブと、
前記ライン圧または前記走行用圧を入力し調圧して出力する第2の調圧機構と、
第1の油路と第2の油路と前記第2の調圧機構側の油路と前記複数の摩擦係合要素の各油圧サーボ側の油路とに接続され、前記第2の調圧機構側の油路と前記各油圧サーボ側の油路とを連通し前記第1の油路と前記複数の摩擦係合要素のうち第1の変速段を形成する摩擦係合要素の油圧サーボ側の油路との連通を遮断すると共に前記第2の油路と前記複数の摩擦係合要素のうち第2の変速段を形成する摩擦係合要素の油圧サーボ側の油路との連通を遮断する第1状態と、前記第2の調圧機構側の油路と前記各油圧サーボ側の油路との連通を遮断し前記第1の油路と前記第1の変速段を形成する摩擦係合要素の油圧サーボ側の油路とを連通すると共に前記第2の油路と前記第2の変速段を形成する摩擦係合要素の油圧サーボ側の油路とを連通する第2状態とを切り替える第1の切替バルブと、
前記第1の油路と前記第2の油路と前記シフト用バルブ側の油路とに接続され、前記シフト用バルブ側の油路と前記第1の油路とを連通する共に該シフト用バルブ側の油路と前記第2の油路との連通を遮断する第1状態と、前記シフト用バルブ側の油路と前記第1の油路との連通を遮断すると共に該シフト用バルブ側の油路と前記第2の油路とを連通する第2状態との切り替えが可能で、前記第1状態を保持するための信号圧を入力する第1状態保持用ポートと前記走行用圧を入力し前記第1状態保持用ポートに出力するための第1の連絡ポートと前記ライン圧を入力し前記第1状態保持用ポートに出力するための第2の連絡ポートとを有し、前記第1状態にあるときには前記第1および第2の連絡ポートを開放し、前記第2状態にあるときには前記第1および第2の連絡ポートを遮断する第2の切替バルブと、
前記各油路が形成されると共に前記第2の切替バルブの前記第1状態保持用ポートと前記第1の連絡ポートとを接続する第3の油路と該第1状態保持用ポートと前記第2の連絡ポートとを接続する第4の油路とが形成された本体と、
前記第3の油路の遮断と前記第4の油路の遮断とを選択的に行なう油路遮断部材と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の油圧回路装置では、本体に、第2の切替バルブを第1状態に保持するための信号圧を入力する第1状態保持用ポートと走行用圧を入力し第1状態保持用ポートに出力するための第1の連絡ポートとを接続する第3の油路と、第1状態保持用ポートとライン圧を入力し第1状態保持用ポートに出力するための第2の連絡ポートとを接続する第4の油路とを形成し、油路遮断部材により、第3の油路と第4の油路のいずれかを遮断する。これにより、油路遮断部材で第3の油路を遮断することにより、第1の切替バルブが第2状態にあり且つ第2の切替バルブが第1状態にあるときに走行用ポジションから非走行用ポジションにシフト操作してから再び非走行用ポジションから走行用ポジションに戻すシフト操作がなされた場合に非走行用ポジション時にシフト用バルブからの走行用圧が遮断されるため第2の切替バルブは第2状態となり第2の変速段を形成することができ、油路遮断部材で第4の油路を遮断することにより、第1の切替バルブが第2状態にあり且つ第2の切替バルブが第1状態にあるときに走行用ポジションから非走行用ポジションにシフト操作してから再び非走行用ポジションから走行用ポジションに戻すシフト操作がなされた場合に非走行用ポジション時でもライン圧が第1の連絡ポートと第3の油路とを介して第1状態保持用ポートに入力されるため第2の切替バルブは第1状態に保持され第1の変速段を形成することができる。即ち、油路遮断部材を選択するだけで、上述したシフト操作に対して形成する変速段を変更することができる。ここで、「前記油路遮断部材」は、板材であるものとすることもできる。
【0009】
こうした本発明の油圧回路装置において、前記本体は、前記第2の切替バルブが挿入され前記第1状態保持用ポートと前記第1の連絡ポートと前記第2の連絡ポートとが形成された第1の部材と、前記第3の油路と前記第4の油路とが形成された第2の部材とを有し、前記油路遮断部材は、前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在されるものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の油圧回路装置では、前記第2の切替バルブは、形成可能な変速段のうち増速側の変速段が形成されているときに前記第2の調圧機構からの出力圧を信号圧として入力して前記第1状態を形成するものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】自動車10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】変速機構30の作動表を示す説明図である。
【図3】変速機構30の各変速段における各回転要素の回転速度の関係を説明する説明図である。
【図4】油圧回路40の構成の概略を示す構成図である。
【図5】セパレートプレート92を用いて第2のクラッチアプライリレーバルブ55がバルブボディ90,91に組み込まれている様子を示す断面図である。
【図6】セパレートプレート92による第2のクラッチアプライリレーバルブ55のポート間の接続の様子を示す説明図である。
【図7】セパレートプレート92を用いたときの油圧回路40の一部を拡大した部分拡大図である。
【図8】セパレートプレート94を用いて第2のクラッチアプライリレーバルブ55がバルブボディ90,91に組み込まれている様子を示す断面図である。
【図9】セパレートプレート94による第2のクラッチアプライリレーバルブ55のポート間の接続の様子を示す説明図である。
【図10】セパレートプレート94を用いたときの油圧回路40の一部を拡大した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0013】
図1は自動車10の構成の概略を示す構成図であり、図2は変速機構30の作動表を示す説明図である。
【0014】
自動車10は、図1に示すように、ガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関としてのエンジン12と、クランク角を検出するクランク角センサなどの各種センサからエンジン12の運転状態を入力してエンジン12を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)16と、エンジン12のクランクシャフト14に接続されると共に左右の車輪19a,19bの車軸18a,18bに接続されてエンジン12からの動力を車軸18a,18bに伝達する自動変速機20と、自動変速機20を制御する自動変速機用電子制御ユニット(ATECU)29と、車両全体をコントロールするメイン電子制御ユニット(メインECU)80とを備える。なお、メインEUC80には、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPやアクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込みを検出するブレーキスイッチ86からのブレーキスイッチ信号BSW,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、メインECU80は、エンジンECU16やATECU29と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU16やATECU29と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0015】
