説明

流体圧機器のシール構造

【課題】構造を簡素化して流体圧機器に対する組付性の向上を図る。
【解決手段】シリンダ装置10を構成するシリンダチューブ16の端部には、段部42を介してシール機構26が装着され、前記シリンダチューブ16とロッドカバー18との間に挟持される。このシール機構26は、金属製材料から薄板状に形成されたプレート68と、該プレート68の一側面に対して装着されるシール部材70とを含み、前記プレート68、シール部材70が一体的に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力流体の供給作用下にピストンを軸線方向に沿って自在に変位させる流体圧機器に用いられる流体圧機器のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークの搬送、位置決め及び種々の産業機械を駆動する駆動手段として流体圧機器が用いられている。本出願人は、このような流体圧機器として圧力流体による押圧作用下に自在に変位するピストンを備えた流体圧機器を提案している(特許文献1参照)。
【0003】
この流体圧機器は、筒状のシリンダボディの内部にピストンが変位自在に設けられ、前記ピストンに軸状のピストンロッドが連結される。そして、シリンダボディの開口した両端部がカバー部材によってそれぞれ閉塞されると共に、一方のカバー部材には孔部を介して前記ピストンロッドが挿通され、該孔部の内周面に装着されたパッキン部材によってシールすることにより前記シリンダボディ内の気密を保持すると共に、ブシュによって前記ピストンロッドを摺動自在に保持する構成としている。一方、カバー部材には環状溝を介してOリングが装着され、該Oリングがシリンダボディの内壁面に当接することにより、該シリンダボディ内の気密を保持している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−2304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、構成を簡素化し、流体圧機器に対する組付性の向上を図ることが可能な流体圧機器のシール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、シリンダチューブのシリンダ室に供給される圧力流体の作用下に前記シリンダ室に沿ってピストンが変位する流体圧機器において、前記シリンダ室内の気密を保持する流体圧機器のシール構造であって、
前記シリンダチューブの開口端部に装着され、該開口端部を閉塞するカバー部材と前記シリンダチューブとの間に挟持される第1シール部と、前記ピストンに連結されたピストンロッドの外周面を囲繞する第2シール部とを有するシール部材を備え、
前記シール部材が弾性材料から形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、弾性材料からなるシール部材を流体圧機器を構成するシリンダチューブの開口端部とカバー部材との間に設け、前記シール部材の第1シール部を前記シリンダチューブとカバー部材との間に挟持すると共に、第2シール部をピストンロッドの外周面に当接させて囲繞している。そして、第1シール部によってシリンダチューブとカバー部材との間がシールされて圧力流体の外部への漏出が阻止されると共に、第2シール部によってピストンロッドとカバー部材との間がシールされて外部への圧力流体の外部への漏出を阻止することができる。
【0008】
従って、第1及び第2シール部を有する単一のシール部材によってシリンダチューブとカバー部材の間からの圧力流体の漏出と、該カバー部材とピストンロッドの間からの圧力流体の漏出とを防止することができる。その結果、パッキン部材、Oリングを別々に設けて気密の保持を行っていた従来の流体圧機器と比較し、部品点数の削減を図ることができると共に、シール部材を一体的な構成としているため、流体圧機器に対する組み付けを簡便に行うことができる。
【0009】
また、シール部材を、プレート状に形成されたベース体に一体的に装着し、該ベース体と共にカバー部材とシリンダチューブとの間に挟持させることにより、弾性材料からなるシール部材の取り扱いが容易となり、流体圧機器に対する前記シール部材の組付性を良好とすることができる。
【0010】
さらに、第1シール部を、シリンダチューブ及びカバー部材側の少なくともいずれか一方側に向かって突出した凸部とすることにより、前記凸部を前記シリンダチューブ及びカバー部材の少なくともいずれか一方に対してより確実に当接させることが可能となる。これにより、シリンダチューブとカバー部材との間からの圧力流体の漏出を好適に阻止し、シリンダ室内の気密をより一層確実に保持することができる。
