説明

泡沫状クリームにおけるDMS(真皮膜構造)

本発明は、油相および水相を含むエマルションを含む泡沫処方物であって、この油相は当該泡沫処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質を含む、泡沫処方物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ水中油型エマルションに基づく化粧品および皮膚科用泡沫処方物、特に泡沫状クリームであって、その油相が泡沫処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質を含む化粧品および皮膚科用泡沫処方物に関する。
【背景技術】
【0002】
(エマルション)
用語「エマルション」は一般に、通常は相として表現される、混和性でないかまたは限られた程度にのみ混和性である2つの液体からなる不均一系に関連する。エマルションでは、両方の液体のうちの一方が、微細な液滴の形で他方の液体中に分散している。
【0003】
この2つの液体が水と油であって、この油滴が微細に水中に分散している場合、このエマルションは水中油型エマルション(O/Wエマルション、例えば牛乳)である。O/Wエマルションの基本的特性は、水によって規定される。油中水型エマルション(W/Oエマルション、例えばバター)の場合、反対の原理が当てはまり、この場合はその基本的特性は油によって規定される。
【0004】
ある液体の中での別の液体の持続性のある分散液を得るために、従来の意味のエマルションでは、表面活性剤(乳化剤)の添加が必要である。乳化剤は、空間的に互いに離れている分子の極性部(親水性部)および非極性部(親油性部)からなる両親媒性分子構造を有する。単純なエマルションでは、一方の相の乳化剤のシェルで取り囲まれた微細に分散した液滴は、第2の相中に存在する(W/Oエマルションにおける水滴またはO/Wエマルションにおける脂質小胞)。乳化剤はその2つの液体間の境界面に配列するため、乳化剤はそれらの相間の表面張力を低下させる。乳化剤は、油/水相の境界に表面膜を形成し、これが液滴の不可逆的結合に対抗する。エマルションを安定化するために、乳化剤の混合物がしばしば使用される。
【0005】
従来の乳化剤は、その分子の親水性部に依って、イオン性(アニオン性、カチオン性および両性)乳化剤ならびに非イオン性乳化剤に分類することができる:
・アニオン性乳化剤の最もよく知られた例は、飽和および不飽和の高級脂肪酸の水溶性のナトリウム塩またはカリウム塩についての慣用名である石鹸であると考えられる。
・カチオン性乳化剤の重要なメンバーは四級アンモニウム化合物である。
・非イオン性乳化剤の分子の親水性部は、しばしば、グリセロール、ポリグリセロール、ソルビタン、炭水化物またはポリオキシエチレングリコールからなり、エステル結合およびエーテル結合によってその分子の親油性部に連結されていることが最も多い。その親油性部は、典型的には脂肪アルコール、脂肪酸またはイソ脂肪酸からなる。
【0006】
用語「乳化剤」または「従来の乳化剤」は、当該技術分野で公知である。従来の乳化剤は、例えば、刊行物:非特許文献1および非特許文献2に記載されている。
【0007】
分子の極性部および非極性部の構造およびサイズが変わることによって、乳化剤の親油性および親水性は大きく改変され得る。
【0008】
乳化剤を正しく選択することは、エマルションの安定性にとって非常に重要である。この点において、その系に含有されるすべての化合物の特徴が考慮される必要がある。例えば、スキンケアエマルションの場合には、極性の油成分(例えばUVフィルターなど)は不安定性につながり得る。それゆえ、乳化剤とは別に、例えばエマルションの粘度を上昇させかつ/または保護コロイドとして作用する他の安定剤がさらに使用される。
【0009】
エマルションは、様々な応用分野で使用される化粧品および/または皮膚科用調製物の分野において重要な種類の製品の位置を占める。それゆえ、様々な製品(ローションおよびクリームなど)は、スキンケア用に、特に乾燥肌を再び潤すために利用できる。スキンケアの目的は、日々の洗浄によって引き起こされる脂質および水分の減少分を補うことである。加えて、かかるスキンケア製品は、環境ストレスから(特に日光および風から)保護するべきであり、皮膚の老化を遅らせるべきである。
【0010】
化粧品用エマルションはまた、デオドラントとしても使用される。かかる処方物は、それ自体は臭いがない新しい汗が微生物によって分解されるときに生成する体臭を取り除くために使用される。
【0011】
洗浄用エマルションの形態のエマルションはまた、皮膚および皮膚付属器の洗浄用にも使用される。それらは、洗顔のために、および特に装飾用化粧品を除去するために使用されることが最も多い。かかる洗浄用エマルションは、他の洗浄用調製物(石鹸など)とは対照的に、特に皮膚に対して低刺激性であるという利点を有する。なぜなら、それらは親油性相の中に栄養となる油分および/または非極性活性薬剤、例えばビタミンEなどを含有していてもよいからである。
【0012】
(乳化剤不含エマルション)
数十年来、従来の乳化剤は、スキンケア調製物の開発の基礎をなしている。乳化剤は、製造のための、とりわけエマルションを安定化するための補助剤として使用された。最近では、乳化剤は典型的には自然の皮膚バリアの完全性を乱し、従って、皮膚を清浄にすることは皮膚の自然のバリア化合物を失うことにつながりかねないので、スキンケア調製物で乳化剤を使用すると、例えば敏感な皮膚の場合は問題を引き起こしかねないという参考文献が存在した。自然のバリア化合物を失うと、荒れ、乾燥肌、割れ、消耗性の湿疹(Abnutzungsekzeme)の増加につながり得る。
【0013】
さらに、乳化剤を使用すると、通常は、脂質バリアのラメラ構造が小胞状構造(例えば、ミセルまたは混合ミセルなど)へと変換されるということが生じる。これらの小胞は皮膚のバリア層の少なくとも一部を「破壊」し、それゆえ、バリア層の膜の透過性を局所的に高める。皮膚のバリア層がこのように開くことで、皮膚水分蒸散量(TEWL)は、少なくとも一時的に増加し、同時に皮膚が水分に結合する容量は減少する。従来の乳化剤を有するスキンケア調製物の連続的な使用は、皮膚がその保護機能を維持できないということにさえつながりかねない。
【0014】
乳化剤不含エマルションは、特別な形態のエマルションである。これらのエマルションは、より狭義の乳化剤を含まず、すなわち、より適切な濃度でミセルおよび/または他の液晶性凝集体を形成する、低分子量(5000未満の分子量)を有する両親媒性化合物、を含まない。IUPACは、用語「乳化剤」を以下のように定義している:乳化剤(すなわち、従来の乳化剤)は表面活性物質である。それらは、好ましくは油相と水相との境界面に配列し、それゆえ、表面張力を低下させる。低濃度でさえ、乳化剤はエマルションの形成を容易にする。加えて、これらの物質は、それらが凝集および/または合体の速度を低下させるため、エマルションの安定性を高め得る。薬剤師、皮膚科医およびder Gesellschaft fuer Dermopharmazie(http://www.dermotopics.de/german/ausgabe_1_03_d/emulgatorfrei_1_2003_d.htm)の他の専門家の学際的な意見の一致によれば、より狭義の乳化剤(従来の乳化剤)の代わりに(5000を超える分子量を有する)表面活性高分子によって安定化されている場合、処方物は、「乳化剤不含」と定義することができる。
【0015】
