説明

油圧駆動装置

【課題】旋回モータと他のアクチュエータの同時操作時にサチュレーション状態が生じても旋回モータに優先的に圧油を供給して旋回の速度変化を抑え、旋回単独操作においても旋回起動時のショックを抑え、良好な操作性を実現する。
【解決手段】旋回制御弁6aを、旋回の指令パイロット圧に応じて開口面積を変化させ流量制御弁39と、流量制御弁39の下流側に配置され、旋回の指令パイロット圧に応じて操作され、旋回モータ3aに供給される圧油の流量と方向を制御するオープンセンタ型の流量・方向制御弁40とで構成し、圧力補償弁7aにエンジン回転数検出弁13の出力圧を導いて目標補償差圧を設定し、他の圧力補償弁7b,7c…にはポンプ吐出圧と最高負荷圧との差圧により設定する。最高負荷圧を検出するシャトル弁9a…は旋回モータ3aの負荷圧として流量制御弁39と流量・方向制御弁40との間の圧力を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベル等の建設機械に用いられる油圧駆動装置に係り、特に油圧ポンプの吐出圧が複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるようにロードセンシング制御を行う油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の油圧駆動装置として、例えば特許文献1に記載のものがある。この特許文献1に記載の油圧駆動装置においては、旋回以外のアクチュエータに係わる圧力補償弁の目標補償差圧として、油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧との差圧を導き、旋回に係わる圧力補償弁の目標補償差圧として、エンジン回転数検出回路からの出力圧を導くことにより、旋回モータと他のアクチュエータとの複合操作時において、油圧ポンプの吐出流量が同時操作される旋回モータと他のアクチュエータの要求流量に対して不足するサチュレーション状態が生じても、旋回モータに優先的に圧油を供給して、その速度変化を抑えることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3907040号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のロードセンシング制御を行う油圧駆動装置においては、旋回モータと他のアクチュエータとの同時操作時に、ポンプ吐出流量のサチュレーション状態が生じても、旋回モータに優先的に圧油を供給して、旋回モータの速度変化を抑えることができる。しかし、旋回モータの単独操作においては、旋回モータが回転駆動する旋回体が慣性体であるために、その動き始め(旋回起動時)に旋回モータの負荷圧が急激に上昇する。このため油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧(旋回モータの負荷圧)との差圧が小さくなり、油圧ポンプの傾転角が流量を増加させる方向に急激に切り換わり、油圧ポンプから圧油が急激に旋回モータへ流入し、旋回起動時のショックが大きいという問題があった。
【0005】
例えば、掘削・積込作業などで、バケットに掘削土や液状コンクリートなどを入れた状態で旋回起動した場合に、上記のようにショックが生じると、積荷の掘削土や液状コンクリートが荷こぼれしてしまうことがあった。
【0006】
本発明の目的は、旋回モータと他のアクチュエータの同時操作時には、油圧ポンプの吐出流量のサチュレーション状態が生じても、旋回モータに優先的に圧油を供給して旋回の速度変化を抑えることができるとともに、旋回モータの単独操作においては、旋回起動時のショックを抑え、良好な操作性を実現することができる建設機械の油圧駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される旋回モータを含む複数のアクチュエータと、前記油圧ポンプから前記旋回モータに供給される圧油の流量と方向を制御する旋回制御弁と、前記油圧ポンプから前記旋回モータ以外のアクチュエータに供給される圧油の流量と方向を制御するクローズドセンタ型の複数の流量・方向制御弁と、前記旋回制御弁及び前記複数の流量・方向制御弁を操作して対応するアクチュエータを動作させるための指令信号を生成する複数の操作装置と、前記旋回制御弁及び前記複数の流量・方向制御弁の上流側に配置された複数の圧力補償弁と、前記複数のアクチュエータの負荷圧のうちの最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、前記油圧ポンプの吐出圧が、前記最高負荷圧検出手段により検出された最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるようロードセンシング制御するポンプ制御手段と、前記エンジンの回転数が低下するにしたがって低下するよう前記エンジンの回転数に依存する圧力を出力するエンジン回転数検出部とを備え、このエンジン回転数検出部の出力圧を前記ポンプ制御手段に導き、前記ロードセンシング制御の目標差圧を前記エンジンの回転数に依存する可変値として設定した油圧駆動装置において、前記旋回制御弁は、前記旋回モータに係わる操作装置の指令信号に応じて開口面積を変化させ、通過流量を制御する流量制御弁と、この流量制御弁の下流側に配置され、前記旋回モータに係わる操作装置の指令信号に応じて前記旋回モータに供給される圧油の方向を制御するとともに、前記流量制御弁により制御された圧油の流量を更に制御して前記旋回モータに供給するオープンセンタ型の流量・方向制御弁とを有し、前記最高負荷圧検出手段は、前記旋回モータの負荷圧として、前記流量制御弁と前記オープンセンタ型の流量・方向制御弁との間の圧力を検出するよう構成され、前記複数の圧力補償弁は、前記旋回モータ以外のアクチュエータに係わる前記複数の流量・方向制御弁の上流側に配置され、前記油圧ポンプの吐出圧と前記複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧によりそれぞれの目標補償差圧を設定して、対応する流量・方向制御弁の前後差圧が前記油圧ポンプの吐出圧と前記複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧に等しくなるように制御する複数の第1圧力補償弁と、前記旋回制御弁の流量制御弁の上流側に配置され、前記エンジン回転数検出部の出力圧により目標補償差圧を設定して、前記流量制御弁の前後差圧が前記エンジン回転数検出部の出力圧に等しくなるように制御する第2圧力補償弁とを有するものとする。
【0008】
このように旋回制御弁を流量制御弁とオープンセンタ型の流量・方向制御弁とで構成し、流量制御弁とオープンセンタ型の流量・方向制御弁との間の圧力を旋回モータの負荷圧として検出することにより、旋回モータを操作したとき、流量制御弁とオープンセンタ型の流量・方向制御弁との間の圧力が旋回モータの負荷圧として検出され、ロードセンシング制御により油圧ポンプの吐出流量を増加させることができる。
【0009】
また、旋回制御弁を流量制御弁とオープンセンタ型の流量・方向制御弁とで構成するとともに、旋回モータに係わる第1圧力補償弁により流量制御弁の前後差圧がエンジン回転数検出部の出力圧に等しくなるように制御することにより、旋回モータと他のアクチュエータとの同時操作時に、その他のアクチュエータの挙動や油圧ポンプのサチュレーション状態によらず、流量制御弁の前後差圧が一定に制御されることで、旋回モータにはある一定の流量が優先的に供給され(優先性が維持され)、旋回の速度変化を抑えることができる。
【0010】
