説明

液体吐出装置および保湿液供給制御方法

【課題】保湿液カートリッジの交換頻度を低減でき、保湿液が無くなりヘッドキャップを保湿状態に維持できなくなる事態の発生を回避可能な液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】インクジェットプリンター1のプリンター制御回路23の保湿液供給制御部30は、保湿液供給部11から所定のタイミングで所定量の保湿液をヘッドキャップ9内に供給する保湿液供給動作制御を行う(ST1→ST2→ST5)。保湿液貯留部18内の保湿液を、ブラックインク貯留部17内のブラックインクBkを使い切る手前の保湿液供給動作によって使い切るように、ブラックインク貯留部17内のブラックインク残量に基づき、保湿液供給部11からヘッドキャップ9内に供給される保湿液供給量(Q1、Q2)を制御する(ST1→ST2→ST3→ST4→ST5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非駆動時等に液体吐出ヘッドのノズル面を覆うヘッドキャップが備わっている液体吐出装置に関し、特に、ヘッドキャップ内を適切な保湿状態に維持するために保湿液をヘッドキャップ内に供給する保湿液供給制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液滴を吐出する液体吐出ヘッド、例えばインクジェットヘッドにおいては、非印刷時にそのノズル面をヘッドキャップで密閉状態に覆うことにより、ノズル内のインクが乾燥してノズル詰まり状態に陥ることや、ノズル面あるいはノズルに異物が付着あるいは混入することを防止している。また、インクジェットヘッドの各ノズルからヘッドキャップに向けてインク液滴を吐出するフラッシングを定期的に行ってノズル詰まりを未然に防止している。フラッシングにより吐出されたインク液滴はヘッドキャップ内に装着されているインク吸収材に回収され、当該インク吸収材に吸収されたインクはインク回収部に回収されるようになっている。
【0003】
ヘッドキャップ内のインク吸収材には、そこに吸収された廃インクが乾燥してインク増粘物が堆積した状態になる。この状態でキャッピングが行われると、インク堆積物中に含まれている高濃度のグリセリン、ジエチレングリコールなどの保湿剤がインクジェットヘッドのノズル内のインクから水分を吸収し、却って、ノズル内インクの増粘化を促進してしまい、ノズルの目詰まり、吐出不良を誘発する。そこで、従来においては、ヘッドキャップ内を適切な保湿状態に維持するために、定期的に水などの保湿液をヘッドキャップ内に供給するようにしている。特許文献1〜3には、このような保湿機能を備えたインクジェットプリンターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−18408号公報
【特許文献2】特開2001−253081号公報
【特許文献3】特開2008−105262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来におけるヘッドキャップの保湿機能を備えたインクジェットプリンターでは、保湿液タンクあるいは保湿液カートリッジを専用に設けている。このため、印刷に使用するインクカートリッジに加えて保湿液も消耗品として交換する必要がある。この結果、ユーザーが用意しなければならない消耗品の数が増え、消耗品交換回数も増えるので、使い勝手が悪化するという問題がある。
【0006】
例えば、保湿液の供給タイミングはユーザーのインクジェットプリンターの使用状況(印刷時間、印刷ジョブ間隔等)によって変化する。このため、高デューティーの印刷が繰り返し行われる場合には、インク消費量が多く、保湿液の使用量が少ないので、インク切れによるインクカートリッジの交換時期が早く到来し、インクカートリッジ交換後に再度、保湿液カートリッジの交換が必要になる。逆に、低デューティの印刷が繰り返し行われる場合には保湿液の消費量が多く、インクカートリッジの交換前に保湿液を使い切ってしまう可能性が高い。このような場合には保湿液カートリッジを先に交換する必要がある。いずれの場合においても、インクカートリッジおよび保湿液カートリッジの交換時期が異なるので、カートリッジ交換頻度が高くなり、ユーザーの負担が増えてしまう。また、保湿液が無くなった場合には、そのまま交換せずに放置すると、ヘッドキャップを保湿状態に維持できなくなり、ノズル詰まりなどの弊害が発生するので好ましくない。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、保湿液カートリッジの交換頻度を低減でき、しかも、保湿液が無くなりヘッドキャップを保湿状態に維持できなくなる事態の発生を回避することのできる液体吐出装置および保湿液供給制御方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の液体吐出装置は、
液体吐出用のノズルが配列されたノズル面を備えた液体吐出ヘッドと、
前記ノズル面を覆うためのヘッドキャップと、
前記液体吐出ヘッドの前記ノズルから吐出される吐出用液体が貯留されている液体貯留部と、
前記ヘッドキャップ内を所定の保湿状態に維持するための保湿液を当該ヘッドキャップ内に供給する保湿液供給部と、
前記保湿液供給部から前記ヘッドキャップ内に供給される前記保湿液が貯留されている保湿液貯留部と、
