説明

洗浄剤組成物

【課題】 泡質がクリーミーであり、すすぎ時にはぬめらず洗いあがりに優れ、泡切れが速く、かつ油性成分の共存下においても泡立ちが良好な洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】 (a)アシル基の炭素数が6〜10のアシルアミノ酸塩および(b)硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤を含む洗浄剤組成物であって、該組成物中に、該(a)アシルアミノ酸塩が0.05〜30質量%および該(b)アニオン性界面活性剤が1〜50質量%の割合で含有され、そして該(a)アシルアミノ酸塩と該(b)アニオン性界面活性剤との質量比が1/100〜1/1であることを特徴とする洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボディソープ、ハンドソープ、洗顔料、ヘアシャンプー等の身体および毛髪用の洗浄剤に関し、さらに詳しくは、泡質がクリーミーであり、すすぎ時にはぬめらず、洗いあがりに優れ、泡切れが速く、かつ油性成分の共存下においても泡立ちが良好な洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤は、毛髪用や皮膚用の洗浄剤においてその主成分の一つとして用いられているが、単独で使用した場合泡立ちや泡質が劣るという問題があった。このため、泡立ちや泡質の改善のために硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤と両性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤等を組み合わせることにより洗浄剤組成物としている場合が多い。硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤と両性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤を組み合わせた洗浄剤組成物の例としては、特許文献1においては、アルキルエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤とアミドアミノ酸型両性界面活性剤とアルカノールアミド型ノニオン性界面活性剤を組み合わせた洗浄剤組成物、特許文献2においては、アシルアルキルタウレート型アニオン性界面活性剤とアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤とアルカノールアミド型ノニオン性界面活性剤を組み合わせた洗浄剤組成物、特許文献3においては、アシルイセチオネート型アニオン性界面活性剤とベタイン型両性界面活性剤を組み合わせた洗浄剤組成物、特許文献4においては、アミドエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤とアルキルイミノジカルボキシレート型両性界面活性剤を組み合わせた洗浄剤組成物などが開示されている。しかし、これらの洗浄剤組成物はいまだ泡質が十分に良いとは言えず、軽いという欠点があり、皮膚に付着するといやなぬめり感を有するという問題があった。
【0003】
さらに、特に毛髪用洗浄剤組成物において、洗髪および洗い流し時の指どおりをよくする目的で、高重合度メチルポリシロキサンに代表されるシリコーン誘導体や油性成分が配合される場合が多く、これらの例として、特許文献5においては、アシルアルキルタウレート型アニオン性界面活性剤とシリコーン誘導体を組み合わせた洗浄剤組成物、特許文献6においては、アルキルエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤とアシルグルタメート型アニオン性界面活性剤とベタイン型両性界面活性剤とメチルポリシロキサンを組み合わせた洗浄剤組成物、特許文献7においてはアニオン性界面活性剤と高分子化合物とシリコーン誘導体と油性成分を組み合わせた洗浄剤組成物などが開示されている。しかし、これらの硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤を主成分とした洗浄剤組成物では、シリコーン誘導体により初期の泡立ちが損なわれるばかりでなく、他の油性成分の共存化においても泡立ちが十分ではないという欠点を有していた。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−168796号公報
【特許文献2】特開昭57−195800号公報
【特許文献3】特開昭60−161498号公報
【特許文献4】特開平6−172785号公報
【特許文献5】特開平4−296398号公報
【特許文献6】特開平11−29446号公報
