説明

洗浄装置

【課題】発熱体の劣化を防止しつつ流体の加熱効率を高めて、運転性能を向上させた洗浄装置を提案する。
【解決手段】洗浄用の水を供給する給水路4と、給水路4内の流体を誘導加熱により加熱する流体加熱装置6とを具備してなり、流体加熱装置6により加熱された流体を被洗浄物に供給する洗浄装置において、流体加熱装置6は、給水路4の中途部に配設され、内部中空を有する筒状の本体部64、及び本体部64の内部空間と区画されかつ外部空間と連通される収容部65が設けられる管体60と、管体60の外側に巻回される誘導加熱コイル61と、管体60の収容部65に収容されて配設される発熱体62と、誘導加熱コイル61に高周波電流を印加する高周波電源部63と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置の技術に関し、より詳細には、所定の流体を供給する流体供給路と、前記流体供給路内の流体を誘導加熱により加熱する流体加熱装置とを具備してなり、前記流体加熱装置により加熱された流体を被洗浄物に供給する洗浄装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類や食器などの被洗浄物を洗浄等する洗濯機や食器洗い機などの洗浄装置においては、ハウジングと、ハウジング内に配設される被洗浄物を収納する収納部とを備え、収容部に洗浄用の水や乾燥用の空気などの流体を供給することで、被洗浄物の洗浄運転(洗い・すすぎ)や乾燥運転を行うようにした構成が公知である。特に、洗浄運転においては、洗浄用の水を洗剤の活性化度が高い約40℃に加熱して供給することで、被洗浄物の洗浄性能を効果的に向上させることができるため、従来の洗浄装置においては、かかる水を加熱供給する流体加熱装置を備えた構成が提案されている。
【0003】
従来の洗浄装置の一例として、例えば、特許文献1には、ハウジング内に設けられた被洗浄物の収納部(洗濯槽)に供給する洗浄用の水をヒータにより加熱する流体加熱装置を備えた洗濯機の構成が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される洗浄装置のように、加熱ヒータにより洗浄用の水を加熱する構成とした場合には、水の加熱効率が悪いため、収納部への供給量が制限され、供給(給水)時間がかかってしまうという問題があった。また、ハウジング内に洗浄用の水を一時的に貯留してこれを加熱して供給する構成となるため、細かな温度調節や温度変更が困難であった。
【0005】
一方、特許文献2又は特許文献3には、同じくハウジング内の収納部に供給する洗浄用の水を加熱するために、給水路中に発熱体(熱交換素子)及び誘導加熱コイル等よりなる流体加熱装置を備えた洗濯機の構成が開示されている。かかる洗濯機においては、流体加熱装置によって誘導加熱コイルに高周波電流を印加して発熱体を発熱させることで、給水路中の水を加熱するようにしたものである。
【0006】
確かに、特許文献2又は特許文献3に開示される洗浄装置のように、誘導加熱により洗浄用の水を加熱する構成とした場合には、水の加熱効率を向上でき、ひいては給水時間の短縮化や温度制御を容易にすることができるなど装置の運転性能を向上させることが期待できる。しかしながら、かかる洗浄装置の構成では、発熱体を水中に直接暴露するため、発熱体が腐食により劣化して、発熱体の交換に要するメンテナンスが煩雑となるという問題があった。また、発熱体が水中で剥離して微粒化したり金属成分が溶出したりして洗浄用の水を汚染してしまうといった問題があった。さらには、発熱体に不純物が付着して目詰まりを起こして、流体の供給能力(給水能力)が低減するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−187296号公報
【特許文献2】特開平9−94377号公報
【特許文献3】特開平6−190188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明では、洗浄装置に関し、前記従来の課題を解決するもので、発熱体の劣化を防止しつつ流体の加熱効率を高めて、装置の運転性能を向上させた洗浄装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
すなわち、請求項1においては、所定の流体を供給する流体供給路と、前記流体供給路内の流体を誘導加熱により加熱する流体加熱装置とを具備してなり、前記流体加熱装置により加熱された流体を被洗浄物に供給する洗浄装置において、前記流体加熱装置は、前記流体供給路の中途部に配設され、内部中空を有する筒状の本体部、及び前記本体部の内部空間と区画されかつ外部空間と連通される収容部が設けられる管体と、前記管体の外側に巻回される誘導加熱コイルと、前記管体の収容部に収容されて配設される発熱体と、前記誘導加熱コイルに高周波電流を印加する高周波電源部と、を有するものである。
【0011】
請求項2においては、前記収容部は、前記本体部と同心円の筒状に形成され、前記本体部の側面との間に所定の離間を有するように前記本体部の軸中心と同一軸心上に配設されるものである。
【0012】
請求項3においては、前記発熱体は、カーボン系材料より成形されるものである。
【0013】
請求項4においては、前記流体供給路は、被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路である。
【0014】
請求項5においては、前記流体供給路は、被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路、及び被洗浄物の乾燥用の空気を送風する送風路であり、前記管体は、給水路及び/又は送風路の中途部に配設されるものである。
【0015】
請求項6においては、前記流体供給路は、被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路、及び被洗浄物の乾燥用の空気を供給する送風路であり、前記給水路及び送風路は、中途部にて水及び空気が切り替えられて供給される共通供給路を介して接続され、該共通供給路の中途部に前記管体が配設されるものである。
【0016】
