説明

洗浄方法およびカラーフィルター製造装置

【課題】カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消することができる洗浄方法を提供すること。
【解決手段】本発明の洗浄方法は、液滴吐出装置の流路内のカラーフィルター用インクを洗浄液で置換するステップと、置換された洗浄液を被検査物上にドット列状に吐出するステップと、被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得するステップと、電子画像を画像処理することにより、ドット列に略平行な方向をX軸方向とし、該X軸方向に直交する方向をY軸方向としたときの各ドットの中心のX座標およびY座標を取得するステップと、各ドットの中心のX座標およびY座標に基づいて最小二乗法により第1の基準直線を決定するステップと、第1の基準直線と各ドットの中心との距離を求めることにより、Y軸方向への各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄方法およびカラーフィルター製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造の過程で形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法では、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
【0003】
ところで、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を長時間にわたって吐出することが求められる。また、形成される着色層(着色部)の基板への密着性を優れたものとするために、カラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用のインクは、一般に、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでおり、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて、粘度が高く、液滴吐出に伴う、液滴吐出装置(特に、ヘッド付近)への負荷が大きい。また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)では、インク中に含まれる成分(例えば、樹脂材料等)がインクの流路に付着することにより、液滴吐出ヘッドへのインクの供給が不安定になったり、液滴吐出ヘッドの吐出口の目詰まりが発生し、その結果、液滴の吐出量が不安定になったり、液滴の飛行曲がりが発生する等の問題を生じやすい。このため、例えば、液滴吐出装置のカラーフィルター用の基板(ワーク)のない部分で液滴を吐出することによる行う方法(フラッシング)や、吸引手段を用いて液滴吐出ヘッド内に溜まっているインクを強制的に吸引する方法により、液滴吐出ヘッドやインクの流路に存在する凝集物、付着物等を取り除き、インク等による汚れ、目詰まりの解消を行う。しかしながら、このような方法のみでは、十分に凝集物、付着物を取り除くことができず、再び液滴の吐出を行うと、残存した凝集物、付着物がヘッドに流れ込み、比較的短期間で、液滴の吐出量が不安定になったり、吐出口が再び目詰まりする問題があった。このような場合、液滴吐出ヘッドや他の部材を頻繁に交換する必要があり、カラーフィルターの生産性を極端に落とすものとなっていた。また、凝集物、付着物等を確実に取り除くために、強力な洗浄液で長時間処理することも考えられるが、このような方法では、洗浄に要する時間が必要以上に長くなり、カラーフィルターの生産性を著しく低下させてしまうとともに、液滴吐出装置へのダメージも大きくなり、液滴吐出装置の寿命を短縮してしまう結果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−372613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、カラーフィルターの製造に用いるカラーフィルター製造装置(液滴吐出装置)のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消することができる洗浄方法を提供すること、また、長期間にわたって、好適にカラーフィルターの製造に用いることのできるカラーフィルター製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の洗浄方法は、カラーフィルター用インクの吐出に用いられる液滴吐出装置の洗浄方法であって、
前記液滴吐出装置の流路内の前記カラーフィルター用インクを洗浄液で置換する洗浄液置換ステップと、
置換された前記洗浄液を被検査物上にドット列状に吐出する吐出ステップと、
前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得ステップと、
前記電子画像を画像処理することにより、前記ドット列に略平行な方向をX軸方向とし、該X軸方向に直交する方向をY軸方向としたときの各ドットの中心のX座標およびY座標を取得するドット座標取得ステップと、
前記各ドットの中心のX座標およびY座標に基づいて最小二乗法により第1の基準直線を決定する第1の基準直線決定ステップと、
前記第1の基準直線と前記各ドットの中心との距離を求めることにより、前記Y軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するY軸方向ずれ量取得ステップとを備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、カラーフィルターの製造に用いるカラーフィルター製造装置(液滴吐出装置)のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消することができる洗浄方法を提供することができる。また、液滴吐出ヘッドのノズルから吐出された洗浄液の液滴が被検査物に着弾して得られたドットの位置ずれ、特にドット列にほぼ直交する方向への位置ずれを、高価な装置や複雑な制御を必要とすることなく、簡単、迅速かつ正確に検出することができるため、液滴吐出装置による本来のカラーフィルターの製造以外の部分に要する時間、手間、費用を削減することができるので、本来のカラーフィルターの製造コストを低減することができる。
【0008】
本発明の洗浄方法では、二次元直交座標上に、前記各ドットの中心のX座標を前記二次元直交座標の一方の座標軸方向の座標値とし、他方の座標軸方向の座標値を等間隔とした点群を想定する点群想定ステップと、
前記点群に対して最小二乗法により第2の基準直線を決定する第2の基準直線決定ステップと、
前記点群の各点と前記第2の基準直線との間の、前記一方の座標軸方向の距離を求めることにより、前記X軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するX軸方向ずれ量取得ステップとをさらに備えることが好ましい。
これにより、ドット列にほぼ平行な方向へのドットの位置ずれをさらに検出することができるので、より正確にドットの位置ずれを分析することができ、より適切な洗浄を行うことができる。
【0009】
本発明の洗浄方法では、前記X軸方向ずれ量取得ステップで得られた、前記X軸方向への位置ずれ量が所定値を超える場合に、さらに、前記吐出ステップないし前記X軸方向ずれ量取得ステップを繰り返し行うことが好ましい。
これにより、必要十分な洗浄をより確実に行うことができ、製造されるカラーフィルターの信頼性、カラーフィルターの生産性等のさらなる向上を図ることができる。
【0010】
本発明の洗浄方法では、前記Y軸方向ずれ量取得ステップで得られた、前記Y軸方向への位置ずれ量が所定値を超える場合に、さらに、前記吐出ステップないし前記Y軸方向ずれ量取得ステップを繰り返し行うことが好ましい。
