説明

波長分割多重装置及び波長分割多重ネットワークにおける再生中継方法

【課題】送受信端機能と再生中継機能を同一のトランスポンダで実現し、波長や送受信方路を遠隔から設定自在とする装置、システム、方法を提供する。
【解決手段】トランスポンダ(光送受信機)が光パスのループパックのオン・オフを切り替えるスイッチ23を備え、光パスの送受信端機能と、光パスの途中で再生中継機能を行うトランスポンダを同一のトランスポンダで実現する。新たな光パスを構築時に波長の割り当て、送受信を行う方路の割り振りは、遠隔からの設定により行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長分割多重装置に関し、特に、波長分割多重ネットワークにおける再生中継方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)ネットワーク・システムにおいて、トランスポンダは、光信号を受けて電気信号に変換する電気−光変換器(O/E)と、電気信号を受け光信号に変換する電気−光変換器(E/O)を含み、トランスポンダに転送される信号は光−電気−光の変換を受ける。これまで、トランスポンダは、送信受信用と再生中継器用で用品が分かれていたために、予備のトランスポンダの経費が大きくなっていた。また、光パスの障害時の経路の切替において、従来のシステムでは、障害切替時に迂回する経路は、途中のWDM装置で再生中継が不要な距離(比較的短距離)に限られていた。
【0003】
特許文献1には、任意波長に変換可能な波長変換中継器を備えた光クロスコネクト装置において、予備の波長変換中継器を複数の現用パスで共有し、ネットワーク障害時にインチャネル制御による故障復旧機能を実現する装置として、ネットワーク管理装置からの指示で経路切替、使用波長の設定を可変制御する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、トランスポンダとの間に光スイッチを備え、光スイッチは、関連するトランスポンダからの信号を選択的に終端するか、関連するトランスポンダに転送する構成が開示されている。特許文献3には、送受信機能と再生中継機能の両機能を備えたトランスポンダの構成が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−208591号公報
【特許文献2】特表2007−503186号公報
【特許文献3】特表2007−506317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下に本発明による関連技術の分析を与える。
【0007】
WDMシステムにおいては、送受信端用と再生中継用でトランスポンダが分かれている。このため、トランスポンダ故障時の交換用に別々のトランスポンダを用意しておく必要がある。また、トランスポンダは予め決められた波長や送受信方路で設置されると、それ以外の使用条件に、遠隔からの設定によって変更することはできない。このため、新たな光パスを構築する際には、現地での設置工事が必要とされる。
【0008】
なお、ネットワーク管理装置からの指示で経路切替、使用波長の設定を可変制御する構成の特許文献1において、再生中継用、アド/ドロップ用に専用のトランスポンダを備えている。特許文献2の構成において、トランスポンダ外部に設けられる光スイッチは光信号で制御され、高価となる。また特許文献3の構成において、トランスポンダに回線終端機能が具備されていない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、送受信端機能と再生中継機能を同一のトランスポンダで実現し、波長や送受信方路を遠隔から設定自在とする装置、システム、方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願で開示される発明は、概略以下の構成とされる。
【0011】
本発明の1つの側面によれば、光回線の終端機能を備えるとともに、送信受信端機能と信号折り返しによる再生中継機能とを切替える手段を備えるトランスポンダが提供される。
【0012】
本発明においては、受信端として機能するとともに、前記受信端で受信した信号と同一の信号を折り返し再生中継することで、マルチキャストする制御を行う構成としてもよい。
【0013】
本発明においては、クライアント装置から出力された信号を光で受け、電気、光に変換してWDM(波長多重分割)装置の入力に出力する送信端、及び、前記WDM装置から出力された信号を光で受け、電気、光に変換して前記クライアント装置の入力に出力する受信端として機能する第1の接続状態と、前記WDM装置から出力された信号を光で受け電気信号に変換して折り返したのち光に変換し前記WDM装置の入力に出力する第2の接続状態を切替えるスイッチ部を備えている。
