説明

油脂を含むバイオマスを原料とするメタンガス製造方法

【課題】油脂を含むバイオマスをメタン発酵の原料として利用するために、油脂を効率的に有機酸に分解できる具体的な微生物を同定し、油脂をメタン発酵の原料とする方法を提供することである。
【解決手段】酵母ヤロウィア・リポリティカにより油脂を含むバイオマスを前処理し、その処理物をメタン発酵に供することで、油脂を含むバイオマスから効率的にメタンガスを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂から有機酸を製造する方法、並びにその方法を用いたメタンガス製造方法及びメタンガス製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーの再生利用や地球温暖化防止の観点からバイオマスを原料としてメタン発酵によって得られるメタンガスの生産が世界各国で注目され、その効率的な生産方法の開発が進められている。
【0003】
メタンガス製造では、バイオマスからメタンガスを製造するまでの工程において様々なバイオマス分解菌が利用される。例えば、バイオマス中のセルロース等の高分子は、まず、セルラーゼ等を合成する微生物によって低分子化され、続いて、酢酸菌等による有機酸生成によって低分子から有機酸に分解される。最後に、メタン生成菌によって、その有機酸がメタン発酵され、メタンガスが生成される。それ故、従来のメタンガス製造では、前記バイオマス分解菌が資化しやすい生ゴミ、畜糞尿、焼酎粕等がその原料として利用されていた。一方、油脂は、一般的なバイオマス分解菌では分解され難く、また微生物被毒の原因にもなることから、廃植物油や精油工場からの有機廃棄物のような油脂を多く含むバイオマスは、メタン発酵の原料には不適とされてきた。しかし、油脂を含むバイオマスの年間排出量は少なくない。したがって、それらをメタンガス製造における効率的な原料として有効利用することのできる油脂処理方法が求められていた。
【0004】
特許文献1は、メタン発酵の前処理として酵素リパーゼを添加して、油脂成分を加水分解した後、その処理液をメタン発酵させる方法を開示している。この方法によれば、処理液中の脂肪酸等がメタン生成菌により資化可能であるため、油脂を含むバイオマスであってもメタンガス製造の原料として利用することができる。しかし、油脂分解工程において常にリパーゼを添加する必要があるため、ランニングコストが高いという問題がある。
【0005】
特許文献2は、リパーゼを合成する微生物を利用してメタン発酵の前処理を行なう方法を開示している。この方法は、油脂の分解に伴い、その微生物も増殖し続けることから、油脂分解工程においてリパーゼや微生物を供給し続ける必要がないという利点を有する。しかし、この文献の実施例では酵素処理の結果が開示されているのみで、どのような微生物を用いて油脂分解を行うのか、その具体的な記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−246295
【特許文献2】特開2001−321792
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、油脂を含むバイオマスをメタン発酵の原料として利用するために、油脂を効率的に有機酸に分解できる微生物を同定し、その微生物を用いて油脂をメタン発酵の原料とする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者らは、油脂を有機酸に効率的に分解できる新たな微生物のスクリーニングを行なった。その結果、酵母の一種であるヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lypolytica)を分離することができた。本発明は、当該知見に基づくものであって、以下を提供する。
(1)油脂を含むバイオマスにヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lypolytica)及び/又はそれに由来するリパーゼを接触させて油脂を分解する工程を含む有機酸製造方法。
(2)ヤロウィア・リポリティカがヤロウィア・リポリティカSG-3株(FERM P-21964)又はその変異株である、(1)に記載の方法。
(3)好気的環境下で行なう、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)20℃〜35℃及びpH5.5〜pH8.0の環境下で行なう、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)油脂が動物性油脂及び/又は植物性油脂である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)油脂を含むバイオマスからメタンガスを製造する方法であって、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法により前記バイオマスから有機酸を生成する有機酸生成工程、及びメタン生成菌により有機酸生成工程後の油脂分解処理物をメタン発酵するメタン発酵工程を含む前記方法。