自動変速機20は、図1に示すように、エンジン12のクランクシャフト14に接続された入力側のポンプインペラ24aと出力側のタービンランナ24bとからなるロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ24と、トルクコンバータ24のタービンランナ24bに接続された入力軸21と車軸18a,18bにギヤ機構26とデファレンシャルギヤ28とを介して接続された出力軸22とを有し入力軸21に入力された動力を変速して出力軸22に出力する有段の変速機構30と、この変速機構30を駆動するアクチュエータとしての油圧回路40(図4参照)と、を備える。なお、実施例では、エンジン12のクランクシャフト14と変速機構30との間にトルクコンバータ24を介在させるものとしたが、これに限られず、種々の発進装置を採用し得る。
【0016】
変速機構30は、6段変速の有段変速機構として構成されており、シングルピニオン式の遊星歯車機構とラビニヨ式の遊星歯車機構と三つのクラッチC1,C2,C3と二つのブレーキB1,B2とワンウェイクラッチF1とを備える。シングルピニオン式の遊星歯車機構は、外歯歯車としてのサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車としてのリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31はケースに固定されており、リングギヤ32は入力軸21に接続されている。ラビニヨ式の遊星歯車機構は、外歯歯車の二つのサンギヤ36a,36bと、内歯歯車のリングギヤ37と、サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bとを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア39とを備え、サンギヤ36aはクラッチC1を介してシングルピニオン式の遊星歯車機構のキャリア34に接続され、サンギヤ36bはクラッチC3を介してキャリア34に接続されると共にブレーキB1を介してケースに接続され、リングギヤ37は出力軸22に接続され、キャリア39はクラッチC2を介して入力軸21に接続されている。また、キャリア39は、ワンウェイクラッチF1を介してケースに接続されると共にワンウェイクラッチF1と並列に設けられたブレーキB2を介してケースに接続されている。
【0017】
変速機構30は、図2に示すように、クラッチC1〜C3のオンオフ(係合と非係合)とブレーキB1,B2のオンオフとの組み合わせにより前進1速〜6速と後進とニュートラルとを切り替えることができるようになっている。後進の状態は、クラッチC3とブレーキB2とをオンとすると共にクラッチC1,C2とブレーキB1とをオフとすることにより形成することができる。また、前進1速の状態は、クラッチC1をオンとすると共にクラッチC2,C3とブレーキB1,B2とをオフとすることにより形成することができる。この前進1速の状態では、エンジンブレーキ時には、ブレーキB2がオンとされる。前進2速の状態は、クラッチC1とブレーキB1とをオンとすると共にクラッチC2,C3とブレーキB2とをオフとすることにより形成することができる。前進3速の状態は、クラッチC1,C3をオンとすると共にクラッチC2とブレーキB1,B2とをオフとすることにより形成することができる。前進4速の状態は、クラッチC1,C2をオンとすると共にクラッチC3とブレーキB1,B2とをオフとすることにより形成することができる。前進5速の状態は、クラッチC2,C3をオンとすると共にクラッチC1とブレーキB1,B2とをオフとすることにより形成することができる。前進6速の状態は、クラッチC2とブレーキB1とをオンとすると共にクラッチC1,C3とブレーキB2とをオフとすることにより形成することができる。また、ニュートラルの状態は、クラッチC1〜C3とブレーキB1,B2のすべてをオフとすることにより形成することができる。なお、図3に、変速機構30の各変速段における各回転要素の回転速度の関係を説明する説明図を示す。図中のS1軸はサンギヤ33の回転速度を示し、CR1軸はキャリア34の回転速度を示し、R1軸はリングギヤ32の回転速度を示し、S2軸はサンギヤ36bの回転速度を示し、S3軸はサンギヤ36aの回転速度を示し、CR2軸はキャリア39の回転速度を示し、R2軸はリングギヤ37の回転速を示す。
【0018】
変速機構30におけるクラッチC1〜C3のオンオフ(係合と非係合)とブレーキB1,B2のオンオフは、図4に示す油圧回路40により行なわれる。油圧回路40は、図4に示すように、エンジン12からの動力により作動しストレーナ41を介して作動油を吸引してライン圧用油路43に圧送する機械式オイルポンプ42と、機械式オイルポンプ42から圧送された作動油を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ44と、ライン圧PLから図示しないモジュレータバルブを介して生成されるモジュレータ圧PMODを調圧して信号圧として出力することによりプライマリレギュレータバルブ44を駆動するリニアソレノイドバルブSLTと、ライン圧用油路43に接続されライン圧PLを入力する入力ポート46aとドライブ圧用油路47に接続されたD(ドライブ)ポジション用出力ポート46bとR(リバース)ポジション用出力ポート46cなどが形成されシフトレバー81がDポジションに操作されているときには入力ポート46aとDポジション用出力ポート46bとを連通すると共に入力ポート46aとRポジション用出力ポート46cとの連通を遮断しRポジションに操作されているときには入力ポート46aとDポジション用出力ポート46bとの連通を遮断すると共に入力ポート46aとRポジション用出力ポート46cとを連通しNポジションに操作されているときには入力ポート46aとDポジション用出力ポート46bおよびRポジション用出力ポート46cとの連通を遮断するマニュアルバルブ46と、Dポジション用出力ポート46bからの出力圧であるドライブ圧PDを入力し調圧して出力するリニアソレノイドバルブSL1と、ドライブ圧PDを入力し調圧して出力するリニアソレノイドバルブSL2と、ライン圧用油路43からのライン圧PLを入力し調圧して出力するリニアソレノイドバルブSL3と、ドライブ圧PDを入力し調圧してブレーキB1に出力するリニアソレノイドバルブSL4と、リニアソレノイドバルブSL1の出力圧であるSL1圧をクラッチC1に供給しリニアソレノイドバルブSL2の出力圧であるSL2圧をクラッチC2に供給しリニアソレノイドバルブSL3の出力圧であるSL3圧をクラッチC3とブレーキB2の一方に供給する通常モードとドライブ圧PDをクラッチC1とクラッチC2の一方に供給しライン圧PLをクラッチC3に供給するフェールセーフモードとを選択的に切り替えるための第1のクラッチアプライリレーバルブ50と、第1のクラッチアプライリレーバルブ50のフェールセーフモード時にドライブ圧PDをクラッチC1に供給すると共にライン圧PLをクラッチC3に供給する前進3速モードとドライブ圧PDをクラッチC2に供給すると共にライン圧PLをクラッチC3に供給する前進5速モードとを切り替えるための第2のクラッチアプライリレーバルブ55と、モジュレータ圧PMODを出力して第1のクラッチアプライリレーバルブ50のモード(通常モード,フェールセーフモード)を切り替えるための第1のソレノイドリレーバルブ60および第2のソレノイドリレーバルブ65と、SL3圧をクラッチC3に供給するモードとライン圧PLをクラッチC3に供給しRポジション用出力ポート46cからの出力圧であるリバース圧PRをブレーキB2に供給するモードとリバース圧PRをクラッチC3とブレーキB2とに供給するモードとSL3圧をブレーキB2に供給するモードとを切り替えるためのC3−B2アプライコントロールバルブ70と、C3−B2アプライコントロールバルブ70からのSL3圧をブレーキB2に供給するモードとリバース圧PRをブレーキB2に供給するモードとブレーキB2に作用している油圧をドレンするモードとを切り替えるためのB2アプライコントロールバルブ75と、第2のソレノイドリレーバルブ65とC3−B2アプライコントロールバルブ70とを駆動するための第1のオンオフソレノイドバルブS1と、モジュレータ圧PMODに代えて第1のソレノイドリレーバルブ60および第2のソレノイドリレーバルブ65を介して第1のクラッチアプライリレーバルブ50のモードを切り替えるための信号圧(S2圧)を出力する第2のオンオフソレノイドバルブS2などにより構成されている。ここで、実施例では、各ソレノイドバルブSLT,SL1〜SL4,S1,S2のうちリニアソレノイドバルブSLTだけをノーマルオープン型のソレノイドバルブとして構成し、その他のソレノイドバルブSL1〜SL4,S1,S2をノーマルクローズ型のソレノイドバルブとして構成するものとした。
【0019】
第1のクラッチアプライリレーバルブ50は、図4に示すように、各種ポートが形成されたスリーブ51と、スリーブ51内を摺動して各ポート間の継断を行なうスプール52と、スプール52の端面を押圧するスプリング53と、を備える。スリーブ51には、各種ポートとして、第1のソレノイドリレーバルブ60からのモジュレータ圧PMODやS2圧をスプール端面をスプリング53の付勢力と同方向に押圧する信号圧として入力する第1の信号圧用ポート51aと、モジュレータ圧PMODを信号圧としてスプール52の径の異なるランド間に挟まれた空間に入力する第2の信号圧用ポート51bと、ライン圧PLを入力する入力ポート51cと、C3−B2アプライコントロールバルブ70に連結されたC3−B2用連絡油路54に接続された出力ポート51dと、リニアソレノイドバルブSL3のSL3圧を入力する入力ポート51eと、第2のクラッチアプライリレーバルブ55に連結された前進5速用連絡油路59aに接続された入力ポート51fと、クラッチC2(油圧サーボ)に接続された出力ポート51gと、リニアソレノイドバルブSL2のSL2圧を入力する入力ポート51hと、第2のクラッチアプライリレーバルブ55に連結された前進3速用連絡油路59bに接続された出力ポート51iと、クラッチC1(油圧サーボ)に接続された出力ポート51jと、リニアソレノイドバルブSL1のSL1圧を入力する入力ポート51kと、リニアソレノイドバルブSLTの出力圧であるSLT圧をスプール端面をスプリング53の付勢力と逆方向に押圧する信号圧として入力する第3の信号圧用ポート51lとが形成されている。
【0020】
この第1のクラッチアプライリレーバルブ50では、第2の信号圧用ポート51bに入力された信号圧は、ランド間の径差(受圧面積差)に応じた差圧によってスプリング53の付勢力と同方向にスプール52を押圧し、スプール52は、スプリング53の付勢力と、第1の信号圧用ポート51aに入力された信号圧によりスプリング53の付勢力と同方向にスプール52を押圧する力と、第2の信号圧用ポート51bに入力された信号圧によりスプリング53と同方向にスプール52を押圧する力と、第3の信号圧用ポート51lに入力された信号圧によりスプリング53の付勢力と逆方向にスプール52を押圧する力との釣り合い関係によって移動する。この力の釣り合い関係は、第2の信号圧用ポート51bにはモジュレータ圧PMODが常に入力され、第3の信号圧用ポート51lにはプライマリレギュレータバルブ44を駆動するためのリニアソレノイドバルブSLTからの信号圧が常に入力されているため、第1の信号圧用ポート51aにモジュレータ圧PMOD或いはS2圧が入力されていないときにはスプリング53の付勢力と第2の信号圧用ポート51bからの押圧力との合力よりも第3の信号圧用ポート51lからの押圧力が打ち勝ちスプール52をスプリング53が収縮する方向(図4を横向きに見たときに左半分に示す位置)に移動させる。このとき、リニアソレノイドバルブSL3側の入力ポート51eとC3−B2用連絡油路54側の出力ポート51dとを連通し、リニアソレノイドバルブSL2側の入力ポート51hとクラッチC2側の出力ポート51gとを連通し、リニアソレノイドバルブSL1側の入力ポート51kとクラッチC1側の出力ポート51jとを連通し、前進5速用連絡油路59a側の入力ポート51fとクラッチC2側の出力ポート51gとの連通を遮断し、前進3速用連絡油路59b側の入力ポート51iとクラッチC1側の出力ポート51jとの連通を遮断する。一方、第1の信号圧用ポート51aにモジュレータ圧PMOD或いはS2圧が入力されているときには、第3の信号圧用ポート51kからの押圧力よりもスプリング53の付勢力と第1の信号圧用ポート51aからの押圧力と第2の信号圧用ポート51bからの押圧力との合力が打ち勝ちスプール52をスプリング53が伸張する方向(図4を横向きに見たときに右半分に示す位置)に移動させる。このとき、リニアソレノイドバルブSL3側の入力ポート51eとC3−B2用連絡油路54側の出力ポート51dとの連通を遮断し、リニアソレノイドバルブSL2側の入力ポート51hとクラッチC2側の出力ポート51gとの連通を遮断し、リニアソレノイドバルブSL1側の入力ポート51kとクラッチC1側の出力ポート51jとの連通を遮断し、前進5速用連絡油路59a側の入力ポート51fとクラッチC2側の出力ポート51gとを連通し、前進3速用連絡油路59b側の入力ポート51iとクラッチC1側の出力ポート51jとを連通する。
【0021】