薬理学的エマルションおよび化粧品用エマルションを安定化するために、いわゆる真の乳化剤、すなわち、その構造およびその物理化学的挙動に従うとテンシデ(Tenside)のクラスに属する本願明細書の記載の意味での従来の乳化剤が主に使用される。それらは、両親媒性構造およびミセル会合できる能力を特徴とする。しかしながら、ミセル会合の代わりに本発明の意味でのラメラ状の膜の形成につながる化合物およびその混合物は、従来の乳化剤とは考えられていない。かかる化合物の例は、例えば、後述するような特定の条件下でそれらが分散される場合の、例えばレシチン、スフィンゴリピド、セラミドなどのリン脂質、コレステロール、脂肪アルコール、脂肪酸、ならびにそれらのモノエステルおよび/もしくはジエステル、ならびにステロールなどである。かかる化合物の混合物はさらに、あるトリグリセリド(親水性でなく親油性)、スクアレン(親水性でなく親油性)、またはスクアラン(親水性でなく親油性)を含み得る。本発明の膜形成物質の好ましい例は、リン脂質、スフィンゴリピド、セラミド、コレステロール、脂肪アルコール、脂肪酸、ならびにそれらのモノエステルおよび/またはジエステル、ならびにステロールである。これらの化合物、例えばリン脂質は、典型的な乳化剤、とりわけ同等な約10のHLB値を有するテンシデとは対照的に、水に可溶性ではない。通常、それらはミセルも六方晶系液晶相も形成しない。相転移温度より上で、それらは自発的に、水中でもっぱら巨大多重ラメラ小胞(large multilamellar vesicle、LUV)を形成する。相転移温度より下では、高エネルギー入力のもとでそれらを水に分散させることができ、ラメラ構造を形成させることができる。この点で、上述の相転移温度は、ゲル様の相が液晶相に変換される温度を示す。相転移温度より下ではゲル相が存在し、相転移温度より上では液晶相が存在する。相転移温度は、組成(飽和/不飽和;短鎖/長鎖)によって変わり、典型的には、例えばリン脂質の場合は10℃〜70℃の間にある。所与の系については、相転移温度はDSCによって容易に測定することができる。
【0016】
膜形成物質はまた、典型的にはその分子の親油性部および親水性部を含む。しかしながら、膜形成物質がミセルではなくラメラ構造を形成する能力は、特に最適面積および/または(境界面の炭素/水)、体積Vおよび臨界鎖長lに依存する(非特許文献3)。
【0017】
さらに、念のため、系がラメラ構造を形成するために特別の生成条件を選択することが必要である。これらの条件は、本発明の系に関してはより詳細に後述する。ミセル構造が適切な条件下でラメラ構造へと変換され得る系は当該技術分野で公知であるが、しかしながら、別の相(例えばミセル相、六方晶系相など)への相変換が不可能である系も存在する。さらに他の系では、適切な条件下でラメラ相の形成が許容されるが、しかしながら、濃度を変えても他の中間相の形成にはつながらない。
【0018】
従って、ラメラ構造は境界明瞭な条件下で形成し、濃度の変更によって任意に他の中間相(例えばミセル構造など)へと変換することはできない。水溶性のテンシデ(乳化剤)の場合、ミセル、六方晶系液晶およびラメラ液晶相が、テンシデ濃度に依存して形成される。この場合、濃度に依存して様々な状態(六方晶系およびラメラ)の混合物が平衡として共存することが可能である。対照的に、本発明の膜形成物質は典型的には水に可溶性ではない。水に可溶性ではないこれらの脂質(例えばリン脂質など)の場合、リポソーム構造は、概して、ラメラ構造とは共存せず、その一方の構造が存在するか他方が存在するかのいずれかである。
【0019】
乳化剤不含エマルションの例はピッカリング(Pickering)エマルションである。ピッカリングエマルション(固体によって安定化されているエマルション)は、微細に砕かれた固体粒子によって安定化されており、この種のエマルションによって従来の乳化剤の実質的な不使用が可能になる。この場合、固体は油/水境界面に層の形で堆積し、これにより分散した相の接合が防止される。この目的に適した固体乳化剤は、親水性液体および親油性液体の両方によって湿潤可能である微粒子の無機固体または有機固体である。ピッカリングエマルションでは、二酸化チタン、酸化スズ、二酸化ケイ素、Fe、ビーガム(veegum)、ベントナイトおよびエチルセルロースが、好ましくは固体として使用される。
【0020】
しかしながら、かかる固体乳化剤は刺激につながるかも知れず、または敏感な皮膚の場合にはアレルギーさえ引き起こすかも知れない。
【0021】
様々な天然成分または皮膚様の成分を用いてクリーム基剤はすでに使用されており、とりわけ敏感な皮膚の場合により良好な皮膚適合性が見込まれる。これに関して、皮膚様の成分を使用するとスキンケアの改善がもたらされることが示されている。このように、これらのクリーム基剤では、天然皮膚脂質のいくつかの成分が使用されており、例えばトリグリセリドは(植物起源の)カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドによって置き換えられ、スクアレンは(植物起源の)スクアランによって置き換えられ、セラミドは(酵母起源の)セラミド3によって置き換えられ、コレステロールは(植物起源の)植物ステロールによって置き換えられ、リン脂質は(植物起源の)リン脂質によって置き換えられる。
【0022】
このような概念で、典型的な補助剤(香料、着色料、面皰を生じやすい脂質(例えば鉱油)、保存料および生理的に懸念すべき乳化剤など)は、好ましくは省かれる。なぜなら、これらの成分は潜在的に感作的であり、皮膚の刺激につながり得るからである。
【0023】
これらの処方物は、従来の乳化剤の上述の不都合を回避するために従来の乳化剤なしに調製されることが好ましい。
【0024】
特定の理論に結び付けられることは望まないが、これらの特定的に構成された膜脂質の特別の作用はラメラ構造に関連していると考えられる。従来の乳化剤を省くと、ミセルまたは小胞が形成されることが妨げられ、その結果、形成された膜のラメラ構造がエマルションの中で維持される。このラメラ構造は、角質層の細胞(角質細胞)間に接合物質(Kittsubstanz)として存在することが好ましい天然の表皮脂質の(物理的)構造および(化学的)組成に基づく。
【0025】
膜のラメラ構造を有する特異的に構成された膜脂質に基づく系は、用語「DMS(登録商標)」(真皮膜構造)として当該技術分野で公知である。
【0026】
(泡沫処方物)
化粧品用および/または皮膚科用エマルションの特別の応用形態は、泡沫としての応用である。泡沫処方物は、それらは容易に皮膚上に広がることができるという利点を有する。泡沫のコンシステンシーは快適と感じられ、製品は通常、良好な肌の感じを残す。特に、泡沫の物理的構造は皮膚の保護作用に対して良い方向に作用する。泡沫は、その泡沫を構成する成分の特別の均衡を必要とする複雑な物理的構造をしている。一般に、泡沫は、エマルションまたは水系テンシデ(安定剤)溶液の処方物を噴霧することによって得られる。例えば、噴霧剤を含有するエマルションは耐圧容器から分注される(かかる系もまた文献および特許文献に、エアロゾル泡沫として記載されている)。この場合、エマルションおよび噴霧剤の加圧された混合物は膨張して、小さな泡沫気泡を形成する。具体的には、油溶性ガスが溶解している分散した油相が膨張する。しかしながら、泡沫はまた他の系(例えば、ポンプによる噴霧など)によっても形成することができる。
【0027】
使用の際には、均衡をとった泡沫処方物は、膜に匹敵するネットワーク構造を皮膚上に形成する2以上の相の安定な多分散構造を有する。かかるネットワーク構造は、それらは例えば水との接触に対する保護作用を作り上げるが、しかしながら環境との妨げのないガスの交換を可能にするという利点を有する。かかる泡沫では、事実上、不感蒸泄(perspiratio insensibiles)に対する障害はなく、かつ対応する熱の発生はない。従って、保護作用および醸成作用という有利な特性は、一定の発汗と組み合わされる。
【0028】
これまでに公知の泡沫処方物は、エマルションの安定化のため、およびその結果としての泡沫安定性のために役立つ従来のテンシデ/乳化剤を含有する。
【0029】
