説明

流体排出装置および記録装置

【課題】 複数の流路を合流させた合流流路を介して流体を吸引して、前記複数の流路に滞留した液体を良好に排出させることのできる流体排出装置提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の流路と、
前記複数の流路を合流させた合流流路を介して前記複数の流路から流体を吸引して排出させる吸引手段と、
前記複数の流路の各々に設けられ、前記複数の流路を選択的に大気開放する大気開放弁と、
前記複数の流路の各々に設けられ、前記大気開放弁を閉じた状態で前記吸引手段が吸引したときに、前記各流路から前記合流流路への流体の流れを許容するバッファ手段と、
前記大気開放弁を閉じた状態で、前記吸引手段によって前記バッファ手段が許容する流れによって流体を排出することを特徴とする流体排出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体排出装置に関し、特にインクジェット記録ヘッドを有する記録装置であって記録ヘッドから泡を排出する構成を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録装置は、ランニングコストが安く、装置の小型化も可能である。さらに、複数色のインクを用いてカラー画像記録に対応することも容易であることから、コンピュータ関係の出力機器等に幅広く利用され、商品化されている。
【0003】
一方、記録ヘッドの吐出口からインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子としては、ピエゾ素子などの電気機械変換体を用いたものがある。また、レーザーなどの電磁波を照射して発熱させ、この発熱による作用でインク滴を吐出させるものもある。あるいは、発熱抵抗体を有する電気熱変換素子によって液体を加熱させるもの等がある。
【0004】
その中でも熱エネルギーを利用してインク滴を吐出させる方式のインクジェット記録方式のヘッドは、吐出口を高密度に配列することができるため、高解像度の記録が可能である。電気熱変換素子をエネルギー発生素子として用いた記録ヘッドは、小型化も容易である。かつ、最近の半導体分野における技術の進歩と信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術の長所を十二分に活用でき、高密度実装化が容易で製造コストも安価なことから有利である。
【0005】
また最近では、より高精細の印字を行うために、インクを吐出するためのノズルを、フォトリソ技術を用いて高精度に作成する方法等も利用されてきている。
【0006】
次に、このような記録ヘッドへインクを初期充填する手順を図10を用いて説明する。
【0007】
図10のプリンターでは回復ユニットのキャップ207aで記録ヘッド201のノズルフェース面を覆い密閉状態にしてから、前記キャップと連通している吸引ポンプにて吸引する。吸引によって記録ヘッド201のインク流路内を負圧にしてインクをノズルよりキャップへ排出すると同時にインク内に含まれている気泡も一緒にノズルから排出することで気泡処理をおこなう。
【0008】
ただしこのような吸引回復方式による気泡除去では記録ヘッド内部の気泡除去は可能であるが、回復動作時に廃インクが発生してしまう。
【0009】
前記吸引回復方式の課題を解決する技術として、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1においては、記録ヘッド内のサブタンクの上部に接続された排気チューブを介して減圧ポンプによりサブタンク内を減圧しサブタンク内部の気泡を廃インクタンク内へ送る。それと同時にインク室内へインクが供給され、液面が上昇するが、インクより比重の軽いフロート部材が液面とともに上昇して自動的に排気チューブを塞ぎ、排気チューブからインクが排出されることを阻止する。このような構成により、サブタンク内の気泡除去動作を廃インクを発生させずに行なうことが可能となる。
【特許文献1】特開2000−309109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、各色のヘッド毎に排気チューブが接続されているが全ての排気チューブは下流で1本のメインチューブに合流する構成になっている。
【0011】
サブタンクから気泡を排出させるための吸引ポンプはメインチューブの途中に設けられている。
【0012】
特許文献1の構成では、フロート弁がインクの排出を阻止しても少量のインクが排気チューブに側に漏れ、排気チューブの途中に滞留したままになることがある。その後の長期放置などにより滞留したインクが固着することにより、前記流路を詰まらせる問題点が発生する。
【0013】
特許文献1の構成では、各色のインクの消費量にばらつきがあるため、サブタンク内のインクの液面の高さにもばらつきが生じる。従って合流したメインチューブから吸引を行うと、フロート弁はインク液面の高いサブタンクのものから順に閉じるため、各排気チューブから排出される空気の量は均一でない。このように複数の排気チューブが合流した流路から吸引する構成では、すべての分岐路から滞留したインクを均一に抜くことは難しい。
【0014】