前記保湿液供給部から所定のタイミングで所定量の前記保湿液を前記ヘッドキャップ内に供給する保湿液供給動作を制御する保湿液供給制御部とを有し、
前記保湿液供給制御部は、前記保湿液貯留部内の前記保湿液を、前記液体貯留部内の前記吐出用液体と同時に使い切るように、あるいは、当該吐出用液体を使い切る直前に使い切るように、前記液体貯留部内の前記吐出用液体の残量に基づき、前記保湿液供給部から前記ヘッドキャップ内に供給される保湿液供給量を制御することを特徴としている。
【0009】
ここで、ヘッドキャップを液体吐出ヘッドにキャッピングしていない状態では、ヘッドキャップは開放状態になる。この状態では、ヘッドキャップ内から水分が蒸発するので、保湿状態を維持できない。したがって、キャッピングがされていない時間の累積値が一定の値に達した場合には保湿液をヘッドキャップに補給する必要がある。キャッピングされていない状態は、通常は液体吐出ヘッドが駆動中の状態であるので、保湿動作を、液体吐出ヘッドの駆動時間の累積値が予め定めた設定累積値(Ts)に達する毎に行うようにすればよい。
【0010】
また、液体吐出ヘッドによる液体吐出状況(駆動履歴)に応じて液体の消費状況が変化するので、液体貯留部および保湿液貯留部にそれぞれ液体および保湿液が十分に残っている状態から、保湿液が液体と同時的に無くなるように保湿液供給量を調整する制御を行うことは困難である。そこで、液体の残量が残り少なくなるまで、すなわち、予め定めたニアエンド残量になるまでの間は、各保湿液供給動作において予め定めた一定の供給量(Q1)の保湿液をヘッドキャップ内に供給し、液体の残量がニアエンド残量になった後は、保湿液貯留部内の保湿液を液体貯留部内の吐出用液体と同時的に使い切るように、各保湿液供給動作における保湿液の供給量を調整することが望ましい。
【0011】
このような保湿液の供給量の調整は次のように行うことができる。まず、液体貯留部の液体がニアエンド残量になった後に、液体貯留部の満杯時点からニアエンド残量になった時点までの液体吐出ヘッドの単位駆動時間当たりの平均液体消費量(Qm)でニアエンド残量(Qne)を除算して、ニアエンド残量(Qne)の液体が消費されるのに要する吐出ヘッドの駆動時間の予測累積値(Tp(=Qne/Qm))を算出する。次に、算出した予測累積値(Tp)を設定累積値(Ts)で除算して液体が無くなる前の時点までの保湿液の供給回数(Np(=Tp/Ts))を算出する。しかる後に、液体がニアエンド残量(Qne)になった時点の保湿液残量(Qa)を供給回数(Np)で除算して、保湿液調整供給量(Q2(=Qa/Np))を算出する。そして、液体の残量がニアエンド残量(Qne)になった後の各保湿液供給動作における保湿液の供給量として保湿液調整供給量(Q2)を採用する。
【0012】
このように保湿液供給量を調整すると、液体吐出ヘッドによる実際の液体消費状態を反映して、液体を使い切る時点の直前における保湿液供給動作において保湿液を使い切る制御を精度良く行うことができる。
【0013】
ここで、液体がニアエンド残量以下になった場合に、残っている保湿液を均等に分けて供給する代わりに、液体を使い切る直前の保湿液供給動作において残っている全ての保湿液をヘッドキャップに供給して使い切ることも可能である。この場合においても、液体貯留部の満杯時点からニアエンド残量になった時点までの液体吐出ヘッドの単位駆動時間当たりの平均液体消費量に基づき、液体がニアエンド残量の状態から完全に無くなるまでの保湿液の供給回数を算出する。この結果、液体を使い切る直前に行われる保湿液供給時点を、算出された供給回数の最後の回数に当る保湿液供給動作の時点であると特定できる。最後の保湿液供給動作において、保湿液貯留部に残っている保湿液の全てをヘッドキャップ内に供給することで、液体が無くなる直前の時点で保湿液を使い切ることができる。
【0014】
最後の保湿液供給時において、保湿液貯留部に多量の保湿液が残っているときには多量の保湿液がヘッドキャップ内に供給される。多量の保湿液を供給すると、保湿液の供給流路内に気泡、異物が滞留している場合やヘッドキャップ内に異物が存在する場合に、それらを多量に供給される保湿液によって洗い流すことができ、これによって、保湿液の流路内を良好な状態に保つことができる。
【0015】
次に、液体貯留部を、カートリッジ装着部に着脱可能な状態で装着されている液体カートリッジとし、この液体カートリッジ内に保湿液貯留部を配置しておくことが望ましい。このようにすれば、保湿液の補充と吐出用液体の補充を一回の操作で行うことができる。また、本発明では、保湿液と液体がほぼ同時に無くなるように保湿液の供給が制御されるので、液体カートリッジの交換時には保湿液も実質的に無くなった状態になる。保湿液が多量に残っている場合には、液体カートリッジの交換時に液体が残っているものとユーザーに誤解を与えるなどの不具合が生ずるが、本発明によればこのような不具合を回避できる。また、取り外して廃棄あるいはリユースされる液体カートリッジ内に残っている液体が殆ど無いので、廃棄される液体が殆ど無く経済的であり、環境負荷の低減化にも有利である。
【0016】
