説明

流体機械

【課題】固定子とターミナルとを接続する配線がケーシング本体と蓋部材との溶接時に焼損することを防止する。
【解決手段】タービン発電機(2)は、ステータ(62)と、ロータ(61)と、ステータ(62)及びロータ(61)を収容するケーシング(7)と、ケーシング(7)に取り付けられると共に配線(62a)を介してステータ(62)に電気的に接続されたターミナル(76)とを備えている。ケーシング(7)は、ステータ(62)が取り付けられると共に開口を有するケーシング本体(71)と、ターミナル(76)が取り付けられると共にケーシング本体(71)の開口端部に溶接によって取り付けられる上側蓋部材(72)とを有している。タービン発電機(2)は、ケーシング本体(71)の開口端部と配線(62a)との間に配設されて、配線(62a)がケーシング本体(71)の開口端部側へ移動することを妨害する内筒(66)をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシング内に固定子及び回転子を備えた流体機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ケーシング内に固定子及び回転子を備えた流体機械の一例として、流体の運動エネルギを電力に変換して回収するタービン発電機が広く知られている。例えば、特許文献1に示すように、冷凍サイクルを行う冷凍装置に用いられるタービン発電機が知られている。このタービン発電機においては、ケーシング内に流入してくる冷媒をノズルで減圧してからタービン羽根車に噴射し、それにより回転するタービン羽根車によって回転子としてのロータを回転駆動し、電力を発生させる。
【特許文献1】特開2002−156163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、タービン発電機は、タービン発電機で発生した電力を取り出すためのターミナルを備えている。このターミナルは、ケーシングの内外両方に臨むようにして該ケーシングに取り付けられている。このターミナルは、配線を介して固定子と接続されている。
【0004】
ケーシングは、通常、筒状のケーシング本体と、ケーシング本体の開口を塞ぐように取り付けられる蓋部材とで構成されている。そして、ステータはケーシング本体に取り付けられている。
【0005】
このようなケーシングにおいて、前記ターミナルが蓋部材に取り付けられる場合、まず、ケーシング本体と蓋部材とが分離した状態において、ケーシング本体に取り付けられたステータから延びる配線を、蓋部材に取り付けられたターミナルに接続する。その後、蓋部材をケーシング本体の開口端部に取り付け、溶接等で固定する。このように、ステータとターミナルとを配線で接続する接続作業は、ケーシング本体と蓋部材とが分離した状態で行う必要があるため、両者を接続する配線は、蓋部材がケーシング本体に取り付けられた状態におけるステータとターミナルとの距離よりも十分に長い長さが必要となる。
【0006】
ところが、ステータとターミナルとを接続する配線の配線長を、前記接続作業に支障をきたさない程度の長さにすると、蓋部材をケーシング本体に取り付けたときに、配線が余って、ケーシング内で自由に変形且つ移動して、配線がケーシング本体の開口端部に接触する虞がある。このケーシング本体の開口端部は、蓋部材が溶接される部分であり、溶接時には非常に高温となる。その結果、配線が焼損してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固定子とターミナルとを接続する配線がケーシング本体と蓋部材との溶接時に焼損することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、固定子(62)と、該固定子(62)に対して相対的に回転する回転子(61)と、該固定子(62)及び該回転子(61)を収容するケーシング(7)と、該ケーシング(7)に取り付けられると共に配線(62a)を介して該固定子(62)に電気的に接続されたターミナル(76)とを備えた流体機械が対象である。そして、前記ケーシング(7)は、前記固定子(62)が取り付けられると共に開口を有するケーシング本体(71)と、前記ターミナル(76)が取り付けられると共に該ケーシング本体(71)の開口端部に溶接によって取り付けられる蓋部材(72)とを有しており、前記ケーシング本体(71)の開口端部と前記配線(62a)との間に配設されて、前記配線(62a)が前記ケーシング本体(71)の開口端部側へ移動することを妨害する移動妨害部材(66)をさらに備えているものとする。
【0009】
前記の構成の場合、前記ケーシング本体(71)に取り付けられた固定子(62)と、前記蓋部材(72)に取り付けられたターミナル(76)とが配線(62a)で接続される。そして、該蓋部材(72)は、該ケーシング本体(71)の開口端部に溶接によって取り付けられる。ここで、該ケーシング本体(71)の開口端部と前記配線(62a)との間に前記移動妨害部材(66)を設けることによって、該蓋部材(72)を該ケーシング本体(71)の開口端部に取り付けるときに、該配線(62a)がケーシング本体(71)の開口端部側へ移動することを該移動妨害部材(66)で妨害して、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを防止することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記移動妨害部材(66)は、前記ケーシング本体(71)の開口端部の内周面の全周に亘って設けられているものとする。
【0011】
前記の構成の場合、前記ケーシング本体(71)の開口端部の内周面の全周と前記配線(62a)との間に前記移動妨害部材(66)を設けることによって、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを確実に防止することができる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記固定子(62)及び前記回転子(61)は、前記ケーシング本体(71)内において、該ケーシング本体(71)の開口端部側からハウジング(63)で覆われており、前記移動妨害部材(66)は、前記ハウジング(63)に取り付けられているものとする。