【0014】
本発明において、前記スイッチ部は、前記WDM装置から出力された光信号を受信し前記クライアント装置に光信号を出力する受信端として機能するとともに、前記WDM装置から出力された光信号を受信して、折り返し、前記WDM装置に光信号を出力する第3の接続形態に切替自在とされる。
【0015】
本発明においては、クライアント装置(1)から出力される光信号を受信し電気信号に変換する第1の電気−光変換器(21)と、
第1の電気−光変換器(21)からの電気信号を入力し光伝送網用の送信信号を出力する送信ユニット(24)と、
送信ユニット(24)から出力される電気信号の送信信号を光信号に変換しWDM(波長多重分割)装置(3)の入力に出力する第1の電気−光変換器(26)と、
WDM装置(3)から出力された光信号を受信し電気信号に変換する第2の電気−光変換器(27)と、
第2の電気−光変換器(27)から出力される電気信号を入力し受信信号を出力する受信ユニット(25)と、
受信ユニット)25)から出力される受信信号を光信号に変換しクライアント装置(1)の入力に出力する第2の電気−光変換器(22)と、
受信ユニット(25)の出力と送信ユニット(24)の入力間の折り返し接続、
第1の電気−光変換器(21)の出力と送信ユニット(24)の入力間の接続と受信ユニット(25)の出力と第2の電気−光変換器(22)の入力間の接続、
をオン・オフ制御するスイッチ部(23)を備えた構成としてもよい。なお、上記括弧内の参照番号は本発明の構成の理解を容易とするためのものであり、本発明を限定するために解釈すべきものでないことは勿論である。
【0016】
本発明において、前記WDM装置は光スイッチを含み、前記トランスポンダとともに、WDMネットワークに接続するWDMノードを構成する。
【0017】
本発明において、前記スイッチ部の切替は、前記WDMネットワークを介して遠隔から設定自在とされる。
【0018】
本発明において、WDMネットワークに接続されるノードが、前記トランスポンダを備えている。本発明において、クライアント装置と接続され送受信端として機能していたトランスポンダは、前記ノードが接続する経路に障害発生時、再生中継機能に切り替えられ、ノード内の光スイッチ機能にて、障害発生経路とは別の経路に接続する。
【0019】
本発明において、WDM伝送路間での経路の切替を行う光スイッチと、クライアント装置間に、本発明に係るトランスポンダを、運用系と予備系の冗長構成として備え、冗長構成のトランスポンダのうち運用系のトランスポンダが、切替スイッチを介してクライアント装置に接続される構成としてもよい。本発明において、予備系のトランスポンダを再生中継用のトランスポンダとして機能させるようにしてもよい。
【0020】
本発明によれば、WDMネットワークに接続されるノードにおいて、1つのトランスポンダを、送信受信端機能と再生中継機能とに切替自在とし、一のノードで送受信端として機能していたトランスポンダを、前記一のノードが接続する経路に障害発生時、再生中継機能に切り替え、WDMノードの光スイッチ機能にて、障害が発生した経路とは別の経路に接続する方法が提供される。
【0021】
本発明においては、WDMネットワークに接続されるノードにおいて前記トランスポンダを冗長に設け、運用系のトランスポンダが、切替スイッチを介してクライアント装置に接続されるようにしてもよい。本発明において、予備系(運用系以外)のトランスポンダを再生中継用のトランスポンダとして機能するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、送受信端機能と再生中継機能を同一のトランスポンダで実現し、波長や送受信方路を遠隔から設定自在としている。
【0023】
かかる本発明によれば、予備トランスポンダの設備投資費用の削減、迂回経路の距離制限の排除を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、WDMシステムにおいて、トランスポンダ(光送受信機)が、光パスのループパックのオン・オフを切替えるスイッチを備え、光パスの送受信端機能と、光パスの途中で再生中継機能を行うトランスポンダを同一のトランスポンダで実現する。また、本発明においては、新たな光パスを構築時に波長の割り当て、送受信を行う方路の割り振りは、遠隔からの設定により行われる。
【0025】
本発明において、トランスポンダ内に、受信した光信号を折り返し送信するループバック機能を切替えるスイッチ(23)を備え、トランスポンダにて、送受信と再生中継の両方の機能を、遠隔からの設定により、切替自在としている。
【0026】
