説明

液化ガス貯蔵容器

本発明は液化ガス(80)を貯蔵するための断熱容器(1)に関する。この容器(1)は、荷重を支える構造用外側シェル(2)と;使用中は液化ガス(80)と接触する連続的な第1液体障壁(40)と;断熱第1パネル層(11)と;第2液体障壁(20)と;断熱第2パネル層(10)と;第1パネル層(11)を第2パネル層(10)の一つに連結するための第1連結器(35)と;第2パネル層(10)の少なくとも1つを外側シェル(2)に連結するための第2連結器(15)と;を備え、第1パネル層(11)及び第2パネル層(10)の少なくとも1つが、第1及び第2連結器(35、15)を部分的に受け入れるための貫通通路を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液化天然ガス(LNG)、液化された窒素、酸素若しくは二酸化炭素、又は液化水素などの液化ガスを貯蔵するための断熱容器に関する。好ましくは、液化ガスは大気圧にて容器中に貯蔵される。
【背景技術】
【0002】
従来からいくつかの種類の断熱容器が知られている。通常、容器は構造用外側シェルと、液化ガス(及び蒸気)を収容する内側タンクと、構造用外側シェルと内側タンクとの間に設けられて熱が容器の内部に漏れるのを抑える断熱材とを含む。
【0003】
通常、冷たい液化ガスを収容可能にするために、このような容器の構造用外側シェルはニッケル鋼又はプレストレス鉄筋コンクリートなどの特殊な材料から作られる。
【0004】
断熱容器の例がUS3112043に示されている。US3112043は液化ガスをほぼ大気圧にて輸送するための船を開示する。この船は内側船体として剛性シェルを備えており、この剛性シェルの内側が断熱材で覆われている。断熱剛性シェルにより囲まれた空間内に、アルミニウム又はステンレス鋼から作られた内側タンクが存在する。内側タンクが冷たい液体と蒸気を収容する。
【特許文献1】US3112043
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液化ガスを貯蔵する従来の容器の問題は、通常かなりの量の金属を含んでいるので重いことである。さらに、使用される金属(例えばニッケル鋼)は通常は非常に高い品質を有するので容器の価格が高い。
【0006】
別の問題は、従来の容器では金属製の閉じ込め層を溶接しなければならないので、建造に時間がかかることである。この問題は、ニッケル鋼などの材料が用いられる場合には溶接が難しく熟練した溶接工を必要とするので、もっと深刻になる。
【0007】
本発明の目的は上記問題を最小限に抑えることである。
【0008】
別の目的は、容易かつ迅速に建造することのできる安全で軽量の液化ガス貯蔵容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的又はその他の目的の1つ以上が本発明により提供される液化ガスを貯蔵するための断熱容器であって、
- 荷重を支える構造用外側シェルと;
- 前記外側シェルの内側に設けられ、使用中は液化ガスと接触する連続的な第1液体障壁と;
- 前記第1液体障壁と前記構造用外側シェルとの間に設けられ、容器の内側に向いた前面と背面とを有する断熱第1パネル層と;
- 前記第1パネル層と前記外側シェルとの間の第2液体障壁と;
- 前記第2液体障壁と前記外側シェルとの間に設けられ、容器の内側に向いた前面と背面とを有する少なくとも1つの断熱第2パネル層と;
- 前記第1パネル層を前記第2パネル層の一つに連結するための第1連結器と;
- 前記第2パネル層の少なくとも1つを前記外側シェルに連結するための第2連結器と;
を少なくとも備え、前記第1パネル層及び前記第2パネル層の少なくとも1つが第1及び第2連結器を部分的に受け入れて固定するための貫通通路を備え;
前記第2パネル層の少なくとも1つが前面において第1連結器を部分的に受け入れるための固定用孔を備え;
前記少なくとも1つの第2パネル層において、前記第2連結器を部分的に受け入れるための前記貫通通路と前記第1連結器を部分的に受け入れるための前記固定用孔との間で流体の接触がないことを特徴とする断熱容器によって達っせられる。
【0010】
驚いたことに、本発明によると建造が容易で経済的である液化ガスの貯蔵及び輸送用の軽量容器を提供できることが分かった。
【0011】
本発明による容器の重要な利点は、漏れのない容器であることである。万一第1パネル層に漏れがあった場合でも、一方における第2連結器を部分的に受け入れるための貫通通路ともう一方における第1連結器を部分的に受け入れるための固定用孔との間が流体について連通していないので、第2液体障壁が漏れてきた流体(すなわち液体又は蒸気)を阻止する。
【0012】
好ましくは、この容器には実質的に金属がない。このために、断熱パネル層だけでなく外側シェル、液体障壁及び連結器は好ましくは金属以外の材料から作られる。この場合でもなんらかの金属製の連結手段が存在し得ることは言うまでもない。
