説明

波長可変フィルタおよび波長可変レーザ

【課題】低損失でかつ波長無依存可変動作および平坦性スペクトル特性が可能な波長可変フィルタおよびそれを用いた高出力でかつ安定な発振モード選択を可能にする広帯域波長可変レーザを提供する。
【解決手段】波長可変フィルタ100は、一対の入力導波路102および出力導波路104と、入力導波路および出力導波路に一定の間隔で配置された光結合器130,132と、光結合器を介して入力導波路と出力導波路との間を接続するN本のアレー導波路140とからなるラダー干渉型フィルタと、入力導波路および前記出力導波路の屈折率を変化させる手段110,112とを備える。アレー導波路は、入力導波路の入射端側に接続された1段目のアレー導波路からN段目のアレー導波路の順番に光路長差が減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は波長可変フィルタおよびそれを用いた波長可変レーザに関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークの処理容量増大のために波長多重光伝送方式が導入され、キーデバイスとなる広帯域波長可変フィルタおよび波長可変レーザの重要性はますます高まりつつある。ラダー干渉型フィルタは数十nmに及ぶ広帯域波長可変性および数ナノ秒程度の高速可変性を持っている(例えば、非特許文献1および2参照)。また、ラダー干渉型フィルタを発振モードセレクタとして用いた波長可変レーザ(例えば、非特許文献3参照)も報告されている。
【0003】
【非特許文献1】S.Matsuo et al, “A Widely Tunable Optical Filter Using Ladder-Type Structure”, IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, VOL.15,NO.8, AUGUST 2003, pp.1114-1116
【非特許文献2】S.-H. Jeong et al, “Flat-Topped Spectral Response in a Ladder-Type Interferometric Filter”, IEICE TRANSACTION ON ELECTRONICS, VOL.E88-C, NO.8, AUGUST 2005, pp.1747-1754
【非特許文献3】S.Matsuo et al, “Digitally Tunable Laser Using Ladder Filter and Ring Resonator”, Proceedings ECOC 2003, September 2003, pp.884-885 非特許文献1に報告されたラダー干渉型波長可変フィルタを図17に示す。図17に示すラダー干渉型波長可変フィルタ1700は、一対の入力導波路1731および出力導波路1732と、入力導波路1731および出力導波路1732にそれぞれ配置された光結合器1733−1〜1733−Nおよび1734−1〜1734−Nと、光結合器を介して入力導波路と出力導波路との間を接続するN本のアレー導波路1735−1〜1735−Nとを備える。また、ラダー干渉型波長可変フィルタ1700は、入力導波路1731の実行屈折率を制御する電極1736−1〜1736−N−1および電極1737−1〜1737−N−1を、それぞれ光結合器1733−1〜1733−N−1の間および光結合器1734−1〜1734−N間に備える。
【0004】
ラダー干渉型波長可変フィルタ1700は、電極1736および電極1737から注入する電流を制御することにより、入力導波路1731および出力導波路1732の実効屈折率を制御し、波長可変動作を得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図17に示すラダー干渉型波長可変フィルタ1700は、原理損失が3dB前後と比較的に大きいほか、波長可変動作の際、電流注入による吸収損失および光結合器の波長依存結合器特性により、中心ピークの透過率が大きく減少してしまう欠点があった。
【0006】
また、波長多重光通信用の光合分波器で用いる波長フィルタは光信号パルス波形のひずみを防ぐとともに光源として用いる半導体レーザおよび波長フィルタそのものの温度制御の許容範囲を広げるために透過帯域内で平坦性スペクトル特性を有することが望ましい。図17に示すラダー干渉型波長可変フィルタ1700の場合、スペクトル特性が通常Sinc関数型になるので、平坦性スペクトルを得ることが困難であったが、最近、図18に示す構成により、ラダー干渉計の伝達関数を変形して、平坦性スペクトルが得られることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0007】
図18に示すラダー干渉型波長可変フィルタ1800は、一対の入力導波路1831および出力導波路1832と、入力導波路1831および出力導波路1832にそれぞれ一定の間隔で配置された光結合器1833−1〜1833−Nおよび1834−1〜1834−Nと、光結合器を介して入力導波路と出力導波路との間を接続するN本のアレー導波路1835−1〜1835−Nからなるラダー干渉型フィルタとを備える。また、ラダー干渉型波長可変フィルタ1800は、入力導波路1831の入射端側に接続された1段目のアレー導波路1835−1から1835−N−1まで順番に一定の光路長差ΔSを有する領域1840と、N−1段目のアレー導波路1835−N−1からN段目のアレー導波路1835−Nまで光路長差pΔS(pは自然数)を有する領域1842とが直列結合されている。
【0008】
しかし、図18に示すラダー干渉型波長可変フィルタ1800は平坦性スペクトル設計に伴い、原理損失が4dBまで増大する欠点があった。
【0009】