また、波長分割多重ネットワーク上に伝送される制御信号(監視信号)等を用いて、遠隔から、光スイッチとトランスポンダの設定を行うことで、波長や送受信する方路を切替える。
【0027】
これらの機能を実装したことにより、機能共用化によるトランスポンダの経費削減と、遠隔設定のよる運用工数の削減と、新たな光パスの開通時間の短縮を実現する。
【0028】
さらに、本発明によれば、再生中継トランスポンダを柔軟に配置できるようになるため、迂回経路の距離制限を排除できる。障害迂回時の経路に再生中継トランスポンダを柔軟に設置することが可能となる為、切替先の経路探索の制限が緩和され、より信頼性の高いWDMネットワークが構築可能となる。以下実施例に即して説明する。
【実施例】
【0029】
図1は、本発明の第1の実施例の構成を示す図である。図1(A)には、トランスポンダを送受信として使用した場合を示す。図1(B)は、トランスポンダを再生中継として使用している場合を示している。
【0030】
図1(A)を参照すると、WDM装置3とクライアント装置1間に接続されるトランスポンダ2は、
クライアント装置1からの光信号を受け電気信号に変換する電気−光変換器(O/E)21と、
OTN(Optical Transport Network:光伝送網)用の送信フレームを作成するOTNフレーマー24(送信ユニット)と、
OTNフレーマー24からの電気信号の送信フレームを光信号に変換しWDM装置3の入力に送出する電気−光変換器(E/O)26と、
WDM装置3から出力された光信号を受け電気信号に変換する電気−光変換器(O/E)27と、
OTN(光転送ネットワーク)用受信フレームから受信信号を抽出するOTNフレーマー25(受信ユニット)と、
OTNフレーマー25からの電気信号の受信信号を光信号に変換し、クライアント装置1の入力に送出する電気−光変換器(E/O)22と、
OTNフレーマー25の出力とOTNフレーマー24の入力間の折り返し接続、
電気−光変換器21の出力とOTNフレーマー24の入力間の接続と、OTNフレーマー25の出力と電気−光変換器22の入力間の接続、をオン・オフ制御するスイッチ(SW)23と、
を備えている。
【0031】
特に制限されないが、OTNフレーマー24は、オーバヘッドの挿入、パリティ生成、生成したフレームのスクランブル処理、前方エラー訂正(FEC:Forward Error Correction)等の処理を行う。OTNフレーマー25は、入力フレームのデスクランブル処理、オーバヘッド情報の抽出、フレームアラインメント信号の解釈、AIS(Alarm Indication Signal)の検出等が行われる。
【0032】
図1(A)に示す例では、スイッチ(SW)23は、
電気−光変換器(O/E)21の出力をOTNフレーマー24の入力に接続し、
OTNフレーマー25の出力を電気−光変換器(E/O)22の入力に接続し、
OTNフレーマー25の出力とOTNフレーマー24の入力間をオフ(遮断)状態としている。WDM装置3からの出力は、電気−光変換器(O/E)27、OTNフレーマー25、スイッチ23、電気−光変換器(E/O)22を介してクライアント装置1に入力され、クライアント装置1からの出力信号は、電気−光変換器(O/E)21、スイッチ23、OTNフレーマー24、電気−光変換器(E/O)26を介してWDM装置3に入力される。
【0033】
一方、図1(B)のトランスポンダ2’において、スイッチ23は、
OTNフレーマー25の出力をOTNフレーマー24の入力に接続し、
電気−光変換器(O/E)21の出力とOTNフレーマー24の入力間の接続をオフし、
OTNフレーマー25の出力と電気−光変換器(E/O)22の入力間の接続をオフし、WDM装置3’から出力された光信号は、電気−光変換器(O/E)27、OTNフレーマー25、スイッチ23、OTNフレーマー24、電気−光変換器(E/O)26のパスでWDM装置3’の入力にループバックされる。
【0034】
本実施例において、送受信用のトランスポンダ2と、再生中継用のトランスポンダ2’は、同一のハードウェア構成で実現し、図1(A)の経路4と、図1(B)の経路7(クライアント側のO/E(電気−光変換器)21、E/O(電気−光変換器)22と、OTNフレーマー24、25間の接続の切り替え)を遠隔地からの設定により、変更する。
【0035】
WDM装置において、上記した本実施例のトランスポンダを、通常アド/ドロップとして使用するが、障害時等に、回線の重要度等に応じて、ループバック機能に切替えることで再生中継器に切り替えて使用する。
【0036】
トランスポンダにおける、受信機用設定、再生中継用の信号経路4と経路7の切替は、例えばソフトウェア制御により行われ、遠隔からの操作を可能としている。例えばWDMネットワークに接続する装置監視システム(不図示)から、オペレータが対応するWDM装置にログインし、所望の設定条件に設定する。