第2のクラッチアプライリレーバルブ55は、図4に示すように、各種ポートが形成されたスリーブ56と、スリーブ56内を摺動して各ポート間の継断を行なうスプール57と、スプール57の端面を押圧するスプリング58と、を備える。スリーブ56には、各種ポートとして、ソレノイドバルブSL2のSL2圧をスプール57の端面をスプリング58の付勢力と逆方向に押圧する信号圧として入力する第1の信号圧用ポート56aと、前進5速用連絡油路59aに接続された出力ポート56bと、前進5速用連絡油路59aに接続され油路内の油圧を信号圧としてスプール57の径の異なるランド間に挟まれた空間に入力する第2の信号圧用ポート56cと、前進3速用連絡油路59bに接続された出力ポート56dと、ドライブ圧用油路47に接続された入力ポート56eと、ドレンポート56fと、モジュレータ圧PMODを入力する入力ポート56gと、B2アプライコントロールバルブ75に連結された連絡油路59cに接続された出力ポート56hと、第2のオンオフソレノイドバルブS2のS2圧をスプール57の端面をスプリング58の付勢力と同方向に押圧する信号圧として入力する第3の信号圧用ポート56iとが形成されている。
【0022】
この第2のクラッチアプライリレーバルブ55では、第2の信号圧用ポート56cに入力された信号圧は、ランド間の径差(受圧面積差)に応じた差圧によってスプリング58の付勢力と逆方向にスプール57を押圧し、スプール57は、スプリング58の付勢力と、第1の信号圧用ポート56aに入力された信号圧によりスプリング58の付勢力と逆方向にスプール57を押圧する力と、第2の信号圧用ポート56cに入力された信号圧によりスプリング58の付勢力と逆方向にスプール57を押圧する力と、第3の信号圧用ポート56iに入力された信号圧によりスプリング58と同方向にスプール57を押圧する力との釣り合い関係によって移動する。第1の信号圧用ポート56aにリニアソレノイドバルブSL2のSL2圧が入力されていないときには、スプリング58の付勢力によりスプール57をスプリング58が伸張する方向(図4を横向きに見たときに左半分に示す位置)に移動させる。このとき、ドライブ圧PD側の入力ポート56eと前進3速用連絡油路59b側の出力ポート56dとを連通し、ドライブ圧PD側の入力ポート56eと前進5速用連絡油路59aとの連通を遮断する。一方、第1の信号圧用ポート56aにリニアソレノイドバルブSL2のSL2圧が入力されているときには、スプリング58の付勢力よりも第1の信号圧用ポート56aからの押圧力が打ち勝ちスプール57をスプリング58が収縮する方向(図4を横向きに見たときに右半分に示す位置)に移動させる。このとき、ドライブ圧PD側の入力ポート56eと前進3速用連絡油路59b側の出力ポート56dとの連通を遮断し、ドライブ圧PD側の入力ポート56eと前進5速用連絡油路59aとを連通する。第1の信号圧用ポート56aにリニアソレノイドバルブSL2のSL2圧が一旦入力されると、入力ポート56eと出力ポート56bとを介して前進5速用連絡油路59aに導入されるドライブ圧PDが第2の信号圧用ポート56cに入力され、ドライブ圧PDによりスプール57をスプリング58の付勢力と逆方向に押圧するため、その後に、SL2圧が解除されても、スプール57の位置はそのまま保持される。
【0023】
第1のソレノイドリレーバルブ60は、図4に示すように、各種ポートが形成されたスリーブ61と、スリーブ61内を摺動して各ポート間の継断を行なうスプール62と、スプール62の端面を押圧するスプリング63と、を備える。スリーブ61には、各種ポートとして、リニアソレノイドバルブSL2のSL2圧をスプール62の端面をスプリング63の付勢力と逆方向に押圧する信号圧として入力する第1の信号圧用ポート61aと、ソレノイドバルブSL1のSL1圧を信号圧としてスプール62の径の異なるランド間に挟まれた空間に入力する第2の信号圧用ポート61bと、第2のソレノイドリレーバルブ65に連結された連絡油路64に接続された入力ポート61cと、第1のクラッチアプライリレーバルブ50の信号圧用ポート51aに連結された出力ポート61dと、モジュレータ圧PMODを入力する入力ポート61eと、連絡油路64内の油圧をスプール62の端面をスプリング63の付勢力と同方向に押圧する信号圧として入力する第2の信号圧用ポート61fとが形成されている。
【0024】
この第1のソレノイドリレーバルブ60では、第2の信号圧用ポート61bに入力された信号圧は、スプール62のランド間の径差(受圧面積差)に応じた差圧によってスプリング63の付勢力と逆方向にスプール62を押圧し、スプール62は、スプリング63の付勢力と、第1の信号圧用ポート61aに入力された信号圧によりスプリング63の付勢力と逆方向にスプール62を押圧する力と、第2の信号圧用ポート61bに入力された信号圧によりスプリング63の付勢力と逆方向にスプール62を押圧する力と、第3の信号圧用ポート61fに入力された信号圧によりスプリング63の付勢力と同方向にスプール62を押圧する力との釣り合い関係によって移動する。第1の信号圧用ポート61aにリニアソレノイドバルブSL1のSL1圧が入力されておらず、第2の信号圧用ポート61bにもリニアソレノイドバルブSL2のSL2圧が入力されていないときには、スプリング63の付勢力によりスプール62をスプリング63が伸張する方向(図4を横向きに見たときに左半分に示す位置)に移動させる。このとき、モジュレータ圧PMOD側の入力ポート61eと第1のクラッチアプライリレーバルブ50の信号圧用ポート51a側の出力ポート61dとの連通を遮断し、連絡油路64側の入力ポート61cと第1のクラッチアプライリレーバルブ50の信号圧用ポート51a側の出力ポート61dとを連通する。一方、第1の信号圧用ポート61aにリニアソレノイドバルブSL1のSL1圧が入力されるか第2の信号圧用ポート61bにリニアソレノイドバルブSL2のSL2圧が入力されているときには、スプリング63の付勢力よりもSL1圧による押圧力或いはSL2圧による押圧力が打ち勝ちスプール62をスプリング63が収縮する方向(図4を横向きに見たときに右半分に示す位置)に移動させる。このとき、モジュレータ圧PMOD側の入力ポート61eと第1のクラッチアプライリレーバルブ50の信号圧用ポート51a側の出力ポート61dとを連通し、連絡油路64側の入力ポート61cと第1のクラッチアプライリレーバルブ50の信号圧用ポート51a側の出力ポート61dとの連通を遮断する。
【0025】
第2のソレノイドリレーバルブ65は、図4に示すように、各種ポートが形成されたスリーブ66と、スリーブ66内を摺動して各ポート間の継断を行なうスプール67と、スプール67の端面を押圧するスプリング68と、を備える。スリーブ66には、各種ポートとして、第1のオンオフソレノイドバルブS1のS1圧をスプール67の端面をスプリング68の付勢力と逆方向に押圧する信号圧として入力する信号圧用ポート66aと、第1のソレノイドリレーバルブ60の出力ポート61dに連結された入力ポート66bと、B2アプライコントロールバルブ75に連結された連絡油路69に接続された出力ポート66cと、リバース圧PRを入力する入力ポート66dと、第2のオンオフソレノイドバルブS2のS2圧を入力する入力ポート66eと、第1のソレノイドリレーバルブ60に連結された連絡油路64に接続された出力ポート66fと、モジュレータ圧PMODを入力する入力ポート66gとが形成されている。
