説明

浄化処理装置及び浄化処理方法

【課題】ナノバブル含有液体を利用して被処理液体を浄化処理する装置を低コスト且つ短時間で製作することができる。
【解決手段】本発明の浄化処理装置101は、マイクロバブル発生槽5内に導入された被処理水を用いてマイクロバブル含有液体を作製するマイクロバブル発生装置65と、マイクロナノバブル発生槽11内に導入されたマイクロバブル含有液体を用いてマイクロナノバブル含有液体を作製するマイクロナノバブル発生装置66と、ナノバブル発生槽20内に導入されたマイクロナノバブル含有液体を用いてナノバブル含有液体を作製するナノバブル発生装置67と、導入されたナノバブル含有液体を浄化処理する浄化処理手段とを備えているので、ナノバブル含有液体を利用して被処理液体を浄化処理する装置を低コスト且つ短時間で製作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難分解性化合物を含有する被処理液体を浄化処理するための浄化処理装置及び浄化処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシン、有機フッ素化合物(例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)またはパーフルオロオクタン酸(PFOA)等)などは化学的に安定な物質であって、耐熱性及び耐薬品性(例えば、耐酸性)に優れている。それゆえ、これら難分解性化合物は、界面活性剤、または半導体製造における反射防止膜等の産業用材料として広く用いられている。
【0003】
これら難分解性化合物は、広く用いられれば用いられるほど難分解性化合物が自然界に放出される可能性が増加し、深刻な環境汚染の原因となり得るため、従来から、例えば、PFOS、PFOA等の難分解性化合物を含有する排水の処理技術として(例えば、燃焼方式、超臨界方式)が用いられている。
【0004】
しかしながら、例えば、半導体工場などから排出される有機フッ素化合物含有排水中の有機フッ素化合物の濃度はppbオーダーであって、濃度が低く、かつ排水量が1日あたり数十トン〜数百トンと非常に多い。この場合、上記従来の方法では、排水を処理しきれないのが現状である。
【0005】
ところで、近年、小さな直径を有する気泡(バブル)には様々な作用効果があることが明らかになりつつあり、現在、このような気泡を作製する技術及びその効果に対する研究が進みつつある。そして、気泡を用いて、様々な有機物を分解しようとする試みもなされている。
【0006】
上記気泡は、その直径に応じて、マイクロバブル、マイクロナノバブル及びナノバブルに分類することができる。具体的には、マイクロバブルは、その発生時において10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは、その発生時において数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡である。なお、マイクロバブルは、発生後の収縮運動によって、その一部がマイクロナノバブルに変化することがある。また、ナノバブルは、長期に渡って液体中に存在することができるという性質を有している。
【0007】
例えば、従来から、様々なナノバブルの利用方法、及びナノバブルを利用した各種装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、特許文献1には、ナノバブルが、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、または静電分極の実現によって、界面活性作用及び殺菌作用を示すことが記載されている。さらに、特許文献1には、ナノバブルが有する界面活性作用及び殺菌作用を用いて、各種物体を洗浄する技術及び汚濁水を浄化する技術、及びナノバブルを用いて生体の疲労を回復する方法が記載されている。なお、特許文献1では、水を電気分解するとともに、当該水に超音波振動を加えることによって、ナノバブルを作製している。
【0008】
また、液体を原料としてナノバブルを作製する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。上記作製方法は、液体中において、1)上記液体の一部を分解ガス化する工程、2)上記液体に超音波を印加する工程、または3)上記液体の一部を分解ガス化する工程及び上記液体に超音波を印加する工程、からなるものである。なお、液体の一部を分解ガス化する工程として、電気分解法または光分解法を用いることができることが記載されている。
【0009】
また、従来から、オゾンガスからなるマイクロバブル(オゾンマイクロバブル)を利用する廃液処理装置が用いられている(例えば、特許文献3参照)。上記廃液処理装置では、オゾン発生装置によって作製されたオゾンガスと廃液とを、加圧ポンプを用いて混合することによって、オゾンガスからなるマイクロバブルを作製している。そして、当該マイクロバブルが廃液中の有機物と反応することによって、廃液中の有機物が酸化分解される。
【0010】
さらに、近年、ナノバブルを多量に発生することができるナノバブル発生装置が開発されており、例えば、特許文献4に開示されているようなナノバブル発生機(株式会社協和建設製)が市販されている。このナノバブル発生機によれば、用水処理、排水処理、及び浴槽処理に適用することが可能であり、さらには健康分野及び医療分野にまで用途を拡大しつつある。
【特許文献1】特開2004−121962号公報(平成16年4月22日公開)
【特許文献2】特開2003−334548号公報(平成15年11月25日公開)
【特許文献3】特開2004−321959号公報(平成16年11月18日公開)
【特許文献4】特許第4118939号公報(平成20年7月16日発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、ナノバブルは様々な分野において、その有用性が期待されており、例えば、難分解性化合物を含有する排水の水処理技術において、界面活性作用及び殺菌作用を有するナノバブルを適用することは望ましい。したがって、ナノバブルを含有するナノバブル含有液体の製造機を備えた浄化処理装置を低コスト且つ短時間で製作することができれば有利である。また、ナノバブル含有液体を用いた水処理方法には、さらなる改良が望まれている。
【0012】
このような事情を鑑みると、従来のナノバブル発生機を用いた浄化処理装置では十分ではなく、より低コスト且つ短時間で製作することができる浄化処理装置の開発が強く求められている。
【0013】
そこで、本発明の目的は、低コスト且つ短時間で製作することが可能であり、且つ高効率浄化処理が可能な、ナノバブルを利用した液体の浄化処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の1)〜4)を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
1)マイクロバブル含有液体作製手段が設置された液体槽を3槽以上直列に配置して、当該複数の槽間に順次液体を流すとともに、各マイクロバブル含有液体作製手段を運転すると、第3の槽においてナノバブル含有液体が得られること、
2)各マイクロバブル含有液体作製手段を運転するとともに、複数の槽の少なくともいずれか1つに界面活性剤を添加することによって、多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体が得られること、
3)各マイクロバブル含有液体作製手段を運転するとともに、複数の槽の少なくともいずれか1つに無機塩を添加することによって、多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体が得られること、
4)各マイクロバブル発生手段を運転するとともに、複数の槽の少なくともいずれか1つに界面活性剤及び無機塩類を同時に添加することによって、多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体が得られること。
【0016】
本発明に係る浄化処理装置は、上記課題を解決するために、第1の槽内に導入された被処理液体を用いて第1の微細気泡含有液体を作製する第1のマイクロバブル含有液体作製手段と、第2の槽内に導入された第1の微細気泡含有液体を用いて第2の微細気泡含有液体を作製する第2のマイクロバブル含有液体作製手段と、第3の槽内に導入された第2の微細気泡含有液体を用いて第3の微細気泡含有液体を作製する第3のマイクロバブル含有液体作製手段と、第3の微細気泡含有液体を浄化処理する浄化処理手段とを備えていることを特徴としている。
【0017】
本発明に係る浄化処理方法は、上記課題を解決するために、第1の槽内に導入された被処理液体を用いて第1の微細気泡含有液体を作製し、第1の槽内に吐出する第1のマイクロバブル含有液体作製工程と、第2の槽内に導入された第1の微細気泡含有液体を用いて第2の微細気泡含有液体を作製し、第2の槽内に吐出する第2のマイクロバブル含有液体作製工程と、第3の槽内に導入された第2の微細気泡含有液体を用いて第3の微細気泡含有液体を作製し、第3の槽内に吐出する第3のマイクロバブル含有液体作製工程と、第3の微細気泡含有液体を浄化処理する浄化処理工程とを包含することを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、本発明に係る浄化処理装置は、直列に配置した第1〜3の槽内に、第1の槽から液体を順次導入し、第1〜3のマイクロバブル含有液体作製手段を作動することによって第3の槽内において第3の微細気泡含有液体であるナノバブル含有液体を得ることができる。
【0019】
すなわち、まず、第1のマイクロバブル含有液体作製手段が、第1の槽内に導入された液体を用いて第1の微細気泡含有液体を作製し、第1の槽内に吐出する。次に、第1の槽において発生させたマイクロバブルを含む第1の微細気泡含有液体を第2の槽内に導入し、第2のマイクロバブル含有液体作製手段が、第1の微細気泡含有液体を用いて第2の微細気泡含有液体を作製し、第2の槽内に吐出する。さらに、第2の槽において発生させたマイクロナノバブルを含む第2の微細気泡含有液体を第3の槽内に導入し、第3のマイクロバブル含有液体作製手段が、第2の微細気泡含有液体を用いて第3の微細気泡含有液体を作製し、第3の槽内に吐出する。これにより、第3の槽内にナノバブルを含有する第3の微細気泡含有液体が製造される。
【0020】
そして、本発明に係る浄化処理装置では、さらに第3の微細気泡含有液体を浄化処理する浄化処理手段を備えている。第3の槽内において得られた第3の微細気泡含有液体であるナノバブル含有液体を、浄化処理手段に導入して浄化処理する。
【0021】
このように、本発明に係る浄化処理装置によれば、第1〜3の微細気泡含有液体発生手段としては、複雑な構造を有するナノバブル発生装置ではなく、すべてマイクロバブル発生装置を使用して、低コスト且つ効率よくナノバブル含有液体を作製することがすることが可能であり、当該ナノバブル含有液体によって被処理液体を効率よく浄化処理することが可能である。また、浄化処理装置の製造コストが抑えられ、且つ装置を短時間に製造することができる。
【0022】
ここで、浄化処理とは、被処理液体中の混入物又は不純物を除去することが意図され、混入物又は不純物の除去には混入物又は不純物を分解することにより取り除くことが含まれる。また、水処理技術におけるいわゆる上水処理、中水処理及び下水処理も、浄化処理に含まれる。また、被処理液体とは、浄化処理手段による浄化処理の対象となる、混入物又は不純物を含む液体が意図される。
【0023】
また、本発明に係る浄化処理装置において、第1のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、上記被処理液体と第1の供給気体とを混合及びせん断して第1の微細気泡含有液体を作製する第1のせん断部を備え、第2のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第1の微細気泡含有液体をさらにせん断して第2の微細気泡含有液体を作製する第2のせん断部を備え、第3のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第2の微細気泡含有液体をさらにせん断して第3の微細気泡含有液体を作製する第3のせん断部を備えていることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、第1のせん断部が、液体と第1の供給気体とを混合及びせん断して作製した第1の微細気泡含有液体を、続いて第2のせん断部によってさらにせん断して第2の微細気泡含有液体を作製し、第2の微細気泡含有液体をさらに第3のせん断部によってせん断して第3の微細気泡含有液体を作製する。すなわち、簡易な構造の複数のせん断部によって、液体中のバブルの大きさを段階的小さくし、ナノバブルを含むナノバブル含有液体を効率よく作製することができる。
