説明

流体供給装置

【課題】ガス容器の交換等の際に、作業者が手順を間違えて操作を行った場合であっても、高圧ガスの大量流出を確実に防止して、甚大なトラブルを回避する。
【解決手段】高圧排気弁5は、第2空気圧ライン11内の空気圧が所定値以上の場合に開状態となる。インターロック手段2は、誤操作防止用治具1が開状態となると、第2空気圧ライン11を遮断すると共に、その遮断点の下流の圧力を解放することにより、空気圧を所定値未満にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場等においては、その製造工程で毒性を有する等の危険を伴うガスを使用しており、通常、そのガスはシリンダー等の容器に充填されている。また、そのガス容器は、そのガスが漏洩した場合に備えてシリンダーキャビネットに収納されている。そして、そのガスは、ステンレス鋼製配管等により半導体製造装置に送られ、使用される。
【0003】
ここで、容器(シリンダー)を収納するそのシリンダーキャビネットにおいては、容器からのガスの供給するタイミング、経路のパージ、排気、プロセスへのガス供給等が自動制御されており、運転中においては、作業員のミスに起因するガス流出等のトラブルは発生する余地がない。
【0004】
一方、容器をシリンダーキャビネットに取り付けたり、また、シリンダーキャビネットから取り外したりする作業は、作業者が所定の手順(工程)に従って実施している。ここで、そのときの作業員の誤操作を防止する手段としては、作業手順等が表示されるモニター等を備えた誤操作防止システムを採用していた。また、作業者は、通常、その表示を確認しながら、各経路の複数の弁の開閉操作を行った後、容器の弁の開閉を行って容器交換を行うが、そのとき、容器の弁の開閉の誤操作を防止すべく、弁を覆う誤操作防止治具を設けていた。
【0005】
図5は、かかる誤操作防止治具を採用した従来のガス供給装置の一例を示す系統図である。同図において、計装空気が導入される導入ライン9は、第1空気圧ライン10と第2空気圧ライン(高圧排気弁作動用計装ライン)11Aとに分岐している。第1空気圧ライン10及び第2空気圧ライン11Aの上流側には、それぞれ第1電磁駆動弁6及び第2電磁駆動弁7が設けられており、それらはシリンダーキャビネット制御盤8を介して操作又は制御できるようになっている。
【0006】
一方、上記のようなガスが充填された容器3から排出されたガスは、ガスライン12に導入されるように構成されており、そのガスライン12は、高圧プロセス導入弁(三方弁)4の一方に導入されるようになっている。高圧プロセス導入弁4の他の二方は、プロセス側ライン13と排気用ライン14に接続されている。また、排気用ライン14の途中には、高圧排気弁5が設けられている。
【0007】
第1電磁駆動弁6の調節/制御により、第1空気圧ライン10内の空気圧が調整されるが、その空気圧が高圧プロセス導入弁4の開閉の制御源となっている。具体的には、当該空気圧が所定値以上のときには、高圧プロセス導入弁4において、ガスライン12からプロセス側ライン13への流路が形成され、そのときは、容器3から排出されたガスが、プロセス側に送出される構成となっている。一方、当該空気圧が所定値未満のときには、プロセス側ライン13から排気用ライン14への流路が形成されるようになっている。そこで、第2電磁駆動弁7の調節/制御により、第2空気圧ライン11A内の空気圧が調整されるが、その空気圧が高圧排気弁5の開閉の制御源となっている。具体的には、当該空気圧が所定値以上のときには、高圧排気弁5が開放され、上述の第1電磁駆動弁6の制御と相まって、利用後の不要なガスが、排気用ライン14の下流に設けられた除害装置に送られる構成となっている。
【0008】
また、前述のように、容器3の弁3aは、誤操作防止治具1で覆われており、容器3の交換時においても、作業者が正しい手順に従えば、高圧排気弁5と容器3の弁3aとが同時に開放されることはないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−270784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述のように容器3の弁3aを覆う誤操作防止治具1が設けられていても、作業者が手順を誤り、その誤操作防止治具1を外し、開けてはならない工程(例えば、除害装置へとつながる経路に設けられた高圧排気弁5が開状態のとき)で容器3の弁3aを開けてしまえば、容器3内の高圧ガスが排気用ライン14に大量流出し、更に排気用ライン14の下流に設置してある除害装置に大量流入し、除害剤の処理能力を超えて未処理のまま排気されると、排気ダクト内の空気と反応し、発火・爆発事故を招く可能性があった。つまり、いわゆるフェイルセーフ機能が備わっていなかった。