(7)メタン発酵工程後に得られるバイオガスから硫黄成分を除く脱硫工程をさらに含む、前記(6)に記載の方法。
(8)ヤロウィア・リポリティカを含む油脂分解槽を備えた有機酸製造装置。
(9)ヤロウィア・リポリティカがヤロウィア・リポリティカ SG-3 (FERM P-21964)である、前記(8)に記載の有機酸製造装置。
(10)前記(8)又は(9)に記載の有機酸製造装置、メタン生成菌を含み、油脂分解処理物をメタン発酵するメタン発酵槽、及び発生したバイオガスを貯留するバイオガス貯留槽を備えたメタンガス製造システム。
(11)バイオガスから硫黄成分を除去する脱硫装置をさらに備えた、前記(10)に記載のシステム。
(12)油脂を有機酸に分解する活性を有する酵母ヤロウィア・リポリティカ。
(13)ヤロウィア・リポリティカ SG-3 (FERM P-21964)である、前記(12)に記載のヤロウィア・リポリティカ。
(14)ヤロウィア・リポリティカ由来のリパーゼを有効成分とする油脂分解剤。
(15)ヤロウィア・リポリティカがヤロウィア・リポリティカSG-3(FERM P-21964)である、前記(14)に記載の油脂分解剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有機酸製造方法によれば、ヤロウィア・リポリティカにより油脂バイオマス中の油脂を効率的に有機酸に分解することができる。この微生物を用いることで、従来技術と比較して、油脂から有機酸を生成する上で必要なコストを削減することができる。
【0010】
本発明のメタンガス製造方法によれば、油脂バイオマスからメタンガスを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のメタンガス製造方法の工程フローを示す。破線で囲った脱硫工程(0103)は、任意の工程であることを示す。
【図2】本発明のメタンガス製造装置の構成を示す。破線で囲った脱硫装置(0204)は、任意の構成要素であることを示す。
【図3】本発明のメタンガス製造方法によるメタンガスの生成効率を示す。
【図4】SG-3株で得られた2つの26S rDNA(26S rDNA-D1と26S rDNA-D2)の塩基配列を示す。SIID7346はSG-3株のデータ名を、26S(a)は26S rDNA-D1を、26S(b)は26S rDNA-D2を、それぞれ表す。両配列の相違は447番目のTの有無のみであった。各塩基の下に記した星印は、26S rDNA-D1と26S rDNA-D2の対応する塩基が同一であることを示す。
【図5】SG-3株の26S rDNA-D1/D2の塩基配列に基づいた分子系統樹を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.有機酸製造方法
本発明の第1の実施形態は、油脂分解工程を含む有機酸製造方法である。
【0013】
「油脂分解工程」とは、ヤロウィア・リポリティカ及び/又はそれに由来するリパーゼを、油脂を含むバイオマスに接触させて、油脂を分解する工程である。
【0014】
「ヤロウィア・リポリティカ」(Yarrowia lypolytica)とは、サッカロミセス目(Saccharomycetales)ヤロウィア属(Yarrowia)に属する子嚢菌系酵母の一種である。本工程において、ヤロウィア・リポリティカは、油脂を加水分解して、その代謝産物として有機酸を生成することができる微生物をいう。ヤロウィア・リポリティカの菌株については、特に限定されるものではなく、油脂を分解して有機酸を生成する活性を有する菌株であれば、公知の菌株又は新たに土壌等から分離した菌株のいずれも使用することができる。好ましくは、ヤロウィア・リポリティカSG-3株又はその変異株である。
【0015】
ヤロウィア・リポリティカSG-3株は、後述の実施例1で説明するように、本発明者らによって自然界より新たに分離された菌株であり、ヤロウィア・リポリティカの新株として同定されたものである。ヤロウィア・リポリティカSG-3株は、平成22年6月7日付けで、独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センター、日本国茨城県つくば市東1−1−1つくばセンター中央代6(郵便番号305-8566)に、受託番号FERM P-21964として寄託されている。
【0016】
前記「変異株」とは、ヤロウィア・リポリティカSG-3株のゲノム配列上に置換、欠失及び/又は付加(挿入、重複、転座を含む)の変異が生じたものであって、かつ油脂を分解する活性を保持又は増強しているものをいう。例えば、ヤロウィア・リポリティカSG-3に変異処理(例えば、紫外線照射、ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホン酸(EMS))等を施すことによって、油脂分解能を向上させたヤロウィア・リポリティカSG-3変異株が該当する。
【0017】
