説明

洗浄剤組成物

【課題】優れた洗浄力を有し、且つ、すすぎ後の油残り感を低減しうる透明な洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の洗浄剤組成物は、(1)組成物の全質量に対して10質量%以上90質量%以下の油成分、(2)組成物の全質量に対して5質量%以上30質量%以下の水不溶性の非イオン性界面活性剤、(3)分子量500以下の多価アルコール、及び(4)水を含有する等方性一液相であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、クレンジング化粧料には、メイクアップ化粧料を落とすために油分を含有する組成物が用いられている。このような組成物としては、種々の界面活性剤と組み合わせることにより、乳化型、可溶化型、液晶型の剤型が利用されている。
一方、クレンジング化粧料としては、メイク落ち、すすぎ後の油残り感の無さ(さっぱり感)が求められるが、両者は相反する性能であり、クレンジング化粧料を開発する上で大きな課題となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、両性界面活性剤及びアニオン界面活性剤を使用し、これが目的とする等方性界面活性剤連続相を構成する洗浄用組成物が記載されている。また、特許文献2には、親水性の非イオン性界面活性剤を使用して、等方性一液相を構成する洗浄剤組成物が記載されている。
しかしながら、これらの特許文献に記載されている洗浄剤組成物は、優れた洗浄力を有するものの、すすぎ後の油残り感の無さ(さっぱり感)については十分に満足いく性能に至っていないのが現状である。
【特許文献1】特許3684144号公報
【特許文献2】特開2004−217640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、優れた洗浄力を有し、且つ、すすぎ後の油残り感を低減しうる透明な洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
即ち、
<1> (1)組成物の全質量に対して10質量%以上90質量%以下の油成分、(2)組成物の全質量に対して5質量%以上30質量%以下の水不溶性の非イオン性界面活性剤、(3)分子量500以下の多価アルコール、及び(4)水を含有する等方性一液相である洗浄剤組成物。
【0006】
<2> 前記(1)油成分の全質量に対し、エステル結合を有するエステル油を80質量%以上含む前記<1>に記載の洗浄剤組成物。
<3> 前記エステル結合を有するエステル油が、分岐脂肪酸のエステルである前記<2>に記載の洗浄剤組成物。
【0007】
<4> (5)イオン性界面活性剤を更に含む前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の洗浄剤組成物。
<5> 前記(5)イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤である前記<4>に記載の洗浄剤組成物。
<6> 前記(5)イオン性界面活性剤がカルボン酸基を有するイオン性界面活性剤である前記<4>又は<5>に記載の洗浄剤組成物。
【0008】
<7> 前記(2)水不溶性の非イオン性界面活性剤、及び、前記(5)イオン性界面活性剤の合計量が5質量%以上30質量%以下である前記<4>〜<6>のいずれか1に記載の洗浄剤組成物。
<8> 前記(2)水不溶性の非イオン性界面活性剤(NI)と、前記(5)イオン性界面活性剤(I)と、の質量比(NI/I)が、1以上1000以下である前記<4>〜<7>のいずれか1に記載の洗浄剤組成物。
【0009】
<9> (6)両親媒性化合物を更に含む前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の洗浄剤組成物。
<10> 前記(6)両親媒性化合物の含有量が0.1質量%以上5質量%以下であることを特徴とする前記<9>に記載の洗浄剤組成物。
【0010】
<11> 前記(3)分子量500以下の多価アルコールの含有量が1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の洗浄剤組成物。
<12> 前記(7)塩を更に含むことを特徴とする前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、優れた洗浄力を有し、且つ、すすぎ後の油残り感を低減しうる透明な洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の洗浄剤組成物は、(1)油成分、(2)水不溶性の非イオン性界面活性剤、(3)分子量500以下の多価アルコール、及び(4)水を含有する等方性一液相であることを特徴とする。
以下、本発明の洗浄剤組成物を構成する各成分について順に説明する。
【0013】
〔(1)油成分〕
本発明における油成分とは、外用剤用途(医薬品、医薬部外品、化粧品)で使用可能である油成分であれば、いずれのものを用いてもかまわない。