【0013】
前記の構成の場合、前記配線(62a)は、前記移動妨害部材(66)の存在により前記ケーシング本体(71)の開口端部に接触することが防止されるが、該移動妨害部材(66)に接触することはあり得る。ここで、該移動妨害部材(66)が、前記ケーシング本体(71)に直接取り付けられているとすると、該ケーシング本体(71)の溶接熱が該移動妨害部材(66)に直接伝導することになる。すると、前記配線(62a)が該移動妨害部材(66)によって加熱される虞がある。それに対して、前記の構成では、前記移動妨害部材(66)を、前記ケーシング本体(71)に直接取り付けるのではなく、前記固定子(62)及び回転子(61)を覆うハウジング(63)に取り付けることによって、該移動妨害部材(66)に該ケーシング本体(71)からの溶接熱が直接伝導することを防止し、該配線(62a)が該移動妨害部材(66)により加熱されることを防止することができる。
【0014】
第4の発明は、第1〜第3の何れか1つの発明において、前記配線(62a)は、少なくともその一部が、前記ケーシング本体(71)内において該ケーシング本体(71)の内周面以外の部分に固定されているものとする。
【0015】
前記の構成の場合、前記移動妨害部材(66)を設けることに加えて、前記配線(62a)の少なくとも一部を、前記ケーシング本体(71)内の該ケーシング本体(71)の内周面以外の部分に固定することによって、ケーシング本体(71)内で配線(62a)を拘束して、該配線(62a)が自由に移動できないようにすることができる。その結果、前記蓋部材(72)を前記ケーシング本体(71)に取り付ける際に該配線(62a)が前記ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを確実に防止することができる。
【0016】
第5の発明は、第1〜第3の何れか1つの発明において、前記回転子(61)には、該回転子(61)と一体に回転する回転シャフト(31)が取り付けられ、前記回転シャフト(31)の一端部は、前記回転子(61)よりも前記ケーシング本体(71)の開口端部側に突出しており、前記ケーシング本体(71)内には、前記回転シャフト(31)の突出端部を覆うシャフトカバー(65)が設けられ、前記配線(62a)は、少なくともその一部が前記シャフトカバー(65)に固定されているものとする。
【0017】
前記の構成の場合、前記移動妨害部材(66)を設けることに加えて、前記配線(62a)の少なくとも一部を、前記ケーシング本体(71)内の前記シャフトカバー(65)に固定することによって、ケーシング本体(71)内での配線(62a)の自由を拘束することができる。また、前記回転シャフト(31)は、前記ケーシング本体(71)内において、比較的中央に配置される部材であり、該回転シャフト(31)を覆うシャフトカバー(65)も、ケーシング本体(71)内の比較的中央に配置される。このシャフトカバー(65)に前記配線(62a)を固定することによって、該配線(62a)をケーシング本体(71)内の比較的中央で固定することができるため、該配線(62a)が前記ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを確実に防止することができる。
【0018】
第6の発明は、固定子(62)と、該固定子(62)に対して相対的に回転する回転子(61)と、該固定子(62)及び該回転子(61)を収容するケーシング(7)と、該ケーシング(7)に取り付けられると共に配線(62a)を介して該固定子(62)に電気的に接続されたターミナル(76)とを備えた流体機械が対象である。そして、前記ケーシング(7)は、前記固定子(62)が取り付けられると共に開口を有するケーシング本体(71)と、前記ターミナル(76)が取り付けられると共に該ケーシング本体(71)の開口端部に溶接によって取り付けられる蓋部材(72)とを有しており、前記配線(62a)は、少なくともその一部が、前記ケーシング本体(71)内において該ケーシング本体(71)の内周面以外の部分に固定されているものとする。
【0019】
前記の構成の場合、前記ケーシング本体(71)に取り付けられた固定子(62)と、前記蓋部材(72)に取り付けられたターミナル(76)とが配線(62a)で接続される。そして、該蓋部材(72)は、該ケーシング本体(71)の開口端部に溶接によって取り付けられる。ここで、前記配線(62a)の少なくとも一部を、前記ケーシング本体(71)内の該ケーシング本体(71)の内周面以外の部分に固定することによって、ケーシング本体(71)内で配線(62a)を拘束して、該配線(62a)が自由に移動できないようにすることができる。その結果、前記蓋部材(72)を前記ケーシング本体(71)に取り付ける際に該配線(62a)が前記ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを防止することができる。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、前記回転子(61)には、該回転子(61)と一体に回転する回転シャフト(31)が取り付けられ、前記回転シャフト(31)の一端部は、前記回転子(61)よりも前記ケーシング本体(71)の開口端部側に突出しており、前記ケーシング本体(71)内には、前記回転シャフト(31)の突出端部を覆うシャフトカバー(65)が設けられ、前記配線(62a)は、少なくともその一部が前記シャフトカバー(65)に固定されているものとする。
【0021】
前記の構成の場合、前記配線(62a)を固定する場所が具体的に特定される。すなわち、該配線(62a)は前記シャフトカバー(65)に固定される。前記回転シャフト(31)は、前記ケーシング本体(71)内において、比較的中央に配置される部材であり、該回転シャフト(31)を覆うシャフトカバー(65)も、ケーシング本体(71)内の比較的中央に配置される。このシャフトカバー(65)に前記配線(62a)を固定することによって、該配線(62a)をケーシング本体(71)内の比較的中央で固定することができるため、該配線(62a)が前記ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを確実に防止することができる。