【0026】
この第2のソレノイドリレーバルブ65では、信号圧用ポート66aに第1のオンオフソレノイドバルブS1のS1圧が入力されていないときには、スプリング68の付勢力によりスプリング68が伸張する方向(図4を横向きに見たときに左半分に示す位置)に移動させる。このとき、第1のソレノイドリレーバルブ60の出力ポート61d側の入力ポート66bと連絡油路69側の出力ポート66cとを連通し、第2のオンオフソレノイドバルブS2側の入力ポート66eと連絡油路64側の出力ポート66fとを連通し、モジュレータ圧PMOD側の入力ポート66gと出力ポート66fとの連通を遮断する。一方、信号圧用ポート66aに第1のオンオフソレノイドバルブS1のS1圧が入力されているときには、スプリング68の付勢力によりもS1圧による押圧力が打ち勝ちスプリング68が収縮する方向(図4を横向きに見たときに右半分に示す位置)に移動させる。このとき、第1のソレノイドリレーバルブ60の出力ポート61d側の入力ポート66bと連絡油路69側の出力ポート66cとの連通を遮断し、第2のオンオフソレノイドバルブS2側の入力ポート66eと連絡油路64側の出力ポート66fとの連通を遮断し、モジュレータ圧PMOD側の入力ポート66gと出力ポート66fとを連通する。
【0027】
C3−B2アプライコントロールバルブ70は、図4に示すように、各種ポートが形成されたスリーブ71と、スリーブ71内を摺動して各ポート間の継断を行なうスプール72と、スプール72の端面を押圧するスプリング73と、を備える。スリーブ71には、各種ポートとして、第1のオンオフソレノイドバルブS1のS1圧をスプール67の端面をスプリング68の付勢力と逆方向に押圧する信号圧として入力する信号圧用ポート71aと、B2アプライコントロールバルブ75に連結された第1の連絡油路74aに接続された出力ポート71bと、リバース圧PRを入力する入力ポート71cと、B2アプライコントロールバルブ75に連結された第2の連絡油路74bに接続された出力ポート71dと、第1のクラッチアプライリレーバルブ50側のC3−B2用連絡油路54に接続された入力ポート71eと、クラッチC3(油圧サーボ)に接続された出力ポート71fと、リバース圧PRを入力する入力ポート71gと、ドレンポート71hとが形成されている。
【0028】
このC3−B2アプライコントロールバルブ70では、信号圧用ポート71aに第1のオンオフソレノイドバルブS1のS1圧が入力されていないときには、スプリング73の付勢力によりスプリング73が伸張する方向(図4を横向きに見たときに左半分に示す位置)に移動させる。このとき、B2アプライコントロールバルブ75に連結された第1の連絡油路74a側の出力ポート71bとドレンポート71hとを連通し、リバース圧PR側の入力ポート71cと第1の連絡油路74a側の出力ポート71bとの連通を遮断し、入力ポート71cとB2アプライコントロールバルブ75の第2の連絡油路74b側の出力ポート71dとを連通し、第1のクラッチアプライリレーバルブ50に連結されたC3−B2用連絡油路54側の入力ポート71eと第2の連絡油路74b側の出力ポート71dとの連通を遮断し、入力ポート71eとクラッチC3側の出力ポート71fとを連通し、リバース圧PR側の入力ポート71gと出力ポート71fとの連通を遮断する。一方、信号圧用ポート71aに第1のオンオフソレノイドバルブS1のS1圧が入力されているときには、スプリング73の付勢力によりもS1圧による押圧力が打ち勝ちスプリング73が収縮する方向(図4を横向きに見たときに右半分に示す位置)に移動させる。このとき、B2アプライコントロールバルブ75の第1の連絡油路74a側の出力ポート71bとドレンポート71hとの連通を遮断し、リバース圧PR側の入力ポート71cと第1の連絡油路74a側の出力ポート71bとを連通し、入力ポート71cとB2アプライコントロールバルブ75の第2の連絡油路74b側の出力ポート71dとの連通を遮断し、第1のクラッチアプライリレーバルブ50に連結されたC3−B2用連絡油路54側の入力ポート71eと第2の連絡油路74b側の出力ポート71dとを連通し、入力ポート71eとクラッチC3側の出力ポート71fとの連通を遮断し、リバース圧PR側の入力ポート71gと出力ポート71fとを連通する。
【0029】
B2アプライコントロールバルブ75は、図4に示すように、各種ポートが形成されたスリーブ76と、スリーブ76内を摺動して各ポート間の継断を行なうスプール77と、スプール77の端面を押圧するスプリング78と、を備える。スリーブ76には、各種ポートとして、第2のクラッチアプライリレーバルブ55の出力ポート56hからの油圧(モジュレータ圧PMOD)をスプール77の端面をスプリング78の付勢力と逆方向に押圧する信号圧として入力する第1の信号圧用入力ポート76aと、第2のソレノイドリレーバルブ65の出力ポート66c(連絡油路69)からの出力圧を信号圧としてスプール76の径の異なるランド間に挟まれた空間に入力する第2の信号圧用ポート76bと、C3−B2アプライコントロールバルブ70に連結された第2の連絡油路74bに接続された入力ポート76cと、ブレーキB2(油圧サーボ)に接続された出力ポート76dと、C3−B2アプライコントロールバルブ70に連結された第1の連絡油路74aに接続された入力ポート76eとが形成されている。
【0030】
このB2アプライコントロールバルブ75では、第1の信号圧用ポート76aと第2の信号圧用ポート76bのいずれにも信号圧が入力されていないときには、スプリング78の付勢力によりスプリング78が伸張する方向(図4を横向きに見たときに左半分に示す位置)に移動させる。このとき、第2の連絡油路74b側の入力ポート76cとブレーキB2側の出力ポート76dとを連通し、第1の連絡油路74a側の入力ポート76eと出力ポート76dとの連通を遮断する。一方、第1の信号圧用ポート76aと第2の信号圧用ポート76bのいずれかに信号圧が入力されているときには、スプリング78の付勢力よりも信号圧による押圧力が打ち勝ちスプリング78が収縮する方向(図4を横向きに見たときに右半分に示す位置)に移動させる。このとき、第2の連絡油路74b側の入力ポート76cとブレーキB2側の出力ポート76dとの連通を遮断し、第1の連絡油路74a側の入力ポート76eと出力ポート76dとを連通する。
【0031】
こうして構成された油圧回路40では、ニュートラルは第2のオンオフソレノイドバルブS2をオンとすることにより形成することができる。また、前進1速は、リニアソレノイドバルブSL1をオンとすることにより形成することができ、エンジンブレーキ時には、更に第1のオンオフソレノイドバルブS1をオンとすると共にリニアソレノイドバルブSL3をオンとすることにより形成することができる。また、前進2速はリニアソレノイドバルブSL1,SL4をオンとすることにより形成することができ、前進3速はリニアソレノイドバルブSL1,SL3をオンとすることにより形成することができ、前進4速はリニアソレノイドバルブSL1,SL2をオンとすることにより形成することができ、前進5速はリニアソレノイドバルブSL2,SL3をオンとすることにより形成することができ、前進6速はリニアソレノイドバルブSL2,SL4をオンとすることにより形成することができる。
