説明

液体吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置

【課題】ハンドリングを容易にし、且つ、吐出安定性を向上させる。
【解決手段】第1の薄板部材に対して供給絞り部に相当する第1の孔部を貫通形成する第1の孔部形成工程と、第2の薄板部材に対して共通流路に相当する第2の孔部と圧力室に相当する第3の孔部をそれぞれ貫通形成する第2の孔部形成工程と、前記第1及び第2の孔部形成工程後、前記第1の孔部の少なくとも一部は前記第2の孔部及び前記第3の孔部の少なくとも一方に重なるように、前記第1の薄板部材と前記第2の薄板部材を積層して接合する接合工程と、前記接合工程後、前記第1薄板部材に対して前記共通流路に相当する第4の孔部及び前記圧力室に相当する第5の孔部の少なくとも一方を貫通形成する第3の孔部形成工程と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置に係り、特に、複数の薄板部材を積層して構成される液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共通流路から複数の圧力室に対してそれぞれインクが供給され、各圧力室に隣接して配置される圧力発生素子(例えば、圧電素子など)の変位を利用して、圧力室内のインクを加圧し、圧力室に対応して設けられるノズルからインク滴を吐出するヘッド(液体吐出ヘッド)を搭載したインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
この種のヘッドには、例えば、特許文献1に記載されるように、複数の薄板部材を積層して構成されるものがあり、各薄板部材に形成される孔部や溝部を組み合わせることによって、共通流路や圧力室などがヘッド内部に設けられている。また、共通流路と各圧力室の間をそれぞれ連通する個別流路の少なくとも一部にはノズル側の流路より流路抵抗の大きな供給絞りが設けられており、これにより、インク吐出時に圧力室から共通流路に向かうインクの逆流を制限し、吐出効率の低下を防止している。
【特許文献1】特開2003−19796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では一の薄板部材に対して供給絞りに相当する溝部をハーフエッチングで加工している。ハーフエッチングでは溝部の深さ方向の精度が悪く、供給絞りの形状精度が良くないといった問題がある。そのため各供給絞りにおける流路抵抗にばらつきが生じやすく、インク滴の吐出量や吐出速度などの吐出特性がノズル毎に異なり、その結果、画像品質の劣化を招いてしまう。
【0005】
また、ヘッドの高密度化に伴って、薄板部材において開口部が占める面積割合が大きくなり、ヘッドの製造時におけるハンドリングが難しいといった問題もある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ハンドリングを容易にし、且つ、吐出安定性を向上させる液体吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ノズル毎にそれぞれ対応して設けられる複数の圧力室と、前記複数の圧力室に連通し前記液体を供給するための共通流路と、各圧力室と共通流路を連通する個別流路の少なくとも一部に設けられる供給絞り部と、を有し、複数の薄板部材を積層して形成される液体吐出ヘッドの製造方法であって、第1の薄板部材に対して前記供給絞り部に相当する第1の孔部を貫通形成する第1の孔部形成工程と、第2の薄板部材に対して前記共通流路に相当する第2の孔部と前記圧力室に相当する第3の孔部をそれぞれ貫通形成する第2の孔部形成工程と、前記第1及び第2の孔部形成工程後、前記第1の孔部の少なくとも一部は前記第2の孔部及び前記第3の孔部の少なくとも一方に重なるように、前記第1の薄板部材と前記第2の薄板部材を積層して接合する接合工程と、前記接合工程後、前記第1薄板部材に対して前記共通流路に相当する第4の孔部及び前記圧力室に相当する第5の孔部の少なくとも一方を貫通形成する第3の孔部形成工程と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【0008】
本発明によれば、第1の薄板部材と第2の薄板部材を積層して接合する接合工程の後に第3の孔部形成工程を行うことにより、ハンドリングが容易となる。また、第1の孔部形成工程において第1の薄板部材に対して供給絞り部に相当する第1の孔部を貫通形成することにより、供給絞り部の形状精度は第1の薄板部材の板厚で容易に管理することができる。即ち、供給絞り部の形状精度は向上し、供給絞り部における流路抵抗にはばらつきがなくなり、吐出安定性が向上する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記接合工程は、前記第1の孔部の一の端部が前記第2の孔部に重なり、且つ、前記第1の孔部の他の端部が前記第3の孔部に重なるように、前記第1の薄板部材と前記第2の薄板部材を積層して接合することを特徴とする。
【0010】
