説明

液体噴射装置、及び、液体噴射方法

【課題】ヘッドのつなぎ目の部分の色ムラを低減する。
【解決手段】液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ヘッドと、第1ヘッドから液体が噴射される画素の第1色空間の階調値を液体の色に応じた第2色空間の階調値に変換する第1色変換テーブルと、液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第2ヘッドであって、所定方向の位置が第1ヘッドと少なくとも一部重複する第2ヘッドと、第2ヘッドから液体が噴射される画素の第1色空間の階調値を第2色空間の階調値に変換する第2色変換テーブルと、を有し、第1色変換テーブルと第2色変換テーブルに基づいて第3色変換テーブルを作成し、第1ヘッドと第2ヘッドから液体が噴射される重複部分の画素は、第3色変換テーブルによって第1色空間の階調値を第2色空間の階調値に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置、及び、液体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置(例えばプリンタ)で画像を形成する場合、画像データの色空間(RGB色空間)を、当該液体噴射装置で用いられる各液体(例えばインク)に応じた色空間(CMYK色空間など)に変換する必要がある。この色空間の変換の際に色変換テーブルが使用される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−341065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプリンターには、複数のヘッドが備えられている。複数のヘッドを用いる場合、製造誤差等によりヘッド毎に液体の噴射特性が異なるおそれがある。このため、特許文献1ではヘッド毎に対応して色変換テーブルが設けられている。
しかし、このように各ヘッドにおいてそれぞれ対応する色変換テーブルを用いるようにしていても、ヘッドとヘッドのつなぎ目の部分では色ムラが発生しやすいという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、ヘッドのつなぎ目の部分の色ムラを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ヘッドと、前記第1ヘッドから液体が噴射される画素の第1色空間の階調値を前記液体の色に応じた第2色空間の階調値に変換する第1色変換テーブルと、前記液体を噴射するノズルが前記所定方向に複数並んだ第2ヘッドであって、前記所定方向の位置が前記第1ヘッドと少なくとも一部重複する第2ヘッドと、前記第2ヘッドから液体が噴射される画素の前記第1色空間の階調値を前記第2色空間の階調値に変換する第2色変換テーブルと、を有し、前記第1色変換テーブルと前記第2色変換テーブルに基づいて第3色変換テーブルを作成し、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドから液体が噴射される重複部分の画素は、前記第3色変換テーブルによって前記第1色空間の階調値を前記第2色空間の階調値に変換することを特徴とする液体噴射装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の印刷システムを示すブロック図である。
【図2】プリンターが紙Sを搬送する様子を示す斜視図である。
【図3】ヘッドユニットの下面における複数のヘッドの配列の説明図である。
【図4】簡略説明用のヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。
【図5】プリンタードライバーによる処理の説明図である。
【図6】色変換LUTを模式的に示した図である。
【図7】本実施形態の概要の説明図である。
【図8】第2実施形態におけるヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。
【図9】第2実施形態における第1ヘッドの使用比率の説明図である。
【図10】第2実施形態によって印刷される画像の概念図である。
【図11】第3実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ヘッドと、前記第1ヘッドから液体が噴射される画素の第1色空間の階調値を前記液体の色に応じた第2色空間の階調値に変換する第1色変換テーブルと、前記液体を噴射するノズルが前記所定方向に複数並んだ第2ヘッドであって、前記所定方向の位置が前記第1ヘッドと少なくとも一部重複する第2ヘッドと、前記第2ヘッドから液体が噴射される画素の前記第1色空間の階調値を前記第2色空間の階調値に変換する第2色変換テーブルと、を有し、前記第1色変換テーブルと前記第2色変換テーブルに基づいて第3色変換テーブルを作成し、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドから液体が噴射される重複部分の画素は、前記第3色変換テーブルによって前記第1色空間の階調値を前記第2色空間の階調値に変換することを特徴とする液体噴射装置が明らかとなる。
