説明

注出口付き液体容器

【課題】軟包装袋を用いながらも、自立性があり、しかも環境に優しい利点を失わないようにした注出口付き液体容器を提供すること。
【解決手段】キャップ11を螺着する注出口が設けられた軟包装袋10と、軟包装袋10をその注出口が上部から突出する状態で収納する厚紙製の外箱20と、外箱20から突出した注出口の首部分に嵌合するシート状のストッパー40とからなり、ストッパー40は外箱20に対して注出口を回動不能な状態で固定するように注出口の首部分に嵌合している。軟包装袋10が外箱20により保持されているので、自立性を有している。また、キャップ11を回した時に中の軟包装袋10が同時に回転せず、キャップ11を確実に開閉することができる。しかも、廃棄時には軟包装袋10と外箱20とを簡単に分離することができ、外箱20を取り除けば一般の軟包装袋と同様に処分することができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収納する容器の技術分野に係り、詳しくは、軟包装袋を用いながらも自立性を持たせた注出口付き液体容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料、調味料、洗剤などの液体を販売する形態としては、ガラス製又は硬質プラスチック製のビン類や板紙製のカートン類などを用い、これに液体を入れたものが一般的に利用されている。ところが、これらの容器は廃棄処分が面倒であり、しかも環境問題を引き起こす原因ともなることから、最近ではプラスチック製フィルムやこれに紙やアルミ箔などを積層した軟包材を使用し、これを三方シール袋、四方シール袋、スタンドパック等に製袋したいわゆる軟包装袋が広く用いられるようになってきている。そして、収納した液体の取出しを容易とするためにキャップ付きの注出口を取り付けた軟包装袋も利用されている。
【特許文献1】特開平10−72045号公報
【特許文献2】特開2000−191052号公報
【特許文献3】特開2004−67184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術で説明した軟包装袋は、取扱い等が簡便でしかも環境に優しいという利点があるものの、それ自体では自立性がないという欠点がある。したがって、キャップ付きの注出口がないものは開封後に残った内容液を他の容器に移し替える必要があり、キャップ付きの注出口があるものでも寝かせると場所をとってしまう。例外的にスタンドパックは自立性はあるものの、これも内容液が少なくなってくると自立性がなくなる。したがって、軟包装袋は、たとえキャップ付きのものであっても、醤油やドレッシングなどの食卓上で小出しで使うような液体を入れる用途には使いにくいという問題点がある。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軟包装袋を用いながらも、自立性があり、しかも環境に優しい利点を失わないようにした注出口付き液体容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明である注出口付き液体容器は、キャップを螺着する注出口が設けられた軟包装袋と、軟包装袋をその注出口が上部から突出する状態で収納する厚紙製の外箱と、外箱から突出した注出口の首部分に嵌合するシート状のストッパーとからなり、ストッパーは外箱に対して注出口を回動不能な状態で固定するように注出口の首部分に嵌合していることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明である注出口付き液体容器は、請求項1に記載の注出口付き液体容器において、注出口にはそれらの間が首部分となる水平な一対のフランジが設けられ、首部分には平行面が形成されており、ストッパーにはその首部分の平行面に対応する幅の切欠部が設けられており、ストッパーをその切欠部が首部分の平行面に嵌まるようにして注出口における一対のフランジの間に挿入することにより、注出口が外箱に対してストッパーごと動かないようにセットされていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明である注出口付き液体容器は、請求項1又は2に記載の注出口付き液体容器において、外箱の側面に中が見えるスリットが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明である注出口付き液体容器は、軟包装袋が外箱により保持されているので、自立性を有したものとなっており、食卓の上などに置いて使用する際にスペースを取らないようにすることができる。また、注出口が外箱から突出して回動不能な状態で固定されているので、キャップを回した時に中の軟包装袋が同時に回転せず、キャップを確実に開閉することができる。しかも、廃棄時には軟包装袋と外箱とを簡単に分離することができ、外箱を取り除けば一般の軟包装袋と同様に処分することができるので、プラスチック製のボトルなどに比べると環境に優しいという効果がある。
【0009】
請求項2に記載の発明である注出口付き液体容器は、請求項1に記載の注出口付き液体容器が奏する効果に加え、ストッパーをその切欠部が首部分の平行面に嵌まるようにして注出口における一対のフランジの間に挿入することで、外箱に対して注出口がストッパーごと動かないようにセットしたことにより、外箱の上部が別部材のストッパーにより補強されて座屈強度が高まる。したがって、注出口に対してキャップの開閉時や容器の取扱い時に外力が加わった時の耐力が向上する。