【特許文献7】特開2002−193758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決し、泡質がクリーミーであり、すすぎ時にはぬめらず、洗いあがりに優れ、泡切れが速く、かつ油性成分の共存下においても泡立ちが良好な洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために研究を重ねたところ、特定のアシルアミノ酸塩と硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤を特定の比率で組み合わせることで目的の洗浄剤組成物を得るに至った。すなわち本発明は、
(a)アシル基の炭素数が6〜10のアシルアミノ酸塩および(b)硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤を含む洗浄剤組成物であって、該組成物中に、該(a)アシルアミノ酸塩が0.05〜30重量%および該(b)アニオン性界面活性剤が1〜50重量%の割合で含有され、そして該(a)アシルアミノ酸塩と該(b)アニオン性界面活性剤との重量比が1/100〜1/1であることを特徴とする洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄剤組成物は泡質がクリーミーであり、すすぎ時にはぬめらず、洗いあがりに優れ、泡切れが速く、かつ油性成分の共存下においても泡立ちが良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物は、下記の(a)アシル基の炭素数が6〜10のアシルアミノ酸塩(以下、化合物a、a成分などという場合がある)および(b)硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤(以下、化合物b、b成分などという場合がある)を含み、必要に応じて溶媒および添加剤を含む。以下、これらについて順次説明する。
【0009】
((a)アシル基の炭素数が6〜10のアシルアミノ酸塩)
本発明の洗浄剤組成物に用いられる(a)アシル基の炭素数が6〜10のアシルアミノ酸塩は、炭素数6〜10の飽和アシル基又は不飽和アシル基であり、直鎖でも分岐があってもよい。炭素数が5以下では毛髪や皮膚への刺激が強くなり、泡質および油性成分共存下における泡立ちが悪くなる。また炭素数が11以上の場合は泡質および油性成分共存下における泡立ちが悪くなり、洗浄を行ったときのすすぎ時にぬめり感を感じるようになる。
【0010】
炭素数が6〜10のアシル基としては、具体的には、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基などの飽和アシル基、ヘキセノイル基、オクセノイル基、デセノイル基などの不飽和アシル基が挙げられる。
【0011】
アシルアミノ酸塩の対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウム、アミノ酸(塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸)、酸性アミノ酸または中性アミノ酸のアルカリ金属塩、タウリンまたはN-メチルタウリンまたはそれらのアルカリ金属塩である。具体的には、ナトリウム、カリウム、1/2カルシウム、1/2マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアンモニウム、リジン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、グリシンナトリウム、グリシンカリウム、グルタミン酸ジナトリウム、タウリン、N-メチルタウリン、タウリンナトリウム、タウリンカリウム、N-メチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。
【0012】
アシル基の炭素数が6〜10のアシルアミノ酸塩としては、具体的には、N−ヘキサノイルグルタメート、N−オクタノイルグルタメート、N−デカノイルグルタメート、N−ヘキセノイルグルタメート、N−オクテノイルグルタメート、N−デセノイルグルタメート、N−ヘキサノイルアスパラゲート、N−オクタノイルアスパラゲート、N−デカノイルアスパラゲート、N−ヘキセノイルアスパラゲート、N−オクテノイルアスパラゲート、N−デセノイルアスパラゲート、N−ヘキサノイルグリシネート、N−オクタノイルグリシネート、N−デカノイルグリシネート、N−ヘキセノイルグリシネート、N−オクテノイルグリシネート、N−デセノイルグリシネート、N−ヘキサノイルザルコシネート、N−オクタノイルザルコシネート、N−デカノイルザルコシネート、N−ヘキセノイルザルコシネート、N−オクテノイルザルコシネート、N−デセノイルザルコシネート、N−ヘキサノイルβ−アラニネート、N−オクタノイルβ−アラニネート、N−デカノイルβ−アラニネート、N−ヘキセノイルβ−アラニネート、N−オクテノイルβ−アラニネート、N−デセノイルβ−アラニネートなどが挙げられる。
【0013】
((b)硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤)