請求項7においては、前記共通供給路は、一方の端部が流路切替弁に接続され、他方の端部が前記管体と接続される一対の接続路より形成されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、発熱体の劣化を防止しつつ流体の加熱効率を高めて、運転性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施例に係る洗浄装置の全体的な構成を示した斜視図。
【図2】同じく図1の洗浄装置の構成図。
【図3】流体加熱装置の構成図。
【図4】管体の側断面図。
【図5】別実施例の流体加熱装置の構成図。
【図6】本発明の第二実施例に係る洗浄装置の全体的な構成を示した斜視図。
【図7】同じく図6の洗浄装置の給水路を示した構成図。
【図8】同じく図6の洗浄装置の送風路を示した構成図。
【図9】本発明の第三実施例に係る洗浄装置の全体的な構成を示した構成図。
【図10】本発明の第四実施例に係る洗浄装置の全体的な構成を示した構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
まず、第一実施例の洗浄装置の全体構成について、以下に概説する。
以下に説明する洗浄装置では、一例として、被洗浄物として衣類を洗濯する洗浄機能を備えた洗濯機として構成されている。ただし、洗浄装置の構成については、これに限定されず、後述するように更に被洗浄物の乾燥機能を備えた洗濯機(図6乃至図8参照)や食器洗い機(図9参照)、シャワー装置(図10参照)などとして構成してもよい。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施例の洗浄装置は、矩形箱状のハウジング1と、ハウジング1の上部に配設されたトップカバー2等とから構成されている。ハウジング1内には、被洗浄物を収納する収納部としての水槽3と、所定の流体を供給する流体供給路としての給水路4と、給水路4内の洗浄用の水を加熱する流体加熱装置6等とが配設されている。
【0022】
ハウジング1の上面には、被洗浄物の投入口10が形成されており、トップカバー2が投入口10を開閉可能に取り付けられている。ハウジング1の内部であってトップカバー2の後部には、図外の給水設備から延びた給水ホース11が接続される注入部12が設けられている。注入部12には、2つの吐出口12a・12bが設けられており、各吐出口12a・12bには、図示せぬ給水弁がそれぞれ配設されている。この注入部12の吐出口12aは、吐出ダクト13と接続されている。
【0023】
給水ホース11より供給された洗浄用の水は、吐出口12aが開栓されることで吐出ダクト13を通って水槽3内に流入され、吐出口12bが開栓されることで後述する給水路4に流入される。なお、水槽3においては、後述する回転槽31内の内周面に形成された孔部及び撹拌体32の周縁と回転槽31との隙間を介して外槽30内に溜められる。
【0024】
ハウジング1の下側面には、着脱可能な開口カバー(図略)が設けられている。本実施例では、流体加熱装置6がハウジング1内の下隅部に配設されることから、かかる開口カバーを取り外すことで、流体加熱装置6のメンテナンスを行うことができるように構成されている。
【0025】
水槽3は、弾性支持機構33を介して配設される外槽30と、外槽30の内部に被洗浄物を収納した状態で回転可能とされる回転槽31と、回転槽31内の底部に回転可能に設けられる撹拌体32とで構成されている。回転槽31の内周面には、通水孔及び通気孔として機能する多数の孔部が設けられている。
【0026】
水槽3の外槽30の底部には、回転槽31及び攪拌体32を回転させるアウタロータ形モータなどの駆動機構34が配設されている。駆動機構34は、回転槽31及び攪拌体32の駆動と、攪拌体32のみの駆動とが切り替え可能に構成されている。例えば、洗い及びすすぎ時には、攪拌体32が正逆回転される。また、脱水時には、回転槽31及び攪拌体32が高速で一方向に回転され、回転槽31内に収容された被洗浄物(洗濯物)に含まれる水分が遠心力によって除去され、回転槽31の孔部から排出される。
【0027】
水槽3(外槽30)の底部には、外槽30に溜められた水をハウジング1外へ排出するための排水口35が設けられている。排水口35には、ハウジング1外へと延出される排水ホース36が連結され、排水ホース36の中途部に排水弁37が配設されている。排水弁37が開栓されることで、水槽3内に溜められた水が排水ホース36を通ってハウジング1外に排出される。
【0028】
次に、給水路4及び流体加熱装置6の構成について、以下に詳述する。
図1及び図2に示したように、本実施例の洗浄装置では、所定の流体を供給する流体供給路として、被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路4が設けられており、具体的には、一端が注入部12の吐出口12bに接続される給水ホース40と、一端が吐出ダクト13に接続される吐出ホース41等とで構成されており、この給水ホース40と吐出ホース41とが給水路4の中途部にて流体加熱装置6の管体60を介して接続されている。
【0029】
給水ホース40及び吐出ホース41は、ハウジング1内において水槽3とハウジング1の内壁との離間に沿って上下方向に延出され、管体60を介して接続されている。このように本実施例の給水路4は、給水ホース40、吐出ホース41、及び管体60によって連続形成される。注入部12の吐出口12bより給水ホース40に流入された水は、ハウジング1の上部から下部に送られて、管体60内を流れる際に加熱される。その後、管体60から吐出ホース41に流入され、ハウジング1の下部から上部に送られて吐出ダクト13より水槽3内へと供給される。
【0030】
本実施例の吐出ホース41は、一部が分岐されて分岐ホース42が接続されており、分岐ホース42が上述した排水ホース36と接続されている。分岐ホース42の中途部に排水弁43が配設されており、排水弁43が開栓されることで、給水路4(給水ホース40及び吐出ホース41)内の水が分岐ホース42から排水ホース36を通ってハウジング1外に排出される。このように、分岐ホース42及び排水弁43が設けられることで、給水路4(給水ホース40及び吐出ホース41)内に残留する水を機外に排出して悪臭の発生を防止できる。
【0031】
図2乃至図4に示すように、流体加熱装置6は、給水路4の中途部に配設され、内部空間内に流体が給送される管体60と、管体60の外側に巻回される誘導加熱コイル61と、管体60の収容部65に収容されて配設される発熱体62と、誘導加熱コイル61に高周波電流を印加する高周波電源部63等とを具備してなり、高周波電源部63により誘導加熱コイル61に高周波電流を印加して発熱体62を発熱させることで、管体60内を流れる洗浄用の水が加熱される。