【0010】
請求項3に記載の発明である注出口付き液体容器は、請求項1又は2に記載の注出口付き液体容器が奏する効果に加え、外箱の側面に中が見える縦方向のスリットを設けたことにより、軟包装袋の中に入っている液体の残量を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明に係る注出口付き液体容器の一例を示す斜視図、図2は図1に示す注出口付き液体容器の構成部材を別々に示す斜視図である。
【0013】
図2に示すように、図1の注出口付き液体容器Aは、キャップ11を螺着する注出口が設けられた軟包装袋10と、軟包装袋10をその注出口が上部から突出する状態で収納する厚紙製の外箱20と、外箱20から突出した注出口の首部分に嵌合するシート状のストッパー40とからなる。別部材であるストッパー40は、図3により後述するように、外箱20に対して注出口13を回動不能な状態で固定するように注出口13の首部分17に嵌合するようになっている。
【0014】
軟包装袋10は、図3にその一部分を示すように、ガゼットタイプ或いはスタンディングパウチタイプの包装袋本体12の上部に注出口13を有し、その注出口13にキャップ11が螺着されたものである。注出口13は包装袋本体12の上部に挟持状態で取り付けられる外形が船形の取付板14を有しており、この取付板14の部分が包装袋本体12のシール部12aの内面に融着されるようになっている。そして、取付板14の上方には包装袋本体12の上端縁が当接するフランジ15とそれと平行なフランジ16とが所定の間隔を置いて設けられ、これら一対のフランジ15,16の間は首部分17となっており、その首部分17には平行面が形成されている。すなわち、注出口13には機械でハンドリングするために、水平な一対のフランジ15,16が設けられ、また向きを決めるためにそれらの間の首部分17は矩形状になっており、これによって首部分17には包装袋本体12の上端縁と直角方向に平行面が形成されている。なお、図示はしていないが、キャップ11としては、必要に応じて公知のピルファープルーフを付けたものを用いるようにしてもよい。
【0015】
外箱20は、図4に示すブランクBから組み立てられる。このブランクBは、板紙や段ボールシートなどの厚紙を打ち抜いたもので、図示のように、折線a,b,c,dを介して糊代片21、側面パネル22,23,24,25を順次連設している。
【0016】
ブランクBにおける側面パネル22の上辺には中程に切込み線αのある折線eを介して内蓋パネル26を連設し、その内蓋パネルの上辺には折線fを介して差込み片26aを連設し、側面パネル23の上辺には折線gを介して折曲げ片27を連設し、側面パネル24の上辺には折線hを介して外蓋パネル28を連設し、その外蓋パネル28の上辺の中程には折線iを介して差込み凸部28aを連設し、側面パネル25の上辺には折線jを介して折曲げ片29を連設している。そして、内蓋パネル26と外蓋パネル28にはそれらの中央にそれぞれ開口26b,28bが形成されており、これらの開口26b,28bは注出口13のフランジ15,16より僅かに大きく、且つ、それぞれが差込み片26aと差込み凸部28aの方に丸く膨らんだ形状をしている。また、折曲げ片27,29の上端縁にはフランジ15,16の半分の形状をした切欠部27a,29aが形成されている。
【0017】
また、側面パネル22の下辺には折線kを介して外折込み片30を連設し、側面パネル23の下辺には折線lを介して内折込み片31を連設し、側面パネル24の下辺には折線mを介して外折込み片32を連設し、側面パネル25の下辺には折線nを介して内折込み片33を連設しており、外折込み片30の一部の三角形部分を折線oで折り返せる糊代部分30aとし、外折込み片32の一部の三角形部分を折線pで折り返せる糊代部分32aとしている。
【0018】
なお、ブランクBの素材としては、板紙や段ボールシートの他に、これらを主体として樹脂フィルムなどを組み合わせた複合シートなどを使用することができ、特に限定されるものではない。
【0019】
ストッパー40は、ブランクBと同じ素材又は別のシート状物を打ち抜いたもので、図5に示すような形状をしている。このストッパー40の横幅は内蓋パネル26及び外蓋パネル28とほぼ同じであり、縦方向の長さは内蓋パネル26及び外蓋パネル28とほぼ同じか少し短くなっている。そして、ストッパー40には、図示のように、四角形の中心部40aとそれに繋がる末広状の導入部40bとからなる切欠が形成されており、中心部40aは注出口13の首部分17が丁度嵌まるサイズになっている。
【0020】
上記のブランクBはサック貼りして供給される。すなわち、外折込み片30を折線kで側面パネル22の裏面側に折り返し、内折込み片31を折線lで側面パネル23の裏面側に折り返し、外折込み片32を折線mで側面パネル24の裏面側に折り返し、内折込み片33を折線nで側面パネル25の裏面側に折り返す。そして、その外折込み片30の糊代部分30aを折線oで外側に折り返し、その外折込み片32の糊代部分32aを折線pで外側に折り返す。
【0021】
次に、側面パネル22を折線bで側面パネル23の裏面側に折り返し、側面パネル25を折線dで側面パネル24の裏面側に折り返し、糊代片21と側面パネル25の側縁部の裏面とを貼り合わせる。同時に、外折込み片30の糊代部分30aと内折込み片31とを貼り合わせ、外折込み片32の糊代部分32aと内折込み片33とを貼り合わせる。このようにしてブランクBは折り畳まれてサック貼りした状態となり、この折り畳まれた状態で軟包装袋を収納する箱詰め工程へと供給される。