本発明は、複数の流路を合流させた合流流路を介して流体を吸引して、前記複数の流路に滞留した液体を良好に排出させることのできる流体排出装置提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため本発明の構成は、
複数の流路と、
前記複数の流路を合流させた合流流路を介して前記複数の流路から流体を吸引して排出させる吸引手段と、
前記複数の流路の各々に設けられ、前記複数の流路を選択的に大気開放する大気開放弁と、
前記複数の流路の各々に設けられ、前記大気開放弁を閉じた状態で前記吸引手段が吸引したときに、前記各流路から前記合流流路への流体の流れを許容するバッファ手段と、
前記大気開放弁を閉じた状態で、前記吸引手段によって前記バッファ手段が許容する流れによって流体を排出することを特徴とする流体排出装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、複数の流路を合流させた合流流路を介して流体を吸引して、前記複数の流路に滞留した液体を良好に排出させることのできる流体排出装置提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置におけるインク供給の基本原理を説明するための図である。図2は、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置の構成を概略的に示す斜視図である。図3は、図2のインクジェット記録装置における1色分のインク供給流路を説明するための概略図である。さらに図6は図1、図2など本実施例におけるインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0019】
まず、本実施形態のインクジェット記録装置50における記録ヘッド1へのインク供給の基本原理について図1を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、インクジェット記録装置50では、記録ヘッド1とメインタンク4とが供給チューブ6を通して連通されており、メインタンク4から記録ヘッド1の各吐出ノズル(吐出口)1eまでの流路がインクで満たされている。記録ヘッド1の吐出ノズル1eは、メインタンク4内に収容されたインクの液面よりも高さHだけ高い位置に配置され、記録ヘッド1内の圧力が高さHの水頭差分の負圧に保たれた状態となっている。このように、負圧発生手段としてメインタンクと記録ヘッドの吐出ノズル面との高低差により記録ヘッド内のインクに負圧を発生させているシステムが採用されている(水頭差方式と呼ぶ)。なお、記録ヘッド1内には、一定量のインクが蓄えられている。また、記録ヘッド内部のインクに通常負圧を発生させる方式としては、水頭差方式以外の方式であっても構わない。
【0021】
記録ヘッド1の吐出ノズル1eは、微細な穴として設けられている。上記の通り記録ヘッド1内が負圧となっていることにより、吐出ノズル1eの内部も負圧とされており、その結果、ノズル内のインクはノズル先端側でメニスカスを張った状態となっている。これにより、吐出ノズル1eからインクが漏れたり、大気から吐出ノズル1e内への空気が進入したりすることが防止される。インクの吐出は、各吐出ノズル1e内部に配置したヒータ(不図示)の膜沸騰エネルギーにより、吐出ノズル1e内のインクを押し出すことにより行われる。インクの吐出後、吐出ノズル1eの毛管力によってノズル内に再びインクを満たすサイクルが繰り返され、インクは、供給チューブ6を通してメインタンク4から記録ヘッド1へと再び吸い上げられる。
【0022】
図3に示すように、制御手段であるコントローラ600は、MPU601、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM602を有している。コントローラ600の特殊用途集積回路(ASIC)603は、キャリッジモータM1、搬送モータM2、回復ユニットの吸引ポンプモータM3の制御を行う。ASIC603は、さらに回復ユニットの三方弁ソレノイドSD1、弁駆動ユニットの弁駆動モータM4、記録ヘッド3の制御信号を生成する。
【0023】
604は画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等が設けられるRAMである。605はRAM604、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行うシステムバスである。
【0024】
さらにコントローラ600は以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606などを有している。
【0025】
また、図3において、610は画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)でありホスト装置と総称される。ホスト装置610と記録装置1との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
【0026】
620は操作者による指令入力を受けるためのスイッチから構成されるスイッチ群である。スイッチ群620は、電源スイッチ623、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、及び記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ621などを含む。