本発明の洗浄剤組成物に用いられる(b)硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤は、例えばアルキルエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤、アミドエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤、アシルイセチオネート型アニオン性界面活性剤、アシルアルキルタウレート型アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0014】
これらのアニオン性界面活性剤の対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウム、アミノ酸(塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸)、酸性アミノ酸または中性アミノ酸のアルカリ金属塩、タウリンまたはN−メチルタウリンまたはそれらのアルカリ金属塩である。具体的には、ナトリウム、カリウム、1/2カルシウム、1/2マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアンモニウム、リジン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、グリシンナトリウム、グリシンカリウム、グルタミン酸ジナトリウム、タウリン、N−メチルタウリン、タウリンナトリウム、タウリンカリウム、N−メチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。
【0015】
アルキルエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤は炭素数8〜22の直鎖または分岐の飽和アルキル基または不飽和アルキル基を有し、1分子内に平均0.5〜8モルの炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加し硫酸化した界面活性剤であり、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩等が挙げられる。
【0016】
アミドエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤は炭素数8〜22の直鎖または分岐の飽和アシル基又は不飽和アシル基を有するアシルモノエタノールアミドに、1分子内に平均0.5〜8モルの炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加し、硫酸化した界面活性剤であり、例えば、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム塩等が挙げられる。
【0017】
アシルイセチオネート型アニオン性界面活性剤は炭素数8〜22の直鎖または分岐の飽和アシル基又は不飽和アシル基とイセチオン酸塩のエステル化物であり、例えば、ヤシ油脂肪酸アシルイセチオン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
【0018】
アシルアルキルタウレート型アニオン性界面活性剤は炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和アシル基又は不飽和アシル基とN−アルキルタウリン塩のアミド結合体であり、例えば、ヤシ油脂肪酸アシルメチルタウリンナトリウム塩、ヤシ油脂肪酸アシルメチルタウリンとタウリンナトリウムの塩等が挙げられる。
【0019】
(添加剤(以下、化合物c、c成分などという場合がある))
本発明の洗浄剤組成物に含まれる添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で組成物中に含有させることができる。添加剤としては、洗浄剤に常用されている添加剤であり、例えば、低級アルコール、多価アルコール、炭化水素系油、天然油脂類、合成トリグリセライド、エステル油、ロウ類、シリコーン誘導体、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、水溶性高分子、有機または無機塩類、pH調整剤、殺菌剤、キレート剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、動植物由来の天然エキス、色素、顔料、香料などが挙げられる。
【0020】
(身体洗浄用組成物)
本発明の洗浄剤組成物は、上述のように、アシル基の炭素数が6〜10のアシルアミノ酸塩(a成分)および硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤(b成分)を特定の割合で含み、必要に応じて溶媒(例えば水)、添加剤(c成分)などを含む。
【0021】
a成分は、洗浄剤組成物に0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%の割合で含まれる。0.05重量%未満の場合は、泡質が粗くなり、すすぎ時の泡切れ性および油性成分共存下における泡立ちが悪くなる。30重量%を超える場合は、泡質が粗くなり、洗浄を行ったときのすすぎ時にぬめり感が感じられるようになる。a成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