請求項2の態様によれば、第1の孔部が第2及び第3の孔部にそれぞれ重なるように、第1及び第2の薄板部材を積層することで、第3の孔部形成工程により、確実に、供給絞りを介して共通流路と圧力室がつながった形状を加工できる。また、第1及び第2の薄板部材を積層するときに位置ずれが生じても、上記の如く各孔部が重なるようにすれば、供給絞りを介して共通流路と圧力室は確実につながる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記第3の孔部形成工程は、前記第2の薄板部材をマスクとして前記第4の孔部及び前記第5の孔部の少なくとも一方を貫通形成することを特徴とする。
【0012】
請求項3の態様によれば、第2の薄板部材をマスクすることにより、第1の薄板部材に貫通形成される孔部(第4又は第5の孔部)は第2の薄板部材に貫通形成される孔部(第2又は第3の孔部)と位置ずれがなく同形状に形成される。つまり、共通流路や圧力室を精度良く形成することできる。また、別のマスクを新たに用意する必要がなく、コストダウンが可能である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記第1の薄板部材は樹脂部材であり、前記第1の孔部形成工程及び前記第3の孔部形成工程の少なくとも一方はレーザ加工により行われることを特徴とする。
【0014】
請求項4の態様によれば、供給絞り部を精度良く形成することが可能である。
【0015】
また前記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1の薄板部材と第2の薄板部材を積層して接合する接合工程の後に第3の孔部形成工程を行うことにより、ハンドリングが容易となる。また、第1の孔部形成工程において第1の薄板部材に対して供給絞り部に相当する第1の孔部を貫通形成することにより、供給絞り部の形状精度は第1の薄板部材の板厚で容易に管理することができる。即ち、供給絞り部の形状精度は向上し、供給絞り部における流路抵抗にばらつきがなくなり、吐出安定性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
〔インクジェット記録装置〕
図1は、本発明が適用される画像形成装置としての一実施形態であるインクジェット記録装置の全体概略図である。図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
【0019】
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0020】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
【0021】
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0022】
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0023】
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0024】
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
【0025】
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
【0026】
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0027】
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0028】
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0029】
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。印字部12を構成する各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインクの吐出口(ノズル)が1列に配列されたライン型ヘッドで構成されている。
【0030】
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
【0031】
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0032】
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
【0033】
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0034】
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
【0035】
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
【0036】
