説明

洗浄装置

【課題】洗浄液の外部への飛散が防止可能な洗浄装置において、洗浄の対象物を上方から吊り下げられた状態で洗浄室内へと搬入するとともに、洗浄後の洗浄液により移動機構が汚れることを防止する。
【解決手段】洗浄装置では、複数の洗浄ノズル411を有する処理部4を収容する洗浄室2に、開閉可能な開口部を形成する開閉部が側面および上面に跨って設けられる。これにより、洗浄水の外部への飛散が防止可能な洗浄装置において、上方から吊り下げられた状態で対象物9を洗浄室2内へ搬入することができる。また、処理部4を移動する移動機構52が複数の洗浄ノズル411のうちの最も上の洗浄ノズル411aよりも上方に設けられることにより、複数の洗浄ノズル411から吐出される洗浄水により除去された対象物9上の不要物が再付着して移動機構52が汚れることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量があるために上方から吊り下げられた状態で搬送される対象物を洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄対象物である自動車を跨ぐ門型フレームに自動車の両側面に対向して洗浄ノズルを設け、門型フレームを自動車の長手方向に移動することにより自動車を洗浄する洗車装置が、従来より知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、特許文献2では、自動車を収容する収容部内において、自動車の上方にて自動車の幅方向に伸びるとともに複数のノズルを有する取付枠と、自動車の長手方向に取付枠を移動する移動機構とを設け、洗浄液の収容部外への飛散を防止しつつ自動車を洗浄する洗車装置が提案されている。
【特許文献1】特開平9−309412号公報
【特許文献2】特開2004−249880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、液晶表示装置等の製造に用いられるガラス基板の大型化に伴い、製造装置にて用いられるステージ等も大型化している。このような大型ステージは清浄度が求められるため洗浄される必要がある。しかしながら、大型ステージ等の重量のある対象物の洗浄に特許文献2の装置を利用するとしても、外部のクレーン等により対象物を上方から吊り下げた状態で搬送しなければならず、装置の収容部内に対象物を搬入することができない。
【0004】
一方、洗浄装置の設計によっては、洗浄ノズルから吐出される洗浄水により対象物から除去された不要物が移動機構に再付着して移動機構が汚れてしまい、移動機構の動作に支障が生じたり、移動機構に蓄積された不要物により洗浄装置内の清浄度が低下する等の問題がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、洗浄液の外部への飛散が防止可能な洗浄装置において、対象物を上方から吊り下げられた状態で洗浄室内へと搬入するとともに、洗浄後の洗浄液により移動機構が汚れることを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、重量のある対象物を洗浄する洗浄装置であって、対象物が配置される空間を形成するとともに、上方から吊り下げられた状態での対象物の搬出入に利用される開閉部を側面および上面に跨って有する洗浄室と、前記洗浄室内において、それぞれが対象物に向けて洗浄液を吐出する複数の洗浄ノズルを上下方向に配列して有する処理部と、前記複数の洗浄ノズルのうちの最も上のものよりも上方に設けられるとともに、前記処理部を水平方向に移動する移動機構とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の洗浄装置であって、対象物を挟んで前記処理部の前記複数の洗浄ノズルに対向する同様の複数の洗浄ノズルを有するもう1つの処理部をさらに備え、前記処理部と前記もう1つの処理部とが前記水平方向に平行に移動する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の洗浄装置であって、前記処理部の前記複数の洗浄ノズルに高圧にて洗浄液が供給されることにより、対象物が前記複数の洗浄ノズルからの洗浄液により物理的に洗浄される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の洗浄装置であって、前記処理部の前記複数の洗浄ノズルのうち、前記上下方向の中央近傍の少なくとも2以上の洗浄ノズルのそれぞれが、前記上下方向に対して傾斜する面に沿って扇状に洗浄液を吐出する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の洗浄装置であって、前記洗浄室内において、対象物の下面に当接して前記対象物を支持する複数の突起状の部位を含む支持部をさらに備え、前記処理部の前記複数の洗浄ノズルのうちの最も下のものが、前記支持部の前記対象物との当接位置よりも下方に位置する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の洗浄装置であって、前記洗浄液が洗浄水であり、前記処理部が、それぞれが対象物に向けて洗浄に利用される薬液を吐出し、前記複数の洗浄ノズルと共に移動する複数の薬液ノズルを上下方向に配列してさらに有する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の洗浄装置であって、前記処理部が、それぞれが対象物に向けて乾燥用のエアを噴出し、前記複数の洗浄ノズルと共に移動する複数のエアノズルを上下方向に配列してさらに有する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の洗浄装置であって、対象物への吐出後の液体を回収し、回収後の液体を含む液体を前記処理部へと供給する液体循環部をさらに備える。