b成分は、洗浄剤組成物に1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%の割合で含まれる。1重量%未満の場合は、泡質が粗くなる。50重量%を超える場合は、泡質が粗くなり、洗浄を行ったときのすすぎ時にぬめり感が感じられるようになり、すすぎ時の泡切れ性および油性成分共存下における泡立ちが悪くなり、洗浄時に刺激を感じることがある。b成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
a成分およびb成分の重量比(a/b)は、1/100〜1/1、好ましくは1/50〜1/2である。1/100より小さい場合は、泡質が粗くなり、洗浄を行ったときのすすぎ時にぬめり感が感じられるようになり、すすぎ時の泡切れ性および油性成分共存下における泡立ちが悪くなる。1/1より大きい場合は、泡質が粗くなる。
【実施例】
【0024】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示す各成分を表1に示す割合で混合し、液体全身洗浄剤組成物を調製した。
【0025】
【表1】

【0026】
なお、表1中における共通添加成分を表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
調製した液体全身洗浄剤組成物について、(1)皮膚に対する刺激性、(2)油性成分共存下での起泡性、(3)泡のクリーミー性、(4)洗い上がりの感触、(5)すすぎ時の泡切れ性、および(6)すすぎ時のぬめり感について下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0029】
(1)皮膚に対する刺激性
クローズドパッチテストにより評価した。すなわち、健康な皮膚の男女各10名に対して、得られた液体全身洗浄剤組成物1gを精製水99gで希釈調製した水溶液を用いて、上腕部内側にて24時間のクローズドパッチテストを行ない、肉眼判定により評価した。皮膚に全く変化が見られない場合を0点、皮膚に若干の紅斑が認められる場合を1点、皮膚に明らかに紅斑、浮腫が見られる場合を2点として、20名の平均値を求めて、次の3段階で評価した。
皮膚刺激性が弱い(平均値0.5点未満)
皮膚刺激性が中程度(平均値0.5点以上1.0点未満)
皮膚刺激性が強い(平均値1.0点以上)
表1においては、皮膚刺激性が弱い場合を○、皮膚刺激性が中程度の場合を△、皮膚刺激性が強い場合を×として表した。
【0030】
(2)油性成分共存下での起泡性
得られた液体全身洗浄剤組成物1gを精製水99gで希釈調製した水溶液を50gを秤量し、これにマカデミアナッツ油0.5gを添加し、この試験液を40℃でミルサー試験機(Iwatani製 IFM−100)で5秒間攪拌した。攪拌を止めてから1分間静置した。次いで泡の高さを測定し、泡の高さが7cm以上のものを油性成分共存下での起泡性が良好であると評価した。表1においては、泡の高さが7cm以上を○、7cm未満を×として表した。
【0031】
(3)泡のクリーミー性
得られた液体全身洗浄剤組成物1gを精製水99gで希釈した。次いで、得られた水溶液50gを秤量し、40℃において、ミルサー試験機(Iwatani製 IFM−100)で5秒間攪拌した。攪拌を止めてから1分間静置した。次いで、生じた泡を壊さないように注意しながら水溶液を捨て、カップ内に残った泡の重量と体積を測定した。重量と体積から泡の密度を計算して下記のように判定した。
20点:泡の密度が0.04以上であった場合。
15点:泡の密度が0.03以上0.04未満であった場合。
10点:泡の密度が0.02以上0.03未満であった場合。
5点:泡の密度が0.01以上0.02未満であった場合。
0点:泡の密度が0.01未満であった場合。
同様の試験を5回行い、その平均値を求めて小数点以下1桁を四捨五入し、15点以上の場合、泡がクリーミーな液体全身洗浄剤組成物であると評価した。表1においては、平均点が15点以上を○、15点未満を×として表した。
【0032】
(4)洗い上がりの感触
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、得られた液体全身洗浄剤組成物3gを用いて前腕及び手指を洗浄した後の感触について下記のように判定した。
20点:洗浄後に皮膚が全くつっぱらずしかもとてもさっぱりすると感じた場合。
15点:洗浄後に皮膚がややつっぱるがさっぱりすると感じた場合。
10点:洗浄後に皮膚がややつっぱり、さっぱり感が弱いと感じた場合。
5点:洗浄後に皮膚がつっぱり、さっぱり感が弱いと感じた場合。
0点:洗浄後の皮膚がとてもつっぱり、さっぱり感が無いと感じた場合。
20名の平均値を求めて小数点以下1桁を四捨五入し、15点以上の場合、洗い上がりの感触の良い液体全身洗浄剤組成物であると評価した。表1においては、平均点が15点以上を○、15点未満を×として表した。
【0033】
(5)すすぎ時の泡切れ性
