説明

流体供給量推定装置および燃料電池システム

【課題】燃料電池システムにおいて、簡易に燃料電池システムの全運転モードで送出流体の流量を精度よく推定することを目的とする。
【解決手段】流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、
流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力と、流体送出装置の駆動量と、該吐出圧力および該駆動量に応じて前記流体送出装置から吐出される流体の吐出流量との関係を表す流量推定マップMを記憶部に記憶し、検出された駆動量および検出された吐出圧力に応じて流量推定マップMから求められた流体の吐出流量に基いて流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量estflux1を求める推定送出量導出手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの流量計測に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料電池システムとして特許文献1に示されているものが知られている。図3に示すように特許文献1の燃料電池システムは、流体送出のための制御装置に大型で高価な流量計を設けることなく、精度よく送出流体の流量計測が行なえるようになっている。流量計測のために流体周辺の温度を検知する温度検知手段(温度センサ)と、流体の圧力を検知する圧力検知手段(圧力センサ)と、流体を送出するためのポンプの駆動量を検知する駆動量検知手段(回転数センサ)が備えられ、検知された周辺温度と吐出圧力と駆動量が流量推定ロジック部32に入力され、周辺温度と吐出圧力と駆動量を変数とする予め記憶される流量計算式により流量計算が行なわれて、精度よく流量値が推定できるようになっている。また、このとき流量推定ロジック部32の流量計算式は、より精度よく流量値を得るため、通路抵抗の違いを考慮して暖機モード用と発電モード用の2種類が準備されており、2種類の流量計算式の切替えは燃料電池スタックおよび改質ガス流路にそれぞれ設けられた各温度検知手段(温度センサ)の計測値に基いて行なわれている。
【特許文献1】特開2008−4414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した特許文献1に記載の燃料電池システムにおいては、2種類の流量計算式を燃料電池システムの運転モードによって切替え、温度検知手段、圧力検知手段および駆動量検知手段によって検出された検出結果を選択された流量計算式に入力することによって流量を精度よく演算することができる。しかし、運転モードの判定に使用される燃料電池スタックおよび改質ガス流路にそれぞれ設けられた各温度検知手段のうちいずれかが故障した場合には、運転モードの判定ができず適切な流量計算式の選択が困難となるため流量を精度よく演算することができないおそれがあった。
【0004】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、燃料電池システムにおいて、運転モード判定用の燃料電池スタックおよび改質ガス流路にそれぞれ設けられた各温度検知手段がなくても、簡易に燃料電池システムの全運転モードで送出流体の流量を精度よく推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、運転状態に応じて流体の流路抵抗が変更される装置に接続された流体送出装置から該装置に供給される前記流体の流量を推定する流体供給量推定装置において、前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、前記流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力と、前記流体送出装置の駆動量と、該吐出圧力および該駆動量に応じて前記流体送出装置から吐出される流体の吐出流量との関係を表す流量推定マップを記憶部に記憶し、前記検出された駆動量および前記検出された吐出圧力に応じて前記流量推定マップから求められた前記流体の吐出流量に基いて前記流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求める推定送出量導出手段と、を備えたことである。
【0006】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記流体送出装置から吐出された流体の吐出温度を検出する吐出温度検出手段を備え、前記推定送出量導出手段は、前記流量推定マップから求められた前記流体の吐出流量を、前記検出された吐出温度により補正して前記流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求めることである。
【0007】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、運転状態に応じて流体の流路抵抗が変更される装置に接続された流体送出装置から該装置に供給される前記流体の流量を推定する流体供給量推定装置において、前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、前記流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、運転状態に応じて変更される流体の流路抵抗による圧損値が限界値となる場合における前記流体送出装置から吐出される流体の限界吐出圧力と前記流体送出装置の駆動量との関係を表す限界圧損マップを前記記憶部に記憶し、前記検出された駆動量に対応する限界吐出圧力を前記限界圧損マップから求め、前記検出された吐出圧力が前記限界吐出圧力を超えると消耗品交換信号を送出することである。
【0008】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池と、改質用燃料および改質水が供給され、その供給された改質用燃料を改質することにより水素を含む前記燃料ガスを生成する改質器と、を含む燃料電池システムであって、暖機運転および定常運転に応じて流体送出装置から供給される流体の流路抵抗が変更される燃料電池システムにおいて、前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、前記流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力と、前記流体送出装置の駆動量と、該吐出圧力および該駆動量に応じて前記流体送出装置から吐出される流体の吐出流量との関係を表す流量推定マップを記憶部に記憶し、前記検出された駆動量および前記検出された吐出圧力に応じて前記流量推定マップから求められた前記流体の吐出流量に基いて前記流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求める推定送出量導出手段と、を備えたことである。
【0009】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項4において、前記流体送出装置から吐出された流体の吐出温度を検出する吐出温度検出手段を備え、前記推定送出量導出手段は、前記流量推定マップから求められた前記流体の吐出流量を、前記検出された吐出温度により補正して前記流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求めることである。
【0010】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項5において前記流量推定マップから求められた前記吐出流量と、前記吐出温度検出手段によって検出された前記吐出温度と、前記流量推定マップの作成時の環境温度Aとを変数として構成され、前記温度補正後の推定送出流量を算出する温度補正関数は下記(数1)式によってなることである。