しかしながら、従来の乳化剤またはテンシデは、それぞれ、スキンケア製品の使用において刺激を引き起こす(例えば、皮膚バリアの機能傷害またはマヨルカアクネ(Mallorcaakne)など)として何度も明らかにされている。
【0030】
従って、乳化剤に基づく従来のエマルション系よりも、皮膚の要求に対してより良好に適合されており、従って、より良好な皮膚保護およびより良好なスキンケアを提供する個々のスキンケア組成物のニーズが存在する。
【0031】
その組成の点で、泡沫処方物中で膜を形成する表皮脂質に基づくラメラ構造を有するクリーム基剤の使用は、これまでのところ、記載されたことがない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Pflegekosmetik、第4版、Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH、シュトゥットガルト、151−159頁
【非特許文献2】Fiedler Lexikon der Hilfsstoffe、第5版、Editio Cantor Verlag、アウレンドルフ、97−121頁
【非特許文献3】Israelachvili、Jacob N.:「Intermolecular and Surface Forces:With Applications to Colloidal and Biological Systems」、第2版、Academic Press、London、UK、1992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
最新技術による処方物の上述の不都合を回避する、改良された泡沫処方物、特に改良された泡沫状クリームを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0034】
油相および水相を含むエマルションであって、この油相が泡沫処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質を含むエマルションが泡沫処方物のための基剤として適切であることを、本出願人らは驚きをもって見出した。好ましい実施形態では、当該泡沫処方物は、実質的に乳化剤を含まない、すなわちそれらは実質的に従来の乳化剤を含まない。ただし、当該ラメラ状の膜の形成につながる物質または物質の混合物は従来の乳化剤とは考えない。例えば、当該技術分野では、例えば、DMS(登録商標)濃縮物を含む市販品フィジオゲル(Physiogel)(登録商標)クリームを「乳化剤不含の」と特徴付けることが認められている。
【0035】
本発明に係る膜形成物質および物質の混合物は、典型的には水に不溶であるが、他方、従来の乳化剤、とりわけ同等の約10のHLB値を有するテンシデは概して水に可溶性である。さらに、本発明に係る水に可溶性でない膜形成物質は自発的に油を乳化することはできないが、従来の乳化剤、とりわけ高HLB値を有する従来の乳化剤は自発的に油を乳化することができる。低HLB値を有する従来の乳化剤は、本発明に係る膜形成物質、例えばリン脂質とは対照的に、単独ではラメラ構造またはリポソームを形成することはできない。従来の乳化剤とは対照的な、本発明に係る膜形成物質の特別の特徴は、例えばリン脂質は10のHLBを有するが、しかしながら水に可溶性ではないことである。
【0036】
好ましくは、本発明の膜形成物質は、8より大きい、より好ましくは9〜11、最も好ましくは9.5〜10.5のHLB値を有する。
【0037】
本発明によれば、泡沫処方物の有利な特性が、油相が泡沫処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質を含むエマルションの有利な特性と組み合わされる。従って、特に、泡沫の有利な特性、すなわち物理的構造および簡便な付与、を良好な皮膚との適合性と組み合わせた泡沫処方物が調製され得る。この特性によって、当該泡沫処方物は、敏感なタイプの皮膚用の化粧品および皮膚科用処方物に特に適したものとなる。従って、有利なことに、皮膚への適合性および付与の簡便さが互いに組み合わされる。皮膚への適合性にとって重要である少なくとも1種の膜形成物質のラメラ構造は、最新技術による泡沫処方物において考慮されたことはない。
【0038】
しかしながら、かかるエマルションが、泡立ちの際に安定な泡沫製品につながることは自明ではない。泡沫は、すでに述べたように、例えば噴霧剤をO/Wエマルション系の中に組み込むことにより得られる。分散した油相に溶解した噴霧剤が泡立ちの際に気化する場合、泡沫が形成される(液体中へのガスの分散)。分散した油相中に溶解した噴霧剤の泡立ちまたは膨張は、分散した油相の体積膨張(Dilatation)につながる。本発明では、境界面での固体のネットワークが体積膨張応力に耐えることができて、本発明の泡沫処方物の泡立ちの際に上記処方物の破壊が起こらず適切な泡沫が形成されることが、驚きをもって見出された。形成された泡末は、例えば皮膚へと塗布されるために十分安定である。
【0039】
本発明は、油相と水相とを含む泡沫処方物であって、この油相が泡沫処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質を含む泡沫処方物に関する。
【0040】
好ましくは、本発明は、より良好な皮膚への適合性を提供する天然成分または皮膚様の成分に基づく泡沫処方物に関する。
【0041】
さらに、本発明は、活性薬剤のための担体として、スキンケア薬として、皮膚洗浄用薬剤としてまたは日焼け止め剤としての、エマルションに基づく泡沫処方物の使用に関する。この泡沫処方物は、それゆえ化粧品、医療用製品または医薬組成物として用いることができる。
【0042】
本発明はさらに、油相が泡沫処方物中でラメラ状の膜を形成する膜形成物質を含むエマルションに基づく泡沫処方物の製造方法を含む。この方法は、
a)好ましくは水中油型のエマルションを生成する工程と、
b)このエマルションおよび噴霧剤を耐圧容器の中に充填する工程、または
c)耐圧容器以外の、このエマルションを分注する際に泡沫を生成する容器の中に、このエマルションを充填する工程と
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例3の泡沫処方物の偏光顕微鏡写真である。いわゆるマルタ十字(とりわけ、左上の画像領域)によって認識することができるラメラ状の膜形成構造を示す。
【図2】実施例3の泡沫処方物の偏光顕微鏡写真である。さらに、泡沫処方物のガス相が、ガスの気泡の形態で認識できる。とりわけガス相に対する境界面にマルタ十字を見ることができる。
【図3】実施例3の泡沫処方物の偏光顕微鏡写真である。さらに、マルタ十字を、泡沫のガス気泡に対する境界面で認識することができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明によれば、泡沫処方物は、泡沫の形成のために明らかに適合した処方物、特にエマルションである。特に、この処方物は、噴霧剤と一緒に耐圧容器の中に充填されるか、またはこの処方物/エマルションの分注の際に泡沫の形成を可能にする耐圧容器以外の容器の中に噴霧剤なしで充填されるかのいずれかであってよい。例えば、ポンプによるスプレー容器を使用してよい。
【0045】
好ましい実施形態では、当該泡沫処方物は泡末状クリームである。
【0046】
本発明によれば、本質的に乳化剤不含のエマルションは、1.5重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下の従来の乳化剤を含有するようなエマルションである。本発明によれば、乳化剤不含エマルションは、従来の乳化剤を含有しないエマルションである。
【0047】