一方、ラダー干渉型フィルタは利得媒質である半導体光増幅器(SOA;semiconductor optical amplifier)と組み合わせることにより、広帯域波長可変レーザとして応用可能である。非特許文献3に報告されている波長可変レーザの構造図を図19に示す。
【0010】
図19に示す波長可変レーザ1900は、ラダー干渉型フィルタ1930、リング共振器1910およびSOA1908から構成され、それぞれ発振モードセレクタ、発振波長ロックフィルタおよび利得媒質として機能する。この場合、発振波長ロックフィルタは単一モード発振のためにも必要不可欠であるものの、ラダー干渉型フィルタに直列接続することにより、レーザ共振器内部での挿入損失が増大し、レーザの出力パワーが低減される欠点があった。発振波長ロックフィルタを省けば、出力強度に関する問題は解消するが、単一モード発振およびデジタル的波長可変動作が得られない問題が生ずる。そのほか、波長可変動作のために、チューニング電流を注入すると、波長フィルタ領域での損失が増大し、出力強度の低減および発振しきい電流密度の増大に関する問題が生ずる。
【0011】
本発明は低損失でかつ波長無依存可変動作および平坦性スペクトル特性が可能な波長可変フィルタを提供することを目的とする。また、高出力でかつ安定な発振モード選択を可能にする広帯域波長可変レーザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、一対の入力導波路および出力導波路と、前記入力導波路および前記出力導波路に一定の間隔で配置された光結合器と、前記光結合器を介して入力導波路と出力導波路との間を接続するN本(N;3以上の自然数)のアレー導波路とからなるラダー干渉型フィルタと、前記入力導波路および前記出力導波路の屈折率を変化させる手段とを備えた波長可変フィルタであって、前記アレー導波路は、前記入力導波路の入射端側に接続された1段目のアレー導波路からN段目のアレー導波路の順番に光路長差が減少することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記光結合器のパラメータは、最適化されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、波長可変時に生じるスペクトル応答の波長依存性を解消できる波長可変フィルタを提供することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の前記アレー導波路は、前記入力導波路の入射端側に接続された1段目のアレー導波路からN−1段目のアレー導波路の順番に一定の光路長差で減少し、N−1段目のアレー導波路とN段目のアレー導波路の光路長差のみ前記一定の光路差長のp倍(pは1<pの実数)で減少し、N段目のアレー導波路を前記入力導波路および前記出力導波路の少なくとも一方の前記光結合器のパラメータは、最適化されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、平坦性フィルタスペクトル特性が得られる波長可変フィルタを提供することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の前記アレー導波路は、1段目のアレー導波路からN段目のアレー導波路まで光路長差の変化が分布的に減少することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、所望のピーク波長以外での周期的透過ピークをすべて抑圧できる波長可変フィルタを提供することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、一対の入力導波路および出力導波路と、前記入力導波路および前記出力導波路に一定の間隔で配置された光結合器と、前記光結合器を介して入力導波路と出力導波路との間を接続するN本(N;4以上の自然数)のアレー導波路とからなるラダー干渉型フィルタと、前記入力導波路および前記出力導波路の屈折率を変化させる手段とを備えた波長可変フィルタであって、前記アレー導波路は、前記入力導波路の入射端側に接続された1段目のアレー導波路からj段目(jは2≦j≦N−1の自然数)のアレー導波路の順番に光路長差が一定の長さで増加し、j段目のアレー導波路からN段目のアレー導波路の順番に光路差長が前記一定の長さで減少することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、櫛状のスペクトル特性を有する波長可変フィルタを提供することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、波長可変レーザであって、請求項5に記載の波長可変フィルタと、前記波長可変フィルタの前記入力導波路および第2の光結合器を介して前記波長可変フィルタの前記出力導波路に接続された半導体光増幅器と、前記第2の光結合器に接続された1つまたは複数の光導波路とを備え、前記波長可変フィルタの前記入力導波路および前記出力導波路の屈折率を変化させる前記手段により発振波長を一定周波数間隔で可変することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、波長可変フィルタの入力導波路および出力導波路の屈折率を制御することにより発振波長を一定周波数間隔で可変することができる波長可変レーザを提供することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、波長可変レーザであって、請求項1乃至4のいずれかに記載の波長可変フィルタと、リング共振器と、前記波長可変フィルタの前記入力導波路および前記出力導波路とそれぞれ光結合器および前記リング共振器を介して接続された半導体増幅器と、前記第2の光結合器に接続された光導波路とを備えたことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、発振波長可変時に出力光パワーおよび発振しきい密度が一定に保たれた波長可変レーザを提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば素子パラメータを適正化することでフィルタスペクトルの低損失化、波長無依存特性、平坦性スペクトル特性、櫛状スペクトル特性および単一透過帯域特性が得られる。したがって、波長可変フィルタとしては広帯域波長可変性や光信号のひずみ防止が達成でき、波長可変レーザとしては簡便な発振モード制御、発振波長安定化および一定な発振しきい電流密度が達成でき、それぞれフィルタやレーザとしての応用範囲を格段に広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
