説明

液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示パネル

【解決手段】一液光及び熱硬化性樹脂組成物であって、(1)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる、一分子内に少なくとも1個のエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する重量平均分子量が1000〜10000の、少なくとも1種類のコポリマーと、(2)潜在性エポキシ硬化剤と、(3)光ラジカル重合開始剤とを必須成分とする液晶シール剤である。
【効果】液晶滴下工法における液晶への汚染性が少なく、接着性、液晶表示特性に優れた液晶シール剤、及びそれを用いた液晶表示パネルを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶シール剤に関し、更に詳しくは液晶滴下工法における液晶への汚染性が少なく、接着性、耐湿性、及び液晶表示特性に優れた液晶シール剤、またそれを用いた液晶表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話をはじめ各種機器の表示パネルとして軽量、高精細の特徴を有した液晶表示パネルが広く使用されるようになってきている。このような液晶表示パネルの製造方法としては、エポキシ樹脂を主体とする熱硬化性のシール剤組成物を液晶表示用のガラス基板に塗布して、プレキュア処理を行った後、対向基板を貼り合わせて加熱圧締接着し、液晶封入用セルを形成した後、真空中で液晶を注入し、注入後に液晶注入口を封孔するといった方法が従来から広く行われてきた。このような液晶表示パネルの製造に用いられるシール剤としては、例えば、特許文献1のように、エポキシ樹脂を主体とする熱硬化性シール剤が提案されている。しかしながら、このような熱硬化性シール剤は、硬化させるために、120℃〜150℃の温度で数時間の時間を要し、さらに、液晶の注入に時間がかかることから、生産性を向上させることが困難となっていた。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献2、3等に記載のように、光及び熱硬化性液晶シール剤を用いた、液晶滴下工法と呼ばれる液晶表示パネルの製造方法が提案されている。
液晶滴下工法では、まず、液晶表示パネルを構成する2枚の基板の一方にディスペンサーまたはスクリーン印刷により四角形のシールパターンを形成する。次いで、その基板のシール枠内又は対となる基板に、液晶の微小滴を滴下塗布しシール剤未硬化の状態で2枚の基板を高真空下で重ね合わせ後、シール部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、加熱によりアフターキュアを行い、液晶表示パネルを製造する。今後はこのような液晶滴下工法が液晶表示パネルの生産の主流となると予想されている。
【0004】
このような液晶滴下工法に用いる液晶シール剤には、UV硬化性と接着性を両立させるために、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を始めとするエポキシ樹脂を(メタ)アクリレートで変性させた(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂が使用されている。しかしながら、一般に使用されている(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、粘度、作業性の観点から分子量が1000より小さいものが殆どで、硬化前のシール剤が液晶と直接接した場合に、液晶中に一部が溶出して汚染してしまい、液晶表示パネルの液晶の配向に乱れが生じ、表示不良を引き起こすことがある。また、高い接着性が得られることから、熱硬化成分としてエポキシ樹脂を用いることが考えられる。しかしながらこのエポキシ樹脂を使用する場合でも、一般に分子量が1000より小さいものを使用することが殆どで、液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法では、熱硬化の工程において、加熱により流動性の増したエポキシ樹脂と液晶とが直接接してしまという同様の問題があった。
【特許文献1】WO2004/039885号公報
【特許文献2】特開2001−133794号公報、
【特許文献3】特開2002−214626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶滴下工法における液晶への汚染性が少なく、接着性、液晶表示特性に優れた液晶シール剤、及びそれを用いた液晶表示パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、(1)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる、一分子内に少なくとも1個のエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種類のコポリマーを使用することで、液晶への汚染性を引き起こすことが無く、特に液晶滴下工法において製造された場合でも、液晶表示において表示不良が少ない液晶表示パネルを製造できることを見出し、本発明の液晶表示パネル用液晶シール剤を完成するに至った。
