説明

波長可変光源

【課題】波長可変範囲が広く、高速に可変することができる波長可変光源を提供する。
【解決手段】第1の電気光学偏向器103によって発振波長を可変し、さらに第2の電気光学偏向123を含んだ2次元の電気光学偏向器を利用した複数のチャネルから構成される波長可変光源で、波長可変光源内の発振器における波長フィルタ内に、複数の端面鏡または複数の反射鏡を備え、チャネルごとに光路を切替える。従来の電気光学偏向器の偏向角の最大振り幅を維持したままで、コヒーレント長を拡大し、かつ、偏向角の最大振り幅を実効的に拡大できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は波長可変光源に関し、特に、広い波長範囲にわたって波長を制御するレーザ光源に関する。本発明により、電気信号によってその波長を迅速かつ正確に制御することができる波長可変光源を提供することができる。
有機色素、また半導体に代表される広帯域の利得媒質を有するレーザ発振器では、その利得帯域内から1つの発振波長を選択して、発振動作させることが可能である。この選択波長を再現性良く切換えることができれば、分光器を用いないレーザ分光が実現される。また、選択波長の切換えを十分迅速に行うことができれば、波長掃引測距あるいは電子デバイスまた取分け生体の断面像を非破壊に観測する光コヒーレンストモグラフィ(OCT)などの新たな応用を開くことができる。したがって、このような波長可変光源に対しては、純粋科学から日常医療にわたる広い技術分野の発展への寄与が期待されている。
【0002】
波長可変光源として、現在までに、共振器内に回折格子による波長フィルタを備える構成が、広く用いられている。
図5は、従来技術の波長可変光源の第1の例の構成を示す図である。図5に示された波長可変光源は、共振器の片端にある反射鏡の傾きを変えることによって、発振波長を切換える構成の例である。例えば、非特許文献1に開示されている。この構成例では、利得媒質として有機色素が用いられている。以下、まず従来技術の第1の例の構成と動作について説明する。
【0003】
第1の構成例において、利得媒質601は、第1の集光レンズ611および第2の集光レンズ602の間に配置されている。利得媒質601は、第2の集光レンズ602を経て、回折格子606および直入射する端面鏡610から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ611は、出力結合鏡612に相対しており、このようにして出力結合鏡612と端面鏡610を両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡612から、この光共振器によるレーザ作用による出力光613が得られる。
【0004】
上述の波長フィルタにおいて、回折格子606への第2の集光レンズ602に面する側からの入射角θは、端面鏡610に面する側からの入射角φと比較して、通常、その絶対値が大きく設定される。その結果、回折格子606への回折格子入射光束607と比べて、回折格子出射光束608が伸張され、太く広がり角の小さい光束として端面鏡610で反射される。このため、波長フィルタの選択波長幅を狭窄化することができる。選択波長の変化は、端面鏡610の傾きを変えて、回折格子606への入射角φを変えることによって行われる。
【0005】
さらに、本構成例において波長を変化させる時は、回折格子606上の反射面の延長と出力結合鏡612の反射面の延長とによってできる交線の周りに、端面鏡610を回転させることによって、端面鏡610の傾きを変える。このような波長可変光源の共振器構成は、非特許文献1の著者の名を冠してLittman-Metcalf共振器と呼ばれ、今日広く用いられている。
【0006】
第1の構成例の波長可変光源では、波長を変化させるために、端面鏡610の傾きを変えるという動作を行う必要がある。このような力学的運動は、端面鏡610の質量、さらには空気より受ける抵抗によってその速度を制限され、迅速に行うことは難しい。そこで、可動部の介在なしに波長変化をより高速に行うために、別の構成例として、電気光学偏向器を用いる波長可変光源が開示されている。
【0007】
図6は、従来技術の波長可変光源の第2の例の構成を示す図である。本構成では、端面鏡610の傾きを変える代わりに、その前面に電気光学結晶をプリズム型に加工した電気光学偏向器609を設置した点に特徴がある。例えば、非特許文献2に開示されている。
【0008】
本構成例でも、利得媒質としては有機色素が用いられている。
第1の構成と異なる波長フィルタ部について説明すれば、回折格子606への第2の集光レンズ602に面する側からの入射角θは、端面鏡610に面する側からの入射角φと比較して、その絶対値が大きく設定され、その結果、波長フィルタの選択波長幅を狭窄化することができる。選択波長の変化は、電気光学偏向器609に結線された制御電圧源604の電圧により、電気光学偏向器609に対して付与される図5の紙面に垂直な方向の電界を変化させることによって行われる。
【0009】