【0025】
また、本発明に係る浄化処理装置において、第1のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第1のせん断部に第1の供給気体を供給する第1の気体供給手段を備えていることが好ましい。上記の構成によれば、第1のせん断部によって効率よく第1の微細気泡含有液体が作製される結果、効率よくナノバブル含有液体を作製することができる。
【0026】
また、本発明に係る浄化処理装置において、第2のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第2のせん断部に第2の供給気体を供給する第2の気体供給手段を備え、第2のせん断部は第2の供給気体と第1の微細気泡含有液体とを混合及びせん断して第2の微細気泡含有液体を作製し、第3のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第3のせん断部に第3の供給気体を供給する第3の気体供給手段を備え、第3のせん断部は第3の供給気体と第2の微細気泡含有液体とを混合及びせん断して第3の微細気泡含有液体を作製することが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、第2のせん断部は、第1のせん断部で作製した第1の微細気泡含有液体にさらに第2の供給気体を混合させてせん断し、より多量のマイクロナノバブルを含む第2の微細気泡含有液体を作製する。そして、第3のせん断部は、第2の微細気泡含有液体にさらに第3の供給気体を混合させてせん断し、より多量のナノバブルを含む第3の微細気泡含有液体を作製する。したがって、より多量のナノバブルを含むナノバブル含有液体を効率よく作製することができる。
【0028】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記被処理液体が導入される貯水槽と、上記貯水槽内の上記被処理液体を第1の槽に移送する第1の移送手段をさらに備えていることが好ましい。上記の構成によれば、被処理液体が導入される貯水槽と、当該貯水槽内の液体を第1の槽に移送するための第1の移送手段とを備えているので、貯水槽中の液体を第1の槽に導入し、さらに第2の槽及び第3の槽に順次移送することによって、貯水槽内の液体から効率よくナノバブル含有液体を作製することができる。
【0029】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記貯水槽内の上記被処理液体を上記浄化処理手段に移送する第2の移送手段をさらに備えていることが好ましい。上記の構成によれば、被処理液体が導入された貯水槽から、当該被処理液体を浄化処理手段に移送する第2の移送手段を備えているので、第3の微細気泡含有液体中の被処理液体だけでなく、さらに浄化処理手段に導入された被処理液体を第3の微細気泡含有液体中のナノバブルの作用により浄化処理することができるので、より効率よく浄化処理することができる。
【0030】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記浄化処理手段によって浄化処理された処理液体を第1の槽に移送する第3の移送手段をさらに備えていることが好ましい。上記の構成によれば、浄化手段によって浄化処理された処理液体を第1の槽に導入する。ここで、処理液体は、被処理液体が浄化処理手段によって浄化処理された後の液体であることが意図される。浄化処理手段によって第3の微細気泡含有液体を浄化処理すると、処理された処理液体には無機塩類が含まれることがある。ここで、無機塩類はナノバブルの発生量を増やすという効果があるため、当該処理液体を再び第1の槽から第3の槽まで順次導入させることによって、ナノバブルを好適に発生させることができる。
【0031】
また、本発明に係る浄化処理装置は、第3の微細気泡含有液体が導入される第4の槽と、第4の槽内に導入された第3の微細気泡含有液体中のナノバブル含有量を測定するナノバブル含有量測定手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、第3の槽に吐出された第3の微細気泡含有液体を第4の槽に導入して、第3の微細気泡含有液体中のナノバブルの含有量を測定することができるので、所望の量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体を容易に作製することが可能である。すなわち、作製するナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量を容易に調整することができる。
【0033】
さらに、本発明に係る浄化処理装置は、上記ナノバブル含有量測定手段はさらに、酸化還元電位検出手段を備え、上記酸化還元電位検出手段において検出した第3の微細気泡含有液体の酸化還元電位に基づいてナノバブル含有量を測定することが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、第3の槽で得られた第3の微細気泡含有液体中のナノバブルの含有量を、第3の微細気泡含有液体中の酸化還元電位の値から測定することができる。つまり、酸化還元電位の値はナノバブルの含有量と相関関係を示すため、測定した酸化還元電位の値に基づいて、作製するナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量を調整することができる。
【0035】
また、本発明に係る浄化処理装置では、上記ナノバブル含有量測定手段はさらに、ゼータ電位検出手段を備え、上記ゼータ電位検出手段において検出した第3の微細気泡含有液体のゼータ電位に基づいてナノバブル含有量を測定することが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、第3の槽で得られた第3の微細気泡含有液体中のナノバブルの含有量を、第3の微細気泡含有液体中のゼータ電位の値から測定することができる。つまり、ゼータ電位の値はナノバブルの含有量と相関関係を示すため、測定したゼータ電位の値に基づいて、作製するナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量を調整することができる。
【0037】
また、本発明に係る浄化処理装置は、界面活性剤を貯留した界面活性剤タンクと、上記界面活性剤タンク内の上記界面活性剤を第1〜3の槽それぞれに供給する界面活性剤供給手段とを備えていることが好ましい。
【0038】
上記の構成によれば、界面活性剤タンク内に貯留された界面活性剤を第1〜3の槽の少なくともいずれか1つに供給することにより、より多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体を作製することができる。ここで、界面活性剤は界面張力を低下させる作用を有する物質であるため、第1の微細気泡含有液体、第2の微細気泡含有液体、又は第3の微細気泡含有液体がそれぞれ吐出される第1〜3の槽の少なくともいずれか1つの槽に界面活性剤を供給することによって、これらの含有液体中の各バブル量をそれぞれ増加させることができる。その結果、第3の槽内において、多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体を得ることができる。
【0039】
また、本発明に係る浄化処理装置は、無機塩を貯留した無機塩タンクと、上記無機塩タンク内の上記無機塩を第1〜3の槽それぞれに供給する無機塩供給手段とを備えていることが好ましい。
【0040】
上記の構成によれば、無機塩タンク内に貯留された無機塩を第1〜3の槽の少なくともいずれか1つに供給することにより、より多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体を作製することができる。ここで、無機塩を液体に添加すると、当該液体は電解質となり、バブルが発生し易くなる。そのため、無機塩を第1の微細気泡含有液体、第2の微細気泡含有液体、又は第3の微細気泡含有液体がそれぞれ吐出される第1〜3の槽の少なくともいずれか1つの槽に供給することにより、これらの含有液体中の各バブル量を増加させることができる。その結果、第3の槽内において、多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体を得ることができる。
【0041】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記界面活性剤タンクから第1〜3の槽のそれぞれに供給する上記界面活性剤の供給量を調節する界面活性剤定量弁をさらに備えていることが好ましい。これにより、第1〜3槽のそれぞれに供給される界面活性剤の量を容易に調節することが可能であり、作製するナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量を容易に調節することができる。
【0042】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記ナノバブル含有量測定手段が測定した上記ナノバブル含有量に基づいて、上記界面活性剤の供給量を調節するように上記界面活性剤定量弁を制御する制御手段をさらに備えていることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、制御手段が、ナノバブル発生量測定手段によって測定された第3の微細気泡含有液体中のナノバブルの含有量に基づいて、界面活性剤定量弁を制御する。すなわち、作製したナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量に基づいて界面活性剤の供給量を調整することによって、所望の含有量でナノバブルを含有するナノバブル含有液体を容易に作製することができる。
【0044】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記無機塩タンクから第1〜3の槽のそれぞれに供給する上記無機塩の供給量を調節する無機塩定量弁をさらに備えていることが好ましい。これにより、第1〜3槽のそれぞれに供給される無機塩の量を容易に調節することが可能であり、作製するナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量を容易に調節することができる。
【0045】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記ナノバブル含有量測定手段が測定した上記ナノバブル含有量に基づいて、上記無機塩の供給量を調節するように上記無機塩定量弁を制御する制御手段をさらに備えていることが好ましい。
【0046】
上記の構成によれば、制御手段が、ナノバブル発生量測定手段によって測定された第3の微細気泡含有液体中のナノバブルの含有量に基づいて、無機塩定量弁を制御する。すなわち、作製したナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量に基づいて界面活性剤の供給量を調整することによって、所望の含有量でナノバブルを含有するナノバブル含有液体を容易に作製することができる。
【0047】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記貯水槽から第1の槽に移送する上記被処理液体の移送量を調節する第1の被処理液体定量弁と、上記ナノバブル含有量測定手段が測定した上記ナノバブル含有量に基づいて、上記被処理液体の移送量を調節するように第1の被処理液体定量弁を制御する制御手段をさらに備えていることが好ましい。
【0048】
上記の構成によれば、制御手段が、ナノバブル発生量測定手段によって測定された第3の微細気泡含有液体中のナノバブルの含有量に基づいて、貯水槽から第1の槽に移送する被処理液体の量を調節する第1の被処理液体定量弁を制御する。すなわち、作製したナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量に基づいて被処理液体の移送量を調整することによって、十分な量のナノバブル含有液体が作製されていない場合には、被処理液体を用いてナノバブル含有液体を作製し、当該ナノバブル含有液体中の被処理液体を浄化処理手段に移送して浄化処理に供することができるので、ナノバブル含有液体を作製しながら効率よく浄化処理を行うことができる。
【0049】