【0011】
かかる観点において、例えば特許文献1も同様の誤操作防止用キャップを開示しているが、この場合も、作業者が任意に取外すことが可能であり、手順(工程)の間違い等のヒューマンエラーにより、場合によっては重大事故を引き起こす可能性がある。
【0012】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、流体容器の交換等の際に、作業者が手順を間違えて操作を行った場合であっても、流体、特に高圧有毒ガスの大量流出を確実に防止して、甚大なトラブルを回避することができる流体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、任意のプロセスに流体を供給するための流体供給装置であって、
流体が充填され、弁の開放により前記流体が流出する容器と、
前記容器から流出した前記流体を排出するための排気用流路と、
前記排気用流路の途中に設けられ、入力される制御信号に基づき、前記排気用流路の開閉を行う排気弁と、
前記容器の弁を覆って閉状態とすることにより、当該弁に対する開閉操作を不能とする治具と、
前記治具が開状態となると、それに応じて前記排気弁が閉状態となるような前記制御信号を生成して前記排気弁に送出するインターロック手段と、を備えることを特徴とする流体供給装置である。
【0014】
請求項2にかかる発明は、前記制御信号は気体の圧力であることを特徴とする請求項1に記載の流体供給装置である。
【0015】
請求項3にかかる発明は、前記排気弁は、前記気体の圧力が所定値以上の場合に開状態となり、
前記インターロック手段は、前記治具が開状態となると、前記気体の圧力を前記所定値未満にして、前記排気弁を閉状態とすることを特徴とする請求項2に記載の流体供給装置である。
【0016】
請求項4にかかる発明は、前記気体を前記排気弁に送る制御用流路を更に備え、
前記インターロック手段は、前記治具が開状態となると、前記制御用流路を遮断すると共に、その遮断点の下流の圧力を解放することにより、前記気体の圧力を前記所定値未満にすることを特徴とする請求項3に記載の流体供給装置である。
【0017】
請求項5にかかる発明は、前記インターロック手段は、
前記制御用流路が貫通すると共に、押下可能なスプールを備え、前記スプールが押下状態のときに前記制御用流路を開通させる一方で、前記スプールが押下から復帰した状態で、前記制御用流路を遮断すると共に前記制御用流路の下流を減圧するように構成され、前記治具に配設された作動弁と、
前記治具が閉状態のときに前記スプールを押下し、前記治具が開状態のときに前記スプールを押下から復帰させるように、前記治具に配設された押圧部材と、を備えることを特徴として請求項4に記載の流体供給装置である。
【0018】
請求項6にかかる発明は、前記下流の圧力が前記所定値以上になったか否かに応じてオン/オフする圧力スイッチと、
前記圧力スイッチのオン/オフに応じて、前記下流の圧力が前記所定値以上になったか否か表示する表示手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の流体供給装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の流体供給装置によれば、流体容器の交換等の際に、作業者が手順を間違えて操作を行った場合であっても、流体の大量流出を確実に防止して、甚大なトラブルを回避することができる。
【0020】
また、排気弁に対する制御信号として気体の圧力を採用すれば、インターロック手段を簡易に構成することができる。また、所定の圧力以上が排気弁にかかったときに、排気弁を開状態となるように構成すれば、確実に排気弁を制御できる。また、治具が開状態となると、制御用流路を遮断すると共に、その遮断点の下流の圧力を解放するようにすれば、確実に排気弁を閉状態にすることができる。更に、圧力スイッチ及び表示手段を設ければ、作業者が容易に弁の状態を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の流体供給装置の一実施形態におけるガス供給装置の系統図である。
【図2】本発明の流体供給装置に適用されるインターロック手段の構成と動作を説明するための図である。
【図3】本発明の流体供給装置に適用されるインターロック手段の構成と動作を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態におけるガス供給装置の変形例の系統図である。
【図5】従来のガス供給装置の一例を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用した流体供給装置の一実施形態であるガス供給装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0023】