すなわち、電気光学偏向器609に与えられる電界により電気光学偏向器609で形成されるプリズムの屈折率の一様な変化が惹起される。その結果、このプリズムの回折格子606に相対する側の空気界面において光束が受ける屈折量が変化する。他方、光束が端面鏡610による反射を受けた後、往路を逆行して共振器に戻るためには、端面鏡610に密着する側の界面には、光束が直入射(入射角を零と)する必要がある。この束縛条件のために、電界印加時に光束が共振器に帰還するためには、プリズム型の電気光学偏向器609に、無電界時とは異なる角を持って入射する必要がある。これは即ち、第1の構成例の場合と同様に回折格子606への入射角φを変化させることとなる。このようにして、第2の構成例においては、電気光学偏向器609に印可する電圧を変えることによって、可動部の介在なしに高速な波長変化が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開公報WO2006/137408 明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Michael G. Littman and Harold J. Metcalf「Spectrally narrow pulsed dye laser without beam expander」(Applied Optics誌、17巻 2224-2227頁、1978年)
【非特許文献2】S. V. Vasil’ev, L. I. Ivleva and V. A. Sychugov「Frequency scanning of a laser with a Littman-Metcalf cavity using an electrooptic deflector」(Quantum Electronics誌、31巻 825-828頁、2001年)
【非特許文献3】S. H. Yun, C. Boudoux, G. J. Tearnet and B. E. Bouma, “High-speed wavelength-swept semiconductor laser with a polygon-scanner-based wavelength filter”, Optics Letters, vol. 28 (20), pp.1981 (2003)
【非特許文献4】Changho Chong, Takuya Suzuki, Atsushi Morosawa, and Tooru Sakai, "Spectral narrowing effect by quasi-phase continuous tuning in high-speed wavelength-swept light source", OPTICS EXPRESS, Vol. 16, No. 25, p.21108, 2008年12月8日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述の第2の構成例による可動部を持たない波長可変光源には、以下のような問題があり、依然として十分に満足できるものではなかった。
第1の問題は、上述の第2の構成例において、印加電圧を通じて変化できる波長の範囲が狭いことである。非特許文献2によれば、電気光学材料SBNをプリズム型に加工して用いる場合、電極間間隔(プリズム厚)3mmの時、500Vの印加電圧に対して100GHzの光周波数変化が見込まれている。これは、1.3μm帯における波長にして、僅かに0.56nmの波長範囲に過ぎない。たとえ、プリズム厚を1mmまで狭めたとしても、波長範囲は3倍に増えて1.69nm程度が望めるのみである。ところがこの場合でも、SBNの屈折率変化は既に0.17%に達している。これを越えるような大きい屈折率変化を実現するのは、他の電気光学材料を使用したとしても期待できない。
【0013】
さらに、第2の問題、すなわち大寸法の電気光学偏向器を用いるために、高速動作が困難であって光学的均一性の確保も難しい問題があった。上述の波長フィルタ構成では、その選択波長幅の狭窄化のために、回折格子606への回折格子入射光束607と比較して、回折格子出射光束608は、太く広がり角の小さい光束となっている。非特許文献2において、電気光学偏向器609はこの光束が伸張され太い箇所に挿入されている。このために、電気光学偏向器609のプリズムの辺長(≒プリズム高さ)に対して、太い光束を受容する大きさが要求される。その結果、偏向器のサイズが大きくなって電気光学偏向器609の静電容量が増してしまう。さらには、電気光学偏向器609を駆動する制御電圧源604に対して要求される皮相電力が増える。このような状況において特に高速動作時には、制御電圧源604が大きな過渡電流をはき出し吸入しなければならない。制御電圧源604に要求される駆動能力の制限により、波長変化の高速性が阻害される事態も生じる。
【0014】
第2の構成例においては、電気光学偏向器609の寸法が大きいため、光学的一様性の問題も伴う。これは、電気光学偏向器の材料である電気光学結晶を大きく均一に結晶成長することが、そもそも困難だからである。実際、非特許文献2において、上で見込んだ光周波数変化が現実には得られなかった理由が、電気光学偏向器の不均一性の問題に帰されている。