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
【0037】
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
【0038】
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
【0039】
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0040】
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
【0041】
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
【0042】
尚、インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
【0043】
〔印字ヘッド〕
次に、本発明に係る印字ヘッド50の第1〜第3の実施形態について説明する。
【0044】
<第1の実施形態>
図2は、第1の実施形態に係る印字ヘッド50のノズル面を表した平面図である。同図に示すように、印字ヘッド50のノズル面にはインク滴を吐出するノズル51が2次元状(マトリクス状)に配列されている。
【0045】
印字ヘッド50は、主走査方向を長手方向とする複数の流路ユニット52(52A〜52F)と、供給口形成部材56(56A、56B)とから主に構成され、副走査方向に積層した流路ユニット52(52A〜52F)の副走査方向両端に供給口形成部材56(56A、56B)が配置されている。
【0046】
各流路ユニット52にはその長手方向(即ち、主走査方向)に沿って配列されたノズル列がそれぞれ1列ずつ設けられており、一のノズル列は副走査方向に隣接する他のノズル列と主走査方向の位置をずらして配置されており、各ノズル51はいわゆる千鳥状に配置された構成となっている。このようなノズル配列構成において、特に図示はしないが、主走査方向に並ぶように投影される投影ノズル列は一定のノズルピッチで等間隔に配列されるように構成されており、これにより実質的なドットピッチの高密度化が達成されている。
【0047】
供給口形成部材56(56A、56B)には、図1に示したインク貯蔵/装填部14から印字ヘッド50にインクを供給するためのインク供給口58(58A、58B)がそれぞれ複数設けられている。尚、供給口形成部材56の配置は本例に限定されるものでない。
【0048】
図3は流路ユニット52の構成図であり、(a)は流路ユニット52の一部拡大平面図、(b)は流路ユニット52の側面断面図(図3(a)中3b−3b線に沿う断面図)をそれぞれ表している。
【0049】
図3の(b)に示すように、流路ユニット52は、複数の薄板部材62(62a〜62f)の積層体であるユニット本体64と、ノズル51が形成されるノズル板66とから構成され、ユニット本体64の、各薄板部材62の積層方向(副走査方向)に垂直な一端面にノズル板66が接合されている。
【0050】
流路ユニット52には、各薄板部材62に形成される孔部(若しくは溝部)の組み合わせによって、共通流路68、供給絞り70、圧力室72及びノズル流路74が設けられており、これらは、主走査方向に配列される各ノズル51に対応するようにしてそれぞれ主走査方向に配列されている(図3の(a)参照)。後述する圧電素子76も同様にして、主走査方向に配列されている。
【0051】
供給絞り70、ノズル流路74及びノズル51は圧力室72毎にそれぞれ設けられており、各圧力室72は供給絞り70を介して共通流路68に連通するとともに、ノズル流路74を介してノズル51に連通する。尚、図示は省略しているが、共通流路68は複数の流路ユニット52にわたって構成されており、各流路ユニット52の圧力室72と供給絞り70を介して連通している。
【0052】
圧力室72の一壁面を構成する薄板部材62b上の圧力室72に対応する位置には薄膜状の圧電素子76が設けられている。圧電素子76は、各薄板部材62の積層方向に相当する副走査方向に薄幅の薄膜状の圧電体に個別電極82を設けた構成となっている。尚、薄板部材62bの圧電素子76側の表面全体には共通電極80が設けられている。圧電素子76は膜厚方向(副走査方向)に分極処理されており、その分極方向に平行に電界を印加すると圧電素子76はいわゆる伸縮モード(縦方向振動モード)の変形を発生させ、圧電素子76が配置される薄板部材(振動板)62bを圧力室72側に撓ませるように変形させる。
【0053】
薄板部材62aには、薄板部材62b側に開口する溝部84が設けられている。溝部84は、圧電素子76のサイズより若干大きめに構成されており、薄板部材62b上の圧電素子76を溝部84内に収納した状態において圧電素子76の変位を妨げないように圧電素子76の周辺に空洞が形成されるようになっている。これにより、圧電素子76の変位効率が向上する。
【0054】
図4の(a)〜(f)はそれぞれ薄板部材62a〜62fの平面図を表している。
【0055】