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、得られた液体全身洗浄剤組成物3gを用いて前腕及び手指を洗浄し、水道水ですすいでいる時の泡切れ性について下記のように判定した。
20点:すすぎ時の泡切れが非常に速いと感じた場合。
15点:すすぎ時の泡切れが速いと感じた場合。
10点:すすぎ時の泡切れがやや速いと感じた場合。
5点:すすぎ時の泡切れが少し遅いと感じた場合。
0点:すすぎ時の泡切れが遅いと感じた場合。
20名の平均値を求めて小数点以下1桁を四捨五入し、15点以上の場合、すすぎ時の泡切れ性が良好な洗浄剤であると評価した。表1においては、平均点が15点以上を○、15点未満を×として表した。
【0034】
(6)すすぎ時のぬめり感
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、得られた液体全身洗浄剤組成物3gを用いて前腕及び手指を洗浄し、水道水ですすいでいる時のぬめり感について下記のように判定した。
20点:すすぎ時に手指が全くぬめらないと感じた場合。
15点:すすぎ時に手指がぬめらないと感じた場合。
10点:すすぎ時に手指がややぬめると感じた場合。
5点:すすぎ時に手指がぬめると感じた場合。
0点:すすぎ時に手指が非常にぬめると感じた場合。
20名の平均値を求めて小数点以下1桁を四捨五入し、15点以上の場合、すすぎ時ぬめり感のない洗浄剤であると評価した。表1においては、平均点が15点以上を○、15点未満を×として表した。
【0035】
(実施例2〜5)
実施例1と同様に、表1に示す各成分を表1に示す割合で混合し、液体全身洗浄剤組成物を調製し、実施例1と同様に、(1)皮膚に対する刺激性、(2)油性成分共存下での起泡性、(3)泡のクリーミー性、(4)洗い上がりの感触、(5)すすぎ時の泡切れ性、および(6)すすぎ時のぬめり感について実施例1の評価方法と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0036】
(比較例1〜7)
表3に示す各成分を表3に示す割合で混合し、液体全身洗浄剤組成物を調製した。なお、表3中における共通添加成分を表2に示す。調製した洗浄剤について、実施例1と同様に、(1)皮膚に対する刺激性、(2)油性成分共存下での起泡性、(3)泡のクリーミー性、(4)洗い上がりの感触、(5)すすぎ時の泡切れ性、および(6)すすぎ時のぬめり感について実施例1の評価方法と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
本発明の液体全身洗浄剤組成物は、いずれも皮膚に対して刺激性がなく、油性成分共存下での起泡性、泡のクリーミー性に優れ、洗い上がりの感触、すすぎ時の泡切れ性が良好な洗浄剤であった。
【0039】
一方、比較例1〜7では、十分な性能が得られなかった。比較例1ではa成分の含有量が本発明の範囲より少ないため、油性成分共存下での起泡性、泡のクリーミー性、洗い上がりの感触、すすぎ時の泡切れ性が悪く、すすぎ時にぬめり感が感じられる。比較例2ではa成分の含有量が本発明の範囲より多いため、泡のクリーミー性、洗いあがりの感触が悪く、すすぎ時にぬめり感が感じられる。比較例3ではb成分の含有量が本発明の範囲より少ないため、泡のクリーミー性が悪い。比較例4ではb成分の含有量が本発明の範囲より多いため、皮膚に対して刺激性があり、油性成分共存下での起泡性、泡のクリーミー性、洗い上がりの感触、すすぎ時の泡切れ性が悪く、すすぎ時にぬめり感が感じられる。比較例5ではa成分およびb成分の重量比(a/b)が本発明の範囲より小さいため、油性成分共存下での起泡性、泡のクリーミー性、洗い上がりの感触、すすぎ時の泡切れ性が悪く、すすぎ時にぬめり感が感じられる。比較例6ではa成分およびb成分の重量比(a/b)が本発明の範囲より大きいため、泡のクリーミー性が悪い。比較例7ではa成分がまったく配合されておらず、b成分同士の組み合わせになっていることから油性成分共存下での起泡性、泡のクリーミー性、洗い上がりの感触、すすぎ時の泡切れ性が悪く、すすぎ時にぬめり感が感じられる。
【0040】
(実施例6)
表4に示す各成分を表4に示す割合で混合し、液状のヘアシャンプーである洗浄剤組成物を調製した。
【0041】
【表4】

【0042】
なお、表4中における共通添加成分を表5に示す。
【0043】
【表5】

【0044】
調製した液状のヘアシャンプーである洗浄剤組成物について、(1)起泡性、(2)泡のクリーミー性、(3)洗い上がりの感触、(4)すすぎ時の泡切れ性について下記の方法により評価した。結果を表4に示す。
【0045】
(1)起泡性
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、得られた液状のシャンプーである洗浄剤組成物5gを用いて洗髪した時の起泡性について下記のように判定した。
20点:泡立ちがとても良好であると感じた場合。
15点:泡立ちがやや良好であると感じた場合。
10点:泡立ちが普通であると感じた場合。
5点:泡立ちがやや悪いと感じた場合。
0点:泡立ちが悪いと感じた場合。
