説明

浄水器

【課題】ミネラル成分を含有する浄水中に水素気体を溶解させて生成される還元水の質を向上させながら、電気分解と関連した部品の耐久性低下を防止できる浄水器を提供する。
【解決手段】原水をフィルタリングし、ミネラル成分を含有する浄水を形成する浄水フィルター30と;前記浄水の一部を受けて貯蔵する第1水槽40と;前記貯蔵された浄水を外部に引き出せるように設けられた取水コック12と;前記浄水フィルター30を経た浄水の他の一部がフィルタリングされて形成された蒸溜水を受けて貯蔵する第2水槽50と;前記蒸溜水を形成するために前記浄水フィルター30と第2水槽50との間に設けられるイオン交換樹脂フィルター90と;電気分解装置60から発生した水素を前記第1水槽内40に供給するように設けられた水素供給管70と;を含んで浄水器を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器に関するもので、より詳細には、水の電気分解作用を用いて還元水を生成できるように設けられた浄水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、浄水器は、外部給水源から受けた原水を、フィルター装置を通して各種の不純物や細菌が除去されるように浄化することで、直ぐに飲用可能な浄水に転換させる装置である。
最近、ストレス、環境汚染などで過多に発生した体内活性酸素が高血圧、糖尿、心臓病などの現代成人病の重要な要因であり、老化を促進するものであると指摘されることで、水素が豊富な還元水の飲用によって、体内活性酸素を除去し、健康を守ることができるとの理論が登場している。これによって、最近には、フィルター装置を経た浄水を再び還元水に転換し、これを利用者に供給するように設けられた浄水器が登場している。
【0003】
本出願人が出願して登録された特許文献1を見ると、このような還元水を生成して供給するための浄水器が開示されている。
特許文献1に開示された浄水器は、外部から供給された原水をフィルタリングさせるフィルター装置と、フィルター装置を経た浄水の一部を貯蔵する水槽と、水槽に貯蔵された水を外部に引き出すように設けられた取水コックと、フィルター装置を経た浄水の他の一部を電気分解し、電気分解して得られた水素気体と酸素気体のうち水素気体のみを選別して水槽中に供給するように設けられた水素供給装置とを備えている。
【0004】
そして、水素供給装置は、フィルター装置を経た浄水を受けて貯蔵する水タンクと、水タンクから浄水を受けて電気分解するように設けられた電気分解キットと、電気分解キットから発生した水素を水槽中に供給するように設けられた水素供給管とを含んで構成される。
このうち、電気分解キットは、水素イオンのみを通過させる分離膜と、分離膜の一側に配置される第1外側板と、分離膜の他側に配置される第2外側板と、第1外側板と分離膜との間に設けられる陽極板と、第2外側板と分離膜との間に設けられる陰極板とを備えている。
第1外側板は、陽極板が接続される陽電極と、水タンクの水を分離膜に供給するように下部に設けられた水流入ポートと、上部に設けられた酸素出口ポートとを備えており、第2外側板は、陰極板が接続される陰電極と、上部に設けられた水素出口ポートとを備えている。また、前記酸素出口ポートには、酸素気体を浄水器の外部に放出するための酸素放出管が連結される。
【0005】
上記のように構成される浄水器において、水タンクの浄水を水流入ポートを通して分離膜側に供給した状態で前記陽電極と陰電極に電流を供給すると、第1外側板側の分離膜表面に濡れた浄水は、電気分解されながら分離膜と第1外側板との間で水素イオンと水酸化イオンに分離される。
このうち、水素イオンは、分離膜を通過して陰極板側に移動しながら、第2外側板と分離膜との間で水素気体を形成し、この水素気体は、水素出口ポートに流入して前記水素供給管を通して水槽中に供給され、水槽中の浄水を還元水に転換させるようになる。
また、分離膜と第1外側板との間の水酸化イオンは酸素気体を形成し、この酸素気体は、酸素出口ポートに流入して酸素放出管に沿って室内空間に放出されながら、室内の酸素量を増加させるようになる。
【0006】
したがって、特許文献1に開示された浄水器を使用すると、電気分解して得た水素気体をフィルター装置を経た水槽中の浄水に直ぐに溶解させることで還元水を生成するので、還元水の質が向上する。また、酸素水を捨てなくても済むので、水資源の浪費も発生しなくなる。
【0007】
しかしながら、このような従来の浄水器は、次のような理由で、前記分離膜や陰極板及び陽極板などが容易に毀損されるという問題点を有していた。