【0011】
さらにまた、第2シール部は、ピストンロッドの外周面に向かって突出して当接するリップからなり、該ピストンロッドが変位する際に前記リップを前記外周面に対して常に摺接させるとよい。これにより、ピストンロッドの外周面からカバー部材側へと圧力流体が流通することを確実に阻止することができる。
【0012】
またさらに、リップは、ピストンロッドの変位方向に沿って所定間隔離間して一組設けられ、一組のリップを互いに離間する方向に所定角度傾斜して延在させるとよい。これにより、シリンダチューブ側に向かって延在した一方のリップをピストンロッドの外周面に好適に当接させてシリンダ室内の気密を保持可能とし、カバー部材側に向かって延在した他方のリップで前記ピストンロッドの外周面に付着した塵埃等を好適に除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
すなわち、第1及び第2シール部を有する単一のシール部材によってシリンダチューブとカバー部材の間からの圧力流体の漏出と、該カバー部材とピストンロッドの間からの圧力流体の漏出とを阻止することができるため、従来のパッキン部材、Oリングを別々に設けていた流体圧機器と比較し、部品点数の削減を図ることができ、且つ、前記シール部材を一体的な構成としているため、流体圧機器に対する組付性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る流体圧機器のシール構造について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0016】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る流体圧機器のシール構造が適用されたシリンダ装置を示す。
【0017】
このシリンダ装置(流体圧機器)10は、図1〜図3に示されるように、所定間隔離間した一組の第1及び第2ポート12、14を有する有底状のシリンダチューブ16と、該シリンダチューブ16の開口した端部を閉塞するロッドカバー(カバー部材)18と、前記シリンダチューブ16の内部に断面略長円状に形成されるシリンダ室20a、20bと、該シリンダ室20a、20bに沿って変位自在に設けられるピストン22と、該ピストン22の一端部側に連結されるピストンロッド24と、前記シリンダチューブ16とロッドカバー18との間に設けられ、前記シリンダ室20bの気密を保持するシール機構26とからなる。
【0018】
シリンダチューブ16は、例えば、金属製材料から形成され、その一端部の略中央には、ボルト孔28を介してピストン22の変位量を調整可能なストッパボルト30が螺合される。また、シリンダチューブ16の一端部には、ボルト孔28を中心として四隅に連結ボルト32が挿通される複数の貫通孔34が形成される。この貫通孔34は、ねじ孔46と略平行に設けられ、挿通された連結ボルト32がロッドカバー18に螺合されることにより、前記シリンダチューブ16とロッドカバー18とが連結される。なお、連結ボルト32には、環状のスプリングワッシャ36が挿通され、該連結ボルト32を締結した際にシリンダチューブ16の端面との間に挟持される。
【0019】
また、シリンダチューブ16の側部には、一組の第1及び第2ポート12、14が前記シリンダチューブ16の軸線方向(矢印A、B方向)に所定間隔離間して設けられ、該第1及び第2ポート12、14は、連通路38a、38bを介してそれぞれシリンダ室20a、20bに連通している。なお、第1及び第2ポート12、14は、図示しない圧力流体供給源と配管によって接続されている。
【0020】
一方、シリンダチューブ16の他端部には、シリンダ室20a、20bと同様に断面略長円状に開口した開口部40が形成され、前記開口部40には、シリンダチューブ16の軸線と略直交方向に拡幅した段部42を有する。この段部42は断面略長円状に形成され、シリンダチューブ16の端面に形成されると共に、シリンダ室20a、20bに対して略一定幅で拡幅して形成される。換言すれば、段部42は、シリンダチューブ16の他端部から一端部側(矢印A方向)に向かって所定深さで窪んだ断面略長円状に形成されている。そして、段部42にシール機構26が装着されることにより、シリンダチューブ16の他端部が閉塞されることとなる。
【0021】
ロッドカバー18は、略長方形状のプレート体からなり、その略中央部には、ピストンロッド24が挿通されるロッド孔44が形成され、前記ロッド孔44を中心とした四隅には、連結ボルト32が螺合される複数のねじ孔46が形成される。このねじ孔46は、ロッドカバー18をシリンダチューブ16に装着した際に、貫通孔34と対向する位置にそれぞれ配置される。そして、シリンダチューブ16の貫通孔34に挿通された連結ボルト32が、ロッドカバー18のねじ孔46にそれぞれ螺合されることにより、前記シリンダチューブ16の他端部に対してロッドカバー18が連結される。
【0022】
また、ロッドカバー18には、シリンダチューブ16側(矢印A方向)となる端面に、シール機構26の一部が挿入される凹部48を有する。この凹部48は、ロッド孔44を中心として断面略円形状に形成され、所定深さで窪んで形成される。
【0023】
ピストン22は、シリンダ室20a、20bに対応して断面略長円状に形成され、略中央部に形成された孔部50を介してピストンロッド24の一端部側(矢印A方向)に挿通される。このピストン22の外周面には、リング状のピストンパッキン52が装着され、該ピストンパッキン52がシリンダ室20a、20bの内壁面に当接することにより、前記ピストン22が変位する際に摺動変位することとなる。これにより、ピストン22の一端面側(矢印A方向)となる一方のシリンダ室20aの気密と、該ピストン22の他端面側(矢印B方向)となる他方のシリンダ室20bの気密とが互いに保持される。
【0024】
ピストンロッド24は、略一定直径からなる軸状に形成され、その一端部には半径内方向に縮径した小径部54が所定長さで形成される。この小径部54には、ピストン22が挿通されると共に、該ピストン22に隣接するように筒状のホルダ56が挿通される。そして、この小径部54は、ホルダ56を挿通させた後に、該小径部54の端部に対して押圧力を付与することにより塑性変形させて半径外方向へと拡径させる。これにより、ピストン22及びホルダ56が、ピストンロッド24の一端部に対して加締められる。なお、ホルダ56には、ピストン22とは反対側の端部に半径外方向に拡径した爪部58を有する。
【0025】
この拡径したフランジ部60には、例えば、ウレタン等の弾性材料からなるダンパ62が装着され、前記ダンパ62は、断面略U字状に形成されて該フランジ部60を覆うと共に、ピストン22側(矢印B方向)に向かって延在したフック部64がホルダ56の爪部58に係合される。これにより、ダンパ62は、ピストンロッド24の他端部となるフランジ部60の端面に当接した状態で一体的に装着される。
【0026】
そして、ダンパ62は、シリンダチューブ16に螺合されたストッパボルト30に臨むように設けられているため、ピストン22の変位作用下に前記ダンパ62がストッパボルト30に当接することにより、前記ピストン22及びピストンロッド24の軸線方向(矢印A、B方向)に沿った変位が規制されると共に、ピストンロッド24に付与される衝撃が緩衝される。
【0027】
すなわち、ストッパボルト30は、ピストン22の変位量を規制するストッパとして機能している。また、ストッパボルト30は、シリンダチューブ16に対して螺回させ、該ストッパボルト30のシリンダ室20a側(矢印B方向)への突出量を自在に変化させることにより、ピストン22の変位量を自在に調整することが可能となる。なお、ストッパボルト30によってピストン22の変位量を調整した後、該ストッパボルト30に螺合されたロックナット66を螺回させてシリンダチューブ16の端面に当接させることにより、前記ストッパボルト30のさらなる変位が阻止される。
【0028】
シール機構26は、図3〜図6に示されるように、シリンダチューブ16の他端部とロッドカバー18との間に設けられ、断面略長円状に形成されたプレート(ベース体)68と、前記プレート68の一側面側(矢印A方向)に配設され、シリンダチューブ16との間に挟持されるシール部材70とを含む。
【0029】
このプレート68は、例えば、金属製材料から略一定の厚さで形成され、その外周部位が、シリンダチューブ16の段部42に係合される。また、プレート68の略中央部には、ピストンロッド24が挿通される挿通孔72が形成され、該挿通孔72の内周径は前記ピストンロッド24の直径より若干だけ大きく設定される。
【0030】
なお、上述したプレート68は、金属製材料から形成される場合に限定されるものではなく、例えば、硬質の樹脂製材料から形成するようにしてもよい。
【0031】