これにより、必要十分な洗浄をより確実に行うことができ、製造されるカラーフィルターの信頼性、カラーフィルターの生産性等のさらなる向上を図ることができる。
【0011】
本発明の洗浄方法では、前記洗浄液は、下記式(1)で示される化合物Aを含有するものであることが好ましい。
【化1】

【0012】
これにより、カラーフィルター製造装置(液滴吐出装置)へのダメージをより好適に防止しつつ、短時間で効率よく洗浄することができる。また、電子画像をより正確に取得することができ、ドットの位置ずれ量に関する情報をより正確なものとして取得することができるため、より適切な洗浄を行うことができる。また、カラーフィルター用インクへの置換が容易であり、カラーフィルター用インクへの置換後にカラーフィルター用インクの流路内に洗浄液が残存することをより確実に防止することができるため、全体としてのカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0013】
本発明の洗浄方法では、前記洗浄液は、下記式(2)で示される化合物Bを含有するものであることが好ましい。
【化2】

【0014】
これにより、カラーフィルター製造装置(液滴吐出装置)へのダメージをより好適に防止しつつ、短時間で効率よく洗浄することができる。また、電子画像をより正確に取得することができ、ドットの位置ずれ量に関する情報をより正確なものとして取得することができるため、より適切な洗浄を行うことができる。また、カラーフィルター用インクへの置換が容易であり、カラーフィルター用インクへの置換後にカラーフィルター用インクの流路内に洗浄液が残存することをより確実に防止することができるため、全体としてのカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0015】
本発明の洗浄方法では、前記洗浄液は、前記化合物Bに加え、前記カラーフィルター用インクを構成する溶媒成分をさらに含有するものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルター製造装置(液滴吐出装置)へのダメージをより好適に防止することができるとともに、カラーフィルター用インクへの置換が容易であり、カラーフィルター用インクへの置換後にカラーフィルター用インクの流路内に洗浄液が残存することをより確実に防止することができるため、全体としてのカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0016】
本発明の洗浄方法では、前記画像取得ステップにおいては、前記被検査物とカメラとの相対位置を前記ドット列に沿って変えながら複数の電子画像を撮影し、
前記ドット座標取得ステップにおいては、前記複数の電子画像の座標系を統合することにより、撮影した全ドットの座標を一つの座標系に統合することが好ましい。
これにより、撮影写野が限られるカメラを用いてドット列の電子画像を取得する場合であっても、長いドット列に対してドットの位置ずれを簡単かつ正確に検出することができる。
【0017】
本発明の洗浄方法では、前記画像取得ステップにおいては、前記複数の電子画像を撮影する際、相隣接する二つの画像中に同一のドットが少なくとも一つ含まれるように撮影を行い、
前記ドット座標取得ステップにおいては、相隣接する二つの画像中に共通に含まれるドットの座標が同じになるようにして両画像の座標系を統合することにより、前記複数の電子画像の座標系を統合することが好ましい。
これにより、撮影写野が限られるカメラを用いてドット列の電子画像を取得する場合であっても、長いドット列に対してドットの位置ずれを簡単かつ正確に検出することができる。
【0018】
本発明の洗浄方法では、前記ドット座標取得ステップにおいては、電子画像を撮影した光学系の収差に基づく歪を補正する処理を施すことが好ましい。
これにより、ドット列の電子画像に生じる収差(例えば糸巻き型歪曲収差、樽型歪曲収差等)に基づく歪が補正され、各ドットのより正確な座標が得られるので、ドットの位置ずれをより高精度に検出することができ、より適切な洗浄を行うことができる。
【0019】
本発明のカラーフィルター製造装置は、カラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター製造装置であって、
カラーフィルター用インクが流通するインク流路と、
前記カラーフィルター用インクの液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記インク流路に供給される洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽と、
前記液滴吐出ヘッドから前記洗浄液を被検査物上に吐出することにより形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段と、
前記電子画像を画像処理することにより、前記ドット列に略平行な方向をX軸方向とし、該X軸方向に直交する方向をY軸方向としたときの各ドットの中心のX座標およびY座標を取得するドット座標取得手段と、
前記各ドットの中心のX座標およびY座標に基づいて最小二乗法により第1の基準直線を決定する第1の基準直線決定手段と、
前記第1の基準直線と前記各ドットの中心との距離を求めることにより、前記Y軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するY軸方向ずれ量取得手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、インクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消しつつ、長期間にわたって、好適にカラーフィルターの製造に用いることのできるカラーフィルター製造装置を提供することができる。また、液滴吐出ヘッドのノズルから吐出された洗浄液の液滴が被検査物に着弾して得られたドットの位置ずれ、特にドット列にほぼ直交する方向への位置ずれを、高価な装置や複雑な制御を必要とすることなく、簡単、迅速かつ正確に検出することができるため、液滴吐出装置による本来のカラーフィルターの製造以外の部分に要する時間、手間、費用を削減することができるので、本来のカラーフィルターの製造コストを低減することができる。
【0021】
本発明のカラーフィルター製造装置では、二次元直交座標上に、前記各ドットの中心のX座標を前記二次元直交座標の一方の座標軸方向の座標値とし、他方の座標軸方向の座標値を等間隔とした点群を想定する点群想定手段と、
前記点群に対して最小二乗法により第2の基準直線を決定する第2の基準直線決定手段と、
前記点群の各点と前記第2の基準直線との間の、前記一方の座標軸方向の距離を求めることにより、前記X軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するX軸方向ずれ量取得手段とをさらに備えることが好ましい。
これにより、ドット列にほぼ平行な方向へのドットの位置ずれをさらに検出することができるので、より正確にドットの位置ずれを分析することができ、より適切な洗浄を行いつつ、長期間にわたって安定的なカラーフィルターの製造を行うことができる。
【0022】
本発明のカラーフィルター製造装置では、前記画像取得手段は、前記被検査物とカメラとの相対位置を前記ドット列に沿って変えながら複数の電子画像を撮影し、
前記ドット座標取得手段は、前記複数の電子画像の座標系を統合することにより、撮影した全ドットの座標を一つの座標系に統合することが好ましい。
これにより、撮影写野が限られるカメラを用いてドット列の電子画像を取得する場合であっても、長いドット列に対してドットの位置ずれを簡単かつ正確に検出することができる。
【0023】