更に、旋回モータを単独で操作する旋回起動時において、旋回モータの負荷圧が一時的に高くなり、ロードセンシング制御によって油圧ポンプの吐出流量が増加する場合であっても、流量制御弁の下流に配置したオープンセンタ型の流量・方向制御弁によって、通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁の場合と同様、圧油の一部をタンクに逃がしながら旋回モータへの圧油の流量を制御する、いわゆるブリードオフ制御を行うことができるので、急激な流量増加による起動時のショックを抑え、良好な操作性を実現することができる。
【0011】
(2)また、上記(1)において、好ましくは、前記第2圧力補償弁は、前記旋回モータの負荷圧が高くなるにしたがって前記旋回制御弁の流量制御弁の前後差圧を小さくして通過流量を減少させる負荷依存特性を有している。
【0012】
これにより旋回起動時において、旋回モータの負荷圧が一時的に高くなると、旋回モータへの供給流量が減少するため、旋回モータで消費される馬力を減少することができるとともに、旋回・ブーム上げ等の同時操作時にサチュレーション状態が生じても、その分、他のアクチュエータで使える流量が増加し、ブーム上げ量を確保できるなど良好な複合操作性を実現することができる。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記ポンプ制御手段は、前記油圧ポンプの最少吐出流量が前記旋回制御弁の流量制御弁の最大開口面積に対応した最大流量より少なくならないよう、前記油圧ポンプの最小傾転を設定する。
【0014】
これにより旋回モータの操作時において、油圧ポンプのロードセンシング制御と圧力補償弁の制御との干渉によるシステムの不安定性を解消し、旋回操作性を更に良好なものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロードセンシング制御を行う油圧駆動装置において、旋回モータと他のアクチュエータの同時操作時に、油圧ポンプの吐出流量のサチュレーション状態が生じても、旋回モータに優先的に圧油が供給されて旋回モータの高い優先性が維持され、旋回の速度変化を抑え、良好な複合操作性を得ることができる。
【0016】
また、旋回モータを単独操作した場合は、旋回起動時に旋回モータの負荷圧が一時的に高くなり、ロードセンシング制御によって油圧ポンプの吐出流量が増加する場合であっても、流量制御弁の下流に配置したオープンセンタ型の流量・方向制御弁によって、通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁の場合と同様、圧油の一部をタンクに逃がしながら旋回モータへの圧油の流量を制御する、いわゆるブリードオフ制御を行うことができるので、急激な流量増加による起動時のショックを抑え、滑らかな旋回操作性を実現することができる。
【0017】
また、旋回モータに係わる圧力補償弁に負荷依存特性を持たせたため、旋回起動時における旋回モータの負荷圧上昇時に、旋回モータへの供給流量が減少し、旋回モータで消費される馬力を減少することができるとともに、旋回・ブーム上げ等の同時操作時にサチュレーション状態が生じても、その分、他のアクチュエータで使える流量が増加し、ブーム上げ量を確保できるなど良好な複合操作性を実現することができる。
【0018】
更に、油圧ポンプの最少吐出流量が流量制御弁の最大開口面積に対応した最大流量より小さくならないように、油圧ポンプの最小傾転を設定したため、油圧ポンプのロードセンシング制御と圧力補償弁の制御との干渉によるシステムの不安定性を解消し、旋回操作性を更に良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態における建設機械の油圧駆動装置のシステム構成を示す図である。
【図2】旋回制御弁を構成する流量制御弁の流量特性を示す図である。
【図3】旋回用制御弁を構成するオープンセンタ型の流量・方向制御弁のブリードオフ絞りとメータイン絞りとメータアウト絞りのそれぞれの開口面積特性を、通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁の開口面積特性と比較して示す図である。
【図4】メインポンプの傾転角制御部によるメインポンプのPQ特性図である。
【図5】本発明の油圧駆動装置が搭載される油圧ショベルの外観を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態における建設機械の油圧駆動装置のシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
<第1の実施の形態>
〜構成〜
図1に本発明の第1の実施の形態である油圧駆動装置のシステム構成を示す。本実施の形態は、本発明をフロントスイング式の油圧ショベルの油圧駆動装置に適用した場合のものである。
【0021】
図1において、本実施の形態に係わる油圧駆動装置は、エンジン1と、このエンジン1により駆動されるメインポンプとしての可変容量型の油圧ポンプ2及び固定容量型のパイロットポンプ30と、メインポンプ2から吐出された圧油により駆動される旋回モータ3aを含む複数のアクチュエータ3a,3b,3c…と、メインポンプ2の供給油路5に接続されたアクチュエータ(旋回モータ)3aに対応する油路8aに接続され、メインポンプ2からアクチュエータ3aに供給される圧油の流量と方向をそれぞれ制御する旋回制御弁6aと、メインポンプ2の供給油路5に接続された旋回モータ3a以外のアクチュエータ3b,3c…に対応する油路8b,8c…に接続され、メインポンプ2からアクチュエータ3b,3c…に供給される圧油の流量と方向をそれぞれ制御するクローズドセンタ型の複数の流量・方向制御弁6b,6c…と、旋回制御弁6aの上流側において油路8aに接続され、旋回制御弁6aの絞り部(後述)の前後差圧を制御する圧力補償弁7a(第2圧力補償弁)と、流量・方向制御弁6b,6c…の上流側において油路8b,8c…に接続され、流量・方向制御弁6b,6c…の絞り部の前後差圧を制御する圧力補償弁7b,7c…(第1圧力補償弁)と、アクチュエータ3a,3b,3c…の負荷圧のうちの最高圧力を選択して出力するシャトル弁9a,9b,9c…(最高負荷圧検出手段)と、メインポンプ2の吐出圧と前記最高負荷圧との差圧を絶対圧として油路12dに出力する差圧減圧弁11と、メインポンプ2の供給油路5に接続され、メインポンプ2の最高吐出圧(最高回路圧力)を制限するためのメインリリーフ弁14と、メインポンプ2の供給油路5に接続され、メインポンプ2の吐出圧と前記最高負荷圧との差圧がバネ15aで設定されるある一定値を越えたときにメインポンプ2の吐出油をタンクに戻し、メインポンプ2の圧力上昇を制限するアンロード弁15と、パイロットポンプ30の供給油路31aに接続され、パイロットポンプ30の吐出流量に応じた圧力を出力するエンジン回転数検出弁13と、このエンジン回転数検出弁13の下流側のパイロット油路31cに接続され、パイロット油路31cの圧力を一定に保つパイロットリリーフ弁32と、ゲートロックレバー24によって操作され、下流側のパイロット圧供給油路31bをパイロット油路31c及びタンクの一方に選択的に連通させるゲートロック弁100と、旋回制御弁6a及び流量・方向制御弁6b,6c…を操作して対応するアクチュエータ3a,3b,3c…を動作させるための指令パイロット圧(指令信号)を生成するリモコン弁を内蔵した操作レバー装置122,123(操作レバー装置123は図5参照)とを備えている。
【0022】
アクチュエータ3aは油圧ショベルの旋回モータであり、アクチュエータ3b,3cはそれぞれ油圧ショベルのブームシリンダ及びアームシリンダであり、流量・方向制御弁6b,6cはそれぞれ例えばブーム用、アーム用である。図示の都合上、バケットシリンダ、ブームスイングシリンダ、走行モータ等の他のアクチュエータ及びこれらアクチュエータに係わる流量・方向制御弁等の回路要素は省略して示している。
【0023】
旋回制御弁6a以外の流量・方向制御弁6b,6c…は、従来のロードセンシング油圧回路のクローズドセンタ型のバルブと同じバルブである。
【0024】