油成分として、具体的には、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素油;イソステアリン酸コレステリルエステル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクタデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、トリ(2−エチルヘキサン酸)グリセリン、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン等のエステル油;アルキル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ノニルフェニルエーテル等のエーテル油;デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のメチルシクロポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油;オリーブ油等の動植物油;テルペン油などを用いることができる。
上記の中でも、肌とのなじみやすさ、洗浄力(メイク落ち)の点から、エステル油が好ましく、より好ましくは、脂肪酸部分が分岐脂肪酸であるエステル油が挙げられる。
【0014】
本発明における油成分は、洗浄力(メイク落ち)の点から、洗浄剤組成物内に、該組成物の全質量に対して、10質量%以上90質量%以下の範囲で含まれる。油成分の含有量の好ましい範囲としては、20質量%以上90質量%以下であり、30質量%以上80質量%以下がより好ましい範囲である。
また、本発明における油成分は、1種類を用いてもよいし、複数種を混合して用いることもできる。
複数種混合する場合、肌へのなじみやすさ、洗浄力(メイク落ち)の点から、油成分の全質量に対して、エステル油を80%以上含むことが好ましい。
【0015】
〔(2)水不溶性の非イオン性界面活性剤〕
本発明における水不溶性の非イオン性界面活性剤とは、25℃における水に対する溶解度が0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下のものをいう。
ここで、水に対する溶解度は、25℃にて、測定試料(非イオン性界面活性剤)を、添加量をそれぞれ変えて水に混合し、30分間マグネティックスターラーで攪拌した後、紫外・可視スペクトルを測定し、600nmにおける吸光度が0.005となった際の濃度(質量%)を指す。
【0016】
本発明に用いられる水不溶性の非イオン性界面活性剤としては、モノ及びジカプリル酸プロピレングリコール等の多価アルコール脂肪酸エステル、α- オレフィンオリゴマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミドなどが挙げられる。中でも、洗浄力(メイク落ち)の点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類が好ましいものとして挙げられ、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類が特に好ましい。
【0017】
本発明における水不溶性の非イオン界面活性剤は、1種類を用いてもよいし、複数種を混合して用いることもできる。
また、本発明における水不溶性の非イオン界面活性剤は、洗浄力(メイク落ち)、皮膚刺激性の観点から、洗浄剤組成物内に、該組成物の全質量に対して、5質量%以上30質量%以下で含まれる。水不溶性の非イオン界面活性剤の含有量の好ましい範囲としては、5質量%以上25質量%以下であり、5質量%以上20質量%以下がより好ましい範囲である。
【0018】
〔(5)イオン性界面活性剤〕
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄力(メイク落ち)の調整のために、イオン性界面活性剤を含んでもよい。
本発明におけるイオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤のいずれも用いることができるが、使用感の点から、アニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アニオン性基として、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基を有するものが好ましく用いられるが、皮膚に対する刺激性の点から、カルボン酸基を有するアニオン性界面活性剤が特に好ましく用いられる。
【0019】
本発明において、イオン性界面活性剤は、前述の(2)水不溶性の非イオン性界面活性剤と併用されるが、その際、水不溶性の非イオン性界面活性剤、及び、イオン性界面活性剤の合計量は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
また、本発明において、イオン性界面活性剤は、前述の(2)水不溶性の非イオン性界面活性剤と併用される際、水不溶性の非イオン性界面活性剤(NI)と、イオン性界面活性剤(I)と、の質量比(NI/I)が、1以上1000以下であることが好ましく、10以上1000以下であることがより好ましい。
【0020】
〔(3)分子量500以下の多価アルコール〕
本発明の洗浄剤組成物は、分子量500以下の多価アルコール(以下、単に「多価アルコール」と称する場合がある。)を含有する。
分子量500以下の多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンチレングリコール等から選択されることが好ましい。これらの中でも、より低分子である多価アルコールが水への溶解度の観点から好ましく、具体的には、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、1,2−ペンチレングリコールが好ましいものとして挙げられる。