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の洗浄装置であって、前記液体循環部が、対象物に吐出された回数に応じて回収後の液体を異なるタンクに貯溜する。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の洗浄装置であって、前記洗浄室内において、対象物および前記処理部の周囲を囲むインナーカーテンをさらに備える。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の洗浄装置であって、前記洗浄室内の圧力を大気圧よりも低くする排気部をさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、洗浄液の外部への飛散が防止可能な洗浄装置において、対象物を上方から吊り下げられた状態で洗浄室内へと搬入するとともに、洗浄後の洗浄液により移動機構が汚れることを防止することができる。
【0018】
また、請求項2の発明では、もう1つの処理部を設けることにより対象物を短時間にて洗浄することができ、請求項3の発明では、物理的な洗浄により対象物を適切に洗浄することができ、請求項4の発明では、傾斜した扇状に洗浄液を吐出することにより対象物をより適切に洗浄することができ、請求項5の発明では、対象物の支持される面も洗浄することができる。
【0019】
また、請求項6の発明では、外部への飛散を防止しつつ薬液を対象物に吐出することができ、請求項7の発明では、対象物を乾燥させることができる。
【0020】
また、請求項8の発明では、対象物の洗浄に利用される液体を再利用することができ、請求項9の発明では、液体を適切に再利用することができる。
【0021】
また、請求項10の発明では、簡単な構成で液体の不要な飛散を大幅に減少させることができ、請求項11の発明では、洗浄室の外部に液体が漏出することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明の一の実施の形態に係る洗浄装置1を示す正面図であり、図2は洗浄装置1を示す平面図であり、図3は洗浄装置1を示す右側面図である。洗浄装置1は、外部のクレーンを用いて装置内へと搬入される重量のある対象物を洗浄するためのものであり、例えば、平面表示装置等の製造装置(コータやデベロッパ等)にて用いられるセラミック製のステージや定盤等の大型の部品が洗浄の対象物とされる。
【0023】
図1の洗浄装置1は、対象物9が配置される空間を形成する洗浄室2、および、洗浄室2の下側((−Z)側)にて後述の液体循環部等が設けられる空間を形成する本体下部11を備える。洗浄室2の前面((−Y)側の面)には開閉可能なドア21が設けられ、ドア21の前方((−Y)側)に取り付けられる階段22を介して作業者が洗浄室2内へと進入可能とされる。また、洗浄室2の前面の側部には洗浄装置1の全体制御を担う制御部3が組み込まれ、制御部3の最前面には操作パネル31が取り付けられる。洗浄装置1では、作業者により操作パネル31を介して制御部3への入力が行われる。
【0024】
図2および図3に示すように洗浄室2は、対象物9の洗浄室2内への搬入または対象物9の洗浄室2からの搬出に利用される開閉部23をさらに備え、開閉部23は、洗浄室2の上面(図2中の(+Z)側の面)に設けられる上面部231、および、右側面(図3中の(+X)側の面)に設けられる側面部232を有する。すなわち、洗浄室2において開閉部23は上面および側面に跨って形成される。後述するように、上面部231および側面部232は、対象物9の搬出入の際に開放され、対象物9の洗浄処理中には閉じられる。なお、洗浄室2の背面(図2中の(+Y)側の面)には梯子27が設けられ、作業者が上面部231を開閉したり、後述の移動機構52のメンテナンスを行う場合(洗浄室2の上面には、図示省略のメンテナンス用パネルが設けられており、移動機構52のメンテナンスの際にこのメンテナンス用パネルが開放される。)等に梯子27が利用される。
【0025】