【0027】
630は、装置状態を検出するためのセンサ群である。センサ群630は、位置センサ631、弁駆動位置センサ632、タイマー手段633、などから構成される。位置センサ631はキヤリッジのホームポジションhを検出するためのフォトカプラなどにより構成される。弁駆動位置センサ632は、記録ヘッド1内を大気開放する大気開放手段である大気開放弁1iの高さ位置を検知する。具体的には、大気開放弁1iの高さ位置を制御する弁駆動ユニット内の例えばカム機構のホームポジション位置を検出するためのフォトカプラなどにより構成される。タイマー手段633は、泡抜き吸引動作タイミング、時間などをコントローラ600内のMPU601に知らせる。
【0028】
640はキャリッジ2を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
【0029】
643は吸引ポンプを作動させるための吸引ポンプモータM3を駆動させる吸引ポンプモータドライバ、644は弁駆動モータM4を駆動させるための弁駆動モータドライバである。
【0030】
以上のような構成で、記録装置本体はインタフェース611を介して転送された記録データのコマンドを解析し、記録に用いる画像データをRAM602に展開する。
【0031】
画像データの展開領域(展開バッファ)は2次元の矩形領域である。画像データの展開領域の横サイズはキャリッジ移動方向(主走査方向)の記録可能領域分の画素数Hpに対応させる。画像データの展開領域の縦サイズは記録ヘッドの1回の記録走査で記録される記録媒体の搬送方向(副走査方向)の画素数である16×16cの4分の1(すなわち64c画素)に対応したものとして構成し、これをRAM602に確保する。
【0032】
また、記録走査において記録ヘッド1に記録データを転送するために参照されるRAM602上の記憶領域(プリントバッファ)も2次元の矩形領域である。記憶領域は、その横サイズは主走査方向の記録可能領域分の画素数Vpに対応し、縦サイズを記録ヘッドの1回の記録走査で記録される副走査方向の画素数である16×16cに対応したものとして構成する。
【0033】
ASIC603は、記録ヘッド1による記録走査の際に、RAM602の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子(吐出ヒータ)の駆動データ(DATA)を転送する。
【0034】
図2に示す、シリアル型のインクジェット記録装置50では、給送ローラ3によって副走査方向である矢印A方向に搬送される記録用シートSに対し主走査方向に異動する記録ヘッド1によって記録が行われる。
【0035】
記録ヘッド1の主走査方向における往復移動(主走査)と、記録用シートSの所定ピッチごとの副走査方向への搬送(副走査)とが交互に繰り返される。これらの動きと同期させながら記録ヘッド1の複数の吐出ノズル1gから選択的にインクを吐出させて記録用シートSに付着させることで、文字や記号、画像等を形成する。
【0036】
記録ヘッド1は、2本のガイドレール20、21に摺動自在に支持され不図示のモータ等の駆動手段によりガイドレールに沿って往復移動されるキャリッジ2に着脱可能に搭載されている。
【0037】
記録用シートSは、搬送ローラ3により、記録ヘッド1のインク吐出面に対面し、かつ、インク吐出面との距離を一定に維持するように、キャリッジ2の移動方向と交差する方向(例えば、直行する方向である矢印A方向)に搬送される。また、記録ヘッド1のノズル列は、記録ヘッド1の主走査方向とほぼ直交した方向に延びている。記録ヘッド1から吐出されるインクの色に対応して、複数の独立したメインタンク4が、インク供給ユニット5に着脱可能に装着されるように構成されている。そして、インク供給ユニット5と記録ヘッド1とは、それぞれのインクの色に対応した複数の供給チューブ6によって接続されている。メインタンク4をインク供給ユニット5に装着することで、メインタンク4内に収納された各色のインクを、記録ヘッド1の各ノズル列に独立して供給することが可能となっている。
【0038】
回復ユニット7は、記録ヘッド1の往復移動範囲内であって、かつ、記録用シートSの通過範囲外の領域である非記録領域に、記録ヘッド1のインク吐出面と対面するように、また、インク供給ユニット5と隣接するように配置されている。
【0039】
図4に示すようにインクジェット記録装置は、インクを吐出するための記録ヘッド1と、記録ヘッド1にインクを供給するためのインク供給ユニット5と、記録ヘッド1に対して回復動作を行なう回復ユニット7とに大別される。以下記録ヘッド1、インク供給ユニット5、および回復ユニット7の各構成について順に説明する。
【0040】
記録ヘッド1の上部側には、一定量のインクを貯留するための貯留部として構成されたサブタンク部1aが設けられている。サブタンク部1aの下部には、並列に配列された複数の吐出ノズル1eにインクを直接供給する液室1cが形成されている。サブタンク部1aと液室1cはそれぞれ貯留部を構成する。
【0041】