【0037】
図2は、WDMネットワークにおけるWDM装置8(ノード装置)とWDM装置11(ノード装置)の間の光パスを例示している。
【0038】
図2において、光パスの設置当初は、WDM装置8→WDM装置9→WDM装置11の経路16で光パスが開通している。
【0039】
この時、トランスポンダ12と15は、図1(A)で示した送受信として使用されており、トランスポンダ13は、再生中継用として使用されている。
【0040】
トランスポンダ14は、この時点では、予備用としてWDM装置10に実装されているのみで、どの経路にも接続されていない。
【0041】
図2において、経路16に対し、WDM装置9→WDM装置11間の光接続部にて障害(光パス断)が発生したと想定する。
【0042】
経路16は、WDM装置8、9、10、11の光スイッチ機能にて、経路17に切り替わる。この時、トランスポンダ14は経路17を再生中継するために新たに使用される。
【0043】
経路17に切り替わる以前は、トランスポンダ14はクライアント装置(不図示)と接続され、WDM装置14〜WDM装置12間の経路103の光パスを構築しているものとする。経路16の障害により影響を受ける光パスの重要度は、経路103の光パスよりも高い場合、トランポンダ14内部のスイッチ23により経路7にて折り返し、経路17を張るために再生中継器として使用する。
【0044】
図3は、図2の1つのWDM装置(請求範囲のノード装置に対応)の構成を示す図である。なお、図2のWDM装置は基本的に同一構成とされる。WDM装置100は、トランスポンダ106、119、WDM伝送路124からの信号を受ける合分波器120、合分波器120からの信号を受ける光スイッチ123、光スイッチ123からの信号を受け、WDM伝送路125、126に出力する合分波器121、122を備えている。
【0045】
トランスポンダ106、119を備え、スイッチ105を介してクライアント装置104に接続される冗長構成とされる。トランスポンダ106、119は、それぞれ、図1を参照して説明したトランスポンダ2(2’)の構成を備えている。図3において、トランスポンダ106、119が接続する光スイッチ123は、図1のWDM装置3(3’)に対応する。
【0046】
通常動作時、トランスポンダ119が運用系となり、クライアント装置104と接続され、光スイッチ123を介してWDM伝送路125と接続される。トランスポンダ119に障害が発生すると、スイッチ105の切替により、トランスポンダ106がクライアント装置104と接続され、光スイッチ123がトランスポンダ119とWDM伝送路125間の接続を、トランスポンダ106とWDM伝送路125間の接続に切り替え、障害復旧を行う。
【0047】
トランスポンダ119に障害が発生していない場合、予備のトランスポンダ106は、WDM伝送路124からWDM伝送路126への再生中継器として用いてもよい。
【0048】
WDM伝送路124から入力された信号は、合分波器120、光スイッチ123を通りトランスポンダ119に入力されて再生中継を行う。再生中継後の信号は、光スイッチ123を通り、合分波器121でWDMの他の信号と合波(アド)され、WDM伝送路125に出力される。
【0049】
また、WDM伝送路125の先で障害が発生し、WDM伝送路126へ経路を変更する場合は、光スイッチ123が経路を切替える。
【0050】
図2における経路の切替は、オペレータが装置監視システム(不図示)から操作する場合、または、装置自身がGMPLS(Generalized Multi−Protocol Labeling Switch)等の機能を用いて自律的に制御する場合の二通りが考えられる。本実施例においては、切替機能の柔軟性(経路切替に波長縛り等の制限を与えない)を考慮して、トランスポンダの出力波長は、可変レーザを使用し、出力波長の切替もソフトウェア制御により遠隔操作が可能とされる。
【0051】
なお、光パスの機能において、切替制御の順序に留意する必要がある。図3において、トランスポンダ119の出力をオンとする場合は、光スイッチ123の経路が確定してから行う。光スイッチ123の経路確定前に、トランスポンダ119の出力をONとすると、他の信号の劣化を引き起こす場合がある。
【0052】
なお、図2の説明において、WDM装置10のトランスポンダ14は、障害時の経路切替で再生中継器として新たに利用すると説明したが、例えば新サービス(光パス)をWDM装置10を起点として開通する時は、送受信機としても利用可能である。
【0053】