このような液体噴射装置によれば、第1ヘッドと第2ヘッドのつなぎ目の部分において色ムラを低減することができる。
【0010】
かかる液体噴射装置であって、前記第3色変換テーブルは、前記第1色変換テーブルによる変換量と前記第2色変換テーブルによる変換量との平均によって作成されてもよい。
このような液体噴射装置によれば、色ムラを目立たなくすることができる。
【0011】
かかる液体噴射装置であって、前記第3色変換テーブルは、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドからの液体の噴射比率に応じて、前記第1色変換テーブルによる変換量と前記第2色変換テーブルによる変換量とを重み付けすることによって作成されてもよい。
このような液体噴射装置によれば、色ムラをより目立たなくすることができる。
【0012】
かかる液体噴射装置であって、前記重複部分において前記所定方向の一方側から他方側になるにつれて、前記第1ヘッドの噴射比率は小さくなり、前記第2ヘッドの噴射比率は大きくなることが望ましい。
このような液体噴射装置によれば、つなぎ目部分で急激に濃度が変化しないようにすることができる。
【0013】
かかる液体噴射装置であって、前記第1ヘッドの前記重複部分の或るノズルが液体を噴射しない場合、前記第1ヘッドの前記或るノズルよりも前記一方側のノズルから液体を噴射するように前記噴射比率を変更するとともに、前記第3色変換テーブルを作成する際に、変更した前記噴射比率に応じて前記第1色変換テーブルと前記第2色変換テーブルの重み付けを変更することが望ましい。
このような液体噴射装置によれば、不吐出ノズルによる画質の劣化を防止することができる。
【0014】
また、液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ヘッドと、前記液体を噴射するノズルが前記所定方向に複数並んだ第2ヘッドであって、前記所定方向の位置が前記第1ヘッドと少なくとも一部重複する第2ヘッドと、を備えた液体噴射装置の液体噴射方法であって、前記第1ヘッドから液体が噴射される画素の第1色空間の階調値を、第1色変換テーブルによって前記液体の色に応じた第2色空間の階調値に変換することと、前記第2ヘッドから液体が噴射される画素の前記第1色空間の階調値を、第2色変換テーブルによって前記第2色空間の階調値に変換することと、前記第1色変換テーブルと前記第2色変換テーブルに基づいて第3色変換テーブルを作成することと、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドから液体が噴射される重複部分の画素の前記第1色空間の階調値を、前記第3色変換テーブルによって前記第2色空間の階調値に変換することと、を有することを特徴とする液体噴射方法が明らかとなる。
【0015】
以下の実施形態では、インクジェットプリンター(以下、プリンター1ともいう)を例に挙げて説明する。
【0016】
===第1実施形態===
<印刷システムについて>
まず、図面を参照しながら印刷システムについて説明する。
図1は、本実施形態の印刷システムを示すブロック図である。この印刷システムは、プリンター1と、コンピューター110を備えている。プリンター1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する装置である。コンピューター110は、プリンター1と電気的に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。
コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、ディスプレイ等の表示装置(不図示)にユーザーインターフェイスを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューター読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタードライバーは、インターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
なお、「印刷装置(液体噴射装置)」とは、狭義にはプリンター1を意味するが、広義にはプリンター1とコンピューター110とのシステムを意味する。
【0017】

<プリンターの構成について>
以下、図1、図2を参照しつつ本実施形態のプリンター1の構成について説明する。なお、図2はプリンター1が紙Sを搬送する様子を示す斜視図である。
【0018】
本実施形態のプリンター1は、搬送ユニット20、ヘッドユニット30、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30)を制御して、印刷データに従って媒体(例えば紙)に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0019】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。搬送ユニット20は、上流側ローラー22A及び下流側ローラー22Bと、ベルト24とを有する。不図示の搬送モータが回転すると、上流側ローラー22A及び下流側ローラー22Bが回転し、ベルト24が回転する。給紙された紙Sは、ベルト24によって、印刷可能な領域(ヘッドユニット30と対向する領域)まで搬送される。ベルト24が紙Sを搬送することによって、紙Sがヘッドユニット30に対して搬送方向に移動する。なお、搬送中の紙Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されている。