(実施形態1)
図1を参照して本発明の波長可変フィルタの第1の実施形態を説明する。図1に示す波長可変フィルタ100は、一対の入力導波路102および出力導波路104と、入力導波路102および出力導波路104の各々に所定の間隔で配置された光結合器130−1〜130−Nおよび132−1〜132−Nと、光結合器130−1〜130−Nおよび132−1〜132−Nを介して入力導波路102と出力導波路104との間を接続するN本(N;3以上の自然数)のアレー導波路140−1から140−Nとから構成されたラダー干渉型フィルタを備える。波長可変フィルタ100は、入力導波路および出力導波路の屈折率変化させる手段としての電極110−1〜110−N−1および112−1〜112−N−1をさらに備える。
【0027】
入力導波路102に配置された光結合器130−1〜130−Nの間隔はLであり、出力導波路104に配置された光結合器132−1〜132−Nの間隔はLである。
【0028】
N本のアレー導波路のうち、入力導波路102の入射端(入力ポート)側のアレー導波路140−1を1段目のアレー導波路とした場合、アレー導波路長は1段目を基準として2段目からN段目のアレー導波路まで順次ΔLずつ減少する。
【0029】
図17に示す従来の波長可変フィルタと比較すると、波長可変フィルタ100では、入力導波路および出力導波路を伝搬する光波の向きが逆となっている。
【0030】
本実施形態では、波長可変フィルタ100の入力ポートから出力ポートまで光パスのうち、隣接するアレー導波路を経由する光パスにおける光路長差ΔSは、次式で表すことができる。
ΔS=L+L−ΔL ・・・(1)
このとき、次式を満たす波長(λ)で波長可変フィルタ100の透過率が最大になる。ここで、neffおよびmは導波路の実効屈折率およびラダー干渉計の回折次数である。
λ=(neffΔS)/m ・・・(2)
【0031】
図2に、波長可変フィルタ100のスペクトル特性を図2に示す。図2に示すスペクトル特性は、波長可変フィルタ100の光結合器130−1〜130−Nおよび132−1〜132−Nにおけるクロスポートへの光結合率(k)がそれぞれ0.28,0.5,0.72,0.85および0.95の場合のスペクトル特性である。クロスポートへの光結合率(k)とは、図1に記載された光結合器132−1の拡大図を参照すると、光結合器の右下のポートからの光が左上のポートに抜ける光の割合である。また、アレー導波路140−1と接続された光結合器の右上のポートからの光が左上のポートに抜ける光の割合をバーポートへの光結合率(k=1−k)である。
【0032】
この数値解析ではアレー導波路本数を15本、回折次数を35、およびλ(δλ=0)を1.57μmと設定している。また、光導波路の伝搬損失および光結合器の過剰損失は無視している。
【0033】
図2に示すように、kが0.72より大きくなると、ピーク透過率が減少する傾向にある。つまり、このピーク透過率の減少はフィルタの原理損失である。一方、kが0.72より小さくなると、原理損失を解消させることができる。
【0034】
光結合器130,132として、コンパクトさに優れている多モード干渉(MMI;multimode interference)結合器を適用することができる。この場合、図1に示す本発明のラダー干渉型フィルタは光結合器の波長依存性の影響を受ける。
【0035】
図3に、MMI導波路幅が5.2μm、kが0.85、およびkが0.15となるMMI結合器の波長依存性を示す。いずれのMMI結合器の中心波長(λMMI=1.5nm,1.55nm,1.6nm)についても、λMMIから離れるにしたがって、kおよびkはともに減少することがわかる。
【0036】
図4に、本実施形態の波長可変フィルタ100において光結合器130,132として上記のMMI結合器を用いた場合の波長スペクトル特性を示す。透過帯域が自由スペクトル間隔(FSR;free-spectral range)ごとに周期的に現れる特徴を有することがわかる。但し、図3に示すように、kおよびkの波長依存性のため、λ(=1.57μm)に隣接する透過帯域の透過率は減少する。つまり、これは波長可変フィルタの透過帯域を変化させると、過剰損失が発生することを意味する。
【0037】
本実施形態の波長可変フィルタ100は、入力導波路102および出力導波路104の実効屈折率を熱、電界引加あるいは電流注入などにより制御すれば、ピーク波長の可変動作を得ることができる。
【0038】
本実施形態の波長可変フィルタ100は入力導波路102および出力導波路104の実効屈折率を変化させる手段としての電極110,112を備える。すなわち、電極110,112を介して印加する電圧あるいは注入する電流を制御して、入力導波路102および出力導波路104の実効屈折率を制御することができる。
【0039】
図5に、本実施形態の波長可変フィルタ100の構造を示す。図5に示す構造は、エピタキシャル基板の層構造であり、n型InP基板504上にnドープInP層506、ノンドープGaInAsP層(バッファギャップ波長λ=1.4μm)508、pドープInP層510、pドープInP層512、pドープInGaAs層514が成膜されている。pドープInGaAs層514上およびn型InP基板504の裏面にそれぞれAuZnNi電極516およびAuGeNi電極502を形成している。