ここで、本発明において「分子量500以下」とは、ポリエチレングリコールなどのように分子量に分布が存在する化合物の場合、その最大のものの分子量が500以下であることを指す。
【0021】
これらの多価アルコールは1種を単独で使用してもよいし、また、複数種を併用することも可能である。
本発明における多価アルコールは、使用感の観点から、洗浄剤組成物内に、該組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下で含まれることが好ましく、より好ましい範囲は、1質量%以上15質量%以下である。
【0022】
〔(4)水〕
本発明の洗浄剤組成物は、水を含有する。
本発明における水は、洗い上がり時にさっぱり感が得られるといった観点から、洗浄剤組成物内に、該組成物の全質量に対して、1質量%以上50質量%以下で含まれることが好ましく、より好ましい範囲は、5質量%以上30質量%以下である。
【0023】
〔(6)両親媒性化合物〕
本発明の洗浄剤組成物は、両親媒性化合物を含んでもよい。特に、洗浄力(メイク落ち)の点から、疎水的な両親媒性化合物を含むことが好ましい。
疎水的な両親媒性化合物としては、炭素数8〜25の脂肪アルコール、炭素数8〜25の脂肪酸が好ましい。これらは、疎水基の炭素数が8以上、特に12以上であるのが、油性汚れ及び水溶性汚れに対する洗浄性能が良好であるので好ましい。
脂肪アルコールとしては、炭素数8〜25、好ましくは炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を有する1価のアルコールであればよく、例えば、オクタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、イソパルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベへニルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール等が挙げられる。これらのうち、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、特に、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソステアリルアルコールが、油性汚れ及び水溶性汚れに対する洗浄性能が良好であるので好ましい。
脂肪酸としては、炭素数8〜25、好ましくは炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のいずれでもよく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。これらのうち、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸が、油性汚れ及び水溶性汚れに対する洗浄性能が良好であるので好ましい。
【0024】
これらの両親媒性化合物は1種を単独で使用してもよいし、また、複数種を併用することも可能である。
本発明における両親媒性化合物は、洗浄力(メイク落ち)の観点から、洗浄剤組成物内に、該組成物の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下で含まれることが好ましく、より好ましい範囲は、1質量%以上5質量%以下である。
【0025】
〔(7)塩〕
本発明の洗浄剤組成物は、塩を含んでもよい。
本発明に用いられる塩としては、特に、有機塩、無機塩に限定されない。
有機塩としては、アスコルビン酸誘導体塩や安息香酸、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、サリチル酸等塩等が用いられる。
また、無機塩としては、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、硫黄、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が用いられる。
これらの中でも、洗い上がり時にさっぱり感が得られる点から、塩化ナトリウム、塩化カリウムが好ましい。
【0026】
これらの塩は1種を単独で使用してもよいし、また、複数種を併用することも可能である。
本発明における塩は、洗い上がり時にさっぱり感が得られる観点から、洗浄剤組成物内に、該組成物の全質量に対して、0.001質量%以上20質量%以下で含まれることが好ましく、より好ましい範囲は、0.01質量%以上10質量%以下である。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、例えば、増粘剤、防腐剤、感触向上剤、保湿剤、湿潤剤、香料、着色剤、抗炎症剤、美白剤、制汗剤、殺菌剤、紫外線吸収剤等の洗浄剤に通常用いられる成分を添加することができる。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物は、前述の必須成分及び必要に応じた任意成分を含有し、且つ、25℃において等方性一液相であることが必須である。
この等方性一液相とは、水と油との両方が連続であり、光学的に等方性の透明な低粘度溶液を意味する。そのため、本発明の洗浄剤組成物は透明となる。
【0029】