本発明では、ヤロウィア・リポリティカ以外の微生物を含んでいてもよい。例えば、油脂を分解して有機酸を生成し得るシュードモナス(Psudomonas)等のような微生物が挙げられる。また、糖を発酵してエタノールを生成できる酵母(Saccharomyces cerevisiae等)、酢酸や蟻酸等の有機酸を生成する酢酸菌(Acetobacter aceti等)、蟻酸菌(Paracoccocus sp.等)を含むこともできる。
【0018】
本明細書において「それに由来するリパーゼ」とは、前記ヤロウィア・リポリティカによって生合成されたリパーゼであって、油脂のエステル結合を加水分解する活性を有する酵素をいう。本明細書におけるリパーゼは、細胞内に存在するもの、細胞外に分泌、及び/又は漏出若しくは抽出されたもの、細胞破砕物とともに混在するもののいずれも包含する。
【0019】
本明細書において「油脂」とは、ヤロウィア・リポリティカ及び/又はそれに由来するリパーゼ(以下、それぞれを特定しない限り、「ヤロウィア・リポリティカ等」とする)によって加水分解される基質となる中性脂肪である。したがって、本明細書の油脂は、いわゆる狭義の油脂であるトリグリセリドに限られず、蝋や天然樹脂等も包含する。トリグリセリドは、グリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した中性脂肪で、動物由来の動物性油脂(例えば、ラード、ヘット、馬脂、骨脂、骨油、鶏油、鯨油、蛹油、魚油、卵黄油、肝油、バター)及び植物由来の植物性油脂(例えば、菜種油、ゴマ油、オリーブ油、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、亜麻仁油、ひまし油、ベニバナ油、米油、パーム油、ヤシ油、綿実油、シソ油、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、グレープシードオイル)が知られる。本実施形態では、これらのトリグリセリドのいずれを利用することもできる。また、蝋は、高級脂肪酸と高級一価アルコールのエステルであり、動物由来の動物系蝋(例えば、鯨蝋、蜜蝋、イボタ蝋)及び植物由来の植物系蝋(例えば、カルナバ蝋、パーム蝋、木蝋)が知られる。本実施形態ではこれらの蝋のいずれを利用することもできる。
【0020】
本実施形態において、油脂は、二以上の異なる油脂の混合物であってもよい。また、油脂は、通常、固体(脂)から液体(油)までの形態が知られるが、本明細書における油脂は、いずれの形態であってもよく、さらにそれらの混合物であってもよい。
【0021】
「油脂を含むバイオマス」(以下、「油脂バイオマス」という)とは、前記油脂を含む生物由来の資源であって、本工程においてヤロウィア・リポリティカ等の分解対象物として供されるものである。例えば、植物性油脂のような油脂そのものや油脂含有量の高い有機性廃棄物が該当する。本明細書において「有機性廃棄物」とは、有機物を含む廃棄物をいう。具体例としては、廃植物油、水産加工廃棄物、漁業系廃棄物、生ごみ、都市下水汚泥、食品廃棄物、家畜糞尿及び下水余剰汚泥等が挙げられる。本工程で用いる場合、油脂バイオマスの分解に寄与する微生物の増殖を補助するために、必要に応じて補助栄養源を油脂バイオマスに追加することもできる。補助栄養源には、例えば、グルコース、スクロース、マルトースやフルクトース等のような炭素源、ペプトン、肉エキス、酵母エキスやアミノ酸のような窒素源、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケルのような無機塩が挙げられる。
【0022】
本明細書において「接触」とは、ヤロウィア・リポリティカ等を油脂バイオマスと物理的に触れ合わせることをいう。接触は、ヤロウィア・リポリティカ等を油脂バイオマスの入った槽内に投入するか、油脂バイオマスをヤロウィア・リポリティカの懸濁液若しくは培養液又はそれに由来するリパーゼ溶液の入った槽内に投入するか、又は油脂バイオマスとヤロウィア・リポリティカ等を同時に槽内に投入して、混合することによって達成できる。
【0023】
それぞれの接触時の形態は、特に限定しない。例えば、ヤロウィア・リポリティカは、培養液やバッファ懸濁液等の液体状態、菌塊からなるペレットのような半固体状態及び/又はドライイーストのような固体状態(粉末状態を含む)のいずれでも利用できる。また、ヤロウィア・リポリティカに由来するリパーゼは、例えば、ヤロウィア・リポリティカの培養液上清、ヤロウィア・リポリティカを溶菌した溶液、ヤロウィア・リポリティカ由来のリパーゼを分離・(粗)精製して適当なバッファに溶解した酵素溶液のような液体状態、ヤロウィア・リポリティカの乾燥菌体を粉砕して粉末にしたような固体状態等が挙げられる。油脂バイオマスの状態については後述する。
【0024】
本明細書において「油脂を分解する」とは、ヤロウィア・リポリティカの作用によって油脂を分解し、有機酸を生成すること、又は、ヤロウィア・リポリティカ由来のリパーゼにより油脂を加水分解し、有機酸を生成することをいう。さらに、ヤロウィア・リポリティカ及び/又はそれに由来するリパーゼによる油脂加水分解の結果、生じた脂肪酸は、ヤロウィア・リポリティカのβ酸化活性によってさらに分解され有機酸を生成し得る。つまり、単一操作において、油脂のリパーゼ分解、β酸化により有機酸の生成を行うことができる。