一方、本発明はカラー印刷を行うインクジェットプリンターに適用することができる。この場合には、液体吐出ヘッドとしてインクジェットヘッドが用いられ、液体カートリッジとして各色、一般的には、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のインクカートリッジが用いられている。これらのインクのうち、ブラックインクの消費量が最も多いので、ブラックインクカートリッジは他の色インクのインクカートリッジよりも一回り大きな寸法となっている。そこで、ブラックインクカートリッジ内に保湿液貯留部を設けるようにすれば、保湿液貯留部の分だけカートリッジが大型化しても、ブラックインクカートリッジは元々他のインクカートリッジよりもサイズが大きいので、ユーザーが違和感を覚えることが少ない。
【0017】
次に、本発明は、液体吐出用のノズルが配列されたノズル面を備えた液体吐出ヘッドと、前記ノズル面を覆うためのヘッドキャップと、前記液体吐出ヘッドの前記ノズルから吐出される吐出用液体が貯留されている液体貯留部と、前記ヘッドキャップ内を所定の保湿状態に維持するための保湿液を当該ヘッドキャップ内に供給する保湿液供給部と、前記保湿液供給部から前記ヘッドキャップ内に供給される前記保湿液が貯留されている保湿液貯留部を有する液体吐出装置の保湿液供給制御方法に関するものである。本発明の方法は、上記の液体吐出装置の保湿液供給制御部と同様な保湿液供給動作制御を行うことにより、前記保湿液貯留部内の前記保湿液を前記液体貯留部内の前記吐出用液体と同時に使い切るように、前記液体貯留部内の前記吐出用液体の残量に基づき、前記保湿液供給部から前記ヘッドキャップ内に供給される保湿液供給量を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、液体貯留部の液体を使い切ると同時あるいはその直前に、保湿液貯留部の保湿液を使い切るようにしている。したがって、液体貯留部に液体を補充する操作あるいは液体貯留部を新しいものに交換する操作を行う際に、保湿液が無くなった保湿液貯留部の補充操作あるいは交換操作を同時に行うことができる。よって、ユーザーの使い勝手を犠牲にすることなくヘッドキャップの保湿状態を維持できる。また、保湿液は液体と同時あるいはその直前に無くなるので、保湿液を使い終わった後に液体吐出ヘッドによる液体吐出動作が長時間に亘って行われて、ヘッドキャップ内が乾燥してノズル詰まりなどが発生してしまうという弊害も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるインクジェットプリンターの概略構成図である。
【図2】インクジェットプリンターの主要部分を制御系と共に示す説明図である。
【図3】保湿液供給動作を示す動作説明図である。
【図4】保湿液供給部を示す概略断面図である。
【図5】保湿液供給動作を示す概略フローチャートおよびグラフである。
【図6】保湿液供給動作の別の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して本発明を適用したインクジェットプリンターの実施の形態を説明する。
【0021】
図1はインクジェットプリンターの主要部を示す全体構成図であり、図2はその主要部の断面構成を制御系と共に示す説明図である。これらの図を参照して説明すると、インクジェットプリンター1は装置フレーム2に搭載されているライン型のインクジェットヘッド3を備えており、インクジェットヘッド3は、そのノズル面3aが下を向く姿勢で、装置幅方向に水平に配置されている。ノズル面3aには装置幅方向に複数列のノズル3bが配置されている。ノズル面3aには下側から移動式プラテン4が一定のギャップで対峙しており、移動式プラテン4の表面によってインクジェットヘッド3の印刷位置が規定されている。この印刷位置を経由して装置後方から前方に向かって水平に延びる印刷用紙5の搬送経路が形成されている。搬送経路は搬送ガイド6、搬送ローラー対7等によって規定されている。
【0022】
搬送ガイド6は、移動式プラテン4の装置後側(搬送方向の上流側)において装置幅方向に水平に配置されている。搬送ローラー対7は駆動ローラー7aと従動ローラー7bとを備えており、搬送ガイド6の後側の位置において、同じく装置幅方向に水平に配置されている。搬送ローラー対7によって印刷用紙5は後側から前方に向かって搬送経路に沿って搬送され、印刷位置においてインクジェットヘッド3によって印刷が施される。
【0023】
移動式プラテン4の下側には移動式のメンテナンスユニット8が装置幅方向に水平に配置されている。メンテナンスユニット8は、ライン型のインクジェットヘッド3のノズル面3aをキャッピング可能な大きさのヘッドキャップ9と、ノズル面3aをワイピングするためのワイパー10とを備えている。ヘッドキャップ9は、図2に示すように、上方に開口しているキャップ本体9aと、このキャップ本体9aの内部底面に配置した一定厚さの板状のインク吸収材9bとを備えている。キャップ本体9aの底面には廃インク吸引口9cが形成されており、ここを介してインク吸収材9bに吸収された廃インクが不図示の廃インク回収部に回収可能となっている。
【0024】
インクジェットヘッド3の後側には、2つの保湿液供給部11L、11Rが配置されている。これらの保湿液供給部11R、11Lは、装置幅方向において所定の間隔を開けて同一高さ位置に配置されている。これらの保湿液供給部11L、11Rは同一構成であり、以下の説明においては、これらを総称して保湿液供給部11と呼ぶものとする。保湿液供給部11の下面には、図2に示すように、保湿液供給ノズル12が下向きに取り付けられており、ここから下方に吐き出される保湿液は、搬送ガイド6に形成した貫通穴6aを通って下側に位置しているヘッドキャップ9のインク吸収材9bに供給可能である。