本発明によれば、ラメラ状の膜を形成する膜形成物質は、好ましくはその分子の親水性部および疎水性部を同時に有する物質である。例えばリン脂質(レシチン、スフィンゴリピド、セラミドなど)、コレステロール、脂肪アルコール、脂肪酸ならびにそのモノエステルおよび/またはジエステル、ならびにステロールなどの物質が好ましい。トリグリセリド(親水性でなく親油性)、スクアレン(親水性でなく親油性)、スクアラン(親水性でなく親油性)もまた、膜形成物質を含む化合物の混合物の中に含まれてよい。好ましい膜形成物質は、リン脂質、スフィンゴリピド、セラミド、コレステロール、脂肪アルコール、脂肪酸ならびにそのモノエステルおよび/またはジエステル、ならびにステロールである。かかる物質または対応する物質の混合物は、ラメラ状の膜の形成のもとで水相を用いて適切に分散させることができる。これは、例えば高エネルギー入力(例えば高圧均一化、超音波)下で分散させることによって成し遂げることができる。高圧均一化の場合には、50.000〜250.000kPa(500〜2500bar)の範囲の圧力がこの点において用いられ、より好ましくは100.000〜150.000kPa(1000〜1500bar)の範囲の圧力が用いられる。他の場合には、ラメラ状の膜構造を形成するための高エネルギー入力は、必ずしも必要ではない(例えば、低相転移温度を有する非水素添加レシチンを適切な脂質(例えばミリスチン酸イソプロピルなど)ともに用いる場合には多い)。ラメラ相を形成する特定の濃縮物の使用も可能である。
【0048】
分散液の中にラメラ構造が存在することは、当該技術分野で公知の方法によって当業者が容易に判定することができる。適切な測定方法は、例えばClaus−Dieter Herzfeldら(編者)、Grundlagen der Arzneiformlehre、Galenik 2、Springer Verlag、1999に記載されている。この点において、偏光顕微鏡法という方法はとりわけ言及するに値する。この方法では、発生した偏光の振動面が互いに直交しているいわゆる十字の位置にある2つの偏光フィルムが分析されるべき対象の上下に置かれる。照射された光の振動面は試料によって変えられ、その光の一部は第2の偏光フィルムを通過することができるようになる。ラメラ相の存在は、本発明においては典型的には、いわゆるマルタ十字によって認識することができる。
【0049】
本発明によれば、ラメラ状の膜は、それが、物質の上側の層が相向ってぞれその物質の下側の層に向くような層状構造を有するように配置される。個々の物質層の方向は、例えばその物質の親水性部が外側を向き、疎水性部が互いに内側を向く、またはその逆となるように、使用される溶媒とは無関係に発生する。
【0050】
当該物質の2つの層が上記のように向く場合、得られた構造は単一膜と表され、2つのさらなる層を配置する場合には、このラメラ構造は二重膜と表される。本発明の原理によれば、なおさらなる層がすでに存在している(二重)膜に合わされ、その結果として多重膜構造を生じてもよい。本発明によれば、当該膜は単一膜として、二重膜として、または多重膜としても存在してよい。
【0051】
「洗い流し」効果は、スキンケア組成物を使用し終わった後の皮膚の水分の、初期値未満への減少として理解される。
【0052】
本発明によれば、バイオアイデンティカルな脂肪は体内に存在する植物起源の脂肪である。
【0053】
油相
油相を形成することができる適切な成分は、極性の脂質および非極性の脂質またはこれらの混合物から選択してよい。
【0054】
本発明の処方物の油相は、有利には、リン脂質(レシチンなど)、(モノ、ジ、トリ)グリセリド(とりわけ例えば脂肪酸トリグリセリドなどのトリグリセリド)、スフィンゴリピドの群から、プロピレングリコールもしくはブチレングリコールの脂肪酸エステルの群から、動物起源または植物起源の天然ワックスの群から、エステル油の群から、ジアルキルエーテルおよび炭酸ジアルキルの群から、分枝状および非分枝状炭化水素およびワックスの群から、ならびに環状および直鎖状のシリコーンオイルの群から選択される。
【0055】
本発明に係る泡沫処方物は、ラメラ状の膜構造、およびその結果得られた、表皮脂質、とりわけ角質層の細胞間のラメラ状脂質構造の構造との構造上の類似性に起因する、処方物の改良されたスキンケア作用を可能にする。皮膚のラメラ構造の類似の構造に起因して、膜を皮膚に統合することが容易になる。この統合は改善、とりわけ皮膚バリアの安定化および回復にもつながる。無傷の皮膚バリアは、皮膚をあまりに高い水分の蒸散から保護する。皮膚バリアを改善すると、皮膚の滑らかさの改善をもたらすこともでき、そして「洗い流し」効果を減少させるかも知れず、それによって有利にも従来の泡沫処方物と比べて改善された長期の効果が得られ得る。
【0056】
本発明の好ましい泡沫処方物は、泡沫処方物中に存在するラメラ状の膜と皮膚との類似性を得るために「皮膚様の」構成成分を用いる。この点で、とりわけ好ましい実施形態は、例えば、角層下の層(この皮膚は主にジグリセリドおよびトリグリセリドの混合物を含む)に存在する天然のグリセリドを例えば(植物起源の)トリグリセリドで、スクアレンを例えばスクアラン(これは、酸化に対してスクアレンほど感受性ではない)で、セラミドを(酵母由来の)セラミド3で、コレステロールを(植物起源の)植物ステロールで、およびリン脂質を(植物起源の)リン脂質で置き換える。
【0057】
本発明の好ましい泡沫処方物では、当該膜形成物質は脂質、より好ましくはトリグリセリドおよび/またはリン脂質を含む。本発明のとりわけ好ましい泡沫処方物では、当該トリグリセリドはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドであり、かつ/または当該リン脂質は水素添加レシチンである。
【0058】
本発明のさらに好ましい泡沫処方物では、当該処方物はさらにレシチン、好ましくは水素添加レシチンを含んでもよい。
【0059】
好ましい本発明の泡沫処方物は、例えば安定剤(例えばアルコールまたはグリコールなど)などのさらなる構成成分をさらに含んでいてもよい。好ましいものはグリコール、特にプロピレングリコール、カプリリルグリコールまたはその混合物である。
【0060】
本発明の好ましい泡沫処方物では、例えばButyrospermum Parkii(シアバター)、スクアラン、グリセリド、セラミド、好ましくはセラミド3、またはこれらの混合物などのさらなる構成成分が含まれていてよい。
【0061】
本発明の好ましい泡沫処方物は、実質的に乳化剤不含のエマルションを含む。本発明のとりわけ好ましい泡沫処方物は乳化剤を含まない。特に好ましい実施形態では、当該泡沫処方物は約10のHLB値を有する水溶性の従来の乳化剤を含まない。好ましい実施形態では、当該処方物はとりわけ以下の化合物を含まない:
カルボン酸塩、例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウムなど;
硫酸塩、例えばNa−ドデシル硫酸塩、Na−セチルステアリル硫酸塩、Na−ラウリルエーテル硫酸塩など;
スルホン酸塩:Na−ジオクチルスルホスクシネート;
四級アンモニウム化合物、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ベンザルコニウムなど;
ピリジニウム化合物、例えば塩化セチルピリジニウムなど;
ベタイン、例えばベタイン一水和物など;
マクロゴール(Macrogol)脂肪酸エステル、例えばマクロゴール−30−ステアレートなど;
グリセロール脂肪酸エステル、例えばグリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノイソステアレートなど)、部分グリセリド、ポリオキシエチレンソルビタン中鎖脂肪エステル(例えばツイーン(Tween)(登録商標)、ポリオキシエチレン−(20)−ソルビタンモノステアレートなど);
ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンセスキオレエートなど;
