説明

液体材料気化装置

【課題】異なる沸点を有する複数の材料から成る液体材料を気化する場合でも残渣の発生を防止して好適に気化可能な液体材料気化装置を提供する。
【解決手段】液体材料LMとキャリアガスCGとを混合して気液混合体GLを生成する気液混合部1と、前記気液混合部1からの気液混合体GLを気化しこの気化によって生じたガスを前記キャリアガスCGによって外部へ導出する加熱型の気化部2と、前記気液混合部1と前記気化部2とを接続し、内部に前記気液混合体GLの流路を有する接続部3と、前記接続部3を冷却する接続部冷却部4と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造において用いる各種の液体材料を気化するための液体材料気化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱分解を起こしやすい液体材料であってもこれを熱分解させることなく確実に気化させることができるようにした液体材料気化装置が知られている。
【0003】
具体的にこの種の液体材料気化装置は、液体材料とキャリアガスとが供給され、液体材料を流量制御しながらキャリアガスと混合する流量制御機能を備えた制御バルブよりなる気液混合部と、この気液混合部と独立して設けられ、管路を介して導入される気液混合部からの気液混合体をノズル部から放出して減圧することにより液体材料を気化し、この気化によって生じたガスを前記キャリアガスによって導出する気化部と、これら気液混合部および気化部を繋ぐ管路となどから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−163168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の構成では、高沸点の溶質を低沸点材料溶媒に溶かして成る液体材料の気化を行うと、管路において、低沸点材料溶媒のみが気化し、高沸点の溶質が残渣になり、管路を閉塞するなどの問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、高沸点の溶質を低沸点材料溶媒に溶かして成る液体材料の気化を行っても、管路において、低沸点材料溶媒のみが気化し、高沸点の溶質が残渣になり、管路を閉塞してしまうといった不具合のない、優れた液体材料気化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る液体材料気化装置は、液体材料とキャリアガスとを混合して気液混合体を生成する気液混合部と、前記気液混合部からの気液混合体を気化しこの気化によって生じたガスを前記キャリアガスによって外部へ導出する加熱型の気化部と、前記気液混合部と前記気化部とを接続し、内部に前記気液混合体の流路を有する接続部と、前記接続部を冷却する接続部冷却部と、を具備して成ることを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明の液体材料気化装置の効果を特に確認できる「液体材料」としては、異なる沸点を有する複数の材料を混ぜ合わせた液体状の材料、例えば、高沸点の溶質を低沸点材料溶媒に溶かして成る液体材料が挙げられる。なお、当該液体材料気化装置で、その他の液体材料(例えば、単一成分からなるものや、同一の沸点を有する複数の材料を混ぜ合わせたもの等)を気化し得ることは言うまでもない。また、液体材料の生成方法は、例えば、固体を液体に溶かして成るものや、液体同士を混ぜ合わせたものなど、任意でよい。
【0009】
このようなものによれば、接続部冷却部が接続部を冷却することで、気化部の熱が、気液混合部に向けて伝熱することを低減でき、接続部内の流路を通過する気液混合体が、その熱エネルギーの影響を受けることを少なくすることができる。したがって、例えば、高沸点の溶質を低沸点材料溶媒に溶かして成る液体材料の気化を行っても、管路や気液混合部内の液体流量制御用のダイアフラムにおいて、低沸点材料溶媒のみが気化し、高沸点の溶質が残渣になり、接続部の内部流路やダイアフラムを閉塞してしまうといった不具合を防止することができる。
【0010】
すなわち、異なる沸点を有する複数の材料から成る液体材料を気化する場合でも残渣の発生を防止して好適に気化できるといった、優れた液体材料気化装置を提供することができる。
【0011】
より高い残渣の発生防止効果を得るには、前記接続部冷却部が、前記接続部の略全体に亘って冷却するものであることが好ましい。
【0012】
前記気化部が、約300度程度に加熱保温されるものであっても、接続部冷却部の作用で、気液混合部を約60度程度にすることができるので、高温型の気化部の機能を確保しつつ、残渣の発生を好適に防止することができる。
【0013】
本発明の接続部冷却部の具体的態様としては、前記接続部冷却部が、クーリングガスの供給を受け且つ前記接続部に取り付けられる1または複数の接続部冷却フィンを備えて成るものが挙げられる。このような構成とすることで、簡単な構成でありながらも高い冷却効果を得られ、残渣が発生するといった不具合を好適に防止することができる。