【0032】
流体加熱装置6は、ハウジング1内の下隅部であって、水槽3や駆動機構34等の駆動を妨げない位置に配設されている。通常の洗濯機であれば、ハウジング1内の下隅部はデッドスペースになっているので、流体加熱装置6の配置スペースを充分に確保することができる。具体的には、高周波電源部63がハウジング1の底面に設置され、その上方に管体60及び誘導加熱コイル61が配置される。なお、管体60及び誘導加熱コイル61は、図示しない断熱性のカバーにて覆われている。
【0033】
管体60は、発熱体62を流体に直接暴露させないように収容可能に構成されており、具体的には、内部中空を有する筒状の本体部64と、本体部64の軸中心C上に沿って本体部64の内部空間の中途部まで延出されるとともに、本体部64の内部空間と区画されかつ外部空間と連通される収容部65と、給水ホース40に接続される流体給入口66と、吐出ホース41に接続される流体排出口67等とが形成されている。
【0034】
本体部64は、断面円形であって内部中空の筒状に形成され、非磁性材料として石英ガラス(透明石英ガラス、不透明ガラス、合成石英ガラスなど)が好ましく用いられる。本体部64は、流体給入口66を介して給水ホース40内の水が内部空間内に給送されるとともに、流体排出口67を介して内部空間内の水が吐出ホース41内に排出される。
【0035】
収容部65は、本体部64と同心円の筒状に形成され、本体部64と同じく非磁性材料(石英ガラス)より成形される。この収容部65は、側面65a及び端面65b・65bが閉止されるとともに、側面65aの一部が開口されて本体部64の側面64aに開口された開口部64bの縁部と連通されている。このようにして、収容部65は、本体部64の内部空間と区画され、かつ本体部64の開口部64bを介して外部空間と連通された囲繞空間を有している。発熱体62は、この収容部65の空間内に係止された状態で配置される。
【0036】
また、本実施例の収容部65は、本体部64の側面64aとの間に所定の離間を有するように、本体部64の軸中心Cと同一軸心上に配置される。管体60では、収容部65が本体部64の軸中心Cと同一軸心上に配置されることで、離間が本体部64の軸中心Cに対して円周方向に同一とされている。また、収容部65が本体部64の軸中心Cと同一軸心上に配置されることで、収容部65に収容された発熱体62においても同様に、本体部64の軸中心Cと同一軸心上に配置される。
【0037】
このように収容部65が形成されることで、管体60(本体部64)の内部空間には、流体を給送可能な二つの領域空間A及び領域空間Bが形成される。具体的には、領域空間Aは、流体の給送方向の上流側(図4において上側)と下流側(図4において下側)の空間であって、流体給入口66から収容部65の一方の端部(端面65b)までの空間と、収容部65の一方の端部(端面65b)から流体排出口67までの空間である。一方、領域空間Bは、本体部64の側面64aと収容部65の側面65aとの所定の離間に形成された空間である。
【0038】
図3にて矢印で示したように、流体給入口66を介して本体部64の内部空間内に給送された流体は(図3の矢印a)、一方の領域空間Aを本体部64の軸心方向に沿って下流側へと移送される。次いで、かかる流体は、収容部65の一方の端面65bに当接されて領域空間Bへと移送され(図3の矢印b)、領域空間Bを本体部64の軸心方向に沿って下流側へと移送される(図3の矢印c)。そして、発熱体62により加熱された流体は、他方の領域空間Aを介して流体排出口67から外部空間へと排出される(図3の矢印d)。
【0039】
誘導加熱コイル61は、銅材などの導電性材料より形成され、管体60の外周形状に沿うように延出されて管体60の外側に巻回されている。誘導加熱コイル61の端部(リード導体部)は、高周波電源部63に接続され、かかる高周波電源部63から一方の端部に供給された高周波電流は、誘導加熱コイル61の形状に沿って流れた後に、他方の端部より高周波電源部63に戻る。
【0040】
発熱体62は、管体60と断面同心円の円柱部材として磁性材料より形成され、管体60の本体部64に設けられた収容部65に収容された状態で配設される。磁性材料としては、ステンレス鋼などの金属系材料やシリコンカーバイドなどの炭化ケイ素系材料を用いることができるが、耐熱性及び化学的安定性の観点から、特に、カーボン単体(黒鉛など)、カーボン複合体(カーボン−セラミックス、ガラス状カーボンなど)等のカーボン系材料が好ましく用いられる。特に、カーボン系材料は、熱伝導がよく、一般的な金属系材料に比べて熱膨張率が小さく、かつ体積固有抵抗値が高いため好ましく用いられる。カーボン系材料を母材として発熱体62を成形した場合には、発熱による熱変化(寸法変化)が小さく、かつ高温でムラなく発熱させることができる。
【0041】
高周波電源部63は、後述する図示せぬ制御部に接続されており、発熱体62が所定温度となるように誘導加熱コイル61に供給される高周波電流が制御される。高周波電源部63より所定電流に制御された高周波電流が流れることで、誘導加熱コイル61に交番磁束が発生し、この交番磁束によって発熱体62にうず電流が発生する。そして、発熱体62に発生するうず電流による抵抗発熱と、誘導加熱コイル61からの交番磁束によるヒステリシス損から生じる発熱とによって発熱体62が発熱される。
【0042】
流体加熱装置6では、発熱体62の温度を制御することで、管体60内を流れる流体の加熱温度が制御される。本実施例では、熱電対や測温抵抗体などで構成される温度検出部68が管体60の本体部64の外側位置に配設されており(図3参照)、この温度検出部68により管体60(本体部64)の温度を検出することで、発熱体62の温度が制御される。管体60内を流れる水は給水路4の給水ホース40内に一定の流量で流入されるため、発熱体62の温度を制御することで、かかる水の加熱温度を容易に制御することができる。
【0043】
本実施例の流体加熱装置6では、水の加熱温度は洗剤の活性化度が高い約40℃とするのが好ましいが、洗浄装置の運転内容に応じて任意の温度とすることができる。例えば、洗浄装置の設置場所や運転時期など外部環境に応じて加熱温度を変更することができる。
【0044】