【0040】
入力導波路102の光結合器間(L)の領域および出力導波路104の光結合器間(L)の領域に電界引加もしくは電流注入することにより屈折率を減少させるとラダー干渉計の光路長差が減少し、λは短波長側へシフトする。この場合、LおよびLでの屈折率変化によるλの波長シフト量はそれぞれ次式のように決まる。Δneff‐1およびΔneff‐2はそれぞれLおよびLでの屈折率変化量である。
Δλ=(Δneff‐1)/m ・・・(3)
Δλ=(Δneff‐2)/m ・・・(4)
このとき、フィルタ全体の波長可変範囲(Δλ)は以下のように表される。
Δλ=Δλ+Δλ ・・・(5)
【0041】
図1に示す波長可変フィルタ100において、LおよびLを100μmに設定し、電流注入によりΔneff‐1およびΔneff‐2をそれぞれ0.2%程度制御することによって、37nmに及ぶ広帯域波長可変動作を得ることが確認できた。
【0042】
本実施形態では光結合器としてMMI結合器を適用した例を示したが本発明はこれに限るものではなく、二本の導波路が近接して配置された方向性結合でも実現できる。
【0043】
方向性結合器の場合は、その構成上入力導波路を進行していく光がバーポート、アレー導波路を進行していく光がクロスポートとなる。したがって、図2を参照して説明したMMI光結合器の結合率例Kc=0.85は、方向性結合器ではKb=0.85となるが、いずれの場合も、結果は図3と全く同じである。
【0044】
方向性結合器の場合は、二本の導波路間隔が狭くなるほどまた、光結合器が長くなるほどクロスポートへの光出力(Kc)が大きくなる。具体的には光結合器の長さを100ミクロン、二本の導波路間隔を0.5ミクロンとすることでKb=0.85とすることができる。
【0045】
(実施形態2)
引き続き図1を参照して、本発明の波長可変フィルタの第2の実施形態を説明する。通常、InP系半導体材料において電流注入による屈折率制御は吸収損失を伴う。したがって、図1に示す本発明の波長可変フィルタへの注入電流量の増加にしたがって、吸収損失およびMMI結合器の波長依存性によりλの透過率は減少することになり、実用的応用性に欠ける。
【0046】
しかし、本発明の波長可変フィルタはMMI結合器のパラメータを適正化することにより、波長可変動作の際に発生するλの透過率の減少を著しく抑圧することができる。
【0047】
MMI結合器の結合係数に対する最適なMMI導波路長およびMMI導波路幅が存在し、最適なMMI導波路長(LMMI)およびMMI導波路幅(WMMI)の関係は次式で表すことができる。tは結合係数に対応する係数を示し、結合係数k:kが15:85のときt=1となる。なお、本明細書中において、MMI導波路長LMMI、MMI導波路幅WMMI、MMI結合器の中心波長λMMI、および結合係数に対応する係数tをMMI結合器のパラメータという。
MMI=t×neff×WMMI×WMMI/λMMI ・・・(6)
このとき、λMMIが含まれるため、設定したλMMIからずれた波長で本実施形態の波長可変フィルタを使用すると損失となって現れることになる。
【0048】
したがって、λMMI−FSRとなるようにλMMIを設定(最適化)し、さらに上記式を満たすようにLMMIおよびWMMIを設定(最適化)することにより、MI結合器の波長依存性が電流注入による吸収損失を補うことができる。
【0049】
図6(a)に波長可変フィルタ100においてλMMI=λ(通常)とした場合の波長可変スペクトル特性を、図6(b)にλMMI=λ−FSR(最適化)の場合の波長可変スペクトル特性を示す。ここで図6(a)中の括弧内の数値は波長可変フィルタ100の入力導波路102の光結合器間(L)の領域および出力導波路104の光結合器間(L)の領域へそれぞれ注入された電流量を表している。
【0050】
図6(a)に示すように、λMMIを最適化しない場合、注入電流量が増大するにしたがってλの透過率が5dB以上減少してしまう。一方、図6(b)に示すように、λMMIが適切に設定された場合、MMI結合器の波長依存性が電流注入による吸収損失を補うため、λの透過率の減少が1dB程度に抑えられ、擬波長無依存可変シフト動作が可能になる。本発明の波長無依存可変シフト手法は電流注入のない場合、過剰損失を伴う欠点があるものの、波長可変動作の際、スペクトル特性が一定に保たれる面から極めて有効である。
【0051】
(実施形態3)
図7を参照して、本発明の波長可変フィルタの第3の実施形態を説明する。図7に示す波長可変フィルタ700は平坦性スペクトルを有する。波長可変フィルタ700は、一対の入力導波路702および出力導波路704と、入力導波路702および出力導波路704の各々に所定の間隔で配置された光結合器730−1〜730−Nおよび732−1〜732−Nと、光結合器730−1〜730−Nおよび732−1〜732−Nを介して入力導波路702と出力導波路704との間を接続するN本(N;3以上の自然数)のアレー導波路740−1から740−Nとから構成されたラダー干渉型フィルタを備える。波長可変フィルタ700は、入力導波路および出力導波路の屈折率変化させる手段としての電極(図示しない)をさらに備える。
【0052】
また、波長可変フィルタ700は、第1の実施形態の波長可変フィルタ100の構造と同様に、図5に示す構造を有する。
【0053】
入力導波路702に配置された光結合器730−1〜730−Nの間隔はLであり、出力導波路704に配置された光結合器732−1〜732−Nの間隔はLである。
【0054】
N本のアレー導波路のうち、入力導波路702の入射端(入力ポート)側のアレー導波路740−1を1段目のアレー導波路とした場合、アレー導波路長は1段目を基準として2段目からN−1段目のアレー導波路まで順次ΔLずつ減少する。また、N段目のアレー導波路は、N−1段目のアレー導波路よりもp×ΔL(pは1<pの実数)だけ減少している。