本発明は、従来技術の波長可変光源における上述の各問題を解決して、波長可変範囲が広く、高速に可変することができる波長可変光源を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上述の目的を達成するために、請求項1の発明は、利得媒質と、前記利得媒質の一端からの光が入射する回折格子と、前記回折格子への前記入射光の回折光が直入射する端面鏡とを含み、前記回折格子を介して前記利得媒質と前記端面鏡を包含する共振器を備えた波長可変光源において、前記利得媒質と前記回折格子との間であって、前記共振器により形成される光路上に配置され、第1の方向について光路を偏向して前記回折格子への入射角を変化させる第1の電気光学偏向器と、前記第1の電気光学偏向器と前記回折格子との間であって、前記共振器により形成される光路上に配置され、前記第1の方向に垂直な第2の方向について、複数の離散的な偏向角で光路を偏向する第2の電気光学偏向器と、前記第1の電気光学偏向器と前記第2の電気光学偏向器との間に挿入された偏波面回転手段とを備え、前記第2の電気光学偏向器から前記端面鏡までの共振器光路が、前記複数の離散的な偏向角に対応した複数のチャネルの別個の共振器を構成し、前記第1の電気光学偏向器によって設定される前記第1の方向の同一の偏向角に対して、前記別個の共振器のそれぞれが相異なる発振波長に対応していることを特徴とする波長可変光源である。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の波長可変光源であって、前記複数のチャネルの別個の共振器は、前記回折格子への入射角が異なるように、前記第2の方向に並置された複数の別個の端面鏡によって形成されることを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の波長可変光源であって、前記複数のチャネルの別個の共振器は、前記第2の電気光学偏向器からの入射光を前記回折格子へ向かって反射させ、前記第2の電気光学偏向器と前記回折格子との間で、前記回折格子への入射角が異なるように前記第2の方向に並置された複数の別個のミラーによって形成されることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの波長可変光源であって、前記複数のチャネルの数は2であることを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項2の波長可変光源であって、前記複数のチャネルの数は2であって、前記別個の端面鏡は、発振波長が相対的に小さい第1の波長帯域に対応した第1の端面鏡と、発振波長が相対的に大きい第2の波長帯域に対応した第2の端面鏡とから構成され、前記第2の電気光学偏向器の偏向角を切替えることによって、前記第1の波長帯域と前記第2の波長帯域とが連続した波長帯域に発振波長を可変できることを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項3の波長可変光源であって、前記複数のチャネルの数は2であって、前記別個のミラーは、発振波長が相対的に小さい第1の波長帯域に対応した第1のミラーと、発振波長が相対的に大きい第2の波長帯域に対応した第2のミラーとから構成され、前記第2の電気光学偏向器の偏向角を切替えることによって、前記第1の波長帯域と前記第2の波長帯域とが連続した波長帯域に発振波長を可変できることを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1乃至3いずれかの波長可変光源であって、前記回折格子への前記電気光学偏向器側からの光入射角θと、前記回折格子への前記端面鏡側からの光入射角φとの間に、|θ|>|φ|の関係が存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、発振波長が広範囲に高速に可変可能な波長可変光源を提供することができる。さらに、十分な長さのコヒーレント長を実現できる波長可変光源を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の波長可変光源の基本構成を示す図である。
【図2】図2は、変形した本発明の波長可変光源の第1の構成を示す図である。
【図3】図3は、本発明における波長可変光源の全体動作を説明する概念図である
【図4】図4は、変形した本発明の波長可変光源の第2の構成を示す図である。
【図5】図5は、従来技術の波長可変光源の第1の例の構成を示す図である。
【図6】図6は、従来技術の波長可変光源の第2の例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明では、上述の問題を解決するものとして、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN)などを含む電気光学偏向器を用いた、新たな構成の波長可変光源を提案する。
【0025】
図1は、本発明の電気光学偏向器を用いた波長可変光源の基本的な構成を示す図である。
図1において、利得媒質101は、第1の集光レンズ111および第2の集光レンズ102の間に配置される。利得媒質101は、第2の集光レンズ102を経て、電気光学偏向器103、回折格子106および直入射する端面鏡110から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ111は、出力結合鏡112に相対し、このようにして出力結合鏡112と端面鏡110を両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡112からは、この光共振器によるレーザ作用による出力光113が得られる。