旋回制御弁6aは、旋回モータ3aに圧油を供給する油路8aにおいて、圧力補償弁7aの下流側に配置され、旋回の指令パイロット圧(後述)に応じて開口面積を変化させ、通過流量を制御する流量制御弁39と、流量制御弁39の下流側に配置され、旋回の指令パイロット圧(後述)に応じて旋回モータ3aに供給される圧油の方向を制御するとともに、流量制御弁39により制御された圧油の流量を更に制御して旋回モータ3aに供給するオープンセンタ型の流量・方向制御弁40とで構成されている。
【0025】
流量制御弁39は、可変絞り部39aと、閉方向作動のバネ39bと、操作レバー装置122が生成した指令パイロット圧が導かれる開方向作動の受圧部39cを有している。流量制御弁39の流量特性については後述する。
【0026】
オープンセンタ型の流量・方向制御弁40は、通常のオープン回路に用いるオープンセンタ型の流量・方向制御弁と同じものであり、センタバイパス通路とメータイン通路とメータアウト通路とを有し、中立位置にあるときはセンタバイパス通路が全開して油路8aより供給された圧油がタンクに戻され、中立位置から切り換えられるとそのストロークに応じてセンタバイパス通路が絞られ、油路8aより供給された圧油がチェックバルブ60を備えたフィーダ回路44を介してメータイン通路に供給され、このメータイン通路を介して旋回モータ3aに供給される構成となっている。ただし、流量制御弁39と流量・方向制御弁40との組み合わせで従来の旋回用の流量制御弁と同じ流量特性が得られるよう、流量・方向制御弁40の開口面積特性が設定されている。流量・方向制御弁40の開口面積特性については後述する。
【0027】
旋回用の圧力補償弁7a以外の圧力補償弁7b,7c…(第1圧力補償弁)は、その目標補償差圧として差圧減圧弁11の出力圧が油路12dを介して導かれる開方向作動の受圧部21b,21c…と、流量・方向制御弁6b,6c…のメータイン絞り部25b,26b;25c,26cの前後差圧を検出する受圧部22b,23b…及び22c,23c…を有し、流量・方向制御弁6b,6c…のメータイン絞り部25b,26b;25c,26cの前後差圧が差圧減圧弁11の出力圧(メインポンプ2の吐出圧とアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧との差圧)に等しくなるように制御する。すなわち、旋回モータ3a以外のアクチュエータ3b,3c…に対する圧力補償弁7b,7c…については、それぞれの目標補償差圧がメインポンプ2の吐出圧とアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧との差圧により設定されている。
【0028】
旋回用の圧力補償弁7a(第2圧力補償弁)は、その目標補償差圧として後述するエンジン回転数検出弁13の出力圧が油路12e及び油路12fを介して導かれる開方向作動の受圧部21aと、流量制御弁39の可変絞り部39aの前後差圧を検出する受圧部22a,23aを有し、可変絞り部39aの前後差圧をエンジン回転数検出弁13の出力圧に基づいて制御する。後述するように、エンジン回転数検出弁13の出力圧はロードセンシング制御の目標差圧としてポンプ制御手段(傾転角制御部17)にも導かれている。すなわち、旋回モータ3aに係わる圧力補償弁7aの受圧部21aには、エンジン回転数検出弁13からロードセンシング制御の目標差圧としてポンプ制御手段の切換弁17bに導かれた出力圧と同一の出力圧が導かれ、その出力圧により目標補償差圧が設定されている。
【0029】
また、旋回用の圧力補償弁7aは、流量制御弁39の上流側の圧力を検出する受圧部22aの受圧面積が流量制御弁39の下流側の圧力を検出する受圧部23aの受圧面積よりも大きく、その受圧面積の差分に流量制御弁39の上流側の圧力が作用することにより生じる付勢力が、受圧部21aに生じる付勢力に対向して閉弁方向に作用するように構成され、これにより旋回モータ3aの負荷圧が高くなるにしたがって流量制御弁39の前後差圧を小さくして通過流量を減少させる特性(負荷依存特性)を持たせている。その具体的な構成は特開2000-227103号公報に詳しい。
【0030】
図2は、流量制御弁39の流量特性を示す図である。横軸は指令パイロット圧であり、縦軸は圧力補償弁7aによって制御される流量制御弁39の通過流量である。
【0031】
操作レバー装置122の操作レバーが中立位置にあり、操作レバー装置122が生成する指令パイロット圧がタンク圧(便宜上圧力0とする)であるときは、流量制御弁39の可変絞り部39aは最小の開口面積にあり、通過流量は最少Q0である。なお、可変絞り部39aの開口面積を最少(通過流量を最少Q0)とする代わりに可変絞り部39aを閉じ、通過流量をゼロとしてもよい。図1では、図示の便宜上、可変絞り部39aを閉じた状態で示している。
【0032】
操作レバー装置122の操作レバーが操作され、指令パイロット圧が上昇するとき、指令パイロット圧がPi0以下の範囲では可変絞り部39aは最小の開口面積を保ち、通過流量は最少Q0のままである。すなわち、Pi0は不感帯の上限値である。指令パイロット圧がPi0を超えて更に上昇すると、それに応じて可変絞り部39aは開口面積を増加させ、通過流量も増加する。指令パイロット圧がPi1に達すると可変絞り部39aは開口面積が最大となり、通過流量も最大Q1となる。Pi1は操作レバー装置122の操作レバーがフルストローク近傍まで操作されたときの指令パイロット圧である。
【0033】
流量制御弁39の最大流量Q1は、エンジン1が最高定格回転数にあり、圧力補償弁7aにより可変絞り部39aの前後差圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧に等しく制御されるときの旋回モータ3aの最大要求流量に一致するように設定されている。
【0034】
図3は、流量・方向制御弁40のブリードオフ絞りとメータイン絞りとメータアウト絞りのそれぞれの開口面積特性を示す図である。図3の左側は、通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁40の開口面積特性を示し、図3の右側は本実施の形態における流量・方向制御弁40の開口面積特性を示す。
【0035】
操作レバー装置122の操作レバーが中立位置にあり、操作レバー装置122が生成する指令パイロット圧がタンク圧(便宜上圧力0とする)であるときは、ブリードオフ絞りの開口面積は最大A1である。操作レバー装置122の操作レバーが操作され、指令パイロット圧が上昇するとき、指令パイロット圧が不感帯の上限Pi0まで上昇する間は、ブリードオフ絞りの開口面積は最大A1からA2まで大きく減少する。指令パイロット圧がPi0を超えて更に上昇すると、ブリードオフ絞りの開口面積はA2から緩やかに減少し、指令パイロット圧が最大Pi1より低いPi2に達するとブリードオフ絞りの開口面積は0(全閉)となる。
【0036】
メータイン絞りの開口面積及びメータアウト絞りの開口面積の変化は通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁とほぼ同じであり、指令パイロット圧が上昇し、Pi0よりも高いPi3を超えると、指令パイロット圧の上昇に応じてメータイン絞りの開口面積及びメータアウト絞りの開口面積は増加し、指令パイロット圧が最大Pi1に達すると、メータイン絞りの開口面積及びメータアウト絞りの開口面積はそれぞれ最大となる。また、指令パイロット圧がブリードオフ絞りの開口面積が0となるPi2付近を越えると、メータイン絞りの開口面積の変化割合は増加し、最大開口面積へと大きく増加する。
【0037】