共通流路68に相当する孔部90a〜90fは薄板部材62a〜62fにそれぞれ貫通形成される。供給絞り70に相当する孔部92は薄板部材62dに貫通形成される。圧力室72に相当する孔部94a〜94cは薄板部材62c、62d、62eにそれぞれ貫通形成される。ノズル流路74に相当する孔部96は薄板部材62eに貫通形成される。また、上述したように、薄板部材62bには圧電素子76が設けられ、薄板部材62aには圧電素子76を収納するための溝部84が設けられている。
【0056】
図5は供給口形成部材56(56A、56B)の側面断面図であり、(a)は流路ユニット52A側の供給口形成部材56Aを示し、(b)は流路ユニット52B側の供給口形成部材56Bを示している。尚、各図ではそれぞれ流路ユニット52A、52Bを便宜的に表示している。
【0057】
供給口形成部材56Aは流路ユニット52Aの薄板部材62a側に積層される(図5(a)参照)。一方、供給口形成部材56Bは流路ユニット52Fの薄板部材62f側に積層される(図5(b)参照)。各供給口形成部材56A、56Bには、それぞれ流路ユニット52A、52Fの共通流路68に対応する位置にインク供給口58A、58Bが設けられている。つまり、共通流路68の一端にはインク供給口58Aが配置され、他端にはインク供給口58Bが配置された構成となっている。一方のインク供給口58Aをインク供給用とし、他方のインク供給口58Bをインク排出用として、共通流路68内のインクを循環させることにより、インクの増粘を防止することができ、吐出安定性を高めることができる。
【0058】
このような構成において、図1に示したインク貯蔵/装填部14から供給されるインクは共通流路68に貯留され、共通流路68から圧力室72毎に設けられる供給絞り70を介して各圧力室72に分配供給される。圧力室72に対応する圧電素子76に所定の駆動電圧が印加されると、圧電素子76の変位によって薄板部材(振動板)62bは圧力室72b側に撓むように変形し、これにより、圧力室72内のインクは加圧され、ノズル51からインク滴が吐出される。
【0059】
このとき、圧力室72内のインクはノズル流路74を通ってノズル51側(吐出側)に移動するとともに、共通流路68側(供給側)にも移動(逆流)しようとするが、圧力室72と共通流路68の間に設けられる供給絞り70が流路抵抗となりインクの逆流は制限されるので、圧力損失が抑えられた状態でインク吐出が行われる。
【0060】
本実施形態の印字ヘッド50は、複数の流路ユニット52(52A〜52F)が副走査方向に積層して構成され、各流路ユニット52はその積層方向(副走査方向)に複数の薄板部材62(62a〜62f)を積層して構成される。そして、薄板部材62b上には薄膜状の圧電素子76が主走査方向に1次元状に配列された圧電素子列が設けられている。即ち、薄膜状の圧電素子76の膜厚方向(副走査方向)に対して略垂直な方向(主走査方向)に配列された複数の圧電素子76から成る圧電素子列が、圧電素子76の膜厚方向(副走査方向)に複数列設けられている。従って、副走査方向のヘッドサイズを短く構成することができるので、印字ヘッド50を取り付ける際のアライメント調整を容易に行うことができ、インク滴の着弾精度を向上させることができる。また、印字ヘッド50の高密度化も可能となる。
【0061】
次に、第1の実施形態に係る印字ヘッド50の製造方法について図6を参照しながら説明する。
【0062】
まず、図6の(a)に示すように、薄板部材(ポリイミドシート)62d(第1の薄板部材)に対して供給絞り70に相当する孔部(長孔)92(第1の孔部)を、エキシマレーザを用いたレーザ加工により貫通形成する。エキシマレーザを用いることにより、孔部92を精度良く加工することができる。尚、薄板部材62dとしてポリイミドシートを用いる態様が加工性の観点から最も好ましいが、本発明の実施に際してこれに限定されず、例えば、PET等の樹脂を用いてもよい。
【0063】
また、図6の(b)に示すように、薄板部材(SUSプレート)62c(第2の薄板部材)に対して共通流路68に相当する孔部90c(第2の孔部)、及び、圧力室72に相当する孔部94a(第3の孔部)をウェットエッチングにより貫通形成する。SUSに対するウェットエッチング代えて、シリコン(Si)に対するドライエッチング若しくはウェットエッチング、又は、Ni電鋳により、薄板部材62cを構成する態様もある。SUSに対するウェットエッチングは精度悪いものの、低コストで大型化可能という特徴がある。Siに対するドライエッチング若しくはウェットエッチングは高コストで大型化不可であるが精度が良いという特徴がある。Ni電鋳はやや低コスト、大型化可能、やや精度も良いという特徴がある。従って、必要とする精度、サイズ等に応じてこれらの材料や加工方法を使い分けることが望ましい。
【0064】
次に、図6の(c)に示すように、SUSプレート62cの裏面にポリイミドシート62dを接着する。このとき、SUSプレート62cの2つの孔部90c、94aが、ポリイミドシート62dの孔部92を介して連通するように積層する。即ち、積層状態において、孔部92の一方の端部が孔部90cに重なり、且つ、その反対側の端部が孔部94aに重なるようにする。