【0025】
保湿液供給部11の保湿液供給動作は、後述のように、装置幅方向に延びる水平な揺動中心軸13を中心として上下方向に揺動可能な揺動リンク14によって駆動されるようになっている。揺動リンク14の揺動は後述のように移動式のメンテナンスユニット8の移動に連動して行われるようになっている(図3参照)。
【0026】
次に、装置フレーム2にはインクカートリッジ装着部15が設けられており、ここには、インクカートリッジが着脱可能な状態で装着されている。本例では、図2に示すように、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各インクが貯留されている4個のインクカートリッジ16C、16M、16Y、16Bkが装着される。また、ブラックインクカートリッジ16Bk内には、ブラックインク貯留部17と保湿液貯留部18が内蔵されている。保湿液貯留部18には、保湿液として水が貯留されている。水以外の保湿液を使用してもよいことは勿論である。各インクカートリッジ内のインクは、インク供給路19を経由してインクジェットヘッド3の各色のインクを吐出するノズル列のそれぞれに供給される。ブラックインクカートリッジ16Bk内の保湿液貯留部18内の保湿液は保湿液供給路20を経由して保湿液供給部11に供給される。
【0027】
次に、搬送ローラー対7は搬送モーター21によって回転駆動され、メンテナンスユニット8の移動および移動式プラテン4の移動は駆動モーター22によって行われる。これらのモーター21、22の駆動制御は、コンピューターを中心に構成されているプリンター制御回路23からモータードライバー24、25を介して行われる。インクジェットヘッド3の駆動制御はヘッドドライバー26を介してプリンター制御回路23によって行われる。また、プリンター制御回路23はヘッドキャップ9内を保湿状態に維持するための保湿液供給制御部30として機能する。
【0028】
保湿液供給制御部30は、インクジェットヘッド3による印刷時間の累積値をカウントする累積値算出部27、インクカートリッジ装着部15に取り付けた検出器28aの検出信号に基づき保湿液切れを検出するための保湿液残量監視部29a、インクカートリッジ装着部15に取り付けた検出器28bの検出信号に基づきブラックインクBkが残り少なくなったニアエンド状態になったことを検出するためのインク残量監視部29bを備えている。累積値、保湿液残量、ブラックインク残量に基づき、保湿液供給制御部30はヘッドキャップ9内を保湿状態に維持するための保湿制御を行う。
【0029】
保湿液供給制御部30は、保湿液貯留部18内の保湿液を、ブラックインクカートリッジ16Bk内のブラックインクBkを使い切る直前の保湿液供給動作によって保湿液貯留部18内の保湿液を使い切ることができるように、保湿液供給部11からヘッドキャップ9内に供給される保湿液供給量を制御する。
【0030】
(保湿液供給部の動作)
次に、図3は保湿液供給部11の保湿液供給動作を示す説明図であり、図4は保湿液供給部11を示す概略断面図である。
【0031】
まず、これらの図を参照して、移動式プラテン4とメンテナンスユニット8の動きについて説明する。印刷時には、図3(C)に示すように、インクジェットヘッド3の真下に移動式プラテン4が位置しており、メンテナンスユニット8は移動式プラテン4の下側において僅かに装置後方側に寄った待機位置に位置している。
【0032】
非印刷時には、インクジェットヘッド3のノズル面3aにヘッドキャップ9がキャッピングされる。このために、印刷動作が終了した後は、移動式プラテン4が装置前方に水平に送り出されて図3(A)に示す退避位置に移動する。これと同期してメンテナンスユニット8が前方に向かって斜め上方に移動して、図3(A)に示すようにそのヘッドキャップ9がインクジェットヘッド3のノズル面3aを下側からキャッピングしたキャッピング位置に移動する。
【0033】
メンテナンスユニット8には係合ピン8aが取り付けられており、この係合ピン8aの移動軌跡は、揺動中心軸13を中心とする揺動リンク14の下側端部14aの揺動軌跡に重なるように設定されている。したがって、メンテナンスユニット8が前方に向かって斜め上方に移動する際には、係合ピン8aが揺動リンク14の下側端部14aを装置後側から前方に押しやる。この結果、揺動リンク14の上側端部14bが揺動中心軸13を中心として上方に揺動する。この上側端部14bは保湿液供給部11に連結されている。
【0034】
ここで、保湿液供給部11は、図4に示すように、円筒状の保湿液溜め41を備えている。この保湿液溜め41は、その底面中高に形成した供給口42に取り付けた逆止弁43を介してノズル12に連通している。保湿液溜め41の天面は開口端となっており、この開口端は上下方向に撓み可能なダイヤフラム44によって封鎖されている。また、保湿液溜め41の側面に形成した吸引口45は逆止弁46を介して保湿液供給路20に連通している。
【0035】