【0026】
上述の波長フィルタにおいて、回折格子106への集光レンズ102に面する側からの入射角θは、端面鏡110に面する側からの入射角φと比較して、絶対値が大きく設定される。その結果、回折格子106への回折格子入射光束107に比して、回折格子出射光束108が伸張され、太く広がり角の小さい光束として端面鏡110で反射される。したがって、波長フィルタの選択波長幅を狭窄化することができる。選択波長の変化は、電気光学偏向器103に結線された制御電圧源104を通じ、回折格子入射光束107を偏向して、回折格子106への入射角θを変化させることによって行われる。電気光学偏向器103に印可する電圧を変えることによって、可動部の介在なしに高速に波長を変化させることができる。
【0027】
本発明の図1の波長可変光源では、特許文献1に詳細が開示されている電荷注入を伴う電気光学偏向器を利用している。この電気光学偏向器に使用される電気光学結晶として、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-x Nbx3 (0<x<1):KTN)や、さらにリチウムをドープした(K1-yLiyTa1-xNbx3(0<x<1、0<y<1))が知られている。
【0028】
図1の波長可変光源で使用される電気光学偏向器では、100mrad程度の偏向角範囲が得られる。この偏向角範囲は、従来技術のプリズム型の偏向器での偏向角範囲が、高々0.5mrad程度に留まるのと比較して、極めて大きい。電荷注入を伴う電気光学偏向器による偏向は、従来技術のプリズム型の場合と異なり、電界と共面方向に生じる。従って、太い光束を偏向するのは現実的でない。電極間隔が広くなってしまい、必要な電圧が非現実的に高くなってしまうからである。しかしながら、電荷注入を伴う電気光学偏向器は光束が細い箇所には挿入可能である。電荷注入を伴う電気光学偏向器の上述のような巨大な偏向角範囲は、回折格子への入射角が大きいことに伴う入射角に対する波長変化感度の低下を補って余りある。
【0029】
電極間隔が狭く自ずと小寸法である電荷注入を伴う電気光学偏向器を、回折格子への入射角が大きくその結果光束が細い側に配置することで、従来技術の可動部を持たない波長可変光源に関る第1の問題および第2の問題が解決される。
【0030】
図1に示した電気光学偏向器を使用した波長可変光源では、上述の第1の問題および第2の問題を解決することができる。ここで、電気光学偏向器として使用されるKTN結晶は、作製上の技術的な制限などから現実的に作製可能な結晶の厚みには限界がある。また印加電圧の大きさの制限もあいまって、先にも述べたように偏向角範囲は100mrad程度に抑えられている。
【0031】
この偏向角範囲の制限のために、図1の構成による波長可変光源において波長可変範囲を広い範囲に設定した場合、得られる波長フィルター帯域が広すぎて、コヒーレント長が短くなり得る。KTNなどを利用した電気光学偏向器において、偏向角の最大振り幅をDとし、発振最小波長をλsa、発振最大波長をλlaとすると、実用上必要となる波長可変帯域と、電気光学偏向器の最大偏向角の振り幅Dで可変できる発振波長帯域(λsa〜λla)が同一になるように設計されている。
【0032】
波長可変光源をOCTなどに利用使用する場合、OCTにおける深さ方向の測定可能な距離を制限するコヒーレント長を十分に長く取れないと、実用上の問題が生じる。コヒーレント長とは光の可干渉距離である。レーザ光を干渉計で干渉させた場合、光路長差に依存して合波光の強度が変化する干渉フリンジが現れるが、その大きさが光路長差ゼロのときの半分になる光路長差をコヒーレント長という。コヒーレント長は、光源をOCTに適用した場合に、測定可能深さを制限する。6mm以上の長さが必要とされている。コヒーレント長は、後述するように回折格子波長フィルタの全半値幅と関連しており、必要なコヒーレント長を得るためには、偏向角の最大振り幅Dを拡大する必要がある。波長フィルタの帯域幅とコヒーレント長との関係については、非特許文献4に開示されており、フィルタ帯域が狭いときにコヒーレント長が長くなることが知られている。
【0033】
本発明の波長可変光源は、図1の構成にさらに以下に説明する変形を加えることによって、発振波長が広範囲に可変可能であって、かつ、十分な長さのコヒーレント長を実現することもできる。本発明の変形した波長可変光源においては、第1の電気光学偏向器によって発振波長を可変するとともに、さらに第2の電気光学偏向器によって光路のチャンネルを切り替える。2つの電気光学偏向器によって2次元構成された電気光学偏向器を利用して、複数のチャネルから構成される波長可変光源を提供する。波長可変光源内の発振器における波長フィルタ内に、複数の端面鏡または複数の反射鏡を備え、チャネルごとに光路を切替えることを特徴とする。従来技術と比べて、電気光学偏向器の偏向角最大振り幅Dが同一で、かつ波長可変範囲も維持したままで、コヒーレント長を拡大できる。
【0034】
ここでまず、電気光学偏向器を用いた波長可変光源において、波長フィルタの全半値幅と、電気光学偏向器の偏向角の最大振り幅との関係について検討する。図1に示した波長可変光源のリトマン(Littman−Metcalf)型発振器において、回折格子を含む波長フィルタの全半値幅Δλは、非特許文献3より、次式で表される。