ショ糖脂肪酸エステル、例えばショ糖モノステアレート、ショ糖ジステアレート、ショ糖ココエートなど;
マクロゴール脂肪アルコールエーテル、例えばセトマクロゴール(Cetomacrogol) 1000、マクロゴール セトステアリルエーテル、マクロゴール オレイルエーテル、ラウロマクロゴール(Lauromacrogol) 400など;
ステアリンアルコール、例えばコレステロール、ラノリン、アセチル化ラノリン、水添ラノリン、ラノリンアルコールなど;
マクロゴール グリセロール脂肪酸エステル、例えばマクロゴール−1000−グリセロール−モノオレエート、マクロゴール−1000−グリセロール−モノステアレート、マクロゴール−1500−グリセロール、トリリシノレート、マクロゴール−300−グリセロール−(ヒドロキシルステアレート)、マクロゴール−5−グリセロール−ステアレート、マクロゴール グリセロールヒドロキシステアレートなど;
ポリグリセロール脂肪酸エステル、例えばトリグリセロールジイソステアレート。
【0062】
本発明では、ラメラ状の膜を形成するための適切な物質またはかかる物質の混合物を含む油相が、ラメラ相の形成をもたらす条件下で水相に分散される。必要な場合は、これは、例えば、高エネルギー入力下(例えば超音波によるかまたは高圧均一化によるなど)で分散させることによって行われ、その際には約50.000〜約250.000kPa(約500〜約2500bar)、好ましくは約100.000〜約150.000kPa(約1000〜約1500bar)の圧力が使用される。他の場合、とりわけ低相転移温度を有する非水素添加レシチンを膜形成物質として使用する場合には、高エネルギー入力のさらなる必要性なしに単純な分散ですでに十分であることが多い。上述の通り、ラメラ相の存在は、当該技術分野で公知の方法、例えば偏光顕微鏡法を使用して、当業者が容易に判定することができる。
【0063】
とりわけ好ましい実施形態では、上記膜形成物質はリン脂質(例えばレシチンまたは水素添加レシチンなど)、およびさらには脂質を含む。より好ましくは、このリン脂質はレシチンおよび水素添加レシチンの混合物である。とりわけ好ましい実施形態では、水素添加レシチンに対するレシチンの重量比は、約10:1〜約1:10、より好ましくは約5:1〜約1:5、さらにより好ましくは水素添加レシチンに対するレシチンの比は約1:1である。リン脂質に加えて存在する脂質は、好ましい実施形態では、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピルなどの液体ワックスエステルを含む。さらに、さらなる任意の脂質、例えば落花生油または中鎖トリグリセリド(好ましくはC〜C12トリグリセリド)などが、ワックスエステルに加えて存在してもよい。全脂質(例えばワックスエステル+任意のトリグリセリド)に対する全リン脂質(例えばレシチン+水素添加レシチン)の重量比は、この実施形態では、好ましくは約1:5〜約1:1、好ましくは約1:2である。
【0064】
このリン脂質および脂質の混合物は、例えば、高エネルギー入力下で融解物として水に分散される。高エネルギー入力は、超音波によって、または高圧均一化によってもたらすことができ、その際には50.000〜250.000kPa(500〜2500bar)、好ましくは100.000〜150.000kPa(1000〜1500bar)の圧力が用いられる。水相には、本願明細書に記載するように、さらなる添加剤が任意に存在してよく、その例としては例えばグリセロールまたは増粘剤(例えばキサンタンガムおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース))などが挙げられる。
【0065】
さらなる任意の成分は、DMS(登録商標)組成物に関して後述する。特に、得られる処方物は、実質的に乳化剤不含の、好ましくは乳化剤不含のもの、すなわち処方物中に従来の乳化剤が実質的に存在しないかまたはまったく存在しないものであってよい。ただし、この膜形成物質または膜形成物質の混合物は、従来の乳化剤とは考えない。この混合物を記載したようにして分散させると、(例えば噴霧剤を使用することによって、またはポンプによる噴霧によって)泡沫処方物を形成するために適し、さらにはラメラ状の膜を形成するのに適した分散液が得られる。
【0066】
上記の「皮膚様の」構成成分に基づくさらなるクリーム基剤は、DMS(登録商標)クリーム基剤として当該技術分野で公知でもある。
【0067】
このDMS(登録商標)基剤組成物は、以下の構成成分を有することができる:カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター、スクアラン、セラミド3、水素添加レシチン、パームグリセリド(Palm Glyceride)、アボカド、パーム油(ギニアアブラヤシ)。
【0068】
DMS(登録商標)組成物での安定剤として、例えば、ペンチレングリコール、カプリリルグリコールまたはこれらの混合物などのアルコールまたはグリコールを使用してよい。
【0069】
市販されているDMS(登録商標)基剤は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター、スクアラン、セラミド3、水素添加レシチンおよびペンチレングリコールを含む。
【0070】
さらなる市販されているDMS(登録商標)基剤は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター、スクアラン、セラミド3、水素添加レシチンおよびアルコールを含む。
【0071】
さらなる市販のDMS(登録商標)基剤は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター、スクアラン、セラミド3、水素添加レシチン、アビカドおよびカプリリルグリコールを含む。
【0072】
さらなる市販のDMS(登録商標)基剤は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シアバター、スクアラン、セラミド3、水素添加レシチン、パームグリセリド、ギニアアブラヤシおよびペンチレングリコールを含む。
【0073】
好ましいDMS(登録商標)基剤は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、Butyrospermum Parkii、スクアラン、セラミド3、水素添加レシチン、およびペンチレングリコールを含む。
【0074】
とりわけ好ましいカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドは、サソール社(Sasol)のミグリオール(Miglyol) 812の商品名で入手することができ、それとさらなる油およびワックス構成成分との混合物も入手できる。
【0075】
加えて、サソール社のミグリオール 812/コグニス社(Cognis)のミリトール(Myritol) 312の商品名で入手できるカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドはとりわけ好ましい。
【0076】
本発明のエマルションは、好ましくは約5〜50重量%の油相を含み、とりわけ好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜35重量%油相を含む。この数字は、それぞれ噴霧剤なしでのエマルションの全重量に対するものである。
【0077】
これらのクリーム組成物は、刺激を受けた、乾燥〜非常に乾燥した、敏感〜非常に敏感な、アレルギー性および湿疹性の皮膚の場合に特に使用される。
【0078】
加えて、この油相は、好ましくは、例えば脂肪酸(特にステアリン酸)または油(例えばセチオール(Cetiol) Vなど)などのさらなる構成成分を含んでいてよい。