【0011】
(数1)

【0012】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池と、改質用燃料および改質水が供給され、その供給された改質用燃料を改質することにより水素を含む前記燃料ガスを生成する改質器と、を含む燃料電池システムであって、暖機運転および定常運転に応じて流体送出装置から供給される流体の流路抵抗が変更される燃料電池システムにおいて、前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、前記流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記暖機運転状態および前記定常運転状態に応じて変更される流体の流路抵抗による圧損値が限界値となる場合における前記流体送出装置から吐出される流体の限界吐出圧力と前記流体送出装置の駆動量との関係を表す限界圧損マップを前記記憶部に記憶し、前記検出された駆動量に対応する限界吐出圧力を前記限界圧損マップから求め、前記検出された吐出圧力が前記限界吐出圧力を超えると消耗品交換信号を送出することである。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、流体送出装置で送出される吐出流量の推定は、流体送出装置の吐出圧力と、流体送出装置の駆動量と、予め測定され記憶部に記憶された、流体送出装置の吐出圧力と駆動量との関係を表す流量推定マップに基づき精度よく導出される。これにより、高価で大型な流量計を設ける必要がなくなり、コスト低減が図れるとともに、省スペースも図ることができる。
【0014】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1において、流体送出装置から吐出された流体の吐出温度を検出する吐出温度検出手段を備え、推定送出量導出手段は、流量推定マップから求められた流体の吐出流量を、検出された吐出温度により補正して流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求めるものである。これにより、請求項1における効果に加え推定流量はさらに精度よく導出される。
【0015】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、運転状態に応じて変更される流体の流路抵抗による圧損値が限界値となる場合における流体送出装置から吐出される流体の限界吐出圧力と流体送出装置の駆動量との関係を表す限界圧損マップを記憶部に記憶し、検出された駆動量に対応する限界吐出圧力を限界圧損マップから求め、検出された吐出圧力が限界吐出圧力を超えると消耗品交換信号が送出される。これにより、運転者は劣化確認のため分解検査を実施する必要がないため、時間の節約ができる。また運転者は目視で劣化の確認ができるため経路が劣化したまま運転し続けるおそれが減り、信頼性が高く効率的な運転を行なうことができる。
【0016】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、燃料電池システムにおいて、流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力と、流体送出装置の駆動量と、該吐出圧力および該駆動量に応じて流体送出装置から吐出される流体の吐出流量との関係を表す流量推定マップを記憶部に記憶し、検出された駆動量および前記検出された吐出圧力に応じて流量推定マップから求められた流体の吐出流量に基いて流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求める推定送出量導出手段と、を備えている。これにより、高価で大型な流量計を設ける必要がなくなり、コスト低減が図れるとともに、省スペースも図ることができる。また、流量推定マップを使用することにより運転状態(運転モード)に関らず吐出流量の推定が精度よく行なえるために、従来技術において必要であった各運転状態毎に用意された流量計算式を選択する必要がない。したがって対応する流量計算式を選択するために利用されていたスタックおよび改質燃料に対する温度検知手段(センサ)が不要になり、信頼性が向上される。さらに運転モード判定用の各温度検知手段を使用しないためデータ保存のためのメモリ容量を減らすことができ、コストの低減が可能となる。
【0017】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項4において、流体送出装置から吐出された流体の吐出温度を検出する吐出温度検出手段を備え、推定送出量導出手段は、流量推定マップから求められた流体の吐出流量を、検出された吐出温度により補正して流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求める。よって運転状態(運転モード)に関らず吐出流量の推定がより一層精度よく行なえ、従来技術においては必要であった各運転状態毎に用意された流量計算式を選択する必要がない。したがってそれぞれの運転モードに対応する流量計算式を選択するために利用されていたスタックおよび改質燃料に対する各温度検知手段(センサ)が不要になり、信頼性が向上される。さらに運転モード判定用の各温度検知手段を使用しないためデータ保存のためのメモリ容量を減らすことができるためコストの低減が可能となる。
【0018】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項5において、流量推定マップから求められた吐出流量と吐出温度検出手段によって検出された吐出温度と、流量推定マップ作成時の環境温度Aとを変数として構成され、推定送出流量を算出する温度補正関数は下記(数1)式によってなる。(数1)式によって、精度よく温度補正の換算ができることが確認されており、これにより、短時間で精度よく温度補正が可能となるとともに、制御の負荷が低減できる。
【0019】
(数1)

【0020】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、燃料電池システムにおいて、暖機運転状態および定常運転状態に応じて変更される流体の流路抵抗による圧損値が限界値となる場合における流体送出装置から吐出される流体の限界吐出圧力と流体送出装置の駆動量との関係を表す限界圧損マップを記憶部に記憶し、検出された駆動量に対応する限界吐出圧力を限界圧損マップから求め、検出された吐出圧力が限界吐出圧力を超えると消耗品交換信号を送出する。これにより運転者は劣化確認のため分解検査を実施する必要がないため、時間の節約ができる。また運転者は目視で劣化の確認ができるため経路が劣化したまま運転し続けるおそれが減り、信頼性が高く効率的な運転を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明による燃料電池システムの第1の実施形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは燃料電池10とこの燃料電池10に必要な水素ガスを含む燃料ガスである改質ガスを生成する改質器20を備えている。
【0022】
燃料電池10は、燃料極11と酸化剤極である空気極12と両極11,12間に介在された電解質13を備えており、燃料極11に供給された改質ガスおよび空気極12に供給された酸化剤ガスである空気(カソードエア)を用いて発電するものである。なお、酸化剤ガスは、空気の代わりに空気の酸素富化したガスを供給するようにしてもよい。
【0023】