また、図3に示すように洗浄室2の上方には、ワイヤロープ241を巻き上げ可能なホイスト24が設けられ、図2に示すようにホイスト24はX方向およびY方向に関して上面のおよそ中央の位置に配置される。ホイスト24はX方向に僅かに移動可能なホイスト支持部243により支持され、ホイスト24から伸びるワイヤロープ241の先端には支持フック242が取り付けられる。ワイヤロープ241は、図2に示す洗浄室2の上面に設けられたシール部25を介して洗浄室2内へと垂れ下がり、支持フック242は洗浄室2内に配置される。シール部25は中央から(+Y)側の弾性部材と(−Y)側の弾性部材とに分割されており、これらの弾性部材の間に挟まれてワイヤロープ241の周囲がおよそ封止されるとともに、開閉部23(上面部231および側面部232)が開放された状態において、外部のクレーンから垂れ下がるワイヤロープもこれらの部材の間を移動可能とされる。洗浄室2の背面には、洗浄室2の内部から外部へと連絡する排気口261が設けられ、排気口261は排気部26に接続されて洗浄室2内の圧力が常時大気圧よりも低くされる。なお、洗浄室2内は必ずしも常時排気される必要はなく、洗浄処理が行われる際にのみ排気部26を駆動してもよい。
【0026】
図4および図5は洗浄室2および本体下部11の内部構成を示す図であり、図4は(−Y)側から(+Y)方向を向いて見た様子を示し、図5は(+X)側から(−X)方向を向いて見た様子を示す。洗浄室2内には、対象物9を挟んで互いに対向するとともにそれぞれが洗浄水、薬液(例えば、酸性、あるいはアルカリ性の処理液や界面活性剤等の洗浄に利用される液体)、並びに、乾燥用のエアおよびドライエア(例えば、露点温度が(−100)℃のエア)を対象物9に向けて吐出または噴出する1対の処理部4、各処理部4を図4のX方向に移動する移動ユニット5、対象物9の下面に当接して対象物9を支持する対象物支持部6、並びに、対象物9、処理部4および移動ユニット5の周囲を囲むインナーカーテン71(図2参照)が設けられる。なお、図4および図5では、インナーカーテン71の断面を太線にて示している。
【0027】
図4に示すように、各処理部4はX方向に並ぶ4本の処理バー41,42,43,44を有し、(+X)側の処理バー41から(−X)側に向かって順にそれぞれ洗浄水、薬液、エアおよびドライエアが供給される。図5に示すように、洗浄水が供給される(+X)側の処理バー41は、それぞれが対象物9に向けて洗浄水を吐出する複数のノズル411(以下、「洗浄ノズル」という。)を有し、複数の洗浄ノズル411は上下方向(Z方向)に一定の間隔にて配列して設けられる。また、各処理部4の他の処理バー42〜44もほぼ同様の構成とされ、薬液が供給される処理バー42はそれぞれが対象物9に向けて洗浄に利用される薬液を吐出する複数のノズル(以下、「薬液ノズル」という。)を上下方向に配列して有し、エアが供給される処理バー43はそれぞれが対象物9に向けてエアを噴出する複数のノズル(以下、「エアノズル」という。)を上下方向に配列して有し、ドライエアが供給される処理バー44はそれぞれが対象物9に向けてドライエアを噴出する複数のノズル(以下、「ドライエアノズル」という。)を上下方向に配列して有する。
【0028】
図5に示すように、複数の洗浄ノズル411のうちの最も上のもの(図5中にて符号411aを付す洗浄ノズル)は吐出口が(−Z)側に傾けて取り付けられるとともに対象物9の上面よりも上方に位置し、洗浄ノズル411aから対象物9の上面に向けて洗浄水が吐出される。また、複数の洗浄ノズル411のうちの最も下のもの(図5中にて符号411bを付す洗浄ノズル)は吐出口が(+Z)側に傾けて取り付けられるとともに対象物9の下面よりも下方に位置し、洗浄ノズル411bから対象物9の下面に向けて洗浄水が吐出される。このように、処理バー41において上下方向(Z方向)に関して洗浄ノズル411aの位置から洗浄ノズル411bの位置までが洗浄水の吐出が可能な範囲とされ、この範囲は対象物9のZ方向の幅(高さ)よりも広い。
【0029】
図6および図7は処理バー41の複数の洗浄ノズル411から洗浄水が吐出される様子を説明するための図であり、図6は図5中の左側の処理バー41の中央近傍の複数の洗浄ノズル411を示し、図7は図6の洗浄ノズル411を(+Y)側から(−Y)方向を向いて見た様子を示す。
【0030】
処理バー41の各洗浄ノズル411からは図6に示すように(+Y)側に向かうに従って幅が漸次広がる扇状に(実際には、広がる角度が80〜90度の扇状に)洗浄水が吐出される。また、洗浄ノズル411a,411bを除く各洗浄ノズル411では、図7に示すように上下方向(Z方向)に対して傾斜する面に沿って洗浄水が吐出されるため、これらの洗浄ノズル411から吐出された洗浄水は互いに干渉することなく対象物9へと到達する。図6に示すように、各洗浄ノズル411は閉止バルブ412を介して処理バー41に取り付けられており、閉止バルブ412により各洗浄ノズル411からの洗浄水の吐出が個別に閉止可能とされる。なお、前述のように、各処理部4の他の処理バー42〜44におけるノズルも、図5ないし図7に示す洗浄ノズル411に準じた構成とされる。
【0031】
図4に示す各移動ユニット5は、対象物9よりも上側にてX方向に水平に伸びるレール51、下側に処理部4が固定されるとともにレール51に沿って移動する移動機構52、レール51の両端をそれぞれ支持する2つのレール支持部53を有し、各レール支持部53は洗浄室2の上面に内側から固定される。移動機構52はローラ521に接続された図示省略のモータを有し、モータを駆動することによりローラ521がレール51上を転がって処理部4の処理バー41〜44が一体的に水平なX方向に移動する。