即ち、一液光及び熱硬化性樹脂組成物であって、(1)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる、一分子内に少なくとも1個のエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する重量平均分子量が1000〜10000の、少なくとも1種類のコポリマーと、(2)潜在性エポキシ硬化剤と、(3)光ラジカル重合開始剤とを必須成分とする液晶シール剤である。また、好ましくは、成分(1)のガラス転移温度(Tg)が50℃以下で、エポキシ基当量が300〜10000g/eqで、(メタ)アクリロイル基当量が200〜8000g/eqで、水酸基当量1000〜5000g/eqの水酸基価を有し、Fedorsの理論溶解度パラメータ(sp値)が9.0〜12.0(cal/cm1/2である。更に、(4)環球法による軟化点が40℃以上で、かつ、重量平均分子量が1000〜10000のエポキシ樹脂を含む液晶シール剤である。また、本発明の液晶シール剤を用いた液晶表示パネルである。
【発明の効果】
【0007】
液晶滴下工法における液晶への汚染性が少なく、接着性、液晶表示特性に優れた液晶シール剤、及びそれを用いた液晶表示パネルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に使用する液晶シール剤に関し詳細に説明する。
本発明に係る液晶シール剤とは、具体的には、(1)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる、少なくとも1種類のコポリマーと、(2)潜在性エポキシ硬化剤と、(3)光ラジカル重合開始剤と、必要に応じ、さらに(4)環球法による軟化点が40℃以上で、かつ、重量平均分子量が1000以上のエポキシ樹脂と、(5)フィラーと、(6)その他添加剤成分とからなるものである。その構成成分を具体的に説明する。
【0009】
(1)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる、一分子内に少なくとも1個のエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する重量平均分子量が1000〜10000の少なくとも1種類のコポリマー
本発明に用いられる成分(1)は一分子内に少なくとも1個以上のエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する重量平均分子量が1000〜10000、好ましくは2000〜8000の、少なくとも1種類のコポリマーであれば特に限定されない。成分(1)の分子量が上記範囲内であれば、液晶への溶け込みが少なく、得られるシール剤の保存安定性、ディスペンス性が良好で好ましい。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定することができる。
【0010】
成分(1)は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下、好ましくは20℃以下であることが望ましい。成分(1)のガラス転移温度が上記範囲内であれば、接着性が良好である。成分(1)のガラス転移温度はDSC(示差走査熱量計)で測定することができる。
成分(1)の分子内に含有するエポキシ基の量は特に限定されないが、通常、エポキシ基当量が300〜10000g/eq、好ましくは500〜800g/eqである。成分(1)の分子内に含有するエポキシ基が上記範囲内であれば、接着性、得られるシール剤で作製された液晶表示セルの表示特性が良好で望ましい。
成分(1)の分子内に含有する(メタ)アクリロイル基の量は特に限定されないが、通常、(メタ)アクリロイル基当量が200〜8000g/eq、好ましくは500〜5000g/eqである。成分(1)の分子内に含有する(メタ)アクリロイル基が上記範囲内であれば、接着性、得られるシール剤で製造された液晶表示セルの表示特性が良好で望ましい。
【0011】
成分(1)は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジル、3、4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体類;と他のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル不飽和単量体とのエポキシ基含有コポリマーの一部エポキシ基に、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを、常法に従って、塩基性触媒下で付加させることにより製造できる。エポキシ基含有コポリマー中の、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートの付加量を適時変更することにより所望の(メタ)アクリル化率の成分(1)を得ることができる。
【0012】