指令パイロット圧が不感帯の上限Pi0に達したときのブリードオフ絞りの開口面積A2は通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁の開口面積A3より小さい。これは、流量・方向制御弁40の上流に流量制御弁39が位置し、操作レバー装置122の操作レバーのハーフ操作に対応する領域では、上述したように流量制御弁39の可変絞り部39aの開口面積が可変絞り部39aの最大開口面積より小さく、通過流量が最大流量Q1よりも少なくなっているからであり、これによりハーフ操作領域において、ブリードオフ絞りによりメータイン絞り入側の圧油に圧力を立たせて旋回モータ3aの必要な駆動圧を確保し、かつ操作レバーの操作量に応じた要求流量を旋回モータ3aに供給することができ、通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁と同等の操作性が得られる。
【0038】
図1に戻り、旋回制御弁6aの流量制御弁39及び流量・方向制御弁6b,6c…はそれぞれ負荷圧取り出しポート42a,42b,42c…(最高負荷圧検出手段)を有し、流量制御弁39の負荷圧取り出しポート42aは、流量制御弁39が図示左側の中立位置(非操作位置)にあるときはタンクに連通し、負荷圧としてタンク圧を出力し、流量制御弁39が中立位置から図示右側の操作位置に切り換えられたときは、流量制御弁39と流量・方向制御弁40との間の油路に連通し、流量制御弁39と流量・方向制御弁40との間の圧力を旋回モータ3aの負荷圧として出力する。流量・方向制御弁6b,6c…の負荷圧取り出しポート42b,42c…は、流量・方向制御弁6b,6c…が中立位置にあるときはタンクに連通し、負荷圧としてタンク圧を出力し、流量・方向制御弁6b,6c…が中立位置から図示左右の操作位置に切り換えられたときは、それぞれのアクチュエータ3b,3c…に連通し、アクチュエータ3b,3c…の負荷圧を出力する。
【0039】
シャトル弁9aは流量制御弁39の負荷圧取り出しポート42aから取り出された旋回モータ3aの負荷圧と流量・方向制御弁6bから取り出されたブームシリンダ3bの負荷圧との高圧側を選択して出力し、シャトル弁9bはその出力圧と流量・方向制御弁6cから取り出されたアームシリンダ3cの負荷圧との高圧側を選択して出力し、シャトル弁9cはその出力圧と図示しない他の同様なシャトル弁の出力圧との高圧側を選択して出力する。このようにしてシャトル弁9cからアクチュエータ3a,3b,3c…の負荷圧のうちの最高負荷圧が出力され、その最高負荷圧が信号油路43,43a,43bに取り出される。
【0040】
旋回制御弁6a及び流量・方向制御弁6c,6c…、圧力補償弁7a,7b,7c…、シャトル弁9a,9b,9c…、差圧減圧弁11、メインリリーフ弁14、アンロード弁15は、コントロールバルブ4内に配置されている。
【0041】
操作レバー装置122,123(操作レバー装置123は図5参照)のリモコン弁は、それぞれ、パイロット圧供給油路31bから供給される圧油に基づいて操作レバーの操作量に応じた指令パイロット圧を生成する。操作レバー装置122のリモコン弁により生成された指令パイロット圧はパイロット圧油路130,131を介して流量・方向制御弁40に導かれ、流量・方向制御弁40はその指令パイロット圧により切り換え操作される。また、パイロット圧油路130,131にはシャトル弁132が設けられ、操作レバー装置122のリモコン弁により生成された指令パイロット圧がシャトル弁132を介して流量制御弁39の開方向作動の受圧部39cに導かれ、流量制御弁39はその指令パイロット圧により切り換え操作される。操作レバー装置123(図5参照)のリモコン弁により生成された指令パイロット圧は流量・方向制御弁6b,6c…に導かれ、流量・方向制御弁6b,6c…はその指令パイロット圧により切り換え操作される。
【0042】
ゲートロックレバー24は運転席121(図2)の出入り口側に配置され、オペレータにより上げ位置(ゲートロック解除位置)と下げ位置(ゲートロック位置)とに選択的に操作可能である。ゲートロックレバー24が上げ位置(ゲートロック解除位置)に操作されると、ゲートロック弁100は図示の位置に切り換えられ、パイロット圧供給油路31bをタンクに連通させ、操作レバー装置の操作による旋回制御弁6a及び流量・方向制御弁6c,6c…の操作を不能とする。
【0043】
エンジン回転数検出弁13は、パイロットポンプ30からの供給流量に応じてその絞り量が可変となる特性を持つ可変絞り50と、その可変絞り50の前後差圧を絶対圧として出力する差圧減圧弁51とから構成される。後述するように、エンジン回転数検出弁13の出力圧(可変絞り50の前後差圧)はロードセンシング制御の目標差圧としてポンプ制御手段(傾転角制御部17)に導かれる。このように可変絞り50の前後差圧をロードセンシング制御の目標差圧として用いることにより、エンジン回転数に応じたサチュレーション現象の改善が図れ、エンジン回転数を低く設定した場合に良好な微操作性が得られる。なお、この点は特開平10−196604号公報に詳しい。エンジン回転数検出弁13は、エンジン1の回転数が低下するにしたがって低下するようエンジン1の回転数に依存する圧力を出力するエンジン回転数検出部を構成する。
【0044】
メインポンプ2は、斜板等のポンプ傾転変更部90と、このポンプ傾転変更部90に作用し、メインポンプ2の傾転角(容量或いは押しのけ容積)を制御する傾転角制御部17を有している。傾転角制御部17は、メインポンプ2の吐出圧が導入され、メインポンプ2の吐出圧が上昇したときに、メインポンプ2の吸収トルクがある一定値を超えないようにするため、メインポンプ2の吐出圧が上昇するにしたがってメインポンプ2の傾転角を小さくするように制御する傾転角制御ピストン17aと、ロードセンシング制御用の切換弁17bと、切換弁17bの出力圧が導かれ、切換弁17bの出力圧(各アクチュエータの要求流量)に応じてメインポンプ2の傾転角が変化するよう制御する傾転角制御ピストン17cとから構成されている。切換弁17bは、エンジン回転数検出弁13の出力圧と差圧減圧弁11の出力圧が油路12e,12dを介して対向して導かれる受圧部17d,17eを有し、差圧減圧弁11の出力圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧と等しくなるように傾転角制御ピストン17cに出力する圧力(切換弁17bの出力圧)を制御する。具体的には、差圧減圧弁11の出力圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧より高くなると、切換弁17bは出力圧を上昇させる。切換弁17bの出力圧が上昇すると、傾転角制御ピストン17cはメインポンプ2の傾転角を小さくしてメインポンプ2の吐出流量を減少させ、差圧減圧弁11の出力圧を小さくする。差圧減圧弁11の出力圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧より低くなると、切換弁17bは出力圧を低下させる。切換弁17bの出力圧が低下すると、傾転角制御ピストン17cはメインポンプ2の傾転角を大きくしてメインポンプ2の吐出流量を増大させ、差圧減圧弁11の出力圧を大きくする。
【0045】
このように切換弁17bと傾転角制御ピストン17cは、メインポンプ2の吐出圧が最高負荷圧検出手段である負荷圧取り出しポート42a,42b,42c…及びシャトル弁9a,9b,9c…により検出された最高負荷圧よりエンジン回転数検出弁13の出力圧(目標差圧)だけ高くなるようメインポンプ2の吐出流量をロードセンシング制御するポンプ制御手段として機能する。エンジン回転数検出弁13の出力圧はポンプ制御手段の切換弁17bに導かれており、ロードセンシング制御の目標差圧はエンジンの回転数に依存する可変値として設定される。
【0046】
傾転角制御部17は、更に、メインポンプ2のポンプ傾転変更部90に当たってメインポンプ2の最小傾転を制限し、メインポンプ2の最少吐出流量を規定するストッパ91を有している。ストッパ91は、例えばネジ機構によりポンプケースに対して出入りしてポンプ傾転変更部90に当たる位置を変え、メインポンプ2の最小傾転を調整できるようにしたものである。なお、ポンプケースの鋳物自体を最小傾転を制限できるような形状とし、ポンプの基本仕様として最小傾転を設定したものであってもよい。