【0025】
「有機酸」とは、酸性有機物の総称である。本明細書では、特に、ヤロウィア・リポリティカ等による油脂の分解の結果生じる酸性有機物であって、メタン生成菌によって資化され得る物質をいう。例えば、カルボン酸(グルタル酸、ヒドロキシカルボン酸、グルコン酸、及び脂肪酸のようなモノカルボン酸を含む)が該当する。グルタル酸の具体例としては、α−ケトグルタル酸等が挙げられる。また、ヒドロキシ酸の具体例としては、クエン酸、イソクエン酸等が挙げられる。モノカルボン酸の具体例としては、酪酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。本明細書において「有機酸」は、単一の有機酸であってもよく、また二以上の有機酸の混合物であってもよい。
【0026】
本明細書において「有機酸生成」とは、ヤロウィア・リポリティカに含まれる酵素の作用により油脂が加水分解されて各種有機酸が生成、蓄積されることをいう。
【0027】
本工程は、ヤロウィア・リポリティカを油脂バイオマスに接触させて、所定の環境下に適当な時間置くことによって達成できる。
【0028】
油脂バイオマス中の油脂含有量は、特に制限はしない。しかし、油脂は本実施形態においてヤロウィア・リポリティカ等の基質となるべき物質であることから、その含有量は多いほど好ましい。したがって、精油工場、食肉加工工場、水産加工工場、漁港、食品工場及び各種食品加工工場等から排出されたものは、特に好ましい。
【0029】
油脂バイオマスの形態や状態は、特に制限はしない。例えば、固体状態、粉砕若しくは破砕し多量の水分を含有するスラリー状態、又はそれらの混合状態が挙げられる。好ましくはスラリー状態である。また、必要に応じて、加水することもできる。
【0030】
本工程において、ヤロウィア・リポリティカ等と油脂バイオマスは、接触のための混合後、撹拌することが好ましい。攪拌により、双方の接触率が高まり、また曝気されることでヤロウィア・リポリティカ等が油脂の分解を促進し、油脂バイオマスの油脂の分解効率、さらには有機酸生成効率を高めることができるからである。攪拌方法は、槽内物質を攪拌できる手段であれば、特に限定はしない。例えば、槽中の攪拌羽の回転、又は槽自体を振とう若しくは回転する攪拌装置が挙げられる。
【0031】
ヤロウィア・リポリティカにより油脂を分解する場合、好気的環境下で行なうことが好ましい。ここでいう「好気的環境」とは、酸素が存在する環境をいう。これは、ヤロウィア・リポリティカが有機酸生成を行なう際に、酸素を要するためである。好気的環境は、ヤロウィア・リポリティカと油脂バイオマスとの混合物を、酸素を含む気体中に曝気することで達成される。前記混合物中に撹拌又は管を介した送気によって積極的に通気することは、本工程上、より好ましい。このような通気方法は、当該分野で公知の方法を適宜用いればよい。
【0032】
本工程は、ヤロウィア・リポリティカの至適生育温度又はヤロウィア・リポリティカ由来のリパーゼの至適反応温度で行なうことが好ましい。具体的には、例えば、20〜35℃、より好ましくは22〜33℃又は25〜30℃の温度下である。温度制御の方法は、当該分野では周知の技術であり、特に制限はされない。前記至適温度は、外気温に近い常温であり、また分解熱の発生によっても熱を得ることができるため、加温は必要に応じて行なえばよい。また、冷却は、水やバッファを添加すればよい。
【0033】
本工程は、ヤロウィア・リポリティカの至適生育pH又はヤロウィア・リポリティカ由来のリパーゼの至適pHで行なうことが好ましい。具体的には、例えば、pH5.5〜8.0、より好ましくはpH6.0〜7.5又はpH6.5〜7.0である。pH制御の方法は、当該分野では周知の技術であり、特に限定されない。例えば、所定のpHよりも酸性側に傾いている場合には、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ溶液を加え、アルカリ側に傾いている場合には、塩酸等の無機酸又は酢酸のような有機酸等を用いる方法が挙げられる。
【0034】
ヤロウィア・リポリティカと油脂バイオマスの混合時間は、ヤロウィア・リポリティカが油脂バイオマス中の油脂を30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上分解できる時間であればよい。このような時間は、使用する油脂バイオマスの油脂含有量やヤロウィア・リポリティカの増殖率によって左右される。通常は、1日〜3週間、好ましくは2日間〜2週間又は3日間〜10日間混合すればよい。
【0035】
本工程処理後は、公知の適当な方法を用いて生成した有機酸を回収すれることができる。例えば、ヤロウィア・リポリティカ等と油脂バイオマスの混合物の溶液を遠心し、上清を回収する方法が挙げられる。上清中の有機酸は、カラムクロマトグラフィー等の適当な方法で回収することができる。あるいは、後述するメタンガス製造方法等で用いる場合には、分離、精製をすることなく、処理後の混合溶液そのままのクルードな状態で利用することもできる。