改質器20は、改質用燃料を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池10に供給するものであり、改質部21、冷却部22、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)23、一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)24、燃焼部25、および蒸発部26から構成されている。改質用燃料としては天然ガス、LPGなどがあり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
【0024】
改質部21は、改質用燃料に水蒸気が混合された改質用原料である混合ガスから改質ガスを生成して導出するものである。この改質部21は有底円筒状に形成されており、環状筒部内に軸線に沿って延在する環状の折り返し流路21aを備えている。
【0025】
改質部21の折り返し流路21a内には、触媒21b(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されている。触媒21bは折り返し流路21aの底部に設けられた消耗品である各網部材15および16によって押えられ、下方に落下しないようになっている。そして網部材15を介して冷却部22から導入された改質用燃料と水蒸気供給管51から導入された水蒸気との混合ガスが触媒21bによって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は網部材16を介して冷却部(熱交換部)22に導出される。
【0026】
冷却部22は、改質部21から導出された改質ガスと、改質用燃料と改質水(水蒸気)との混合ガスとの間で熱交換が行われる熱交換器(熱交換部)であって、高温である改質ガスを低温である混合ガスによって降温してCOシフト部23に導出するとともに混合ガスを改質ガスによって昇温して改質部21に導出するようになっている。
【0027】
冷却部22には燃料供給源Sf(例えば都市ガス管)に接続された燃料供給管41が接続されている。燃料供給管41には、上流から順番に第1燃料バルブ42、改質用燃料ポンプ43、および第2燃料バルブ45が設けられている。第1および第2燃料バルブ42,45は制御装置30の指令によって燃料供給管41を開閉するものである。
【0028】
改質用燃料ポンプ43は、制御装置30の指令に応じて改質部21に改質用燃料を供給し、その供給量を調整するものである。改質用燃料ポンプ43は、ポンプの回転数(駆動量)を検出する駆動量検出手段である回転数センサ43aを備えている。回転数センサ43aが検出した検出信号は制御装置30に出力されるようになっている。改質用燃料ポンプ43の吐出口には、吐出圧力検出手段である圧力センサ43bおよび吐出温度検出手段である温度センサ43cが設けられている。圧力センサ43bは、改質用燃料ポンプ43の出口側の流体の圧力を検出する吐出圧力検出手段であり、その検出信号を制御装置30に出力するようになっている。温度センサ43c(例えば熱電対)は、改質用燃料ポンプ43の出口側の流体の温度を検出する吐出温度検出手段であり、その検出信号を制御装置30に出力するようになっている。それらセンサ43a,43b,43cは改質用燃料ポンプ43に一体的に設けられている。
【0029】
なお、回転数センサ43aは、磁気式ロータリエンコーダを使用しており、回転数を電圧に変換して所定形状の波形として出力するものである。回転軸に直流発電機を付けその発電電圧から回転数を測定するDCタコゼネレータや、鉄心と2組のコイルから構成され2組のコイルを使って発生させる正弦波状の電圧から回転数を測定するレゾルバも使用可能である。
【0030】
また、圧力センサ43bは、ダイヤフラムで受圧しダイヤフラムの歪みを電圧に変換して出力するものである。材料は半導体(Si)を用いており、歪みを検出するのに静電容量の変化から検出している。材料がNiやCuの合金を用いる抵抗線式も使用可能である。
【0031】
また、燃料供給管41の第2燃料バルブ45と冷却部22との間には蒸発部26に接続された水蒸気供給管51が接続されている。蒸発部26から供給された水蒸気が改質用燃料に混合され、その混合ガスが冷却部22を通って改質部21に供給されている。
【0032】
COシフト部23は、改質部21から冷却部22を通って供給された改質ガス(燃料ガス)中の一酸化炭素を低減する一酸化炭素低減部である。供給された改質ガスに含まれる一酸化炭素が、COシフト部23内に充填された触媒23a(例えば、Cu−Zn系の触媒)により水蒸気と反応して水素ガスと二酸化炭素ガスとに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されて導出される。
【0033】
CO選択酸化部24は、COシフト部23から供給された改質ガス中の一酸化炭素をさらに低減して燃料電池10に供給する一酸化炭素低減部である。CO選択酸化部24は、円筒状に形成されて、蒸発部26の外周壁を覆って当接して設けられている。CO選択酸化部24の内部には、触媒24a(例えば、RuまたはPt系の触媒)が充填されている。
【0034】
このCO選択酸化部24の側壁面下部および側壁面上部には、COシフト部23に接続された接続管93および燃料電池10の燃料極11に接続された改質ガス供給管71がそれぞれ接続されている。接続管93には、酸化用空気を供給する酸化用空気供給管61が接続されている。これにより、CO選択酸化部24には、COシフト部23からの改質ガスと酸化用空気とが導入される。酸化用空気供給管61には、上流から順番に酸化用空気ブロア63および酸化用空気バルブ64が設けられている。酸化用空気ブロア63は酸化用空気を供給しその供給量を調整するものである。酸化用空気バルブ64は酸化用空気供給管61を開閉するものである。したがって、CO選択酸化部24内に導入された改質ガス中の一酸化炭素は、酸化用空気中の酸素と反応(酸化)して二酸化炭素になる。これにより、改質ガスは酸化反応によって一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)導出され、燃料電池10の燃料極11に供給されるようになっている。
【0035】
また、CO選択酸化部24内には触媒24aの温度を検出する温度センサ24bが設けられている。温度センサ24bの検出信号は制御装置30に出力されるようになっている。
【0036】
燃焼部25は、燃焼用燃料、改質ガスやアノードオフガスなどの可燃ガスを燃焼用酸化剤ガスにより燃焼し、その燃焼ガスによって改質部21を加熱して水蒸気改質反応に必要な熱を供給するためのものであり、改質部21の内周壁内に下端部が挿入されて空間をおいて配置されている。
【0037】
燃焼部25には、改質用燃料ポンプ43の上流にて燃料供給管41から分岐した燃焼用燃料供給管47が接続されるとともに、燃料極11の導出口に一端が接続されているオフガス供給管72の他端が接続されている。燃料電池10の起動当初(暖機運転状態)、燃焼用燃料が燃焼部25に供給され、燃料電池10の暖機運転中(暖機運転状態)、CO選択酸化部24からの改質ガスが燃料電池10を経由しないで燃焼部25に供給され、燃料電池10の発電運転中(定常運転状態)、燃料電池10から排出されるアノードオフガス(燃料極11にて未使用の水素を含んだ改質ガス)が燃焼部25に供給されるようになっている。また、改質ガスやオフガスの不足分を燃焼用燃料で補っている。
【0038】
また、燃焼部25には、燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給管65が接続されており、燃焼用燃料、アノードオフガス、改質ガスなどの可燃ガス、および可燃ガスを燃焼(酸化)させるための燃焼用空気などの酸化剤ガスが供給されるようになっている。
【0039】
なお、燃焼用燃料供給管47には燃焼用燃料ポンプ48が設けられている。燃焼用燃料ポンプ48は燃焼用燃料を供給しその供給量を調整するものである。また、燃焼用空気供給管65には上流から順番に、空気中の埃が入らないようにするための、消耗品であるフィルタ17と、燃焼用空気ブロア66とが設けられている。