【0047】
ここで、メインポンプ2の最小傾転は、メインポンプ2の最少吐出流量が上述した流量制御弁39が最大ストローク位置に切り換えられたときに旋回モータ3aに供給される最大流量(より厳密には流量制御弁39の可変絞り部39aの最大開口面積と圧力補償弁7aにより制御される可変絞り部39aの前後差圧によって決まる旋回モータ3aの最大要求流量)より小さくならないように設定されている。
【0048】
図4は、傾転角制御部17によるメインポンプ2のPQ特性図である。横軸はメインポンプ2の吐出圧力(P)であり、縦軸はメインポンプ2の吐出流量(Q)である。特性線Hは傾転角制御ピストン17aにより設定されるポンプ馬力制御線図である。Qminはメインポンプ2の最少吐出流量であり、Qsmaxは流量制御弁39の最大開口面積と圧力補償弁7aによって決まる旋回モータ3aの最大要求流量である。傾転角制御部17によるメインポンプ2の吐出流量の制御領域は斜線部分である。メインポンプ2の最小傾転はストッパ91により制限され、メインポンプ2の最少吐出流量Qminは旋回最大要求流量Qsmaxより大きくなるように設定されている。
【0049】
このようにメインポンプ2の最少吐出流量が流量制御弁によって設定される旋回モータ3aの最大供給流量より小さくならないように、メインポンプ2の最小傾転を設定することにより、メインポンプ2のロードセンシング制御と圧力補償弁7aの制御との干渉によるシステムの不安定性を解消し、旋回操作性を更に良好なものとすることができる。
【0050】
図5は、本実施の形態における油圧駆動装置が搭載される油圧ショベルの外観を示す図である。
【0051】
油圧ショベルは、下部走行体101と、この下部走行体101上に旋回可能に搭載された上部旋回体102と、この上部旋回体102の先端部分にスイングポスト103を介して上下及び左右方向に回動可能に連結されたフロント作業機104とを備えている。下部走行体101はクローラ式であり、トラックフレーム105の前方側に上下動可能な排土用のブレード106が設けられている。上部旋回体102は基礎下部構造をなす旋回台107と、旋回台107上に設けられたキャノピタイプの運転室108とを備えている。フロント作業機104はブーム51と、アーム112と、バケット113とを備え、ブーム51の基端はスイングポスト103にピン結合され、ブーム51の先端はアーム112の基端にピン結合され、アーム112の先端はバケット113にピン結合されている。
【0052】
上部旋回体101は下部走行体100に対して旋回モータ3aにより旋回駆動され、ブーム51、アーム112、バケット113は、それぞれ、ブームシリンダ3b、アームシリンダ3c、バケットシリンダ3dを伸縮することにより回動する。下部走行体101は左右の走行モータ3f,3gにより駆動される。ブレード106はブレードシリンダ3hにより上下に駆動される。図1ではバケットシリンダ3d、左右の走行モータ3f,3g、ブレードシリンダ3hやそれらの回路要素の図示を省略している。
【0053】
運転室108には、運転席121、操作レバー装置122、123(図2では右側のみ図示)及びゲートロックレバー24が設けられている。
〜動作〜
次に、本実施の形態の動作を説明する。
【0054】
<全ての操作レバーが中立のとき>
全ての操作レバー(操作レバー装置122,123等の操作レバー)が中立の場合、旋回モータ3a以外のアクチュエータ3b,3c…の流量・方向制御弁6b,6c…はそれぞれ中立位置にあり、それらのアクチュエータの供給油路8b,8c…からの圧油は、流量・方向制御弁6b,6c…でブロックされ、各アクチュエータ3b,3c…へは供給されない。
【0055】
旋回制御弁6aにあっては、全ての操作レバーが中立の場合には、流量制御弁39が図示左側の非操作位置にあり、流量・方向制御弁40が中立位置にある。流量制御弁39が図示左側の非操作位置にあるときは、図2に示す流量特性を用いて説明したように、流量制御弁39の可変絞り部39aは最小の開口面積にあり、通過流量は最少Q0である。このため流量制御弁39より流量・方向制御弁40にその最少流量が供給されるが、流量・方向制御弁40が中立位置にあるため、その最少流量は流量・方向制御弁40のブリードオフ絞りを介してタンクに還流し、旋回モータ3aに圧油は供給されない。
【0056】
また、全ての操作レバーが中立の場合は、流量制御弁39及び流量・方向制御弁6b,6c…の負荷圧取り出しポート42a,42b,42c…から検出される負荷圧はタンク圧であり、シャトル弁9a,9b,9cにより検出される最高負荷圧もタンク圧と等しくなる。
【0057】
一方、メインポンプ2からは最少流量の圧油が吐出されているため、供給油路5の圧力が上昇する。メインポンプ2の供給油路5にはアンロード弁15が設けられており、アンロード弁15は、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧の差がバネ15aで規定される一定の値になるように制御する。前述したように、全ての操作レバーが中立の場合には最高負荷圧はタンク圧に等しく、タンク圧をゼロとした場合、メインポンプ2の吐出圧(供給油路5の圧力)は、バネ15aで規定される一定の圧力になるよう保たれる。ここで、バネ15aで規定される圧力は、エンジン回転数検出弁13の出力圧(ロードセンシング制御の目標差圧)に等しいか、それより少し大きく設定されており、メインポンプ2の吐出圧(供給油路5の圧力)はその圧力に保たれるように制御される。
【0058】
差圧減圧弁11は、メインポンプ2の吐出圧(供給油路5の圧力)とタンク圧の差を絶対圧力として出力する。メインポンプ2の流量制御部17の切換弁17bには、エンジン回転数検出弁13の出力圧と差圧減圧弁11の出力圧とが導かれており、メインポンプ2の吐出圧(供給油路5の圧力)が上昇し、差圧減圧弁11の出力圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧よりも大きくなると、切換弁17bは図示右側の位置に切り換わり、メインポンプ2の傾転角制御ピストン17cに導かれる圧力が上昇し、メインポンプ2の傾転角が小さくなるよう制御される。しかし、メインポンプ2には、その最小傾転角を規定するストッパ91が設けられるため、メインポンプ2はストッパ91により規定される最小傾転角位置に保持され、最少流量に維持される。
【0059】
<旋回単独操作のとき>
全ての操作レバーが中立の状態から、旋回用操作レバー装置122の操作レバーを操作すると、操作レバーの入力に応じた指令パイロット圧がパイロット圧油路130又は131に発生し、この指令パイロット圧により流量・方向制御弁40が切り換わり、それと同時に流量制御弁39の受圧部39cに、シャトル弁132により選択された指令パイロット圧が導かれ、流量制御弁39が切り換わる。
【0060】
ここで、仮に、パイロット圧油路131に指令パイロット圧が発生した場合、流量制御弁39の受圧部39cにその指令パイロット圧が導かれ、流量制御弁39が指令パイロット圧の大きさに応じて開弁し、圧油供給路8aから圧力補償弁7a及び流量制御弁39を通じて流量・方向制御弁40に、図2に示した流量制御弁39の流量特性に基づく指令パイロット圧の大きさに応じた流量の圧油が供給される。
【0061】
また、パイロット圧油路131の指令パイロット圧により流量・方向制御弁40は図示右側の位置に切り換わり、図3に示す開口面積特性にしたがって、ブリードオフ絞りの開口面積が減少し或いは閉じられ、メータイン絞り及びメータアウト絞りが開いて開口面積が増加する。その結果、ブリードオフ絞りによりメータイン絞り入側の圧油の圧力が上昇し、流量・方向制御弁40に供給された圧油はチェックバルブ60を経由して流量・方向制御弁40のメータイン絞りを通り、旋回モータ3aとコントロールバルブ4を接続する油路70aに供給され、旋回モータ3aが駆動される。旋回モータ3aからの戻りの油は、旋回モータ3aとコントロールバルブ4を接続する油路70bを経由し、流量・方向制御弁40のメータアウト絞りを通ってしてタンクへ戻る。