【0032】
いま、シフトレバー81がD(ドライブ)ポジションにシフト操作されている場合を考える。この場合、通常、前進1速〜前進6速のいずれかの変速段で走行しているから、図2の係合表に示すように、リニアソレノイドバルブSL1からのSL1圧かリニアソレノイドバルブSL2からのSL2圧かのいずれかにより第1のソレノイドリレーバルブ60が駆動され、モジュレータ圧PMODが第1のクラッチアプライリレーバルブ50の第1の信号圧用入力ポート51aに入力されている。このため、第1のクラッチアプライリレーバルブ50は通常モードとなり、リニアソレノイドバルブSL1(出力ポート)は第1のクラッチアプライリレーバルブ50の入力ポート51kおよび出力ポート51jを介してクラッチC1に接続され、リニアソレノイドバルブSL2(出力ポート)は入力ポート51hおよび出力ポート51gを介してクラッチC2に接続され、リニアソレノイドSL3は入力ポート51eおよび出力ポート51dを介してC3−B2用連絡油路54に接続される。第1のオンオフソレノイドS1がオフされているときには、C3−B2アプライコントロールバルブ70のC3−B2用連絡油路54に接続された入力ポート71eとクラッチC3に接続された出力ポート71fとが連通するから、リニアソレノイドバルブSL3は第1のクラッチアプライリレーバルブ50の入力ポート51eおよび出力ポート51d,C3−B2用連絡油路54,C3−B2アプライコントロールバルブ70の入力ポート71eおよび出力ポート71fを介してクラッチC3に接続されることになる。したがって、各リニアソレノイドバルブSL1〜SL4のうち対応するソレノイドバルブを駆動することにより、前進1速〜前進6速のいずれかを形成して走行することができる。また、エンジンブレーキ時には、第1のオンオフソレノイドS1をオンとすることにより、C3−B2アプライコントロールバルブ70のC3−B2用連絡油路54側の入力ポート71eとクラッチC3側の出力ポート71fとの連通に代えて、入力ポート71eと第2の連絡油路74b側の出力ポート71dとを連通する。この状態では、第2の連絡油路74bは、B2アプライコントロールバルブ75の入力ポート76cおよび出力ポート76dを介してブレーキB2に接続されるため、リニアソレノイドバルブSL3は、クラッチC3に代えてブレーキB2に接続されることになる。したがって、リニアソレノイドバルブSL3からSL3圧をブレーキB2に供給することにより、ブレーキB2をオンすることができる。
【0033】
次に、シフトレバー81がDポジションにシフト操作されている状態で各ソレノイドバルブSLT,SL1〜SL4,S1,S2のすべての通電が遮断された場合を考える。この場合、リニアソレノイドバルブSL1,SL2はそれぞれSL1圧,SL2圧を出力しないから、第1のソレノイドリレーバルブ60のモジュレータ圧PMODを入力する入力ポート61eと第1のクラッチアプライリレーバルブ50の第1の信号圧用ポート51aに連結された出力ポート61dとの連通が遮断され、モジュレータ圧PMODは第1の信号圧用ポート51aに入力されない。このため、第1のクラッチアプライリレーバルブ50はフェールセーフモードとなり、前進3速用連絡油路59bは第1のクラッチアプライリレーバルブ50の入力ポート51iおよび出力ポート51jを介してクラッチC1に接続され、前進5速用連絡油路59aは入力ポート51fおよび出力ポート51gを介してクラッチC2に接続され、ライン圧用油路43は入力ポート51cおよび出力ポート51dを介してC3−B2用連絡油路54に接続される。また、第1のオンオフソレノイドS1はオフされるため、C3−B2アプライコントロールバルブ70のC3−B2用連絡油路54に接続された入力ポート71eとクラッチC3に接続された出力ポート71fとを連通し、ライン圧用油路43は第1のクラッチアプライリレーバルブ50の入力ポート51cおよび出力ポート51d,C3−B2用連絡油路54,C3−B2アプライコントロールバルブ70の入力ポート71eおよび出力ポート71fを介してクラッチC3に接続されることになる。一方、第2のクラッチアプライリレーバルブ55では、リニアソレノイドバルブSL2からのSL2圧が第1の信号圧用ポート56aに入力されていないときにはドライブ圧PDが前進3速用連絡油路59bに供給され、リニアソレノイドバルブSL2からSL2圧が第1の信号圧用ポート56aに入力されているときにはドライブ圧PDは前進5速用連絡油路59aに出力される。したがって、フェールセーフモード時に、前進1速〜前進3速のいずれかの変速段で走行しているときには、ドライブ圧PDが前進3速用連絡油路59bからクラッチC1に供給されると共にライン圧PLがクラッチC3に供給されて前進3速を形成し、前進4速〜前進6速のいずれかの変速段で走行しているときには、ドライブ圧PDが前進5速用連絡油路59aからクラッチC2に供給されると共にライン圧PLがクラッチC3に供給されて前進5速を形成することになる。ここで、SL2圧によりドライブ圧PDが前進5速用連絡油路59aに供給されると、ドライブ圧PDは第2の信号圧用ポート56cにも入力されるから、その後、SL2圧が解除されても、ドライブ圧PDが前進5速用連絡油路59aに供給される状態は保持される。この状態で第2のオンオフソレノイドバルブS2がオンされると、S2圧が第3の信号圧用ポート56iに入力されるから、スプール57は図4を横向きに見たときに左半分の位置に移動し、ドライブ圧PDは前進5速用油路59aに代えて前進3速用油路59bに供給される。
【0034】
また、各ソレノイドバルブSLT,SL1〜SL4,S1,S2のすべての通電が遮断されて前進5速が形成されている最中に、シフトレバー81がD−N−D操作されると、Nポジション時にマニュアルバルブ46が入力ポート46aとDポジション用ポート46bとの連通を遮断するから、ドライブ圧PDは一時的に低下する。このとき、第2のクラッチアプライリレーバルブ55では、第2の信号圧用ポート56cに信号圧が入力されなくなるため、スプール57が図4を横向きに見たときに左半分の位置に移動し、ドライブ圧用油路47に接続された入力ポート56eと前進5速用連絡油路59aおよび第2の信号圧用ポート56cに接続された出力ポート56bとの連通を遮断すると共に入力ポート56eを出力ポート56bに代えて前進3速用連絡油路59bが接続された出力ポート56dと連通する。したがって、その後に、シフトレバー81がNポジションからDポジションに戻されてドライブ圧PDが上昇しても、ドライブ圧PDは第2の信号圧用ポート56cに入力されないから、ドライブ圧PDは前進3速用連絡油路59bに供給され、前進3速が形成される。このように、フェールセーフモード時に前進5速が形成されていても、D−N−D操作を行なうことにより、前進3速に切り替えることができる。
【0035】