【0040】
燃焼用空気ブロア66は燃焼用空気を供給しその供給量を調整するものである。燃焼用空気ブロア66は、ブロアの回転数(駆動量)を検出する駆動量検出手段である回転数センサ66aを備えている。回転数センサ66aが検出した検出信号は制御装置30に出力される。燃焼用空気ブロア66の吐出口には、圧力センサ66bおよび温度センサ66cが設けられている。圧力センサ66bは、燃焼用空気ブロア66の出口側の流体(空気)の圧力を検出する吐出圧力検出手段であり、その検出信号は制御装置30に出力される。
【0041】
温度センサ66cは、燃焼用空気ブロア66の出口側の流体(空気)の温度を検出する吐出温度検出手段であり、その検出信号は制御装置30に出力される。
【0042】
上述した燃焼部25は着火されると、供給されている燃焼用燃料、改質ガスまたはアノードオフガスが燃焼用空気によって燃焼されて高温の燃焼ガスが発生する。燃焼ガスは、燃焼ガス流路27を流通し、排気管91を通って燃焼排ガスとして排気される。これにより、燃焼ガスは改質部21および蒸発部26を加熱する。燃焼ガス流路27は、改質部21の内周壁に沿って当接して配設され、折り返されて改質部21の外周壁と断熱部28との間に当接して配設され、折り返されて断熱部28と蒸発部26の間に当接して配設された流路である。
【0043】
蒸発部26は、改質水を加熱して沸騰させて水蒸気を生成して冷却部22を介して改質部21に供給するものである。蒸発部26は、円筒状に形成されて燃焼ガス流路27の最も外側の流路の外周壁を覆って当接して設けられている。
【0044】
この蒸発部26の下部(例えば側壁面下部、底面)には改質水タンクSwに接続された給水管52が接続されている。蒸発部26の上部(例えば側壁面上部)には水蒸気供給管51が接続されている。改質水タンクSwから導入された改質水は、蒸発部26内を流通する途中にて燃焼ガスからの熱およびCO選択酸化部24からの熱によって加熱されて、水蒸気となって水蒸気供給管51および冷却部22を介して改質部22へ導出するようになっている。なお、給水管52には、上流から順番に改質水ポンプ53および改質水バルブ54が設けられている。改質水ポンプ53は、蒸発部26に改質水を供給するとともにその改質水供給量を調整するものである。改質水バルブ54は給水管52を開閉するものである。
【0045】
燃料電池10の燃料極11の導入口には改質ガス供給管71を介してCO選択酸化部24が接続されるとともに、燃料極11の導出口にはオフガス供給管72を介して燃焼部25が接続されている。バイパス管73は燃料電池10をバイパスして改質ガス供給管71およびオフガス供給管72を直結するものである。改質ガス供給管71にはバイパス管73との分岐点と燃料電池10との間に第1改質ガスバルブ74が設けられている。オフガス供給管72にはバイパス管73との合流点と燃料電池10との間にオフガスバルブ75が設けられている。バイパス管73には第2改質ガスバルブ76が設けられている。
【0046】
また、燃料電池10の空気極12の導入口には、カソード用空気を供給するカソード用空気供給管67が接続されるとともに、空気極12の導出口には、排気管92が接続され、オフガスが排気されるようになっている。なお、カソード用空気供給管67には上流から順にカソード用空気ブロア68およびカソード用空気バルブ69が設けられている。
【0047】
カソード用空気ブロア68はカソード用空気を供給しその供給量を調整するものである。カソード用空気バルブ69はカソード用空気供給管67を開閉するものである。
【0048】
上述した改質用燃料ポンプ43、燃焼用燃料ポンプ48、酸化用空気ブロア63、燃焼用空気ブロア66は改質器20に燃料および空気である流体を送出する流体送出装置である。また改質水ポンプ53は、蒸発部26に水である流体を送出する流体送出装置である。さらにカソード用空気ブロア68は、燃料電池10に、空気である流体を送出する流体送出装置である。
【0049】
燃料電池システムは制御装置30を備えており、制御装置30は図示しないマイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、各温度センサ24b,43c、66c、各回転数センサ43a、66a、各圧力センサ43b、66b、からの入力信号に基づいて、各ポンプ43,48,53、各ブロア63,66,68、各バルブ42,45,54,64,69,74,75,76、および燃焼部25を制御している。これにより、燃料電池システムの暖機運転(暖機モード)および発電運転(発電モード)を実施するとともに、所望の出力電流(負荷装置で消費される電流・電力)となるように改質用燃料、燃焼用燃料、燃焼用空気、改質水およびカソード用空気の各供給量を制御している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものである。ROMは前記プログラムを記憶するものである。
【0050】
制御装置30は、流体送出装置である例えば改質用燃料ポンプ43の流体の流量(送出量)を制御したり、改質用燃料ポンプ43から送出される流量(送出量)を推定するものであり、図3に示すように、制御ロジック部31と流体供給量推定装置である流量推定ロジック部32とを備えている。
【0051】
制御ロジック部31は、設定流量rfluxに基づき改質用燃料ポンプ43のモータ43dのデューティ比dutyを演算する操作量導出手段と、その演算結果をモータ43dのドライバ回路43eへ出力しモータ43dの駆動量(回転数)を制御する制御手段とを備える。
【0052】
また制御ロジック部31は、流量推定ロジック部32で推定された推定流量である推定送出流量estflux2と、目標流量である設定流量rfluxとの差に基づき操作量導出手段によって操作量を導出する。そして導出された操作量であるデューティ比dutyを入力された制御手段によって、改質用燃料ポンプ43のモータ43dの駆動量(回転数)がフィードバック制御される。モータ43dは演算結果に基づいたデューティ比dutyで、PWM制御される(パルスの大きさは一定で,パルス幅をデューティ比に応じて変化させて制御する)。設定流量rfluxは、燃料電池システムの電力供給先に設置された負荷装置で消費される電流・電力と、予め記憶されている燃料供給マップとに基づいて導出されるものである。燃料供給マップは、負荷装置で消費される電流・電力と改質用燃料、燃焼用燃料、燃焼用空気、改質水およびカソード用空気の各供給量(供給指示値)との相関関係を示すものである。
【0053】
流量推定ロジック部32は、図4に示すように2つの推定送出量導出手段を備えている。第1の推定送出量導出手段は回転数センサ43aによって検出された改質用燃料ポンプ43の回転数rpmと、吐出圧力センサ43bによって検出された改質用燃料ポンプ43の吐出圧力pressとを、ROMに記憶された流量推定マップMにあてはめ推定送出流量estflux1を導出するものである。
【0054】
流量推定マップMは、改質用燃料ポンプ43の駆動量検出手段である回転数センサ43aによって検出された回転数rpmと、改質用燃料ポンプ43の吐出圧力検出手段である圧力センサ43bによって検出された吐出圧力pressと、実験のために備えられた流量計により計測された流量値との相関関係を表すものであり、予め実測され記憶部30aに記憶されている。
【0055】
また流量推定マップMは、燃料電池システムの全運転モード域において所定の間隔毎にそれぞれのデータ同士が対応して測定され、測定されない部分については測定されたデータを基に2次関数以上の所定の多項式によってデータ補間されている。
【0056】