すなわち、フィルター装置を経た浄水中には、カルシウムイオン/マグネシウムイオン/ナトリウムイオン/塩素イオン/硫酸イオンなどのミネラルを形成するための陽イオンと陰イオンが多く存在する。このようなミネラル成分は、浄水器を通して生成される還元水の質を高めるために必要であるが、ミネラル成分を形成する陽イオンと陰イオンは、陽極板及び陰極板を腐食させたり、水素イオンが分離膜を通過しないように分離膜を塞ぐこともある。したがって、このようなミネラル成分が含まれた浄水を有して電気分解を行うと、分離膜/陰極板/陽極板を頻繁に掃除して取り替えるべきであるという面倒さが発生する。
また、多量の陰イオンと陽イオンが前記分離膜に伝達されながら分離膜を塞ぐ場合、水素イオンが分離膜を通過して陰極板側に移動することが難しくなり、水素気体の形成自体が難しくなることもある。
【0008】
【特許文献1】韓国特許登録第0704955号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのもので、その目的は、ミネラル成分を含有する浄水中に水素気体を直ぐに溶解させることで生成される還元水の質を向上させながら、電気分解と関連した部品の耐久性低下を防止できるように設けられた浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る浄水器は、外部から供給された原水をフィルタリングし、ミネラル成分を含有する浄水を形成する浄水フィルターと;前記浄水フィルターを経た浄水の一部を受けて貯蔵する第1水槽と;前記第1水槽に貯蔵された浄水を外部に引き出せるように設けられた取水コックと;前記浄水フィルターを経た浄水の他の一部がフィルタリングされて形成された蒸溜水を受けて貯蔵する第2水槽と;前記蒸溜水を形成するために前記浄水フィルターと第2水槽との間に設けられるイオン交換樹脂フィルターと;前記第2水槽の水を受けて電気分解するために水素イオンのみを通過させる分離膜と、陽電極及び陰電極がそれぞれ連結されるように前記分離膜の一側と他側に設けられた陽極板及び陰極板とを備える電気分解装置と;前記電気分解装置から発生した水素を前記第1水槽内に供給するように設けられた水素供給管と;を含むことを特徴とする。
【0011】
そして、前記イオン交換樹脂フィルターを形成するイオン交換樹脂には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを結合して設けられた混合イオン交換樹脂が使用されることを特徴とする。
【0012】
また、前記浄水フィルターを経た浄水が前記イオン交換樹脂フィルターの内部に少量ずつ流入するように、前記浄水フィルターと前記イオン交換樹脂フィルターとの間に設けられた流量調節バルブをさらに含むことを特徴とする。
【0013】
また、前記流量調節バルブは、ボールバルブを含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記陽極板と陰極板は、チタニウム材質の網体で設けられたことを特徴とする。
【0015】
また、前記電気分解装置は、前記陽極板の外側に設けられるものとして、前記陽極板が接続される陽電極と、前記分離膜を濡らすために前記第2水槽の蒸溜水を前記分離膜に供給するように下部に設けられた水流入ポートと、上部に設けられた酸素出口ポートとを備える第1外側板と;前記陰極板の外側に設けられるものとして、陰極板が接続される陰電極と、上部に設けられた水素出口ポートとを備える第2外側板と;をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
また、前記酸素出口ポートには、酸素気体を前記浄水器の外部に放出するための酸素放出管が連結されたことを特徴とする。
【0017】
また、前記浄水フィルターは、セジメントフィルター、カーボンフィルター、シルバーカーボンフィルターと、ゼオセラミックフィルター、UFメンブレインフィルター、及びバイオフィルターを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る浄水器によると、浄水フィルターを経てミネラルを含有する浄水の一部は、取水コックを用いて外部から直ぐ取り出し、飲用できるように設けられた第1水槽に供給され、ミネラルを含有する浄水の他の一部は、イオン交換樹脂フィルターを経て蒸溜水に転換された状態で第2水槽に供給され、電気分解装置は、このような第2水槽内部の蒸溜水を電気分解して得られた水素気体を第1水槽内部の浄水内に直ぐ供給するように設けられる。
【0019】
したがって、本発明に係る浄水器を使用すると、人体に有益なミネラル成分が第1水槽にそのまま伝達され、電気分解されるための第2水槽には伝達されないので、生成される還元水の質が向上しながら、電気分解のための各構成がミネラル成分によって毀損されることを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る好適な一実施例を、添付された図面を参照して詳細に説明する。