【0036】
2.有機酸製造装置
本発明の第2の実施形態は、有機酸製造装置である。本実施形態の製造装置は、ヤロウィア・リポリティカ等により油脂を分解する油脂分解槽を備えることを特徴とする。本実施形態の有機酸製造装置では、前記実施形態1の有機酸製造方法を利用することができる。したがって、ここでは、本実施形態に特徴的な構成について以下で説明をする。
【0037】
「油脂分解槽」は、前記実施形態1の有機酸製造方法における「油脂分解工程」を実行する槽である。油脂分解槽におけるヤロウィア・リポリティカ等を用いた油脂バイオマスの分解処理方法は、前記実施形態1に記載の方法に準じて行なえばよい。
【0038】
油脂分解槽の形状、大きさは、ヤロウィア・リポリティカ等が油脂バイオマスに含有される油脂を分解できる環境に設定可能な槽であれば、特に限定しない。ヤロウィア・リポリティカ等と油脂バイオマスとが十分に混合されることを考慮すれば、槽の形状は、好ましくは略円筒形、略半(楕)円形又は略球形である。また、油脂バイオマスを処理することを考慮すれば、槽の大きさは、好ましくは、少なくとも100L以上、500L以上、1000L以上、5000L以上又は10000L以上である。
【0039】
前記混合が十分に達成できるように、槽内には撹拌羽若しくは撹拌棒を備えていてもよく、又は槽自体が波状(首振り)運動及び/又は回転運動できる構成を有していてもよい。
【0040】
油脂分解槽は、槽内の温度が成長・反応至適温度となるように制御するヒーターやコジェネレーションシステムの排熱、ボイラ等の加熱手段を備えることができる。油脂分解槽の加熱又は加温は、前記手段に加えて、さらに油脂の分解等に伴う分解熱や発酵熱を利用してもよい。また、加水手段や送風手段のような槽内温度を冷却する冷却手段、並びに槽内温度制御装置を備えていてもよい。さらに、好気状態にするため槽内を攪拌する、酸素を含む空気を送る送気装置を備えることでもできる。
【0041】
3.メタンガス製造方法
本発明の第3の実施形態は、メタン生成菌の作用により油脂バイオマスからメタンガスを製造する方法である。メタン生成菌は、油脂バイオマスを基質とした場合、含有する油脂をエネルギー源として資化することがほとんどできない。また、油脂バイオマス中に油脂が高濃度に存在する場合にはメタン発酵そのものが阻害され得る。本実施形態は、有機酸生成工程において、油脂バイオマス中の油脂をメタン生成菌が資化可能な有機酸にまで分解する前処理を行なうことで、油脂バイオマスから効率的にメタンガスを生産することを特徴とする。
【0042】
図1に本実施形態の工程フローを示す。この図で示すように、本実施形態のメタンガス製造方法は、有機酸生成工程(0101)、メタン発酵工程(0102)を必須の工程として含み、その後に任意で、脱硫工程(0103)を含むこともできる。以下、各工程について説明をする。
【0043】
(有機酸生成工程)
「有機酸生成工程」(0101)とは、実施形態1に記載の有機酸製造方法を用いて、油脂バイオマスから有機酸を生成する工程をいう。前述のように、後述するメタン発酵工程で用いるメタン生成菌は、油脂を十分に資化することができないことから、油脂バイオマスは、従来、メタン発酵の原料としては好ましくなかった。本工程では、油脂バイオマスを実施形態1の方法で前処理することで、油脂バイオマス中の油脂をメタン生成菌が容易に資化できる有機酸レベルにまで分解する。
本工程は、実施形態1の方法に準じて行なえばよい。
【0044】
(メタン発酵工程)
「メタン発酵工程」(0102)とは、メタン生成菌を用いて前記有機酸生成工程を経た油脂分解処理物を原料としてメタン発酵を行なう工程をいう。本工程では、メタン生成菌が前記有機酸生成工程処理後の油脂バイオマスを基質として、メタン発酵によりメタンガスを生成する。
【0045】
「メタン生成菌」とは、メタン発酵能を有し、メタンガスを代謝産物として生成する微生物の総称である。メタン発酵能を有する微生物であれば特に限定されず、例えば、Methanobacterium属に属する細菌や、Methanobrevibacter属に属する細菌、Methanococcus属に属する細菌、Methanomicrobium属に属する細菌、Methanogenium属に属する細菌、Methanospirillum属に属する細菌、Methanosarcina属に属する細菌(酢酸資化性メタン生成古細菌)、Methanosaeta属に属する細菌(酢酸資化性メタン生成古細菌)等を挙げることができる。本工程においては、これらメタン生成微生物を単独で使用してもよいし、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0046】
メタン生成菌は、適当な担体に固定化することもできる。多孔質物質や繊維状物質のような表面積の大きい担体を使用すれば、反応槽内のメタン生成菌濃度を高めることができるので好ましい。
【0047】