第2の推定送出量導出手段は第1の推定送出量導出手段によって導出された吐出流量である推定送出流量estflux1と、吐出温度検出手段である温度センサ43cによって検出された改質用燃料ポンプ43の流体の吐出温度tempと、流量推定マップMが作成されたときの環境温度Aと、を変数として構成される下記(数1)式に示す温度補正関数から推定送出流量estflux2が導出され、導出された推定送出流量estflux2を制御ロジック部31に出力するものである。なお、流量推定マップMが作成されたときの環境温度Aは流量推定マップMを温度補正するためのものであり、本実施形態においては20℃である。発明者が、検証した結果、(数1)式は、温度補正して精度よく推定送出流量を導出できることが確認されている。
【0057】
(数1)

【0058】
次に上述した燃料電池システムの作動について説明する。制御装置30は、時刻t0にて図示しない起動スイッチがオンされると、燃料電池システムの暖機運転を開始する。すなわち燃料電池システムは暖機運転状態に入る。制御装置30は、第1改質ガスバルブ74およびオフガスバルブ75を閉じ第2改質ガスバルブ76を開いてCO選択酸化部24を燃焼部25に接続し、第1燃料バルブ42を開き第2燃料バルブ45を閉じて燃焼用燃料ポンプ48および燃焼用空気ブロア66を駆動して燃焼用燃料および燃焼用空気を燃焼部25に供給して燃焼部25を着火する。これにより、燃焼用燃料が燃焼され、燃焼ガスにより改質部21および蒸発部26が加熱される。
【0059】
制御装置30は、蒸発部26が水蒸気を生成するのに十分な温度に達すると、水バルブ54を開き、改質水ポンプ53を駆動させ水タンクSwの水を所定流量(所定供給量)だけ蒸発部26を介して改質部21に供給を開始する。その後、制御装置30は、第2燃料バルブ45を開いて改質用燃料ポンプ43を駆動させ燃料供給源Sf の燃料を所定流量(所定供給量)だけ改質部21に供給するとともに、酸化用空気バルブ64を開いて酸化用空気ブロア63を駆動させ酸化用空気を所定流量(所定供給量)だけCO選択酸化部24に供給する。これにより、改質部21に改質用燃料と水蒸気の混合ガスが供給され、改質部21では上述した水蒸気改質反応および一酸化炭素シフト反応が生じて改質ガスが生成される。そして、改質部21から導出された改質ガスはCOシフト部23およびCO選択酸化部24により一酸化炭素ガスを低減されてCO選択酸化部24から導出され、燃焼部25に供給され燃焼される。
【0060】
このような改質ガスの生成中において、制御装置30は、温度センサ24bによりCO選択酸化部24の触媒24aの温度を検出し、この検出した温度が所定温度以上となれば、改質ガス中の一酸化炭素濃度が所定の低濃度以下となったとして、第1改質ガスバルブ74およびオフガスバルブ75を開き第2改質ガスバルブ76を閉じてCO選択酸化部24を燃料電池10の燃料極11の導入口に接続するとともに燃料極11の導出口を燃焼部25に接続する。これにより、燃料電池システムを暖機する暖機運転状態が終了して続いて流路が変更され定常運転状態が開始される。すなわち燃料電池システムは発電モードに入る。
【0061】
制御装置30は、発電モードにおいては、所望の出力電流(負荷装置で消費される電流・電力)となるように改質用燃料、燃焼用燃料、燃焼用空気、酸化用空気、カソード用空気および改質水を供給するようになっている。制御装置30は、所望の出力電流となるように改質用燃料の供給量を演算し設定流量として出力し、その供給量となるように改質用燃料ポンプ43を駆動させ、演算した改質用燃料設定流量およびS/C(スチームカーボン比)に基づいて改質水の供給量を演算し設定流量として出力し、その供給量となるように改質水ポンプ53を駆動させている。
【0062】
また、制御装置30は、アノードオフガスの燃焼熱だけでは燃焼部25にて必要な熱エネルギーが不足する場合、起動運転時である場合などに、燃焼部25に供給する燃焼用燃料の供給量を演算し設定流量として出力し、その供給量となるように燃焼用燃料ポンプ48を駆動させ、改質用燃料供給量などに基づいて燃焼用空気の供給量を演算し設定流量として出力し、その供給量となるように燃焼用空気ブロア66を駆動させている。
【0063】
また、制御装置30は、一酸化炭素を所定量以下とするように酸化用空気の供給量を演算し設定流量として出力し、その供給量となるように酸化用空気ブロア63を駆動させている。そして、制御装置30は、改質器20から供給された改質ガスと反応するに十分なカソード用空気の供給量を演算し設定流量として出力し、その供給量となるようにカソード用空気ブロア68を駆動させている。そして、停止スイッチが押されると、燃料電池システムは停止運転を実施して停止する。
【0064】
次に、改質用燃料ポンプ43の推定送出流量estflux2の算出および算出した推定送出流量estflux2による改質用燃料ポンプ43のフィードバック制御について図6に示したフローチャート1を参照しながら説明する。なおフローチャート1は流体送出装置によって送出される流体の流路抵抗が異なる運転状態、即ち暖機運転状態および発電運転状態のどちらにも適用されるものである。
【0065】
制御装置30は、図示しないスタートスイッチがオンされ暖機運転が開始されると、改質用燃料ポンプ43が駆動され燃料供給源Sf の燃料が所定流量(所定供給量)だけ改質部21に供給されて図6のフローチャート1に対応したプログラムの実行を開始する(ステップS10)。
【0066】
その後、制御装置30は、改質用燃料ポンプ43の回転数センサ43aが検出した回転数rpmと、改質用燃料ポンプ43の圧力センサ43bが検出した吐出圧力pressと、温度センサ43cが検出した改質用燃料ポンプ43の吐出温度tempとを受信する(ステップS11)。
【0067】
制御装置30は、それら受信した回転数rpmと、吐出圧力pressと、予めROMに記憶された流量推定マップMとから推定送出量導出手段M(rpm、press)によって推定送出流量estflux1を読み取って導出する(ステップS12)。
【0068】
次に制御装置30は、導出された推定送出流量estflux1と受信した吐出温度tempと、流量推定マップMが作成されたときの環境温度A(本実施形態においては20℃)と、を推定送出量導出手段である温度補正関数(数1)に入力し、推定送出流量estflux2を導出する(ステップS13)。
【0069】
そして念のためにステップS14にて、ステップS13までのデータが改質用燃料ポンプ43が作動していたかどうかを改質用燃料ポンプ43の回転数の大きさによって確認する。回転数rpmが0より大きいか否かを確認し、0以下であれば改質用燃料ポンプ43は作動していなかったとして推定送出流量estflux2を0とし、回転数rpmが0より大きければ改質用燃料ポンプ43は正常に作動していたとしてステップS13によって導出された値を推定送出流量estflux2とする。
【0070】
次に制御装置30は、フィードバック制御を行なうために改質用燃料ポンプ43の設定流量rfluxを受信し(ステップS15)、該設定流量rfluxと、ステップS13にて導出された推定送出流量estflux2との差を算出する。そして制御装置30は、算出された設定流量rfluxと推定送出流量estflux2との差から、操作量導出手段によって、設定流量rfluxに追従する操作量であるモータ43dのデューティ比dutyを算出する(ステップS16)。
【0071】
そして、制御装置30は、制御手段によってステップS16で算出された改質用燃料ポンプ43のモータ43dのデューティ比dutyをモータ43dのドライバ回路43eへ出力して、改質用燃料ポンプ43を駆動し(ステップS17)、その後プログラムを終了する(ステップS18)。なお本プログラムは発電運転状態においても同様の内容で作動される。
【0072】