また、サブタンク1bの側面には供給チューブ6が接続されるコネクタ挿入口が設けられている。サブタンク部1aと液室1cとの境界には、開口部が形成されており、その開口部には流入フィルタ1bが配置されている。このようにしてサブタンク部1aは、流入フィルタ1b、および液室1cを介して各吐出ノズル1eと繋がっており、各吐出ノズルへインクを供給する流路構成となっている。
【0042】
吐出ノズル1eは、断面径が20μm程度の微細な筒状の構造を持ち、吐出ノズル1e内のインクに吐出エネルギーを与えることでインクを吐出ノズル1eから吐出させる。インクの吐出後、吐出ノズル1eの毛管力により吐出ノズル1e内にインクが満たされる。通常、高速な画像形成を目的として、この吐出動作は20kHz以上のサイクルで繰り返される。吐出ノズル1eg内のインクに吐出エネルギーを与えるために、記録ヘッド1は、吐出ノズル1eごとにエネルギー発生手段を有している。本実施形態では、エネルギー発生手段として、吐出ノズル1e内のインクを加熱する発熱抵抗素子を用いている。ヘッド制御部であるコントローラ基板600からの指令(駆動信号)により発熱抵抗素子を選択的に駆動し、所望の吐出ノズル1g内のインクを膜沸騰させる。この膜沸騰により生じる気泡の圧力を利用して吐出ノズル1eからインクを吐出させている。
【0043】
なお上述したように、インクはメニスカスを形成した状態で吐出ノズル1e内を満たしており、これを実現するため、記録ヘッド1の内部、特に吐出ノズル内は負圧の状態に保たれている。ここで、この負圧が小さすぎると、吐出ノズルの先端に異物やインクが付着した場合、インクのメニスカスが崩れてインクが吐出ノズルが漏れ出てしまうことがある。また逆に負圧が大きすぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーよりも吐出ノズル1g内にインクを引き戻す力が強くなってしまい、吐出不良の原因となる。したがって、吐出ノズル内における負圧は、大気圧よりも若干低い一定の範囲に保たれていることが好ましい。
【0044】
この負圧の範囲は、例えば、−40mmAq(約−0.0040atm=−4.053kPa)〜−200mmAq(約−0.0200atm=−2.0265kPa)(ただし、インクの比重≒水の比重とする)の範囲であることが好ましい。ただし、この負圧の範囲は、吐出ノズル1gの数、断面積、発熱抵抗素子の性能等により異なる。
【0045】
流入フィルタ1bは、吐出ノズルを詰まらせるような異物がサブタンク部1aから液室1cへ流出するのを防止するためのものである。またさらに流入フィルタ1bは吐出ノズルの断面幅よりも小さい10μm以下の微細孔を有する金属メッシュで構成されている。微細孔のサイズが小さいほどメニスカスの強度は強くなり、また、空気をより通しにくくなる。
【0046】
流出フィルタ1dも流入フィルタ同様に吐出ノズルを詰まらせるような異物が流出フィルタ1d上部の排出流路から流入するのを防止するためのものであり、フィルタ材質、メッシュサイズ等は前記流入フィルタと同様なものが好ましい。
【0047】
次にサブタンク1aや液室1cなどの貯留部内から泡などの流体を排出する流体排出装置について説明する。
【0048】
そして前記サブタンク1a上部と、液室1c上部には気泡などの流体を排出する排出流路が形成され、気泡排出流路(流路)1jに接続されている。さらに下流側においては各色毎の気泡排出流路1jが合流した合流流路である合流気泡排出流路1rとなる。合流気泡排出流路1rは、前記記録ヘッドが主走査方向に往復移動可能となるように排気専用の可撓性チューブにて回復ユニット内の吸引ポンプ7cに接続されている。前記液室上部の排出流路との接合部には流出フィルタ1dが配置されている。
【0049】
前記各色ヘッド毎の複数(本実施例の場合2つのフロート弁)のフロート弁1uに接続された前記気泡排出流路1jの最上流位置には大気開放弁1iが各色毎に設けられている。大気開放弁1iは、気泡排出流路内部と大気を遮断するためのものである。
【0050】
前記大気開放弁1iは、大気開放弁体を圧縮バネにより前記気泡排出流路内壁へ押し付けることで大気と遮断を行なう弁構成である。また記録ヘッドが非印字位置(退避ポジション)の時、前記大気開放弁の弁体をプリンタ本体側に配置された弁駆動ユニット8(例えばカム機構など)により前記大気開放弁の弁体を押すことで前記気泡排出流路内部を大気と開放させる構成となっている。
【0051】
複数色の気泡排出流路1jは下流側で合流され1本の合流気泡排出流路1rとなっている。またさらに下流側に配置された吸引ポンプ7cにより複数色のヘッドより排出された気泡とインクを一括して廃インクとしてメインタンク4に排出する構成となっている(図4記載)。
【0052】
本実施例では合流気泡排出流路1rは排気専用の可撓性チューブにて回復ユニット内の吸引ポンプ7cに接続されている構成としたが他の方式でも構わない。
【0053】
例えば、記録ヘッドに各色毎の気泡排出口が設けられ、記録ヘッドが回復ユニットと対向する位置に移動したときに前記各気泡排出口と吸引ポンプが接続される構成も考えられる(以下ピットイン方式と呼ぶ)。記録装置本体の回復ユニット側に吸引ポンプに接続された気泡排出キャップを設け、記録ヘッドが回復位置に移動したとき前記気泡排出キャップで気泡排出口を密閉状態で覆う。そして、前記回復ユニットの吸引ポンプで気泡排出口から気泡排出路内部の泡抜きを行えばよい。
【0054】