【0032】
洗浄室2の下部に設けられた対象物支持部6は、それぞれがY方向に伸びる複数の当接部材61を有し、図5に示すように各当接部材61の両端は支持ブロック62にて支持される。各当接部材61の先端は、横倒しにした円柱の側面に近い形状となっており(いわゆる、蒲鉾状であり)、この先端が対象物9の下面に当接して対象物9を支持する。この状態において、前述のように、処理部4の複数の洗浄ノズル411のうちの最も下の洗浄ノズル411bが、対象物支持部6の対象物9との当接位置(すなわち、当接部材61の先端)よりも下方に位置する。したがって、図8に示すように、処理部4の移動に伴って洗浄ノズル411bから吐出される洗浄水は対象物9の下面の各部分に直接的に付与され、また、対象物9の側面に沿って流れ落ちる洗浄水も下面へと回り込み、対象物9の支持される面が洗浄可能とされる。図4および図5の対象物支持部6は、さらに、対象物9の四隅に対応する位置において対象物9を補助的に挟持する固定ブロック63を有する。なお、図8では固定ブロック63の図示を省略している。
【0033】
また、洗浄室2の下面(すなわち、図4中の(−Z)側の面であり、洗浄室2と本体下部11との境界)には網状プレート72が設けられ、洗浄室2内において、対象物9へと吐出された後の液体は網状プレート72を介して本体下部11側へと流出し、液体循環部8の器状の液体回収部81により回収されて液体供給部82へと送られる。
【0034】
図9は、処理部4に洗浄水、薬液、エアおよびドライエアを供給する構成を示すブロック図であり、主に液体循環部8の構成を示している。なお、図9では、各処理部4における複数の洗浄ノズル411を1つのブロックにて示し、複数の薬液ノズル、複数のエアノズル、複数のドライエアノズルをそれぞれ符号421,431,441を付す1つのブロックにて示している。
【0035】
液体回収部81にて回収された液体は、制御部3により制御される液体供給部82の排液切換バルブ821によりフィルタ831側またはフィルタ841側へと送られる。なお、フィルタ831,841はパーティクルフィルタである。後述するように、回収された液体が薬液である場合には液体はフィルタ831側へと導かれ、洗浄水である場合にはフィルタ841側へと導かれる。フィルタ831側へと導かれた薬液は薬液タンク832に貯溜され、薬液タンク832内の薬液がポンプ833により各薬液ノズル421へと供給される。なお、薬液タンク832はポンプ834およびバルブ835を介して補充用薬液タンク836にも接続され、薬液タンク832内の薬液の量が所定の量以下となった場合には、補充用薬液タンク836から薬液タンク832に薬液が補充される。
【0036】
また、フィルタ841側へと導かれた洗浄水は、バルブ842,843のいずれかが開放されることにより、第1洗浄水タンク844または第2洗浄水タンク845に貯溜される。そして、ポンプ848の駆動により、バルブ846が開放される場合には第1洗浄水タンク844内の洗浄水が各洗浄ノズル411へと供給され、バルブ847が開放される場合には第2洗浄水タンク845内の洗浄水が各洗浄ノズル411へと供給される。さらに、ポンプ848と洗浄ノズル411との間には切換バルブ851を介して洗浄水供給部85が接続され、洗浄水供給部85から各洗浄ノズル411へも洗浄水の供給が可能とされる。また、各エアノズル431にはエア供給部86が接続されてエアが供給され、各ドライエアノズル441にはドライエア供給部87が接続されてドライエアが供給される。
【0037】
洗浄装置1において対象物9を洗浄する際には、まず、作業者により、図2に示す開閉部23の上面部231および側面部232が開放されるとともに、ホイスト24がホイスト支持部243と共に洗浄室2の上面の中央から(−X)側に僅かに退避する。なお、図2に示すインナーカーテン71の(+X)側の部位は開放した状態とされる。
【0038】
続いて、洗浄装置1の(+X)側において、外部のクレーン(通常、工場内の天井に設けられるホイストクレーン)により、対象物9の上面の四隅に接続された支持ワイヤを介して対象物9が上方から吊り下げられ、この状態のまま(−X)方向に水平移動することにより側面部232に対応する開口を通過して洗浄室2内へと搬入され、対象物9の重心が洗浄室2の上下方向を向く中心線と重なる位置まで移動する。このとき、クレーンから垂れ下がって対象物9を保持するワイヤロープは、側面部232および上面部231に対応する開口を通過し、その後、シール部25の中央まで到達する。そして、対象物9が下降して図4の対象物支持部6上に対象物9の下面が当接し、固定ブロック63により対象物9が補助的に挟持される。
【0039】
作業者が梯子27を登って作業を行うことにより、ホイスト24が洗浄室2の上面の中央に戻されるとともに対象物9に接続された支持ワイヤがホイスト24に接続された支持フック242に掛けられ、ワイヤロープ241が巻き上げられて支持ワイヤの緩みがなくされる。これにより、対象物支持部6による下面からの支持のみでは転倒する危険性がある対象物9が上方からも支持されて転倒が防止される。続いて、上面部231および側面部232、並びに、インナーカーテン71の(+X)側の部位が閉じられ、作業者が洗浄室2の外側に退出した後、ドア21が閉じられて洗浄室2内が密閉される。そして、予め設定された処理シーケンスである洗浄レシピが、作業者により操作パネル31を介して選択されることにより、洗浄装置1による対象物9の洗浄処理が行われる。
