説明

活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物

【課題】 従来のウレタン化触媒を用いて得られるウレタン(メタ)アクリレートは、
着色したり、貯蔵安定性に劣る、またその硬化物は耐光性が悪い等の問題があったため、
低粘度で貯蔵安定性に優れ、その硬化物が耐光性、透明性および非着色性に優れる活性エ
ネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレートを提供する。
【解決手段】 ウレタン(メタ)アクリレート(A)と有機ビスマス化合物(B)から
なることを特徴とする活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート組成物に関する。さらに詳しくは、比較的低
粘度で貯蔵安定性に優れ、耐光性、透明性および非着色性に優れる硬化物を与えるウレタ
ン(メタ)アクリレート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウレタン(メタ)アクリレートは、放射線により硬化し、得られる硬化物は優れ
た弾性を有するため、光学部材(プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー等)、電
気・電子部材(フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジスト 、メッキレジスト 、多
層プリント配線板用層間絶縁膜、感光性光導波路等)、シーリング材、接着剤、紙、プラ
スチック等のコーティング剤として広く使用されている(例えば、特許文献1、2参照)
。該ウレタン(メタ)アクリレートは、反応性の(メタ)アクリレート基を有するため合
成時の熱等で重合が起こるという問題があり、反応温度を低く、しかも反応時間を短くす
る必要がある。このためウレタン(メタ)アクリレートの製造に際しては、通常有機スズ
化合物、有機チタン化合物、アミン、4級アンモニウム塩等のウレタン化触媒が使用され
ている。
【0003】
【特許文献1】特開平07−330858号公報
【特許文献2】特開平11− 12340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの触媒では、イソシアネートと系中の水分との反応が進行するた
め、ウレアが生成し、分子量が大きくなるため、粘度が高くなるとともに、系中の水分量
によって粘度が変化する問題がある。また、有機スズ化合物(トリブチルスズ等)は環境
ホルモンとされることから他の触媒への変更が要望されている。有機チタン化合物は、ウ
レタン化の反応速度が遅いだけでなく、ウレタン(メタ)アクリレートが着色すること、
および硬化物の耐光性が悪いという欠点がある。アミンおよび4級アンモニウム塩は、同
様にウレタン(メタ)アクリレートの着色、硬化物の耐光性の悪化のほかに、ウレタン(
メタ)アクリレートの貯蔵安定性に劣るという問題がある。
本発明の目的は、比較的低粘度で貯蔵安定性に優れ、その硬化物が耐光性、透明性およ
び非着色性に優れる活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物を提供
することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)と有機ビスマス化合物(B)からなるこ
とを特徴とする活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物;該組成物
を硬化させてなる硬化物;並びに、該組成物を基材の少なくとも片面の少なくとも一部に
塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法であ
る。
【発明の効果】
【0006】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート組成物は、下記の効果を奏する。
(1)比較的低粘度で貯蔵安定性に優れる。
(2)該組成物を硬化させてなる硬化物は、耐光性、透明性および非着色性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物は、ウレタン(
メタ)アクリレート(A)と有機ビスマス化合物(B)からなることを特徴とする。
(A)はポリオール成分(a)とポリイソシアネート成分(b)から形成され、(B)
はその際に使用される。(B)の使用方法には、(a)と(b)を反応させる前に予め(
a)および/または(b)のいずれかに含有させる方法、(a)、(b)および(B)を
一括して配合使用する方法、並びに(a)と(b)を部分的に反応させた後に、残りの(
a)および/または(b)とともに(B)を添加使用する方法が含まれる。
本発明の組成物のうち好ましいのは、(A)が、水酸基と(メタ)アクリロイル基を有
する化合物(a1)からなるポリオール成分(a)とポリイソシアネート成分(b)から
形成されるウレタン(メタ)アクリレートである組成物である。
【0008】
(a1)としては、次のものが挙げられる。
(a11)(メタ)アクリル酸のアルキレンオキシド[炭素数(以下、Cと略記)2〜4
)、以下AOと略記]付加物
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、−2−ヒドロキシプロピル、−2−ヒド
ロキシブチルおよびこれらのAO付加物〔分子量160〜数平均分子量[以下Mnと略記
、測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]5,000〕

(a12)(a11)のε−カプロラクトン付加物(分子量230〜Mn5,000)
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−ε−カプロラクトン2モル付加物等
(a13)ジオール(Mn300〜5,000)の(メタ)アクリル酸エステル
ジオール[Mn300〜5,000で後述の(a16)を構成するポリオール以外のも
の、例えばポリカーボネートジオール、ポリテトラエチレングリコール、ポリエステルジ
オール]のモノ(メタ)アクリレート
(a14)エポキシドと(メタ)アクリル酸の反応生成物
3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ビフェノキシ−
2−ヒドロキシプロプル(メタ)アクリレート等
(a15)(メタ)アクリル酸と3官能以上のポリオール(分子量92〜Mn5,000
)の反応生成物
グリセリンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およ
びジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アク
リレート、ジトリメチロールプロパンモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジ
ペンタエリスリトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタ(メタ)アクリレー
トおよびそれらのAO付加物(付加モル数1〜100)等
(a16)(メタ)アクリル酸とブタジエンポリオール、イソプレンポリオール、水添ブ
タジエンポリオールおよび水添イソプレンポリオールからなる群から選ばれる少なくとも
1種のポリオール(Mn300〜5,000)との反応生成物
これらのうち後述の(b)との反応性の観点から好ましいのは(a14)、およびさら
に好ましいのは(a11)および(a15)である。
【0009】
本発明におけるポリイソシアネート(以下、PIと略記することがある。)成分(b)
としては、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(b1)C(NCO基中のCを除く、以下同じ)6〜20の芳香族ポリイソシアネート
ジイソシアネート(以下、DIと略記)、例えば1,3−および/または1,4−フェ
ニレンDI、2,4−および/または2,6−トリレンDI(TDI)、4, 4’−お
よび/または2,4’−ジフェニルメタンDI(MDI)、m−およびp−イソシアナト
フェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−
ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニ ル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ
イソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンDI、およびm−およびp−イソシ
アナトフェニルスルホニルイソシアネート;および3官能以上のPI(トリイソシアネー
ト等)、例えば粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネー
ト)および4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート
【0010】
(b2)C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート
DI、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ヘ
プタメチレンDI、オクタメチレンDI、ノナメチレンDI、デカメチレンDI、ドデカ
メチレンDI、2,2,4−および/または2,4,4 −トリメチルヘキサメチレンD
I、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナト
エチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシア
ナトエチル)カーボネートおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI
);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,11−ウンデカ
ントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン
、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネ
ート(リジンとアルカノールアミンの反応生成物のホスゲン化物、例えば2−イソシアナ
トエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナ
トプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)
【0011】
(b3)C4〜45の脂環式ポリイソシアネート
DI、例えばイソホロンDI(IPDI)、2,4−および/または2,6−メチルシ
クロヘキサンDI(水添TDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI(水添MD
I)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イソシアナトエ
チル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/ま
たは2,6−ノルボルナンDI、ダイマー酸DI(DDI);および3官能以上のPI(
トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネート
(b4)C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート
m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、ジエチルベンゼンDIおよびα,
α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI)
(b5)上記(b1)〜(b4)のヌレート化物
これらのうち耐光性の観点から好ましいのは(b2)および(b3)、並びに(b5)
のうち脂肪族PIのヌレート化物である。
【0012】
本発明におけるポリオール成分(a)には、硬化物の靭性の観点からさらにポリオール
(a2)[(a2)には、前記(a13)、(a15)および(a16)を構成するポリ
オールが含まれる。]を含有させてもよい。
(a2)には、2価アルコール(C2〜20またはそれ以上)、例えばC2〜12の脂
肪族2価アルコール[(ジ)アルキレングリコール(エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,
3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ルおよび3−メチルペンタンジオール(以下それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD
、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等)等]、C6〜10の脂環式
骨格を有する2価アルコール[1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、シクロ
ヘキサンジメタノール等]、C8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[キシリレングリコ
ール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];
3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリ オールお
よびそれらの分子内もしくは分子間脱水物[グリセリン、トリメチロー ルプロパン、ペ
ンタエリスリトール、ソルビトールおよびジペンタエリスリト ール(以下それぞれGR
、TMP、PE、SOおよびDPEと略記)、1,2 ,6−ヘキサントリオール、エリ
スリトール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジ
グリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類およびその誘導体[ショ糖、グルコース、
フラクトース、マンノース、ラクトース、グルコシド(メチルグルコシド等)等];
ポリエーテルポリオール[上記2価アルコール、もしくは3価〜8価またはそれ以上の多
価アルコールのAO付加物(分子量150〜Mn20,000)、ポリテトラメチレング
リコール(Mn400〜10,000)等]、ポリエステルポリオール(Mn200〜2
0,000)、Mn200〜10,000の、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、
ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレンポリオールおよび水添ポリイソプ
レンポリオール、並びにこれらのポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリカ
ーボネート、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレンポリオールおよび水
添ポリイソプレンポリオールのAO1〜300モル付加物が含まれる。
【0013】
これらのうち耐光性の観点から好ましいのは、ポリエーテルポリオール、ポリエステル
ポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、さらに好まし
いのはポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールである。
【0014】
ウレタン化反応によるウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造において、イソシア
ネート基と水酸基の当量比は、特に限定されないが、貯蔵安定性の観点から好ましくは1
:10〜10:1、さらに好ましくは1:5〜2:1、とくに好ましくは1:4〜1:1
である。
【0015】
有機ビスマス化合物(B)には、以下のものが含まれる。
(B1)有機ビスマスカルボキシレート
一般式 Bi(OCOR)3 で表され、Rとしては1価の、脂肪族基[C1〜20、例え
ばアルキル(メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、sec−およびt
−ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシルおよびドデシル)基およびアルケニル
(1−、2−およびi−プロペニル、1−、2−および3−ブテニル)基]、芳香(脂肪
)族(C6〜20、例えばフェニル、トルイル、キシレニル、ベンジル、フェネチルおよ
びヘキシルフェニル)基および脂環(C3〜10、例えばシクロプロピル、シクロブチル
、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチル)基等が挙げられる。
これらのRのうち耐加水分解性の観点から好ましいのはC2〜12の脂肪族基、および
C5〜10の脂環基である。
【0016】
(B2)有機ビスマスアルコキシド
一般式 Bi(OR)3 で表され、Rは上記と同じで、耐加水分解性の観点から好ましい
Rも上記と同じである。
【0017】
(B3)ジカルボニル基を有する化合物とBiのキレート化合物
ジカルボニル基を有する化合物には、C4〜15、例えばアセチルアセトン、アセチル
酢酸、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが含まれ、キレート化合物にはこれ
らとBiのキレート化合物が含まれる。
【0018】
これらの(B)のうち反応速度および触媒としての(B)の安定性の観点から好ましい
のは、(B1)および(B3)、着色の観点からさらに好ましいのは(B1)である。
【0019】
(B)の使用量は、(A)の重量に基づいて反応性、透明性の観点から好ましくは0.