また、1つの吸引ポンプ7cで複数色分の気泡排出口を一括同時に排出する構成(ピットイン構成と呼ぶ)であっても構わない。
【0055】
次に、貯留部内の気体の排出を許容し、液体の排出を阻止する気液分離手段であるフロート弁1uについて詳細に説明する。
【0056】
フロート弁1uは、液室1c側の流出フィルタ1dの上方と、前記サブタンク1aのそれぞれの排出流路途中に配置されたフロートハウジング1s、1n(フロート室)を備えている。フロートハウジング1s、1n(フロート室)の内部にはフロート部材1f、1gが移動可能に設けられている。フロート部材1f、1gは液体であるインクよりも比重の小さい部材より成り、インクの液面の上昇とともに上方に移動する。フロート室1s、1nの上部にはフロートシール部材1hが形成され、インクの液面とともに上昇したフロート部材1f、1gがフロートシール部1hに当接することによって、排出流路を遮断することができる。
【0057】
主成分が水であるインクよりも比重の小さいフロート部材としては、例えば比重が0.93であるポリプロピレン(PP)が好ましい。フロート部材はその他の材質でインク媒体主成分である水よりも比重の小さい材質であれば他の材質であっても構わない。例えば水よりも比重の重い材質であっても、フロート部材内部に空間領域が形成された中空構造になっており、前記中空構造のフロート部材全体が水よりも比重が軽い構成であっても構わない。
【0058】
またフロート部材1f、1gは、前記フロートシール部材1hとの接触性が良好な形状が必須である。例えば図4に示すフロートシール部材1hには円形の穴が形成されているが、これに対しては球形状、シート形状などが好ましい。球形状、シート形状以外の接触性のよい形状であってもかまわない。
【0059】
また、非弾性材質であるPP材質のフロート部材に対して、フロートシール部材1hを、弾性を有するエラストマー樹脂、ゴム材質などで形成するとフロート部材との接触領域が広がり接触性能が上がる。フロートシール部材はエラストマー樹脂、ゴム材質以外の材質であってもかまわない。
【0060】
図5(a)〜(c)は各図4に示した前記フロート弁1u(点線内)の詳細構成図である。また、プリンタ本体側に配置された弁駆動ユニット8により前記フロート弁1uを駆動させたときの各モード別の弁制御位置を示したものである。
【0061】
前記フロート弁1uは、フロート部材1gより上部位置に押圧弁1oが配置されている。押圧弁1cは押圧弁部材10を有し、印字時などは押圧弁ばね1lにより押圧弁体10が弁座10cに押圧されて遮断状態となっている(第一ポジション、図5(a)の状態)。また前記押圧弁部材10は上下方向にニードル状部材を備えた形状である。上側のニードル状部材は押圧弁部材1oを開くための被駆動部10aである。外部の弁駆動ユニット8が被駆動部10aを押すことによって押圧弁部材10が押し下げられ、弁部材10が弁座10cから離れてフロートハウジング1nが気泡排出流路1jに連通される。
【0062】
押圧弁部材10の下側のニードルは前記弁駆動ユニット8が押圧弁部材10を押下げた時にフロート1gを押下げるためのフロート押し下げ部10bである。
【0063】
フロート弁1uは、被駆動部10aを外部(弁駆動ユニット8)より押し下げ可能で、しかも気泡排出流路1j内部が大気から遮断状態となるように、流路一部が可撓膜1mとなっている。可撓膜1mは例えばゴム材質(EPDM、ブチルゴムなど)から成る構成が考えられるが、他の材質構成であってもかまわない。
【0064】
図5(b)は前記弁駆動ユニット8により被駆動部10aを押すことにより、押圧弁部材10が弁座10cから離れ、押圧弁1oが開放した状態である(第二ポジション)。図5(c)は弁駆動ユニット8が前記被駆動部10aを最下位置まで押下げた状態で、押圧弁1oが開放状態で、フロート押し下げ部10bがフロート1gを押下げた状態である(第三ポジション)。
【0065】
泡抜き吸引時は、まず、図5(c)のように弁駆動ユニット8が前記押圧弁部材10を最下位置まで押下げ、フロート押し下げ部10bがフロート1gを押し下げてフロートシール部材1hから離間させる。フロート1gが粘性の高くなったインクによりフロートシール部材1hに粘着している場合でも、フロート押し下げ部10bによってフロート1をフロートシール部材1hから離間させることができる。また、フロートハウジング1n内に泡が充満している場合も、フロート1gが泡によってインク液面まで下がらないことがある。このような場合でもフロート押し下げ部10bによってフロート1をフロートシール部材1hから充分に離間させることができる。
【0066】
次に図5(b)の第二ポジションまで押圧弁1oを上昇させて吸引ポンプ7cを作動させる。各色のサブタンク1aと液室1cの泡が排出され、液面が上昇すると各フロート1gが浮力により上昇しフロートシール部材1hに密着してサブタンク1aと液室1cが気泡排出流路1jから遮断される。その後弁駆動ユニット8を作動させ、押圧弁1oを第一ポジションに位置させた状態(図6(a))で、さらに前記吸引ポンプを作動し続ける。気泡排出流路1j内部の圧力(負圧)がさらに下げられ、それぞれの可撓膜1mが萎む構成となっている(図6(b)の状態)。可撓膜1mは萎むことにより容積が小さくなるバッファ室を形成している。可撓膜1mは大気開放弁1iとフロート弁1uが閉じた状態で気泡排出流路1jから流体が合流気泡排出流路1rに流れることを許容するバッファ手段を構成する。