次に、本実施例の洗浄装置における洗浄プロセスについて、以下に説明する。
本実施例の洗浄装置では、洗い、すすぎ、脱水の各工程を含む一連の洗浄プロセス(洗浄運転)は、図示せぬ制御部による制御の下で実行される。制御部には、上述した各構成の他に、動作時間等を計測するためのタイマや、推移を検知するための水位センサや、外槽30の揺れ検知及び脱水中のトップカバー2の開蓋による危険防止のための安全スイッチなどが接続される。この制御部により、上述した吐出口12a・12bや排水弁等の開閉や、駆動機構34を構成するアウタロータ形モータの駆動及び停止や回転方向の切り替え制御や、流体加熱装置6における温度検出部68による温度検出及び高周波電源部63による発熱体62の温度制御などが行われる。
【0045】
まず、被洗浄物である洗濯物が投入口10より水槽3の回転槽31内に投入され、図示せぬ操作部を介して運転開始の指示が与えられると、注入部12の給水弁(図略)が開栓されて、吐出口12bより給水路4の給水ホース40内に洗浄用の水が一定の流量で流入される。
【0046】
給水弁の開栓と同時に、高周波電源部63から誘導加熱コイル61に高周波電流が印加され、発熱体62が所定温度に加熱される。具体的には、温度検出部68により管体60の温度が検出され、温度検出部68により検出された温度信号に基づいて、管体60(本体部64)、すなわち発熱体62が所定温度となるように高周波電源部63から誘導加熱コイル61に供給される高周波電流が制御される。
【0047】
給水ホース40から流体給入口66を介して管体60内に給送された水は、発熱体62からの入熱により所定温度(例えば40℃)に加熱される。管体60内にて加熱された水は、吐出ホース41を介してと吐出ダクト13より水槽3内へと供給される。そして、水槽3内の水が設定水位に達すると給水を終了し、洗い工程に移行される。
【0048】
なお、洗浄装置の操作部においては、洗浄用の水の温度を変更可能な操作や、通常温度の水にて洗いやすすぎを行う運転指示を与える操作などを行うことができるように構成される。通常温度の水にて洗いやすすぎを行う場合には、洗浄用の水は、注入部12の給水弁(図略)が開栓されて、吐出口12aを介して吐出ダクト13より水槽3内へと供給される。
【0049】
以上のように、本実施例の洗浄装置では、洗浄用の水を供給する給水路4と、給水路4内の流体を誘導加熱により加熱する流体加熱装置6とを具備してなり、流体加熱装置6により加熱された流体を被洗浄物に供給する洗浄装置において、流体加熱装置6は、給水路4の中途部に配設され、内部中空を有する筒状の本体部64、及び本体部64の内部空間と区画されかつ外部空間と連通される収容部65が設けられる管体60と、管体60の外側に巻回される誘導加熱コイル61と、管体60の収容部65に収容されて配設される発熱体62と、誘導加熱コイル61に高周波電流を印加する高周波電源部63と、を有することで、発熱体62の劣化を防止しつつ流体の加熱効率を高め、給水時間の短縮化や温度制御の容易化など装置の運転性能を向上できる。
【0050】
すなわち、本実施例の洗浄装置は、管体60の構成において、発熱体62が本体部64の内部空間と区画されかつ外部空間と連通される収容部65に収容されるように構成されるため、発熱体62が本体部64の内部空間を給送される流体中に直接暴露されることなく劣化するのを防止することができ、また、発熱体62が流体中で剥離して微粒化したり金属成分が溶出したりして流体を汚染するのを防止することができる。また、発熱体62を外部空間と連通された状態で収容することができるため、誘導加熱コイル61により発熱体62が高温状態になっても、発熱体62自体が熱膨張により変形したり、収容部65内の空気が熱膨張したりすることによって管体60が損傷等するのを防止できる。
【0051】
さらに、本体部64の内部空間内に露出される収容部65の側面(本実施例では側面65a及び端面65b)、すなわち流体に対する発熱体62の加熱領域を充分に確保することができるため、発熱体62を誘導加熱させることにより流体を所定温度まで急速加熱することができるため、管体60内を流れる流体の加熱効率を高めて給水時間を短縮化することができる。また、本実施例の構成によれば、流体温度を容易に制御ができるため、上記効果をより向上させることができる。
【0052】
また、本実施例の洗浄装置は、収容部65が本体部64と同心円の筒状に形成され、本体部64の側面64aとの間に所定の離間を有するように収容部65が本体部64の軸中心Cと同一軸心上に配設されるため、収容部65と本体部64との間に形成される領域に向けて収容部65の側面65aが円周方向に均等に露出されるため、かかる領域を流れる流体を均等に加熱することができ、流体の加熱効率をより向上できる。
【0053】
なお、洗浄装置の構成としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0054】
すなわち、上述した実施例(図3参照)の流体加熱装置6では、内部空間内に流体が給送される一の管体60と、一の管体60の外側に巻回される誘導加熱コイル61等とを備えた構成について説明したが、この管体60の配置個数及び配置構成はこれに限定されない。例えば、図5に示すように、複数(図では二つ)の管体60を連結ホース69を介して直列に接続し、かつ並列に配置した状態で、かかる複数の管体60の外側を一の誘導加熱コイル61により巻回するようにして構成してもよい。
【0055】
また、上述した実施例(図4参照)の管体60では、収容部65が本体部64の側面64aに開口された開口部64bの縁部から、本体部64の内部方向に向けて延出されて構成されているが、収容部65の構成はこれに限定されず、例えば、本体部64の他方の端部の端面に開口される開口部の縁部から、本体部64の軸中心Cに沿って内部方向に向けて延出されて構成されてもよい。
【0056】
また、上述した実施例(図4参照)の管体60では、流体給入口66及び流体排出口67が本体部64の端面に軸中心Cに沿う方向に向けて突設されているが、流体給入口66及び流体排出口67の配置構成はこれに限定されず、例えば、流体給入口66及び/又は流体排出口67が本体部64の側面64に軸中心Cと直交する方向に向けて突設されてもよい。
【0057】
以下に、他の実施例として第二実施例の洗浄装置(洗濯機)、第三実施例の洗浄装置(食器洗い機)、及び第四実施例の洗浄装置(シャワー装置)の構成についてそれぞれ詳述する。