本発明のカラーフィルター製造装置では、前記画像取得手段は、前記複数の電子画像を撮影する際、相隣接する二つの画像中に同一のドットが少なくとも一つ含まれるように撮影を行い、
前記ドット座標取得手段は、相隣接する二つの画像中に共通に含まれるドットの座標が同じになるようにして両画像の座標系を統合することにより、前記複数の電子画像の座標系を統合することが好ましい。
これにより、撮影写野が限られるカメラを用いてドット列の電子画像を取得する場合であっても、長いドット列に対してドットの位置ずれを簡単かつ正確に検出することができる。
【0024】
本発明のカラーフィルター製造装置では、前記ドット座標取得手段は、電子画像を撮影した光学系の収差に基づく歪を補正する処理を施すことが好ましい。
これにより、ドット列の電子画像に生じる収差(例えば糸巻き型歪曲収差、樽型歪曲収差等)に基づく歪が補正され、各ドットのより正確な座標が得られるので、ドットの位置ずれをより高精度に検出することができ、より適切な洗浄を行いつつ、長期間にわたって安定的なカラーフィルターの製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のカラーフィルター製造装置を構成する液滴吐出装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。
【図3】図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面(ノズル面)を示す図である。
【図4】図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
【図5】本発明のカラーフィルター製造装置を構成するドットずれ検出装置の実施形態を示す平面図である。
【図6】図5のA−A線に沿って見た断面図である。
【図7】図5に示すドットずれ検出装置のブロック図である。
【図8】被検査物上に形成されたドット列を示す平面図である。
【図9】本発明の洗浄方法を示すフローチャートである。
【図10】画像取得ステップを説明するための図である。
【図11】画像取得ステップを説明するための図である。
【図12】ドット列の各ドットの中心の座標を示す図である。
【図13】第1の基準直線を示す図である。
【図14】X軸方向ずれ量を検出するための点群を示す図である。
【図15】第2の基準直線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、本発明のカラーフィルター製造装置について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルター製造装置を構成する液滴吐出装置の実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図3は、図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面(ノズル面)を示す図、図4は、図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図、図5は、本発明のカラーフィルター製造装置を構成するドットずれ検出装置の実施形態を示す平面図、図6は、図5のA−A線に沿って見た断面図、図7は、図5に示すドットずれ検出装置のブロック図、図8は、被検査物上に形成されたドット列を示す平面図である。
【0027】
本実施形態のカラーフィルター製造装置は、液滴吐出装置100とドットずれ検出装置200とを備えるものである。
液滴吐出装置100は、チューブ110等のカラーフィルター用インク2が流通するインク流路と、カラーフィルター用インク2の液滴を吐出する液滴吐出ヘッド114と、インク流路に供給される洗浄液4を貯留する洗浄液貯留槽133とを備えるものである。
【0028】
ドットずれ検出装置200は、液滴吐出ヘッド114から洗浄液4を被検査物220上に吐出することにより形成されたドット列222の電子画像を取得する画像取得手段としてのカメラ203と、前記電子画像を画像処理することにより、ドット列222に略平行な方向をX軸方向とし、該X軸方向に直交する方向をY軸方向としたときの各ドット221の中心のX座標およびY座標を取得するドット座標取得手段(画像処理手段223および制御手段210)と、前記各ドット221の中心のX座標およびY座標に基づいて最小二乗法により第1の基準直線を決定する第1の基準直線決定手段(制御手段210)と、前記第1の基準直線と前記各ドットの中心との距離を求めることにより、前記Y軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するY軸方向ずれ量取得手段(制御手段210)とを備えるものである。
【0029】
まず、液滴吐出装置100の構成およびカラーフィルターの製造時(カラーフィルター用インク付与時)における液滴吐出装置100の作動について詳細に説明する。
図1に示すように、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、隔壁が形成された基板(以下、単に「基板」とも言う。)11を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
【0030】
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセルを有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
【0031】
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
【0032】
図2に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
【0033】
図3に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を所定のノズルピッチSで一列または二列以上(図示では一列)に配置したノズル列116を有している。ノズルピッチSの具体的な値は、特に限定されないが、例えば、50μm以上90μm以下とすることができる。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
【0034】
図4に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たまり129が位置している。
【0035】
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルター用インク2が供給される。
【0036】
また、ノズルプレート128のノズル118付近は、フッ化アルキル基を有するシリカ膜で表面付近が覆われている。これにより、ノズル118は、撥液性に優れたものとなり、インク2を特に好適にはじくことができる。特に、ノズルプレート128がこのようなシリカ膜を有することで、ノズル118付近での固形分の強固な付着を防ぐことができる。このため、確実に液滴吐出時の飛行曲がりの発生や、液滴量の変動、ノズル118の目詰まりを確実に防止することができ、極めて長期にわたって、カラーフィルター用インク2の液滴の吐出性を特に優れたものとすることができる。
【0037】
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
【0038】
制御手段112(図1参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィルター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御されてもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
【0039】
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。
なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルターが有する複数色の着色部に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルターの製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インク2を吐出する構成であってもよい。
【0040】
また、液滴吐出装置100は、図1に示すようなインク貯留槽132および洗浄液貯留槽133を有するものである。インク貯留槽132には、カラーフィルター用インク2が貯留され、洗浄液貯留槽133には、洗浄液4が貯留されている。液滴吐出時においては、搬送路134によって、タンク101へ、カラーフィルター用インク2が搬送され、カラーフィルターの製造に用いられる。また、洗浄時においては、搬送路134によって、タンク101へ洗浄液4が搬送されてカラーフィルター用インク2と置換されて貯留され、貯留された洗浄液4をカラーフィルター用インク2の流路に沿って流すことにより、タンク101、チューブ110、液滴吐出手段103等にあるカラーフィルター用インク2の流路の洗浄が行われる。このようにインク貯留槽132および洗浄液貯留槽133を有することにより、より簡便かつ確実にインクの流路を洗浄することができる。また、洗浄後に、効率よくカラーフィルター用インク2を流すことができ、素早く洗浄液4をカラーフィルター用インク2に置換できる。結果として、液滴吐出装置100を効率よく作動させることができ、カラーフィルターの生産性を優れたものとすることができる。
【0041】
次に、カラーフィルター製造装置を構成するドットずれ検出装置について説明する。
図5に示すドットずれ検出装置200は、液滴吐出装置100の流路内のカラーフィルター用インク2を洗浄液4で置換した後に、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114のノズル118から吐出された洗浄液4の液滴が被検査物220に着弾して得られたドット221の位置ずれを検出するものである。このドットずれ検出装置200によれば、液滴吐出ヘッド114に、洗浄液4の液滴の飛行曲がり等の吐出異常が生じているのを発見することができ、これにより、カラーフィルターの製造時におけるカラーフィルター用インク2の液滴吐出に異常が生じるか否かを判断することができ、これにより、適切な洗浄処理を施すことができるため、結果として、カラーフィルター製造装置100(液滴吐出装置100)によって製造されるカラーフィルターの歩留まりの向上に寄与することができる。また、本発明では、カラーフィルター用インクそのものにより形成されたドットの位置ずれを検出するのではなく、洗浄液のドットの位置ずれを検出する。これにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、洗浄処理を施し、流路内の洗浄液をカラーフィルター用インクで置換した後に、カラーフィルター用インクの吐出不良(許容範囲を超えたドットの位置ずれ等)を生じた場合には、再度、洗浄液で置換し、洗浄処理を施さなければならず、カラーフィルター用インク、洗浄液の無駄が多くなるとともに、その間カラーフィルターそのものの生産を中止することによるカラーフィルターの生産性が低下するという問題があった。このような問題を防止するために、十分な時間と十分な量の洗浄液を用いて洗浄処理を施すことも考えられるが、このような場合、上記と同様に、必要以上の時間、洗浄液を消費することなり、省資源、生産性の観点から好ましくないばかりでなく、液滴吐出装置に対し、必要以上のダメージを与える結果となる。これに対し、本発明では、カラーフィルター用インクそのものにより形成されたドットの位置ずれを検出するのではなく、洗浄液のドットの位置ずれを検出するため、必要十分な洗浄処理を施すことができ、上記のような問題の発生を防止することができる。
【0042】
図5に示すように、このドットずれ検出装置200は、平板状またはシート状の被検査物220を保持する検査テーブル202と、検査テーブル202の上方に水平方向(X軸方向、Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)に移動可能に設けられたカメラ203と、カメラ203を水平方向および上下方向に移動させる移動手段204とを備えている。
この場合、図5中の左右方向(図6の紙面に垂直な方向)をX軸方向、図5中の上下方向(図6中の左右方向)をY軸方向、図5の紙面に垂直な方向(図6中の上下方向)をZ軸方向としている。
【0043】
被検査物220としては、例えば、ガラス基板、金属板、合成樹脂シート、紙等を用いることができるが、写真用印画紙(例えば、ピクトリコプロ・ホワイトフィルム(株式会社ピクトリコ製))を用いるのが好ましい。これにより、電子画像をより正確に取得することができ、ドットの位置ずれ量に関する情報をより正確なものとして取得することができるため、より適切な洗浄を行うことができる。
【0044】
検査テーブル202は、基台(図示せず)の上部に固定されるものであって、上面側に水平の保持面202aを有し、この保持面202aの上部に被検査物220が真空吸着等の保持手段によって保持されるようになっている。
カメラ203は、例えばCCDあるいはCMOSセンサー等の固体撮像素子と、カメラレンズとを有している。このカメラ203は、被検査物220上の複数のドット221を含む領域の電子画像を撮像する。
【0045】
移動手段204は、カメラ203を支持する支持板205と、支持板205を介してカメラ203をZ軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するZ軸方向移動手段206と、Z軸方向移動手段206および支持板205を介してカメラ203をX軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するX軸方向移動手段207と、X軸方向移動手段207、Z軸方向移動手段206および支持板205を介してカメラ203をY軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するY軸方向移動手段208とを備えている。
【0046】
移動手段204のX軸方向移動手段207およびY軸方向移動手段208は、カメラ203が検査テーブル202のX軸方向の全長およびY軸方向の全長を移動し、検査テーブル202上に位置した被検査物220上の全てのドット221を捉えられるように、移動範囲が設定されている。
X軸方向移動手段207およびY軸方向移動手段208としては、例えばリニアモータ等を用いた構成が挙げられ、Z軸方向移動手段206としては、例えば送りねじ機構を用いた構成が挙げられる。ただし、これに限定されることなく、同様の機能を有するものであれば他のいかなるものでも良い。
【0047】
図7に示すように、ドットずれ検出装置200は、さらに、画像処理手段223と、出力手段としてのディスプレイ224および外部記憶装置225とを有している。
画像処理手段223は、カメラ203により撮像されたドット列222の電子画像を画像処理することにより、各ドット221の座標を取得したり、各ドット221の面積を測定したりする機能を有している。
【0048】
ディスプレイ224は、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)、液晶ディスプレイなどで構成されており、例えば操作画面、データ入力画面、カメラ203により撮像されたドット列222の画像、ドットずれ検出結果等を表示することができる。
外部記憶装置225は、例えばFDD(Floppy Disk Drive(「Floppy」は登録商標))などで構成されている。
【0049】