【0065】
このような状態において、図6の(d)に示すように、SUSプレート62cをマスクとして、SUSプレート62c側からポリイミドシート62dに対して、例えば、炭酸ガス(CO2)レーザ等を用いてレーザ加工を行い、SUSプレート62cの孔部90c、94aと同形状の孔部をポリイミドシート62dに貫通形成する。これにより、ポリイミドシート62dには、図4の(d)に示したように、3つの孔部90d(第4の孔部)、92、94b(第5の孔部)の組み合わせに相当する孔部98が貫通形成された状態となる。
【0066】
このようにSUSプレート62cをマスクとすることにより、共通流路68に相当する孔部90c、90dには位置ずれが生じず、また、圧力室72に相当する孔部94a、94bにも位置ずれが生じない。しかも、別のマスクを新たに用意する必要がなく、コストダウンが可能である。また、レーザ加工によって共通流路68に相当する孔部90cや圧力室72に相当する孔部94aにはみ出した接着剤も同時に除去されるため、ヘッド内部の気泡付着性を低減することができる。
【0067】
尚、本工程ではレーザ加工を採用しているが、ドライエッチング加工やブラスト加工を用いても良い。レーザ加工に比べて、ドライエッチング加工は高精度な加工が可能であり、ブラスト加工は安価に加工可能である。ただし、いずれの方法においてもSUSプレート62cを傷めないように加工条件の最適化が必要である。
【0068】
次に、図6の(e)に示すように、接着された状態のSUSプレート62c及びポリイミドシート62dに対して、他の薄板部材62a、62b、62e、62fを積層して接合する。これにより、ユニット本体64が完成する。そして、各薄板部材62の積層方向に平行な、ユニット本体64の端面に、図6の(f)に示すように、ノズル板66を接合することにより、流路ユニット52が完成する。
【0069】
そして、上述した方法によって複数の流路ユニット52(52A〜52F)をそれぞれ作製し、図2に示したように、供給口形成部材56A、56Bとともに各流路ユニット52を積層して接合することにより、本例の印字ヘッド50を製造することができる。
【0070】
本実施形態によれば、供給絞り70に相当する孔部92を貫通形成されたポリイミドシート62dをSUSプレート62cに接着してから、SUSプレート62c側からレーザ加工を行い、SUSプレート62cの孔部90c、94aと同形状の孔部をポリイミドシート62dに貫通形成しているため、SUSプレート62cに接着する前にポリイミドシート62dに対して共通流路68、供給絞り70及び圧力室72に相当する孔部98を最初から貫通形成してしまう場合に比べて、ポリイミドシート62dにおいて開口部が占める面積割合が少なく、ハンドリングが容易となっている。
【0071】
また、このようにして形成される供給絞り70の深さ方向の精度はポリイミドシート62dの板厚で管理することができるため、供給絞り70の形状精度が向上する。これにより、供給絞り70の流路抵抗にばらつきがなくなり、インク滴の吐出量や吐出速度等の吐出特性にばらつきがなくなり、吐出安定性が向上する。
【0072】
本実施形態では、SUSプレート62cとポリイミドシート62dを接着する際、SUSプレート62cの孔部90c、94aに対する余剰接着剤のはみ出しを防止するため、図7に示したSUSプレート62cのポリイミドシート62d側接着面に、ポリイミドシート62d側に開口する逃がし溝100を孔部90c、94aの周辺部に設けることが好ましい。ただし、ポリイミドシート62dの孔部92に重なる部分(図7において破線で囲んだ領域)には逃がし溝100を設けないようにすることが好ましい。逃がし溝100が供給絞り70に相当する孔部92に重なってしまうと、余剰接着剤が逃がし溝100から供給絞り70にはみ出してしまい、供給絞り70における流路抵抗にばらつきが生じ、吐出安定性が損なわれてしまう恐れがあるためである。このような逃がし溝90は、ウェットエッチングによるハーフエッチング加工で形成することができる。
【0073】
また、図8に示したポリイミドシート62dのSUSプレート62c側接着面に、SUSプレート62c側に開口する逃がし溝102を孔部92の周辺部に設けるようにしてもよい。これにより、供給絞り70への余剰接着剤のはみ出しを防止することができる。このようにポリイミドシート62dに接着溝102を設ける構成では、余分な接着剤が共通流路68や圧力室72にはみ出す場合もあるが、そのときの影響は供給絞り70に余剰接着剤がはみ出したときに比べて小さい。このような逃がし溝102は、例えば、炭酸ガス(CO)レーザやエキシマレーザを用いたレーザ加工により形成することができる。
【0074】
<第2の実施形態>
図9は第2の実施形態に係る印字ヘッド50の一部断面図であり、図10は図9の印字ヘッド50を構成する各薄板部材62(62a〜62f)の平面図である。尚、第1の実施形態(図3等参照)と共通する部分には同一の番号を付している。
【0075】