【0020】
ヘッドユニット30は、インク(液体の一種)を媒体に噴射するためのものである。ヘッドユニット30は、搬送中の紙Sに対してインクを噴射することによって、紙Sにドットを形成し、画像を紙Sに印刷する。本実施形態のプリンター1はラインプリンターであり、ヘッドユニット20は紙幅分のドットを一度に形成することができる。なお、ヘッドユニット30の詳細については後述する。
【0021】
検出器群50には、ロータリー式エンコーダー(不図示)、紙検出センサー(不図示)などが含まれる。ロータリー式エンコーダーは、搬送ユニット20による紙Sの搬送量を検出することができる。紙検出センサーは、給紙中の紙Sの先端の位置を検出する。
【0022】
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0023】
<印刷処理について>
このようなプリンター1では、コントローラー60が印刷データを受信すると、コントローラー60は、まず、搬送ユニット20によって給紙ローラ(不図示)を回転させ、印刷すべき紙Sをベルト24上に送る。紙Sはベルト24上を一定速度で停まることなく搬送され、ヘッドユニット30の下を通る。ヘッドユニット30の下を紙Sが通る間に、ヘッドユニット30のヘッドのノズルからインクが断続的に噴射される。つまり、ドットの形成処理と紙Sの搬送処理が同時に行われる。その結果、紙S上には搬送方向及び紙幅方向に沿った複数のドットからなるドット列が形成され、画像が印刷される。そして、最後に、コントローラー60は、印刷が終了した紙Sを排紙する。
【0024】
<ヘッドユニットについて>
図3は、ヘッドユニット30の下面における複数のヘッドの配列の説明図である。図に示すように、紙幅方向に沿って、複数のヘッド33が千鳥列状に並んでいる。各ヘッドには、不図示であるが、ブラックインクノズル列、シアンインクノズル列、マゼンタインクノズル列及びイエローインクノズル列が形成されている。各ノズル列は、インクを噴射するノズルを複数個備えている。各ノズル列の複数のノズルは、紙幅方向に沿って、一定のノズルピッチで並んでいる。
【0025】
図4は、簡略説明用のヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。ここではヘッドユニット30は、説明の簡略化のため、2つのヘッド(第1ヘッド33A、第2ヘッド33B)から構成されているものとする。また、説明の簡略化のため、各ヘッドには1つのノズル列(例えばイエローインクノズル列)だけが設けられているものとする。更に説明を簡略化するため、各ヘッドのノズル列は、ノズルを8個ずつ備えているものとする。
【0026】
各ヘッドのノズルに対して、図中の上から順に、番号を付している。図に示すように、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bは、紙幅方向の位置が一部重複している(重複部分)。例えは、第1ヘッド33Aのノズル♯7Aは、第2ヘッド33Bのノズル#1Bと紙幅方向の位置が同じになっている。また、第1ヘッド33Aのノズル♯8Aは、第2ヘッド33Bのノズル#2Bと紙幅方向の位置が同じになっている。
【0027】
なお、ヘッドと紙とが相対移動する方向に並ぶドットの列のことを「ラスタライン」と呼ぶ。本実施形態のようなラインプリンターの場合、「ラスタライン」は、紙の搬送方向に並ぶドットの列を意味する。一方、キャリッジに搭載されたヘッドによって印刷するシリアルプリンターの場合、「ラスタライン」は、キャリッジの移動方向に並ぶドットの列を意味し、移動方向と垂直な方向に多数のラスタラインが並ぶことによって、印刷画像が構成されることになる。なお、図に示すように、n番目の位置にあるラスタラインのことを「第nラスタライン」と呼ぶ。
【0028】
図4の場合、搬送中の紙Sに対して各ノズルから断続的にインク滴が噴射されることによって、紙には搬送方向に沿って14個のラスタラインが形成される。例えば、第1ヘッド33Aのノズル♯1Aによって第1ラスタラインが紙上に形成される。また、第2ヘッド33Bのノズル♯8Bによって第14ラスタラインが紙上に形成される。なお、第7ラスタラインは、第1ヘッド33Aのノズル♯7Aと第2ヘッド33Bのノズル#1Bとによって形成される。また、第8ラスタラインは第1ヘッド33Aのノズル♯8Aと第2ヘッド33Bのノズル#2Bとによって形成される。
【0029】
<プリンタードライバーによる処理の概要>
上記の印刷処理は、前述したように、プリンター1に接続されたコンピューター110から印刷データが送信されることにより開始する。当該印刷データは、プリンタードライバーによる処理により作成される。以下、プリンタードライバーによる処理について、図5を参照しながら説明する。図5は、プリンタードライバーによる処理の説明図である。
【0030】