このようにして推定された改質用燃料ポンプ43の流量について検証する。図5は本実施の形態に係る改質用燃料ポンプ43の暖機運転状態および発電運転状態において、検証用に設けた質量流量計を使用して測定した実流量と、改質用燃料ポンプ43の回転数センサ43a、圧力センサ43bおよび温度センサ43cの検出値を用い流量推定ロジック32にて推定した推定送出流量estflux2との比較を示したものである。
【0073】
図5に示すように、質量流量計を使用して所定時間、測定した実流量を点で表す。また実流量測定と同時に、かつ同じだけの所定時間、検出された各センサ43a,43bおよび43cの検出値をもとに、第1の推定送出量導出手段および第2の推定送出量導出手段の2段階で導出した推定送出流量estflux2を実線La1で表す。
【0074】
図5から明らかなように、暖機運転状態および発電運転状態のどちらの状態においても、第2の推定送出流量estflux2は実流量とよく一致していることを確認することができる。
【0075】
上述した説明から明らかなように、本実施形態においては、流体送出装置(例えば改質用燃料ポンプ43)に備えられた吐出圧力検出手段、駆動量検出手段および吐出温度検出手段の各検出手段によって検出された、吐出圧力press、回転数rpm、および吐出温度tempのみを用い、精度よく流体の送出量を推定することができる。よって大型で高価な流量計を備える必要がなくコストの低減を図ることができる。
【0076】
また前述したとおり、起動直後の暖機運転状態と、発電を行なう定常運転状態においては、各流体送出装置(例えば改質用燃料ポンプ43)の送出する各流体が移動する経路が大きく異なる。これは各運転状態によって流路抵抗が異なることを、即ち流量特性が異なっていることを示している。しかし、本実施形態においては、予め実験によって求められた暖機運転状態と定常運転状態に係る流量推定マップMが予めROMに記憶され、該流量推定マップMに基づいて第1の推定送出流量estflux1が導出され、導出された第1の推定送出流量estflux1に基づいて第2の推定送出流量estflux2が導出される。これにより暖機運転状態と、定常運転状態の流量推定は一つのプログラムで行なうことができ、従来のように、暖機運転状態と、定常運転状態の各モード毎に備えられた流量計算式を切替えるための動作が不要となる。よって、従来技術において流量計算式を切替えるために利用されていたスタック用温度計および改質ガス用温度計に依存する必要がないため、万一スタック用温度計および改質ガス用温度計が故障しても流体送出量の推定を精度よく行なうことができ、信頼性が向上される。さらに、流体送出流量の推定のためにスタック用温度計および改質ガス用温度計のデータを保存する必要がないため、メモリ容量を減らすことができ、コスト低減も図ることができる。
【0077】
さらに、本実施形態においては、流量推定ロジック32において吐出流量である導出された推定送出流量estflux1を温度補正するための推定送出量導出手段として、推定送出流量estflux1と、改質用燃料ポンプ43の流体の吐出温度tempと、流量推定マップMが作成されたときの環境温度A(本実施形態においてはAは20℃)と、を変数として構成される温度補正関数である下記(数1)式が備えられている。(数1)式は、発明者によって、精度よく温度補正できることが確認されている。これにより、短時間で精度よく温度補正が可能となるとともに、制御の負荷が低減できる。
【0078】
(数1)

【0079】
次に第2の実施形態について説明する(図10、図11)。以下変更点のみ説明し、その他の構成については、第1の実施形態と同じであるので、同一部品については同一の符号を付し、同一の構成、同一の作用についてその説明は省略する。
【0080】
第2の実施形態は、図10に示すように、第1の実施形態に対し流体送出装置(改質用燃料ポンプ43、燃焼用空気ブロア66等)によって送出される流体の経路の詰り、すなわち劣化を検知し、外部に表示する機能をもつ圧損変動算出ロジック33を備える点が異なる。なお、第2の実施形態においては燃焼用空気ブロア66について説明する。
【0081】
圧損変動算出ロジック33は制御装置30に備えられる。圧損変動算出ロジック33は図11に示すように限界圧損マップMmpreと、経路の劣化を判定する劣化判定手段と、劣化判定手段により劣化していると判定された場合に、消耗品交換信号が送出され、外部に対し劣化した消耗品の交換を知らせる部品交換表示手段とを備えている。
【0082】
ここで対象となる消耗品とは、詰ることにより流体送出装置の吐出圧力を変化させる部品のことをいう。例えば図1に示すように燃焼用空気ブロア66の上流に設けられ、空気中の埃の進入を防止する機能を持つフィルタ17等がある。また対象となる別の消耗品としては改質用燃料ポンプ43によって送出される混合ガスおよび改質ガスの通路に設けられる網部材15および16である。網部材15および16は前述のとおり改質部21の底部で、混合ガスの入口および改質ガス出口に設けられ、冷却部22との間に介在されて改質部21の触媒21bを押え、触媒21bが下方に落ちるのを防ぐ機能を持つものである。なお、網部材15および16は別体としたが一体で構成してもよい。
【0083】
限界圧損マップMmpreは、流体の流路抵抗による圧損値が燃料電池システムを運用する上で限界値となる燃焼用空気ブロア66から吐出される流体の限界吐出圧mpressと、そのときの燃焼用空気ブロア66の駆動量である回転数rpmとの相関関係を表すものである。
【0084】
限界圧損マップMmpreは、予め実機によって流体の流路に限界状態の詰まり、即ち限界状態の劣化が発生した状態の流路が人工的に再現され、再現された流路にて暖機運転状態および定常運転状態に応じて変更される流路ごとに燃焼用空気ブロア66の回転数rpmと、吐出圧力pressと、実験用に備えられた流量計によって計測された実測流量値との相関関係が導出され記憶部30aに記憶されている。
【0085】
次に図7乃至図9に基いて検証を行なう。図7は流体の経路に劣化がない初期状態での燃焼用空気ブロア66の回転数rpmと経過時間および吐出圧力pressと経過時間との関係を同じ時間スケールで取得したグラフである。図8は流体の流路にシステムの運用上限界の圧損値が発生する限界状態の詰まり、即ち限界状態の劣化が発生した状態を再現させ、図7と同じ条件でデータを取得したグラフである。図7および図8は横軸(X軸)を所定の経過時間(例えば1分〜10時間、好ましくは3〜20分)とし、縦軸(Y軸)を回転数rpmまたは吐出圧力pressとして、燃焼用空気ブロア66の回転数センサ66aが検出した回転数rpm(破線)および燃焼用空気ブロア66の圧力センサ66bが検出した吐出圧力press(点)とを同一時間ごとに対応させ関係付けて取得したものである。なお、図7および図8にはそれぞれ測定された点に対して実測された流量データが記されていないが、実際には全ての測定点に対し対応する実測流量データが計測され、それぞれの測定された点に対応して存在している。なお、上述の測定に要した所定の経過時間は取得したデータを回帰させ直線を得ることができる長さであればよい。ただしデータの取得時間は長いほど回帰直線の信頼性は向上し、劣化の判断の信頼性は向上する。
【0086】
図9は図7および図8のデータに対し時間軸を排除し横軸を吐出圧press、縦軸を回転数rpmとして同一のスケールでまとめたグラフであり、丸点で示されたデータ群が限界圧損マップMmpreとして記憶部30aに記憶される。また、図9にもそれぞれ測定された点に対して実測された流量データが記されていないが、実際には全ての測定点に対し対応する実測流量データがそれぞれ存在しており、流量データもあわせて限界圧損マップMmpreを構成しているものである。
【0087】
なお、丸点で示された劣化限界のデータ群のみではなく菱形で示された初期データ群および初期データと劣化限界のデータ群の中間を埋めるデータも同様に予め取得し合わせて限界圧損マップMmpreとしてもよい。こうすることにより、劣化の状態の推移を把握できるという効果が得られる。
