説明

液化ガスを動力源とする車両の支援装置

【課題】本発明の目的は液化ガスを動力源とする車両のための、経済的に取り付け可能な、かつコンパクトで供用時間の長い支援装置を提供することにある。
【解決手段】支援装置は、液化ガスを収容した交換可能なガスボンベ(11)に連結する燃料送達系路(1)と、車両の駆動モータ(12)に連結する燃料供給系路(2)並びに支援供給系路(3)と、燃料送達系路(1)が開口し、さらに燃料供給系路(2)が上方の個所で、支援供給系路(3)が下方の個所で開口する支援容器(4)とを具備する。ガスボンベ(11)の含有量が少なくなると、空表示センサ(5)は警告信号とサーボ信号とを発して止め弁(6)を制御する。支援容器(4)の大部分は、支援容器(4)内の液化ガスの沸騰を抑制して液化ガス貯留体(17)を保護する断熱物(7)で囲繞される。止め弁(6)は燃料供給系路(2)での通行を支配し、空表示センサ(5)により制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前提部分に記載の、液化ガスを動力源とする車両の支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガス例えばプロパンは、ある種の車両例えばフォークスタッカーでタンクの代わりに用いるスチールシリンダまたはガスボンベに商業的に供給される。含有分を使い切ると、空のガスボンベを満タンのボンベと交換する。これに関連して、ガスの含有量が少なくなると、ボンベのガス含有量読取りの問題が発生する。ガスボンベの残量がむだになるか、ガスボンベ交換のため給油所に到着しないうちに車両が動かなくなるかのどちらかである。
【0003】
ガスボンベの空の状態を圧力スイッチが検知して信号し、圧力調整器を用いて支援容器からガスを抜き取る、液化ガス動力源車両の支援装置(DE−U 202 17 298)もまた知られている。この支援装置の弱点は、揮発ガスがバイパス通路を通って支援容器から駆動モーターへ流れるから、一定時間が経過したあと液化ガスの残量がどれだけ支援容器にあるのか不明なことである。
【0004】
改善のため、電子装置で制御される弁を作動させてガスボンベからの液化ガスを支援容器内で遮断し、ガスボンベが空になればこの液化ガスを支援容器から放出することもできる。ところがこの解決策は費用がかかる。
【0005】
DE 10 2004 036318.8によれば、液化ガスは断熱物により蒸発を防止され、この方法で遮断される。これの弱点は、この装置が車両の空間条件に対してあまりにも嵩張りすぎ、その上取付けが困難なことである。さらに、液化ガスが低所に配された部品中で蒸発する。これは装置中での析出に繋がり、供用時間を制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこうした問題に基づき、経済的に取り付けることのできる、コンパクトでかつ供用時間の長い支援装置を提供する。さらに、液化ガスについての支援能力は多様性を基本とせず、残りの車両運転時間に対して安心できる拠り所が得られるようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上に引用した問題は請求項1の特徴部分により解決され、従属請求項のさらなる特徴部分によりさらに展開される。具体的に言えば、燃料供給の導管または系路は支援容器の上方領域に開口するので、支援容器の下方領域には液化ガスの支援空間が形成される。支援容器へ至る燃料送達導管と、支援容器からの燃料供給導管との間の領域は、正常運転時の液化ガスの流動空間として使用する。
【0008】
ガスボンベの含有量を使い果たすと、液化ガスは燃料送達導管と燃料供給導管間での流動を止める。車両の駆動モーターからの正規の真空効果により、系の中空部内の圧力は約3バールの絶対ガス圧(プロパンを液化ガスとした場合)より下がる。このことは、この3バールより低くした所定の圧力値例えば2.5バールに設定した圧力センサにより検出できるから、この限界値を下回るときに、警告信号とサーボ信号とが発せられる。
【0009】
圧力の降下により、支援容器内の液化ガスは沸騰を始めて潜熱を消費し、支援容器の温度は摂氏−20度まで下がる。これは温度センサにより(または圧力センサにより)検出できるから、同様に警告信号とサーボ信号とを送出する。圧力センサ及び/または温度センサのサーボ信号は、車両の駆動モーターに連結された燃料供給導管の中の止め弁を閉塞する。
【0010】
支援動作中、この止め弁は閉塞され警告信号が発せられる。残留する圧力により、液化ガスは、支援容器の下方個所から始まり同じく駆動モーターに連結する支援供給導管を流動する。低い圧力は、支援容器と液化ガス本体との熱容量が消耗されるまで、また外側から支援容器に運ばれる熱量にも依存して、支援容器の液化ガスの一部を蒸発させる。
【0011】