【0035】
【数1】

【0036】
ここで、θは回折格子への入射角であり、wは回折格子への入射光のビーム半径であり、λは発振波長である。
【0037】
波長可変光源の最大波長λのときの回折格子入射角をθ、最小波長λのときの入射角をθとおき、θとθとの差を次式のようにFとする。
F≡θ−θ
また、θとθとの中間角を、次式のようにθとする。
θ≡(θ+θ)/2
ここで、F<<πが成り立つため次式が得られる。
sinθ-sinθ≒F・cosθ 式(2)
一方、Littman−Metcalf 型発振器についての1次の回折格子方程式は、端面鏡側からの入射角をφ、回折格子のピッチをΛとすると、以下の通りである。
sinθ+sinφ=λ/Λ
sinθ+sinφ=λ/Λ
上記1次の回折格子方程式より、次式が得られる。
sinθ−sinθ=(λ−λ)/Λ 式(3)
式(2)、式(3)からさらに、次式が得られる。
F・cosθ≒(λ−λ)/Λ
さらに変形すれば、
Λ・cosθ≒(λ−λ)/F 式(4)
式(4)を式(1)に入れて、入射角がθmのときの全半値幅Δλを求めると次式となる。
【0038】
【数2】

【0039】
従ってwが決まっている場合、全半値幅Δλを小さくするには、回折格子への入射角の差Fを大きくするか(条件1)、または 、波長可変光源の最大波長と最小波長との差(λ−λ)を小さくすれば良い(条件2)。
【0040】
上記のように、リトマン(Littman−Metcalf)型発振器において、回折格子を含む波長フィルタの全半値幅Δλは、上記の条件1または/および条件2を実現すれば良い。ここで、図1に示した基本構成の波長可変光源について考えると、電気光学偏向器によって得られる偏向角の最大振り幅をD、発振最小波長をλsa、発振最大波長をλlaとすると、波長可変光源で実用上必要となる波長帯域と、電気光学偏向器による偏向角の最大振れ角範囲D内で発振する波長帯域とが同一になるように装置が構成されることになる。すなわち、回折格子のピッチΛ、および端面鏡からの入射角φ、および最大波長、最小波長時の回折格子への入射角θおよびθを選び、かつ、電気光学偏向器によって得られる偏向角の最大振り幅をDと、F≡θ−θとが一致し、D=Fが成り立つように構成される。
【0041】
本発明の波長可変光源では、上記の検討を踏まえて、さらに第2の電気光学偏向を含んだ2次元の電気光学偏向器を利用して、複数のチャネルから構成される波長可変光源に変形する。波長可変光源内の発振器における波長フィルタ内に、複数の端面鏡または複数の反射鏡を備え、チャネルごとに光路を切替える。電気光学偏向器の偏向角の最大振り幅をDを維持したままで、波長フィルタの全半値幅Δλを小さくして、コヒーレント長を拡大する。また、偏向角の最大振り幅をDを実効的に拡大する。次に、変形した本発明の構成および動作について説明する。
【0042】
図2は、変形した本発明の波長可変光源のより具体的な第1の構成を示す図である。本発明の波長可変光源100は、回折格子を含むリトマン配置で構成されたレーザ発振器を含む点において、図1の構成と同様である。すなわち、波長可変光源100において、利得媒質101は、第1の集光レンズ111および第2の集光レンズ102の間に配置される。利得媒質101は、第2の集光レンズ102を経て、電気光学偏向器103、回折格子106および直入射する端面鏡から構成される波長フィルタに結合されている。第1の集光レンズ111は、出力結合鏡112に相対し、このようにして出力結合鏡112と端面鏡を両端とする光共振器が構成される。出力結合鏡112からは、この光共振器によるレーザ作用による出力光113が得られる。
【0043】
一方、上記構成は、次に述べる点で図1の波長可変光源の構成と相違している。端面鏡は、図面の手前側に配置された第1の端面鏡110aと図面の奥側に回折格子106に対して第1の端面鏡110aとは異なる入射角となるように配置された第2の端面鏡110bとから構成される。すなわち、第1の端面鏡110aと第2の端面鏡110bとは、第2の電気光学偏向器の偏向方向と同じz軸方向に、回折格子への入射角(φ、φ)が異なるようにして並置されている。すなわち、回折格子106からの出射光108aが手前の端面鏡108aに直入射し、回折格子106からの出射光108bが奥の端面鏡110bに直入射する。2つの異なる出射光108a、108bは、2次元に偏向するように構成された2つの電気光学偏向器103、123によって生じる。
【0044】
図1の構成と同様に図2のy軸方向については、発振光は、第2の集光レンズを経由し、第1の制御電圧104によって第1の電気光学偏向器103で偏向が生じる。本発明では、さらにy軸に垂直なz軸方向について発振光を偏向するために、第2の制御電圧124によって駆動される第2の電気光学偏向器123を備えている点で、図1の構成と相違する。すなわち、第2の電気光学偏向器123は、z軸方向に2つ離散的な偏向角のいずれかに光路を偏向する。KTNなどを用いた電気光学偏向器の偏向作用は、偏光方向の依存性がある。多くの場合、電気光学定数は電界方向と光の電界方向が一致する場合に最大となる。このため、第1の電気光学偏向器103と第2の電気光学偏向器123との間には、偏光を90度回転させるために1/2波長板105が挿入されている。
