説明

注意喚起型の溝構造

【課題】事故抑制効果が高くしかも外側線を視認性を損なうことなく長寿命化することができる注意喚起型の溝構造を提供する。
【解決手段】道路の端部に波形形状の溝2を形成し、その表面に外側線の塗料が塗布された塗料面4に形成されている注意喚起型の溝構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路の端部に設ける注意喚起型の溝構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路(車道)の路肩部などに所定間隔で切削溝や凸型部を設けることにより、居眠り運転などにより走行車両が車道本線から逸脱しそうになったときに、走行車両のタイヤがその上を通過したときに発生する音や振動で車両の運転者に注意を促すいわゆる注意喚起構造が知られている(特許文献1)。この工法は一般にランブルストリップスと称されている。
【0003】
しかし、従来工法では道路路肩部即ち外側線の外側に切削溝などの凹凸構造が形成されているため、一般道の場合歩行者道路に位置が近く、事故抑制効果が十分とはいえないという問題点があることを知見した(図3(a)参照)。また積雪寒冷地域など冬期間に車道の除雪が行われる地域では、除雪作業時に外側線を構成する塗料が削られるという問題点があった。この点に関しては外側線部を凹状に切削しそこに透水性着色材料を充填する方式も提案されている(特許文献2)が、塗料を塗布して外側線を設ける場合に比し視認性に劣ると共に経済性にも問題があった。
【特許文献1】特開2003−253619号公報
【特許文献2】特開2004−143892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は上記した従来技術の問題点を解決することにあり、特に事故抑制効果が高くしかも外側線をその視認性を損なうことなく長寿命化することができる注意喚起型の溝構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1に、道路の端部に形成された注意喚起型の溝であって、該溝が波形状に形成されていると共にその表面に道路区画線用塗料が塗布されて外側線を形成していることを特徴とする注意喚起型の溝構造である。
本発明は、第2に、溝が道路の長さ方向に連続状に形成された切削溝からなり、波形形状の凹部だけではなく凸部の表面高さも隣接する道路表面より下に位置している上記の溝構造である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の溝構造は従来工法よりも車道側に設けてあることから、事故抑制効果が大きい。また外側線が道路表面より低い位置に設けてあることから、外側線が削られにくく、その寿命を長くすることができ、特に冬期間に除雪が行われている地域ではその効果が一層顕著である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の溝構造の対象となる道路は、車両通行用道路であって外側線を設けうる道路であればいずれでもよく、その表層部の材質なども特に制限されないが、一般的には、アスファルト質の表層部をもつ道路が対象となる。
本発明では外側線に相当する位置に溝を設ける(図3(b)参照)。この溝は切削溝であることが好ましく、特に道路の長さ方向に連続して切削されていると共に所定間隔で凹部が存在する波形形状であることが好ましい。
【0008】
図1に本発明の溝構造の一例の部分縦断面図を示す。1は道路の非切削表面であり、2は切削波形の凹部、3は切削波形の凸部、4は外側線塗料面を示す。
図1(a)は切削波形凸部の塗料面が道路の非切削表面より下方に位置する例であり、図1(b)は切削波形凸部の塗料面が道路の非切削表面と同じ高さに位置する例である。
【0009】
本発明において波形状又は波形形状とは高さが交互に変化する形状をいい、図示するような湾曲凹部と平坦凸部の繰り返しからなる形状は、その好ましい典型例である。
切削溝の幅は外側線(道路区画線)の幅とほぼ同じ幅であることが好ましく、通常10〜20cm程度である。切削溝の波形形状のピッチ(繰返し間隔)は10〜40cm程度(たとえば24cm)、最深部(凹部)は道路表面から5〜20mm程度(たとえば9mm)、最浅部(凸部)は道路表面から1〜5mm程度(たとえば3mm)が好ましく、これらの最適値は、車両の制限速度等に応じて決定される。
【0010】
このようにして形成した切削溝に白色のエポキシ樹脂その他の一般の道路区画線用の塗料を塗布して外側線を形成することにより、本発明の注意喚起型の溝構造が形成される。
本発明の溝構造は外側線部に設けることを本質とするが、中央線にも同様の溝構造を設けることができる。
かくして、事故抑止効果が高く、また視認性を損なわずに冬期間の除雪作業でも削られにくい外側線をもつ注意喚起型の溝構造を経済的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の溝構造の一例を示す部分縦断面図。
【図2】図1(b)に示す溝構造の斜視図。
【図3】(a)は従来の溝構造の配置を示す平面図、(b)は本発明の溝構造の配置を示す平面図。
【符号の説明】
【0012】
1 道路の非切削表面
2 切削波形の凹部
3 切削波形の凸部
4 塗料面
5 中央線
6 外側線
7 切削溝
8 切削溝および外側線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の端部に形成された注意喚起型の溝であって、該溝が波形状に形成されていると共にその表面に道路区画線用塗料が塗布されて外側線を形成していることを特徴とする注意喚起型の溝構造。
【請求項2】
該溝が道路の長さ方向に連続状に形成された切削溝からなり、波形形状の凹部だけでなはく凸部の表面高さも隣接する道路表面より下に位置している請求項1に記載の溝構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−162287(P2007−162287A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358434(P2005−358434)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(501218810)独立行政法人北海道開発土木研究所 (10)
【出願人】(590002482)株式会社NIPPOコーポレーション (130)
【Fターム(参考)】