「油脂分解処理物」とは、メタン発酵槽に供給される、有機酸製造工程後の油脂バイオマスをいう。油脂分解処理物は、油脂バイオマス中の油脂がヤロウィア・リポリティカ等の作用によって分解されて生じた有機酸を多く含む。この有機酸は、メタン生成菌が容易に資化できるため、油脂分解処理物は、未処理の油脂バイオマスよりもメタン生成菌にとってより利用しやすい。本工程において、メタン発酵を行うときには、油脂分解処理物に対してさらに適当な処理を行ってもよい。例えば、メタン生成菌が油脂分解物を分解しやすいように、さらに粉砕したり、加水することもできる。
【0048】
メタン発酵は、嫌気的環境下で行う。「嫌気的環境」とは、酸素のない状態、又は酸素含有量の極めて低い状態をいう。嫌気的環境は、例えば、メタン発酵を行う発酵槽の気相部分を除去するか、又は気相部分を、酸素を含まない気体(例えば、窒素ガス)で置換することによって達成できる。ガスを置換する方法は、ガス交換技術として当該分野で周知の技術を利用することができる。
【0049】
メタン発酵は、公知の発酵方法を用いればよい。発酵方式は、発酵温度が50〜60℃の高温メタン発酵と30〜40℃の中温メタン発酵が知られているが、いずれを用いることもできる。好ましくは、発酵効率の高い高温メタン発酵である。発酵に必要な温度を供給するためには、例えば、本メタンガス製造システムで製造されたメタンガスをコジェネレーション利用することできる他、メタン発酵後の残渣である未分解有機物を、焼却処分する場合には、焼却時に得られる熱エネルギーを利用して加熱することもできる。
【0050】
(脱硫工程)
「脱硫工程」(0103)とは、メタン発酵工程(0102)後に得られるバイオガスから硫黄成分を除去する工程をいう。
【0051】
メタン発酵工程後に得られるバイオガスは、通常、メタンガスが50〜70%を占め、それ以外には硫化水素等の硫黄成分や二酸化炭素が含まれている。本工程では、有害な硫黄成分を除去し、メタンガスの純度を高めることを目的とする。
【0052】
脱硫は、公知の方法を用いればよい。例えば、硫化水素の除去であれば、酸化鉄に接触吸着させる乾式脱硫法や、硫黄酸化細菌等の微生物による酸化反応を利用して硫酸に変換除去する生物脱硫法が挙げられる。
【0053】
4.メタンガス製造システム
本発明の第4の実施形態は、メタンガス製造システムである。図2に本実施形態の構成を示す。この図で示すように、本実施形態のメタンガス製造システムは、有機酸製造装置(0201)、メタン発酵槽(0202)及びバイオガス貯留槽(0203)を含み、さらに任意で、脱硫装置(0204)を含むことができる。以下、それぞれの構成要素について説明をする。
【0054】
(有機酸製造装置)
本実施形態の有機酸製造装置(0201)は、前記実施形態2で説明した有機酸製造装置またはそれに準じた構成を有する装置を利用することができる。詳細な構成については、前記実施形態2を参照すればよく、ここではその具体的な説明を省略する。
【0055】
なお、有機酸製造装置における有機酸製造方法は、実施形態1の方法に準じて行えばよい。
【0056】
(メタン発酵槽)
「メタン発酵槽」(0202)とは、メタン生成菌の働きにより油脂分解処理物を嫌気的環境下でメタン発酵させる槽である。メタン発酵槽でのメタン発酵方法は、前記実施形態3のメタン発酵工程(0102)に準ずる。
【0057】
メタン発酵槽の構造は、公知のメタン発酵槽を利用することができる。その形状、大きさは、メタン生成菌が油脂分解処理物を効率的にメタン発酵できれば、特に限定しない。通常、槽の形状は、略円筒形、略半(楕)円形又は略球形が好適に用いられる。また、槽の大きさは、好ましくは、少なくとも100L以上、500L以上、1000L以上、5000L以上又は10000L以上である。また、油脂分解処理物を槽内で攪拌する攪拌装置を備えることが望ましい。
【0058】
(バイオガス貯留槽)
「バイオガス貯留槽」(0203)とは、メタン発酵槽(0202)で発生したメタンガスを主成分とするバイオガスを回収し、貯留する槽である。
【0059】
バイオガスは、石油の代替品として広く利用することができる。例えば、バイオガスをCompressed Natural Gas(CNG)として利用して、CNGを燃料とする自動車エンジン等の内燃機関に利用することができる。また、回収されたバイオガスは、熱と電気を同時に供給することができる熱電併給システム(コージェネレーションシステム)の燃料、ボイラ燃料として利用することもできる。
【0060】
(脱硫装置)
「脱硫装置」(0204)とは、前記バイオガスから硫黄成分を除く装置である。脱硫装置における脱硫方法は、前記実施形態3の脱硫工程(0104)に準ずる。脱硫装置は、通常、メタン発酵槽とバイオガス貯留槽間に設置するが、バイオガス貯留槽からのガス取出口に設置することもできる。脱硫装置の構造等は、公知の脱硫装置を利用すればよい。
【0061】
本実施形態のメタンガス製造システムにおいて、各装置及び槽は、適当な配管によって互いに連結され、一つの系を構成している。各装置、槽及び配管には、必要に応じて、余分な気体及び/又は液体の排出を行うドレン部を設置することができる。
【実施例】
【0062】
<実施例1:ヤロウィア・リポリティカSG-3株の分離>