図5は、セパレートプレート92を用いて第2のクラッチアプライリレーバルブ55がバルブボディ90,91に組み込まれている様子を示す断面図であり、図6は、セパレートプレート92による第2のクラッチアプライリレーバルブ55のポート間の接続の様子を示す説明図であり、図7は、セパレートプレート92を用いたときの油圧回路40の一部を拡大した部分拡大図である。本実施例では、バルブボディ90に、第2のクラッチアプライリレーバルブ55のドライブ圧PDを出力する出力ポート56bと第2の信号圧用ポート56cとを接続する油路90aとモジュレータ圧PMODを出力する出力ポート56hと第2の信号圧用ポート56cとを接続する油路90bとが形成され、第2のクラッチアプライリレーバルブ55のスリープ56が一体成型されたバルブボディ91に、各ポート56a〜56iが形成されており、バルブボディ90,91間に板状のセパレートプレート92を介在させることによって、油路90aを開放すると共に油路90bを遮断し、ドライブ圧PDが第2の信号圧用ポート56cに入力されるようにしている。この場合、前述したように、シフトレバー81のD−N−D操作に伴ってドライブ圧PDが一時的に低下したときに、前進5速から前進3速に切り替えられる。なお、第2のクラッチアプライリレーバルブ55は、スプール57とスプリング58とが軸方向に挿入した後に、スプリング受けとしてプラグ96を挿入し、プラグ96の抜け止め用にキー98を径方向から嵌め込むことにより、バルブボディ91に固定されている。
【0036】
図8は、セパレートプレート94を用いて第2のクラッチアプライリレーバルブ55がバルブボディ90,91に組み込まれている様子を示す断面図であり、図9は、セパレートプレート94による第2のクラッチアプライリレーバルブ55のポート間の接続の様子を示す説明図であり、図10は、セパレートプレート94を用いたときの油圧回路40の一部を拡大した部分拡大図である。この例では、セパレートプレート92と同一形状でポート間を連通させる孔の位置が異なるセパレートプレート94によって、第2のクラッチアプライリレーバルブ55のドライブ圧PDを出力する出力ポート56bと第2の信号圧用ポート56cとを接続する油路90aを遮断すると共にモジュレータ圧PMODを出力する出力ポート56hと第2の信号圧用ポート56cとを接続する油路90bを開放させており、ドライブ圧PDに代えてモジュレータ圧PMODが第2の信号圧用ポート56cに入力されるようにしている。このとき、第2のクラッチアプライリレーバルブ55では、シフトレバー81がNポジション時であってもモジュレータ圧PMODが第2の信号圧用ポート56cに入力されるから、ドライブ圧PDが前進5速用油路59aに供給された状態を保持する。したがって、D−N−D操作時でも前進5速が保持される。なお、例えばイグニッションオフ等してエンジン12を一旦停止させると、機械式オイルポンプ42も停止し、ライン圧PL(モジュレータ圧PMOD)が抜けるため、第2の信号圧用ポート56cに信号圧が入力されなくなり、その後、エンジン12を始動させることにより、前進5速から前進3速へ切り替えられる。
【0037】
以上説明した実施例の油圧回路装置によれば、バルブボディ90に、第2のクラッチアプライリレーバルブ55のドライブ圧PDを出力する出力ポート56bと第2の信号圧用ポート56cとを接続する油路90aとモジュレータ圧PMODを出力する出力ポート56hと第2の信号圧用ポート56cとを接続する油路90bとを形成し、第2のクラッチアプライリレーバルブ55が挿入されるバルブボディ91に、各ポート56a〜56iを形成し、バルブボディ90,91間にセパレートプレート92を介在させることにより油路90aを開放すると共に油路90bを遮断できるようにし、バルブボディ90,91間にセパレートプレート94を介在させることにより油路90aを遮断すると共に油路90bを開放できるようにするから、セパレートプレート92,94を選択するだけで、バルブボディ90,91や第2のクラッチアプライリレーバルブ55の変更を伴うことなく、D−N−D操作時に前進3速を形成する構成と前進5速を形成する構成との両方に対応することができる。
【0038】
実施例では、第2のクラッチアプライリレーバルブ55により、前進1速〜前進3速の低速段で走行中にフェールが生じたときには前進3速に固定し、前進4速〜前進5速の高速段で走行中にフェールが生じたときには前進5速に固定するものとしたが、固定する変速段は、前進3速と前進5速に限られるものではなく、如何なる変速段の組み合わせであってもよい。
【0039】
実施例では、前進1速〜6速の6段変速の変速機構30を組み込むものとしたが、これに限定されるものではなく、4段変速や5段変速,8段変速など、如何なる段数の自動変速機を組み込むものとしてもよい。また、各ソレノイドバルブSLT,SL1,SL2,SL3,SL4,S1,S2のすべての通電を遮断したときに形成する変速段も前進3速や前進5速に限られるものではなく、いずれの変速段であっても差し支えない。
【0040】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、クラッチC1〜C3やブレーキB1,B2が「摩擦係合要素」に相当し、機械式オイルポンプ42が「ポンプ」に相当し、プライマリレギュレータバルブ44やリニアソレノイドバルブSLTなどが「第1の調圧機構」に相当し、マニュアルバルブ46が「シフト用バルブ」に相当し、リニアソレノイドバルブSL1〜SL3が「第2の調圧機構」に相当し、第1のクラッチアプライリレーバルブ50が「第1の切替バルブ」に相当し、第2のクラッチアプライリレーバルブ55が「第2の切替バルブ」に相当し、バルブボディ90,91が「本体」に相当し、セパレートプレート92,94が「油路遮断部材」に相当する。また、前進5速用連絡油路59aが「第1の油路」に相当し、前進3速用連絡油路59bが「第2の油路」に相当し、油路90aが「第3の油路」に相当し、油路90bが「第4の油路」に相当し、第2のクラッチアプライリレーバルブ55の第2の信号圧用ポート56cが「第1状態保持用ポート」に相当し、入力ポート56eおよび出力ポート56bが「第1の連絡ポート」に相当し、入力ポート56gおよび出力ポート56hが「第2の連絡ポート」に相当する。また、バルブボディ91が「第1の部材」に相当し、バルブボディ90が「第2の部材」に相当する。