【0088】
図9からわかるように経路の劣化が限界状態の劣化限界データ(丸の点)は、初期のデータ(菱形の点)と略同一の傾きを保ったまま平行に吐出圧が大きくなる方向(右方向)に移動しているのが確認できる。つまり劣化後は同一の回転数rpmに対して吐出圧力pressが大きくなっていることがわかる。これは流体の送出経路が劣化、即ち詰まりをおこして圧損が増大していることを示しており、同一の回転数rpm時に対応するそれぞれの吐出圧pressの大きさが劣化の判断の指標となることがわかる。
【0089】
劣化判定手段は劣化検知を実行したときに、燃焼用空気ブロア66の駆動量検出手段である回転数センサ66aによって検出された回転数rpmに対応する限界吐出圧力mpressを限界圧損マップMmpreから求め、燃焼用空気ブロア66の吐出圧力検出手段である圧力センサ66bによって検出された吐出圧力pressが限界吐出圧力mpressを超えると流体経路は劣化していると判定する。例えば図9においては回転数rpmがPrpm時の限界吐出圧力mpressはQkPaとなっており、劣化検知を実行したときに、回転数センサ66aによって検出された回転数rpmがPrpm時に圧力センサ66bによって検出された吐出圧力pressがQkPaを超えたときに流体経路は劣化していると判定する。
【0090】
消耗品交換信号は劣化判定手段によって流体経路は劣化していると判定されたとき送出され外部に対し劣化した消耗品の交換を知らせる部品交換表示がなされる。
【0091】
次に、圧損変動算出ロジック33の制御について図12に示したフローチャート2を参照しながら説明する。フローチャート2は流体の経路の劣化判定時に作動させ、予め記憶部30aに記憶された限界圧損マップMmpreから読み取った限界吐出圧力mpressと、劣化判定時に検出された吐出圧力pressとを比較し劣化判定を行なうものである。
【0092】
制御装置30は、燃料電池システムが運転中に図示しない劣化判定スイッチがオンされると、フローチャート2に対応したプログラムの実行を開始する(ステップS20)。
【0093】
その後、制御装置30は、燃焼用空気ブロア66の回転数センサ66aが検出した回転数rpmおよび燃焼用空気ブロア66の圧力センサ66bが検出した吐出圧力pressと、を同一時間ごとに対応させ関係付けて受信し所定時間(例えば1分〜10時間、好ましくは3〜20分)に亘ってデータを受信する(ステップS21)。
【0094】
次に制御装置30は、記憶部30aに記憶された限界圧損マップMmpreから読み取った任意の回転数rpm時における限界吐出圧力mpressを導出する(ステップS22)。
【0095】
次に制御装置30は、導出された限界吐出圧力mpressに対応する回転数rpmと同一の回転数rpmに対応するステップS21で受信した吐出圧力pressと、限界吐出圧力mpressと、を比較し吐出圧力pressが限界吐出圧力mpressを超えたときに劣化判定手段によって劣化している、という判定を行ない消耗品交換シグナルchange_flagを0から1に変更する(ステップS23)。
【0096】
そしてchange_flagが0か1かを確認し(ステップS24)、0であれば正常と判定し(ステップS25)、終了する(ステップS26)。またchange_flagが1であれば劣化により消耗品の交換が必要であると判断し、部品交換表示手段によって図示しないLED等の発光物等を点灯させる等のため、消耗品交換表示信号を送出し(ステップS27)、終了する(ステップS28)。
【0097】
なお、ステップS21において受信した回転数rpmに対応するそれぞれの吐出圧pressの値と、限界圧損マップMmpreを作成するときに回転数rpmに対応するそれぞれの限界吐出圧pressの値とを精度よく求めるにはそれぞれ取得したデータ群に基づき、吐出圧pressを変数として構成される1次関数として回帰させた回転数rpmを求める回帰直線La2、La3を算出し、該回帰直線La2、La3に基づき、同一の回転数rpmに対するそれぞれの吐出圧pressを算出すればよい(図9)。このときデータ取得のための時間が長いほど回帰直線La2、La3の信頼性が向上し、劣化に対する判定の信頼性も向上するのは前述した通りである。
【0098】
上述した説明から明らかなように、第2の実施形態においては、流体送出装置(例えば燃焼用空気ブロア66)に備えられた回転数センサ66aおよび圧力センサ66bによって検出された、回転数rpmおよび吐出圧力pressを利用し、簡易に流体経路の劣化を検知し、劣化していると判定されたときに結果を表示することができる。これにより、適宜、劣化の確認を目視で行なうことができ、経路が劣化したまま運転し続けるおそれが減るため信頼性が高く効率的な運転を行なうことができる。また劣化確認のため分解検査を実施する必要がないため、時間の節約を図ることができる。
【0099】
なお、上述した第1および第2の実施形態において、流量推定ロジック32と圧損算出ロジック33をそれぞれ別個に説明したが、もちろん同時に備えられていてもよい。
【0100】
また、上述した第1の実施形態において、流体の送出流量を推定する流体送出装置として改質用燃料ポンプ43について説明したが、これに限らず他の流体送出装置でもよい。図1に示す燃料電池システムでは、カソード用空気ブロア68、燃焼用空気ブロア66、酸化用空気ブロア63、燃焼用燃料ポンプ48などの気体流体送出装置、改質水ポンプ53などの液体流体送出装置にも適用できる。異なる燃料電池システムでは、上記以外に設けられた流体送出装置があれば、それにも適用できる。また燃料電池システム以外のシステムの流体送出装置でも適用できる。いずれも吐出圧力検出手段、駆動量検出手段および温度検出手段を改質用燃料ポンプ43と同様に備え、同様の制御を行なうことによって適用可能である。
【0101】
また、上述した第2の実施形態において、流体の経路の劣化を検出するものとして燃焼用空気ブロア66の経路について説明したが、これに限らず他の流体送出装置の経路でもよく、いずれも吐出圧力検出手段および駆動量検出手段を燃焼用空気ブロア66と同様に備え、かつ予め各流体の各流路ごとにそれぞれ限界圧損マップMmpreを作成し備えれば、同様の制御を行なうことで適用可能である。
【0102】
また、上述した第1および第2の実施形態において、空気を送出する流体送出装置(例えば酸化用空気、燃焼用空気をそれぞれ送出する装置63、66)としてブロアを採用したが、これに限らず、流体を送出する装置であればよく、例えばポンプを採用するようにしてもよい。この場合にも、ブロアと同様に制御を行えばよい。
【0103】
また、上述した第1および第2実施形態において、燃料を送出する流体送出装置(例えば改質用燃料、燃焼用燃料をそれぞれ送出する装置43、48)としてポンプを採用したが、これに限らず、流体を送出する装置であればよく、例えばブロアを採用するようにしてもよい。この場合にも、ポンプと同様に制御を行えばよい。
【0104】
また、上述した第1および第2の実施形態において、流体送出装置の回転数はポンプ(またはブロア)の回転数でもそれを駆動させる駆動源(例えばモータ)の回転数でもどちらでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの一実施形態の概要図である。
【図2】図1に示す燃料電池システムを示すブロック図である。
【図3】図2に示した制御装置の第1の実施例に係るブロック線図である。
【図4】図3に示した流量推定ロジック部のブロック線図である。
【図5】第1の実施形態に係る実機で測定した改質用燃料ポンプの実流量と推定流量との比較を示したグラフである。
【図6】図2に示す制御装置にて実行される第1の実施形態に係る制御プログラムのフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る実機にて測定した燃焼用空気ブロアの初期の吐出圧力および回転数の時系列データを示すグラフである。