この構成の保湿液供給部11のダイヤフラム44が揺動リンク14の上側端部14bに連結されている。図3(C)の状態から、前方に向かって斜め上方に移動するメンテナンスユニット8の係合ピン8aによって揺動リンク14が上方に揺動すると、ダイヤフラム44が上方に引き上げられ、保湿液溜め41の内容積が増加する。この結果、保湿液供給路20から逆止弁46を介して保湿液が保湿液溜め41内に吸引される(補給される)。メンテナンスユニット8の移動途中において係合ピン8aが揺動リンク14の下側端部14aから前方に外れる。この後は、揺動リンク14は、その吊り下げ用の引張コイルバネ47のバネ力と、ダイヤフラム44の弾性復帰力などとの間で釣り合い状態が形成される揺動位置に戻る。このようにして、図3(C)に示す印刷状態から図3(A)に示す非印刷状態に移行する間に保湿液が保湿液供給部11に補給される。
【0036】
次に、図3(A)に示すキャッピング状態において印刷動作を行う場合には、まず、メンテナンスユニット8が装置後側に向かって斜め下方に移動を開始する。メンテナンスユニット8の移動に伴って、そこに搭載されているワイパー10がノズル面3aに押し付けられながら後方に移動してノズル面3aのワイピングが行われる。
【0037】
また、このメンテナンスユニット8の移動によって、保湿液供給部11が駆動されて保湿液をヘッドキャップ9内に供給する保湿動作が行われる。すなわち、図3(B)に示すように、移動の途中からメンテナンスユニット8の係合ピン8aが揺動リンク14の下側端部14aに当り、揺動リンク14を、揺動中心軸13を中心として上方に揺動させながら移動する。この結果、揺動リンク14の上側端部14bが下方に揺動し、そこに連結されている保湿液供給部11のダイヤフラム44が下方に押し込まれ、保湿液溜め41の内容積が小さくなる。
【0038】
これにより、保湿液溜め41内の保湿液が逆止弁43を介してノズル12の側に押し出され、ノズル12から下方に吐き出される。この時点では、メンテナンスユニット8のヘッドキャップ9はノズル12の真下に位置している。したがって、ノズル12から吐き出された保湿液Wは、搬送ガイド6の貫通穴6aを通ってヘッドキャップ9内のインク吸収材9bに供給され、ここに吸収保持される。このようにして保湿液Wが供給されることにより、ヘッドキャップ9内が適切な保湿状態に維持される。ここで、保湿液Wを多量に供給する場合には、メンテナンスユニット8を繰り返し移動させることにより、保湿液供給部11から繰り返しヘッドキャップ9内に保湿液Wを供給すればよい。
【0039】
なお、メンテナンスユニット8の移動に同期して移動式プラテン4が装置後方に向けて水平に移動して、図3(C)に示すように、インクジェットヘッド3のノズル面3aの真下の位置に位置決めされる。これにより印刷可能な状態になる。
【0040】
(保湿液供給制御)
次に、図5(a)はインクジェットプリンター1のプリンター制御回路23によるヘッドキャップ9内への保湿液供給制御動作を示す概略フローチャートであり、図5(b)および(c)はブラックインク残量と保湿液残量の推移を示すグラフである。
【0041】
これらの図にしたがって説明すると、プリンター制御回路23の累積値算出部27では、図5(a)のステップST1(累積印字時間が所定に達したか?)に示すように、インクジェットヘッド3による累積印刷時間が予め設定されている累積印刷時間Tsに達したか否かを監視している。予め設定した累積印刷時間Tsに達すると、保湿液供給制御部30は保湿液供給部11を駆動してヘッドキャップ9内に保湿液を供給する保湿液供給動作を行う。
【0042】
本例では、ブラックインクBkの残量が予め定めたニアエンド残量Qneになるまでの間は、各保湿液供給動作において一定の供給量Q1の保湿液Wをヘッドキャップ9内に供給して、ヘッドキャップ9内を保湿状態に維持する。すなわち、図5(a)のステップST2(インクニアエンド?)に示すように、インク残量監視部29bはブラックインク貯留部17のブラックインクBkの残量を監視している。ブラックインクBkの残量がニアエンド残量Qneになるまでの間は、累積印刷時間が予め設定した累積印刷時間Tsに達すると、図5(a)のステップST1からステップST2を経由してステップST5に移行し、予め設定されている保湿液供給量Q1で保湿液をヘッドキャップ9内に供給する保湿液供給動作を行う。
【0043】
図5(b)の曲線Aで示すように、ブラックインク貯留部17のブラックインクBkの残量は満杯時(時点t0)から、印刷によって徐々に消費されて少なくなる。また、保湿液貯留部18内の保湿液Wの残量は満杯時(時点t0)から、折れ線Bで示すように、累積印刷時間Ts毎に行われる保湿液供給動作によって一定量Q1ずつ徐々に消費されて段階的に少なくなる。
【0044】
ブラックインクBkの残量がニアエンド残量Qneに達したことがインク残量監視部29bによって検出されると(図5(b)の時点t1)、その後は、保湿液貯留部18内の保湿液Wをブラックインク貯留部18内のブラックインクBkを使い切る時点(インクエンドになる時点t3)の直前の時点(t2)において使い切るように、各保湿液供給動作における保湿液の供給量が調整される。
【0045】
すなわち、ニアエンド検出後は、制御が図5(a)におけるステップST2からYESの流れに沿ってステップST3(保湿液残量データ取得)に移行して、保湿液残量監視部29aによって保湿液貯留部18内の保湿液残量Qaを検出する。次に、図5(a)のステップST4(以降の供給量を計算)に移行して、保湿液の調整供給量Q2を計算する。このステップST4では、まず、ブラックインク貯留部18の満杯時点t0からニアエンド残量になった時点t1までのインクジェットヘッド3の単位駆動時間当たりの平均ブラックインク消費量qmを算出する。次に、この平均ブラックインク消費量qmでニアエンド残量Qneを除算して、ニアエンド残量QneのブラックインクBkを使い切るまでに要するインクジェットヘッド3の印刷時間の予測累積値Tp(=Qne/qm)を算出する。