【0067】
大気圧をPo(kPa)、サブタンク1aと液室1cから泡抜き動作を行なっている最中の気泡排出流路1j内部の圧力値をP1とする。泡抜き動作終了後すべての押圧弁1oと大気開放弁1iを閉じた状態での前記気泡排出流路1j内部の圧力値をP2とする。
【0068】
前記P1とP2の関係は、
P2<P1<Po
であり、流路内部の圧力損失(流路径、流入フィルタ、流出フィルタ、などでの圧力損失)により異なってくるが通常
Po−20kPa<P1<Po
であり、
P2<Po−20kPa
である。よって前記可撓膜1mは通常泡抜き動作最中の圧力(P1)では前記負圧(P1)により萎まず、かつ負圧値がP2時では膜自体が負圧により萎むような膜剛性力とすることが好ましい。
【0069】
またさらに前記可撓膜1mは内部の負圧により萎みやすい形状がよい。例えば図6などに示す如く可撓膜1mの気泡排出流路1j側が凹形状であることにより気泡排出流路1j内部に空間を形成している形状が好ましい(例えば円筒形状のもの)。
【0070】
次に、インク供給ユニットとそれに接続されているメインタンクについて説明する。
【0071】
図4のメインタンク4は、インク供給ユニット5に対して着脱可能な構成である。剛性を有するインクケース4a内部には液体のインクを収容するためのインク袋4bが内臓され、インク袋4bの一部にはインク流出口が備えられている。またインクケース4a内部のインク袋周辺は大気に開放された状態である。
【0072】
またインク供給ユニット5へ装着されたメインタンク4は、供給ユニット5側に配置されたインク供給針がメインタンク側のインク流入口を突き刺しインク袋内部のインクと連通する構成となっている。メインタンク4がインク供給ユニット5に装着された時、メインタンク4内のインクはインク供給針、インク供給チューブ6を介して記録ヘッドのサブタンク部1aに供給される。インク供給チューブ6は、前記記録ヘッド1が印字時等に主走査方向の往復移動が可能なように、少なくとも一部分が可撓性チューブより構成されている。
【0073】
以上のようなメインタンク4から記録ヘッド1までのインク供給流路構成が各色分設けられている(例えば4色プリンタの場合ブラック、イエロー、シアン、マゼンタなど)。
【0074】
次に回復ユニット7について説明する。
図4に示す如く回復ユニット7は減圧側で使用する吸引ポンプ7cが内臓され、吸引キャップを介して記録ヘッド1の各吐出ノズル1gからそのノズル内のインクまたは空気を強制的に吸い出し、吐出ノズル1gのクリーニングを行なう。吸引ポンプ7cは、三方弁7bにより前記記録ヘッドのサブタンクと液室から気泡を排出するための気泡排出流路とも接続され、前記サブタンクと液室内の気泡を除去する構成となっている。
【0075】
回復ユニット7は吐出ノズルからインクと気泡を吸引する回復機能と、前記フロート弁1uを介して記録ヘッド内の各インク室内の気泡を排出する泡抜き機能を有している。またさらには記録ヘッドの吐出面をキャッピングするキャップ手段を有している。
【0076】
前記吸引キャップ7aはチューブ7eによって三方弁7bが接続され、三方弁7bはチューブ7fによって吸引ポンプ7cと接続されている。吸引ポンプ7cは、ポンプモータM3(図3)によって駆動されるようになっている。これら吸引キャップ7a、チューブ7e、7f、吸引ポンプ7c、およびポンプモータM3が、所定時に記録ヘッド1内のインクを吐出ノズルから吸引するための吸引手段として設けられている。
【0077】
吸引キャップ7aは、少なくとも記録ヘッド1の吐出ノズル1eが設けられているインク吐出面と接触する部分がゴム等の弾性部材で構成されている。吸引キャップ7aは、インク吐出面の吐出ノズル1eを密閉状態で覆うキャップ位置と、記録ヘッド1から離間した退避位置との間を移動可能に設けられている。
【0078】
吸引ポンプ7cは、複数のコロを備えたチューブ式のポンプであり、ポンプモータM3を駆動することでインクを連続的に吸引することが可能となっている。また、ポンプモータM3の回転量に応じて、吸引量を変えることができるように構成されている。
【0079】
吸引ポンプ7cと吸引キャップ7aが接続されている三方弁7bには、各色ヘッド1からの気泡排出流路1jが合流した合流気泡排出流路1rが接続されている。三方弁7bにより、吸引キャップ7aと合流気泡排出流路1rのいずれか一方が吸引ポンプ7c接続されるように切換えを行なうことができる。
【0080】
泡抜き動作によって排出された廃インクや、吸引キャップ7aによって記録ヘッドから排出された廃インクは吸引ポンプ7cにより、廃インクチューブ7dを介してメインタンク4内部の廃インク収容部へ回収される。
【0081】
本実施形態のインクジェット記録装置では、画像信号に合わせて各吐出ノズルの発熱素子を作動させてインク吐出を行なうために、吐出ノズル1e部の温度が上昇し、サブタンク1a、液室1c内部に気泡が蓄積してしまう。
【0082】
図3のブロック図に示すコントローラ600内部のMPU601は記録ヘッド1によりインクを吐出させた吐出回数を常時数えている。吐出回数が所定回数になった時に、ROM602内に記憶されている泡抜き吸引動作プログラムを引出し、MPU601から泡抜き吸引動作命令指示を行なう。そして、以下に記す泡抜き泡抜き吸引動作を実行する。