第2の実施形態では、図9に示すように、インク吐出方向に平行な方向に薄板部材62(62a〜62f)が積層された構成となっている。図示は省略するが、インク吐出方向に垂直な面の方向に沿ってノズル51、圧力室72及び圧電素子76がそれぞれ2次元状に配置されており、圧電素子76の膜厚方向に対して略垂直な方向にノズル51からインク滴が吐出されるようになっている。
【0076】
図9及び図10に示すように、薄板部材62b上には圧力室72に対応する位置に圧電素子76が設けられており、薄板部材62aには薄板部材62b側に開口する溝部84が設けられている。また、共通流路68に相当する孔部90a、90bは薄板部材62c、62dにそれぞれ貫通形成される。同様にして、供給絞り70に相当する孔部(長孔)92は薄板部材62dに、圧力室72に相当する孔部94a、94bは薄板部材62c、62dに、ノズル流路74に相当する孔部98にそれぞれ貫通形成される。また、薄板部材62fは、第1の実施形態におけるノズル板66(図3参照)に相当し、ノズル孔(ノズル)51が貫通形成される。
【0077】
図11の(a)は、図9に示した印字ヘッド50の端部を示した平面図であり、(b)は(a)中11b−11b線に沿う断面図である。尚、先に示した図9は、図11中9−9線に沿う断面図に相当するものである。各圧力室72に供給絞り70を介して連通する共通流路68の一端には、図11の(a)に示すように、供給口形成部材56に設けられるインク供給口58が配置されており、図1に示したインク貯蔵/装填部14から不図示の管路を介して共通流路68にインクが供給される。そして、共通流路68から供給絞り70を介して各圧力室72にそのインクが分配供給される。
【0078】
次に、第2の実施形態に係る印字ヘッド50の製造方法について図12を参照しながら説明する。尚、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略若しくは簡略的に説明を行う。
【0079】
まず、図12の(a)に示すように、ポリイミドシート(薄板部材)62dに対して供給絞り70に相当する孔部(長孔)92を貫通形成する。尚、孔部92の加工方法は第1の実施形態と同様である。また、図12の(b)に示すように、SUSプレート(薄板部材)62cに対して共通流路68及び圧力室72に相当する孔部90a、94aを貫通形成する。
【0080】
次に、図12の(c)に示すように、SUSプレート62cとポリイミドシート62dを積層した状態において孔部92の一方の端部が孔部90aに重なり、且つ、その反対側の端部が孔部94aに重なるように、SUSプレート62cの裏面にポリイミドシート62dを接着する。
【0081】
次に、図12の(d)に示すように、SUSプレート62cをマスクとして、SUSプレート62cの孔部90a、94aと同形状の孔部がポリイミドシート62dに貫通形成されるように、SUSプレート62c側からポリイミドシート62dに対してレーザ加工を行う。レーザ加工後のポリイミドシート62dの平面形状は、図10の(d)に示すように、3つの孔部90b、92、94bの組み合わせに相当する孔部98が貫通形成された状態となる。
【0082】
次に、図12の(e)に示すように、接着された状態のSUSプレート62c及びポリイミドシート62dに対して、他の薄板部材62a、62b、62e、62fを接合する。このようにして、本例の印字ヘッド50を製造することができる。
【0083】
<第3の実施形態>
図13は第3の実施形態に係る印字ヘッド50の一部断面図であり、図14は図13の印字ヘッド50を構成する各薄板部材62の平面図である。尚、第1の実施形態(図3等参照)と共通する部分には同一の番号を付している。
【0084】
第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、インク吐出方向に平行な方向に薄板部材62(62a〜62g)が積層された構成となっている。図13に示すように、共通流路68の一端(下端)には圧力室52側に延在するインク供給路(個別流路)104が設けられており、更に、インク供給路104の共通流路68側とは反対側の端部上端には供給絞り70が設けられている。このような供給絞り70を含むインク供給路104を介して共通流路68と圧力室72は連通している。
【0085】
共通流路68に相当する孔部90a〜90cはそれぞれ薄板部材62c〜68eに貫通形成される。また、インク供給路104に相当する孔部106は薄板部材62eに貫通形成される。尚、薄板部材62eの孔部90c、106は接続されている。同様にして、供給絞り70に相当する孔部(丸孔)92は薄板部材62dに、圧力室72に相当する孔部94は薄板部材62cに、ノズル流路74に相当する孔部96a〜96cは薄板部材62d〜62fにそれぞれ貫通形成される。また、薄板部材62gにはノズル孔(ノズル)51が貫通形成される。
【0086】
次に、第3の実施形態に係る印字ヘッド50の製造方法について図15を参照しながら説明する。尚、第1及び第2の実施形態と共通する部分については説明を省略若しくは簡略的に説明を行う。
【0087】