001〜0.5%、さらに好ましくは、0.05〜0.2%である。
【0020】
本発明の組成物には、(B)以外のその他の、ウレタン化反応に用いられる触媒を本発
明の効果を阻害しない範囲で含有させてもよい。該その他のウレタン化触媒には、有機ス
ズ化合物、有機チタン化合物、3級アミンおよび4級アンモニウム塩が含まれる。
有機スズ化合物としては、トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド
、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、
スタナスオクトエート、ジブチルチンマレエートが挙げられる。
有機チタン化合物としては、例えば、テトラアルキル(C=2〜12)チタネート、ア
ルキレンジカルボン酸(C=2〜12)チタンが挙げられる。
3級アミンとしては、トリエチレンジアミン、テトラアルキル(C=1〜3)アルキレ
ン(C=2〜6)ジアミン(例えば、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキ
シレンジアミン)、ジアザビシクロアルケン類{例えば1,8−ジアザビシクロ[5,4
,0]ウンデセン−7〔DBU[サンアプロ(株)製、登録商標]〕}が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、テトラアルキル(C=1〜4)アンモニウムブロマイド
、テトラアルキル(C=1〜4)アンモニウムパークロレートが挙げられる。
該その他のウレタン化触媒の使用量は、(A)の重量に基づいて通常1%以下、好まし
くは0.0001〜0.1%である。
【0021】
本発明の組成物には、(B)の安定性の観点からさらに有機酸(c)を含有させてもよ
い。(c)としては、例えば脂肪族カルボン酸(C2〜C20、例えば酢酸、プロピオン
酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソバレン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸お
よびドデカン酸)、脂環式カルボン酸(C4〜10、例えばシクロブタンカルボン酸、シ
クロペンタンカルボン酸およびシクロヘキサンカルボン酸)、芳香族カルボン酸(C7〜
20、例えば安息香酸、テレフタル酸、フタル酸およびトリメリット酸)、α−不飽和カ
ルボン酸[C3〜10、例えば(メタ)アクリル酸、桂皮酸およびマレイン酸]および2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと多塩基酸(C2〜15、例えばシュウ酸、コ
ハク酸、アジピン酸、フタル酸、トリメリット酸およびこれらの酸無水物)とのモノエス
テル化物が挙げられる。
これらのうち耐加水分解性の観点から好ましいのは脂肪族カルボン酸および脂環式カル
ボン酸、活性エネルギー線照射時の(c)とウレタン(メタ)アクリレート(A)との反
応性の観点から好ましいのは(メタ)アクリル酸および2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートと多塩基酸とのモノエステル化物である。
【0022】
(c)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常20%以下、(B)および上記その他
のウレタン化触媒の安定性および後述する硬化物の透明性の観点から好ましくは0.00
1〜10%、さらに好ましくは0.05〜5%である。
【0023】
(B)と(c)の重量比は(B)の安定性の観点から好ましくは、0.001/1〜9
/1、さらに好ましくは0.01/1〜4/1である。
【0024】
(a)と(b)のウレタン化反応の条件は、特に限定されず、例えば、(a)と(b)
を混合し、通常40〜100℃、反応性および該混合物の安定性の観点から好ましくは6
0〜95℃で2〜20時間反応させて(A)を製造することができる。また、必要により
溶剤(酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等)で希釈して反応させてもよい。溶
剤の使用量は、(a)と(b)の合計重量に基づいて通常5,000%以下、反応速度の
観点から好ましい上限は1,000%、(a)と(b)の混合物の取り扱い性の観点から好ましい下限は10%である。
【0025】
ウレタン化反応は、常圧、減圧または加圧のいずれでも行うことができる。ウレタン化
反応の進行状況は、例えば反応系のNCO%および水酸基価を測定することにより判断す
ることができる。
【0026】
本発明の組成物には、さらに(A)以外のその他の(メタ)アクリレート(X)を含有
させてもよい。(X)には、下記のものが含まれ、これらは1種単独でも2種以上の併用
でもいずれでもよい。
【0027】
(1)モノ(メタ)アクリレート
(1−1)C1〜30の脂肪族1価アルコールの(メタ)アクリレート
ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等
(1−2)C1〜30の脂肪族1価アルコールのAO1〜30モル付加物の(メタ)アク
リレート
ラウリルアルコールのエチレンオキシド(以下、EOと略記)2モル付加物の(メタ)
アクリレート、ラウリルアルコールのプロピレンオキシド(以下、POと略記)3モル付
加物の(メタ)アクリレート等
(1−3)C6〜30の[アルキル(C1〜20)]フェノールのAO1〜30モル付加
物の(メタ)アクリレート
フェノールのPO3モル付加物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO1モ
ル付加物の(メタ)アクリレート等
(1−4)C6〜30の脂環式1価アルコールの(メタ)アクリレート
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等
【0028】
(2)ジ(メタ)アクリレート
(2−1)(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4)(分子量62〜Mn3,000)のジ
(メタ)アクリレート
ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)(Mn400)、ポリプロピレングリ
コール(以下、PPGと略記)(Mn200)およびポリテトラメチレングリコール(以
下、PTMGと略記)(Mn650)の各ジ(メタ)アクリレート等
(2−2)ビスフェノール化合物のAO2〜30モル付加物のジ(メタ)アクリレート
ビスフェノールA、−Fおよび−Sの、EO2モルおよびPO4モル付加物の各ジ(メ
タ)アクリレート等
(2−3)C2〜30の脂肪族2価アルコールのジ(メタ)アクリレート
NPGおよびHDの各ジ(メタ)アクリレート等
(2−4)C6〜30の脂環式骨格を有する2価アルコールのジ(メタ)アクリレート
ジメチロールトリシクロデカン、ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノー
ル、ジ(メタ)アクリレートおよび水素化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート
【0029】
(3)ポリ(n=3〜6またはそれ以上)(メタ)アクリレート
(3−1)C3〜40の多価(3価〜6価またはそれ以上)アルコールのポリ(メタ)ア
クリレート
TMPトリ(メタ)アクリレート、GRトリ(メタ)アクリレート、TMPのPO3モ
ル付加物のトリ(メタ)アクリレート、TMPのEO3モル付加物のトリ(メタ)アクリ
レート、PEのトリ(メタ)アクリレート、PEのテトラ(メタ)アクリレート、PEの
EO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(以下、DP
Eと略記)のヘキサ(メタ)アクリレート等
【0030】
(4)ポリエステル(メタ)アクリレート
多価(2〜4)カルボン酸、多価(2〜8またはそれ以上)アルコールおよび(メタ)
アクリロイル基含有化合物のエステル化により得られる複数のエステル結合と複数の(メ
タ)アクリロイル基を有する分子量150〜Mn4,000のポリエステル(メタ)アク
リレート
多価(2〜4)カルボン酸としては、例えば脂肪族多価カルボン酸[C3〜20、例え
ばマロン酸、マレイン酸(無水物)、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、酸無水物の反
応物(ジPEと無水マレイン酸の反応物等)、脂環式多価カルボン酸[C5〜30、例え
ばシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸およびメチルテトラヒド
ロ(無水)フタル酸]および芳香族多価カルボン酸[C8〜30、例えばイソフタル酸、
テレフタル酸、フタル酸(無水物)およびトリメリット酸(無水物)]が挙げられる。
【0031】
多価(2〜8またはそれ以上)アルコールとしては、前記(a2)として例示したポリ
オールが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、C2〜30、例えば(メタ)アクリル酸
およびヒドロキシメチル(メタ)アクリレート挙げられる。
【0032】
(5)主鎖および/または側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するブタジエン重合体[例
えばポリブタジエンジ(メタ)アクリレート(Mn500〜500,000)]
(6)ジメチルポリシロキサンの主鎖および/または側鎖に(メタ)アクリロイル基を有
するシロキサン重合体[Mn300〜20,000、例えばジメチルポリシロキサンジ(
メタ)アクリレート]
これらのうち硬化物の強靭性の観点から好ましいのは、(2)、(3)および(4)で
ある。
【0033】
(X)の使用量は、(A)の重量に基づいて硬化物の弾性の観点から通常2,000%
以下、さらに好ましくは20〜1,000%、とくに好ましくは30〜300%である。
(X)のうち、活性水素原子を有するものはウレタン化反応終了後に加え、活性水素原
子を有しないものはウレタン化反応時および/または反応終了後のいずれの段階で加えて
もよい。
【0034】
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりさらに塗料、インキ
に使用される種々の添加剤(D)を含有させてもよい。(D)には、無機微粒子(D1)
、有機顔料(D2)、分散剤(D3)、消泡剤(D4)、レベリング剤(D5)、シラン
カップリング剤(D6)、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)(D7)、スリップ剤(D
8)、酸化防止剤(D9)および紫外線吸収剤(D10)が含まれる。
(D)の合計の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常60%以下、好ま
しくは0.005〜50%である。
【0035】
(D1)としては、アルミナ[酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワ
イト(アルミナ水和物)、シリカアルミナ(アルミナとシリカの融着物、アルミナの表面
にシリカをコーティングしたもの等)]、ジルコニア、炭化タングステン、炭化チタン、
炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンド、カーボンブラック(チャンネルブラック、ファ
ーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等)、シリカ(微粉ケイ酸、含
水ケイ酸、ケイ藻、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩(微粉ケイ酸マグネシウム、タルク
、ソープストーン、ステアライト、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸マグネシウム、ア
ルミノケイ酸ソーダ等)、炭酸塩[沈降性(活性、乾式、重質または軽質)炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム等]、クレー(カオリン質クレー、セリサイト質クレー、バイロフ
ィライト質クレー、モンモリロナイト質クレー、ベントナイト、酸性白土等)、硫酸塩[
硫酸アルミニウム(硫酸バンド、サチンホワイト等)、硫酸バリウム(バライト粉、沈降
性硫酸バリウム、リトポン等)、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム(石コウ)(無水石
コウ、半水石コウ等)等]、鉛白、雲母粉、亜鉛華、酸化チタン、活性フッ化カルシウム
、セメント、石灰、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、アスベスト、ガラスファイバ
ー、ロックファイバーおよびマイクロバルーン等が挙げられる。
【0036】
これらのうち硬化物の耐擦傷性および組成物、硬化物の着色抑制の観点から好ましいの
はアルミナ、シリカ、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩および酸化チタン、さらに好ましいのは
シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよび酸化チタンである。
(D1)は、2種以上併用してもよく、また2種以上が複合化(例えばシリカに酸化チ
タンが融着)されたものでもよい。(D1)の形状は、特に限定されず、例えば不定形状
、球状、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状および粒状のいずれでもよい。(D1)の使
用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常50%以下、硬化物の可撓性の観点か
ら好ましくは30%以下、さらに好ましくは3〜25%である。
【0037】
(D2)としては、下記のものが挙げられる。
(1)アゾ系顔料
不溶性モノアゾ顔料(トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストエロー
G等)、不溶性ジスアゾ顔料(ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP等)、
アゾレーキ(溶性アゾ顔料)(レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B等)、縮合ア
ゾ顔料、キレートアゾ顔料等
(2)多環式顔料
フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバ
イオレット等
(3)染つけレーキ
塩基性染料(ビクトリアピュアブルーBOレーキ等)、酸性染料(アルカリブルートー
ナー等)等
(4)その他
アジン系顔料(アニリンブラック等)、昼光けい光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、
天然顔料等
(D2)の使用量は、組成物の全重量に基づいて、通常50%以下、硬化物の可撓性の
観点から好ましくは40%以下、さらに好ましく30%以下である。
【0038】
(D3)としては、有機分散剤[高分子分散剤(Mn2,000〜500,000)お
よび低分子分散剤(分子量100〜Mn2,000未満)]および無機分散剤が挙げられ
る。
【0039】
高分子分散剤としては、ナフタレンスルホン酸塩[アルカリ金属(NaおよびK等)塩
、アンモニウム塩等]のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩(上記に同じ)、
ポリアクリル酸塩(上記に同じ)、ポリ(2〜4)カルボン酸(マレイン酸/グリセリン
/モノアリルエーテル共重合体等)塩(上記に同じ)、カルボキシメチルセルロース(M
n1,000〜10,000)およびポリビニルアルコール(Mn1,000〜100,
000)等が挙げられる。
【0040】
低分子分散剤としては、下記のものが挙げられる。
(1)ポリオキシアルキレン型
脂肪族アルコール(C4〜30)、[アルキル(C1〜30)]フェノール、脂肪族(
C4〜30)アミンおよび脂肪族(C4〜30)アミドのAO(C2〜4)1〜30モル付加物
脂肪族アルコールとしては、n−、i−、sec−およびt−ブタノール、オクタノー
ル、ドデカノール等;(アルキル)フェノールとしては、フェノール、メチルフェノール
およびノニルフェノール等;脂肪族アミンとしては、ラウリルアミンおよびメチルステア
リルアミン等;および脂肪族アミドとしては、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
(2)多価アルコール型
C4〜30の脂肪酸(ラウリン酸、ステアリン酸等)と多価(2〜6またはそれ以上)
アルコール(例えばGR、PE、SOおよびソルビタン)のモノエステル化合物
(3)カルボン酸塩型
C4〜30の脂肪酸(前記に同じ)のアルカリ金属(上記に同じ)塩
(4)硫酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコール(前記に同じ)および脂肪族アルコールのAO(C2〜
4)1〜30モル付加物の硫酸エステルアルカリ金属(前記に同じ)塩等
【0041】
(5)スルホン酸塩型
[アルキル(C1〜30)]フェノール(前記に同じ)のスルホン酸アルカリ金属(前
記に同じ)塩
(6)リン酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコール(前記に同じ)および脂肪族アルコールのAO(C2〜
4)1〜30モル付加物のモノまたはジリン酸エステルの塩[アルカリ金属(前記に同じ
)塩、4級アンモニウム塩等]
(7)1〜3級アミン塩型
C4〜30の脂肪族アミン[1級(ラウリルアミン等)、2級(ジブチルアミン等)お
よび3級アミン(ジメチルステアリルアミン等)]塩酸塩、トリエタノールアミンとC4
〜30の脂肪酸(前記に同じ)のモノエステルの無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸
等)塩
(8)4級アンモニウム塩型
C4〜30の4級アンモニウム(ブチルトリメチルアンモニウム、ジエチルラウリルメ
チルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム等)の無機酸(上記に同じ)塩等
が挙げられる。
【0042】
無機分散剤としては、ポリリン酸のアルカリ金属(前記に同じ)塩およびリン酸系分散
剤(リン酸、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル等)等が挙げられ
る。
(D3)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常10%以下、好ましく
は0.05〜5%である。
【0043】
(D4)としては、低級アルコール(C1〜6)(メタノール、ブタノール等)、高級
アルコール(C8〜18)(オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール等)、高級脂
肪酸(C10〜20)(オレイン酸、ステアリン酸等)、高級脂肪酸エステル(C11〜
30)(グリセリンモノラウリレート)、リン酸エステル(トリブチルホスフェート等)
、金属石けん(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、ポリエーテル
[PEG(Mn200〜10,000)、PPG(Mn200〜10,000)等]、シ
リコーン(ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコ
ーンオイル等)および鉱物油系(シリカ粉末を鉱物油に分散させたもの)等が挙げられる

(D4)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは
0.01〜2%である。
【0044】
(D5)としては、PEG型非イオン界面活性剤(ノニルフェノールEO1〜40モル
付加物、ステアリン酸EO1〜40モル付加物等)、多価アルコール型非イオン界面活性
剤(ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソル
ビタンステアリン酸トリエステル等)、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルEO
1〜50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイ
ン等)、変性シリコーンオイル[(■4)以外のもの、例えばポリエーテル変性シリコー

ンオイルおよび(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル]等が挙げられる。
(D5)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは
0.1〜2%である。
【0045】
(D6)としては、アミノ基含有シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノフロピルトリ
メトキシシラン等)、ウレイド基含有シランカップリング剤(ウレイドプロピルトリエト
キシシラン等)、ビニル基含有シランカップリング剤[ビニルエトキシシラン、ビニルメ
トキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等]、メタクリレート基含
有シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、エポキシ基含有シランカップリング剤(
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、イソシアネート基含有シランカップ
リング剤(γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、ポリマー型シランカッ
プリング剤(ポリエトキシジメチルシロキサン、ポリエトキシジメチルシロキサン等)、
カチオン型シランカップリング剤[N−(N−ベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等]等が挙げられる。
(D6)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常10%以下、好ましく
は0.5〜7%である。
【0046】
(D7)としては、無機チクソトロピー性付与剤[ベントナイト、有機処理ベントナイ
ト(表面ワックスコーティング処理ベントナイト等)および極微細表面処理炭酸カルシウ
ム(コロイダル炭酸カルシウム等)等]および有機チクソトロピー性付与剤(水添ヒマシ
油ワックス、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム、重合アマニ油等)が挙
げられる。
(D7)の使用量は本発明の組成物の全重量に基づいて、通常20%以下、好ましくは
0.5〜10%である。
【0047】
(D8)としては、高級脂肪酸エステル(ステアリン酸ブチル等)、高級脂肪酸アミド
(エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等)、金属石けん(ステアリン酸
カルシウム、オレイン酸アルミニウム等)、ワックス[パラフィンワックス、ポリオレフ
ィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポ
リエチレンワックス等)等]およびシリコーン(例えばジメチルシリコーンオイル、アル
キル変性シリコーンオイルおよびフルオロシリコーンオイル)等が挙げられる。
(D8)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常5%以下、好ましくは
0.01〜2%である。
【0048】
(D9)としては、ヒンダードフェノール化合物〔トリエチレングリコール−ビス−[
3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,
6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル
)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネー
トジエチルエステル〕およびアミン化合物(n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエ
チルアミノメチルメタクリレート等)が挙げられる。
(D9)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは
0.005〜2%である。
【0049】
(D10)としては、ベンゾトリアゾール化合物[2−(5−メチル−2−ヒドロキシ
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等]、トリアジン化合物〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,
5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール〕、ベンゾフェ
ノン(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等)、シュウ酸アニリド
化合物(2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリド等)が挙げられる。
(D10)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましく
は0.005〜2%である。
【0050】
上記(D1)〜(D10)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が
該当する添加効果を奏する量を他の添加剤としての効果に関わりなく使用するのではなく
、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を
調整するものとする。
【0051】
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、さらに熱硬化触媒お
よび/または光重合開始剤を含有させることができる。熱硬化触媒および/または光重合
開始剤を加えたものは、電子線以外に熱および/または紫外線でも硬化させることができ
、耐薬品性および耐擦傷性に優れた硬化物を得ることができる。熱により硬化させる場合
は、通常50〜200℃、好ましくは80〜180℃のオーブンで1分〜20時間加熱処
理することが望ましい。紫外線により硬化する場合の紫外線の照射量は、通常10〜10
,000mJ/cm2である。
【0052】
熱硬化触媒としては、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパー
オキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等)およびアゾ化合物(アゾビスイソブチロ
ニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル等)等が挙げられる。これらのうち組成物の
安定性、反応性の観点から好ましいのはt−ブチルパーオキシベンゾエートおよびメチル
エチルケトンパーオキシドである。
【0053】
光重合開始剤としては、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−
1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベン
ゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメー
ト等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベ
ンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニ
ルホスフィンオキシド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらのうち硬
化物の着色防止の観点から好ましいのは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロ
パン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび1,3,5−トリ
メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである。
【0054】
熱硬化触媒および光重合開始剤の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、それ
ぞれ通常20%以下、好ましくは0.1〜10%である。
【0055】
本発明の組成物は、塗工の際に、塗工に適した粘度に調整するために、必要に応じて溶
剤で希釈した塗料とすることができる。溶剤の使用量は、該組成物の重量に基づいて通常
2,000%以下、好ましくは10〜500%である。また、塗料の粘度は、使用時の温
度(通常5〜60℃)で、通常5〜500,000mPa・s、安定塗工の観点から好ま
しくは50〜10,000mPa・sである。
【0056】
該溶剤としては、本発明の組成物中の樹脂分を溶解するものであれば特に限定されない
。具体的には、芳香族炭化水素(C7〜10、例えばトルエン、キシレンおよびエチルベ
ンゼン)、エステルまたはエーテルエステル(C4〜10、例えば酢酸エチル、酢酸ブチ
ルおよびメトキシブチルアセテート)、エーテル(C4〜10、例えばジエチルエーテル
、テトラヒドロフラン、EGのモノエチルエーテル、EGのモノブチルエーテル、PGの
モノメチルエーテルおよびDEGのモノエチルエーテル)、ケトン(C3〜10、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンおよび
シクロヘキサノン)、アルコール(C1〜10、例えばメタノール、エタノール、n−お
よびi−プロパノール、n−、i−、sec−およびt−ブタノール、2−エチルヘキシ
ルアルコールおよびベンジルアルコール)、アミド(C3〜6、例えばジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、スルホキシド(C2〜4、例
えばジメチルスルホキシド)、水、およびこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
これらの溶剤のうち好ましいのは沸点が70〜100℃のエステル、ケトンおよびアル
コール、さらに好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトン、i−プロパノールおよび
これらの混合物である。
【0057】
本発明の組成物は、必要により溶剤で希釈して、基材の少なくとも片面の少なくとも一
部に塗布し、必要により乾燥させた後、活性エネルギー線(紫外線、電子線、X線等)を
照射して硬化させることにより基材の表面および/または裏面の少なくとも一部に硬化物
を有する被覆物を得ることができる。
該塗工に際しては、通常用いられる装置、例えば塗工機[バーコーター、グラビアコー
ター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エア
ナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等]が使用できる。塗工膜厚は、硬
化乾燥後の膜厚として、通常0.5〜300μm、乾燥性、硬化性の観点から好ましい上
限は250μm、耐摩耗性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から好ましい下限は1μmである

【0058】
本発明の組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、塗工後に乾燥するのが好ましい。乾
燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、通常10
〜200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から好ましい上限は150℃、乾燥速度の観
点から好ましい下限は30℃である。
【0059】
本発明の組成物を紫外線照射で硬化させるに際しては、公知の紫外線照射装置[例えば
アイグランデージ、アイグラフィック(株)製]を使用することができる。紫外線の照射
量は、通常10〜10,000mJ/cm2、硬化物の可撓性の観点から好ましい上限は
、5,000J/cm2、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は、100mJ/cm2
である。
【0060】
本発明の組成物を電子線照射で硬化させるに際しては、公知の電子線照射装置[例えば
エレクトロンビーム、岩崎電気(株)製]を使用することができる。電子線の照射量は、
通常0.5〜20Mrad、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は1Mrad、硬化
物の可撓性、並びに硬化物(コーティング膜)または基材の損傷を避けるとの観点から、
好ましい上限は、15Mradである。
【0061】
本発明の組成物は、通常、活性エネルギー線(紫外線、電子線、X線等)により硬化さ
せるが、必要により熱硬化触媒を含有させた場合は熱で硬化させることができる。
【0062】
本発明の組成物は、基材等のコーティング剤、接着剤、シーリング材などとして使用す
ることができる。適用される基材としては、特に限定はされないが、例えば紙、プラスチ
ック、ガラスおよび金属が挙げられる。具体的には、紙(例えば薄葉紙、紙間強化紙、チ
タン紙、ラテックス含浸紙および石膏ボード用原紙)、プラスチック[プラスチックフィ
ルム(塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリメチルメタクリレート等の
フィルム)、プラスチック板(ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびメチ
ルメタクリレート/スチレン共重合物等の板)等]、ガラス板、銅板、鉄板等が挙げられ
る。
【0063】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定される
ものではない。
【0064】
実施例1
撹拌機、冷却管および温度計を備えた四つ口フラスコにペンタエリスリトールトリアク
リレート[商品名:ライトアクリレートPE−3A、共栄社化学(株)製]100部、H
DIトリマー[商品名:トロネートHDT−LV、ローディア(株)製]29.8部およ
び有機ビスマス化合物としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘ
キサン酸50%溶液)0.05部を配合し、70℃で8時間反応させ、ウレタンアクリレ
ート組成物(U−1)を得た。
【0065】
実施例2
実施例1と同じ反応装置にPTMG[商品名:PTMG−1000、Mn1,000、
三菱化学(株)製]100部と水添MDI39.3部を配合し、110℃で4時間反応さ
せた後、2−ヒドロキシエチルアクリレート11.6部および有機ビスマス化合物として
ビスマストリ(シクロヘキサンカルボキシレート)(シクロヘキサンカルボン酸20%溶
液)0.03部を加え、80℃で6時間反応させ、ウレタンアクリレート組成物(U−2