シール部材70は、プレート68の断面形状に対応して弾性材料(例えば、ゴム、ウレタン樹脂)から断面略長円状に形成され、前記プレート68の側面に対して接着剤等を介して貼着されている。このシール部材70は、ピストン22に臨むようにプレート68の一側面68a側(矢印A方向)に設けられるシート部(第1シール部)74と、前記プレート68の内周部位に設けられ、ピストンロッド24の外周面24aに摺接するパッキン部(第2シール部)76と、ロッドカバー18側(矢印B方向)となる前記プレート68の他側面68b側に設けられるガイド部78とを含む。
【0032】
シート部74は、略一定の厚さで形成され、該シート部74の外周部位には、ピストン22側(矢印A方向)に向かって環状に突出した凸部(第1シール部)80(図5参照)を有する。この凸部80は、シール機構26がシリンダチューブ16の段部42に装着された際に、該シリンダチューブ16の端面に臨む位置に形成される。すなわち、シール部材70を含むシール機構26がシリンダチューブ16とロッドカバー18との間に装着された際、凸部80がシリンダチューブ16における段部42の端面に当接して押しつぶされることにより、前記シリンダチューブ16とロッドカバー18との間の気密が確実に保持される。換言すれば、シート部74における凸部80は、シリンダチューブ16とロッドカバー18との間の気密を保持可能なガスケットとして機能する。
【0033】
なお、凸部80は、シリンダチューブ16側に臨む位置に設けられる場合に限定されず、例えば、ロッドカバー18側に設けるようにしてもよいし、前記シリンダチューブ16側及びロッドカバー18側にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0034】
一方、シート部74の内周部位には、該シート部74の延在方向と略直交し、プレート68側(矢印B方向)に向かって延在するパッキン部76が設けられる。このパッキン部76は、プレート68の一側面68a側から他側面68b側に向かって挿通孔72を挿通し、ピストンロッド24側に向かって所定角度で突出した一組の第1及び第2リップ82、84を有する。第1リップ82は、シート部74の下部側に配置され、ピストン22側(矢印A方向)に向かって突出するように形成される。一方、第2リップ84は、後述するガイド部78の下部側に配置され、ロッドカバー18側(矢印B方向)に向かって突出するように形成される。すなわち、第1リップ82と第2リップ84とは、挿通孔72に挿通された部位を中心として互いに離間する方向(矢印A、B方向)へと所定角度で突出し、それぞれピストンロッド24の外周面24aに摺接している。なお、パッキン部76は、挿通孔72の内周面に対して貼着されている。
【0035】
第1リップ82は、ピストンロッド24の外周面24aに当接することにより、シリンダチューブ16の外部とシリンダ室20a、20bとの気密を保持する。第2リップ84は、ピストンロッド24がシリンダチューブ16の外部へと突出した際に付着した塵埃等が前記シリンダチューブ16の内部に進入することを防止するスクレーパとして機能する。
【0036】
換言すれば、第1及び第2リップ82、84を含むパッキン部76は、ピストンロッド24の外周面24aに摺接し、シリンダチューブ16内の気密を保持可能なロッドパッキンとして機能している。
【0037】
また、パッキン部76を構成する第2リップ84の外周側には、半径外方向に所定半径でガイド部78が延在している。このガイド部78は、円盤状に形成され、プレート68の他側面68bに貼着されている。そして、シール機構26がシリンダチューブ16とロッドカバー18との間に装着された際、ガイド部78が前記ロッドカバー18の凹部48に収容される。なお、ガイド部78は、シール部材70をプレート68に対してより一層確実且つ強固に装着する補強として設けられる。
【0038】
このように、シール部材70は、挿通孔72を介してプレート68の内周部位を略U字状となるように覆うように一体的に装着されている。
【0039】
本発明の実施の形態に係る流体圧機器のシール構造が適用されたシリンダ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にシール機構26をシリンダ装置10に対して組み付ける場合について説明する。
【0040】