【0013】
外側シェルは荷重障壁として適する任意の材料から作ることができる。例として金属、コンクリートなどが挙げられる。上述したように、好ましくは安価な非金属材料から作られる。
【0014】
通常、第1及び第2液体障壁は液密性かつ蒸気密性の材料から作られる。好ましくは第1及び第2液体障壁はポリウレタンやエポキシなどのプラスチック材料又はそれらの組み合わせを含む。液体障壁は、必要なら例えばガラス繊維を混ぜることにより強化できる。通常、液体障壁はパネル層より薄く、約3〜8mmの厚みを有する。もちろん、その他の厚みにすることもできる。
【0015】
第1液体障壁は連続的な層であり、通常は第2層も連続的な層である。そのために、液体障壁は例えばスプレー塗装などによって塗布してもよい。もちろん、刷毛又はこてを用いて塗料を塗布してもよい。
【0016】
第1及び第2パネル層は断熱材料から成るパネルから作られる。好ましくは第1及び第2パネル層は発泡プラスチック材料から成る。好ましくは、第1及び第2パネル層は容器に収容された液化ガスの荷重に耐え得るプラスチック材料から作られる。プラスチック材料の適切な例はPVC及びポリウレタンフォームである。好ましくは、使用される材料は容器に貯蔵された液化ガスの気圧にも耐えることができる。
【0017】
適切には、第1及び第2パネル層は5cm以上の厚みをもつ。
【0018】
第1及び第2連結器は様々な形式のものにすることができる。好ましくは連結器は非金属材料から作られる。通常、連結器はスタッドである。好ましくは、1個以上の第2パネル層の固定用孔にスタッドを容易に固定するためにスタッドはねじ山を備える。ただ1つの第2パネル層が存在する場合には、第2連結器によって第2層と外側シェルとの間の間の連結が行われ、よって外側シェルは第2連結器を部分的に受け入れるために固定用孔を備えることになる。
【0019】
好ましくは、第2パネル層は外側シェルに直接固定される。第1液体障壁と外側シェルとの間には何もない空間を存在させず、所与の液化ガス貯蔵容積に対してできるだけ小さく容器を建造できるようにすることが更に好ましい。
【0020】
また、第1パネル層及び少なくとも1つの第2パネル層における貫通通路が夫々のパネル層の前面に凹部を有するのが好ましい。これらの凹部はパネルの前面にある連結器の端部を固定する座金、ナットなどを少なくとも部分的に受け入れるよう機能する。それにより、それぞれの前面に塗布された液体障壁を実質的に平面状にし得る。
【0021】
また、凹部にはインサート部品を詰めておくのが好ましい。さらに、接着剤を用いてインサート部品をそれぞれの凹部に固定しておくのが好ましい。インサート部品(任意の適当な形式のものでよい)は、それぞれのパネル層の前面を実質的に平面状にするのに寄与し得る。
【0022】
以下、図面に関して本発明をさらに説明するが、これに限定されるものではない。
同じ参照番号は同様の構造要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1を参照する。本発明は液化ガス80を貯蔵するための断熱容器1を提供し、この容器1は荷重を支える構造用外側シェル2を含む。構造シェル2は底板3と側壁4とを備える。図示された例では、底板3と側壁4とはコンクリートから作られる。構造シェル2は内面6を有する。完全を期すため、容器1は構造シェル2の一部を形成し得る断熱屋根(図示せず)を備えることが分かる。
【0024】
容器1は更に少なくとも2つの断熱閉じ込め層、すなわち第1パネル層11(「内側閉じ込め層」)及び第2パネル層10(「外側閉じ込め層」)を備え、これらは構造シェル2の内面6に固定される。必要なら2個以上の外側閉じ込め層10を設け得ることは言うまでもない。
【0025】
各閉じ込め層10及び11は発泡プラスチック材料から成るパネルを備え、容器1の内側に向いた前面と背面とを有する。外側閉じ込め層10のパネルは参照番号10aで示され、その前面は参照番号10bで示され、その背面は10cで示される。内側閉じ込め層11のパネルは参照番号11aで示され、その前面は11bで示され、その背面は11cで示される。明確にするため、パネル10a及び11aの面のすべてが参照番号で示されているわけではない。
【0026】
さらに、容器1は蒸気密かつ液密の2つの障壁、すなわち容器1に収容された液化ガス80と接触する第1液体障壁40(図3も参照)と、内側閉じ込め層11と外側閉じ込め層10との間の第2液体障壁20(図2も参照)とを備える。
【0027】
さらに、容器1は内側閉じ込め層11を外側閉じ込め層10に連結するためのスタッド等の第1連結器35と、外側閉じ込め層10を外側シェル2に連結するためのスタッド等の第2連結器15とを備える。
【0028】