【0058】
まず、図6乃至図8に示す第二実施例では、被洗浄物として衣類を洗濯する洗濯機として、被洗浄物の乾燥機能を備えていることを特徴としている。なお、第一実施例(図1乃至図4参照)と同一符号を付した構成部材は、特に言及する場合を除いて第一実施例の構成と同一であり、その詳細な説明は省略する。
【0059】
本実施例の洗浄装置は、ハウジング1内に、被洗浄物を収納する収納部としての水槽3と、水槽3に被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路4と、水槽3に被洗浄物の乾燥用の空気を送風する送風路5と、給水路4及び送風路5内の流体(水及び空気)を加熱する流体加熱装置6等とが配設されている。そして、本実施例では、給水路4及び送風路5が、それぞれの中途部にて水及び空気が切り替えられて供給される共通供給路7を介して接続されている。
【0060】
なお、本実施例の洗浄装置では、乾燥運転が可能とされているため、水槽3の上部には、別途、水槽カバー38が設けられている。水槽カバー38は、外槽30を開閉可能に取り付けられており、水槽カバー38が閉じられることで、ハウジング1内で水槽3が密閉され、かかる状態で洗浄運転及び乾燥運転が行われる。
【0061】
給水路4は、一端が注入部12の吐出口12bに接続される給水ホース40と、一端が上述した吐出ダクト13に接続される吐出ホース41等とで構成されており、この給水ホース40と吐出ホース41とが給水路4の中途部にて共通供給路7に接続されている。後述するように共通供給路7には一の管体60が配設されることから、本実施例の給水路4は、給水ホース40、吐出ホース41、及び共通供給路7(管体60)によって連続形成される(図7参照)。
【0062】
送風路5は、一端がハウジング1の上部であってトップカバー2の後方に配設される連結ダクト52に接続される送風ホース50と、一端が蛇腹状の送風ダクト56を介して水槽3の外槽30の底部に開口された送風口39に接続される温風吐出ホース51等とで構成されており、この送風ホース50と温風吐出ホース51とが送風路5の中途部にて共通供給路7に接続されている。本実施例の送風路5においても、給水路4と同様に、送風ホース50、温風吐出ホース51、及び共通供給路7(管体60)によって連続形成される(図8参照)。
【0063】
連結ダクト52は、送風ホース50と接続される他方の端部に蛇腹状の送風ダクト53が接続されており、この送風ダクト53が水槽カバー38に接続されて、水槽3内と連通されている。連結ダクト52内には、リントフィルタ54及びファン55が配設されており、ファン55が駆動されることで、リントフィルタ54を介して連結ダクト52から送風ホース50へと乾燥用の空気が供給される。なお、リントフィルタ54及びファン55の配置はこれに限定されず、送風路5(送風ホース50及び温風吐出ホース51)のいずれかの箇所に設けられてもよい。
【0064】
送風ダクト56は、外槽30の底部に開口された送風口39と接続されて水槽3内と連通されている。送風ダクト56内には、温風吐出ホース51より加熱された乾燥用の空気が供給され、かかる空気がこの送風ダクト56を介して送風口39より水槽3内へと供給される。
【0065】
本実施例の共通供給路7は、一方の端部が流路切替弁72・73に接続され、他方の端部が管体60に接続される一対の接続路としての接続ホース70・71より形成される。具体的には、一方の端部が流路切替弁72に接続され、流路切替弁72を介して給水ホース40及び送風ホース50に接続される接続ホース70と、同じく一方の端部が流路切替弁73と接続され、流路切替弁73を介して吐出ホース41及び温風吐出ホース51に接続される接続ホース71等とで構成されており、接続ホース70・71の他方の端部が管体60を介して接続されている。
【0066】
流路切替弁72・73は、流体としての水及び空気の流路を切り替え可能に構成されている。また、接続ホース70及び接続ホース71は、接続ホース70(の他方の端部)が管体60の流体給入口66に接続され、接続ホース71(の他方の端部)が同じく流体排出口67に接続される。そして、本実施例の共通供給路7では、流路切替弁72・73が切り替えられることで、接続ホース70、接続ホース71、及び管体60には、流体としての水及び空気のいずれか一方が供給可能とされている。
【0067】
流路切替弁72・73が切り替えられて給水ホース40及び吐出ホース41が共通供給路7に水を供給可能な状態に接続されると、流体給入口66を介して給水ホース40内の水が管体60の内部空間内に給送されるとともに、流体排出口67を介して加熱された水が吐出ホース41内に排出される。一方、送風ホース50及び温風吐出ホース51が共通供給路7に空気を供給可能な状態に接続されると、流体給入口66を介して送風ホース50内の空気が管体60の内部空間内に給送されるとともに、流体排出口67を介して加熱された空気が温風吐出ホース51内に排出される。
【0068】
次に、本実施例の洗浄装置における洗浄プロセスについて、以下に説明する。
本実施例の洗浄装置では、洗い、すすぎ、脱水の各工程を含む一連の洗浄プロセス(洗浄運転)に加えて、乾燥の工程を含む乾燥プロセス(乾燥運転)が、上述した図示せぬ制御部による制御の下で実行される。
【0069】
まず、洗浄運転では、流路切替弁72・73が切り替えられて、給水ホース40及び吐出ホース41が共通供給路7に水を供給可能な状態に接続される。かかる状態で、まず、吐出口12bより給水路4の給水ホース40内に洗浄用の水が一定の流量で流入される。給水ホース40に供給された水は、流路切替弁72及び接続ホース70を経て流体給入口66を介して管体60内に給送され、発熱体62からの入熱により所定温度に加熱される。そして、管体60内の加熱された水は、流体排出口67を介して接続ホース71及び流路切替弁73を経て吐出ホース41に排出され、吐出ホース41を介して吐出ダクト13から水槽3内へと供給される(図7参照)。
【0070】