【図8】第2の実施形態に係る実機にて測定した燃焼用空気ブロアの劣化後の吐出圧力および回転数の時系列データを示すグラフである。
【図9】第2の実施形態に係る限界圧損マップを示すグラフである。
【図10】図2に示した制御装置の第2の実施形態に係るブロック線図である。
【図11】図10に示した圧損変動算出ロジック部のブロック線図である。
【図12】図2に示す制御装置の第2の実施形態に係る制御プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
10…燃料電池、11…燃料極、12…空気極、15…網部材、16…網部材、17…フィルタ、20…改質器、21…改質部、22…冷却部、23…COシフト部、24…CO選択酸化部、25…燃焼部、30…制御装置、30a…記憶部(記憶手段)、31…制御ロジック部(操作量導出手段、制御手段)、32…流量推定ロジック部(推定送出量導出手段)、33…圧損変動算出ロジック部(圧損係数導出手段、劣化判定手段、部品交換表示手段)、43…改質用燃料ポンプ(流体送出装置)、43a…回転数センサ(駆動量検出手段)、43b…圧力センサ(吐出圧力検出手段)、43c…温度センサ(吐出温度検出手段)、66…燃焼用空気ブロア(流体送出装置)、66a…回転数センサ(駆動量検出手段)、66b…圧力センサ(吐出圧力検出手段)、66c…温度センサ(吐出温度検出手段)、M…流量推定マップ、Mmpre…限界圧損マップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転状態に応じて流体の流路抵抗が変更される装置に接続された流体送出装置から該装置に供給される前記流体の流量を推定する流体供給量推定装置において、
前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、
前記流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、
前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力と、前記流体送出装置の駆動量と、該吐出圧力および該駆動量に応じて前記流体送出装置から吐出される流体の吐出流量との関係を表す流量推定マップを記憶部に記憶し、前記検出された駆動量および前記検出された吐出圧力に応じて前記流量推定マップから求められた前記流体の吐出流量に基いて前記流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求める推定送出量導出手段と、
を備えたことを特徴とする流体供給量推定装置。
【請求項2】
請求項1において、前記流体送出装置から吐出された流体の吐出温度を検出する吐出温度検出手段を備え、
前記推定送出量導出手段は、前記流量推定マップから求められた前記流体の吐出流量を、前記検出された吐出温度により補正して前記流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求めることを特徴とする流体供給量推定装置。
【請求項3】
運転状態に応じて流体の流路抵抗が変更される装置に接続された流体送出装置から該装置に供給される前記流体の流量を推定する流体供給量推定装置において、
前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、
前記流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、
運転状態に応じて変更される流体の流路抵抗による圧損値が限界値となる場合における前記流体送出装置から吐出される流体の限界吐出圧力と前記流体送出装置の駆動量との関係を表す限界圧損マップを前記記憶部に記憶し、前記検出された駆動量に対応する限界吐出圧力を前記限界圧損マップから求め、前記検出された吐出圧力が前記限界吐出圧力を超えると消耗品交換信号を送出することを特徴とする流体供給量推定装置。
【請求項4】
燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池と、
改質用燃料および改質水が供給され、その供給された改質用燃料を改質することにより水素を含む前記燃料ガスを生成する改質器と、を含む燃料電池システムであって、暖機運転および定常運転に応じて流体送出装置から供給される流体の流路抵抗が変更される燃料電池システムにおいて、
前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、
前記流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、
前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力と、前記流体送出装置の駆動量と、該吐出圧力および該駆動量に応じて前記流体送出装置から吐出される流体の吐出流量との関係を表す流量推定マップを記憶部に記憶し、前記検出された駆動量および前記検出された吐出圧力に応じて前記流量推定マップから求められた前記流体の吐出流量に基いて前記流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求める推定送出量導出手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項5】
請求項4において、前記流体送出装置から吐出された流体の吐出温度を検出する吐出温度検出手段を備え、
前記推定送出量導出手段は、前記流量推定マップから求められた前記流体の吐出流量を、前記検出された吐出温度により補正して前記流体送出装置から吐出される流体の推定送出流量を求めることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項6】
請求項5において、前記流量推定マップから求められた前記吐出流量と、前記吐出温度検出手段によって検出された前記吐出温度と、前記流量推定マップの作成時の環境温度Aと、を変数として構成され、前記温度補正後の推定送出流量を算出する温度補正関数は下記(数1)式によってなることを特徴とする燃料電池システム。
(数1)

【請求項7】
燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池と、
改質用燃料および改質水が供給され、その供給された改質用燃料を改質することにより水素を含む前記燃料ガスを生成する改質器と、を含む燃料電池システムであって、暖機運転および定常運転に応じて流体送出装置から供給される流体の流路抵抗が変更される燃料電池システムにおいて、
前記流体送出装置から吐出される流体の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、
前記流体送出装置の駆動量を検出する駆動量検出手段と、
前記暖機運転状態および前記定常運転状態に応じて変更される流体の流路抵抗による圧損値が限界値となる場合における前記流体送出装置から吐出される流体の限界吐出圧力と前記流体送出装置の駆動量との関係を表す限界圧損マップを前記記憶部に記憶し、前記検出された駆動量に対応する限界吐出圧力を前記限界圧損マップから求め、前記検出された吐出圧力が前記限界吐出圧力を超えると消耗品交換信号を送出することを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−19574(P2010−19574A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177790(P2008−177790)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】