20名の平均値を求めて小数点以下1桁を四捨五入し、15点以上の場合、起泡性の良好な液状のシャンプーである洗浄剤組成物であると評価した。表4においては、平均点が15点以上を○、15点未満を×として表した。
【0046】
(2)泡のクリーミー性
得られた液状のシャンプーである洗浄剤組成物1gを精製水99gで希釈した。次いで、得られた水溶液50gを秤量し、40℃において、ミルサー試験機(Iwatani製 IFM−100)で5秒間攪拌した。攪拌を止めてから1分間静置した。次いで、生じた泡を壊さないように注意しながら水溶液を捨て、カップ内に残った泡の重量と体積を測定した。重量と体積から泡の密度を計算して下記のように判定した。
20点:泡の密度が0.04以上であった場合。
15点:泡の密度が0.03以上0.04未満であった場合。
10点:泡の密度が0.02以上0.03未満であった場合。
5点:泡の密度が0.01以上0.02未満であった場合。
0点:泡の密度が0.01未満であった場合。
同様の試験を5回行い、その平均値を求めて小数点以下1桁を四捨五入し、15点以上の場合、泡がクリーミーな液状のシャンプーである洗浄剤組成物であると評価した。表4においては、平均点が15点以上を○、15点未満を×として表した。
【0047】
(3)洗い上がりの感触
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、得られた液状のシャンプーである洗浄剤組成物5gを用いて頭髪および頭皮を洗浄した後の感触について下記のように判定した。
20点:洗浄後にとてもさっぱりすると感じた場合。
15点:洗浄後にさっぱりすると感じた場合。
10点:洗浄後にやや毛髪がきしむ感じがあり、さっぱり感が弱いと感じた場合。
5点:洗浄後に毛髪がきしむ感じがあり、さっぱり感が弱いと感じた場合。
0点:洗浄後に毛髪がとてもきしみ、さっぱり感が無いと感じた場合。
20名の平均値を求めて小数点以下1桁を四捨五入し、15点以上の場合、洗い上がりの感触の良い液状のシャンプーである洗浄剤組成物であると評価した。表4においては、平均点が15点以上を○、15点未満を×として表した。
【0048】
(4)すすぎ時の泡切れ性
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、得られた液状のシャンプーである洗浄剤組成物5gを用いて頭髪および頭皮を洗浄し、水道水ですすいでいる時の泡切れ性について下記のように判定した。
20点:すすぎ時の泡切れが非常に速いと感じた場合。
15点:すすぎ時の泡切れが速いと感じた場合。
10点:すすぎ時の泡切れがやや速いと感じた場合。
5点:すすぎ時の泡切れが少し遅いと感じた場合。
0点:すすぎ時の泡切れが遅いと感じた場合。
20名の平均値を求めて小数点以下1桁を四捨五入し、15点以上の場合、すすぎ時の泡切れ性が良好な液状のシャンプーである洗浄剤組成物であると評価した。表4においては、平均点が15点以上を○、15点未満を×として表した。
【0049】
(比較例8〜9)
表4に示す各成分を表4に示す割合で混合し、液状のヘアシャンプーである洗浄剤組成物を調製した。調製した洗浄剤について、実施例6と同様に、(1)起泡性、(2)泡のクリーミー性、(3)洗い上がりの感触、(4)すすぎ時の泡切れ性について実施例6の評価方法と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0050】
実施例6より、本発明の液状のヘアシャンプーである洗浄剤組成物は起泡性、泡のクリーミー性に優れ、洗い上がりの感触、すすぎ時の泡切れが良好であった。一方、比較例8および9では十分な性能が得られなかった。つまり、比較例8ではa成分を全く配合せず、b成分のみの配合であることから起泡性、泡のクリーミー性、洗い上がりの感触、すすぎ時の泡切れが悪い。また比較例9ではa成分の替わりにN−ラウロイルアスパラギン酸モノナトリウムが配合されていることから起泡性、泡のクリーミー性、洗い上がりの感触、すすぎ時の泡切れが悪くなっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アシル基の炭素数が6〜10のアシルアミノ酸塩および(b)硫酸基またはスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤を含む洗浄剤組成物であって、該組成物中に、該(a)アシルアミノ酸塩が0.05〜30重量%および該(b)アニオン性界面活性剤が1〜50重量%の割合で含有され、そして該(a)アシルアミノ酸塩と該(b)アニオン性界面活性剤との重量比が1/100〜1/1である洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2006−306908(P2006−306908A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127667(P2005−127667)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】