【0022】
第8の発明は、第1〜第7の何れか1つの発明において、タービン(3)をさらに備え、
前記固定子(62)及び前記回転子(61)は、該回転子(61)が前記タービン(3)によって回転駆動されることで発電する発電機構(6)を構成しているものとする。
【0023】
前記の構成の場合、前記流体機械は、いわゆる、タービン膨張機を構成する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、前記ケーシング本体(71)の開口端部と前記配線(62a)との間に前記移動妨害部材(66)を設けることによって、前記蓋部材(72)を該ケーシング本体(71)の開口端部に取り付けるときに該配線(62a)が該ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを防止することができるため、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)と該蓋部材(72)との溶接時に焼損することを防止することができる。
【0025】
第2の発明によれば、前記移動妨害部材(66)を、前記ケーシング本体(71)の開口端部の内周面の全周に亘って設けることによって、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを確実に防止することができるため、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)と該蓋部材(72)との溶接時に焼損することを確実に防止することができる。
【0026】
第3の発明によれば、前記移動妨害部材(66)を前記固定子(62)及び回転子(61)を覆うハウジング(63)に取り付けることによって、前記配線(62a)が前記移動妨害部材(66)を介して前記ケーシング本体(71)の溶接熱で加熱されることを防止することができる。
【0027】
第4の発明によれば、前記配線(62a)の少なくとも一部を、前記ケーシング本体(71)内において該ケーシング本体(71)の内周面以外の部分に固定することによって、該ケーシング本体(71)内での該配線(62a)の自由を拘束することができるため、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)の開口端部に接触することをより確実に防止することができる。その結果、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)と該蓋部材(72)との溶接時に焼損することをより確実に防止することができる。
【0028】
第5の発明によれば、前記配線(62a)の少なくとも一部を、前記シャフトカバー(65)に固定することによって、該ケーシング本体(71)内の比較的中央で該配線(62a)を拘束することができるため、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)の開口端部に接触することをより確実に防止することができる。その結果、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)と該蓋部材(72)との溶接時に焼損することをより確実に防止することができる。
【0029】
第6の発明によれば、前記配線(62a)の少なくとも一部を、前記ケーシング本体(71)内において該ケーシング本体(71)の内周面以外の部分に固定することによって、該ケーシング本体(71)内での該配線(62a)の自由を拘束することができるため、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを防止することができる。その結果、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)と該蓋部材(72)との溶接時に焼損することを防止することができる。
【0030】
第7の発明によれば、前記配線(62a)の少なくとも一部を、前記シャフトカバー(65)に固定することによって、該ケーシング本体(71)内の比較的中央で該配線(62a)を拘束することができるため、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)の開口端部に接触することを確実に防止することができる。その結果、該配線(62a)が該ケーシング本体(71)と該蓋部材(72)との溶接時に焼損することを確実に防止することができる。
【0031】
第8の発明によれば、いわゆるタービン発電機において、前記配線(62a)が前記ケーシング本体(71)と前記蓋部材(72)との溶接時に焼損することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
本発明の実施形態に係る流体機械としてのタービン発電機(2)は、図2に示すように、冷凍装置(1)に設けられている。
【0034】
冷凍装置(1)は、電動圧縮機(11)、放熱器(12)、タービン発電機(2)および蒸発器(14)が冷媒配管(10)を介して順に接続された冷媒回路を備え、該冷媒回路を冷媒(例えば、二酸化炭素)が循環して、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行うように構成されている。
【0035】
タービン発電機(2)は、循環する冷媒から電力を回収するように構成されている。タービン発電機(2)は、図1に示すように、タービン(3)と、該タービン(3)と連結された発電機構(6)と、該タービン(3)及び発電機構(6)を収容するケーシング(7)と、該ケーシング(7)に取り付けられると共に流入側の冷媒配管(10)が接続される接続管(8)とを備えている。
【0036】