また、本発明に係る浄化処理装置は、上記貯水槽から上記浄化処理手段に移送する上記被処理液体の移送量を調節する第2の被処理液体定量弁と、上記ナノバブル含有量測定手段が測定した上記ナノバブル含有量に基づいて、上記処理液体の移送量を調節するように第2の被処理液体定量弁を制御する制御手段をさらに備えていることが好ましい。
【0050】
上記の構成によれば、制御手段が、ナノバブル発生量測定手段によって測定された第3の微細気泡含有液体中のナノバブルの含有量に基づいて、貯水槽から浄化処理手段に移送する被処理液体の量を調節する第2の被処理液体定量弁を制御する。すなわち、作製したナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量に基づいて被処理液体の移送量を調整することによって、十分な量のナノバブル含有液体が作製されている場合には、被処理液体を直接浄化処理手段に移送して浄化処理に供することができるので、効率よく浄化処理を行うことができる。
【0051】
また、本発明に係る浄化処理装置において、上記被処理液体は、排水、上水、再利用水、地下水、水道水、又は有機フッ素化合物含有排水であることが好ましい。
【0052】
つまり、本発明に係る浄化処理装置に用いられる被処理液体が排水であれば、排水にナノバブルを多量に含有させることにより、排水中の成分に対してナノバブルが保有する酸化力により酸化処理することができる。また、当該被処理液体が上水であれば、上水にナノバブルを多量に含有させることにより、上水中の微量の残存化学成分に対してナノバブルが保有する酸化力により酸化処理することができる。また、当該被処理液体が再利用水であれば、再利用水にナノバブルを多量に含有させることにより、再利用水中の微量の残存化学成分又は有機物に対してナノバブルが保有する酸化力により酸化処理することができる。
【0053】
また、当該被処理液体が地下水であれば、地下水にナノバブルを多量に含有させることにより、地下水中の微量の難分解性化学成分又は難分解性有機物に対してナノバブルが保有する酸化力により酸化処理することができる。さらに、ナノバブルを含有させた地下水を処理するために水質改善設備が存在する場合には、地下水中にナノバブルが長期間に亘って保持されることにより、地下水の処理効率が改善することになり、ひいてはランニングコストの低減、又は地下水の品質の向上に役立つ。また、当該被処理液体が水道水であれば、比較的自由に確保することが可能であり、当該被処理液体が有機フッ素化合物含有排水であれば、ナノバブルによって被処理液体中の有機フッ素化合物を分解処理することができる。
【0054】
また、本発明に係る浄化処理装置において、上記浄化処理手段は、第3の微細気泡含有液体と上記被処理液体とが混合した第1の混合液体を好気処理する好気処理手段をさらに備えていることが好ましい。ここで、好気処理とは、酸素を必要とする微生物による物質の分解処理が意図される。上記の構成によれば、第3の微細気泡含有液体中のナノバブルによる被処理液体中の混入物の分解だけでなく、ナノバブルによって好気処理に用いられる微生物を活性化することができる。すなわち、活性化した微生物により被処理液体中の混入物を分解することによって、より効率よく容易に被処理液体を浄化処理することができる。
【0055】
また、本発明に係る浄化処理装置において、上記浄化処理手段は、第3の微細気泡含有液体と被処理液体とが混合した第1の混合液体をろ過するろ過手段と、活性炭を包含し、上記ろ過手段でろ過された第1の混同液体が導入される活性炭吸着手段とをさらに備えていることが好ましい。上記の構成によれば、被処理液体の浄化処理を容易に行なうことができる。すなわち、急速ろ過塔においては、第3の微細気泡含有液体に含まれるナノバブルによって、被処理液体における浮遊物質のつまりにより発生する閉塞状態を改善することができる。また、活性炭吸着塔においては、当該ナノバブルによって活性炭に繁殖した微生物を活性化し、活性炭が吸着した有機物を当該微生物によって分解処理することができる。
【0056】
また、本発明に係る浄化処理装置において、上記好気処理手段は、微生物を担持するための限外ろ過膜を備えた限外ろ過膜槽、内部に導入された第1の混合液体及び微生物の混合物を曝気する曝気槽、内部に導入された第1の混合液体を接触酸化する接触酸化槽、微生物を担持するための回転可能な円盤を備えた回転円盤槽、及び内部において微生物を担持した活性炭が流動する活性炭流動槽からなる群より選択される少なくとも一つの槽を備えていることが好ましい。上記の構成によれば、被処理液体を容易に浄化処理することができる。
【0057】
すなわち、好気処理手段が限外ろ過膜槽を備えていれば、第3の微細気泡含有液体に含まれるナノバブルによって、限外ろ過膜に担持された微生物を活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。また、好気処理手段が曝気槽を備えていれば、曝気槽内に導入された被処理液体及び微生物の混合物を曝気することによって活性化した当該微生物を、ナノバブルの作用によってさらに活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。さらに、好気処理手段が接触酸化槽を備えていれば、接触酸化により活性化された当該槽内の微生物を、ナノバブルの作用によってさらに活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。
【0058】
また、好気処理手段が回転円盤槽を備えていれば、微生物を担持する回転可能な円盤を回転円盤槽内において回転させることによって活性化した当該微生物を、ナノバブルの作用によってさらに活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。また、好気処理手段が活性炭流動槽を備えていれば、第3の微細気泡含有液体に含まれるナノバブルによって、活性炭流動槽内を流動する活性炭に担持された微生物を活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。
【0059】
さらに、これらの好気処理手段を用いることによって、被処理液体が第3の微細気泡含有液体中に長時間滞留することによって、ナノバブルが有するフリーラジカル起因の酸化力で、被処理液体中の有機物や化学物質等の混入物を酸化分解することができる。
【0060】
また、本発明に係る浄化処理装置において、上記好気処理手段が、上記曝気槽、上記接触酸化槽、上記回転円盤槽及び上記活性炭流動槽のうちの少なくとも一つを備えているとき、少なくとも一つの上記好気処理手段において好気処理された第1の混合液体が導入される沈殿槽をさらに備えていることが好ましい。これにより、微生物の集合体すなわち活性汚泥の性質を向上させ、沈殿槽での活性汚泥の沈降性を改善することができる。また、沈殿槽内に被処理液体を長時間滞留させることにより、ナノバブルが有するフリーラジカル起因の酸化力で、被処理液体中の有機物や化学物質等の混入物を酸化分解することができる。
【0061】
また、本発明に係る浄化処理装置において、上記沈殿槽内の第1の混合液体をろ過するろ過手段と、活性炭を包含し、上記ろ過手段でろ過された第1の混同液体が導入される活性炭吸着手段とをさらに備えていることが好ましい。これにより、被処理液体中の混入物をさらに効率よく除去することが可能である。
【0062】
また、本発明に係る浄化処理装置において、上記浄化処理手段は、微生物を担持するための限外ろ過膜を備え、第3の微細気泡含有液体と被処理液体とが混合した第1の混合液体を好気処理するた限外ろ過膜槽と、内部に流動する活性炭を包含し、第3の微細気泡含有液体と第1の混合液体とが混合した第2の混合液体が導入される活性炭流動槽と、第2の混合液体をろ過するろ過手段と、活性炭を包含し、上記ろ過手段でろ過された第2の混同液体が導入される活性炭吸着手段とをさらに備えていることが好ましい。これにより、被処理液体中の混入物をさらに効率よく除去することが可能である。
【発明の効果】
【0063】
本発明に係る浄化処理装置は、以上のように、第1の槽内に導入された被処理液体を用いて第1の微細気泡含有液体を作製する第1のマイクロバブル含有液体作製手段と、第2の槽内に導入された第1の微細気泡含有液体を用いて第2の微細気泡含有液体を作製する第2のマイクロバブル含有液体作製手段と、第3の槽内に導入された第2の微細気泡含有液体を用いて第3の微細気泡含有液体を作製する第3のマイクロバブル含有液体作製手段と、導入された第3の微細気泡含有液体を浄化処理する浄化処理手段とを備えているので、ナノバブル含有液体を利用して被処理液体を浄化処理する浄化処理装置を低コスト且つ短時間で製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
〔第1の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第1の実施形態について、図1を参照して以下に説明する。
【0065】
(浄化処理装置101)
図1は、第1の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る浄化処理装置101は、主に、ナノバブル含有液体製造部64及び浄化処理部(浄化処理手段)100を備えている。
【0066】
浄化処理装置101は、被処理液体からナノバブル含有液体を作製し、当該ナノバブル含有液体を処理する装置である。すなわち、まず、ナノバブル含有液体製造部64に被処理液体(図1中「液体」として示す)を導入してナノバブル含有液体(第3の微細気泡含有液体)を作製し、得られたナノバブル含有液体を液体配管51又は70を経由して浄化処理部100に移送する。次に、浄化処理部100に導入されたナノバブル含有液体を浄化処理する。ここで、被処理液体は、浄化処理手段による浄化処理の対象となる、混入物又は不純物を含む液体であることが意図される。
【0067】
ナノバブル含有液体製造部64は、被処理液体からナノバブル含有液体を作製するものである。図1に示すように、ナノバブル含有液体製造部64は、主に、マイクロバブル発生槽(第1の槽)5、マイクロナノバブル発生槽(第2の槽)11、及びナノバブル発生槽(第3の槽)20を備えており、マイクロバブル発生槽5内に導入された被処理液体を用いてマイクロバブル含有液体(第1の微細気泡含有液体)を作製するマイクロバブル発生装置(第1のマイクロバブル含有液体作製手段)65と、マイクロナノバブル発生槽11内に導入されたマイクロバブル含有液体を用いてマイクロナノバブル含有液体を作製するマイクロナノバブル発生装置(第2のマイクロバブル含有液体作製手段)66と、ナノバブル発生槽20内に導入されたマイクロナノバブル含有液体を用いてナノバブル含有液体を作製するナノバブル発生装置(第3のマイクロバブル含有液体作製手段)67とを備えている。
【0068】
つまり、ナノバブル含有液体製造部64では、ナノバブル含有液体を作製するためのマイクロバブル含有液体作製装置を設置した槽が3槽直列に配置されており、マイクロバブル発生槽5に被処理液体を導入するとともに各バブル含有液体作製手段を運転し、当該被処理液体をマイクロバブル発生槽5からナノバブル発生槽20まで順次導入することによって、ナノバブル発生槽20においてナノバブル含有液体が得られる。なお、マイクロバブル含有液体作製装置が設けられた槽の数はこれに限定されず、当該槽が3槽以上直列に配置されていればよい。
【0069】
また、ナノバブル含有液体製造部64はナノバブル発生槽20の下流に、ナノバブル発生槽20からのナノバブル含有液体が導入される測定槽(第4の槽)29をさらに備えている。測定槽29において、ナノバブル発生槽20において得られたナノバブル含有液体中のナノバブル含有量を測定する。これにより、測定したナノバブル含有量に基づいて、界面活性剤タンク32及び無機塩タンク37から供給される界面活性剤及び無機塩の供給量をそれぞれ調節することができる。本実施の形態に係るナノバブル含有液体製造部64の詳細については後述する。
【0070】
浄化処理部100は、被処理液体を含むナノバブル含有液体を浄化処理するものである。つまり、浄化処理部100は、ナノバブル含有液体製造部64において作製されたナノバブル含有液体と被処理液体との混合液体を浄化処理する。
【0071】
ここで、浄化処理とは、被処理液体中の混入物又は不純物を除去することが意図され、混入物又は不純物の除去には混入物又は不純物を分解することにより取り除くことが含まれる。また、水処理技術におけるいわゆる上水処理、中水処理及び下水処理も、浄化処理に含まれる。本実施の形態に係る浄化処理部100の詳細については後述する。
【0072】