【0083】
また、プリンタ本体による印字を長期間作動させない場合、主に吐出ノズルなどを通じて液室内部に酸素、窒素等の気体が長期的に液室のインク内部に侵入することでも気泡が蓄積してしまい、図7(a)の状態になってしまう。そこで、プリンタ本体のタイマー手段633により、印刷動作が終了した時からの経過時間をカウントし、経過時間が所定時間を超えたとMPU601が判断した場合、MPU601は泡抜き吸引動作命令指示を行なう。
【0084】
なお上記インク吐出数、印刷動作が終了したときの時間、などのデータはプリンタ本体の電源が立ち上がっているときはMPU601内部に記憶されている。またこれらのデータは、プリンタ本体の電源を切ったときはコントローラ内部のフラッシュメモリ607内部に記憶させる。再度電源を立ち上げた時にフラッシュメモリに記憶されているインク吐出数、時間等のデータをMPUに記憶させることで、泡抜き吸引動作タイミングを検出させる。
【0085】
図7(a)〜(d)はサブタンク1a、液室1c内の気泡除去を行なった後気泡排出流路1j内に滞留したインクを除去する場合の動作概略を示したフロート弁1u周辺の断面図である。また図8は図7(a)〜(d)に示した泡抜き動作後の気泡排出流路1jに滞留したインクを除去するための一連のシーケンス動作を示したフローチャートである。
【0086】
記録ヘッド1のサブタンク1a、液室内1cに気泡が溜まった状況から、図8のステップS101で三方弁7bをフロート弁1u側に連通させる。大気開放弁1iは閉じた状態である。
【0087】
次に図7(a)のように、弁駆動ユニット8により各押圧弁を第二ポジションに押下げ、この状態で吸引ポンプ7cを作動させる(図8のステップS102)。上記動作を行なうことで各サブタンク、液室内部の気泡を除去することが可能となる。前記動作を継続して実施すると各色のサブタンクと液室内の泡抜きが進行しインク液面が上昇することで浮力によりフロート弁1uがそれぞれ遮断する(図7(b)の状態)。フロート弁1uが閉じるまでにサブタンク1aや液室内1cから吸い出された空気に混じったインクは(図7(b))に示すように気泡排出流路1jの途中に溜まる。
【0088】
次にステップS103で、弁駆動ユニット8により各押圧弁1oを第一ポジションに切り替える(図7(c)の位置)。
【0089】
この状態からさらに吸引ポンプを引続き作動させると(大気開放弁1iは遮断)、流路内部が減圧され、可撓膜1mが流路内部側へ萎む。可撓膜1mの内部容積が減る分、気泡排出流路1jの途中に滞留したインクが下流側に移動する(図7(c) 図8のステップS104)。ステップS105で遮断されていた大気開放弁1iを所定時間開放状態にすると萎んだ可撓膜内部が大気開放されることで元の形状に戻る(図7(d))。
【0090】
ステップS104、S105を複数回繰り返す。
【0091】
ステップS104、S105を複数回繰り返すことにより、気泡排出流路1jの途中に滞留したインクを下流側に徐々に移動させることができる。各気泡排出流路1jに滞留したインクはやがて気泡排出流路1jの合流部1qまで移動させることが出来る。
【0092】
前記それぞれの気泡排出流路1jに滞留したインクを合流部1qまで移動させた後、ステップS106において吸引ポンプ7cを作動させながら所定時間大気開放弁1iを開放させる。気泡排出流路1jおよび合流気泡排出流路1rに大気を流入させることにより、前記合流部1qより下流側に滞留しているインクをメインタンク4の廃インク回収部まで移動させる。
【0093】
以上の如く、各大気開放弁1iを閉じた状態で可撓膜1mを萎ませながら吸引することにより、インクが滞留していない気泡排出流路1jがあっても各気泡排出流路1jのインクを回収することができる。
【0094】
よって気泡排出流路のインク詰りを防止することができる。
【0095】
図9に本実施形態の各フロート弁1uから気泡排出流路1j、および合流気泡排出流路1rへの全体の流路構成を示す。
【0096】
各色毎のサブタンク1aと液室1cにはそれぞれフロート弁1uが気泡排出流路1jの途中に直列で配置され、気泡排出流路1jの最上流位置には大気開放弁1iが配置されている。3色分の気泡排出流路1jが合流部1qで合流され、合流気泡排出流路1rに統合される。
【0097】
このような構成において、1色分のサブタンク1a、液室1cの可撓膜1m内部の容積の合計が、可撓膜1mが萎んだ状態と萎んでいない状態とで△V1の差があるとする。
【0098】
また、気泡排出流路1j内部の流路容積をV2とする。
【0099】
気泡排出流路1j内部に溜まったインクを全て合流部1qより下流側に吸引するには、V2/△V1をこえる整数回図8のステップS104、S105を繰り返す必要がある。
【0100】
もし、V2/△V1が1より小さければ、ステップS104、S105は複数回繰返して行う必要は無く、1回の動作のみで気泡排出流路1jからインクを排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置におけるインク供給の基本原理を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施例のインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図を示す。