【0045】
第1の電気光学偏向器103は、上下の電極間に所定の範囲の制御電圧を印加されて、図1の構成の場合と同様に、最大振れ角Dの偏向を生じる。一方、第2の電気光学偏向器123は、離散的な異なる制御電圧によって制御して、図面の手前および奥の方向のz軸方向に光路を切替えて、2つのチャネルの波長フィルタを構成する。2つのチャネルの波長フィルタは、波長可変光源で実用上必要な波長可変範囲を2つの範囲に分割して、各々の波長範囲が割り当てられるように、端面鏡の回折格子に対する配置角度を決定する。ここで、端面鏡110aを使用する第1チャネルについては、端面鏡110a側からの回折格子106への入射角をφとし、端面鏡110bを使用する第2チャネルについては、端面鏡110b側からの回折格子106への入射角をφとする。
【0046】
本発明の波長可変光源では、それぞれのチャネルにおいて、第1の電気光学偏向器の偏向角の最大振れ角Dを利用することで、2つのチャネル全体では図1の構成と同様の波長可変幅を維持しつつ、概ね1/2の波長フィルター帯域を持つ構成を実現することができる。
【0047】
より具体的には、第1チャンネルでは偏向角の最大振り幅Dで、最小発振波長λsaから中間発振波長λsa +(λla―λsa)/2までの波長をスキャンし、第2チャンネルではやはり偏向角の最大振り幅Dで、中間発振波長λsa +(λla―λsa)/2から最大波長λlaまでの波長をスキャンするよう、各々の端面鏡の法線の角度(φ、φ)および装置構成(Λ、θ、θ)を設定する。尚、角入射角θ、φは、回折格子面の法線に対して、回折格子の利得媒質側からの角度を正の値としている。従って、図2においてφは負の値となる。
【0048】
図3は、本発明における、波長可変光源の全体動作を説明する概念図である。図3は、電気光学偏向器の電圧、振れ角と発振波長の状態遷移を説明している。横軸の第1の電気光学偏向器103の制御電圧をVからVまで変化させることによって、第1の電気光学偏向器103偏向角は−D/2から+D/2まで偏向する。第2の電気光学偏向器に制御電圧Vを印加することでチャネル1の光路が選択され点Aから点Bの間を遷移して発振波長はλsaから中間波長まで可変される。第2の電気光学偏向器に制御電圧Vを印加することでチャネル2の光路が選択され点Dから点Cの間を遷移して、発振波長は中間波長からλlaまで可変される。
【0049】
チャネル1およびチャネル2の間で波長可変範囲を連続とするためには、チャネル1における第1の電気光学偏向器103の偏向角が+D/2のときの発振波長と、チャネル2における偏向角が−D/2のときの発振波長とが、一致している必要がある。また、OCTのイメージ取得は計算処理が可能なので、チャネル1による波長可変範囲に引き続いて、チャンネル2において同じ増減方向で波長掃引する必要は無い。従って、第2の電気光学偏向器の偏向角を切替えることによって、チャネル1の第1の波長帯域とチャネル2の第2の波長帯域とが連続した波長帯域に発振波長を可変できれば、本発明のコヒーレント長の拡大の効果が得られる。
【0050】
尚、OCTへの応用では、OCTイメージが計算処理されるため第1の制御電圧の変化の方向は問わない。したがって、第1の電気光学偏向器の偏向角にジャンプが生じないように、A、B、D、Cの順序、もしくはB、A、C、Dの順序で第1の制御電圧、第2の制御電圧を変化させる。
【0051】
図2の第1の構成によれば、それぞれのチャネルにおいて従来と同じ偏向角の最大振り幅Dを与えた場合、得られる波長可変幅は、(λla―λsa)/2となる。このため、1つのチャネルについては、図1で示した構成の場合と比較して、最大発振波長と最小発振波長との差が1/2となる。したがって、式(5)から求めた条件2に適合することになり、図1の構成の場合よりもより長いコヒーレント長を得ることができる。
【0052】
図4は、変形した本発明の波長可変光源の第2の構成を示す図である。図4の波長可変光源200は、2つのチャネルを構成するために別個の分割された反射鏡を回折格子の電気光学偏向器側に挿入している点で、第1の構成と相違している。以下、第1の構成との相違点に絞って説明をする。第1の構成においては回折格子106への入射角度が異なる2つの端面鏡を備えていたのに対し、第2の構成においては、回折格子106と第2の電気光学偏向器123との間の光路中に配置した、回折格子106への入射角度が異なる2つのミラー114a、114bを備えている。
【0053】
図2の構成の場合と同様に、第2の電気光学偏向器123によって、図面の手前および奥の方向(z軸方向)に光路を切替えて、2つのチャネルの別個の波長フィルタを構成する。図4の手前側にあるミラー114aを利用することで光路108aを経由する第1チャネルを構成し、奥側にあるミラー114bを利用することで光路108bを経由する第2チャネルを構成する。第1の電気光学偏向器103の偏向角の最大振り幅をDとすると、第1のチャネルでミラー114aから回折格子106への入射角がθs2からθs2+Dに変化したときに、第2のチャネルでミラー114bから回折格子106への入射角がθs2+Dからθs2+2Dに変化するように、ミラー114a、114bを設置する。
【0054】