このように、本実施の形態に係る浄化処理装置101によれば、各バブル発生装置として、複雑な構造を有するナノバブル発生装置ではなく、すべてマイクロバブル発生装置を使用して、低コスト且つ効率よくナノバブル含有液体を作製することがすることが可能であり、当該ナノバブル含有液体によって被処理液体を効率よく浄化処理することが可能である。また、浄化処理装置の製造コストが抑えられ、且つ装置を短時間に製造することができる。
【0073】
(ナノバブル含有液体製造部64)
次に、ナノバブル含有液体製造部64が被処理液体を用いてナノバブル含有液体を作製する工程について説明する。
【0074】
ナノバブル含有液体製造部64は、図1に示すように、貯水槽1、マイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、ナノバブル発生槽20、測定槽29、シーケンサー(制御手段)31、界面活性剤タンク32、及び無機塩タンク37を備えている。
【0075】
本実施の形態に係るナノバブル含有液体製造部64では、まず、流入配管2を通じて外部から貯水槽1に被処理液体を導入し、さらに液体配管(第1の移送手段)4を経由してマイクロバブル発生槽5に移送する。マイクロバブル発生槽5にはマイクロバブル発生装置65が設置されており、当該装置を運転することによって被処理液体からマイクロバブル含有液体を作製する。
【0076】
次に、作製したマイクロバブル含有液体を、オーバーフロー配管10を介してマイクロナノバブル発生槽11に移送し、マイクロナノバブル含有液体を作製する。つまり、マイクロナノバブル発生槽11にはマイクロナノバブル発生装置66が設置されており、当該装置を運転することによってマイクロバブル含有液体からマイクロナノバブル含有液体を作製する。
【0077】
さらに、作製したマイクロナノバブル含有液体を、オーバーフロー配管19を介してナノバブル発生槽20に移送し、ナノバブル含有液体を作製する。つまり、ナノバブル発生槽20にはナノバブル発生装置67が設置されており、当該装置を運転することによってマイクロナノバブル含有液体からナノバブル含有液体を作製する。このように、被処理液体をマイクロバブル発生槽5からナノバブル発生槽20まで順次導入し、各バブル発生装置を運転することによって、ナノバブル発生槽20においてナノバブル含有液体が得られる。
【0078】
ナノバブル含有液体製造部64に導入される被処理液体としては特に限定されないが、排水、上水、再利用水、地下水、水道水、又は有機フッ素化合物含有排水であることが好ましい。
【0079】
例えば、被処理液体が排水であれば、排水にナノバブルを多量に含有させることにより、排水中の成分に対してナノバブルが保有する酸化力により酸化処理することができる。また、被処理液体が上水であれば、上水にナノバブルを多量に含有させることにより、上水中の微量の残存化学成分に対してナノバブルが保有する酸化力により酸化処理することができる。また、被処理液体が再利用水であれば、再利用水にナノバブルを多量に含有させることにより、再利用水中の微量の残存化学成分又は有機物に対してナノバブルが保有する酸化力により酸化処理することができる。また、被処理液体が地下水であれば、地下水にナノバブルを多量に含有させることにより、地下水中の微量の難分解性化学成分又は難分解性有機物に対してナノバブルが保有する酸化力により酸化処理することができる。
【0080】
さらに、ナノバブルを含有させた地下水を処理するために水質改善設備が存在する場合には、地下水中にナノバブルが長期間に亘って保持されることにより、地下水の処理効率が改善することになり、ひいてはランニングコストの低減、又は地下水の品質の向上に役立つ。また、被処理液体が水道水であれば、比較的自由に確保することが可能であり、被処理液体が有機フッ素化合物含有排水であれば、ナノバブルによって被処理液体中の有機フッ素化合物を分解処理することができる。
【0081】
また、本実施の形態に係るナノバブル含有液体製造部64において、流入配管2を通じて外部から貯水槽1に導入された被処理液体を直接、浄化処理部100の限外ろ過膜槽71に移送することもできる。つまり、貯水槽1とマイクロバブル発生槽5とを繋ぐ液体配管4には、被処理液体の供給量を調節するバルブA(第1の被処理液体定量弁)102が設けられており、貯水槽1と限外ろ過膜槽71とを繋ぐ液体配管(第2の移送手段)104には、被処理液体の供給量を調節するバルブB(第2の被処理液体定量弁)103が設けられている。
【0082】
そのため、ナノバブル含有液体製造部64において作製したナノバブル含有液体を浄化処理部100において浄化処理するとき、バルブA102が開いている場合には、第1移送ポンプ3によって液体配管4を経由してマイクロバブル発生槽5に被処理液体が導入される。また、バルブA102が閉じている場合、すなわち、貯水槽1からマイクロバブル発生槽5に被処理液体が導入されない場合には、バルブB103を開いて貯水槽1から直接被処理液体を限外ろ過膜槽71に導入することができる。
【0083】
バルブA102及びバルブB103の開閉は、断続的に切り替わっていてもよく、両方のバルブがそれぞれ開いていてもよい。
【0084】
例えば、測定槽29において測定したナノバブル含有液体中のナノバブル含有量が予め設定した値よりも高い場合、バルブAを閉じ、バルブBを開いて、限外ろ過膜槽71に直接移送する被処理液体の量を増やしてもよい。すなわち、限外ろ過膜槽71にナノバブル含有液体を導入する必要がないとき、被処理液体を直接導入することによって、各ナノバブル発生装置を稼動せずに限外ろ過膜槽71内の液量を増やすことができる。このように、バルブA102及びバルブB103の開閉は、測定槽29において測定したナノバブル含有液体のナノバブル含有量に基づいて制御してもよい。なお、バルブA102を通過する被処理液体の流量と、バルブB103を通過する被処理液体の流量とを比較すると、圧倒的に後者の流量が多い。
【0085】
また、バルブA102が閉じており、且つバルブB103が開いている場合には、貯水槽1から浄化処理部100に直接被処理液体が導入されるので、後述する界面活性剤タンク32又は無機塩タンク37から界面活性剤又は無機塩類が各バブル発生槽に供給されない。このとき、測定槽29において測定されたナノバブル含有液体中のナノバブル含有量によっては、浄化処理部100の最終処理槽96に貯留された、浄化処理後の処理液体を、最終処理槽ポンプ97によって液体配管(第3の移送手段)98を経由してマイクロバブル発生槽5に導入することもできる。
【0086】
すなわち、ナノバブル含有量の測定値が低い場合には、無機塩類を含有する処理液体をマイクロバブル発生槽5に導入することによって、ナノバブル含有量を増加させることができる。マイクロバブル発生槽5に導入する液体を、被処理液体又は処理液体のいずれにするかは、被処理液体及び処理液体の水質、ならびに測定槽29において測定したナノバブル含有液体中のナノバブル含有量に基づいて決定すればよい。ここで、処理液体は、被処理液体が浄化処理部100によって浄化処理された後の液体であることが意図される。
【0087】
なお、ナノバブル含有液体製造部64に設置される各バブル発生槽には、図1に示すように、マイクロバブル発生装置65は水中ポンプ型のマイクロバブル発生機6を備えており、マイクロナノバブル発生装置66及びナノバブル発生装置67は、循環ポンプ15及び24等を有するマイクロナノバブル発生機13及びナノバブル発生機22をそれぞれ備えている。ここで、各バブル発生装置を用いたナノバブル含有液体の作製方法について説明する。
【0088】
ナノバブル含有液体は、主に、マイクロバブル含有液体作製工程(第1のマイクロバブル含有液体作製工程)、マイクロナノバブル含有液体作製工程(第2のマイクロバブル含有液体作製工程)、及びナノバブル含有液体作製工程(第3のマイクロバブル含有液体作製工程)の3つの工程により作製される。
【0089】
(マイクロバブル含有液体作製工程)
マイクロバブル含有液体作製工程では、貯水槽1に導入した被処理液体を、液体配管4を通じてマイクロバブル発生槽5に移送し、マイクロバブル含有液体を作製する。マイクロバブル発生槽5に設置されたマイクロバブル発生装置65は、水中ポンプ型のマイクロバブル発生機(第1のせん断部)6、小型ブロワー(第1の気体供給手段)7、及び気体配管8を備えており、一般的な水中ポンプと同様に、インペラ部分(図1中のマイクロバブル発生機6の下部)を高速回転させることによって、供給された気体をせん断し、マイクロバブルを発生させることができる。
【0090】
すなわち、まず、被処理液体が導入されたマイクロバブル発生槽5内において、水中ポンプのインペラ部分を高速回転させる。その後、気体配管8を経由して、小型ブロワー7からインペラ部分に気体(第1の供給気体)を供給する。気体の供給量は、例えば2〜5リットル/分であってもよい。さらに、この気体をマイクロバブル発生槽5内の被処理液体と混合し、インペラ部分を高速回転させてせん断することにより、マイクロバブル含有液体を作製する。このとき、インペラ部分の回転数は、例えば500〜600回転/秒であることがより好ましい。これにより、容易にマイクロバブル含有液体を作製することができる。
【0091】
このように作製したマイクロバブル含有液体をマイクロバブル発生槽5内に吐出して、バブル液流9を発生させる。ここで、マイクロバブル発生装置65に採用した水中ポンプ型のマイクロバブル発生機6は、360度方向、すなわち、全周囲方向に向かってマイクロバブルを噴射することができる。よって、被処理液体の全域に亘ってより均一にマイクロバブルを噴射し、マイクロバブル含有液体を作製することができる。このようにして得られたマイクロバブル含有液体は、オーバーフロー配管10を通じてマイクロナノバブル発生槽11に移送される。
【0092】
(マイクロナノバブル含有液体作製工程)
マイクロナノバブル含有液体作製工程では、マイクロナノバブル発生槽11内に導入されたマイクロバブル含有液体を用いて、マイクロナノバブル含有液体を作製する。
【0093】
マイクロナノバブル発生槽11に設置されたマイクロナノバブル発生装置66は、マイクロナノバブル発生機(第2のせん断部)13、吸い込み配管14、循環ポンプ15、気体配管16、気体ニードルバルブ(第2の気体供給手段)17、及び液体配管18を備えている。
【0094】
マイクロナノバブル含有液体作製工程では、マイクロバブル含有液体の圧力を流体力学的に制御するとともに、負圧部を形成しながら当該負圧部に吸入した気体をせん断することによって、マイクロナノバブルを作製する。すなわち、まず、循環ポンプ15を用いてマイクロナノバブル発生槽11に導入したマイクロバブル含有液体において混相旋回流を発生させ、高速旋回する気体空洞部を形成する。
【0095】
循環ポンプ15としては、特に限定されないが、揚程15m以上(1.5kg/cm2の圧力)の高揚程のポンプであることが好ましい。また、循環ポンプ15としては、トルクが安定している2ポールのポンプを用いることが好ましい。上記構成によれば、マイクロナノバブル発生装置66内のマイクロバブル含有液体に対して所望の圧力を加えることが可能であり、その結果、マイクロバブル含有液体に含まれるマイクロバブルをより微細にせん断することができる。さらに、循環ポンプ15において、ポンプの圧力は制御されていることが好ましく、例えば循環ポンプ15の回転数は、インバーター等の回転制御部(図示せず)によって制御されていることが好ましい。これにより、マイクロバブル含有液体中のマイクロバブルを所望のサイズに揃えることができる。
【0096】
次に、気体空洞部を圧力によって竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。このとき、気体空洞部に対して、当該気体空洞部の負圧を利用して気体ニードルバルブ17から気体配管16を通じて気体(第2の供給気体)を自動的に供給させる。空洞部に供給させる気体としては、例えば、空気、オゾンガス、炭酸ガス、窒素ガス、及び酸素ガスが挙げられる。その後、さらにマイクロバブル含有液体中のマイクロバブルを切断・粉砕しながら混相旋回流を回転させる。なお、この切断・粉砕は、マイクロナノバブル発生装置66の出口内外における気液二相流体の回転速度の差によって生じる。この回転速度の差は、500〜600回転/秒であることが好ましい。
【0097】
このように、マイクロナノバブル発生装置66において、循環ポンプ15によってマイクロバブル含有液体を高速流体運動させることによって負圧部を形成するとともに、流体力学的にマイクロバブル含有液体の圧力を制御することによって負圧部に対して気体を供給している。ここで、負圧部とは、気体と液体との混合物において、周囲と比較して圧力が小さな領域が意図される。その結果、多くのマイクロナノバブル含有液体を作製することができる。このようにして得られたマイクロナノバブル含有液体は、オーバーフロー配管19を通じてナノバブル発生槽20に移送される。