図1は、本発明の流体供給装置の一実施形態におけるガス供給装置の系統図である。
同図に示すように、本発明の一実施形態に係るガス供給装置においては、計装空気が導入される導入ライン9は、第1空気圧ライン10と第2空気圧ライン11とに分岐している。第1空気圧ライン10及び第2空気圧ライン11の上流側には、それぞれ第1電磁駆動弁6及び第2電磁駆動弁7が設けられており、それらはシリンダー(容器)キャビネット制御盤8を介して操作又は制御できるようになっている。
【0024】
一方、毒性を有する等の危険を伴うガスが充填された容器3から排出されたガスは、ガスライン12に導入されるように構成されており、そのガスライン12は、高圧プロセス導入弁(三方弁)4の一方に導入されるようになっている。高圧プロセス導入弁4の他の二方は、プロセス側ライン13と排気用ライン14に接続されている。また、排気用ライン14の途中には、高圧排気弁5が設けられている。
【0025】
第1電磁駆動弁6の調節/制御により、第1空気圧ライン10内の空気圧が調整されるが、その空気圧が高圧プロセス導入弁4の開閉の制御源となっている。具体的には、当該空気圧が所定値以上のときには、高圧プロセス導入弁4において、ガスライン12からプロセス側ライン13への流路が形成され、そのときは、容器3から排出されたガスが、プロセス側に送出される構成となっている。一方、当該空気圧が所定値未満のときには、プロセス側ライン13から排気用ライン14への流路が形成されるようになっている。
【0026】
一方、高圧排気弁5の開閉は、第2空気圧ライン11内の空気圧によるが、当該空気圧は、容器3の弁3aに誤操作防止治具1が取り付けられている状態、すなわち通常運転状態においては、第2電磁駆動弁7により調節/制御されるようになっている。具体的には、第2電磁駆動弁7により当該空気圧が所定値以上になったとき、高圧排気弁5が開放されるようになっている。
【0027】
したがって、第1電磁駆動弁6及び第2電磁駆動弁7の調節/制御により、容器3からガスがプロセス側に供給されている間は、高圧排気弁5は閉じられて、ガスが除害装置へ排出されるのが阻止されている。一方、排気工程においては、プロセスからガスが高圧排気弁5を介して除害装置に向けて排出される。
【0028】
加えて、本発明の一実施形態のガス供給装置においては、上述の通常運転のための構成に、更に、容器3の交換時における作業者の誤操作を完全に防止するための手段が設けられている。すなわち、作業者の容器3の交換時に、容器3の弁3aと、高圧排気弁5が同時に開状態となって、容器3からの大量のガスが除害装置側へ流れてしまう事態を防止するための手段である。
【0029】
図1に示した本発明の一実施形態のガス供給装置においては、作業者の容器3の交換時に、容器3の弁3aと、高圧排気弁5が同時に開状態となってしまう事態を防止するために、第2空気圧ライン11の途中に、誤操作防止治具1の開閉に連動して動作するインターロック手段2を設けている。
【0030】
図2及び図3は、インターロック手段2の構成と動作を説明するための図であり、特に、図2は、誤操作防止治具1が閉じている状態を示しており、図3は、それが開いている状態を示している。
【0031】
本発明の一実施形態におけるインターロック手段2は、空気圧により作動する弁(以下、「空気圧作動弁」という)2aと、押圧部材2bとから構成されている。空気圧作動弁2aは、第2空気圧ライン11の途中に介在するものであると共に、押込み可能なスプール2a−1を備えている。なお、そのスプール2a−1は、押圧力が加わると押し込まれる一方で、その押圧力が解除されると自動的に復帰するように、押圧状態で、ばね等により付勢された状態となる。
【0032】
ここで、図2(b)及び図3(b)を参照して、空気圧作動弁2aにおける、スプール2a−1の押下と、第2空気圧ライン11の流路の遮断との関係について説明する。すなわち、図2(b)に示すように、スプール2a−1が押下されている状態においては、空気圧作動弁2a内において、ポートPとポートAとが通じる流路が形成される。
【0033】
一方、図3(b)に示すように、スプール2a−1が復帰した状態においては、ポートPからポートAへの流路は遮断されると共に、ポートAは、排気ポートEと通じるようになっている。従って、この場合、ポートAに第2空気圧ライン11の下流側を接続し、ポートPに第2空気圧ライン11の上流側を接続する。
【0034】
かかる構成により、空気圧作動弁2a内の流路の遮断状態においては、第2空気圧ライン11の上流側の圧力の下流側への伝達が遮断され、かつ、第2空気圧ライン11の下流側の空気が排気ポートEを介して排出され、その下流側の圧力が減圧される結果となる。
【0035】