また、他のエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリルメタクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアモノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、等の芳香族ビニル化合物類; 塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、モノクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロプレン等のハロゲン含有ビニル化合物類;その他、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、エチレン、プロピレン、炭素数4〜20のα−オレフィン、ビニルピロリドンなどが挙げられる。
また、上記単量体、あるいはその共重合体をセグメントに有し、末端にビニル基を有するマクロモノマー類も使用できる。これらの単量体は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、上記のメチル(メタ)アクリレートは、メチルアクリレートおよびメチルメタクリレートを示す。
【0013】
成分(1)の分子内に少なくとも一つ以上のエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有するコポリマーのその他製造方法としては、例えば、酸基とエポキシ基を有するコポリマーに、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を含有する(メタ)アクリレートモノマーを付加する方法、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を有するコポリマーに、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを付加する方法等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0014】
液晶表示パネル用基板への接着強度の観点から、本発明に用いる成分(1)はさらに、分子内に水酸基を有するコポリマーであることが望ましい。
成分(1)の分子内に水酸基を含有する手法としては特に限定されないが、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル化合物類と上記(メタ)アクリレートを共重合させることで得られる。
【0015】
また、エポキシ基含有コポリマーに(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを、常法に従って、塩基性触媒下で付加させることにより2級水酸基を生成させる手法も挙げられる。
成分(1)が、水酸基当量1000〜5000g/eq、好ましくは2000〜4800g/eqの水酸基含有コポリマーであることが望ましい。成分(1)の分子内に上記範囲の水酸基価を含有すると、接着性が良好であり、かつ、得られるシール剤の保存安定性が良好である。
本発明の液晶シール剤樹脂組成物中の成分(1)の使用量としては、液晶シール剤100重量部中に、1〜50重量部含有することが好ましい。
液晶シール剤樹脂組成物中の成分(1)の使用量が1重量部未満であると、成分(1)による接着性、液晶への耐汚染性の効果が充分に得られないことがあり、50重量%を超えると、得られるシール剤のディスペンス塗布性や保存安定性が劣ることがある。
【0016】
成分(1)のFedorsの理論溶解度パラメータ(sp値)が9.0〜12.0(cal/cm1/2、好ましくは9.5〜11.0(cal/cm1/2であることが望ましい。溶解度パラメータが上記範囲内であれば、成分(1)の液晶への溶け込みが少なく、得られるシール剤で製造された液晶表示パネルの表示特性が良好で
ある。溶解度パラメータ(sp値)の算出方法にはさまざまな手法や計算方法が存在するが、本明細書において用いられる理論溶解度パラメータはFedorsが考案した計算法に基づくものである(日本接着学会誌、vol.22、no.10(1986)(53)(566)など参照)。この計算法では、密度の値を必要としないため、溶解度パラメータを容易に算出することができる。上記Fedorsの理論溶解度パラメータ(sp値)は、以下の式で算出されるものである。

【0017】
(2)潜在性エポキシ硬化剤
潜在性エポキシ硬化剤としては、公知のものが使用できるが一液型で粘度安定性が良好な配合物を与えることができる点から、具体的には有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン等が好ましく挙げられる。これらは単独で用いても組み合わせて使用しても良い。
これらのうち、潜在性エポキシ硬化剤としては、アミン系潜在性硬化剤であって、かつ、その融点、または、環球法による軟化点温度が、100℃以上であるものがより好ましい。アミン系潜在性硬化剤の融点又は環球法による軟化点温度が、100℃以上であると、室温での粘度安定性を良好に保持でき、スクリーン印刷やディスペンサー塗布により長時間使用することが可能となる。
【0018】