制御手段210は、移動手段204、画像処理手段223およびディスプレイ224をそれぞれ制御する。この制御手段210は、CPU(Central Processing Unit)2101と、記憶部(記憶手段)2102とを有している。記憶部2102は、CPU2101に読み取り可能な記憶媒体(記録媒体)を有しており、この記憶媒体は、磁気的、光学的記録媒体、もしくは半導体メモリ等で構成されている。
【0050】
図8に示すように、被検査物220上には、液滴吐出装置100を用いて、洗浄液4の液滴が吐出され、液滴吐出ヘッド114の各ノズル118から吐出された各液滴が着弾してなるドット221が被検査物220上に並び、ドット列222を形成している。
なお、図8中に示される11個のドット221は、ドット列222の一部であり、ドット列222は、さらに長く連なっている。
【0051】
被検査物220上に洗浄液4の液滴を吐出する液滴吐出装置100において、ノズル列116が傾斜しないような姿勢で液滴吐出ヘッド114が設置されており、全ノズル118から同時に洗浄液4の液滴を吐出してドット列222を形成した場合には、ドット列222におけるドット間隔の正規値は、ノズルピッチSに等しくなる。
これに対し、ノズル列116を傾斜させた姿勢で液滴吐出ヘッド114が設置されており、液滴吐出ヘッド114を走査しつつ各ノズル118から時間差をおいて洗浄液4の液滴を吐出することによりドット列222を形成した場合には、ドット列222におけるドット間隔の正規値は、ノズル列116の傾斜角度をθとして、Scosθとなる。
本実施形態では、ドット列222におけるドット間隔の正規値は、ノズルピッチSに等しいものとする。
【0052】
図9は、本発明の洗浄方法を示すフローチャート、図10は、画像取得ステップを説明するための図、図11は、画像取得ステップを説明するための図、図12は、ドット列の各ドットの中心の座標を示す図、図13は、第1の基準直線を示す図、図14は、X軸方向ずれ量を検出するための点群を示す図、図15は、第2の基準直線を示す図である。
以下、上述した液滴吐出装置100およびドットずれ検出装置200を備えたカラーフィルター製造装置により実施される洗浄方法の各ステップを順次説明する。
【0053】
[1]洗浄液置換ステップ
まず、液滴吐出装置100内のカラーフィルター用インク2の流路中のカラーフィルター用インク2を洗浄液4で置換する。
なお、この際、カラーフィルター用インク2から洗浄液4への置換は、直接行うものであってもよいが、例えば、一旦、カラーフィルター用インク2を他の液体(例えば、カラーフィルター用インク2を構成する溶媒、分散媒成分と同一の成分を含む液体)で置換し、その後、当該液体を洗浄液4で置換してもよい。これにより、流路内に残存するカラーフィルター用インク2が洗浄液4と接触することによるショックで、カラーフィルター用インクに溶解または分散していた固形分が析出する等の弊害をより確実に防止することができる。
また、加熱した洗浄液4を導入してもよいし、流路に洗浄液4を導入した後に洗浄液4を加熱してもよい。また、洗浄液4で置換された流路に超音波振動等の振動処理を施してもよい。これにより、流路に付着した汚れをより除去しやすくなる。
洗浄液は、下記式(1)で示される化合物Aを含有するものであるのが好ましい。
【0054】
【化3】

【0055】
化合物Aは、粘度がインクよりも低く表面張力がインクと同じ程度である異物の洗浄性が高い化合物である。これにより、カラーフィルター製造装置(液滴吐出装置100)へのダメージをより好適に防止しつつ、短時間で効率よく洗浄することができる。また、インクで用いる電圧などの条件を大きく変えることなく、インクジェットヘッドから吐出することが可能であるため、電子画像をより正確に取得することができ、ドット221の位置ずれ量に関する情報をよりインクに近い正確なものとして取得することができるため、より適切な洗浄を行うことができる。また、カラーフィルター用インク2への置換が容易であり、カラーフィルター用インク2への置換後にカラーフィルター用インク2の流路内に洗浄液4が残存することをより確実に防止することができるため、全体としてのカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、洗浄液は、下記式(2)で示される化合物Bを含有するものであってもよい。
【0056】
【化4】

【0057】
これにより、カラーフィルター製造装置(液滴吐出装置100)へのダメージをより好適に防止しつつ、短時間で効率よく洗浄することができる。また、電子画像をより正確に取得することができ、ドット221の位置ずれ量に関する情報をより正確なものとして取得することができるため、より適切な洗浄を行うことができる。また、カラーフィルター用インク2への置換が容易であり、カラーフィルター用インク2への置換後にカラーフィルター用インク2の流路内に洗浄液4が残存することをより確実に防止することができるため、全体としてのカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0058】
また、洗浄液4が化合物Bを含むものである場合、カラーフィルター用インクを構成する溶媒成分をさらに含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター製造装置(液滴吐出装置100)へのダメージをより好適に防止することができるとともに、表面張力がカラーフィルター用インク2と近いことによりカラーフィルター用インク2への置換が容易であり、カラーフィルター用インク2への置換後にカラーフィルター用インク2の流路内に洗浄液が残存することをより確実に防止することができるため、全体としてのカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0059】
[2]吐出ステップ
次に、上述したカラーフィルター用インク2の基板11に対する液滴吐出と同様にして、液滴吐出装置100の液滴吐出ヘッド114から、置換された洗浄液4を、被検査物220に吐出し、ドット列222を形成する。
【0060】
[3]画像取得ステップ
画像取得ステップでは、ドットずれ検出装置200が、被検査物220上に形成されたドット列222の電子画像を取得する。この際、カメラ203が画像取得手段として機能する。この画像取得ステップにおいては、ドット列222がX軸方向にほぼ平行となるような姿勢で、被検査物220を検査テーブル202上に保持する。そして、移動手段204のX軸方向移動手段207およびY軸方向移動手段208を駆動させて、カメラ203を被検査物220上のドット列222の上方に位置決めし、Z軸方向移動手段206を駆動させてカメラ203を垂直方向に移動させ、カメラ203の焦点を被検査物220上のドット列222に合わせ、焦点が合った位置にカメラ203を固定する。
【0061】
図10に示すように、本実施形態では、カメラ203の撮影写野230には、5個のドット221までしか入らない。そこで、ドット列222全体の電子画像を得るために、X軸方向移動手段207を作動してカメラ203をX軸方向に移動することにより、被検査物220とカメラ203との相対位置をドット列222に沿って変えながら複数回の撮影を行う。1回目(1枚目)の撮影では、図中の左から5個目までのドット221を撮影する。
【0062】
次いで、カメラ203をドット列222に沿ってドット間隔の4倍、すなわち、ノズルピッチSの4倍の距離だけX軸方向(図中右方向)に移動させて、2回目の撮影を行う。これにより、図11に示すように、カメラ203の撮影写野230には、図中の左から5〜9個目の5個のドット221が入る。すなわち、図中aで示す左から5個目のドット221は、1回目に撮影した画像と、2回目に撮影した画像との両方に含まれる。
【0063】