【0040】
洗浄装置1による洗浄処理では、2つの処理部4はそれぞれ対応する移動機構52により移動範囲の(−X)側の端である移動開始位置からY方向に並んで(+X)方向に平行に移動し(図2参照)、(+X)側の端である移動停止位置に到達すると、この位置から(−X)方向に移動して移動開始位置へと戻る。上記往復移動は繰り返され、各処理部4では往復移動の回数に応じて4個の処理バー41〜44のいずれかから薬液、洗浄水、エアまたはドライエアが対象物9に向けて順次吐出(噴出)される。
【0041】
詳細には、まず、処理バー42が他の処理バー41,43,44と共に洗浄レシピにて設定された回数だけ往復移動する間、処理バー42の複数の薬液ノズル421から対象物9に向けて薬液(例えば、希釈された洗剤)が吐出される。対象物9への吐出後の薬液は、図9の液体回収部81にて回収され、排液切換バルブ821によりフィルタ831側へと導かれて薬液タンク832にて貯溜される薬液と混合されて保持される。そして、回収後の薬液を含む薬液が処理部4の各薬液ノズル421へと供給され、薬液が繰り返し利用される。
【0042】
このとき、1対の処理部4の移動に伴って対象物9の上面および移動方向(X方向)に沿う側面の全体に対して薬液が吐出される。また、複数の薬液ノズル421から吐出される薬液は、X方向にも広がるため(図7参照)、図4の(2つの)処理バー42が対象物9の(−X)側にて移動する間に対象物9の(−X)側の側面の全体に対して薬液が吐出され、処理バー42が対象物9の(+X)側にて移動する間に対象物9の(+X)側の側面の全体に対して薬液が吐出される。さらに、前述のように、対象物支持部6が複数の突起状の当接部材61を含むため、対象物9の下面にも薬液が到達する。このようにして、1対の処理部4の移動に伴って複数の薬液ノズル421から対象物9のほぼ全体に対して薬液が吐出される(後述する洗浄ノズル411、エアノズル431およびドライエアノズル441による処理において同様。)。なお、図9のフィルタ831により薬液の一定の清浄度が確保されるが、薬液タンク832内の薬液を交換する場合には、バルブ882が開放されて廃液回収部881にて薬液が回収され、バルブ882が閉じられた後、補充用薬液タンク836から薬液タンク832に未使用の薬液が供給される。
【0043】
薬液の吐出が終了すると、1対の処理部4がX方向に往復移動しつつ処理バー41の複数の洗浄ノズル411から、薬液ノズル421の場合と同様に、対象物9の全体に対して洗浄水が吐出される。ここで、洗浄装置1では洗浄水の吐出が3段階に分けて行われる。まず、第1段階では、図9のバルブ847を開放するとともに切換バルブ851がポンプ848と洗浄ノズル411とを接続することにより、第2洗浄水タンク845に貯溜された洗浄水が各洗浄ノズル411に供給され、対象物9に向けて吐出される。このとき、バルブ843が開放され、液体回収部81にて回収される洗浄水は第2洗浄水タンク845へと導かれる。そして、処理部4が所定の回数だけ往復すると、ポンプ848の駆動を停止しつつバルブ884を開放して第2洗浄水タンク845内の洗浄水が廃液回収部883へと導かれて、第2洗浄水タンク845内の洗浄水が排水される。
【0044】
洗浄水の吐出の第2段階では、バルブ847,884を閉じた後、バルブ846を開放することにより、第1洗浄水タンク844に貯溜された洗浄水が各洗浄ノズル411に供給され、対象物9に向けて吐出される。このとき、バルブ843は開放したままとされ、液体回収部81にて回収される洗浄水は第2洗浄水タンク845にて貯溜される。そして、処理部4が所定回数だけ往復すると、バルブ846が閉じられて洗浄ノズル411への洗浄水の供給が停止される。また、洗浄水の吐出の第3段階では、バルブ843を閉じた後、切換バルブ851が洗浄水供給部85と洗浄ノズル411とを接続することにより、洗浄水供給部85から洗浄水が各洗浄ノズル411に供給され、対象物9に向けて吐出される。このとき、バルブ842が開放され、液体回収部81にて回収される洗浄水は第1洗浄水タンク844にて貯溜される。そして、処理部4が所定回数だけ往復すると、洗浄水供給部85からの洗浄水の供給が停止され、洗浄ノズル411からの洗浄水の吐出が終了する。
【0045】