図4は、本発明の別の実施例の構成を示す図である。図4を参照すると、トランスポンダ2”において、スイッチ23’は、図1(B)に説明したように、OTNフレーマー25の出力を折り返してOTNフレーマー24の入力に接続するとともに、さらにOTNフレーマー25の出力を電気−光変換器22の入力に接続し、受信信号をクライアント装置1に入力する。スイッチ23’を、クライアント装置1への経路と、WDM装置3”への戻り経路の両方を選択することで、クライアント装置1に出力される信号と同じ信号を再生中継したのちに、WDM装置3”に出力(マルチキャスト)することができる。本実施例によれば、マルチキャスト信号の受信用と、マルチキャスト信号を下流に伝送するための再生中継用とで2台必要とされたトランスポンダを1台で実現することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施例においては、以下に記載するような作用効果を奏する。
【0055】
本実施例によれば、トランスポンダを受信用と再生中継用とで共通化出来る。この共通化により予備用のトランスポンダ購入費用の削減が可能となる。
【0056】
本実施例によれば、予備のトランスポンダを各WDM装置に実装しておくことで、急なサービス立ち上げ時には送受信機としてトランスポンダを使用することと、送受信機として使用しない場合には、障害発生時の経路切替の再生中継用としてトランスポンダが利用できる。
【0057】
本実施例によれば、トランスポンダの再生中継器としての遠隔設定と、光スイッチの経路変更の遠隔設定により、新サービスの開通や障害時の経路迂回時に新たな光パスの開通時間の短縮を実現し、運用工数の削減および経路切替による装置の信頼性の向上を実現する。
【0058】
本実施例によれば、クライアント装置への経路と、WDM装置への戻り経路の両方を選択することで、マルチキャスト信号の受信用と、マルチキャスト信号を下流に伝送するための再生中継用とで2台必要とされたトランスポンダを1台で実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
WDMネットワークにおけるトランスポンダの機能メニューおよび、WDMネットワークの障害迂回機能に適用される。
【0060】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(A)、(B)は本発明の一実施例のトランスポンダの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例のトランスポンダの構成を示す図である。
【図3】図2のWDM装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の別の実施例のトランスポンダの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 クライアント装置
2、2’、2” トランスポンダ
3、3’、3” WDM装置(光スイッチ)
4 経路
7 経路(折り返し)
8、9、10、11 WDM装置
12、13、14、15 トランスポンダ
16、17、103 経路
21、27 電気−光変換器
22、26 電気−光変換器
23、23’ スイッチ
24 OTNフレーマー
25 OTNフレーマー
100 WDN装置
104 クライアント装置
105 スイッチ
106、119 トランスポンダ
120、121、122 合分波器
123 光スイッチ
124、125、126 WDM伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光回線の終端機能を備え、
送信受信機能と、受信信号の折り返しによる再生中継機能とを切替える手段を備える、ことを特徴とするトランスポンダ。
【請求項2】
受信端として機能するとともに、前記受信端で受信した信号と同一の信号を折り返し再生中継することでマルチキャストする制御を行う、ことを特徴とする請求項1記載のトランスポンダ。
【請求項3】
クライアント装置から出力された信号を光で受け、電気、光に変換してWDM(波長多重分割)装置の入力に出力する送信端、及び、前記WDM装置から出力された信号を光で受け、電気、光に変換して前記クライアント装置の入力に出力する受信端として機能する第1の接続状態と、
前記WDM装置から出力された信号を光で受け電気信号に変換して折り返したのち光に変換し前記WDM装置の入力に出力する第2の接続状態と、
を切替えるスイッチ部を備えている、ことを特徴とする請求項1記載のトランスポンダ。
【請求項4】
前記スイッチ部は、前記WDM装置から出力された光信号を受信し前記クライアント装置に光信号を出力する受信端として機能するとともに、前記WDM装置から出力された光信号を受信して折り返し前記WDM装置に光信号を出力する第3の接続形態に切替自在とされる、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトランスポンダ。