ケーシング(7)は、円筒状のケーシング本体(71)と、該ケーシング本体(71)の上側開口端部に取り付けられる椀状の上側蓋部材(72)と、該ケーシング本体(71)の下側開口端部に取り付けられる椀状の下側蓋部材(73)とを有している。この上側蓋部材(72)は、ケーシング本体(71)の上側開口端部に対して外側から被さった状態で溶接によって取り付けられている。また、下側蓋部材(73)は、ケーシング本体(71)の下側開口端部に対して外側から被さった状態で溶接によって取り付けられている。すなわち、ケーシング本体(71)の上側開口端部及び下側開口端部にはそれぞれ、上側蓋部材(72)との溶接部(72a)及び下側蓋部材(73)との溶接部(73a)が形成されている。
【0037】
ケーシング本体(71)には、前記タービン(3)、発電機構(6)及び2つの軸受(74,74)が配設される。また、ケーシング本体(71)には、冷媒が流入する流入部(75)がタービン(3)と略同じ高さに形成されている。この流入部(75)には、接続管(8)が接続されている。
【0038】
上側蓋部材(72)には、発電機構(6)で発生した電力を外部に取り出すためのターミナル(76)が取り付けられている。ターミナル(76)は、上側蓋部材(72)を貫通して、ケーシング(7)の内外両方に臨むように取り付けられている。
【0039】
下側蓋部材(73)には、冷媒が流出する流出部(77)が形成されている。この流出部(77)は、流出側の冷媒配管(10)を介して蒸発器(14)に接続されている。
【0040】
接続管(8)は、ケーシング(7)の外表面に取り付けられており、その内部に内部流路(80)が形成されている。この内部流路(80)は、屈曲部(83)で屈曲している。詳しくは、内部流路(80)は、鉛直方向に延びて上流端が上方に開口する上流側流路(81)と、上流側流路(81)の下流端と連続し且つ該上流側流路(81)に対して屈曲して水平方向に延びて、下流端がケーシング(7)の流入部(75)において開口する下流側流路(82)とで構成され、上流側流路(81)と下流側流路(82)との接続部が屈曲部(83)となっている。また、この屈曲部(83)には、下流側流路(82)をその長手方向へ下流側とは反対側に延長した延長部(84)が設けられている。そして、延長部(84)の端部には、下流側流路(82)の長手方向であってケーシング(7)とは反対側に開口する開口部(85)が設けられている。
【0041】
そして、上流側流路(81)の上流端には、冷媒配管(10)のうち、冷媒をケーシング(7)に流入させる流入側の冷媒配管(10)が接続されている。一方、下流側流路(82)の下流端には、タービン(3)の後述するノズル(4)が設けられている。また、下流側流路(82)の開口部(85)には、詳しくは後述するニードル弁(9)が取り付けられている。
【0042】
この接続管(8)が接続部材を構成する。尚、接続部材は、この接続管(8)に限られるものではなく、例えば、内部に内部流路(80)が形成されたブロック状の部材で構成してもよい。
【0043】
タービン(3)は、回転シャフト(31)と、該回転シャフト(31)に対して固定的に取り付けられて該回転シャフト(31)と一体的に回転するタービン羽根車(5)と、該タービン羽根車(5)に冷媒を噴射するノズル(4)と、該ノズル(4)を通過する冷媒の流量を調節するニードル弁(9)と、該タービン羽根車(5)を収容し且つノズル(4)を配設するためのハウジング(32)とを備えている。このタービン(3)は、ペルトンタービンであって、ノズル(4)により冷媒の圧力エネルギを速度エネルギに変換して、該冷媒をタービン羽根車(5)に対して噴射することによって、タービン羽根車(5)を回転させて、回転シャフト(31)を介して回転動力を出力する。
【0044】
タービン羽根車(5)は、水力発電等に利用されるものより極めて小さいものである。具体的には、タービン羽根車(5)は、図3に示すように、円盤状の羽根車本体(51)と該羽根車本体(51)の外周面に設けられた複数の羽根部(52,52,…)とを有している。
【0045】
このタービン羽根車(5)には、回転シャフト(31)が互いの軸心(X)を一致させた状態で回転不能に取り付けられている。つまり、タービン羽根車(5)が回転すると、回転シャフト(31)も同様に回転する。この回転シャフト(31)は、ケーシング(7)内において該ケーシング(7)の長手方向に延びるように配設され、2つの前記軸受(74,74)で回転自在に支持されている。尚、軸心(X)が回転軸を構成し、回転シャフト(31)が軸部材を構成する。
【0046】
ハウジング(32)は、図3に示すように、ケーシング(7)の内周面に嵌合した状態で取り付けられており、中央に、タービン羽根車(5)を収容する円筒状の収容空間(33)が形成されている。
【0047】
また、ハウジング(32)には、ノズル(4)を配設するための配設孔(34)が、ハウジング(32)の外周面から収容空間(33)に開口するように貫通形成されている。配設孔(34)は、ケーシング(7)の流入部(72)と連通している。つまり、接続管(8)の下流端部に配設されて、流入部(72)を介してケーシング(7)内に臨むノズル(4)は、ハウジング(32)の配設孔(34)に挿通されることになる。
【0048】
このようにしてハウジング(32)に配設されたノズル(4)の軸心は、図3に示すように、羽根車本体(51)の軸心(X)に直交する平面と平行であって、羽根部(52,52,…)の先端を繋ぐ仮想円に対する接線を半径方向内方にオフセットさせた状態となっている。すなわち、ノズル(4)は、タービン羽根車(5)の回転方向前方に向かって冷媒を噴射し、噴射される冷媒がタービン羽根車(5)の羽根部(52,52,…)に当たるように配設されている。
【0049】
ノズル(4)には、図1に示すように、内径が下流側に向かって徐々に小さくなっていく縮径部(41)と、該縮径部(41)の下流端に位置し、内径が最も小さくなった喉部(42)と、内径が喉部(42)から下流側に向かって徐々に大きくなっていく拡径部(43)とで構成された内部流路(40)が形成されている。すなわち、このノズル(4)は、いわゆるラバルノズルである。尚、縮径部(41)及び拡径部(43)の内周面は、内径が徐々に変化するテーパ面となっている。尚、ノズル(4)はラバルノズルに限られるものではなく、喉部(42)によって流体を減圧させる構成であれば、任意のノズルを採用することができる。