【0079】
DMS濃縮物および本発明の処方物では、香料、着色料、面皰を生じやすい脂質(例えば鉱油)および生理的乳化剤などの(バイオアイデンティカルではない)さらなる従来の補助剤は好ましくは省かれる。なぜなら、これらの成分は潜在的に感作的であり、皮膚の刺激につながり得るからである。
【0080】
水相
水相は、化粧品用アジュバント、例えば低級アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール)、低級ジオールもしくはポリオールおよびそれらのエーテル(例えばプロピレングリコール、グリセロール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびエチレングリコール)、泡沫安定剤およびならびに増粘剤を含有することができる。
【0081】
適切な増粘剤は、水に部分的に可溶であるか、または少なくとも水に対して分散性であって、かつ水系でゲルまたは粘度の大きい溶液を形成するポリマー増粘剤である。それらは、水分子に結合(水和)するか、または他方で、水を含んでそれらの絡み合った(verflochten)高分子の中に封入し、ここでその水の可動性が減少することで、水の粘度を上昇させる。適切なポリマーは、
・修飾された天然物質(セルロースエーテル(例えばヒドロキシプロピルセルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルなど)、
・天然化合物(例えば寒天、カラゲナン、ポリオース、デンプン、デキストリン、ゼラチン、カゼインなど)、
・合成化合物、(例えばビニルポリマー、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミドおよびポリアクリル酸誘導体など)、ならびに
・無機化合物(例えばポリケイ酸および粘土鉱物など)である。
【0082】
好ましくは、本発明の処方物の中にはセルロースエーテルが増粘剤として含有される。ヒドロキシプロピルメチルセルロースが特に好適である。本発明によればとりわけ好ましいヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトロース(Metolose) 90S H100である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースについての当該技術分野での一般的な呼び名はヒプロメロースである。
【0083】
さらに好ましい増粘剤はキサンタンガム、とりわけケルトロール(Keltrol)(登録商標)CGキサンタンガムである。
【0084】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびキサンタンガムは、本発明の処方物では同時にでも用いることができる。
【0085】
本発明のエマルションは、好ましくは(増粘剤の乾燥重量および噴霧剤なしのエマルションの全重量に基づき)0.2〜3.0重量%の増粘剤を含有する。特に好適であるのは、0.5〜2.5重量%の増粘剤である。
【0086】
活性薬剤
含有される活性薬剤は、皮膚の表面に付与できるすべての活性薬剤およびその混合物から選択してよい。この活性薬剤は、美容的に、または薬理学的に作用することができる。従って、(医療用製品または医薬組成物として用いられるべき)化粧品または皮膚科用泡沫処方物が得られる。さらに、この処方物は、環境の影響に対して皮膚を保護するために用いてもよい。この活性薬剤は、完全に植物起源のものであってもよいし、または合成品であってもよい。活性薬剤の群は、成分の他の群(例えば油成分、増粘剤または固体乳化剤など)と重なり得る。例えば、いくつかの油成分(例えば、多価不飽和脂肪酸を有する油など)はまた、活性薬剤としても作用することができ、または固体乳化剤(例えば、微粒子状二酸化チタン)はUVフィルターとしての役割を果たし得る。その特徴に応じて、これらの物質は、いくつかの群に分類されるべきである。
【0087】
本発明の処方物の活性薬剤は、保湿特性およびバリア強化特性を有する物質(例えば、ヒドロビトン(Hydroviton)、NMFの模倣物、ピロリドン炭酸およびその塩、乳酸およびその塩、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールならびに尿素など)の群、タンパク質およびタンパク質加水分解物の群の物質(例えばコラーゲン、エラスチンおよび絹タンパク質など)、グリコサミノグリカンの群の物質(例えばヒアルロン酸など)、炭水化物の群の物質(例えば、組成がヒトの角質層の炭水化物混合物に対応するペンタビチン(Pentavitin)など)、ならびに脂質および脂質前駆体(例えばセラミドなど)の群の物質から選択されることが有利である。本発明の意味でのさらなる有利な活性薬剤は、ビタミン(例えばパンテノール(Panthenol)、ナイアシン、α−トコフェロールおよびそのエステル、ビタミンAならびにビタミンC)の群から選択してよい。さらに、抗酸化物質(例えば没食子酸塩(Galate)およびポリフェノール)の群から選択される活性薬剤を使用してもよい。尿素、ヒアルロン酸およびペンタビチンは好適な物質である。
【0088】
皮膚を滑らかにする作用および皮膚再生作用を有する物質(例えばパンテノール、ビサボロール(Bisabolol)および植物ステロール)が活性薬剤として用いられることがさらに好ましい。
【0089】
本発明の意味で有利な活性薬剤はまた、植物および植物エキスである。これらは、例えば、藻類、アロエ、アルニカ、サルオガセ(Bartflechten)、コンフリー、カバノキ、イラクサ、キンセンカ、オーク、ツタ、マンサク、ヘナ、ホップ、カモミール、ラスカス、ペパーミント、マリーゴールド、ローズマリー、セージ、緑茶、ティーツリー、ツクシ、タイムおよびクルミ、ならびにこれらのエキスである。
【0090】
本発明の処方物はさらに、活性薬剤として、合成または天然起源の抗真菌薬および消毒薬/殺菌薬を含有してもよい。
【0091】
さらなる活性薬剤は、グルココルチコイド、抗生物質、鎮痛薬、消炎薬、抗リウマチ薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、抗痒疹薬(Antipruriginosa)、乾癬治療薬、レチノイド、局所麻酔薬、静脈治療薬、角質溶解薬(Keratolytika)、充血性物質、冠動脈治療薬(硝酸塩/ニトロ化合物)、抗ウイルス薬(Virusstatika)、細胞分裂阻害剤、ホルモン、創傷治癒を促進する薬剤(例えば成長因子)、酵素製剤および殺虫剤である。
【0092】
エマルションのさらなる成分
上記処方物は、着色料、真珠光沢顔料、香料/香水、日焼け止め剤物質、保存料、錯化剤、抗酸化物質および噴霧剤、ならびにpH調整剤を、任意にさらに含有してもよい。
【0093】
しかしながら、好ましい実施形態では、本発明の処方物は、皮膚の刺激につながりかねない構成成分を含まない、特に香料、香水、着色料および従来の乳化剤を含まない。
【0094】
本発明の泡沫処方物は、すでに上に記載した構成成分とは別に、当該技術分野で通常のように、さらなる天然脂肪(例えばシアバター、天然油、オリーブ油、スクアラン、セラミドなど)および保湿性物質を含んでよい。
【0095】
エマルションの個々の成分の上記の一覧は、個々の例示された成分は、その様々な特性によっていくつかの群に分類されてもよい、というように考慮されるべきである。
【0096】
噴霧剤
適切な噴霧剤は、例えばNO、プロパン、ブタンおよびi−ブタンである。完成した泡沫処方物は、5〜15重量%、好ましくは約10重量%の噴霧剤を含有する。
【0097】
(製造方法)