同様にして、カメラ203をドット列222に沿って移動させながら、3回目以降の撮影を行い、ドット列222全体を撮影できるまで、撮影を繰り返す。この際、相隣接する二つの画像中に同一のドット221が一つ含まれるように撮影を行う。なお、本発明では、相隣接する二つの画像中に同一のドットが二つ以上含まれるように撮影を行ってもよい。
このようにしてカメラ203により撮像された複数枚の電子画像の画像データは、画像処理手段223が備える記憶部2231に取り込まれる。
【0064】
[4]ドット座標取得ステップ
ドット座標取得ステップにおいては、画像処理手段223は、カメラ203により撮像された各電子画像を画像処理することにより、各ドット221の中心2211を求め、各ドット221の中心2211のX座標およびY座標を決定する。
次いで、カメラ203のレンズ等の光学系の収差(例えば糸巻き型歪曲収差、樽型歪曲収差等)に基づく歪を補正する処理を施す。この処理は、公知の方法により行うことができるが、例えば、カメラ203を用いて予め規則正しいパターンの被写体を撮影しておき、その撮影画像の歪を正しい座標に変換するための補正量を把握したデータ(データテーブルまたは演算式)を用意しておき、そのデータに照らし合わせて各ドット221の中心2211の座標を正しい座標に変換することにより、行えばよい。
【0065】
このように、カメラ203の収差に基づく歪を補正する処理を施すことにより、ドット221の位置ずれをより高精度に検出することができる。その結果、より適切な洗浄を行いつつ、長期間にわたって安定的なカラーフィルターの製造を行うことができる。なお、カメラ203の収差に基づく歪が小さく、誤差が少ないときは、この補正処理を行わなくてもよい。
【0066】
各画像について各ドット221の中心2211のX座標およびY座標を決定したら、複数の画像の座標系を統合することにより、撮影した全ドット221の座標を一つの座標系に統合する。この座標系の統合は、相隣接する二つの画像中に共通に含まれるドット221の座標が同じになるような座標変換を施すことによって行うことができる。例えば、1枚目の撮影画像(図10)と2枚目の撮影画像(図11)の座標系を統合する場合には、両画像に共通に含まれる図中aで示すドット221の中心2211の座標が同じになるように座標変換をすればよい。
【0067】
これにより、図12に示すように、ドット列222の全ドット221の中心2211の座標を一つのXY座標系に統合することができる。以下の説明では、このようにして統合された座標系における、図中で左からi番目にあるドット221の中心2211の座標を(x,y)と表す。
なお、ドットずれ検出装置200では、画像処理手段223および制御手段210が、以上説明したドット座標取得ステップを実行するドット座標取得手段として機能する。
【0068】
上記のように、本実施形態では、画像取得ステップにおいて、画像取得手段が、被検査物とカメラ203との相対位置をドット列222に沿って変えながら複数の電子画像を撮影するとともに、ドット座標取得ステップにおいて、ドット座標取得手段が、複数の電子画像の座標系を統合して、撮影した全ドットの座標を一つの座標系に統合する。これにより、撮影写野が限られるカメラ203を用いてドット列222の電子画像を取得する場合であっても、長いドット列222に対してドット221の位置ずれを簡単かつ正確に検出することができる。
【0069】
また、上記のように、本実施形態では、画像取得ステップにおいて、画像取得手段が、複数の電子画像を撮影する際、相隣接する二つの画像中に同一のドット221が少なくとも一つ含まれるように撮影を行い、ドット座標取得ステップにおいて、ドット座標取得手段が、相隣接する二つの画像中に共通に含まれるドット221の座標が同じになるようにして両画像の座標系を統合することにより、複数の電子画像の座標系を統合する。これにより、撮影写野が限られるカメラを用いてドット列222の電子画像を取得する場合であっても、長いドット列222に対してドット221の位置ずれを簡単かつ正確に検出することができる。
【0070】
[5]第1の基準直線決定ステップ
各ドット221の中心のX座標およびY座標(x,y)が得られたら、これらの座標に基づいて、最小二乗法により第1の基準直線226を決定する。第1の基準直線226は、その方程式をY=AX+Bとしたとき、定数AおよびBを図13に示す数式によって算出することによって得られる。なお、式中、nはドット221の数である。
なお、ドットずれ検出装置200では、制御手段210が、以上説明した第1の基準直線決定ステップを実行する第1の基準直線決定手段として機能する。
【0071】
[6]Y軸方向ずれ量取得ステップ
第1の基準直線226は、ドット列222の全ドット221の座標を総合して決定されたものであるので、全ドット221が位置ずれなく正確な位置に着弾したと仮定した場合に各ドット221を通る直線にほぼ一致し、よって、ドット列222の正規な位置を表す直線であると捉えることができる。
よって、第1の基準直線226と各ドット221の中心2211との距離が、各ドット221のY軸方向への位置ずれ量を表すものであると言うことができる。そこで、各ドット221の中心2211について、第1の基準直線226との距離を算出することにより、各ドット221のY軸方向への位置ずれ量を取得する。
【0072】
図13に示すように、本実施形態では、図中左から3個目のドット221のY軸方向の位置ずれ量がΔyであり、図中左から7個目のドット221のY軸方向の位置ずれ量がΔyであることを検出することができ、さらに、他のドット221については、Y軸方向の位置ずれがほぼなく、Y軸方向の位置がほぼ正確であることを検出することができる。
なお、ドットずれ検出装置200では、制御手段210が、以上説明したY軸方向ずれ量取得ステップを実行するY軸方向ずれ量取得手段として機能する。
【0073】
[7]点群想定ステップ
次いで、各ドット221のX軸方向の位置ずれ量を求めるために、図14に示すような二次元直交座標を想定する。この座標上に、各ドット221の中心2211のX座標(x)を縦軸の座標値とし、横軸の座標値が等間隔になるような複数の点227からなる点群228を想定する。すなわち、点227の数は、ドット221と同数である。各点227の横軸の座標値は、等間隔になっていればよいが、図14に示す例では、1、2、3、・・・としている。
なお、ドットずれ検出装置200では、制御手段210が、以上説明した点群想定ステップを実行する点群想定手段として機能する。
【0074】
[8]第2の基準直線決定ステップ
次いで、点群228の各点227の座標に基づいて、最小二乗法により、前記第1の基準直線決定ステップと同様の演算を行うことにより、図15に示す第2の基準直線229を決定する。
なお、ドットずれ検出装置200では、制御手段210が、以上説明した第2の基準直線決定ステップを実行する第2の基準直線決定手段として機能する。
【0075】
[9]X軸方向ずれ量取得ステップ
図15に示す二次元直交座標においては、点群228の各点227と第2の基準直線229との間の、縦軸方向の距離が各ドット221のX軸方向への位置ずれ量を表すものであると言うことができる。よって、各点227と第2の基準直線229との間の、縦軸方向の距離を求めることにより、X軸方向への各ドット221のX軸方向への位置ずれ量に関する情報を取得することができる。
【0076】
図15に示すように、本実施形態では、図中左から3個目のドット221のX軸方向の位置ずれ量がΔxであり、図中左から7個目のドット221のX軸方向の位置ずれ量がΔxであることを検出することができ、さらに、他のドット221については、X軸方向の位置ずれがほぼなく、X軸方向の位置がほぼ正確であることを検出することができる。
なお、ドットずれ検出装置200では、制御手段210が、以上説明したX軸方向ずれ量取得ステップを実行するX軸方向ずれ量取得手段として機能する。
【0077】