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プリンター1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンターに出力する。アプリケーションプログラムからの画像データを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理・コマンド付加処理などを行う。
解像度変換処理は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間(第1色空間に相当する)により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。この階調値は、RGB画像データに基づいて定められるものである。
【0031】
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間(第2色空間に相当する)のデータに変換する処理である。なお、CMYK色空間の画像データは、プリンターが有するインクの色に対応したデータである。言い換えると、プリンタードライバーは、RGBデータに基づいて、CMYK平面の画像データを作成する。
この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけたテーブルに基づいて行われる。このテーブルのことを色変換ルックアップテーブル(LUT)という。なお、色変換処理後の画素データは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。
【0032】
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンターが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。このハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごとに1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドットの形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。例えば2ビット(4階調)の場合、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応する小ドットの形成、ドット階調値[10]に対応する中ドットの形成、及び、ドット階調値[11]に対応する大ドットの形成のように4段階に変換される。その後、各ドットのサイズについてドット作成率が決められた上で、ディザ法・γ補正・誤差拡散法等を利用して、プリンター1がドットを分散して形成するように画素データが作成される。
【0033】
ラスタライズ処理は、マトリクス状に並ぶ画素データを、プリンター1に転送すべきデータ順に、画素データごとに並べ替える。例えば、各ヘッドのノズルの並び順に応じて、画素データを並べ替える。
【0034】
コマンド付加処理は、ラスタライズ処理されたデータに、印刷方式に応じたコマンドデータを付加する処理である。コマンドデータとしては、例えば媒体の搬送速度を示す搬送データなどがある。
【0035】
これらの処理を経て作成された印刷データは、プリンタードライバーによりプリンター1に送信される。
【0036】
なお、図5に示すように、コンピューター110は、LUT記憶部120とLUT作成部130を有している。
【0037】
LUT記憶部120には、RGB色空間からCMYK色空間への色変換処理に用いる色変換LUTが記憶される。本実施形態では、ヘッドユニット30のヘッド毎の色変換LUTや、ヘッド毎の色変換LUTに基づいてLUT作成部130によって作成された合成LUT(後述する)がLUT記憶部120に記憶される。そして、プリンタードライバーによる色変換処理の際には、LUT記憶部120に記憶された色変換LUTが読み出されて用いられる。
【0038】
LUT作成部130は、例えば各ヘッドを用いて印刷したテストパターンの測色結果に基づいて各ヘッドの色変換LUTを作成する。また、本実施形態のLUT作成部130は、後述するように、各ヘッドの色変換LUTを合成して、ヘッドの重複部分の色変換に用いる合成LUTを作成する。
【0039】
<色変換LUTについて>
前述したように色変換処理では、色変換LUTが用いられる。色変換LUTは、ある色空間のデータと、別の色空間のデータとの対応関係を複数の格子点について定義したテーブルのことである。本実施形態の色変換LUTは、3次元の色変換テーブルであり、画像データのRGB色空間の階調値を、プリンター1で使用されるインクに応じた色空間(本実施形態ではCMYK色空間)の階調値に変換する。
【0040】
図6は、色変換LUTを模式的に示した図である。図の原点は黒(K)であり、R軸、G軸、B軸で形成される色空間となっている。この色空間における各点は、座標(R,G,B)で表すことができる。なお、R、G、Bはそれぞれ256階調(0〜255)であり、座標(255,255,255)は白(W)である。
【0041】