【0022】
箱詰め工程では、折り畳まれた状態の外箱20を起こすが、底部がオートロック式になっているので、起こすと同時に図2のように外箱20は底部が自動的に形成される。このように底部が形成された外箱20の中に軟包装袋10を入れる。そして、注出口13のフランジ15,16を切欠部27a,29aが囲むようにして両側の折曲げ片27,29を内側に折り曲げた後、内蓋パネル26を折り曲げる。この時、注出口13のフランジ15,16が開口26bを通るようにして内蓋パネル26を折り曲げ、差込み片26aを側面パネル24の裏側に差し込んで蓋をする。
【0023】
次いで、内蓋パネル26から露出しているフランジ15,16の間にストッパー40を挿入する。この時の内蓋パネル26とストッパー40の位置関係を示すと図6のようである。続いて、外蓋パネル28を折り曲げる。すなわち、注出口13のフランジ15,16が開口28bを通るようにして外蓋パネル28を折り曲げ、その先端の差込み凸部28aを内蓋パネル26の端縁にある切込み線αに差し込んで蓋をする。これにより図1に示す注出口付き液体容器Aが完成する。このようにして外箱20の中に軟包装袋10を収納すると、ストッパー40は外蓋パネル28により回動が阻止され、そのストッパー40により軟包装袋10の注出口13は回動が阻止された状態となる。
【0024】
この注出口付き液体容器Aは、軟包装袋10が外箱20の中に入っているので、立てた状態で置いておくことができ、軟包装袋10に収納した内容物の液体が減少しても立てることができる。そして、注出口13が外箱20から突出して回動不能な状態で固定されており、キャップ11を回した時に中の軟包装袋10が同時に回転しないので、キャップ11を確実に開閉することができる。
【0025】
図7は本発明に係る注出口付き液体容器の別の例を示す斜視図であり、この注出口付き液体容器A’は、外箱20の側面パネル24に中が見えるスリット24aを設けたものであり、その以外の構成は先に説明した注出口付き液体容器Aと同じである。この注出口付き液体容器A’では、使用して中の液体が減ってきたときに、スリット24aから中を見ることよってその残量を確認することができる。なお、スリット24aの形状は任意であるし、いずれの側面パネルに設けてもよい。要は軟包装袋10の内容物の状態が見えるように設ければよいものである。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による注出口付き液体容器は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る注出口付き液体容器の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す注出口付き液体容器の構成部材を別々に示す斜視図である。
【図3】軟包装袋の一部分を示す斜視図である。
【図4】外箱を形成するブランクの展開図である。
【図5】ストッパーの平面図である。
【図6】装着したストッパーの内蓋パネルとの位置関係を示す説明図である。
【図7】本発明に係る注出口付き液体容器の別の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
A,A’ 注出口付き液体容器
B ブランク
a〜p 折線
α 切込み線
10 軟包装袋
11 キャップ
12 包装袋本体
12a シール部
13 注出口
14 取付板
15,16 フランジ
17 首部分
20 外箱
21 糊代片
22〜25 側面パネル
24a スリット
26 内蓋パネル
26a 差込み片
26b 開口
27 折曲げパネル
27a 切欠部
28 外蓋パネル
28a 差込み凸部
28b 開口
29 折曲げ片
29a 切欠部
30 外折込み片
30a 糊代部分
31 内折込み片
32 外折込み片
32a 糊代部分
33 内折込み片
40 ストッパー
40a 中心部
40b 導入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを螺着する注出口が設けられた軟包装袋と、軟包装袋をその注出口が上部から突出する状態で収納する厚紙製の外箱と、外箱から突出した注出口の首部分に嵌合するシート状のストッパーとからなり、ストッパーは外箱に対して注出口を回動不能な状態で固定するように注出口の首部分に嵌合していることを特徴とする注出口付き液体容器。
【請求項2】
注出口にはそれらの間が首部分となる水平な一対のフランジが設けられ、首部分には平行面が形成されており、ストッパーにはその首部分の平行面に対応する幅の切欠部が設けられており、ストッパーをその切欠部が首部分の平行面に嵌まるようにして注出口における一対のフランジの間に挿入することにより、注出口が外箱に対してストッパーごと動かないようにセットされていることを特徴とする請求項1に記載の注出口付き液体容器。
【請求項3】
外箱の側面に中が見えるスリットが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の注出口付き液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−204059(P2007−204059A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21659(P2006−21659)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】