断熱物は絶縁材、真空空間または気体を満たした空間で構築できる。支援容器はガス供給系路に取り付けるか、または支援容器を取り巻く外側の殻と溶接される。これらの取付手段は高い動的強度を有する。本発明の利点はその部品が単純で堅固な構造を成すことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
支援装置の主要部品は次の通りである:
燃料送達系路1、燃料供給系路2、支援供給系路3、空表示センサ5、止め弁6、及び支援圧力容器4。系路または導管1、2、3は部分的に、支援容器4は完全に断熱物7により囲繞される。送達系路1には、支援動作中にガスボンベ11から支援容器4を分断する逆止め弁8を配置する。止め弁6は、短い管材から形成された燃料供給系路2内に装置する。
【0013】
断熱物7の外部に、信号装置21を遠隔位置に配置し、これを空表示センサ5で制御する。過度の圧力から防護するため、約30バールに設定した安全弁18を支援容器4に連結する。送達系路1を、交換可能なガスボンベ11の立上り管に連結する。燃料は逆止め弁8を介して、支援容器4の底部または蓋に配置可能な個所15に導入される。
【0014】
正常運転時には、上方個所14の燃料が燃料供給系路2を通過し、図示しない装置を経由して駆動モーター12に至る。この個所14は、支援容器4の容量の約15%の、安全に関係する気相(ガスブランケット)16が保証されるレベルのところにある。支援運転時に、燃料は下方個所13から支援供給系路3を介して駆動モーター12へ供給される。支援装置の壁材は熱伝導率の低いV2Aでつくるのが有利である。
【0015】
図1は、車両の点火スイッチ20から作業電圧を受け取る空表示センサ5としてのガス圧センサの一例を示している。空表示センサ5は燃料送達系路1に接続され、想定される周囲温度で用いられる液化ガスの、上述の例では3バールのガス圧より低い設定圧力値に達したときに応答する。
【0016】
また温度センサも使用できる。これの作用蝕子は支援容器4の被覆の中にあって、支援容器4の液化ガスが沸騰したり、ガスボンベ11が空状態に達する直前に低温例えば−20℃になったら、急激な温度降下を表示する。空表示センサ5は信号装置21に電気的に接続され、一緒に展示装置を形成する。さらに、空表示センサ5は止め弁6の制御装置でもある。
【0017】
支援装置の作動中に、支援容器4に、車両の正常運転時には供給系路2を介して抜き取られる液化ガスが充填される。ガスボンベ11の含有量が少なくなると、液化ガスの蒸発により気相(ガスブランケット)16が広がる。有効な熱は液化ガス自体と支援容器4とにより生成される熱容量から排出される。一方、熱容量が減少し、しかも熱は事実上外側から支援容器へ運ばれないから、液化ガス貯留体17は支援容器内に残留する。
【0018】
図1の支援装置では、空表示センサ5は予め、例えば3バールの圧力値を表示した上で警告信号を信号装置21に、同じくサーボ信号を止め弁6に発してこれを点線で示したように閉塞すべく設定してある。支援供給系路3は下方個所13で支援容器4内に開口するから、液化ガスは残留液化ガス貯留体17から抜き取られ、ガスボンベ11の残留圧力で送り出されて駆動モータ12に供給される。
【0019】
図2は、表示または展示装置が自己ロック装置9を含む例を示している。自己ロック装置9は点火スイッチ20を介して車両のエネルギー供給系の作業電圧で付勢され、空表示センサ5が応答すべきであれば作動状態に入る。点火スイッチ20がオンである限り、信号装置21は呼びかけられ、止め弁6は閉塞される。自己ロック装置9は、ガスボンベ11内でさらに蒸発がある場合、空表示センサ5でのガス圧がセンサ5の応答限界を上回っても同様に作動状態を維持する。点火スイッチ20をオフにすれば、自己ロック装置9はリセットされる。ボンベ交換後に、全ては新たなボンベ11と共に始まる。
【0020】
図3は、新しい完全なガスボンベ11が連結される時までガスボンベ11の空の状態を表示する、進歩した表示または展示装置を示している。そうした変化を検知するため、点火スイッチから独立に、常時車両のエネルギー供給系に接続された圧力スイッチ19が設けられる。圧力スイッチ19は、同様に常時電圧に関与する自己ロック装置9をリセットできる。これは、ガスボンベ11の接続を切るときに行われ、そうすることで圧力スイッチ19のところで大気圧が作用する。自己ロック装置9のエネルギー消費は少ない。それぞれセンサ5と自己ロック装置9とで制御される増幅器10に、点火スイッチ20を介して作業電圧を供給する。増幅器10は信号装置21の中にあり、自己ロック装置9が能動状態にある限り相応に信号装置21を閃かせ止め弁6を遮断させる。車両停止時には、多くのエネルギー消費が回避される。
【0021】
本発明の支援装置により、ガスボンベ11は完全に空にすることができ、不適当なときに車を止めずにすむ。古いガスボンベ11を切り離して新しいガスボンベ11と交換すれば、貯留体17の容量は車に十分な残りの運転時間を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】液化ガスを動力源とする車両の支援装置の図解である。
【図2】表示装置に簡単な自己ロック装置を補充した支援装置の図である。