まず、図15の(a)に示すように、ポリイミドシート(薄板部材)62dに対して、ノズル流路74に相当する孔部96aと、供給絞り70に相当する92を貫通形成する。また、図15の(b)に示すように、SUSプレート(薄板部材)62cに対して共通流路68に相当する孔部90a及び圧力室72に相当する孔部94をそれぞれ貫通形成する。
【0088】
次に、図15の(c)に示すように、ポリイミドシート62dの2つの孔部92、96aがSUSプレート62cの孔部94の中に入るように、SUSプレート62cの裏面にポリイミドシート62dを接着する。
【0089】
次に、図15の(d)に示すように、SUSプレート62c側からレーザ加工を行い、ポリイミドシート62dに対して共通流路68に相当する孔部90bを貫通形成する。レーザ加工後のポリイミドシート62dには、図14の(d)に示すように、3つの孔部90b、92、96aが貫通形成される。
【0090】
次に、接着された状態のSUSプレート62c、ポリイミドシート62dに対して、他の薄板部材62a、62b、62e、62f、62gを積層して接着することにより、本例の印字ヘッド50を製造することができる。
【0091】
以上、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】インクジェット記録装置の全体概略図
【図2】第1実施形態に係る印字ヘッドのノズル面を示した平面図
【図3】第1実施形態に係る印字ヘッドを構成する流路ユニットの構成図
【図4】流路ユニットを構成する薄板部材の平面図
【図5】供給口形成部材の側面断面図
【図6】第1の実施形態に係る印字ヘッドの製造工程を示した説明図
【図7】SUSプレートのポリイミドシート側接着面を示した平面図
【図8】ポリイミドシートのSUSプレート側接着面を示した平面図
【図9】第2の実施形態に係る印字ヘッドの一部断面図
【図10】第2の実施形態に係る印字ヘッドを構成する薄板部材の平面図
【図11】第2の実施形態に係る印字ヘッド端部を示した構成図
【図12】第2の実施形態に係る印字ヘッドの製造工程を示した説明図
【図13】第3の実施形態に係る印字ヘッドの一部断面図
【図14】第3の実施形態に係る印字ヘッドを構成する薄板部材の平面図
【図15】第3の実施形態に係る印字ヘッドの製造工程を示した平面図
【符号の説明】
【0093】
10…インクジェット記録装置、16…記録紙、50…印字ヘッド、51…ノズル、52…流路ユニット、56…供給口形成部材、62…薄板部材、64…ユニット本体、66…ノズル板、68…共通流路、70…供給絞り、72…圧力室、74…ノズル流路、76…圧電素子、80…共通電極、82…個別電極、100、102…逃がし溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル毎にそれぞれ対応して設けられる複数の圧力室と、前記複数の圧力室に連通し前記液体を供給するための共通流路と、各圧力室と共通流路を連通する個別流路の少なくとも一部に設けられる供給絞り部と、を有し、複数の薄板部材を積層して形成される液体吐出ヘッドの製造方法であって、
第1の薄板部材に対して前記供給絞り部に相当する第1の孔部を貫通形成する第1の孔部形成工程と、
第2の薄板部材に対して前記共通流路に相当する第2の孔部と前記圧力室に相当する第3の孔部をそれぞれ貫通形成する第2の孔部形成工程と、
前記第1及び第2の孔部形成工程後、前記第1の孔部の少なくとも一部は前記第2の孔部及び前記第3の孔部の少なくとも一方に重なるように、前記第1の薄板部材と前記第2の薄板部材を積層して接合する接合工程と、
前記接合工程後、前記第1薄板部材に対して前記共通流路に相当する第4の孔部及び前記圧力室に相当する第5の孔部の少なくとも一方を貫通形成する第3の孔部形成工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記接合工程は、前記第1の孔部の一の端部が前記第2の孔部に重なり、且つ、前記第1の孔部の他の端部が前記第3の孔部に重なるように、前記第1の薄板部材と前記第2の薄板部材を積層して接合することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記第3の孔部形成工程は、前記第2の薄板部材をマスクとして前記第4の孔部及び前記第5の孔部の少なくとも一方を貫通形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記第1の薄板部材は樹脂部材であり、
前記第1の孔部形成工程及び前記第3の孔部形成工程の少なくとも一方はレーザ加工により行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−98806(P2007−98806A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292653(P2005−292653)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】