【0046】
しかる後に、算出した予測累積値Tpを累積印刷時間Tsで除算してブラックインクBkが無くなるまでの保湿液Wの供給回数Np(=Tp/Ts)を算出する。例えば、Np=2と算出される。次に、ブラックインクBkがニアエンド残量Qneになった時点t1の保湿液残量Qaを供給回数Np(=2)で除算して、保湿液の調整供給量Q2(=Qa/Np)を算出する。
【0047】
この後は、図5(a)のステップST5(保湿液を供給)に移行して、算出した調整供給量Q2をヘッドキャップ9内に供給する保湿液供給動作を行う。図5(b)に示すように、本例では、残りの保湿液を2回に分けて供給して無くなるようにしており、調整供給量Q2は通常時の供給量Q1に加えて数倍の量となっている。先に図3、4を参照して説明したように、メンテナンスユニット8を往復移動させることにより、保湿液供給部11が駆動されて保湿液が供給されるので、メンテナンスユニット8を繰り返し往復移動することにより、保湿液供給部11を繰り返し駆動して調整供給量Q2分の保湿液Wをヘッドキャップ9内に供給する。
【0048】
この結果、保湿液貯留部18内の保湿液Wは、ブラックインク貯留部17内のブラックインクBkが無くなる時点(インクエンドの時点t3)の手前の時点t2において行われる最後の保湿液供給動作によって使い切ることができる。インクエンド後にブラックインクカートリッジ16Bkの交換時には、ブラックインクBkおよび保湿液Wの双方が実質的に無くなった状態になる。
【0049】
(その他の実施の形態)
本例では、ブラックインクBkがニアエンド残量以下になった場合に、残っている保湿液を均等に分けて供給している。この代わりに、ブラックインクBkを使い切る直前の最後の保湿液供給動作において残っている全ての保湿液をヘッドキャップ9内に供給して使い切ることも可能である。
【0050】
この場合においても、まず、保湿液残量監視部29aによって保湿液貯留部18内の保湿液残量Qaを検出する。次に、ブラックインク貯留部18の満杯時点t0からニアエンド残量になった時点t1までのインクジェットヘッド3の単位駆動時間当たりの平均ブラックインク消費量qmを算出し、この平均ブラックインク消費量qmでニアエンド残量Qneを除算して、ニアエンド残量QneのブラックインクBkが消費され終わるのに要するインクジェットヘッド3の印刷時間の予測累積値Tp(=Qne/qm)を算出する。しかる後に、算出した予測累積値Tpを累積印刷時間Tsで除算してブラックインクBkが無くなるまでの保湿液Wの供給回数Np(=Tp/Ts)を算出する。例えば、Np=2と算出する。この結果、ブラックインクBkを使い切る直前に行われる保湿液供給時点を、算出された供給回数Npの最後の回数に当る保湿液供給動作の時点、本例では2回目の動作であると特定できる。
【0051】
この後は、図6(a)のグラフに示すように、最初の保湿液供給動作においては、ニアエンド前の一定の供給量Q1で保湿液を供給する。そして、最後の保湿液供給時、すなわち、2回目の保湿液供給動作においては、残りの全ての保湿液(残量Q3)を供給する動作を行う。これにより、ブラックインクBkが無くなる直前の時点t2において保湿液を使い切ることができる。
【0052】
このように制御を行うと、最後の保湿液供給時において、保湿液貯留部18に多量の保湿液が残っているときには多量の保湿液がヘッドキャップ9内に供給される。多量の保湿液を供給すると、保湿液の供給流路内に気泡、異物が滞留している場合やヘッドキャップ9内に異物が存在する場合に、それらを多量に供給される保湿液によって洗い流すことができ、これによって、保湿液の流路内を良好な状態に保つことができるという作用効果が得られる。
【0053】
また、図6(b)に示すように、ブラックインクBkがニアエンド残量になるまでは保湿液Wの供給量をQ1とし、ニアエンド残量になった後には、保湿液供給量を、Q2a、Q2bで示すように、徐々に増加させるようにしてもよい。
【0054】
さらには、ブラックインクBkが無くなったことが検出されたときに、これをトリガーとして、メンテナンスユニット8を往復移動させて保湿液供給部11から保湿液をヘッドキャップ9内に供給する供給動作を実行して、残っている保湿液Wを使い切ることも可能である。これにより、ブラックインクBkが無くなると、その時点で残っている保湿液Wが全て消費されるので、双方を同時に使い切ることができる。
【0055】
次に、本例では、図3に示すように、メンテナンスユニット8の移動に伴って揺動リンク14を介して保湿液供給部11が駆動されるが、保湿液供給部11を駆動するための専用の駆動源を配置してもよい。また、保湿液供給部11の機構としては本例以外の機構、例えば、インクジェットヘッドと同様な構造の液体吐出機構を用いて保湿液をヘッドキャップ内に供給すれば、保湿液の調整供給量Q2の供給を高精度に行うことができる。さらに、保湿液の供給量をコントロールすることが難しく、供給量の精度が悪くなってしまうが、ヘッドキャップに連結した吸引ポンプによる吸引動作を利用して、保湿液をヘッドキャップ内に供給しても良い。
【0056】