【0062】
ここで、流量制御弁39の通過流量(流量・方向制御弁40に供給される流量)は、流量制御弁39の可変絞り部39aの開口面積の大きさと圧力補償弁7aによって制御されるため、流量制御弁39の通過流量は、図2に示したように、指令パイロット圧に応じて変化する。また、流量・方向制御弁40のブリードオフ絞りの開口面積は、図3に示したように、操作レバーのハーフ操作領域においては、通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁のブリードオフ絞りの開口面積A3より小さいため、ハーフ操作領域において流量・方向制御弁40に供給される流量が、流量制御弁39の可変絞り部39aの開口面積が最大開口面積にあるときの最大流量Q1より少なくなっていても、ブリードオフ絞りによりメータイン絞りの入側の圧油の圧力が通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁の場合と同程度に上昇し、旋回モータ3aの必要な駆動圧が確保される。これにより旋回モータ3aへは、ハーフ操作領域も含め、旋回用操作レバー装置122の操作レバーの操作量に応じた流量が供給される。
【0063】
更に、圧力補償弁7aに、負荷圧が高いときに通過する流量を減少させる、いわゆる負荷依存特性を設けている場合には、旋回操作の起動時など、旋回モータ3aの負荷圧が高い場合に、圧力補償弁7aが閉じる方向に動作し、流量・方向制御弁40への供給流量を減少させる。これにより旋回と他のアクチュエータを同時操作した場合、旋回モータで消費されるエネルギーを減少させ、他のアクチュエータへの供給流量を確保し、複合操作性を向上することができる(後述)。
【0064】
一方、各アクチュエータの最高負荷圧を検出するために設けられたシャトル弁9a,9b,9c…によって、旋回モータ3aの駆動圧(負荷圧)である流量・方向制御弁40のメータイン絞りの入側の圧力が最高負荷圧として検出され、差圧減圧弁11及びアンロード弁15に伝えられる。
【0065】
アンロード弁15に旋回モータ3aの負荷圧が最高負荷圧として導かれるとき、供給油路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧)がバネ力15aで設定されている圧力分だけ高くなるように調整される。
【0066】
差圧減圧弁11は、メインポンプ2からの供給油路5の圧力と最高負荷圧の差圧を絶対圧力として出力する。メインポンプ2の流量制御部17の切換弁17bには、エンジン回転数検出弁13の出力圧と差圧減圧弁11の出力圧とが導かれている。
【0067】
旋回の動き始めなどで、瞬間的に旋回モータ3aの負荷圧が高くなるとき、差圧減圧弁11からの出力圧がエンジン回転数検出弁13からの出力圧よりも小さくなり、切換弁17bが図示右側の位置に切り換わるため、メインポンプ2の傾転角制御ピストン17cの圧油が切換弁17bを経由してタンクに戻り、メインポンプ2の傾転角を大きくするように制御して、メインポンプ2の吐出流量が増加する。しかし、メインポンプ2には、その最小傾転角を規定するストッパ91が設けられ、その吐出流量が流量制御弁39の可変絞り部39aで規定される旋回の最大流量よりも小さくならないように設定されている。このため、旋回モータ3aが起動時の加速期間を終えて一定の速度になれば、メインポンプ2の吐出流量がその最小流量に収束する。
【0068】
また、オープンセンタ型の流量・方向制御弁40が設けられているので、メインポンプ2から供給される圧油の流量が変化した場合でも、通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁の場合と同様、流量・方向制御弁40のブリードオフ絞りがその流量変化を吸収し、いわゆるブリードオフ制御を行うことができるので、旋回モータ3aへ供給する流量を最適に調整することができる。これにより旋回起動等におけるショックを抑えることができ、滑らかな旋回操作と良好な操作フィーリングを実現することができる。
【0069】
<旋回以外のアクチュエータを操作した場合>
旋回以外のアクチュエータの操作レバー、例えばブーム用の操作レバーを操作した場合には、流量・方向制御弁6bが切り換わり、ブームシリンダ3bに圧油が供給される。
【0070】
流量・方向制御弁6bを流れる流量は、流量・方向制御弁6bのメータイン絞りの開口面積とメータイン絞りの前後差圧によって決まり、メータイン絞りの前後差圧は圧力補償弁7bによって差圧減圧弁11の出力圧と等しくなるように制御されるため、流量・方向制御弁6bを流れる流量は操作レバーの操作量に応じて制御される。
【0071】
一方、ブームシリンダ3bの負荷圧がシャトル弁9b,9cによって最高負荷圧として検出され、差圧減圧弁11及びアンロード弁15に伝えられる。
【0072】
アンロード弁15にブームシリンダ3bの負荷圧が最高負荷圧として導かれると、供給油路5の圧力がバネ力15aで設定されている圧力分だけ高くなるように調整される。
【0073】
ブームシリンダ3bが動き始めると、一時的にメインポンプ2の供給油路5からブームシリンダ3bへの供給油路8bへと圧油が流出するので、供給油路5の圧力が低下する。このとき、供給油路5の圧力とブームシリンダ3bの負荷圧の差が、差圧減圧弁11の出力圧として出力されるので、ブームシリンダ3bの動き始めなどでメインポンプ2の吐出圧力(供給油路5の圧力)が低下したときは、差圧減圧弁11の出力圧が低下する。
【0074】
差圧減圧弁11の出力圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧よりも低下すると、メインポンプ2の傾転角制御部17の切換弁17bは図示右側の位置に切り換わり、傾転角制御ピストン17cの圧油をタンクに戻し、メインポンプ2の吐出流量が増加する。このメインポンプ2の吐出流量の増加は、差圧減圧弁11の出力圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧と等しくなるまで継続する。これらの一連の働きにより、ブームシリンダ3bに流量・方向制御弁6bの要求流量が供給されるように、メインポンプ2の吐出量が制御される。
【0075】
このように旋回以外のアクチュエータを操作した場合は、いわゆるロードセンシング制御が行われる。
【0076】
また、旋回以外のアクチュエータを操作した場合は、旋回用の操作レバーが中立であり、流量制御弁39は図示左側の位置に保持され、流量制御弁の通過流量は最少となるので、旋回モータ以外のアクチュエータにメインポンプ2の吐出油が有効に供給され、旋回モータ以外のアクチュエータの動作スピードが低下するのを防ぐことができる。
【0077】
<旋回と他のアクチュエータを同時操作した場合>
旋回用の操作レバーと、旋回以外のアクチュエータ(例えばブームシリンダ3b)の操作レバーを同時操作した場合、旋回モータ3aへの供給油路8aに設けられた流量制御弁39及び流量・方向制御弁40と、ブームシリンダ3bへの供給油路8bに設けられた流量・方向制御弁6bがそれぞれ切り換わる。
【0078】
旋回用の流量・方向制御弁40に供給される流量は、前述したように、流量制御弁39と圧力補償弁7aによって制御され、圧力補償弁7aは、流量制御弁39の可変絞り部39aの前後差圧を、エンジン回転数検出弁13の出力圧と同じになるように制御する。流量・方向制御弁40に供給された圧油は、チェックバルブ60と流量・方向制御弁40を経由して、旋回モータ3aに供給される。
【0079】