スタッド35、15を受け入れるために、内側閉じ込め層11及び外側閉じ込め層10には貫通通路(図示せず)が設けられる。さらに、外側閉じ込め層10と外側シェルとには固定用孔(図示せず)が設けられ、内側とは逆の方向に向いたスタッド15、35の一部を受け入れることで内側閉じ込め層11、外側閉じ込め層10及び外側シェル2を互いに固定する。
【0029】
本発明による容器1の重要な利点は、容器1が漏れがなく蒸気密性であることである。さらに、容器1の外側シェル2は低温にさらされないので、容器1の外側シェル2の材料選択はさほど厳しくはなく、経済的である。万一第1液体障壁40に漏れが生じた場合でも、一方における第2スタッド15を部分的に受け入れて固定するための貫通通路と、もう一方における第1スタッド35を部分的に受け入れるための固定用孔との間で流体について連通していないので、第2液体障壁20が漏れた流体を阻止する。
【0030】
このために、第2液体障壁20は、閉じ込め層を破壊することなく外側閉じ込め層10から第2液体障壁20を除去することができないように(例えばスプレー塗装により)外側閉じ込め層10に固定させておくのが好ましい。好ましくは、同じことが第1液体障壁40と内側閉じ込め層11にも当てはまる。
【0031】
さらに、容器1には実質的に金属がないので(スタッド15、35は金属から作ってもよいが、プラスチック材料から作ることもできる)、軽量の容器が得られる。
【0032】
構造シェル2の内面6に固定された閉じ込め層10及び11を備える液化ガス80の貯蔵用断熱容器1を建造する代表的で非限定的な方法を以下で説明する。
【0033】
この方法の最初の工程は、構造シェル2の内面6にスタッドなどの複数の第2連結器15を設けることである。スタッド15は内面に垂直な方向に並べられており、隣接するスタッド15間の距離は、1つのパネル10aを固定するのに2個以上のスタッド15が利用できるように選択されるのが好ましい。内面6にスタッド15を取り付ける方法は、外側シェル2のコンクリートを固める際に適切な保護カバーを備えた受入れナット(図示せず)などの固定用孔を設置すること、及び端部を任意の適当な方法で(例えば接着、ねじ込み、又は開きボルトなどを用いて)受入れナット中に固定できる(好ましくはねじ付き)スタッド15を用いることを含む。
【0034】
その後、接着剤の層(図示せず)を構造シェル2の内面6上に塗布してもよい。パネル10aは1個のスタッド15当たり1つの貫通通路(図示せず)を備える。この貫通通路は背面10cから前面10bの円筒形凹部16まで延びている。明確にするため、すべての凹部16について参照番号で示しているわけではない。これらのパネル10aは所定の位置に置かれる。これらのパネル10aは、凹部16にて固定手段(例えば図4の固定リング90)をスタッド15の端部に取り付け、内面6上にて接着剤を固めることによって構造シェル2に結合される。
【0035】
次に、パネル10a(外側閉じ込め層10)の前面10bには複数のスタッド35が取り付けられる。スタッド35もまたパネルに垂直な方向に並べられており、隣接するスタッド35間の距離は、1つのパネル11aを固定するのに2個以上のスタッド35を利用できるように選択されるのが好ましい。
【0036】
前面10bにスタッド35を取り付ける方法は、製造時に適切な保護カバーを備えた受入れナット(図示せず)などの固定用孔をパネル10aに設けること、及び端部を受入れナットにねじ込むことができるねじ付きスタッドを用いることを含む。好ましくは、液密性及び蒸気密性を高めると共に熱が断熱材パネルを通り抜けることを阻止するために、第1スタッド35は第2スタッド15と直接的に一列に並んでいない。
【0037】
スタッド35を取り付けた後に、連続的な蒸気密かつ液密性の障壁20をパネル10aの前面10bに塗布して外側閉じ込め層10を得る。このようにして、スタッド35、受入れナット(図示せず)の周りや周囲の外側閉じ込め層10にて流体密の連結が得られる。図2に障壁20が更に明確に示されている。
【0038】
第2液体障壁20を取り付けるためには、取り付けられる表面が滑らかなことが好ましい。しかし、パネル10aの前面10bは滑らかではない(凹部16が存在する)。したがって、適切には、パネル10aの前面10b上に滑らかで連続的な表面を形成するように予め製造された発泡インサート部品(図示せず)を凹部に挿入する。
【0039】
よって、外側閉じ込め層10は構造シェル2の内面6に固定されたパネル10aと、連続的な蒸気密かつ液密の障壁20とを備える。外側閉じ込め層10の内面は参照番号30で示されている(図2参照)。
【0040】