このように、本洗浄処理における洗浄水の吐出の第1段階では前回の洗浄処理における洗浄水の吐出の第2段階にて使用された不要物を含む洗浄水が使用され(すなわち、前々回の洗浄処理における洗浄水供給部85からの洗浄水であり、3回目の利用となる。)、本洗浄処理の第2段階では前回の洗浄処理の第3段階にて使用された不要物を僅かに含む洗浄水が使用され(2回目の利用となる。)、本洗浄処理の第3段階では洗浄水供給部85からの不要物を含まない洗浄水が使用される。換言すると、液体循環部8では対象物9に吐出された回数に応じて回収後の洗浄水が異なる第1または第2洗浄水タンク844,845に貯溜され、これにより、洗浄水がカスケード使用されて適切に再利用され、洗浄水を再利用しない場合に比べて洗浄水の使用量をおよそ1/3に低減することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、各洗浄ノズル411には内圧0.6〜2メガパスカル(MPa)にて洗浄水が供給され、一般的な洗浄装置にてノズルに供給される洗浄水の内圧(例えば、0.2MPa)よりも高圧とされる。これにより、洗浄ノズル411からの洗浄水の吐出量は一般的な場合(例えば、毎秒2.2リットル)よりも多い毎秒6〜12リットルとなり、吐出速度も大きくなる。その結果、複数の洗浄ノズル411からの洗浄水により対象物9が物理的に高清浄に洗浄される。実際には、処理部4の移動に伴って複数の洗浄ノズル411からの洗浄水は対象物9の全ての面に対して吐出されるため、対象物9の全体が物理的に洗浄されることとなる。なお、本実施の形態では、洗浄ノズル411と対象物9との間の距離は15〜50センチメートルとされる。
【0047】
洗浄水の吐出が終了すると、各処理部4の処理バー43が他の処理バー41,42,44と共に洗浄レシピにて設定された回数だけ往復移動する間、処理バー43の複数のエアノズル431から対象物9に向けてエアが噴出される。このとき、処理部4の移動に伴って複数のエアノズル431からのエアは対象物9の全ての面に対して噴出されるため、対象物9の全体において残留する液滴がおよそ除去されることとなる。エアノズル431からのエアの噴出の終了後、同様に、1対の処理部4が所定の回数だけ往復移動する間、各処理バー44のドライエアノズル441から対象物9の全ての面に対してドライエアが噴出され、対象物9の表面全体が乾燥する。なお、洗浄装置1では、エアノズル431からのエアの噴出、および、ドライエアノズル441からのドライエアの噴出により、対象物9の乾燥が行われるが、エアおよびドライエアの一方の噴出のみにより対象物9を乾燥させてもよい。
【0048】
また、洗浄装置1において小型の対象物が洗浄される場合には、複数の洗浄ノズル411(並びに、薬液ノズル421、エアノズル431およびドライエアノズル441)のうちこの対象物の高さに合わせて一部の洗浄ノズル411(例えば、処理バー41の上部に位置する洗浄ノズル411)に対応する閉止バルブ412が閉じられて、洗浄水を吐出する洗浄ノズル411が制限される。洗浄ノズル411aを用いない場合でも、洗浄ノズル411から吐出される洗浄水はZ方向にも広がるため、対象物の上面および下面にも洗浄水は吐出され、対象物の全体が洗浄可能である。また、移動機構52が処理部4を往復移動する範囲も対象物の大きさに応じて変更され、洗浄処理に要する時間や洗浄に利用される液体やエア等が節約される。
【0049】
洗浄装置1による対象物9の洗浄処理が終了すると、固定ブロック63による対象物9の補助的な固定が解除される。続いて、作業者により、対象物9に接続された支持ワイヤが支持フック242から外され、ホイスト24が洗浄室2の上面の中央から(−X)側に僅かに退避するとともに開閉部23およびインナーカーテン71の(+X)側の部位が開放され、支持ワイヤが外部のクレーンが有するフックに掛けられる。そして、クレーンから伸びるワイヤロープが巻き上げられて対象物9が上方から吊り下げられ、この状態のまま(+X)方向に水平移動し、開閉部23による開口部を通過して洗浄室2外へと搬出される。
【0050】
以上のように、洗浄装置1では、洗浄水および薬液を吐出する処理部4を収容しつつ、およそ密閉された空間を形成する洗浄室2において、開閉可能な開口部を形成する開閉部23が側面および上面に跨って設けられる。これにより、洗浄水および薬液の外部への飛散が防止可能な洗浄装置1において、上方から吊り下げられた状態で対象物9を洗浄室2内へ搬入または洗浄室2から搬出することができる。ここで、一般的な洗車装置のように門型フレームが設けられる場合には、対象物の搬入時に門型フレームを退避させる空間が必要となり、門型フレームの大きさによっては装置が大型化してしまうが、洗浄装置1では、Y方向に関して開閉部23のY方向の幅とほぼ同等の距離だけ離れて位置する2つの処理部4の間に対象物9が配置されるため(図3参照)、対象物9の搬入時に処理部4を退避させる必要がなく、コンパクトな装置構成が実現される。また、洗浄時に対象物9を上方からも支持することが可能となり、対象物支持部6による対象物9の下部からの支持と相まって、対象物9が転倒することなく確実に支持される。
【0051】
また、対象物9への吐出後の液体が回収され、回収後の液体を含む液体が処理部4へと供給されるため、対象物9の洗浄に利用される液体を再利用することができる。これにより、洗浄に利用される液体の消費量を抑えつつ、廃液回収部881,883にて廃液として特別に回収されて別途処理される液体の量も低減させ、洗浄処理に要するコストの削減を図ることができる。さらに、移動機構52が、処理部4の複数の洗浄ノズル411のうちの最も上の洗浄ノズル411aよりも上方に設けられるため、吐出される洗浄水により除去された対象物9上の不要物が移動機構52に再付着して移動機構52が汚れることを防止することができ、移動機構52に不具合が生じることを抑制するとともに、移動機構52に蓄積した不要物や移動機構52の潤滑剤等が液体循環部8により回収される液体に混入して当該液体の再利用に支障が生じることも防止される。このように洗浄装置1は洗浄室2および移動機構52の構造が大型精密部品の洗浄に特に適したものとなっている。