【図4】本発明の一実施形態のインク供給装置の概略を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態内にて行なわれるフロート弁を弁駆動ユニットにより制御したときの各モードを示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態内にて行なわれる排出流路内部を吸引ポンプで減圧したときの可撓膜の状態をしめした断面図である。
【図7】本発明の一実施形態内にて行なわれるフロート弁のシーケンス動作を示した断面図である。
【図8】本発明の一実施形態内にて行なわれるフロート弁及びインク供給機構のシーケンス動作を示したフロー図である。
【図9】流体排出流路全体の構成を示す図である。
【図10】従来のインクジェット記録装置のインク供給装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 記録ヘッド
1a サブタンク部
1b 流入フィルタ
1c 液室
1d 流出フィルタ
1e 吐出ノズル
1f フロート(サブタンク側)
1g フロート(液室側)
1h フロートシール部材
1i 大気開放弁
1j 気泡排出流路
1k フロート押下げ部材
1l フロートバネ
1m 可撓膜
1n フロートハウジング
4 メインタンク
6 供給チューブ
7 回復ユニット
7a 吸引キャップ
7b 三方弁
7c 吸引ポンプ
7d 廃インクチューブ
8 弁駆動ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路と、
前記複数の流路を合流させた合流流路を介して前記複数の流路から流体を吸引して排出させる吸引手段と、
前記複数の流路の各々に設けられ、前記複数の流路を選択的に大気開放する大気開放弁と、
前記複数の流路の各々に設けられ、前記大気開放弁を閉じた状態で前記吸引手段が吸引したときに、前記各流路から前記合流流路への流体の流れを許容するバッファ手段と、
前記大気開放弁を閉じた状態で、前記吸引手段によって前記バッファ手段が許容する流れによって流体を排出することを特徴とする流体排出装置。
【請求項2】
前記各流路の各々は液体を貯留する貯留部に接続され、前記貯留部から気体を排出する請求項1に記載の流体排出装置。
【請求項3】
前記各流路の各々は、各貯留部の上部に設けられ、貯留部内の気体の排出を許容し、液体の排出を阻止する気液分離手段を介して各々の貯留部に接続されている請求項2に記載の流体排出装置。
【請求項4】
前記気液分離手段は、液体に浮くフロートを収納するとともに前記貯留部と前記流路に連通したフロート室と、液面の上昇によって上昇する前記フロートによってふさがれる開口を有するとともに前記フロートによって前記開口がふさがれたとき前記フロートと前記流路の連通が遮断されるフロート弁を有する請求項3に記載の流体排出装置。
【請求項5】
前記バッファ手段は、前記各流路に連通し、可撓性を有する膜で形成された複数のバッファ室である請求項1に記載の流体排出装置。
【請求項6】
インクを吐出するノズルに供給するインクを貯留する貯留部を備えた複数の記録ヘッドにより画像を形成する記録装置であって、
前記貯留部の各々に接続された複数の流路と、
前記複数の流路を合流させた合流流路を介して前記複数の流路から流体を吸引して排出させる吸引手段と、
前記複数の流路の各々に設けられ、前記複数の流路を選択的に大気開放する大気開放弁と、
前記複数の流路の各々に設けられ、前記大気開放弁を閉じた状態で前記吸引手段が吸引したときに、前記各流路から前記合流流路への流体の流れを許容するバッファ手段と、
前記大気開放弁を閉じた状態で、前記吸引手段によって前記バッファ手段が許容する流れによって流体を排出することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
前記各流路の各々は、各貯留部の上部に設けられ、貯留部内の気体の排出を許容し、液体の排出を阻止する気液分離手段を介して各々の貯留部に接続されている請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記気液分離手段は、液体に浮くフロートを収納するとともに前記貯留部と前記流路に連通したフロート室と、液面の上昇によって上昇する前記フロートによってふさがれる開口を有するとともに前記フロートによって前記開口がふさがれたとき前記フロートと前記流路の連通が遮断されるフロート弁を有する請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記バッファ手段は、前記各流路に連通し、可撓性を有する膜で形成された複数のバッファ室である請求項6に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−120340(P2010−120340A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298174(P2008−298174)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】