本実施例に係る浄水器は、図1及び図2に示すように、直六面体形状の本体10を通して外観をなし、本体10には、外部から受けた原水をフィルタリングして浄水を形成し、この浄水を使用者が取り出して飲用できるようにする構造が設けられる。
【0021】
すなわち、本体10には、外部給水源(図示せず)から本体10の内部に原水を供給するように設けられた水供給管20と、本体10の内部に伝達される原水に含まれた各種の不純物や細菌を除去して浄水を形成するように、水供給管20の中途に設置される浄水フィルター30と、浄水フィルター30を経て浄化された浄水を貯蔵するように水供給管20の終端側に設けられた第1水槽40とを備えている。水供給管20には、水を第1水槽40側にポンピングするためのポンプ(図示せず)が設置される。
【0022】
そして、本体10の前面には、前方側に開放されるように陥没された取水空間11が形成され、この取水空間11の後方内壁には、本体10の内部で浄水された浄水を外部に取り出せるように取水コック12が設置され、この取水コック12は、第1水槽40の出口に連結され、開放時に第1水槽40に貯蔵された浄水を外部に引き出す役割をする。これを通して、使用者は、取水容器を取水空間11の取水コック12の下部に位置させた状態で取水コック12を開放し、浄水を本体10の外部に取り出せるようになる。
一方、第1水槽40一側の本体10内部には、浄水フィルター30を経た浄水の一部を受けて電気分解し、電気分解して得られた水素気体と酸素気体のうち水素気体のみを選別して前記第1水槽40内に直ぐ供給するための構成が設置される。
【0023】
上記のような構成は、イオン水器を採用して電気分解を通して浄水された水を酸性水と還元水に分離させた後、ほとんどの酸性水は捨て、還元水のみを飲用水として使用していた従来の浄水器とは異なり、微量の浄水を持続的に電気分解して水素気体と酸素気体を形成した後、酸素気体は外部に放出し、浄水が貯蔵された第1水槽40内に水素気体のみを供給し、第1水槽40に貯蔵された浄水を全て還元水に転換させる。したがって、従来の他の還元水生成用浄水器に比べて、水の浪費を効果的に抑制しながら、優れた質の還元水を生成して供給できるようになる。
【0024】
すなわち、人間の体液は、pH(水素イオン濃度指数)7.4前後の弱アルカリ性に維持されており、生命を維持するために非常に重要なものである。その反面、最近、肉類及び魚類などの酸性食品の過多摂取による体質の酸性化が高血圧、糖尿、心臓病などの現代成人病の重要な要因の一つとして指摘されることで、pH(水素イオン濃度指数)が7.5内外である弱アルカリ性で、ORP(酸化還元電位)が略−100mV以下で、ミネラルが豊富な水素還元水の飲用によって、pHを適正水準に維持させながら体内の過多の活性酸素を除去し、健康を守ることができるとの理論が登場している。
【0025】
しかし、本実施例のように、水素気体を浄水フィルター3を経た浄水に直ぐ溶解させると、多量の活性水素と水素が水中に溶存する。したがって、このときは、水素の量が増大しながら、浄水のORP値を−100mV以下に大幅に低下させるようになり、酸化された体液を還元させる作用を効果的に行いながら、浄水のpH値を8.5以下の弱アルカリ性状態に充分に維持できるようになり、飲用するのに適した状態になる。
【0026】
このために、本実施例に係る浄水器は、前記第1水槽40と別途に浄水フィルター30を経た浄水の一部を受けて貯蔵するように設けられた第2水槽50と、第2水槽50から供給される水を受けて電気分解し、酸素気体と水素気体を生成するための電気分解装置60と、電気分解装置60から発生した水素気体を前記第1水槽40内の浄水内部に供給するように設けられた水素供給管70と、電気分解装置60から発生した酸素気体を前記本体10の外部に放出するように設けられた酸素放出管80とを含んで構成される。
浄水フィルター30と第1水槽40との間の水供給管20の中途には、浄水フィルター30を経た水の一部を第2水槽50側に案内するように分岐された分岐管21が設けられ、分岐管21の出口は、第2水槽50の内部に延長される。
【0027】
前記電気分解装置60は、第2水槽50と区画されたハウジング51の内部底側に設置され、図3及び図4に示すように、中央側に設けられるものとして、親水性が強く、水素イオンのみを通過させる分離膜61と、分離膜61の両側にそれぞれ設けられる第1外側板62及び第2外側板63とを備えている。
【0028】
このうち、第1外側板62の中央部一側には陽電極62aが形成され、第1外側板62の下部には、前記分離膜61を濡らすために前記第2水槽50の水を前記分離膜61に供給するように設けられた水流入ポート62bが形成され、第1外側板62の上部には酸素出口ポート62cが形成される。