【0098】
(ナノバブル含有液体作製工程)
ナノバブル含有液体作製工程では、ナノバブル発生槽20内に導入されたマイクロナノバブル含有液体を用いて、ナノバブル含有液体を作製する。
【0099】
本実施の形態において、ナノバブル発生槽20に設置されたナノバブル発生装置67は、上述したマイクロナノバブル発生装置66と同様の構成を有しており、ナノバブル発生機(第3のせん断部)22、吸い込み配管23、循環ポンプ24、気体配管25、気体ニードルバルブ(第3の気体供給手段)26、及び液体配管27を備えている。よって、ナノバブル含有液体作製工程では、使用する液体がマイクロナノバブル含有液体である点が異なるものの、その他の動作はすべて上述のマイクロナノバブル含有液体作製工程と同様に行なうことが可能である。
【0100】
また、本実施の形態に係るナノバブル含有液体製造部64は、ナノバブル発生槽20において作製したナノバブル含有液体中のナノバブル含有量を測定するための測定槽29をさらに備えている。よって、ナノバブル発生槽20において得られたナノバブル含有液体は、オーバーフロー配管28を通じて測定槽29に移送される。以下に、測定槽29におけるナノバブル含有量測定の詳細について説明する。
【0101】
(ナノバブル含有量の測定)
本実施の形態における測定槽29は、ナノバブル含有量測定手段として酸化還元電位検出手段である酸化還元電位検出部30及び酸化還元電位調節計68(いずれも東亜DKK株式会社製)を備えている。酸化還元電位検出手段とは、酸化還元電位に基づいてナノバブル量を測定する手段である。
【0102】
つまり、ナノバブルは物質に対して酸化力があることからプラスミリボルトで測定されるが、その際、ナノバブルを含有している液体の種類、ナノバブルの数、及びナノバブルの密度によって、測定されるナノバブルの酸化還元電位が異なる。このように、ナノバブル含有液体の酸化還元電位とナノバブル含有量との間には相関関係があるため、酸化還元電位を測定することによってナノバブル含有量を導き出すことができる。
【0103】
酸化還元電位の測定は、+20mV〜+120mVの範囲において行なえばよいが、これに限定されず、例えば、排水処理における脱窒槽、すなわち還元槽に導入された液体の酸化還元電位を測定する場合には、酸化に対して還元槽であるため、−50mV〜―400mVの範囲で行なってもよい。
【0104】
本実施の形態におけるナノバブル含有量の測定では、まず、測定槽29に導入されたナノバブル含有液体の酸化還元電位を酸化還元電位検出部30が検出する。次に、検出された酸化還元電位の値に基づいて、酸化還元電位調節計68がナノバブル含有液体中のナノバブル含有量を測定する。そして、酸化還元電位調節計68は、測定したナノバブル含有量を示す信号を作製し、当該信号を以下に説明するシーケンサー31に送信する。
【0105】
なお、本実施の形態ではナノバブル含有量測定手段として酸化還元電位検出手段を用いたが、これに限定されず、例えば、ナノバブル含有液体のゼータ電位を測定するゼータ電位検出手段、又はナノバブル含有液体における単位容量当たりのナノバブルの個数を試験的に確認するコールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製)を用いてもよい。
【0106】
シーケンサー31は、ナノバブル含有液体中のナノバブル含有量に基づいて、各バブル発生槽に対する界面活性剤及び無機塩類の供給量を制御する制御手段である。
【0107】
シーケンサー31の具体的な構成としては特に限定されないが、例えば、酸化還元電位検出部30、酸化還元電位調節計68、界面活性剤定量弁(第1定量ポンプ33、第2定量ポンプ34、及び第3定量ポンプ35)、及び無機塩類定量弁(第4定量ポンプ38、第5定量ポンプ39、及び第6定量ポンプ40)と信号線52により連結されていればよい。これにより、酸化還元電位調節計68から受信したナノバブル含有量に基づいて、信号線52によって連結された各部材に信号を送って連携運転し、界面活性剤定量弁及び無機塩類定量弁による界面活性剤及び無機塩類の供給量を調節することができる。
【0108】
具体的には、ナノバブル含有量が不足している場合、すなわち酸化還元電位が設定値よりも低い場合は、まず、信号線52を介して界面活性剤定量弁(第1定量ポンプ33、第2定量ポンプ34、及び第3定量ポンプ35)及び無機塩定量弁(第4定量ポンプ38、第5定量ポンプ39、及び第6定量ポンプ40)に信号を送信する。次に、酸化還元電位が設定値となるように、界面活性剤定量弁及び無機塩類定量弁が各バブル発生槽に対して界面活性剤及び無機塩類をそれぞれ供給するように指令を出す。その結果、酸化還元電位を設定値まで上げることになり、ひいてはナノバブル含有量を増加させることができる。
【0109】
なお、図1においては、上述したバルブA102及びバルブB103が手動開閉される手動バルブである形態を示したが、これに限定されず、例えば、バルブA102及びバルブB103が自動開閉される自動バルブであってもよい。この場合、バルブA102及びバルブB103をシーケンサー31と信号線52によりさらに連結させ、ナノバブル含有量に基づいて、シーケンサー31によりバルブA102及びバルブB103の開閉を制御することができる。例えば、シーケンサー31は、測定槽29において測定したナノバブル含有液体中のナノバブル含有量に基づいて、マイクロバブル発生槽5又は限外ろ過膜槽71に供給する被処理液体の供給量を調節するように、バルブA102及びバルブB103の開閉を制御する。
【0110】
界面活性剤タンク32は、界面活性剤が導入されるタンクであり、当該タンク内の界面活性剤が各バブル発生槽に供給される。界面活性剤タンク32は、界面活性剤タンク32内の界面活性剤を攪拌するための第1攪拌機36を備えている。界面活性剤タンク32内の界面活性剤を第1攪拌機36によって攪拌することにより、界面活性剤タンク32内の界面活性剤の濃度を均一にすることができる。界面活性剤タンク32内の界面活性剤は、各薬品配管(界面活性剤供給手段)43、44、45を介して、第1定量ポンプ33、第2定量ポンプ34、及び第3定量ポンプ35の開閉により、マイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、及びナノバブル発生槽20に供給される。
【0111】
上記の構成によれば、界面活性剤タンク32内に導入された界面活性剤をマイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、及びナノバブル発生槽20の少なくともいずれか1つに供給することにより、より多量のナノバブル含有するナノバブル含有液体を作製することができる。ここで、界面活性剤は界面張力を低下させる作用を有する物質であるため、マイクロバブル含有液体、マイクロナノバブル含有液体、又はナノバブル含有液体がそれぞれ吐出されるマイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、及びナノバブル発生槽20の少なくともいずれか1つの槽に界面活性剤を供給することによって、これらの含有液体中の各バブル量をそれぞれ増加させることができる。その結果、ナノバブル発生槽20内において、多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体を得ることができる。
【0112】
このように、界面活性剤タンク32に第1〜3定量ポンプが設置されていれば、マイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、及びナノバブル発生槽20のそれぞれに供給される界面活性剤の量を容易に調節することが可能であり、作製したナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量を容易に調節することができる。
【0113】
ここで、界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤を含む。界面活性剤の添加量としては、特に限定されるものではなく、ナノバブルを発生させる対象である液体の種類によって適宜変更すればよい。
【0114】
無機塩タンク37は、無機塩が導入されるタンクであり、当該タンク内の無機塩が各バブル発生槽に供給される。本明細書において、無機塩は、無機塩類と称することもあり、例えば、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等の無機塩が意図される。無機塩タンク37は、無機塩タンク37の無機塩を攪拌するための第2攪拌機41を備えている。無機塩タンク37内の無機塩類を第2攪拌機41によって攪拌することにより、無機塩タンク37内の無機塩類濃度を均一にすることができる。無機塩タンク37内の無機塩は、各薬品配管(無機塩供給手段)42、46、47を介して、第4定量ポンプ38、第5定量ポンプ39、及び第6定量ポンプ40の開閉により、マイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、及びナノバブル発生槽20に供給される。
【0115】
上記の構成によれば、無機塩タンク内に導入された無機塩をマイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、及びナノバブル発生槽20の少なくともいずれか1つに供給することにより、より多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体を作製することができる。ここで、無機塩を液体に添加すると、当該液体は電解質となり、バブルが発生し易くなる。そのため、無機塩をマイクロバブル含有液体、マイクロナノバブル含有液体、又はナノバブル含有液体がそれぞれ吐出されるマイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、及びナノバブル発生槽20の少なくともいずれか1つの槽に供給することにより、これらの含有液体中の各バブル量を増加させることができる。その結果、ナノバブル発生槽20内において、多量のナノバブルを含有するナノバブル含有液体を得ることができる。
【0116】
このように、無機塩タンク37に第4〜6定量ポンプが設置されていれば、マイクロバブル発生槽5、マイクロナノバブル発生槽11、及びナノバブル発生槽20のそれぞれに供給される無機塩類の量を容易に調節することが可能であり、作製したナノバブル含有液体中のナノバブルの含有量を容易に調節することができる。無機塩類の添加量としては、特に限定されるものではなく、ナノバブルを発生させる対象である液体の種類によって適宜変更すればよい。
【0117】
なお、本実施の形態では、測定槽29における酸化還元電位の値が10mV以上となるように、シーケンサー31による制御により界面活性剤又は無機塩類を供給しているが、これに限定されず、例えば、マイクロバブル発生槽5における酸化還元電位の値が1mV以上、マイクロナノバブル発生槽11における酸化還元電位の値が5mV以上、又はナノバブル発生槽20における酸化還元電位の値が10mV以上となるように設定してもよい。
【0118】
(浄化処理部100)
次に、浄化処理部100がナノバブル含有液体製造部64において作製されたナノバブル含有液体を含む被処理液体との混合液体を浄化処理する工程について説明する。
【0119】
本実施の形態に係る浄化処理部100は、図1に示すように、限外ろ過膜槽71、活性炭流動槽81、ピット88、急速ろ過塔(ろ過手段)92、ならびに活性炭吸着塔(活性炭吸着手段)94を備えている。
【0120】
このように、本実施の形態に係る浄化処理部100は、ナノバブル含有液体と被処理液体とが混合した第1の混合液体を好気処理する好気処理手段を備えていることが好ましい。ここで、好気処理とは、酸素を必要とする微生物による物質の分解処理が意図される。浄化処理手段が好気処理手段を備えていれば、ナノバブル含有液体中のナノバブルによる被処理液体中の混入物の分解だけでなく、ナノバブルによって好気処理に用いられる微生物を活性化することができる。すなわち、活性化した微生物により被処理液体中の混入物を分解することによって、より効率よく容易に被処理液体を浄化処理することができる。
【0121】
このような好気処理手段としては、上述した限外ろ過膜槽及び活性炭流動槽を備えていてもよいが、これに限定されず、例えば限外ろ過膜槽又は活性炭流動槽のいずれか一つのみを備えていてもよいし、内部に導入された第1の混合液体及び微生物の混合物を曝気する曝気槽、内部に導入された第1の混合液体を接触酸化する接触酸化槽、又は微生物を担持するための回転可能な円盤を備えた回転円盤槽を備えていてもよい。