アミン系潜在性硬化剤で、その融点、または、環球法による軟化点温度が100℃以上である潜在性エポキシ硬化剤の具体例としては、例えば、ジシアンジアミド(融点209℃)等のジシアンジアミド類;、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(融点120℃)等の有機酸ジヒドラジド;、2,4−ジアミノ―6―[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン(融点215℃〜225℃)、2−フェニルイミダゾール(融点137〜147℃)等のイミダゾール誘導体等が挙げられる。
【0019】
潜在性エポキシ硬化剤は、液晶シール剤組成物100重量部中に、通常1〜25重量部、好ましくは5〜15重量部の量で含有される。この範囲で潜在性エポキシ硬化剤が含まれていれば、得られる液晶表示パネルの接着信頼性が発現され、また、液晶シール剤組成物の粘度安定性も維持できる。本発明に使用される潜在性エポキシ硬化剤は、水洗法、再結晶法などにより、高純度化処理を行ったものを使用することが好ましい。
【0020】
(3)光ラジカル重合開始剤
本発明に使用する光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知の材料を使用することが可能である。具体的には例えば以下のものが挙げられる。ベンゾイン系化合物、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサトン類、α−アシロキシムエステル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、フェニルグリオキシレート類、ベンジル類、アゾ系化合物、アントラキノン類、ジフェニルスルフィド系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系化合物等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤の使用量は、液晶シール剤組成物100重量部中に、通常0.01〜5重量部の量である。0.01重量部以上の量とすることにより光照射による硬化性を与え、5重量部以下とすることにより、液晶シール剤組成物の塗布安定性が良好で、光硬化の際に均質な硬化体を得ることができる。
【0021】
(4)環球法による軟化点が40℃以上で、かつ、重量平均分子量が1000〜1000のエポキシ樹脂
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、環球法による軟化点温度が40℃以上でかつ重量平均分子量が1000〜10000のエポキシ樹脂であれば、エポキシ樹脂の種類には限定されない。該エポキシ樹脂の環球法による軟化点温度が40℃以上で、かつ重量平均分子量が1000〜10000、好ましくは2000〜8000であれば、該エポキシ樹脂の液晶に対する溶解性、拡散性が低く、得られる液晶表示セルパネルの表示特性が良好となり好ましい。
【0022】
該エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定した。また、これらのエポキシ樹脂としては分子蒸留法などにより高純度化を行ったものを使用することが好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等で代表される芳香族ジオール類及びそれらをエチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール変性したジオール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物;、フェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとから誘導されたノボラック樹脂、ポリアルケニルフェノールやそのコポリマー等で代表されるポリフェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られたノボラック型多価グリシジルエーテル化合物;、キシリレンフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物類、等が具体的な例として挙げられる。
【0023】
エポキシ樹脂のより好ましい具体例としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂又はその混合物である。
エポキシ樹脂の使用量は、液晶シール剤組成物100重量部中に通常、1〜30重量部の範囲である。好ましくは、5〜20重量部の量である。エポキシ樹脂の含有量がこの範囲内であれば、光及び熱併用硬化後の、硬化体のガラス転移温度も高くなり好ましい。
【0024】
(5)フィラー