【0014】
このとき、前記接続部冷却フィンを、前記クーリングガスを内部に導入する導入口および冷却に用いたクーリングガスを外部へ導出する導出口を有する冷却ケース内に配しているのであれば、クーリングガスを接続部冷却フィンに対して有効に供給できるので、接続部冷却フィンを効果的に冷却することができるうえ、冷却ケースの外へ必要なクーリングガスの冷気が逃げて無駄となることを防止して、省エネに資する。
【0015】
前記クーリングガスを予め冷却するクーリングガス冷却部を具備するのであれば、接続部におけるより高い冷却効果を得られ、上記不具合の防止に有効である。
【0016】
ここで、前記クーリングガス冷却部の望ましい態様としては、このクーリングガス冷却部が、1または複数のクーリングガス冷却フィンと、冷却側をクーリングガスの流路に対して取り付けられる一方発熱側を前記クーリングガス冷却フィンに取り付けられて成るクーリングガス冷却用ペルチェ素子とを備えるものが挙げられる。
【0017】
本発明の接続部冷却部の他の具体的態様としては、この接続部冷却部が、冷却側を前記接続部に取り付けた接続部冷却用ペルチェ素子と、この接続部冷却用ペルチェ素子の発熱側に取り付けた1または複数のペルチェ素子冷却フィンとを備えて成るものが挙げられる。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明に係る液体材料気化装置は、接続部冷却部が接続部を冷却することで、気化部の熱が、気液混合部に向けて伝熱することを低減でき、接続部内の流路を通過する気液混合体が、その熱エネルギーの影響を受けることを少なくすることができる。したがって、例えば、高沸点の溶質を低沸点材料溶媒に溶かして成る液体材料の気化を行っても、管路や気液混合部内の液体流量制御用のダイアフラムにおいて、低沸点材料溶媒のみが気化し、高沸点の溶質が残渣になり、接続部の内部流路やダイアフラムを閉塞してしまうといった不具合を防止することができる。
【0019】
すなわち、異なる沸点を有する複数の材料から成る液体材料を気化する場合でも残渣の発生を防止して好適に気化できるといった、優れた液体材料気化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体材料気化装置の構造断面を模式的に示す構造断面図。
【図2】同実施形態における要部の斜視図。
【図3】同実施形態における気液混合室部分の構造断面図(気液混合室の容積を減少させたとき)。
【図4】同実施形態における気液混合室部分の構造断面図(気液混合室の容積が通常のとき)。
【図5】本発明の他の一実施形態に係る液体材料気化装置の構造断面を模式的に示す構造断面図。
【図6】本発明の他の一実施形態に係る液体材料気化装置の構造断面を模式的に示す構造断面図。
【図7】本発明の他の一実施形態に係る液体材料気化装置の構造断面を模式的に示す構造断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の液体材料気化装置Aは、図1、図2に示すように、液体材料LMとキャリアガスCGとを混合して気液混合体GLを生成する気液混合部1と、前記気液混合部1からの気液混合体GLを気化しこの気化したガスを前記キャリアガスCGによって外部へ導出する加熱型の気化部2と、前記気液混合部1と前記気化部2とを接続し内部に前記気液混合体GLなどの流路を有する接続部3と、前記接続部3を冷却する接続部冷却部4とを具備して成るものである。以下、各部を具体的に説明する。
【0023】
気液混合部1は、内部に異なる3つの流路1a〜1cを有する略直方体形状の本体ブロック11と、この本体ブロック11の上面側に設けた流量制御部12と、これら本体ブロック11と流量制御部12とで挟まれる空間に形成される気液混合室13とを具備してなるものである。
【0024】
本体ブロック11は、ステンレス鋼などのように耐熱性および耐腐食性に富む金属素材より成るものであって、前記3つの流路1a〜1cの下端側に設けたヒータ11Hで加熱され得るように構成してある。
【0025】
3つの流路1a〜1cは、前記気液混合室13に液体材料LMを導入する液体材料導入路1aと、前記気液混合室13にキャリアガスCGを導入するキャリアガス導入路1bと、前記気液混合室13で生成した気液混合体GLを導出する気液混合体導出路1cとから成るものである。
【0026】
液体材料導入路1aは、図2などに示すように、水平方向に伸びる液体材料導入路水平部1a1と、この液体材料導入路水平部1a1の気液混合室13側を略直角に起立させた液体材料導入路起立部1a2とを具備する側面視略L字形状を有するものである。本実施形態では、これら液体材料導入路水平部1a1の直径と液体材料導入路起立部1a2の直径とを略一致させている。
【0027】