【0122】
すなわち、好気処理手段として限外ろ過膜槽を備えていれば、ナノバブル含有液体に含まれるナノバブルによって、限外ろ過膜に担持された微生物を活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。また、好気処理手段として曝気槽を備えていれば、曝気槽内に導入された被処理液体及び微生物の混合物を曝気することによって活性化した当該微生物を、ナノバブルの作用によってさらに活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。さらに、好気処理手段として接触酸化槽を備えていれば、接触酸化により活性化された当該槽内の微生物を、ナノバブルの作用によってさらに活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。
【0123】
また、好気処理手段として回転円盤槽を備えていれば、微生物を担持する回転可能な円盤を回転円盤槽内において回転させることによって活性化した当該微生物を、ナノバブルの作用によってさらに活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。また、好気処理手段として活性炭流動槽を備えていれば、ナノバブル含有液体に含まれるナノバブルによって、活性炭流動槽内を流動する活性炭に担持された微生物を活性化することができ、被処理液体の浄化処理効率を向上させることができる。
【0124】
さらに、これらの好気処理手段を用いることによって、被処理液体がナノバブル含有液体中に長時間滞留することによって、ナノバブルが有するフリーラジカル起因の酸化力で、被処理液体中の有機物や化学物質等の混入物を酸化分解することができる。
【0125】
また、好気処理手段として、曝気槽、接触酸化槽、回転円盤槽及び活性炭流動槽のうちの少なくとも一つを備えているとき、少なくとも一つの好気処理手段において好気処理された第1の混合液体が導入される沈殿槽をさらに備えていることが好ましい。これにより、微生物の集合体すなわち活性汚泥の性質を向上させ、沈殿槽での活性汚泥の沈降性を改善することができる。また、沈殿槽内に被処理液体を長時間滞留させることにより、ナノバブルが有するフリーラジカル起因の酸化力で、被処理液体中の有機物や化学物質等の混入物を酸化分解することができる。
【0126】
なお、上述した好気処理手段において用いる微生物は、予め好気処理手段を有する槽に仕込んでおいてもよいし、被処理液体の浄化処理にともなって、被処理液体中に混入している微生物が好気処理手段を有する槽に蓄積されてもよい。
【0127】
また、好気処理手段を有する曝気槽を備えている場合、導入する被処理液体の種類によって、含まれる微生物が異なる。例えば、排水、上水、又は再利用水を用いた場合、混入している微生物としては特に限定されないが、例えば原生動物、及びバクテリア等の活性汚泥、すなわち各種微生物の集合体が挙げられる。また、被処理液体が上水又は再利用水の場合には、曝気槽に充填される固定化担体に発生し付着した生物膜によって被処理液体を処理してもよい。これにより、被処理液体中に含まれる有機物の濃度指標であるBOD(生物学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、及びTOC(全有機炭素)を効率よく処理して、その量を下げることもできる。
【0128】
曝気槽に微生物を新たに添加する場合は、試運転時に曝気槽内の液面上部より投入すればよい。このとき、被処理液体が排水であれば、特に限定されないが、例えば、下水処理場又はし尿処理場において得られる余剰汚泥としての微生物を用いてもよい。また、被処理液体が上水又は再利用水であれば、特に限定されないが、例えば、他の上水処理設備又は他の再利用設備において馴養、すなわち、上水又は再利用水に馴らされた微生物を用いてもよい。
【0129】
また、曝気槽を試運転する時間が充分取れる場合、被処理液体の成分を元に自然発生する微生物(資化菌とも言う)を利用することもできる。すなわち、排水、上水、及び再利用水では、これら液体の水質を元に原生動物、バクテリア等の微生物が自然発生する。よって、曝気槽に被処理液体として排水、上水、及び再利用水を導入することにより、自然発生した微生物を浄化処理に用いることができる。
【0130】
また、本実施形態に係る浄化処理部100のように、好気処理手段とともにろ過手段及び活性炭吸着手段をさらに備えていれば、被処理液体中の混入物をさらに効率よく除去することが可能である。すなわち、急速ろ過塔92においては、ナノバブル含有液体に含まれるナノバブルによって、被処理液体における浮遊物質のつまりにより発生する閉塞状態を改善することができる。また、活性炭吸着塔94においては、当該ナノバブルによって活性炭に繁殖した微生物を活性化し、活性炭が吸着した有機物を当該微生物によって分解処理することができる。以下に、浄化処理部100における浄化処理について説明する。
【0131】
(浄化処理)
本実施の形態に係る浄化処理部100では、まず、測定槽29において酸化還元電位が一定の値以上、すなわち10mV以上であると測定されたナノバブル含有液体が、測定槽29に設置された第1のナノバブル供給ポンプ49を運転することにより、液体配管70を通じて限外ろ過膜槽71に導入される。また、測定槽29には第2のナノバブル供給ポンプ50が設置されており、当該ナノバブル含有液体を液体配管51を通じて活性炭流動槽81に導入することもできる。
【0132】
限外ろ過膜槽71は、微生物を担持するための限外ろ過膜を備えており、ナノバブル含有液体及び被処理液体の混合液体を好気処理により浄化処理するものである。具体的には、限外ろ過膜槽71は、曝気用散気管72、液中膜洗浄用散気管76、及び限外ろ過膜75を備えている。限外ろ過膜75として、例えば、(株)クボタ社製の液中膜(登録商標)を用いることができる。曝気用散気管72及び液中膜洗浄用散気管76からは、ブロワー78から空気配管77を介して供給された空気が、限外ろ過膜槽71内の液体中に気泡73として吐出される。限外ろ過膜槽71では、この気泡73の存在により好気性が維持されるとともに、槽内の液体を十分に攪拌することができる。
【0133】
ここで、限外ろ過膜槽71内の限外ろ過膜には各種微生物が担持されて繁殖しており、このうちバクテリアは、浄化に特に有効な微生物である。すなわち、バクテリアは極めて微小であるため、利用する空気のサイズも微小である方が利用し易い。また、ナノバブル含有液体中のナノバブルは、酸化作用を有するため、被処理液体中の難分解性物質を酸化分解して、浄化することができる。
【0134】
しかしながら、被処理液体中に難分解性物質として、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(パーフルオロオクタン酸)等の有機フッ素化合物を含む場合、限外ろ過膜槽71における処理のみでは当該有機フッ素化合物を分解することが困難なこともある。そのため、限外ろ過膜槽71の下流にさらなる浄化処理槽をもうけてもよく、本実施形態においては、限外ろ過膜ポンプ80によって、吸い込み配管79を介して限外ろ過膜槽71から活性炭流動槽81に被処理液体を含む混合液体を導入し、さらなる浄化処理に供している。
【0135】
活性炭流動槽81においては、内部において微生物を担持した活性炭83を流動させるための流動用散気管105が設置されている。流動用散気管105からは、ブロワー78にて供給された空気が吐出されている。流動用散気管105から吐出された空気は、混合液体中に気泡82として吐出されるとともに、その気体流によって活性炭83を沈降させることなく流動させる。これにより、活性炭83と混合液体とを接触させ、当該液体中の混入物質を吸着処理する。また、活性炭流動槽81内の片隅には、仕切り壁84及び傾斜壁86が設置されている。仕切り壁84は、流動用散気管105から混合液体中に吐出された気泡82が沈殿部85に侵入しないようにするために設けられている。また、傾斜壁86は、沈殿部85に侵入した活性炭83を、傾斜壁86に沿って活性炭流動槽81の下部に沈降させるために設けられている。
【0136】
また、上述したように、活性炭流動槽81内にも液体配管51を介してナノバブル含有液体を供給することができるため、当該ナノバブルによって活性炭83に繁殖した各種微生物を活性化し、微生物の浄化処理能力を向上させることができる。さらに、活性炭83が吸着した各種有機物をナノバブルによって活性化した微生物によって処理するので、活性炭83の寿命を延長することができる。
【0137】
次に、このように処理したナノバブル含有液体と被処理液体との混合液体を、オーバーフロー配管87を介してピット88に流入させる。ピット88にはピットポンプ89が設置されており、液体配管90を介して混合液体を急速ろ過塔92、さらには液体配管93を介して活性炭吸着塔94にまで移送する。
【0138】
急速ろ過塔92は混合液体中の浮遊物質を物質的に除去する装置であり、活性炭吸着塔94は混合液体中に存在する微量の有機物を吸着して、混合液体を高度処理する装置である。混合液体中に含まれるナノバブルは、2ヶ月という長期に亘って存在し得るため、混合液体を活性炭吸着塔94に導入した時点においても、混合液体中にナノバブルが存在している。
【0139】
活性炭吸着塔94では、時間の経過とともに微生物が繁殖する一方、ナノバブルが当該微生物を活性化させているため、活性化させた微生物が活性炭に吸着した有機物を処理することになる。このように、ナノバブルを含有する混合液体を導入した活性炭吸着塔94では、活性炭が自動再生されたかのような状態、すなわち生物活性炭となる。さらに、ナノバブルは自身のフリーラジカルによって酸化作用を示す。このため、最終段階となる活性炭吸着塔94においても、ナノバブルが混合液体と接触することにより酸化処理することができる。このように浄化処理された処理液体は活性炭処理液体配管95を経て、最終処理槽96に流入し、最終処理槽配管99を経て放流される。
【0140】
なお、上述したように、浄化処理部100において処理された処理液体中には、無機塩類が含まれている。そのため、マイクロバブル発生槽5に無機塩類を導入することがナノバブル発生において有効である場合には、処理液体を最終処理槽ポンプ97により液体配管98を介してマイクロバブル発生槽5に移送することができる。
【0141】
〔第2の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第2の実施形態について、図2を参照して以下に説明する。図2は、第2の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第2の実施形態では、無機塩タンク37及びその周囲の部材(第4定量ポンプ38、第5定量ポンプ39、第6定量ポンプ40、及び薬品配管42、46、47)が設置されていない点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0142】
本実施形態では、無機塩タンク37が設置されていないので、各バブル発生槽に無機塩類は供給されない。しかしながら、被処理液体の種類によっては無機塩類の添加が必要ではなく、界面活性剤を添加するのみでも各バブル含有液体中の各バブルの発生量を十分に増加させることができる。
【0143】
〔第3の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第3の実施形態について、図3を参照して以下に説明する。図2は、第2の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第2の実施形態では、界面活性剤タンク32及びその周囲の部材(第1定量ポンプ33、第2定量ポンプ34、第3定量ポンプ35、及び薬品配管43、44、45)が設置されていない点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0144】
本実施形態において、界面活性剤タンク32が設置されていないので、各バブル発生槽に界面活性剤は供給されない。しかしながら、被処理液体の種類によっては界面活性剤の添加が必要ではなく、無機塩を添加するのみでも各バブル含有液体中の各バブルの発生量を十分に増加させることができる。
【0145】
〔第4の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第4の実施形態について、図4を参照して以下に説明する。図4は、第4の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第4の実施形態では、第1の実施形態における酸化還元電位検出部30及び酸化還元電位調節計68が、ゼータ電位検出部53及びゼータ電位調節計69に置き換わっている点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0146】