一方、ブーム用の操作レバーの操作により流量・方向制御弁6bが切り換わると、供給油路8bを経由してブームシリンダ3bに圧油が供給される。このとき、旋回モータ3aとブームシリンダ3bの負荷圧の高い方の圧力が、シャトル弁9a,9b,9c…によって最高負荷圧として検出され、アンロード弁15にその最高負荷圧が導かれ、供給油路5の圧力が最高負荷圧よりもバネ力15aの分だけ高くなるように調整される。また、シャトル弁9a,9b,9c…によって検出された最高負荷圧は差圧減圧弁11に導かれ、差圧減圧弁11は、メインポンプ2からの供給油路5のポンプ圧力と最高負荷圧の差圧を絶対圧力として出力する。
【0080】
一方、供給油路5の圧力は、供給油路5より圧油が供給油路8a,8bへ流出することにより、一時的に減少する。上記のように最高負荷圧が増加し、かつ供給油路5の圧力が減少することにより、一時的に差圧減圧弁11の出力圧は低下する。差圧減圧弁11の出力圧は、メインポンプ2の傾転角制御部17に導かれ、差圧減圧弁11の出力圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧よりも小さくなると、メインポンプ2の傾転角制御部17の切換弁17bは図示右側の位置に切り換わり、傾転角制御ピストン17cの圧油をタンクに戻し、メインポンプ2の吐出流量が増加する。このメインポンプ2の吐出流量の増加は、差圧減圧弁11の出力圧がエンジン回転数検出弁13の出力圧と等しくなるまで継続する。
【0081】
このように、旋回と他アクチュエータを同時操作した場合にも、各アクチュエータが必要とする流量を各アクチュエータに供給する、いわゆるロードセンシング制御が行われる。
【0082】
また、旋回用の操作レバーのハーフ操作領域においては、流量制御弁39の可変絞り部39aの通過流量が最大流量Q1より少ない流量となるので、旋回モータ以外のアクチュエータにメインポンプ2の吐出油が有効に供給され、旋回モータ以外のアクチュエータの動作スピードが低下するのを防ぐことができる。
【0083】
<旋回と他のアクチュエータを同時操作し、サチュレーション状態になった場合>
仮に、旋回モータ3aの供給油路8aへ流出する流量と、ブームシリンダ3bなど他のアクチュエータの供給油路8b,8c…へ流出する流量とを合計した流量が、メインポンプ2の吐出可能な流量よりも多くなった場合は、いわゆるサチュレーション状態となる。
【0084】
サチュレーション状態においては、メインポンプ2から供給される圧油が、旋回モータ3a以外のアクチュエータで要求されている流量に対して不足することになるので、結果的にメインポンプ2の吐出圧力(供給油路5の圧力)が低下し、差圧減圧弁11の出力圧は低下する。これによりメインポンプ2は傾転角制御部12の働きにより、吐出可能な範囲内で最大の流量を吐出するように制御される。
【0085】
旋回モータ3a以外の各アクチュエータの供給油路8b,8c…に設けられたそれぞれの圧力補償弁7b,7c…には、差圧減圧弁11の低下した出力圧がそれぞれの目標補償差圧として作用するので、それぞれの流量・方向制御弁6b,6c,…の開口面積によって決まる要求流量の比でそれぞれ通過する流量を絞る(減らす)ように制御される。
【0086】
一方、旋回モータ3aの供給油路8aに設けられた圧力補償弁7aには、目標補償差圧として、エンジン回転数検出弁13の出力圧が作用しているので、サチュレーション状態においても、圧力補償弁7aが通過する流量を絞る(減らす)ことはない。
【0087】
このように旋回モータ3a以外の各アクチュエータの供給油路8b,8c…に設けられた圧力補償弁7b,7c…に目標補償差圧として作用する差圧減圧弁11の出力圧が低下し、通過する流量を絞る(減らす)のに対して、
旋回モータ3aの供給油路8aに設けられた圧力補償弁7aに目標補償差圧として作用するエンジン回転数検出弁13の出力圧は低下せず、通過する流量を絞らない(減らさない)ことにより、旋回モータ3aの供給油路8aへは、流量制御弁39の開口面積と圧力補償弁7aの働きに応じたある一定の流量が流れ、旋回以外のアクチュエータへの供給油路8b,8c,…へは、メインポンプ2の吐出可能な流量から、旋回モータ3aへの供給油路8aへ供給される流量を引いた、残りの流量が供給されることとなる。
【0088】
このように、サチュレーション状態においても旋回モータ3aへ優先的に圧油が供給される。
【0089】
また、サチュレーション状態においても、旋回用の操作レバーのハーフ操作領域においては、流量制御弁39の可変絞り部39aの通過流量が最大流量Q1より少ない流量となるので、旋回モータ以外のアクチュエータにメインポンプ2の吐出油が有効に供給され、旋回モータ以外のアクチュエータの動作スピードが低下するのを防ぐことができる。
【0090】
更に、旋回モータ3a用の圧力補償弁7aが負荷依存特性(負荷圧高い場合に流量が減少する特性)を有している場合には、旋回モータ3aの動き出しなど、負荷圧が一時的に高いときに、旋回モータ3aへの供給油路8aに流れる流量が減少するので、その分、旋回モータ3a以外のアクチュエータ(ブームシリンダ3bなど)で使える流量が増加し、旋回モータ以外のアクチュエータの動作スピードが低下するのを防ぐことができる。
【0091】
<エンジン回転数を下げた場合>
以上の動作はエンジン1が最高定格回転数にあるときのものである。エンジン1の回転数を低速に下げた場合は、エンジン回転数検出弁13の出力圧がそれに応じて低下するため、傾転角制御部17のロードセンシング制御の目標差圧及び圧力補償弁7aの目標補償差圧も同様に低下する。このためエンジン回転数を低速にしたときの旋回複合操作でサチュレーション状態でないときは、圧力補償弁7aの目標補償差圧と圧力補償弁7b,7c…の目標補償差圧が共に低下するため、旋回が速くなりすぎるというようなことが起こらない。また、旋回複合操作でサチュレーション状態になると、圧力補償弁7b,7c…の目標補償差圧のみが低下するため、旋回の優先性が維持される。このようにエンジン回転数の設定によらず、旋回の優先性を維持することができる。
〜効果〜
以上のように構成した本実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
【0092】
1.旋回モータ3aと他のアクチュエータ3b,3c…の同時操作時には、メインポンプ2の吐出流量のサチュレーション状態が生じても、旋回モータ3aに優先的に圧油が供給されて旋回モータ3aの高い優先性が維持され、旋回の速度変化を抑え、良好な複合操作性を得ることができる。
【0093】
2.旋回モータ3aを単独操作した場合は、旋回起動時に旋回モータ3aの負荷圧が一時的に高くなり、ロードセンシング制御によってメインポンプ2の吐出流量が増加する場合であっても、旋回モータ3aに供給する圧油の流量制御をオープンセンタ型の流量・方向制御弁40によって行うことにより、通常のオープン回路に用いられるオープンセンタ型の流量・方向制御弁の場合と同様、いわゆるブリードオフ制御を行うことができるので、急激な流量増加による起動時のショックを抑え、滑らかな旋回操作性を実現することができる。
【0094】
3.旋回モータ3aには、旋回操作レバーに応じた流量が供給されるので、旋回操作レバーが中立のとき或いはハーフ操作領域にあるときには、旋回以外のアクチュエータに有効に圧油を供給でき、旋回以外のアクチュエータのスピード低下を防ぐことができる。
【0095】
4.旋回モータ3aに係わる圧力補償弁7aに負荷依存特性を持たせたため、旋回起動時における旋回モータ3aの負荷圧上昇時に、旋回モータ3aへの供給流量が減少し、旋回モータ3aで消費される馬力を減少することができるとともに、旋回・ブーム上げ等の同時操作時にサチュレーション状態が生じた場合に、その分、他のアクチュエータで使える流量が増加し、ブーム上げ量を確保できるなど良好な複合操作性を実現することができる。
【0096】
5.エンジン1の回転数を低速に下げた場合は、差圧減圧弁51の出力圧がそれに応じて減少し、傾転角制御部17のロードセンシング制御の目標差圧及び圧力補償弁7aの目標補償差圧も同様に減少するため、エンジン回転数の設定によらず、適切な旋回の優先性を維持することができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図6を用いて説明する。図中、図1に示した要素と同等のものには同じ符号を付している。