また、本実施形態では、この3次元の色空間において、各軸を3分割するように格子点を設けている。つまり、各軸に対して4個の格子点が設けられている。そして、この3次元の色空間の各格子点の座標(R,G,B)に対応して、CMYK色空間の各色の階調値がそれぞれ定められている。例えば、図において格子点Pの座標(R,G,B)は、(255,85,85)であり、この格子点Pに対してCMYK色空間の所定の階調値(C,M,Y,K)が対応づけられている。
【0042】
このような色変換LUTを用いることにより、RGB色空間の各階調値を、プリンター1で使用するインクに対応したCMYK色空間の階調値に変換することができる。なお、画像データの値が格子点に位置しない場合は、周囲の格子点におけるRGB色空間とCMYK色空間との対応関係に基づいて立体的な補間を行うことによって対応するCMYK色空間の階調値を算出することができる。
【0043】
ところで、本実施形態では複数のヘッドが設けられている。このように複数のヘッドが用いられる場合、製造誤差などによりヘッド毎にインクの噴射特性が異なるおそれがある。このため、本実施形態では、使用するヘッド毎について、それぞれ対応する色変換LUTを設けている。
【0044】
しかし、このようにヘッド毎に色変換テーブルを設けていても、図4のようにラスタラインを複数のヘッドで形成する部分(重複部分)があると、この部分において色ムラが生じるおそれがある。
【0045】
そこで、本実施形態では、各ヘッドの色変換LUTに基づいて合成LUT(第3色変換テーブルに相当する)を作成するようにしている。そして、ヘッドとヘッドとのつなぎ目(重複部分)の画素データ(例えば図4の場合、第7ラスタラインと第8ラスタラインの画素データ)については、合成LUTによってRGB色空間の階調値からCMYK色空間の階調値に色変換するようにしている。
【0046】
<色変換LUTの合成について>
本実施形態の色変換LUTの合成について、図4〜図7を参照しつつ説明する。なお、図7は、本実施形態の概要の説明図である。図7の右側の図はヘッドの階調特性を示す図であり、横軸は入力階調値を示し、縦軸は出力階調値を示している。本実施形態では、第1ヘッド33Aには第1色変換LUT1(以下、単にLUT1ともいう)が対応して設けられ、第2ヘッド33Bには第2色変換LUT2(以下、単にLUT2ともいう)が対応して設けられていることとする。これらのLUT1、LUT2はLUT記憶部120に記憶されている。
【0047】
図4のように、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bに重複部分がある場合、LUT作成部130は、LUT記憶部120に記憶されたLUT1及びLUT2を読み出す。そして、LUT作成部130は、LUT1に基づく変換量とLUT2に基づく変換量を平均することによって合成LUTを作成する。
【0048】
例えば、各色変換LUT(図6参照)における或る格子点(R,G,B)の色変換処理後の値(C,M,Y,K)がLUT1では(100,128,0,10)であり、LUT2では(110,130,6,16)であるとする。LUT作成部130は、LUT1とLUT2の変換後の各値の平均値を求める。例えばシアン(C)の場合、(100+110)/2=105となる。M、Y、Kの場合も同様にして平均値を算出する。そして、その算出結果から、当該格子点(R,G,B)の変換後の値を(105,129,3,13)とする。他の格子点においても同様にLUT1とLUT2との平均によって変換後のCMYKの値を算出する。
【0049】
このようにして、LUT作成部130は、全ての格子点においてLUT1とLUT2との平均を算出して、RGB色空間の階調値とCMYK色空間の階調値を対応させたLUT(合成LUT)を作成する。作成された合成LUTは、LUT記憶部120に記憶される。
【0050】
そして、プリンタードライバーによる色変換処理の際には、第1ヘッド33Aのみでドットが形成される部分(図4の第1ラスタライン〜第6ラスタライン)の画素については、LUT1によってRGB色空間の階調値からCMYK色空間の階調値に変換を行なう。また、第2ヘッド33Bのみでドットが形成される部分(図4の第9ラスタライン〜第14ラスタライン)の画素については、LUT2によってRGB色空間の階調値からCMYK色空間の階調値に変換を行う。また、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bとによってドットが形成される重複部分(第7ラスタライン、第8ラスタライン)の画素については、合成LUTによってRGB色空間の階調値からCMYK色空間の階調値に変換を行なう。
【0051】
もし仮に、この重複部分において、ヘッド毎にそれぞれ対応するLUT(同じ入力値に対する出力値が異なるLUT)を用いて色変換処理を行うとすると、図7の重複部分の図の破線に示すように、第1ヘッド33Aによってドットの形成される画素と第2ヘッド33Bによってドットの形成される画素の濃度の差が大きくなり、色ムラが生じるおそれがある。
【0052】
本実施形態では、第1ヘッド33Aに対応するLUT1と、第2ヘッド33Bに対応するLUT2を平均した合成LUTを作成し、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bとの重複部分では合成LUTによって色変換を行っている。これにより、図7の重複部分の図の実線に示すように、各ヘッドによって形成される画像の濃度の差を目立たなくすることがき、ヘッドのつなぎ目部分(重複部分)の色ムラを低減することができる。