ゼータ電位とは、一般的に、「表面電位によって形成された電気二重層の滑り面における電位」と定義されている。このゼータ電位は、酸化還元電位と同様にナノバブル含有液体中のナノバブル含有量と相関関係があり、ナノバブル含有量を管理する手段となり得る。
【0147】
使用するゼータ電位検出部53及びゼータ電位調節計69は特に限定されるものではなく、例えば、日本ルフト株式会社製の「ゼータ電位測定装置DT型」であってもよい。また、ナノバブル含有液体中のナノバブル含有量は、被処理液体によって異なるが、例えば、ゼータ電位において−30mV〜−70mVの範囲となり得る。
【0148】
〔第5の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第5の実施形態について、図5を参照して以下に説明する。図5は、第5の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第5の実施形態では、第1の実施形態において、水中ポンプ型のマイクロバブル発生機6等から構成されるマイクロバブル発生装置65が設置されていたが、マイクロバブル発生機55及び循環ポンプ57等から構成されるマイクロバブル発生装置65’が設置されている点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0149】
本実施の形態によれば、循環ポンプ57等から構成されるマイクロバブル発生装置65’が設置されているので、水中ポンプ型のマイクロバブル発生機6よりも細かい、すなわちより微細なマイクロバブルを発生させることができる。その結果、第1の実施形態においてナノバブル発生槽20において得られるナノバブルよりもサイズの小さなナノバブルが得られる。ここで、マイクロバブル又はナノバブルについてのバブルサイズとしては、より微細な方が優れた作用効果を得られることが分かっているので、本発明のナノバブル含有液体製造部において採用することは有利である。
【0150】
〔第6の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第6の実施形態について、図6を参照して以下に説明する。図6は、第6の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第6の実施形態では、貯水槽1に導入される被処理液体が排水である点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0151】
本実施形態によれば、貯水槽1には排水が導入されるので、ナノバブル含有液体製造部64において、排水にナノバブルを多量に含ませることができる。したがって、排水中の成分に対して、ナノバブルが有する酸化力によって酸化処理することができる。また、本実施形態の浄化処理装置101において、浄化処理部100が微生物を使用するような好気処理手段を備えていれば、ナノバブル含有液体製造部64において作製したナノバブル含有液体を好気処理手段に導入し、当該処理手段において微生物を活性化し、微生物の処理効率を高めることができる。
【0152】
〔第7の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第7の実施形態について、図7を参照して以下に説明する。図7は、第6の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第7の実施形態では、貯水槽1に導入される被処理液体が上水である点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0153】
本実施形態によれば、貯水槽1には上水が導入されるので、ナノバブル含有液体製造部64において、上水にナノバブルを多量に含ませることができる。したがって、上水中に含有している微量の残存化学成分に対して、ナノバブルが有するフリーラジカルに起因する酸化力によって酸化処理することができる。また、本実施形態の浄化処理装置101において、浄化処理部100が上水の水質を向上させるための好気処理手段を備えていれば、当該処理手段において微生物を活性化し、微生物の処理効率を高めることができる。
【0154】
〔第8の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第8の実施形態について、図8を参照して以下に説明する。図8は、第8の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第8の実施形態では、貯水槽1に導入される被処理液体が再利用水である点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0155】
本実施形態によれば、貯水槽1には再利用水が導入されるので、ナノバブル含有液体製造部64において、再利用水にナノバブルを多量に含ませることができる。したがって、再利用水中に含有している微量の残存化学成分又は有機物に対して、ナノバブルが有する酸化力によって酸化処理することができる。また、本実施形態の浄化処理装置101において、浄化処理部100が再利用水の水質を向上させるための好気処理手段を備えていれば、当該処理手段において微生物を活性化し、微生物の処理効率を高めることができる。
【0156】
〔第9の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第9の実施形態について、図9を参照して以下に説明する。図9は、第9の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第9の実施形態では、貯水槽1に導入される被処理液体が地下水である点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0157】
本実施形態によれば、貯水槽1には地下水が導入されるので、ナノバブル含有液体製造部64において、地下水にナノバブルを多量に含ませることができる。地下水としては、例えば、化学物質によって汚染された地下水を含む。したがって、地下水中に含有している微量の残存化学成分又は難分解有機物に対して、ナノバブルが有する酸化力によって酸化処理することができる。また、本実施形態の浄化処理装置101において、浄化処理部100が地下水の水質を改善するような浄化処理手段を備えていれば、地下水中にナノバブルが長期に存在することにより、地下水の処理効率を改善させることが可能であり、その結果、設備のランニングコストの低減又は地下水の水質の向上に役立つ。
【0158】
〔第10の実施形態〕
本発明に係る浄化処理装置の第10の実施形態について、図10を参照して以下に説明する。図10は、第10の実施形態に係る浄化処理装置101の概略構成を示す模式図である。第10の実施形態では、貯水槽1に導入される被処理液体及び処理液体の代わりに水道水を用いている点が異なるのみで、他は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0159】
本実施形態によれば、貯水槽1には水道水が導入されている。したがって、比較的自由に確保できる水道水を利用してナノバブル含有液体を作製し、処理部100の浄化処理手段に供給して、ナノバブルを有効に利用することができる。
【実施例】
【0160】
図1に基づいて、ナノバブル含有液体製造部64及び浄化処理部100から構成される浄化処理装置101を作製した。
【0161】
このとき、貯水槽1の容量を2m、第1の槽5の容量を0.8m、第2の槽11の容量を0.8m、第3の槽20の容量を0.8m、測定槽29の容量を0.5m、液中膜槽(限外ろ過膜槽)71の容量を12m、活性炭流動槽81の容量を10m、ピット88の容量を1m、急速ろ過塔92の容量を0.3m、活性炭吸着塔94の容量を0.8m、界面活性剤タンク32の容量を0.8m、無機塩タンク37の容量を0.8mとした。
【0162】
また、マイクロバブル発生装置65としては、野村電子工業株式会社製の「マイクロバブラーMD−400」を用い、マイクロナノバブル発生装置66及びナノバブル発生装置67としては、株式会社ナノプラネット研究所製の製品M2型を用いた。また、測定槽29に設置する酸化還元電位検出部30及び酸化還元電位調節計68としては、東亜DKK株式会社の製品を用いた。
【0163】
界面活性剤タンク32には、界面活性剤としてカチオン界面活性剤を投入し、第1攪拌機36を運転して攪拌した。また、無機塩タンク37には、無機塩類として塩化ナトリウムを投入し、第2攪拌機41を運転して攪拌した。
【0164】
このようにして構成したナノバブル含有液体製造部64の貯水槽1に液体として排水を導入し、装置を稼動した。装置の稼動を開始して1ヶ月後の測定槽29において得られた水をコールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製)によって測定したところ、約120nm付近の大きさを中心に、284,000個/mlのナノバブルを確認した。このとき、測定槽29内に含まれるナノバブル含有液体の酸化還元電位を測定したところ、+32mVであった。
【0165】
ここで、浄化処理装置の相対評価として、貯水槽1内の排水及び最終処理槽96内の処理液体における生物学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)、及び浮遊物質(SS)を測定し、両者を比較した。その結果を表1に示す。
【0166】
【表1】

【0167】
この表に示すように、貯水槽1内の排水(以下、単に「排水」という)の生物学的酸素要求量は26ppmであったのに対し、最終処理槽96内の処理液体(以下、単に「処理液体」という)においては2ppmであった。このことから、生物学的酸素要求量における有機物質の除去率は92%であることが分かった。
【0168】
また、排水の化学的酸素要求量は68ppmであったのに対し、処理液体の化学的酸素要求量は3ppmであった。このことから、化学的酸素要求量における有機物質の除去率は96%であることが分かった。
【0169】
また、排水の全有機炭素は62ppmであったのに対し、処理液体の全有機炭素は4ppmであった。このことから、全有機炭素における有機物質の除去率は94%であることが分かった。
【0170】
さらに、排水の浮遊物質は12ppmであったのに対し、処理液体の浮遊物質は1ppmであった。このことから、浮遊物質の除去率は92%であることが分かった。
【0171】
以上の結果から、本実施例では最終処理槽96内の処理液体において、貯水槽1内の排水中に含まれる有機物質は、生物学的酸素要求量、化学的酸素要求量、全有機炭素、及び浮遊物質のいずれの評価においても好適に除去されていることが分かった。
【0172】
なお、本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明に係る浄化処理装置は、排水処理、上水処理、再利用水処理、地下水処理、水道水処理、及び有機フッ素化合物含有排水処理に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明に係る浄化処理装置の第1の実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る浄化処理装置の第2の実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明に係る浄化処理装置の第3の実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る浄化処理装置の第4の実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明に係る浄化処理装置の第5の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る浄化処理装置の第6の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明に係る浄化処理装置の第7の実施形態を示す模式図である。
【図8】本発明に係る浄化処理装置の第8の実施形態を示す模式図である。
【図9】本発明に係る浄化処理装置の第9の実施形態を示す模式図である。
【図10】本発明に係る浄化処理装置の第10の実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0175】
1 貯水槽