また、第2外側板63の中央側には陰電極63aが形成され、第2外側板63の上部には水素出口ポート63bが形成され、第1外側板62と分離膜61との間及び第2外側板63と分離膜61との間には、前記陽電極62aと接続されるように設けられた陽極板64と、陰電極63aに接続されるように設けられた陰極板65とがそれぞれ設置される。
【0029】
前記陽極板64と陰極板65は、それぞれ網状構造を有する金属材質の網体で形成され、陽極板64と分離膜61との間及び陰極板65と分離膜61との間には、電気分解作用を促進させるために網状構造が形成され、金や炭素材質で設けられた触媒板66,67がそれぞれ設置される。
【0030】
また、第1外側板62と第2外側板63の各コーナーの外郭側には、ボルト締結ホール62d,63cが形成され、電気分解装置60は、分離膜61、陽極板64、陰極板65及び各触媒板66,67が前記第1外側板62と第2外側板63との間に介在された状態で第1外側板62と第2外側板63の各ボルト締結ホール62d,63cに固定ボルト68aを締結し、ナット68bで固定させることで組み立てられる。参考に、未説明符号68cは、第1外側板62と第2外側板63との間の間隔を維持するための間隔維持部材である。
【0031】
また、前記水流入ポート62bには、第2水槽50の出口から延長された連結管52が結合され、前記水素出口ポート63bと酸素出口ポート62cには、前記水素供給管70と酸素放出管80がそれぞれ結合される。
連結管52の中途には、第2水槽50の出口から供給される浄水を少量ずつ水流入ポート62bに供給するための第1流量調節バルブ53が設置され、前記水素供給管70は、その出口が第1水槽40に貯蔵された浄水の内部に延長されるように設けられ、前記酸素放出管80は、浄水器が設置される本体10の外部室内空間に酸素が放出されるように、その出口が本体10の前面に形成された噴出網81に延長される。
【0032】
上記のような構成を有する本実施例に係る浄水器において、第2水槽50の水を前記連結管52に沿って少量ずつ前記水流入ポート62bに供給した状態で前記陽電極62aと陰電極63aに電流を供給すると、第1外側板62側の分離膜61表面に濡れた水は、電気分解されながら分離膜61と第1外側板62との間で水素イオンと水酸化イオンに分離される。このように分離された各イオンのうち水素イオンは、分離膜61を通過して陰極板65側に移動しながら第2外側板63と分離膜61との間で水素気体を形成し、この水素気体は、前記水素出口ポート63bに流入して前記水素供給管70を通して第1水槽40内に供給され、第1水槽40内部の浄水を還元水に転換させる。また、分離膜61と第2外側板63との間の水酸化イオンは酸素気体を形成し、この酸素気体は、酸素出口ポート62cに流入して前記酸素放出管80を通して室内空間に放出され、室内空間の酸素量を増加させるようになる。
【0033】
参考に、本実施例において、前記酸素放出管80は、その出口が浄水器本体10の前面に延長され、酸素気体を室内空間に放出するように設けられているが、電気分解を通して形成された酸素には微量のオゾンが含まれる可能性がある。したがって、このようなオゾンの危険性を勘案したとき、前記酸素放出管80は、その出口が室外側に延長されるように設けられ、電気分解を通して発生した酸素を全て室外に放出させることもできる。
【0034】
一方、本実施例に係る浄水器において、原水中に含まれていた異物質と有害物質などを除去して浄水を生成する前記浄水フィルター30は、第1乃至第4フィルタ31,32,33,34を含んで構成されるが、このような第1乃至第4フィルタ31,32,33,34はそれぞれ複合フィルターとして設けられる。
【0035】
すなわち、第1フィルター31は、1次フィルター及び2次フィルターを含んで構成されており、このうち、1次フィルターとしては、埃、砂、錆などの微粒子を除去し、他のフィルターを保護するためのセジメントフィルターが使用され、2次フィルターとしては、水中に含まれた残留塩素などの有機化合物質や有害化学物質をろ過して水の味を向上させるカーボンフィルターが使用される。そして、第2フィルター32は、3次フィルター乃至5次フィルターを含んで構成されており、このうち、3次フィルターとしてはカーボンフィルターが使用され、4次フィルターとしては、活性炭に銀を添加して坑菌機能と細菌繁殖抑制機能を行うシルバーカーボンフィルターが使用され、5次フィルターとしては、水を浄化して坑菌機能を行うゼオセラミックフィルターが使用される。また、第3フィルター33は、6次フィルター及び7次フィルターを含んで構成されており、このうち、6次フィルターとしてはゼオセラミックフィルターが使用され、7次フィルターとしてはカーボンフィルターが使用される。第4フィルタ34は、8次フィルター及び9次フィルターを含んで構成されており、このうち、8次フィルターとしては、有害化学物質を除去するために表面気孔サイズが0.01〜0.04μmになるUFメンブレインフィルターが使用され、9次フィルターとしては、水中の細菌繁殖を防止し、銀を通して坑菌機能を行うバイオフィルターが使用される。