【0050】
ニードル弁(9)は、図1に示すように、棒状のニードル(91)と、該ニードル(91)の先端に設けられた弁体(92)と、ニードル(91)の基端に設けられ、該ニードル(91)を進退自在に駆動するアクチュエータ(93)とを備えている。
【0051】
弁体(92)の先端部にはテーパ面が形成されていて、先端に向かって尖鋭になっている。この弁体(92)のテーパ面の角度は、縮径部(41)のテーパ面の角度と同じか、それ未満となっている。
【0052】
アクチュエータ(93)は、図示を省略するが、ソレノイドとロータとを有したソレノイド型のアクチュエータであって、ニードル(91)の基端部が接続されている。このアクチュエータ(93)は、ソレノイドを作動させることによってニードル(91)を進退させることができる。
【0053】
このニードル弁(9)は、ニードル(91)が接続管(8)の開口部(85)から下流側流路(82)内に挿入されて、アクチュエータ(93)が開口部(85)において接続管(8)に取り付けられている。こうすることで、ニードル弁(9)のニードル(91)は、下流側流路(82)内を該下流側流路(82)の長手方向に延び、弁体(92)がノズル(4)の喉部(42)に位置する。
【0054】
ニードル弁(9)は、アクチュエータ(93)を作動させてニードル(91)を駆動することによって、弁体(92)を下流側流路(82)内でその長手方向に進退させる。弁体(92)が最も前進したときには、該弁体(92)は喉部(42)に当接し、ノズル(4)を全閉状態にする。一方、弁体(92)が最も後退したときには、該弁体(92)は縮径部(41)から引き出された位置に位置し、該ノズル(4)を流通する冷媒に影響を与えない。こうして、ニードル弁(9)は、ノズル(4)を通過する冷媒の流量を調節すると共に、ノズル(4)の絞り具合を調節する。
【0055】
発電機構(6)は、回転シャフト(31)に対して固定的に取り付けられて該回転シャフト(31)と一体的に回転するロータ(61)と、該ロータ(61)の外周側に設置されてケーシング(7)に固定されたステータ(62)と、該ロータ(61)及び該ステータ(62)を上下から覆う上側ハウジング(63)及び下側ハウジング(64)とを有している。ステータ(62)は、図示を省略するが、スロットが形成される固定子鉄心とスロットに配置される固定子コイルとを有する。発電機構(6)は、回転シャフト(31)が回転することでロータ(61)が回転磁界を発生し、その回転磁界によって固定子鉄心の固定子コイルに誘起電圧が生じ電流が流れる。このように、発電機構(6)は、タービン(3)から出力される回転動力を電力に変換して出力する。これらロータ(61)が回転子を、ステータ(62)が固定子を構成する。
【0056】
上側及び下側ハウジング(63,64)は、有底筒状の部材であって、それぞれステータ(62)の上部と下部とを覆うように該ステータ(62)に取り付けられている。そして、これら上側及び下側ハウジング(63,64)が、ケーシング本体(71)の内周面にスポット溶接によって取り付けられている。すなわち、ステータ(62)は、上側及び下側ハウジング(63,64)を介してケーシング本体(71)に取り付けられている。
【0057】
また、上側及び下側ハウジング(63,64)の中央には、それぞれ軸受(74,74)が取り付けられている。前記回転シャフト(31)は、上側及び下側ハウジング(63,64)に設けられた軸受(74,74)に回転自在に支持されていて、その両端部は、それぞれ上側及び下側ハウジング(63,64)を貫通して、上側及び下側ハウジング(63,64)から突出している。
【0058】
さらに、上側ハウジング(63)には、ステータ(62)の固定子コイルから延びる配線(62a)を挿通させるための貫通孔(63a)が貫通形成されている。
【0059】
また、上側ハウジング(63)の上面には、軸受(74)から上方に突出する回転シャフト(31)の上端部を覆うシャフトカバー(65)が取り付けられている。シャフトカバー(65)は、一方に開口する有底筒状に形成された筒状部(65a)と、該筒状部(65a)の開口縁部に形成されたフランジ部(65b)とを有している。このように構成されたシャフトカバー(65)は、筒状部(65a)内に回転シャフト(31)の上端部を収容した状態で、該フランジ部(65b)を上側ハウジング(63)上に重ね合わせて取り付けられている。ここで、フランジ部(65b)には、ステータ(62)の固定子コイルから延びる配線(62a)を上方へ挿通させるための貫通孔(65c)が、上側ハウジング(63)の貫通孔(63a)と連続する位置に貫通形成されている。尚、フランジ部(65b)が上側ハウジング(63)の貫通孔(63a)を塞がない構成であれば、貫通孔(65c)を設ける必要はない。
【0060】
前記ステータ(62)の固定子コイルから延びる配線(62a)は、これら上側ハウジング(63)の貫通孔(63a)及びフランジ部(65b)の貫通孔(65c)を通り、ケーシング(7)内における、上側ハウジング(63)と上側蓋部材(72)との間の空間まで延びて、上側蓋部材(72)のターミナル(76)に電気的に接続されている。
【0061】
以上のように構成されたタービン発電機(2)の動作について説明する。
【0062】
冷媒回路を循環して放熱器(12)で放熱した冷媒は、流入側の冷媒配管(10)から接続管(8)に流入し、ノズル(4)を通過してケーシング(7)に流入する。このとき、ニードル弁(9)がノズル(4)の喉部(42)の開度を所望の値に調節しており、ノズル(4)を通過する冷媒の流量が所望の値に制御される。同時に、この冷媒は、ノズル(4)を流通する際に減圧される(膨張する)。このノズル(4)で減圧された冷媒は、タービン羽根車(5)の羽根部(52,52,…)に向かって噴射される。噴射された冷媒の衝撃によって、タービン羽根車(5)が軸心(X)回りに回転する。タービン羽根車(5)が回転すると、該タービン羽根車(5)と一体的に回転シャフト(31)が回転し、さらには、回転シャフト(31)に固定されたロータ(61)が回転する。ロータ(61)が回転すると、回転磁界が発生し、ステータ(62)の固定子コイルに誘導電圧が生じる。こうして、タービン発電機(2)は電力を発生する。こうして発電した電力は、ターミナル(76)を介して取り出され、電動圧縮機(11)の動力源として利用される。つまり、冷媒の運動エネルギー(膨張エネルギー)が電動圧縮機(11)のために動力回収される。尚、タービン羽根車(5)の羽根部(52,52,…)に衝突した冷媒は、ケーシング(7)の流出部(77)からケーシング(7)外へ流出して蒸発器(14)へ流れていく。