キャリアガス導入路1bは、図2などに示すように、水平方向に伸びるキャリアガス導入路水平部1b1と、このキャリアガス導入路水平部1b1の気液混合室13側を略直角に起立させたキャリアガス導入路起立部1b2とを具備する側面視略L字形状を有するものである。本実施形態では、キャリアガス導入路水平部1b1の直径を、キャリアガス導入路起立部1b2の直径よりも大きくしている。
【0028】
気液混合体導出路1cは、図2などに示すように、水平方向に伸びる気液混合体導出路水平部1c1と、この気液混合体導出路水平部1c1の気液混合室13側を略直角に起立させた気液混合体導出路起立部1c2とを具備する側面視略L字形状を有するものである。本実施形態では、気液混合体導出路水平部1c1の直径と気液混合体導出路起立部1c2の直径とを略一致させている。
【0029】
流量制御部12は、図3、図4などに示すように、本体ブロック11の凹部131を覆う位置に配した薄肉円板状のダイヤフラム121と、このダイヤフラム121の中心部に設けた略円柱状の軸部120と、この軸部120の上端部に真球12xを介して当接させたピエゾアクチュエータ122と、前記軸部120を上方に常時付勢する付勢部材123とを具備して成り、これら各部を、弁ブロック124aの内部及びこの弁ブロック124aの上部に立設した略筒状のハウジング124bの内部に収容させている。なお、本実施形態では、弁ブロック124aを、本体ブロック11に、スペーサSPおよびOリングORを介して取り付けている。
【0030】
そして、本実施形態では、ダイヤフラム121が、軸部120を介してピエゾアクチュエータ122によって下方向へ押圧力(付勢部材123の付勢力に勝る押圧力)を受けると、ダイヤフラム121が下方向へ凸に変位して、ダイヤフラム121とバルブシート132との間に形成される気液混合室13内の容積を減少させるとともに、軸部120の下端面120xが、液体材料導入路起立部1a2の開口を閉塞する(図3参照)一方、押圧力を受けない場合には、ダイヤフラム121および軸部120の下端面120xは、バルブシート132から離間した位置(スペーサSPの肉厚分)に保たれ、前記気液混合室13内の容積を適宜確保できるようにしている(図4参照)。
【0031】
気液混合室13は、本体ブロック11の上向き面を略皿状に窪ませた凹部131及びこの凹部131の中心に配され前記凹部131の底位置より高い位置に設けた平面視略円形状のバルブシート132と、後述する流量制御部12のダイヤフラム121の下端面とで挟まれる空間に形成されるものである(図4参照)。
【0032】
そして、凹部131には、液体材料導入路起立部1a2を開口させている。
【0033】
また、このバルブシート132には、平面視略長円形状の混合溝132mを設けている。そして、この混合溝132mにキャリアガス導入路起立部1b2を開口させるとともに気液混合体導出路起立部1c2を開口させている。
【0034】
気化部2は、予熱ブロック21と、この予熱ブロック21の反気液混合部1側に設けた気化ブロック22と、前記予熱ブロック21の略中央に設けられ且つその厚み方向に貫通するガス導入路23と、前記気化ブロック22の略中央に設けられ且つその厚み方向に貫通するたガス導出路24と、これらガス導入路23とガス導出路24との接続部分に設けられるノズル部25とを具備して成るものである。
【0035】
予熱ブロック21は、アルミニウムなどのように熱伝導性に富む金属素材により形成して成るものである。
【0036】
気化ブロック22は、ステンレス鋼などのように耐熱性および耐腐食性に富む金属素材より形成して成るものである。そして、この気化ブロック22には、ヒータ(図示せず)を内蔵させている。このヒータによって、ノズル部25を含む気化ブロック22全体が、前記本体ブロック11の加熱保温温度よりもかなり高い温度(例えば、300度程度)になるように加熱保温されるようにしてある。
【0037】
ガス導入路23は、後述するパイプ部材Pの内部流路を利用して形成したものである。
【0038】
ガス導出路24は、ノズル部25側の端部側を円錐形状にした略直管状のものである。本実施形態では、このガス導出路24の外径を、ガス導入路23の外径よりも大きく設定している。また、このガス導出路24の下流側を、半導体製造装置への管路(図示していない)に接続させている。
【0039】
ノズル部25は、前記ガス導入路23および前記ガス導出路24の直径や長さに比べてかなり小さく、例えば、直径は1.0mm以下、長さは1.0mm程度である。そしてこのノズル部25には、ガス導入路23を経て導入される気液混合体GLが流れるが、このとき、気液混合体GLに含まれる液体材料LMが減圧されることによって気化され、この気化によって生じたガスはキャリアガスCGと混合して混合ガスKGとなる。
【0040】
接続部3は、内部に前記気液混合体導出路1cから気液混合体GLおよびキャリアガスCGを導入し、気化部2のガス導入路23に向けて導出する内部流路31を有するものである。本実施形態では、この接続部3の内部流路31と、前記気液混合部1の気液混合体導出路水平部1c1と、前記気化部2のガス導入路23とが、共通のパイプ部材Pの内部流路を利用して形成されるようにしている。