【図3】自己ロック装置の進化した実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 燃料送達系路
2 燃料供給系路
3 支援供給系路
4 支援圧力容器
5 空表示センサ
6 止め弁
7 断熱物
8 逆止め弁
11 ガスボンベ
12 駆動モータ
13 下方個所
14 上方個所
15 個所
16 ガスブランケット
17 液化ガス貯留体
18 安全弁
20 点火スイッチ
21 信号装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを収容した交換可能なガスボンベ(11)に連結する燃料送達系路(1)と;
車両の駆動モータ(12)に連結する燃料供給系路(2)と;
車両の駆動モータ(12)に連結する支援供給系路(3)と;
支援容器(4)と;
を具備した、液化ガスを動力源とする車両の支援装置において、
燃料送達系路(1)は支援容器内の何れかの個所に連結され、燃料供給系路(2)は支援コネクタ内の上方の個所に、支援供給系路(3)はその下方の個所に連結され;
ガスボンベ(11)の含有量が少なくなると、空表示センサ(5)が警告信号とサーボ信号とを発して止め弁(6)を制御し、また支援容器(4)の大部分は、支援容器(4)内の液化ガスの沸騰を制限する寸法にした断熱物(7)で囲繞され、こうして液化ガス貯留体(17)が支援容器(4)内で保持され続けるようにした、支援装置であって、
止め弁(6)は燃料供給系路(2)での通行を支配し、空表示センサ(5)により制御されることを特徴とする支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の支援装置において、交換可能なガスボンベ(11)の空状態の表示装置は、空表示センサ(5)と信号装置(21)とが設けられてこれらを包含し、信号装置(21)は空表示センサ(5)により制御され、車両に支援容器(4)から離れた場所で取り付けられることを特徴とする支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の支援装置において、表示装置は自己ロック装置(9)を具備し、自己ロック装置(9)は空表示センサ(5)の作用時に空の状態を信号する状態に移行し、信号装置(21)を相応に制御して止め弁(6)を閉塞することを特徴とする支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の支援装置において、表示装置は電気的性質を有し、車両の現行のエネルギー供給系から、その点火スイッチを介して操作できることを特徴とする支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の支援装置において、表示装置は、それぞれ交換可能なガスボンベ(11)のガス圧の降下と大気圧とに依拠して自己ロック装置(9)を車両のエネルギー供給系に接続する圧力スイッチ(19)を含み、また空表示センサ(5)と自己ロック装置(9)とは、その作業電圧が点火スイッチ(20)を介して供給され得る増幅器(10)に接続され、さらに増幅器(10)は、それぞれ空表示センサ(5)と自己ロック装置(9)とに依拠して信号装置(21)を制御することを特徴とする支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の支援装置において、燃料送達系路(1)に逆止め弁(8)を装置したことを特徴とする支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の支援装置において、支援容器(4)は低熱容量、低熱伝導率の高性能材料から作られることを特徴とする支援装置。
【請求項8】
請求項1に記載の支援装置において、空表示センサ(5)を燃料送達系路(1)、燃料供給系路(2)、支援供給系路(3)、あるいは支援容器(4)のうちの1つに接続されるガス圧センサまたは温度センサとし、これが、想定される周囲温度で使用する液化ガスのガス圧を下回る予め設定された圧力に達したとき応答すること、またはガスの温度の、設定された低温への低下に応答することを特徴とする支援装置。
【請求項9】
請求項1に記載の支援装置において、断熱物(7)は真空空間と、気体または絶縁材を満たした空間のうちの1つを含むことを特徴とする支援装置。
【請求項10】
請求項1に記載の支援装置において、支援容器(4)の側壁は、支援容器(4)を取り巻く外側の殻の側壁に直に結合されることを特徴とする支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−101608(P2008−101608A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−222466(P2007−222466)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(507290434)
【Fターム(参考)】