ここで、なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、自動車産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 自動車、12 エンジン、14 クランクシャフト、16 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、18a,18b 車軸、19a,19b 車輪、20 自動変速機、21 入力軸、22 出力軸、24 トルクコンバータ、24a ポンプインペラ、24b タービンランナ、26 ギヤ機構、28 デファレンシャルギヤ、29 自動変速機用電子制御ユニット(ATECU)、30 変速機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、36a,36b サンギヤ、37 リングギヤ、38a ショートピニオンギヤ、38b ロングピニオンギヤ、39 キャリア、40 油圧回路、41 ストレーナ、42 機械式オイルポンプ、43 ライン圧用油路、44 プライマリレギュレータバルブ、44a 入力ポート、44b セカンダリ用ポート、44c ドレンポート、45 セカンダリレギュレータバルブ、45a 入力ポート、45b 冷却潤滑用ポート、45c ドレンポート、46 マニュアルバルブ、46a 入力ポート、46b Dポジション用出力ポート、46c Rポジション用出力ポート、47 ドライブ圧用油路、50 第1のクラッチアプライリレーバルブ、51 スリーブ、51a 第1の信号圧用ポート、51b 第2の信号圧用ポート、51c 入力ポート、51d 出力ポート、51e 入力ポート、51f 入力ポート、51g 出力ポート、51h 入力ポート、51i 入力ポート、51j 出力ポート、51k 入力ポート、51l 第3の信号圧用ポート、52 スプール、53 スプリング、54 C3−B2用連絡油路、55 第2のクラッチアプライリレーバルブ、56 スリーブ、56a 第1の信号圧用ポート、56b 出力ポート、56c 第2の信号圧用ポート、56d 出力ポート、56e 入力ポート、56f ドレンポート、56g 入力ポート、56h 出力ポート、56i 第2の信号圧用ポート、57 スプール、58 スプリング、59a 前進5速用連絡油路、59b 前進3速用連絡油路、59c 連絡油路、60 第1のソレノイドリレーバルブ、61 スリーブ、61a 第1の信号圧用ポート、61b 第2の信号圧用ポート、61c 入力ポート、61d 出力ポート、61e 入力ポート、62 スプール、63 スプリング、64 連絡油路、65 第2のソレノイドリレーバルブ、66 スリーブ、66a 信号圧用ポート、66b 入力ポート、66c 出力ポート、66d 入力ポート、66e 入力ポート、66f 出力ポート、66g 入力ポート、67 スプール、68 スプリング、69 連絡油路、70 C3−B2アプライコントロールバルブ、71 スリーブ、71a 信号圧用ポート、71b 出力ポート、71c 入力ポート、71d 出力ポート、71e 入力ポート、71f 出力ポート、71g 入力ポート、71h ドレンポート、72 スプール、73 スプリング、74a 第1の連絡油路、74b 第2の連絡油路、75 B2アプライコントロールバルブ、76 スリーブ、76a 第1の信号圧用ポート、76b 第2の信号圧用ポート、76c 入力ポート、76d 出力ポート、76e 入力ポート、77 スプール、78 スプリング、80 メイン電子制御ユニット(メインECU)、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキスイッチ、88 車速センサ、90,91 バルブボディ、92,94 セパレートプレート、96 プラグ、98 キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、複数の摩擦係合要素の係合と非係合との組み合わせを切り替えることにより変速段の変更が可能な自動変速機における、該複数の摩擦係合要素に油圧を供給する油圧回路装置であって、
油圧を発生させるポンプと、
該ポンプからの油圧を調圧することによりライン圧を生成する第1の調圧機構と、
走行用ポジションにシフト操作されたときには前記ライン圧を入力して走行用圧として出力し、非走行用ポジションにシフト操作されたときには前記ライン圧の前記走行用圧としての出力を遮断するシフト用バルブと、
前記ライン圧または前記走行用圧を入力し調圧して出力する第2の調圧機構と、
第1の油路と第2の油路と前記第2の調圧機構側の油路と前記複数の摩擦係合要素の各油圧サーボ側の油路とに接続され、前記第2の調圧機構側の油路と前記各油圧サーボ側の油路とを連通し前記第1の油路と前記複数の摩擦係合要素のうち第1の変速段を形成する摩擦係合要素の油圧サーボ側の油路との連通を遮断すると共に前記第2の油路と前記複数の摩擦係合要素のうち第2の変速段を形成する摩擦係合要素の油圧サーボ側の油路との連通を遮断する第1状態と、前記第2の調圧機構側の油路と前記各油圧サーボ側の油路との連通を遮断し前記第1の油路と前記第1の変速段を形成する摩擦係合要素の油圧サーボ側の油路とを連通すると共に前記第2の油路と前記第2の変速段を形成する摩擦係合要素の油圧サーボ側の油路とを連通する第2状態とを切り替える第1の切替バルブと、
前記第1の油路と前記第2の油路と前記シフト用バルブ側の油路とに接続され、前記シフト用バルブ側の油路と前記第1の油路とを連通する共に該シフト用バルブ側の油路と前記第2の油路との連通を遮断する第1状態と、前記シフト用バルブ側の油路と前記第1の油路との連通を遮断すると共に該シフト用バルブ側の油路と前記第2の油路とを連通する第2状態との切り替えが可能で、前記第1状態を保持するための信号圧を入力する第1状態保持用ポートと前記走行用圧を入力し前記第1状態保持用ポートに出力するための第1の連絡ポートと前記ライン圧を入力し前記第1状態保持用ポートに出力するための第2の連絡ポートとを有し、前記第1状態にあるときには前記第1および第2の連絡ポートを開放し、前記第2状態にあるときには前記第1および第2の連絡ポートを遮断する第2の切替バルブと、
前記各油路が形成されると共に前記第2の切替バルブの前記第1状態保持用ポートと前記第1の連絡ポートとを接続する第3の油路と該第1状態保持用ポートと前記第2の連絡ポートとを接続する第4の油路とが形成された本体と、
前記第3の油路の遮断と前記第4の油路の遮断とを選択的に行なう油路遮断部材と、
を備える油圧回路装置。
【請求項2】
前記油路遮断部材は、板材である請求項1記載の油圧回路装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の油圧回路装置であって、
前記本体は、前記第2の切替バルブが挿入され前記第1状態保持用ポートと前記第1の連絡ポートと前記第2の連絡ポートとが形成された第1の部材と、前記第3の油路と前記第4の油路とが形成された第2の部材とを有し、
前記油路遮断部材は、前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在される
ことを特徴とする油圧回路装置。
【請求項4】
前記第2の切替バルブは、形成可能な変速段のうち増速側の変速段が形成されているときに前記第2の調圧機構からの出力圧を信号圧として入力して前記第1状態を形成することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載の油圧回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−7630(P2012−7630A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141363(P2010−141363)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】