次に、接着剤の層(図示せず)を外側閉じ込め層10の内面30上に塗布してもよい。パネル11aは1個のスタッド当たり1つの通路(図示せず)を備える。この通路は背面11cから前面11bの円筒形凹部36まで延びている。明瞭にするため、すべての凹部36を参照番号で示しているわけではない。これらのパネル11aは所定の位置に置かれる。これらのパネル11aは、凹部36において固定手段(例えば図4に示される固定リング90)をスタッド35の端部に取り付け、内面30上にて接着剤を固めることによって外側閉じ込め層10を介して構造シェル2に結合される。
【0041】
次に、連続的な蒸気密かつ液密の障壁40をパネル11aの前面11b上に塗布する。
【0042】
障壁40を付着させるためには、付着される表面が滑らかなことが好ましい。しかし、パネル11aの前面11bは滑らかではない(凹部36が存在する)。したがって、適切には、パネル11aの前面11b上に滑らかで連続的な表面を形成するように予め製造された発泡インサート部品(図示せず)を凹部36に挿入する。
【0043】
よって、内側閉じ込め層11は構造シェル2の内面6に固定されたパネル11aと、連続的な蒸気密かつ液密の障壁40とから構成される。
【0044】
適切には、内側閉じ込め層のパネル11aは、パネル11aがパネル10aの凹部16に重なるように、外側閉じ込め層のパネル10aに対してずらして置かれる。
【0045】
適切には、内側閉じ込め層11のパネル11aは容器1の隅(底)にて湾曲しており、コーナー部品45によってこれらのパネル11aが支持されている。図1の態様では、円筒形のLNG貯蔵容器1が示されており、一般にコーナー部品45は湾曲した内面を有する環状リングを形成する。容器1の隅に配置されたこれらのパネル11a及びコーナー部品45が必要ならば他の適当な形状を有し得ることは、当業者には容易に分かるであろう。
【0046】
通常運転中、内側閉じ込め層11は本発明による断熱容器1に貯蔵された液化ガスと接触している。
【0047】
適切には、パネル10a及び11aは適当なフォーム、好ましくはポリ塩化ビニル又はポリウレタンフォームから作られ、ポリマー外皮で覆われる。漏れる可能性を低くするために、パネル10a及び11aは合決(あいじゃくり)で接合するために段付きの側面を有する。
【0048】
図2、3及び4はそれぞれ図1のII、III及びIV部を拡大して示す。明確にするため、図1ではIV部(すなわち図4)に第2スタッド15があるようには示されていないが、図4では第2スタッド15の存在も示してある。
【0049】
図4から分かるように、外側閉じ込め層10の前面10cの固定用孔には、容器1の内側とは逆に向いた第1スタッド35の端部35aが埋められており、よって外側閉じ込め層10の固定用孔は第1スタッド35を部分的に受け入れる。好ましくは、外側閉じ込め層10の固定用孔とスタッド35の端部35aとの両方がねじ山(図示せず)を有する。
【0050】
同様に、図4に示されているように、外側シェル2の側壁4もまた、第2スタッド15の端部15aで埋められる固定用孔を備え、この端部15aは容器1の内側とは反対の方向を向いている。
【0051】
内側閉じ込め層11の貫通通路は第1スタッド35で埋められる部分と、凹部36により形成される部分とがある。第1スタッド35は容器1の内側に向いた端部35bにて固定リング90によって固定される。第1スタッド35は、内側閉じ込め層11の凹部36に詰められた接着剤によって更に固定してもよい。さらに、必要なら、インサート部品(図示せず)を凹部36内に配置しておいてもよい。このインサート部品は例えば発泡材料から予め成形しておいてもよいし、現場で成形してもよい。
【0052】
当業者は特許請求の範囲に記載の範囲を逸脱することなく本発明の容器1を幅広く変え得ることを容易に理解するであろう。
【0053】
例として、構造シェル2の内面6には追加の連続的な蒸気障壁(図示せず)を設けることができる。この追加の蒸気障壁は第2スタッド15が取り付けられた後に塗布される。このとき、本方法の最初の工程は複数のスタッド15を取り付け、その後に構造シェル2の内面6に蒸気障壁(図示せず)を塗布することからなる。
【0054】
加えて、外側閉じ込め層のパネル10aを底板3の上に配置する前に、水平化保護層31を底板3の上に設けることもできる。保護層31は例えば乾燥砂又は水平化コンクリートから作ることができる。
【0055】
また、パネル10a及び11aは、例えば容器1を初めて使う前又は廃棄する前における不活性ガスによるパージを容易にするために、前面10bと背面11cとが層10と層11との間で選択された地点にてチャネルを形成するように成形してもよい。これらのチャネルは更に、液体障壁20及び40の液密性及び蒸気密性を監視するために容器1の使用中に用いてもよい。
【0056】