次に、上述のような機能を有する空気圧作動弁2aと、押圧部材2bの、誤操作防止治具1への取り付けについて説明する。つまり、図2(a)に示すように、誤操作防止治具1が閉じられた状態においては、押圧部材2bが空気圧作動弁2aのスプール2a−1を押下し続ける状態を維持し、一方、図3(a)に示すように、誤操作防止治具1が開いた状態においては、空気圧作動弁2aのスプール2a−1が、押圧部材2bによる押圧から解放され、復帰するような物理的位置関係で、空気圧作動弁2a及び押圧部材2bを、誤操作防止治具1へ取り付ける。なお、誤操作防止治具1の閉状態においては、ロックピン1aにより、振動、衝撃による開放や不注意による開放を防止することができるようになっている。
【0036】
誤操作防止治具1の開閉(容器3の弁3aの開閉)と、空気圧作動弁2aの流路の開通/遮断(スプール2a−1を押下状態)と、高圧排気弁5の開閉の関係をまとめて表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
すなわち、まず、誤操作防止治具1が閉じた状態、すなわち容器3の弁3aを開くことができない状態においては、押圧部材2bがスプール2a−1を押下しており、空気圧作動弁2aの流路は開通状態となっている。従って、第2空気圧ライン11の上流から所定値以上の高圧の空気が供給されていれば、その圧力は高圧排気弁5に伝達されて当該弁は開状態となる。
【0039】
一方、誤操作防止治具1が開いた状態、すなわち容器3の弁3aを開くことができる状態においては、押圧部材2bはスプール2a−1を押下しておらず、それによりスプール2a−1は復帰しており、空気圧作動弁2aの流路は遮断状態となっている。従って、第2空気圧ライン11の上流から所定値以上の高圧の空気が供給されていたとしても、その圧力の下流側への伝達が遮断され、かつ、第2空気圧ライン11の下流側の空気が空気圧作動弁2aの排気ポートEを介して排出され、その下流側の圧力が減圧されるので、高圧排気弁5は、強制的に閉状態となる。
【0040】
これにより、第2空気圧ライン11の空気圧が所定値以上であって高圧排気弁5が開いている状態で、作業者により誤って誤操作防止治具1が取り外されて容器3の弁3aが開放されても、それと同時に強制的に高圧排気弁5が遮断状態となる。
【0041】
以上のように、本発明の流体供給装置の一実施形態におけるガス供給装置によれば、作業者の誤操作があっても、容器3の弁3aと、高圧排気弁5とが同時に開状態となることがないので、排気側ライン14を介して、大量のガスが除害装置側へ流出することを防止できる。
【0042】
なお、本発明の一実施形態のガス供給装置においては、上述のように、容器3内のガスの供給を制御する弁に対する制御信号として、空気圧を採用することが好適であり、その場合、特に可燃性ガス設備への使用時の防爆使用を考慮しなくてもよい、という利点がある。加えて、制御信号として、電気信号を採用する場合には電気回路の大幅な改造を伴うが、このように計装空気の圧力に係る信号を採用しているので、本発明のインターロック手段は簡易なものとすることができる。但し、必ずしも計装空気である必要はなく、不活性ガスであってもよい。
【0043】
次に、本発明の実施形態におけるガス供給装置の変形例について説明する。図4は、本発明の実施形態におけるガス供給装置の変形例の系統図である。なお、図4中において、図1に示した基本実施形態と同一構成部分については、同符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図1に示した基本実施形態の構成と異なる点は、第2空気圧ライン11におけるインターロック手段2の下流側の途中において、第2空気圧ライン11の圧力を検出すると共に、検出圧力が所定の閾値を越えるか否でオン/オフする圧力スイッチ15と、その圧力スイッチ15のオン/オフに応じて、点滅(明滅)するランプ16とが、付加的に設けられている点である。
【0045】
かかる構成によれば、高圧排気弁5の制御源たる第2空気圧ライン11の空気圧の高低をランプ16の点滅で表示しているので、目視的にも弁類の開閉状態を確認することが可能となり、より確実に誤操作を防止することができる。なお、この変形例においては、ランプ16を採用したが、液晶等の表示装置であってもよい。更に、このようにランプや表示装置を加えることによる目視可能という利点を鑑みれば、その場合には、制御信号が空気圧でなく、電気回路による電気信号を採用し、使用部品に対する防爆仕様を施したとしても顕著な効果が得られる。
【0046】