【0041】
接続部冷却部4は、外部からクーリングガスCLの供給を受け且つ前記接続部3に取り付けられる複数の接続部冷却フィン41を備える「強制空冷方式」のものである。それぞれの接続部冷却フィン41には、同一の薄板状のものを用いている。また、これら接続部冷却フィン41を、クーリングガスCLの流れを妨げないように所定間隔離間させながら並べて配している。さらに、これら複数の接続部冷却フィン41を、クーリングガスCLを内部に導入する導入口421および冷却に用いたクーリングガスCLを外部へ導出する導出口422を有する冷却ケース42内に配している。
【0042】
次に上記構成の液体材料気化装置Aの使用方法について説明する。
【0043】
まず、液体材料導入路1aを経てくる液体材料LMは、ピエゾアクチュエータ122によって駆動される軸部120の下端面120xによって混合溝132mへの流入流量が制御されて導入される一方、前記混合溝132mにはキャリアガス導入路1bを経てキャリアガスCGが導入される。そして、これらの液体材料LMとキャリアガスCGは、混合溝132m内で混合されたのち、気液混合体GLとして気液混合体導出路1cに導出される。この気液混合体GLは、さらに、接続部3の内部流路31を経て、気化部2に至る。
【0044】
ここで、接続部3は、接続部冷却部4によって冷却されている。これにより、気化部2の熱が、気液混合部1に向けて伝熱することを低減でき、接続部3の内部流路31などを通過する気液混合体GLが、その熱エネルギーの影響を受けることを少なくすることができる。具体的には、気化部2の熱が約300度において、接続部冷却部4が無い場合には、気液混合部1の温度は約100度程度であるが、接続部冷却部4がある場合には、約60度程度にすることができる。したがって、例えば、高沸点の溶質を低沸点材料溶媒に溶かして成る液体材料LMの気化を行っても、気液混合部1の気液混合体導出路水平部1c1や接続部3の内部流路31や気化部2のガス導入路23、或いは気液混合部1内の液体流量制御用のダイヤフラム121において、低沸点材料溶媒のみが気化し、高沸点の溶質が残渣になり、接続部3の内部流路やダイヤフラム121を閉塞してしまうといった不具合を生じない。
【0045】
このようにして気化部2のガス導入路23に導入された気液混合体GLが、さらにノズル部25に導入されると、このノズル部25で、気液混合体GLに含まれる液体材料LMが減圧されることによって気化される。そして、この気化によって生じたガスはキャリアガスCGと混合して混合ガスKGとなって、外部に導出される。
【0046】
したがって、このような液体材料気化装置Aによれば、接続部冷却部4が接続部3を冷却することで、気化部2の熱が、気液混合部1に向けて伝熱することを低減でき、接続部3内の流路を通過する気液混合体GLが、その熱エネルギーの影響を受けることを少なくすることができる。したがって、例えば、高沸点の溶質を低沸点材料溶媒に溶かして成る液体材料LMの気化を行っても、気液混合部1の気液混合体導出路水平部1c1や接続部3の内部流路31や気化部2のガス導入路23、或いは気液混合部1内の液体流量制御用のダイヤフラム121において、低沸点材料溶媒のみが気化し、高沸点の溶質が残渣になり、各流路やダイヤフラム121を閉塞してしまうといった不具合を防止することができる。
【0047】
すなわち、異なる沸点を有する複数の材料から成る液体材料LMを気化する場合でも残渣の発生を防止して好適に気化できるといった、優れた液体材料気化装置Aを提供することができる。
【0048】
前記接続部冷却部4が、前記接続部3の略全体に亘って冷却するうえ、この接続部冷却部4が、クーリングガスCLの供給を受け且つ前記接続部3に取り付けられる複数の接続部冷却フィン41を備えて成るので、前記気化部2を、約300度程度に加熱保温しても、接続部冷却部4の作用で、気液混合部1を約60度程度にすることができる。したがって、このように簡単な構成でありながら、高温型の気化部2の機能を確保しつつ、接続部冷却部4では高い冷却効果を得られ、残渣が発生するといった不具合を好適に防止することができる。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0050】
例えば、接続部冷却フィン41の冷却に用いるクーリングガスCLを予め冷却するクーリングガス冷却部43を具備するといった態様とすることもできる。具体的には、図5に示すように、前記クーリングガス冷却部43が、複数のクーリングガス冷却フィン431と、冷却側をクーリングガスCLの流路に対して取り付けられる一方発熱側を前記クーリングガス冷却フィン431に取り付けられて成るクーリングガス冷却用ペルチェ素子432とを備えるようにしたものが挙げられる。
【0051】
このような構成とすることで、接続部3におけるより高い冷却効果を得られ、上記不具合の防止にさらに有効である。
【0052】