これによって、原水中に含まれていたほとんどの異物質や有害成分は、浄水フィルター30を形成する第1乃至第4フィルタ31,32,33,34を順次的に経る過程でろ過される。
【0036】
しかし、このような浄水フィルター30の場合、体に良いミネラルが第1水槽40まで伝達されるように、カルシウムイオン/マグネシウムイオン/ナトリウムイオン/塩素イオン/硫酸イオンなどのミネラルをなす陽イオンと陰イオンがフィルタリングされないように設けられるが、このようにミネラルを形成する陽イオンと陰イオンは、陽極板64及び陰極板65を腐食させる要因となり、水素イオンが分離膜61を通過しないように分離膜61を塞ぐこともある。このようになると、分離膜61/陰極板65/陽極板64を頻繁に掃除して取り替えるべきであるという面倒さが発生する。
【0037】
したがって、本実施例に係る浄水器は、前記電気分解装置60を構成する分離膜61/陽極板64/陰極板65などの耐久性を向上させるための構成として、イオン交換樹脂フィルター90をさらに含んで構成される。
再び図2を参照すると、このようなイオン交換樹脂フィルター90は、浄水フィルター30を経た浄水がミネラル成分のない純粋な蒸溜水に転化した状態で第2水槽50に伝達されるように、第2水槽50の上流側分岐管21の中途に設置されるが、イオン交換樹脂フィルター90に使用されるイオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを結合して設けられた混合イオン交換樹脂が使用される。
【0038】
したがって、浄水がイオン交換樹脂フィルター90を通過する過程で、浄水中に含まれていたミネラル成分のうちカルシウムイオン/マグネシウムイオン/ナトリウムイオンなどの陽イオンは、イオン交換樹脂フィルターの陽イオン交換樹脂に捕捉され、浄水中のミネラル成分のうち硫酸イオン及び塩素イオンなどの陰イオンは、イオン交換樹脂フィルターの陰イオン交換樹脂に捕捉される。このとき、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂では、このような陽イオン及び陰イオンを捕捉する代わりに、水素イオンと水酸化イオンをそれぞれ放出するようになる。このように放出された水素イオンと水酸化イオンは、互いに水を形成するように結合し、このような過程を経て、イオン交換樹脂フィルター90を通過する浄水が純粋な蒸溜水に転換される。
【0039】
そして、本実施例に係る浄水器においては、このようにミネラル成分が除去された蒸溜水が第2水槽50に供給された状態で、このような蒸溜水を用いて電気分解装置60が水素と酸素気体を形成するので、ミネラル成分を形成するイオンによって分離膜61/陽極板64/陰極板65などが塞がれるか損傷されることを効果的に防止することができる。
【0040】
また、多量の浄水が一度にイオン交換樹脂フィルター90に流入する場合、イオン交換樹脂フィルター90内部の浄水の残留時間が減少しながら、イオン交換樹脂フィルター90内部のイオン交換樹脂によるミネラル成分のイオン除去効果が多少阻害される憂いがある。
【0041】
したがって、前記イオン交換樹脂フィルター90の上流側分岐管21の中途には、浄水をイオン交換樹脂フィルター90の内部に少量ずつ流入するための第2流量調節バルブ100が設置される。本実施例において、このような第2流量調節バルブ100は、構造が簡単であるとともに、流量調節が容易なボールバルブとして設けられる。
【0042】
すなわち、図5に示すように、ボールバルブとして設けられる第2流量調節バルブ100は、分岐管21と連結された連結流路101aを備えるバルブ本体101と、連結流路101aと通じるように形成された連通流路102aを備えて、バルブ本体101の内部に回転可能に設置される球体102と、球体102を回転できるように設けられたレバー103とを備えている。このような第2流量調節バルブ100は、前記連結流路101aに対する連通流路102aの連通程度を球体102の回転によって調節することで、イオン交換樹脂フィルター90に流入する浄水の流量を調節するようになる。
【0043】
したがって、このような第2流量調節バルブ100が設置された状態では、イオン交換樹脂フィルター90に浄水が少量ずつ持続的に流入することで、イオン交換樹脂フィルター90内部の浄水の残留時間が増加しながら、浄水中のミネラル成分を形成するイオンをより一層効果的に除去できるようになる。
【0044】