【0052】
ところで、洗車装置等の大型の対象物を洗浄する一般的な装置では、回転するブラシを対象物に当接させて不要物を剥離させ、対象物の上部等の限られた範囲にのみ洗浄水を付与して不要物を除去するため、例えば対象物の表面に形成された凹部内ではブラシが当接しない部位が生じ、表面に凹凸がある対象物を適切に洗浄することができない。これに対し、洗浄装置1では、処理部4の複数の洗浄ノズル411に高圧にて洗浄水が供給されることにより、複数の洗浄ノズル411からの洗浄水により対象物9が物理的に洗浄され、表面に凹凸がある対象物9であっても適切に洗浄することが可能となる。また、処理バー41の少なくとも中央近傍の各洗浄ノズル411が、上下方向に対して傾斜する面に沿って扇状に洗浄水を吐出するため、吐出された洗浄水が互いに干渉して物理的な洗浄力が低下することが防止されるとともに、洗浄水が洗浄ノズル411の移動方向にも広がるため対象物9の各部分に対して洗浄水が付与される時間が長くされ、対象物9をより適切に洗浄することができる。
【0053】
また、洗浄室2内においてインナーカーテン71を設けることにより、簡単な構成にて液体の不要な飛散を大幅に減少することができ、洗浄室2内の圧力が大気圧よりも低くされることにより、洗浄室2の外部に液体の飛沫が漏出することを抑制することができる。さらに、吐出後の液体は液体回収部81にて回収されるため、洗浄装置1では危険性の高い薬液を利用することも可能である。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0055】
例えば、洗浄装置において1つの処理部および1つの移動機構のみを設け、対象物の周囲を処理部が周回することにより1つの処理部により対象物の全体を洗浄することも可能である。対象物9を短時間にて洗浄するという観点では、上記洗浄装置1のように、対象物9を挟んで処理部4の複数の洗浄ノズル411に対向する同様の複数の洗浄ノズル411を有するもう1つの処理部4が設けられ、2つの処理部4が水平な同じ方向に平行に移動して対象物9が同時に両側から洗浄されることが好ましい。また、洗浄装置1において、1つの移動機構52のみが設けられ、この移動機構52により2つの処理部4が水平方向に平行かつ同時に移動してもよい。
【0056】
処理部4の処理バー41〜44は棒状のものには限定されず、少なくとも対象物9の側面に対向する位置において、複数のノズルが上下方向に配列して設けられるのであるならば、上方から吊り下げられた状態での対象物9の搬出入に支障が生じない範囲で、例えば、処理バーの上端および下端から対象物9側に突出する突出部が設けられ(すなわち、コの字状の処理バーとされ)、この突出部に上面および下面に向けて液体を吐出するノズルが取り付けられてもよい。
【0057】
上記実施の形態では、複数の洗浄ノズル411のうちの最も上の洗浄ノズル411aおよび最も下の洗浄ノズル411b以外の各洗浄ノズル411から上下方向に対して傾斜する面に沿って扇状に洗浄水が吐出されるが、洗浄水の干渉による対象物の側面に対する物理的な洗浄力の低下を防止するという観点では、複数の洗浄ノズル411のうち、上下方向の中央近傍の少なくとも2以上の洗浄ノズル411のそれぞれが、上下方向に対して傾斜する面に沿って扇状に洗浄水を吐出するのみでもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、洗浄ノズル411から洗浄水が吐出されるが、洗浄液として洗浄作用を有する他の液体が用いられてもよく、この場合、洗浄ノズル411から吐出される洗浄液による物理的な洗浄と、洗浄液自体の化学的な洗浄とを対象物に対して作用させることができる。また、各処理部4において1つの処理バー41のみが設けられ、この処理バー41の複数の洗浄ノズル411から薬液、洗浄水、エア、ドライエアが順次吐出(噴出)されてもよい。なお、対象物9に向けて吐出される流体の順番は、薬液、洗浄水、エア、ドライエアに限定されず、例えば、洗浄水の後に対象物9に向けて薬液が吐出されてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、洗浄ノズル411と対象物9との間の距離は一定であるが、対象物9の大きさによって、所定の距離になるようにY方向へ片側あるいは両側の処理部4を移動可能にしても良い。これによって、薬液、洗浄水、エア、ドライエアの各処理の仕上がりをより均一にできる。
【0060】
洗浄装置1により洗浄される対象物9は、平面表示装置等の製造装置に利用されるステージや定盤等以外に、例えば、自動車等の大型の構造体、半導体製造装置に利用される大型部品、あるいは、クリーンルーム等の清浄度が求められる空間を構成するフレーム等の大型部材等、クレーン等の大型の搬送装置を用いないと容易には搬送できない重量のあるものであればいかなるものであってもよく、セラミック以外に、金属、樹脂等にて形成されたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】洗浄装置を示す正面図である。