本発明の液晶シール剤組成物には(5)フィラーを配合しても良い。このフィラーとしては、通常、電子材料分野で使用可能なのものであればいずれでもよい。具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化珪素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、石英粉、雲母、ガラス繊維、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機フィラーが挙げられる。また、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、これらを構成するモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーとを共重合させた共重合体、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ゴム微粒子等の公知の有機フィラーも使用可能である。また、前記フィラーを、エポキシ樹脂やシランカップリング剤等でグラフト化変性させたのち使用することも可能である。
【0025】
上記フィラーの形状としては、特に限定されず、球状、板状、針状等の定形物または非定形物が挙げられる。上記フィラーの中では、線膨張率、形状保持性の観点で無機フィラーが好ましく、UV透過性の観点から二酸化ケイ素、タルクがより好ましい。
本発明で用いるフィラーの最大粒径はレーザー回折法で好ましくは6μm以下、更に好ましくは2μm以下である。充填剤の最大粒子径値が上記範囲であれば、液晶セル製造時のセルギャップの寸法安定性が一層向上し好ましい。前記フィラーは、フィラー成分を除く液晶シール剤組成物100重量部に対して、通常1〜40重量部、好ましくは10〜30重量部の量で用いられる。フィラーの使用量が上記範囲内であれば、液晶シール剤組成物のガラス基板上への塗布安定性が良好であり、さらに、光硬化性も良好となるためセルギャップ幅の寸法安定性が向上する。
【0026】
(6)その他の添加剤
本発明では必要に応じて更に、熱ラジカル発生剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤等の添加剤の使用が可能である。また、所望のセルギャップを確保するためスペーサー等を配合しても良い。
【0027】
[液晶シール剤の調整方法]
本発明の液晶シール剤の調整は特に限定はない。混合には、例えば、双腕式攪拌機、ロール混練機、2軸押出機、ボールミル混練機、遊星式撹拌機等すでに公知の混練機械を介して行って良く、最終的にフィルターを用いてろ過を実施し、真空脱泡処理後にガラス瓶やポリ容器に密封充填され、貯蔵、輸送される。
【0028】
[液晶表示セルの製造方法]
本願発明の液晶表示セルの製造方法とは、前述のようにして得られた液晶シール剤を液晶表示装置の作製に用いられる。その使用方法の一例を説明する。
予め設定したギャップ幅のスペーサーを該液晶シール剤に混合する。さらに対になる液晶セル用ガラス基板を用い、一方の液晶セル用ガラス基板上に該液晶シール剤をディスペンサーにて枠型に塗布する。
貼り合わせ後のパネル内部容量に相当する液晶材料をその枠内に精密に滴下する。他方のガラスを対向させ、加圧下で紫外線を1000〜18000mJの量を照
射してガラス基板を貼り合わせる。さらにその後、無加圧のまま110℃〜140℃の温度で1時間加熱して充分に硬化して液晶パネルを形成する。
【0029】
用いられる液晶セル用基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板が挙げらる。前記した基板群では当然のこととしてITOで代表される透明電極やポリイミド等で代表される配向膜その他無機質イオン遮蔽膜等が必要部に施工されてなるいわゆる液晶セル構成用ガラス基板又は同プラスチック基板が用いられる。 液晶セル用基板に液晶シール剤を塗布する方法には特に限定はなく、例えば、スクリーン印刷塗布方法又はディスペンサー塗布方法などで行って良い。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これに限定されたものではない。
例中記載の%、部とはそれぞれ重量%、重量部を意味する。
【0031】
[使用原材料等]
成分(1)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる、一分子内に少なくとも1個以上のエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する、重量平均分子量が1000〜10000の、少なくとも1種類のコポリマー;
合成例1〜5の(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を使用した。
(合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、
トルエン66.7部を仕込み、窒素をパージしながら還流温度まで加熱昇温した。このフラスコ内に、グリシジルメタクリレート25重量部、メチルメタクリレート10重量部、ヒト゛ロキシルエチルメタアクリレート5重量部と、スチレン10重量部、ノルマルブチルメタクリレート50重量部と、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10重量部とが溶解した混合液を、5時間にわたりフィードして、さらにその後100℃で5時間保持し、これらモノマーの共重合反応を行った。さらに、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.5重量部、反応触媒としてトリエタノールアミン1重量部、メタクリル酸5重量部を加え、窒素気流を空気に切替え、バブリングしながら、100℃で10時間反応させた。得られた樹脂溶液からトルエンを除去することによりグリシジル基、ヒドロキシル基及びメタクリロイル基含有アクリル樹脂を得た。得られた材料を超純水にて12回洗浄処理を繰り返した。