また、前記イオン交換樹脂フィルター90と第2流量調節バルブ100が設置された状態でも、第2水槽50内部の蒸溜水中にはミネラルを形成する微量のイオンが存在する可能性がある。したがって、このような点を勘案したとき、前記陽極板64と陰極板65は、ステンレスなどの金属よりも腐食に強いチタニウム材質で設けられることがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の好適な一実施例に係る浄水器の外観を示した斜視図である。
【図2】本発明の好適な一実施例に係る浄水器の内部構成を示した構成図である。
【図3】本発明の好適な一実施例に係る浄水器における電気分解装置の構造を分解して示した斜視図である。
【図4】本発明の好適な一実施例に係る浄水器における電気分解装置の構造を示した断面図である。
【図5】本発明の好適な一実施例に係る浄水器における流量調節バルブの構造を示した断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 本体
20 水供給管
30 浄水フィルター
40 第1水槽
60 電気分解装置
70 水素供給管
80 酸素放出管
90 イオン交換樹脂フィルター
100 第2流量調節バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給された原水をフィルタリングし、ミネラル成分を含有する浄水を形成する浄水フィルターと;
前記浄水フィルターを経た浄水の一部を受けて貯蔵する第1水槽と;
前記第1水槽に貯蔵された浄水を外部に引き出せるように設けられた取水コックと;
前記浄水フィルターを経た浄水の他の一部がフィルタリングされて形成された蒸溜水を受けて貯蔵する第2水槽と;
前記蒸溜水を形成するために前記浄水フィルターと第2水槽との間に設けられるイオン交換樹脂フィルターと;
前記第2水槽の水を受けて電気分解するために水素イオンのみを通過させる分離膜と、陽電極及び陰電極がそれぞれ連結されるように前記分離膜の一側と他側に設けられた陽極板及び陰極板とを備える電気分解装置と;
前記電気分解装置から発生した水素を前記第1水槽内に供給するように設けられた水素供給管と;を含むことを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記イオン交換樹脂フィルターを形成するイオン交換樹脂には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを結合して設けられた混合イオン交換樹脂が使用されることを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記浄水フィルターを経た浄水が前記イオン交換樹脂フィルターの内部に少量ずつ流入するように、前記浄水フィルターと前記イオン交換樹脂フィルターとの間に設けられた流量調節バルブをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項4】
前記流量調節バルブは、ボールバルブを含むことを特徴とする請求項3に記載の浄水器。
【請求項5】
前記陽極板と陰極板は、チタニウム材質の網体で設けられたことを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項6】
前記電気分解装置は、前記陽極板の外側に設けられるものとして、前記陽極板が接続される陽電極と、前記分離膜を濡らすために前記第2水槽の蒸溜水を前記分離膜に供給するように下部に設けられた水流入ポートと、上部に設けられた酸素出口ポートとを備える第1外側板と;
前記陰極板の外側に設けられるものとして、陰極板が接続される陰電極と、上部に設けられた水素出口ポートとを備える第2外側板と;をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項7】
前記酸素出口ポートには、酸素気体を前記浄水器の外部に放出するための酸素放出管が連結されたことを特徴とする請求項6に記載の浄水器。
【請求項8】
前記浄水フィルターは、セジメントフィルター、カーボンフィルター、シルバーカーボンフィルターと、ゼオセラミックフィルター、UFメンブレインフィルター、及びバイオフィルターを含むことを特徴とする請求項1に記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−279574(P2009−279574A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168288(P2008−168288)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(508195132)ジェイエヌズ・テック・インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】JN’s Tech Inc.
【Fターム(参考)】