本発明において、洗浄剤組成物が等方性一液相であるか否かを判断する方法としては、外観による判定、光学偏光顕微鏡による観察、フリーズフラクチャー法を用いて調製したレプリカの電子顕微鏡(TEM、SEMなど)による観察、相平衡図の作成、電気伝導度測定、NMRによる自己拡散係数の測定、蛍光色素を用いた蛍光プローブ法等が用いられる。
本発明においては、外観による判定及び光学偏光顕微鏡による観察を用いて判断した。
【0030】
等方性一液相は、前述のように、低粘度の溶液であり、光学的に等方性であるため、透明である。この特徴と外観により観察することで、本発明の洗浄剤組成物が等方性一液相であるか否かを判断することができる。また、偏光板2枚を90度の位相差で組み合わせた空隙間に測定サンプルを保持し、光の透過がないことを観察することで、等方性であるかを確認することも可能である。この方法により、光学的に異方性の液晶相との区別をつけることができる。
【0031】
光学偏光顕微鏡を用いた場合には、偏光板の角度を90度にした際に光の透過がないことを観察することで、等方性であることを確認することができる。
また、フリーズフラクチャー法を用いて調製した等方性一液相の電子顕微鏡による観察では、水相及び油相がいずれも連続相となった像(イメージ)を得ることができる。この像の観察により、水相又は油相のみが連続相を形成しているマイクロエマルションではないことを確認することができる。
【0032】
水相、油相、及び界面活性剤相からなる3成分系の相平衡図を用いる場合には、その図上にて、等方性一液相領域で、且つ、水相頂点及び油相頂点のいずれからも連続する領域でない等の特長から確認することができるが、この特長は構成される系の組成により異なる。
電気伝導度により、等方性一液相を測定した場合には、同じ系のミセル水溶液相の約2/3の値となることが知られている。具体的な測定方法は、M. Clausseらの、“Microemulsion Systems” Marcel Dekker, New York, 1987, 387に詳しく記載されている方法を適用することができる。
NMRによる自己拡散係数の測定には、B. Lindmanらの、J. Colloid Interface Sci. 1981, 83, 569に詳しく記載されている方法を適用することができる。
更に、蛍光色素を用いた蛍光プローブ法による測定には、B. K. Mishraらの、Colloid Surface 1991, 56, 229に詳しく記載されている方法を適用することができる。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物において、高い洗浄力を有すること、また、洗い上がり後の油残り感が低減されることを確認する方法として、以下の方法を用いることができる。
即ち、本発明の洗浄剤組成物1gに対し、200gの水を加えた後、スターラー(200rpm,30秒間)攪拌した懸濁液中の分散粒子の体積平均粒子径を、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)製)を用いて、25℃で測定する。このようにして測定された体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下の範囲(好ましくは1nm以上200nm以下の範囲、より好ましくは10nm以上200nm以下の範囲)である場合、本発明の洗浄剤組成物は、高い洗浄力と、洗い上がり後の油残り感の低減と、を両立しうることが分かる。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物は、皮膚や毛髪用の洗浄料、毛髪に付着しているワックス等の油分を取り除く洗浄料、クレンジング化粧料として好ましく用いられ、特に、クレンジング化粧料として好適である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらより限定されるものではない。
【0036】
〔実施例1〜3、比較例1〜4〕
下記表1に記載のA−1)、A−2)、又はA−3)の非イオン性界面活性剤と、下記表1に記載のB−1)、又はB−2)の多価アルコール(添加しない場合もある)と、を攪拌した後、ここへ、下記表1に記載のC)イオン性界面活性剤、D)無機塩(添加しない場合もある)、及びG)水からなる混合液を加えた。その後、下記表1に記載のE)両親媒性化合物と、F−1)、又はF−2)の油分と、からなる混合液を合わせた後、攪拌して、実施例1〜3、比較例1〜4の洗浄剤組成物(クレンジングサンプルA〜G)を調製した。なお、調製の際の温度は、25℃であった。
A)〜G)の各成分の組成は、下記表1に記載の通りである。
ここで、上記のようにして実施例及び比較例の洗浄液組成物を調製したが、本発明の洗浄液組成物の調整方法は、上記の方法に限定されるものではない。
【0037】
なお、表1中のA−1)ポリオキシエチレンラウリルエーテル、A−2)トリイソステアリン酸PEG20グリセリル、及びA−3)ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)の溶解度は、前述の方法で測定した、25℃における水に対する溶解度である。なお、この溶解度を求める際に用いた吸光度は、分光光度機UV−2550((株)島津製作所製)を使用して測定したものである。
【0038】
【表1】

【0039】
〔評価〕
−外観観察−
前記クレンジングサンプルA〜Gの外観を目視及び光学偏光顕微鏡にて観察した。
その結果を表2に示す。
【0040】
−メイク落ち試験−