【0053】
===第2実施形態===
第1実施形態では各ヘッドに対応するLUT(LUT1及びLUT2)を平均することによって合成LUTを作成していた。第2実施形態では、各ラスタラインの第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bの使用比率に応じて、LUT1とLUT2を重み付けすることによって合成LUTを作成する。
【0054】
図8は、第2実施形態におけるヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。第2実施形態では、重複部分のノズル数が4個になっている。なお、これ以外の構成については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。第2実施形態では、搬送中の紙Sに対して各ノズルから断続的にインク滴が噴射されることによって、紙には搬送方向に沿って12個のラスタラインが形成される。なお、第2実施形態では第5ラスタライン〜第8ラスタラインが重複部分となっており、この重複部分の画素は、第1ヘッド33Aのノズルと第2ヘッド33Bのノズルによってドットが形成される。
【0055】
図9は、第2実施形態におけるヘッドの使用比率の説明図である。図の縦軸はラスタラインを示している。また、図の横軸は、第1ヘッド33A及び第2ヘッド33Bの使用率を示している。例えば第1ラスタライン〜第4ラスタラインは、第1ヘッド33Aの使用比率が100%である。よって、第1ラスタライン〜第4ラスタラインは、第1ヘッド33Aによって形成されたドットのみで構成されている。また、第5ラスタラインでは第1ヘッド33Aの使用比率が80%であり、第2ヘッド33Bの使用比率が20%である。つまり、第5ラスタラインの各画素に対して、第1ヘッド33Aによってドットの形成される確率は80%であり、第2ヘッド33Bによってドットの形成される確率は20%であることになる。
【0056】
また、第1ヘッド33Aの使用比率は、第6ラスタラインでは60%、第7ラスタラインでは40%、第8ラスタラインでは20%、第9ラスタライン〜第12ラスタラインでは0%となっている。
【0057】
第2実施形態では、重複部分の合成LUTを作成する際に、LUT1に基づく変換量をそのラスタラインを形成するときの第1ヘッド33Aの使用率に応じて重み付けすると共に、LUT2に基づく変換量をそのラスタラインを形成するときの第2ヘッド33Bの使用率に応じて重み付けする。このようにして、ノズル位置(ラスタライン)毎に合成LUTを作成する。
【0058】
例えば、第5ラスタラインでは第1ヘッド33Aの使用率が80%であり、第2ヘッド33Bの使用率が20%である。よって、LUT作成部130は、LUT1に基づく変換量を80%で重み付けし、且つ、LUT2に基づく変換量を20%で重み付けした合成LUTを作成する。
【0059】
同様にして、第6ラスタラインについては、LUT1に基づく変換量を60%で重み付けし、且つ、LUT2に基づく変換量を40%で重み付けした合成LUTを作成する。また、第7ラスタラインについては、LUT1に基づく変換量を40%で重み付けし、且つ、LUT2に基づく変換量を60%で重み付けした合成LUTを作成し、第8ラスタラインについては、LUT1に基づく変換量を20%で重み付けし、且つ、LUT2に基づく変換量を80%で重み付けした合成LUTを作成する。
【0060】
そして、重複部分の色変換処理では、ラスタライン毎に作成した合成LUTによってRGB色空間の階調値からCMYK色空間の階調値への色変換を行なう。
【0061】
図10は、第2実施形態によって印刷される画像の概念図である。図の横軸はラスタラインを示し、縦軸は濃度を示している。なお、図に示す重複部分において、破線はLUT1とLUT2との平均によって作成された合成LUTを用いて印刷した場合を示しており、実線は上述したような各ヘッドの使用率に応じた重み付けによって作成された合成LUTを用いて印刷した場合を示している。
図に示すように、破線では、重複部分の境界部分で濃度に段差が生じている(急激に濃度が変化している)が、実線(本実施形態)では、濃度の変化が緩やかになっている。
【0062】
このように、合成LUT作成の際に、各ヘッドの使用率に応じて対応するLUTに重み付けを行うことにより、重複部分における濃度の変化を緩やかにできるので、色ムラをより目立たないようにすることができる。
【0063】
===第3実施形態===
各ヘッドにおいて、例えば目詰まり等により、インクを噴射しないノズル(以下、不噴射ノズルともいう)が発生することがある。もし仮に、重複部分のノズルにおいて不噴射ノズルが発生すると、第2実施形態のように各ヘッドに対応するLUTを重み付けした合成LUTによって色変換しても色ムラが目立つおそれがある。
そこで、第3実施形態では、重複部分に不噴射ノズルがある場合、LUTの合成の処理を変更するようにしている。
【0064】