)を得た。
【0066】
実施例3
実施例1と同じ反応装置にポリカーボネートジオール[商品名:プラクセルPC−22
0、Mn2,000、ダイセル化学(株)製]100部、IPDI22.2部および2−
ヒドロキシエチルアクリレート11.6部を配合し、有機ビスマス化合物としてビスマス
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3−5−ヘプタンジオネート)0.05部を加
え、80℃で6時間反応させ、ウレタンアクリレート組成物(U−3)を得た。
【0067】
実施例4
実施例1と同じ反応装置にグリセリンのPO付加物[商品名:ニューポールGP−10
00、Mn1,000、三洋化成工業(株)製]100部、HDI50.4部および2−
ヒドロキシエチルアクリレート34.8部を配合し、有機ビスマス化合物としてビスマス
トリブトキシド0.03部を加え、70℃で12時間反応させ、本発明のウレタンアクリ
レート組成物(U−4)を得た。
【0068】
比較例1
実施例1において、ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン
酸50%溶液)に代えてテトラメチルエチレンジアミン0.05部を使用する以外は実施
例1と同様の配合組成で70℃で反応を行ったところ、2時間目にゲル化が起こり、ウレ
タンアクリレート組成物(U−5)は得られなかった。
【0069】
比較例2
実施例2において、ビスマストリ(シクロヘキサンカルボキシレート)(シクロヘキサ
ンカルボン酸20%溶液)に代えてジブチルチンジラウレート0.02部を使用する以外
は実施例2と同様の配合組成で70℃で4時間反応させ、ウレタンアクリレート組成物(
U−6)を得た。
比較例3
実施例2において、ビスマストリ(シクロヘキサンカルボキシレート)(シクロヘキサ
ンカルボン酸20%溶液)に代えてチタニウムテトラブトキシド0.3部を使用する以外
は実施例2と同様の配合組成で80℃で48時間反応させ、ウレタンアクリレート組成物
(U−7)を得た。
【0070】
(U−1)〜(U−4)および(U−6)〜(U−7)のNCO%、Mn、粘度、色数
(ハーゼン)を表1に示す。
また、次の条件で保管後の粘度および色数の結果についても表1に示す。
[保管条件]
温度×期間:恒温槽内暗所40℃×3ヶ月
容器 :内径7.4cm、高さ8.8cm、容量220mlの密閉フタ付き円筒型
褐色ガラス容器
サンプル量:200ml
【0071】
(U−1)〜(U−4)、(U−6)〜(U−7)の各ウレタンアクリレート組成物1
00部にイソボルニルアクリレート50部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン3部およびメチルエチルケトン50部を配合した。次に、ポリカーボ
ネート板(厚さ5mm)上にバーコーターで、乾燥後の厚さが約5μmになるように塗工
し、ドライヤーで乾燥させた後、1,000mJ/cm2のUVを照射し、硬化させた。
得られた硬化物を測色計〔多光源分光測色計[スガ試験機(株)製]〕でイエローインデ
ックス(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の組成物を硬化させてなる硬化物は、耐光性、透明性および非着色性に優れるこ
とから、透明性および非着色性が要求される用途[コーティング剤、接着剤、シーリング
材、光学部材(前記のもの)、電気・電子部材(前記のもの)等]として幅広く用いられ
る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)と有機ビスマス化合物(B)からなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物。
【請求項2】
(A)が、水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)からなるポリオール成分(a)と、ポリイソシアネート成分(b)から形成されるウレタン(メタ)アクリレートである請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(b)が脂肪族または脂環式ポリイソシアネートである請求項2記載
の組成物。
【請求項4】
さらに、その他のポリオール(a2)を(a)に含有させてなる請求
項2または3記載の組成物。
【請求項5】
(a2)が、ポリエーテルおよび/またはポリエステルポリオールで
ある請求項4記載の組成物。
【請求項6】
(B)が有機ビスマスカルボキシレート、有機ビスマスアルコキシド
および有機ビスマスとジカルボニル基を有する化合物とのキレート化物からなる群から選
ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか記載の組成物。
【請求項7】
(A)の重量に基づく(B)の割合が0.001〜0.5%である請
求項1〜5のいずれか記載の組成物。
【請求項8】
さらに、有機酸(c)を含有させてなる請求項1〜6のいずれか記載
の組成物。
【請求項9】
(A)の重量に基づく(c)の割合が0.001〜10%である請求
項8記載の組成物。
【請求項10】
(B)と(c)の重量比が0.001/1〜9/1である請求項8
または9記載の組成物。
【請求項11】
さらに、(A)以外のその他の(メタ)アクリレート(X)を含有
させてなる請求項1〜10のいずれか記載の組成物。
【請求項12】
さらに、熱硬化触媒および/または光重合開始剤を含有させてなる
請求項1〜11のいずれか記載の組成物。
【請求項13】
請求項2〜12のいずれか記載の組成物の製造方法において、水酸
基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)からなるポリオール成分(a)とポ
リイソシアネート成分(b)を、有機ビスマス化合物(B)の存在下40〜100℃でウ
レタン化反応させるか、もしくは(a)と(b)を(B)の非存在下で部分的に反応させ
た後、(B)の存在下40〜100℃でウレタン化反応させることを特徴とする活性エネ
ルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか記載の組成物からなるコーティング剤、
接着剤またはシーリング材。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか記載の組成物を硬化させてなる硬化物。
【請求項16】
請求項15記載の硬化物からなる光学部材または電気・電子部材。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれか記載の組成物を基材の少なくとも片面の
少なくとも一部に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする硬化
物の製造方法。

【公開番号】特開2006−57025(P2006−57025A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241615(P2004−241615)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】