最初に、ピストン22及びピストンロッド24をシリンダチューブ16のシリンダ室20a、20bへと挿通させ、前記ピストンロッド24の他端部側(矢印B方向)から挿通孔72を介してシール部材70のシート部74がシリンダチューブ16側(矢印A方向)となるようにシール機構26を挿通させる。詳細には、ピストンロッド24は、プレート68の挿通孔72に挿通されると共に、該挿通孔72に設けられたシール部材70のパッキン部76の内部に挿通される。これにより、パッキン部76の第1及び第2リップ82、84がピストンロッド24の外周面24aに当接することとなる。
【0041】
そして、シール部材70及びプレート68を含むシール機構26がシリンダチューブ16の段部42に係合され、前記シール部材70のシート部74に形成された凸部80が前記段部42の端面に当接する。
【0042】
最後に、シール機構26のガイド部78側からロッドカバー18をシリンダチューブ16に装着し、該シリンダチューブ16に挿通された複数の連結ボルト32をねじ孔46に螺合させることにより、前記ロッドカバー18とシリンダチューブ16との間にシール機構26が挟持されて保持される。
【0043】
すなわち、シール部材70を構成するパッキン部76の第1及び第2リップ82、84が、ピストンロッド24の外周面24aに対して常に当接しているため、シリンダ室20bにおける気密が確実に保持され、該ピストンロッド24とロッドカバー18との間から外部への圧力流体の漏出が防止される。
【0044】
また、シール部材70を構成するシート部74の凸部80がシリンダチューブ16の段部42に当接しているため、シリンダ室20bにおける気密が確実に保持され、前記シリンダチューブ16とロッドカバー18との間からの圧力流体の漏出が防止される。
【0045】
このように、シール機構26を構成するシール部材70によってシリンダチューブ16とロッドカバー18の間からの圧力流体の漏出と、該ロッドカバー18とピストンロッド24の間からの圧力流体の漏出とを防止することができる。そのため、パッキン部材、Oリングを別々に設けて気密の保持を行っていた従来の流体圧機器と比較し、部品点数の削減を図ることができると共に、シール部材70を含むシール機構26を一体的な構成としているため、シリンダ装置10に対して簡便に組み付けることが可能となり、前記シリンダ装置10に対する組付性を向上させることができる。それに伴って、シリンダ装置10の生産性を向上させることも可能となる。
【0046】
また、弾性材料からなるシール部材70を、金属製材料からなるプレート68に一体的に装着することにより、該プレート68が所定の剛性を有しているため、前記シール部材70を単体で取り扱う場合と比較し、その取扱性が良好となる。
【0047】
次に、このようにシール機構26が組み付けられたシリンダ装置10の動作について簡単に説明する。
【0048】
先ず、図3に示されるピストンがロッドカバー18から離間する方向(矢印A方向)へと変位した状態で、図示しない圧力流体供給源から第1ポート12に圧力流体を供給することにより、該圧力流体が連通路38aを通じて一方のシリンダ室20aへと導入される。なお、この場合、第2ポート14は大気開放状態としておく。そして、一方のシリンダ室20aに導入された圧力流体の押圧作用下にピストン22がピストンロッド24と共に一体的にロッドカバー18側(矢印B方向)に向かって変位する(図7参照)。この際、ピストン22に装着されたピストンパッキン52によって一方のシリンダ室20aの気密が確実に保持される。
【0049】
次に、図示しない切換弁による切換作用下に第1ポート12に供給されていた圧力流体を第2ポート14へと供給する。この際、第1ポート12は大気開放状態としておく。そして、第2ポート14から連通路38bを通じて他方のシリンダ室20bへと圧力流体が供給され、該圧力流体による押圧作用下にピストン22がロッドカバー18から離間する方向(矢印A方向)へと変位する。これにより、ピストンロッド24が一体的に変位し、その一部がシリンダチューブ16の内部に収容される。この際、他方のシリンダ室20bに導入された圧力流体は、シール機構26を構成するパッキン部76によってピストンロッド24とロッドカバー18との間からの漏出が阻止され、且つ、シート部74の凸部80によって前記ロッドカバー18とシリンダチューブ16との間からの漏出が阻止される。さらに、ピストンロッド24の外周面24aに付着した塵埃等は、シール機構26を構成する第2リップ84によって好適に除去されるため、シリンダ室20bへと進入することがない。
【0050】
最後に、ピストン22が変位してピストンロッド24の一端部に装着されたダンパ62がストッパボルト30の端部に当接することにより、前記ピストン22の変位が規制される(図3参照)。