得られたグリシジル基、ヒドロキシル基、および、メタクリロイル基含有アクリル樹脂(官能基を含有するアクリルコポリマー成分(A))の数平均分子量Mn(GPCにて測定)は、1880であり、重量平均分子量Mw(GPCにて測定)は、4620であり、エポキシ当量は、960g/eq、メタクリロイル当量は2060g/eqまた、水酸基当量は4500g/eqであった。また、DSCにより測定したTgは18℃であった。なお、Fedorsの方法により決定される「設計溶解度パラメーター(SP)」は10.0である。
【0032】
(合成例2)
ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを15重量部使用した以外は合成例1と同様にして、グリシジル基、ヒドロキシル基及びメタクリロイル基含有アクリル樹脂を得た。得られた材料を超純水にて12回洗浄処理を繰り返した。得られたグリシジル基、ヒドロキシル基、および、メタクリロイル基含有アクリル樹脂(官能基を含有するアクリルコポリマー成分(A))の数平均分子量Mn(GPCにて測定)は、780であり、重量平均分子量Mw(GPCにて測定)は、1810であり、エポキシ当量は、1020g/eq、メタクリロイル当量は2160g/eqまた、水酸基当量は4580g/eqであった。また、DSCにより測定したTgは10℃であった。
【0033】
(合成例3)
ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを5重量部使用した以外は合成例1と同様にして、グリシジル基、ヒドロキシル基及びメタクリロイル基含有アクリル樹脂を得た。得られた材料を超純水にて12回洗浄処理を繰り返した。得られたグリシジル基、ヒドロキシル基、および、メタクリロイル基含有アクリル樹脂(官能基を含有するアクリルコポリマー成分(A))の数平均分子量Mn(GPCにて測定)は、3620であり、重量平均分子量Mw(GPCにて測定)は、8210であり、エポキシ当量は、890g/eq、メタクリロイル当量は1960g/eqまた、水酸基当量は4420g/eqであった。また、DSCにより測定したTgは25℃であった。
【0034】
(合成例4)
ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを2重量部使用した以外は合成例1と同様にして、グリシジル基、ヒドロキシル基及びメタクリロイル基含有アクリル樹脂を得た。得られた材料を超純水にて12回洗浄処理を繰り返した。得られたグリシジル基、ヒドロキシル基、および、メタクリロイル基含有アクリル樹脂(官能基を含有するアクリルコポリマー成分(A))の数平均分子量Mn(GPCにて測定)は、4820であり、重量平均分子量Mw(GPCにて測定)は、12100であり、エポキシ当量は、1070g/eq、メタクリロイル当量は2310g/eqまた、水酸基当量は5120g/eqであった。また、DSCにより測定したTgは32℃であった。
【0035】
(合成例5)
ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを20重量部、重合溶剤としてトルエンの代わりにキシレン100重量部使用した以外は合成例1と同様にして、グリシジル基、ヒドロキシル基及びメタクリロイル基含有アクリル樹脂を得た。得られた材料を超純水にて12回洗浄処理を繰り返した。得られたグリシジル基、ヒドロキシル基、および、メタクリロイル基含有アクリル樹脂(官能基を含有するアクリルコポリマー成分(A))の数平均分子量Mn(GPCにて測定)は、330であり、重量平均分子量Mw(GPCにて測定)は、860であり、エポキシ当量は、860g/eq、メタクリロイル当量は1920g/eqまた、水酸基当量は4380g/eqであった。また、DSCにより測定したTgは8℃であった。
【0036】
(合成例6)
攪拌機、気体導入管、温度計、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコにビスフェノールF型エポキシ樹脂:「東都化成社製・商品名エポトートYDF−8170C」を160g、メタクリル酸:43g、トリエタノールアミン:0.2gを混合し、乾燥エア気流下、110℃、5時間加熱攪拌してメタクリル変性エポキシ樹脂を得た。得られた材料を超純水にて12回洗浄処理を繰り返した。得られた(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の、数平均分子量Mn(GPCにて測定)は、390であり、重量平均分子量Mw(GPCにて測定)は、690であり、エポキシ当量は、410g/eq、メタクリロイル当量は410g/eqまた、水酸基当量は830g/eqであった。
【0037】
成分(2)潜在性エポキシ硬化剤;