前記クレンジングサンプルA〜Gのメイク落ち試験は、以下のようにして行った。
即ち、まず、スライドガラスにテープ(トランスポアテープ:スリーエム社製)を貼り、その上に、口紅(MAQuillage RD774;資生堂)、及びファンデーション(メディアリキッドファンデーションOC−E1;カネボウ化粧品)5往復塗り1日乾燥させたものを用意した。これに対し、前記クレンジングサンプルを0.2g滴下し、指で10往復洗浄し、洗い落とした後の色残りを目視で確認し、下記の3段階で評価した。結果を表2に示す。
・ほぼメイクを落とす ・・・○
・半分程度メイクを落とす ・・・△
・ほとんど落とさない ・・・×
【0041】
−洗い上がり評価−
前記クレンジングサンプルA〜Gの洗い上がりの評価として、パネリスト10名により官能試験を実施した。実際にクレンジングを行い、すすぎの後の油残りなどの感触を、下記の3段階で評価した。結果を表2に示す。
・洗い上がり良好、油残り感がない ・・・○
・すこし油残り感がある ・・・△
・油が残り、べとべとする ・・・×
【0042】
−体積平均粒子径の測定−
前記クレンジングサンプルA〜Gを水中で攪拌した際に形成された分散粒子の体積平均粒子径の測定を以下のようにして行った。
即ち、クレンジングサンプル1gに対し、200gの水を加えた後、スターラー(200rpm,30秒間)攪拌した懸濁液中の分散粒子体積平均粒子径を、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)製)を用いて、25℃で測定した。測定された体積平均粒子径を下記の3段階で評価した。測定結果を表2に示す。
・体積平均粒子径が10nm以上200nm以下のもの ・・・○
・体積平均粒子径が200nmを超え500nm以下のもの ・・・△
・体積平均粒子径が500nmを超えたもの ・・・×
なお、表2中の「−」は測定不能を意味する。
【0043】
【表2】

【0044】
表2によれば、実施例1〜3の洗浄剤組成物は、外観が透明であり、等方性一液相であることが分かる。また、実施例1〜3の洗浄剤組成物は、メイク落ちが良好であると共に、洗い上がり後の油残り感がないことが分かる。これは、実施例1〜3の洗浄剤組成物を水中で攪拌した際に形成された分散粒子の体積平均粒子径の値が150nm〜200nmであることによっても、裏付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)組成物の全質量に対して10質量%以上90質量%以下の油成分、(2)組成物の全質量に対して5質量%以上30質量%以下の水不溶性の非イオン性界面活性剤、(3)分子量500以下の多価アルコール、及び(4)水を含有する等方性一液相である洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(1)油成分の全質量に対し、エステル結合を有するエステル油を80質量%以上含む請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記エステル結合を有するエステル油が、分岐脂肪酸のエステルである請求項2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
(5)イオン性界面活性剤を更に含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(5)イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤である請求項4に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記(5)イオン性界面活性剤がカルボン酸基を有するイオン性界面活性剤である請求項4又は請求項5に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記(2)水不溶性の非イオン性界面活性剤、及び、前記(5)イオン性界面活性剤の合計量が5質量%以上30質量%以下である請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記(2)水不溶性の非イオン性界面活性剤(NI)と、前記(5)イオン性界面活性剤(I)と、の質量比(NI/I)が、1以上1000以下である請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
(6)両親媒性化合物を更に含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
前記(6)両親媒性化合物の含有量が0.1質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項9に記載の洗浄剤組成物。
【請求項11】
前記(3)分子量500以下の多価アルコールの含有量が1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項12】
前記(7)塩を更に含むことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−13382(P2010−13382A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173428(P2008−173428)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】