図11は、第3実施形態の説明図である。なお、図11において左側の図は、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bの位置関係を示しており、右側の図は、各ヘッドの使用比率を示している。また、左側の図に示す各ヘッドのノズルのうち黒色のノズルは不噴射ノズルを示している。図では第1ヘッド33Aのノズル#17Aが不噴射ノズルとなっている。また、右側の図において破線は第3実施形態の適用前の使用比率を示しており、実線は第3実施形態の適用後の使用比率を示している。
【0065】
図11に示すように、第3実施形態では、各ヘッドのノズル数が20個になっている。また、第1ヘッド33Aのノズル#13A〜#20Aと第2ヘッド33Bのノズル#1B〜#8Bは、それぞれ紙幅方向の位置が同じになっている(重複部分)。すなわち、第3実施形態では重複部分のノズルの数は8個である。なお、これ以外の構成については前述の実施形態と同様であるので説明を省略する。第3実施形態では、搬送中の紙Sに対して各ノズルから断続的にインク滴が噴射されることによって、紙には搬送方向に沿って32個のラスタラインが形成される。例えば、第1ヘッド33Aのノズル♯1Aによって第1ラスタラインが紙上に形成される。また、第2ヘッド33Bのノズル♯20Bによって第32ラスタラインが紙上に形成される。なお、重複部分のラスタラインは、第1ヘッド33Aのノズルと第2ヘッド33Bのノズルによって形成される。
【0066】
図11の破線では第1ヘッド33Aのノズル#17の使用率が約40%(第2ヘッド33Bの使用率が約60%)になっている。よって、この第1ヘッド33Aのノズル#17が不噴射ノズルであると、第17ラスタラインは第2ヘッド33Bによる約半分のドットしか形成されないことになる。この場合、各ヘッドの使用比率に応じて重み付けをした合成LUTを作成しても、色ムラやスジが発生するおそれがある。
そこで本実施形態では、重複部分において一方のヘッドに不噴射ノズルがある場合、不噴射ノズルを含まないように使用比率を変更するとともに、変更した使用比率に応じて合成LUTを作成するときの重み付けを変更するようにしている。
【0067】
例えば図11のように第1ヘッド33Aのノズル#17Aが不噴射ノズルになっている場合、重複部分において不噴射ノズルよりも番号が若い側のノズル(ノズル#13A〜ノズル#16A)を用いるように第1ヘッド33Aの使用比率を変更する(図の実線)。言い換えると、第1ヘッド33Aにおいて、ノズル#17A(不噴射ノズル)よりも番号の大きい側のノズルは使用しないようにする。なお、この場合、重複部分での第1ヘッド33Aの使用比率が変更前に比べて急に低くなるので、第2ヘッド33Bの使用率は、図の実線のようにノズル番号が大きくなるにつれて急に高くなるようにする。そして、不噴射ノズル(ノズル#17A)と紙幅方向の位置が同じである第2ヘッド33Bのノズル#5Bで使用率が100%にする。
以下、前述の実施形態と同様に、変更した各ヘッドの使用比率に応じて、LUT1とLUT2を重み付けすることによりラスタライン毎に合成LUTを作成する。
【0068】
こうすることによって、例えば、第1ヘッド33Aのノズル#17(不噴射ノズル)に対応する第17ラスタラインでは、第2ヘッド33Bのノズル#5Bが100%使用されるとともに、色変換の際には第2ヘッド33Bに対応するLUT2のみが用いられるようになる。このため、不噴射ノズルによる画質への影響が無くなる。
【0069】
このように、重複部分に不噴射ノズルが有る場合、使用比率を変更し、それに伴い合成LUTの重み付けを変更することで、不噴射ノズルによってドットが形成されないことによる画質の劣化を防止することができ、重複部分において色ムラやスジが目立たないようにすることができる。
【0070】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0071】
<液体噴射装置について>
前述の実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンターが説明されている。但し、液体噴射装置はインクジェットプリンターに限られるものではなく、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射したり噴射したりする液体噴射装置に具現化することもできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、気体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
また、前述した実施形態のプリンターはラインプリンターであったが、媒体を搬送方向に搬送する搬送処理と、キャリッジを搬送方向と交差する移動方向に移動させつつヘッドのノズルからインク滴を噴射するドット形成処理とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を紙に印刷するプリンター(いわゆるシリアルプリンター)であっても良い。
【0072】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、インクをノズルから噴射しているが、このインクは水性でも良いし、油性でも良い。また、ノズルから噴射する液体は、インクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから噴射しても良い。