本発明に係る泡沫処方物は、好ましくは水中油型のエマルションを準備する工程と、このエマルションおよび任意に噴霧剤を、適切な容器(例えば、耐圧容器など)に充填する工程とによって調製される。噴霧剤および耐圧容器の代替として、このエマルションはまた、噴霧剤がなくてさえもこのエマルションを泡沫として分注するのに適した、異なる容器に充填してもよい。かかる系は、当業者に公知である。
【0098】
具体的に、本発明のエマルションは以下の工程を含む方法で調製される:
(1)当該処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質を任意に含む油相を準備する工程と、
(2)水相を準備する工程と、
(3)例えば超音波または高圧均一化によって、両方の相を合わせて均一化する工程と、
(4)任意に少なくとも1種または少なくとも1種のさらなる膜形成物質を加える工程と、
(5)エマルションを得るために、例えば超音波または高圧均一化によって任意に均一化する工程であって、工程(1)または(4)のうちの少なくとも1つにおいて、処方物の中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質が含まれる工程。
【0099】
好ましくは、この油相および水相は、各々40〜90℃の範囲の温度で混合されて均一化され、60〜80℃が特に好ましく、より好ましくは約70℃の温度である。
【0100】
均一化するために、当該技術分野で公知のあらゆる手段または方法を使用することができる。好ましくは、相は高速撹拌装置を使用して均一化される。好ましい実施形態では、均一化は高圧均一化によって実施される。さらに好ましい実施形態では、均一化は超音波によって実施される。
【0101】
好ましい製造方法では、油相が水相の中へと混合され均一化される。必要な場合は、当該エマルションは撹拌しながら室温まで冷却される。とりわけ好ましい方法では、適切な量のDMS(登録商標)濃縮物がこの混合物に加えられ、この濃縮物が本発明のエマルションの中へと組み込まれる。以下に記載される方法は、DMS(登録商標)濃縮物の代わりに他のラメラ相を用いても実施することができる。
【0102】
DMS(登録商標)濃縮物は、水相と均一化する前に油相にすでに加えられていてもよく、油相および水相を均一化した後にその混合物に加えられてもよい。最初の均一化する工程の後にDMS(登録商標)濃縮物が混合物に加えられ、次いでその混合物が均一化されることが好ましい。
【0103】
エマルションが増粘剤を含む場合には、上記方法は以下のさらなる工程を含むことが有利である:
(6)増粘剤の水溶液を準備する工程と、
(7)この増粘剤の溶液を当該エマルションと混合する工程。
【0104】
好ましくは、本発明のエマルションは約10重量%の噴霧剤で負荷される。
【実施例】
【0105】
泡沫処方物の組成
a)水相
構成成分を混合することにより水相を準備した。
【0106】
【表1】

【0107】
b)油相
実施例1
【0108】
【表2】

【0109】
実施例2
【0110】
【表3】

【0111】
それぞれミグリオール 812(実施例1)中またはミグリオール 812およびセチオール Vの混合物中(実施例2)中で、約70℃まで加熱してステアリン酸を溶解させた。
【0112】
撹拌しながらこの油相を上記水相に加え、高速撹拌装置を使用して均一化した。得られたエマルションを撹拌しながら室温まで冷却し、高速撹拌装置によってDMS(登録商標)濃縮物を組み込んだ。
【0113】
使用したDMS(登録商標)濃縮物は以下のINCI構成成分を有していた:水(および)水素添加レシチン(および)カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(および)ペンチレングリコール(および)Butyrospermum Parkii(および)グリセロール(および)スクアラン(および)セラミド3。
【0114】
泡沫処方物の製造
上で調製したエマルション90gをエアロゾル容器に充填し、バルブキャップで閉じた後に10gの噴霧剤で負荷した。
【0115】
実施例3
【0116】
【表4】

【0117】
製造
大豆レシチンおよび水素添加大豆レシチン(例えばホスホリン(Phospholipon) 80 Hおよびホスホリン 85 G)の混合物を、60℃で中鎖トリグリセリド(例えばミグリオール 812)およびミリスチン酸イソプロピルの混合物に溶解させた。高エネルギー入力(例えば超音波または高圧均一化)下で、この脂質溶融物を水およびグリセロールの混合物に分散させた(高圧ホモジナイザー:アベスチン・エマルシフレックス(Avestin Emulsiflex)−C3;圧力:1400bar(140MPa))。引き続いて、キサンタンガム(例えば、ケルトロール CG)およびヒプロメロース(例えば、メトロース 90SH100)の水溶液を、撹拌しながら加えた。
【0118】
泡沫処方物の製造
上記のように調製した膜形成エマルション90gをエアロゾル容器に充填し、バルブキャップで閉じた後に10gの噴霧剤で負荷した。
【0119】
泡沫の形成
泡沫アプリケータを取り付けた適切なバルブによってこの泡沫処方物を耐圧容器から分注して、微細な泡を有する安定なクリーム様の泡沫を形成した。このクリーム様の泡沫の構造は、この泡沫を皮膚上に均一に分散させるのに十分な時間、維持された。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の泡沫処方物は、すべての化粧品および皮膚科用目的で(医療用製品または医薬組成物として)用いることができる。例えば、この処方物は、スキンケア薬または皮膚洗浄薬として用いてもよい。さらに、それらは活性薬剤の担体として使用してもよく、医療における皮膚科分野で用いることもできる。特に、上記処方物は日焼け止め剤として用いてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相および水相を含むエマルションを含む泡沫処方物であって、前記油相は前記泡沫処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質を含む、泡沫処方物。
【請求項2】
前記エマルションが水中油型エマルションである、請求項1に記載の泡沫処方物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の膜形成物質が脂質、好ましくはトリグリセリドを含む、請求項1または請求項2に記載の泡沫処方物。
【請求項4】
前記トリグリセリドがカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを含む、請求項3に記載の泡沫処方物。
【請求項5】
前記脂質がさらに、リン脂質、好ましくはレシチンを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項6】
前記レシチンが水素添加レシチンを含む、請求項5に記載の泡沫処方物。
【請求項7】
前記エマルションがさらに、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガムおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項8】
前記エマルションがさらに安定剤を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項9】
前記安定剤がペンチレングリコールを含む、請求項8に記載の泡沫処方物。
【請求項10】
前記エマルションがさらに、シアバター、グリセロール、スクアラン、セラミド(好ましくはセラミド3)またはこれらの混合物などのさらなる従来の構成成分を含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項11】
前記エマルションがさらに、油および脂肪性物質などのさらなる従来の構成成分を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項12】