上記のように、本実施形態では、[1]〜[6]の各ステップに加え、[7]〜[9]の各ステップを有することにより、ドット列にほぼ平行な方向へのドットの位置ずれをさらに検出することができるので、より正確にドットの位置ずれを分析することができ、より適切な洗浄を行いつつ、長期間にわたって安定的なカラーフィルターの製造を行うことができる。
【0078】
以上のようにして検出した、各ドット221についてのY軸方向の位置ずれ量およびX軸方向の位置ずれ量のデータは、記憶部2102に記憶されるとともに、外部記憶装置225に出力する。なお、測定データの出力手段は、外部記憶装置225に限定されず、ディスプレイ224に表示(出力)したり、プリンタに印刷して出力してもよい。また、ネットワークを接続して他のPCに送ることも効率的な出力方法となる。
また、制御手段210は、各ドット221について、Y軸方向の位置ずれ量ΔyおよびX軸方向の位置ずれ量ΔXに基づき、絶対的な位置ずれ量LをL=√(Δy+ΔX)なる演算を行うことによって算出するようにしてもよい。
【0079】
オペレーターは、ドットずれ検出装置200から出力されたY軸方向の位置ずれ量ΔyやX軸方向の位置ずれ量ΔX、あるいは、絶対的な位置ずれ量Lが許容範囲内にあるか否かを判定することにより、各ドット221の着弾位置の正確性を判断することができる。なお、この判断を制御手段210によって自動的に行うようにしてもよい。
そして、Y軸方向の位置ずれ量Δy、X軸方向の位置ずれ量ΔX、絶対的な位置ずれ量Lが所定値(許容範囲)を超える場合、上記[1]〜[6]の各ステップを、さらには、[1]〜[9]の各ステップを、前記位置ずれ量が許容範囲内となるまで、繰り返し行ってもよい。これにより、必要十分な洗浄をより確実に行うことができ、製造されるカラーフィルターの信頼性、カラーフィルターの生産性等のさらなる向上を図ることができる。
【0080】
本発明では、上述したように、被検査物220として写真用印画紙を好適に用いることができ、例えば精密なパターンのマークが付されたガラスマスクのような高価な被検査物を用意する必要がないので、簡便に、低コストでドットずれ検出および好適な洗浄を行うことができる。また、被検査物220に向けて液滴吐出ヘッド114から洗浄液4の液滴を吐出する際にも正確な目標位置に着弾させる必要がないので、液滴吐出装置に複雑な制御が不要となり、簡単かつ迅速にドットずれ検出を行うことができる。このようなことから、液滴吐出装置を用いてカラーフィルターを製造する際、本来のカラーフィルターの製造以外の部分に要する時間、手間、費用を削減することができるので、その製造コストを低減させることもできる。
【0081】
[10]ドット面積取得ステップ
本発明では、前述した画像取得ステップで得た電子画像を画像処理することにより、各ドット221の面積に関する情報を取得するようにしてもよい。この場合には、各ドット221の面積を正規の面積と比較することにより、各ノズル118から吐出された洗浄液4の液滴の大きさ(液量)が設定した値になっているか否かを検出することができ、より適切な洗浄を行うことができる。なお、この場合、画像処理手段223は、各ドット221の面積自体を測定しなくてもよく、例えば各ドット221の周囲の境界線の長さ等を求めるようにしてもよい。
なお、ドットずれ検出装置200では、画像処理手段223が、以上説明したドット面積取得ステップを実行するドット面積取得手段として機能する。
【0082】
[11]ドット有無情報取得ステップ
本発明では、前述した画像取得ステップで得た電子画像を画像処理することにより、各ドット221の有無に関する情報を取得するようにしてもよい。この場合、画像処理手段223は、正規の位置を中心としたある一定の領域内にドット221がない場合には、当該ドット221が抜けている(液滴不吐出によるドット221の欠損)と判定すればよい。これにより、ノズル118の目詰まり等によって洗浄液4の液滴の不吐出が生じた場合にも、これを検出することができ、この結果を受けて、より適切な洗浄を行うことができる。
なお、ドットずれ検出装置200では、画像処理手段223が、以上説明したドット有無情報取得ステップを実行するドット有無情報取得手段として機能する。
【0083】
上記のような方法で液滴吐出装置100の洗浄を行った後、流路内の洗浄液4は、カラーフィルター用インク2で置換され、カラーフィルターの製造に供される。
なお、洗浄液4からカラーフィルター用インク2への置換は、直接行うものであってもよいが、例えば、一旦、洗浄液4を他の液体(例えば、カラーフィルター用インク2を構成する溶媒、分散媒成分と同一の成分を含む液体)で置換し、その後、当該液体をカラーフィルター用インク2で置換してもよい。
【0084】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、本発明のカラーフィルター製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
例えば、画像取得手段としては、カメラに限らず、リニアセンサ(リニアイメージセンサ)を用いてもよく、ドット列をリニアセンサで走査することによって、ドット列の電子画像を取得するようにしてもよい。
また、本発明のカラーフィルター製造装置には、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0085】
また、上記[1]のステップ(洗浄液置換ステップ)の前に、[2]のステップ(吐出ステップ)と同様にして、液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドからカラーフィルター用インクを被検査物に吐出しドット列を形成し、その後、カラーフィルター用インクによるドット列が形成された被検査物について、上記[3]〜[6]に対応する各ステップ、さらには、上記[7]〜[9]に対応する各ステップを行ってもよい。また、カラーフィルター用インクによるドット列が形成された被検査物について、上記[10]、[11]に対応するステップを行ってもよい。これにより、洗浄液の組成、洗浄液の流量、温度等の洗浄液による洗浄条件(例えば、洗浄液置換ステップでの洗浄条件)をより適切に決定することができる。
【0086】
前述した実施形態では、カラーフィルター製造装置が、液滴吐出装置とドットずれ検出装置とを備えるものであり、液滴吐出装置がインク流路と液滴吐出ヘッドと洗浄液貯留槽とを備え、ドットずれ検出装置が画像取得手段とドット座標取得手段と第1の基準直線決定手段とY軸方向ずれ量取得手段とを備えるものとして説明したが、本発明のカラーフィルター製造装置は、インク流路、液滴吐出ヘッド、洗浄液貯留槽、画像取得手段、ドット座標取得手段、第1の基準直線決定手段、および、Y軸方向ずれ量取得手段を有するものであればよく、これらの構成が、上述したような液滴吐出装置・ドットずれ検出装置に設けられた構成でなくてもよい。
【符号の説明】
【0087】
100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置 110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド) 116…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 131…孔 132…インク貯留槽 133…洗浄液貯留槽 134…搬送路 200…ドットずれ検出装置 202…検査テーブル 202a…保持面 203…カメラ 230…撮影写野 204…移動手段 205…支持板 206…Z軸方向移動手段 207…X軸方向移動手段 208…Y軸方向移動手段 210…制御手段 2101…CPU 2102…記憶部 220…被検査物 221…ドット 2211…中心 222…ドット列 223…画像処理手段 2231…記憶部 224…ディスプレイ 225…外部記憶装置 226…第1の基準直線 227…点 228…点群 229…第2の基準直線 2…カラーフィルター用インク 4…洗浄液 11…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルター用インクの吐出に用いられる液滴吐出装置の洗浄方法であって、