【0063】
ここで、タービン発電機(2)の上部構造について、さらに詳しく説明する。
【0064】
前記上側ハウジング(63)の上面には、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部側へ移動することを妨害するための内筒(66)が取り付けられている。詳しくは、内筒(66)は、円筒状の部材であって、その外周径がケーシング本体(71)の内周径よりも小さく、ケーシング本体(71)の内周面との間に隙間を空けた状態で設けられている。また、内筒(66)は、前記上側ハウジング(63)の貫通孔(63a)及びフランジ部(65b)の貫通孔(65c)が該内筒(66)の内方に位置するように、設けられている。すなわち、内筒(66)は、前記ケーシング本体(71)の上側開口端部と配線(62a)との間に設けられている。さらに、内筒(66)は、上側ハウジング(63)の上面からケーシング本体(71)の上側開口端よりも上方まで延びている。尚、内筒(66)は、ケーシング本体(71)と上側蓋部材(72)との溶接部(72a)よりも上方まで延びる構成であればよい。この内筒(66)を設けることによって、配線(62a)は、該内筒(66)よりも前記ケーシング本体(71)の上側開口端部側へ移動することが妨害される。すなわち、内筒(66)が移動妨害部材を構成する。
【0065】
また、前記配線(62a)は、上側ハウジング(63)と上側蓋部材(72)との間の空間において、シャフトカバー(65)にクランプ部材(67)によって固定されている。
【0066】
このように、内筒(66)を設けると共に、配線(62a)をクランプ部材(67)で固定することによって、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)の上側開口端部に取り付けるときに、配線(62a)が該ケーシング本体(71)の上側開口端部に接触することを防止することができる。
【0067】
すなわち、ステータ(62)の固定子コイルから延びる配線(62a)は、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に取り付ける前に、即ち、上側蓋部材(72)とケーシング本体(71)とが分離された状態において、該上側蓋部材(72)に取り付けられたターミナル(76)に接続される。あるいは、該配線(62a)は、該上側蓋部材(72)に取り付ける前のターミナル(76)に接続され、該ターミナル(76)が上側蓋部材(72)に取り付けられる。そのため、配線(62a)の配線長は、上側蓋部材(72)とケーシング本体(71)とを分離させた状態で接続作業を行えるだけの長さ、即ち、上側蓋部材(72)がケーシング本体(71)に取り付けられた状態におけるターミナル(76)とステータ(62)との距離よりも十分に長い長さとなる。このように、配線の配線長を接続作業に支障をきたさない程度の長さにすると、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に取り付けたときには、配線長が余ることになる。その結果、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に取り付ける際に、配線(62a)は曲がりくねるように自由に変形し、ケーシング(7)内に収まる。
【0068】
このとき、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部よりも下方から延びている構成(即ち、ケーシング(7)の長手方向において、配線(62a)がケーシング本体(71)と上側蓋部材(72)との溶接部(72a)を横切る構成)では、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部の方へ移動して、該ケーシング本体(71)の上側開口端部に接触する虞がある。このケーシング本体(71)の上側開口端部には、上側蓋部材(72)が被せられ、該上側蓋部材(72)が溶接により取り付けられる。そのため、ケーシング本体(71)の上側開口端部は、溶接時に非常に高温となる。つまり、上側蓋部材(72)のケーシング本体(71)への溶接時に、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部に接触していると、該配線(62a)が焼損してしまう虞がある。
【0069】
それに対し、本実施形態では、ケーシング本体(71)の上側開口端部と配線(62a)との間に内筒(66)が設けられているため、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に取り付けるときに、配線(62a)は内筒(66)によって、該内筒(66)よりも外側へ移動することが妨害され、該ケーシング本体(71)の上側開口端部に接触することが防止される。また、配線(62a)は、ケーシング本体(71)の比較的中央に位置するシャフトカバー(65)にクランプ部材(67)で固定されているため、ケーシング本体(71)の比較的中央で拘束されて、該ケーシング本体(71)の上側開口端部の近傍まで移動することが制限されている。このことによっても、配線(62a)は、該ケーシング本体(71)の上側開口端部に接触することが防止される。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、ケーシング本体(71)の上側蓋部材(72)と配線(62a)との間に内筒(66)を設けることによって、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に取り付けるときに、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部側へ移動することを妨害して、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部に接触することを防止することができる。その結果、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に溶接するときに、配線(62a)が焼損することを防止することができる。