一方、上記の実施の形態は本発明をインクジェットプリンターに適用したものである。本発明はインクジェットプリンター以外の液体吐出装置にも同様に適用可能である。例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、面発光ディスプレイ等の電極形成に用いられる電極材、色材等の液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に適用できる。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物をノズルから吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置、精密ピペットとして試料をノズルから吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…インクジェットプリンター、2…装置フレーム、3…インクジェットヘッド、3a…ノズル面、3b…ノズル、4…移動式プラテン、5…印刷用紙、6…搬送ガイド、7…搬送ローラー対、7a…駆動ローラー、7b…従動ローラー、8…メンテナンスユニット、9…ヘッドキャップ、9a…キャップ本体、9b…インク吸収材、9c…吸引口、10…ワイパー、11、11L、11R…保湿液供給部、12…ノズル、13…揺動中心軸、14…揺動リンク、14a…下側端部、14b…上側端部、15…インクカートリッジ装着部、16Y、16M、16C、16Bk…インクカートリッジ、17…インク貯留部、18…保湿液貯留部、19…インク供給路、20…保湿液供給路、21…搬送モーター、22…駆動モーター、23…プリンター制御回路、24,25…モータードライバー、26…ヘッドドライバー、27…累積値算出部、28a,28b…検出器、29a…保湿液残量監視部、29b…インク残量監視部、30…保湿液供給制御部、41…保湿液溜め、42…供給口、43…逆止弁、44…ダイヤフラム、45…吸引口、46…逆止弁、Q1…供給量、Q2,Q2a,Q2b,Q3…調整供給量、t0…満杯時点、t1…ニアエンド時点、t2…最後の保湿液供給動作の時点、t3…インクエンド時点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出用のノズルが配列されたノズル面を備えた液体吐出ヘッドと、
前記ノズル面を覆うためのヘッドキャップと、
前記液体吐出ヘッドの前記ノズルから吐出される吐出用液体が貯留されている液体貯留部と、
前記ヘッドキャップ内を所定の保湿状態に維持するための保湿液を当該ヘッドキャップ内に供給する保湿液供給部と、
前記保湿液供給部から前記ヘッドキャップ内に供給される前記保湿液が貯留されている保湿液貯留部と、
前記保湿液供給部から所定のタイミングで所定量の前記保湿液を前記ヘッドキャップ内に供給する保湿液供給動作を制御する保湿液供給制御部とを有し、
前記保湿液供給制御部は、前記保湿液貯留部内の前記保湿液を、前記液体貯留部内の前記吐出用液体と同時に使い切るように、あるいは、当該吐出用液体を使い切る直前に使い切るように、前記液体貯留部内の前記吐出用液体の残量に基づき、前記保湿液供給部から前記ヘッドキャップ内に供給される保湿液供給量を制御することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記保湿液供給制御部は、
前記液体吐出ヘッドの駆動時間の累積値(Ta)が予め定めた設定累積値(Ts)に達する毎に、前記保湿液供給部を駆動して、前記ヘッドキャップ内に前記保湿液を供給する保湿液供給動作を行い、
前記吐出用液体の残量が予め定めたニアエンド残量になるまでの間は、各保湿液供給動作において一定の供給量(Q1)の前記保湿液を前記ヘッドキャップ内に供給し、
前記吐出用液体の残量が前記ニアエンド残量(Qne)になった後は、前記液体貯留部内の前記吐出用液体と同時に使い切るように、あるいは、当該吐出用液体を使い切る直前に使い切るように、各保湿液供給動作における前記保湿液の供給量(Q2)を調整することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記液体貯留部の満杯時点から前記ニアエンド残量になった時点までの前記液体吐出ヘッドの単位駆動時間当たりの平均液体消費量(qm)で前記ニアエンド残量(Qne)を除算して、前記ニアエンド残量の吐出用液体が消費されるのに要する前記吐出ヘッドの駆動時間の予測累積値(Tp=Qne/qm)を算出し、
算出した前記予測累積値(Tp)を前記設定累積値(Ts)で除算して、前記吐出用液体が無くなる前の時点までの前記保湿液の供給回数(Np=Tp/Ts)を算出し、
前記液体が前記ニアエンド残量(Qne)になった時点の保湿液残量(Qa)を前記供給回数(Np)で除算して、保湿液調整供給量(Q2=Qa/Np)を算出し、
前記液体の残量がニアエンド残量になった後の各保湿液供給動作における前記保湿液の供給量を前記保湿液調整供給量(Q2)に設定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記液体貯留部の満杯時点から前記ニアエンド残量になった時点までの前記液体吐出ヘッドの単位駆動時間当たりの平均液体消費量(qm)で前記ニアエンド残量(Qne)を除算して、前記ニアエンド残量の吐出用液体が全て消費されるのに要する前記吐出ヘッドの駆動時間の予測累積値(Tp=Qne/qm)を算出し、