2つのチャネルを合計した時の発振波長可変範囲を図1の構成の場合と同じく最小発振波長をλsa、最大発振波長をλlaとして、最小発振波長をλsaのときのミラー114aから回折格子106への入射角がθs2となり、最大発振波長をλlaのときのミラー114bから回折格子106への入射角がθl2となるようにθs2およびθl2を設定する。
【0055】
図4に示した第2の構成によれば、第2の電気光学偏向器による偏向によって生じる、z軸方向の角度をミラー114a、114bによって補正して、z軸に対して垂直な光線を回折格子106に入射させることができる。第2の電気光学偏向器によって偏向する場合、例えばチャネル1のミラー114aについては、紙面の手前方向にやや偏向するため、光路108aは回折格子106に対してもz軸に角度を持ったものとなる。しかし、114aによって反射後に、あおり角補正をして光路108aがxy面に平行となるように調整ができる。従って、回折格子106にz軸方向について斜めに入射することによる回折効率の損失を最小化することができる。
【0056】
図4の第2の構成によれば、2つのチャネル全体で最小発振波長をλsa、最大発振波長をλlaの同じ波長可変範囲を得る一方で、回折格子への入射角の範囲は、θs2からθs2+2Dまで変化する。従って、図1に示した構成の場合と比較して、入射角の差異F=2Dとなる。式(5)から求めた条件1に適合するので、全半値幅Δλが半分となり図1の構成の場合と比べてより長いコヒーレント長を得ることができる。
【0057】
尚、また、OCTのイメージ取得は計算処理が可能なので、チャンネル1による波長可変範囲に引き続いて、チャンネル2において同じ増減方向で波長を掃引する必要はない。従って、第2の電気光学偏向器の偏向角を切替えることによって、チャネル1の第1の波長帯域と、チャネル2の第2の波長帯域とが連続した波長帯域に発振波長を可変できれば、本発明のコヒーレント長の拡大の効果が得られる。
【0058】
次に、本発明の波長可変光源の第1の構成および第2の構成について、さらに具体的な構成例を述べる。
【実施例1】
【0059】
図1に示した従来の構成の波長可変光源を基準として、比較をしながら説明する。図1の構成において、最小発振波長λは1150nm、最大発振波長λは1350nm、回折格子のピッチΛは1000/300μm、回折格子への端面鏡からの入射角φは −0.438rad(−25.1°)のときに、最小発振波長に対応する電気光学偏向器側から回折格子への入射角θ=0.877rad(50.2°)、最大発振波長に対応する電気光学偏向器側から回折格子への入射角θ=0.978rad(56.0°)となる。したがって、第1の電気光学偏向器により最大の振れ角は約100mradである。この時の波長フィルター帯域の全半値幅の波長平均をΔλwoとする。
【0060】
図2に示した第1の構成による具体的な構成は、以下の通りである。回折格子のピッチΛは1000/600μm、チャンネル1の端面鏡から回折格子への入射角φを−0.0789rad(−4.5°)、チャンネル2の端面鏡から回折格子への入射角φを −0.0188rad(−1.1°)とする。このときに、最小発振波長に対応する電気光学偏向器側から回折格子への入射角θ=0.877rad(50.2°)、最大発振波長に対応する電気光学偏向器側から回折格子への入射角θ= 0.978rad(56.0°)に対して、チャンネル1において1150nmから1250nmまで、チャンネル2においてが1250nmから1350nmまで波長を可変できる。波長フィルターの全半値幅の波長平均はおおむねΔλwo/2となる。
【実施例2】
【0061】
図4に示した第2の構成による具体的な構成は、以下の通りである。回折格子のピッチΛ1000/600μm、端面鏡から回折格子への入射角φを−0.0459rad(−2.6°)として、チャネル1のミラーとチャネル2のミラーを次の条件を満たすように配置する。すなわち、チャンネル1においてミラー114aから回折格子への入射角がθs2= 0.827rad(47.4°)からθs2+D=0.927rad(53.1°)まで変化し、チャンネル1においてミラー114bから回折格子への入射角がθs2+D= 0.927rad(53.1°)からθs2+2D=1.027rad(58.9°)まで変化するようにミラー114a、114bを設定した。このとき、チャンネル1において発振波長が1150nmから1257nmまで、チャンネル2において1257nmから1350nmまで波長を可変できる。波長フィルター帯域の波長平均はおおむねΔλwo/2となる。
【0062】
上記実施例において、第2の電気光学偏向器によるz軸方向の偏向は、約10mradである。利得媒質としては、半導体レーザを使用した。上記2つの実施例では、KTNなどを使用する電気光学偏向器による偏向角の最大振れ角Dを維持して発振波長可変幅を維持したままで、コヒーレント長を長くするものである。これにより、OCTへの適用にあたって、十分なコヒーレント長を確保できる。電気光学偏向器の偏向角がさらに拡大されれば、発振波長可変幅を同時に拡大することも可能である。
【0063】