潜在性エポキシ硬化剤として1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインである、味の素社製・商品名「アミキュアVDH−J」、及び、2,4−ジアミノ―6―[2’−エチル―4’―メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル―s―トリアジンである、四国化成社製・商品名「キュアゾール2E4MZ−A」を使用した。
【0038】
成分(3)光ラジカル重合開始剤;
光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンであるチバスペシャリティ・ケミカルズ社製・商品名「イルガキュア184」を使用した。
成分(4)環球法による軟化点が40℃以上の固形エポキシ樹脂;
エポキシ樹脂として、O−クレゾールノボラック型固形エポキシ樹脂である日本化薬社製品・商品名「EOCN−1020−75;環球法による軟化点70℃、重量平均分子量2000」を使用した。
【0039】
成分(5)フィラー;
フィラーとして、アドマテックス社製球状シリカ、「アドマファインA−802」(1次平均粒子径0.7μm)を使用した。
【0040】
成分(6)添加剤;
添加剤として、シランカップリングを使用した。γ−グリシドキシトリメトキシシラン:「信越化学工業社製・商品名KBM403」を使用した。
【0041】
[試験方法]
(液晶表示パネルの液晶表示状態テスト)
透明電極及び、配向膜を付した40mm×45mmガラス基板(EHC社製、RT−DM88PIN)上に、5μmのガラスファイバーを1重量部添加した液晶シール剤を、ディスペンサー(ショットマスター;武蔵エンジニアリング社製)にて0.5mmの線幅、50μmの厚みで35mm×40mmの枠型に描画し、貼り合わせ後のパネル内容量に相当する液晶材料(MLC−11900−000:メルク社製)をディスペンサーを使用して精密に滴下した。さらに対となるガラス基板を90Paの減圧下で重ね合わせ、荷重をかけ固定した後、ウシオ電機製紫外線照射装置を使用し、100mW/cm2の紫外線照射照度で2000mJの照射エネルギーで光硬化を行った。光源にはメタルハライドランプを使用し、積算光量の測定には300nm〜390nmの測定波長範囲を有し、ピーク感度波長が365nmの紫外線積算光量計(トプコン社・UVR−T35)を使用した。
紫外線硬化後、さらに、120℃、60分加熱硬化した後に両面に偏向フィルムを貼り付けた。
その液晶パネルを直流電源装置を用い5Vの印加電圧で駆動させた際の液晶シール剤近傍の液晶表示機能が駆動初期から正常に機能するか否かでパネル表示特性の評価判定を行った。該判定方法は、シール際まで液晶表示機能が発揮出来ている場合を表示特性が良好であるとして記号○で、またシール際の近傍0.3mmを超えて表示機能の異常を見た場合を表示特性が著しく劣るとして記号×と表示した。
【0042】
(光硬化後の液晶シール剤接着強度測定テスト)
5μmのガラスファイバーを添加した液晶シール剤を、25mm×45mm厚さ5mmの無アルカリガラス上に直径1mmの円状にスクリーン印刷し、対となる同様のガラスを十字に貼り合わせて、荷重をかけながらウシオ製紫外線照射装置を使用し、100mW/cm2の紫外線照射照度で2000mJの照射エネルギーで光硬化を行い光硬化のみの試験片を作成した。得られた試験片を引っ張り試験機(モデル210;インテスコ社製)を使用し、引っ張り速度2mm/分で平面引張り強度を測定した。該判定方法は5MPa以上の接着強度が得られている場合は、接着強度が良好あるとして記号○で、また、5MPa未満の接着強度が得られた場合は、接着強度が劣るとして記号×で表示した。
【0043】
(光、及び、熱硬化後の液晶シール剤接着強度測定テスト)
上記と同様にして作製した光硬化後の接着試験片をオーブンにて窒素雰囲気中120℃、60分加熱処理し、上記と同様に平面引張り強度を測定した。該判定方法は5MPa以上の接着強度が得られている場合は、接着強度が良好あるとして記号○で、また、5MPaの接着強度が得られた場合は、接着強度が劣るとして記号×で表示した。
【0044】
(粘度安定性)
液晶シール剤組成物100部をポリエチレン製容器に入れ、密封したのち、密封時の25℃粘度値を100とし25℃/5日経過後の同粘度値の変化率で表した。10%以下の変化率であった場合に貯蔵安定性が良好の意味で記号○で、10%を超える変化があった場合を貯蔵安定性不良の意味で記号×で表示した。
【0045】
(実施例1)
O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)25部を、合成例1のコポリマー40部に加熱溶解させて均一溶液とし、冷却後、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184 チバスペシャティケミカル製)2部、潜在性エポキシ硬化剤として、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J 味の素社製)11部、及び、2,4−ジアミノ―6―[2’−エチル―4’―メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル―s―トリアジン(キュアゾール2E4MZ−A 四国化成製)1部、フィラーとして球状シリカ(AO−802、アドマテックス社製)20部、添加剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1部を加え、ミキサーで予備混合し、次に3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、目開き10μmのフィルター(ADVANTEC社製、MSP−10−E10S)でろ過した後、真空脱泡処理して液晶シール剤(P1)を得た。