【図2】洗浄装置を示す平面図である。
【図3】洗浄装置を示す右側面図である。
【図4】洗浄室および本体下部の内部構成を示す図である。
【図5】洗浄室および本体下部の内部構成を示す図である。
【図6】洗浄ノズルから洗浄水が吐出される様子を説明するための図である。
【図7】洗浄ノズルから洗浄水が吐出される様子を説明するための図である。
【図8】対象物の下面が洗浄される様子を説明するための図である。
【図9】液体循環部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 洗浄装置
2 洗浄室
4 処理部
6 対象物支持部
8 液体循環部
9 対象物
23 開閉部
26 排気部
52 移動機構
61 当接部材
71 インナーカーテン
411,411a,411b 洗浄ノズル
421 薬液ノズル
431 エアノズル
441 ドライエアノズル
844,845 洗浄水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量のある対象物を洗浄する洗浄装置であって、
対象物が配置される空間を形成するとともに、上方から吊り下げられた状態での対象物の搬出入に利用される開閉部を側面および上面に跨って有する洗浄室と、
前記洗浄室内において、それぞれが対象物に向けて洗浄液を吐出する複数の洗浄ノズルを上下方向に配列して有する処理部と、
前記複数の洗浄ノズルのうちの最も上のものよりも上方に設けられるとともに、前記処理部を水平方向に移動する移動機構と、
を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置であって、
対象物を挟んで前記処理部の前記複数の洗浄ノズルに対向する同様の複数の洗浄ノズルを有するもう1つの処理部をさらに備え、
前記処理部と前記もう1つの処理部とが前記水平方向に平行に移動することを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄装置であって、
前記処理部の前記複数の洗浄ノズルに高圧にて洗浄液が供給されることにより、対象物が前記複数の洗浄ノズルからの洗浄液により物理的に洗浄されることを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の洗浄装置であって、
前記処理部の前記複数の洗浄ノズルのうち、前記上下方向の中央近傍の少なくとも2以上の洗浄ノズルのそれぞれが、前記上下方向に対して傾斜する面に沿って扇状に洗浄液を吐出することを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の洗浄装置であって、
前記洗浄室内において、対象物の下面に当接して前記対象物を支持する複数の突起状の部位を含む支持部をさらに備え、
前記処理部の前記複数の洗浄ノズルのうちの最も下のものが、前記支持部の前記対象物との当接位置よりも下方に位置することを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の洗浄装置であって、
前記洗浄液が洗浄水であり、
前記処理部が、それぞれが対象物に向けて洗浄に利用される薬液を吐出し、前記複数の洗浄ノズルと共に移動する複数の薬液ノズルを上下方向に配列してさらに有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の洗浄装置であって、
前記処理部が、それぞれが対象物に向けて乾燥用のエアを噴出し、前記複数の洗浄ノズルと共に移動する複数のエアノズルを上下方向に配列してさらに有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の洗浄装置であって、
対象物への吐出後の液体を回収し、回収後の液体を含む液体を前記処理部へと供給する液体循環部をさらに備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項9】
請求項8に記載の洗浄装置であって、
前記液体循環部が、対象物に吐出された回数に応じて回収後の液体を異なるタンクに貯溜することを特徴とする洗浄装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の洗浄装置であって、
前記洗浄室内において、対象物および前記処理部の周囲を囲むインナーカーテンをさらに備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の洗浄装置であって、
前記洗浄室内の圧力を大気圧よりも低くする排気部をさらに備えることを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−223966(P2006−223966A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39471(P2005−39471)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】