一方、乾燥運転では、流路切替弁72・73が切り替えられて、送風ホース50及び温風吐出ホース51が共通供給路7に空気を供給可能な状態に接続される。かかる状態で、まず、ファン55が駆動されて、送風路5の送風ホース50内に乾燥用の空気が一定の流量で流入される。送風ホース50内に供給された空気は、流路切替弁72及び接続ホース70を経て流体給入口66を介して管体60内に給送され、発熱体62からの入熱により所定温度に加熱される。そして、管体60内の加熱された空気は、流体排出口67を介して接続ホース71及び流路切替弁73を経て温風吐出ホース51内に排出され、温風吐出ホース51を介して送風ダクト56から水槽3内へと供給される(図8参照)。
【0071】
なお、本実施例の洗浄装置では、送風路5、連結ダクト52、送風ダクト53、及び送風ダクト56等により温風循環経路が構成されている。すなわち、上述したように、温風吐出ホース51を介して送風ダクト56から水槽3へと供給された空気は、水槽3内において回転槽31内の内周面に形成された孔部及び撹拌体32の周縁と回転槽31との隙間を介して外槽30内の下部から上部に送られる。
【0072】
そして、この水槽3内の空気は、送風ダクト53を介して水槽3外へと排出されるとともに、送風ダクト53から連結ダクト52へと送られて、再度送風ホース50内に一定の流量で流入される。このようにして、水槽3内から排出された湿った空気が再度温風化された後、さらに水槽3内に戻すという動作が繰り返されることで、水槽3(回転槽31)内の被洗浄物が乾燥される。
【0073】
以上のように、本実施例の洗浄装置は、被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路4、及び被洗浄物の乾燥用の空気を供給する送風路5を備え、給水路4及び送風路5が、中途部にて水及び空気が切り替えられて供給される共通供給路7を介して接続され、共通供給路7の中途部に管体60が配設されるように構成されるため、被洗浄物の洗浄運転及び乾燥運転の際に、共通供給路7に配設される管体60に供給される水又は空気を切り替えることで、水及び空気を所定温度まで急速加熱することができ、洗浄時間及び乾燥時間の短縮化を図ることができ、装置の運転性能を向上できる。また、装置全体を大型化・複雑化することなく、洗浄用の水及び乾燥用の空気の両方を管体60で加熱することができる。
【0074】
特に、本実施例では、共通供給路7が、一方の端部が流路切替弁72・73に接続され、他方の端部が管体60と接続される一対の接続ホース70・71より形成されており、簡易な構成で、洗浄用の水及び乾燥用の空気の両方を管体60へと効率よく供給することができる。
【0075】
なお、本実施例においては、管体60は、上述した共通供給路7を設けることなく、給水路4と送風路5のそれぞれの中途部や、給水路4と送風路5のいずれか一方の中途部に配設してもよい。いずれの場合であっても、従来の構成と比べて、発熱体62の劣化を防止しつつ、給水路4及び送風路5に設けられる発熱体62を誘導加熱させることによる流体の加熱効率を高めて洗浄時間や乾燥時間を短縮できる。
【0076】
次に、図9に示す第三実施例では、被洗浄物として食器等を洗浄する洗浄機能及び乾燥する乾燥機能を備えた食器洗い機として構成されている。すなわち、本実施例の洗浄装置は、矩形箱状のハウジング101と、被洗浄物を収納する収納部としての洗浄槽103と、洗浄用の水を供給する給水路104と、被洗浄物の乾燥用の空気を供給する送風路105と、給水路104及び送風路105内の水及び空気を加熱する流体加熱装置106等とで構成されている。
【0077】
洗浄槽103は、被洗浄物を載置する食器かご130と、被洗浄物に向けて洗浄用の水を回転しながら噴射する洗浄ノズル131とが配設されている。食器かご130は、被洗浄物を整然と配置することで被洗浄物の洗浄・乾燥が効率的に行われるように構成される。洗浄槽103の底部は、上方に凹状に形成されており、その底面部に排水口132が形成されている。なお、排水口132には、接続パイプ135が接続されており、この接続パイプ135には後述する給水路104の給水ホース140が接続される。
【0078】
洗浄槽103の側面には、図外の給水設備から延びた給水ホースと接続される給水弁133が設けられており、かかる給水弁133を介して、機外から洗浄槽103内に洗浄用の水が供給される。給水弁133より供給された洗浄用の水は、洗浄槽103の底部に貯溜される。
【0079】
洗浄槽103の外側下方位置には、洗浄方向の駆動によって洗浄水を加圧して洗浄に供し、又は排水方向の駆動によって排水を行う洗浄・排水ポンプ134が配設されている。洗浄・排水ポンプ134は、モータの駆動により羽根車が洗浄方向に回転されることで、洗浄槽103の底部に溜まった水が洗浄ノズル131に供給されるとともに、羽根車が排水方向に回転されることで、かかる水が排水ホース(図略)を介して機外に排水されるように構成されている。
【0080】
本実施例の洗浄装置は、洗浄・排水ポンプ134により洗浄用の水が洗浄槽103の内部に循環される給水循環経路が構成されている。すなわち、洗浄槽103の底部に貯留された洗浄用の水が排水口132から洗浄・排水ポンプ134に吸い込まれ、洗浄・排水ポンプ134より洗浄槽103内の洗浄ノズル131に供給される。そして、洗浄ノズル131に供給された水は、食器かご131に配置された被洗浄物に向けて噴射され、被洗浄物を洗浄した後に、再び洗浄槽103の底部に貯留されて排水口132に戻る。
【0081】
また、ハウジング101は、一側面に被洗浄物の取出口110が開口されており、取出口110には開閉自在な蓋111が取り付けられている。
【0082】
給水路104は、一端が接続パイプ135に接続される給水ホース140と、一端が洗浄・排水ポンプ134に接続される吐出ホース141等とで構成されており、この給水ホース140と吐出ホース141とが給水路104の中途部にて共通供給路107に接続されている。後述するように共通供給路107には一の管体160が配設されることから、本実施例の給水路104は、給水ホース140、吐出ホース141、及び共通供給路107(管体160)によって連続形成される。
【0083】
給水路104では、接続パイプ135より給水ホース140に流入された水は、ハウジング101の下部から上部に送られて、管体160内を流れる際に加熱される。その後、管体160から吐出ホース141に流入され、洗浄・排水ポンプ134により洗浄槽103内の洗浄ノズル131に供給される。
【0084】