【0097】
図1に示した実施の形態では、操作レバー装置122のリモコン弁により生成された指令パイロット圧をシャトル弁132を介して、直接、流量制御弁39の開方向作動の受圧部39cに導いたが、本実施の形態では、指令パイロット圧を受圧部39cに直接導く代わりに、圧力センサ141と制御装置142と電磁比例弁143を設け、電磁比例弁143の出力圧を流量制御弁39の開方向作動の受圧部39cに導き、流量制御弁39の可変絞り部39aの開口面積を制御するようにしたものである。
【0098】
本実施の形態によっても第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
<その他の実施の形態>
なお、上記実施の形態では、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧を差圧減圧弁11の出力圧により絶対圧として出力し、圧力補償弁7b,7c…の受圧部21b、21c…及び切換弁17bの受圧部17eに導いたが、圧力補償弁7b,7c…及び切換弁17bにそれぞれ受圧部21b、21c…及び受圧部17eに代えて対向する受圧部を設け、油圧ポンプ2の吐出圧と最高負荷圧を別々にそれらの受圧部に導くようにしてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態では、旋回モータ3aに係わる圧力補償弁7aに負荷依存特性を持たせたが、旋回モータ3aの負荷圧が一時的に高くなったときに旋回モータ3aへの供給流量を減少させなくてもよい場合、或いは他の手段により同様の機能を持たせた場合は、圧力補償弁7aは負荷依存特性のない通常の圧力補償弁であってもよい。
【0100】
更に、上記実施の形態では、ポンプ傾転変更部90にストッパ91を設け、メインポンプ2の最少吐出流量が流量制御弁39の最大開口面積に対応する旋回モータ3aの最大流量より大きくなるようにメインポンプ2の最小傾転を制限したが、油圧ポンプのロードセンシング制御と圧力補償弁の制御との干渉によるシステムの不安定性を別の手段で解消できるようにする場合は、メインポンプ2の最少吐出流量を旋回モータ3aの最大要求流量より小さい通常の値に設定してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 エンジン
2 油圧ポンプ(メインポンプ)
3a 旋回モータ
3b,3c… アクチュエータ
4 コントロールバルブ
5 供給油路
6a 旋回制御弁
6b,6c クローズドセンタ型の流量・方向制御弁
7a 圧力補償弁(第2圧力補償弁)
7b,7c 圧力補償弁(第1圧力補償弁)
8a,8b,8c 油路
9a,9b,9c シャトル弁
11 差圧減圧弁
12d,12e 油路
13 エンジン回転数検出弁
14 メインリリーフ弁
15 アンロード弁
15a バネ
17 傾転角制御部
17a 傾転角制御ピストン
17b 切換弁
17c 傾転角制御ピストン
17d,17e 受圧部
21a,21b,21c 受圧部
22a,23a 受圧部
22b,23b 受圧部
22c,23c 受圧部
24 ゲートロックレバー
30 パイロットポンプ
31a 供給油路
31b パイロット圧供給油路
31c パイロット油路
32 パイロットリリーフ弁
39 流量制御弁
39a 可変絞り部
40 オープンセンタ型の流量・方向制御弁
42a,42b,42c 負荷圧取り出し部
43,43a,43b 信号油路
44 フィーダ回路
50 可変絞り部
51 差圧減圧弁
60 チェックバルブ
90 ポンプ傾転変更部
91 ストッパ
100 ゲートロック弁
122,123 操作レバー装置(操作装置)
130,131 パイロット圧油路
132 シャトル弁
141 圧力センサ
142 制御装置
143 電磁比例弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される旋回モータを含む複数のアクチュエータと、前記油圧ポンプから前記旋回モータに供給される圧油の流量と方向を制御する旋回制御弁と、前記油圧ポンプから前記旋回モータ以外のアクチュエータに供給される圧油の流量と方向を制御するクローズドセンタ型の複数の流量・方向制御弁と、前記旋回制御弁及び前記複数の流量・方向制御弁を操作して対応するアクチュエータを動作させるための指令信号を生成する複数の操作装置と、前記旋回制御弁及び前記複数の流量・方向制御弁の上流側に配置された複数の圧力補償弁と、前記複数のアクチュエータの負荷圧のうちの最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出手段と、前記油圧ポンプの吐出圧が、前記最高負荷圧検出手段により検出された最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるようロードセンシング制御するポンプ制御手段と、前記エンジンの回転数が低下するにしたがって低下するよう前記エンジンの回転数に依存する圧力を出力するエンジン回転数検出部とを備え、このエンジン回転数検出部の出力圧を前記ポンプ制御手段に導き、前記ロードセンシング制御の目標差圧を前記エンジンの回転数に依存する可変値として設定した油圧駆動装置において、
前記旋回制御弁は、前記旋回モータに係わる操作装置の指令信号に応じて開口面積を変化させ、通過流量を制御する流量制御弁と、この流量制御弁の下流側に配置され、前記旋回モータに係わる操作装置の指令信号に応じて前記旋回モータに供給される圧油の方向を制御するとともに、前記流量制御弁により制御された圧油の流量を更に制御して前記旋回モータに供給するオープンセンタ型の流量・方向制御弁とを有し、
前記最高負荷圧検出手段は、前記旋回モータの負荷圧として、前記流量制御弁と前記オープンセンタ型の流量・方向制御弁との間の圧力を検出するよう構成され、
前記複数の圧力補償弁は、前記旋回モータ以外のアクチュエータに係わる前記複数の流量・方向制御弁の上流側に配置され、前記油圧ポンプの吐出圧と前記複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧によりそれぞれの目標補償差圧を設定して、対応する流量・方向制御弁の前後差圧が前記油圧ポンプの吐出圧と前記複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧に等しくなるように制御する複数の第1圧力補償弁と、前記旋回制御弁の流量制御弁の上流側に配置され、前記エンジン回転数検出部の出力圧により目標補償差圧を設定して、前記流量制御弁の前後差圧が前記エンジン回転数検出部の出力圧に等しくなるように制御する第2圧力補償弁とを有することを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置において、
前記第2圧力補償弁は、前記旋回モータの負荷圧が高くなるにしたがって前記旋回制御弁の流量制御弁の前後差圧を小さくして通過流量を減少させる負荷依存特性を有していることを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の建設機械の油圧駆動装置において、
前記ポンプ制御手段は、前記油圧ポンプの最少吐出流量が前記旋回制御弁の流量制御弁の最大開口面積に対応した最大流量より少なくならないよう、前記油圧ポンプの最小傾転を設定したことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−2289(P2012−2289A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138279(P2010−138279)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】