【0051】
なお、上述した本発明に係るシール機構26では、ガスケットとして機能するシート部74及び凸部80と、ロッドパッキンとして機能するパッキン部76とをシール部材70に対して一体的に設ける構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、ピストンロッド24を軸線方向に沿って変位自在に支持するブッシュ(図示せず)を前記シール部材70に一体的に設けるようにしてもよい。さらには、シール機構26をロッドカバー18と一体的に設けるようにしてもよい。これにより、シリンダ装置10に対するシール機構26の組付性をより一層向上させることが可能となる。
【0052】
本発明に係る流体圧機器のシール構造は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係る流体圧機器のシール構造が適用されたシリンダ装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示すシリンダ装置の分解斜視図である。
【図3】図1のシリンダ装置の全体縦断面図である。
【図4】図3のシリンダ装置におけるシール機構近傍の拡大断面図である。
【図5】図4のシリンダ装置においてシール機構及びロッドカバーを分解した状態を示す拡大断面図である。
【図6】図2に示すシール機構を別の方向から見た斜視図である。
【図7】図3のシリンダ装置においてピストンがロッドカバー側に向かって変位した状態を示す全体縦断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10…シリンダ装置 16…シリンダチューブ
18…ロッドカバー 20a、20b…シリンダ室
22…ピストン 24…ピストンロッド
26…シール機構 30…ストッパボルト
32…連結ボルト 42…段部
44…ロッド孔 52…ピストンパッキン
62…ダンパ 68…プレート
70…シール部材 72…挿通孔
74…シート部 76…パッキン部
78…ガイド部 80…凸部
82…第1リップ 84…第2リップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブのシリンダ室に供給される圧力流体の作用下に前記シリンダ室に沿ってピストンが変位する流体圧機器において、前記シリンダ室内の気密を保持する流体圧機器のシール構造であって、
前記シリンダチューブの開口端部に装着され、該開口端部を閉塞するカバー部材と前記シリンダチューブとの間に挟持される第1シール部と、前記ピストンに連結されたピストンロッドの外周面を囲繞する第2シール部とを有するシール部材を備え、
前記シール部材が弾性材料から形成されることを特徴とする流体圧機器のシール構造。
【請求項2】
請求項1記載の流体圧機器のシール構造において、
前記シール部材は、プレート状に形成されたベース体に一体的に装着され、該ベース体と共に前記カバー部材と前記シリンダチューブとの間に挟持されることを特徴とする流体圧機器のシール構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流体圧機器のシール構造において、
前記第1シール部は、前記シリンダチューブ及び前記カバー部材側の少なくともいずれか一方側に向かって突出した凸部からなることを特徴とする流体圧機器のシール構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体圧機器のシール構造において、
前記第2シール部は、前記ピストンロッドの外周面に向かって突出して当接するリップからなり、該ピストンロッドが変位する際に前記リップが前記外周面に対して常に摺接することを特徴とする流体圧機器のシール構造。
【請求項5】
請求項4記載の流体圧機器のシール構造において、
前記リップは、前記ピストンロッドの変位方向に沿って所定間隔離間して一組設けられ、一組のリップが互いに離間する方向に所定角度傾斜して延在することを特徴とする流体圧機器のシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−57752(P2008−57752A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238803(P2006−238803)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】