送風路105は、一端がハウジング101の上部後方に配設される連結ダクト152に接続される送風ホース150と、一端が送風ダクト156を介して洗浄槽103の底部に開口された送風口136に接続される温風吐出ホース151等とで構成されており、この送風ホース150と温風吐出ホース151とが送風路105の中途部にて共通供給路107に接続されている。本実施例の送風路105においても、給水路104と同様に、送風ホース150、温風吐出ホース151、及び共通供給路107(管体160)によって連続形成される。
【0085】
連結ダクト152内には、ファン155が配設されており、ファン155が駆動されることで、連結ダクト152から送風ホース150へと乾燥用の空気が供給される。また、送風ダクト156内には、温風吐出ホース151より加熱された乾燥用の空気が供給され、かかる空気がこの送風ダクト156を介して送風口136より洗浄槽103内へと供給される。
【0086】
流体加熱装置106は、給水路104の中途部に配設され、内部空間内に流体が給送される管体160と、管体160の外側に巻回される誘導加熱コイル161と、管体160の収容部165に収容されて配設される発熱体162と、誘導加熱コイル161に高周波電流を印加する高周波電源部163等とを具備してなり、高周波電源部163により誘導加熱コイル161に高周波電流を印加して発熱体162を発熱させることで、管体160内を流れる洗浄用の水が加熱される。
【0087】
共通供給路107は、一方の端部が流路切替弁172・173に接続され、他方の端部が管体160に接続される一対の接続路としての接続ホース170・171より形成される。具体的には、一方の端部が流路切替弁172に接続され、この流路切替弁172を介して給水ホース140及び送風ホース150に接続される接続ホース170と、同じく一方の端部が流路切替弁173と接続されて、この流路切替弁173を介して吐出ホース141及び温風吐出ホース151に接続される接続ホース171等とで構成されており、接続ホース170・171の他方の端部が管体160を介して接続されている。
【0088】
次に、本実施例の洗浄装置における洗浄プロセスについて、以下に説明する。
本実施例の洗浄装置では、洗い及びすすぎの各工程を含む一連の洗浄プロセス(洗浄運転)に加えて、乾燥の工程を含む乾燥プロセス(乾燥運転)が、図示せぬ制御部による制御の下で実行される。
【0089】
洗浄運転では、被洗浄物である食器等が食器かご130に載置され、図示せぬ操作部を介して運転開始の指示が与えられることで、まず、洗浄・排水ポンプ134の羽根車が排水方向に駆動することにより、洗浄槽103内に一部残っている残水が排出される。次いで、給水弁130が駆動されて、数リットルの洗浄用の水が洗浄槽103内に給水される。
【0090】
給水が完了すると、給水弁133が停止され、流路切替弁172・173が切り替えられて、給水ホース140及び吐出ホース141が共通供給路107に水を供給可能な状態に接続される。かかる状態で、洗浄・排水ポンプ134が洗浄方向に駆動されることにより、接続パイプ135より給水ホース140内に洗浄用の水が一定の流量で流入される。給水ホース140に供給された水は、流路切替弁172及び接続ホース170を経て管体160内に給送され、発熱体162からの入熱により所定温度に加熱される。
【0091】
そして、管体160内の加熱された水は、接続ホース171及び流路切替弁173を経て吐出ホース141に排出され、洗浄・排水ポンプ134を介して洗浄ノズル131に供給される。洗浄ノズル131は、所定方向に回転しながら被洗浄物に加熱された水を噴射して、被洗浄物に付着した汚れが除去される。
【0092】
この洗浄運転では、予め設定した最短の洗浄時間が経過しており、かつ、洗浄槽103の外壁の温度が所定温度(50〜70℃程度)になったことを図示せぬ温度センサ等により検知されると、十分に被洗浄物の洗浄が行われたと判断して、洗浄・排水ポンプ134の運転が停止されて、洗浄運転が終了する。
【0093】
洗浄運転が終了すると、洗浄槽103の残水を希釈する残水希釈運転及びすすぎ運転が行われる。残水希釈運転及びすすぎ運転は、通常複数回行われる。特に、最後のすすぎ運転では、給水弁130が駆動されて給水が行われた後に、洗浄・排水ポンプ134及び流体加熱装置106を駆動して、65〜80℃程度にまで加熱した洗浄用の水(すすぎ水)を被洗浄物に噴射して、被洗浄物に付着した洗剤や汚れなどを一層効果的に除去する加熱すすぎが行われる。
【0094】
次に、洗浄運転では、洗浄・排水ポンプ134の羽根車が排水方向に駆動することにより、洗浄槽103内に一部残っている残水が排出された後に、流路切替弁172・173が切り替えられて、送風ホース150及び温風吐出ホース151が共通供給路107と空気を供給可能な状態に接続される。かかる状態で、ファン155が駆動されて、送風路105の送風ホース150内に乾燥用の空気が一定の流量で流入される。
【0095】
送風ホース150内に供給された空気は、流路切替弁172及び接続ホース170を経て管体160内に給送され、発熱体162からの入熱により所定温度に加熱される。そして、管体160内の加熱された空気は、接続ホース171及び流路切替弁173を経て温風吐出ホース151内に排出され、温風吐出ホース151を介して送風ダクト156から洗浄槽103内へと供給される。
【0096】
なお、温風吐出ホース151を介して送風ダクト156から洗浄槽103へと供給された空気は、洗浄槽103内において食器かご130に載置された被洗浄物を乾燥しながら上部に送られて、連結ダクト152を介して洗浄槽103内外へと排出され、再度送風ホース150内に一定の流量で流入される。このようにして、乾燥運転では、洗浄槽103内から排出された湿った空気が再度温風化された後、さらに洗浄槽103内に戻すという動作が繰り返されることで、洗浄槽103内の被洗浄物が乾燥される。
【0097】
以上のように、本実施例の洗浄装置は、食器洗い機として構成されることで、給水路104に設けられる流体加熱装置106において発熱体162を誘導加熱させることにより水及び空気を所定温度まで急速加熱することができるため、食器洗いの洗浄時間や乾燥時間を短縮することができる。
【0098】
なお、本実施例においては、洗浄手段として回転駆動式の洗浄ノズル131を用いて説明したが、かかる構成はこれに限定されず、例えば、洗浄槽103の内壁に設けた噴射孔(図示せず)から被洗浄物に洗浄水を噴射し洗浄する固定式ノズルとして構成してもよい。
【0099】