【0055】
すなわち、本実施形態の波長フィルタ700は(N−2)段の低回折次数領域722および1段の高回折次数領域724で構成される。低回折次数領域722におけるアレー導波路(740−1〜740−N−1)の光路長差に比べ、高回折次数領域におけるアレー導波路740−Nの光路長差はp倍(pは1<pの実数)大きくなっている。
【0056】
また、図1の第1の実施形態の波長可変フィルタ100に比べ、本実施形態の波長可変フィルタ700は、高回折次数領域724におけるMMI結合器の接続形態および光結合率が異なり、光導波路を伝搬する光波の位相および振幅を変化させることができる。すなわち、本実施形態の波長可変フィルタ700の高回折次数領域724において、MMI結合器が入力導波路702または出力導波路704と接続されるポートの位置、および/またはMMI結合器のパラメータが最適化されている。
【0057】
アレー導波路本数Nを15本、低回折次数領域の回折次数を35とした場合、平坦性スペクトルを得るためのパラメータpは次式のように表される。
p=(0.85L+0.85L+1.85ΔL)/ΔL ・・・(7)
低回折次数領域722における光結合器730−1〜730−N−1および731−1〜732−N−1のパラメータは、実施形態1において図2を参照して説明したように、クロスポートへの結合係数kが85(k:kが15:85)となるように設定されている。さらに、低回折次数領域722における光結合器730−1〜730−N−1および731−1〜732−N−1のパラメータは、式(6)を満たすように最適化されるようにすることが望ましい。
【0058】
また、高回折次数領域724において出力導波路704に配置された光結合器732−Nは、MMI結合器であり、クロスポートへの結合率(k)は0.5と設定されている。バーポートへの結合率k=1−k=0.5である。したがって、結合係数に対応する係数tは0.5であり、MMI導波路長LMMI、MMI導波路幅WMMIは、式(6)を満たすように最適化されている。また、入力導波路702に配置された光結合器730−Nは、出力導波路704に配置された光結合器732−Nと同様に最適化されている。ただし、光結合器730−Nおよび光結合器732−Nの少なくとも一方が最適化されていればよい。
【0059】
図8の(a)および(b)に、図1の波長可変フィルタ100および本実施形態の波長可変フィルタ700のスペクトル特性をそれぞれ示す。これらは、特に電流注入等を行わずに、入力側から広いスペクトル帯域を持つASE光源からの光を入射し、出力側で出力スペクトルを測定し規格化したものである。
【0060】
図8に示すように、波長可変フィルタ700はアレー導波路の光路長差、およびMMI結合器の光結合率を適正化することにより、平坦性スペクトル特性が容易に得られる。すなわち、アレー導波路の光路長差を最適化するとともに、所望の光結合率が得られるようにMMI結合器のパラメータを適正化して配置することにより、平坦性スペクトル特性が容易に得られる。
【0061】
この場合、平坦性スペクトル化によるλの原理損失は1.1dBであり、従来素子(例えば、非特許文献2参照)に比べ、原理損失を2.9dB以上増大することができる。
【0062】
尚、本実施形態の波長フィルタ700の電極に電界引加もしくは電流注入することによって、入力導波路102および出力導波路104の屈折率を制御することにより、波長可変動作が可能になることは言うまでもない。
【0063】
また、本実施形態では光結合器としてMMI結合器を適用した例を示したが本発明はこれに限るものではなく、方向性結合でも実現できる。
【0064】
(実施形態4)
図9および10を参照して、本発明の波長可変フィルタの第4の実施形態およびそれを用いた波長可変レーザの実施形態を説明する。
【0065】
本発明の波長可変フィルタは広帯域波長可変性を有するため、図9に示すように、SOAとの集積化により広帯域波長可変レーザとして応用可能である。図9に示す波長可変レーザ900は、本発明に係る波長可変フィルタと、波長可変フィルタの入力導波路および出力導波路とそれぞれ光結合器906およびリング共振器910を介して接続された半導体増幅器908とを備える。また、波長可変レーザ900は、光結合器906に接続されたレーザ光出力用の光導波路を備える。
【0066】
しかし、図4に示されているように、本発明の波長可変フィルタはスペクトル特性と関係なく透過帯域がFSRごと周期的に現れ、本発明の波長可変フィルタのFSRがSOAの利得帯域より狭い場合、多モードレーザ発振することが懸念される。この問題を解消するためにはラダー干渉型フィルタが単一透過帯域を有することが必要不可欠となる。
【0067】
図10に、本実施形態の波長可変フィルタ1000を示す。波長可変フィルタ1000は図9に示す波長可変レーザの波長可変フィルタとして用いることができる。
【0068】
波長可変フィルタ1000は、一対の入力導波路1002および出力導波路1004と、入力導波路1002および出力導波路1004の各々に所定の間隔で配置された光結合器1030−1〜1030−Nおよび1032−1〜1032−Nと、光結合器1030−1〜1030−Nおよび1032−1〜1032−Nを介して入力導波路1002と出力導波路1004との間を接続するN本(N;3以上の自然数)のアレー導波路1040−1から1040−Nとから構成されたラダー干渉型フィルタを備える。波長可変フィルタ1000は、入力導波路および出力導波路の屈折率変化させる手段としての電極およびをさらに備える。
【0069】
入力導波路1002に配置された光結合器1030−1〜1030−Nの間隔はLであり、出力導波路1004に配置された光結合器1032−1〜1032−Nの間隔はLである。