2 流入配管
3 第1移送ポンプ
4 液体配管(第1の移送手段)
5 マイクロバブル発生槽(第1の槽)
6 マイクロバブル発生機(第1のせん断部)
7 小型ブロワー(第1の気体供給手段)
8 気体配管
9 バブル液流
10 オーバーフロー配管
11 マイクロナノバブル発生槽(第2の槽)
12 バブル液流
13 マイクロナノバブル発生機(第2のせん断部)
14 吸い込み配管
15 循環ポンプ
16 気体配管
17 気体ニードルバルブ(第2の気体供給手段)
18 液体配管
19 オーバーフロー配管
20 ナノバブル発生槽(第3の槽)
21 バブル液流
22 ナノバブル発生機(第3のせん断部)
23 吸い込み配管
24 循環ポンプ
25 気体配管
26 気体ニードルバルブ(第3の気体供給手段)
27 液体配管
28 オーバーフロー配管
29 測定槽(第4の槽)
30 酸化還元電位検出部
31 シーケンサー(制御手段)
32 界面活性剤タンク
33 第1定量ポンプ(界面活性剤定量弁)
34 第2定量ポンプ(界面活性剤定量弁)
35 第3定量ポンプ(界面活性剤定量弁)
36 第1攪拌機
37 無機塩タンク
38 第4定量ポンプ(無機塩定量弁)
39 第5定量ポンプ(無機塩定量弁)
40 第6定量ポンプ(無機塩定量弁)
41 第2攪拌機
42 薬品配管(無機塩供給手段)
43 薬品配管(界面活性剤供給手段)
44 薬品配管(界面活性剤供給手段)
45 薬品配管(界面活性剤供給手段)
46 薬品配管(無機塩供給手段)
47 薬品配管(無機塩供給手段)
48 オーバーフロー配管
49 第1のナノバブル供給ポンプ
50 第2のナノバブル供給ポンプ
51 液体配管
52 信号線
53 ゼータ電位検出部
54 バブル液流
55 マイクロバブル発生機
56 吸い込み配管
57 循環ポンプ
58 気体配管
59 気体ニードルバルブ
60 液体配管
64 ナノバブル含有液体製造部64
65 マイクロバブル発生装置(第1のマイクロバブル含有液体作製手段)
65’ マイクロバブル発生装置
66 マイクロナノバブル発生装置(第2のマイクロバブル含有液体作製手段)
67 ナノバブル発生装置(第3のマイクロバブル含有液体作製手段)
68 酸化還元電位調節計
69 ゼータ電位調節計
70 液体配管
71 限外ろ過膜槽
81 活性炭流動槽
92 急速ろ過塔
94 活性炭吸着塔
100 浄化処理部(浄化処理手段)
101 浄化処理装置
102 バルブA(第1の被処理液体定量弁)
103 バルブB(第2の被処理液体定量弁)
104 液体配管(第2の移送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の槽内に導入された被処理液体を用いて第1の微細気泡含有液体を作製する第1のマイクロバブル含有液体作製手段と、
第2の槽内に導入された第1の微細気泡含有液体を用いて第2の微細気泡含有液体を作製する第2のマイクロバブル含有液体作製手段と、
第3の槽内に導入された第2の微細気泡含有液体を用いて第3の微細気泡含有液体を作製する第3のマイクロバブル含有液体作製手段と、
第3の微細気泡含有液体を浄化処理する浄化処理手段とを備えていることを特徴とする浄化処理装置。
【請求項2】
第1のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、上記被処理液体と第1の供給気体とを混合及びせん断して第1の微細気泡含有液体を作製する第1のせん断部を備え、
第2のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第1の微細気泡含有液体をさらにせん断して第2の微細気泡含有液体を作製する第2のせん断部を備え、
第3のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第2の微細気泡含有液体をさらにせん断して第3の微細気泡含有液体を作製する第3のせん断部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の浄化処理装置。
【請求項3】
第1のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第1のせん断部に第1の供給気体を供給する第1の気体供給手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の浄化処理装置。
【請求項4】
第2のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第2のせん断部に第2の供給気体を供給する第2の気体供給手段を備え、第2のせん断部は第2の供給気体と第1の微細気泡含有液体とを混合及びせん断して第2の微細気泡含有液体を作製し、
第3のマイクロバブル含有液体作製手段はさらに、第3のせん断部に第3の供給気体を供給する第3の気体供給手段を備え、第3のせん断部は第3の供給気体と第2の微細気泡含有液体とを混合及びせん断して第3の微細気泡含有液体を作製することを特徴とする請求項2又は3に記載の浄化処理装置。
【請求項5】
上記被処理液体が導入される貯水槽と、
上記貯水槽内の上記被処理液体を第1の槽に移送する第1の移送手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項6】
上記貯水槽内の上記被処理液体を上記浄化処理手段に移送する第2の移送手段をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載の浄化処理装置。
【請求項7】
上記浄化処理手段によって浄化処理された処理液体を第1の槽に移送する第3の移送手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項8】
第3の微細気泡含有液体が導入される第4の槽と、
第4の槽内に導入された第3の微細気泡含有液体中のナノバブル含有量を測定するナノバブル含有量測定手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項9】
上記ナノバブル含有量測定手段はさらに、酸化還元電位検出手段を備え、
上記酸化還元電位検出手段において検出した第3の微細気泡含有液体の酸化還元電位に基づいてナノバブル含有量を測定することを特徴とする請求項8に記載の浄化処理装置。
【請求項10】
上記ナノバブル含有量測定手段はさらに、ゼータ電位検出手段を備え、
上記ゼータ電位検出手段において検出した第3の微細気泡含有液体のゼータ電位に基づいてナノバブル含有量を測定することを特徴とする請求項8に記載の浄化処理装置。
【請求項11】
界面活性剤を貯留した界面活性剤タンクと、
上記界面活性剤タンク内の上記界面活性剤を第1〜3の槽それぞれに供給する界面活性剤供給手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項12】
無機塩を貯留した無機塩タンクと、
上記無機塩タンク内の上記無機塩を第1〜3の槽それぞれに供給する無機塩供給手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項13】
上記界面活性剤タンクから第1〜3の槽のそれぞれに供給する上記界面活性剤の供給量を調節する界面活性剤定量弁をさらに備えていることを特徴とする請求項11又は12に記載の浄化処理装置。
【請求項14】
上記ナノバブル含有量測定手段が測定した上記ナノバブル含有量に基づいて、上記界面活性剤の供給量を調節するように上記界面活性剤定量弁を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の浄化処理装置。
【請求項15】
上記無機塩タンクから第1〜3の槽のそれぞれに供給する上記無機塩の供給量を調節する無機塩定量弁をさらに備えていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項16】
上記ナノバブル含有量測定手段が測定した上記ナノバブル含有量に基づいて、上記無機塩の供給量を調節するように上記無機塩定量弁を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項15に記載の浄化処理装置。
【請求項17】
上記貯水槽から第1の槽に移送する上記被処理液体の移送量を調節する第1の被処理液体定量弁と、
上記ナノバブル含有量測定手段が測定した上記ナノバブル含有量に基づいて、上記被処理液体の移送量を調節するように第1の被処理液体定量弁を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の浄化処理装置。
【請求項18】
上記貯水槽から上記浄化処理手段に移送する上記被処理液体の移送量を調節する第2の被処理液体定量弁と、
上記ナノバブル含有量測定手段が測定した上記ナノバブル含有量に基づいて、上記被処理液体の移送量を調節するように第2の被処理液体定量弁を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項8又は17に記載の浄化処理装置。
【請求項19】
上記被処理液体は、排水、上水、再利用水、地下水、水道水、又は有機フッ素化合物含有排水であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項20】
上記浄化処理手段は、
第3の微細気泡含有液体と上記被処理液体とが混合した第1の混合液体を好気処理する好気処理手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項21】
上記浄化処理手段は、
第3の微細気泡含有液体と被処理液体とが混合した第1の混合液体をろ過するろ過手段と、
活性炭を包含し、上記ろ過手段でろ過された第1の混同液体が導入される活性炭吸着手段と
をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項22】
上記好気処理手段は、微生物を担持するための限外ろ過膜を備えた限外ろ過膜槽、内部に導入された第1の混合液体及び微生物の混合物を曝気する曝気槽、内部に導入された第1の混合液体を接触酸化する接触酸化槽、微生物を担持するための回転可能な円盤を備えた回転円盤槽、及び内部において微生物を担持した活性炭が流動する活性炭流動槽からなる群より選択される少なくとも一つの槽を備えていることを特徴とする請求項20又は21に記載の浄化処理装置。
【請求項23】
上記好気処理手段が、上記曝気槽、上記接触酸化槽、上記回転円盤槽及び上記活性炭流動槽のうちの少なくとも一つを備えているとき、
少なくとも一つの上記好気処理手段において好気処理された第1の混合液体が導入される沈殿槽をさらに備えていることを特徴とする請求項22に記載の浄化処理装置。
【請求項24】
上記沈殿槽内の第1の混合液体をろ過するろ過手段と、
活性炭を包含し、上記ろ過手段でろ過された第1の混同液体が導入される活性炭吸着手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項23に記載の浄化処理装置。
【請求項25】
上記浄化処理手段は、
微生物を担持するための限外ろ過膜を備え、第3の微細気泡含有液体と被処理液体とが混合した第1の混合液体を好気処理するた限外ろ過膜槽と、
内部に流動する活性炭を包含し、第3の微細気泡含有液体と第1の混合液体とが混合した第2の混合液体が導入される活性炭流動槽と、
第2の混合液体をろ過するろ過手段と、
活性炭を包含し、上記ろ過手段でろ過された第2の混同液体が導入される活性炭吸着手段と
をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の浄化処理装置。
【請求項26】
第1の槽内に導入された被処理液体を用いて第1の微細気泡含有液体を作製し、第1の槽内に吐出する第1のマイクロバブル含有液体作製工程と、
第2の槽内に導入された第1の微細気泡含有液体を用いて第2の微細気泡含有液体を作製し、第2の槽内に吐出する第2のマイクロバブル含有液体作製工程と、
第3の槽内に導入された第2の微細気泡含有液体を用いて第3の微細気泡含有液体を作製し、第3の槽内に吐出する第3のマイクロバブル含有液体作製工程と、
第3の微細気泡含有液体を浄化処理する浄化処理工程とを包含することを特徴とする浄化処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−119940(P2010−119940A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294754(P2008−294754)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】