算出した前記予測累積値(Tp)を前記設定累積値(Ts)で除算して、前記吐出用液体が無くなる前の時点までの前記保湿液の供給回数(Np=Ts/Tp)を算出し、
算出された前記供給回数(Np)の最後の回数に当る前記保湿液供給動作において、前記保湿液貯留部に残っている前記保湿液の全てを前記ヘッドキャップ内に供給することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記液体貯留部は、前記吐出用液体が貯留された液体カートリッジと、当該液体カートリッジが着脱可能な状態で装着されているカートリッジ装着部とを備えており、
前記保湿液貯留部は前記液体カートリッジの内部に配置されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記液体吐出ヘッドはインクジェットヘッドであり、
前記液体貯留部にはインクが貯留されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記液体貯留部は、ブラックインクが貯留されているインクカートリッジと、当該インクカートリッジが着脱可能な状態で装着されているカートリッジ装着部とを備えており、
前記保湿液貯留部は前記インクカートリッジの内部に配置されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
液体吐出用のノズルが配列されたノズル面を備えた液体吐出ヘッドと、前記ノズル面を覆うためのヘッドキャップと、前記液体吐出ヘッドの前記ノズルから吐出される吐出用液体が貯留されている液体貯留部と、前記ヘッドキャップ内を所定の保湿状態に維持するための保湿液を当該ヘッドキャップ内に供給する保湿液供給部と、前記保湿液供給部から前記ヘッドキャップ内に供給される前記保湿液が貯留されている保湿液貯留部を有する液体吐出装置の保湿液供給制御方法であって、
前記保湿液供給部から所定のタイミングで所定量の前記保湿液を前記ヘッドキャップ内に供給する保湿液供給動作制御を実行し、
前記保湿液貯留部内の前記保湿液を前記液体貯留部内の前記吐出用液体と同時に使い切るように、あるいは、当該吐出用液体を使い切る直前に使い切るように、前記液体貯留部内の前記吐出用液体の残量に基づき、前記保湿液供給部から前記ヘッドキャップ内に供給される保湿液供給量を制御することを特徴とする液体吐出装置の保湿液供給制御方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記液体吐出ヘッドの駆動時間の累積値(Ta)が予め定めた設定累積値(Ts)に達する毎に、前記保湿液供給部を駆動して、前記ヘッドキャップ内に前記保湿液を供給する保湿液供給動作を行い、
前記吐出用液体の残量が予め定めたニアエンド残量になるまでの間は、各保湿液供給動作において一定の供給量(Q1)の前記保湿液を前記ヘッドキャップ内に供給し、
前記吐出用液体の残量が前記ニアエンド残量(Qne)になった後は、前記保湿液貯留部内の前記保湿液を前記液体貯留部内の前記吐出用液体と同時に使い切るように、あるいは、当該吐出用液体を使い切る直前に使い切るように、各保湿液供給動作における前記保湿液の供給量(Q2)を調整することを特徴とする液体吐出装置の保湿液供給制御方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記液体貯留部の満杯時点から前記ニアエンド残量になった時点までの前記液体吐出ヘッドの単位駆動時間当たりの平均液体消費量(qm)で前記ニアエンド残量(Qne)を除算して、前記ニアエンド残量の吐出用液体が消費されるのに要する前記吐出ヘッドの駆動時間の予測累積値(Tp=Qne/qm)を算出し、
算出した前記予測累積値(Tp)を前記設定累積値(Ts)で除算して、前記吐出用液体が無くなる前の時点までの前記保湿液の供給回数(Np=Tp/Ts)を算出し、
前記吐出用液体が前記ニアエンド残量(Qne)になった時点の保湿液残量(Qa)を前記供給回数(Np)で除算して、保湿液調整供給量(Q2=Qa/Np)を算出し、
前記吐出用液体の残量がニアエンド残量になった後の各保湿液供給動作における前記保湿液の供給量を前記保湿液調整供給量(Q2)に設定することを特徴とする液体吐出装置の保湿液供給制御方法。
【請求項11】
請求項9において、
前記液体貯留部の満杯時点から前記ニアエンド残量になった時点までの前記液体吐出ヘッドの単位駆動時間当たりの平均液体消費量(qm)で前記ニアエンド残量(Qne)を除算して、前記ニアエンド残量の吐出用液体が全て消費されるのに要する前記吐出ヘッドの駆動時間の予測累積値(Tp=Qne/qm)を算出し、
算出した前記予測累積値(Tp)を前記設定累積値(Ts)で除算して、前記吐出用液体が無くなる前の時点までの前記保湿液の供給回数(Np=Ts/Tp)を算出し、
算出された前記供給回数(Np)の最後の回数に当る前記保湿液供給動作において、前記保湿液貯留部に残っている前記保湿液の全てを前記ヘッドキャップ内に供給することを特徴とする液体吐出装置の保湿液供給制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206354(P2012−206354A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73541(P2011−73541)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】