【0071】
また、配線(62a)を、ケーシング本体(71)の内周面以外の部分、詳しくは、ケーシング本体内の比較的中央に位置するシャフトカバー(65)に固定することによって、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に取り付けるときに、ケーシング(7)内での配線(62a)の移動を制限して、該配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部に接触することを防止することができる。その結果、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に溶接するときに、配線(62a)が焼損することを確実に防止することができる。
【0072】
さらに、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部側へ移動することを妨害する移動妨害部材として前記内筒(66)を採用することによって、ケーシング本体(71)の上側開口端部の内周面の全周に亘って移動妨害部材が設けられることになる。こうすることによって、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部に接触することを、該上側開口端部の内周面の全周に亘って確実に防止することができる。その結果、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に溶接するときに、配線(62a)が焼損することを確実に防止することができる。
【0073】
さらにまた、内筒(66)をケーシング本体(71)に取り付けるのではなく、上側ハウジング(63)に取り付けることによって、ケーシング本体(71)の溶接熱が内筒(66)に直接、伝導することを防止することができる。その結果、配線(62a)が内筒(66)を介してケーシング本体(71)の溶接熱で加熱されることを抑制することができる。
【0074】
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0075】
すなわち、前記実施形態では、移動妨害部材として内筒(66)を用いているが、移動妨害部材の構成はこれに限られるものではない。例えば、移動妨害部材は、板状の部材である必要はなく、配線(62a)の移動を妨害できる限り、網目状の部材等、任意の部材を採用することができる。また、移動妨害部材は、円筒状である必要はなく、断面多角形状等の筒で構成されてもよい。
【0076】
さらに、移動妨害部材は、配線(62a)が、該移動妨害部材よりもケーシング本体(71)の上側開口端部側へ移動するのを妨害する構成であれば、任意の構成を採用することができる。例えば、図4に示すように、移動妨害部材は、ケーシング本体(71)の上側開口端部の内周面の全周に亘って設けられるのではなく、ケーシング本体(71)の上側開口端部の内周面のうち、配線(62a)と近接する部分、即ち、上側ハウジング(63)の貫通孔(63a)及びフランジ部(65b)の貫通孔(65c)に近接する部分、又はクランプ部材(67)に近接する部分だけに設けてもよい。かかる場合、移動妨害部材の形状は、筒状である必要はなく、断面C次状や、断面く字状や、断面コ字状の部材であってもよい。
【0077】
また、前記実施形態では、内筒(66)を設けると共に、配線(62a)をケーシング本体(71)の上側開口端部の内周面以外の部分に固定しているが、何れか一方の構成だけを採用してもよい。例えば、図5に示すように、内筒を設けず、配線(62a)をクランプ部材(67)によってシャフトカバー(65)に固定するだけの構成であってもよい。かかる構成であっても、配線(62a)のケーシング本体(71)での移動を制限して、配線(62a)がケーシング本体(71)の上側開口端部に接触することを防止することができ、その結果、上側蓋部材(72)をケーシング本体(71)に溶接するときに、配線(62a)が焼損することを防止することができる。
【0078】
さらに、前記内筒(66)は、ケーシング本体(71)の上側開口端部よりも上方まで延びているが、これに限られるものではない。例えば、内筒(66)は、ケーシング本体(71)の上側開口端と同じ高さまで延びる構成であってもよい。この内筒(66)は、少なくともケーシング本体(71)と上側蓋部材(72)との溶接部(72a)よりも上方まで延びていればよい。
【0079】
また、移動妨害部材は、上側蓋部材(72)に取り付けられて、ケーシング本体(71)の上側開口端部から該ケーシング本体(71)内方に浸入して、配線(62a)とケーシング本体(71)の上側開口端部との間に配設される構成であってもよい。かかる場合、移動妨害部材は、少なくともケーシング本体(71)と上側蓋部材(72)との溶接部(72a)よりも上方まで延びていればよい。
【0080】
また、前記実施形態では、タービン発電機(2)で発生する電力を電動圧縮機(11)を駆動するための動力源として使用しているが、これに限られるものではない。例えば、室内機や室外機に設けられたファンを駆動するために使用してもよい。
【0081】
さらに、前記実施形態では、発電機構(6)を備えたタービン発電機(2)についての実施形態を説明したが、本発明はこれ以外の流体機械にも適用することができる。すなわち、固定子と、該固定子に対して相対的に回転する回転子と、該固定子及び該回転子を収容するケーシングと、該ケーシングに取り付けられると共に配線を介して該固定子に電気的に接続されたターミナルとを備えた流体機械であれば、任意の流体機械に本発明を適用することができる。例えば、本発明は、ロータとステータとを有するモータを備えた圧縮機にも適用することができる。