油脂を効率的に有機酸に分解できる微生物を分離するため、ラード10g、2% プライサーフ2mL、蒸留水750mLを混合し、ホモジナイザーで、2,000〜10,000rpmまで徐々に回転数を上げながら、5〜20分間撹拌した。撹拌後、1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.9)を10mL添加し、オートクレーブで滅菌した。また、別容器に寒天15gを蒸留水250mLに加え、オートクレーブで滅菌した。これら2液を混合したものをラードエマルジョンとして用いた。寒天を1.5%の濃度で加えたNutrient Broth(NB)平板培地に、上記ラードエマルジョンを重層した検定用平板培地を作製した。微生物源を含む培養液100μLをこれに塗布し、コロニー周囲に透明帯ができたものを油脂分解菌として単離した。単離した菌株は、20%グリセロールを含む生理食塩水中に懸濁後、-80℃で凍結保存した。
【0063】
当該菌株(以下、SG-3株と称する)について、株式会社テクノスルガ・ラボ(TechnoSuruga Laboratory Co., LTD)に委託して、26S rDNA-D1/D2遺伝子の塩基配列(505 bp)を決定した(puReTaq Ready-To-Go PCR beads(Amersham Bioscience, NJ, USA)でPCR後、BigDye Terminator v3.1 Kit(Applied Biosystems, CA, USA)によりサイクルシークエンスを行なった)。
【0064】
SG-3株には2つの26S rDNA-D1/D2が存在すると推定され、その相違は447番目のTの有無のみであった。図4に、得られた2つの26S rDNA-D1/D2の塩基配列を示す。ここでは、SG-3株を、データ名SIID7346で表記している。相同性検索では、Tを含まない配列(図4のSIID7346-26S(a))を用いた。アポロンDB-FUに対するBLAST相同検索及びGenBank/DDBJ/EMBL等の国際塩基配列データベースに対する相同性検索の結果、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lypolytica (Wick., Kurtzman & Herman) Van der Walt & Arx)の基準株NRRL YB-423T(アクセッションNo. U40080)と100%の相同率を示した。アポロンDB-FUに対する相同検索で得られた上位10塩基配列をもとに、ソフトウェア・アポリン2.0(テクノスルガ・ラボ、静岡)を用いて分子系統樹を作成したところ、図5で示すように系統分析においてもSG-3株は、ヤロウィア・リポリティカNRRL YB-423T株と同一の位置を示した。
【0065】
以上の結果から、SG-3株は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lypolytica(Wick., Kurtzman & Herman) Van der Walt & Arx))の新規株菌、ヤロウィア・リポリティカSG-3株と同定された。
【0066】
<実施例2:ヤロウィア・リポリティカによる油脂分解>
実施形態1の製造方法を用いて、油脂バイオマスを原料とした有機酸の生成効率について、従来方法との比較を行なった。
【0067】
(方法)
500mL容量のフラスコに入れた50mLの培地(5g/Lポリペプトン、0.5 g/L KH2PO4、0.5 g/L MgSO4・7H2O、0.01g/L 塩酸チアミン水和物)に、NB平板培地で培養したヤロウィア・リポリティカSG-3を2白金耳分植菌し、さらに油脂バイオマスとして植物油2.0gを添加した後に、30℃、200rpmで7日間振盪培養した。
【0068】
pH調整用には、指示薬であるブロモクレゾールパープルを0.02%になるように培地に添加し、培養中に30% Na2CO3を適宜加え、pHを中性付近に保った。7日後に500μLの培養液を採取し、500μLのn-ヘキサンと混合後、15,000rpmで10分間遠心分離した。遠心後、上層のn-ヘキサン層を廃棄し、菌体を除いた中間層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析した。分析によって得られた生産物のピーク面積と、標準物質のピーク面積の比から、絶対検量線法により生産物の濃度を算出した。
【0069】
比較例として、ヤロウィア・リポリティカSG-3株に代えてシュードモナス(Psudomonas)を植菌し、同様の方法で生産物の濃度を算出した。シュードモナスは、油脂を有機酸に分解することが知られている微生物である。
【0070】
(結果)
有機酸生成濃度は、ヤロウィア・リポリティカSG-3株を用いたときが、クエン酸:2.0%及びイソクエン酸:0.8%であったのに対して、シュードモナスを用いたときは、2-ケトグルタル酸:0.6%のみであった。
【0071】
したがって、ヤロウィア・リポリティカSG-3株を用いた場合には、同一条件でシュードモナスの4倍以上の有機酸を生成できることが明らかとなった。
【0072】
<実施例3:ヤロウィア・リポリティカによる油脂分解>