【0070】
図1に示す構造ではアレー導波路の光路長差がΔLずつ一定に減少したことに対し、本実施形態の波長可変フィルタ1000はそれぞれのアレー導波路の光路長差が不均一に減少する、すなわち、それぞれのアレー導波路の光路長差が分布的に減少する。N本のアレー導波路のうち、入力導波路1002の入射端(入力ポート)および出力導波路1004側のアレー導波路1040−1を1段目のアレー導波路とした場合、q段目(qは1≦q≦N−1の自然数)のアレー導波路とq+1段目のアレー導波路との光路長差は、波長可変フィルタ1000のアレー導波路の光路長差は以下のように表される。
=((m+(q−N/2)γ)λ)/neff ・・・(8)
パラメータγはアレー導波路の光路長差における変調の勾配を表す。ここではアレー導波路の光路長差の変調をチャーピングと定義する。通常、γは整数であるが、γが正の整数の場合を正チャーピングと定義し、γが負の整数の場合を負チャーピングと定義する。
【0071】
図11(a)および(b)に、本実施形態のチャーピングした波長可変フィルタのスペクトル特性を示す。図11の(a)および(b)はそれぞれ負チャーピングおよび正チャーピングを施した場合のスペクトル特性である。この場合、N、mおよびγはそれぞれ15、35および4である。図11に示すように、γの符号と関係なくチャーピングによる単一透過帯域を得ることができる。但し、γの符号により、スペクトル特性は異なる。負チャーピングの場合、γの絶対値が増大するにしたがって、帯域幅が狭くなり、発振モード制御に有効であるが、不要な透過帯域の抑圧比が比較的小さくなる。一方、正チャーピングの場合、γの絶対値が増大するにしたがって、帯域幅が広くなり、発振モード制御に不利であるが、単一モード発振を得るには十分な帯域幅を有する。加えて、不要な透過帯域の抑圧比が10dB近く大きいため、発振モード安定化に有利である。したがって、本実施形態の波長可変レーザの場合、発振モード制御性および発振波長安定化の観点から正チャーピングを施したラダー干渉型フィルタが有効である。
【0072】
(実施形態5)
図12を参照して本発明の波長可変フィルタの第5の実施形態を説明する。図12に示す波長可変フィルタ1200は、一対の入力導波路1202および出力導波路1204と、入力導波路1202および出力導波路1204の各々に所定の間隔で配置された光結合器1230−1〜130−Nおよび1232−1〜1232−Nと、光結合器1230−1〜1230−Nおよび1232−1〜1232−Nを介して入力導波路1202と出力導波路1204との間を接続するN本(N;4以上の自然数)のアレー導波路1240−1から1240−Nとから構成されたラダー干渉型フィルタを備える。波長可変フィルタ1200は、入力導波路および出力導波路の屈折率変化させる手段としての電極をさらに備える。
【0073】
入力導波路1202に配置された光結合器1230−1〜1230−Nの間隔はLであり、出力導波路1204に配置された光結合器1232−1〜1232−Nの間隔はLである。
【0074】
N本のアレー導波路のうち、入力導波路1202の入射端(入力ポート)側のアレー導波路140−1を1段目のアレー導波路とした場合、アレー導波路長は1段目を基準として2段目からj段目(jは2≦j≦N−1の自然数)のアレー導波路まで順次ΔLずつ増加する。また、j段目を基準としてj+1段目からN段目のアレー導波路まで順次ΔLずつ減少する。すなわち、図12に示す波長可変フィルタ1200では、光波が伝搬するにしたがって、アレー導波路の光路長差が増大する領域1222および減少する領域1224が従属接続されている構造である。アレー導波路の光路長差が増大および減少する領域におけるラダー干渉計の光路長差はそれぞれ以下のようになる。
ΔS=L+L+ΔL ・・・(9)
ΔS=L+L−ΔL ・・・(10)
この場合、アレー導波路の光路長差が増大および減少する領域はそれぞれアレー導波路本数2本以上で構成される。また、電極は、アレー導波路の光路長差が減少する領域における入力導波路1202および出力導波路1204の各光結合器の間に配置される。
【0075】
図13に、波長可変フィルタ1200のスペクトル特性を示す。これらは、特に電流注入等を行わずに、入力側から広いスペクトル帯域を持つASE光源からの光を入射し、出力側で出力スペクトルを測定し規格化したものである。アレー導波路の光路長差が増大する領域1222により波長フィルタの透過帯域は決まり、櫛状のスペクトル特性を示す。また、この櫛状のスペクトル特性はアレー導波路の光路長差が減少する領域1224よって決まる包絡線状のスペクトル特性により決まる。また、透過帯域幅は領域1222により決まり、透過帯域間の消光比は領域1224におけるスペクトル帯域幅により決まる。ここでは領域1222のFSRが100GHzによるように設定している。すなわち、次式を満たすように領域1224を構成している。ここで、cは真空中の光の速度を表す。
ΔS=c/(neff×FSR) ・・・(11)
【0076】
尚、本実施形態の波長可変フィルタ1200は、電極に電界を引加もしくは電流を注入することにより屈折率を制御し、波長可変動作が可能になる。この場合、屈折率制御を領域1224のみで行うことにより、櫛状のスペクトルは固定のまま、領域1224により決まる包絡線状のフィルタスペクトルのみをシフトさせることができ、領域1222におけるスペクトルのFSRに相当する波長成分を離散的に選択することができる。
【0077】
本実施形態の波長可変フィルタ1200は、SOAと組み合わせることにより、広帯域波長可変レーザとして応用可能である。
【0078】
(実施形態6)
図14を参照して本発明の波長可変レーザの実施形態を説明する。本実施形態は、図12に示す波長可変フィルタ1200を用いた波長可変レーザである。図14に示す波長可変レーザ1400は、波長可変フィルタ1200と、波長可変フィルタ1200の入力導波路および光結合器1406を介して波長可変フィルタ1200の出力導波路1204に接続されたSOA1408とを備える。また、波長可変レーザ1400は、光結合器1406に接続された光導波路(出力ポート)1402を備える。