【0082】
以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、ケーシング内に固定子及び回転子を備えた流体機械について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態に係るタービン発電機の構成を示す縦断面図である。
【図2】冷媒回路の全体構成を示す配管図である。
【図3】タービン発電機の構成を示す模式的な横断面図である。
【図4】その他の実施形態に係るタービン発電機の構成を示す縦断面図である。
【図5】別のその他の実施形態に係るタービン発電機の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 冷凍装置
2 タービン発電機(流体機械)
3 タービン
31 回転シャフト
6 発電部
61 ロータ(回転子)
62 ステータ(固定子)
62a 配線
63 上側ハウジング(ハウジング)
65 シャフトカバー
66 内筒(移動妨害部材)
7 ケーシング
71 ケーシング本体
72 上側蓋部材(蓋部材)
76 ターミナル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子(62)と、該固定子(62)に対して相対的に回転する回転子(61)と、該固定子(62)及び該回転子(61)を収容するケーシング(7)と、該ケーシング(7)に取り付けられると共に配線(62a)を介して該固定子(62)に電気的に接続されたターミナル(76)とを備えた流体機械であって、
前記ケーシング(7)は、前記固定子(62)が取り付けられると共に開口を有するケーシング本体(71)と、前記ターミナル(76)が取り付けられると共に該ケーシング本体(71)の開口端部に溶接によって取り付けられる蓋部材(72)とを有しており、
前記ケーシング本体(71)の開口端部と前記配線(62a)との間に配設されて、前記配線(62a)が前記ケーシング本体(71)の開口端部側へ移動することを妨害する移動妨害部材(66)をさらに備えていることを特徴とする流体機械。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動妨害部材(66)は、前記ケーシング本体(71)の開口端部の内周面の全周に亘って設けられていることを特徴とする流体機械。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記固定子(62)及び前記回転子(61)は、前記ケーシング本体(71)内において、該ケーシング本体(71)の開口端部側からハウジング(63)で覆われており、
前記移動妨害部材(66)は、前記ハウジング(63)に取り付けられていることを特徴とする流体機械。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つにおいて、
前記配線(62a)は、少なくともその一部が、前記ケーシング本体(71)内において該ケーシング本体(71)の内周面以外の部分に固定されていることを特徴とする流体機械。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1つにおいて、
前記回転子(61)には、該回転子(61)と一体に回転する回転シャフト(31)が取り付けられ、
前記回転シャフト(31)の一端部は、前記回転子(61)よりも前記ケーシング本体(71)の開口端部側に突出しており、
前記ケーシング本体(71)内には、前記回転シャフト(31)の突出端部を覆うシャフトカバー(65)が設けられ、
前記配線(62a)は、少なくともその一部が前記シャフトカバー(65)に固定されていることを特徴とする流体機械。
【請求項6】
固定子(62)と、該固定子(62)に対して相対的に回転する回転子(61)と、該固定子(62)及び該回転子(61)を収容するケーシング(7)と、該ケーシング(7)に取り付けられると共に配線(62a)を介して該固定子(62)に電気的に接続されたターミナル(76)とを備えた流体機械であって、
前記ケーシング(7)は、前記固定子(62)が取り付けられると共に開口を有するケーシング本体(71)と、前記ターミナル(76)が取り付けられると共に該ケーシング本体(71)の開口端部に溶接によって取り付けられる蓋部材(72)とを有しており、
前記配線(62a)は、少なくともその一部が、前記ケーシング本体(71)内において該ケーシング本体(71)の内周面以外の部分に固定されていることを特徴とする流体機械。
【請求項7】
請求項6において、
前記回転子(61)には、該回転子(61)と一体に回転する回転シャフト(31)が取り付けられ、
前記回転シャフト(31)の一端部は、前記回転子(61)よりも前記ケーシング本体(71)の開口端部側に突出しており、
前記ケーシング本体(71)内には、前記回転シャフト(31)の突出端部を覆うシャフトカバー(65)が設けられ、
前記配線(62a)は、少なくともその一部が前記シャフトカバー(65)に固定されていることを特徴とする流体機械。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つにおいて、
タービン(3)をさらに備え、
前記固定子(62)及び前記回転子(61)は、該回転子(61)が前記タービン(3)によって回転駆動されることで発電する発電機構(6)を構成していることを特徴とする流体機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−74944(P2010−74944A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239509(P2008−239509)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】