【請求項5】
前記クライアント装置から出力される光信号を受信し電気信号に変換する第1の光−電気変換器と、
前記第1の光−電気変換器から出力される電気信号を入力し、光伝送網用の送信信号を出力する送信ユニットと、
前記送信ユニットから出力される送信信号を光信号に変換しWDM(波長多重分割)装置の入力に出力する第1の電気−光変換器と、
前記WDM装置から出力される光信号を受信し電気信号に変換する第2の光−電気変換器と、
前記第2の光−電気変換器から出力される電気信号を入力して受信信号を出力する受信ユニットと、
前記受信ユニットから出力される受信信号を光信号に変換し前記クライアント装置の入力に出力する第2の電気−光変換器と、
前記受信ユニットの出力と前記送信ユニットの入力間の折り返し接続、
前記第1の光−電気変換器の出力と前記送信ユニットの入力間の接続と前記受信ユニットの出力と前記第2の電気−光変換器の入力間の接続、
をオン・オフ制御するスイッチ部と、
を備えている、ことを特徴とする請求項1又は2記載のトランスポンダ。
【請求項6】
前記WDM装置は、前記トランスポンダに接続される光スイッチを含み、前記光スイッチは前記トランスポンダとともに、WDMネットワークに接続するWDM装置を構成する、ことを特徴とする請求項4又は5記載のトランスポンダ。
【請求項7】
前記スイッチ部の接続の切替は、前記WDMネットワークを介して、遠隔から設定自在とされる、ことを特徴とする請求項6記載のトランスポンダ。
【請求項8】
WDMネットワークに接続されるノード装置であって、
WDM伝送路間での経路の切替を行う光スイッチと、
前記光スイッチと接続される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のトランスポンダと、
を備えた、ことを特徴とするノード装置。
【請求項9】
クライアント装置に接続され、前記光スイッチへの光信号の送信、前記光スイッチへの光信号の受信を行う送受信端として機能していた前記トランスポンダは、前記ノード装置が接続する経路に障害発生時に、再生中継機能に切替えられ、前記光スイッチにて、障害が発生した経路とは別の経路に接続する、ことを特徴とする請求項8記載のノード装置。
【請求項10】
WDM伝送路間の経路の切替を行う光スイッチとクライアント装置間に、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複数のトランスポンダを、運用系と予備系の冗長構成として備え、
冗長構成のトランスポンダのうち、運用系のトランスポンダが切替スイッチを介して前記クライアント装置に接続される、ノード装置。
【請求項11】
予備系のトランスポンダを再生中継用のトランスポンダとして機能する請求項10記載のノード装置。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1項に記載のノード装置を複数備えたWDMネットワークシステム。
【請求項13】
WDM(波長分割多重)ネットワークに接続されるノードにおいて、1つのトランスポンダを送受信端機能と再生中継機能とに切替自在とし、
送受信端として機能していた一のノードのトランスポンダを、前記一のノードが接続する経路に障害発生時、再生中継機能に切替え、前記一のノードの光スイッチ機能にて、前記障害が発生した経路とは別の経路に接続する、ことを特徴とするWDMネットワークにおける再生中継方法。
【請求項14】
前記ノードにおいて複数の前記トランスポンダを冗長構成に設け、
冗長構成の複数のトランスポンダのうち運用系のトランスポンダが切替スイッチを介してクライアント装置に接続される、ことを特徴とする請求項13記載のWDMネットワークにおける再生中継方法。
【請求項15】
予備系のトランスポンダを、再生中継用のトランスポンダとして機能させる、ことを特徴とする請求項14記載のWDMネットワークにおける再生中継方法。
【請求項16】
前記トランスポンダの送信受信端機能と再生中継機能との切替が、前記WDMネットワークを介して、遠隔から設定自在とされている、ことを特徴とする請求項13記載のWDMネットワークにおける再生中継方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−41602(P2010−41602A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204603(P2008−204603)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】