次に、図10に示す第四実施例では、被洗浄物としての人間や動物、又は建築物や自動車等に向けて加熱された水を噴射して洗浄するシャワー装置として構成されている。
【0100】
本実施例の洗浄装置は、矩形箱状のハウジング201と、水を供給する給水路204と、給水路204内の水を加熱する流体加熱装置206等とで構成されている。ハウジング201の内部に給水路204及び流体加熱装置206が収納されて給湯装置として形成され、ハウジング201の一方の側面に給水路204の吐出ホース241と継手214aを介して接続パイプ214が接続され、他方の側面に給水路204の給水ホース240と継手215aを介して接続パイプ215が接続されている。
【0101】
接続パイプ214には、継手214bを介して先端に吐水口216が取り付けられた吐水ホース217が接続されており、接続パイプ214に供給された水が吐水口216より吐出される。また、接続パイプ214には、温度センサ218が配設され、接続パイプ214に流れる水の温度が検知可能とされている。接続パイプ215には、図示せぬ水道管などの給水源が接続されるとともに、水流センサ219が配設されており、接続パイプ215に水が流れていることを検知可能とされている。この温度センサ218及び水流センサ219は、図示せぬ制御部に接続されている。
【0102】
給水路204は、一端が上述した接続パイプ215に接続される給水ホース240と、一端が接続パイプ214に接続される吐出ホース241等とで構成されており、この給水ホース240と吐出ホース241とが給水路204の中途部にて流体加熱装置206の管体260を介して接続されている。給水路204では、接続パイプ215より給水ホース240に流入された水は、管体260から吐出ホース241に流入され、接続パイプ214及び吐水ホース217へと供給される。
【0103】
流体加熱装置206は、給水路204の中途部に配設され、内部空間内に流体が給送される管体260と、管体260の外側に巻回される誘導加熱コイル261と、管体260の収容部265に収容されて配設される発熱体262と、誘導加熱コイル261に高周波電流を印加する高周波電源部263等とを具備してなり、高周波電源部263により誘導加熱コイル261に高周波電流を印加して発熱体262を発熱させることで、管体260内を流れる洗浄用の水が加熱される。
【0104】
本実施例の洗浄装置における洗浄プロセスとしては、図示せぬ給水源より接続パイプ215に供給された水は、給水路204の給水ホース240内に流入し、流体加熱装置206により管体260内を流れる際に加熱される。その後、吐出ホース241から接続パイプ214及び吐水ホース217に至り、吐水口216から湯となって排出される。出湯の温度は、誘導加熱コイル261に供給される高周波電流や、接続パイプ215からの水の流入量や、吐水口216からの排出量などが制御されて、好みの湯温となるように調製される。
【0105】
なお、本実施例の洗浄装置は、浴室内や屋外に設置されて使用される他に、洗浄ユニットとして設置位置を変更可能にして任意の箇所で使用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 ハウジング
3 水槽(収納部)
4 給水路(流体供給路)
5 送風路(流体供給路)
6 誘導加熱装置
40 給水ホース
41 吐出ホース
60 管体
61 誘導加熱コイル
62 発熱体
63 高周波電源部
64 本体部
65 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の流体を供給する流体供給路と、前記流体供給路内の流体を誘導加熱により加熱する流体加熱装置とを具備してなり、前記流体加熱装置により加熱された流体を被洗浄物に供給する洗浄装置において、
前記流体加熱装置は、
前記流体供給路の中途部に配設され、内部中空を有する筒状の本体部、及び前記本体部の内部空間と区画されかつ外部空間と連通される収容部が設けられる管体と、
前記管体の外側に巻回される誘導加熱コイルと、
前記管体の収容部に収容されて配設される発熱体と、
前記誘導加熱コイルに高周波電流を印加する高周波電源部と、
を有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記収容部は、前記本体部と同心円の筒状に形成され、前記本体部の側面との間に所定の離間を有するように前記本体部の軸中心と同一軸心上に配設される請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記発熱体は、カーボン系材料より成形される請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記流体供給路は、被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路である請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記流体供給路は、被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路、及び被洗浄物の乾燥用の空気を送風する送風路であり、
前記管体は、給水路及び/又は送風路の中途部に配設される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記流体供給路は、被洗浄物の洗浄用の水を供給する給水路、及び被洗浄物の乾燥用の空気を供給する送風路であり、
前記給水路及び送風路は、中途部にて水及び空気が切り替えられて供給される共通供給路を介して接続され、該共通供給路の中途部に前記管体が配設される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記共通供給路は、一方の端部が流路切替弁に接続され、他方の端部が前記管体と接続される一対の接続路より形成される請求項6に記載の洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−5917(P2012−5917A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141557(P2010−141557)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(594020248)株式会社幸和電熱計器 (11)
【Fターム(参考)】