実施形態3の製造方法を用いて、油脂バイオマスを原料としたメタンガスの生成効率について、従来方法との比較を行なった。
【0073】
(方法)
実施例1と同様に、500mL容量のフラスコに入れた50mLの培地(5g/Lポリペプトン、0.5 g/L KH2PO4、0.5 g/L MgSO4・7H2O、0.01g/L 塩酸チアミン水和物)に、NB平板培地で培養したヤロウィア・リポリティカSG-3を2白金耳分植菌し、さらに油脂バイオマスとして植物油2.0gを添加した後に、30℃、200rpmで7日間振盪培養した。pH調整用には、指示薬であるブロモクレゾールパープルを0.02%になるように培地に添加し、培養中に30% Na2CO3を適宜加え、pHを中性付近に保った。7日後遠心分離にて菌体を除いた上清をメタン発酵試験に供した(有機酸生成工程)。
【0074】
続いて、生ごみを原料としたメタン発酵槽から採取したメタン生成菌を含む種液10g、及び、前記上清5gを124mL容量のバイアルに入れた。バイアル内の気相を2分間、窒素で置換し、密栓した後、55℃で静置してメタン発酵試験を行なった。上部の気体をガスクロで分析し、発生したメタン量を算出した(メタン発酵工程)。
【0075】
(比較例)
同様の方法でヤロウィア・リポリティカSG-3株を植菌しないものから得られた上清でメタン発酵試験を実施した。
【0076】
(結果)
図3に結果を示す。この図で示すように、ヤロウィア・リポリティカSG-3株でバイオマス(植物油)を前処理した場合には、処理しない場合と比較して2倍以上のメタン生産効率を上げることができた。
【受託番号】
【0077】
受託番号FERM P-21964

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂を含むバイオマスにヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lypolytica)及び/又はそれに由来するリパーゼを接触させて油脂を分解する工程を含む有機酸製造方法。
【請求項2】
ヤロウィア・リポリティカがヤロウィア・リポリティカSG-3株(FERM P-21964)又はその変異株である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
好気的環境下で行なう、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
20℃〜35℃及びpH5.5〜pH8.0の環境下で行なう、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
油脂が動物性油脂及び/又は植物性油脂である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
油脂を含むバイオマスからメタンガスを製造する方法であって、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法により前記バイオマスから有機酸を生成する有機酸生成工程、及び
メタン生成菌により有機酸生成工程後の油脂分解処理物をメタン発酵するメタン発酵工程
を含む前記方法。
【請求項7】
メタン発酵工程後に得られるバイオガスから硫黄成分を除く脱硫工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ヤロウィア・リポリティカを含む油脂分解槽を備えた有機酸製造装置。
【請求項9】
ヤロウィア・リポリティカがヤロウィア・リポリティカ SG-3 (FERM P-21964)である、請求項8に記載の有機酸製造装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の有機酸製造装置、
メタン生成菌を含み、油脂分解処理物をメタン発酵するメタン発酵槽、及び
発生したバイオガスを貯留するバイオガス貯留槽
を備えたメタンガス製造システム。
【請求項11】
バイオガスから硫黄成分を除去する脱硫装置をさらに備えた、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
油脂を有機酸に分解する活性を有する酵母ヤロウィア・リポリティカ。
【請求項13】
ヤロウィア・リポリティカ SG-3 (FERM P-21964)である、請求項12に記載のヤロウィア・リポリティカ。
【請求項14】
ヤロウィア・リポリティカ由来のリパーゼを有効成分とする油脂分解剤。
【請求項15】
ヤロウィア・リポリティカがヤロウィア・リポリティカSG-3(FERM P-21964)である、請求項14に記載の油脂分解剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−95587(P2012−95587A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245292(P2010−245292)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】