【0079】
波長可変レーザ1400は、波長可変フィルタ1200がSOA1408と直列接続されたリングレーザ構造である。レーザの縦モード間隔は波長可変フィルタ1200において領域1222の最短パス(すなわち、1段目のアレー導波路を経由する光路)を通るリングキャビティ長で決まる。すなわち、リングキャビティ長をLcとすると、縦モード間隔FL(Hz)は、次式で表され、したがって、レーザ発振の安定性のためにはFLが大きい程良くそのためレーザキャビティ長Lcは短い程良いと言うことになる。
FL=c/(neff×Lc) ・・・(11)
波長可変フィルタ1200では、領域1222で決まる周期的透過帯域のうち1チャネルのみを、領域1224により選択することができる。これにより、透過率の一番高い縦モードが、波長可変フィルタ1200およびSOA1408を含むレーザ共振器内部で一番強い光帰還を得るため、レーザ発振が起きる。本実施形態の波長可変レーザの場合、波長可変フィルタ1200が発振周波数ロックおよび発振波長選択の役割を同時に果たすことのほか、レーザの共振器長が波長可変フィルタの入力導波路および出力導波路長に依存しないことから、従来の波長可変レーザ(例えば、非特許文献3参照)に比べ、レーザ共振器長が短縮できる。したがって、レーザの縦モード間隔が拡大でき、発振モード制御が容易になる。
【0080】
一方、レーザ発振において、副モード抑圧比はレーザ共振器内部のフィルタ消光比で決まり、レート方程式を解くことにより、定量的に見積もることができる。図15はレート方程式に基づく数値解析を用いて得られた発振モードでの副モード抑圧比を表している。レーザ共振器を構成する波長可変フィルタ1200における領域1222のFSRを100GHzと設定した場合、フィルタ消光比は1.3dBとなり、図15に示すように、レーザの発振モードでは45dB以上の抑圧比が得られ、良好な単一モード発振が得られる。また、領域1224のアレー導波路の光路長差をチャーピングすることにより、透過帯域の周期性が解消し、本発明の波長可変レーザの発振モードが安定化することができる。
【0081】
本実施形態の波長可変レーザ1400の場合、新たな発振波長ロックフィルタを設ける必要がないため、フィルタ挿入損失が低減でき、レーザの高出力化に適している。本実施形態の波長可変レーザは、波長可変フィルタ1200へ電流注入することにより、波長可変動作を得ることができる。領域1224の入力導波路および出力導波路への注入電流量によって発振波長は短波長側へシフトする。この場合、連続的な注入電流変化に対し、発振波長は領域1222におけるスペクトルのFSRごとデジタル的に変化する。
【0082】
尚、本実施形態の波長可変レーザは共振器長に相当する導波路領域(領域1222)にはチューニング電流が流れないため、波長可変動作の際に縦モードシフトを最小限に抑えることができ、発振モードに対する位相調整が極めて容易である特徴を有する。
【0083】
(実施形態7)
本発明の波長フィルタを用いた波長可変レーザの別の実施形態を説明する。図1を参照して実施形態2で説明したように、本発明の波長可変フィルタは擬波長無依存可変シフト動作が可能であるため、レーザの発振モードセレクタとして用いれば、波長可変レーザにおける発振しきい電流密度(Jth)や出力光強度を一定に保つことができる。
【0084】
したがって、本実施形態の波長可変レーザは、図9の波長可変レーザであって、λMMIを最適化した波長可変フィルタ100(図1)を波長可変フィルタとして用いる例である。
【0085】
図16に、波長可変フィルタ100においてλMMI=λ(通常)とした場合、およびλMMI=λ−FSR(最適化)とした場合について、波長可変フィルタへの電流注入による波長可変範囲に対する本実施形態の波長可変レーザの電流密度(Jth)をプロットしている。図16中の差込図では発振モードセレクタの波長依存性の有無に対する波長可変レーザのI−L特性をプロットしている。図中の挿入図(右下)は発振モードセレクタである本発明のラダー干渉型フィルタが波長依存性を持つ場合におけるレーザの出力特性を示し、挿入図(左上)は波長依存性を持たない場合におけるレーザの出力特性を示している。ラダー干渉型フィルタのλMMIのみを適正化することにより波長可変に伴い、Jthおよび出力強度がほぼ一定に保たれ、安定な波長可変動作が可能になる。
【0086】
尚、上記実施形態において、入力導波路および出力導波路の屈折率を変化させる手段を電極に代えて、例えば、ヒータとすることができる。すなわち、熱によりラダー干渉計の入出力導波路の屈折率を変化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施形態の波長可変フィルタの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の波長可変フィルタの波長スペクトル特性を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の波長可変フィルタの光結合器として用いることができるMMI結合器の波長依存性を示す図である。
【図4】光結合器としてMMI結合器を用いたときの本発明の第1の実施形態の波長可変フィルタの波長スペクトル特性図である。
【図5】本発明の実施形態の波長可変フィルタの構造図である。
【図6】(a)は本発明の第2の実施形態の波長可変フィルタにおいて光結合器のパラメータを適正化しない場合の波長可変スペクトル特性を示す図、(b)は光結合器のパラメータを適正化した場合の波長可変スペクトル特性を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の波長可変フィルタの構成図である。