【0073】
<インクの噴射方式について>
プリンター1が有するヘッドのノズルからインクを噴射させるためのインク噴射方式としては、ピエゾ素子の駆動によりインク室を膨張・収縮させるピエゾ方式であってもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ該気泡によってインクを噴射させるサーマル方式であってもよい。
【0074】
<プリンタードライバーについて>
図5のプリンタードライバーの処理をプリンター側で行っても良い。その場合、プリンターとプリンタードライバーをインストールしたPCとで印刷装置が構成される。
【0075】
<ヘッドの使用比率について>
第2実施形態及び第3実施形態では、重複部分において第1ヘッド33Aの使用比率を直線的に変化させていたが、これには限らない。例えば、隣接するノズルで使用比率が同じ所があってもよい。ただし、本実施形態のように使用比率を直線的に変化させると色ムラをより目立たないようにすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 プリンター、
20 搬送ユニット、23A 上流側搬送ローラー、
23B 下流側搬送ローラー、24 ベルト、
30 ヘッドユニット、50 検出器群、
60 コントローラー、61 インターフェイス部、62 CPU、
63 メモリー、64 ユニット制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ヘッドと、
前記第1ヘッドから液体が噴射される画素の第1色空間の階調値を前記液体の色に応じた第2色空間の階調値に変換する第1色変換テーブルと、
前記液体を噴射するノズルが前記所定方向に複数並んだ第2ヘッドであって、前記所定方向の位置が前記第1ヘッドと少なくとも一部重複する第2ヘッドと、
前記第2ヘッドから液体が噴射される画素の前記第1色空間の階調値を前記第2色空間の階調値に変換する第2色変換テーブルと、
を有し、
前記第1色変換テーブルと前記第2色変換テーブルに基づいて第3色変換テーブルを作成し、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドから液体が噴射される重複部分の画素は、前記第3色変換テーブルによって前記第1色空間の階調値を前記第2色空間の階調値に変換する、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
前記第3色変換テーブルは、前記第1色変換テーブルによる変換量と前記第2色変換テーブルによる変換量との平均によって作成される
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
前記第3色変換テーブルは、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドからの液体の噴射比率に応じて、前記第1色変換テーブルによる変換量と前記第2色変換テーブルによる変換量とを重み付けすることによって作成される
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射装置であって、
前記重複部分において前記所定方向の一方側から他方側になるにつれて、前記第1ヘッドの噴射比率は小さくなり、前記第2ヘッドの噴射比率は大きくなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体噴射装置であって、
前記第1ヘッドの前記重複部分の或るノズルが液体を噴射しない場合、前記第1ヘッドの前記或るノズルよりも前記一方側のノズルから液体を噴射するように前記噴射比率を変更するとともに、前記第3色変換テーブルを作成する際に、変更した前記噴射比率に応じて前記第1色変換テーブルと前記第2色変換テーブルの重み付けを変更する、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ヘッドと、前記液体を噴射するノズルが前記所定方向に複数並んだ第2ヘッドであって、前記所定方向の位置が前記第1ヘッドと少なくとも一部重複する第2ヘッドと、を備えた液体噴射装置の液体噴射方法であって、
前記第1ヘッドから液体が噴射される画素の第1色空間の階調値を、第1色変換テーブルによって前記液体の色に応じた第2色空間の階調値に変換することと、
前記第2ヘッドから液体が噴射される画素の前記第1色空間の階調値を、第2色変換テーブルによって前記第2色空間の階調値に変換することと、
前記第1色変換テーブルと前記第2色変換テーブルに基づいて第3色変換テーブルを作成することと、
前記第1ヘッドと前記第2ヘッドから液体が噴射される重複部分の画素の前記第1色空間の階調値を、前記第3色変換テーブルによって前記第2色空間の階調値に変換することと、
を有することを特徴とする液体噴射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−189512(P2011−189512A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54977(P2010−54977)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】