【0046】
(実施例2)
合成例1のコポリマー40部の代わりに、合成例2のコポリマーを40部使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(P2)を得た。
【0047】
(実施例3)
合成例1のコポリマー40部の代わりに、合成例3のコポリマーを40部使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(P3)を得た。
【0048】
(比較例1)
合成例1のコポリマー40部の代わりに、合成例6のメタクリル化エポキシ樹脂を40部使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(C1)を得た。
【0049】
(比較例2)
合成例1のコポリマー40部の代わりに、合成例4のコポリマーを40部使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(C2)を得た。
【0050】
(比較例3)
合成例1のコポリマー40部の代わりに、合成例5のコポリマーを40部使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(C3)を得た。

実施例1〜3、比較例1〜3で作成した液晶シール剤による、液晶表示パネルの液晶表示状態テスト、接着強度、粘度安定性の結果を表1に示した。
【0051】
【表1】

【0052】
表1の結果から明らかなように、本発明の液晶シール剤は、接着性が良好で、かつ、液晶表示セルのシール周辺に表示不良が全くないことが確認された。
比較例1は本発明外の樹脂成分を使用した例であるが、液晶表示パネルの表示特性、接着性、粘度安定性が劣る。また、比較例2、比較例3はそれぞれ、本発明範囲外の分子量のコポリマーを使用した例であるが、比較例2は、ディスペンサーによる塗布性、粘度安定性が劣った。比較例3は液晶表示パネルの液晶表示状態が劣った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一液光及び熱硬化性樹脂組成物であって、(1)アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる、一分子内に少なくとも1個のエポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する重量平均分子量が1000〜10000の少なくとも1種類のコポリマーと、(2)潜在性エポキシ硬化剤と、(3)光ラジカル重合開始剤とを必須成分とする液晶シール剤。
【請求項2】
成分(1)のガラス転移温度(Tg)が50℃以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶シール剤
【請求項3】
成分(1)のエポキシ基当量が300〜10000g/eqであるエポキシ基含有コポリマーであることを特徴する請求項1または2に記載の液晶シール剤。
【請求項4】
成分(1)の(メタ)アクリロイル基当量が200〜8000g/eqである(メタ)アクリロイル基含有コポリマーであることを特徴する請求項1〜3の何れかに記載の液晶シール剤。
【請求項5】
成分(1)が更に、水酸基当量1000〜5000g/eqの水酸基価を有する水酸基含有コポリマーであることを特徴する請求項1〜4の何れかに記載の液晶シール剤。
【請求項6】
成分(1)のFedorsの理論溶解度パラメータ(sp値)が9.0〜12.0(cal/cm1/2であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液晶シール剤。
【請求項7】
液晶シール剤100重量部中に、成分(1)を、1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液晶シール剤。
【請求項8】
更に、(4)環球法による軟化点が40℃以上で、かつ、重量平均分子量が1000〜10000のエポキシ樹脂を該シール剤100重量部中に1〜30重量部含有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の液晶シール剤。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の液晶シール剤を用いて得られた液晶表示パネル。

【公開番号】特開2007−225772(P2007−225772A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45248(P2006−45248)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】