前記液滴吐出装置の流路内の前記カラーフィルター用インクを洗浄液で置換する洗浄液置換ステップと、
置換された前記洗浄液を被検査物上にドット列状に吐出する吐出ステップと、
前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得ステップと、
前記電子画像を画像処理することにより、前記ドット列に略平行な方向をX軸方向とし、該X軸方向に直交する方向をY軸方向としたときの各ドットの中心のX座標およびY座標を取得するドット座標取得ステップと、
前記各ドットの中心のX座標およびY座標に基づいて最小二乗法により第1の基準直線を決定する第1の基準直線決定ステップと、
前記第1の基準直線と前記各ドットの中心との距離を求めることにより、前記Y軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するY軸方向ずれ量取得ステップとを備えることを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
二次元直交座標上に、前記各ドットの中心のX座標を前記二次元直交座標の一方の座標軸方向の座標値とし、他方の座標軸方向の座標値を等間隔とした点群を想定する点群想定ステップと、
前記点群に対して最小二乗法により第2の基準直線を決定する第2の基準直線決定ステップと、
前記点群の各点と前記第2の基準直線との間の、前記一方の座標軸方向の距離を求めることにより、前記X軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するX軸方向ずれ量取得ステップとをさらに備える請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記X軸方向ずれ量取得ステップで得られた、前記X軸方向への位置ずれ量が所定値を超える場合に、さらに、前記吐出ステップないし前記X軸方向ずれ量取得ステップを繰り返し行う請求項2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記Y軸方向ずれ量取得ステップで得られた、前記Y軸方向への位置ずれ量が所定値を超える場合に、さらに、前記吐出ステップないし前記Y軸方向ずれ量取得ステップを繰り返し行う請求項1ないし3のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記洗浄液は、下記式(1)で示される化合物Aを含有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の洗浄方法。
【化1】

【請求項6】
前記洗浄液は、下記式(2)で示される化合物Bを含有するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の洗浄方法。
【化2】

【請求項7】
前記洗浄液は、前記化合物Bに加え、前記カラーフィルター用インクを構成する溶媒成分をさらに含有するものである請求項6に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記画像取得ステップにおいては、前記被検査物とカメラとの相対位置を前記ドット列に沿って変えながら複数の電子画像を撮影し、
前記ドット座標取得ステップにおいては、前記複数の電子画像の座標系を統合することにより、撮影した全ドットの座標を一つの座標系に統合する請求項1ないし7のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項9】
前記画像取得ステップにおいては、前記複数の電子画像を撮影する際、相隣接する二つの画像中に同一のドットが少なくとも一つ含まれるように撮影を行い、
前記ドット座標取得ステップにおいては、相隣接する二つの画像中に共通に含まれるドットの座標が同じになるようにして両画像の座標系を統合することにより、前記複数の電子画像の座標系を統合する請求項8に記載の洗浄方法。
【請求項10】
前記ドット座標取得ステップにおいては、電子画像を撮影した光学系の収差に基づく歪を補正する処理を施す請求項1ないし9のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項11】
カラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター製造装置であって、
カラーフィルター用インクが流通するインク流路と、
前記カラーフィルター用インクの液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記インク流路に供給される洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽と、
前記液滴吐出ヘッドから前記洗浄液を被検査物上に吐出することにより形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段と、
前記電子画像を画像処理することにより、前記ドット列に略平行な方向をX軸方向とし、該X軸方向に直交する方向をY軸方向としたときの各ドットの中心のX座標およびY座標を取得するドット座標取得手段と、
前記各ドットの中心のX座標およびY座標に基づいて最小二乗法により第1の基準直線を決定する第1の基準直線決定手段と、
前記第1の基準直線と前記各ドットの中心との距離を求めることにより、前記Y軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するY軸方向ずれ量取得手段とを備えることを特徴とするカラーフィルター製造装置。
【請求項12】
二次元直交座標上に、前記各ドットの中心のX座標を前記二次元直交座標の一方の座標軸方向の座標値とし、他方の座標軸方向の座標値を等間隔とした点群を想定する点群想定手段と、
前記点群に対して最小二乗法により第2の基準直線を決定する第2の基準直線決定手段と、
前記点群の各点と前記第2の基準直線との間の、前記一方の座標軸方向の距離を求めることにより、前記X軸方向への前記各ドットの位置ずれ量に関する情報を取得するX軸方向ずれ量取得手段とをさらに備える請求項11に記載のカラーフィルター製造装置。
【請求項13】
前記画像取得手段は、前記被検査物とカメラとの相対位置を前記ドット列に沿って変えながら複数の電子画像を撮影し、
前記ドット座標取得手段は、前記複数の電子画像の座標系を統合することにより、撮影した全ドットの座標を一つの座標系に統合する請求項11または12に記載のカラーフィルター製造装置。
【請求項14】
前記画像取得手段は、前記複数の電子画像を撮影する際、相隣接する二つの画像中に同一のドットが少なくとも一つ含まれるように撮影を行い、
前記ドット座標取得手段は、相隣接する二つの画像中に共通に含まれるドットの座標が同じになるようにして両画像の座標系を統合することにより、前記複数の電子画像の座標系を統合する請求項13に記載のカラーフィルター製造装置。
【請求項15】
前記ドット座標取得手段は、電子画像を撮影した光学系の収差に基づく歪を補正する処理を施す請求項11ないし14のいずれかに記載のカラーフィルター製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−103576(P2012−103576A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253537(P2010−253537)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】