また、図6に示すように、前記接続部冷却部4を、冷却側を接続部3に取り付けた接続部冷却用ペルチェ素子47と、この接続部冷却用ペルチェ素子47の発熱側に取り付けた複数のペルチェ素子冷却フィン48とを備えて成るといった態様とすることもできる。
【0053】
このような構成とすることで、接続部3を直接且つ積極的に且つ能動的に冷却して、残渣が発生するといった不具合を好適に防止することができる。
【0054】
また、図7に示すように、液体材料気化装置Aの構成を、上から、気液混合部1、接続部冷却部4を取り付けた接続部3、気化部2の順に、鉛直方向に並べた構成とするといった実施態様を採用することもできる。
【0055】
このような構成とすることで、気化部2のノズル部25に液体材料LMが残るような場合でも、この液体材料LMは重力により垂れ落ちるので、該ノズル部25が塞がってしまうといった不具合を防止することができる。
【0056】
さらに、接続部冷却部における冷却方式は、本実施形態のものに限られず、例えば、冷却用に液体を使用した水冷方式とする等、実施態様に応じて適宜な冷却方式をとることができる。
【0057】
また、気液混合室に供給された液体材料がキャリアガス導入路へ逆流するのを防止するための「逆流防止ノズル」を、上記実施形態に対してさらに設けた構成とすることもできる。この逆流防止ノズルの具体的な態様としては、例えば、特開2003−273025に記載の逆流防止用ノズル部(3〜4頁、図2)が挙げられる。
【0058】
ところで、例えば、ガス導出路24内が中空の場合には、路内の圧力が低いと混合ガスKGのガス密度が薄くなり分子間距離が広くなる。このため熱が伝わり難くなって、混合ガスKGを外部に好適に導出することができない、すなわち、気化に支障が生じる場合がある。そこで、ガス導出路24内に図示しない充填材を配することで、路内の圧力が低くても、熱を伝わり易くして、気化を好適に行えるようにできる。この充填材の材質としては、例えば、熱伝導性に優れたチタン等の金属を用いることができる。また、充填材は、粒状(球状)のものを路内に複数配することもできるし、平板を捩ってスパイラル形状にしたもの(いわゆるスタティックミキサー)を路内に1又は複数配することもできる。スパイラル形状の充填材は、粒状の充填材に比べ、路内に配したときの圧力損失が小さいため、より好適に気化できる。
【0059】
また、ノズル部25の後段に、図示しないフィルタを設けることもできる。フィルタを設けることで、残渣が発生したとしてもこれを捕捉することができる。また、気液混合体GLのうち気化しきれなかった液体が残留し、これからミストが発生したとしてもこれを除去することができる。
【0060】
また、気液混合部1、気化部2、接続部3及び接続部冷却部4を、それぞれ分解できる構成にすることができる。これによって各部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0061】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
このような構成を有する本発明に係る液体材料気化装置は、異なる沸点を有する複数の材料から成る液体材料を気化する場合でも残渣の発生を防止して好適に気化することができるので、例えば、半導体製造において用いる各種の液体材料を気化するための液体材料気化装置として、好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体材料とキャリアガスとを混合して気液混合体を生成する気液混合部と、
前記気液混合部からの気液混合体を気化しこの気化によって生じたガスを前記キャリアガスによって外部へ導出する加熱型の気化部とを具備し、
前記気化部が、捩ってスパイラル形状にした平板を路内に1又は複数配して成ることを特徴とする液体材料気化装置。
【請求項2】
前記気化部の後段にフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体材料気化装置。
【請求項3】
前記気化部が、ガス導入路と、ガス導出路と、これらガス導入路およびガス導出路の接続部分に設けられたノズル部とを具備したものであることを特徴とする請求項1記載の液体材料気化装置。
【請求項4】
前記ノズル部よりも後ろにフィルタが設けられていることを特徴とする請求項3記載の液体材料気化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−177193(P2012−177193A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54917(P2012−54917)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2008−508715(P2008−508715)の分割
【原出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】