前記エマルションがさらに少なくとも1種の活性薬剤を含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項13】
前記活性薬剤が、ヒドロビトン、ピロリドン炭酸およびその塩、乳酸およびその塩、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、尿素、コラーゲン、エラスチン、絹タンパク質、ヒアルロン酸、ペンタビチン、セラミド、パンテノール、ナイアシン、α−トコフェロールおよびそのエステル、ビタミンA、ビタミンC、没食子酸塩、ポリフェノール、パンテノール、ビサボロール、植物ステロール、グルココルチコイド、抗生物質、鎮痛薬、消炎薬、抗リウマチ薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、抗痒疹薬、乾癬治療薬、レチノイド、局所麻酔薬、静脈治療薬、角質溶解薬、充血性化合物、冠動脈治療(硝酸塩/ニトロ化合物)、抗ウイルス薬、細胞分裂阻害剤、ホルモン、創傷治癒を促進する薬剤、成長因子、酵素製剤、殺虫剤、ならびに植物系物質(藻類、アロエ、アルニカ、サルオガセ、コンフリー、カバノキ、イラクサ、キンセンカ、オーク、ツタ、マンサク、ヘナ、ホップ、カモミール、ラスカス、ペパーミント、マリーゴールド、ローズマリー、セージ、緑茶、ティーツリー、ツクシ、タイムおよびクルミの植物エキスなど)、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の泡沫処方物。
【請求項14】
前記エマルションが実質的に乳化剤不含のエマルションである、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項15】
前記エマルションが乳化剤を含まない、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項16】
前記脂質がバイオアイデンティカルな脂肪を含む、請求項3から請求項15のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項17】
前記処方物が泡沫状クリームである、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項18】
前記エマルションが、少なくとも1種のリン脂質および少なくとも1種の液体ワックスエステルを、好ましくはリン脂質:ワックスエステル=1:5〜1:1、より好ましくは1:2の重量比で含む、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項19】
前記リン脂質がレシチン、好ましくはレシチンおよび水素添加レシチンの混合物を、好ましくは約10:1〜1:10、より好ましくは約5:1〜1:5、さらにより好ましくは約1:1の重量比で含み、かつ/または前記ワックスエステルがミリスチン酸イソプロピルを含み、かつ/またはトリグリセリド、好ましくはC〜C12トリグリセリドがさらに含まれる、請求項18に記載の泡沫処方物。
【請求項20】
前記膜形成物質が水に可溶性ではない、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項21】
前記膜形成物質が8より大きい、好ましくは9〜11、より好ましくは9.5〜10.5のHLB値を有する、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の泡沫処方物。
【請求項22】
スキンケア薬としての、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の泡沫処方物の使用。
【請求項23】
皮膚洗浄薬としての、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の泡沫処方物の使用。
【請求項24】
日焼け止め剤としての、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の泡沫処方物の使用。
【請求項25】
化粧品、医療用製品または医薬組成物の製造のための、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の泡沫処方物の使用。
【請求項26】
泡沫処方物の製造方法であって、
a)好ましくは水中油型のエマルションを生成する工程と、
b)前記エマルションおよび噴霧剤を耐圧容器の中に充填する工程、または
c)耐圧容器以外の、前記エマルションを分注する際に泡沫を生成する容器の中に、前記エマルションを充填する工程と
を含む、方法。
【請求項27】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の泡沫処方物を製造するための請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記エマルションを生成する工程が、
(1)前記処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質を任意に含む油相を準備する工程と、
(2)水相を準備する工程と、
(3)両方の相を加えて均一化する工程と、
(4)任意に、少なくとも1種、または少なくとも1種のさらなる膜形成物質を加える工程と、
(5)エマルションを得るために、任意に均一化する工程と
を含み、工程(1)または工程(4)のうちの少なくとも1つにおいて、前記処方物中でラメラ状の膜を形成する少なくとも1種の膜形成物質が含まれる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記油相および前記水相が、40℃〜90℃の間、好ましくは60℃〜80℃の間、より好ましくは約70℃の温度で均一化される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記エマルションが増粘剤を含み、さらに、
(6)増粘剤の水溶液を準備する工程と、
(7)前記増粘剤の溶液を前記エマルションと混合する工程と
を含む、請求項28または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記泡沫処方物が10重量%の噴霧剤を含む、請求項28から請求項30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
均一化する工程が、高エネルギー入力下、好ましくは高圧均一化および/または超音波によって実施される、請求項28から請求項30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
均一化する工程が、約50.000〜約250.000kPa、好ましくは約100.000〜150.000kPaの圧力で実施される、請求項28から請求項30および請求項32のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−530400(P2010−530400A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512690(P2010−512690)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057791
【国際公開番号】WO2008/155389
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(505219912)ノイブルク スキン ケア ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (5)
【氏名又は名称原語表記】NEUBOURG SKIN CARE GMBH & CO.KG
【Fターム(参考)】