上記の半導体レーザを使用した構成では、第1の構成および第2の構成いずれにおいても、1つのチャネルあたり波長可変幅を100nmを想定している。したがって、2つのチャネルを用いる場合は、全体で200nmの発振波長可変幅が得られる。半導体レーザに比べて波長可変幅の広いTiサファイアレーザやCr:YAGレーザ、色素レーザを使用することもできる。これらの場合には、より広い発振波長可変幅が得られるので、チャネル数を3、4などと増加させて、3以上の端面鏡または3以上のミラーを使用することも可能である。発振波長可変帯域を固定した場合を想定すると、2チャンネルの場合と同様の考察で、さらに多数のチャンネルの場合は、波長フィルター帯域の波長平均が、従来例の値をチャンネル数で除したものにおおむね一致することがわかる。したがって従来例よりもさらに長いコヒーレント長が得られる。
【0064】
以上詳細に述べたように、本発明は、従来技術の波長可変光源における問題を解決し、波長可変範囲が広く、高速に可変することができる波長可変光源を提供する。さらに、電気光学偏向器の最大振れ角の制限を緩和し、発振波長が広範囲に変化可能であって、かつ、十分な長さのコヒーレント長も実現できる波長可変光源を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、光学装置に利用できる。さらに、波長掃引測距あるいは電子デバイス光コヒーレンストモグラフィなどにも利用できる。
【符号の説明】
【0066】
100、200 波長可変光源
101、601 利得媒質
102、111、602、611 集光レンズ
103、123、609 電気光学偏向器
104、124 制御電圧源
105 2分の1波長板
106、606 回折格子
110、110a、110b、610 端面鏡
112、612 出力結合鏡
114a、114b ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利得媒質と、前記利得媒質の一端からの光が入射する回折格子と、前記回折格子への前記入射光の回折光が直入射する端面鏡とを含み、前記回折格子を介して前記利得媒質と前記端面鏡を包含する共振器を備えた波長可変光源において、
前記利得媒質と前記回折格子との間であって、前記共振器により形成される光路上に配置され、第1の方向について光路を偏向して前記回折格子への入射角を変化させる第1の電気光学偏向器と、
前記第1の電気光学偏向器と前記回折格子との間であって、前記共振器により形成される光路上に配置され、前記第1の方向に垂直な第2の方向について、複数の離散的な偏向角で光路を偏向する第2の電気光学偏向器と、
前記第1の電気光学偏向器と前記第2の電気光学偏向器との間に挿入された偏波面回転手段と
を備え、
前記第2の電気光学偏向器から前記端面鏡までの共振器光路が、前記複数の離散的な偏向角に対応した複数のチャネルの別個の共振器を構成し、前記第1の電気光学偏向器によって設定される前記第1の方向の同一の偏向角に対して、前記別個の共振器のそれぞれが相異なる発振波長に対応していること
を特徴とする波長可変光源。
【請求項2】
前記複数のチャネルの別個の共振器は、前記回折格子への入射角が異なるように、前記第2の方向に並置された複数の別個の端面鏡によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項3】
前記複数のチャネルの別個の共振器は、前記第2の電気光学偏向器からの入射光を前記回折格子へ向かって反射させ、前記第2の電気光学偏向器と前記回折格子との間で、前記回折格子への入射角が異なるように前記第2の方向に並置された複数の別個のミラーによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項4】
前記複数のチャネルの数は2であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の波長可変光源。
【請求項5】
前記複数のチャネルの数は2であって、前記別個の端面鏡は、発振波長が相対的に小さい第1の波長帯域に対応した第1の端面鏡と、発振波長が相対的に大きい第2の波長帯域に対応した第2の端面鏡とから構成され、前記第2の電気光学偏向器の偏向角を切替えることによって、前記第1の波長帯域と前記第2の波長帯域とが連続した波長帯域に発振波長を可変できることを特徴とする請求項2に記載の波長可変光源。
【請求項6】
前記複数のチャネルの数は2であって、前記別個のミラーは、発振波長が相対的に小さい第1の波長帯域に対応した第1のミラーと、発振波長が相対的に大きい第2の波長帯域に対応した第2のミラーとから構成され、前記第2の電気光学偏向器の偏向角を切替えることによって、前記第1の波長帯域と前記第2の波長帯域とが連続した波長帯域に発振波長を可変できることを特徴とする請求項3に記載の波長可変光源。
【請求項7】
前記回折格子への前記電気光学偏向器側からの光入射角θと、前記回折格子への前記端面鏡側からの光入射角φとの間に、|θ|>|φ|の関係が存すること
を特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の波長可変光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−151419(P2012−151419A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10927(P2011−10927)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】