本発明は迅速かつ経済的に建造できる驚くほど簡単な断熱容器を提供する。この容器は大型の円筒形の陸上容器として建造できるが、船舶上又は重力構造物上で用いられる角柱状の容器の形状にて建造することもできる。加えて、本発明により、貨物コンテナの大きさを有する容器を建造できる。液化ガスで満たされた後者の容器は、液化ガスを使用できる任意の場所に容易かつ安全に輸送できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明により建造された液化ガス貯蔵用の断熱容器の下隅を概略的に示す。
【図2】図1のII部を拡大して示す。
【図3】図1のIII部を拡大して示す。
【図4】図1のIV部を拡大して示す。
【符号の説明】
【0058】
1 断熱容器
2 構造用外側シェル
3 底板
4 側壁
10 第2パネル層(外側閉じ込め層)
11 第1パネル層(内側閉じ込め層)
15 第2連結器(スタッド)
16 円筒形凹部
20 第2液体障壁
35 第1連結器(スタッド)
36 円筒形凹部
40 第1液体障壁
80 液化ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス(80)を貯蔵するための断熱容器(1)であって、
- 荷重を支える構造用外側シェル(2)と;
- 前記外側シェル(2)の内側に設けられ、使用中は液化ガス(80)と接触する連続的な第1液体障壁(40)と;
- 前記第1液体障壁(40)と前記構造用外側シェル(2)との間に設けられ、容器(1)の内側に向いた前面(11b)と背面(11c)とを有する断熱第1パネル層(11)と;
- 前記第1パネル層(11)と前記外側シェルとの間の第2液体障壁(20)と;
- 前記第2液体障壁(20)と前記外側シェル(2)との間に設けられ、容器(1)の内側に向いた前面(10b)と背面(10c)とを有する少なくとも1つの断熱第2パネル層(10)と;
- 前記第1パネル層(11)を前記第2パネル層(10)の一つに連結するための第1連結器(35)と;
- 前記第2パネル層(10)の少なくとも1つを前記外側シェル(2)に連結するための第2連結器(15)と;
を少なくとも備え、前記第1パネル層(11)及び前記第2パネル層(10)の少なくとも1つが第1及び第2連結器(35、15)を部分的に受け入れるための貫通通路を備え;
前記第2パネル層(10)の少なくとも1つが前面(10b)において第1連結器(35)を部分的に受け入れるための固定用孔を備え;
前記少なくとも1つの第2パネル層(10)において、前記第2連結器(15)を部分的に受け入れるための前記貫通通路と前記第1連結器(35)を部分的に受け入れるための前記固定用孔との間で流体の接触がないことを特徴とする断熱容器(1)。
【請求項2】
前記第1及び第2パネル層(11、10)が発泡プラスチック材料からなる請求項1に記載の容器(1)。
【請求項3】
前記第1及び第2液体障壁(40、20)がプラスチック材料からなる請求項1又は2に記載の容器(1)。
【請求項4】
前記第1及び第2パネル層(11、10)が容器(1)に収容された液化ガス(80)の荷重に耐え得る請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項5】
前記第1及び第2パネル層(11、10)の厚みが5cm以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項6】
前記第1パネル層(11)のパネル(11a)を前記第2パネル層(10)のパネル(10a)に対してずらして配置させた請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項7】
前記第2パネル層(10)の少なくとも1つが前記外側シェル(2)に直接固定される請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項8】
前記第1パネル層(11)及び前記第2パネル層(10)の少なくとも1つにおける前記貫通通路がそれぞれのパネル層(11、10)の前記前面(11b、10b)に凹部(16、36)を備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項9】
前記凹部(36、16)にインサート部品を詰めた請求項8に記載の容器(1)。
【請求項10】
接着剤を用いて前記インサート部品をそれぞれの凹部(36、16)に固定させた請求項9に記載の容器(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−506078(P2008−506078A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519784(P2007−519784)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053165
【国際公開番号】WO2006/003192
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】