【図8】(a)は図1に示す波長可変フィルタのスペクトル特性を示す図、(b)は第3の実施形態の波長可変フィルタのスペクトル特性を示す図である。
【図9】本発明の波長可変フィルタを用いた波長可変レーザの構成図である。
【図10】本発明の第4の実施形態4の波長可変フィルタの構成図である。
【図11】(a)は本発明の第4の実施形態4の波長可変フィルタにおいて負チャーピングを施したときのスペクトル特性を示す図、(b)は正チャーピングを施したときのスペクトル特性を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施形態の波長可変フィルタの構成図である。
【図13】本発明の第5の実施形態の波長可変フィルタのスペクトル特性を示す図である。
【図14】本発明の第6の実施形態の波長可変レーザであって、本発明の第5の実施形態の波長可変フィルタを用いた波長可変レーザの構成図である。
【図15】本発明の第6の実施形態の波長可変レーザの注入電流密度に対するレーザ出力を示す図である。
【図16】本発明の第6の実施形態の波長可変レーザの波長可変範囲に対するしきい電流密度をプロットした図である。
【図17】従来の波長可変フィルタの構成を説明するための図である。
【図18】従来の波長可変フィルタの構成を説明するための図である。
【図19】従来の波長可変フィルタの構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0088】
100,700,1000,1200,1700,1800,1930 波長可変フィルタ
900,1400,1900 波長可変レーザ
102,702,1002,1202,1731,1831,1931 入力導波路
104,704,1004,1204,1732,1832,1932 出力導波路
130,132,730,732,906,1030,1032,1230,1232,1733,1734,1833,1834,1933,1934 光結合器
140,740,1040,1240,1735,1835,1935 アレー導波路
110,112,1230,1736,1737 電極
908,1408,1908 半導体光増幅器(SOA)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の入力導波路および出力導波路と、前記入力導波路および前記出力導波路に一定の間隔で配置された光結合器と、前記光結合器を介して入力導波路と出力導波路との間を接続するN本(N;3以上の自然数)のアレー導波路とからなるラダー干渉型フィルタと、
前記入力導波路および前記出力導波路の屈折率を変化させる手段とを備えた波長可変フィルタであって、
前記アレー導波路は、前記入力導波路の入射端側に接続された1段目のアレー導波路からN段目のアレー導波路の順番に光路長差が減少することを特徴とする波長可変フィルタ。
【請求項2】
前記光結合器のパラメータは、最適化されていることを特徴とする請求項1に記載の波長可変フィルタ。
【請求項3】
前記アレー導波路は、前記入力導波路の入射端側に接続された1段目のアレー導波路からN−1段目のアレー導波路の順番に一定の光路長差で減少し、N−1段目のアレー導波路とN段目のアレー導波路の光路長差のみ前記一定の光路差長のp倍(pは1<pの実数)で減少し、
N段目のアレー導波路を前記入力導波路および前記出力導波路の少なくとも一方の前記光結合器のパラメータは、最適化されていることを特徴とする請求項1に記載の波長可変フィルタ。
【請求項4】
前記アレー導波路は、1段目のアレー導波路からN段目のアレー導波路まで光路長差の変化が分布的に減少することを特徴とする請求項1または2に記載の波長可変フィルタ。
【請求項5】
一対の入力導波路および出力導波路と、前記入力導波路および前記出力導波路に一定の間隔で配置された光結合器と、前記光結合器を介して入力導波路と出力導波路との間を接続するN本(N;4以上の自然数)のアレー導波路とからなるラダー干渉型フィルタと、
前記入力導波路および前記出力導波路の屈折率を変化させる手段とを備えた波長可変フィルタであって、
前記アレー導波路は、前記入力導波路の入射端側に接続された1段目のアレー導波路からj段目(jは2≦j≦N−1の自然数)のアレー導波路の順番に光路長差が一定の長さで増加し、j段目のアレー導波路からN段目のアレー導波路の順番に光路差長が前記一定の長さで減少することを特徴とする波長可変フィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載の波長可変フィルタと、
前記波長可変フィルタの前記入力導波路および第2の光結合器を介して前記波長可変フィルタの前記出力導波路に接続された半導体光増幅器と、
前記第2の光結合器に接続された1つまたは複数の光導波路とを備え、
前記波長可変フィルタの前記入力導波路および前記出力導波路の屈折率を変化させる前記手段により発振波長を一定周波数間隔で可変することを特徴とする波長可変レーザ。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の波長可変フィルタと、
リング共振器と、
前記波長可変フィルタの前記入力導波路および前記出力導波路とそれぞれ光結合器および前記リング共振器を介して接続された半導体増幅器と、
前記第2の光結合器に接続された光導波路と
を備えたことを特徴とする波長可変レーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−183430(P2007−183430A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1799(P2006−1799)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】