なお、以上の本発明の一実施形態及びその変形例の説明においては、インターロック手段を、空気圧作動弁2aと押圧部材2bの組み合わせで具現化したが、これに限られることはなく、誤操作防止治具1の開状態と、高圧排気弁5の開状態とを同時に成立させないような手段は、各種機械的機構又は電気的手段により具現化できる。例えば、スプール2a−1の代わりに、その部分に光センサを備えると共に、押圧部材2bをそのまま採用し、光センサにより押圧部材2bまでの距離を検出するようにすれば、誤操作防止治具1の開閉状態を検出することができる。
【0047】
特に、前述のように、弁に対する制御信号として空気圧を採用していれば、誤操作防止治具1に大幅な改造を加えることなく、比較的簡単な方法で、インターロック手段を構成することができる。
【0048】
また、上述に実施形態においては、毒性を有する等の危険を伴うガスを任意のプロセスに供給する場合を説明したが、必ずしもガスに限定されることはなく、液体でもよく、更に何らかの流体であれば適用できる。
【0049】
更に、上述の第2空気圧ライン11に相当するラインが複数本存在するシステムの場合には、誤操作防止治具1に対して、対応する複数のインターロック手段を設けることにより、同様に対処できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の流体供給装置は、あらゆる流体の供給装置に採用可能であるが、とりわけ毒性を有する等の危険を伴うガスの供給装置に有用である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・誤操作防止治具
2・・・インターロック手段
2a・・・空気圧作動弁
2b・・・押圧部材
3・・・容器
3a・・・弁
4・・・高圧プロセス導入弁
5・・・高圧排気弁
6・・・第1電磁駆動弁
7・・・第2電磁駆動弁
8・・・シリンダーキャビネット制御盤
9・・・導入ライン
10・・・第1空気圧ライン
11,11A・・・第2空気圧ライン
12・・・ガスライン
13・・・プロセス側ライン
14・・・排気用ライン
15・・・圧力スイッチ
16・・・ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のプロセスに流体を供給するための流体供給装置であって、
流体が充填され、弁の開放により前記流体が流出する容器と、
前記容器から流出した前記流体を排出するための排気用流路と、
前記排気用流路の途中に設けられ、入力される制御信号に基づき、前記排気用流路の開閉を行う排気弁と、
前記容器の弁を覆って閉状態とすることにより、当該弁に対する開閉操作を不能とする治具と、
前記治具が開状態となると、それに応じて前記排気弁が閉状態となるような前記制御信号を生成して前記排気弁に送出するインターロック手段と、を備えることを特徴とする流体供給装置。
【請求項2】
前記制御信号は気体の圧力であることを特徴とする請求項1に記載の流体供給装置。
【請求項3】
前記排気弁は、前記気体の圧力が所定値以上の場合に開状態となり、
前記インターロック手段は、前記治具が開状態となると、前記気体の圧力を前記所定値未満にして、前記排気弁を閉状態とすることを特徴とする請求項2に記載の流体供給装置。
【請求項4】
前記気体を前記排気弁に送る制御用流路を更に備え、
前記インターロック手段は、前記治具が開状態となると、前記制御用流路を遮断すると共に、その遮断点の下流の圧力を解放することにより、前記気体の圧力を前記所定値未満にすることを特徴とする請求項3に記載の流体供給装置。
【請求項5】
前記インターロック手段は、
前記制御用流路が貫通すると共に、押下可能なスプールを備え、前記スプールが押下状態のときに前記制御用流路を開通させる一方で、前記スプールが押下から復帰した状態で、前記制御用流路を遮断すると共に前記制御用流路の下流を減圧するように構成され、前記治具に配設された作動弁と、
前記治具が閉状態のときに前記スプールを押下し、前記治具が開状態のときに前記スプールを押下から復帰させるように、前記治具に配設された押圧部材と、を備えることを特徴として請求項4に記載の流体供給装置。
【請求項6】
前記下流の圧力が前記所定値以上になったか否かに応じてオン/オフする圧力スイッチと、
前記圧力スイッチのオン/オフに応じて、前記下流の圧力が前記所定値以上になったか否か表示する表示手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の流体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−53721(P2013−53721A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193815(P2011−193815)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【出願人】(593027967)大陽日酸エンジニアリング株式会社 (14)
【Fターム(参考)】